説明

二室容器の混合装置

【課題】簡単な操作で装着して混合し、混合後は簡単に離脱させて混合剤が収容された容器として使用することができる混合装置を提供する。
【解決手段】第1可動壁A6及び第2可動壁A7で第1収容室R1を区画し、第2可動壁A7上方に第2収容室R2を区画し、第1可動壁A6の押し込み時に第2可動壁A7外周を介して第1収容室R1内と第2収容室R2内とが連通する連通凹部13を第2収容室R2内周に凹設した二室容器Aに対し、二室容器Aを上方への抜け出しを防止した状態で係止可能で、且つ二室容器が着脱可能に嵌合される筒状基体B4を、台座B1上に回転可能に装着し、台座B1に対する筒状基体B4の相対回転により、押圧体B6を小さな力で上昇させる機構を備え、上昇する押圧体B6の先端により第1可動壁A6を押し上げて各収容室内の二剤を混合する如く構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二室容器の混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内部に注射液の成分のような複数の薬剤が隔離状態で保たれ、外部からの作用によりこれらの薬剤を混合しかつ溶解させることができるように構成された注射液成分用の容器を備えた注射装置が提案されている。(例えば、特許文献1を参照)
【0003】
上記容器は前端部が貫通可能な膜によりシールされ、貫通可能な膜と前側可動壁部材との間のスペース内に注射液の固形成分を収納し、また前側可動壁部材と後側可動壁部材との間のスペース内に注射液の液体成分を収納し、更に管状壁部に後側可動壁部材が液体及び前側可動壁部材と共に移動するときに液体成分が前側可動壁部材を越えて流通して固形成分と混合するための連絡通路を備えている。
【0004】
また、上記注射装置は、注射液の成分を一緒にして混合するように内部に容器を固定することができるホルダー手段を備えている。このホルダー手段は容器の外周に二重筒状に設けた管状部材と、該管状部材内周に先端部外周を螺合させた管状部材との2個の管状部材により構成され、一方の管状部材をねじ込んだ際に容器の後側可動壁部材が液体および前側可動壁部材と一緒に前方へ移動され、それにより液体が連絡通路を通って固形成分のスペースに流入して液体を固形成分と混合して溶液を調整するような押圧機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平06−061361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記装置は成分を非常に静かにかつ安全に混入することができる優れたものであるが、上記ホルダー手段及び押圧機構を容器と一体に組み入れているため、再利用の際における付け替え操作が煩雑になる。
【0007】
本発明では、上記従来例の如く、第1可動壁及び第2可動壁で区画された第1収容室と、第2可動壁上方に区画された第2収容室とを備え、第1可動壁の押し込み時に第2可動壁外周を介して第1収容室内と第2収容室内とが連通する連通凹部を第2収容室内周に凹設した二室容器に対し、それらを使用時に簡単な操作で装着して混合し、また、混合後は簡単に離脱させて混合材が収容された容器として使用することができる混合装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、第1可動壁A6及び第2可動壁A7で第1収容室R1を区画するとともに、第2可動壁A7上方に第2収容室R2を区画し、第1可動壁A6の押し込み時に第2可動壁A7外周を介して第1収容室R1内と第2収容室R2内とが連通する連通凹部13を第2収容室R2内周に凹設した二室容器Aを着脱自在に装着して混合する二室容器の混合装置であって、台座B1上に回転可能に起立させるとともに、二室容器Aを着脱可能で、且つ上方への抜け出しを防止した状態で係止可能に上部に嵌合させ、縦切溝41を縦設した案内筒42を下部内に垂設した筒状基体B4と、筒状基体B4に対して相互の回転が可能に案内筒42外周に装着するとともに、周面に沿って所定方向に上昇する傾斜面71を上面に備えた螺旋筒B5と、案内筒42内に上下動可能に装着した押圧体B6と、台座B1に対する筒状基体B4の相対回転により筒状基体B4に対して螺旋筒B5を減速回転させる倍力機構とを備え、該倍力機構は、台座B1上に配置され中央に第1歯車37が形成された第1歯車部材B2と、第1歯車37に歯合し、第1歯車37周囲に於いて自転及び公転が可能に配置された複数の第2歯車B3と、各第2歯車B3周囲の螺旋筒B5内面に設けられ、各第2歯車B3と歯合する第3歯車73とを備え、筒状基体B4の回転に連動して各第2歯車B3を第1歯車37周囲に公転可能に構成することで筒状基体B4の回転に対して螺旋筒B5を減速回転させる如く構成され、押圧体B6の外周より突設した摺動突起78の先端を縦切溝41を介して傾斜面71上に載置させるとともに、台座B1に対する筒状基体B4の回転による螺旋筒B5と案内筒42の回転速度差により押圧体B6を上昇させ、上昇する押圧体B6の先端により第1可動壁A6を押し上げて各収容室内の二剤を混合する如く構成した。
【0009】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、前記第1歯車部材B2が、台座B1の底壁31中央部に凹設した凹陥部31a 内に配置される下端開口の有頂筒状をなす基台36を備え、該基台の上面に第1歯車37を立設し、周縁の低底壁43a から起立壁43b を介して高底壁43c を延設した形態に筒状基体B4の底壁43を形成するとともに、高底壁43c 下面から垂設した三本の軸44にそれぞれ第2歯車B3を軸支して筒状基体B4の回転と各第2歯車B3の公転を連動させ、起立壁43b の所定位置に穿設した連絡窓45を介して起立壁43b 外周に位置する第3歯車73と各第2歯車B3とを歯合させた。
【0010】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段又は第2の手段のいずれかに於いて、第1歯車部材B2を台座B1に対して回転可能に装着するとともに、台座B1と第1歯車部材B2との間にラチェット機構を設けて、第1歯車部材B2を所定方向の回転が不能に且つ逆方向の回転が可能に構成した。
【0011】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第3の手段のいずれか一つの手段に於いて、螺旋筒B5が、傾斜面71と、傾斜面71と連続する垂直面75とを備え、該傾斜面71と垂直面75とで周面に沿って形成される山型状部を、対向位置に一対備えてなる。
【0012】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第4の手段のいずれか一つの手段に於いて、筒状基体B4の周壁40に、最下降位置の押圧体B6の摺動突起78が臨む確認窓48を設けた。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、二室容器Aを使用する際に、簡単な操作で二室容器Aの装着と二剤の混合ができ、混合後は簡単に外して使用することができる。また、台座B1に対する筒状基体B4の回転により筒状基体B4に対して螺旋筒B5を減速回転させる倍力機構を備えているので、小さな力による押圧体B6の上昇が可能であり、その結果、二剤の混合も小さな力で行える利点を兼ね備える。
【0014】
上記倍力機構は、台座B1上に配置され中央に第1歯車37が形成された第1歯車部材B2と、第1歯車37に歯合し、第1歯車37周囲に於いて自転及び公転が可能に配置された複数の第2歯車B3と、各第2歯車B3周囲の螺旋筒B5内面に設けられ、各第2歯車B3と歯合する第3歯車73とを備え、筒状基体B4の回転に連動して各第2歯車B3を第1歯車37周囲に公転可能に構成することで筒状基体B4の回転に対して螺旋筒B5を減速回転させる如く構成しているため、上記効果に加え倍力機構を構成する部材を効率よく配置して装置全体の大きさをコンパクトに形成できる利点がある。
【0015】
第1歯車部材B2が台座B1の底壁31中央部に凹設した凹陥部31a 内に配置される下端開口の有頂筒状をなす基台36を備え、該基台の上面に第1歯車37を立設し、周縁の低底壁43a から起立壁43b を介して高底壁43c を延設した形態に筒状基体B4の底壁43を形成するとともに、高底壁43c 下面から垂設した三本の軸44にそれぞれ第2歯車B3を軸支して筒状基体B4の回転と各第2歯車B3の公転を連動させ、起立壁43b の所定位置に穿設した連絡窓45を介して起立壁43b 外周に位置する第3歯車73と各第2歯車B3とを歯合させた場合には、上記効果に加え、倍力機構を構成する部材を更に効率よく配置することが可能となる。
【0016】
第1歯車部材B2を台座B1に対して回転可能に装着するとともに、台座B1と第1歯車部材B2との間にラチェット機構を設けて、第1歯車部材B2を所定方向の回転が不能に且つ逆方向の回転が可能に構成した場合には、押圧体B6を上昇させるための所定方向にのみ倍力機構が作用し、反対方向では第1歯車部材B2が空回りして無駄な負荷がかからず、その結果、装置の破損防止の役割を果たす。
【0017】
螺旋筒B5が、傾斜面71と、傾斜面71と連続する垂直面75とを備え、傾斜面71と垂直面75とで周面に沿って形成される山型状部を、対向位置に一対備えてなる場合には、二室容器Aの混合後に、更に台座B1に対して筒状基体B4を相対回転させれば、押圧体B6が傾斜面71の最上昇位置に到達した後自重で落下し、押圧体B6を元の傾斜壁71基端位置に戻すことができる。
【0018】
筒状基体B4の周壁40に、最下降位置の押圧体B6の摺動突起78が臨む確認窓48を設けた場合には、混合装置Bを一旦使用した後に再び元の使用可能状態になっていることを確実に認識できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】二室容器を装着した混合装置の一部切欠正面図である。
【図2】二室容器を示す半断面図である。
【図3】台座を示す、(a)は平面図、(b)は半断面図である。
【図4】第1歯車部材を示す、(a)は平面図、(b)は半断面図、(c)は底面図である。
【図5】第2歯車を示す、(a)は平面図、(b)は断面図、(c)は底面図である。
【図6】第1下部筒状基体を示す、(a)は平面図、(b)は半断面図、(c)は底面図である。
【図7】第2下部筒状基体を示す、(a)は平面図、(b)は半断面図、(c)は底面図である。
【図8】第2下部筒状基体の要部説明図である。
【図9】上部筒状基体を示す、(a)は平面図、(b)は半断面図、(c)は底面図である。
【図10】螺旋筒を示す、(a)は平面図、(b)は半断面図である。
【図11】倍力機構を示す説明図である。
【図12】押圧部材を示す、(a)は平面図、(b)は半断面図である。
【図13】二室容器内を混合後の二室容器を装着した混合装置の一部切欠正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0021】
図1に於いてAは二室容器を、Bは二室容器Aの混合装置をそれぞれ示す。
【0022】
二室容器Aは、図2に示す如く、本体部A1と、中栓A2と、固定枠A3と、針装着部材A4と、キャップA5と、第1可動壁A6と、第2可動壁A7とを備えている。
【0023】
本体部A1は、円筒状の内周壁10と、円筒状の外周壁11とを、下端に嵌着した連結筒部材12により嵌合連結し一体化している。また、内周壁10の上下方向中間部所定位置には、上下所定幅を外方へ凹ませた(膨出させた)連通凹部13を形成しており、内周壁10の上端部は縮径した縮径部10a に形成している。また、外周壁11外面下部の対向位置には一対の係合突起14を突設している。
【0024】
中栓A2は、柔軟で弾力性に富む材質で形成され、周縁部を縮径部10a 上面に載置して縮径部10a 上端開口を閉塞する蓋板部16を備え、蓋板部16の裏面から垂設したシール筒17を縮径部10a 内周に液密に嵌合させて構成している。
【0025】
固定枠A3は、中栓A2を縮径部に固定する役割を果たす。固定枠A3は、縮径部10a 外周に密嵌する周壁部19の上端より蓋板部16の上面周縁部を押圧するフランジ部20を延設しており、周壁部19の外周に螺条を周設している。
【0026】
針装着部材A4は、周壁部19の外周に螺着した螺筒22の上端より頂板23を延設し、頂板23中央に金属性の針24を嵌着固定しており、固定枠A3に装着する際に、針24の下部を中栓A2の蓋板部16に貫通させて、混合物の注出が可能に構成している。
【0027】
キャップA5は、針装着部材A4に対して着脱可能に装着されている。
【0028】
第1可動壁A6と第2可動壁A7とは、図1或いは図2に示す如く、所定の間隔をあけて内周壁10内面にその外周縁をそれぞれ液密摺動可能に嵌合させており、第1可動壁A6と第2可動壁A7との間に第1収容室R1を画成し、第2可動壁A7の上方(針装着部材A4側)に第2収容室R2を画成している。第2可動壁A7は連通凹部13より下方の所定位置に嵌合されており、言い換えれば連通凹部13は第2可動壁A7より上方の所定位置に凹設されている。また、第2可動壁A7外周縁(内周壁10内面との接触部分)の縦幅は、連通凹部13の縦幅より小さく、第2可動壁A7が連通凹部13の上下中間部分に差し掛かった際に上下が連通する如く構成している。
【0029】
混合装置Bは、台座B1と、第1歯車部材B2と、複数の第2歯車B3と、筒状基体B4と、螺旋筒B5と、押圧体B6とを備えている。
【0030】
台座B1は、図3に示す如く、下方をテ−パ状に広げた周壁30を備え、周壁30の上下方向中間部より延設した底壁31の中央部を下方へ凹ませた凹陥部31a に形成している。また、凹陥部31a の上面には周方向等間隔に複数のラチェット用突起32を突設している。各ラチェット用突起32は、後述する第1歯車部材の所定方向への回転を係止(静止)し、逆方向の回転を許容するためのラチェット機構を構成するもので、周方向の一面を傾斜面32a に他方を垂直面32b に形成している。更に、底壁31上方の周壁30の内面には断続的に突条33を突設しており、周壁30外面にはローレット34を突設している。
【0031】
第1歯車部材B2は、台座B1の凹陥部31a 内に回転可能に装着した下端開口の有頂筒状をなす基台36の上面中央に外歯形の第1歯車37を立設しており、図4に示す如く、基台36の裏面からは複数のラチェット爪38を突設している。各ラチェット爪38は、所定方向の回転の際には台座B1の凹陥部31a に突設したラチェット用突起32と係合してその方向の回転を防止され、逆方向に回転した場合にはラチェット用突起32を乗り越えての回転が可能に構成している。図示例では第1歯車部材B2が時計廻りの場合にラチェット爪38が垂直面32b に当接してそれ以上の回動が不能となる如く構成している。尚、第1歯車部材は、この様なラチェット機構を備えずに、単に台座B1上に回転不能に固定されたものや、台座と一体に形成されたものであっても良い。
【0032】
第2歯車B3は、第1歯車37と歯合し、第1歯車37周囲に於いて自転及び公転が可能に配置されたもので、図5に示す如く、外歯形をなし、図示例では、第1歯車37の周囲に三個配置されている。
【0033】
筒状基体B4は、台座B1上に回転可能に起立させた筒状をなしており、また、二室容器Aを着脱可能に、且つ上方へ抜け出しを防止した状態で係止可能に、その上部に嵌合させることが可能である。また、下部内に周壁40とで二重筒状をなす案内筒42を垂設しており、案内筒42には縦切溝41を縦設している。
【0034】
図示例に於いて筒状基体B4は下部筒状基体B4a 上に上部筒状基体B4b を嵌着して構成しており、更に、下部筒状基体B4a は、第1下部筒状基体B4a1と第2下部筒状基体B4a2とで構成しており、全体として三部材で構成している。
【0035】
第1下部筒状基体B4a1は、図6に示す如く、周壁40の下部を構成する下部周壁40a の下端より内方へ底壁43を延設している。底壁43は、周縁部を環状の低底壁43a とし、起立壁43b を介して中央部を高底壁43c として構成している。また、高底壁43c 下面の中心円上の所定位置には、周方向等間隔に三箇所の軸44を垂設している。更に、各軸44の垂設位置に対応した、起立壁43b から低底壁43a の内縁部に至る部分にそれぞれ三箇所の連絡窓45を穿設している。また、下部周壁40a の外周下端部には突条46を周設し、その上方にはフランジ47を突周設し、フランジ47直上の所定位置には確認窓48を穿設している。更に、下部周壁40a の内周上部の対向位置には凹部49を凹設し、各凹部49間には突条50を横設しており、外面にはローレット51を設けている。
【0036】
第2下部筒状基体B4a2は、図7及び図8に示す如く、下端から上部まで縦切溝41を穿設した案内筒42を備え、案内筒42の上端部に、第1下部筒状基体B4a1及び上部筒状基体B4b と嵌合させるための嵌合部53を設けている。嵌合部53は、案内筒42の上端より外方へ延設したフランジを介して第1嵌合筒54を起立し、第1嵌合筒54の上端より外方へ環状の係止突部55を突設している。第1嵌合筒54の外面対向位置には一対の突部56を突設し、各突部56間には突条57を横設している。また、案内筒42の上端より内方へ延設したフランジを介して階段状の第2嵌合筒58を起立しており、第2嵌合筒58の下部外面対向位置には凹部59を凹設している。更に、第2嵌合筒58の外周上端部には突条60を周設している。また、第2嵌合筒58の段部下面より下方に垂設した後、中央方向斜め上方へ延設されたカバー壁61を備えている。
【0037】
上部筒状基体B4b は、図9に示す如く、周壁40の上部を構成する上部周壁40b における大径化した下端部内面対向位置に突部62を一対突設し、この大径部より上方の上部周壁40b の内面下部に突条63を突周設している。また、上部周壁40b の上部は小径部64に形成し、小径部の対向する部位に一対の膨出部65(外方への膨出)を形成している。また、各膨出部65の内周面における周方向の一側端部を外方へ凹ませた凹部70を縦設し、この部分が二室容器Aの係合突起14を挿通させる挿通路を形成している。膨出部65下面には挿通路を下降した係合突起14を小径部64下面の下向き段部66に誘導する案内突部68を突設している。小径部64の内径部分は、二室容器Aの下部外径と略同じかやや大きく構成されて二室容器Aの下部が挿通可能であり、また嵌合可能に構成され、その際、二室容器Aの各係合突起14が各挿通路を通って下降し、最下降位置で二室容器Aを上部周壁40b に対して相対回動させると、下向き段部66に各係合突起14が係合して二室容器Aの上方への抜け出しを防止する如く構成している。また、最下降位置において二室容器Aの連結筒部材12がカバー壁61に当接することになるので、二室容器Aは安定に保持される。
【0038】
また、小径部64の下端には乗り越え突部69と係止突部67とを突設しており、挿通路及び案内突部68に案内された二室容器Aの係合突起14が、乗り越え突部69を乗り越えて乗り越え突部69と係止突部67との間に係止される如く構成している。
【0039】
そして、凹部49と突部56とを嵌合させるとともに、突条50と突条57とを乗り越え係合させて、第1嵌合筒54の外周に下部周壁40a の上端を嵌着固定し、第1下部筒状基体B4a1と第2下部筒状基体B4a2とを一体化することができる。また、第2嵌合筒58の凹部59に上部筒状基体B4b の突部62を嵌合させるとともに、上部筒状基体B4b の突条63と第2嵌合筒58の突条60とを乗り越え係合させて下部筒状基体B4a 上に上部筒状基体B4b を嵌着し、以て筒状基体B4を形成することができる。この様に構成された筒状基体B4は下部周壁40a の下端部を台座周壁30の内面に、突条46と突条33とを乗り越え係合させて上方への抜け出しを防止して回転可能に嵌合させており、フランジ47を台座周壁30上に当接させている。また、各軸44を各第2歯車B3の軸孔39に回転可能に嵌合させており、筒状基体B4を回動させることで各第2歯車が、第1歯車37周囲を公転する如く構成している。
【0040】
螺旋筒B5は、筒状基体B4に対して相互の回転が可能に案内筒42外周に装着したもので、所定方向に漸次上昇する傾斜面71を上面に備えている。本例では、図10に示す如く、円筒状の筒壁72上の対向位置に、筒壁72の円周に沿って所定方向に漸次上昇する傾斜面71と、傾斜面71の上端に連続して垂直に下る垂直面75とを備えた一対の山型状部を起立している。また、筒壁72の内面上下中間部から底壁74を延設し、底壁74下方の筒壁72内面下端部には内歯形の第3歯車73を周設している。上記底壁74は、外周縁の環状の低底壁74a と、その内方に起立壁74b を介して延設した高底壁74c とで構成している。
【0041】
上記した螺旋筒B5は、下部筒状基体B4a の下部周壁40a と起立壁43b との間の低底壁43a 上に筒壁72下端部を位置させるとともに、その上部を案内筒42と下部周壁40a との間に位置させ、また、下部筒状基体B4a の高底壁43c 上面位置に低底壁74a を位置させ、更に、下部筒状基体B4a の各連絡窓45から突出した各第2歯車B3と第3歯車73とを歯合させ、起立壁74b と筒壁72との間に案内筒42の下端部を回転可能に嵌合させて、筒状基体B4に対して回転可能に装着している。
【0042】
押圧体B6は、図12に示す如く、下端を開口して有頂筒状の基部76の上端より筒状部77を起立し、基部76の外面対向位置に一対の摺動突起78を突設して構成している。そして、基部76を螺旋筒B5の底壁74(高底壁74c )上に載置するとともに、各摺動突起78を各縦切溝41を介して螺旋筒B5の傾斜面71上に載置して装着している。
【0043】
本発明では、台座B1に対する筒状基体B4の相対回転により筒状基体B4に対して螺旋筒B5を減速回転させる倍力機構を備えている。本例では、図11に示す如く、遊星歯車機構と呼ばれる機構を採用しており、台座B1上に配置され、所定方向の回転を規制された第1歯車部材B2と、この第1歯車部材の中央に形成された第1歯車37に歯合し、第1歯車37周囲に於いて自転及び公転が可能に配置された複数の第2歯車B3と、各第2歯車B3周囲の螺旋筒B5内面に設けられ、各第2歯車B3と歯合する第3歯車73とを備え、筒状基体B4の回転に連動して各第2歯車B3を第1歯車37周囲に公転可能に構成することで筒状基体B4の回転に対して螺旋筒B5を減速回転させる如く構成している。
【0044】
上記の如く構成した混合装置を使用する場合について説明する。図1は、二室容器Aを混合装置Bに装着した状態を示し、この状態から台座B1に対して筒状基体B4を時計廻りに相対回動させると、各第2歯車B3が時計廻りに公転する。その際、第2歯車B3に歯合している第1歯車37によって第1歯車部材B2が時計回りに回転する。第1歯車部材B2はそのラチェット爪38がラチェット用突起32の垂直面32b に当接するまで回転し、それらが当接すると回転をやめ、第2歯車B3が公転しつつ自転を始める。尚、当初からラチェット爪38とラチェット用突起32の垂直面32b が当接している場合には最初から第1歯車部材B2は回転せず、各第2歯車B3のみが時計廻りに自転しつつ時計廻りに公転する。
【0045】
各第2歯車B3の回転(自転)によりそれらと歯合している第3歯車73によって螺旋筒B5が時計廻りに回転する。この螺旋筒B5の時計廻りの回転は筒状基体B4の時計廻りの回転より遅い回転となり、その結果、傾斜面71上の各摺動突起78が各縦切溝41に案内されて上昇し、押圧体B6が上昇する。
【0046】
上昇した押圧体B6は第1可動壁A6を押し上げ、それに伴って第1収容室R1内の内容物が第2可動壁A7を押圧して押し上げる。そして、第2可動壁A7が連通凹部13に差し掛かった際に第1収容室R1内の内容物が第2可動壁A7の外周を通り、第2収容室R2内に導入される。更に、押圧体B6を上昇させると図13に示す如く、第1可動壁A6が第2可動壁A7の下面に当接するまで上昇し、第1収容室R1内の内容物が第2収容室R2内に移行し、第2収容室R2内の収容物と完全に混合する。
【0047】
その後、更に台座B1に対して筒状基体B4を時計廻りに相対回動させると、各摺動突起78が傾斜面71を上昇しきった後、垂直面75に案内されて自重で押圧体B6が下方へ移行し、元の状態に戻る。次いで、筒状基体B4に対して二室容器Aを所定角度回動させることで、各係合突起14を各挿通路の下方位置に回動させた後、上方へ引き上げれば二室容器Aを混合装置Bから簡単にとり外すことができる。
【0048】
新たな二室容器Aを装着する場合には、各係合突起14を挿通路に挿通させて、二室容器Aを押し込み、最下降位置で混合装置Bに対して二室容器Aを回転させて、係止突部67と乗り越え突部69間の下向き段部66に係合突起14を係合させれば良い。
【0049】
尚、上記各部材を形成する材質は特に限定されないが、合成樹脂を好ましく採用できる。
【符号の説明】
【0050】
A…二室容器
A1…本体部
10…内周壁,10a …縮径部,11…外周壁,12…連結筒部材,13…連通凹部,
14…係合突起
A2…中栓
16…蓋板部,17…シール筒
A3…固定枠
19…周壁部,20…フランジ部
A4…針装着部材
22…螺筒,23…頂板,24…針
A5…キャップ
A6…第1可動壁
A7…第2可動壁
R1…第1収容室
R2…第2収容室
B…混合装置
B1…台座
30…周壁,31…底壁,31a …凹陥部,32…ラチェット用突起,32a …傾斜面,
32b …垂直面,33…突条,34…ローレット
B2…第1歯車部材
36…基台,37…第1歯車,38…ラチェット爪
B3…第2歯車
39…軸孔
B4…筒状基体
40…周壁,41…縦切溝,42…案内筒
B4a …下部筒状基体
B4a1…第1下部筒状基体
40a …下部周壁,43…底壁,43a …低底壁,43b …起立壁,43c …高底壁, 44…軸,45…連絡窓,46…突条,47…フランジ,48…確認窓,49…凹部,
50…突条,51…ローレット
B4a2…第2下部筒状基体
53…嵌合部,54…第1嵌合筒,55…係止突部,56…突部,57…突条,
58…第2嵌合筒,59…凹部,60…突条,61…カバー壁
B4b …上部筒状基体
40b …上部周壁,62…突部,63…突条,64…小径部,65…膨出部,
66…下向き段部,67…係止突部,68…案内突部,69…乗り越え突部,
70…凹部
B5…螺旋筒
71…傾斜面,72…筒壁,73…第3歯車,74…底壁,74a …低底壁,74b …起立壁, 74c …高底壁,75…垂直面
B6…押圧体
76…基部,77…筒状部,78…摺動突起


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1可動壁(A6)及び第2可動壁(A7)で第1収容室(R1)を区画するとともに、第2可動壁(A7)上方に第2収容室(R2)を区画し、第1可動壁(A6)の押し込み時に第2可動壁(A7)外周を介して第1収容室(R1)内と第2収容室(R2)内とが連通する連通凹部(13)を第2収容室(R2)内周に凹設した二室容器(A) を着脱自在に装着して混合する二室容器の混合装置であって、台座(B1)上に回転可能に起立させるとともに、二室容器(A) を着脱可能で、且つ上方への抜け出しを防止した状態で係止可能に上部に嵌合させ、縦切溝(41)を縦設した案内筒(42)を下部内に垂設した筒状基体(B4)と、筒状基体(B4)に対して相互の回転が可能に案内筒(42)外周に装着するとともに、周面に沿って所定方向に上昇する傾斜面(71)を上面に備えた螺旋筒(B5)と、案内筒(42)内に上下動可能に装着した押圧体(B6)と、台座(B1)に対する筒状基体(B4)の相対回転により筒状基体(B4)に対して螺旋筒(B5)を減速回転させる倍力機構とを備え、該倍力機構は、台座(B1)上に配置され中央に第1歯車(37)が形成された第1歯車部材(B2)と、第1歯車(37)に歯合し、第1歯車(37)周囲に於いて自転及び公転が可能に配置された複数の第2歯車(B3)と、各第2歯車(B3)周囲の螺旋筒(B5)内面に設けられ、各第2歯車(B3)と歯合する第3歯車(73)とを備え、筒状基体(B4)の回転に連動して各第2歯車(B3)を第1歯車(37)周囲に公転可能に構成することで筒状基体(B4)の回転に対して螺旋筒(B5)を減速回転させる如く構成され、押圧体(B6)の外周より突設した摺動突起(78)の先端を縦切溝(41)を介して傾斜面(71)上に載置させるとともに、台座(B1)に対する筒状基体(B4)の回転による螺旋筒(B5)と案内筒(42)の回転速度差により押圧体(B6)を上昇させ、上昇する押圧体(B6)の先端により第1可動壁(A6)を押し上げて各収容室内の二剤を混合する如く構成したことを特徴とする二室容器の混合装置。
【請求項2】
前記第1歯車部材(B2)が、台座(B1)の底壁(31)中央部に凹設した凹陥部(31a) 内に配置される下端開口の有頂筒状をなす基台(36)を備え、該基台の上面に第1歯車(37)を立設し、周縁の低底壁(43a) から起立壁(43b) を介して高底壁(43c) を延設した形態に筒状基体(B4)の底壁(43)を形成するとともに、高底壁(43c) 下面から垂設した三本の軸(44)にそれぞれ第2歯車(B3)を軸支して筒状基体(B4)の回転と各第2歯車(B3)の公転を連動させ、起立壁(43b) の所定位置に穿設した連絡窓(45)を介して起立壁(43b) 外周に位置する第3歯車(73)と各第2歯車(B3)とを歯合させた請求項1に記載の二室容器の混合装置。
【請求項3】
第1歯車部材(B2)を台座(B1)に対して回転可能に装着するとともに、台座(B1)と第1歯車部材(B2)との間にラチェット機構を設けて、第1歯車部材(B2)を所定方向の回転が不能に且つ逆方向の回転が可能に構成した請求項1又は請求項2のいずれかに記載の二室容器の混合装置。
【請求項4】
螺旋筒(B5)が、傾斜面(71)と、傾斜面(71)と連続する垂直面(75)とを備え、該傾斜面(71)と垂直面(75)とで周面に沿って形成される山型状部を、対向位置に一対備えてなる請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の二室容器の混合装置。
【請求項5】
筒状基体(B4)の周壁(40)に、最下降位置の押圧体(B6)の摺動突起(78)が臨む確認窓(48)を設けた請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の二室容器の混合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−224225(P2011−224225A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98406(P2010−98406)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000228545)日本ケミカルリサーチ株式会社 (27)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】