説明

二塩化マグネシウムベースの付加物およびそれから得られる触媒成分

MgCl2と、エーテル類、エステル類、ケトン類、シラン類またはアミン類に属するルイス塩基(LB)と、アルコールROH (式中、Rは任意にヘテロ原子含有基で置換されていてもよいC1〜C15炭化水素基である)とを含み、これらの化合物が互いに次の式MgCl2(ROH)m(LB)n (式中、mは0.05〜6の範囲であり、nは0.08〜6の範囲である)により定義されるモル比にある固体ルイス付加物。これらの付加物は、良好な形態学的安定性および高い重合活性を有する触媒を得ることを許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二塩化マグネシウムと、アルコールと、他のルイス塩基とを特定の量で含むルイス付加物に関する。本発明の付加物は、オレフィン類重合用のチーグラー-ナッタ触媒成分の前駆体として特に有用である。
【背景技術】
【0002】
ハロゲン化マグネシウム上に担持されたチタン化合物を含む最近のZN触媒は、当該技術において公知である。このタイプの触媒は、米国特許第4,298,718号に記載されている。これらの触媒は、マグネシウムのハロゲン化物上に担持された四ハロゲン化チタンを含む。該触媒は、プロピレンのようなαオレフィン類の重合において高い活性を有するが、非常に立体特異的というわけではない。立体特異性の改良は、電子供与化合物を固体触媒成分に加えることにより行われている。
【0003】
実質的な改良が、固体成分中に存在する電子供与体の他に、アルキルアルミニウム助触媒成分または重合反応器に加えられた電子供与体(外部)を用いることにより、得られた。
この方法で修飾された触媒は、立体特異性が高い(約94〜95%のアイソタクチック指数)が、充分に高いレベルの活性を示さなかった。
【0004】
活性および立体特異性の両方での有意な改良は、米国特許第4,226,741号に記載の技術による固体触媒成分の製造により得られた。
立体特異性と共に触媒活性における高レベルの性能は、欧州特許第045977号に記載の触媒を用いて得られている。該触媒は、固体触媒成分として、ハロゲン化チタン、好ましくはTiCl4が担持されたハロゲン化マグネシウムと、カルボン酸エステルの特定のクラスから選択される電子供与化合物と、助触媒成分としてAl-トリアルキル化合物および少なくとも1つのSi-OR結合 (Rヒドロカルビル基)を有するケイ素化合物で形成される系とを有する。
【0005】
上記の結果にもかかわらず、上記の触媒の性能を修飾および/または改良する目的の研究活動が続けられている。
【0006】
欧州特許第0361494号および欧州特許第728769号は、内部電子供与体化合物として特定の構造および/または無水塩化マグネシウムに対する特定の反応性特性により特徴付けられる1,3-ジエーテルとTiCl4とを含む、オレフィン類重合用の非常に活性な固体触媒成分を記載している。
該触媒成分とAl-アルキル化合物との反応から得られる触媒は、オレフィン類重合において非常に高い活性および立体特異性を示し、外部電子供与体の使用を回避することができる。
【0007】
触媒は、重合プラントでの運転に問題を引き起こし得る微粒子の形成を回避するかまたは制限するような良好な形態学的安定性(morphological stability)により特徴付けられることも望まれる。この観点での改良は、欧州特許第395083号に開示され、チタン化合物と、任意に電子供与化合物(フタレート)とを、より高いアルコール含量(higher alcohol content)の付加物の部分脱アルコール化により順に得られるMgCl2・(EtOH)m (式中、mは0.15〜1.7である)と接触させることにより得られるチーグラー-ナッタ触媒を用いることにより得られている。このアプローチは、通常は有効であるが、1,3-ジエーテル類を内部供与体として含む触媒には特に適さない。なぜなら、触媒の性能を、内部供与体としての1,3-ジエーテル類の使用がもはや有効でなくなる場合があるレベルにまで悪くするからである。よって、1,3-ジエーテルが内部供与体として用いられる場合であっても良好な形態学的安定性および高い活性を有する触媒をつくる方法を見出すことが重要であろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、今回、触媒の特別な前駆体の使用により上記の問題が解決できることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
よって、本発明は、MgCl2と、エーテル類、エステル類、ケトン類、シラン類またはアミン類に属するルイス塩基(LB)と、アルコールROH (式中、Rは、ヘテロ原子含有基で任意に置換されていてもよいC1〜C15炭化水素基である)とを含み、これらの化合物が互いに次の式MgCl2(ROH)m(LB)n (式中、mは0.05〜6の範囲であり、nは0.08〜6の範囲である)により定義されるモル比にある固体ルイス付加物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
好ましくは、LBは、エーテル類、エステル類またはケトン類から、より好ましくはエーテル類およびエステル類から、特にエーテル類から選択される。
好ましいエーテル類は、C2〜C20の脂肪族エーテル類、特に、テトラヒドロフラン、ジオキサンのような好ましくは3〜5個の炭素原子を有する環状エーテル類である。2つ以上のエーテル基を有する直鎖状または環状脂肪族エーテル類も適している。
好ましいエステル類は、C1〜C10脂肪族カルボン酸アルキルエステル類、特に、酢酸エチルおよび蟻酸メチルのような脂肪族モノカルボン酸のC1〜C4アルキルエステル類である。
【0011】
好ましいR基は、C1〜C10飽和炭化水素基、特にメチル、エチルおよびC3〜C8アルキル基である。本発明によるROHアルコールの具体例は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、i-プロパノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、ペンタノール、2-メチル-1-ペンタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、フェノール、4-メチル-1-フェノール、2,6-ジメチル-1-フェノール、シクロヘキサノール、シクロペンタノールである。メタノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、i-プロパノールおよび2-メチル-1-ペンタノールが好ましい。エタノールが特に好ましい。
【0012】
好ましくは、mは、0.1〜4.5、より好ましくは0.5〜4、特に0.5〜2.5の範囲である。
好ましくは、nは、0.07〜3、より好ましくは0.1〜2.5、特に0.5〜2の範囲である。
比(m/n)は、通常、0.4より高く、好ましくは0.5より高い。
【0013】
本発明のルイス付加物は、式MgCl2(ROH)m(LB)n(H2O)p (式中、添え字pは、0.01〜0.6、好ましくは0.01〜0.4の範囲である)により定義されるモル比でいくらかの水も含むことができる。
【0014】
本発明の付加物は、いくつかの方法により製造することができる。これらの方法の一つによると、該付加物は、所望の量のMgCl2、ROHおよびLBを、任意に不活性液体希釈剤の存在下に接触させ、系を混合物の融解温度まで加熱し、そして完全に融解した付加物を得るように該条件を維持することにより製造することができる。
上記の融解した付加物は、次いでそれと不混和性でかつ化学的に不活性な液体媒体(medium)中に乳化することができ、そして最後に付加物を不活性冷却液体と接触させることにより冷却して、実質的に球状の粒子の付加物の凝固を得ることができる。その中で融解した付加物が乳化される液体は、融解した付加物と不混和性で、かつ化学的に不活性ないずれの液体であり得る。例えば、脂肪族、芳香族または脂環式の炭化水素は、シリコーン油と同様に用い得る。ワセリン油のような脂肪族炭化水素が特に好ましい。
【0015】
別の実施形態において、本発明の付加物は、固体において固体の形態で、上記の融解した付加物を噴霧冷却プロセスに付すことにより得られる。このオプションを行う場合、第一の工程において、塩化マグネシウムとアルコールと電子供与化合物とが、不活性液体希釈剤の不在下に互いに接触するのが好ましい。融解した後の付加物は、市販で入手可能な適切な装置の使用により、粒子の迅速な凝固を引き起こすほど低い温度の環境において、噴霧される。冷環境とは、冷たい液体または気体を含み得る。好ましい観点において、付加物は、冷たい液体環境において、より好ましくは冷たい液体炭化水素において噴霧される。
【0016】
本発明の固体付加物の製造のための好ましい別の方法は、LBまたはROH化合物を、それぞれ予め作製した固体MgCl2(ROH)mまたはMgCl2(LB)n付加物と接触させることを含む。好ましくは、付加物は、LB化合物を所望量のMgCl2(ROH)m付加物と接触させることによりつくられる。該接触は、液体の炭化水素媒体中に攪拌条件下で行うことができる。気相にあり、かつ特にWO98/44009号に記載されるようなループ反応器でLB化合物を加えることも可能である。LB化合物を、アルコールの一部が物理的(例えば熱窒素流の下で)または化学的な脱アルコール化により除去された原料付加物(starting adduct)に由来するMgCl2(ROH)m付加物、特にMgCl2(EtOH)mと接触させることが効率的であり、しばしば好ましいことが示されている。これらの脱アルコール化付加物およびそれらの製造は、その関係する部分が参照により含まれる欧州特許第395083号に記載されている。
【0017】
これらの全ての方法は、実質的に球状の形態を有する固体の付加物を提供し、これらはオレフィン類の重合用、特に気相重合プロセス用の球状の触媒成分の製造において、特に適する。「実質的に球状の形態」の用語は、1.5以下、好ましくは1.3未満の長軸と短軸の間の比を有するこれらの粒子を意味する。
【0018】
上記のように、水が付加物の構成要素の一つであり得るが、非常に高レベルの水は避けるのが好ましい。このようにすることにおいて、反応物の水分含量を調節するのが有用であり得る。実際に、MgCl2およびある種のROHアルコールは高度に吸湿性であり、その構造内に水を組み込む傾向がある。結果として、反応物の水含量が比較的高い場合、最終付加物は、別途の成分として添加されていなくても、望ましくない量の水を含み得る。固体または流体中の水分含量を調節もしくは低減する手段は、当該技術において公知である。MgCl2中の水分含量は、例えばそれを高温のオーブンで乾燥することによるか、またはそれを水に対して反応性である化合物と反応させることにより低減することができる。例として、HClの流れを用いてMgCl2から水を除去することができる。流体からの水分は、蒸留のような種々の技法によるか、または流体をモレキュラーシーブのような水分を減ずることが可能な物質と接触することを許容することにより除去することができる。
【0019】
上記のように、これらの付加物は、オレフィン類重合用の触媒成分の製造において有利に用いることができる。該触媒成分は、本発明の付加物を、元素周期表(新表記)の4〜6族の1つの化合物の1つに属する遷移金属化合物と接触させることにより得ることができる。遷移金属化合物のうち、特に好ましいものは、式Ti(OR)nXy-n (式中、nは0〜yの間に含まれ;yはチタンの原子価であり;Xはハロゲンであり、Rは1〜10個の炭素原子を有するアルキル基またはCOR基である)のチタン化合物である。これらのうち、特に好ましいものは、四ハロゲン化チタンまたはハロゲンアルコラートのような少なくとも1つのTi-ハロゲン結合を有するチタン化合物である。具体的な好ましいチタン化合物は、TiCl3、TiCl4、Ti(OBu)4、Ti(OBu)Cl3、Ti(OBu)2Cl2、Ti(OBu)3Clである。好ましくは、該接触は、付加物を冷TiCl4 (通常0℃)中で懸濁し、次いで得られる混合物を80〜130℃まで加熱してこの温度に0.5〜2時間維持することにより行われる。その後、過剰のTiCl4を除去し、固体成分を回収する。TiCl4での処理は、1回以上行うことができる。上記のように、立体化学調節(steromodulating)電子供与化合物を、固体触媒成分にそれを立体特異的にするために加えることができる。電子供与体の導入は、遷移金属化合物と付加物との間の反応と同時に行うことができる。この接触の結果として、電子供与化合物は、通常、触媒成分上に沈積したままである。該電子供与化合物は、上記のLB化合物と同じであるか、または異なっていることができ、通常、エステル類、エーテル類、アミン類およびケトン類から選択される。特に、上記のように、優れた結果が式(I):
【0020】
【化1】

【0021】
(式中、RIおよびRIIは同一または異なって、水素、または1つ以上の環状構造も形成することができる直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C18炭化水素基であり;RIII基は互いに等しいかまたは異なって、水素またはC1〜C18炭化水素基であり;RIV基は互いに等しいかまたは異なって、それらが水素であり得ない以外はRIIIと同じ意味を有し;RI〜RIV基のそれぞれは、ハロゲン、N、O、SおよびSiから選択されるヘテロ原子を含み得る)
の1,3-ジエーテル類の使用で得られる。
【0022】
好ましくは、RIVは、1〜6個の炭素原子のアルキル基、より好ましくはメチル基であるが、RIII基は好ましくは水素である。さらに、RIがメチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルである場合、RIIはエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチル、2-エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、フェニルまたはベンジルであることができ;RIが水素である場合、RIIはエチル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、2-エチルヘキシル、シクロヘキシルエチル、ジフェニルメチル、p-クロロフェニル、1-ナフチル、1-デカヒドロナフチルであることができ;RIおよびRIIは同じであることができ、かつエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、フェニル、ベンジル、シクロヘキシル、シクロペンチルであることができる。
【0023】
有利に用い得るエーテル類の具体例は、2-(2-エチルヘキシル)1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2-tert-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-クミル-1,3-ジメトキシプロパン、2-(2-フェニルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(2-シクロヘキシルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(p-クロロフェニル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(ジフェニルメチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2(1-ナフチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2(p-フルオロフェニル)-1,3-ジメトキシプロパン、2(1-デカヒドロナフチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2(p-tert-ブチルフェニル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジシクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジエチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジエチル-1,3-ジエトキシプロパン、2,2-ジシクロペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジプロピル-1,3-ジエトキシプロパン、2,2-ジブチル-1,3-ジエトキシプロパン、2-メチル-2-エチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-プロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-ベンジル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-フェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-メチルシクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(p-クロロフェニル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(2-フェニルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(2-シクロヘキシルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-(2-エチルヘキシル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(2-エチルヘキシル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(p-メチルフェニル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジフェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジベンジル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-シクロペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(シクロヘキシルメチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジエトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジブトキシプロパン、2-イソブチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジ-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジ-tert-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジネオペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソ-プロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-2-ベンジル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-シクロヘキシルメチル-1,3-ジメトキシプロパンを含む。
【0024】
さらに、特に好ましいものは、式(II):
【0025】
【化2】

【0026】
(式中、RIVの基は上記と同じ意味を有し、RIIIおよびRV基は互いに等しいかまたは異なって、水素;ハロゲン、好ましくはClおよびF;直鎖状または分岐鎖状のC1〜C20アルキル基;;C3〜C20シクロアルキル、C6〜C20アリール、C7〜C20アルカリールおよびC7〜C20アラルキル基からなる群より選択され、RV基の2つ以上は、互いに結合して、飽和または不飽和で、RVI基で任意に置換されていてもよい縮合環状構造を形成することができ、該RVI基は、ハロゲン、好ましくはClおよびF;直鎖状または分岐鎖状のC1〜C20アルキル基;C3〜C20シクロアルキル、C6〜C20アリール、C7〜C20アルカリールおよびC7〜C20アラルキル基からなる群より選択され;該RVおよびRVI基は、炭素もしくは水素原子、または両方の代わりとして1個以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよい)
の1,3-ジエーテル類である。
【0027】
好ましくは、式(I)および(II)の1,3-ジエーテル類において、全てのRIII基は水素であり、全てのRIV基はメチルである。さらに、特に好ましい式(II)の1,3-ジエーテル類は、2つ以上のRV基が互いに結合して、RVI基で任意に置換されていてもよい1つ以上の縮合環状構造、好ましくはベンゼニックを形成する。特に好ましいものは、式(III):
【0028】
【化3】

【0029】
(式中、RVI基は等しいかまたは異なって、水素;ハロゲン、好ましくはClおよびF;直鎖状または分岐鎖状のC1〜C20アルキル基;炭素もしくは水素原子または両方の代わりとしてN、O、S、P、Siならびにハロゲン、特にClおよびFからなる群より選択される1個以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3〜C20シクロアルキル、C6〜C20アリール、C7〜C20アルキルアリールおよびC7〜C20アラルキル基であり;RIIIおよびRIV基は、式(II)に定義されるとおりである)
の化合物である。
【0030】
式(II)および(III)に包含される化合物の具体例は:
1,1-ビス(メトキシメチル)-シクロペンタジエン;1,1-ビス(メトキシメチル)-2,3,4,5-テトラメチルシクロペンタジエン;1,1-ビス(メトキシメチル)-2,3,4,5-テトラフェニルシクロペンタジエン;1,1-ビス(メトキシメチル)-2,3,4,5-テトラフルオロシクロペンタジエン;1,1-ビス(メトキシメチル)-3,4-ジシクロペンチルシクロペンタジエン;1,1-ビス(メトキシメチル)インデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-2,3-ジメチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-4,5,6,7-テトラヒドロインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-2,3,6,7-テトラフルオロインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-4,7-ジメチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-3,6-ジメチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-4-フェニルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-4-フェニル-2-メチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-4-シクロヘキシルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-(3,3,3-トリフルオロプロピル)インデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-トリメチルシリルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-トリフルオロメチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-4,7-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-メチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-シクロペンチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-イソプロピルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-シクロヘキシルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-tert-ブチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-tert-ブチル-2-メチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-フェニルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-2-フェニルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-1H-ベンズ[e]インデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-1H-2-メチルベンズ[e]インデン;9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-2,3,6,7-テトラメチルフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-2,3,4,5,6,7-ヘキサフルオロフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-2,3-ベンゾフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-2,3,6,7-ジベンゾフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-2,7-ジイソプロピルフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-1,8-ジクロロフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-2,7-ジシクロペンチルフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-1,8-ジフルオロフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-1,2,3,4-テトラヒドロフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-4-tert-ブチルフルオレンである。
【0031】
これらのジエーテル類を用いて得られる触媒成分は、それらが、チタン化合物および1,3-ジエーテルと、より高いアルコール含量の付加物の部分脱アルコール化により順に得られる、最初のMgCl2(EtOH)m付加物(式中、mは0.15〜1.7である)に由来するルイス付加物との接触により得られたものであっても、実際に、重合活性、立体特異性および形態学的安定性の点で優れた特性を示している。我々はいずれの理論的な解釈と結びつける意図もないが、本発明の付加物における、おそらく部分的に脱アルコール化されたLB化合物の存在は、電子供与化合物と、触媒成分のその他の構成成分との相互作用がより効果的になるような様式で作用すると考えられる。
【0032】
適切な電子供与体は、モノまたはポリカルボン酸のアルキルおよびアリールエステル類でもあり、例えば安息香酸、フタル酸、マロン酸、グルタル酸およびコハク酸のエステル類などが好ましい。このようなエステル類の具体例は、n-ブチルフタレート、ジ-イソブチルフタレート、ジ-n-オクチルフタレート、ジエチル 2,2-ジイソプロピルスクシネート、ジエチル 2,2-ジシクロヘキシル-スクシネート、エチル-ベンゾエートおよびp-エトキシ エチル-ベンゾエートである。
【0033】
電子供与化合物は、通常、1:4と1:20の間に含まれるマグネシウムについてのモル比で存在する。
好ましくは、固体触媒成分の粒子は、実質的に球状の形態、および5〜150μmの間に含まれる平均直径を有する。「実質的に球状の形態」の用語は、1.5以下、好ましくは1.3未満の長軸と短軸との間の比を有するこれらの粒子を意味する。
【0034】
本発明による固体触媒成分は、通常10〜500 m2/gの間、好ましくは20〜350 m2/gの間の表面積(B.E.T.法による)、および0.15 cm3/gより高く、好ましくは0.2〜0.6 cm3/gの間の全多孔度(B.E.T.法による)を示す。
【0035】
本発明の触媒成分は、α-オレフィン類 CH2=CHR (式中、Rは水素または1〜12個の炭素原子を有する炭化水素基である)の重合用触媒を、有機-Al化合物、特にAl-アルキル化合物との反応または接触により形成する。アルキル-Al化合物は、例えばトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウムのようなトリアルキルアルミニウム化合物から選択されるのが好ましい。アルキルアルミニウムハロゲン化物、アルキルアルミニウム水素化物またはAlEt2ClおよびAl2Et3Cl3のようなアルキルアルミニウム セスキクロライドを、任意にトリアルキルアルミニウム化合物との混合で用いることも可能である。
Al/Ti比は、1より高く、通常、20〜800の間に含まれる。
【0036】
例えばプロピレンと1-ブテンのようなα-オレフィン類の立体規則性重合の場合、内部電子供与体として用いられる化合物と同じかまたは異なることができる電子供与化合物(外部供与体)は、上記で開示の触媒の製造において用いることができる。内部供与体がポリカルボン酸のエステル、特にフタレートである場合、外部供与体は、少なくとも1つのSi-OR連結を有する、式Ra1Rb2Si(OR3)c (式中、aおよびbは0〜2の整数であり、cは1〜3の整数であり、かつ(a+b+c)の合計が4であり;R1、R2およびR3は、1〜18個の炭素原子のアルキル、シクロアルキルまたはアリール基である)を有するシラン化合物から選択されるのが好ましい。特に好ましいのは、aが1であり、bが1であり、cが2であり、R1およびR2の少なくとも1つが、3〜10個の炭素原子の分岐鎖状アルキル、シクロアルキルまたはアリール基であり、R3がC1〜C10アルキル基、特にメチルであるケイ素化合物である。このような好ましいケイ素化合物の例は、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチル-t-ブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシランである。さらに、aが0であり、cが3であり、R2が分岐鎖状アルキルまたはシクロアルキル基であり、R3がメチルであるケイ素化合物も好ましい。このような好ましいケイ素化合物の例は、シクロヘキシルトリメトキシシラン、t-ブチルトリメトキシシランおよびtヘキシルトリメトキシシランである。
【0037】
上記の式を有する1,3-ジエーテル類は、外部供与体として用いることができる。しかしながら、1,3-ジエーテル類を内部供与体として用いる場合、外部供与体の使用は、触媒の立体特異性が既に充分に高いので、避けることができる。
【0038】
上記のように、本発明の成分およびそれから得られる触媒は、式CH2=CHR (式中、Rは水素または1〜12個の炭素原子を有する炭化水素基である)のオレフィン類の(共)重合方法における適用を見出す。
本発明の触媒は、当該技術において知られているいずれのオレフィン類重合方法において用いることができる。これらは、例えば希釈剤として不活性の炭化水素溶媒を用いるスラリー重合、または反応媒体として液体のモノマー(例えばプロピレン)を用いる塊状重合において用いることができる。さらに、これらは、1以上の流動床反応器または機械攪拌床反応器中で運転する気相において行われる重合方法に用いることもできる。
【0039】
重合は、通常、20〜120℃、好ましくは40〜80℃の温度で行われる。重合が気相において行われる場合、運転圧力は、通常、0.1〜10 MPaの間、好ましくは1〜5 MPaの間である。塊状重合において、運転圧力は、通常、1〜6 MPaの間、好ましくは1.5〜4 MPaの間である。
【0040】
本発明の触媒は、広範囲のポリオレフィン製品を製造するのに非常に有用である。製造できるオレフィンポリマーの具体例は、エチレンホモポリマー、およびエチレンの3〜12個の炭素原子を有するα-オレフィン類とのコポリマーを含む高密度エチレンポリマー(HDPE、0.940 g/ccより高い密度を有する);直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、0.940 g/cc未満の密度を有する)、ならびにエチレンの3〜12個の炭素原子を有する1種以上のα-オレフィン類との、80%より高いエチレン由来単位のモル含量を有するコポリマーからなる超低密度および極低密度(VLDPEおよびULDPE、0.920 g/cc未満、0.880 g/ccまでの密度を有する);アイソタクチックポリプロピレン、およびプロピレンのエチレンおよび/またはその他のα-オレフィン類との、85重量%より高いプロピレン由来単位の含量を有する結晶性コポリマー;1〜40重量%の間に含まれる1-ブテン由来単位の含量を有するプロピレンと1-ブテンとのコポリマー;結晶性ポリプロピレンマトリックスと、プロピレンならびにエチレンおよび/またはその他のα-オレフィン類のコポリマーを含む非晶性相とを含むヘテロ相コポリマーである。
【実施例】
【0041】
次の実施例は、説明のために与えられ、本発明自体を限定するものではない。
特徴づけ
アルコール含量の測定
エタノールおよびROH含量は、GC分析により測定する。
X.I.の測定
ポリマー2.5 gを、o-キシレン250 mlに、135℃で30分間の攪拌下で溶解し、次いで溶液を25℃に冷却し、30分後に不溶性のポリマーをろ過した。得られた溶液を窒素気流中で蒸発させ、残渣を乾燥させて秤量し、可溶性ポリマーのパーセンテージ、および次いで差によりキシレン不溶画分(%)を測定した。
【0042】
実施例
MgCl2・(EtOH)m付加物の製造の一般的な方法
初期量の微小球の(microspherical) MgCl2・2.8C2H5OHを、米国特許第4,399,054号の実施例2に記載の方法に従って、10,000の代わりに3,000 rpmで操作して製造した。次いで、表1に報告され、本発明の付加物の製造に用いられる特定のMgCl2・(EtOH)mのそれぞれを、初期の微小球のMgCl2・2.8C2H5OH付加物の一定量を熱脱アルコール化(thermal dealcoholation)に付すことにより製造した。熱脱アルコール化は、温度を30〜130℃まで増加させ、窒素流の下で表1に報告された「m」の特定値が得られるまで操作して行った。
【0043】
MgCl2・(EtOH)m(LB)nの一般的な製造
窒素でパージし、機械攪拌機および温度計を備えた5 Lのガラス反応器中に、無水ヘキサン3600 mLを室温で導入した。攪拌しながら、上記で報告した一般的な方法に従って製造した微小球のMgCl2(ROH)m付加物180gを加えた。ヘキサン300ccに溶解した特定量の選択したルイス塩基(比較例13〜16では用いず)をスラリーに、室温で攪拌下に30分間で徐々に加えた。ルイス塩基の量は、表1でMg/LBモル比として報告する。懸濁物を30分間で特定温度(表1参照)に加熱し、攪拌下に3時間反応させた。反応時間後、固体の付加物を沈降させ、上澄み液をサイホンで出した。最後にMgCl2・(ROH)m(LB)n付加物をヘキサンで2回洗浄し、真空下に40℃で乾燥させた。
【0044】
固体触媒成分の製造の一般的方法A
機械攪拌機および温度計を備え、窒素でパージした2 Lの4つ口ガラス反応器に、TiCl4 1500 mLを導入し、0℃に冷却した。攪拌しながら、上記のようにして製造した微小球の付加物60 gを加えた。続いてMg 1モル当たり0.125モルに相当する量のジ-イソブチルフタレートを懸濁物に加えた。温度を100℃に上昇させ、120分間保持した。次いで攪拌を停止し、固体物質を100℃で15分間沈降させ、上澄み液をサイホンで出した。
新鮮なTiCl4 1500 mLをもう一度固体物質に加えた。混合物を120℃で60分間反応させ、次いで攪拌を停止した。固体物質を120℃で15分間沈降させ、上澄み液をサイホンで出した。固体をヘキサンで3回、50℃で、さらに3回室温で洗浄し、最後に真空下に40℃で乾燥させた。
【0045】
固体触媒成分の製造の一般的方法B
機械攪拌機および温度計を備え、窒素でパージした2 Lの4つ口ガラス反応器に、TiCl4 1500 mLを導入し、0℃に冷却した。攪拌しながら、上記のようにして製造した微小球の付加物75 gを加えた。続いてMg 1モル当たり0.200モルに相当する量の9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレンを懸濁物に加えた。温度を100℃に上昇させ、60分間保持した。次いで攪拌を停止し、固体物質を65℃で15分間沈降させ、上澄み液をサイホンで出した。
次いで、新鮮なTiCl4 1500 mLを固体物質に加えた。混合物を110℃で30分間反応させ、次いで攪拌を停止して反応器を65℃に冷却した。固体物質を65℃で15分間沈降させ、上澄み液をサイホンで出した。新鮮なTiCl4 1500 mLをもう一度固体物質に加えた。混合物を110℃で30分間反応させ、次いで攪拌を停止して反応器を65℃に冷却した。固体物質を65℃で15分間沈降させ、上澄み液をサイホンで出した。固体をヘキサンで3回、50℃で、さらに3回室温で洗浄し、最後に真空下に40℃で乾燥させた。
【0046】
一般的な方法Aで得られた固体触媒成分のためのプロピレンの一般的重合方法
窒素流で70℃で2時間パージした4-Lのオートクレーブに、AlEt3 760mg、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン63 mgおよび固体触媒成分10 mgを含む無水ヘキサン75 mlをプロピレン流の下で30℃において導入した。オートクレーブを閉じた。水素1.5 Nlを加え、次いで攪拌下に液体プロピレン1.2 Kgを供給した。温度を5分間で70℃に上昇させ、重合をこの温度で2時間行った。反応しなかったプロピレンを除去し、ポリマーを回収し、70℃で真空下に3時間乾燥させ、次いで秤量し、Mg残渣を測定するために分析し、これにより触媒の活性を算出する。
【0047】
一般的な方法Bで得られた固体触媒成分のためのプロピレンの一般的重合方法
窒素流で70℃で2時間パージした4-lのオートクレーブに、AlEt3 600mgおよび固体触媒成分6 mgを含む無水ヘキサン75 mlをプロピレン流の下で30℃において導入した。オートクレーブを閉じた。水素1.0 Nlを加え、次いで攪拌下に液体プロピレン1.2 Kgを供給した。温度を5分間で70℃に上昇させ、重合をこの温度で2時間行った。反応しなかったプロピレンを除去し、ポリマーを回収し、70℃で真空下に3時間乾燥させ、次いで秤量し、Mg残渣を測定するために分析し、これにより触媒の活性を算出する。
【0048】
実施例1〜12および比較例13〜16
MgCl2・(EtOH)m(LB)n付加物の製造
全ての付加物は、上記の一般的な製造方法に従って製造した。
【0049】
実施例17〜31および比較例32〜38
触媒の製造
各触媒は、表2に報告するように一般的な製造方法AまたはBに従うことにより製造した。
重合
使用した関係する触媒製造方法に応じて、次いで各触媒を上記のような重合試験AまたはBにおいて試験した。結果を表2に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
MgCl2と、エーテル類、エステル類、ケトン類、シラン類またはアミン類に属するルイス塩基(LB)と、アルコールROH (式中、Rは、ヘテロ原子含有基で任意に置換されていてもよいC1〜C15炭化水素基である)とを含み、これらの化合物が互いに次の式MgCl2(ROH)m(LB)n (式中、mは0.05〜6の範囲であり、nは0.08〜6の範囲である)により定義されるモル比にある固体ルイス付加物。
【請求項2】
LBが、エーテル類、エステル類またはケトン類から選択される請求項1に記載の固体付加物。
【請求項3】
LBが、エステル類またはエーテル類から選択される請求項2に記載の固体付加物。
【請求項4】
エーテル類が、C2〜C20の脂肪族エーテル類である請求項3に記載の固体付加物。
【請求項5】
エーテル類が、3〜5個の炭素原子を有する環状エーテル類である請求項4に記載の固体付加物。
【請求項6】
エーテルがテトラヒドロフランである請求項5に記載の固体付加物。
【請求項7】
エステル類が、C1〜C10脂肪族カルボン酸のアルキルエステル類である請求項3に記載の固体付加物。
【請求項8】
R基が、C1〜C10の飽和炭化水素基である請求項1に記載の固体付加物。
【請求項9】
R基が、メチル、エチルおよびC3〜C8アルキル基である請求項8に記載の固体付加物。
【請求項10】
ROHアルコールがエタノールである請求項1に記載の固体付加物。
【請求項11】
mが0.1〜4.5の範囲であり、nが0.07〜3の範囲である請求項1に記載の固体付加物。
【請求項12】
mが0.5〜4の範囲であり、nが0.1〜2.5の範囲である請求項1に記載の固体付加物。
【請求項13】
式MgCl2(ROH)m(LB)n(H2O)p (式中、添え字pは、0.01〜0.6の範囲である)により定義されるモル比で水も含む請求項1に記載の固体ルイス付加物。
【請求項14】
(i) MgCl2とROHとLBとを、任意に不活性液体希釈剤の存在下に接触させ、
(ii) 系を混合物の融解温度まで加熱し、そして完全に融解した付加物を得るように該条件を維持し、そして
(iii) 融解した付加物を迅速に冷却してその凝固を得る
ことを含む請求項1に記載の固体ルイス付加物を製造する方法。
【請求項15】
LB化合物を、予め作製した固体MgCl2(ROH)m付加物(式中、Rおよびmは、請求項1に与えられたのと同じ意味を有する)と接触させることを含む請求項1に記載の固体ルイス付加物を製造する方法。
【請求項16】
MgCl2(ROH)m付加物が、アルコールの一部が物理的または化学的な脱アルコール化により除去されている原料付加物に由来する請求項15に記載の方法。
【請求項17】
LB化合物が、蒸気相である請求項15に記載の方法。
【請求項18】
mが0.15〜1.7である請求項16に記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1つに記載の固体付加物を、元素周期表(新表記)の4〜6族の1つに属する遷移金属の化合物と接触させることにより得られる触媒成分。
【請求項20】
遷移金属化合物が、式Ti(OR)nXy-n (式中、nは0とyの間に含まれ;yはチタンの原子価であり;Xはハロゲンであり、Rは1〜10個の炭素原子を有するアルキル基またはCOR基である)のチタン化合物から選択される請求項19に記載の触媒成分。
【請求項21】
遷移金属化合物が、TiCl3、TiCl4、Ti(OBu)4、Ti(OBu)Cl3、Ti(OBu)2Cl2、Ti(OBu)3Clから選択される請求項19に記載の触媒成分。
【請求項22】
エステル類、エーテル類、アミン類およびケトン類から選択される電子供与体をさらに含む請求項19に記載の触媒成分。
【請求項23】
電子供与体が、式(I):
【化1】

(式中、RIおよびRIIは同一または異なって、水素、または1つ以上の環状構造も形成することができる直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C18炭化水素基であり;RIII基は互いに等しいかまたは異なって、水素またはC1〜C18炭化水素基であり;RIV基は互いに等しいかまたは異なって、それらが水素であり得ない以外はRIIIと同じ意味を有し;RI〜RIV基のそれぞれは、ハロゲン、N、O、SおよびSiから選択されるヘテロ原子を含み得る)
の1,3-ジエーテル類から選択される請求項19に記載の触媒成分。
【請求項24】
電子供与体が、式(III):
【化2】

(式中、RVI基は等しいかまたは異なって、水素;ハロゲン、好ましくはClおよびF;直鎖状または分岐鎖状のC1〜C20アルキル基;炭素もしくは水素原子または両方の代わりとしてN、O、S、P、Siならびにハロゲン、特にClおよびFからなる群より選択される1個以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3〜C20シクロアルキル、C6〜C20アリール、C7〜C20アルキルアリールおよびC7〜C20アラルキル基であり;RIIIおよびRIV基は、請求項23に定義されるとおりである)
の1,3-ジエーテル類から選択される請求項19に記載の触媒成分。
【請求項25】
請求項19〜24のいずれか1つに記載の触媒成分を、1種以上の有機アルミニウム化合物と接触させることにより得られる、α-オレフィン類CH2=CHR (式中、Rは、水素または1〜12個の炭素原子を有する炭化水素基である)の重合のための触媒系。
【請求項26】
有機アルミニウム化合物が、Al-アルキル化合物である請求項25に記載の触媒系。
【請求項27】
外部電子供与化合物をさらに含む請求項26に記載の触媒系。
【請求項28】
請求項25〜27のいずれか1つに記載の触媒の存在下で行われるオレフィン類の重合方法。

【公表番号】特表2006−518772(P2006−518772A)
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502424(P2005−502424)
【出願日】平成15年11月25日(2003.11.25)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013818
【国際公開番号】WO2004/054711
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(501468046)バセル ポリオレフィン イタリア エス.アール.エル. (33)
【住所又は居所原語表記】Via Pergolesi 25,20124 Milano,Italy
【Fターム(参考)】