説明

二剤式泡状染毛剤

【課題】低温での保存安定性、混合液の起泡性、染色性も良好で、かつ優れたシャンプー堅牢性を有する二剤式泡状染毛剤の提供。
【解決手段】アルカリ剤を含有する第1剤、過酸化水素を含有する第2剤、及び非エアゾールフォーマー容器を含む二剤式泡状染毛剤であって、第1剤中に成分(A)〜(D)を含有し、成分(A)のアニオンサイトと成分(B)のカチオンサイトとの当量比(アニオン/カチオン)が1より大、成分(C)と成分(D)の含有量の質量比(C)/(D)が5以下、混合液の粘度(25℃)が1〜300mPa・sである二剤式泡状染毛剤。
(A)カルボン酸系アニオン界面活性剤
(B)ジアリルジメチル4級アンモニウム塩モノマーのモル分率が70%以上の重合体又は共重合体
(C)メタジヒドロキシベンゼン構造の酸化染料 0.5〜1.5質量%
(D)Mw200〜1200のポリプロピレングリコール 0.1〜9質量%

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二剤式泡状染毛剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪脱色剤、染毛剤としては、液状又はクリーム状のものが普及しているが、これらを毛髪にムラなく塗布するのは慣れない人にとって難しい。これらの染毛剤は、髪に適用する混合物の粘度が、放置時のタレ落ち防止のために1000〜10000mPa・s程度と高めになるよう調整されており、均一に剤を広げにくく、また毛髪の根元まで充分に剤を行き渡らせにくいからである。更に、毛髪の根元部分や後頭部の塗布にはブロッキング、合わせ鏡等のスキルが必要とされ、多くの時間も要する。
【0003】
これに対し、二剤式毛髪脱色剤又は二剤式染毛剤の混合液を非エアゾールタイプのフォーマー容器から泡状に吐出させるものが提案されている(特許文献1)。この毛髪脱色剤又は染毛剤は、第1剤と第2剤の混合液を非エアゾールタイプのフォーマー容器から泡状に吐出することにより、毛髪にムラなく適用でき、仕上がりに色ムラが生じず、特に新生部と既染部の色の段差を解消するのに有用なものであり、男女、年齢層を問わず幅広い客層に支持されている。
【0004】
しかし、特許文献1記載の泡状二剤式毛髪脱色剤及び二剤式染毛剤は、特定の条件で起泡性(泡質)が低下するなど、非エアゾールタイプのフォーマー容器から吐出させる形態に特有の課題が各種存在する。また従来の液状又はクリーム状(以下、「従来剤型」とする)の染毛剤と比べ、混合液での粘度が極端に低いために、保存安定性の良い組成を設計しなければならないという処方上の制約もあった。更に、特許文献1記載の泡状二剤式毛髪脱色剤及び二剤式染毛剤は、従来剤型に比べシャンプー堅牢性が不十分な傾向がある。これは、染毛剤を泡として髪に塗布するため、実際に塗布した量に比べ髪の染毛に直接寄与する量が小さいこと、及び気液界面の面積が従来剤型のものに比べて大きい分、アルカリ剤としてのアンモニアが揮発しやすいためアルカリ剤量が不足し、髪の中心まで染料が十分にいきわたらないことによる、と考えられる。
【0005】
一方、従来剤型の二剤式染毛剤として、ポリオキシアルキレン化カルボン酸エーテル又はその塩と、一定値以上のカチオン電荷密度を有するカチオン性ポリマー又は両性ポリマーとを含有する二剤式染毛剤が提案されている(特許文献2参照)。当該文献によれば、この二剤式染毛剤は、良好な色調が得られるとされている。しかし、混合液を非エアゾールタイプのフォーマー容器から泡状に吐出させる形態の二剤式染毛剤に関する記載はなく、起泡性(泡質)、保存安定性、シャンプー堅牢性等といった上記形態の二剤式染毛剤に特有の課題や制約については、記載も示唆もされていない。
【0006】
また、アルキルエーテル酢酸塩とカチオン性ポリマーを含有し、ヘアカラーの退色防止効果に優れ、泡立ち、洗髪時の指通り、すすぎ時のなめらかさに優れた低刺激性のシャンプー組成物が提案されている(特許文献3)。しかし、このカチオン性ポリマーのカチオンモノマーの比率については何の記載も示唆もされていない。また、シャンプー組成物に係る発明であるため、染毛剤への適用に関し何も言及されていないことは当然であるが、そもそもこの発明は、ヘアカラーで染毛した後の退色防止を当該シャンプー組成物を用いることにより達成する技術であって、用いるシャンプーの如何に関わらず、シャンプー堅牢性に優れる染毛剤の提供とは、技術思想自体が全く別次元のものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004-339216号公報
【特許文献2】特開2003-192551号公報
【特許文献3】特開2001-131034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このたび本発明者らは、非エアゾール式二剤式泡状染毛剤において、シャンプー堅牢性を高めるために各種成分を検討していたところ、カルボン酸系アニオン界面活性剤とジアリルジメチル4級アンモニウム塩モノマーのモル分率が一定以上である重合体又は共重合体とを共存させることがよいことを見出した。一方で、暗めの色を作るためには、染毛剤の剤型にかかわらず、メタジヒドロキシベンゼン構造を有する酸化染料を高濃度で含有させることが多い。
【0009】
そこで本発明者らは、非エアゾール式二剤式泡状染毛剤において、カルボン酸系アニオン界面活性剤と、ジアリルジメチル4級アンモニウム塩モノマーのモル分率が70%以上である重合体又は共重合体と、高濃度のメタジヒドロキシベンゼン構造を有する酸化染料とを第1剤に共存させたところ、低温下での保存安定性が損なわれることを今回新たに見出した。
【0010】
そこで本発明は、毛髪にムラなく適用でき、仕上がりに色ムラが生じないという非エアゾール二剤式泡状染毛剤の良さを有しながら、低温下での保存安定性と混合液の起泡性が良好であり、しかも染色性も良好で、かつ染毛後は、洗髪に用いるシャンプーの種類如何に関わらず、優れたシャンプー堅牢性を有する二剤式泡状染毛剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前述のような組成であっても、一定範囲の重量平均分子量を有するポリプロピレングリコールを前記酸化染料と一定範囲の質量比で用いることにより、高いシャンプー堅牢性を保持しつつ、低温下での保存安定性が著しく向上することを見出した。しかも、相対的に起泡力でやや劣る、カルボン酸系アニオン界面活性剤を用いたうえに、泡の持続性に影響を与える染料を高濃度に含む処方であるにもかかわらず、泡質も向上し、更に染毛性も良好であることを見出した。
【0012】
本発明は、アルカリ剤を含有する第1剤、過酸化水素を含有する第2剤、及び第1剤と第2剤の混合液を泡状に吐出するための非エアゾールフォーマー容器を含む二剤式泡状染毛剤であって、第1剤中に成分(A)〜(D)を含有し、成分(A)のアニオンサイトと成分(B)のカチオンサイトとの当量比(アニオン/カチオン)が1より大きく、成分(C)と成分(D)の含有量の質量比(C)/(D)が5以下であり、混合液の25℃における粘度が1〜300mPa・sである二剤式泡状染毛剤を提供するものである。
(A)カルボン酸系アニオン界面活性剤
(B)ジアリルジメチル4級アンモニウム塩モノマーのモル分率が70%以上である重合体又は共重合体
(C)メタジヒドロキシベンゼン構造を有する酸化染料 0.5〜1.5質量%
(D)重量平均分子量200〜1200のポリプロピレングリコール 0.1〜9質量%
【発明の効果】
【0013】
本発明の二剤式泡状染毛剤は、毛髪にムラなく適用でき、仕上がりに色ムラが生じないという非エアゾール式二剤式泡状染毛剤の良さを有しながら、低温下での保存安定性と、混合液の起泡性が良好であり、しかも染色性も良好で、かつ染毛後は、洗髪に用いるシャンプーの種類如何に関わらず、優れたシャンプー堅牢性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔アルカリ剤〕
第1剤が含有するアルカリ剤としては、例えば、アンモニア、モノエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を使用することができる。また、適宜、緩衝剤として、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩や、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩などを添加することができる。
【0015】
本発明の二剤式泡状染毛剤における第1剤と第2剤の混合液のpHは、8〜11、更には8.5〜10.5が好ましく、アルカリ剤の使用量は、混合液のpHが上記となるように適宜調整される。
【0016】
〔過酸化水素〕
第2剤中の過酸化水素の含有量は、1〜9質量%、更には3〜6質量%が好ましい。第1剤と第2剤の混合液中における過酸化水素の含有量は、1〜6質量%、更には2〜5質量%が好ましい。また、第2剤のpHは、保存中の過酸化水素の分解抑制のため、2〜6、更には2.5〜4とすることが好ましい。
【0017】
〔(A):カルボン酸系アニオン界面活性剤〕
本発明の二剤式泡状染毛剤は、少なくとも第1剤に(A)カルボン酸系アニオン界面活性剤を含有する。成分(A)のカルボン酸系アニオン界面活性剤としては、例えば、N-アシルアミノ酸塩、N-アシル-N-アルキルアミノ酸塩、アミド型N-アシルアミノ酸塩、エーテルカルボン酸塩、スルホコハク酸エステル塩、脂肪酸塩、コハク酸アルキル又はコハク酸アルケニルの塩等が挙げられ、中でも、N-アシルアミノ酸塩、N-アシル-N-アルキルアミノ酸塩、エーテルカルボン酸塩、スルホコハク酸エステル塩が好ましい。
【0018】
ここで、N-アシルアミノ酸塩のアミノ酸残基としては、グルタミン酸、アスパラギン酸等が挙げられ、N-アシル-N-アルキルアミノ酸塩のアミノ酸残基としては、グルタミン酸、グリシン、β-アラニン等が挙げられる。また、N-アシル-N-アルキルアミノ酸塩のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル基等が挙げられる。また、N-アシルアミノ酸塩、N-アシル-N-アルキルアミノ酸塩のアシル基としては、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル基等が挙げられ、これらの塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン(以下、TEAと略す)等の各塩が挙げられる。これらの好ましい具体例として、N-アシルアミノ酸塩としては、N-ラウロイルグルタミン酸塩、N-ミリストイルグルタミン酸塩、N-ステアロイルグルタミン酸塩、N-ココイルグルタミン酸塩、N-水添タロウグルタミン酸塩等が挙げられ、N-アシル-N-アルキルアミノ酸塩としては、N-ラウロイル-N-イソプロピルグリシン塩、N-ラウロイルサルコシン塩、N-ミリストイルサルコシン塩、N-パルミトイルサルコシン塩、N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニン塩等が挙げられる。
【0019】
エーテルカルボン酸塩としては、ポリグリセリルアルキルエーテル酢酸塩又は次の一般式(1)で表されるエーテル酢酸塩が挙げられる。
【0020】
R-Z-(CH2CH2O)m-CH2CO2X (1)
【0021】
〔式中、Rは炭素数7〜19の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、Zは−O−又は−CONH−を示し、Xは水素原子、アルカリ金属、トリエタノールアミン又はアンモニウムを示し、mは1〜20の数を示す。〕
【0022】
上記エーテル酢酸塩において、Rの炭素数が11〜15のものが好ましい。また、mは3〜15であることが好ましく、6〜12がより好ましい。具体例としては、ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル酢酸(一般式(1)中、R=C1225、Z=−O−、m=10)、ポリオキシエチレン(8)ミリスチルエーテル酢酸(一般式(1)中、R=C1429、Z=−O−、m=8)、ラウリン酸アミドポリオキシエチレン(6)エーテル酢酸(一般式(1)中、R=C1123、Z=−CONH−、m=6)、ラウリン酸アミドポリオキシエチレン(10)エーテル酢酸(一般式(1)中、R=C1123、Z=−CONH−、m=10)等が挙げられる。またその中和度は60〜120%であるのが好ましく、対イオンXとしては、アルカリ金属、中でもカリウムが好ましい。エーテル酢酸塩としては、ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸塩等が挙げられ、塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
【0023】
スルホコハク酸エステル塩としては、スルホコハク酸と脂肪族アルコール(炭素数は好ましくは10〜22、より好ましくは12〜18)又はポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル基の炭素数は好ましくは10〜22、より好ましくは12〜18、エチレンオキシド付加モル数は好ましくは1〜5)とのモノエステル又はジエステルの塩が挙げられ、塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。具体的には、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム等が挙げられる。
【0024】
第1剤における成分(A)の含有量は、1〜16質量%、更には2〜14質量%、更には4〜12質量%が好ましい。
【0025】
〔(B):ジアリルジメチル4級アンモニウム塩モノマーのモル分率が70%以上である重合体又は共重合体〕
本発明の二剤式泡状染毛剤は、少なくとも第1剤に(B)ジアリルジメチル4級アンモニウム塩モノマーのモル分率が70%以上である重合体又は共重合体を含有する。この成分(B)と成分(A)との相互作用により第1剤と第2剤の混合液を水で希釈した時に複合体が生成することによって、シャンプー堅牢性が向上する。成分(B)の重合体又は共重合体は、ジアリルジメチル4級アンモニウム塩モノマーのモル分率が70%以上であることが必要であり、更には当該モル分率が80%以上、更には90%以上であることが好ましい。なお、共重合体である場合、他のモノマーは、共重合可能なモノマーであれば限定はないが、アクリル酸又はアクリルアミドを含むことが好ましい。そのような重合体又は共重合体としては、市販品としてマーコート100(モル分率100%)、マーコート295(モル分率95%)(以上、Nalco社製)等が挙げられる。
【0026】
第1剤における成分(B)の含有量は、0.2〜5質量%、更には0.3〜3質量%、更には0.5〜2.5質量%が好ましい。
【0027】
〔成分(A)と成分(B)の比率〕
第1剤中における成分(A)と成分(B)の比率は、第1剤と第2剤とを混合した際には内容物が安定して存在して分離せず、しかも水で希釈すると複合体が生成して分離するようにする観点より、成分(A)のアニオンサイトと成分(B)のカチオンサイトとの当量比(アニオン/カチオン)を1より大きい値に調整する。更には、当該比が1.1〜20、更には1.2〜10となるように調整することが好ましい。
【0028】
〔(C):メタジヒドロキシベンゼン構造を有する酸化染料〕
本発明の二剤式泡状染毛剤の第1剤は、成分(C)としてメタジヒドロキシベンゼン構造を有する酸化染料を含有する。成分(C)のメタジヒドロキシベンゼン構造を有する酸化染料は、成分(B)の重合体又は共重合体との間でコンプレックスを形成するため、これを高濃度に含有する場合には、第1剤の保存安定性や、混合液の吐出性が悪くなる原因となる。しかし、本発明においては、かかる成分(C)の酸化染料を高濃度に含有するにもかかわらず、成分(D)として特定分子量のポリプロピレングリコールを共存させることにより、コンプレックスの形成が抑制され、良好な保存安定性とフォーマー容器からの吐出性を発揮する。このような酸化染料としては、レゾルシン、2-メチルレゾルシン、4-クロロレゾルシンが挙げられる。
【0029】
第1剤における成分(C)の酸化染料の含有量は0.5〜1.5質量%であり、好ましくは0.52〜1.45質量%、より好ましくは0.55〜1.4質量%である。
【0030】
〔(D):重量平均分子量200〜1200のポリプロピレングリコール〕
本発明の二剤式泡状染毛剤には、少なくとも第1剤に(D)重量平均分子量200〜1200のポリプロピレングリコールを含有する。成分(D)を含有することにより、低温下での保存安定性が著しく向上するとともに、第1剤と第2剤の混合液の泡質も向上し、染毛性も良好となる。ポリプロピレングリコールの重量平均分子量は、好ましくは250〜1100、より好ましくは300〜800である。ここで、重量平均分子量とは、ゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量をいう。
【0031】
成分(D)の含有量は、低温下での優れた保存安定性、混合液の泡質の向上、毛髪への良好な塗布性の観点から、第1剤中の0.1〜9質量%であるが、好ましくは0.3〜8質量%、更には0.5〜6質量%である。
【0032】
本発明において、成分(C)と成分(D)との含有量の質量比(C)/(D)は、低温下での優れた保存安定性、混合液の泡質向上の観点から、5以下とするものであるが、好ましくは0.05〜4、より好ましくは0.06〜3とする。
【0033】
〔他の染料〕
本発明の二剤式泡状染毛剤には、成分(C)以外の酸化染料や直接染料を含有させることができる。成分(C)以外の酸化染料としては、パラアミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、6-アミノ-3-メチルフェノール、オルトアミノフェノール、パラフェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)パラフェニレンジアミン、2-(2-ヒドロキシエチル)パラフェニレンジアミン、1-ヒドロキシエチル-4,5-ジアミノピラゾール等の染料前駆体、メタアミノフェノール、5-アミノオルトクレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール、1-ナフトール、メタフェニレンジアミン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール等のカップラーが挙げられる。また、直接染料としては、パラニトロオルトフェニレンジアミン、パラニトロメタフェニレンジアミン、ベーシックイエロー87、ベーシックオレンジ31、ベーシックレッド12、ベーシックレッド51、ベーシックブルー99、アシッドオレンジ7等を挙げることができる。
【0034】
〔他の界面活性剤〕
本発明の二剤式泡状染毛剤には、フォーマー容器の泡吐出手段によってより容易に泡が形成され、かつその泡がより安定となるようにするため、第1剤と第2剤のいずれか一方、又は両方に、成分(A)に加え、更に他の界面活性剤を含有させることができる。成分(A)以外の界面活性剤としては、液温が低い時でも常温に近い時でも毛髪に塗布しやすい良好な泡立ちを実現するために、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤が好ましい。
【0035】
両性界面活性剤としては、炭素数8〜24のアルキル基、アルケニル基又はアシル基を有するカルボベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系、アミドスルホベタイン系、ホスホベタイン系、イミダゾリニウム系の界面活性剤が挙げられ、なかでもカルボベタイン系界面活性剤、スルホベタイン系界面活性剤が好ましい。好ましい両性界面活性剤としては、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。両性界面活性剤は二種以上を併用することもでき、第1剤と第2剤の混合液中における含有量は、0.001〜5質量%が好ましく、更には0.002〜2. 5質量%、更には0.003〜1質量%が好ましい。
【0036】
非イオン界面活性剤としては、アルキルポリグルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルグリセリルエーテル等が挙げられる。アルキルポリグルコシドとしては、アルキル基の炭素数が8〜18、更には8〜14、更には9〜11であるものが好ましく、またこのアルキル基が直鎖であるものが好ましい。グルコシドの平均重合度は1〜5、更には1〜2が好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、アルキル基の炭素数が10〜22、更には12〜18であるものが好ましく、またこのアルキル基が直鎖であるものが好ましい。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルがより好ましく、なかでもオキシエチレン基の平均付加モル数が1〜40、更には4〜30であるものが好ましい。アルキルグリセリルエーテルとしては、アルキル基の炭素数が8〜18、更には8〜12であるものが好ましく、またこのアルキル基が分岐鎖であるものが好ましい。非イオン界面活性剤は二種以上を併用することもでき、第1剤と第2剤の混合液中における含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、更には0.2〜15質量%、更には0.3〜10質量%が好ましい。
【0037】
〔高級アルコール〕
本発明の二剤式泡状染毛剤には、泡もちを良くし、毛髪に塗布した後、放置している間の液だれを抑制する効果を高めるため、高級アルコールを含有させることができる。高級アルコールとしては、炭素数が10〜30、更には12〜24、更には14〜22のアルキル基又はアルケニル基を有するものが好ましく、なかでもアルキル基、更には直鎖アルキル基を有するものが好ましい。高級アルコールとしては、例えば、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。これらは、二種以上を併用することができる。
【0038】
高級アルコールは、二種以上を併用することもでき、第1剤又は第2剤のいずれか一方又は両方に含有させることができる。第1剤と第2剤の混合液中における高級アルコールの含有量は、液温が低い時の起泡性を阻害せず、放置している間の液だれを抑制する効果を高める点から、0.01〜0.8質量%であり、好ましくは0.1〜0.7質量%、更には0.2〜0.6質量%である。
【0039】
〔不揮発性親水性溶剤〕
更に、第1剤又は第2剤中に不揮発性親水性溶剤を含有することが好ましい。これにより、本発明の二剤式泡状染毛剤を毛髪に塗布した後、放置している間に、染毛剤から水分が蒸発して過酸化水素等の刺激性の成分が濃縮されることによる頭皮に対する刺激を軽減することができる。不揮発性親水性溶剤としては、ポリオール類やその低級(炭素数1〜4)アルキルエーテル類などの消泡作用のないものが好ましい。ポリオール類としては、炭素数2〜6のものが好ましく、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソプレングリコール、ソルビトール等が挙げられる。ポリオールの低級アルキルエーテル類としては、前掲のポリオールのモノ低級アルキルエーテルやポリ低級アルキルエーテル(例えば、ジ低級アルキルエーテル)などが挙げられる。なかでもポリオールのモノメチルエーテル又はモノエチルエーテルが好ましく、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルが挙げられる。これらは、二種以上を併用することができる。
【0040】
第1剤と第2剤の混合液中における不揮発性親水性溶剤の含有量は、頭皮刺激を低減する効果と液温が低い時でも泡質を良好なものとする点から、0.01〜5質量%が好ましく、更には0.1〜4質量%、更には0.2〜3質量%が好ましい。
【0041】
〔シリコーン類〕
本発明の二剤式泡状染毛剤には、更にシリコーン類を含有させることができる。シリコーン類としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、オキサゾリン変性シリコーンエラストマー等、及びこれらを界面活性剤により水中に分散させたエマルションが挙げられる。これらのうち、増粘剤を用いることなく安定に水中に分散可能な点から、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン及びこれらのエマルションが好ましい。
【0042】
ポリエーテル変性シリコーンには、末端変性及び側鎖変性のもの、例えばペンダント型(櫛型)、両末端変性型、片末端変性型のものなどが含まれる。このような変性シリコーンとしては、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体等が挙げられる。ポリエーテル変性シリコーンとしては、HLB10以上、更にはHLB10〜18のものが、水との相溶性の点から好ましい。ここで、HLBは、曇数(曇数:HLBと相関のある指標でエーテル型非イオン界面活性剤に適用される)から求めた値によるものである。
【0043】
アミノ変性シリコーンとしては、アミノ基又はアンモニウム基を有しているものであればよいが、アモジメチコーンが好ましい。
【0044】
第1剤と第2剤の混合液中におけるシリコーン類の含有量は、泡を毛髪に滑らかになじませるため、また毛髪に高いコンディショニング効果を付与するため、0.01〜10質量%が好ましく、更には0.1〜5質量%、更には0.5〜3質量%が好ましい。
【0045】
〔その他の成分〕
その他、第1剤及び第2剤は、目的に応じて、香料、紫外線吸収剤、エデト酸等の金属封鎖剤、殺菌剤、パラオキシ安息香酸メチル等の防腐剤、フェナセチン、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、硫酸オキシキノリン等の安定化剤、エタノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール等の有機溶剤、ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性高分子化合物、保湿剤等を含有することができる。また、第1剤及び第2剤の混合液は、水を主たる媒体とすることが好ましい。
【0046】
本発明の酸化型染毛剤組成物は、アルカリ剤を含有する第1剤と、過酸化水素を含有する第2剤を含む二剤式酸化染毛剤として提供される。ここで二剤式とは、これら第1剤及び第2剤に加え、過硫酸塩を含有する第3剤又はコンディショニング成分等を含有する第3剤を更に混合して用いる三剤式酸化染毛剤をも含むものとする。第1剤と第2剤の混合比は、質量比で1:4〜4:1であることが好ましく、1:2〜2:1が更に好ましい。
【0047】
〔粘度〕
第1剤と第2剤の混合液の粘度は、1〜300mPa・sとされるが、2〜200mPa・s、更には3〜100mPa・s、更には5〜30mPa・sとするのが好ましい。なお、ここでの粘度は、25℃、東京計器株式会社製B型回転粘度計(モデルTV-10)で、ローターNo.1又はNo.2を用い、60rpmで1分間回転させた後の値とする。測定対象が100mPa・s未満の場合はローターNo.1を用い、100〜499mPa・sの場合はローターNo.2を用いて測定する。なお、測定は25℃の恒温槽において測定するものとし、第1剤と第2剤とを混合後ただちに測定するものとし、反応熱による温度変化は無視するものとする。
【0048】
第1剤と第2剤の混合液の粘度が上記範囲となるように調整することにより、塗布しやすい泡体積を実現することができ、かつ混合液が毛髪に塗布された後の垂れ落ちを抑制することができると共に、スクイズフォーマーなどで泡を吐出する際にスクイズしやすくなる。混合液の粘度を前述の範囲に調整するためには、エタノール等の水溶性溶剤を添加したり、あるいは界面活性剤、ポリオール類、高級アルコール等の含有量や種類を適宜調整すればよい。
【0049】
〔気液混合比〕
フォーマー容器の泡吐出手段による空気と混合液との気液混合比は、剤の髪への馴染み易さ及び塗り易さの点から、7〜40mL/gが好ましく、15〜30mL/gがより好ましい。なお、ここでの気液混合比は次のようにして測定した値である。
【0050】
まず、25℃で吐出した泡の質量と体積を測定することにより気液混合比を求める。S1スクイズフォーマー容器(大和製罐社、容積210mL、メッシュの粗さ(目開き)は混合室150メッシュ(1インチ(25.4mm)あたり150の桝目)、先端200メッシュ)に混合液を100g入れ、残量が80gの時点から、20gの泡を1000mLのメスシリンダーに吐出し、吐出開始から1分後に泡の体積を測定する。この吐出された泡の容積(mL)を質量20gで割ることにより気液混合比(mL/g)が得られる。
【0051】
〔フォーマー容器〕
本発明において、フォーマー容器は、非エアゾールタイプの容器であって、第1剤と第2剤の混合液を、噴射剤を使用することなく空気と混合して泡状に吐出させるために使用する。フォーマー容器の使用により、吐出させた剤の飛び散りを防止できるという効果も得られる。フォーマー容器の中でも、非エアゾールタイプの容器は、エアゾールタイプの容器に比べて、製品を安価に製造可能であり、高圧ガスの噴射剤が不要であるため、製品を流通においてより安全に取り扱うことができる。
【0052】
非エアゾールフォーマー容器としては、泡吐出手段を有する公知のポンプフォーマー容器、スクイズフォーマー容器、電動式泡立て器、蓄圧式ポンプフォーマー容器等を使用することができる。より具体的には、例えば、ポンプフォーマーE3タイプ、同F2タイプ〔以上、大和製罐社、食品と容器(vol.35, No.10, p588〜593(1994); vol.35, No.11, p624〜627(1994); vol.36, No.3, p154〜158(1995))〕、S1スクイズフォーマー(大和製罐社、特開平7-215352号公報)、電動泡立て器(松下電工社)、エアスプレーフォーマー(エアスプレーインターナショナル社)等が挙げられる。本発明の二剤式泡状染毛剤に用いるフォーマー容器としては、安価で使い勝手が良いことから、ポンプフォーマー容器及びスクイズフォーマー容器が好ましい。
【0053】
ポンプフォーマー容器又はスクイズフォーマー容器は、ネット等の泡生成部分を有するものであり、1剤と2剤との混合液が乾燥固化して目詰まりを起こした場合に、次回の吐出時に泡の流れによって、直ちに固化物を溶解して目詰まりを解消できるという点から薄肉のネットを有することが好ましい。この場合、ネットのメッシュとしては、50〜280メッシュが好ましく、90〜250メッシュがより好ましく、130〜220メッシュがより好ましい。ここで、メッシュとは、1インチ当たりの目の数をいう。この範囲のメッシュのネットを使用することにより、クリーミーな泡を生成することができる。また、このようなネットの材質としては、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、テフロン(登録商標)、カーボンファイバー、ステンレス等を挙げることができ、より好ましくはナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルであり、より好ましくはナイロンである。
【0054】
本発明の二剤式泡状染毛剤において使用する非エアゾールフォーマー容器には、このようなネットを少なくとも一枚、更には複数枚配設することが好ましく、経済性、泡の安定性等の点から、混合室と先端との二ヶ所に1枚ずつ配設することがより好ましい。
【0055】
非エアゾールフォーマー容器において、内容物に接触する部分(容器内壁,泡吐出手段内壁等)は、アルカリ及び過酸化水素により腐食せず、また、過酸化水素の分解により発生した酸素が透過する材質で構成することが好ましい。
【0056】
第1剤、第2剤及び非エアゾールフォーマー容器からなる本発明の二剤式泡状染毛剤の製品形態としては、第1剤又は第2剤をそれぞれ非エアゾールフォーマー容器と別個の容器に充填し、使用時に双方の剤を非エアゾールフォーマー容器に移し入れ、混合するようにしてもよいが、一方の剤を非エアゾールフォーマー容器に充填し、他方の剤を別個の容器に充填し、使用時に、他方の剤を非エアゾールフォーマー容器内に移し入れるようにしてもよい。この場合、第2剤は、過酸化水素の分解によって生じる酸素のために容器内の圧力が上昇することを防止するため、ガス透過性のある容器、中でも酸素透過性のある材質(例えば、ポリエチレン)から成る非エアゾールフォーマー容器に充填することが好ましい。一方、第1剤は、酸化染料の酸化を防止するため、酸素が透過し難い容器を用いる必要がある。
【0057】
〔使用方法〕
本発明の二剤式泡状染毛剤を使用して毛髪(特に頭髪)を染色するには、予め毛髪を梳かしておくことが好ましい。これにより、後述する再度泡立てる処理中に毛髪がからみにくくなるので、混合液が飛び散るおそれがない。また、毛髪を梳かした後、染毛剤組成物の適用で汎用されているブロッキング操作を行う必要はなく、更にはブロッキング操作を行わないことが好ましい。これにより、後述する染毛剤組成物を毛髪に適用する操作や再度泡立てる操作がやりやすくなる。次いで、本発明の二剤式染毛剤を非エアゾールフォーマー容器内で第1剤と第2剤を混合する。その容器から吐出される泡状の混合液を、直接毛髪に適用してもよく、手又はブラシなどの道具を使って毛髪に適用してもよい。剤の飛び散りや液ダレを防止する観点から、(手袋をした)手にいったん取った後、毛髪に適用することがより好ましい。
【0058】
塗布後は3〜60分程度、好ましくは5〜45分程度放置する。この際、放置の間の液ダレを一層防止し、毛髪の根元にも混合液を十分に行き亘らせる観点から、毛髪上で再度泡立てることが好ましい。再度泡立てるには、ガスを注入しても、振動機やブラシのような器具を用いても、あるいは指を用いてもよいが、指を用いるのがより好ましい。
【0059】
ここで再度泡立てる時期は、完全に泡が消えた後であってもよく、泡が消える途中であってもよく、あるいは適用した泡が変化する前であってもよい。あるいは泡を適用したい範囲全てに適用完了した後であっても、適用途中であってもよい。再度泡立てるのは、連続的に1回行ってもよく、断続的に複数回繰り返してもよい。
【0060】
これらの操作の後、混合液を洗い流す。その後、適宜シャンプーやリンスをした後水洗して、髪を乾燥させる。
【実施例】
【0061】
実施例1〜9,比較例1〜7
表1に示す配合組成(質量%)の第1剤と以下に示す第2剤を調製し、「第1剤の低温安定性」、「混合液の泡質」及び「シャンプー堅牢性」について評価した。
【0062】
(質量%)
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.84
ポリオキシエチレン(40)セチルエーテル 0.55
セタノール 0.88
ミリスチルアルコール 0.25
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.04
硫酸オキシキノリン(2) 0.04
水酸化ナトリウム又はリン酸 第2剤をpH3.6にする量
過酸化水素 5.7
精製水 残量
【0063】
「第1剤の低温安定性」
表1に示す配合組成の第1剤を容器に封入し、5℃の恒温室中に1ヶ月間放置した。その後、以下の基準で目視評価した。
◎:変化なし
△:わずかに濁りが生じた
×:白濁が生じた
【0064】
「混合液の泡質」
表1に示す配合組成の第1剤と前記の第2剤を1:1.5の質量比で、スクイズフォーマー(大和製罐社製のS1スクイズフォーマー、容積210mL、メッシュの粗さは混合室150メッシュ、先端200メッシュ、空気導入路の最狭部の開口面積の合計は0.27mm2、ディップチューブの内径はφ1.7mm)内で混合した後、泡状に吐出させ、その泡質を観察した。
◎ :とても保形性が良くきめが細かな泡
○ :保形性が良くきめが細かな泡
△ :ややゆるい泡、又はきめがやや粗い泡
× :ゆるい泡、又はきめが粗い泡
××:水っぽい泡、又は大きな泡が多数混じった粗い泡
【0065】
「シャンプー堅牢性」
第1剤と第2剤を1:1.5の質量比で混合して混合液を調製した。ビューラックス社製の中国人白髪毛の毛束1g、10cmを各実施例・比較例に対してそれぞれ4束用意した。
30℃の混合液をスクイズフォーマー(大和製罐社製のS1スクイズフォーマー、容積210mL、メッシュの粗さは混合室150メッシュ、先端200メッシュ、空気導入路の最狭部の開口面積の合計は0.27mm2、ディップチューブの内径はφ1.7mm)で泡状に吐出させた。髪1に対して混合液の泡を1の割合で塗布して30分間放置した。その後、100mLのイオン交換水に4束まとめて浸し、1分間静置した。その後、以下に示すシャンプーを用いて洗浄し、乾燥させてシャンプー処理前の評価サンプルとした。
得られた評価サンプルに対して、コニカミノルタ社製測色計CR-400を用いて染色前との色差ΔE0の値を測定した。ΔE0の値が中間の2束を後続の試験に供した。アズワン社製試験管NS-10に1束ずつ評価サンプルを入れ、以下に示すシャンプーを10倍に希釈した液を充分に封入した。次にTAITEC社製ウオーターバスシェーカーMM-10で40℃、振動回数120rpmで30分間処理した。処理後、水で洗い流して乾燥させたものをシャンプー処理後の評価サンプルとした。シャンプー処理後の評価サンプルに対しても前述の測色計を用いて染色前との色差ΔE1の値を測定した。以下の評価基準でシャンプー堅牢性について評価した。
【0066】
シャンプー処理前のΔE0とシャンプー処理後のΔE1の差(ΔE0−ΔE1)が、比較例3(基準;ΔE0−ΔE1=2.3)と比べて
◎:1以上小さい
○:0.5以上1未満小さい
△:同等(±0.5以内)
×:0.5以上大きい
【0067】
(評価に用いたシャンプー)
POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 15.5質量%
ラウリン酸ジエタノールアミド 1.5質量%
エデト酸4ナトリウム塩 0.3質量%
安息香酸ナトリウム 1.43質量%
イオン交換水 残量
【0068】
【表1】

【0069】
*1:マーコート295、Nalco社製;カチオンモノマーのモル分率は95%
*2:分離により測定不能

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤を含有する第1剤、過酸化水素を含有する第2剤、及び第1剤と第2剤の混合液を泡状に吐出するための非エアゾールフォーマー容器を含む二剤式泡状染毛剤であって、第1剤中に成分(A)〜(D)を含有し、成分(A)のアニオンサイトと成分(B)のカチオンサイトとの当量比(アニオン/カチオン)が1より大きく、成分(C)と成分(D)の含有量の質量比(C)/(D)が5以下であり、混合液の25℃における粘度が1〜300mPa・sである二剤式泡状染毛剤。
(A)カルボン酸系アニオン界面活性剤
(B)ジアリルジメチル4級アンモニウム塩モノマーのモル分率が70%以上である重合体又は共重合体
(C)メタジヒドロキシベンゼン構造を有する酸化染料 0.5〜1.5質量%
(D)重量平均分子量200〜1200のポリプロピレングリコール 0.1〜9質量%
【請求項2】
成分(C)が、レゾルシン、2-メチルレゾルシン及び4-クロロレゾルシンから選択される酸化染料である請求項1に記載の二剤式泡状染毛剤。
【請求項3】
成分(A)が、N-アシルアミノ酸塩、N-アシル-N-アルキルアミノ酸塩、エーテルカルボン酸及びスルホコハク酸エステル塩から選ばれる1以上である請求項1又は2に記載の二剤式泡状染毛剤。
【請求項4】
第1剤中の成分(A)の含有量が、1〜16質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の二剤式泡状染毛剤。
【請求項5】
第1剤中の成分(B)の含有量が、0.2〜5質量%である請求項1〜4のいずれかに記載の二剤式泡状染毛剤。
【請求項6】
第1剤中の成分(D)の含有量が、0.5〜6質量%である請求項1〜5のいずれかに記載の二剤式泡状染毛剤。
【請求項7】
第1剤中の成分(C)の含有量が、0.55〜1.4質量%である請求項1〜6のいずれかに記載の二剤式泡状染毛剤。
【請求項8】
成分(C)と成分(D)との含有量の質量比(C)/(D)が0.06〜3である請求項1〜7のいずれかに記載の二剤式泡状染毛剤。
【請求項9】
成分(D)の重量平均分子量が250〜1100である請求項1〜8のいずれかに記載の二剤式泡状染毛剤。
【請求項10】
成分(D)の重量平均分子量が300〜800である請求項1〜9のいずれかに記載の二剤式泡状染毛剤。
【請求項11】
成分(A)のN-アシルアミノ酸塩のアミノ酸残基が、グルタミン酸及びアスパラギン酸から選ばれる1以上である請求項3〜10のいずれかに記載の二剤式泡状染毛剤。
【請求項12】
成分(A)のN-アシルアミノ酸塩が、N-ラウロイルグルタミン酸塩、N-ミリストイルグルタミン酸塩、N-ステアロイルグルタミン酸塩、N-ココイルグルタミン酸塩及びN-水添タロウグルタミン酸塩から選ばれる1以上である請求項3〜10のいずれかに記載の二剤式泡状染毛剤。
【請求項13】
成分(A)のN-アシル-N-アルキルアミノ酸塩のアミノ酸残基が、グルタミン酸、グリシン及びβ-アラニンから選ばれる1以上である請求項3〜10のいずれかに記載の二剤式泡状染毛剤。
【請求項14】
成分(A)のN-アシル-N-アルキルアミノ酸塩が、N-ラウロイル-N-イソプロピルグリシン塩、N-ラウロイルサルコシン塩、N-ミリストイルサルコシン塩、N-パルミトイルサルコシン塩及びN-ラウロイル-N-メチル-β-アラニン塩から選ばれる1以上である請求項3〜10のいずれかに記載の二剤式泡状染毛剤。
【請求項15】
成分(A)のエーテルカルボン酸塩が、ポリグリセリルアルキルエーテル酢酸塩及び次の一般式(1)で表されるエーテル酢酸塩から選ばれる1以上である請求項3〜10のいずれかに記載の二剤式泡状染毛剤。
R-Z-(CH2CH2O)m-CH2CO2X (1)
〔式中、Rは炭素数7〜19の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、Zは−O−又は−CONH−を示し、Xは水素原子、アルカリ金属、トリエタノールアミン又はアンモニウムを示し、mは1〜20の数を示す。〕
【請求項16】
Rの炭素数が11〜15である請求項15に記載の二剤式泡状染毛剤。
【請求項17】
mが3〜15である請求項15又は16に記載の二剤式泡状染毛剤。
【請求項18】
mが6〜12である請求項15又は16に記載の二剤式泡状染毛剤。
【請求項19】
エーテル酢酸塩がポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレン(8)ミリスチルエーテル酢酸塩、ラウリン酸アミドポリオキシエチレン(6)エーテル酢酸塩、ラウリン酸アミドポリオキシエチレン(10)エーテル酢酸塩、ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸塩及びポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸塩から選ばれる1以上である請求項15に記載の二剤式泡状染毛剤。
【請求項20】
成分(A)のスルホコハク酸エステル塩が、スルホコハク酸と脂肪族アルコール(炭素数が10〜22)又はポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル基の炭素数が10〜22、エチレンオキシド付加モル数が1〜5)とのモノエステル又はジエステルの塩である請求項3〜10のいずれかに記載の二剤式泡状染毛剤。
【請求項21】
成分(A)のスルホコハク酸エステル塩が、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム及びジアルキルスルホコハク酸ナトリウムから選ばれる1以上である請求項3〜10のいずれかに記載の二剤式泡状染毛剤。
【請求項22】
成分(B)のジアリルジメチル4級アンモニウム塩モノマーのモル分率が90%以上である請求項1〜21のいずれかに記載の二剤式泡状染毛剤。
【請求項23】
成分(A)のアニオンサイトと成分(B)のカチオンサイトとの当量比(アニオン/カチオン)が1.1〜20である請求項1〜22のいずれかに記載の二剤式泡状染毛剤。
【請求項24】
成分(A)のアニオンサイトと成分(B)のカチオンサイトとの当量比(アニオン/カチオン)が1.2〜10である請求項1〜23のいずれかに記載の二剤式泡状染毛剤。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれかに記載の二剤式泡状酸化染毛剤を用いた染毛方法であって、非エアゾールフォーマー容器内で第1剤と第2剤を混合した後、その容器から吐出される泡状の混合液を、手にいったん取った後、毛髪に適用し、3〜60分放置し、混合液を洗い流す染毛方法。
【請求項26】
泡状の混合液を毛髪に適用後、洗い流す前に毛髪上で指を用いて再度泡立てる請求項25に記載の染毛方法。

【公開番号】特開2012−72128(P2012−72128A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186875(P2011−186875)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】