二元及び三元ガルバーニ微粒子並びにその製造方法及び用途
本発明はガルバーニ微粒子に関連し、これらの製造方法及び処理における用途が記載される。ガルバーニ微粒子は、例えば、多相又は多相の導電性材料を含む、二元又は三元ガルバーニ微粒子であり得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガルバーニ微粒子に関連し、これらの製造方法及び処理における用途が記載される。ガルバーニ微粒子は、例えば、多相又は多相の導電性材料を含む、二元又は三元ガルバーニ微粒子であり得る。
【背景技術】
【0002】
ガルバーニ電気対をイオントフォレシスパッチ装置の電源として使用することは当該技術分野において既知であるが、電気刺激の電源としてはそれほど知られていない。典型的にガルバーニ電気対は、いくつかのガルバーニ電気対により駆動される皮膚パッチ装置内における、亜鉛ドナー電極及び銀/塩化銀対電極等の一対の異なる金属から作製される。これらの装置は多くの場合、電気刺激等の意図される利益を提供するために人体に適用され、創傷治癒を改善するか又は経皮的な薬物浸透を向上させる。粒子の形態の、ガルバーニ電気対によって駆動される別の種類の局所的システムは、米国特許番号第7,476,221号、同第7,479,133号、同第7,477,939号、同第7,476,222号及び同7,477,940号、米国特許出願番号第2005/0148996号及び同第US2007/0060862号並びにPCT公開番号第2009/045720号において、様々な有益な効果に関し開示される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は新規の形態のガルバーニ微粒子、これらの製造方法及び多くの新しい用途におけるガルバーニ微粒子の使用を提供し、これは、経口投与、注射及び外科用インプラント等の様々な投与方法による局所的な組織適用及び内部治療を含む、人体の治療方法を含む。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、第1導電性材料を含む連続的な相内に分散される第2導電性材料を含む分散相を含む、多相ガルバーニ微粒子を提供し、上記第1導電性材料及び上記第2導電性材料の両方が、上記微粒子の表面上に露出し、上記微粒子の粒径は約1〜約500マイクロメートルであり、上記微粒子は約0.5〜約60重量%の上記分散相を含む。
【0005】
本発明はまた、上記多相ガルバーニ微粒子の作製方法及びその用途、特にその局所適用のための用途を提供する。
【0006】
本発明はまた、第1導電性材料及び第2導電性材料を含む二元及び三元ガルバーニ微粒子に関連し、これはまた、追加的な導電性材料及び/若しくは基材並びに/又は導電性/抵抗性中間層を含み得る。
【0007】
本発明はまた、上記二元及び三元ガルバーニ微粒子の作製方法及びその用途、特にその局所適用のための用途を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1a】二元ガルバーニ微粒子100の斜視図。
【図1b】三元ガルバーニ微粒子150の斜視図。
【図2】導電性/抵抗性中間層を含む三元ガルバーニ微粒子200の断面図。
【図3】多孔性導電性/抵抗性中間層を含む三元ガルバーニ微粒子300の断面図。
【図4a】同心状に位置する第1導電性材料401及び第2導電性材料402を含む、円筒形400の二元ガルバーニ微粒子の斜視図。
【図4b】非導電性円筒形物質455の上にコーティングされる、同心状に位置する第1導電性材料451及び第2導電性材料452を含む、円筒形405の二元ガルバーニ微粒子の斜視図。
【図5a】同心状に位置する第1導電性材料501及び第2導電性材料502並びにそれらの間の追加的な導電性材料503を含む、円筒形500の三元ガルバーニ微粒子の斜視図。
【図5b】非導電性円筒形物質555の上にコーティングされる、同心状に位置する第1導電性材料551及び第2導電性材料552並びに追加的な導電性材料553を含む、円筒形550の三元ガルバーニ微粒子の斜視図。
【図6】連続的な相601内に分散され、表面上に露出する分散相602を含む、多相ガルバーニ微粒子600の断面図。
【図7a】2層構造を有する二元ガルバーニ微粒子700の断面図。
【図7b】第1導電性材料751の層、物質755及び第2導電性材料752の層を含む二元ガルバーニ微粒子750の断面図。
【図8】4層構造を有するガルバーニ微粒子800の断面図。
【図9】3層構造を有するガルバーニ微粒子900の断面図。
【図10a】2層構造を有するガルバーニ微粒子1000の断面図。
【図10b】3層構造を有するガルバーニ微粒子1050の断面図。
【図10c】4層構造を有するガルバーニ微粒子1070の断面図。
【図11】4層構造を有する結合ガルバーニ微粒子1110の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
当業者であれば、本明細書の記載に基づいて本発明を最大限利用できるであろう。以下の具体的な実施形態は、単なる例示として解釈すべきであり、いかなることがあっても以下の開示を限定するものではない。
【0010】
特段の記載がない限り、本明細書で用いられる全ての科学技術用語は、本発明が属する技術における通常の知識を有する者が共通に解釈するのと同じ意味を有する。更に、本明細書において言及する刊行物、特許出願、特許、及び他の引用文献は全て、これを援用するものである。特に指示しない限り、百分率は重量百分率(即ち、%(W/W))を指す。
【0011】
定義
「製品」は、完成パッケージ化形態で、ガルバーニ微粒子(又はガルバーニ微粒子を含有する組成物)を収容している製品を意味する。一実施形態では、製品は、ユーザに、(例えば、皮膚の症状を治療するために)ガルバーニ微粒子又は組成物の摂取、局所適用、又は他の方法での投与を指示する説明書を含む。このような説明書は、製品の外側上、ラベル挿入物、又は任意の追加包装上に印刷されもよい。
【0012】
1つの態様では、本発明は、意図する用途のために本発明のガルバーニ微粒子又はガルバーニ微粒子を含有する組成物を販売促進することを特徴とする。「販売促進」は、販売促進、宣伝、又はマーケティングを意味する。販売促進の例としては、製品上、若しくは販売店内、雑誌、新聞、ラジオ、テレビ、インターネット等における文書、視覚的メッセージ又は口頭のメッセージを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0013】
本明細書で使用するとき、「製薬上許容できる」は、この用語が説明する成分が、過度な毒性、不適合性、不安定性、炎症、アレルギーの反応等なく、意図する用途に対して好適である(例えば、摂取、又は皮膚若しくは粘膜との接触に好適である)ことを意味する。
【0014】
本明細書で使用するとき、「安全で有効な量」は、所望の水準で所望の効果をもたらすのに十分であるが、重篤な副作用を避けるのに十分少ない、成分又は組成物の量を意味する。成分又は組成物の安全で有効な量は、治療する領域、エンドユーザの年齢、治療の期間及び性質、用いられる特定の成分又は組成物、利用される具体的な製薬上許容される担体、及び同様の要因によって異なる。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「治療する」又は「治療」は、症状(例えば、皮膚、粘膜、又は爪の症状)の治療(例えば、病徴の緩和若しくは排除、及び/又は回復)及び/又は予防若しくは抑制を意味する。一実施形態では、ガルバーニ微粒子は、このような治療の必要な被験体(例えば、ヒト)に局所的に又は全身的に投与される。一実施形態では、ガルバーニ微粒子を用いて、脊椎動物(ヒトを含む哺乳類、鳥類、魚類、爬虫類、及び両生類)、昆虫、植物、微生物(例えば、細菌、真菌、及びウイルス)を含む生物に、その効果を及ぼす(すなわち、治療する、健康を改善する、回復させる、排除する及び/又は量を低減する)。
【0016】
ガルバーニ微粒子
本発明のガルバーニ微粒子は、第1導電性材料及び第2導電性材料を含み、第1導電性材料及び第2導電性材料の両方が微粒子の表面上に露出している。一般的に第1導電性材料は、第2導電性材料よりもより容易に酸化し、標準電位表においてより負の値を有する(例えば、亜鉛又はマグネシウム)材料又は金属であり、第2導電性材料は比較的より酸化しにくく(すなわちより還元しやすく又はより不活性である)、多くの場合、正の標準電位値を有する(例えば、銅又は銀)。鉄等のいくつかの材料は、中間的な標準電位値を有し、ガルバーニ電気対内の他の導電性材料の酸化容易性(又は不活性)によって、第1導電性材料又は第2導電性材料のいずれかとして使用され得る。
【0017】
ここで図1aを参照し、一実施形態においてガルバーニ微粒子100は第1導電性材料101を含み、この表面は、例えば第2導電性材料102で部分的にコーティングされ、第1及び第2導電性材料は、互いに直接接触する2つの異なる材料である。このようなガルバーニ微粒子は二元ガルバーニ微粒子の一例である。
【0018】
一実施形態において、ガルバーニ微粒子は1つ以上の追加的な導電性材料を含む。図1bは、追加的な導電性材料103を通じて互いに電気的に接触する第1導電性材料101及び第2導電性材料102を含む、層状ガルバーニ微粒子を表す。このようなガルバーニ微粒子は、以降三元ガルバーニ微粒子と称される。追加的な導電性材料は、水溶性環境において実質的に不活性であっても不活性でなくてもよく、一方で第1導電性材料及び第2導電性材料の少なくとも一方が水溶性環境において実質的に不活性でない。
【0019】
追加的な導電性材料は、第1導電性材料及び/又は第2導電性材料と同様の導電性を有し得る。あるいは、追加的な導電性材料は、ガルバーニ電気の生成を調節する(例えば、ガルバーニ電流を低減する)目的のために、第1導電性材料又は第2導電性材料のいずれよりも低い導電性を有し得る。この実施形態において、追加的な導電性材料が、第1導電性材料と第2導電性材料との間に導電性/抵抗性中間層を形成する。
【0020】
導電性/抵抗性中間層の存在は、これらの粒子が電解質と接触する際に、ガルバーニ微粒子の放電電流の制御を可能にする。導電性/抵抗性中間層のより高い抵抗性は、第1導電性材料と第2導電性材料との間のガルバーニ電流へのより高い抵抗のために、第1導電性材料及び第2導電性材料のより遅い電気化学反応を生じ、したがってガルバーニ微粒子のより遅い全体的反応を生じる。導電性/抵抗性中間層の性質(導電性)及び大きさ(厚さ)の両方が電流を制御するために調節され得る。したがって、ガルバーニ微粒子は、より長い及びより短い機能容量の範囲を有するように開発することができる。加えて、導電性/抵抗性中間層を使用する際、電気化学的により活性な材料を第1及び第2導電性材料として選択することができる。
【0021】
一実施形態において、異なる導電性/抵抗性中間層を有するガルバーニ微粒子の混合物が所望の比率で提供される。このような混合物は、持続性の一定の作用を提供する。任意により、混合物は、二元ガルバーニ微粒子及び三元ガルバーニ微粒子の両方を含み得る。
【0022】
一実施形態において、導電性/抵抗性中間層材料は、炭素、炭素系インク、非導電性結合剤及び導電性粒子又は充填材、例えば炭素粒子等の混合物を含む複合物、導電性グラファイト、金属粉末、導電性ポリマー、導電性接着剤、酸化亜鉛又は他の材料を含む。導電性/抵抗性中間層はまた、第1又は第2導電性材料の変性形態、例えば酸化物、ハロゲン化物若しくは他の塩、又は第1若しくは第2導電性材料の別の化合物であり得る。導電性/抵抗性中間層はまた、化成被覆、例えば、第1導電性材料又は第2導電性材料の境界面に形成されるリン酸化成被覆を含み得る。第1導電性材料と第2導電性材料との間の境界領域における、第1導電性材料又は第2導電性材料の表面の他の変性が、導電性/抵抗性中間層を作るために使用され得る。
【0023】
一実施形態において、導電性/抵抗性中間層材料は、導電性ポリマーを含む。一実施形態において、導電性/抵抗性中間層は、例えば、炭素、金属粉末又は同様の材料等の実質的に導電性充填材を充填された、実質的に非導電性のポリマー材料の複合物を含む。
【0024】
一実施形態において、導電性/抵抗性中間層の導電性は、ゴム等の典型的に電気絶縁体の導電性よりも高く、金属性導電体等の良好な導電体の導電性よりも低い。別の実施形態において、導電性/抵抗性中間層の導電性は、銅の導電性を特徴付けるおよそ5×107S/mを下回り、かつゴムの導電性を特徴付けるおよそ1×10−13S/mを上回る。
【0025】
一実施形態において、導電性/抵抗性中間層の導電性は、炭素の導電性を特徴付ける、およそ2.8*104S/mである。別の実施形態において、導電性/抵抗性中間層の導電性は、約1×104S/m〜約1×106S/mの範囲である。
【0026】
上記の導電性の値は全て、周囲温度における導電性である。
【0027】
第1導電性材料と第2導電性材料との間の導電性/抵抗性中間層の厚さは、およそ1ナノメートル〜およそ500マイクロメートルである。
【0028】
ここで図2を参照し、一実施形態において、導電性/抵抗性中間層203は、ガルバーニ微粒子200における第1導電性材料201及び第2導電性材料202を完全に分離している。
【0029】
別の実施形態において、導電性/抵抗性中間層は孔を含む。ここで図3を参照し、ガルバーニ微粒子300の第1導電性材料301及び第2導電性材料302は、孔304を含む導電性/抵抗性中間層303を通じて互いに接触する。導電性/抵抗性中間層は、例えば、ミクロ孔質又はナノ孔質の絶縁性若しくは半絶縁性若しくは半導電性材料、例えば、酸化物、塩又は第1導電性材料若しくは第2導電性材料の他の化合物、あるいはポリマー材料、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル又は同様のポリマーであり得る。このようなガルバーニ微粒子の非限定的な例は、その表面上に薄い酸化亜鉛が形成された金属性亜鉛粒子(第1導電性金属)であり、その上に金属性銅の部分的なコーティングが存在する。このような薄い酸化亜鉛中間層を有する亜鉛−銅微粒子は、酸化亜鉛被覆表面を形成するために酸化処理により事前処理された金属性亜鉛粉末上に、銅を物理蒸着することによって製造され得る。
【0030】
一実施形態では、ガルバーニ微粒子は、第2導電性材料の重量%が、微粒子の合計重量の約0.001重量%〜約20重量%、例えば、微粒子の合計重量の約0.01重量%〜約10重量%であるコーティング方法により生成される。一実施形態では、第2導電性材料のコーティング厚さは、1原子分から数百マイクロメートルまで変化してもよい。更に別の実施形態では、ガルバーニ微粒子の表面は、約0.001%〜約99.99%、例えば、約0.1〜約99.9%の第2導電性材料を含む。
【0031】
一実施形態では、ガルバーニ微粒子は、非コーティング方法により(例えば、第1及び第2導電性材料を共に焼結、溶解及び分散、印刷、又は機械的加工して、ガルバーニ微粒子を形成することにより)生成され、第2導電性材料は、微粒子の合計重量の約0.1重量%〜約99.9重量%、例えば、微粒子の合計重量の約0.1重量%〜約90重量%、又はいくつかの実施形態では0.5重量%〜約60重量%、好ましくは約0.5重量%〜約60重量%含まれる。
【0032】
一実施形態では、ガルバーニ微粒子は、保存時に半固体組成物に懸濁するのに十分な程細かい。更なる実施形態では、それらは扁平及び/又は細長い形状である。ガルバーニ微粒子の扁平及び細長い形状の利点としては、見かけ密度が低く、それ故、局所用組成物における浮遊/懸濁能がより良好になり、並びに生物組織をより良好に被覆し、生物組織(例えば、皮膚又は粘膜)を通過するガルバーニ電流の範囲をより広く及び/又はより深くすることが挙げられる。一実施形態では、ガルバーニ微粒子の最長寸法は、このような微粒子の最短寸法の少なくとも2倍(例えば、少なくとも5倍)である。
【0033】
ガルバーニ微粒子は、球形若しくは非球形、又は細長い若しくは扁平な形状(例えば、円筒形、繊維又はフレーク)が挙げられるがこれらに限定されない、任意の形状であってよい。一実施形態では、ガルバーニ微粒子の平均粒径は、約10ナノメートル〜約500マイクロメートル、例えば、約100ナノメートル〜約100マイクロメートルである。粒径とは、少なくとも一方向における最長寸法を意味する。
【0034】
一実施形態では、ガルバーニ微粒子は、ガルバーニ微粒子の生成にコーティング方法が用いられるとき、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%又は少なくとも99重量%の導電性材料(例えば、第1導電性材料及び第2導電性材料)を含む。
【0035】
一実施形態において、第1導電性材料は、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、これらの酸化物、これらのハロゲン化物及びこれらの合金からなる群から選択される。
【0036】
別の実施形態において、第2導電性材料は、銅、銀、金、マンガン、鉄及びこれらの合金からなる群から選択される。
【0037】
第1導電性材料及び第2導電性材料の組み合わせの例としては(「/」の記号は酸化されているが、本質的に非可溶性形態である金属を表す)、亜鉛−銅、亜鉛−銅/銅ハロゲン化物、亜鉛−銅/酸化銅、マグネシウム−銅、マグネシウム−銅/銅ハロゲン化物、亜鉛−銀、亜鉛−銀/酸化銀、亜鉛−銀/銀ハロゲン化物、亜鉛−銀/塩化銀、亜鉛−銀/臭化銀、亜鉛−銀/ヨウ化銀、亜鉛−銀/フッ化銀、亜鉛−金、亜鉛−炭素、マグネシウム−金、マグネシウム−銀、マグネシウム−銀/酸化銀、マグネシウム−銀/銀ハロゲン化物、マグネシウム−銀/塩化銀、マグネシウム−銀/臭化銀、マグネシウム−銀/ヨウ化銀、マグネシウム−銀/フッ化銀、マグネシウム−炭素、アルミニウム−銅、アルミニウム−金、アルミニウム−銀、アルミニウム−銀/酸化銀、アルミニウム−銀/銀ハロゲン化物、アルミニウム−銀/塩化銀、アルミニウム−銀/臭化銀、アルミニウム−銀/ヨウ化銀、アルミニウム−銀/フッ化銀、アルミニウム−炭素、銅−銀/銀ハロゲン化物、銅−銀/塩化銀、銅−銀/臭化銀、銅−銀/ヨウ化銀、銅−銀/フッ化銀、鉄−銅、鉄−銅/酸化銅、銅−炭素 鉄−銅/銅ハロゲン化物、鉄−銀、鉄−銀/酸化銀、鉄−銀/銀ハロゲン化物、鉄−銀/塩化銀、鉄−銀/臭化銀、鉄−銀/ヨウ化銀、鉄−銀/フッ化銀、鉄−金、鉄−導電性炭素、亜鉛−導電性炭素、銅−導電性炭素、マグネシウム−導電性炭素、及びアルミニウム−炭素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
第1導電性材料又は第2導電性材料、特に第1導電性材料は、合金であってもよい。合金の非限定的な例としては、第1導電性材料として亜鉛、鉄、アルミニウム、マグネシウム、銅、及びマンガンの合金、第2導電性材料として銀、銅、ステンレススチール及び金の合金が挙げられる。
【0039】
別の実施形態において、ガルバーニ微粒子は複数の導電性材料又は金属を含んでもよく、すなわち、2(二元)又は3(三元)を超える数であってもよい。このようなガルバーニ微粒子の非限定的な例は、多数のコーティング形態に、多相形態に、又は多数の導電性金属の複合物として、マグネシウム−亜鉛−鉄−銅−銀−金の組成物を有し得る。
【0040】
一実施形態では、ガルバーニ微粒子は、第2及び1つ以上の追加的な導電性材料等、いくつかの導電性材料によって部分的にコーティングされた第1導電性材料を含む。更なる実施形態では、微粒子は少なくとも95重量%の第1導電性材料、第2導電性材料、及び追加的導電性材料を含む。一実施形態では、第1導電性材料は亜鉛であり、第2導電性材料は銅であり、追加的導電性材料は銀である。
【0041】
一実施形態では、第1導電性材料と第2導電性材料の標準電極電位(又は簡単に標準電位)の差は、少なくとも約0.1ボルト、例えば、少なくとも0.2ボルトである。一実施形態では、ガルバーニ電気対を構成する材料は、約3ボルト以下の標準電極電位を有する。例えば、金属亜鉛及び銅を含むガルバーニ対では、亜鉛の標準電位は−0.763V(Zn/Zn2+)であり、銅の標準電位は+0.337(Cu/Cu2+)であるため、標準電位の差は、亜鉛−銅ガルバーニ対で1.100Vである。同様に、マグネシウム−銅ガルバーニ電気対では、マグネシウムの標準電位(Mg/Mg2+)は−2.363Vであり、したがって、標準電位の差は2.700Vである。ガルバーニ対に好適ないくつかの材料の標準電位値の追加例は、Ag/Ag+:+0.799V,Ag/AgCl/Cl−:0.222V及びPt/H2/H+:0.000Vである。Ptはまた、炭素又は別の導電性材料に置き換えられてもよい。例えば、Physical Chemistry(Gordon M.Barrow,4th Ed.,McGraw−Hill Book Company,1979年,626ページ)を参照のこと。
【0042】
ガルバーニ微粒子の製造
一実施形態では、導電性金属インクの(例えば、ポリマー結合剤との)化学的、電気化学的、物理的、又は機械的加工(無電解めっき、電気めっき、CVD及びPVD等の気相堆積、真空蒸着、アーク噴霧、焼結、圧縮、加圧成形、押出成形、印刷、及び造粒等)、及び「ASM Handbook Volume 7:Powder Metal Technologies and Applications」(ASM International Handbook Committee,edited by Peter W.Lee,1998,pages 31〜109,311〜320)の書籍に記載されている、又はMaterials and Processes in Manufacturing,E.P.DeGarmo et al.,8th edition,Prentice−Hall,1997,pages 1096〜1110)の書籍に記載されている方法のような、粉末冶金、電子工学、及び医療機器の製造プロセスにおいて一般的に用いられる他の既知の金属コーティング及び粉末加工方法により、導電性電極を組み合わせる(例えば、第2導電性電極を導電性/抵抗性中間層、第1導電性電極又は物質に堆積させる)。別の実施形態では、全ての導電性電極は、還元剤の存在下で、順次又は同時に、化学的な還元プロセス(例えば、無電解析出)により製造される。還元剤の例としては、リン含有還元剤(例えば、米国特許第4,167,416号及び同第5,304,403号に記載のような次亜リン酸塩)、ホウ素含有還元剤、及び四ヒドリドホウ酸ナトリウム(NaBH4)(例えば、米国特許出願公開第20050175649号に記載のもの)のようなアルデヒド又はケトン含有還元剤が挙げられる。
【0043】
一実施形態では、第2導電性電極は、浸漬コーティング、スプレーコーティング、プラズマコーティング、導電インクコーティング、スクリーン印刷、ディップコーティング、金属接着、高圧−高温下での衝撃微粒子、流動床加工、又は真空蒸着のような、物理的堆積により第1導電電極上に存在する導電性/抵抗性中間層に堆積又はコーティングされる。
【0044】
一実施形態では、コーティング方法は、置換化学反応、つまり第1導電性材料の微粒子(例えば、金属亜鉛粒子)を、第2導電性材料の溶解塩(例えば、酢酸銅、乳酸銅、グルコン酸銅、又は硝酸銀)を含有する溶液と接触させることに基づいている。更なる実施形態では、本方法は、第1導電性材料(例えば、亜鉛粉末)の微粒子上を、又は第1導電性材料の充填粉末を通して、溶液を流すことを含む。一実施形態では、塩溶液は水溶液である。別の実施形態では、溶液は、アルコール、グリコール、グリセリン、又は薬剤生産において一般的に用いられる他の溶媒のような有機溶媒を含有して、第一微粒子の表面上への第2導電性材料の堆積速度を調節し、それにより生成されるガルバーニ微粒子の作用を制御する。
【0045】
コーティングされたワイヤー又は繊維の製造方法
一実施形態において、ガルバーニ微粒子は、約10マイクロメートル〜約500マイクロメートルの直径を有するワイヤー又は繊維を単層又は多相コーティング又はめっきし、これを次に細断してガルバーニ微粒子を形成することによって製造される。細断される微粒子の長さは、コーティングされるワイヤーの直径未満〜コーティングされるワイヤーの直径の20倍以上まで変化し得る。別の実施形態において、細断される粒子の長さはおよそ20マイクロメートル〜およそ2mmで変化する。ワイヤー又は繊維のコーティング方法は当該技術分野において既知である。このような方法としては、電気めっき、無電解めっき、浸漬めっき、PVD、CVD、プラズマ蒸着、スパッタ堆積又は当該技術分野において既知のめっき若しくはコーティング(例えば、米国特許番号第3,957,452号又は第7,220,316号に記載の技術による)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0046】
二元粒子
二元ガルバーニ微粒子を製造するための、図4aに示される一実施形態において、第1導電性材料401の細いワイヤーが、第2導電性材料402でコーティングされる。生じるコーティングされたワイヤーは、次に細断されて、ガルバーニ微粒子400を形成する。
【0047】
二元ガルバーニ微粒子を製造するために図4bに示される別の実施形態において、ポリマー系繊維若しくはセルロース系繊維若しくはデンプンから作製される繊維又は砂糖、デンプン、カゼイン、ゼラチン若しくは同様の材料等の可食組成物から作製される繊維であり得る非導電性物質455が、最初に第1導電性材料451でコーティングされ、次に第2導電性材料452で上塗りされる。生じるコーティングされた繊維は次に細断されて、ガルバーニ微粒子405を形成する。この手法は、各ガルバーニ微粒子の第1及び第2導電性材料の品質の幅広い制御を可能にする。
【0048】
三元粒子
図5aに示される一実施形態において、第1導電性材料501の細いワイヤーが最初に導電性/抵抗性中間層503でコーティングされ、これがその後第2導電性材料502で上塗りされる。生じるコーティングされたワイヤーは、次に細断されて、それによってガルバーニ微粒子500を形成する。
【0049】
別の実施形態において、第1導電性材料の細い繊維又はワイヤーは変性された第1導電性材料の表面層を導電性/抵抗性中間層として形成するように化学的に処理され、これはその後、第2導電性材料によって上塗りされる。化学的処理としては、表面酸化、化成被覆、黒色処理等が挙げられる。
【0050】
図5bに示される別の実施形態において、三元ガルバーニ微粒子を製造するために、繊維555の形態の非導電性基材が最初に第1導電性材料551によってコーティングされ、次に導電性/抵抗性中間層553によってコーティングされ、これはその後、第2導電性材料552によってコーティングされる。生じるコーティングされた繊維は、次に細断されて、ガルバーニ微粒子550を形成する。
【0051】
多相ガルバーニ微粒子
一実施形態において、本発明は、第1導電性材料を含む連続的な層中に分散された第2導電性材料を含む分散相を含む、多相ガルバーニ微粒子を提供し、上記第1導電性材料及び上記第2導電性材料の両方が、上記微粒子の表面上に露出している。多相ガルバーニ微粒子は約0.1重量%〜約99.9重量%、好ましくは約0.5重量%〜約60重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約50重量%の上記分散層を含む。多相ガルバーニ微粒子は単層合金ではないが、これは1つ以上の単層合金を分散層又は連続層のいずれかとして含み得る。これは少なくとも2つの不均質相を含む。
【0052】
第1導電性材料は多相ガルバーニ微粒子のアノードとして機能し、第2導電性材料はカソードとして機能する。アノード及びカソードは両方とも、このようなガルバーニ微粒子の表面上に露出する。アノードは第1導電性材料として好適な金属の単相又は多相合金であり得る。カソードは第2導電性材料として好適な金属の単相又は多相合金であり得る。
【0053】
多相ガルバーニ微粒子の大きさは好ましくは、分散相粉末の大きさよりも大きく、多相ガルバーニ微粒子の大部分が粒子の第2導電性材料を少なくとも1つ有することを確実にする。多相ガルバーニ粒子の大きさは一般的に、約0.1〜500マイクロメートル、例えば、約200マイクロメートル未満又は約100マイクロメートル未満の範囲である。
【0054】
一実施形態において、分散相は銅金属を含み、約0.01〜10マイクロメートルの粒径を有し、連続的な層は亜鉛金属を含む。生じる金属は約100マイクロメートル未満の粒径を有する多相ガルバーニ微粒子を生じ、大部分が約1〜50マイクロメートルの粒径を有する。
【0055】
一実施形態において、分散相は約950℃超の融点を有する。本実施形態において、例えば第2導電性材料は、銅、銀、金、マンガン、鉄及びこれらの合金からなる群から選択され得る。
【0056】
別の実施形態において、連続的な層は約750℃未満の融点を有する。この実施形態において、第1導電性材料は、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、これらの酸化物、これらのハロゲン化物及びこれらの合金からなる群から選択される。
【0057】
多相ガルバーニ微粒子は、上記の定義により、追加的な導電性材料を含む少なくとも1つの追加的な分散相を更に含み得る。
【0058】
別の実施形態において、多相ガルバーニ微粒子は、導電性/抵抗性中間層を含む。例えば、上記で定義されるように、導電性/抵抗性中間層は第1又は第2導電性材料の変性形態、例えば酸化物、ハロゲン化物若しくは他の塩、又は第1若しくは第2導電性材料の別の化合物であり得る。導電性/抵抗性中間層はまた、第1若しくは第2導電性材料の境界面の化成被覆又は第1若しくは第2導電性材料の他の表面改質を含み得る。
【0059】
第1導電性材料は多相ガルバーニ微粒子のアノードとして機能し、第2導電性材料はカソードとして機能する。アノード及びカソードは両方とも、このようなガルバーニ微粒子の表面上に露出される。アノードは第1導電性材料として好適な金属の単相又は多相合金であり得る。カソードは第2導電性材料として好適な金属の単相又は多相合金であり得る。
【0060】
多相ガルバーニ微粒子は例えば、以下のプロセス:(a)焼結又は噴霧形成プロセスのために、完全に融解するか又は部分的に融解するように、第1導電性材料をその融点を超える温度まで加熱することと、(b)第1導電性材料の融点よりも高いが、第2導電性材料の融点よりも低い温度において、第2導電性材料の微粉末等の粉末を、融解した第1導電性材料へと分散又は混合させることと、(c)生じる融解/固体混合物を所望の小さい粒径まで微粉化させる(例えば、アトマイザーを有する又は有さない細孔を使用する噴霧形成により)ことと、(d)生じた粒子をより低い又は周囲温度まで冷却して多相ガルバーニ微粒子を形成することとによって形成され得る。
【0061】
好ましくは、上記の微粉化又は噴霧化プロセスは、保護雰囲気下(すなわち、アルゴン、窒素又は二酸化炭素等の不活性ガスで)又は還元雰囲気下(例えば、水素又は他の不活性ガスとのその混合物)で行われる。
【0062】
あるいは、工程(c)は、(i)融解/固体混合物をより低い又は周囲温度まで冷却して固体複合物を形成することと、(ii)固体複合物を多相ガルバーニ微粒子へと機械的に微粉化する(例えば、ミリング及び/又は細断等)工程により行うことができる。
【0063】
好ましい噴霧形成プロセスを含む、このような製造方法は一般的に、Journal of Materials Processing Technology,Vol.106,Issues 1〜3,Pages 58〜67及び「ASM Handbook Volume 7:Powder Metal Technologies and Applications」(ASM International Handbook Committee,(Peter W.Leeにより編集),1998)に記載され、双方とも本明細書において参照として組み込まれる。
【0064】
図6は、低融点を有する第1導電性材料(金属又は合金)601に分散される、高融点を有する第2導電性材料(金属又は合金)602を含む多相ガルバーニ微粒子を表す。第2導電性材料はまた第1導電性材料の表面上に露出される。
【0065】
小さい粒径のガルバーニ微粒子の生成のための、前述の微粉化(噴霧化)方法は、ASM Handbook,infra,pages 31〜109に記載される。
【0066】
別の実施形態において、多相ガルバーニ微粒子は、以下の:(a)第1、第2及び任意により追加的な導電性材料の混合物を、所望の重量比又はモル比において、これらの融点の全てを超えるまで加熱し、融解混合物を形成することと、(b)融解混合物を所望の小さい粒径まで微粉化する(例えば、アトマイザーを有する又は有さない細孔を使用する噴霧形成により)ことと、(c)微粉化された混合物の液滴をより低い又は周囲温度まで冷却し、これによって微粉化混合物粒子に相分離が生じて、異なる導電性材料を多く含む少なくとも2つの合金相を含む多相ガルバーニ微粒子を形成することとによって製造される。第1導電性材料が豊富な相は、多相ガルバーニ微粒子のアノードとして機能し、第2導電性材料が豊富な相は、多相ガルバーニ微粒子のカソードとして機能する。
【0067】
あるいは、工程(b)は、(i)融解混合物をより低い又は周囲温度まで冷却して固体複合物を形成することと、(ii)固体複合物を機械的に微粉化して(例えば、ミリング及び/又は細断等)多相ガルバーニ微粒子を生じる工程により行うことができる。
【0068】
別の実施形態において、融解プロセスの間の温度が注意深く制御され、プロセス温度を、使用されるこれらの導電性材料の冶金相図に従って段階的に低下させ、それによってより高い融点を有する材料(通常は第2導電性材料)が他方の(融解)材料中で微粒子として最初に固化する。
【0069】
あるいは、融点混合物は、2つの導電性材料の不均一な領域を有する固体複合物を形成するようにキャスティングされ得る。生じる複合物はその後、粒径の低減のための既知の技術、例えば、ミリング、圧延又は細断プロセスによって処理される。生じる粉末は、多相ガルバーニ微粒子である。
【0070】
3つ以上の導電性材料が、多相ガルバーニ微粒子を製造するために上記の方法で処理され得る。
【0071】
基材上への多相堆積によって形成されるガルバーニ微粒子
図7aをここで参照し、一実施形態においてガルバーニ微粒子700は基材(図示されない)上に堆積される第1導電性材料701の層及び第1導電性材料の上に堆積される第2導電性材料702の層を含む。同様に、図7bは、基材755上に堆積される第1導電性材料751の層及び第1導電性材料上に堆積される第2導電性材料752の層を含むガルバーニ微粒子750を表す。
【0072】
生じる2層材料は、例えば、約1マイクロメートル〜約500マイクロメートルの合計厚さを有し得る。第1及び第2導電性層は、基材から上昇させられ、所望の大きさのガルバーニ微粒子に、例えば、約5マイクロメートル〜約500マイクロメートルの最大寸法のフレークへと分解される(例えば、細断される)。一実施形態において、両方の堆積工程が気体相から行われる。別の実施形態において、1つの堆積工程が気体相から行われ、別の堆積工程が液体相から行われる。第1導電性材料及び第2導電性材料の堆積の順序は逆であってもよいことに留意すべきである。
【0073】
一実施形態において、基材は高分子フィルムである。別の実施形態において基材は、アルコール又は水等の好適な溶媒に曝露することによって任意により取り除かれる、可溶性高分子フィルムである。
【0074】
基材は、ガルバーニ微粒子の最適な放電に適合する導電性、厚さ及び多孔性を有し得る。一実施形態において、基材は、ナノ孔又はマイクロ孔等の、孔を含む。このような穴は、堆積プロセス中に、第1導電性材料又は第2導電性材料のいずれかによって任意により充填され、それによって孔を通じて第1導電性材料と第2導電性材料との間に電気的接続を形成する。
【0075】
図8を参照し、別の実施形態において、第1導電性材料の相801が、基材805上に堆積され、その後導電性/抵抗性中間層803が、例えば、堆積により又は第1導電性材料の表面層の化学修飾により(例えば、上記のような、その酸化物の形成)、第1導電性材料の上に形成される。次に、第2導電性材料は、導電性/抵抗性中間層の上に堆積される。約1マイクロメートル〜約500マイクロメートルの合計厚さを有し得る、生じる3層材料はその後、望ましい大きさの微粒子、例えば、約5マイクロメートル〜約500マイクロメートルの範囲の大きさの矩形へと細断されて、ガルバーニ微粒子を形成する。
【0076】
ここで図9を参照し、別の実施形態において、第1導電性材料901の層が、薄い導電性又は非導電性であるが多孔質の高分子基材905の一方の側に堆積され、第2導電性材料902の層は同じ基材の他方の側に堆積される。
【0077】
約1マイクロメートル〜約500マイクロメートルの合計厚さを有し得る、生じる3層材料はその後、望ましい大きさの粒子、例えば、約5マイクロメートル〜約500マイクロメートルの範囲の大きさの矩形へと細断されて、ガルバーニ微粒子を形成する。
【0078】
金属ホイルの電気めっき
この実施形態において薄い金属ホイルが1つ以上の層でコーティング又はめっきされ、その後ガルバーニ微粒子を形成するように細断又は切断され、例えば、およそ75×75マイクロメートルの大きさ及びおよそ25〜50マイクロメートルの厚さを有する正方形へと切断される。二元ガルバーニ微粒子は、第2導電性材料によって両側をコーティングされた第1導電性材料を含む、2層ホイル又は3層ホイルから形成される。
【0079】
三元ガルバーニ微粒子は、第1導電性材料からなるホイルの少なくとも一方の側に追加的な導電性材料の層を形成し、その後生じる材料を第2導電性材料でコーティングすることによって製造される。
【0080】
ホイルコーティングの方法は、当該技術分野において既知であり、連続的リール・ツー・リールホイル電気めっき、無電解めっき、ディップコーティング、及び真空蒸着コーティングを含む。
【0081】
スルーマスク堆積を使用する粒子の電気めっき
一実施形態において、ガルバーニ微粒子が、スルーマスク電着によって、再使用可能なマンドレル上に形成される。多数の開口を有する単回使用又は再使用可能な絶縁ポリマーシートが、導電性マンドレルの上に配置され、第1及び第2導電性材料はマスク開口を通じて導電性マンドレル上に順次電着される。マンドレルの材料は、電着した第1導電性材料に対して低い接着性を有するように選択される。開口の大きさは、約20マイクロメートル以下〜約500マイクロメートル以上であり得、マスクの厚さは約10マイクロメートル〜約500マイクロメートルであり得る。堆積の完成後、マスクが上げられて、粒子が、マンドレルから及びマスクから落とされるか、剥がされる。二元及び三元ガルバーニ微粒子はこのプロセスによって作製され得る。スルーマスク電着プロセスは、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許番号第4,431,500号、同第4,921,583号、同第5,389,220号及び同第6,632,342号に記載される。
【0082】
クラッド金属ホイル
ここで図10aを参照し、一実施形態において、第1導電性材料1001の金属ホイル及び第2導電性材料1002は、冷間圧延により、任意により導電性/抵抗性中間層と共に被覆されるか又は一緒に結合される。例えば、第2導電性材料1052は、ガルバーニ微粒子1050において、図10bに示されるように、第1導電性材料1051の2つのホイルの間に位置してもよい。逆の順序(すなわち、1051が1052の2層の間に位置する)においても調製され得ることに留意すべきである。生じるクラッドホイルはその後、ガルバーニ微粒子に細断され、例えば、およそ75×75マイクロメートルの大きさ及びおよそ25〜50マイクロメートルの厚さを有する正方形に細断される。二元ガルバーニ微粒子は、第2導電性材料によって両側を被覆された第1導電性材料を含む、2層ホイル又は3層ホイルから形成される。
【0083】
図10cに1070として示される三元ガルバーニ微粒子は、第1導電性材料ホイル1071を第2導電性材料ホイル1072で被覆し、一方で第1導電性材料と第2導電性材料との間の境界面に導電性/抵抗性中間層1073を形成することによって形成される。また、1071及び1072の位置/配置は逆にしてもよい。導電性/抵抗性中間層は、第1若しくは第2導電性材料又は両方の化学修飾によって、例えば、酸化処理、化成被覆、黒鉛化、めっき、蒸着又は以下に記載される表面改質の他の手段によって形成され得る。例えば、2つのホイルを一緒に冷間圧延することによるクラッド金属ホイルの製造方法は、当該技術分野において既知である。
【0084】
二元ガルバーニ微粒子を製造するための電気めっき
この方法により、第1導電性材料を含む粒子が、カソード及びアノードを有する電気めっき槽内に浸漬される。電解質は、イオン化形態の第2導電性材料、例えば、第2導電性材料の可溶性塩を含む。電気めっき槽は連続的に撹拌され、槽内の粒子は懸濁液を形成し、粒子はカソードにランダムに接近し、接触する。カソードとの接触の際に、粒子は電着の短いバーストに供され、これは、第2導電性材料の電着を生じる。堆積は不均一であり、一定の粒子の表面積を露出したままにする。個別の金属の活性にかかわらず、炭素粒子又は金属ベースの粒子のコーティングが可能である。
【0085】
別の実施形態において、第1導電性材料からなる粒子のスラリーは、めっき槽のカソードと接触し、最も活発な電着はスラリーの最上層で生じる。電解質から生じる第2導電性材料の電着は不均一であり、粒子の一定の表面積が露出される。
【0086】
多孔質ガルバーニ微粒子
一実施形態において、ガルバーニ微粒子は、多孔質第1導電性材料及び多孔質第1導電性材料の孔の中に浸透した第2導電性材料を含む。第1導電性材料は、多孔質粒子であり得る。
【0087】
一実施形態において、多孔質粒子、例えば、炭素微小粒子には、活性金属の塩、例えば亜鉛塩の溶液が浸透している。任意により、例えば、NaOH等の水酸化溶液との反応を介して、活性金属の酸化物が形成される。任意の乾燥の後、活性金属の塩又は酸化物が、還元剤、例えば、炭素(多孔質粒子中に存在する)、水素ガス、CO又は他の還元剤中との反応により還元される。結果として、活性金属堆積が、孔の中及び任意により炭素粒子の表面の一部に形成される。
【0088】
別の実施形態において、炭素等の第1導電性材料の多孔質の薄いシート又は多孔質の紙の孔に、上記のように活性金属又は第2導電性材料が浸透している。薄いシートはその後、所望の大きさのガルバーニ微粒子を形成するように細断される。
【0089】
別の実施形態において、多孔質粒子には更に、活性治療用化合物が浸透している。したがって、ガルバーニ特性及び活性治療用化合物によって付与される他の治療的特性を組み合わせて、結合治療粒子が形成される。
【0090】
他の基材
上記のように、ガルバーニ微粒子は、高分子基材等の基材を含み得る。基材はまた、ワックス、ポリエステル又は同様の材料、薄膜基材、繊維、可溶性繊維を含む可溶性材料並びにデンプン、カゼイン、ゼラチン及び同様の材料を含む可食材料等の材料を含み得る。少なくとも2つの導電性材料が、本明細書において記載される堆積方法を使用してこのような材料上に順次堆積され得る。このような実施形態は、より少ない導電性材料の充填により及び薄膜として堆積される導電性材料によりガルバーニ微粒子を製造することを可能にする。
【0091】
再使用可能な衣類へのガルバーニ微粒子の適用
一実施形態において、上記のようにガルバーニ微粒子が高分子コア又は高分子基材上に形成され、ポリマーは任意により水溶性であり、低い融点を有する。ガルバーニ微粒子がその後、はけ積み、噴霧又は粉末散布により、衣類に適用される。衣類上のガルバーニ微粒子がその後、例えば、ホットアイロン、任意により熱蒸気を有するホットアイロンの適用によって加熱される。高分子コア又は高分子基材が高温に曝露されて融解し、衣類の布地と結合を形成する。この方法は、ガルバーニ微粒子の固定化層を、衣類の上に形成することを可能にする。粒子は、衣類を洗浄又は洗濯することによって取り除くことができ、ガルバーニ微粒子の新しい層が適用され得る。
【0092】
別の実施形態において、熱活性化された、任意により水溶性である接着性粉末を、ガルバーニ微粒子に混合することで生じる混合物が、アイロンを載せるプロセスによって衣類に適用される。
【0093】
更に別の実施形態において、ガルバーニ微粒子の懸濁が、好適なキャリア、例えばアルコール内に形成される。キャリアはまた、溶解した接着剤を含む。混合物を衣類に適用し、溶媒を蒸発させる。空気硬化性、光硬化性又は乾燥硬化性であり得る接着剤の硬化の際に、ガルバーニ微粒子と衣類の布地との間に結合が形成される。
【0094】
混合二元性−三元性微粒子
ここで図11を参照し、遅い放電の三元ガルバーニ特性及び速い放電の二元ガルバーニ特性の両方を含む、結合ガルバーニ微粒子が上記の方法で製造され得る。一実施形態において、結合二元ガルバーニ微粒子は、導電性/抵抗性中間層1103を一方の側において第1導電性材料1101でコーティングし、その後、生じる材料の両側を第2導電性材料1102で上塗りすることによって形成される。生じるフィルムの細断により、結合ガルバーニ微粒子が生じる。第1導電性材料及び第2導電性材料は、一方の側で直接接触して速い放電構成要素を形成し、第1導電性材料及び第2導電性材料が他方の側の中間層を通じて関節的に接触し、遅い放電構成要素を形成する。
【0095】
別の実施形態では、本発明のガルバーニ微粒子が、他の材料でコーティングされ、保存中にガルバーニ材料が分解するのを防ぐ(例えば、酸素及び水分からの酸化分解)、又は電気化学的反応を調節し、使用中の電流発生を制御することができる。ガルバーニ材料に対する代表的なコーティング材料は、無機又は有機ポリマー、天然又は合成のポリマー、生分解性又は生体吸収性のポリマー、シリカ、ガラス、種々の金属酸化物(例えば、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、又はチタンの酸化物)、及び低可溶性の他の無機塩類(例えば、リン酸亜鉛)である。コーティング方法は金属粉末加工及び金属顔料製造の分野において既知であり、例えば米国特許公開第5,964,936号、同第5,993,526号、同第7,172812号、米国特許出願公開第20060042509A1号、及び同第20070172438号に記述されているものがある。
【0096】
一実施形態では、ガルバーニ微粒子は、無水形で、例えば、乾燥粉末として、又は結合剤で布地に固定されて、又は本質的に無水非導電有機溶媒組成物(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、液体シリコーン、及び/又はアルコールに溶解した)として保存される。別の実施形態では、ガルバーニ微粒子は、無水キャリアに埋め込まれる(例えば、ポリマーの内側)か又は基材上にコーティングされる(例えば、コーティングとして、又は創傷ドレッシング若しくはデンタルフロスのようなヘルスケア製品のコーティング層で)。更に別の実施形態では、ガルバーニ微粒子は、貯蔵寿命(self-life)の安定性を得るために、ガルバーニ微粒子の活性化を遅延させるために、又はガルバーニ微粒子の作用を延長するために、マイクロカプセル、リポソーム、ミセルの組成物にカプセル化されるか、又はエマルション系の水中油型(O/W)若しくは油中水型(W/O)タイプの親油性相(例えば、W/Oローション、W/O軟膏、又はO/Wクリーム)、並びに自己乳化組成物に埋め込まれる。
【0097】
ガルバーニ微粒子はまた、錠剤への圧縮、錠剤コーティングフィルム中のポリマー組成物への組み込み、硬質若しくは軟質ゼラチンカプセルへの組み込み、又はろう状材料(例えば、坐剤で用いられるとき)若しくはポリマー(インプラント製品で用いられるときには、生体吸収性ポリマーに、又は歯科用ブレスレット(dental bracelet)及び歯ブラシで用いられるときには生体適合性ポリマーに)への組み込みが可能である。微粒子で使用されるコーティング(シェル)材料は、腸溶性を有してもよく(例えば、酸性条件で不溶性であり、中性pH付近又はそれに等しいpH値で媒質に曝露されたときのみ可溶性である)、又は水及び溶質分子並びにイオンに対してpH感受性透過性を有してもよく、又は生分解性若しくは生体吸収性であってよい。
【0098】
組成物及び製品
ガルバーニ微粒子は非常に多用途性であり、摂取可能な組成物(錠剤及び溶液等)、局所用組成物(クリーム、ローション、ゲル、シャンプー、洗剤、粉末パッチ、包帯、及び皮膚又は粘膜に適用するためのマスク等)、衣類(肌着、下着、ブラジャー、ショーツ、パンツ、ストッキング、靴下、ヘッドキャップ、顔用マスク、手袋、及びミトン等)、リネン(タオル、枕カバー又はケース、及びベッド用シーツ等)、並びにパーソナル及び医療製品(家庭用及び臨床応用消毒製品、植物用殺微生物剤(microcide)等)、及び装置(歯ブラシ、デンタルフロス、歯周移植片又は挿入物、歯列矯正用ブレース、関節ラップ/サポート、バッカルパッチ、コンタクトレンズ等眼球挿入物又は移植片、鼻用移植片又は挿入物、及びコンタクトレンズ洗浄製品、創傷ドレッシング、おむつ、生理用ナプキン、及び拭き取り用品、タンポン、直腸及び膣坐剤、並びに医療機器のガルバーニ微粒子コーティング又はガルバーニ微粒子の埋め込まれた表面、並びに抗微生物又は他の有益な効果が所望される他の表面)のようなヒト及び動物用の多くの消費者製品及び医薬品で用いることができる。このような組成物及び製品の多くについては以下で更に論じる。
【0099】
一実施形態では、ガルバーニ微粒子は、隔膜症状の治療を促進する特定の所望の生物学的反応を誘発する(例えば、皮膚、腸、若しくは粘膜を通じた電流通過、及び/又は活性剤の送達の強化により誘発される)。一実施形態では、ガルバーニ微粒子は、イオン導入及び/又は電気浸透による活性剤の送達を強化するため、並びに接触した組織を治療するため(例えば、血行を増大させる又は他の効果のため)の電気刺激を提供するためのような、症状を治療するための複数の作用機序を提供する。
【0100】
「活性剤」は、治療用薬物又は美容剤のような、皮膚又は他の隔膜及びその周りの組織に対して美容又は治療的効果を有する化合物(例えば、合成化合物又は天然原料から単離された化合物)(例えば、人体に生物学的作用を及ぼすことのできる物質)を意味する。このような治療用薬物の例としては、小分子、ペプチド、タンパク質、核酸物質、及びミネラルのような栄養素、及び抽出物が挙げられる。担体中の活性剤の量は、活性剤及び/又は組成物若しくは製品の意図する用途に応じて決定される。一実施形態では、ガルバーニ微粒子を含有する組成物は、安全で有効な量の活性剤、例えば、組成物の約0.001重量%〜約20重量%、例えば、約0.01重量%〜約10重量%を更に含有する。
【0101】
ガルバーニ微粒子を活性剤(抗微生物剤、抗炎症剤、及び鎮痛剤等)と組み合わせて、その活性剤の生物学的又は治療的効果を高める又は増強することができる。別の実施形態では、ガルバーニ微粒子を他の物質と組み合わせて、ガルバーニ微粒子の作用を高める又は増強することもできる。ガルバーニ微粒子の作用を高める又は増強する物質としては、有機溶媒(アルコール、グリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等)、界面活性剤(非イオン性界面活性剤、双極性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及びポリマー界面活性剤等)、及び水溶性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、本発明のガルバーニ微粒子は、タンパク質、多糖類、種々の分子量のヒアルロン酸、ヒアルロン酸類似体、ポリペプチド、及びポリエチレングリコールが挙げられるがこれらに限定されない、合成又は天然ポリマーと共に、共役体又は複合体を形成することができる。
【0102】
一実施形態では、組成物はキレート剤又はキレート化剤を含有する。キレート剤の例としては、グリシン、ラクトフェリン、エデト酸塩、クエン酸塩、ペンテト酸塩、トロメタミン、ソルビン酸塩、アスコルビン酸塩、デフェロキサミン等のアミノ酸、これらの誘導体、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。有用なキレート剤の他の例は、米国特許第5,487,884号及びPCT国際特許公開第91/16035号及び同第91/16034号に開示されている。
【0103】
ガルバーニ微粒子の使用方法
一実施形態では、ガルバーニ微粒子を用いて、軟組織(例えば、皮膚、粘膜、上皮、創傷、眼及びその周りの組織、軟骨、及び靱帯、腱、又は半月のような他の軟質筋骨格組織)、硬組織(例えば、骨、歯、爪床、又は毛包)、及び軟組織−硬組織結合体(例えば、歯に含まれる歯周領域、骨、又は関節の軟組織の周りの通道組織)を含む、療法的治療を必要とする対象とする人体組織に直接(例えば、局所的に又は体の内側のいずれかにより)ガルバーニ微粒子を適用することにより、治療的電気刺激効果を提供する。
【0104】
ガルバーニ微粒子の適用は、抗菌効果(例えば、抗菌、抗真菌、抗ウイルス及び抗寄生虫効果)、表面又は深部組織における効果を含む消炎効果(軟骨の浮腫又は赤みを低減又は排除する)、疼痛、かゆみ又は他の感覚的不快感(例えば、頭痛、刺痛又はヒリヒリする痺れ)の排除又は低減、再生(すなわち、欠損又は損傷した組織又は組織構成要素を交換又は再生して、その元の機能及び外観を復元する)、軟組織及び硬組織の両方の再生又は治癒の向上、幹細胞分化及び組織発達の調節、例えば組織増殖の調節(例えば、爪の成長速度の向上又は脱毛症による脱毛の再生)又は軟組織の容積の増加(例えば、皮膚又は唇等の軟組織のコラーゲン又はエラスチンの増加)、脂肪細胞代謝の増加若しくは身体外観の向上(例えば、身体の外形又は形状への効果)並びに血液若しくはリンパ球の循環の向上を含むがこれに限定されない治療的効果のための組織治療を目的とするものであり得る。
【0105】
当業者は、好適な、既知の及び一般に認められた細胞及び/又は動物モデルを使用したインビボ並びにインビトロの両方における試験により、成分、組成物、又は製品の、所定の症状を治療又は予防する能力を予測できることを認識するであろう。当業者は更に、健康な患者及び/又は所定の症状若しくは障害に罹患している患者におけるファースト・イン・ヒューマン(first-in-human)試験、用量設定試験、及び有効性試験を含むヒト臨床試験が、臨床及び医療分野で周知の方法に従って完了し得ることを認識するであろう。
【0106】
摂取可能な組成物
本発明による接種可能な組成物は、治療を必要とする、ヒト等の哺乳類による摂取のために好適である。一実施形態では、組成物は安全で有効な量の(i)ガルバーニ微粒子と、(ii)製薬上許容できるキャリアとを含有する。
【0107】
一実施形態では、摂取可能な組成物は、本明細書では、投薬量単位(例えば、錠剤、カプセル、粉剤、注射、茶さじ一杯等)あたりに、上記のような有効用量を送達するのに必要な量のガルバーニ微粒子及び/又は活性剤を含有する。一実施形態では、摂取可能な組成物を、本明細書では、単位投薬量単位あたり約1mg〜約5g、例えば、約50mg〜約500mgのガルバーニ微粒子及び/又は活性剤を含有し、約1mg/kg/日〜約1g/kg/日、例えば、約50〜約500mg/kg/日の投薬量で投与してもよい。しかしながら、投薬量は、患者の必要量、治療されている症状の重症度、及び使用されるガルバーニ微粒子に応じて変動し得る。連日投与又は断続的(post-periodic)投与の使用のいずれかを用いることができる。一実施形態では、これらの組成物は、錠剤、丸薬、カプセル、粉剤、顆粒、溶液又は懸濁液、及びドロップのような単位剤形である。
【0108】
一実施形態では、組成物は、治療される患者への投薬量を症状的に調節するために、1、5、10、25、50、100、150、200、250、500及び/又は1000ミリグラムのガルバーニ微粒子及び/又は活性剤を含有する等の錠剤の形態で提供される。組成物は、1日当たり1〜4回の投薬計画で投与されてもよい。有利なことに、組成物は、1回に一日投薬量を投与してもよく、又は全一日投薬量を一日2回、3回若しくは4回に分割して投与してもよい。
【0109】
投与する最適投薬量は、当業者が容易に決定することができ、そして使用する具体的なガルバーニ微粒子及び/又は活性剤、投与方法、製剤の強度、及び治療される疾患/症状の進行に応じて変動する。更に、患者の年齢、体重、食事、及び投与時期を含め、治療する具体的な患者と関連する因子が、投薬量を調整する必要性をもたらす。
【0110】
本明細書に記載の本発明のガルバーニ微粒子を1種以上含有する摂取可能な組成物を、従来の薬剤調剤技術に従って、ガルバーニ微粒子を製薬上許容できる担体と密接に混合することにより調製できる。担体は、製剤の種類に応じて広範な形態をとることができる。したがって、懸濁液、エリキシル剤、及び溶液のような液体調製物では、好適な担体及び添加剤としては、水、グリコール、アルコール、シリコーン、ろう、着香剤、緩衝剤(クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、乳酸緩衝剤、グルコン酸緩衝剤等)、保存剤、安定剤、着色剤等が挙げられるが、これらに限定されず、粉剤、カプセル、及び錠剤のような固体調製物では、好適な担体及び添加剤としては、デンプン、糖類、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤が挙げられる。固体経口調製物はまた、糖類、可溶性ポリマーフィルム、並びに不溶性であるが溶質浸透性であるポリマーフィルムのような物質でコーティングされてもよい。経口調製物はまた、腸溶性コーティングでコーティングされてもよく、これは酸性胃環境で不溶性であるが、ガルバーニ微粒子作用の主要部位を調節するためにpHが中性になるとき腸で溶解する。製品の保存及び安定性については、ガルバーニ微粒子は、好ましくは無水又は比較的非導電性相又は区画に保持されるべきである。
【0111】
錠剤のような固形組成物を調製するために、ガルバーニ微粒子を製薬上許容できる担体、例えば、コーンスターチ、ラクトース、ショ糖、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸ニカルシウム又はガムのような通常の錠剤成形成分、及び他の製薬上許容できる希釈剤と混合して、ガルバーニ微粒子の均質な混合物を含有する固形予調剤(preformulation)組成物を形成する。これらの予調剤組成物を均質と称するとき、これは、ガルバーニ微粒子が組成物全体にむらなく分散し、その結果、組成物は同等に有効な、錠剤、丸剤及びカプセル剤のような剤形に容易に分割できることを意味する。この固体予調剤組成物を、次いで、上記種類の単位剤形に更に分割してもよい。新規な組成物の錠剤又は丸剤は、持続性作用の利点を与える剤形を提供するためにコーティングするか又はそれ以外の方法で配合することができる。例えば錠剤若しくは丸剤は、内部投与成分及び外部投与成分を含むことができ、後者は前者を包む形態である。2つの成分は、胃での崩壊を阻止し、また内部成分を無傷で十二指腸内まで通過させる、又は放出を遅延させることができる腸溶性の層により分離することができる。様々な物質をそのような腸溶性の層又はコーティングに用いることができ、そのような物質には、シェラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースのような物質と共に多数のポリマー酸が包含される。
【0112】
(a)胃腸疾患治療用の摂取可能な組成物
一実施形態では、ガルバーニ微粒子を含有する摂取可能な組成物は、潰瘍、下痢、及び胃腸痛のような胃腸疾患の治療に用いられる。
【0113】
一実施形態では、ガルバーニ微粒子を、ビスマス(次サリチル酸ビスマス等)、ロペラミド、シメチコン、ニタゾキサニド、シプロフロキサシン、及びリファキシミン、これらの塩類及びプロドラッグ(エステル等)が挙げられるが、これらに限定されない、下痢を治療することが知られている活性剤と組み合わせてもよい。
【0114】
一実施形態では、ガルバーニ微粒子を、ランソプラゾール、ナプロキセン、エソメプラゾール、ファモチジン、ニザチジン、ラニチジン、及びオメプラゾール、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない、胃潰瘍を治療することが知られている活性剤と組み合わせてもよい。
【0115】
一実施形態では、ガルバーニ微粒子を、モキシフロキサシン、シプロフロキサシン、セフタジジム、ゲンタマイシン、エルタペネム、セフェピム、セフォキシチン、シラスタチン、イミペネム、セフトリアキソン、クラブラン酸、及びチカルシリン、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない、腹腔内感染を治療することが知られている活性剤と組み合わせてもよい。
【0116】
(b)疼痛治療用の摂取可能な組成物
一実施形態では、ガルバーニ微粒子を含有する摂取可能な組成物は、疼痛(咽喉痛のような)の治療に用いられる。経口剤形は、これらに限定されないが、ロゼンジ又は液体の形態であってもよい。ガルバーニ微粒子を、アセトアミノフェン、デキストロメトルファン、偽エフェドリン、クロルフェニラミン、偽エフェドリン、グアイフェネシン、ドキシルアミン、亜鉛、及びイブプロフェン、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない、咽頭痛を治療することが知られている活性剤と組み合わせてもよい。
【0117】
(c)経口栄養補助食品用の摂取可能な組成物
一実施形態では、ガルバーニ微粒子を含有する摂取可能な組成物は、経口栄養補助食品として、又は経口栄養補助食品の補完物として用いられる。経口剤形は、ロゼンジ、錠剤、カプレット、粉剤、又は液体の形態であってもよいが、これらに限定されない。ガルバーニ微粒子を、二塩基性リン酸カルシウム、酸化マグネシウム、塩化カリウム、微結晶セルロース、アスコルビン酸(ビタミンC)、フマル酸第1鉄、炭酸カルシウム、dl−アルファ酢酸トコフェロール(ビタミンE)、アカシア、パルミチン酸アスコルビル、ベータカロチン、ビオチン、BHT、パントテン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、塩化第2クロム、クエン酸、クロスポビドン、酸化第2銅、シアノコバラミン(ビタミンB 12)、エルゴカルシフェロール(ビタミンD)、葉酸、ゼラチン、ヒプロメロース、ルテイン、リコピン、ホウ酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、硫酸マンガン、ナイアシンアミド、硫酸ニッケル、フィトナジオン(ビタミンK)、ヨウ化カリウム、塩酸ピリドキシン(ビタミンB 6)、リボフラビン(ビタミンB 2)、二酸化ケイ素、アルミノケイ酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、メタバナジン酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、セレン酸ナトリウム、ソルビン酸、塩化スズ、スクロース、硝酸チアミン(ビタミンB 1)、二酸化チタン、三塩基リン酸カルシウム、ビタミンA酢酸塩(ビタミンA)、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない、ビタミン及びミネラルの経口栄養補助食品と組み合わせてもよい。
【0118】
それに加えて、一実施形態では、ガルバーニ微粒子の金属成分は、例えば、インサイチュで亜鉛イオンに変換される亜鉛金属のように、インサイチュで生成されるミネラル栄養補助食品として機能し得る。
【0119】
局所用皮膚組成物
一実施形態では、本発明で有用な局所用組成物は、ヒトの皮膚のような哺乳類の皮膚に投与するのに好適なガルバーニ微粒子を含有する組成物を含む。一実施形態では、組成物は安全で有効な量の(i)ガルバーニ微粒子と、(ii)製薬上許容できるキャリアとを含有する。
【0120】
組成物から、リーブオン製品(ローション、クリーム、ゲル、スティック、スプレー、及び軟膏等)、皮膚洗浄製品(液体洗浄液、固形石鹸、及び拭き取り用品等)、毛髪用製品(シャンプー、コンディショナー、スプレー、及びムース等)、ひげそり用クリーム、皮膜形成製品(マスク等)、メークアップ(ファンデーション、アイライナー、及びアイシャドー等)、防臭剤及び制汗剤組成物等が挙げられるが、これらに限定されない広範な製品を作製することができる。これらの製品の種類は、溶液、懸濁液、マイクロエマルション及びナノエマルションのようなエマルション、ゲル、及び固体担体形が挙げられるが、これらに限定されない製薬上許容できる担体形を数種含有してもよい。当業者は他の製品形態を配合することができる。
【0121】
一実施形態では、組成物又は製品は皮膚病及び疾患の治療に用いられる。このような治療の例としては、にきび(例えば、黒にきび及び白にきび)、酒さ、結節嚢腫(nodule-cystic)、及び他の皮膚の微生物感染症、皮膚の老化の目に見える兆候(例えば、しわ、たるみ、黄ばみ及び老年性斑点)の低減、皮膚の硬化、皮膚の弾力性の強化、毛嚢炎及び偽鬚髯毛嚢炎、皮脂の調節(例えば、皮脂の減少又は脂性/光っている皮膚の外観の抑制又は制御)、色素沈着の調節(例えば、そばかす、黒皮症、光線性及び老人性ほくろ、しみ、炎症後メラニン増加症、ベッカー型痣、並びに顔の黒色症の低減、又は色白の皮膚における色素沈着の強化)、毛髪成長の遅延(例えば、足の皮膚)、又は毛髪の刺激(例えば、頭皮への)、及び皮膚炎の治療(例えば、アトピー性、接触性、又は脂漏性皮膚炎)、目の下のくま、伸展線、セルライト、多汗(例えば、発汗過多)、及び/又は乾癬の治療が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
(a)局所用抗にきび/抗酒さ組成物
一実施形態では、組成物又は製品は抗にきび及び/又は抗酒さ活性剤を含有する。抗にきび及び抗酒さ剤の例としては、トレチノイン、イソトレチノイン、モトレチニド、アダパレン、タザロテン、アゼライン酸、及びレチノールのようなレチノイド、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、レゾルシノール、イオウ、スルファセタミド、尿素、テトラサイクリン、クリンダマイシン、メトロニダゾール、及びエリスロマイシンのような抗生物質、コルチコステロイド(例えば、ヒドロコルチゾン)、イブプロフェン、ナプロキセン、及びヘトプロフェンのような抗炎症剤、並びにケトコナゾール及びエルビオールのようなイミダゾール、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。抗にきび活性剤の他の例としては、エッセンシャル・オイル、アルファ−ビサボロール、グリチルリチン酸二カリウム、樟脳、β−グルカン、アラントイン、ナツシロギク、ダイズイソフラボンのようなフラボノイド、ノコギリパルメット、EDTAのようなキレート化剤、銀及び銅イオンのようなリパーゼ抑制因子、加水分解された植物蛋白質、塩化物、ヨウ化物、フッ化物の無機イオン、並びにこれらの非イオン性誘導体の塩素、ヨウ素、フッ素、及びその他の原子価の物質、Arlasilk(商標)リン脂質CDM、SV、EFA、PLN、及びGLA(Uniqema,ICI Group of Companies,Wilton,UK)のような合成リン脂質及び天然リン脂質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
(b)局所用老化防止組成物
一実施形態では、組成物又は製品は老化防止剤を含有する。好適な老化防止剤の例としては、二酸化チタン及び酸化亜鉛のような無機日焼け止め剤、メトキシケイヒ酸オクチルのような有機日焼け止め剤、レチノイド、ジメチルアミノエタノール(DMAE)、銅含有ペプチド、ビタミンE、ビタミンA、ビタミンC、及びビタミンBのようなビタミン、並びにアスコルビン酸ジ−グルコシド及びビタミンE酢酸塩又はパルミチン酸のようなビタミンの塩類又は誘導体、グリコール酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、アスコルビン酸、アルファーヒドロキシ酪酸、アルファ−ヒドロキシイソ酪酸、アルファ−ヒドロキシイソカプロン酸、アトロラクチン酸(atrrolactic acid)、アルファ−ヒドロキシイソ吉草酸、ピルビン酸エチル、ガラクツロン酸、グルコヘプトン酸、グルコヘプトノ1,4−ラクトン、グルコン酸、グルコノラクトン、グルクロン酸、グルクロノラクトン、ピルビン酸イソプロピル、ピルビン酸メチル、粘液酸、ピルビン酸、糖酸、糖酸1,4−ラクトン、酒石酸、及びタルトロン酸のようなアルファ−ヒドロキシ酸並びにこれらの前駆体、ベータ−ヒドロキシ酪酸、ベータ−フェニル乳酸、及びベータ−フェニルピルビン酸のようなベータ−ヒドロキシ酸、テトラヒドロキシプロピルエチレン−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(THPED)、並びに緑茶、ダイズ、オオアザミ、藻、アロエ、アンゼリカ、ダイダイ、コーヒー、オウレン、グレープフルーツ、ホウレン(hoellen)、セイヨウスイカズラ、ジュズダマ、リソスペルマム(lithospermum)、クワ、ボタン、プエラルア(puerarua)、ナイス(nice)、及びベニバナのような植物抽出物、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
(c)局所用色素脱失組成物
一実施形態では、組成物又は製品は色素脱失剤を含有する。好適な色素脱失剤の例としては、ダイズ抽出物、ダイズイソフラボン、レチノールのようなレチノイド、コウジ酸、コウジ酸ジパルミテート(kojic dipalmitate)、ヒドロキノン、アルブチン、トラネキサム酸、ナイアシン及びビタミンCのようなビタミン、アゼライン酸、リノレン酸及びリノール酸、プラセルチア(placertia)、カンゾウ、並びにカモミール及び緑茶のような抽出物、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
(d)局所用抗乾癬組成物
一実施形態では、組成物又は製品は抗乾癬活性剤を含有する。抗乾癬活性剤(例えば、脂漏性皮膚炎治療のため)の例としては、コルチコステロイド(例えば、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、酢酸ジフロラゾン、プロピオン酸ハロベタゾール、トリアムシノニド、デキサメタゾン、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、ハルシノニド、酢酸トリアムシノロン、ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、ジプロピオン酸アルクロメタゾン(aclometasone dipropionte)、フルランドレノリド、フロ酸モメタゾン、酢酸メチルプレドニゾロン)、メトトレキサート、シクロスポリン、カルシポトリエン、アントラリン(anthraline)、シェール油及びその誘導体、エルビオール、ケトコナゾール、石炭タール、サリチル酸、ジンクピリチオン、硫化セレン、ヒドロコルチゾン、硫黄、メントール、及び塩酸プラモキシン、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
(e)他の成分
一実施形態では、組成物又は製品は活性剤として植物抽出物を含有する。植物抽出物の例としては、ナツシロギク、ダイズ、グリシン・ソヤ、オート麦、小麦、アロエ・ベラ、クランベリー、マンサク、ウサギギク、カワラヨモギ、細辛の根、カバノキ、キンセンカ、カモミール、シンジウム、ヒレハリソウ、ウイキョウ、ガラ・ロイス(galla rhois)、サンザシ、ドクダミ、オトギリソウ、ナツメ、キウイ、カンゾウ、モクレン、オリーブ、ペパーミント、フィロデンドロン、サルビア、クマザサ(sasa albo-marginata)、天然のイソフラボノイド、ダイズイソフラボン、及び天然のエッセンシャル・オイルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
一実施形態では、組成物又は製品は、クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、乳酸緩衝剤、グルコン酸緩衝剤のような緩衝剤、又はゲル化剤、増粘剤、又はポリマーを含有する。
【0128】
一実施形態では、組成物又は製品は、ラベンダー及びカモミールのような、ストレス緩和、鎮静、及び/又は睡眠への影響に有効な芳香剤を含有する。
【0129】
局所用粘膜組成物
一実施形態では、本発明で有用な局所用組成物は、ヒトの口腔、直腸、及び膣粘膜のような粘膜に投与するのに好適なガルバーニ微粒子を含有する組成物を含む。一実施形態では、組成物は安全で有効な量の(i)ガルバーニ微粒子と、(ii)製薬上許容できるキャリアとを含有する。
【0130】
組成物から、膣用クリーム、タンポン、坐剤、フロス、洗口剤、練り歯磨きが挙げられるが、これらに限定されない粘膜に適用するための広範な製品を作製できる。当業者は他の製品形態を配合することができる。
【0131】
一実施形態では、組成物又は製品は粘膜症状の治療に用いられる。このような治療の例としては、膣のカンジダ症及び膣疾患、生殖器及び口のヘルペス、口内炎、口腔衛生、歯周病、歯のホワイトニング、口臭、バイオフィルム付着予防、並びに他の粘膜の微生物感染症の治療が挙げられるが、これらに限定されない。
【0132】
ガルバーニ微粒子を、チオコナゾール、クロトリマゾール、及びナイスタチン等であるが、これらに限定されない活性物質とともに、カンジダ症の治療用組成物に組み込んでもよい。
【0133】
ガルバーニ微粒子を、限定するものではないが塩酸クリンダマイシン及びメトロニダゾール等の活性物質とともに、細菌性膣炎の治療用組成物に組み込んでもよい。
【0134】
ガルバーニ微粒子を、限定するものではないがミノサイクリン等の活性物質とともに、歯周病の治療用組成物に組み込んでもよい。
【0135】
創傷及び瘢痕の治療用組成物
一実施形態では、ガルバーニ微粒子を、創傷ドレッシング及び包帯に組み込んで、治癒強化及び瘢痕予防のための電気療法を提供する。一実施形態では、創傷滲出液及び/又は創傷洗浄溶液は、(i)創傷ドレッシング/包帯の中に予め組み込まれている活性物質を送達させるために、並びに/又は、(ii)有益な金属イオンを電気化学的に発生させた後に、その有益な金属イオンを創傷に送達させるために、並びに/又は(iii)血液循環を増加させ、組織の免疫応答を刺激し、及び/若しくは組織の炎症を抑制することのできる、療法的電流により創傷を治療するために(これは、治癒の加速及び瘢痕の低減を導く可能性がある)、ガルバーニ微粒子を含む創傷ドレッシング/包帯を活性化させるように機能する。
【0136】
一実施形態では、組成物又は製品は、局所用抗生物質、抗微生物剤、創傷治癒強化剤、局所用抗真菌薬、抗乾癬薬、及び抗炎症剤のような、局所用創傷及び瘢痕治療用として一般的に用いられる活性剤を含有する。
【0137】
抗真菌薬の例としては、ミコナゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、セルタコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、クリオキノール、ビフォコナゾール(bifoconazole)、テルコナゾール、ブトコナゾール、チオコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、サペルコナゾール、クロトリマゾール、ウンデシレン酸、ハロプロジン、ブテナフィン、トルナフテート、ナイスタチン、シクロピロクスオラミン、テルビナフィン、アモロルフィン、ナフチフィン、エルビオール、グリセオフルビン、並びにこれらの製薬上許容できる塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、抗真菌薬はアゾール、アリルアミン、又はこれらの混合物である。
【0138】
抗生物質(又は消毒剤)の例としては、ムピロシン、硫酸ネオマイシン、バシトラシン、ポリミキシンB、1−オフロキサシン、テトラサイクリン(塩酸クロルテトラサイクリン、塩酸オキシテトラサイクリン−10及び塩酸テトラサイクリン)、リン酸クリンダマイシン、硫酸ゲンタマイシン、メトロニダゾール、ヘキシルレゾルシノール、塩化メチルベンゼトニウム、フェノール、第四級アンモニウム化合物、ティー・ツリー油、並びにこれらの製薬上許容できる塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0139】
抗微生物剤の例としては、ロドプロピニルブチルカルバメート、ジアゾリジニル尿素、二グルコン酸クロルヘキシデンジグルコネート、酢酸クロルヘキシデン、イセチオン酸クロルヘキシデン、及び塩酸クロルヘキシデンのような、クロルヘキシジンの塩類が挙げられるが、これらに限定されない。塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、トリクロカーボン(triclocarbon)、ポリヘキサメチレンビグアニド、塩化セチルピリジウム、塩化メチル及びベンゼトニウムのような、他のカチオン性抗微生物剤を用いてもよい。他の抗微生物剤としては、2,4,4’−トリクロロ−2−ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)のような、ハロゲン化フェノール性化合物、パラクロロメタキシレノール(PCMX)、及びエタノール、プロパノール等のような、短鎖アルコールが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、アルコールは、隔膜の過度の乾燥を引き起こさないように低濃度(例えば、担体の約10重量%未満、例えば、担体の5重量%未満)である。
【0140】
ヘルペス及び肝炎のようなウイルス感染症のための抗ウイルス剤の例としては、イミキモド及びその誘導体、ポドフィロックス、ポドフィリン、インターフェロンアルファ、アシクロビル、ファムシクロビル(famcyclovir)、バラシクロビル(valcyclovir)、レチキュロス(reticulos)及びシドフォビル、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0141】
抗炎症剤の例としては、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシルトリアムシノロン、アルファメチルデキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デオキシメタゾン、酢酸デソキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジクロリゾン、酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクラロロンアセトニド(fluclarolone acetonide)、フルドロコルチゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル(flucortine butylester)、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)(fluprednidene(fluprednylidene)acetate)、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド(flucetonide)、フルドロコルチゾン、酢酸ジフルオロゾン(difluorosone diacetate)、フルラドレナロンアセトニド(fluradrenalone acetonide)、メドリゾン、アムシアフェル(amciafel)、アムシナファイド(amcinafide)、ベタメタゾン、クロルプレドニゾン、酢酸クロルプレドニゾン、クロコルテロン(clocortelone)、クレスシノロン(clescinolone)、ジクロリゾン、ジフルプレドナート、フルクロロニド(flucloronide)、フルニソリド、フルオロメタロン(fluoromethalone)、フルペロロン、フルプレドニソロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、シクロペンチルプロピオン酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、トリアムシノロンのようなコルチコステロイド、並びにこれらの塩類及びプロドラッグのような好適なステロイド抗炎症剤が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、本発明で用いるためのステロイド性抗炎症剤はヒドロコルチゾンである。本発明の組成物で有用な抗炎症剤の第2の部類としては、非ステロイド性抗炎症剤が挙げられる。
【0142】
創傷治癒強化剤の例としては、組換えヒト血小板由来成長因子(PDGF)及び他の成長因子、ケタンセリン、イロプロスト、プロスタグランジンE1及びヒアルロン酸、マンノース−6−リン酸のような瘢痕低減剤、鎮痛剤、麻酔剤、ミノキシジルのような毛髪成長促進剤、塩酸エフロルニチンのような毛髪成長遅延剤、抗高血圧薬、冠動脈病を治療するための薬物、抗癌剤、エンドクリン及び代謝薬、神経薬、薬品嗜癖の停止のための薬物、酔い止め薬、タンパク質及びペプチドの薬物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0143】
体の微生物感染の治療
1つの実施形態では、他の抗真菌活性剤と共に又はこれ無しで、ガルバーニ微粒子を用いて、爪甲真菌症、スポロトリクム症、爪白癬、足白癬(水虫)、股部白癬(いんきんたむし)、体部白癬(白癬)、頭部白癬、癜風、及びおむつかぶれ、口腔カンジダ(oral thrushm)、皮膚及び膣カンジダのようなカンジダ酵母感染関連疾患(例えば、カンジダ・アルビカンス)、生殖器の発疹、癜風のような癜風菌感染関連疾患、粃糠疹毛嚢炎(Pityriasis folliculitis)、脂漏性皮膚炎、及びふけが挙げられるが、これらに限定されない真菌感染(例えば、毛瘡白癬菌のような皮膚糸状菌)を治療及び予防する。
【0144】
別の実施形態では、他の抗細菌活性剤の有り無しで、ガルバーニ微粒子を用いて、にきび、蜂窩織炎、丹毒、膿痂疹、毛嚢炎、並びにフルンケル及び癰に加えて、急性創傷及び慢性創傷(静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍、及び褥瘡性潰瘍)が挙げられるが、これらに限定されない細菌感染を治療及び予防する。
【0145】
別の実施形態では、他の抗ウイルス活性剤の有り無しで、ガルバーニ微粒子を用いて、伝染性軟属腫、いぼ、ヘルペス、口内炎(kanker sore)及び陰部ヘルペスのような単純ヘルペスウイルス感染が挙げられるが、これらに限定されない皮膚及び粘膜のウイルス感染を治療及び予防する。
【0146】
別の実施形態では、他の抗寄生虫活性剤の有り無しで、ガルバーニ微粒子を用いて、鉤虫感染、シラミ、疥癬、海水浴発疹及び沼地皮膚症が挙げられるが、これらに限定されない寄生虫感染を治療及び予防する。
【0147】
一実施形態では、微粒子は、耳感染(肺炎球菌(streptococcus oneumoniae)により引き起こされるもののような)、鼻炎及び/又は副鼻腔炎(インフルエンザ菌、カタラリス菌、黄色ブドウ球菌、及び肺炎球菌により引き起こされるもの等)、及び連鎖球菌性咽頭炎(化膿連鎖球菌により引き起こされるもの等)の治療を補助するために投与される。
【0148】
一実施形態では、微粒子は、動物(例えば、動物飼料として)又はヒト(例えば、栄養補助食品として)により摂取されて、飲食に起因する健康被害(例えば、カンピロバクター・ジェジュニ、リステリア・モノサイトゲネス、及びサルモネラ・エンテリカのような食品媒介病原体に起因する)の大流行を予防するのを補助する。
【0149】
薬物耐性微生物
一実施形態では、本発明は、病原体薬物耐性微生物を殺す方法において、微生物を、第1導電性材料及び第2導電性材料を含むガルバーニ微粒子を含有する組成物と接触させることであって、第1導電性材料及び第2導電性材料の両方が微粒子の表面上に露出されており、第1導電性材料と第2導電性材料との標準電位の差が少なくとも約0.2Vである、接触させることにより、病原体薬物耐性微生物を殺すを含む、方法を特徴とする。一実施形態では、前記微粒子の粒径は、約10ナノメートル〜約1000マイクロメートル、例えば、約1マイクロメートル〜約100マイクロメートルである。一実施形態では、第2導電性材料は、微粒子の総重量の約0.01重量%〜約10重量%である。一実施形態では、薬物耐性微生物は、MRSA及びVREのような細菌である。一実施形態では、微粒子は、鼻スプレー、すすぎ溶液、又は軟膏を介して投与される。
【0150】
爪治療組成物
ガルバーニ微粒子を用いて、爪の成長を刺激し、爪の強度を高め、爪感染又は変色を低減することもできる。ガルバーニ微粒子を、ミコナゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、セルタコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、クリオキノール、ビフォコナゾール(bifoconazole)、テルコナゾール、ブトコナゾール、チオコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、サペルコナゾール、クロトリマゾール、ウンデシレン酸、ハロプロジン、ブテナフィン、トルナフテート、ナイスタチン、シクロピロクスオラミン、テルビナフィン、アモロルフィン、ナフチフィン、エルビオール、グリセオフルビン、並びに製薬上許容できる塩類及びプロドラッグ等であるが、これらに限定されない活性物質とともに、爪甲真菌症(onychomychosis)の治療用組成物に組み込むことができる。ガルバーニ微粒子を、ビオチン、パントテン酸カルシウム(calcium panthotenate)、酢酸トコフェリル、パンテノール、フィタントリオール、コレカルシフェロール、塩化カルシウム、アロエ・バルバデンシス(葉汁)、絹タンパク質、ダイズタンパク質、過酸化水素、過酸化カルバミド、緑茶抽出物、アセチルシステイン、及びシステイン等であるが、これらに限定されない成分とともに、爪の見た目及び感触を改善するための組成物に組み込むことができる。
【0151】
組織増強及び組織光学的用途
一実施形態において、ガルバーニ微粒子は、顔の皮膚の皺の可視性を低減するために、委縮を低減するために、又は顔の皮膚及び皮膚下の容積並びに唇の容積を増加させるために使用され得る。ガルバーニ微粒子は、単独で用いてもよく、又は皮下充填剤、移植片、歯周移植片、筋肉内注射、及び生体吸収性ポリマー等の皮下注射のような、当該技術分野において周知である他の成分と併用してもよい。例えば、ガルバーニ微粒子は、コラーゲン、ヒアルロン酸、ポリL乳酸及び/又はカルシウムヒドロキシルアパタイト注射と共に使用され得る。
【0152】
別の実施形態では、ガルバーニ微粒子を、当該技術分野において既知の技術を用いて、組織工学及び臓器プリンティング(organ printing)のための生分解性スカフォールドに組み込むことができる。電気刺激は、生体細胞(例えば、幹細胞)の分化、増殖及び移動を刺激及び促進し、組織を増殖させ、修復し、及び再生し得ることが既知である。最近の出版物は、組織工学における電気の使用を記載し(Part et al.,「Electrical stimulation and extra−cellular matrix remodeling of C2C12 cells cultured on collagen scaffolds」,J.Tissue Engineering and Regenerative Medicine 2(5)2008,pages 279〜287)、米国特許出願番号第2005/0112759 A1号は、インビトロ及びインビボの機能的組織工学のための電気刺激の適用を開示する。これらの文献は参照としてその全体が組み込まれる。本発明のガルバーニ微粒子は、インビトロにおける及びより重要なことに生体外及びインビボにおける組織再生に関する工学における電気的信号を提供するために使用され得るがこれは、ガルバーニ微粒子が、患者内に埋め込まれる組織の足場物質に容易に組み込まれるか又は製造され得るためである。
【0153】
経皮的薬物送達パッチ
一実施形態では、ガルバーニ微粒子は、経皮的薬物送達パッチに組み込まれて、イオン導入により皮膚への活性剤の浸透を高め、電気刺激及び亜鉛イオンのような電気的に発生する有益なイオンにより皮膚の炎症を低減する。
【0154】
このような活性剤の例としては、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、及びDNAを含む核酸物質、及び栄養素が挙げられる。ポリペプチド及びタンパク質の活性剤の例としては、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、バソプレシン、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH又はLHRH)、メラノトロピン刺激ホルモン(MSH)、カルシトニン、成長ホルモン放出因子(GRF)、インスリン、エリスロポエチン(EPO)、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、オキシトシン、カプトプリル、ブラジキニン、アトリオペプチン、コレシストキニン、エンドルフィン、神経成長因子、メラノサイト抑制因子I、ガストリン拮抗物質、ソマトスタチン(somatotatin)、エンセファリン(encephalins)、メラトニン、ワクチン、ボトックス(ボツリヌス神経毒素)、シクロスポリン及びその誘導体(例えば、生物学的に活性である断片又は類似体)が挙げられる。他の活性剤としては、麻酔剤、鎮痛剤(例えば、フェンタニル、及びクエン酸フェンタニルのようなその塩類)、精神障害、てんかん、及び偏頭痛を治療するための薬物、薬物嗜癖及び乱用を止めるための薬物、抗炎症剤、高血圧、心臓血管疾患、胃液酸度及び潰瘍を治療するための薬物、ホルモン補充療法のための薬物、並びにエストロゲン及びアンドロゲンのような避妊薬、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤及び他の抗微生物剤、抗腫瘍剤、免疫抑制剤及び免疫刺激剤、並びに造血剤及び抗凝固薬を含む血液及び造血器官に作用する薬物、血栓溶解剤、及び抗血小板剤が挙げられる。このようなパッチを用いて体内に送達できる別の活性剤としては、インフルエンザ、エイズ、肝炎、麻疹、おたふくかぜ、風疹、狂犬病、アベルセラ(avercella)、破傷風、低ガンマグロブリン血症、Rh病、ジフテリア、ボツリヌス中毒、ヘビ咬傷、クロコゴケグモ(back widow)咬傷及び他の昆虫による咬傷/刺創、突発性血小板減少性紫斑病(ITP)、慢性リンパ性白血病、サイトメガロウイルス(CMV)感染、急性腎拒絶反応、経口ポリオ、結核、百日咳、ヘモフィルスb、肺炎球菌、並びに黄色ブドウ球菌のような、種々の疾患のためのワクチンが挙げられる。
【0155】
物質への組み込み
ガルバーニ微粒子を、繊維、不織布、ヒドロコロイド、接着剤、フィルム、ポリマー、及び他の基材上に組み込むことができる。製品としては、デンタルフロス、歯ブラシ、生理用ナプキン、タンポン、包帯、創傷ドレッシング、ギプス包帯、ヘアブラシ、及び衣類が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、ガルバーニ微粒子は組織の境界面に接触している。基材へのガルバーニ微粒子の適用方法としては、スプレーコーティング、機械的篩い分け、共押出成形、接着剤噴霧が挙げられる。
【0156】
ガルバーニ微粒子はまた、医療移植片又は手術具(例えば、感染予防を補助するための)上にコーティングしてもよい。
【0157】
性能改善のための、ガルバーニ微粒子上へのスルフヒドリル化合物コーティング
本発明の一実施形態は、少なくとも1つのスルフヒドリル(SH)官能基を有する化合物を含むコーティングを含むガルバーニ微粒子を提供する。スルフヒドリル基は、化合物を、ガルバーニ微粒子の表面に結合させ、これは様々な有益な効果を提供する。利点としては(a)ガルバーニ電気の生成を調節すること(b)ガルバーニ微粒子の組織生体適合性を向上させること(c)ガルバーニ微粒子の安定性を改善すること(d)意図される生物学的効果のために、スルフヒドリル化合物との共有結合等の化学結合によって他の化学的及び生化学的部分をガルバーニ微粒子表面上のコーティングに取り付けることを可能にすることが挙げられるが、これらに限定されない。
【0158】
用語「スルフヒドリル化合物」は、(a)本発明のガルバーニ微粒子の金属表面と反応することができる、1つ以上のスルフヒドリル官能基を有するチオ化合物及び(b)チオ含有アミノ酸及びこれらの誘導体を含む。
【0159】
ガルバーニ微粒子の表面と反応することができる1つ以上のスルフヒドリル官能基を有するチオ化合物としては、チオグリコール酸及びその塩、例えば、カルシウム、ナトリウム、ストロンチウム、カリウム、アンモニウム、リチウム、マグネシウム及び他の金属塩のグリコール酸塩、チオエチレングリコール、チオグリセロール、チオエタノール加えてチオアクト酸、チオサリチル酸並びにこれらの塩が挙げられるがこれらに限定されない。
【0160】
チオ含有アミノ酸及びこれらの誘導体は、L−システイン、D−システイン、DL−システイン、N−アセチル−L−システイン、DL−ホモシステイン、L−システインメチルエステル、L−システインエチルエステル、N−カルバモイルシステイン、グルタチオン及びシステアミンからなる群から選択され得る。
【0161】
ガルバーニ微粒子と反応することができる、1つ以上のスルフヒドリル官能基を有する好ましいチオ化合物は、チオグリコール酸のカルシウム及びナトリウム塩である。
【0162】
好ましいチオ含有アミノ酸及びこれらの誘導体は、L−システイン及びN−アセチル−L−システインである。
【0163】
一般的にガルバーニ微粒子の金属表面と反応することができるスルフヒドリル官能基を含むいずれかの化合物は、本発明のガルバーニ微粒子上のスルフヒドリルコーティングを生成するために使用され得る。
【0164】
本発明の一実施形態は、スルフヒドリル含有アミノ酸又はその誘導体、製薬上許容できる塩若しくはそのエステル又はその立体異性体を利用する。このような化合物は式(I)、薬剤として許容され得る塩又はそのエステル及びその立体異性体によって表され得る:
【化1】
式中、
RはH、CONHCH2COOH、NH2又はCOOR2であり、R2はH又はC1〜4アルキルであり、
R1はH、COCH3、CONH2又はCO(CH2)mCH(NH2)(COOH)であり、mは1又は2であり、
nは1〜4の値を有する数である。
【0165】
式(I)の化合物の代表的な例としては、以下の表に示されるものが挙げられる。
【0166】
スルフヒドリル化合物の非限定的な例の表
システイン(1−システイン、d−システイン、d1−システイン)
N−アセチル−1−システイン
dl−ホモシステイン
1−システインメチルエステル(メチルシステイン)
1−システインエチルエステル(エチルシステイン)
N−カルバモイルシステイン
グルタチオン
システアミン
【0167】
本発明における用途のための好ましい化合物は、システイン、グルタチオン及びN−アセチル−1−システインである。
【0168】
ガルバーニ微粒子にスルフヒドリル化合物をコーティングする方法
本発明による、スルフヒドリル化合物でコーティングしたガルバーニ微粒子を調製するための非限定的な手順:
(a)極性溶媒又は混合極性溶媒でしかるべき濃度のスルフヒドリル化合物の溶液を調製する
(b)混合しながら、しかるべき量のガルバーニ微粒子をスルフヒドリル化合物溶液に加える
(c)コーティング反応を完了させるのに十分な時間放置する
(d)コーティングされたガルバーニ微粒子を濾過処理によって溶液から分離する
(e)コーティングされたガルバーニ微粒子を乾燥させる
【0169】
本発明の極性溶媒としては、水、エチルアルコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールが上げられるがこれらに限定されない。コーティングプロセスのための溶液中のスルフヒドリル化合物の好適な濃度は、約0.1重量%〜約90重量%又は所定の溶質及び溶媒組成物の溶解度までの範囲の濃度である。コーティングプロセスのために使用されるガルバーニ微粒子の量は、反応装置、つまり完全な混合を達成する能力及び所定の反応に使用されるスルフヒドリル化合物の量によって決定される。コーティング反応時間は、所定の反応のコーティング速度によって、周囲温度において数分から数時間まで変動し得る。必要であれば、遅いコーティング速度を加速させるために高温が使用され得る。
【0170】
ガルバーニ微粒子上のスルフヒドリル化合物コーティングの有用性
実施形態において、スルフヒドリル含有アミノ酸又はこれらの誘導体及びその類似体が、制御された方法でガルバーニ微粒子の表面上を部分的に又は完全にコーティングするために十分な量で利用され、ガルバーニ電気の生成を調節し、ガルバーニ微粒子の化学的安定性を改善する。特に、コーティングを形成するために、スルフヒドリル含有アミノ酸及びその誘導体(例えば、L−システイン、グルタチオン及びN−アセチルL−システイン)が使用される場合、コーティングはまた、ガルバーニ微粒子と生物学的細胞及び組織の適合性を促進するための中間層として機能する。このようなコーティングの別の重要な有用性は、意図される生物学的効果のために、スルフヒドリル化合物との架橋結合等の化学結合(例えば、アミノ酸又はアミノ酸誘導体のカルボキシル基上のエステル結合)により、ガルバーニ微粒子表面への他の化学的及び生化学的部分の取り付けを可能にすることである。このような取り付け手段の使用の1つの非限定的な例は、ガルバーニ微粒子の表面上に固定化されたスルフヒドリル化合物への、架橋結合を介した別の化合物(例えば、薬物又は活性剤)を取り付けて、表面に取り付けたプロドラッグを形成することである。人体への適用の際(例えば、経口、注射、埋め込み又は外科的手段による)、エステラーゼがエステル結合を開裂して、ガルバーニ微粒子に近接する薬物を放出し、ガルバーニ微粒子の生物学的作用と共にそれ自体の薬理作用を発揮させて、相乗効果を得る。別の化合物(すなわち、第2化合物)の、スルフヒドリル化合物への結合部位は、第2化合物の多くの官能基であり得、かつ結合が身体環境の適用部位において開裂され得る限りにおいて、あらゆる種類の結合であり得る(すなわち、エステル結合のみに限定されない)。プロドラッグ手法は、医薬品化学のプロドラッグ設計及び合成の分野において既知である。別の実施形態において、第2化合物は、診断目的で使用するために、薬物又は活性剤ではなく診断用薬剤又はマーカーであってもよい。
【0171】
美容金属としてのガルバーニ微粒子フレーク
効果顔料
本発明の一実施形態において、前述のガルバーニ微粒子は、生物学的作用に加えて魅力的な外観の両方を提供するための、金属性効果顔料(例えば色付きの化粧品に使用される金属性材料等)の形態である。金属性効果顔料は、美容組成物において幅広く使用され、これは通常、アルミニウム、銅又は銅−亜鉛合金から選択されることが多い基本金属フレークで製造される。用語「金属性効果顔料」は、主に平坦な形状の、配向された金属性の又は高度に光屈折性の粒子において方向付けられた反射を有する、金属性顔料を表すものとして使用される。これらは常に、板状又はフレーク状の形状であり、染料と比較して非常に大きな粒径を有する。これらの光学的特性は、反射及び干渉によって決定される。透明性、吸収性、厚さ、単層又は多相構成によって、特殊効果顔料は、金属性光沢、真珠光沢、干渉又は干渉反射を呈する。金属性アルミニウムフレークの銀色系の色は、有機ポリマー、シリケート又はシリカ等の結合剤系を用い、金属酸化物(例えば酸化鉄、酸化銅、これらの混合又は他の金属酸化物)の細かい粒子によりベース金属表面を部分的にコーティングすることで、多くの色に変えることができる。金属性効果顔料上の部分的なコーティングは、(a)魅力的な色又は審美的な金属性光沢、強度を低減しそれによって持続性を増加させるためのガルバーニ電気の生成の制御方法、及び(c)その金属性光沢を維持するためのベース金属フレークの酸化防止を、提供する。色付き美容効果顔料の製造方法は、米国特許番号第5,931,996号に記載され、本明細書において参照としてその全体を組み込まれる。
【0172】
本発明の一実施形態は、ヒト等の動物の身体に対する有益な生物学的な効果のため、不完全な色又は無色のコーティングを有する又は有さない、フレーク状のガルバーニ微粒子の形態の、金属性効果顔料の美容光学特性を有するガルバーニ微粒子を使用するための組成物及び方法を開示する。このようなガルバーニ金属性効果顔料は、ユーザーに、ガルバーニ微粒子からの電気刺激及び電気化学媒介による変化の利益だけでなく、金属性効果顔料の光学特性の魅力的な審美的外観をも同時的に提供する美容用途のために特に有用である。
【0173】
ヒト隔膜及び隣接する組織(皮膚、粘膜、毛髪、創傷、唇、歯等)における局所適用のためのガルバーニ金属性効果顔料の使用の利点としては、(a)高い比表面積による、有益なガルバーニ作用の高い作用(b)広範な色の選択肢による金属性効果顔料の魅力的な外観(c)皮膚等の湿った隔膜への適用後に金属性の光沢のある外観からより光沢の少ない外観へと変化し、健康な皮膚の自然な外観に次第に馴染む能力が挙げられるが、これらに限定されない。
【0174】
本発明のガルバーニ金属性効果顔料を形成するために、第2導電性材料を第1導電性材料にコーティングするための好ましい製造方法は、金属性効果顔料業の分野において既知である、物理蒸着又は化学蒸着のいずれかの蒸着による。色付き美容効果顔料の製造方法は、米国特許番号第5,931,996号、同第5,964,936号、同第5,993,526号及び同第7,172,812号に記載され、本明細書において参照としてその全体を組み込まれる。
【0175】
ガルバーニ微粒子を含む吸収性充填剤組成物
本発明の一実施形態は、(a)持続的な効果のために内因性コラーゲン及びエラスチンの合成を刺激することにより、並びに(b)注射に対する炎症組織の望ましくない反応(例えば、疼痛、圧痛、浮腫及び紅斑)、及び感染可能性等の、充填剤注射手順に関連する複雑性を低減させることにより、皺用のコラーゲン注射充填剤等の、美容用の注射可能な充填剤の性能を向上させる方法を開示する。
【0176】
TK Hamilton,MDによる出版物(Skin Aurgumetnation and correction:the new generation of dermal fillers−a dermatologist’s experience,Clinics in Dermatology,2009:27,S13〜S22)によると、顔に中程度に刻まれた〜深く刻まれた皺及びひだのために注射可能な美容皮膚充填剤は、2つの群(a)真皮及び皮下空間の充填により軟組織容量欠損を復元するウシ及びヒトコラーゲン並びにヒアルロン酸等の置換用皮膚充填剤(持続期間:3〜12ヶ月)、及び(b)線維芽細胞活性、コラーゲン合成及び軟組織増殖の刺激により容積を置換するポリL乳酸(PLLA)及びカルシウムヒドロキシアパタイト(CaHA)等の刺激性充填剤(持続期間:9〜24ヶ月)に分類され得る。米国では市販のコラーゲン及びヒアルロン酸(例えば、Ortho DematologicsによるEvolence及びAllerganによるZyderm、Zyplast、CosmoDerm & CosmoPlast)が、粘稠なゲル注射組成物として配合され、市販の注射可能なPLLA充填剤(DermikによるSulptra)が、凍結乾燥粉末として配合される(PLLA充填剤は、注射のために無菌水により再構成する必要がある)。置換用皮膚充填剤の欠点は、その短い持続時間であり、この充填剤は頻繁な処理を必要とし、一方で刺激用充填剤の欠点は副作用である。例えば、注射可能なPLLAと関連する有害事象としては、挫傷、浮腫及び炎症が挙げられる。加えて、充填剤注射に伴う疼痛があり、一般的に、疼痛管理のため注射組成物中にはリドカインが使用される。
【0177】
一実施形態は、注射前にこれらを充填剤組成物と混合して本発明のガルバーニ微粒子を同時投与することにより、これらの欠点を克服する。ガルバーニ微粒子の生物学的効果は、消炎、コラーゲン及びエラスチンの合成の刺激、抗菌作用及び疼痛低減(実施例参照)を含むため、置換用注射充填剤にガルバーニ微粒子を添加することで持続時間を延ばすことができ、刺激用注射充填剤に添加することで、炎症、浮腫、挫傷及び疼痛等の副作用を低減させることができる。充填剤の適用のための、好ましいガルバーニ微粒子は、人体にとって不可欠なミネラルとなり得る金属、例えば、アノード材料としての亜鉛及びマグネシウム(第1導電性金属)並びに銅及び鉄(第2導電性金属)から作製されるものであり、例えば、Zn−Cu製、Mg−Cu製、Mg−Fe製のガルバーニ微粒子等である。同じ優先傾向が、次節に記載される、以下の経口用途についても妥当する。
【0178】
ガルバーニ微粒子組成物を使用する、肥満管理及び体重調整のための経口治療
肥満は世界中で3億人が関連するものと推定される、世界的な問題である。これは米国の人々にとって特に深刻な病気であり、米国内においておよそ6000万人に影響が及んでおり、特に女性に影響している。20〜74歳の女性の1/3超が肥満である。更により多くの人々が現在では過体重であり、臨床的定義における肥満に次第に近付いている。肥満の治療のために、電気刺激が提唱されてきた。Y.Sun及びJ.Chenによる出版物は、脂肪吸収の減少に対する電気刺激の影響を実証した(「Intestinal electrical stimulation decreases fat absorption in rats:therapeutic potential for obesity」,Obesity Research,Vol.12,No.8,Aug.2004,pages 1235〜1242)。米国特許番号第7,177,693号は、肥満を治療するための、埋め込み可能な胃内電気刺激装置を開示する。外科用インプラント電気刺激装置に関連する、巨額の費用及び潜在的に深刻な複雑性、加えて肥満及び体重の問題に関わる人口の病気の規模を考慮すれば、非外科的手法が明らかに治療方法として好ましい。
【0179】
本発明の一実施形態は、体重調整及び肥満治療のために、経口ガルバーニ微粒子組成物を使用した、ヒト等の動物の胃腸(GI)管への電気刺激を提供する方法を開示する。経口ガルバーニ微粒子組成物はガルバーニ作用の後に製薬上及び栄養的に許容できるミネラルイオンとなる金属性組成物から作製されるガルバーニ微粒子並びに放出が制御された経口剤形を含み、この経口剤形はガルバーニ微粒子の時期尚早な分解を防ぎ、ガルバーニ微粒子が胃腸管内の標的部位(例えば、脂肪吸収を低減するために小腸又は空腸等の特定の標的部位)において活性化されることを可能にする。
【0180】
胃腸管電気刺激のためにガルバーニ微粒子を使用することの利点としては(a)外科的に埋め込まれた電気刺激装置(例えば、前述の胃ペーシング装置及び腸ペーシング装置)を必要とせずに胃腸管内の標的部位に電気刺激を提供し、あらゆる手術に伴う危険性、費用及び手術後の複雑性を排除すること、(b)電気刺激作用が胃腸管内の標的部位に限定され、ガルバーニ電気刺激の副生成物が毎日の食生活に既に含まれている不可欠なミネラル及び栄養サプリメントであることによる良好な安全性、(c)外科用インプラントの選択と比較した場合の著しい費用の削減、(d)適用の便利さ及び必要に応じた治療の中断の容易さが挙げられるが、これらに限定されない。
【0181】
本発明の一実施形態は、ガルバーニ微粒子を、医薬産業及び口内医薬製品の分野において既知の、典型的に経口薬物投与のための経口剤形、例えば、ハードゼラチンカプセル、ソフトゼラチンカプセル及び錠剤等に配合する。摂取の際に、ガルバーニ微粒子を含むこのような経口剤形は、ガルバーニ微粒子を胃腸管に供給し、ガルバーニ電気刺激を提供し得る。標的刺激部位により、経口剤形は、胃電気刺激のための速い放出(例えば、速く放出するか又は急速に崩壊する錠剤)のために設計され得るか又は腸溶ポリマーでコーティングされるか又はその中にうめこまれ得(オイドラギットS、オイドラギットRポリマー)、これらのポリマーは酸性の胃液内で不溶性及び水透過性であり、ガルバーニ微粒子を保護して非活性状態に維持するが、小腸内で中性pHに近付くと、容易に溶解して、電気刺激作用のためにガルバーニ微粒子を放出する。
【0182】
最近の出版物は、肥満のヒト及びネズミの腸内細菌が、肥満でない個体におけるものと異なることから、腸内に見られる細菌の種類と、体重の調整との間の潜在的な関係を調査している(「Obesity and gut flora」by M.Bajzer and R.J.Seeley,Nature,Vol.444,21/28 Dec.2008,page 1009〜1010)。肥満体に存在する細菌種は、食物をより効率的に分解し、それによって宿主がより多くのカロリーを吸収するのを助けるものと推測されている。本発明のガルバーニ微粒子は、抗菌作用を実証しており、腸内の細菌量を制御するために使用され得るため、したがって腸の電気刺激を提供することに加えてカロリーの摂取を低減することを助けることができる。本発明の一実施形態は、肥満又は過体重を治療する又は防ぐために、製薬上又は栄養上許容できる経口剤形の製品又は組成物の各経口投与により、腸内細菌量を低減する。
【0183】
本発明を以下の非限定的な実施例により以下に説明する。
【実施例】
【0184】
実施例1−置換化学に基づくガルバーニ微粒子の調製(コーティング形成方法)
亜鉛粉末上に銅を無電解めっきすることにより、0.1%の銅でコーティングされた亜鉛ガルバーニ微粒子を製造した。10gの≦45マイクロメートルの亜鉛粉末を、0.22マイクロメートルのフィルタを用いて真空フィルタブフナー漏斗上に均一に広げた。次いで、酢酸銅溶液5gをこの亜鉛粉末上に均等に注ぎ、約30秒間反応させた。次いで、濾液が完全に吸い上げられるまで、フィルタを吸引した。次いで吸引をやめ、得られる粉末ケーキに10gの脱イオン水を添加し、次いで吸引した。次いで、吸引力下で10gのエタノールを粉末に添加した。次いで、粉末を注意深くフィルタシステムから取り除き、デシケータ内で乾燥させた。
【0185】
実施例2−ヒト皮膚外移植モデルにおけるエラスチン及びコラーゲン遺伝子発現
皮膚の老化は、コラーゲン及びエラスチン合成の減少並びにコラーゲン及びエラスチン繊維の分解の増加に関連する。したがって、これらの合成を向上するか又はその分解を防ぐことができる薬剤は、皮膚の老化の防止又は低減のために有益であり得る。弾性繊維形成及びコラーゲン合成を向上することができる製品は、皮膚の老化防止だけではなくまた、いくつか挙げるとすれば、女性健康の領域(FSE、失禁、器官の脱出等)、創傷治癒、口腔の健康の改善及び痔の発生の低減又は防止等多くの消費者利益を提供する可能性を有する。
【0186】
驚くべきことに、Zn−Cuガルバーニ微粒子の原型は、ヒト皮膚外移植モデルにおける、生体外のエラスチン及びコラーゲン発現を効果的に促進することができることが見出された。ブタの皮膚の真皮内における、エラスチン繊維の数及び厚さの増加及び新しく形成されたコラーゲンの存在がまた、プロトタイプのZn−Cuガルバーニ微粒子による治療の後に組織学的に観察された。この増加は、皮膚構造、弾性及び弾力性の改善と関連し、かつ皮膚の老化を防ぎ、治すために使用され得る。
【0187】
皮膚外移植モデルは、美容整形手術を受ける健康な者の腹部皮膚から、了解を得た上で得られたヒトの皮膚を使用して形成された。US HIPAA規則に従い、機密情報を保持するために患者の身元は開示されなかった。パンチ生検(12mm)が、増殖因子のカクテルを添加したDMEM/F12基本培地内に維持された。
【0188】
皮膚外移植片は、培地中で1日間培養され、その後、実施例1にしたがって作製された、新しく調製された0.1% CuコーティングZnガルバーニ微粒子の1%の水中懸濁液15μlで、1日1回局所処置された。皮膚のサンプルは、培養の5日目及び7日目に回収された。回収されたサンプルは、ヒストロジーH&E、ルナエラスチン染色か、又はエラスチン及びコラーゲンIVのmRNAレベルについてのRNA分析のいずれかで処理された。組織学的な染色切片の画像が、ImagePro Plus 5.1(Mediacybernetics,Silver Spring,MD)によって得られた。抽出されたRNAに関してリアルタイムPCRが行われた。
【0189】
結果を表1に示す。
【表1】
【0190】
表1のデータは、Zn−Cuガルバーニ微粒子が、特にDE接合部と垂直な真皮乳頭層内のエラスチン繊維の量を増加させ、エラスチン及びコラーゲンIVの両方のmRNAレベルを増加させたことを示している。加えて、H&E染色は、Zn−Cuガルバーニ微粒子によって組織の損傷又は構造的変化が誘発されなかったことを示した(H&E染色)。
【0191】
実施例3−プロトタイプのZn−Cuガルバーニ微粒子での治療の後の、組織学的分析による、ブタの皮膚中のコラーゲン及びエラスチン繊維網状組織の向上
褐色のYucatan Microブタが、Charles River(Portland,ME)から得られ、12時間の照明と12時間の消灯の光周期の、環境を制御された室内で、適切な大きさの単一のケージに収容され、1日につき600gの標準的なブタ用飼料と、無制限の水を供給された。動物の世話は、「Guide for the Care and Use of Laboratory Animals」,NIH Publication No.85〜23に基づいた。動物は、標準的な入れ墨手順によって局所的領域を画定する前に1週間ほど慣らされ、研究の開始前に更に1週間ほど回復させた。
【0192】
局所薬(各側部の1部位につき200μl)が、1日2回、週に5日で、8週間にわたり、入れ墨をした部位に適用された(およそ5時間の間隔)。ブタの皮膚が濡れたペーパータオルで拭かれ、過度に乾燥した皮膚を排除され、処理前に乾燥された。処理剤は、実施例1に従って作製した0.1% CuコーティングZnガルバーニ微粒子を、水中1%及び5%の懸濁液として含んだ。水のみの処理剤を対照とした。処理部位の位置は、各ブタの両側において無作為化した。
【0193】
局所的処理の開始から8週間後、最後の処理の24時間後に、ペントバルビタールナトリウム系薬物の静脈注射によりブタを人道的に安楽死させた。皮膚パンチ生検(8mm)が全ての処理部位から回収され、10%中性ホルマリンで固定された。ブタ皮膚サンプルのパラフィン切片が、新しいコラーゲン産生(プロコラーゲン染色)、エラスチン繊維(食用黄色4号対比染色を有するルナエラスチン)について組織学的に分析された。驚くべきことに、対照との比較において、Zn−Cuガルバーニ微粒子で処理したブタ皮膚中において、DE接合部と垂直な真皮乳頭層中に増量したエラスチン繊維が、加えて網状真皮中により厚く増加した繊維の存在が観察された。プロコラーゲン染色は、成熟コラーゲン(赤色染色)を含む対照と比較して、Zn−Cuガルバーニ微粒子で処理した皮膚中の真皮全体にわたり、新しく形成された/新しいコラーゲン(青色染色)が存在したことを確認した。
【0194】
実施例4−再構築された表皮上におけるUV誘発性炎症促進性伝達物質の放出に対する抗炎症作用
以下の実施例は、皺の処理のための市販のコラーゲン充填注射と混合した際の、ガルバーニ微粒子のインビトロの抗炎症作用を示した。
【0195】
ガルバーニ微粒子を含む、コラーゲン系の真皮充填剤の効果が、ヒト表皮同等物における抗炎症作用について評価された。表皮同等物(EPI 200 HCF)(正常ヒト表皮ケラチノサイトからなる多層で分化した表皮)は、MatTek(Ashland,MA)から購入した。受領の際、表皮同等物を、ヒドロコルチゾンを含まない維持培地中で37℃にて24時間インキュベートした。ガルバーニ微粒子(実施例1に従って作製された0.1% CuコーティングZnガルバーニ微粒子)が、コラーゲン系真皮充填剤と混合され(OrthoDermatologicsから市販されるEvolence(登録商標))、1%のガルバーニ微粒子を含む真皮充填剤が生成された。1%のガルバーニ微粒子を含むコラーゲン系真皮充填剤単独又はコラーゲン系真皮充填剤単独が、それぞれ太陽紫外線光(1mm Schott WG 320フィルターを備えた1000W−Oriel太陽シュミレーター、360nmで測定した際に70kJ/m2の紫外線量を適用)への曝露の前に皮膚同等物に2時間適用された。同等物は維持培地を用いて37℃で24時間インキュベートされ、次いで市販のキット(Upstate Biotechnology,Charlottesville,VA)を用いて、IL−1aサイトカイン放出について上清を分析された。
【0196】
結果を表2に示す。
【表2】
**は、有意差P<0.05に設定したステューデントのt検定を使用し、UV+コラーゲン系真皮充填剤単独の場合からの有意差を示す。
【0197】
1%ガルバーニ微粒子を含むコラーゲン系真皮充填剤は、UV刺激による炎症メディエーターの放出を有意に低減することができた。したがって、ガルバーニ微粒子を含むコラーゲン系真皮充填剤は、有効な抗炎症利益を提供するものと予測される。
【0198】
実施例5−ガルバーニ微粒子の経口投与が鎮痛効果を生じた
疼痛とは「実際の又は潜在的な組織損傷と関連するか、又はそのような損傷の点から説明される、不快感及び感覚的経験」として定義される(International Association for the Study of Pain(IASP))。疼痛は、不快なものから消耗性のものまでの範囲に及び得る。疼痛は関節痛等の疾患状態中に生じる場合があり、あるいは外科手術の結果として、例えば注射若しくは切開の後、又はレーザー治療の後に生じる場合がある。鎮痛剤は疼痛を軽減することができるが、これらの使用は多くの副作用を伴う。例えば、アスピリンは、胃腸の損傷を生じる場合があり、オピオイド化合物は、中毒から呼吸機能の低下までに及ぶ状態を含み得る。したがって、疼痛を治療するために新しい鎮痛剤に対する必要性が存在する。
【0199】
この実施例において、実施例1のプロセスによって生じるガルバーニ微粒子が、鎮痛作用に関して評価された。このモデルにおいて有効性を示すものとして知られる、アスピリン(非ステロイド性鎮痛剤)が、基準化合物として含まれた。24±2gの体重のアルビノ雄CD−1マウスが研究に使用された。ガルバーニ微粒子又はアスピリンが脱イオン水(DI水)で調製され、酢酸の注射の1時間前に、100mg/kgの濃度でマウスに経口投与された。20mg/kg(0.5%)酢酸溶液が腹腔内に注射され、酢酸が誘発する苦悶数が、処理剤群を知らされていない観察者によって数えられた。苦悶数の50%の減少は、鎮痛作用を示した。
【表3】
**=P<0.05(ステューデントのt検定を使用した溶媒と比較)
【0200】
ガルバーニ微粒子は、鎮痛薬剤と匹敵する疼痛モデルにおける鎮痛作用を生じた。
【0201】
実施例6−インビトロ検査を使用した、ガルバーニ微粒子抗菌作用の実証
試験材料
粉末サンプル
−実施例1のプロセスに従って作製された銅コーティング亜鉛微粒子
0.1%銅(Cu)コーティング亜鉛(Zn)
0.01%銅(Cu)コーティング亜鉛(Zn)
−Zn粉末
−Cu粉末
【0202】
試験微生物
−Aspergillus niger American Type Culture Collection(ATCC)16404 Quanti−Cult Plus,Chrisope Technologies,A Division of Remel Inc.,Product # 47−11100
−Campylobacter jejuni subsp.jejuni ATCC 33291,Culti−loops,Remel Inc.,Product # R4601400
−Candida albicans ATCC 10231,Quanti−Cult Plus,Chrisope Technologies,A Division of Remel Inc.,Product # 47−11503
−Clostridium difficile ATCC 43594,凍結乾燥分離,ATCC
−Enterococcus faecium ATCC 700021(vancomycin resistant[VRE]),(Ethicon Microbiology Groupから供給)
−Escherichia coli ATCC 8739,Quanti−Cult Plus,Chrisope Technologies,A Division of Remel Inc.,Product # 47−17085
−Haemophilus influenzae ATCC 49247,Culti−loops,Remel Inc.,Product # R4603830
−Listeria monocytogenes ATCC 7644,Culti−loops,Remel Inc.,Product # R4603970
−Moraxella catarrhalis ATCC 8176,Culti−loops,Remel Inc.,Product # R4601228
−Propionibacterium acnes ATCC 6919,Culti−loops,Remel Inc.,Product # R4607101
−Pseudomonas aeruginosa ATCC 27853,Culti−loops,Remel Inc.,Product # R4607060
−Salmonella enterica serovar Typhimurium ATCC 14028,Culti−loops,Remel Inc.,Product # R4606000
−Staphylococcus aureus ATCC 33593(methicillin resistant[MRSA]),(Ethicon Microbiology Groupから供給)
−Streptococcus pneumoniae ATCC 49619,Culti−loops,Remel Inc.,Product # R4609015
−Streptococcus pyogenes ATCC 19615 Group A,Culti−loops,Remel Inc.,Product # R4607000
−Trichophyton mentagrophytes ATCC 9533,Culti−loops,Remel Inc.,Product # R4608300
−BacT/ALERT iAST−40mL supplemented tryptic soy broth(TSB),standard aerobic bottle,Product # 259786
−BacT/ALERT iNST−40mL supplemented TSB,standard anaerobic bottle,Product # 259785
−BacT/ALERT MB−29mL supplemented Middlebrook 7H9 broth,Product # 251011,with 1−mL MB/BacT enrichment fluid,Product # 259877,(血液サンプルからのマイコバクテリア培養のため)
【0203】
試験装置
・BacT/ALERT Microbial Detection System,Model 240,Serial # 001BT2893
・生物学用安全キャビネット
・33℃に設定されたインキュベータ
【0204】
試験微生物培養調製
Quanti−Cult Plusサンプルが製造元の取扱説明書に従って懸濁され、適切なBacT/ALERTサンプルボトルに注射された。殆どのCulti−Loopサンプルが、個別の1.5mL無菌ポリプロピレンねじキャップ式チューブ内に無菌で挿入され、その後およそ1mLの無菌TSBに溶解された。1mLサンプルアリコートが適切なBacT/ALERTサンプルボトルに注射された。サンプルボトルはその後、定常期培養物を得るまで、BacT/ALERTシステム内でインキュベートされた。MRSA及びVREの定常期培養物は、Ethicon Microbiology Groupにより快く提供された。BacT/ALERTのインキュベーション温度は、試験微生物の最適な成長要件によって、33〜37℃まで変化した。
【0205】
トリコフィトン・メンタグロファイテスを培養するため、Culti−Loopは、TSAプレートの表面上へと直接、画線され、プレート表面上に菌糸成長を生じるまで、33℃で3〜7日間インキュベートされた。
【0206】
プロピオニバクテリウム・アクネス、クロストリジウム・ディフィシレ、カンピロバクター・ジェジュニ及びヘモフイルス・インフルエンザ(嫌気性BacT/ALERT iNSTボトルを使用した)を除き、試験微生物の殆どが好気性BacT/ALERT iASTボトルを使用して培養された。カンピロバクター・ジェジュニ及びヘモフイルス・インフルエンザの増殖を最適化するため、5mLの羊の線維素除去血が追加され、8mLの無菌空気がボトルのヘッドスペースに注射されて、微好気性増殖条件が生成された。
【0207】
Zn−Cuガルバーニ微粒子、Zn粉末、及びCu粉末懸濁液
正確に0.4gのガルバーニ微粒子サンプルが、個別の1.5mLの無菌ねじキャップ式ポリプロピレンチューブに計り取られた。無菌20G針が使用され、指定のBacT/ALERTサンプルボトルからおよそ1mLの培地アリコートが3mL無菌シリンジへと吸い上げられた。このアリコートは、粉末サンプルを再懸濁するために使用され、その後40mLサンプルボトルに戻されて1%ガルバーニ微粒子懸濁液が得られた。この手順は、ガルバーニ微粒子が、BacT/ALERTサンプルボトルへと定量的に無菌で移されるまで、繰り返された。同じ手順を使用して、0.4gの亜鉛粉末及び0.04gの銅粉末を移し、1%及び0.1%の最終的な懸濁液をそれぞれ得て、プロセス対照として機能させた。
【0208】
試験微生物懸濁液
1mL無菌注射器及び20G針が使用され、0.5mLアリコートの定常期試験微生物培地が、1%のガルバーニ微粒子、1%の亜鉛粉末又は0.1%のCu粉末を含む指定のBacT/ALERTサンプルボトル内へと注射され、およそ1×106CFU/mLの標的濃度が得られた。実際の供給数は、融解したTSAを使用した混釈抹法で確認され、以下の表4に示された。プロピオニバクテリウム・アクネス及びカンジダ・アルビカンスに関し、1×102CFU/mLの追加的な濃度をまた試験して、ガルバーニ微粒子の抗菌効果が、これらの試験微生物に関して濃度に依存するかどうかを調査した。
【0209】
トリコフィトン・メンタグロファイテスの場合、およそ1cm2寒天小片が、表面菌糸を含むTSAプレートから無菌で切除されて、ガラスビーズ及び50mLの無菌の脱イオン水を含む、250mLの無菌振盪フラスコ内に移送された。振盪フラスコは、大部分が断片化した菌糸を含む、白濁した懸濁液が得られるまでボルテックスにかけられた。1mLの無菌注射器及び20C針が使用され、1mLのこの不透明な懸濁液が、1%ガルバーニ微粒子、1% Zn粉末又は0.1% Cu粉末を含む指定のBacT/ALERTサンプルボトルに注射された。上記のように実際の供給数が決定されて、以下の表4に示される。この試験微生物において、ガルバーニ微粒子抗菌効果に対する潜在性のある培地効果を調べるために、追加的な最少培地好気性BacT/ALERTサンプルボトル(BacT/ALERT MB)が含まれた。
【0210】
BACT/ALERT細菌分析
試験微生物及び粉末懸濁液を含む指定のBacT/ALERTサンプルボトルが、BacT/ALERTシステム内に装填され、これらは連続的に撹拌されて、増殖を自動的にモニタリングされた。BacT/ALERTインキュベーション温度は、試験微生物の最適な増殖要件によって、33〜37℃で変化した。インキュベーション時間は7日に設定され、この期間において増殖が検出されない場合は、増殖が陰性であるものとして標識された。各サンプルセットに関し、適切な陽性及び陰性のプロセス対照が含まれた。
【0211】
陰性サンプルボトルはその後、1mLアリコートを新しいBacT/ALERTサンプルボトルに注射することによって継代培養され、以下の表4に示されるように、ガルバーニ微粒子の殺菌性対静菌作用を決定することを助けた。1mLの継代培養したサンプルボトルの続く追加的な7日間のインキュベーションの後に微生物の増殖が検出された場合、ガルバーニ微粒子は指定の試験微生物に対して静菌性であるものと判定された。しかしながら、これらの陽性の継代培養サンプルに関して微生物の同定は行われなかったため、継代培養プロセス中に汚染菌が混入した可能性は、この準備的研究においては完全に排除できない。加えて、緑膿菌及び大腸菌の場合、静菌性の結果は、BacT/ALERTサンプルボトルに不注意により供給された1×107対1×106CFU/mLのより高い開始試験微生物細胞濃度の結果であり得る。
【0212】
結果と考察
代表的な標的特異的病原性試験微生物を接種した、TSB系BacT/ALERT培地サンプルボトル内に懸濁された1%ガルバーニ微粒子の抗菌作用が、以下に示される(表4)。この説明は潜在的な医学適用によってまとめられる。0.1% Cu粉末のみの対照は、試験微生物の増殖を抑制しなかった。アスタリスク(*)によって示される個所では、1%Zn粉末対照はやはり、試験微生物に対する静菌性又は殺菌性を見出された。抗菌効果及び証明された抗炎症性、創傷治癒並びに同様の特性に加え、銅/亜鉛ガルバーニ微粒子の関連する電流は、バイオフィルム及び病原性感染を生じる上で重要な病原微生物クオラムセンシング(QS)を抑制し、それによってガルバーニ微粒子の治療効果を向上させ得る。したがって、ガルバーニ微粒子が静菌性又は更に増殖に対して非抑制性であるものと見出された場合、以下の表4に示されるように、大腸炎の治療のためのクロストリジウム・ディフィシレの場合、バイオフィルム/感染性の抑制のために、治療効果は依然として存在し得る。加えて、大腸炎の潜在的な防止/治療のための、より低い密度のクロストリジウム・ディフィシレ(すなわち、1×102CFU/mL)に対する、ガルバーニ微粒子の潜在的な抗菌効果は、更なる研究なしには排除できない。
【0213】
これらの抗菌性の結果を生じるための試験目的のため、ガルバーニ微粒子の試験濃度は適宜1%に選択され、銅コーティング濃度は0.01%〜0.1%であったことに留意すべきである。最低0.1%試験濃度までの、0.1%銅コーティング亜鉛ガルバーニ微粒子の抗菌効果を示す、追加的なインビトロの研究が行われ(結果は示されない)、ここでZn粉末のみでは、増殖に対する抑制は示されなかった。Zn−Cuガルバーニ微粒子の抗菌作用を増加させるため、3つの要因:(1)ガルバーニ微粒子の濃度を増加させること、(2)ガルバーニ反応領域を増加させるために銅の含有量を増加させること、及び(3)亜鉛素粒子の粒径を低減させること等により、亜鉛特有の表面積を増加させること、を別個に又は同時に修正することによって、ガルバーニ電気の生成を増加させることができる。
【0214】
最新の文献は、治療効果を増加させ、抗生物質耐性微生物の形成を抑制するために、抗生物質補助剤として銅/亜鉛ガルバーニ微粒子適用の使用を支持する。最近公開された文献は、抗生物質の3つの主要な分類が、薬物標的相互作用にかかわらず、グラム陰性及びグラム陽性細菌の非常に有害なヒドロキシルラジカルの生成を刺激することを示す。ヒドロキシルラジカルの生成は最終的には細胞死を助長する。これは、ガルバーニ微粒子によって生成される活性酸素種(ROS)が、治療効果を増加させ、抗生物質耐性微生物の形成を低減させるために、標準的な抗生物質治療の補助材として機能し得ることを提示する。バイオフィルムの形成を抑制するためにQSと干渉するガルバーニ微粒子の電流の、直前に言及された可能性はまた、抗生物質補助剤としてガルバーニ微粒子を使用するために追加される利益として機能する。
【表4】
#0.01% CuコーティングZn;1×106CFU/mLプロピオニバクテリウム・アクネスに関して静菌性*、MRSAに関して殺菌性、VREの増殖に関して陽性。
【0215】
実施例7.融解亜鉛及び未融解銅粉末からの多相ガルバーニ微粒子調製
元素態銅及び元素態亜鉛の微粒子が、融解銅及び融解亜鉛の別個の噴霧化によって最初に形成された。1:1の重量比にて、銅及び亜鉛の微粒子が噴霧形成かつ微粒化され(420℃超のプロセス温度において)、融解亜鉛粒子が、銅微粒子と共に焼結することを可能にされた。Zn及びCuの凝集複合粒子が形成された。このプロセスは、アルゴンガス保護雰囲気下で行われた。得られる多相Zn−Cuガルバーニ微粒子は、1:1のZn:Cu重量比及び100メッシュ未満(すなわち、149マイクロメートルより小さい)粒径を有した。
【0216】
多相Zn−Cuガルバーニ微粒子のSEM画像は、2つの別個のランダムに分布した金属性領域(すなわち、その特徴的な色を有する銅及び亜鉛)からなるガルバーニ微粒子の表面を明確に示した。ガルバーニ微粒子の大部分は、100マイクロメートルより小さかった。Energy Dispersive X−Ray Spectroscopy(EDS)を使用した多相Zn−Cuガルバーニ微粒子の表面分析の結果が、表5に示される。サンプル1は、実施例1に従って作製されたZn−Cuガルバーニ微粒子であった。
【表5】
【0217】
銅による表面被覆率は、コーティングによって作製されたガルバーニ微粒子(実施例1)と、溶解/分散によって作製された多相ガルバーニ微粒子(実施例7)との間で異なった。一般的に、ガルバーニ微粒子作製のための溶解/分散方法と比較して、ガルバーニ微粒子作製のためのコーティング方法を用いると、より少量の第1導電性金属(すなわち、銅)でより大きな表面被覆率が達成され得る。しかしながら、内部のより均一な第1及び第2導電性材料分布のために、多相ガルバーニ微粒子に関し、これらの電気生成期間全てにわたり、電気生成のための比較的より一定のガルバーニ作用が予測される。これは、第2導電性材料が、第1導電性材料の表面上にコーティングされるのみである、コーティング方法を使用して作製されるガルバーニ微粒子と対照的である。
【0218】
実施例8.接触過敏症のマウスモデルにおける、局所的抗炎症作用
炎症反応に作用するための、多相亜鉛−銅ガルバーニ微粒子(実施例7に記載されるように作製)の局所的適用の能力が、インビボで免疫細胞により介在される皮膚炎症モデルを使用して、実施例1に従って作製されるZn−Cuガルバーニ微粒子と比較して示された。
【0219】
アルビノ雄CD−1マウス(7〜9週)の剃毛した腹部にアセトン/コーンオイル中のオキサゾロン3%、50μlを導入した(初日)。5日目、アセトン中の2%オキサゾロン20μlをマウスの左耳背側に適用した。70%エタノール/30%プロピレングリコール溶媒中へのオキサゾロン抗原投与の1時間後、多相Zn−Cuガルバーニ微粒子が左耳に適用された(20μl)。右耳は処理されなかった。マウスはオキサゾロン抗原投与の24時間後にCO2吸入により屠殺され、左耳及び右耳が切り取られ、各耳から7mmの生検が採取され計量された。右耳と左耳との間の生検重量の差を算出した。化合物の抗炎症効果が、耳の重量増加の抑制として明らかである。以下の結果が得られた。
【表6】
* %抑制=(溶媒処理生検重量−薬剤処理生検重量)/(溶媒処理生検重量)×100
【0220】
Zn−Cuガルバーニ微粒子及び多相Zn−Cuガルバーニ微粒子の局所適用は、両方ともコルチコステロイド(ヒドロコルチゾン)に匹敵する皮膚炎症のモデルにおいて抗炎症作用を示した。更に、Zn−Cuガルバーニ微粒子及び多相Zn−Cuガルバーニ微粒子は両方とも、ヒドロコルチゾンに匹敵する炎症緩和を生じた。
【0221】
実施例9.大腸菌に対する、ガルバーニ微粒子対金属粉末混合物の効果
実施例1のコーティング方法及び実施例7の溶解/分散方法によって製造されるガルバーニ微粒子の抗菌作用が、3つの比率(すなわち、1:1、2:1及び10:1のZn:Cu)の細かい元素態亜鉛及び銅粉末の、物理的混合物について比較して、インビトロで評価された。他の試験材料及び試験条件としては、トリプチカーゼ大豆寒天(TSA)、エシェリキア・コライ(E.coli株ATCC 8739)、37℃におけるインキュベーション時間=24時間が挙げられる。
【0222】
修正された抑制ゾーン試験が以下のように行われた。0.1gの金属粉末(ガルバーニ微粒子又は元素態亜鉛粉末若しくは元素態銅粉末)が混合されながら2mlの脱イオン水に分散され、その後8mlの溶解TSAに添加された(金属粒子の最終的な濃度=1%)。これらは混合され、ペトリ皿に注がれ、固化された。寒天からディスク(15mm直径)がパンチされ、TSA寒天プレート上の細菌のローン上に配置された。抑制ゾーンがその後、24時間のインキュベーション時間の後に測定された。結果を表7に示す。
【0223】
コーティング方法によるガルバーニ微粒子及び多相ガルバーニ微粒子の両方が試験条件下において、大腸菌に対して良好かつ、匹敵する抗菌作用を示した。1:1の比率の亜鉛粉末及び銅粉末の混合物は、多相ガルバーニ微粒子よりも、これが同一の金属組成を有するにもかかわらず、著しく弱い抗菌作用を示した。金属混合物のZn:Cu比が更に2:1まで増加されると、更に弱い抗菌作用が観察された。Zn:Cu比が10:1のとき、抗菌作用は検出され得なかった。これらの試験結果は、観察される抗菌作用におけるガルバーニ作用の重要性を示す。すなわち、ガルバーニ微粒子は、予備形成されたガルバーニ電気対として、亜鉛及び銅粉末の金属混合物よりも良好なガルバーニ抗菌作用を有した。
【表7】
【0224】
〔実施の態様〕
(1) 第1導電性材料を含む連続的な相内に分散される第2導電性材料を含む分散相を含む、多相ガルバーニ微粒子であって、前記第1導電性材料及び前記第2導電性材料の両方が、前記微粒子の表面上に露出し、前記微粒子の粒径は約1〜約500マイクロメートルであり、前記微粒子は約0.5〜約60重量%の前記分散相を含む、多相ガルバーニ微粒子。
(2) 前記分散相が約950℃を超える融点を有する、実施態様1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
(3) 前記第2導電性材料が、銅、銀、金、マンガン、鉄及びこれらの合金からなる群から選択される、実施態様1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
(4) 前記連続的な相が約750℃未満の融点を有する、実施態様1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
(5) 前記第1導電性材料が、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、及びこれらの合金からなる群から選択される、実施態様1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
(6) 導電性/抵抗性中間層を更に含む、実施態様1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
(7) 前記導電性/抵抗性中間層が、前記第1導電性材料又は前記第2導電性材料の酸化物又はハロゲン化物を含む、実施態様6に記載の多相ガルバーニ微粒子。
(8) 追加的な導電性材料を含む、少なくとも1つの追加的な分散相を更に含む、実施態様1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
(9) 前記第1導電性材料と前記第2導電性材料との標準電位における差が、少なくとも約0.2Vである、実施態様1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
(10) 第1導電性材料を含む連続的な相内に分散される第2導電性材料を含む分散相を含む、多相ガルバーニ微粒子を、ヒトの組織に適用することを含む、前記ヒトの組織を治療する方法であって、前記第1導電性材料及び前記第2導電性材料の両方が、前記微粒子の表面上に露出し、前記微粒子の粒径は約1〜約500マイクロメートルであり、前記微粒子は約0.5〜約60重量%の前記分散相を含む、方法。
【0225】
(11) 前記ヒトの組織の炎症を治療する、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記ヒトの組織の感染及び微生物を治療する、実施態様10に記載の方法。
(13) 前記ヒトの組織を再生のために治療する、実施態様10に記載の方法。
(14) 前記ヒトの組織の皺を治療する、実施態様10に記載の方法。
(15) 前記ヒトの組織を創傷治癒のために治療する、実施態様10に記載の方法。
(16) 前記ヒトの組織のにきびを治療する、実施態様10に記載の方法。
(17) 前記ヒトの組織の皮膚炎を治療する、実施態様10に記載の方法。
(18) 実施態様1の多相ガルバーニ微粒子を含む経口剤形。
【技術分野】
【0001】
本発明はガルバーニ微粒子に関連し、これらの製造方法及び処理における用途が記載される。ガルバーニ微粒子は、例えば、多相又は多相の導電性材料を含む、二元又は三元ガルバーニ微粒子であり得る。
【背景技術】
【0002】
ガルバーニ電気対をイオントフォレシスパッチ装置の電源として使用することは当該技術分野において既知であるが、電気刺激の電源としてはそれほど知られていない。典型的にガルバーニ電気対は、いくつかのガルバーニ電気対により駆動される皮膚パッチ装置内における、亜鉛ドナー電極及び銀/塩化銀対電極等の一対の異なる金属から作製される。これらの装置は多くの場合、電気刺激等の意図される利益を提供するために人体に適用され、創傷治癒を改善するか又は経皮的な薬物浸透を向上させる。粒子の形態の、ガルバーニ電気対によって駆動される別の種類の局所的システムは、米国特許番号第7,476,221号、同第7,479,133号、同第7,477,939号、同第7,476,222号及び同7,477,940号、米国特許出願番号第2005/0148996号及び同第US2007/0060862号並びにPCT公開番号第2009/045720号において、様々な有益な効果に関し開示される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は新規の形態のガルバーニ微粒子、これらの製造方法及び多くの新しい用途におけるガルバーニ微粒子の使用を提供し、これは、経口投与、注射及び外科用インプラント等の様々な投与方法による局所的な組織適用及び内部治療を含む、人体の治療方法を含む。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、第1導電性材料を含む連続的な相内に分散される第2導電性材料を含む分散相を含む、多相ガルバーニ微粒子を提供し、上記第1導電性材料及び上記第2導電性材料の両方が、上記微粒子の表面上に露出し、上記微粒子の粒径は約1〜約500マイクロメートルであり、上記微粒子は約0.5〜約60重量%の上記分散相を含む。
【0005】
本発明はまた、上記多相ガルバーニ微粒子の作製方法及びその用途、特にその局所適用のための用途を提供する。
【0006】
本発明はまた、第1導電性材料及び第2導電性材料を含む二元及び三元ガルバーニ微粒子に関連し、これはまた、追加的な導電性材料及び/若しくは基材並びに/又は導電性/抵抗性中間層を含み得る。
【0007】
本発明はまた、上記二元及び三元ガルバーニ微粒子の作製方法及びその用途、特にその局所適用のための用途を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1a】二元ガルバーニ微粒子100の斜視図。
【図1b】三元ガルバーニ微粒子150の斜視図。
【図2】導電性/抵抗性中間層を含む三元ガルバーニ微粒子200の断面図。
【図3】多孔性導電性/抵抗性中間層を含む三元ガルバーニ微粒子300の断面図。
【図4a】同心状に位置する第1導電性材料401及び第2導電性材料402を含む、円筒形400の二元ガルバーニ微粒子の斜視図。
【図4b】非導電性円筒形物質455の上にコーティングされる、同心状に位置する第1導電性材料451及び第2導電性材料452を含む、円筒形405の二元ガルバーニ微粒子の斜視図。
【図5a】同心状に位置する第1導電性材料501及び第2導電性材料502並びにそれらの間の追加的な導電性材料503を含む、円筒形500の三元ガルバーニ微粒子の斜視図。
【図5b】非導電性円筒形物質555の上にコーティングされる、同心状に位置する第1導電性材料551及び第2導電性材料552並びに追加的な導電性材料553を含む、円筒形550の三元ガルバーニ微粒子の斜視図。
【図6】連続的な相601内に分散され、表面上に露出する分散相602を含む、多相ガルバーニ微粒子600の断面図。
【図7a】2層構造を有する二元ガルバーニ微粒子700の断面図。
【図7b】第1導電性材料751の層、物質755及び第2導電性材料752の層を含む二元ガルバーニ微粒子750の断面図。
【図8】4層構造を有するガルバーニ微粒子800の断面図。
【図9】3層構造を有するガルバーニ微粒子900の断面図。
【図10a】2層構造を有するガルバーニ微粒子1000の断面図。
【図10b】3層構造を有するガルバーニ微粒子1050の断面図。
【図10c】4層構造を有するガルバーニ微粒子1070の断面図。
【図11】4層構造を有する結合ガルバーニ微粒子1110の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
当業者であれば、本明細書の記載に基づいて本発明を最大限利用できるであろう。以下の具体的な実施形態は、単なる例示として解釈すべきであり、いかなることがあっても以下の開示を限定するものではない。
【0010】
特段の記載がない限り、本明細書で用いられる全ての科学技術用語は、本発明が属する技術における通常の知識を有する者が共通に解釈するのと同じ意味を有する。更に、本明細書において言及する刊行物、特許出願、特許、及び他の引用文献は全て、これを援用するものである。特に指示しない限り、百分率は重量百分率(即ち、%(W/W))を指す。
【0011】
定義
「製品」は、完成パッケージ化形態で、ガルバーニ微粒子(又はガルバーニ微粒子を含有する組成物)を収容している製品を意味する。一実施形態では、製品は、ユーザに、(例えば、皮膚の症状を治療するために)ガルバーニ微粒子又は組成物の摂取、局所適用、又は他の方法での投与を指示する説明書を含む。このような説明書は、製品の外側上、ラベル挿入物、又は任意の追加包装上に印刷されもよい。
【0012】
1つの態様では、本発明は、意図する用途のために本発明のガルバーニ微粒子又はガルバーニ微粒子を含有する組成物を販売促進することを特徴とする。「販売促進」は、販売促進、宣伝、又はマーケティングを意味する。販売促進の例としては、製品上、若しくは販売店内、雑誌、新聞、ラジオ、テレビ、インターネット等における文書、視覚的メッセージ又は口頭のメッセージを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0013】
本明細書で使用するとき、「製薬上許容できる」は、この用語が説明する成分が、過度な毒性、不適合性、不安定性、炎症、アレルギーの反応等なく、意図する用途に対して好適である(例えば、摂取、又は皮膚若しくは粘膜との接触に好適である)ことを意味する。
【0014】
本明細書で使用するとき、「安全で有効な量」は、所望の水準で所望の効果をもたらすのに十分であるが、重篤な副作用を避けるのに十分少ない、成分又は組成物の量を意味する。成分又は組成物の安全で有効な量は、治療する領域、エンドユーザの年齢、治療の期間及び性質、用いられる特定の成分又は組成物、利用される具体的な製薬上許容される担体、及び同様の要因によって異なる。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「治療する」又は「治療」は、症状(例えば、皮膚、粘膜、又は爪の症状)の治療(例えば、病徴の緩和若しくは排除、及び/又は回復)及び/又は予防若しくは抑制を意味する。一実施形態では、ガルバーニ微粒子は、このような治療の必要な被験体(例えば、ヒト)に局所的に又は全身的に投与される。一実施形態では、ガルバーニ微粒子を用いて、脊椎動物(ヒトを含む哺乳類、鳥類、魚類、爬虫類、及び両生類)、昆虫、植物、微生物(例えば、細菌、真菌、及びウイルス)を含む生物に、その効果を及ぼす(すなわち、治療する、健康を改善する、回復させる、排除する及び/又は量を低減する)。
【0016】
ガルバーニ微粒子
本発明のガルバーニ微粒子は、第1導電性材料及び第2導電性材料を含み、第1導電性材料及び第2導電性材料の両方が微粒子の表面上に露出している。一般的に第1導電性材料は、第2導電性材料よりもより容易に酸化し、標準電位表においてより負の値を有する(例えば、亜鉛又はマグネシウム)材料又は金属であり、第2導電性材料は比較的より酸化しにくく(すなわちより還元しやすく又はより不活性である)、多くの場合、正の標準電位値を有する(例えば、銅又は銀)。鉄等のいくつかの材料は、中間的な標準電位値を有し、ガルバーニ電気対内の他の導電性材料の酸化容易性(又は不活性)によって、第1導電性材料又は第2導電性材料のいずれかとして使用され得る。
【0017】
ここで図1aを参照し、一実施形態においてガルバーニ微粒子100は第1導電性材料101を含み、この表面は、例えば第2導電性材料102で部分的にコーティングされ、第1及び第2導電性材料は、互いに直接接触する2つの異なる材料である。このようなガルバーニ微粒子は二元ガルバーニ微粒子の一例である。
【0018】
一実施形態において、ガルバーニ微粒子は1つ以上の追加的な導電性材料を含む。図1bは、追加的な導電性材料103を通じて互いに電気的に接触する第1導電性材料101及び第2導電性材料102を含む、層状ガルバーニ微粒子を表す。このようなガルバーニ微粒子は、以降三元ガルバーニ微粒子と称される。追加的な導電性材料は、水溶性環境において実質的に不活性であっても不活性でなくてもよく、一方で第1導電性材料及び第2導電性材料の少なくとも一方が水溶性環境において実質的に不活性でない。
【0019】
追加的な導電性材料は、第1導電性材料及び/又は第2導電性材料と同様の導電性を有し得る。あるいは、追加的な導電性材料は、ガルバーニ電気の生成を調節する(例えば、ガルバーニ電流を低減する)目的のために、第1導電性材料又は第2導電性材料のいずれよりも低い導電性を有し得る。この実施形態において、追加的な導電性材料が、第1導電性材料と第2導電性材料との間に導電性/抵抗性中間層を形成する。
【0020】
導電性/抵抗性中間層の存在は、これらの粒子が電解質と接触する際に、ガルバーニ微粒子の放電電流の制御を可能にする。導電性/抵抗性中間層のより高い抵抗性は、第1導電性材料と第2導電性材料との間のガルバーニ電流へのより高い抵抗のために、第1導電性材料及び第2導電性材料のより遅い電気化学反応を生じ、したがってガルバーニ微粒子のより遅い全体的反応を生じる。導電性/抵抗性中間層の性質(導電性)及び大きさ(厚さ)の両方が電流を制御するために調節され得る。したがって、ガルバーニ微粒子は、より長い及びより短い機能容量の範囲を有するように開発することができる。加えて、導電性/抵抗性中間層を使用する際、電気化学的により活性な材料を第1及び第2導電性材料として選択することができる。
【0021】
一実施形態において、異なる導電性/抵抗性中間層を有するガルバーニ微粒子の混合物が所望の比率で提供される。このような混合物は、持続性の一定の作用を提供する。任意により、混合物は、二元ガルバーニ微粒子及び三元ガルバーニ微粒子の両方を含み得る。
【0022】
一実施形態において、導電性/抵抗性中間層材料は、炭素、炭素系インク、非導電性結合剤及び導電性粒子又は充填材、例えば炭素粒子等の混合物を含む複合物、導電性グラファイト、金属粉末、導電性ポリマー、導電性接着剤、酸化亜鉛又は他の材料を含む。導電性/抵抗性中間層はまた、第1又は第2導電性材料の変性形態、例えば酸化物、ハロゲン化物若しくは他の塩、又は第1若しくは第2導電性材料の別の化合物であり得る。導電性/抵抗性中間層はまた、化成被覆、例えば、第1導電性材料又は第2導電性材料の境界面に形成されるリン酸化成被覆を含み得る。第1導電性材料と第2導電性材料との間の境界領域における、第1導電性材料又は第2導電性材料の表面の他の変性が、導電性/抵抗性中間層を作るために使用され得る。
【0023】
一実施形態において、導電性/抵抗性中間層材料は、導電性ポリマーを含む。一実施形態において、導電性/抵抗性中間層は、例えば、炭素、金属粉末又は同様の材料等の実質的に導電性充填材を充填された、実質的に非導電性のポリマー材料の複合物を含む。
【0024】
一実施形態において、導電性/抵抗性中間層の導電性は、ゴム等の典型的に電気絶縁体の導電性よりも高く、金属性導電体等の良好な導電体の導電性よりも低い。別の実施形態において、導電性/抵抗性中間層の導電性は、銅の導電性を特徴付けるおよそ5×107S/mを下回り、かつゴムの導電性を特徴付けるおよそ1×10−13S/mを上回る。
【0025】
一実施形態において、導電性/抵抗性中間層の導電性は、炭素の導電性を特徴付ける、およそ2.8*104S/mである。別の実施形態において、導電性/抵抗性中間層の導電性は、約1×104S/m〜約1×106S/mの範囲である。
【0026】
上記の導電性の値は全て、周囲温度における導電性である。
【0027】
第1導電性材料と第2導電性材料との間の導電性/抵抗性中間層の厚さは、およそ1ナノメートル〜およそ500マイクロメートルである。
【0028】
ここで図2を参照し、一実施形態において、導電性/抵抗性中間層203は、ガルバーニ微粒子200における第1導電性材料201及び第2導電性材料202を完全に分離している。
【0029】
別の実施形態において、導電性/抵抗性中間層は孔を含む。ここで図3を参照し、ガルバーニ微粒子300の第1導電性材料301及び第2導電性材料302は、孔304を含む導電性/抵抗性中間層303を通じて互いに接触する。導電性/抵抗性中間層は、例えば、ミクロ孔質又はナノ孔質の絶縁性若しくは半絶縁性若しくは半導電性材料、例えば、酸化物、塩又は第1導電性材料若しくは第2導電性材料の他の化合物、あるいはポリマー材料、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル又は同様のポリマーであり得る。このようなガルバーニ微粒子の非限定的な例は、その表面上に薄い酸化亜鉛が形成された金属性亜鉛粒子(第1導電性金属)であり、その上に金属性銅の部分的なコーティングが存在する。このような薄い酸化亜鉛中間層を有する亜鉛−銅微粒子は、酸化亜鉛被覆表面を形成するために酸化処理により事前処理された金属性亜鉛粉末上に、銅を物理蒸着することによって製造され得る。
【0030】
一実施形態では、ガルバーニ微粒子は、第2導電性材料の重量%が、微粒子の合計重量の約0.001重量%〜約20重量%、例えば、微粒子の合計重量の約0.01重量%〜約10重量%であるコーティング方法により生成される。一実施形態では、第2導電性材料のコーティング厚さは、1原子分から数百マイクロメートルまで変化してもよい。更に別の実施形態では、ガルバーニ微粒子の表面は、約0.001%〜約99.99%、例えば、約0.1〜約99.9%の第2導電性材料を含む。
【0031】
一実施形態では、ガルバーニ微粒子は、非コーティング方法により(例えば、第1及び第2導電性材料を共に焼結、溶解及び分散、印刷、又は機械的加工して、ガルバーニ微粒子を形成することにより)生成され、第2導電性材料は、微粒子の合計重量の約0.1重量%〜約99.9重量%、例えば、微粒子の合計重量の約0.1重量%〜約90重量%、又はいくつかの実施形態では0.5重量%〜約60重量%、好ましくは約0.5重量%〜約60重量%含まれる。
【0032】
一実施形態では、ガルバーニ微粒子は、保存時に半固体組成物に懸濁するのに十分な程細かい。更なる実施形態では、それらは扁平及び/又は細長い形状である。ガルバーニ微粒子の扁平及び細長い形状の利点としては、見かけ密度が低く、それ故、局所用組成物における浮遊/懸濁能がより良好になり、並びに生物組織をより良好に被覆し、生物組織(例えば、皮膚又は粘膜)を通過するガルバーニ電流の範囲をより広く及び/又はより深くすることが挙げられる。一実施形態では、ガルバーニ微粒子の最長寸法は、このような微粒子の最短寸法の少なくとも2倍(例えば、少なくとも5倍)である。
【0033】
ガルバーニ微粒子は、球形若しくは非球形、又は細長い若しくは扁平な形状(例えば、円筒形、繊維又はフレーク)が挙げられるがこれらに限定されない、任意の形状であってよい。一実施形態では、ガルバーニ微粒子の平均粒径は、約10ナノメートル〜約500マイクロメートル、例えば、約100ナノメートル〜約100マイクロメートルである。粒径とは、少なくとも一方向における最長寸法を意味する。
【0034】
一実施形態では、ガルバーニ微粒子は、ガルバーニ微粒子の生成にコーティング方法が用いられるとき、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%又は少なくとも99重量%の導電性材料(例えば、第1導電性材料及び第2導電性材料)を含む。
【0035】
一実施形態において、第1導電性材料は、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、これらの酸化物、これらのハロゲン化物及びこれらの合金からなる群から選択される。
【0036】
別の実施形態において、第2導電性材料は、銅、銀、金、マンガン、鉄及びこれらの合金からなる群から選択される。
【0037】
第1導電性材料及び第2導電性材料の組み合わせの例としては(「/」の記号は酸化されているが、本質的に非可溶性形態である金属を表す)、亜鉛−銅、亜鉛−銅/銅ハロゲン化物、亜鉛−銅/酸化銅、マグネシウム−銅、マグネシウム−銅/銅ハロゲン化物、亜鉛−銀、亜鉛−銀/酸化銀、亜鉛−銀/銀ハロゲン化物、亜鉛−銀/塩化銀、亜鉛−銀/臭化銀、亜鉛−銀/ヨウ化銀、亜鉛−銀/フッ化銀、亜鉛−金、亜鉛−炭素、マグネシウム−金、マグネシウム−銀、マグネシウム−銀/酸化銀、マグネシウム−銀/銀ハロゲン化物、マグネシウム−銀/塩化銀、マグネシウム−銀/臭化銀、マグネシウム−銀/ヨウ化銀、マグネシウム−銀/フッ化銀、マグネシウム−炭素、アルミニウム−銅、アルミニウム−金、アルミニウム−銀、アルミニウム−銀/酸化銀、アルミニウム−銀/銀ハロゲン化物、アルミニウム−銀/塩化銀、アルミニウム−銀/臭化銀、アルミニウム−銀/ヨウ化銀、アルミニウム−銀/フッ化銀、アルミニウム−炭素、銅−銀/銀ハロゲン化物、銅−銀/塩化銀、銅−銀/臭化銀、銅−銀/ヨウ化銀、銅−銀/フッ化銀、鉄−銅、鉄−銅/酸化銅、銅−炭素 鉄−銅/銅ハロゲン化物、鉄−銀、鉄−銀/酸化銀、鉄−銀/銀ハロゲン化物、鉄−銀/塩化銀、鉄−銀/臭化銀、鉄−銀/ヨウ化銀、鉄−銀/フッ化銀、鉄−金、鉄−導電性炭素、亜鉛−導電性炭素、銅−導電性炭素、マグネシウム−導電性炭素、及びアルミニウム−炭素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
第1導電性材料又は第2導電性材料、特に第1導電性材料は、合金であってもよい。合金の非限定的な例としては、第1導電性材料として亜鉛、鉄、アルミニウム、マグネシウム、銅、及びマンガンの合金、第2導電性材料として銀、銅、ステンレススチール及び金の合金が挙げられる。
【0039】
別の実施形態において、ガルバーニ微粒子は複数の導電性材料又は金属を含んでもよく、すなわち、2(二元)又は3(三元)を超える数であってもよい。このようなガルバーニ微粒子の非限定的な例は、多数のコーティング形態に、多相形態に、又は多数の導電性金属の複合物として、マグネシウム−亜鉛−鉄−銅−銀−金の組成物を有し得る。
【0040】
一実施形態では、ガルバーニ微粒子は、第2及び1つ以上の追加的な導電性材料等、いくつかの導電性材料によって部分的にコーティングされた第1導電性材料を含む。更なる実施形態では、微粒子は少なくとも95重量%の第1導電性材料、第2導電性材料、及び追加的導電性材料を含む。一実施形態では、第1導電性材料は亜鉛であり、第2導電性材料は銅であり、追加的導電性材料は銀である。
【0041】
一実施形態では、第1導電性材料と第2導電性材料の標準電極電位(又は簡単に標準電位)の差は、少なくとも約0.1ボルト、例えば、少なくとも0.2ボルトである。一実施形態では、ガルバーニ電気対を構成する材料は、約3ボルト以下の標準電極電位を有する。例えば、金属亜鉛及び銅を含むガルバーニ対では、亜鉛の標準電位は−0.763V(Zn/Zn2+)であり、銅の標準電位は+0.337(Cu/Cu2+)であるため、標準電位の差は、亜鉛−銅ガルバーニ対で1.100Vである。同様に、マグネシウム−銅ガルバーニ電気対では、マグネシウムの標準電位(Mg/Mg2+)は−2.363Vであり、したがって、標準電位の差は2.700Vである。ガルバーニ対に好適ないくつかの材料の標準電位値の追加例は、Ag/Ag+:+0.799V,Ag/AgCl/Cl−:0.222V及びPt/H2/H+:0.000Vである。Ptはまた、炭素又は別の導電性材料に置き換えられてもよい。例えば、Physical Chemistry(Gordon M.Barrow,4th Ed.,McGraw−Hill Book Company,1979年,626ページ)を参照のこと。
【0042】
ガルバーニ微粒子の製造
一実施形態では、導電性金属インクの(例えば、ポリマー結合剤との)化学的、電気化学的、物理的、又は機械的加工(無電解めっき、電気めっき、CVD及びPVD等の気相堆積、真空蒸着、アーク噴霧、焼結、圧縮、加圧成形、押出成形、印刷、及び造粒等)、及び「ASM Handbook Volume 7:Powder Metal Technologies and Applications」(ASM International Handbook Committee,edited by Peter W.Lee,1998,pages 31〜109,311〜320)の書籍に記載されている、又はMaterials and Processes in Manufacturing,E.P.DeGarmo et al.,8th edition,Prentice−Hall,1997,pages 1096〜1110)の書籍に記載されている方法のような、粉末冶金、電子工学、及び医療機器の製造プロセスにおいて一般的に用いられる他の既知の金属コーティング及び粉末加工方法により、導電性電極を組み合わせる(例えば、第2導電性電極を導電性/抵抗性中間層、第1導電性電極又は物質に堆積させる)。別の実施形態では、全ての導電性電極は、還元剤の存在下で、順次又は同時に、化学的な還元プロセス(例えば、無電解析出)により製造される。還元剤の例としては、リン含有還元剤(例えば、米国特許第4,167,416号及び同第5,304,403号に記載のような次亜リン酸塩)、ホウ素含有還元剤、及び四ヒドリドホウ酸ナトリウム(NaBH4)(例えば、米国特許出願公開第20050175649号に記載のもの)のようなアルデヒド又はケトン含有還元剤が挙げられる。
【0043】
一実施形態では、第2導電性電極は、浸漬コーティング、スプレーコーティング、プラズマコーティング、導電インクコーティング、スクリーン印刷、ディップコーティング、金属接着、高圧−高温下での衝撃微粒子、流動床加工、又は真空蒸着のような、物理的堆積により第1導電電極上に存在する導電性/抵抗性中間層に堆積又はコーティングされる。
【0044】
一実施形態では、コーティング方法は、置換化学反応、つまり第1導電性材料の微粒子(例えば、金属亜鉛粒子)を、第2導電性材料の溶解塩(例えば、酢酸銅、乳酸銅、グルコン酸銅、又は硝酸銀)を含有する溶液と接触させることに基づいている。更なる実施形態では、本方法は、第1導電性材料(例えば、亜鉛粉末)の微粒子上を、又は第1導電性材料の充填粉末を通して、溶液を流すことを含む。一実施形態では、塩溶液は水溶液である。別の実施形態では、溶液は、アルコール、グリコール、グリセリン、又は薬剤生産において一般的に用いられる他の溶媒のような有機溶媒を含有して、第一微粒子の表面上への第2導電性材料の堆積速度を調節し、それにより生成されるガルバーニ微粒子の作用を制御する。
【0045】
コーティングされたワイヤー又は繊維の製造方法
一実施形態において、ガルバーニ微粒子は、約10マイクロメートル〜約500マイクロメートルの直径を有するワイヤー又は繊維を単層又は多相コーティング又はめっきし、これを次に細断してガルバーニ微粒子を形成することによって製造される。細断される微粒子の長さは、コーティングされるワイヤーの直径未満〜コーティングされるワイヤーの直径の20倍以上まで変化し得る。別の実施形態において、細断される粒子の長さはおよそ20マイクロメートル〜およそ2mmで変化する。ワイヤー又は繊維のコーティング方法は当該技術分野において既知である。このような方法としては、電気めっき、無電解めっき、浸漬めっき、PVD、CVD、プラズマ蒸着、スパッタ堆積又は当該技術分野において既知のめっき若しくはコーティング(例えば、米国特許番号第3,957,452号又は第7,220,316号に記載の技術による)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0046】
二元粒子
二元ガルバーニ微粒子を製造するための、図4aに示される一実施形態において、第1導電性材料401の細いワイヤーが、第2導電性材料402でコーティングされる。生じるコーティングされたワイヤーは、次に細断されて、ガルバーニ微粒子400を形成する。
【0047】
二元ガルバーニ微粒子を製造するために図4bに示される別の実施形態において、ポリマー系繊維若しくはセルロース系繊維若しくはデンプンから作製される繊維又は砂糖、デンプン、カゼイン、ゼラチン若しくは同様の材料等の可食組成物から作製される繊維であり得る非導電性物質455が、最初に第1導電性材料451でコーティングされ、次に第2導電性材料452で上塗りされる。生じるコーティングされた繊維は次に細断されて、ガルバーニ微粒子405を形成する。この手法は、各ガルバーニ微粒子の第1及び第2導電性材料の品質の幅広い制御を可能にする。
【0048】
三元粒子
図5aに示される一実施形態において、第1導電性材料501の細いワイヤーが最初に導電性/抵抗性中間層503でコーティングされ、これがその後第2導電性材料502で上塗りされる。生じるコーティングされたワイヤーは、次に細断されて、それによってガルバーニ微粒子500を形成する。
【0049】
別の実施形態において、第1導電性材料の細い繊維又はワイヤーは変性された第1導電性材料の表面層を導電性/抵抗性中間層として形成するように化学的に処理され、これはその後、第2導電性材料によって上塗りされる。化学的処理としては、表面酸化、化成被覆、黒色処理等が挙げられる。
【0050】
図5bに示される別の実施形態において、三元ガルバーニ微粒子を製造するために、繊維555の形態の非導電性基材が最初に第1導電性材料551によってコーティングされ、次に導電性/抵抗性中間層553によってコーティングされ、これはその後、第2導電性材料552によってコーティングされる。生じるコーティングされた繊維は、次に細断されて、ガルバーニ微粒子550を形成する。
【0051】
多相ガルバーニ微粒子
一実施形態において、本発明は、第1導電性材料を含む連続的な層中に分散された第2導電性材料を含む分散相を含む、多相ガルバーニ微粒子を提供し、上記第1導電性材料及び上記第2導電性材料の両方が、上記微粒子の表面上に露出している。多相ガルバーニ微粒子は約0.1重量%〜約99.9重量%、好ましくは約0.5重量%〜約60重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約50重量%の上記分散層を含む。多相ガルバーニ微粒子は単層合金ではないが、これは1つ以上の単層合金を分散層又は連続層のいずれかとして含み得る。これは少なくとも2つの不均質相を含む。
【0052】
第1導電性材料は多相ガルバーニ微粒子のアノードとして機能し、第2導電性材料はカソードとして機能する。アノード及びカソードは両方とも、このようなガルバーニ微粒子の表面上に露出する。アノードは第1導電性材料として好適な金属の単相又は多相合金であり得る。カソードは第2導電性材料として好適な金属の単相又は多相合金であり得る。
【0053】
多相ガルバーニ微粒子の大きさは好ましくは、分散相粉末の大きさよりも大きく、多相ガルバーニ微粒子の大部分が粒子の第2導電性材料を少なくとも1つ有することを確実にする。多相ガルバーニ粒子の大きさは一般的に、約0.1〜500マイクロメートル、例えば、約200マイクロメートル未満又は約100マイクロメートル未満の範囲である。
【0054】
一実施形態において、分散相は銅金属を含み、約0.01〜10マイクロメートルの粒径を有し、連続的な層は亜鉛金属を含む。生じる金属は約100マイクロメートル未満の粒径を有する多相ガルバーニ微粒子を生じ、大部分が約1〜50マイクロメートルの粒径を有する。
【0055】
一実施形態において、分散相は約950℃超の融点を有する。本実施形態において、例えば第2導電性材料は、銅、銀、金、マンガン、鉄及びこれらの合金からなる群から選択され得る。
【0056】
別の実施形態において、連続的な層は約750℃未満の融点を有する。この実施形態において、第1導電性材料は、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、これらの酸化物、これらのハロゲン化物及びこれらの合金からなる群から選択される。
【0057】
多相ガルバーニ微粒子は、上記の定義により、追加的な導電性材料を含む少なくとも1つの追加的な分散相を更に含み得る。
【0058】
別の実施形態において、多相ガルバーニ微粒子は、導電性/抵抗性中間層を含む。例えば、上記で定義されるように、導電性/抵抗性中間層は第1又は第2導電性材料の変性形態、例えば酸化物、ハロゲン化物若しくは他の塩、又は第1若しくは第2導電性材料の別の化合物であり得る。導電性/抵抗性中間層はまた、第1若しくは第2導電性材料の境界面の化成被覆又は第1若しくは第2導電性材料の他の表面改質を含み得る。
【0059】
第1導電性材料は多相ガルバーニ微粒子のアノードとして機能し、第2導電性材料はカソードとして機能する。アノード及びカソードは両方とも、このようなガルバーニ微粒子の表面上に露出される。アノードは第1導電性材料として好適な金属の単相又は多相合金であり得る。カソードは第2導電性材料として好適な金属の単相又は多相合金であり得る。
【0060】
多相ガルバーニ微粒子は例えば、以下のプロセス:(a)焼結又は噴霧形成プロセスのために、完全に融解するか又は部分的に融解するように、第1導電性材料をその融点を超える温度まで加熱することと、(b)第1導電性材料の融点よりも高いが、第2導電性材料の融点よりも低い温度において、第2導電性材料の微粉末等の粉末を、融解した第1導電性材料へと分散又は混合させることと、(c)生じる融解/固体混合物を所望の小さい粒径まで微粉化させる(例えば、アトマイザーを有する又は有さない細孔を使用する噴霧形成により)ことと、(d)生じた粒子をより低い又は周囲温度まで冷却して多相ガルバーニ微粒子を形成することとによって形成され得る。
【0061】
好ましくは、上記の微粉化又は噴霧化プロセスは、保護雰囲気下(すなわち、アルゴン、窒素又は二酸化炭素等の不活性ガスで)又は還元雰囲気下(例えば、水素又は他の不活性ガスとのその混合物)で行われる。
【0062】
あるいは、工程(c)は、(i)融解/固体混合物をより低い又は周囲温度まで冷却して固体複合物を形成することと、(ii)固体複合物を多相ガルバーニ微粒子へと機械的に微粉化する(例えば、ミリング及び/又は細断等)工程により行うことができる。
【0063】
好ましい噴霧形成プロセスを含む、このような製造方法は一般的に、Journal of Materials Processing Technology,Vol.106,Issues 1〜3,Pages 58〜67及び「ASM Handbook Volume 7:Powder Metal Technologies and Applications」(ASM International Handbook Committee,(Peter W.Leeにより編集),1998)に記載され、双方とも本明細書において参照として組み込まれる。
【0064】
図6は、低融点を有する第1導電性材料(金属又は合金)601に分散される、高融点を有する第2導電性材料(金属又は合金)602を含む多相ガルバーニ微粒子を表す。第2導電性材料はまた第1導電性材料の表面上に露出される。
【0065】
小さい粒径のガルバーニ微粒子の生成のための、前述の微粉化(噴霧化)方法は、ASM Handbook,infra,pages 31〜109に記載される。
【0066】
別の実施形態において、多相ガルバーニ微粒子は、以下の:(a)第1、第2及び任意により追加的な導電性材料の混合物を、所望の重量比又はモル比において、これらの融点の全てを超えるまで加熱し、融解混合物を形成することと、(b)融解混合物を所望の小さい粒径まで微粉化する(例えば、アトマイザーを有する又は有さない細孔を使用する噴霧形成により)ことと、(c)微粉化された混合物の液滴をより低い又は周囲温度まで冷却し、これによって微粉化混合物粒子に相分離が生じて、異なる導電性材料を多く含む少なくとも2つの合金相を含む多相ガルバーニ微粒子を形成することとによって製造される。第1導電性材料が豊富な相は、多相ガルバーニ微粒子のアノードとして機能し、第2導電性材料が豊富な相は、多相ガルバーニ微粒子のカソードとして機能する。
【0067】
あるいは、工程(b)は、(i)融解混合物をより低い又は周囲温度まで冷却して固体複合物を形成することと、(ii)固体複合物を機械的に微粉化して(例えば、ミリング及び/又は細断等)多相ガルバーニ微粒子を生じる工程により行うことができる。
【0068】
別の実施形態において、融解プロセスの間の温度が注意深く制御され、プロセス温度を、使用されるこれらの導電性材料の冶金相図に従って段階的に低下させ、それによってより高い融点を有する材料(通常は第2導電性材料)が他方の(融解)材料中で微粒子として最初に固化する。
【0069】
あるいは、融点混合物は、2つの導電性材料の不均一な領域を有する固体複合物を形成するようにキャスティングされ得る。生じる複合物はその後、粒径の低減のための既知の技術、例えば、ミリング、圧延又は細断プロセスによって処理される。生じる粉末は、多相ガルバーニ微粒子である。
【0070】
3つ以上の導電性材料が、多相ガルバーニ微粒子を製造するために上記の方法で処理され得る。
【0071】
基材上への多相堆積によって形成されるガルバーニ微粒子
図7aをここで参照し、一実施形態においてガルバーニ微粒子700は基材(図示されない)上に堆積される第1導電性材料701の層及び第1導電性材料の上に堆積される第2導電性材料702の層を含む。同様に、図7bは、基材755上に堆積される第1導電性材料751の層及び第1導電性材料上に堆積される第2導電性材料752の層を含むガルバーニ微粒子750を表す。
【0072】
生じる2層材料は、例えば、約1マイクロメートル〜約500マイクロメートルの合計厚さを有し得る。第1及び第2導電性層は、基材から上昇させられ、所望の大きさのガルバーニ微粒子に、例えば、約5マイクロメートル〜約500マイクロメートルの最大寸法のフレークへと分解される(例えば、細断される)。一実施形態において、両方の堆積工程が気体相から行われる。別の実施形態において、1つの堆積工程が気体相から行われ、別の堆積工程が液体相から行われる。第1導電性材料及び第2導電性材料の堆積の順序は逆であってもよいことに留意すべきである。
【0073】
一実施形態において、基材は高分子フィルムである。別の実施形態において基材は、アルコール又は水等の好適な溶媒に曝露することによって任意により取り除かれる、可溶性高分子フィルムである。
【0074】
基材は、ガルバーニ微粒子の最適な放電に適合する導電性、厚さ及び多孔性を有し得る。一実施形態において、基材は、ナノ孔又はマイクロ孔等の、孔を含む。このような穴は、堆積プロセス中に、第1導電性材料又は第2導電性材料のいずれかによって任意により充填され、それによって孔を通じて第1導電性材料と第2導電性材料との間に電気的接続を形成する。
【0075】
図8を参照し、別の実施形態において、第1導電性材料の相801が、基材805上に堆積され、その後導電性/抵抗性中間層803が、例えば、堆積により又は第1導電性材料の表面層の化学修飾により(例えば、上記のような、その酸化物の形成)、第1導電性材料の上に形成される。次に、第2導電性材料は、導電性/抵抗性中間層の上に堆積される。約1マイクロメートル〜約500マイクロメートルの合計厚さを有し得る、生じる3層材料はその後、望ましい大きさの微粒子、例えば、約5マイクロメートル〜約500マイクロメートルの範囲の大きさの矩形へと細断されて、ガルバーニ微粒子を形成する。
【0076】
ここで図9を参照し、別の実施形態において、第1導電性材料901の層が、薄い導電性又は非導電性であるが多孔質の高分子基材905の一方の側に堆積され、第2導電性材料902の層は同じ基材の他方の側に堆積される。
【0077】
約1マイクロメートル〜約500マイクロメートルの合計厚さを有し得る、生じる3層材料はその後、望ましい大きさの粒子、例えば、約5マイクロメートル〜約500マイクロメートルの範囲の大きさの矩形へと細断されて、ガルバーニ微粒子を形成する。
【0078】
金属ホイルの電気めっき
この実施形態において薄い金属ホイルが1つ以上の層でコーティング又はめっきされ、その後ガルバーニ微粒子を形成するように細断又は切断され、例えば、およそ75×75マイクロメートルの大きさ及びおよそ25〜50マイクロメートルの厚さを有する正方形へと切断される。二元ガルバーニ微粒子は、第2導電性材料によって両側をコーティングされた第1導電性材料を含む、2層ホイル又は3層ホイルから形成される。
【0079】
三元ガルバーニ微粒子は、第1導電性材料からなるホイルの少なくとも一方の側に追加的な導電性材料の層を形成し、その後生じる材料を第2導電性材料でコーティングすることによって製造される。
【0080】
ホイルコーティングの方法は、当該技術分野において既知であり、連続的リール・ツー・リールホイル電気めっき、無電解めっき、ディップコーティング、及び真空蒸着コーティングを含む。
【0081】
スルーマスク堆積を使用する粒子の電気めっき
一実施形態において、ガルバーニ微粒子が、スルーマスク電着によって、再使用可能なマンドレル上に形成される。多数の開口を有する単回使用又は再使用可能な絶縁ポリマーシートが、導電性マンドレルの上に配置され、第1及び第2導電性材料はマスク開口を通じて導電性マンドレル上に順次電着される。マンドレルの材料は、電着した第1導電性材料に対して低い接着性を有するように選択される。開口の大きさは、約20マイクロメートル以下〜約500マイクロメートル以上であり得、マスクの厚さは約10マイクロメートル〜約500マイクロメートルであり得る。堆積の完成後、マスクが上げられて、粒子が、マンドレルから及びマスクから落とされるか、剥がされる。二元及び三元ガルバーニ微粒子はこのプロセスによって作製され得る。スルーマスク電着プロセスは、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許番号第4,431,500号、同第4,921,583号、同第5,389,220号及び同第6,632,342号に記載される。
【0082】
クラッド金属ホイル
ここで図10aを参照し、一実施形態において、第1導電性材料1001の金属ホイル及び第2導電性材料1002は、冷間圧延により、任意により導電性/抵抗性中間層と共に被覆されるか又は一緒に結合される。例えば、第2導電性材料1052は、ガルバーニ微粒子1050において、図10bに示されるように、第1導電性材料1051の2つのホイルの間に位置してもよい。逆の順序(すなわち、1051が1052の2層の間に位置する)においても調製され得ることに留意すべきである。生じるクラッドホイルはその後、ガルバーニ微粒子に細断され、例えば、およそ75×75マイクロメートルの大きさ及びおよそ25〜50マイクロメートルの厚さを有する正方形に細断される。二元ガルバーニ微粒子は、第2導電性材料によって両側を被覆された第1導電性材料を含む、2層ホイル又は3層ホイルから形成される。
【0083】
図10cに1070として示される三元ガルバーニ微粒子は、第1導電性材料ホイル1071を第2導電性材料ホイル1072で被覆し、一方で第1導電性材料と第2導電性材料との間の境界面に導電性/抵抗性中間層1073を形成することによって形成される。また、1071及び1072の位置/配置は逆にしてもよい。導電性/抵抗性中間層は、第1若しくは第2導電性材料又は両方の化学修飾によって、例えば、酸化処理、化成被覆、黒鉛化、めっき、蒸着又は以下に記載される表面改質の他の手段によって形成され得る。例えば、2つのホイルを一緒に冷間圧延することによるクラッド金属ホイルの製造方法は、当該技術分野において既知である。
【0084】
二元ガルバーニ微粒子を製造するための電気めっき
この方法により、第1導電性材料を含む粒子が、カソード及びアノードを有する電気めっき槽内に浸漬される。電解質は、イオン化形態の第2導電性材料、例えば、第2導電性材料の可溶性塩を含む。電気めっき槽は連続的に撹拌され、槽内の粒子は懸濁液を形成し、粒子はカソードにランダムに接近し、接触する。カソードとの接触の際に、粒子は電着の短いバーストに供され、これは、第2導電性材料の電着を生じる。堆積は不均一であり、一定の粒子の表面積を露出したままにする。個別の金属の活性にかかわらず、炭素粒子又は金属ベースの粒子のコーティングが可能である。
【0085】
別の実施形態において、第1導電性材料からなる粒子のスラリーは、めっき槽のカソードと接触し、最も活発な電着はスラリーの最上層で生じる。電解質から生じる第2導電性材料の電着は不均一であり、粒子の一定の表面積が露出される。
【0086】
多孔質ガルバーニ微粒子
一実施形態において、ガルバーニ微粒子は、多孔質第1導電性材料及び多孔質第1導電性材料の孔の中に浸透した第2導電性材料を含む。第1導電性材料は、多孔質粒子であり得る。
【0087】
一実施形態において、多孔質粒子、例えば、炭素微小粒子には、活性金属の塩、例えば亜鉛塩の溶液が浸透している。任意により、例えば、NaOH等の水酸化溶液との反応を介して、活性金属の酸化物が形成される。任意の乾燥の後、活性金属の塩又は酸化物が、還元剤、例えば、炭素(多孔質粒子中に存在する)、水素ガス、CO又は他の還元剤中との反応により還元される。結果として、活性金属堆積が、孔の中及び任意により炭素粒子の表面の一部に形成される。
【0088】
別の実施形態において、炭素等の第1導電性材料の多孔質の薄いシート又は多孔質の紙の孔に、上記のように活性金属又は第2導電性材料が浸透している。薄いシートはその後、所望の大きさのガルバーニ微粒子を形成するように細断される。
【0089】
別の実施形態において、多孔質粒子には更に、活性治療用化合物が浸透している。したがって、ガルバーニ特性及び活性治療用化合物によって付与される他の治療的特性を組み合わせて、結合治療粒子が形成される。
【0090】
他の基材
上記のように、ガルバーニ微粒子は、高分子基材等の基材を含み得る。基材はまた、ワックス、ポリエステル又は同様の材料、薄膜基材、繊維、可溶性繊維を含む可溶性材料並びにデンプン、カゼイン、ゼラチン及び同様の材料を含む可食材料等の材料を含み得る。少なくとも2つの導電性材料が、本明細書において記載される堆積方法を使用してこのような材料上に順次堆積され得る。このような実施形態は、より少ない導電性材料の充填により及び薄膜として堆積される導電性材料によりガルバーニ微粒子を製造することを可能にする。
【0091】
再使用可能な衣類へのガルバーニ微粒子の適用
一実施形態において、上記のようにガルバーニ微粒子が高分子コア又は高分子基材上に形成され、ポリマーは任意により水溶性であり、低い融点を有する。ガルバーニ微粒子がその後、はけ積み、噴霧又は粉末散布により、衣類に適用される。衣類上のガルバーニ微粒子がその後、例えば、ホットアイロン、任意により熱蒸気を有するホットアイロンの適用によって加熱される。高分子コア又は高分子基材が高温に曝露されて融解し、衣類の布地と結合を形成する。この方法は、ガルバーニ微粒子の固定化層を、衣類の上に形成することを可能にする。粒子は、衣類を洗浄又は洗濯することによって取り除くことができ、ガルバーニ微粒子の新しい層が適用され得る。
【0092】
別の実施形態において、熱活性化された、任意により水溶性である接着性粉末を、ガルバーニ微粒子に混合することで生じる混合物が、アイロンを載せるプロセスによって衣類に適用される。
【0093】
更に別の実施形態において、ガルバーニ微粒子の懸濁が、好適なキャリア、例えばアルコール内に形成される。キャリアはまた、溶解した接着剤を含む。混合物を衣類に適用し、溶媒を蒸発させる。空気硬化性、光硬化性又は乾燥硬化性であり得る接着剤の硬化の際に、ガルバーニ微粒子と衣類の布地との間に結合が形成される。
【0094】
混合二元性−三元性微粒子
ここで図11を参照し、遅い放電の三元ガルバーニ特性及び速い放電の二元ガルバーニ特性の両方を含む、結合ガルバーニ微粒子が上記の方法で製造され得る。一実施形態において、結合二元ガルバーニ微粒子は、導電性/抵抗性中間層1103を一方の側において第1導電性材料1101でコーティングし、その後、生じる材料の両側を第2導電性材料1102で上塗りすることによって形成される。生じるフィルムの細断により、結合ガルバーニ微粒子が生じる。第1導電性材料及び第2導電性材料は、一方の側で直接接触して速い放電構成要素を形成し、第1導電性材料及び第2導電性材料が他方の側の中間層を通じて関節的に接触し、遅い放電構成要素を形成する。
【0095】
別の実施形態では、本発明のガルバーニ微粒子が、他の材料でコーティングされ、保存中にガルバーニ材料が分解するのを防ぐ(例えば、酸素及び水分からの酸化分解)、又は電気化学的反応を調節し、使用中の電流発生を制御することができる。ガルバーニ材料に対する代表的なコーティング材料は、無機又は有機ポリマー、天然又は合成のポリマー、生分解性又は生体吸収性のポリマー、シリカ、ガラス、種々の金属酸化物(例えば、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、又はチタンの酸化物)、及び低可溶性の他の無機塩類(例えば、リン酸亜鉛)である。コーティング方法は金属粉末加工及び金属顔料製造の分野において既知であり、例えば米国特許公開第5,964,936号、同第5,993,526号、同第7,172812号、米国特許出願公開第20060042509A1号、及び同第20070172438号に記述されているものがある。
【0096】
一実施形態では、ガルバーニ微粒子は、無水形で、例えば、乾燥粉末として、又は結合剤で布地に固定されて、又は本質的に無水非導電有機溶媒組成物(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、液体シリコーン、及び/又はアルコールに溶解した)として保存される。別の実施形態では、ガルバーニ微粒子は、無水キャリアに埋め込まれる(例えば、ポリマーの内側)か又は基材上にコーティングされる(例えば、コーティングとして、又は創傷ドレッシング若しくはデンタルフロスのようなヘルスケア製品のコーティング層で)。更に別の実施形態では、ガルバーニ微粒子は、貯蔵寿命(self-life)の安定性を得るために、ガルバーニ微粒子の活性化を遅延させるために、又はガルバーニ微粒子の作用を延長するために、マイクロカプセル、リポソーム、ミセルの組成物にカプセル化されるか、又はエマルション系の水中油型(O/W)若しくは油中水型(W/O)タイプの親油性相(例えば、W/Oローション、W/O軟膏、又はO/Wクリーム)、並びに自己乳化組成物に埋め込まれる。
【0097】
ガルバーニ微粒子はまた、錠剤への圧縮、錠剤コーティングフィルム中のポリマー組成物への組み込み、硬質若しくは軟質ゼラチンカプセルへの組み込み、又はろう状材料(例えば、坐剤で用いられるとき)若しくはポリマー(インプラント製品で用いられるときには、生体吸収性ポリマーに、又は歯科用ブレスレット(dental bracelet)及び歯ブラシで用いられるときには生体適合性ポリマーに)への組み込みが可能である。微粒子で使用されるコーティング(シェル)材料は、腸溶性を有してもよく(例えば、酸性条件で不溶性であり、中性pH付近又はそれに等しいpH値で媒質に曝露されたときのみ可溶性である)、又は水及び溶質分子並びにイオンに対してpH感受性透過性を有してもよく、又は生分解性若しくは生体吸収性であってよい。
【0098】
組成物及び製品
ガルバーニ微粒子は非常に多用途性であり、摂取可能な組成物(錠剤及び溶液等)、局所用組成物(クリーム、ローション、ゲル、シャンプー、洗剤、粉末パッチ、包帯、及び皮膚又は粘膜に適用するためのマスク等)、衣類(肌着、下着、ブラジャー、ショーツ、パンツ、ストッキング、靴下、ヘッドキャップ、顔用マスク、手袋、及びミトン等)、リネン(タオル、枕カバー又はケース、及びベッド用シーツ等)、並びにパーソナル及び医療製品(家庭用及び臨床応用消毒製品、植物用殺微生物剤(microcide)等)、及び装置(歯ブラシ、デンタルフロス、歯周移植片又は挿入物、歯列矯正用ブレース、関節ラップ/サポート、バッカルパッチ、コンタクトレンズ等眼球挿入物又は移植片、鼻用移植片又は挿入物、及びコンタクトレンズ洗浄製品、創傷ドレッシング、おむつ、生理用ナプキン、及び拭き取り用品、タンポン、直腸及び膣坐剤、並びに医療機器のガルバーニ微粒子コーティング又はガルバーニ微粒子の埋め込まれた表面、並びに抗微生物又は他の有益な効果が所望される他の表面)のようなヒト及び動物用の多くの消費者製品及び医薬品で用いることができる。このような組成物及び製品の多くについては以下で更に論じる。
【0099】
一実施形態では、ガルバーニ微粒子は、隔膜症状の治療を促進する特定の所望の生物学的反応を誘発する(例えば、皮膚、腸、若しくは粘膜を通じた電流通過、及び/又は活性剤の送達の強化により誘発される)。一実施形態では、ガルバーニ微粒子は、イオン導入及び/又は電気浸透による活性剤の送達を強化するため、並びに接触した組織を治療するため(例えば、血行を増大させる又は他の効果のため)の電気刺激を提供するためのような、症状を治療するための複数の作用機序を提供する。
【0100】
「活性剤」は、治療用薬物又は美容剤のような、皮膚又は他の隔膜及びその周りの組織に対して美容又は治療的効果を有する化合物(例えば、合成化合物又は天然原料から単離された化合物)(例えば、人体に生物学的作用を及ぼすことのできる物質)を意味する。このような治療用薬物の例としては、小分子、ペプチド、タンパク質、核酸物質、及びミネラルのような栄養素、及び抽出物が挙げられる。担体中の活性剤の量は、活性剤及び/又は組成物若しくは製品の意図する用途に応じて決定される。一実施形態では、ガルバーニ微粒子を含有する組成物は、安全で有効な量の活性剤、例えば、組成物の約0.001重量%〜約20重量%、例えば、約0.01重量%〜約10重量%を更に含有する。
【0101】
ガルバーニ微粒子を活性剤(抗微生物剤、抗炎症剤、及び鎮痛剤等)と組み合わせて、その活性剤の生物学的又は治療的効果を高める又は増強することができる。別の実施形態では、ガルバーニ微粒子を他の物質と組み合わせて、ガルバーニ微粒子の作用を高める又は増強することもできる。ガルバーニ微粒子の作用を高める又は増強する物質としては、有機溶媒(アルコール、グリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等)、界面活性剤(非イオン性界面活性剤、双極性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及びポリマー界面活性剤等)、及び水溶性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、本発明のガルバーニ微粒子は、タンパク質、多糖類、種々の分子量のヒアルロン酸、ヒアルロン酸類似体、ポリペプチド、及びポリエチレングリコールが挙げられるがこれらに限定されない、合成又は天然ポリマーと共に、共役体又は複合体を形成することができる。
【0102】
一実施形態では、組成物はキレート剤又はキレート化剤を含有する。キレート剤の例としては、グリシン、ラクトフェリン、エデト酸塩、クエン酸塩、ペンテト酸塩、トロメタミン、ソルビン酸塩、アスコルビン酸塩、デフェロキサミン等のアミノ酸、これらの誘導体、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。有用なキレート剤の他の例は、米国特許第5,487,884号及びPCT国際特許公開第91/16035号及び同第91/16034号に開示されている。
【0103】
ガルバーニ微粒子の使用方法
一実施形態では、ガルバーニ微粒子を用いて、軟組織(例えば、皮膚、粘膜、上皮、創傷、眼及びその周りの組織、軟骨、及び靱帯、腱、又は半月のような他の軟質筋骨格組織)、硬組織(例えば、骨、歯、爪床、又は毛包)、及び軟組織−硬組織結合体(例えば、歯に含まれる歯周領域、骨、又は関節の軟組織の周りの通道組織)を含む、療法的治療を必要とする対象とする人体組織に直接(例えば、局所的に又は体の内側のいずれかにより)ガルバーニ微粒子を適用することにより、治療的電気刺激効果を提供する。
【0104】
ガルバーニ微粒子の適用は、抗菌効果(例えば、抗菌、抗真菌、抗ウイルス及び抗寄生虫効果)、表面又は深部組織における効果を含む消炎効果(軟骨の浮腫又は赤みを低減又は排除する)、疼痛、かゆみ又は他の感覚的不快感(例えば、頭痛、刺痛又はヒリヒリする痺れ)の排除又は低減、再生(すなわち、欠損又は損傷した組織又は組織構成要素を交換又は再生して、その元の機能及び外観を復元する)、軟組織及び硬組織の両方の再生又は治癒の向上、幹細胞分化及び組織発達の調節、例えば組織増殖の調節(例えば、爪の成長速度の向上又は脱毛症による脱毛の再生)又は軟組織の容積の増加(例えば、皮膚又は唇等の軟組織のコラーゲン又はエラスチンの増加)、脂肪細胞代謝の増加若しくは身体外観の向上(例えば、身体の外形又は形状への効果)並びに血液若しくはリンパ球の循環の向上を含むがこれに限定されない治療的効果のための組織治療を目的とするものであり得る。
【0105】
当業者は、好適な、既知の及び一般に認められた細胞及び/又は動物モデルを使用したインビボ並びにインビトロの両方における試験により、成分、組成物、又は製品の、所定の症状を治療又は予防する能力を予測できることを認識するであろう。当業者は更に、健康な患者及び/又は所定の症状若しくは障害に罹患している患者におけるファースト・イン・ヒューマン(first-in-human)試験、用量設定試験、及び有効性試験を含むヒト臨床試験が、臨床及び医療分野で周知の方法に従って完了し得ることを認識するであろう。
【0106】
摂取可能な組成物
本発明による接種可能な組成物は、治療を必要とする、ヒト等の哺乳類による摂取のために好適である。一実施形態では、組成物は安全で有効な量の(i)ガルバーニ微粒子と、(ii)製薬上許容できるキャリアとを含有する。
【0107】
一実施形態では、摂取可能な組成物は、本明細書では、投薬量単位(例えば、錠剤、カプセル、粉剤、注射、茶さじ一杯等)あたりに、上記のような有効用量を送達するのに必要な量のガルバーニ微粒子及び/又は活性剤を含有する。一実施形態では、摂取可能な組成物を、本明細書では、単位投薬量単位あたり約1mg〜約5g、例えば、約50mg〜約500mgのガルバーニ微粒子及び/又は活性剤を含有し、約1mg/kg/日〜約1g/kg/日、例えば、約50〜約500mg/kg/日の投薬量で投与してもよい。しかしながら、投薬量は、患者の必要量、治療されている症状の重症度、及び使用されるガルバーニ微粒子に応じて変動し得る。連日投与又は断続的(post-periodic)投与の使用のいずれかを用いることができる。一実施形態では、これらの組成物は、錠剤、丸薬、カプセル、粉剤、顆粒、溶液又は懸濁液、及びドロップのような単位剤形である。
【0108】
一実施形態では、組成物は、治療される患者への投薬量を症状的に調節するために、1、5、10、25、50、100、150、200、250、500及び/又は1000ミリグラムのガルバーニ微粒子及び/又は活性剤を含有する等の錠剤の形態で提供される。組成物は、1日当たり1〜4回の投薬計画で投与されてもよい。有利なことに、組成物は、1回に一日投薬量を投与してもよく、又は全一日投薬量を一日2回、3回若しくは4回に分割して投与してもよい。
【0109】
投与する最適投薬量は、当業者が容易に決定することができ、そして使用する具体的なガルバーニ微粒子及び/又は活性剤、投与方法、製剤の強度、及び治療される疾患/症状の進行に応じて変動する。更に、患者の年齢、体重、食事、及び投与時期を含め、治療する具体的な患者と関連する因子が、投薬量を調整する必要性をもたらす。
【0110】
本明細書に記載の本発明のガルバーニ微粒子を1種以上含有する摂取可能な組成物を、従来の薬剤調剤技術に従って、ガルバーニ微粒子を製薬上許容できる担体と密接に混合することにより調製できる。担体は、製剤の種類に応じて広範な形態をとることができる。したがって、懸濁液、エリキシル剤、及び溶液のような液体調製物では、好適な担体及び添加剤としては、水、グリコール、アルコール、シリコーン、ろう、着香剤、緩衝剤(クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、乳酸緩衝剤、グルコン酸緩衝剤等)、保存剤、安定剤、着色剤等が挙げられるが、これらに限定されず、粉剤、カプセル、及び錠剤のような固体調製物では、好適な担体及び添加剤としては、デンプン、糖類、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤が挙げられる。固体経口調製物はまた、糖類、可溶性ポリマーフィルム、並びに不溶性であるが溶質浸透性であるポリマーフィルムのような物質でコーティングされてもよい。経口調製物はまた、腸溶性コーティングでコーティングされてもよく、これは酸性胃環境で不溶性であるが、ガルバーニ微粒子作用の主要部位を調節するためにpHが中性になるとき腸で溶解する。製品の保存及び安定性については、ガルバーニ微粒子は、好ましくは無水又は比較的非導電性相又は区画に保持されるべきである。
【0111】
錠剤のような固形組成物を調製するために、ガルバーニ微粒子を製薬上許容できる担体、例えば、コーンスターチ、ラクトース、ショ糖、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸ニカルシウム又はガムのような通常の錠剤成形成分、及び他の製薬上許容できる希釈剤と混合して、ガルバーニ微粒子の均質な混合物を含有する固形予調剤(preformulation)組成物を形成する。これらの予調剤組成物を均質と称するとき、これは、ガルバーニ微粒子が組成物全体にむらなく分散し、その結果、組成物は同等に有効な、錠剤、丸剤及びカプセル剤のような剤形に容易に分割できることを意味する。この固体予調剤組成物を、次いで、上記種類の単位剤形に更に分割してもよい。新規な組成物の錠剤又は丸剤は、持続性作用の利点を与える剤形を提供するためにコーティングするか又はそれ以外の方法で配合することができる。例えば錠剤若しくは丸剤は、内部投与成分及び外部投与成分を含むことができ、後者は前者を包む形態である。2つの成分は、胃での崩壊を阻止し、また内部成分を無傷で十二指腸内まで通過させる、又は放出を遅延させることができる腸溶性の層により分離することができる。様々な物質をそのような腸溶性の層又はコーティングに用いることができ、そのような物質には、シェラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースのような物質と共に多数のポリマー酸が包含される。
【0112】
(a)胃腸疾患治療用の摂取可能な組成物
一実施形態では、ガルバーニ微粒子を含有する摂取可能な組成物は、潰瘍、下痢、及び胃腸痛のような胃腸疾患の治療に用いられる。
【0113】
一実施形態では、ガルバーニ微粒子を、ビスマス(次サリチル酸ビスマス等)、ロペラミド、シメチコン、ニタゾキサニド、シプロフロキサシン、及びリファキシミン、これらの塩類及びプロドラッグ(エステル等)が挙げられるが、これらに限定されない、下痢を治療することが知られている活性剤と組み合わせてもよい。
【0114】
一実施形態では、ガルバーニ微粒子を、ランソプラゾール、ナプロキセン、エソメプラゾール、ファモチジン、ニザチジン、ラニチジン、及びオメプラゾール、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない、胃潰瘍を治療することが知られている活性剤と組み合わせてもよい。
【0115】
一実施形態では、ガルバーニ微粒子を、モキシフロキサシン、シプロフロキサシン、セフタジジム、ゲンタマイシン、エルタペネム、セフェピム、セフォキシチン、シラスタチン、イミペネム、セフトリアキソン、クラブラン酸、及びチカルシリン、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない、腹腔内感染を治療することが知られている活性剤と組み合わせてもよい。
【0116】
(b)疼痛治療用の摂取可能な組成物
一実施形態では、ガルバーニ微粒子を含有する摂取可能な組成物は、疼痛(咽喉痛のような)の治療に用いられる。経口剤形は、これらに限定されないが、ロゼンジ又は液体の形態であってもよい。ガルバーニ微粒子を、アセトアミノフェン、デキストロメトルファン、偽エフェドリン、クロルフェニラミン、偽エフェドリン、グアイフェネシン、ドキシルアミン、亜鉛、及びイブプロフェン、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない、咽頭痛を治療することが知られている活性剤と組み合わせてもよい。
【0117】
(c)経口栄養補助食品用の摂取可能な組成物
一実施形態では、ガルバーニ微粒子を含有する摂取可能な組成物は、経口栄養補助食品として、又は経口栄養補助食品の補完物として用いられる。経口剤形は、ロゼンジ、錠剤、カプレット、粉剤、又は液体の形態であってもよいが、これらに限定されない。ガルバーニ微粒子を、二塩基性リン酸カルシウム、酸化マグネシウム、塩化カリウム、微結晶セルロース、アスコルビン酸(ビタミンC)、フマル酸第1鉄、炭酸カルシウム、dl−アルファ酢酸トコフェロール(ビタミンE)、アカシア、パルミチン酸アスコルビル、ベータカロチン、ビオチン、BHT、パントテン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、塩化第2クロム、クエン酸、クロスポビドン、酸化第2銅、シアノコバラミン(ビタミンB 12)、エルゴカルシフェロール(ビタミンD)、葉酸、ゼラチン、ヒプロメロース、ルテイン、リコピン、ホウ酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、硫酸マンガン、ナイアシンアミド、硫酸ニッケル、フィトナジオン(ビタミンK)、ヨウ化カリウム、塩酸ピリドキシン(ビタミンB 6)、リボフラビン(ビタミンB 2)、二酸化ケイ素、アルミノケイ酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、メタバナジン酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、セレン酸ナトリウム、ソルビン酸、塩化スズ、スクロース、硝酸チアミン(ビタミンB 1)、二酸化チタン、三塩基リン酸カルシウム、ビタミンA酢酸塩(ビタミンA)、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない、ビタミン及びミネラルの経口栄養補助食品と組み合わせてもよい。
【0118】
それに加えて、一実施形態では、ガルバーニ微粒子の金属成分は、例えば、インサイチュで亜鉛イオンに変換される亜鉛金属のように、インサイチュで生成されるミネラル栄養補助食品として機能し得る。
【0119】
局所用皮膚組成物
一実施形態では、本発明で有用な局所用組成物は、ヒトの皮膚のような哺乳類の皮膚に投与するのに好適なガルバーニ微粒子を含有する組成物を含む。一実施形態では、組成物は安全で有効な量の(i)ガルバーニ微粒子と、(ii)製薬上許容できるキャリアとを含有する。
【0120】
組成物から、リーブオン製品(ローション、クリーム、ゲル、スティック、スプレー、及び軟膏等)、皮膚洗浄製品(液体洗浄液、固形石鹸、及び拭き取り用品等)、毛髪用製品(シャンプー、コンディショナー、スプレー、及びムース等)、ひげそり用クリーム、皮膜形成製品(マスク等)、メークアップ(ファンデーション、アイライナー、及びアイシャドー等)、防臭剤及び制汗剤組成物等が挙げられるが、これらに限定されない広範な製品を作製することができる。これらの製品の種類は、溶液、懸濁液、マイクロエマルション及びナノエマルションのようなエマルション、ゲル、及び固体担体形が挙げられるが、これらに限定されない製薬上許容できる担体形を数種含有してもよい。当業者は他の製品形態を配合することができる。
【0121】
一実施形態では、組成物又は製品は皮膚病及び疾患の治療に用いられる。このような治療の例としては、にきび(例えば、黒にきび及び白にきび)、酒さ、結節嚢腫(nodule-cystic)、及び他の皮膚の微生物感染症、皮膚の老化の目に見える兆候(例えば、しわ、たるみ、黄ばみ及び老年性斑点)の低減、皮膚の硬化、皮膚の弾力性の強化、毛嚢炎及び偽鬚髯毛嚢炎、皮脂の調節(例えば、皮脂の減少又は脂性/光っている皮膚の外観の抑制又は制御)、色素沈着の調節(例えば、そばかす、黒皮症、光線性及び老人性ほくろ、しみ、炎症後メラニン増加症、ベッカー型痣、並びに顔の黒色症の低減、又は色白の皮膚における色素沈着の強化)、毛髪成長の遅延(例えば、足の皮膚)、又は毛髪の刺激(例えば、頭皮への)、及び皮膚炎の治療(例えば、アトピー性、接触性、又は脂漏性皮膚炎)、目の下のくま、伸展線、セルライト、多汗(例えば、発汗過多)、及び/又は乾癬の治療が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
(a)局所用抗にきび/抗酒さ組成物
一実施形態では、組成物又は製品は抗にきび及び/又は抗酒さ活性剤を含有する。抗にきび及び抗酒さ剤の例としては、トレチノイン、イソトレチノイン、モトレチニド、アダパレン、タザロテン、アゼライン酸、及びレチノールのようなレチノイド、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、レゾルシノール、イオウ、スルファセタミド、尿素、テトラサイクリン、クリンダマイシン、メトロニダゾール、及びエリスロマイシンのような抗生物質、コルチコステロイド(例えば、ヒドロコルチゾン)、イブプロフェン、ナプロキセン、及びヘトプロフェンのような抗炎症剤、並びにケトコナゾール及びエルビオールのようなイミダゾール、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。抗にきび活性剤の他の例としては、エッセンシャル・オイル、アルファ−ビサボロール、グリチルリチン酸二カリウム、樟脳、β−グルカン、アラントイン、ナツシロギク、ダイズイソフラボンのようなフラボノイド、ノコギリパルメット、EDTAのようなキレート化剤、銀及び銅イオンのようなリパーゼ抑制因子、加水分解された植物蛋白質、塩化物、ヨウ化物、フッ化物の無機イオン、並びにこれらの非イオン性誘導体の塩素、ヨウ素、フッ素、及びその他の原子価の物質、Arlasilk(商標)リン脂質CDM、SV、EFA、PLN、及びGLA(Uniqema,ICI Group of Companies,Wilton,UK)のような合成リン脂質及び天然リン脂質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
(b)局所用老化防止組成物
一実施形態では、組成物又は製品は老化防止剤を含有する。好適な老化防止剤の例としては、二酸化チタン及び酸化亜鉛のような無機日焼け止め剤、メトキシケイヒ酸オクチルのような有機日焼け止め剤、レチノイド、ジメチルアミノエタノール(DMAE)、銅含有ペプチド、ビタミンE、ビタミンA、ビタミンC、及びビタミンBのようなビタミン、並びにアスコルビン酸ジ−グルコシド及びビタミンE酢酸塩又はパルミチン酸のようなビタミンの塩類又は誘導体、グリコール酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、アスコルビン酸、アルファーヒドロキシ酪酸、アルファ−ヒドロキシイソ酪酸、アルファ−ヒドロキシイソカプロン酸、アトロラクチン酸(atrrolactic acid)、アルファ−ヒドロキシイソ吉草酸、ピルビン酸エチル、ガラクツロン酸、グルコヘプトン酸、グルコヘプトノ1,4−ラクトン、グルコン酸、グルコノラクトン、グルクロン酸、グルクロノラクトン、ピルビン酸イソプロピル、ピルビン酸メチル、粘液酸、ピルビン酸、糖酸、糖酸1,4−ラクトン、酒石酸、及びタルトロン酸のようなアルファ−ヒドロキシ酸並びにこれらの前駆体、ベータ−ヒドロキシ酪酸、ベータ−フェニル乳酸、及びベータ−フェニルピルビン酸のようなベータ−ヒドロキシ酸、テトラヒドロキシプロピルエチレン−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(THPED)、並びに緑茶、ダイズ、オオアザミ、藻、アロエ、アンゼリカ、ダイダイ、コーヒー、オウレン、グレープフルーツ、ホウレン(hoellen)、セイヨウスイカズラ、ジュズダマ、リソスペルマム(lithospermum)、クワ、ボタン、プエラルア(puerarua)、ナイス(nice)、及びベニバナのような植物抽出物、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
(c)局所用色素脱失組成物
一実施形態では、組成物又は製品は色素脱失剤を含有する。好適な色素脱失剤の例としては、ダイズ抽出物、ダイズイソフラボン、レチノールのようなレチノイド、コウジ酸、コウジ酸ジパルミテート(kojic dipalmitate)、ヒドロキノン、アルブチン、トラネキサム酸、ナイアシン及びビタミンCのようなビタミン、アゼライン酸、リノレン酸及びリノール酸、プラセルチア(placertia)、カンゾウ、並びにカモミール及び緑茶のような抽出物、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
(d)局所用抗乾癬組成物
一実施形態では、組成物又は製品は抗乾癬活性剤を含有する。抗乾癬活性剤(例えば、脂漏性皮膚炎治療のため)の例としては、コルチコステロイド(例えば、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、酢酸ジフロラゾン、プロピオン酸ハロベタゾール、トリアムシノニド、デキサメタゾン、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、ハルシノニド、酢酸トリアムシノロン、ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、ジプロピオン酸アルクロメタゾン(aclometasone dipropionte)、フルランドレノリド、フロ酸モメタゾン、酢酸メチルプレドニゾロン)、メトトレキサート、シクロスポリン、カルシポトリエン、アントラリン(anthraline)、シェール油及びその誘導体、エルビオール、ケトコナゾール、石炭タール、サリチル酸、ジンクピリチオン、硫化セレン、ヒドロコルチゾン、硫黄、メントール、及び塩酸プラモキシン、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
(e)他の成分
一実施形態では、組成物又は製品は活性剤として植物抽出物を含有する。植物抽出物の例としては、ナツシロギク、ダイズ、グリシン・ソヤ、オート麦、小麦、アロエ・ベラ、クランベリー、マンサク、ウサギギク、カワラヨモギ、細辛の根、カバノキ、キンセンカ、カモミール、シンジウム、ヒレハリソウ、ウイキョウ、ガラ・ロイス(galla rhois)、サンザシ、ドクダミ、オトギリソウ、ナツメ、キウイ、カンゾウ、モクレン、オリーブ、ペパーミント、フィロデンドロン、サルビア、クマザサ(sasa albo-marginata)、天然のイソフラボノイド、ダイズイソフラボン、及び天然のエッセンシャル・オイルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
一実施形態では、組成物又は製品は、クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、乳酸緩衝剤、グルコン酸緩衝剤のような緩衝剤、又はゲル化剤、増粘剤、又はポリマーを含有する。
【0128】
一実施形態では、組成物又は製品は、ラベンダー及びカモミールのような、ストレス緩和、鎮静、及び/又は睡眠への影響に有効な芳香剤を含有する。
【0129】
局所用粘膜組成物
一実施形態では、本発明で有用な局所用組成物は、ヒトの口腔、直腸、及び膣粘膜のような粘膜に投与するのに好適なガルバーニ微粒子を含有する組成物を含む。一実施形態では、組成物は安全で有効な量の(i)ガルバーニ微粒子と、(ii)製薬上許容できるキャリアとを含有する。
【0130】
組成物から、膣用クリーム、タンポン、坐剤、フロス、洗口剤、練り歯磨きが挙げられるが、これらに限定されない粘膜に適用するための広範な製品を作製できる。当業者は他の製品形態を配合することができる。
【0131】
一実施形態では、組成物又は製品は粘膜症状の治療に用いられる。このような治療の例としては、膣のカンジダ症及び膣疾患、生殖器及び口のヘルペス、口内炎、口腔衛生、歯周病、歯のホワイトニング、口臭、バイオフィルム付着予防、並びに他の粘膜の微生物感染症の治療が挙げられるが、これらに限定されない。
【0132】
ガルバーニ微粒子を、チオコナゾール、クロトリマゾール、及びナイスタチン等であるが、これらに限定されない活性物質とともに、カンジダ症の治療用組成物に組み込んでもよい。
【0133】
ガルバーニ微粒子を、限定するものではないが塩酸クリンダマイシン及びメトロニダゾール等の活性物質とともに、細菌性膣炎の治療用組成物に組み込んでもよい。
【0134】
ガルバーニ微粒子を、限定するものではないがミノサイクリン等の活性物質とともに、歯周病の治療用組成物に組み込んでもよい。
【0135】
創傷及び瘢痕の治療用組成物
一実施形態では、ガルバーニ微粒子を、創傷ドレッシング及び包帯に組み込んで、治癒強化及び瘢痕予防のための電気療法を提供する。一実施形態では、創傷滲出液及び/又は創傷洗浄溶液は、(i)創傷ドレッシング/包帯の中に予め組み込まれている活性物質を送達させるために、並びに/又は、(ii)有益な金属イオンを電気化学的に発生させた後に、その有益な金属イオンを創傷に送達させるために、並びに/又は(iii)血液循環を増加させ、組織の免疫応答を刺激し、及び/若しくは組織の炎症を抑制することのできる、療法的電流により創傷を治療するために(これは、治癒の加速及び瘢痕の低減を導く可能性がある)、ガルバーニ微粒子を含む創傷ドレッシング/包帯を活性化させるように機能する。
【0136】
一実施形態では、組成物又は製品は、局所用抗生物質、抗微生物剤、創傷治癒強化剤、局所用抗真菌薬、抗乾癬薬、及び抗炎症剤のような、局所用創傷及び瘢痕治療用として一般的に用いられる活性剤を含有する。
【0137】
抗真菌薬の例としては、ミコナゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、セルタコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、クリオキノール、ビフォコナゾール(bifoconazole)、テルコナゾール、ブトコナゾール、チオコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、サペルコナゾール、クロトリマゾール、ウンデシレン酸、ハロプロジン、ブテナフィン、トルナフテート、ナイスタチン、シクロピロクスオラミン、テルビナフィン、アモロルフィン、ナフチフィン、エルビオール、グリセオフルビン、並びにこれらの製薬上許容できる塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、抗真菌薬はアゾール、アリルアミン、又はこれらの混合物である。
【0138】
抗生物質(又は消毒剤)の例としては、ムピロシン、硫酸ネオマイシン、バシトラシン、ポリミキシンB、1−オフロキサシン、テトラサイクリン(塩酸クロルテトラサイクリン、塩酸オキシテトラサイクリン−10及び塩酸テトラサイクリン)、リン酸クリンダマイシン、硫酸ゲンタマイシン、メトロニダゾール、ヘキシルレゾルシノール、塩化メチルベンゼトニウム、フェノール、第四級アンモニウム化合物、ティー・ツリー油、並びにこれらの製薬上許容できる塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0139】
抗微生物剤の例としては、ロドプロピニルブチルカルバメート、ジアゾリジニル尿素、二グルコン酸クロルヘキシデンジグルコネート、酢酸クロルヘキシデン、イセチオン酸クロルヘキシデン、及び塩酸クロルヘキシデンのような、クロルヘキシジンの塩類が挙げられるが、これらに限定されない。塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、トリクロカーボン(triclocarbon)、ポリヘキサメチレンビグアニド、塩化セチルピリジウム、塩化メチル及びベンゼトニウムのような、他のカチオン性抗微生物剤を用いてもよい。他の抗微生物剤としては、2,4,4’−トリクロロ−2−ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)のような、ハロゲン化フェノール性化合物、パラクロロメタキシレノール(PCMX)、及びエタノール、プロパノール等のような、短鎖アルコールが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、アルコールは、隔膜の過度の乾燥を引き起こさないように低濃度(例えば、担体の約10重量%未満、例えば、担体の5重量%未満)である。
【0140】
ヘルペス及び肝炎のようなウイルス感染症のための抗ウイルス剤の例としては、イミキモド及びその誘導体、ポドフィロックス、ポドフィリン、インターフェロンアルファ、アシクロビル、ファムシクロビル(famcyclovir)、バラシクロビル(valcyclovir)、レチキュロス(reticulos)及びシドフォビル、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0141】
抗炎症剤の例としては、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシルトリアムシノロン、アルファメチルデキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デオキシメタゾン、酢酸デソキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジクロリゾン、酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクラロロンアセトニド(fluclarolone acetonide)、フルドロコルチゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル(flucortine butylester)、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)(fluprednidene(fluprednylidene)acetate)、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド(flucetonide)、フルドロコルチゾン、酢酸ジフルオロゾン(difluorosone diacetate)、フルラドレナロンアセトニド(fluradrenalone acetonide)、メドリゾン、アムシアフェル(amciafel)、アムシナファイド(amcinafide)、ベタメタゾン、クロルプレドニゾン、酢酸クロルプレドニゾン、クロコルテロン(clocortelone)、クレスシノロン(clescinolone)、ジクロリゾン、ジフルプレドナート、フルクロロニド(flucloronide)、フルニソリド、フルオロメタロン(fluoromethalone)、フルペロロン、フルプレドニソロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、シクロペンチルプロピオン酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、トリアムシノロンのようなコルチコステロイド、並びにこれらの塩類及びプロドラッグのような好適なステロイド抗炎症剤が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、本発明で用いるためのステロイド性抗炎症剤はヒドロコルチゾンである。本発明の組成物で有用な抗炎症剤の第2の部類としては、非ステロイド性抗炎症剤が挙げられる。
【0142】
創傷治癒強化剤の例としては、組換えヒト血小板由来成長因子(PDGF)及び他の成長因子、ケタンセリン、イロプロスト、プロスタグランジンE1及びヒアルロン酸、マンノース−6−リン酸のような瘢痕低減剤、鎮痛剤、麻酔剤、ミノキシジルのような毛髪成長促進剤、塩酸エフロルニチンのような毛髪成長遅延剤、抗高血圧薬、冠動脈病を治療するための薬物、抗癌剤、エンドクリン及び代謝薬、神経薬、薬品嗜癖の停止のための薬物、酔い止め薬、タンパク質及びペプチドの薬物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0143】
体の微生物感染の治療
1つの実施形態では、他の抗真菌活性剤と共に又はこれ無しで、ガルバーニ微粒子を用いて、爪甲真菌症、スポロトリクム症、爪白癬、足白癬(水虫)、股部白癬(いんきんたむし)、体部白癬(白癬)、頭部白癬、癜風、及びおむつかぶれ、口腔カンジダ(oral thrushm)、皮膚及び膣カンジダのようなカンジダ酵母感染関連疾患(例えば、カンジダ・アルビカンス)、生殖器の発疹、癜風のような癜風菌感染関連疾患、粃糠疹毛嚢炎(Pityriasis folliculitis)、脂漏性皮膚炎、及びふけが挙げられるが、これらに限定されない真菌感染(例えば、毛瘡白癬菌のような皮膚糸状菌)を治療及び予防する。
【0144】
別の実施形態では、他の抗細菌活性剤の有り無しで、ガルバーニ微粒子を用いて、にきび、蜂窩織炎、丹毒、膿痂疹、毛嚢炎、並びにフルンケル及び癰に加えて、急性創傷及び慢性創傷(静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍、及び褥瘡性潰瘍)が挙げられるが、これらに限定されない細菌感染を治療及び予防する。
【0145】
別の実施形態では、他の抗ウイルス活性剤の有り無しで、ガルバーニ微粒子を用いて、伝染性軟属腫、いぼ、ヘルペス、口内炎(kanker sore)及び陰部ヘルペスのような単純ヘルペスウイルス感染が挙げられるが、これらに限定されない皮膚及び粘膜のウイルス感染を治療及び予防する。
【0146】
別の実施形態では、他の抗寄生虫活性剤の有り無しで、ガルバーニ微粒子を用いて、鉤虫感染、シラミ、疥癬、海水浴発疹及び沼地皮膚症が挙げられるが、これらに限定されない寄生虫感染を治療及び予防する。
【0147】
一実施形態では、微粒子は、耳感染(肺炎球菌(streptococcus oneumoniae)により引き起こされるもののような)、鼻炎及び/又は副鼻腔炎(インフルエンザ菌、カタラリス菌、黄色ブドウ球菌、及び肺炎球菌により引き起こされるもの等)、及び連鎖球菌性咽頭炎(化膿連鎖球菌により引き起こされるもの等)の治療を補助するために投与される。
【0148】
一実施形態では、微粒子は、動物(例えば、動物飼料として)又はヒト(例えば、栄養補助食品として)により摂取されて、飲食に起因する健康被害(例えば、カンピロバクター・ジェジュニ、リステリア・モノサイトゲネス、及びサルモネラ・エンテリカのような食品媒介病原体に起因する)の大流行を予防するのを補助する。
【0149】
薬物耐性微生物
一実施形態では、本発明は、病原体薬物耐性微生物を殺す方法において、微生物を、第1導電性材料及び第2導電性材料を含むガルバーニ微粒子を含有する組成物と接触させることであって、第1導電性材料及び第2導電性材料の両方が微粒子の表面上に露出されており、第1導電性材料と第2導電性材料との標準電位の差が少なくとも約0.2Vである、接触させることにより、病原体薬物耐性微生物を殺すを含む、方法を特徴とする。一実施形態では、前記微粒子の粒径は、約10ナノメートル〜約1000マイクロメートル、例えば、約1マイクロメートル〜約100マイクロメートルである。一実施形態では、第2導電性材料は、微粒子の総重量の約0.01重量%〜約10重量%である。一実施形態では、薬物耐性微生物は、MRSA及びVREのような細菌である。一実施形態では、微粒子は、鼻スプレー、すすぎ溶液、又は軟膏を介して投与される。
【0150】
爪治療組成物
ガルバーニ微粒子を用いて、爪の成長を刺激し、爪の強度を高め、爪感染又は変色を低減することもできる。ガルバーニ微粒子を、ミコナゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、セルタコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、クリオキノール、ビフォコナゾール(bifoconazole)、テルコナゾール、ブトコナゾール、チオコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、サペルコナゾール、クロトリマゾール、ウンデシレン酸、ハロプロジン、ブテナフィン、トルナフテート、ナイスタチン、シクロピロクスオラミン、テルビナフィン、アモロルフィン、ナフチフィン、エルビオール、グリセオフルビン、並びに製薬上許容できる塩類及びプロドラッグ等であるが、これらに限定されない活性物質とともに、爪甲真菌症(onychomychosis)の治療用組成物に組み込むことができる。ガルバーニ微粒子を、ビオチン、パントテン酸カルシウム(calcium panthotenate)、酢酸トコフェリル、パンテノール、フィタントリオール、コレカルシフェロール、塩化カルシウム、アロエ・バルバデンシス(葉汁)、絹タンパク質、ダイズタンパク質、過酸化水素、過酸化カルバミド、緑茶抽出物、アセチルシステイン、及びシステイン等であるが、これらに限定されない成分とともに、爪の見た目及び感触を改善するための組成物に組み込むことができる。
【0151】
組織増強及び組織光学的用途
一実施形態において、ガルバーニ微粒子は、顔の皮膚の皺の可視性を低減するために、委縮を低減するために、又は顔の皮膚及び皮膚下の容積並びに唇の容積を増加させるために使用され得る。ガルバーニ微粒子は、単独で用いてもよく、又は皮下充填剤、移植片、歯周移植片、筋肉内注射、及び生体吸収性ポリマー等の皮下注射のような、当該技術分野において周知である他の成分と併用してもよい。例えば、ガルバーニ微粒子は、コラーゲン、ヒアルロン酸、ポリL乳酸及び/又はカルシウムヒドロキシルアパタイト注射と共に使用され得る。
【0152】
別の実施形態では、ガルバーニ微粒子を、当該技術分野において既知の技術を用いて、組織工学及び臓器プリンティング(organ printing)のための生分解性スカフォールドに組み込むことができる。電気刺激は、生体細胞(例えば、幹細胞)の分化、増殖及び移動を刺激及び促進し、組織を増殖させ、修復し、及び再生し得ることが既知である。最近の出版物は、組織工学における電気の使用を記載し(Part et al.,「Electrical stimulation and extra−cellular matrix remodeling of C2C12 cells cultured on collagen scaffolds」,J.Tissue Engineering and Regenerative Medicine 2(5)2008,pages 279〜287)、米国特許出願番号第2005/0112759 A1号は、インビトロ及びインビボの機能的組織工学のための電気刺激の適用を開示する。これらの文献は参照としてその全体が組み込まれる。本発明のガルバーニ微粒子は、インビトロにおける及びより重要なことに生体外及びインビボにおける組織再生に関する工学における電気的信号を提供するために使用され得るがこれは、ガルバーニ微粒子が、患者内に埋め込まれる組織の足場物質に容易に組み込まれるか又は製造され得るためである。
【0153】
経皮的薬物送達パッチ
一実施形態では、ガルバーニ微粒子は、経皮的薬物送達パッチに組み込まれて、イオン導入により皮膚への活性剤の浸透を高め、電気刺激及び亜鉛イオンのような電気的に発生する有益なイオンにより皮膚の炎症を低減する。
【0154】
このような活性剤の例としては、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、及びDNAを含む核酸物質、及び栄養素が挙げられる。ポリペプチド及びタンパク質の活性剤の例としては、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、バソプレシン、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH又はLHRH)、メラノトロピン刺激ホルモン(MSH)、カルシトニン、成長ホルモン放出因子(GRF)、インスリン、エリスロポエチン(EPO)、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、オキシトシン、カプトプリル、ブラジキニン、アトリオペプチン、コレシストキニン、エンドルフィン、神経成長因子、メラノサイト抑制因子I、ガストリン拮抗物質、ソマトスタチン(somatotatin)、エンセファリン(encephalins)、メラトニン、ワクチン、ボトックス(ボツリヌス神経毒素)、シクロスポリン及びその誘導体(例えば、生物学的に活性である断片又は類似体)が挙げられる。他の活性剤としては、麻酔剤、鎮痛剤(例えば、フェンタニル、及びクエン酸フェンタニルのようなその塩類)、精神障害、てんかん、及び偏頭痛を治療するための薬物、薬物嗜癖及び乱用を止めるための薬物、抗炎症剤、高血圧、心臓血管疾患、胃液酸度及び潰瘍を治療するための薬物、ホルモン補充療法のための薬物、並びにエストロゲン及びアンドロゲンのような避妊薬、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤及び他の抗微生物剤、抗腫瘍剤、免疫抑制剤及び免疫刺激剤、並びに造血剤及び抗凝固薬を含む血液及び造血器官に作用する薬物、血栓溶解剤、及び抗血小板剤が挙げられる。このようなパッチを用いて体内に送達できる別の活性剤としては、インフルエンザ、エイズ、肝炎、麻疹、おたふくかぜ、風疹、狂犬病、アベルセラ(avercella)、破傷風、低ガンマグロブリン血症、Rh病、ジフテリア、ボツリヌス中毒、ヘビ咬傷、クロコゴケグモ(back widow)咬傷及び他の昆虫による咬傷/刺創、突発性血小板減少性紫斑病(ITP)、慢性リンパ性白血病、サイトメガロウイルス(CMV)感染、急性腎拒絶反応、経口ポリオ、結核、百日咳、ヘモフィルスb、肺炎球菌、並びに黄色ブドウ球菌のような、種々の疾患のためのワクチンが挙げられる。
【0155】
物質への組み込み
ガルバーニ微粒子を、繊維、不織布、ヒドロコロイド、接着剤、フィルム、ポリマー、及び他の基材上に組み込むことができる。製品としては、デンタルフロス、歯ブラシ、生理用ナプキン、タンポン、包帯、創傷ドレッシング、ギプス包帯、ヘアブラシ、及び衣類が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、ガルバーニ微粒子は組織の境界面に接触している。基材へのガルバーニ微粒子の適用方法としては、スプレーコーティング、機械的篩い分け、共押出成形、接着剤噴霧が挙げられる。
【0156】
ガルバーニ微粒子はまた、医療移植片又は手術具(例えば、感染予防を補助するための)上にコーティングしてもよい。
【0157】
性能改善のための、ガルバーニ微粒子上へのスルフヒドリル化合物コーティング
本発明の一実施形態は、少なくとも1つのスルフヒドリル(SH)官能基を有する化合物を含むコーティングを含むガルバーニ微粒子を提供する。スルフヒドリル基は、化合物を、ガルバーニ微粒子の表面に結合させ、これは様々な有益な効果を提供する。利点としては(a)ガルバーニ電気の生成を調節すること(b)ガルバーニ微粒子の組織生体適合性を向上させること(c)ガルバーニ微粒子の安定性を改善すること(d)意図される生物学的効果のために、スルフヒドリル化合物との共有結合等の化学結合によって他の化学的及び生化学的部分をガルバーニ微粒子表面上のコーティングに取り付けることを可能にすることが挙げられるが、これらに限定されない。
【0158】
用語「スルフヒドリル化合物」は、(a)本発明のガルバーニ微粒子の金属表面と反応することができる、1つ以上のスルフヒドリル官能基を有するチオ化合物及び(b)チオ含有アミノ酸及びこれらの誘導体を含む。
【0159】
ガルバーニ微粒子の表面と反応することができる1つ以上のスルフヒドリル官能基を有するチオ化合物としては、チオグリコール酸及びその塩、例えば、カルシウム、ナトリウム、ストロンチウム、カリウム、アンモニウム、リチウム、マグネシウム及び他の金属塩のグリコール酸塩、チオエチレングリコール、チオグリセロール、チオエタノール加えてチオアクト酸、チオサリチル酸並びにこれらの塩が挙げられるがこれらに限定されない。
【0160】
チオ含有アミノ酸及びこれらの誘導体は、L−システイン、D−システイン、DL−システイン、N−アセチル−L−システイン、DL−ホモシステイン、L−システインメチルエステル、L−システインエチルエステル、N−カルバモイルシステイン、グルタチオン及びシステアミンからなる群から選択され得る。
【0161】
ガルバーニ微粒子と反応することができる、1つ以上のスルフヒドリル官能基を有する好ましいチオ化合物は、チオグリコール酸のカルシウム及びナトリウム塩である。
【0162】
好ましいチオ含有アミノ酸及びこれらの誘導体は、L−システイン及びN−アセチル−L−システインである。
【0163】
一般的にガルバーニ微粒子の金属表面と反応することができるスルフヒドリル官能基を含むいずれかの化合物は、本発明のガルバーニ微粒子上のスルフヒドリルコーティングを生成するために使用され得る。
【0164】
本発明の一実施形態は、スルフヒドリル含有アミノ酸又はその誘導体、製薬上許容できる塩若しくはそのエステル又はその立体異性体を利用する。このような化合物は式(I)、薬剤として許容され得る塩又はそのエステル及びその立体異性体によって表され得る:
【化1】
式中、
RはH、CONHCH2COOH、NH2又はCOOR2であり、R2はH又はC1〜4アルキルであり、
R1はH、COCH3、CONH2又はCO(CH2)mCH(NH2)(COOH)であり、mは1又は2であり、
nは1〜4の値を有する数である。
【0165】
式(I)の化合物の代表的な例としては、以下の表に示されるものが挙げられる。
【0166】
スルフヒドリル化合物の非限定的な例の表
システイン(1−システイン、d−システイン、d1−システイン)
N−アセチル−1−システイン
dl−ホモシステイン
1−システインメチルエステル(メチルシステイン)
1−システインエチルエステル(エチルシステイン)
N−カルバモイルシステイン
グルタチオン
システアミン
【0167】
本発明における用途のための好ましい化合物は、システイン、グルタチオン及びN−アセチル−1−システインである。
【0168】
ガルバーニ微粒子にスルフヒドリル化合物をコーティングする方法
本発明による、スルフヒドリル化合物でコーティングしたガルバーニ微粒子を調製するための非限定的な手順:
(a)極性溶媒又は混合極性溶媒でしかるべき濃度のスルフヒドリル化合物の溶液を調製する
(b)混合しながら、しかるべき量のガルバーニ微粒子をスルフヒドリル化合物溶液に加える
(c)コーティング反応を完了させるのに十分な時間放置する
(d)コーティングされたガルバーニ微粒子を濾過処理によって溶液から分離する
(e)コーティングされたガルバーニ微粒子を乾燥させる
【0169】
本発明の極性溶媒としては、水、エチルアルコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールが上げられるがこれらに限定されない。コーティングプロセスのための溶液中のスルフヒドリル化合物の好適な濃度は、約0.1重量%〜約90重量%又は所定の溶質及び溶媒組成物の溶解度までの範囲の濃度である。コーティングプロセスのために使用されるガルバーニ微粒子の量は、反応装置、つまり完全な混合を達成する能力及び所定の反応に使用されるスルフヒドリル化合物の量によって決定される。コーティング反応時間は、所定の反応のコーティング速度によって、周囲温度において数分から数時間まで変動し得る。必要であれば、遅いコーティング速度を加速させるために高温が使用され得る。
【0170】
ガルバーニ微粒子上のスルフヒドリル化合物コーティングの有用性
実施形態において、スルフヒドリル含有アミノ酸又はこれらの誘導体及びその類似体が、制御された方法でガルバーニ微粒子の表面上を部分的に又は完全にコーティングするために十分な量で利用され、ガルバーニ電気の生成を調節し、ガルバーニ微粒子の化学的安定性を改善する。特に、コーティングを形成するために、スルフヒドリル含有アミノ酸及びその誘導体(例えば、L−システイン、グルタチオン及びN−アセチルL−システイン)が使用される場合、コーティングはまた、ガルバーニ微粒子と生物学的細胞及び組織の適合性を促進するための中間層として機能する。このようなコーティングの別の重要な有用性は、意図される生物学的効果のために、スルフヒドリル化合物との架橋結合等の化学結合(例えば、アミノ酸又はアミノ酸誘導体のカルボキシル基上のエステル結合)により、ガルバーニ微粒子表面への他の化学的及び生化学的部分の取り付けを可能にすることである。このような取り付け手段の使用の1つの非限定的な例は、ガルバーニ微粒子の表面上に固定化されたスルフヒドリル化合物への、架橋結合を介した別の化合物(例えば、薬物又は活性剤)を取り付けて、表面に取り付けたプロドラッグを形成することである。人体への適用の際(例えば、経口、注射、埋め込み又は外科的手段による)、エステラーゼがエステル結合を開裂して、ガルバーニ微粒子に近接する薬物を放出し、ガルバーニ微粒子の生物学的作用と共にそれ自体の薬理作用を発揮させて、相乗効果を得る。別の化合物(すなわち、第2化合物)の、スルフヒドリル化合物への結合部位は、第2化合物の多くの官能基であり得、かつ結合が身体環境の適用部位において開裂され得る限りにおいて、あらゆる種類の結合であり得る(すなわち、エステル結合のみに限定されない)。プロドラッグ手法は、医薬品化学のプロドラッグ設計及び合成の分野において既知である。別の実施形態において、第2化合物は、診断目的で使用するために、薬物又は活性剤ではなく診断用薬剤又はマーカーであってもよい。
【0171】
美容金属としてのガルバーニ微粒子フレーク
効果顔料
本発明の一実施形態において、前述のガルバーニ微粒子は、生物学的作用に加えて魅力的な外観の両方を提供するための、金属性効果顔料(例えば色付きの化粧品に使用される金属性材料等)の形態である。金属性効果顔料は、美容組成物において幅広く使用され、これは通常、アルミニウム、銅又は銅−亜鉛合金から選択されることが多い基本金属フレークで製造される。用語「金属性効果顔料」は、主に平坦な形状の、配向された金属性の又は高度に光屈折性の粒子において方向付けられた反射を有する、金属性顔料を表すものとして使用される。これらは常に、板状又はフレーク状の形状であり、染料と比較して非常に大きな粒径を有する。これらの光学的特性は、反射及び干渉によって決定される。透明性、吸収性、厚さ、単層又は多相構成によって、特殊効果顔料は、金属性光沢、真珠光沢、干渉又は干渉反射を呈する。金属性アルミニウムフレークの銀色系の色は、有機ポリマー、シリケート又はシリカ等の結合剤系を用い、金属酸化物(例えば酸化鉄、酸化銅、これらの混合又は他の金属酸化物)の細かい粒子によりベース金属表面を部分的にコーティングすることで、多くの色に変えることができる。金属性効果顔料上の部分的なコーティングは、(a)魅力的な色又は審美的な金属性光沢、強度を低減しそれによって持続性を増加させるためのガルバーニ電気の生成の制御方法、及び(c)その金属性光沢を維持するためのベース金属フレークの酸化防止を、提供する。色付き美容効果顔料の製造方法は、米国特許番号第5,931,996号に記載され、本明細書において参照としてその全体を組み込まれる。
【0172】
本発明の一実施形態は、ヒト等の動物の身体に対する有益な生物学的な効果のため、不完全な色又は無色のコーティングを有する又は有さない、フレーク状のガルバーニ微粒子の形態の、金属性効果顔料の美容光学特性を有するガルバーニ微粒子を使用するための組成物及び方法を開示する。このようなガルバーニ金属性効果顔料は、ユーザーに、ガルバーニ微粒子からの電気刺激及び電気化学媒介による変化の利益だけでなく、金属性効果顔料の光学特性の魅力的な審美的外観をも同時的に提供する美容用途のために特に有用である。
【0173】
ヒト隔膜及び隣接する組織(皮膚、粘膜、毛髪、創傷、唇、歯等)における局所適用のためのガルバーニ金属性効果顔料の使用の利点としては、(a)高い比表面積による、有益なガルバーニ作用の高い作用(b)広範な色の選択肢による金属性効果顔料の魅力的な外観(c)皮膚等の湿った隔膜への適用後に金属性の光沢のある外観からより光沢の少ない外観へと変化し、健康な皮膚の自然な外観に次第に馴染む能力が挙げられるが、これらに限定されない。
【0174】
本発明のガルバーニ金属性効果顔料を形成するために、第2導電性材料を第1導電性材料にコーティングするための好ましい製造方法は、金属性効果顔料業の分野において既知である、物理蒸着又は化学蒸着のいずれかの蒸着による。色付き美容効果顔料の製造方法は、米国特許番号第5,931,996号、同第5,964,936号、同第5,993,526号及び同第7,172,812号に記載され、本明細書において参照としてその全体を組み込まれる。
【0175】
ガルバーニ微粒子を含む吸収性充填剤組成物
本発明の一実施形態は、(a)持続的な効果のために内因性コラーゲン及びエラスチンの合成を刺激することにより、並びに(b)注射に対する炎症組織の望ましくない反応(例えば、疼痛、圧痛、浮腫及び紅斑)、及び感染可能性等の、充填剤注射手順に関連する複雑性を低減させることにより、皺用のコラーゲン注射充填剤等の、美容用の注射可能な充填剤の性能を向上させる方法を開示する。
【0176】
TK Hamilton,MDによる出版物(Skin Aurgumetnation and correction:the new generation of dermal fillers−a dermatologist’s experience,Clinics in Dermatology,2009:27,S13〜S22)によると、顔に中程度に刻まれた〜深く刻まれた皺及びひだのために注射可能な美容皮膚充填剤は、2つの群(a)真皮及び皮下空間の充填により軟組織容量欠損を復元するウシ及びヒトコラーゲン並びにヒアルロン酸等の置換用皮膚充填剤(持続期間:3〜12ヶ月)、及び(b)線維芽細胞活性、コラーゲン合成及び軟組織増殖の刺激により容積を置換するポリL乳酸(PLLA)及びカルシウムヒドロキシアパタイト(CaHA)等の刺激性充填剤(持続期間:9〜24ヶ月)に分類され得る。米国では市販のコラーゲン及びヒアルロン酸(例えば、Ortho DematologicsによるEvolence及びAllerganによるZyderm、Zyplast、CosmoDerm & CosmoPlast)が、粘稠なゲル注射組成物として配合され、市販の注射可能なPLLA充填剤(DermikによるSulptra)が、凍結乾燥粉末として配合される(PLLA充填剤は、注射のために無菌水により再構成する必要がある)。置換用皮膚充填剤の欠点は、その短い持続時間であり、この充填剤は頻繁な処理を必要とし、一方で刺激用充填剤の欠点は副作用である。例えば、注射可能なPLLAと関連する有害事象としては、挫傷、浮腫及び炎症が挙げられる。加えて、充填剤注射に伴う疼痛があり、一般的に、疼痛管理のため注射組成物中にはリドカインが使用される。
【0177】
一実施形態は、注射前にこれらを充填剤組成物と混合して本発明のガルバーニ微粒子を同時投与することにより、これらの欠点を克服する。ガルバーニ微粒子の生物学的効果は、消炎、コラーゲン及びエラスチンの合成の刺激、抗菌作用及び疼痛低減(実施例参照)を含むため、置換用注射充填剤にガルバーニ微粒子を添加することで持続時間を延ばすことができ、刺激用注射充填剤に添加することで、炎症、浮腫、挫傷及び疼痛等の副作用を低減させることができる。充填剤の適用のための、好ましいガルバーニ微粒子は、人体にとって不可欠なミネラルとなり得る金属、例えば、アノード材料としての亜鉛及びマグネシウム(第1導電性金属)並びに銅及び鉄(第2導電性金属)から作製されるものであり、例えば、Zn−Cu製、Mg−Cu製、Mg−Fe製のガルバーニ微粒子等である。同じ優先傾向が、次節に記載される、以下の経口用途についても妥当する。
【0178】
ガルバーニ微粒子組成物を使用する、肥満管理及び体重調整のための経口治療
肥満は世界中で3億人が関連するものと推定される、世界的な問題である。これは米国の人々にとって特に深刻な病気であり、米国内においておよそ6000万人に影響が及んでおり、特に女性に影響している。20〜74歳の女性の1/3超が肥満である。更により多くの人々が現在では過体重であり、臨床的定義における肥満に次第に近付いている。肥満の治療のために、電気刺激が提唱されてきた。Y.Sun及びJ.Chenによる出版物は、脂肪吸収の減少に対する電気刺激の影響を実証した(「Intestinal electrical stimulation decreases fat absorption in rats:therapeutic potential for obesity」,Obesity Research,Vol.12,No.8,Aug.2004,pages 1235〜1242)。米国特許番号第7,177,693号は、肥満を治療するための、埋め込み可能な胃内電気刺激装置を開示する。外科用インプラント電気刺激装置に関連する、巨額の費用及び潜在的に深刻な複雑性、加えて肥満及び体重の問題に関わる人口の病気の規模を考慮すれば、非外科的手法が明らかに治療方法として好ましい。
【0179】
本発明の一実施形態は、体重調整及び肥満治療のために、経口ガルバーニ微粒子組成物を使用した、ヒト等の動物の胃腸(GI)管への電気刺激を提供する方法を開示する。経口ガルバーニ微粒子組成物はガルバーニ作用の後に製薬上及び栄養的に許容できるミネラルイオンとなる金属性組成物から作製されるガルバーニ微粒子並びに放出が制御された経口剤形を含み、この経口剤形はガルバーニ微粒子の時期尚早な分解を防ぎ、ガルバーニ微粒子が胃腸管内の標的部位(例えば、脂肪吸収を低減するために小腸又は空腸等の特定の標的部位)において活性化されることを可能にする。
【0180】
胃腸管電気刺激のためにガルバーニ微粒子を使用することの利点としては(a)外科的に埋め込まれた電気刺激装置(例えば、前述の胃ペーシング装置及び腸ペーシング装置)を必要とせずに胃腸管内の標的部位に電気刺激を提供し、あらゆる手術に伴う危険性、費用及び手術後の複雑性を排除すること、(b)電気刺激作用が胃腸管内の標的部位に限定され、ガルバーニ電気刺激の副生成物が毎日の食生活に既に含まれている不可欠なミネラル及び栄養サプリメントであることによる良好な安全性、(c)外科用インプラントの選択と比較した場合の著しい費用の削減、(d)適用の便利さ及び必要に応じた治療の中断の容易さが挙げられるが、これらに限定されない。
【0181】
本発明の一実施形態は、ガルバーニ微粒子を、医薬産業及び口内医薬製品の分野において既知の、典型的に経口薬物投与のための経口剤形、例えば、ハードゼラチンカプセル、ソフトゼラチンカプセル及び錠剤等に配合する。摂取の際に、ガルバーニ微粒子を含むこのような経口剤形は、ガルバーニ微粒子を胃腸管に供給し、ガルバーニ電気刺激を提供し得る。標的刺激部位により、経口剤形は、胃電気刺激のための速い放出(例えば、速く放出するか又は急速に崩壊する錠剤)のために設計され得るか又は腸溶ポリマーでコーティングされるか又はその中にうめこまれ得(オイドラギットS、オイドラギットRポリマー)、これらのポリマーは酸性の胃液内で不溶性及び水透過性であり、ガルバーニ微粒子を保護して非活性状態に維持するが、小腸内で中性pHに近付くと、容易に溶解して、電気刺激作用のためにガルバーニ微粒子を放出する。
【0182】
最近の出版物は、肥満のヒト及びネズミの腸内細菌が、肥満でない個体におけるものと異なることから、腸内に見られる細菌の種類と、体重の調整との間の潜在的な関係を調査している(「Obesity and gut flora」by M.Bajzer and R.J.Seeley,Nature,Vol.444,21/28 Dec.2008,page 1009〜1010)。肥満体に存在する細菌種は、食物をより効率的に分解し、それによって宿主がより多くのカロリーを吸収するのを助けるものと推測されている。本発明のガルバーニ微粒子は、抗菌作用を実証しており、腸内の細菌量を制御するために使用され得るため、したがって腸の電気刺激を提供することに加えてカロリーの摂取を低減することを助けることができる。本発明の一実施形態は、肥満又は過体重を治療する又は防ぐために、製薬上又は栄養上許容できる経口剤形の製品又は組成物の各経口投与により、腸内細菌量を低減する。
【0183】
本発明を以下の非限定的な実施例により以下に説明する。
【実施例】
【0184】
実施例1−置換化学に基づくガルバーニ微粒子の調製(コーティング形成方法)
亜鉛粉末上に銅を無電解めっきすることにより、0.1%の銅でコーティングされた亜鉛ガルバーニ微粒子を製造した。10gの≦45マイクロメートルの亜鉛粉末を、0.22マイクロメートルのフィルタを用いて真空フィルタブフナー漏斗上に均一に広げた。次いで、酢酸銅溶液5gをこの亜鉛粉末上に均等に注ぎ、約30秒間反応させた。次いで、濾液が完全に吸い上げられるまで、フィルタを吸引した。次いで吸引をやめ、得られる粉末ケーキに10gの脱イオン水を添加し、次いで吸引した。次いで、吸引力下で10gのエタノールを粉末に添加した。次いで、粉末を注意深くフィルタシステムから取り除き、デシケータ内で乾燥させた。
【0185】
実施例2−ヒト皮膚外移植モデルにおけるエラスチン及びコラーゲン遺伝子発現
皮膚の老化は、コラーゲン及びエラスチン合成の減少並びにコラーゲン及びエラスチン繊維の分解の増加に関連する。したがって、これらの合成を向上するか又はその分解を防ぐことができる薬剤は、皮膚の老化の防止又は低減のために有益であり得る。弾性繊維形成及びコラーゲン合成を向上することができる製品は、皮膚の老化防止だけではなくまた、いくつか挙げるとすれば、女性健康の領域(FSE、失禁、器官の脱出等)、創傷治癒、口腔の健康の改善及び痔の発生の低減又は防止等多くの消費者利益を提供する可能性を有する。
【0186】
驚くべきことに、Zn−Cuガルバーニ微粒子の原型は、ヒト皮膚外移植モデルにおける、生体外のエラスチン及びコラーゲン発現を効果的に促進することができることが見出された。ブタの皮膚の真皮内における、エラスチン繊維の数及び厚さの増加及び新しく形成されたコラーゲンの存在がまた、プロトタイプのZn−Cuガルバーニ微粒子による治療の後に組織学的に観察された。この増加は、皮膚構造、弾性及び弾力性の改善と関連し、かつ皮膚の老化を防ぎ、治すために使用され得る。
【0187】
皮膚外移植モデルは、美容整形手術を受ける健康な者の腹部皮膚から、了解を得た上で得られたヒトの皮膚を使用して形成された。US HIPAA規則に従い、機密情報を保持するために患者の身元は開示されなかった。パンチ生検(12mm)が、増殖因子のカクテルを添加したDMEM/F12基本培地内に維持された。
【0188】
皮膚外移植片は、培地中で1日間培養され、その後、実施例1にしたがって作製された、新しく調製された0.1% CuコーティングZnガルバーニ微粒子の1%の水中懸濁液15μlで、1日1回局所処置された。皮膚のサンプルは、培養の5日目及び7日目に回収された。回収されたサンプルは、ヒストロジーH&E、ルナエラスチン染色か、又はエラスチン及びコラーゲンIVのmRNAレベルについてのRNA分析のいずれかで処理された。組織学的な染色切片の画像が、ImagePro Plus 5.1(Mediacybernetics,Silver Spring,MD)によって得られた。抽出されたRNAに関してリアルタイムPCRが行われた。
【0189】
結果を表1に示す。
【表1】
【0190】
表1のデータは、Zn−Cuガルバーニ微粒子が、特にDE接合部と垂直な真皮乳頭層内のエラスチン繊維の量を増加させ、エラスチン及びコラーゲンIVの両方のmRNAレベルを増加させたことを示している。加えて、H&E染色は、Zn−Cuガルバーニ微粒子によって組織の損傷又は構造的変化が誘発されなかったことを示した(H&E染色)。
【0191】
実施例3−プロトタイプのZn−Cuガルバーニ微粒子での治療の後の、組織学的分析による、ブタの皮膚中のコラーゲン及びエラスチン繊維網状組織の向上
褐色のYucatan Microブタが、Charles River(Portland,ME)から得られ、12時間の照明と12時間の消灯の光周期の、環境を制御された室内で、適切な大きさの単一のケージに収容され、1日につき600gの標準的なブタ用飼料と、無制限の水を供給された。動物の世話は、「Guide for the Care and Use of Laboratory Animals」,NIH Publication No.85〜23に基づいた。動物は、標準的な入れ墨手順によって局所的領域を画定する前に1週間ほど慣らされ、研究の開始前に更に1週間ほど回復させた。
【0192】
局所薬(各側部の1部位につき200μl)が、1日2回、週に5日で、8週間にわたり、入れ墨をした部位に適用された(およそ5時間の間隔)。ブタの皮膚が濡れたペーパータオルで拭かれ、過度に乾燥した皮膚を排除され、処理前に乾燥された。処理剤は、実施例1に従って作製した0.1% CuコーティングZnガルバーニ微粒子を、水中1%及び5%の懸濁液として含んだ。水のみの処理剤を対照とした。処理部位の位置は、各ブタの両側において無作為化した。
【0193】
局所的処理の開始から8週間後、最後の処理の24時間後に、ペントバルビタールナトリウム系薬物の静脈注射によりブタを人道的に安楽死させた。皮膚パンチ生検(8mm)が全ての処理部位から回収され、10%中性ホルマリンで固定された。ブタ皮膚サンプルのパラフィン切片が、新しいコラーゲン産生(プロコラーゲン染色)、エラスチン繊維(食用黄色4号対比染色を有するルナエラスチン)について組織学的に分析された。驚くべきことに、対照との比較において、Zn−Cuガルバーニ微粒子で処理したブタ皮膚中において、DE接合部と垂直な真皮乳頭層中に増量したエラスチン繊維が、加えて網状真皮中により厚く増加した繊維の存在が観察された。プロコラーゲン染色は、成熟コラーゲン(赤色染色)を含む対照と比較して、Zn−Cuガルバーニ微粒子で処理した皮膚中の真皮全体にわたり、新しく形成された/新しいコラーゲン(青色染色)が存在したことを確認した。
【0194】
実施例4−再構築された表皮上におけるUV誘発性炎症促進性伝達物質の放出に対する抗炎症作用
以下の実施例は、皺の処理のための市販のコラーゲン充填注射と混合した際の、ガルバーニ微粒子のインビトロの抗炎症作用を示した。
【0195】
ガルバーニ微粒子を含む、コラーゲン系の真皮充填剤の効果が、ヒト表皮同等物における抗炎症作用について評価された。表皮同等物(EPI 200 HCF)(正常ヒト表皮ケラチノサイトからなる多層で分化した表皮)は、MatTek(Ashland,MA)から購入した。受領の際、表皮同等物を、ヒドロコルチゾンを含まない維持培地中で37℃にて24時間インキュベートした。ガルバーニ微粒子(実施例1に従って作製された0.1% CuコーティングZnガルバーニ微粒子)が、コラーゲン系真皮充填剤と混合され(OrthoDermatologicsから市販されるEvolence(登録商標))、1%のガルバーニ微粒子を含む真皮充填剤が生成された。1%のガルバーニ微粒子を含むコラーゲン系真皮充填剤単独又はコラーゲン系真皮充填剤単独が、それぞれ太陽紫外線光(1mm Schott WG 320フィルターを備えた1000W−Oriel太陽シュミレーター、360nmで測定した際に70kJ/m2の紫外線量を適用)への曝露の前に皮膚同等物に2時間適用された。同等物は維持培地を用いて37℃で24時間インキュベートされ、次いで市販のキット(Upstate Biotechnology,Charlottesville,VA)を用いて、IL−1aサイトカイン放出について上清を分析された。
【0196】
結果を表2に示す。
【表2】
**は、有意差P<0.05に設定したステューデントのt検定を使用し、UV+コラーゲン系真皮充填剤単独の場合からの有意差を示す。
【0197】
1%ガルバーニ微粒子を含むコラーゲン系真皮充填剤は、UV刺激による炎症メディエーターの放出を有意に低減することができた。したがって、ガルバーニ微粒子を含むコラーゲン系真皮充填剤は、有効な抗炎症利益を提供するものと予測される。
【0198】
実施例5−ガルバーニ微粒子の経口投与が鎮痛効果を生じた
疼痛とは「実際の又は潜在的な組織損傷と関連するか、又はそのような損傷の点から説明される、不快感及び感覚的経験」として定義される(International Association for the Study of Pain(IASP))。疼痛は、不快なものから消耗性のものまでの範囲に及び得る。疼痛は関節痛等の疾患状態中に生じる場合があり、あるいは外科手術の結果として、例えば注射若しくは切開の後、又はレーザー治療の後に生じる場合がある。鎮痛剤は疼痛を軽減することができるが、これらの使用は多くの副作用を伴う。例えば、アスピリンは、胃腸の損傷を生じる場合があり、オピオイド化合物は、中毒から呼吸機能の低下までに及ぶ状態を含み得る。したがって、疼痛を治療するために新しい鎮痛剤に対する必要性が存在する。
【0199】
この実施例において、実施例1のプロセスによって生じるガルバーニ微粒子が、鎮痛作用に関して評価された。このモデルにおいて有効性を示すものとして知られる、アスピリン(非ステロイド性鎮痛剤)が、基準化合物として含まれた。24±2gの体重のアルビノ雄CD−1マウスが研究に使用された。ガルバーニ微粒子又はアスピリンが脱イオン水(DI水)で調製され、酢酸の注射の1時間前に、100mg/kgの濃度でマウスに経口投与された。20mg/kg(0.5%)酢酸溶液が腹腔内に注射され、酢酸が誘発する苦悶数が、処理剤群を知らされていない観察者によって数えられた。苦悶数の50%の減少は、鎮痛作用を示した。
【表3】
**=P<0.05(ステューデントのt検定を使用した溶媒と比較)
【0200】
ガルバーニ微粒子は、鎮痛薬剤と匹敵する疼痛モデルにおける鎮痛作用を生じた。
【0201】
実施例6−インビトロ検査を使用した、ガルバーニ微粒子抗菌作用の実証
試験材料
粉末サンプル
−実施例1のプロセスに従って作製された銅コーティング亜鉛微粒子
0.1%銅(Cu)コーティング亜鉛(Zn)
0.01%銅(Cu)コーティング亜鉛(Zn)
−Zn粉末
−Cu粉末
【0202】
試験微生物
−Aspergillus niger American Type Culture Collection(ATCC)16404 Quanti−Cult Plus,Chrisope Technologies,A Division of Remel Inc.,Product # 47−11100
−Campylobacter jejuni subsp.jejuni ATCC 33291,Culti−loops,Remel Inc.,Product # R4601400
−Candida albicans ATCC 10231,Quanti−Cult Plus,Chrisope Technologies,A Division of Remel Inc.,Product # 47−11503
−Clostridium difficile ATCC 43594,凍結乾燥分離,ATCC
−Enterococcus faecium ATCC 700021(vancomycin resistant[VRE]),(Ethicon Microbiology Groupから供給)
−Escherichia coli ATCC 8739,Quanti−Cult Plus,Chrisope Technologies,A Division of Remel Inc.,Product # 47−17085
−Haemophilus influenzae ATCC 49247,Culti−loops,Remel Inc.,Product # R4603830
−Listeria monocytogenes ATCC 7644,Culti−loops,Remel Inc.,Product # R4603970
−Moraxella catarrhalis ATCC 8176,Culti−loops,Remel Inc.,Product # R4601228
−Propionibacterium acnes ATCC 6919,Culti−loops,Remel Inc.,Product # R4607101
−Pseudomonas aeruginosa ATCC 27853,Culti−loops,Remel Inc.,Product # R4607060
−Salmonella enterica serovar Typhimurium ATCC 14028,Culti−loops,Remel Inc.,Product # R4606000
−Staphylococcus aureus ATCC 33593(methicillin resistant[MRSA]),(Ethicon Microbiology Groupから供給)
−Streptococcus pneumoniae ATCC 49619,Culti−loops,Remel Inc.,Product # R4609015
−Streptococcus pyogenes ATCC 19615 Group A,Culti−loops,Remel Inc.,Product # R4607000
−Trichophyton mentagrophytes ATCC 9533,Culti−loops,Remel Inc.,Product # R4608300
−BacT/ALERT iAST−40mL supplemented tryptic soy broth(TSB),standard aerobic bottle,Product # 259786
−BacT/ALERT iNST−40mL supplemented TSB,standard anaerobic bottle,Product # 259785
−BacT/ALERT MB−29mL supplemented Middlebrook 7H9 broth,Product # 251011,with 1−mL MB/BacT enrichment fluid,Product # 259877,(血液サンプルからのマイコバクテリア培養のため)
【0203】
試験装置
・BacT/ALERT Microbial Detection System,Model 240,Serial # 001BT2893
・生物学用安全キャビネット
・33℃に設定されたインキュベータ
【0204】
試験微生物培養調製
Quanti−Cult Plusサンプルが製造元の取扱説明書に従って懸濁され、適切なBacT/ALERTサンプルボトルに注射された。殆どのCulti−Loopサンプルが、個別の1.5mL無菌ポリプロピレンねじキャップ式チューブ内に無菌で挿入され、その後およそ1mLの無菌TSBに溶解された。1mLサンプルアリコートが適切なBacT/ALERTサンプルボトルに注射された。サンプルボトルはその後、定常期培養物を得るまで、BacT/ALERTシステム内でインキュベートされた。MRSA及びVREの定常期培養物は、Ethicon Microbiology Groupにより快く提供された。BacT/ALERTのインキュベーション温度は、試験微生物の最適な成長要件によって、33〜37℃まで変化した。
【0205】
トリコフィトン・メンタグロファイテスを培養するため、Culti−Loopは、TSAプレートの表面上へと直接、画線され、プレート表面上に菌糸成長を生じるまで、33℃で3〜7日間インキュベートされた。
【0206】
プロピオニバクテリウム・アクネス、クロストリジウム・ディフィシレ、カンピロバクター・ジェジュニ及びヘモフイルス・インフルエンザ(嫌気性BacT/ALERT iNSTボトルを使用した)を除き、試験微生物の殆どが好気性BacT/ALERT iASTボトルを使用して培養された。カンピロバクター・ジェジュニ及びヘモフイルス・インフルエンザの増殖を最適化するため、5mLの羊の線維素除去血が追加され、8mLの無菌空気がボトルのヘッドスペースに注射されて、微好気性増殖条件が生成された。
【0207】
Zn−Cuガルバーニ微粒子、Zn粉末、及びCu粉末懸濁液
正確に0.4gのガルバーニ微粒子サンプルが、個別の1.5mLの無菌ねじキャップ式ポリプロピレンチューブに計り取られた。無菌20G針が使用され、指定のBacT/ALERTサンプルボトルからおよそ1mLの培地アリコートが3mL無菌シリンジへと吸い上げられた。このアリコートは、粉末サンプルを再懸濁するために使用され、その後40mLサンプルボトルに戻されて1%ガルバーニ微粒子懸濁液が得られた。この手順は、ガルバーニ微粒子が、BacT/ALERTサンプルボトルへと定量的に無菌で移されるまで、繰り返された。同じ手順を使用して、0.4gの亜鉛粉末及び0.04gの銅粉末を移し、1%及び0.1%の最終的な懸濁液をそれぞれ得て、プロセス対照として機能させた。
【0208】
試験微生物懸濁液
1mL無菌注射器及び20G針が使用され、0.5mLアリコートの定常期試験微生物培地が、1%のガルバーニ微粒子、1%の亜鉛粉末又は0.1%のCu粉末を含む指定のBacT/ALERTサンプルボトル内へと注射され、およそ1×106CFU/mLの標的濃度が得られた。実際の供給数は、融解したTSAを使用した混釈抹法で確認され、以下の表4に示された。プロピオニバクテリウム・アクネス及びカンジダ・アルビカンスに関し、1×102CFU/mLの追加的な濃度をまた試験して、ガルバーニ微粒子の抗菌効果が、これらの試験微生物に関して濃度に依存するかどうかを調査した。
【0209】
トリコフィトン・メンタグロファイテスの場合、およそ1cm2寒天小片が、表面菌糸を含むTSAプレートから無菌で切除されて、ガラスビーズ及び50mLの無菌の脱イオン水を含む、250mLの無菌振盪フラスコ内に移送された。振盪フラスコは、大部分が断片化した菌糸を含む、白濁した懸濁液が得られるまでボルテックスにかけられた。1mLの無菌注射器及び20C針が使用され、1mLのこの不透明な懸濁液が、1%ガルバーニ微粒子、1% Zn粉末又は0.1% Cu粉末を含む指定のBacT/ALERTサンプルボトルに注射された。上記のように実際の供給数が決定されて、以下の表4に示される。この試験微生物において、ガルバーニ微粒子抗菌効果に対する潜在性のある培地効果を調べるために、追加的な最少培地好気性BacT/ALERTサンプルボトル(BacT/ALERT MB)が含まれた。
【0210】
BACT/ALERT細菌分析
試験微生物及び粉末懸濁液を含む指定のBacT/ALERTサンプルボトルが、BacT/ALERTシステム内に装填され、これらは連続的に撹拌されて、増殖を自動的にモニタリングされた。BacT/ALERTインキュベーション温度は、試験微生物の最適な増殖要件によって、33〜37℃で変化した。インキュベーション時間は7日に設定され、この期間において増殖が検出されない場合は、増殖が陰性であるものとして標識された。各サンプルセットに関し、適切な陽性及び陰性のプロセス対照が含まれた。
【0211】
陰性サンプルボトルはその後、1mLアリコートを新しいBacT/ALERTサンプルボトルに注射することによって継代培養され、以下の表4に示されるように、ガルバーニ微粒子の殺菌性対静菌作用を決定することを助けた。1mLの継代培養したサンプルボトルの続く追加的な7日間のインキュベーションの後に微生物の増殖が検出された場合、ガルバーニ微粒子は指定の試験微生物に対して静菌性であるものと判定された。しかしながら、これらの陽性の継代培養サンプルに関して微生物の同定は行われなかったため、継代培養プロセス中に汚染菌が混入した可能性は、この準備的研究においては完全に排除できない。加えて、緑膿菌及び大腸菌の場合、静菌性の結果は、BacT/ALERTサンプルボトルに不注意により供給された1×107対1×106CFU/mLのより高い開始試験微生物細胞濃度の結果であり得る。
【0212】
結果と考察
代表的な標的特異的病原性試験微生物を接種した、TSB系BacT/ALERT培地サンプルボトル内に懸濁された1%ガルバーニ微粒子の抗菌作用が、以下に示される(表4)。この説明は潜在的な医学適用によってまとめられる。0.1% Cu粉末のみの対照は、試験微生物の増殖を抑制しなかった。アスタリスク(*)によって示される個所では、1%Zn粉末対照はやはり、試験微生物に対する静菌性又は殺菌性を見出された。抗菌効果及び証明された抗炎症性、創傷治癒並びに同様の特性に加え、銅/亜鉛ガルバーニ微粒子の関連する電流は、バイオフィルム及び病原性感染を生じる上で重要な病原微生物クオラムセンシング(QS)を抑制し、それによってガルバーニ微粒子の治療効果を向上させ得る。したがって、ガルバーニ微粒子が静菌性又は更に増殖に対して非抑制性であるものと見出された場合、以下の表4に示されるように、大腸炎の治療のためのクロストリジウム・ディフィシレの場合、バイオフィルム/感染性の抑制のために、治療効果は依然として存在し得る。加えて、大腸炎の潜在的な防止/治療のための、より低い密度のクロストリジウム・ディフィシレ(すなわち、1×102CFU/mL)に対する、ガルバーニ微粒子の潜在的な抗菌効果は、更なる研究なしには排除できない。
【0213】
これらの抗菌性の結果を生じるための試験目的のため、ガルバーニ微粒子の試験濃度は適宜1%に選択され、銅コーティング濃度は0.01%〜0.1%であったことに留意すべきである。最低0.1%試験濃度までの、0.1%銅コーティング亜鉛ガルバーニ微粒子の抗菌効果を示す、追加的なインビトロの研究が行われ(結果は示されない)、ここでZn粉末のみでは、増殖に対する抑制は示されなかった。Zn−Cuガルバーニ微粒子の抗菌作用を増加させるため、3つの要因:(1)ガルバーニ微粒子の濃度を増加させること、(2)ガルバーニ反応領域を増加させるために銅の含有量を増加させること、及び(3)亜鉛素粒子の粒径を低減させること等により、亜鉛特有の表面積を増加させること、を別個に又は同時に修正することによって、ガルバーニ電気の生成を増加させることができる。
【0214】
最新の文献は、治療効果を増加させ、抗生物質耐性微生物の形成を抑制するために、抗生物質補助剤として銅/亜鉛ガルバーニ微粒子適用の使用を支持する。最近公開された文献は、抗生物質の3つの主要な分類が、薬物標的相互作用にかかわらず、グラム陰性及びグラム陽性細菌の非常に有害なヒドロキシルラジカルの生成を刺激することを示す。ヒドロキシルラジカルの生成は最終的には細胞死を助長する。これは、ガルバーニ微粒子によって生成される活性酸素種(ROS)が、治療効果を増加させ、抗生物質耐性微生物の形成を低減させるために、標準的な抗生物質治療の補助材として機能し得ることを提示する。バイオフィルムの形成を抑制するためにQSと干渉するガルバーニ微粒子の電流の、直前に言及された可能性はまた、抗生物質補助剤としてガルバーニ微粒子を使用するために追加される利益として機能する。
【表4】
#0.01% CuコーティングZn;1×106CFU/mLプロピオニバクテリウム・アクネスに関して静菌性*、MRSAに関して殺菌性、VREの増殖に関して陽性。
【0215】
実施例7.融解亜鉛及び未融解銅粉末からの多相ガルバーニ微粒子調製
元素態銅及び元素態亜鉛の微粒子が、融解銅及び融解亜鉛の別個の噴霧化によって最初に形成された。1:1の重量比にて、銅及び亜鉛の微粒子が噴霧形成かつ微粒化され(420℃超のプロセス温度において)、融解亜鉛粒子が、銅微粒子と共に焼結することを可能にされた。Zn及びCuの凝集複合粒子が形成された。このプロセスは、アルゴンガス保護雰囲気下で行われた。得られる多相Zn−Cuガルバーニ微粒子は、1:1のZn:Cu重量比及び100メッシュ未満(すなわち、149マイクロメートルより小さい)粒径を有した。
【0216】
多相Zn−Cuガルバーニ微粒子のSEM画像は、2つの別個のランダムに分布した金属性領域(すなわち、その特徴的な色を有する銅及び亜鉛)からなるガルバーニ微粒子の表面を明確に示した。ガルバーニ微粒子の大部分は、100マイクロメートルより小さかった。Energy Dispersive X−Ray Spectroscopy(EDS)を使用した多相Zn−Cuガルバーニ微粒子の表面分析の結果が、表5に示される。サンプル1は、実施例1に従って作製されたZn−Cuガルバーニ微粒子であった。
【表5】
【0217】
銅による表面被覆率は、コーティングによって作製されたガルバーニ微粒子(実施例1)と、溶解/分散によって作製された多相ガルバーニ微粒子(実施例7)との間で異なった。一般的に、ガルバーニ微粒子作製のための溶解/分散方法と比較して、ガルバーニ微粒子作製のためのコーティング方法を用いると、より少量の第1導電性金属(すなわち、銅)でより大きな表面被覆率が達成され得る。しかしながら、内部のより均一な第1及び第2導電性材料分布のために、多相ガルバーニ微粒子に関し、これらの電気生成期間全てにわたり、電気生成のための比較的より一定のガルバーニ作用が予測される。これは、第2導電性材料が、第1導電性材料の表面上にコーティングされるのみである、コーティング方法を使用して作製されるガルバーニ微粒子と対照的である。
【0218】
実施例8.接触過敏症のマウスモデルにおける、局所的抗炎症作用
炎症反応に作用するための、多相亜鉛−銅ガルバーニ微粒子(実施例7に記載されるように作製)の局所的適用の能力が、インビボで免疫細胞により介在される皮膚炎症モデルを使用して、実施例1に従って作製されるZn−Cuガルバーニ微粒子と比較して示された。
【0219】
アルビノ雄CD−1マウス(7〜9週)の剃毛した腹部にアセトン/コーンオイル中のオキサゾロン3%、50μlを導入した(初日)。5日目、アセトン中の2%オキサゾロン20μlをマウスの左耳背側に適用した。70%エタノール/30%プロピレングリコール溶媒中へのオキサゾロン抗原投与の1時間後、多相Zn−Cuガルバーニ微粒子が左耳に適用された(20μl)。右耳は処理されなかった。マウスはオキサゾロン抗原投与の24時間後にCO2吸入により屠殺され、左耳及び右耳が切り取られ、各耳から7mmの生検が採取され計量された。右耳と左耳との間の生検重量の差を算出した。化合物の抗炎症効果が、耳の重量増加の抑制として明らかである。以下の結果が得られた。
【表6】
* %抑制=(溶媒処理生検重量−薬剤処理生検重量)/(溶媒処理生検重量)×100
【0220】
Zn−Cuガルバーニ微粒子及び多相Zn−Cuガルバーニ微粒子の局所適用は、両方ともコルチコステロイド(ヒドロコルチゾン)に匹敵する皮膚炎症のモデルにおいて抗炎症作用を示した。更に、Zn−Cuガルバーニ微粒子及び多相Zn−Cuガルバーニ微粒子は両方とも、ヒドロコルチゾンに匹敵する炎症緩和を生じた。
【0221】
実施例9.大腸菌に対する、ガルバーニ微粒子対金属粉末混合物の効果
実施例1のコーティング方法及び実施例7の溶解/分散方法によって製造されるガルバーニ微粒子の抗菌作用が、3つの比率(すなわち、1:1、2:1及び10:1のZn:Cu)の細かい元素態亜鉛及び銅粉末の、物理的混合物について比較して、インビトロで評価された。他の試験材料及び試験条件としては、トリプチカーゼ大豆寒天(TSA)、エシェリキア・コライ(E.coli株ATCC 8739)、37℃におけるインキュベーション時間=24時間が挙げられる。
【0222】
修正された抑制ゾーン試験が以下のように行われた。0.1gの金属粉末(ガルバーニ微粒子又は元素態亜鉛粉末若しくは元素態銅粉末)が混合されながら2mlの脱イオン水に分散され、その後8mlの溶解TSAに添加された(金属粒子の最終的な濃度=1%)。これらは混合され、ペトリ皿に注がれ、固化された。寒天からディスク(15mm直径)がパンチされ、TSA寒天プレート上の細菌のローン上に配置された。抑制ゾーンがその後、24時間のインキュベーション時間の後に測定された。結果を表7に示す。
【0223】
コーティング方法によるガルバーニ微粒子及び多相ガルバーニ微粒子の両方が試験条件下において、大腸菌に対して良好かつ、匹敵する抗菌作用を示した。1:1の比率の亜鉛粉末及び銅粉末の混合物は、多相ガルバーニ微粒子よりも、これが同一の金属組成を有するにもかかわらず、著しく弱い抗菌作用を示した。金属混合物のZn:Cu比が更に2:1まで増加されると、更に弱い抗菌作用が観察された。Zn:Cu比が10:1のとき、抗菌作用は検出され得なかった。これらの試験結果は、観察される抗菌作用におけるガルバーニ作用の重要性を示す。すなわち、ガルバーニ微粒子は、予備形成されたガルバーニ電気対として、亜鉛及び銅粉末の金属混合物よりも良好なガルバーニ抗菌作用を有した。
【表7】
【0224】
〔実施の態様〕
(1) 第1導電性材料を含む連続的な相内に分散される第2導電性材料を含む分散相を含む、多相ガルバーニ微粒子であって、前記第1導電性材料及び前記第2導電性材料の両方が、前記微粒子の表面上に露出し、前記微粒子の粒径は約1〜約500マイクロメートルであり、前記微粒子は約0.5〜約60重量%の前記分散相を含む、多相ガルバーニ微粒子。
(2) 前記分散相が約950℃を超える融点を有する、実施態様1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
(3) 前記第2導電性材料が、銅、銀、金、マンガン、鉄及びこれらの合金からなる群から選択される、実施態様1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
(4) 前記連続的な相が約750℃未満の融点を有する、実施態様1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
(5) 前記第1導電性材料が、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、及びこれらの合金からなる群から選択される、実施態様1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
(6) 導電性/抵抗性中間層を更に含む、実施態様1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
(7) 前記導電性/抵抗性中間層が、前記第1導電性材料又は前記第2導電性材料の酸化物又はハロゲン化物を含む、実施態様6に記載の多相ガルバーニ微粒子。
(8) 追加的な導電性材料を含む、少なくとも1つの追加的な分散相を更に含む、実施態様1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
(9) 前記第1導電性材料と前記第2導電性材料との標準電位における差が、少なくとも約0.2Vである、実施態様1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
(10) 第1導電性材料を含む連続的な相内に分散される第2導電性材料を含む分散相を含む、多相ガルバーニ微粒子を、ヒトの組織に適用することを含む、前記ヒトの組織を治療する方法であって、前記第1導電性材料及び前記第2導電性材料の両方が、前記微粒子の表面上に露出し、前記微粒子の粒径は約1〜約500マイクロメートルであり、前記微粒子は約0.5〜約60重量%の前記分散相を含む、方法。
【0225】
(11) 前記ヒトの組織の炎症を治療する、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記ヒトの組織の感染及び微生物を治療する、実施態様10に記載の方法。
(13) 前記ヒトの組織を再生のために治療する、実施態様10に記載の方法。
(14) 前記ヒトの組織の皺を治療する、実施態様10に記載の方法。
(15) 前記ヒトの組織を創傷治癒のために治療する、実施態様10に記載の方法。
(16) 前記ヒトの組織のにきびを治療する、実施態様10に記載の方法。
(17) 前記ヒトの組織の皮膚炎を治療する、実施態様10に記載の方法。
(18) 実施態様1の多相ガルバーニ微粒子を含む経口剤形。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電性材料を含む連続的な相内に分散される第2導電性材料を含む分散相を含む、多相ガルバーニ微粒子であって、前記第1導電性材料及び前記第2導電性材料の両方が、前記微粒子の表面上に露出し、前記微粒子の粒径は約1〜約500マイクロメートルであり、前記微粒子は約0.5〜約60重量%の前記分散相を含む、多相ガルバーニ微粒子。
【請求項2】
前記分散相が約950℃を超える融点を有する、請求項1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
【請求項3】
前記第2導電性材料が、銅、銀、金、マンガン、鉄及びこれらの合金からなる群から選択される、請求項1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
【請求項4】
前記連続的な相が約750℃未満の融点を有する、請求項1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
【請求項5】
前記第1導電性材料が、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、及びこれらの合金からなる群から選択される、請求項1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
【請求項6】
導電性/抵抗性中間層を更に含む、請求項1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
【請求項7】
前記導電性/抵抗性中間層が、前記第1導電性材料又は前記第2導電性材料の酸化物又はハロゲン化物を含む、請求項6に記載の多相ガルバーニ微粒子。
【請求項8】
追加的な導電性材料を含む、少なくとも1つの追加的な分散相を更に含む、請求項1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
【請求項9】
前記第1導電性材料と前記第2導電性材料との標準電位における差が、少なくとも約0.2Vである、請求項1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
【請求項10】
請求項1の多相ガルバーニ微粒子を含む経口剤形。
【請求項1】
第1導電性材料を含む連続的な相内に分散される第2導電性材料を含む分散相を含む、多相ガルバーニ微粒子であって、前記第1導電性材料及び前記第2導電性材料の両方が、前記微粒子の表面上に露出し、前記微粒子の粒径は約1〜約500マイクロメートルであり、前記微粒子は約0.5〜約60重量%の前記分散相を含む、多相ガルバーニ微粒子。
【請求項2】
前記分散相が約950℃を超える融点を有する、請求項1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
【請求項3】
前記第2導電性材料が、銅、銀、金、マンガン、鉄及びこれらの合金からなる群から選択される、請求項1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
【請求項4】
前記連続的な相が約750℃未満の融点を有する、請求項1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
【請求項5】
前記第1導電性材料が、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、及びこれらの合金からなる群から選択される、請求項1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
【請求項6】
導電性/抵抗性中間層を更に含む、請求項1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
【請求項7】
前記導電性/抵抗性中間層が、前記第1導電性材料又は前記第2導電性材料の酸化物又はハロゲン化物を含む、請求項6に記載の多相ガルバーニ微粒子。
【請求項8】
追加的な導電性材料を含む、少なくとも1つの追加的な分散相を更に含む、請求項1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
【請求項9】
前記第1導電性材料と前記第2導電性材料との標準電位における差が、少なくとも約0.2Vである、請求項1に記載の多相ガルバーニ微粒子。
【請求項10】
請求項1の多相ガルバーニ微粒子を含む経口剤形。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図11】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図11】
【公表番号】特表2012−522002(P2012−522002A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502258(P2012−502258)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/028695
【国際公開番号】WO2010/111511
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(598039367)ジョンソン・アンド・ジョンソン・コンシューマー・カンパニーズ・インコーポレイテッド (79)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Consumer Companies,Inc.
【住所又は居所原語表記】Grandview Road,Skillman,New Jersey 08558,United States of America
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/028695
【国際公開番号】WO2010/111511
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(598039367)ジョンソン・アンド・ジョンソン・コンシューマー・カンパニーズ・インコーポレイテッド (79)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Consumer Companies,Inc.
【住所又は居所原語表記】Grandview Road,Skillman,New Jersey 08558,United States of America
【Fターム(参考)】
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