説明

二層構造紡績糸及び織編物

【課題】 抗菌性及び人体への安全性に優れた織編物を作製しうる二層構造紡績糸、並びに、そのような織編物を提供することを課題とする。
【解決手段】 断面が芯鞘型の二層構造紡績糸であって、キチン繊維及び/又はキトサン繊維を3.0〜30.0質量%含む短繊維群が鞘部に配され、芯/鞘の質量比が0.25〜1.50である二層構造紡績糸。前記二層構造紡績糸が用いられてなり、JISL1092に規定する抗菌性試験方法による静菌活性値が2.2以上である織編物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二層構造紡績糸及び織編物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
靴下、肌着、布団地などの人体に直接接触する衣料は、汗が付着し、適度な温度、湿度が与えられると、細菌などの微生物が繁殖して、悪臭を放ったり、生地を変色、脆化させたりするような問題がしばしば起こっている。
【0003】
このような現状に対して、従来より抗菌性を有する織編物として、抗菌剤が練り込まれた繊維を使用した織編物、抗菌剤がコーティングされた織編物などが提案されている。
【0004】
これらに用いられる抗菌剤には、有機シリコン第4級アンモニウム塩、芳香族ハロゲン化合物などがある。
【0005】
しかしながら、上記の抗菌剤は、個人の体質により、発疹などの過敏症の原因となりうる点が懸念されている。
【0006】
一方、人体に対する安全性の高い抗菌性繊維製品として、キチン繊維を使用したものが知られている。例えば、特許文献1において、キチン無機酸塩の繊維を用いてなる抗菌性繊維製品が提案されている。
【特許文献1】特開平2−307915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の抗菌性繊維製品とは、具体的には、外傷、火傷などの創傷治癒保護に用いられる医療用不織布であり、キチン類の繊維を用いて紡績糸としたものを衣料分野に適用した例は未だ知られていない。
【0008】
本発明は、このような現状に鑑みて行われたものであり、抗菌性及び人体への安全性に優れた織編物を作製しうる二層構造紡績糸、並びに、そのような織編物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究の結果、本発明に到達した。
【0010】
すなわち、第一の発明は、断面が芯鞘型の二層構造紡績糸であって、キチン繊維及び/又はキトサン繊維を3.0〜30.0質量%含む短繊維群が鞘部に配され、芯/鞘の質量比が0.25〜1.50であることを特徴とする二層構造紡績糸を要旨とするものである。
【0011】
また、第二の発明は、上記二層構造紡績糸が用いられてなり、JIS L1092に規定する抗菌性試験方法による静菌活性値が2.2以上であることを特徴とする織編物を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の二層構造紡績糸は、織編物に用いて、抗菌性及び人体への安全性に優れた織編物を作製しうるものである。また、本発明の二層構造紡績糸を用いてなる本発明の織編物は、抗菌性及び人体に対する安全性に優れると共に、吸湿性、風合い、品位にも優れた織編物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明の二層構造紡績糸は、芯部の繊維群に鞘部の繊維群が巻きついた構造を呈する芯鞘型の複合紡績糸である。
【0015】
本発明の二層構造紡績糸において、芯部に配される繊維群は、長繊維群、短繊維群の何れであってもよい。また、繊維の種類としても、綿、羊毛、麻、竹などの天然繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、溶剤紡糸セルロース繊維などの再生繊維、トリアセテートなどの半合成繊維、ナイロン、ポリエステルなどの合成繊維の何れであってもよい。勿論、近年応用が進んでいるポリ乳酸などの生分解性合成繊維も使用できる。
【0016】
一方、鞘部に配される繊維群は、短繊維群である。このため、本発明の二層構造紡績糸を用いて、吸湿性と風合いに優れた織編物を得ることができる。また、上記短繊維群中には、キチン繊維及び/又はキトサン繊維が含まれている。このため、本発明の二層構造紡績糸を用いて、人体に対する安全性が高くかつ抗菌性に優れた織編物を得ることができる。キチン繊維及び/又はキトサン繊維の含有量としては、鞘部を構成する短繊維群の全質量に対しキチン繊維及び/又はキトサン繊維が3.0〜30.0質量%含まれる必要がある。
【0017】
すなわち、キチン繊維とキトサン繊維の内、(1)キチン繊維のみが3.0〜30.0質量%含まれているか、(2)キトサン繊維のみが3.0〜30.0質量%含まれているか、あるいは、(3)キチン繊維とキトサン繊維とが合わせて3.0〜30.0質量%含まれているか、(1)〜(3)の何れかの態様で鞘部を構成する短繊維群に含まれている。ただし、後述するように、キチン繊維とキトサン繊維との区別は必ずしも厳密にできないので、要するに、キチン繊維、キトサン繊維との合計量として、鞘部の短繊維群の内、3.0〜30.0質量%含まれているということである。
【0018】
なお、以下の説明においては、キチン繊維、キトサン繊維を総称して「キチン系繊維」ということがある。
【0019】
キチン系繊維の含有量が3.0質量%未満であると、織編物が所望の抗菌性を発揮することができない。一方、30.0質量%を超えると、斑の大きな紡績糸となり、織編物の品位が損なわれる。
【0020】
なお、この短繊維群中に含まれるキチン系繊維以外の繊維としては、前述した芯部に用いる繊維の場合と同様に天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維の何れであってもよい。
【0021】
この短繊維群においてキチン系繊維の含有量を所定の範囲とすることは、混打綿工程又は練条工程において、所定量のキチン系繊維を混合させることにより可能である。
【0022】
また、本発明の二層構造紡績糸においては、芯/鞘の質量比が0.25〜1.50であることが必要である。芯/鞘の質量比が0.25未満であると、芯部の繊維群に鞘部の繊維群が巻きつき難くなる。一方、1.50を超えると、鞘部の繊維群が芯部の繊維群を被覆することができなくなる。
【0023】
ここで、本発明に用いられるキチン及びキトサンについて説明する。本発明におけるキチン系繊維を構成するのに用いられるキチン及びキトサンとしては、甲殻類、昆虫類などの外骨格を塩酸処理並びに苛性ソーダ処理して灰分および蛋白質を除去して得られるもの及びその誘導体を使用できる。
【0024】
キチンは、典型的にはN−アセチル−D−グルコサミン残基が多数β−(1,4)−結合した多糖であり、その脱アセチル化物をキトサンというが、キチンは部分的にアセチル基を失っているのが普通である。一方、キトサンは、典型的にはD−グルコサミン残基のβ−(1,4)−重合体であるが、キチンと同様、普通多少のアセチル基を含んでいるものをキトサンと称しているのが技術常識である(例えば、「最後のバイオマス キチン,キトサン」1988年、技報堂出版)。このため、キチンとキトサンの区別は厳密なものではなく、本発明においても、それらを必ずしも厳密に区別することは要しない。例えばひとつの目安として、脱アセチル化度が高いために酸に溶解するものをキトサンとすればよい。したがって、本発明に用いられるキチン及びキトサンには、部分的にアセチル基を失っていてもよいキチン、多少のアセチル基を含んでいてもよいキトサン、さらには、それらのグルコサミン残基の−OH基や−CH2OH基がエステル化、エーテル化、カルボキシメチル化、O−エチル化などに修飾された誘導体が包含される。本発明を説明するにあたり、キチン繊維及びキトサン繊維を総称して「キチン系繊維」ということがあるのも、このような事情によるものであり、同様の理由から、以下の説明においては、キチン及びキトサンを総称して「キチン類」ということがある。
【0025】
脱アセチル化度としては、完全な脱アセチル化までの広い範囲のものを採用することができるが、好ましくは、30〜100%である。キチンの脱アセチル化はキチンをアルカリ処理するという周知の方法により行うことができる。この際、使用するアルカリ濃度、処理温度、処理時間などを適宜変えることにより、脱アセチル化度を容易に調整することができる。
【0026】
ここでいう脱アセチル化度とは、以下に示す方法で測定した値をいう。すなわち、試料約2gを2N−塩酸水溶液200ml中に投入し、室温で30分間攪拌する。次に、ガラスフィルターで濾過して塩酸水溶液を除去した後、200mlのメタノール中に投入して30分間攪拌する。このものを、さらにガラスフィルターで濾過し、フレッシュなメタノール200ml中に投入し30分間攪拌する。このメタノールによる洗浄操作を4回繰り返した後、風乾及び真空乾燥したもの約0.2gを精秤し、100ml容積の三角フラスコに取り、イオン交換水40mlを加えて30分間攪拌する。次に、この溶液をフェノールフタレインを指示薬として0.1N−苛性ソーダ水溶液で中和滴定する。脱アセチル化度(A)は次式によって求められる。
【0027】
【数1】

【0028】
ただし、aは試料の質量(g)、fは 0.1N−苛性ソーダ水溶液の力価、bは0.1N−苛性ソーダ水溶液の滴定量(ml)である。
【0029】
本発明に用いられるキチン系繊維としては、キチン類で形成された繊維状のものであれば特に限定されない。天然から得られたキチン類が繊維状のものであればそのまま使用することができる。また、キチン類を溶剤に溶かした後、凝固液にて凝固して繊維状にしたものを使用してもよい。
【0030】
溶剤としてはキチン類の種類によって適宜選択して使用することができる。例えば、天然物を精製したままのキチン及び脱アセチル化度の比較的低いキチンについては、ハロゲン化炭化水素とトリクロル酢酸の混合物、N−メチルピロリドン又はN,N−ジメチルアセトアミドと塩化リチウムとの混合物が好ましく使用され、キトサンに対しては、酢酸などの酸溶液が好ましく用いられる。
【0031】
キチン類を溶剤に溶かしてから繊維にする方法としては、通常の湿式紡糸法又は湿式成型法を採用することができる。例えば、キチン類を上記溶剤に溶かしドープを作製し、ステンレスネットなどのフィルターで濾過して不溶解部分や異物を除去した後、ギヤポンプなどで計量輸送し、細孔であるノズルから水、アルコール類、ケトン類又はアルカリ液などの凝固液中に押し出して凝固する。凝固物を回転ローラーなどにて一定速度で引き取ることにより、繊維を得ることができる。
【0032】
本発明に用いられるキチン系繊維の単糸繊度としては、特に限定されるものではないが、好ましくは0.27〜9.0dtex、より好ましくは0.45〜4.5dtexであり、特に好ましくは0.6〜2.7dtexである。キチン系繊維の繊維長としては、10.0〜80.0mmが好ましく、15.0〜70.0mmがより好ましく、20.0〜60.0mmが特に好ましい。
【0033】
上述のように、本発明の二層構造紡績糸は、キチン系繊維が含有されているが、その含有量は、他の繊維の含有量と比べて少ないものである。このため、本発明の二層構造紡績糸は、他の繊維の特性を反映させることができる。したがって、本発明の二層構造紡績糸を作製する際には、最終的に得られる織編物の用途や織編物に要求される性能などを十分に考慮して、他の繊維を選択すればよい。
【0034】
本発明の二層構造紡績糸は、繊維表面にキチン類の粒子を付着させたりしたものと異なり、抗菌性のあるキチン類自体で構成されたキチン系繊維を用いて構成されているものであるから、キチン類が脱落し難いものとなっており、抗菌性が持続される。
【0035】
次に、本発明の二層構造紡績糸を用いた織編物(以下、「本発明の織編物」ということがある)について説明する。
【0036】
本発明の織編物は、前述した本発明の二層構造紡績糸を用いてなるものであり、上述したようにキチン系繊維が脱落してしまわない限り抗菌性を持続することができる。したがって、洗濯耐久性の優れた抗菌性を発現する。
【0037】
ここで、本発明の織編物の抗菌性として、JIS L1092に規定する抗菌性試験方法による静菌活性値が2.2以上であることが必要であり、3.0以上が好ましい。静菌活性値とは、一定の菌数の検定菌を標準試料及び試験試料に植菌し、一定時間培養後の標準試料の生菌数をB(cells/ml)、一定時間培養後の試験試料の生菌数をC(cells/ml)とした場合のlogB−logCで表される。使用菌株として、Staphylococcus aureus ATCC 6538P(黄色ブドウ状球菌)が用いられる。試験方法としては、バイアル瓶に入れた滅菌済試料0.4gに生菌数を(1±0.3)×10個/mlに調整した菌液0.2mlをできるだけ均一に接種し、37℃で18時間培養する。次に、非イオン界面活性剤(ツイン80)を0.2%添加した生理食塩水20mlを加え攪拌し菌を洗い出す。そして、洗い出し液1mlをピペットで採取し、10倍希釈法による希釈系列を作製し、ニュートリエント寒天培地と混釈した後、37℃で24時間以上培養する。30〜300個のコロニーが現れた希釈系列のコロニー数を数え、生菌数を算出する。
【0038】
静菌活性値の計算としては、標準試料(JIS L0803に規定する染色堅牢度試験用添付布帛)及び試験試料について、上記試験をそれぞれ行い、下式から静菌活性値を求める。
【0039】
【数2】

【0040】
ただし、Bは標準試料の18時間培養後、回収した生菌数、Cは試験試料の18時間培養後、回収した生菌数である。
【0041】
静菌活性値が2.2未満であると、菌の繁殖を抑えることができず、抗菌性織編物としての性能が十分でない。
【実施例】
【0042】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。実施例及び比較例における二層構造紡績糸及び織編物の評価は、下記の方法に準じて行った。なお、抗菌性の評価、すなわち静菌活性値については前述の方法に準じて求めた。
(1)糸斑
糸斑試験機(計測器工業(株)製、「KET80B」)を用いて、JIS L10959.20.1A法に準じて平均斑偏差の変動率(CV%)を測定した。
(2)洗濯耐久性
JIS L0217 103法に規定する洗濯50洗後の試料について、前述の抗菌性試験方法に準じて静菌活性値を測定した。
(3)織編物の品位
10人のパネラ−が、○:品位が優れている、△:品位は普通である、×:品位が悪い、の3段階で官能評価し、評価者の一番多いものをもって、その試料の品位の評価とした。
【0043】
(実施例1)
実施例に用いるキトサン繊維としては、カニ殻を原料として得られたキトサンを湿式紡糸することにより製造された、単糸繊度2.2dtex、繊維長38mmの短繊維からなるキトサン繊維塊を用意した。このもののキトサンの脱アセチル化度は78%であった。また、単糸繊度1.42dtex、繊維長32mmの綿(コットン)繊維を用いて通常の紡績方法により得られた太さ3.57g/mのコーマスライバー(以下、「綿コーマスライバー」という)を別途用意した。
【0044】
混打綿工程において、上記のキトサン繊維塊と、綿コーマスライバーとを用いて、キトサン繊維塊/綿コーマスライバー=50/50の質量比で混合し、カード工程を経て、太さ3.57g/mの混紡カードスライバーを得た。次に、練条工程において、この混紡カードスライバーと、上記の綿コーマスライバーとを用いて、キトサン繊維の含有量が6.3質量%となるように所定の割合で混合し、キトサン繊維を6.3質量%含む太さ3.29g/mの混紡練条スライバーを得た。次に、粗紡工程において、単糸繊度1.42dtex、繊維長32mmの綿(コットン)繊維を用いて通常の紡績方法により得られた太さ3.57g/mの練条スライバー(以下、「練条綿スライバー」という)を芯部に配し、上記で得られた混紡練条スライバーを鞘部に配して、撚係数0.95の加撚を施し、芯/鞘の質量比が1.08である太さ0.595g/mの粗糸を得た。そして、精紡工程において、上記で得られた粗糸に42.4倍のドラフトを与え、撚係数3.5の加撚を施し、40番手(英式綿番手)の本発明の二層構造紡績糸を得た。
【0045】
この二層構造紡績糸の鞘部においては、短繊維群の全質量に対して6.3質量%のキトサン繊維が含まれていた。また、芯/鞘の質量比は、1.08であった。
【0046】
さらに、この二層構造紡績糸を用いて28ゲージ、釜径76cmの丸編機により天竺編地の生機を製編して、過酸化水素による精練、漂白を施し、本発明の織編物を得た。
【0047】
(比較例1)
練条工程において、実施例1で用いた混紡カードスライバーと、実施例1で用いた綿コーマスライバーとを用いて、キトサン繊維の含有量が32.0質量%となるように所定の割合で混合し、キトサン繊維を32.0質量%含む太さ3.29g/mの混紡練条スライバーを得た。この混紡練条スライバーを鞘部に配し、実施例1で用いた練条綿スライバーを芯部に配して、粗紡工程において、撚係数1.00の加撚を施し、芯/鞘の質量比が1.08の太さ0.595g/mの粗糸を得た。そして、実施例1と同様の条件で精紡し、40番手(英式綿番手)の二層構造紡績糸を得た。
【0048】
この二層構造紡績糸の鞘部に配された短繊維群中には、短繊維群の全質量に対しキトサン繊維が32.0質量%含まれていた。また、二層構造紡績糸における芯/鞘の質量比は、1.08であった。
【0049】
さらに、この二層構造紡績糸を用いて実施例1と同様に製編、精練、漂白を行ない、織編物を得た。
【0050】
(比較例2)
練条工程において、実施例1で用いた混紡カードスライバーと、実施例1で用いた綿コーマスライバーとを用いて、キトサン繊維の含有量が2.5質量%となるように所定の割合で混合し、キトサン繊維を2.5質量%含む太さ3.29g/mの混紡練条スライバーを得た。この混紡練条スライバーを鞘部に配し、実施例1で用いた練条綿スライバーを芯部に配して、実施例1と同様の条件で粗紡した後、実施例1と同様の条件で精紡し、40番手(英式綿番手)の二層構造紡績糸を得た。
【0051】
この二層構造紡績糸の鞘部に配された短繊維群中には、短繊維群の全質量に対しキトサン繊維が2.5質量%含まれていた。また、二層構造紡績糸における芯/鞘の質量比は、1.08であった。
【0052】
さらに、この二層構造紡績糸を用いて実施例1と同様に製編、精練、漂白を行ない、織編物を得た。
【0053】
上記実施例及び比較例における二層構造紡績糸の平均斑偏差の変動率(CV%)、並びに織編物の洗濯前後における静菌活性値、及び織編物の品位を下記表1に示す。
【0054】
【表1】

【0055】
表1の結果から分るように、本発明の二層構造紡績糸は、糸斑の少ないものであった。また、この二層構造紡績糸を用いた本発明の織編物は、洗濯耐久性の優れた抗菌性を有し、かつ品位に優れるものであった。
【0056】
対して、比較例1では、二層構造紡績糸の鞘部を構成する短繊維群中に、キトサン繊維が多く含まれすぎたため、二層構造紡績糸の斑が大きくなった。また、この二層構造紡績糸を用いた織編物は、品位に劣るものであった。
【0057】
比較例2では、二層構造紡績糸の鞘部を構成する短繊維群中のキトサン繊維の含有量が少なすぎるため、十分な抗菌性を発現することができなかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面が芯鞘型の二層構造紡績糸であって、キチン繊維及び/又はキトサン繊維を3.0〜30.0質量%含む短繊維群が鞘部に配され、芯/鞘の質量比が0.25〜1.50であることを特徴とする二層構造紡績糸。
【請求項2】
請求項1記載の二層構造紡績糸が用いられてなり、JIS L1092に規定する抗菌性試験方法による静菌活性値が2.2以上であることを特徴とする織編物。


【公開番号】特開2006−225786(P2006−225786A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−39161(P2005−39161)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(599089332)ユニチカテキスタイル株式会社 (53)
【Fターム(参考)】