説明

二方向及び多軸ファブリック並びにファブリック複合体

二方向及び多軸ファブリック、ファブリック複合体、これらの防弾性アセンブリ、並びにこれらを製造する方法。ファブリックは、一方が他方の上にあり、平行な平面内にあり、与えられた平面内のヤーンの方向は隣接する平面内のヤーンの方向に対してある角度で回転している強力で実質的に平行な一方向ヤーンの組;並びに強力なヤーンが介在し、より低い強度及びより高い伸びを有するヤーンの1つ以上の組を含む。
本発明のファブリックは、通常の織布及び編物と比較して優れた弾道有効性を提供するが、従来の織機及び編機上での製造しやすさを保持する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
本出願は、2002年6月7日に出願された"Bi-Directional Fabric and Fabric Composites"と称する仮出願第60/387,201号の恩典を請求し、2000年8月16日に出願された"Impact Resistant Rigid Composite and Method of Manufacture"と称する同時係属出願第09/639,903号及び2002年4月19日に出願された"Ballistic Fabric Laminates"と称する第10/126,202号に関連する。
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、二方向及び多軸ファブリック、ファブリック複合体、これらの防弾性アセンブリ、並びにこれらを製造する方法に関する。
【0003】
2.関連技術の記述
防弾性ファブリックベースの複合体は典型的に、一緒に張り合わせたファブリックの層から形成されてきた。ファブリック中の繊維は、織る、編む及び/または不織である。個々のファブリックプライが不織及び一方向配向性繊維を含む場合、連続的なプライは通常、互いに対して、例えば0°/90°または0°/45°/90°/45°の角度で回転している。個々のファブリックプライは一般に、未コーティングかそうでなければ繊維同士の間の空所を充填するポリマーマトリックス材料中に埋込まれている。マトリックスが存在しない場合、ファブリックまたは繊維シートは本来可撓性である。対比されるタイプの構成は、繊維及び単一の主要なマトリックス材料からなる複合体である。このタイプの剛性複合体を構成するためには、熱及び圧力を使用して個々のプライを一緒に結合して各プライ中のマトリックスを接着し、これら同士の間の結合を形成し、全体を緻密化して一体化物品にする。
【0004】
こうしたより初期の構成は幾つかの不利益を有する。織布または編物は一般に、クロスプライされた一方向繊維複合体よりも不満足な防弾性を有する。一方では、織布または編物は、クロスプライされた一方向繊維複合体よりも一般に利用可能な装置を用いてより低いコストでかつより大きな製造しやすさで製造できる。
【0005】
より低いコストかつより大きな製造しやすさという利益を保持するが従来のファブリックより優れた防弾性を有するファブリック構成に対する必要が存在する。理想的には、ファブリック構成は、高度に可撓性であり、それ自体とまたは硬質フェーシングと結合して剛性パネルを形成できると思われる。
【0006】
米国特許第4,737,401号は、防弾性微細織りファブリック物品を開示している。米国特許第5,788,907号及び同第5,958,804号は、防弾性カレンダーがけファブリックを開示している。米国特許第4,623,574号は、エラストマーマトリックス中に埋込まれた高強度繊維を含む単純な複合体を開示している。米国特許第5,677,029号は、強力な繊維の網目構造で構成される少なくとも1つの繊維質層並びに繊維質層のうちの1つの表面と同一の広がりを持ちこれと少なくとも部分的に結合した少なくとも1つの連続ポリマー層を含む可撓性耐貫通性複合体を開示している。片面または両面にゴム引したアラミドファブリックは、フェアサイダグ・インドゥストリー・テクスティーリエンGmbh.(Verseidag Industrietextilien Gmbh.)によって製品名ウルトラX(UltraX)で工業的に生産されている。熱及び圧力下でゴム引ファブリック同士を一緒に結合することによって形成した剛性パネルもまた入手可能である。
【0007】
別の状況では、米国特許第2,893,442号は、薄いバインダーヤーンが介在するまっすぐで平行な高強度高弾性率ヤーンの横断する組を有する二方向織布を開示している。薄いバインダーヤーンが介在するまっすぐで平行な高強度高弾性率ヤーンの横断する組を有する二方向編物は、S. Raz, "Eine Auswahl optimaler Geotextilien," Tettilinfomationen Kettenwir-Praxis, (2), 35-39 (1990)による発表において開示されている。多軸たて編みファブリックは、"Wellington Sears Handbook of Industrial Textiles", S. Adanur, Ed., Technomic Publishing Co., Inc., Lancaster, Pa., 246-247 (1995)において開示されている。
【0008】
上記に引用した構成の各々は、これらが目指した目標に向かって進歩を表した。しかしながら、いずれも、本発明のファブリック、ファブリック複合体及びアセンブリの特定の構成を説明していないし、いずれも、本発明によって満たされる必要の全てを満足していない。
【0009】
発明の概要
本発明は、新規なファブリック及びファブリック複合体、弾丸による貫通に対する優れた防弾性を有するこれらのアセンブリ、並びにこれらを製造する方法に関する。本発明の二方向及び多軸物品は、通常の織布及び編物と比較して優れた弾道有効性を提供するが、従来の織機及び編機上での製造しやすさを保持する。
【0010】
第1の具体例においては、本発明の物品は、第1の平面内にある連続フィラメント一方向ヤーンの第1の組と;前記第1の平面の上の第2の平面内にあり、ヤーンの前記第1の組を横断して配置された連続フィラメント一方向ヤーンの第2の組と;ヤーンの前記第1の組を横断して配置され、ヤーンの前記第1の組と交錯するヤーンの第3の組であって、該第3の組の各ヤーンは、前記第1の組の幾つかのヤーンの上に及び残りのヤーンの下にある第3の組と;ヤーンの前記第2の組及び前記第3の組を横断して配置され、ヤーンの前記第2及び第3の組と交錯するヤーンの第4の組であって、該第4の組の各ヤーンは、ヤーンの前記第2及び第3の組の幾つかのヤーンの上に及び残りのヤーンの下にある第4の組と;を含む二方向織布を含み;ここで、ヤーンの前記第1及び第2の組を含むヤーンの各々は、ASTM D2256によって測定して、テナシティ約15g/d以上、初期引張係数(initial tensile moduli)約400g/d以上及び破断までのエネルギー(energies-to-break)約22J/g以上を有し;ヤーンの前記第1及び第2の組を含むヤーンの各々は、ヤーンの前記第3及び第4の組の各々を含むヤーンに比例して、少なくとも約2倍の破壊強度及び最大約2分の1の破断までの%伸びを有する。
【0011】
第2の具体例においては、本発明の物品は、第1の平面内にある連続フィラメント一方向ヤーンの第1の組と;前記第1の平面の上の第2の平面内にあり、ヤーンの前記第1の組を横断して配置された連続フィラメント一方向ヤーンの第2の組と;ヤーンの前記第1の組及び前記第2の組と交錯するかみ合うループを形成する交錯するヤーンの第3の組であって、該第3の組の各ヤーンはヤーンの前記第1の組及び前記第2の組の幾つかのヤーンの上に及び残りのヤーンの下にある第3の組と;を含む二方向編物を含み;ここで、ヤーンの前記第1及び第2の組を含むヤーンの各々は、ASTM D2256によって測定して、テナシティ約15g/d以上、初期引張係数約400g/d以上及び破断までのエネルギー約22J/g以上を有し;ヤーンの前記第1及び第2の組を含むヤーンの各々は、ヤーンの前記第3の組を含むヤーンに比例して、少なくとも約2倍の破壊強度及び最大約2分の1の破断までの%伸びを有する。
【0012】
第3の具体例においては、本発明の物品は、底平面内の連続フィラメント一方向ヤーンの組と;連続フィラメント一方向ヤーンの組によって各々が規定される前記底平面の上の複数の中間平面と;上部平面内の連続フィラメント一方向ヤーンの組と;かみ合うループを形成する交錯するヤーンの組であって、前記ループは全ての平面内の一方向ヤーンの組を結合する組と;を含む多軸編物であり;ここで、各前記平面内の一方向ヤーンの組は、隣接する平面内の一方向ヤーンの組に対してある角度で回転しており;一方向ヤーンの各前記組のヤーンは、全てASTM D2256によって測定して、テナシティ約15g/d以上、初期引張係数約400g/d以上及び破断までのエネルギー約22J/g以上を有し;一方向ヤーンの各前記組のヤーンは、前記交錯するヤーンに比例して、少なくとも約2倍の破壊強度及び最大約2分の1の破断までの%伸びを有する。
【0013】
別の具体例においては、本発明のファブリック複合体は、マトリックス中に埋込まれたファブリックを含む。ファブリックは、それぞれ、上記の第1、第2及び第3の具体例において説明した織布及び編物からなる群から選択される。マトリックスは、ASTM D638によって測定して、初期引張係数約6,000psi(41.3MPa)未満を有するエラストマーマトリックス及び初期引張係数少なくとも約300,000psi(2068MPa)を有する剛性マトリックスからなる群から選択される。
【0014】
別の具体例においては、本発明のファブリック複合体は、両方ともASTM D638によって測定して、初期引張係数少なくとも約300,000psi(2068MPa)を有する剛性マトリックス中に埋込まれ、初期引張係数約6,000psi(41.3MPa)未満を有するエラストマー材料マトリックスで1つの表面の少なくとも一部をコーティングされた、それぞれ、上記の第1、第2及び第3の具体例において説明した織布及び編物からなる群から選択されるファブリックを含む。
【0015】
さらに別の具体例においては、本発明のファブリック複合体は、上記に説明したように、マトリックス中に埋込まれたファブリック及び該埋込み型ファブリックの1つの表面の少なくとも一部と結合したプラスチックフィルムを含む。
【0016】
別の具体例においては、本発明のファブリック複合体は、ファブリックの少なくとも1つの表面の少なくとも一部と結合したプラスチックフィルムを有する上記に説明したようなファブリックを含む。
【0017】
他の具体例においては、本発明の防弾性物品は、一緒に張り合わせた複数のシートを含み、ここで、前記シートの少なくとも過半数は、上記に説明した本発明のファブリック及び本発明のファブリック複合体からなる群から選択される。
【0018】
発明の詳細な記述
本発明は、新規なファブリック及びファブリック複合体、弾丸による貫通に対する優れた防弾性を有するこれらのアセンブリ、並びにこれらを製造する方法に関する。
【0019】
1具体例においては、本発明の物品は、第1の平面内にある連続フィラメント一方向ヤーンの第1の組と;前記第1の平面の上の第2の平面内にあり、ヤーンの前記第1の組を横断して配置された連続フィラメント一方向ヤーンの第2の組と;ヤーンの前記第1の組を横断して配置され、ヤーンの前記第1の組と交錯するヤーンの第3の組であって、該第3の組の各ヤーンは、前記第1の組の幾つかのヤーンの上に及び残りのヤーンの下にある第3の組と;ヤーンの前記第2の組及び前記第3の組を横断して配置され、ヤーンの前記第2及び第3の組と交錯するヤーンの第4の組であって、該第4の組の各ヤーンは、ヤーンの前記第2及び第3の組の幾つかのヤーンの上に及び残りのヤーンの下にある第4の組と;を含む二方向織布を含み;ここで、ヤーンの前記第1及び第2の組を含むヤーンの各々は、ASTM D2256によって測定して、テナシティ約15g/d以上、初期引張係数約400g/d以上及び破断までのエネルギー約22J/g以上を有し;ヤーンの前記第1及び第2の組を含むヤーンの各々は、ヤーンの前記第3及び第4の組の各々を含むヤーンに比例して、少なくとも約2倍の破壊強度及び最大約2分の1の破断までの%伸びを有する。
【0020】
図1は、本発明の二方向織布10の略図である。連続フィラメント一方向ヤーンの第1の組11は、第1の平面内にある。連続フィラメント一方向ヤーンの第2の組12は、第1の平面の上の第2の平面内にあり、ヤーンの第1の組11を横断して配置されている。ヤーンの第3の組13は、ヤーンの第1の組11を横断して配置され、ヤーンの第1の組11と交錯する。ヤーンの第4の組14は、ヤーンの第2の組及び第3の組(それぞれ12及び13)を横断して配置され、ヤーンの第2及び第3の組(それぞれ12及び13)と交錯する。
【0021】
第2の具体例においては、本発明の物品は、第1の平面内にある連続フィラメント一方向ヤーンの第1の組と;前記第1の平面の上の第2の平面内にあり、ヤーンの前記第1の組を横断して配置された連続フィラメント一方向ヤーンの第2の組と;ヤーンの前記第1及び前記第2の組と交錯するかみ合うループを形成する交錯するヤーンの第3の組であって、該第3の組の各ヤーンはヤーンの前記第1の組及び前記第2の組の幾つかのヤーンの上に及び残りのヤーンの下にある第3の組と;を含む二方向編物を含み;ここで、ヤーンの前記第1及び第2の組を含むヤーンの各々は、ASTM D2256によって測定して、テナシティ約15g/d以上、初期引張係数約400g/d以上及び破断までのエネルギー約22J/g以上を有し;ヤーンの前記第1及び第2の組を含むヤーンの各々は、ヤーンの前記第3の組を含むヤーンに比例して、少なくとも約2倍の破壊強度及び最大約2分の1の破断までの%伸びを有する。
【0022】
図2は、本発明の二方向編物20の略図である。連続フィラメント一方向ヤーンの第1の組21は、第1の平面内にある。連続フィラメント一方向ヤーンの第2の組22は、第1の平面の上の第2の平面内にあり、ヤーンの第1の組21を横断して配置されている。ヤーンの第3の組23は、かみ合うループ状になってヤーンの第1及び第2の組(それぞれ21及び22)と交錯する。図2はトリコットニットを示すが、ヤーンの第1及び第2の組21及び22を安定化する他のニット形状の例えばかみ合うよこ糸鎖編が適切である。
【0023】
第3の具体例においては、本発明の物品は、底平面内の連続フィラメント一方向ヤーンの組と;連続フィラメント一方向ヤーンの組によって各々が規定される前記底平面の上の複数の中間平面と;上部平面内の連続フィラメント一方向ヤーンの組と;かみ合うループを形成する交錯するヤーンの組であって、前記ループは全ての平面内の一方向ヤーンの組を結合する組と;を含む多軸編物であり;ここで、各前記平面内の一方向ヤーンの組は、隣接する平面内の一方向ヤーンの組に対してある角度で回転しており;一方向ヤーンの各前記組のヤーンは、全てASTM D2256によって測定して、テナシティ約15g/d以上、初期引張係数約400g/d以上及び破断までのエネルギー約22J/g以上を有し;一方向ヤーンの各前記組のヤーンは、前記交錯するヤーンに比例して、少なくとも約2倍の破壊強度及び最大約2分の1の破断までの%伸びを有する。
【0024】
図3は、本発明の多軸編物30の略図である。連続フィラメント一方向ヤーンの第1の組31は、ファブリックの底平面を規定する。示す具体例においては、底平面の上の2つの中間平面は、連続フィラメント一方向ヤーンの組32及び33によって規定される。連続フィラメント一方向ヤーンの組34は、ファブリックの上部平面を規定する。交錯するヤーンの組35は、全ての平面内の一方向ヤーンを包囲するかみ合うループを形成する。
【0025】
ファブリックの各平面内の一方向ヤーンの方向は、隣接する平面内の一方向ヤーンに対してある角度で回転している。示す特定の具体例においては、第1の中間平面内のヤーンの組32は、底平面のヤーン31に対して90°の角度で回転している。第2の中間平面内のヤーン33は、第1の中間平面内のヤーン32に対して45°の角度で回転している。上部平面内のヤーン34は、第2の中間平面内のヤーン33に対して90°の角度で回転している。
【0026】
本発明の多軸ファブリックは、図3に示すものよりも大きな数の中間平面及び/またはヤーン平面同士の間の様々な角度の回転で構成されてよいことは明らかであろう。好ましくは、ヤーン平面の数及び一方向ヤーン同士の間の角度を選択して、対称特性をファブリックに提供する。
【0027】
本発明のためには、繊維は細長い物体であり、その長さ寸法は、幅及び厚さの横断寸法をはるかに超える。従って、繊維という用語は、規則的なまたは不規則な断面を有するフィラメント、リボン、条片、及びその他同様なものを含む。ヤーンは、多くの繊維またはフィラメントを含む連続ストランドである。ヤーンを構成する繊維はヤーンの長さを通して連続的としてよいか、または繊維は、ヤーンよりもはるかに短い長さを有するステープルファイバーとしてよい。
【0028】
連続フィラメント一方向ヤーンは、本発明の二方向及び多軸ファブリックの一次構造成分である。交錯するヤーンは、ヤーンの一方向の組を本質的に平坦な形状から変形させることなく、健全性をファブリックに提供する。
【0029】
連続フィラメント一方向ヤーンは、同一または異なる繊維材料、繊維形態、引張特性及びデニールで構成されてよい。好ましくは、ヤーンの連続フィラメント一方向の組は各々独立して、連続フィラメント高配向性高分子量ポリオレフィン類、アラミド類、ポリベンザゾール類及びこれらのブレンドからなる群から選択される。最も好ましくは、ヤーンの連続フィラメント一方向の組は各々独立して、連続フィラメント高配向性高分子量ポリエチレン、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)、ポリ(ベンゾビスオキサゾール)、ポリ(ベンゾビスチアゾール)、ポリ(ベンゾビスイミダゾール)及びこれらのブレンドからなる群から選択される。
【0030】
米国特許第4,457,985号は一般に、高分子量ポリエチレン及びポリプロピレン繊維を検討している。ポリエチレンの場合には、適切な繊維は、重量平均分子量少なくとも150,000、好ましくは少なくとも百万、より好ましくは二百万〜五百万を有するものである。このような高分子量ポリエチレン繊維は、米国特許第4,137,394号若しくは米国特許第4,356,138号において説明されているように溶液中で成長させてよく、または、米国特許第4,413,110号において説明されているようにゲル構造を形成するために溶液から紡糸されたフィラメントとしてよく、または、米国特許第5,702,657号において説明されているようにローリング及び延伸方法によって製造してよい。
【0031】
本明細書において使用する、ポリエチレンという用語は主に、5修正単位/100主鎖炭素原子を超えない少量の枝分れまたはコモノマーを含んでよく、また、これと混和した約50重量%以下の1種以上のポリマー添加剤の例えばアルケン−I−ポリマー類、特に低密度ポリエチレン、ポリプロピレン若しくはポリブチレン、モノオレフィン類を一次モノマー類として含むコポリマー類、酸化ポリオレフィン類、グラフトポリオレフィンコポリマー類及びポリオキシメチレン類、または低分子量添加剤の例えば抗酸化剤、潤滑剤、紫外線スクリーニング剤、着色剤及びその他同様なものを含んでよい線状ポリエチレン材料を意味する。
【0032】
形成技術、延伸比及び温度、並びに他の条件に依存して、様々な特性をこうした繊維に与えることができる。繊維のテナシティは、少なくとも15g/デニール、好ましくは少なくとも20g/デニール、より好ましくは少なくとも25g/デニール、最も好ましくは少なくとも30g/デニールとするべきである。同様に、繊維の初期引張係数は、インストロン引張試験機によって測定して、少なくとも300g/デニール、好ましくは少なくとも500g/デニール、より好ましくは少なくとも1,000g/デニール、最も好ましくは少なくとも1,200g/デニールである。
【0033】
初期引張係数及びテナシティのこうした最高値は一般に、溶液成長またはゲル紡糸方法を用いることによってのみ得ることができる。フィラメントの多くは、これを形成するポリマーの融点を超える融点を有する。従って、例えば、重量平均分子量約150,000〜二百万を有するポリエチレンは一般に、バルクでの融点約138℃を有する。こうした材料で製造した高配向性ポリエチレンフィラメントは、約7〜約13℃高い融点を有する。従って、融点のわずかな増大は、バルクポリマーと比較して、フィラメントの結晶完全性及びより高い結晶方を反映する。
【0034】
アラミド繊維の場合には、芳香族ポリアミド類から形成した適切な繊維は米国特許第3,671,542号において説明されている。好ましいアラミド繊維は、テナシティ少なくとも約20g/d、初期引張係数少なくとも約400g/d及び破断までのエネルギー少なくとも約8J/gを有しようし、特に好ましいアラミド繊維は、テナシティ少なくとも約20g/d、及び破断までのエネルギー少なくとも約20J/gを有しよう。最も好ましいアラミド繊維は、テナシティ少なくとも約20g/デニール、モジュラス少なくとも約900g/デニール及び破断までのエネルギー少なくとも約30J/gを有しよう。例えば、デュポン・コーポレーション(DuPont Corporation)によってケブラー(登録商標)(KEVLAR(登録商標))商標で工業的に生産されているポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)フィラメントは、防弾性複合体を形成する際に特に有用である。初期引張係数及びテナシティの値としてそれぞれ、ケブラー29は、500g/デニール及び22g/デニールを有し、ケブラー49は、1000g/デニール及び22g/デニールを有する。また本発明の実施において有用なものは、デュポンによってノメックス(登録商標)(NOMEX(登録商標))商標で工業的に生産されているポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)繊維である。
【0035】
本発明の実施に適したポリベンザゾール繊維は、例えば米国特許第5,286,833号、同第5,296,185号、同第5,356,584号、同第5,534,205号及び同第6,040,050号において開示されている。好ましくは、ポリベンザゾール繊維は、ポリ(ベンゾビスオキサゾール)、ポリ(ベンゾビスチアゾール)、及びポリ(ベンゾビスイミダゾール)からなる群から選択される。最も好ましくは、ポリベンザゾール繊維は、東洋紡績(Toyobo Co.)製のザイロン(登録商標)(ZYLON(登録商標))ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)繊維である。
【0036】
ヤーンの連続フィラメント一方向の組のデニールは独立して、約100〜約3000の範囲内、より好ましくは約750〜約1500の範囲内で選択される。
一方向ヤーンの各組内部のヤーンの間隔は、他の一方向ヤーンの組内部のヤーンのものと同一または異なってよい。“間隔”とは、組内部の平行なヤーンエンド同士の間の距離を意味する。ヤーン同士の間の間隔は、より重いデニールのヤーンの場合より大きく、より低いデニールのヤーンの場合より小さいだろう。好ましくは、ヤーンの一方向の組の各々のヤーンの間隔は独立して、約5end/in(2end/cm)〜約50end/in(20end/cm)の範囲内、より好ましくは約8end/in(3.2end/cm)〜約20end/in(7.9end/cm)の範囲内で選択される。ヤーンの間隔として約8end/in(3.2end/cm)〜約12end/in(4.7end/cm)は、1200デニールのスペクトラ(登録商標)(SPECTRA(登録商標))高配向性高分子量ポリエチレンヤーン(ハネウェル・インターナショナル、Inc.(Honeywell International Inc.)製)のために好ましい。
【0037】
本発明の二方向織布において、第3の組中のヤーンの間隔は一般に、これと平行なヤーンを有する組(すなわち、図1の第1の組)内部のヤーンの間隔の整数倍である。第4の組中のヤーンの間隔も一般に、これと平行なヤーンを有する組(すなわち、図1の第2の組)内部のヤーンの間隔の整数倍である。例えば、第1の組中のヤーンエンド同士の間の間隔が0.1インチである場合、第3の組中のヤーンエンド同士の間の間隔は0.1、0.2、0.3、0.4...インチとしてよい。好ましくは、第3及び第4の組のヤーンの間隔は、これと平行なヤーンの組のものと同じである。
【0038】
以下の解説は、本発明のファブリック中の交錯するヤーンの組、すなわち、本発明の織二方向ファブリック中の第3及び第4のヤーンの組、本発明の編二方向ファブリック中の第3のヤーンの組、及び本発明の編多軸ファブリック中の交錯するループ形成ヤーンの組に関する。
【0039】
交錯するヤーンの組は、1を超える場合、異なる繊維材料及び繊維形態で形成してよい。好ましくは、ヤーンの交錯する組は各々独立して、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン類、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、酢酸セルロース、木綿、羊毛、及びコポリマー類並びにこれらのブレンドからなる群から選択される。最も好ましくは、ヤーンの交錯する組は、ナイロン6、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール及びポリウレタンからなる群から選択される。ヤーンの交錯する組は、エラストマー繊維またはステープルファイバーで構成されてよい。
【0040】
交錯するヤーンの組中のヤーンは、一方向ヤーンの各々の約2分の1を超える破壊強度(破断時負荷、lb(Kg))を有せず、約2倍以上の破断までの%伸びを有するように選択される。好ましくは、ヤーンの交錯する組の各々の破壊強度は、ヤーンの一方向の組の各々の破壊強度の約3分の1を超えず、約6倍以上の%破断時伸びを有する。最も好ましくは、ヤーンの交錯する組の各々の破壊強度は、ヤーンの一方向の組の各々の破壊強度の約3分の1を超えず、約10倍以上の%伸びを有する。こうした選択は、一方向ヤーンが、弾道衝撃の最中本質的に制限されないままであり、弾丸のエネルギーに吸収に最も良く関与できようということを確実にする。
【0041】
ステープルファイバーを含むヤーンは一般に、連続フィラメントヤーンよりも低いテナシティを有し、ヤーンの交錯する組中の連続フィラメントヤーンよりも高いデニールで使用してよい。
【0042】
米国特許第5,773,370号において開示するように、ヤーンの全ての組中の繊維を撚るかまたは絡み合わせてよい。好ましくは、各具体例におけるヤーンの一方向の組は、最小の撚りである約ゼロturn/in〜約2turn/in(0.78turn/cm)を有する。弾道特性は典型的に、ゼロ撚り構造ヤーンの場合により良好である。より大きな撚りレベルは、交錯するヤーンの組中のヤーンのために好ましく、これは約2turn/in(0.28turn/cm)〜約10turn/in(3.9turn/cm)である。
【0043】
好ましくは、本発明の織布及び編物はカレンダーがけされる。好ましくは、ファブリックを、同じ速度で回転する対向するロールを通過させ、約100℃〜約130℃の範囲にわたる温度で圧力約800lb/インチ(140kN/m)〜約1200lb/インチ(210kN/m)のファブリック幅をかけることでカレンダーがけを行う。好ましくはカレンダーがけ圧力は、約900lb/インチ(158kN/m)〜約1000lb/インチ(175kN/m)のファブリック幅であり、温度は約115℃〜約125℃の範囲にわたる。
【0044】
別の具体例においては、本発明のファブリック複合体は、ASTM D638によって測定して、初期引張係数約6,000psi(41.3MPa)未満を有するエラストマー材料及び初期引張係数少なくとも約300,000psi(2068MPa)を有する剛性樹脂からなる群から選択されるマトリックス中に埋込まれた、上記に説明した本発明の織布及び編物からなる群から選択されるファブリックを含む。
【0045】
マトリックスは、ファブリック複合体の好ましくは約5〜約30、より好ましくは約10〜約20重量%を占める。好ましくは、未硬化液体マトリックスまたはマトリックス材料の溶液を湿潤したロールによってファブリックの上に施用し、液体をファブリック中にナイフ塗布して(doctor)完全な含浸を成し遂げることによって、マトリックス材料を施用する。他に、液体浴中へのファブリックのディッピングまたは浸漬を用いてよい。
【0046】
適切に低いモジュラスを有する広く様々なエラストマー材料及び配合物を、マトリックスとして利用してよい。例えば、以下の材料のいずれでも用いてよい:ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、エチレン−プロピレンコポリマー類、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー類、ポリスルフィドポリマー類、ポリウレタンエラストマー類、クロロスルフィネーテドポリエチレン、ポリクロロプレン、フタル酸ジオクチルまたは当業界において周知の他の可塑剤を使用した可塑化ポリ塩化ビニル、ブタジエンアクリロニトリルエラストマー類、ポリ(イソブチレン−co−イソプレン)、ポリアクリレート類、ポリエステル類、ポリエーテル類、フッ素エラストマー類、シリコーンエラストマー類、熱可塑性エラストマー類、エチレンのコポリマー類。
【0047】
好ましくは、エラストマー材料は過度に十分にまたは過度にゆるくファブリック材料と結合しない。ポリエチレンファブリックのために好ましいものは、共役ジエン類及びビニル芳香族コポリマー類のブロックコポリマー類である。ブタジエン及びイソプレンは好ましい共役ジエンエラストマー類である。スチレン、ビニルトルエン及びt−ブチルスチレンは好ましい共役芳香族モノマー類である。ポリイソプレンを取り入れたブロックコポリマー類を水素化して、飽和炭化水素エラストマーセグメントを有する熱可塑性エラストマー類を製造してよい。ポリマー類は、R−(BA)(x=3〜150)[式中、Aはポリビニル芳香族モノマーから生じたブロックであり、Bは共役ジエンエラストマーから生じたブロックである。]のタイプの単純なトリ−ブロックコポリマー類としてよい。こうしたポリマー類の多くは、クレイトン・ポリマーズ、Inc.(Kraton Polymers, Inc.)によって工業的に生産されている。
【0048】
ゴム科学技術者には周知の方法を使用して、低モジュラスエラストマーを、充填剤の例えばカーボンブラック、シリカ等と配合してよく、油を用いて増量してよく、硫黄、過酸化物、金属酸化物または放射線加硫系によって加硫してよい。様々なエラストマー材料のブレンドを一緒に使用してよく、または、1種以上のエラストマーを1種以上の熱可塑性物質とブレンドしてよい。
【0049】
本発明のファブリック複合体において有用な剛性マトリックス樹脂は好ましくは、ASTM D638によって測定して、初期引張係数少なくとも300,000psi(2068MPa)を有する。好ましいマトリックス樹脂は、少なくとも1種の熱硬化性ビニルエステル、フタル酸ジアリル、及び所望によりビニルエステル樹脂を硬化するための触媒を含む。
【0050】
好ましくは、ビニルエステルは、不飽和モノカルボン酸、通常メタクリル酸またはアクリル酸を用いた多官能性のエポキシ樹脂のエステル化によって製造されるものである。例示となるビニルエステルとしては、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルイソフタレート、ジ−(2,3−エポキシブチル)アジペート、ジ−(2,3−エポキシブチル)オキサレート、ジ−(2,3−エポキシヘキシル)スクシネート、ジ−(3,4−エポキシブチル)マレエート、ジ−(2,3−エポキシオクチル)ピメレート、ジ−(2,3−エポキシブチル)フタレート、ジ−(2,3−エポキシオクチル)テトラヒドロフタレート、ジ−(4,5−エポキシ−ドデシル)マレエート、ジ−(2,3−エポキシブチル)テレフタレート、ジ−(2,3−エポキシペンチル)チオジプロプロネート、ジ−(5,6−エポキシ−テトラデシル)ジフェニルジカルボキシラート、ジ−(3,4−エポキシヘプチル)スルホニルジブチレート、トリ−(2,3−エポキシブチル)−1,2,4−ブタントリカルボキシラート、ジ−(5,6−エポキシペンタデシル)マレエート、ジ−(2,3−エポキシブチル)アゼレート、ジ(3,4−エポキシペンタデシル)シトレート、ジ−(4,5−エポキシオクチル)シクロヘキサン−1,3−ジカルボキシラート、ジ−(4,5−エポキシオクタデシル)マロネート、ビスフェノール−A−フマル酸ポリエステル及び同様の材料が挙げられる。特に好ましいものは、ダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Company)からデラケーン(登録商標)(DERAKANE(登録商標))商標で入手可能なエポキシビニルエステル類である。
【0051】
別の具体例においては、本発明のファブリック複合体は、両方ともASTM D638によって測定して、初期引張係数少なくとも約300,000psi(2068MPa)を有する剛性マトリックス中に埋込まれ、初期引張係数約6,000psi(41.3MPa)未満を有するエラストマー材料で1つの表面の少なくとも一部をコーティングされた、それぞれ、上記に説明した第1、第2及び第3の具体例において説明した織布及び編物からなる群から選択されるファブリックを含む。
【0052】
別の具体例においては、本発明のファブリック複合体は、ASTM D638によって測定して、初期引張係数約6,000psi(41.3MPa)未満を有するエラストマー材料及び初期引張係数少なくとも約300,000psi(2068MPa)を有する剛性樹脂からなる群から選択されるマトリックス中に埋込まれた、上記に説明した本発明の織布及び上記に説明した本発明の編物からなる群から選択されるファブリック並びに該埋込み型ファブリックの1つの表面の少なくとも一部と結合したプラスチックフィルムを含む。
【0053】
別の具体例においては、本発明のファブリック複合体は、上記に説明した本発明の織布及び上記に説明した本発明の編物からなる群から選択されるファブリック;ファブリックの少なくとも1つの表面の少なくとも一部をコーティングしたエラストマーであって、ASTM D638によって測定して、初期引張係数約6,000psi(41.3MPa)以下を有するエラストマー;及びエラストマーコーティング済み表面の少なくとも一部と結合したプラスチックフィルムを含む。
【0054】
別の具体例においては、本発明のファブリック複合体は、ファブリック表面のうちの少なくとも1つの少なくとも一部と結合したプラスチックフィルムを有する、上記に説明した本発明の織布及び上記に説明した本発明の編物からなる群から選択されるファブリックを含む。
【0055】
本発明の複合体において有用なプラスチックフィルムは、ポリオレフィン類、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリウレタン類、ビニルポリマー類、フッ素ポリマー類及びコポリマー類並びにこれらの混合物からなる群から選択されてよい。好ましくは、プラスチックフィルムは過度にしっかりとまたは過度にゆるくファブリックまたはマトリックス材料と結合しない。マトリックスが共役ジエン及びビニル芳香族コポリマーのブロックコポリマーである場合、プラスチックフィルムは好ましくは線状低密度ポリエチレンである。同様に、マトリックス樹脂がビニルエステル樹脂である場合、プラスチックフィルムは好ましくは線状低密度ポリエチレンである。
【0056】
プラスチックフィルムは、好ましくは厚さ0.0002インチ(5.1マイクロメートル)〜約0.005インチ(127マイクロメートル)、より好ましくは約0.0003インチ(7.6マイクロメートル)〜約0.003インチ(76マイクロメートル)である。
【0057】
プラスチックフィルムは、ファブリック複合体の好ましくは約0.5〜約5重量%を占める。好ましくはプラスチックフィルムは二軸配向性である。好ましくはプラスチックフィルムは熱及び圧力によってファブリックまたはファブリック複合体と結合する。
【0058】
他の具体例においては、本発明の防弾性物品は、一緒に張り合わせた複数のシートを含み、ここで、前記シートの少なくとも過半数は、上記に説明した本発明のファブリック及び本発明のファブリック複合体からなる群から選択される。
【0059】
繊維複合体の貫通の全分析は依然として現在の能力を超えているが、幾つかの機構が特定された。小型の尖った弾丸(small pointed projectile)は、繊維を横方向にずらすことによって、繊維を破壊することなく装甲を貫通することができる。この場合には、耐貫通性は、いかに容易に繊維が押し退けられるかに依存し、従って、繊維の網目構造の性質に依存する。重要なファクターは、織りの強固さまたはクロスプライされた一方向複合体中の交差の周期性、ヤーン及び繊維のデニール、繊維間摩擦、マトリックス特性、積層内結合強度等である。鋭い断片は、繊維を剪断することで貫通できる。
【0060】
弾丸は、引張られた繊維を破壊することもある。弾丸がファブリックに与えた衝撃は、ファブリックを通るひずみ波の伝搬を引き起こす。ひずみ波が迅速に伝搬することができ、ファブリックを通して妨げられることがなく、より大きな体積の繊維を包含する場合、防弾性はより大きい。実験及び解析研究は、全ての実際の場合に全ての貫通モードが存在することと、それらの相対的重要性は、複合体の設計によって大きく影響されることとを示した。
【0061】
1具体例においては、本発明の防弾性物品は、積層アレイ状の一緒に張り合わせた複数のファブリックシートを含み、ここで、ファブリックシートの少なくとも過半数は、上記に説明した特性を有するカレンダーがけ織布及び上記に説明した特性を有するカレンダーがけ編物からなる群から選択される。
【0062】
他の具体例においては、本発明の防弾性物品は、積層アレイ状の一緒に張り合わせた複数のファブリック複合体シートを含み、ここで、ファブリック複合体シートの少なくとも過半数は、先に説明した本発明のファブリック複合体のうちの任意の1つの特性を有する。
【0063】
さらに他の具体例においては、本発明は、本発明の防弾性物品の製造方法からなる。
本発明の1方法は、上記に説明した特性を有する二方向または多方向ファブリックを織るかまたは編むことと、ファブリックのシートを積層アレイ状のプライにすることとによって製造する工程を含む。好ましくは、本発明のファブリックはカレンダーがけされる。好ましくは、ファブリックシートを、接合手段の例えば縫い合わせによって一緒に接合する。
【0064】
別の具体例においては、本発明の方法は、上記に説明した特性を有する二方向または多軸ファブリックを織るかまたは編むことと;ファブリックをカレンダーがけすることと;ASTM D638によって測定して、初期引張係数約6,000psi(41.3MPa)未満を有するエラストマー及び初期引張係数少なくとも約300,000psi(2068MPa)を有する剛性樹脂からなる群から選択されるマトリックス材料中にファブリックを埋込んで、ファブリック複合体を製造することと;ファブリック複合体のシートを積層アレイ状のプライにすること;前記ファブリック複合体のシートを一緒に結合し、硬化して、一体化物品を形成することと;によって製造する工程を含む。
【0065】
好ましくは、ファブリック複合体のシートを積層アレイ状のプライにする前に、プラスチックシートを、ファブリック複合体の1つの表面の少なくとも一部と結合する。
別の具体例においては、本発明の方法は、上記に説明した特性を有する二方向または多軸ファブリックを織るかまたは編むことと;ファブリックをカレンダーがけすることと;プラスチックフィルムを、ファブリック表面のうちの少なくとも1つの少なくとも一部と結合して、ファブリック複合体を製造することと;ファブリック複合体のシートを積層アレイ状のプライにすること;ファブリック複合体のシートを一緒に結合して、一体化物品を形成することと;によって製造する工程を含む。
【0066】
別の具体例においては、本発明の方法は、上記に説明した特性を有する二方向または多軸ファブリックを織るかまたは編むことと;ファブリックをカレンダーがけすることと;ASTM D638によって測定して、初期引張係数少なくとも約300,000psi(2068MPa)を有する剛性樹脂から本質的になるマトリックス中にファブリックを埋込んで、ファブリック複合体を製造することと;ASTM D638によって測定して、引張弾性率約6000psi(41.3MPa)未満を有するエラストマー材料をファブリック複合体の表面に施用して、エラストマーコーティング済みファブリック複合体を製造することと;エラストマーコーティング済みファブリック複合体のシートを積層アレイ状のプライにすることと;エラストマーコーティング済みファブリック複合体のシートを一緒に結合し、硬化して、一体化物品を形成することと;によって製造する工程を含む。
【0067】
以下の実施例を、本発明のより完全な理解を提供するために提出する。本発明の原理を示すために説明する特定の技術、条件、材料、比率及び報告するデータは模範例であり、本発明の範囲を限定するものと解釈するべきではない。
【0068】
実施例
比較例1
高配向性高分子量ポリエチレンヤーン(ハネウェル・インターナショナル、Inc.製のスペクトラ(登録商標)900)を、アメリカン・イワー・モデル A2 180(American Iwer Model A2 180)織機上で織って、21×21end/in(8.3end/cm)の平織ファブリックにした。ポリエチレンヤーンは、1200デニールを有し、テナシティ30g/d、初期引張係数850g/d、破断までのエネルギー40J/g、破壊強度36Kg及び3.6%の破断時伸びを有した。ファブリックに、エポキシビニルエステル樹脂[エルフ・アトケム(Elf Atochem)製の1%ルペロックス(登録商標)(LUPEROX(登録商標))256硬化剤(2,5−ジメチル−2,5ジ(2−エチル(ヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン))を含むダウ・ケミカル製のデラケーン(登録商標)411−45]を含浸させた。硬化した状態のニート樹脂の初期引張係数は490,000psi(3379MPa)だった。ファブリックプリプレグの樹脂含有率は20重量%だった。
【0069】
12インチ×12インチ(30.5cm×30.5cm)の寸法を有するファブリックプリプレグの17枚のシートを一緒に積層し、プレス中、116℃、550psi(3.8MPa)の圧力下で20分間加熱することによって、結合し、硬化して、一体化ファブリック複合体パネルにした。ファブリック複合体パネルの面積密度(areal density)は1.05lb/sq. ft.(5.13Kg/sq. m)だった。
【0070】
比較例2
比較例1において製造したのと同じファブリックプリプレグの17枚の12インチ×12インチ(30.5cm×30.5cm)のシートの第2の組を、切断し、一緒に積層した。シートを、プレス中、116℃、550psi(3.8MPa)の圧力下で20分間加熱することによって、結合し、硬化して、一体化ファブリック複合体パネルにした。第2のファブリック複合体パネルの面積密度は1.06lb/sq. ft.(5.18Kg/sq. m)だった。
【0071】
比較例3
高配向性高分子量ポリエチレンヤーン(ハネウェル・インターナショナル、Inc.製のスペクトラ(登録商標)1000)を、アメリカン・イワー・モデル A2 180織機上で織って、21×21end/in(8.3end/cm)の平織ファブリックにする。ポリエチレンヤーンは、1300デニールを有し、テナシティ35g/d、初期引張係数1150g/d、破断までのエネルギー45J/g、破壊強度45Kg及び3.4%の破断時伸びを有する。ファブリックを、同じ速度で回転する対向するロールを通過させ、121℃で圧力952lb/インチ(163kN/m)のファブリック幅をかけることで、ファブリックにカレンダーがけする。
【0072】
ファブリックに、1%ルペロックス(登録商標)256硬化剤を含むエポキシビニルエステル樹脂デラケーン(登録商標)411−45を含浸させる。硬化した状態のニート樹脂の初期引張係数は490,000psi(3379MPa)である。ファブリックプリプレグの樹脂含有率は20重量%である。12インチ×12インチ(30.5cm×30.5cm)の寸法を有するファブリックプリプレグの17枚のシートを一緒に積層し、プレス中、116℃、550psi(3.8MPa)の圧力下で20分間加熱することによって、結合し、硬化して、一体化ファブリック複合体パネルにする。ファブリック複合体パネルの面積密度は1.0lb/sq. ft.(4.89Kg/sq. m)である。
【0073】
実施例1
本発明の二方向ファブリックを、アメリカン・イワー・モデル A2 180織機上で織った。ファブリックは4つのヤーンの組からなった。第1のヤーン及び第2のヤーンの組は各々、テナシティ35g/d、初期引張係数1150g/d、破断までのエネルギー45J/g、破壊強度45Kg及び3.4%の破断時伸びを有する1300デニールの平行な高配向性高分子量連続フィラメントポリエチレンヤーン(ハネウェル・インターナショナル、Inc.製のスペクトラ(登録商標)1000)からなった。図1の略図を参照すると、第1のヤーンの組11及び第2のヤーンの組12は、一方が他方の上にあり、別個の平面内で互いに横断し、一方向配向性だった。第3のヤーンの組13は、第1のヤーンの組11を横断して配置され、第1の組のヤーンと交錯し、破壊強度0.38Kg及び20%の破断時伸びを有する75デニールのポリビニルアルコールヤーンからなった。第4のヤーンの組14は、第2及び第3のヤーンの組を横断して配置され、第2及び第3のヤーンの組のヤーンと交錯し、同じポリビニルアルコールヤーンからなった。ファブリック中の4つのヤーンの組の各々の間隔は9end/in(3.5end/cm)だった。
【0074】
ファブリックを、同じ速度で回転する対向するロールを通過させ、121℃で圧力952lb/インチ(163kN/m)のファブリック幅をかけることで、二方向ファブリックをカレンダーがけした。カレンダーがけファブリックに、硬化した状態の初期引張係数490,000psi(3379MPa)を有する20重量%のエポキシビニルエステル樹脂(1%ルペロックス(登録商標)256硬化剤を含むデラケーン(登録商標)411−45)を含浸させた。12インチ×12インチ(30.5cm×30.5cm)の寸法のこのプリプレグの34枚のシートを、プレス中、116℃、550psi(3.8MPa)の圧力下で20分間加熱することによって、結合し、硬化して、一体化ファブリック複合体パネルにした。ファブリック複合体パネルの面積密度は1.01lb/sq. ft.(4.94Kg/sq. m)だった。
【0075】
実施例2
実施例1において製造したのと同じ二方向ファブリックプリプレグの34枚の12インチ×12インチ(30.5cm×30.5cm)のシートの第2の組を、切断し、一緒に積層した。シートを、プレス中、116℃、550psi(3.8MPa)の圧力下で20分間加熱することによって、結合し、硬化して、一体化ファブリック複合体パネルにした。第2の二方向ファブリック複合体パネルの面積密度は1.03lb/sq. ft.(5.03Kg/sq. m)だった。
【0076】
実施例3
本発明の二方向ファブリックを、リバ、Inc.(Liba, Inc.)製のよこ糸挿入たて編機上で編んだ。ファブリックは3つのヤーンの組からなった。第1のヤーン及び第2のヤーンの組は各々、テナシティ35g/d、初期引張係数1150g/d、破断までのエネルギー45J/g、破壊強度45Kg及び3.4%の破断時伸びを有する1300デニールの高配向性高分子量連続フィラメントポリエチレンヤーン(ハネウェル・インターナショナル、Inc.製のスペクトラ(登録商標)1000)からなった。図2の略図を参照すると、第1のヤーンの組21及び第2のヤーンの組22は、一方が他方の上にあり、別個の平面内で互いに横断し、一方向配向性だった。ファブリック中の第1及び第2のヤーンの組の各々におけるヤーンの間隔は9end/in(3.5end/cm)だった。0.38Kgの破壊強度、22%の破断時伸びを有する75デニールのポリビニルアルコールからなる第3のヤーンの組23に、トリコットスティッチ(tricot stitch)で第1及び第2のヤーンの組の両方が介在した。
【0077】
二方向編物を実施例1におけるようにカレンダーがけし、硬化した状態の初期引張係数490,000psi(3379MPa)を有する20重量%のエポキシビニルエステル樹脂(1%ルブリソール(Lubrisol)256硬化剤を含むデラケーン411−45)を含浸させた。
【0078】
12インチ×12インチ(30.5cm×30.5cm)の寸法のこのプリプレグの34枚のシートを、プレス中、116℃、550psi(3.8MPa)の圧力下で20分間加熱することによって、結合し、硬化して、一体化ファブリック複合体パネルにした。ファブリック複合体パネルの面積密度は1.0lb/sq. ft.(4.9Kg/sq. m)だった。
【0079】
弾道試験
比較例1〜3及び実施例1〜3のファブリック複合体パネルを、MIL−P−46593Aによって指定されている17グレーンFSP(断片模擬弾丸(fragment simulating projectile))を使用して、MIL−STD−662Eの方法によって防弾性を試験した。50%の弾丸がターゲットを貫通できない速度(V50)及びターゲットの比エネルギー吸収(the specific energy absorption of the targets)(SEAT)を決定した。下記の表Iは、弾道試験の結果を示す。
【0080】
【表1】

【0081】
本発明の実施例1及び2の二方向ファブリックは、こうしたファブリックから構成した複合体パネルに防弾性を提供する際に、比較例1及び2の平織ファブリックより優れていたことが分かる。実施例3の二方向編物の結果は、同様に優れていると予想される。
【0082】
特定の理論によって支持されるものではないが、二方向ファブリック中の強力なヤーンの平坦な性質は、弾丸によって始まった弾性ひずみ波が比較的に妨げられることなく伝搬することを可能にし、繊維のより大きな長さが弾丸のエネルギー吸収に関与することを可能にすると考えられている。比較して、平織ファブリック中の強力なヤーンが各々介在することは、ファブリックを通る弾道事象の伝搬を制限し、従って弾丸のエネルギーを相対的により小さな繊維の体積中に集中させる。
【0083】
二方向ファブリックは、クロスプライされた一方向ファブリックと同様、優れた防弾性を有するが、従来の織布と同様、従来の機械類上での製造しやすさ及び経済性を有する。
比較例4
テナシティ30g/d、初期引張係数850g/d、破断までのエネルギー40J/g、破壊強度36Kg及び3.6%の破断時伸びを有するスペクトラ(登録商標)900(ハネウェル・インターナショナル、Inc.製)と呼ぶ1200デニールポリエチレンヤーンを織って、21×21end/in(8.27end/cm)の平織ファブリックにした。19枚の18×18インチ(45.7×45.7cm)の正方形をファブリックから切断した。正方形を一緒に積層して、個々の正方形を接合するいかなる接続も無しに弾道ターゲットを形成した。
【0084】
実施例4
実施例1に説明したのと同じ織カレンダーがけ二方向ファブリックを切断して、36枚の18×18インチ(45.7×45.7cm)の正方形にした。正方形を一緒に積層して、個々の正方形を接合するいかなる接続も無しに弾道ターゲットを形成した。
【0085】
実施例5
本発明の二方向ファブリックを、アメリカン・イワー・モデル A2 180織機上で織る。ファブリックは4つのヤーンの組からなる。第1のヤーン及び第2のヤーンの組は各々、テナシティ35g/d、初期引張係数1150g/d、破断までのエネルギー45J/g、破壊強度45Kg及び3.4%の破断時伸びを有する1300デニールの高配向性高分子量連続フィラメントポリエチレンヤーン(ハネウェル・インターナショナル、Inc.製のスペクトラ(登録商標)1000)からなる。
【0086】
第3のヤーンの組は、第1のヤーンの組を横断して配置され、第1の組のヤーンと交錯し、破壊強度0.76Kg及び535%の破断時伸びを有する1120デニールのポリウレタンセグメント化ブロックコポリマーエラストマーヤーン(デュポンのライクラ(登録商標)(LYCRA(登録商標))スパンデックス(SPANDEX)ブランド)からなる。第4のヤーンの組は、第2及び第3のヤーンの組を横断して配置され、第2及び第3のヤーンの組のヤーンと交錯し、第3のヤーンの組のものと同じエラストマーヤーンからなる。ファブリック中の4つのヤーンの組の各々におけるヤーンの間隔は9end/in(3.5end/cm)である。
【0087】
ファブリックを切断して、36枚の18×18インチ(45.7×45.7cm)の正方形にし、一緒に積層して、個々の正方形を接合するいかなる接続も無しに弾道ターゲットを形成した。
【0088】
実施例6
本発明の二方向ファブリックを、リバ、Inc.製のよこ糸挿入たて編機上で編む。ファブリックは3つのヤーンの組からなる。第1及び第2のヤーンの組は各々、テナシティ35g/d、初期引張係数1150g/d、破断までのエネルギー45J/g、破壊強度45Kg及び3.4%の破断時伸びを有する1300デニールの高配向性高分子量連続フィラメントポリエチレンヤーン(ハネウェル・インターナショナル、Inc.製のスペクトラ(登録商標)1000)からなる。第1のヤーンの組及び第2のヤーンの組は、一方が他方の上にあり、別個の平面内で互いに横断し、一方向配向性である。ファブリック中の第1及び第2のヤーンの組の各々におけるヤーンの間隔は9end/in(3.5end/cm)である。0.76Kgの破壊強度及び535%の破断時伸びを有する1120デニールのポリウレタンセグメント化ブロックコポリマー(デュポンのライクラ(登録商標)スパンデックスブランド)エラストマーヤーンからなる第3のヤーンの組に、トリコットスティッチで第1及び第2のヤーンの組の両方が介在する。
【0089】
ファブリックを切断して、36枚の18×18インチ(45.7×45.7cm)の正方形にし、一緒に積層して、個々の正方形を接合するいかなる接続も無しに弾道ターゲットを形成する。
【0090】
実施例7
本発明の多軸ファブリックを、リバ、Inc.製のよこ糸挿入たて編機上で編む。ファブリックは、各々その平面内にあるヤーンの4つの連続フィラメント一方向の組、及び、かみ合うループと交錯し、一方向ヤーンの組をかみ合うループと結合させる第5のヤーンの組からなる。
【0091】
第1のヤーン及び第2のヤーンの組は各々、テナシティ35g/d、初期引張係数1150g/d、破断までのエネルギー45J/g、破壊強度45Kg及び3.4%の破断時伸びを有する1300デニールの連続フィラメント高配向性高分子量連続フィラメントポリエチレンヤーン(ハネウェル・インターナショナル、Inc.製のスペクトラ(登録商標)1000)からなる。第3及び第4のヤーンの組は各々、テナシティ28g/d、初期引張係数976g/d、破断までのエネルギー25J/g、破壊強度31.9Kg及び2.9%の破断時伸びを有する1140デニールの連続フィラメントアラミドヤーン(E.I.デュポン・ド・ヌムール&Co、(E.I. Dupont de Nemours & Co,)製のケブラー(登録商標)49)からなる。第5の交錯するヤーンの組は、破壊強度0.6Kg及び破断時伸び40%を有する300デニールの部分配向性ナイロン6ヤーンからなる。ファブリック中の一方向ヤーンの組の各々におけるヤーンの間隔は20end/in(7.9end/cm)である。
【0092】
図3の略図を参照すると、第1のヤーンの組31及び第2のヤーンの組32は、一方が他方の上にあり、別個の平面内で互いに横断し、一方向配向性である。第3の一方向ヤーンの組33は、直ぐ下の組32中のヤーンに対して45°の角度である。第4の一方向ヤーンの組34は、直ぐ下の組33中のヤーンを横断する。第5のヤーンの組35は、かみ合うループと交錯し、一方向ヤーンの組をかみ合うループと結合させる。
【0093】
多軸ファブリックを実施例1に説明したようにカレンダーがけし、正方形をファブリックから切断し、一緒に積層して、個々の正方形を接合するいかなる接続も無しに弾道ターゲットを形成する。
【0094】
弾道試験
比較例4及び実施例4〜7において製造したターゲットの防弾性を、国立司法研究所標準NIJ0101.03(National Institute of Justice Standard NIJ 0101.03)に従って、クレイバッキング及び9mmフルメタルジャケット型124グレーン(8.0g)弾丸を使用して評価する。ターゲットの面積密度、50%の弾丸がターゲットを貫通できない速度(V50)及びターゲットの比エネルギー吸収(SEAT)を、下記の表IIに列記する。
【0095】
【表2】

【0096】
本発明の二方向及び多軸ファブリックは、弾丸による貫通に対する同等のまたはより良好な耐性を提供すると予想される。その上、エラストマーヤーンを含むファブリックは、柔軟な身体用装甲に取り入れられた場合に、より容易にかつ快適に着用者に適合できる。
【0097】
比較例5
高配向性高分子量ポリエチレンヤーン(ハネウェル・インターナショナル、Inc.製のスペクトラ(登録商標)900)を、アメリカン・イワー・モデル A2 180織機上で織って、21×21end/in(8.3end/cm)の平織ファブリックにした。ポリエチレンヤーンは、1200デニールを有し、テナシティ30g/d、初期引張係数850g/d、破断までのエネルギー40J/g、破壊強度36Kg及び3.6%の破断時伸びを有した。ファブリックの1表面を、初期引張係数200psi(1.4MPa)を有するクレイトン(登録商標)(KRATON(登録商標))D1107と呼ぶスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーエラストマーでコーティングした。エラストマーは、コーティング済みファブリックの5重量%だった。
【0098】
ファブリック、ポリエチレンフィルム及び外部ポリエステル剥離フィルムを、121℃、ロール圧力635lb/インチ(109kN/m)下で同じ速度で動作する対向するロールを通過させることで、厚さ0.00035インチ(8.89マイクロメートル)を有する線状低密度ポリエチレンフィルムをファブリックのエラストマー表面に積層した。剥離フィルムを次に、ポリエチレン−ファブリック複合体から取り除いた。ポリエチレンフィルムは、ファブリック複合体の3.5重量%を占めた。
【0099】
19枚の18×18インチ(45.7×45.7cm)の正方形をファブリック複合体から切断し、一緒に積層して、個々の正方形を接合するいかなる接続も無しに弾道ターゲットを形成した。ターゲットの面積密度は1.01lb/sq. ft.(4.94Kg/sq. m)だった。
【0100】
比較例6
クロスプライされた一方向ファブリック複合体(ハネウェル・インターナショナル、Inc.製のスペクトラシールド(登録商標)(SPECTRA SHIELD(登録商標))LCR)を切断して、18×18インチ(45.7×45.7cm)の正方形にした。ファブリック複合体は、ポリエチレンフィルムを積層した、エラストマーマトリックス中の、テナシティ35g/d、初期引張係数1150g/d、破断までのエネルギー45J/g、破壊強度45Kg及び3.4%の破断時伸びを有する高配向性高分子量ポリエチレンヤーンで構成された。24枚の正方形を一緒に積層して、個々の正方形を接合するいかなる接続も無しに弾道ターゲットを形成した。ターゲットの面積密度は0.75lb/sq.ft(3.66Kg/sq. m)だった。
【0101】
実施例8
実施例1に説明したのと同じ二方向織布を、実施例1に説明したようにカレンダーがけし、初期引張係数200psi(1.4MPa)を有するクレイトン(登録商標)D1107と呼ぶスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーエラストマーを含浸させる。エラストマーマトリックスは、ファブリック複合体の20重量%である。ファブリック複合体には、各表面に0.0015インチ(38マイクロメートル)厚さの二軸配向性低密度ポリエチレンフィルムを積層する。35枚の正方形を積層ファブリック複合体から切断し、一緒に積層して、個々の正方形を接合するいかなる接続も無しに弾道ターゲットを形成する。ターゲットの面積密度は1.05lb/sq.ft(5.13Kg/sq. m)である。
【0102】
実施例9
実施例3に説明したのと同じ二方向編物を、実施例1に説明したようにカレンダーがけし、初期引張係数200psi(1.4MPa)を有するクレイトン(登録商標)D1107と呼ぶスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーエラストマーを含浸させる。エラストマーマトリックスは、ファブリック複合体の20重量%である。ファブリック複合体には、各表面に0.0015インチ(38マイクロメートル)厚さの二軸配向性低密度ポリエチレンフィルムを積層する。35枚の正方形を積層ファブリック複合体から切断し、一緒に積層して、個々の正方形を接合するいかなる接続も無しに弾道ターゲットを形成する。ターゲットの面積密度は1.02lb/sq.ft(4.98Kg/sq. m)である。
【0103】
実施例10
実施例7に説明したのと同じ多軸ファブリックを、実施例1に説明したようにカレンダーがけし、初期引張係数200psi(1.4MPa)を有するクレイトン(登録商標)D1107と呼ぶスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーエラストマーを含浸させる。エラストマーマトリックスは、ファブリック複合体の20重量%である。ファブリック複合体には、各表面に0.0015インチ(38マイクロメートル)厚さの二軸配向性低密度ポリエチレンフィルムを積層する。
【0104】
正方形を積層ファブリック複合体から切断し、一緒に積層して、個々の正方形を接合するいかなる接続も無しに弾道ターゲットを形成する。ターゲットの面積密度は1.02lb/sq.ft(4.98Kg/sq. m)である。
【0105】
弾道試験
比較例5及び6並びに実施例5〜9において製造したターゲットの防弾性を、国立司法研究所標準NIJ0101.03に従って、クレイバッキング及び9mmフルメタルジャケット型124グレーン(8.0g)弾丸を使用して評価する。ターゲットの面積密度、50%の弾丸がターゲットを貫通できない速度(V50)及びターゲットの比エネルギー吸収(SEAT)を、下記の表IIIに列記する。
【0106】
【表3】

【0107】
本発明の二方向及び多軸ファブリック複合体は、平織ファブリック複合体とクロスプライされた一方向ファブリック複合体との中間の防弾性(SEAT)を有すると予想される。
【0108】
実施例11
本発明の二方向ファブリックを、アメリカン・イワー・モデル A2 180織機上で織る。ファブリックは4つのヤーンの組からなる。第1のヤーン及び第2のヤーンの組は各々、テナシティ35g/d、初期引張係数1150g/d、破断までのエネルギー45J/g、破壊強度45Kg及び3.4%の破断時伸びを有する1300デニールの高配向性高分子量ポリエチレンヤーン(ハネウェル・インターナショナル、Inc.製のスペクトラ(登録商標)1000)からなる。
【0109】
第3のヤーンの組は、第1のヤーンの組を横断して配置され、第1の組のヤーンと交錯し、破壊強度0.2Kg及び45%の破断時伸びを有する100デニールの水溶性ポリビニルアルコールヤーンからなる。第4のヤーンの組は、第2及び第3のヤーンの組を横断して配置され、第2及び第3のヤーンの組のヤーンと交錯し、同じポリビニルアルコールヤーンを含む。ファブリック中の4つのヤーンの組の各々におけるヤーンの間隔は9end/in(3.5end/cm)である。
【0110】
上に述べたように、本発明をかなり十分に詳細に説明したが、このような詳細に厳密に固執する必要は無く、さらなる変更及び修正は当業者には連想され、全ては、付記する請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に含まれることは理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の織布の略図である。
【図2】本発明の編物の略図である。
【図3】本発明の多軸編物の略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第1の平面内にある連続フィラメント一方向ヤーンの第1の組と;
b)前記第1の平面の上の第2の平面内にあり、ヤーンの前記第1の組を横断して配置された連続フィラメント一方向ヤーンの第2の組と;
c)ヤーンの前記第1の組を横断して配置され、ヤーンの前記第1の組と交錯するヤーンの第3の組であって、該第3の組の各ヤーンは、前記第1の組の幾つかのヤーンの上に及び残りのヤーンの下にある第3の組と;
d)ヤーンの前記第2の組及び前記第3の組を横断して配置され、ヤーンの前記第2及び第3の組と交錯するヤーンの第4の組であって、該第4の組の各ヤーンは、ヤーンの前記第2及び第3の組の幾つかのヤーンの上に及び残りのヤーンの下にある第4の組と;
を含む織布において;
ヤーンの前記第1及び第2の組の各々は、ASTM D2256によって測定して、テナシティ約15g/d以上、初期引張係数約400g/d以上及び破断までのエネルギー約22J/g以上を有し;
ヤーンの前記第1及び第2の組の各々は、ヤーンの前記第3及び第4の組の各々を含むヤーンに比例して、少なくとも2倍の破壊強度及び2分の1の破断までの伸びを有する、織布。
【請求項2】
前記第1及び第2の組のヤーンは各々独立して、連続フィラメント高配向性高分子量ポリオレフィン類、アラミド類、ポリベンザゾール類及びこれらのブレンドからなる群から選択される、請求項1に記載の織布。
【請求項3】
ヤーンの前記第1及び第2の組のヤーンは各々独立して、連続フィラメント高配向性高分子量ポリエチレン、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)、ポリ(ベンゾビスオキサゾール)、ポリ(ベンゾビスチアゾール)、ポリ(ベンゾビスイミダゾール)及びこれらのブレンドからなる群から選択される、請求項1に記載の織布。
【請求項4】
前記第3及び第4の組のヤーンは各々独立して、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、酢酸セルロース、木綿、羊毛、及びコポリマー類並びにこれらのブレンドからなる群から選択される、請求項1に記載の織布。
【請求項5】
ヤーンの前記第3及び第4の組のうちの少なくとも1つのヤーンはエラストマー繊維を含む、請求項1に記載の織布。
【請求項6】
ヤーンの前記第3及び第4の組のうちの少なくとも1つのヤーンはステープルファイバーを含む、請求項1に記載の織布。
【請求項7】
ヤーンの前記第1及び第2の組の各々は、ヤーンの前記第3及び第4の組の各々を含むヤーンに比例して、少なくとも3倍の破壊強度及び3分の1の破断までの伸びを有する、請求項1に記載の織布。
【請求項8】
ヤーンの前記第1及び第2の組の各々は、ヤーンの前記第3及び第4の組の各々を含むヤーンに比例して、少なくとも3倍の破壊強度及び10分の1の破断までの伸びを有する、請求項1に記載の織布。
【請求項9】
ヤーンの前記第1、第2、第3、及び第4の組の各々の間隔は独立して、約5end/in(1.97end/cm)〜約50end/in(19.7end/cm)である、請求項1に記載の織布。
【請求項10】
ヤーンの前記第1、第2、第3、及び第4の組の各々の間隔は独立して、約8end/in(3.15end/cm)〜約20end/in(7.87end/cm)である、請求項1に記載の織布。
【請求項11】
前記織布はカレンダーがけされている、請求項1に記載の織布。
【請求項12】
a)第1の平面内にある連続フィラメント一方向ヤーンの第1の組と;
b)前記第1の平面の上の第2の平面内にあり、ヤーンの前記第1の組を横断して配置された連続フィラメント一方向ヤーンの第2の組と;
c)ヤーンの前記第1及び第2の組と交錯するかみ合うループを形成するヤーンの第3の組であって、該第3の組の各ヤーンはヤーンの前記第1の組及び前記第2の組の幾つかのヤーンの上に及び残りのヤーンの下にある第3の組と;
を含む編物において;
前記第1及び第2の組のヤーンは、ASTM D2256によって測定して、テナシティ約15g/d以上、初期引張係数約400g/d以上及び破断までのエネルギー約22J/g以上を有し;
前記第1及び第2の組の各々のヤーンは、ヤーンの前記第3の組を含むヤーンに比例して、少なくとも約2倍の破壊強度及び約2分の1の破断までの伸びを有する、編物。
【請求項13】
a)底平面内の連続フィラメント一方向ヤーンの組と;
b)連続フィラメント一方向ヤーンの組によって各々が規定される前記底平面の上の複数の中間平面と;
c)上部平面内の連続フィラメント一方向ヤーンの組と;
d)かみ合うループを形成する交錯するヤーンの組であって、前記ループは全ての平面内の一方向ヤーンを結合する組と;
を含む編物において;
各前記平面内の一方向ヤーンの組は、隣接する平面内の一方向ヤーンの組に対してある角度で回転しており;
一方向ヤーンの各組のヤーンは、全てASTM D2256によって測定して、テナシティ約15g/d以上、初期引張係数約400g/d以上及び破断までのエネルギー約22J/g以上を有し;
一方向ヤーンの各組のヤーンは、前記交錯するヤーンを含むヤーンに比例して、少なくとも約2倍の破壊強度及び最大約2分の1の破断までの%伸びを有する、編物。
【請求項14】
連続フィラメント一方向ヤーンの前記組の各々は独立して、連続フィラメント高配向性高分子量ポリオレフィン類、アラミド類、ポリベンザゾール類及びこれらのブレンドからなる群から選択される、請求項12または13に記載の編物。
【請求項15】
連続フィラメント一方向ヤーンの前記組の各々は独立して、連続フィラメント高配向性高分子量ポリエチレン、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)、ポリ(ベンゾビスオキサゾール)、ポリ(ベンゾビスチアゾール)、ポリ(ベンゾビスイミダゾール)及びこれらのブレンドからなる群から選択される、請求項12または13に記載の編物。
【請求項16】
ヤーンの前記交錯する組は、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、酢酸セルロース、木綿、羊毛、及びコポリマー類並びにこれらのブレンドからなる群から選択される、請求項12または13に記載の編物。
【請求項17】
ヤーンの前記交錯する組はエラストマー繊維を含む、請求項12または13に記載の編物。
【請求項18】
ヤーンの前記交錯する組はステープルファイバーを含む、請求項12または13に記載の編物。
【請求項19】
連続フィラメント一方向ヤーンの前記組の各々は、ヤーンの前記交錯する組を含むヤーンに比例して、少なくとも3倍の破壊強度及び10分の1の破断までの伸びを有する、請求項12または13に記載の編物。
【請求項20】
連続フィラメント一方向ヤーンの前記組の各々の間隔は独立して、約5end/in(1.97end/cm)〜約50end/in(19.7end/cm)の範囲から選択される、請求項12または13に記載の編物。
【請求項21】
前記範囲は約8end/in(3.15end/cm)〜約20end/in(7.87end/cm)である、請求項12または13に記載の編物。
【請求項22】
前記織布はカレンダーがけされている、請求項12または13に記載の編物。
【請求項23】
ASTM D638によって測定して、初期引張係数約6,000psi(41.3MPa)未満を有するエラストマーマトリックス及び初期引張係数少なくとも約300,000psi(2068MPa)を有する剛性マトリックスからなる群から選択されるマトリックス中に埋込まれた、請求項1に記載の特性を有する織布、請求項12に記載の特性を有する編物、及び請求項13に記載の特性を有する編物からなる群から選択されるファブリックを含むファブリック複合体。
【請求項24】
前記マトリックスは、ASTM D638によって測定して、初期引張係数少なくとも約300,000psi(2068MPa)を有する剛性マトリックスであり、前記ファブリック複合体の1つの表面の少なくとも一部をコーティングしたものは、ASTM D638によって測定して、初期引張係数約6,000psi(41.3MPa)未満を有するエラストマー材料である、請求項23に記載のファブリック複合体。
【請求項25】
前記ファブリックはカレンダーがけされる、請求項23に記載のファブリック複合体。
【請求項26】
前記ファブリック複合体の少なくとも1つの表面の少なくとも一部とプラスチックフィルムが結合する、請求項25に記載のファブリック複合体。
【請求項27】
エラストマーは、前記ファブリックの少なくとも1つの表面の少なくとも一部をコーティングし、前記エラストマーは、ASTM D638によって測定して、初期引張係数約6,000psi(41.3MPa)以下を有し;プラスチックフィルムは、エラストマーコーティング済み表面の少なくとも一部と結合する、請求項25に記載のファブリック複合体。
【請求項28】
前記ファブリック表面のうちの少なくとも1つの少なくとも一部と結合したプラスチックフィルムを有する、請求項11に記載の特性を有するカレンダーがけ織布及び請求項22に記載の特性を有するカレンダーがけ編物からなる群から選択されるファブリックを含むファブリック複合体。
【請求項29】
積層アレイ状の一緒に張り合わせた複数のファブリックシートを含む防弾性物品において、前記ファブリックシートの少なくとも過半数は、請求項1に記載の特性を有する織布、請求項12に記載の特性を有する編物、及び請求項13に記載の特性を有する編物からなる群から選択される、防弾性物品。
【請求項30】
前記ファブリックはカレンダーがけされている、請求項29に記載の防弾性物品。
【請求項31】
前記ファブリックシートの少なくとも一部は、ASTM D638によって測定して、初期引張係数約6,000psi(41.3MPa)未満を有するエラストマーマトリックス及び初期引張係数少なくとも約300,000psi(2068MPa)を有する剛性マトリックスからなる群から選択されるマトリックス中に埋込まれたファブリック複合体シートである、請求項30に記載の防弾性物品。
【請求項32】
前記マトリックスは、ASTM D638によって測定して、初期引張係数少なくとも約300,000psi(2068MPa)を有する剛性マトリックスであり、前記ファブリック複合体シートの1つの表面の少なくとも一部をコーティングしたものは、ASTM D638によって測定して、初期引張係数約6,000psi(41.3MPa)未満を有するエラストマー材料である、請求項31に記載の防弾性物品。
【請求項33】
金属、セラミック、ガラス、金属充填複合体、セラミック充填複合体またはガラス充填複合体からなる群から選択される硬質フェース部材をさらに含む、請求項27〜32のいずれか1項に記載の防弾性物品。
【請求項34】
請求項1に記載の特性を有するファブリックを織る工程と;前記ファブリックのシートを積層アレイ状のプライにする工程と;を含む、防弾性物品の製造方法。
【請求項35】
請求項11に記載の特性を有するファブリックを織る工程と;前記ファブリックのシートを積層アレイ状のプライにする工程と;を含む、防弾性物品の製造方法。
【請求項36】
請求項22に記載の特性を有するファブリックを織る工程と;前記ファブリックのシートを積層アレイ状のプライにする工程と;を含む、防弾性物品の製造方法。
【請求項37】
前記ファブリックシートを接合手段によって一緒に接合する工程をさらに含む、請求項34〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
a)請求項11に記載の特性を有するファブリックを織る工程と;
b)ASTM D638によって測定して、初期引張係数約6,000psi(41.3MPa)未満を有するエラストマー及び初期引張係数少なくとも約300,000psi(2068MPa)を有する剛性樹脂からなる群から選択されるマトリックス中に前記ファブリックを埋込んで、ファブリック複合体を製造する工程と;
d)前記ファブリック複合体のシートを積層アレイ状のプライにする工程と;
e)前記ファブリック複合体の前記シートを一緒に結合し、硬化して、一体化物品を形成する工程と;を含む、防弾性物品の製造方法。
【請求項39】
前記ファブリック複合体のシートを積層アレイ状のプライにする前に、プラスチックシートを、前記ファブリック複合体の1つの表面の少なくとも一部と結合する工程をさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
a)請求項11に記載の特性を有するファブリックを織る工程と;
b)プラスチックフィルムを、前記ファブリック表面のうちの少なくとも1つの少なくとも一部と結合して、ファブリック複合体を製造する工程と;
c)前記ファブリック複合体のシートを積層アレイ状のプライにする工程と;
d)前記ファブリック複合体の前記シートを一緒に結合して、一体化物品を形成する工程と;を含む、防弾性物品の製造方法。
【請求項41】
a)請求項22に記載の特性を有するファブリックを編む工程と;
b)ASTM D638によって測定して、初期引張係数約6,000psi(41.3MPa)未満を有するエラストマー及び初期引張係数少なくとも約300,000psi(2068MPa)を有する剛性樹脂からなる群から選択されるマトリックス中に前記ファブリックを埋込んで、ファブリック複合体を製造する工程と;
c)前記ファブリック複合体のシートを積層アレイ状のプライにする工程と;
d)前記ファブリック複合体の前記シートを一緒に結合し、硬化して、一体化物品を形成する工程と;を含む、防弾性物品の製造方法。
【請求項42】
a)請求項22に記載の特性を有するファブリックを編む工程と;
b)プラスチックフィルムを、前記ファブリック表面のうちの少なくとも1つの少なくとも一部と結合して、ファブリック複合体を製造する工程と;
c)前記ファブリック複合体のシートを積層アレイ状のプライにする工程と;
d)前記ファブリック複合体の前記シートを一緒に結合して、一体化物品を形成する工程と;を含む、防弾性物品の製造方法。
【請求項43】
a)請求項11に記載の特性を有するファブリックを織る工程と;
b)ASTM D638によって測定して、初期引張係数少なくとも約300,000psi(2068MPa)を有する剛性樹脂から本質的になるマトリックス中に前記ファブリックを埋込んで、ファブリック複合体を製造する工程と;
c)ASTM D638によって測定して、引張弾性率約6000psi(41.3MPa)未満を有するエラストマー材料を前記ファブリック複合体の表面に施用して、エラストマーコーティング済みファブリック複合体を製造する工程と;
d)前記エラストマーコーティング済みファブリック複合体のシートを積層アレイ状のプライにする工程と;
e)前記エラストマーコーティング済みファブリック複合体の前記シートを一緒に結合し、硬化して、一体化物品を形成する工程と;を含む、防弾性物品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−515649(P2006−515649A)
【公表日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508829(P2005−508829)
【出願日】平成15年6月5日(2003.6.5)
【国際出願番号】PCT/US2003/017706
【国際公開番号】WO2005/028724
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】