説明

二多段式駐車装置とその運転方法

【課題】敷地面積が従来と同じであっても、入出庫スペース及び人の通路スペースを広く確保することができる二多段式駐車装置とその運転方法を提供する。
【解決手段】同一の設置スペース11に2段以上の駐車スペースが設けられた二多段式駐車装置10であって、車両1が入出庫する入出庫高さとそれより上方の駐車スペースとの間で車両1を載せて昇降可能なパレット12と、パレット12を把持して昇降させ入出庫高さで解放する昇降枠20と、パレット12を載せ入出庫高さでパレット12の幅方向にパレット12を横行可能にする移動コンベア22とを備え、(A)パレット12を把持した状態で昇降枠20を昇降させて、パレット12を入出庫高さとそれより上方の駐車スペースとの間で昇降させ、(B)パレット12が入出庫高さに位置する入出庫時にパレット12を昇降枠20から解放し、移動コンベア22によりパレット12を入出庫位置36a,36bまで幅方向に横行移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二多段式駐車装置とその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二多段式駐車装置とは、同一の設置スペースに二段以上の駐車スペースが設けられた機械式駐車装置である。
二多段式駐車装置は、地上のみに駐車スペースが設けられる地上式と、地上と地下に駐車スペースが設けられるピット式とに大別できる。地上式とピット式のいずれも、車両の入出庫は、入出庫高さ(FL)に位置するパレット上に車両を直接入庫し又はパレット上から車両を出庫することで行われる。
【0003】
上述した二多段式駐車装置は、例えば特許文献1〜4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−115674号公報、「二・多段式駐車装置の横行装置と横行ガイド装置」
【特許文献2】特開2003−97074号公報、「多段式駐車装置」
【特許文献3】特開2003−105997号公報、「多段式駐車装置」
【特許文献4】特開2009−256978号公報、「二・多段式駐車装置の改造方法と、この方法で改造された二・多段式駐車装置」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
二多段式駐車装置は隣り合うパレットとの間隔が狭く、車両の入出庫や、パレットの間の通行が不便であるため、利用者からパレットの間隔を広く使いたいという要望があった。しかし、それに対し、パレット間の間隔を広く設計すると、敷地面積が余計に必要となり、建設費用もかかるため、管理者のニーズに合わなかった。
【0006】
本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、敷地面積が従来と同じであっても入出庫スペース及び人の通路スペースを広く確保することができる二多段式駐車装置とその運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、同一の設置スペースに2段以上の駐車スペースが設けられた二多段式駐車装置であって、
車両が入出庫する入出庫高さとそれより上方の駐車スペースとの間で車両を載せて昇降可能なパレットと、
前記パレットを把持して昇降させ前記入出庫高さで解放する昇降枠と、
前記パレットを載せ入出庫高さで前記パレットの幅方向にパレットを横行可能にする移動コンベアとを備え、
(A)前記パレットを把持した状態で前記昇降枠を昇降させて、パレットを入出庫高さとそれより上方の駐車スペースとの間で昇降させ、
(B)前記パレットが入出庫高さに位置する入出庫時に前記パレットを前記昇降枠から解放し、前記移動コンベアにより前記パレットを入出庫位置まで前記幅方向に横行移動させる、ことを特徴とする二多段式駐車装置が提供される。
【0008】
また、前記移動コンベアは、垂直かつ前記幅方向に平行な断面が台形であり幅方向側部が互いに接続して無端リングを形成する複数の移載プレートと、
前記パレットの長さ方向に伸び前記移載プレートを回転させる複数の回転軸とを備え、
前記パレットは前記移動コンベアに載せられ、移動コンベアの回転により横行する。
【0009】
また、前記入出庫位置は隣り合ったパレットもしくは前記設置スペースの前記幅方向端部から一定の距離離れている。
【0010】
また、本発明によれば、同一の設置スペースに2段以上の駐車スペースが設けられた二多段式駐車装置であって、
車両が入出庫する入出庫高さとそれより上方の駐車スペースとの間で車両を載せて昇降可能なパレットと、
前記パレットを把持して昇降させ前記入出庫高さで解放する昇降枠と、
前記パレットを載せ入出庫高さで前記パレットの幅方向にパレットを横行可能にする移動コンベアとを備え、
(A)前記パレットを把持した状態で前記昇降枠を昇降させて、パレットを入出庫高さとそれより上方の駐車スペースとの間で昇降させ、
(B)前記パレットが入出庫高さに位置する入出庫時に前記パレットを前記昇降枠から解放し、前記移動コンベアにより前記パレットを入出庫位置まで前記幅方向に横行移動させる、ことを特徴とする二多段式駐車装置の運転方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
上記本発明によれば、車両が入出庫する入出庫高さとそれより上方の駐車スペースとの間で車両を載せて昇降可能なパレットを、入出庫高さで移動コンベアに載せ、入出庫時の車両の進行方向に対して横方向に移動させるので、駐車時にはパレット間の間隔を狭くし、車両の入出庫時にはパレット間の間隔を広くなるようにパレットを移動することができる。それにより、入出庫時にパレット間の通路を広く確保することができる。また、入出庫時にパレット間の間隔を広くすることができるので、安全に後進入庫することができる。さらに、駐車時にはパレット間の間隔を狭く保つことが出来るので、従来と同じ敷地面積に建設することができ、駐車スペースを有効に使うことが出来る。

【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による第1実施例の二多段式駐車装置の正面図である。
【図2】図1の右側面図である。
【図3】本発明による第1実施例の二多段式駐車装置の移動コンベアの説明図である。
【図4】最上段の車両を入出庫する際の本発明による第1実施例の二多段式駐車装置の作動説明図である。
【図5】図1のB−B矢視図である。
【図6】最上段の車両を入出庫する際の本発明による第2実施例の二多段式駐車装置の作動説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0014】
図1は、本発明による第1実施例の二多段式駐車装置の正面図であり、図2は図1の右側面図である。
この例において、二多段式駐車装置10は、同一の設置スペース11に3段(1F,2F,3F)の駐車スペースが設けられた地上3段昇降横行式である。なお、設置スペース11とは、二多段式駐車装置10が設置されている敷地を示している。
【0015】
この例において、3段のうち1Fに位置するパレット12aは、水平に横行可能であり、2Fに位置する2つのパレット12bは、横行と昇降が可能であり、3Fに位置する3つのパレット12cは、昇降のみが可能になっている。
従って、この例において、車両1の収容台数は、パレットの横行にスペースが必要となる1Fに1台、パレットの昇降に1台分のスペースが必要となる2Fに2台、3Fに3台で計6台である。
以下、パレット12a〜12cを特に区別しない場合は、単にパレット12と呼ぶ。
【0016】
なお、本発明は上述した二多段式駐車装置に限定されず、それ以外の二多段式駐車装置であってもよい。
例えば、駐車スペースの段数は、二段以上であれば何段であってもよい。また、同一段の収容台数も3台に限定されず、2台以上であれば何台でもよい。
以下、図1、図2に基づき、本発明を説明する。
【0017】
車両1が入出庫する入出庫高さ(FL)は、この例で3連であり、A,B,Cの3つの駐車位置を有する。すなわち、この例において、各段の駐車スペースにA,B,Cの駐車位置を3つずつ有し、各段に収容されたパレット12は各駐車位置を横行もしくは昇降する。
パレット12(パレット12a〜12c)の全幅はすべて同一であり、各駐車位置A,B,Cは、駐車時には3つのパレット12が必要な隙間(例えば40mm以下)を隔てて互いに隣接して位置するようになっている。
【0018】
1Fに位置するパレット12の下には、入出庫時の車両の進行方向に対して垂直な横方向にパレット12を横行可能にする移動コンベア22を備える。すなわち、1Fのフロアに設けられた窪みに移動コンベア22が備えられ、移動コンベア22がパレット12を載せて横行移動する。
以下、入出庫とは、入庫と出庫を意味する。
なお、以下において、横方向とは、入出庫時の車両の進行方向に対して垂直かつ水平の方向、すなわちパレット12の幅方向のことを指す。
【0019】
2Fに位置する2つのパレット12bは、昇降枠20と横行枠15によって吊り上げられている。横行枠15は、長さ方向両端部に車輪13を有し、2Fに設けられた2本の水平レール14に沿って図示しない水平駆動装置により水平に横行する。また、昇降枠20は、横行枠15によって吊り上げられ、車両1と干渉しない位置で、パレット12bを把持する。そして、2Fと1Fの間で車両1を下降させた後に、昇降枠20からパレット12を解放し、昇降枠20を入出庫及び人の通行を妨げない高さまで上昇させることにより、1Fにて入出庫時にパレット12を解放する。
【0020】
3Fに位置する3つのパレット12cは、昇降枠20によって吊り上げられる。昇降枠20は、二多段式駐車装置10を囲む枠である本体フレーム2によって吊り上げられ、車両1と干渉しない位置で、パレット12を把持する。そして、2Fと1Fの間で車両1を下降させた後に、昇降枠20からパレット12を解放し、昇降枠20を入出庫及び人の通行を妨げない高さまで上昇させることにより、1Fにて入出庫時にパレット12を解放する。
なお、本実施形態の3Fには、横行枠15が設置されていないが、横行枠15を設置し、横行可能に構成しても良い。
【0021】
本発明の二多段式駐車装置10は、車両1が入出庫する入出庫高さ(FL)と、この入出庫高さより上方の駐車スペースとの間で車両1を載せて昇降可能なパレット12cと、昇降と横行が可能なパレット12bを有する。
この昇降可能なパレット12cには、上述した3Fに位置する3つのパレット12cが該当し、昇降と横行が可能なパレット12bには、2Fに位置する2つのパレット12bが該当する。
【0022】
本発明の二多段式駐車装置10は、さらに、昇降駆動装置16を備える。
【0023】
昇降駆動装置16は、車両1と干渉しない位置で鉛直に延びる可撓性のある紐状体17と、紐状体17を巻き上げ又は巻き戻しして、その下端17aを昇降させる吊り駆動装置18とを有する。
この例において、紐状体17はチェーン(又はワイヤ)であり、吊り駆動装置18はチェーン駆動装置(又はウインチ)である。
【0024】
紐状体17の下端17aは昇降枠20の上面に固定され、中間部はスプロケット(又はプーリ)を介して吊り駆動装置18に達する。吊り駆動装置18がチェーン駆動装置の場合、紐状体17の他端には図示しないカウンタバランスが設けられ、チェーン駆動装置によりチェーンと噛合するスプロケットを回転駆動する。また、吊り駆動装置18がウインチの場合、紐状体17の他端がウインチのドラムに巻き付けられ、ドラムを回転駆動する。
【0025】
移動コンベア22は、移載プレート24、スプロケット26、軸受28、回転軸30、回転駆動装置32からなる。
図3は、本発明による第1実施例の二多段式駐車装置10の移動コンベア22の説明図である。図3(A)は図2の移動コンベア22の拡大図、図3(B)は(A)のA−A断面図である。また、図3(C)は図3(B)の移載プレート24の拡大図であり、図3(D)は移動コンベア22の移載プレート24の斜視図である。
移動コンベア22は、入出庫高さ(FL)で入出庫時の車両1の進行方向に対して横方向に複数並び、パレット12の横方向の移動を可能にする。移動コンベア22の横方向幅は、パレット12の横方向幅と同じであることが好ましいが、パレットの横方向幅よりも短ければどのような長さでもよい。すなわち、移動コンベア22は、各駐車位置A,B,Cに横方向に1基ずつ配置してもよいし、各駐車位置A,B,Cにつき複数基の移動コンベア22を配置してもよい。
また、移動コンベア22の高さは、車両1の入出庫に支障のない範囲で、1Fのフロアの高さよりも高くなっている。さらに、移動コンベア22は車両1の進行方向に対して前後方向に2列並んでいるが、3列以上でもよい。
【0026】
移載プレート24は、横方向かつ鉛直の断面は台形であり、長さ方向に少なくとも二か所支持端部24aを有する。支持端部24aは垂直方向の厚みが薄い部位をいう。また、支持端部24aは移載プレート24の長さ方向両端部が好ましいが、その他の部位でもよい。
また、移載プレート24の幅方向側部が隣り合った移載プレート24の幅方向側部と接し、無端リングを形成している。
【0027】
回転軸30はパレット12の長さ方向に伸び,移動コンベア22の横方向両端に少なくとも2本設置されている。しかし、回転軸30は横方向両端の間にさらに複数本設けられていても良い。
また、スプロケット26は、2本の回転軸30に2つずつ取り付けられている。さらに、スプロケット26には、無端のリング状チェーン31が噛合し、無端のリング状チェーン31が移載プレート24の支持端部24aを支えている。そして、回転軸30の回転はスプロケット26を介してリング状チェーン31に伝わり、移載プレート24を横方向に移動させる。
【0028】
また、複数の回転軸30のうち一本には、回転軸30を回転させる回転駆動装置32が取り付けられている。そして、回転駆動装置32が一本の回転軸30を回転させ、移載プレート24やリング状チェーン31が回転することにより、他の回転軸30も回転する。
回転駆動装置32は各移動コンベア22に1つずつ設置されていることが好ましい。しかし、パレット12の長さ方向に対して前後方向に並んでいる複数の移動コンベア22が、共通の回転駆動装置32を使用してもよい。また、前後方向に並んでいる複数の移動コンベア22が共通の回転軸30を使用してもよい。
【0029】
図4は、最上段の車両1を入出庫する際の本発明による第1実施例の二多段式駐車装置10の作動説明図である。
この例は、3Fに位置するパレット12cが入出庫高さ(FL)まで下降して、入出庫する場合であり、図4(A)は3F用のパレット12cが3Fに位置する駐車状態、図4(B)は2F用のパレット12bと1F用のパレット12aが右方向へ移動し、パレット12cを下降させる状態、図4(C)はパレット12cが1Fまで下降した状態、図4(D)はパレット12cにおける入出庫状態を示している。
また、図5は図1のB−B矢視図である。図5(A)は駐車時を示し、図5(B)は入出庫時を示す。
【0030】
図4(A)に示すように、3F用のパレット12cが3Fに位置する駐車状態では、昇降枠20によりパレット12cを把持した状態で、3Fに位置する高さまで上昇させている。
この駐車状態において、3段のうち1Fに位置するパレット12aは、移動コンベア22により横方向に水平移動が可能で、2Fに位置する2つのパレット12bは、横行と昇降が可能である。
【0031】
3Fに位置するパレット12cを下降させる場合には、図4(B)に示すように、予め下方に位置するパレット12a、12bを水平に横行させ、昇降するパレット12cの下方に他のパレットが存在しないようにしておく必要がある。
【0032】
次いで、図4(C)に示すように、昇降枠20がパレット12cを把持した状態で、吊り駆動装置18により昇降枠20を下降させて、パレット12cを入出庫高さ(FL)まで下降させる。そして、移動コンベア22上にパレット12cを載せ、パレット12cを昇降枠20から解放する。そして、パレット12cを入出庫高さ(FL)に残したまま、吊り駆動装置18により昇降枠20を入出庫及び人の通行を妨げない高さまで上昇させる。
なお、昇降枠20がパレット12を把持解放する方法は、いかなる方法でもよい。
【0033】
次いで、図4(D)に示すように、パレット12cが入出庫高さ(FL)に位置する入出庫時に移動コンベア22を駆動させ、パレット12cを駐車位置A,B,Cから入出庫位置36a,36b(図5)に移動させる。
入出庫は、図4(D)の状態で行われる。従って、入出庫高さ(FL)における車両1の入出庫の際に、パレット12c間の間隔を広くし、入出庫スペース及び人の通路スペースを広く確保することができる。
なお、入出庫位置36a,36bとは、隣り合ったパレット12aもしくは設置スペース11の幅方向端部から一定の距離(すなわち確保すべき通路幅d)が離れている位置のことである。
すなわち、図5において、パレット12cの入出庫時に、パレット12cが入出庫位置36aで入出庫する時には、隣り合ったパレット12aは駐車位置Cに移動する。同様に、パレット12cが入出庫位置36bで入出庫する時には、隣り合ったパレット12aは駐車位置Aに移動する。
【0034】
図4(D)において、パレット12cの車両1が入出庫した後、吊り駆動装置18により昇降枠20を入出庫高さ(FL)まで下降させ、昇降枠20とパレット12cを連結する。
次いで、図4(C)、図4(B)の状態を経て図4(A)の駐車状態に戻る。
【0035】
なお、1Fのパレット12aを移動する際に、図4(B)に示すように、下降するパレット12cが置かれる予定の駐車位置A,B,Cから、確保すべき通路幅dを隔てたところに予めパレット12aを移動させ、その後A,B,Cの3つの駐車位置の移動コンベア22を全て駆動する。そして、パレット12cを入出庫位置36a,36bに移動させると共に、同時にパレット12aを駐車位置A,Cに移動させることが好ましい。
または、パレット12aを駐車位置A,B,Cまで予め移動させ、その後隣り合った2つの駐車位置の移動コンベア22を駆動し、3Fのパレット12cを入出庫位置36a,36bに移動してもよい。
なお、入出庫時には、パレット12a、12cが、隣り合った移動コンベア22間の隙間を覆っていることが好ましい。これにより、パレット12間を通行する利用者が移動コンベア22間の隙間で転倒することを防ぎ、安全に運用することができる。
なお、入出庫高さ(FL)に設置した光電管によって、パレット12の位置を把握し、駐車位置A,B,Cや入出庫位置36a,36bに移動させる。
【0036】
また、2Fに位置するパレット12bが入出庫高さ(FL)まで下降して、入出庫する場合も、同様である。
【0037】
第1実施例の二多段式駐車装置10は、移動コンベア22が横方向に複数基設置されるため、1Fのパレット12を別々に動かすことができる。そのため、利用者が入出庫手続をしてから車両1が入出庫可能な状態になるまでの時間を節約することができる。
【0038】
図6は、最上段の車両1を入出庫する際の本発明による第2実施例の二多段式駐車装置10の作動説明図である。
第2実施例の二多段式駐車装置10は、横方向において設置スペース11に1基、すなわち駐車位置のA,B,Cを合わせて1基の移動コンベア22を配置している。また、第2実施例の移動コンベア22の上面には、パレット12aを載せるための搭載板38a,38bが設置されていることが好ましい。
この例は、3Fに位置するパレット12cが入出庫高さ(FL)まで下降して、入出庫する場合であり、図6(A)は待機状態(すなわち駐車状態)、図6(B)は3Fの中央に位置する昇降枠20を下降させて1F用のパレット12aを上昇させる状態を示す。また、図6(C)は搭載板38a,38bを左方向へ移動し、2F用のパレット12bを右方向へ移動する状態、図6(D)は3F用のパレット12cを搭載板38a,38bの上に下降させる状態を示す。さらに、図6(E)はパレット12cを1Fで入出庫位置に移動する状態、図6(F)はパレット12cにおける入出庫状態を示している。
【0039】
第2実施例の二多段式駐車装置10において、搭載板38a,38bは、移動コンベア22の上面に設置された板であり、パレット12を載せて横方向に水平移動する。搭載板38a,38bは、パレット12が嵌るように、移載プレート24の上面より低く設置されることが望ましい。また、隣り合った搭載板38a,38bの横方向端面から確保すべき通路幅dを隔てて設置されている。さらに、搭載板38a,38bを設けずに、移載プレート24の上面にパレット12を載せて、水平移動しても良い。
【0040】
図6(A)に示すように、待機状態(すなわち、車両1の駐車状態)では、中央(駐車位置B)の3F用の昇降枠20が2Fの位置で待機し、1Fの搭載板38a,38bの上にはパレット12aが1枚ずつ載せられている。第2実施例の駐車状態では、1Fに2台、2Fに2台、3Fに2台で計6台の車両1が待機している。
利用者が入出庫手続をすると、図6(A)に示すように、入出庫する車両1(この場合駐車位置A)に近い搭載板38aを待機中の昇降枠20の下に移動させる。そして、図6(B)に示すように、搭載板38aに載った車両1を、パレット12aと一緒に3Fに上昇させる。
【0041】
次いで、図6(C)に示すように、予め下方に位置するパレット12bを水平に横行させ、昇降するパレット12cの下方に他のパレットが存在しないようにしておく必要がある。また、移動コンベア22を駆動して、空になった搭載板38aをパレット12cの下方に水平移動する。
【0042】
その後、図6(D)に示すように、吊り駆動装置18によりパレット12cを把持した状態の昇降枠20を入出庫高さ(FL)まで下降させる。そして、移動コンベア22の搭載板38a上にパレット12cを載せ、パレット12cを昇降枠20から解放して入出庫高さ(FL)に残したまま、昇降枠20を入出庫及び人の通行を妨げない高さまで上昇させる。
なお、昇降枠20がパレット12を把持解放する方法は、いかなる方法でもよい。
【0043】
次いで、図6(E)に示すように、移動コンベア22を駆動させ、パレット12cを駐車位置A,B,Cから入出庫位置36a,36bに移動させる。
入出庫は、図6(F)の状態で行われる。従って、入出庫高さ(FL)における車両1の入出庫の際に、通路幅dを確保してパレット12間の間隔を広くし、入出庫スペース及び人の通路スペースを広く確保することができる。
【0044】
なお、その他の形態は第1実施例と同様である。
また、2Fに位置するパレット12bが入出庫高さ(FL)まで下降して、入出庫する場合も、同様である。
第2実施例の二多段式駐車装置10は、移動コンベア22が横方向に1基のみ設置されるため、回転駆動装置32の数を減らすことができる。そのため、消費電力を節約することができる。
【0045】
上述した本発明によれば、車両1が入出庫する入出庫高さ(FL)とそれより上方の駐車スペースとの間で車両1を載せて昇降可能なパレット12を、入出庫高さで移動コンベア22に載せ、入出庫時の車両1の進行方向に対して横方向に移動させるので、駐車時にはパレット12間の間隔を狭くし、車両1の入出庫時にはパレット12間の間隔を広くなるようにパレット12を移動することができる。それにより、入出庫時にパレット12間の通路を広く確保することができる。また、入出庫時にパレット12間の間隔を広くすることができるので、安全に入庫することができる。さらに、駐車時にはパレット12間の間隔を狭く保つことが出来るので、従来と同じ敷地面積に建設することができ、駐車スペースを有効に使うことが出来る。
【0046】
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
1 車両、2 本体フレーム、10 二多段式駐車装置、
11 設置スペース、12,12a〜12c パレット、
13 車輪、14 水平レール、
15 横行枠、16 昇降駆動装置、
17 紐状体(チェーン、ワイヤ)、17a 下端、
18 吊り駆動装置、20 昇降枠、
22 移動コンベア、24 移載プレート、24a 支持端部、
26 スプロケット、28 軸受、30 回転軸、
31 リング状チェーン、32 回転駆動装置、
36a,36b 入出庫位置、38a,38b 搭載板、
A,B,C 駐車位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の設置スペースに2段以上の駐車スペースが設けられた二多段式駐車装置であって、
車両が入出庫する入出庫高さとそれより上方の駐車スペースとの間で車両を載せて昇降可能なパレットと、
前記パレットを把持して昇降させ前記入出庫高さで解放する昇降枠と、
前記パレットを載せ入出庫高さで前記パレットの幅方向にパレットを横行可能にする移動コンベアとを備え、
(A)前記パレットを把持した状態で前記昇降枠を昇降させて、パレットを入出庫高さとそれより上方の駐車スペースとの間で昇降させ、
(B)前記パレットが入出庫高さに位置する入出庫時に前記パレットを前記昇降枠から解放し、前記移動コンベアにより前記パレットを入出庫位置まで前記幅方向に横行移動させる、ことを特徴とする二多段式駐車装置。
【請求項2】
前記移動コンベアは、垂直かつ前記幅方向に平行な断面が台形であり幅方向側部が互いに接続して無端リングを形成する複数の移載プレートと、
前記パレットの長さ方向に伸び前記移載プレートを回転させる複数の回転軸とを備え、
前記パレットは前記移動コンベアに載せられ、移動コンベアの回転により横行する、ことを特徴とする請求項1に記載の二多段式駐車装置。
【請求項3】
前記入出庫位置は隣り合ったパレットもしくは前記設置スペースの前記幅方向端部から一定の距離離れている、ことを特徴とする請求項1に記載の二多段式駐車装置。
【請求項4】
同一の設置スペースに2段以上の駐車スペースが設けられた二多段式駐車装置であって、
車両が入出庫する入出庫高さとそれより上方の駐車スペースとの間で車両を載せて昇降可能なパレットと、
前記パレットを把持して昇降させ前記入出庫高さで解放する昇降枠と、
前記パレットを載せ入出庫高さで前記パレットの幅方向にパレットを横行可能にする移動コンベアとを備え、
(A)前記パレットを把持した状態で前記昇降枠を昇降させて、パレットを入出庫高さとそれより上方の駐車スペースとの間で昇降させ、
(B)前記パレットが入出庫高さに位置する入出庫時に前記パレットを前記昇降枠から解放し、前記移動コンベアにより前記パレットを入出庫位置まで前記幅方向に横行移動させる、ことを特徴とする二多段式駐車装置の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−241382(P2012−241382A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111116(P2011−111116)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000198363)IHI運搬機械株式会社 (292)