説明

二本鎖RNAの構造および構築物、並びにその作製法および使用法

本発明は、新規の二本鎖RNA(dsRNA)構造およびdsRNA発現構築物、これらを作製するための方法、およびこれらを遺伝子サイレンシングのために利用する方法に関する。望ましくは、これらの方法は、真核細胞、植物、または動物(たとえば、ヒトなどの哺乳動物)の1つまたは複数の標的遺伝子の発現を、毒性を誘導せずに特異的に阻害する。これらの方法は、疾患または感染に関連する遺伝子をサイレンシングすることによって、疾患または感染を予防または治療するために使用することができる。また、本発明は、細胞の機能、遺伝子の発現、または標的ポリペプチドの生物活性などの検出可能な表現型を調整する核酸配列を同定するための方法を提供する。


Notice: Undefined index: DEJ in /mnt/www/gzt_disp.php on line 298

【特許請求の範囲】
【請求項1】
5'から3'の順に、第1の関心対象領域、第1の塩基対形成領域、ループ領域、および第2の塩基対形成領域を含むか、またはコードする核酸分子であって、該第1および第2の塩基対形成領域は互いに塩基対形成される、核酸分子。
【請求項2】
第2の塩基対形成領域の下流に第2の関心対象領域をさらに含み、該第1および第2の関心対象領域は互いに塩基対形成される、請求項1記載の核酸分子。
【請求項3】
第1および第2の関心対象領域の長さが異なる、請求項2記載の核酸分子。
【請求項4】
第1の関心対象領域が、標的遺伝子の領域に対して実質的な同一性を有し、第2の関心対象領域が、該標的遺伝子に対して実質的な相補性を有し、かつ核酸分子が細胞における該標的遺伝子の発現を阻害する、請求項2記載の核酸分子。
【請求項5】
第1の関心対象領域が、2つ以上の標的遺伝子の領域に対して実質的な同一性を有し、第2の関心対象領域が、該2つ以上の標的遺伝子の該領域に対して実質的な相補性を有し、かつ核酸分子が、細胞における該2つ以上の標的遺伝子の発現を阻害する、請求項4記載の核酸分子。
【請求項6】
核酸分子がデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、またはこれらの混合物を含む、請求項1記載の核酸分子。
【請求項7】
標的遺伝子が、疾患もしくは障害、細菌感染、ウイルス感染、酵母感染、または二本鎖リボ核酸(dsRNA)介在毒性に関連する核酸分子であるか、または細菌ポリペプチド、ウイルスポリペプチド、酵母ポリペプチド、疾患もしくは障害に関連するポリペプチド、または二本鎖リボ核酸(dsRNA)介在毒性に関連するポリペプチドをコードする、請求項4記載の核酸分子。
【請求項8】
疾患または障害に関連するポリペプチドが、発癌性ポリペプチドである、請求項7記載の核酸分子。
【請求項9】
dsRNA介在毒性に関連するポリペプチドが、RNA依存性タンパク質キナーゼ(PKR)ポリペプチドまたはインターフェロン反応に関連するポリペプチドである、請求項7記載の核酸分子。
【請求項10】
第1の関心対象領域が少なくとも1〜1000ヌクレオチドである、請求項1〜9のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項11】
第1の関心対象領域が少なくとも1〜400ヌクレオチドである、請求項1〜10のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項12】
第1の関心対象領域が少なくとも1〜300ヌクレオチドである、請求項1〜11のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項13】
第1の関心対象領域が少なくとも1〜200ヌクレオチドである、請求項1〜12のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項14】
第1の関心対象領域が少なくとも1〜100ヌクレオチドである、請求項1〜13のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項15】
第1の関心対象領域が少なくとも1〜50ヌクレオチドである、請求項1〜14のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項16】
第1の関心対象領域が少なくとも19〜26ヌクレオチドである、請求項1〜15のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項17】
第1の関心対象領域が少なくとも15〜25ヌクレオチドである、請求項1〜15のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項18】
第1の関心対象領域が少なくとも5〜15ヌクレオチドである、請求項1〜15のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項19】
第2の関心対象領域が少なくとも1〜1000ヌクレオチドである、請求項2〜18のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項20】
第2の関心対象領域が少なくとも1〜400ヌクレオチドである、請求項2〜19のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項21】
第2の関心対象領域が少なくとも1〜300ヌクレオチドである、請求項2〜20いずれか一項記載の核酸分子。
【請求項22】
第2の関心対象領域が少なくとも1〜200ヌクレオチドである、請求項2〜21のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項23】
第2の関心対象領域が少なくとも1〜100ヌクレオチドである、請求項2〜22のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項24】
第2の関心対象領域が少なくとも1〜50ヌクレオチドである、請求項2〜23のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項25】
第2の関心対象領域が少なくとも19〜26ヌクレオチドである、請求項2〜24のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項26】
第2の関心対象領域が少なくとも15〜25ヌクレオチドである、請求項2〜24のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項27】
第2の関心対象領域が少なくとも5〜15ヌクレオチドである、請求項2〜24のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項28】
第1の塩基対形成領域が少なくとも1〜1000ヌクレオチドである、請求項1〜27のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項29】
第1の塩基対形成領域が少なくとも1〜400ヌクレオチドである、請求項1〜28のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項30】
第1の塩基対形成領域が少なくとも1〜300ヌクレオチドである、請求項1〜29のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項31】
第1の塩基対形成領域が少なくとも1〜200ヌクレオチドである、請求項1〜30いずれか一項記載の核酸分子。
【請求項32】
第1の塩基対形成領域が少なくとも1〜100ヌクレオチドである、請求項1〜31のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項33】
第1の塩基対形成領域が少なくとも1〜50ヌクレオチドである、請求項1〜32のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項34】
第1の塩基対形成領域が少なくとも19〜26ヌクレオチドである、請求項1〜33のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項35】
第1の塩基対形成領域が少なくとも15〜25ヌクレオチドである、請求項1〜33のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項36】
第1の塩基対形成領域が少なくとも5〜15ヌクレオチドである、請求項1〜33のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項37】
第2の塩基対形成領域が少なくとも1〜1000ヌクレオチドである、請求項1〜36のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項38】
第2の塩基対形成領域が少なくとも1〜400ヌクレオチドである、請求項1〜37のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項39】
第2の塩基対形成領域が少なくとも1〜300ヌクレオチドである、請求項1〜38のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項40】
第2の塩基対形成領域が少なくとも1〜200ヌクレオチドである、請求項1〜39のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項41】
第2の塩基対形成領域が少なくとも1〜100ヌクレオチドである、請求項1〜40のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項42】
第2の塩基対形成領域が少なくとも1〜50ヌクレオチドである、請求項1〜41のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項43】
第2の塩基対形成領域が少なくとも19〜26ヌクレオチドである、請求項1〜42のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項44】
第2の塩基対形成領域が少なくとも15〜25ヌクレオチドである、請求項1〜42のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項45】
第2の塩基対形成領域が少なくとも5〜15ヌクレオチドである、請求項1〜42のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項46】
ループ領域が少なくとも1〜1000ヌクレオチドである、請求項1〜45のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項47】
ループ領域が少なくとも1〜400ヌクレオチドである、請求項1〜46のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項48】
ループ領域が少なくとも1〜300ヌクレオチドである、請求項1〜47のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項49】
ループ領域が少なくとも1〜200ヌクレオチドである、請求項1〜48のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項50】
ループ領域が少なくとも1〜100ヌクレオチドである、請求項1〜49のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項51】
ループ領域が少なくとも1〜50ヌクレオチドである、請求項1〜5のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項52】
ループ領域が少なくとも19〜26ヌクレオチドである、請求項1〜51のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項53】
ループ領域が少なくとも15〜25ヌクレオチドである、請求項1〜51のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項54】
ループ領域が少なくとも5〜15ヌクレオチドである、請求項1〜51のいずれか一項記載の核酸分子。
【請求項55】
請求項1記載の核酸分子および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む薬学的組成物。
【請求項56】
請求項1〜54のいずれか一項記載の核酸分子をコードするDNAプラスミド構築物を含む薬学的組成物であって、該核酸分子は、動作可能に該核酸分子に結合されて該核酸分子の転写を可能とするプロモーターを5'末端に含み、かつ該核酸分子は、5'から3'の順に、第1の関心対象領域、第1の塩基対形成領域、ループ領域、および第2の塩基対形成領域をコードし、該第1および第2の塩基対形成領域は互いに塩基対形成されており、かつ該核酸分子の転写によりRNAヘアピンを産生する、薬学的組成物。
【請求項57】
請求項1〜54のいずれか一項記載の核酸分子で形質転換された宿主細胞において該核酸分子を転写する段階を含む、RNAヘアピンを作製するための方法であって、該核酸分子は、動作可能に該核酸分子に結合されて該核酸分子の転写を可能とするプロモーターを5'末端に含み、かつ該核酸分子は、5'から3'の順に、第1の関心対象領域、第1の塩基対形成領域、ループ領域、および第2の塩基対形成領域をコードし、該第1および第2の塩基対形成領域は互いに塩基対形成されており、かつ該核酸分子の転写によりRNAヘアピンを産生する、方法。
【請求項58】
核酸分子が、第2の塩基対形成領域の下流に第2の関心対象領域をさらにコードし、該第1および第2の関心対象領域は互いに塩基対形成される、請求項57記載の方法。
【請求項59】
第1の関心対象領域を含むRNAヘアピンの5'末端および第2の関心対象領域を含むRNAヘアピンの3'末端が、部分的に重複して、非重複領域を有する部分的なRNAヘアピンを形成し、該第1の関心対象領域の5'末端は、該第2の関心対象領域の3'末端を越えて伸びている、請求項58記載の方法。
【請求項60】
第1の関心対象領域を含むRNAヘアピンの5'末端および第2の関心対象領域を含むRNAヘアピンの3'末端が、部分的に重複して、非重複領域を有する部分的なRNAヘアピンを形成し、該第2の関心対象領域の3'末端は、該第1の関心対象領域の5'末端を越えて伸びている、請求項58記載の方法。
【請求項61】
部分的なRNAヘアピンの非重複領域が、RNA依存性RNAポリメラーゼによってインビボで伸長される、請求項59記載の方法。
【請求項62】
RNA依存性RNAポリメラーゼが、宿主細胞に対して内因性である、請求項61記載の方法。
【請求項63】
RNA依存性RNAポリメラーゼが、宿主細胞に対して外因性であり、かつ該宿主細胞に提供される、請求項61記載の方法。
【請求項64】
細胞における標的遺伝子の発現を阻害する必要がある被験者に対して、RNAヘアピンを含むかまたはコードする請求項1〜54のいずれか一項記載の核酸分子を投与する段階を含む、細胞における標的遺伝子の発現を阻害するための方法であって、該RNAヘアピンは、5'から3'の順に、第1の関心対象領域、第1の塩基対形成領域、ループ領域、第2の塩基対形成領域、および第2の関心対象領域を含み、該第1および第2の塩基対形成領域は互いに塩基対形成されており、かつ該投与により、該核酸分子を投与していない被験者における標的遺伝子の発現と比較して、標的遺伝子の発現を阻害または減少させる、方法。
【請求項65】
第1および第2の関心対象領域の長さが同じかまたは異なる、請求項64記載の方法。
【請求項66】
第1の関心対象領域を含むRNAヘアピンの5'末端および第2の関心対象領域を含むRNAヘアピンの3'末端が、部分的に重複して、非重複領域を有する部分的なRNAヘアピンを形成し、該第1の関心対象領域の5'末端は、該第2の関心対象領域の3'末端を越えて伸びている、請求項65記載の方法。
【請求項67】
第1の関心対象領域を含むRNAヘアピンの5'末端および第2の関心対象領域を含むRNAヘアピンの3'末端が、部分的に重複して、非重複領域を有する部分的なRNAヘアピンを形成し、該第2の関心対象領域の3'末端は、該第1の関心対象領域の5'末端を越えて伸びている、請求項65記載の方法。
【請求項68】
部分的なRNAヘアピンの非重複領域が、RNA依存性RNAポリメラーゼによってインビボで伸長される、請求項66記載の方法。
【請求項69】
RNA依存性RNAポリメラーゼが、宿主細胞に対して内因性である、請求項68記載の方法。
【請求項70】
RNA依存性RNAポリメラーゼが、宿主細胞に対して外因性であり、かつ該宿主細胞に提供される、請求項68記載の方法。
【請求項71】
第1の関心対象領域が、標的遺伝子の領域に対して実質的な同一性を有し、第2の関心対象領域が、該標的遺伝子に対して実質的な相補性を有し、かつ核酸分子が、被験者の細胞における該標的遺伝子の発現を阻害する、請求項64記載の方法。
【請求項72】
第1の関心対象領域が、2つ以上の標的遺伝子の領域に対して実質的な同一性を有し、第2の関心対象領域が、該2つ以上の標的遺伝子の該領域に対して実質的な相補性を有し、かつ核酸分子が、被験者の細胞における該2つ以上の標的遺伝子の発現を阻害する、請求項71記載の方法。
【請求項73】
標的遺伝子が、疾患もしくは障害、細菌感染、ウイルス感染、酵母感染、または二本鎖リボ核酸(dsRNA)介在毒性に関連する核酸分子であるか、または細菌ポリペプチド、ウイルスポリペプチド、酵母ポリペプチド、疾患もしくは障害に関連するポリペプチド、または二本鎖リボ核酸(dsRNA)介在毒性に関連するポリペプチドをコードする、請求項71記載の方法。
【請求項74】
疾患または障害に関連するポリペプチドが発癌性ポリペプチドである、請求項73記載の方法。
【請求項75】
dsRNA介在毒性に関連するポリペプチドが、RNA依存性タンパク質キナーゼ(PKR)ポリペプチドまたはインターフェロン反応に関連するポリペプチドである、請求項73記載の方法。
【請求項76】
感染を治療または予防する必要がある被験者に対して、RNAヘアピンを含むかまたはコードする請求項1〜54のいずれか一項記載の核酸分子を投与する段階を含む、感染を治療または予防するための方法であって、該RNAヘアピンは、5'から3'の順に、第1の関心対象領域、第1の塩基対形成領域、ループ領域、第2の塩基対形成領域、および第2の関心対象領域を含み、該第1および第2の塩基対形成領域は互いに塩基対形成されており、かつ該投与により、該核酸分子を投与していない被験者における標的遺伝子の発現と比較して、標的遺伝子の発現を阻害または減少させ、該標的遺伝子は、該被験者における細菌、ウイルス、または酵母の感染、複製、病原性、または生存のために必要とされるポリペプチドをコードする細菌、ウイルス、または酵母の遺伝子である、方法。
【請求項77】
第1および第2の関心対象領域の長さが同じかまたは異なる、請求項76記載の方法。
【請求項78】
第1の関心対象領域を含むRNAヘアピンの5'末端および第2の関心対象領域を含むRNAヘアピンの3'末端が、部分的に重複して、非重複領域を有する部分的なRNAヘアピンを形成し、該第1の関心対象領域の5'末端は、該第2の関心対象領域の3'末端を越えて伸びている、請求項77記載の方法。
【請求項79】
第1の関心対象領域を含むRNAヘアピンの5'末端および第2の関心対象領域を含むRNAヘアピンの3'末端が、部分的に重複して、非重複領域を有する部分的なRNAヘアピンを形成し、該第2の関心対象領域の3'末端は、該第1の関心対象領域の5'末端を越えて伸びている、請求項77記載の方法。
【請求項80】
部分的なRNAヘアピンの非重複領域が、RNA依存性RNAポリメラーゼによってインビボで伸長される、請求項78記載の方法。
【請求項81】
RNA依存性RNAポリメラーゼが、宿主細胞に対して内因性である、請求項80記載の方法。
【請求項82】
該RNA依存性RNAポリメラーゼが、宿主細胞に対して外因性であり、かつ該宿主細胞に提供される、請求項80記載の方法。
【請求項83】
第1の関心対象領域が、標的遺伝子の領域に対して実質的な同一性を有し、第2の関心対象領域が、該標的遺伝子に対して実質的な相補性を有し、かつ核酸分子が、被験者の細胞における該標的遺伝子の発現を阻害する、請求項76記載の方法。
【請求項84】
第1の関心対象領域が、2つ以上の標的遺伝子の領域に対して実質的な同一性を有し、第2の関心対象領域が、該2つ以上の標的遺伝子の該領域に対して実質的な相補性を有し、かつ核酸分子が、被験者の細胞における該2つ以上の標的遺伝子の発現を阻害する、請求項83記載の方法。
【請求項85】
感染を治療または予防する必要がある被験者に対して、RNAヘアピンを含むかまたはコードする第2の核酸分子を投与する段階をさらに含む、請求項76記載の方法であって、該第2のRNAヘアピンは、5'から3'の順に、第1の関心対象領域、第1の塩基対形成領域、ループ領域、第2の塩基対形成領域、および第2の関心対象領域を含み、該第1および第2の塩基対形成領域は互いに塩基対形成されており、かつ該投与により、該核酸分子を投与していない被験者における第2の標的遺伝子の発現と比較して、第2の標的遺伝子の発現を阻害または減少させ、該第2の標的遺伝子は、二本鎖のリボ核酸(dsRNA)介在毒性に関連するポリペプチドをコードする、方法。
【請求項86】
dsRNA介在毒性に関連するポリペプチドが、RNA依存性タンパク質キナーゼ(PKR)ポリペプチドまたはインターフェロン反応に関連するポリペプチドである、請求項85記載の方法。
【請求項87】
第2の核酸分子の第1の関心対象領域が、RNA依存性タンパク質キナーゼ(PKR)ポリペプチドまたはインターフェロン反応に関連するポリペプチドの領域に対して実質的な同一性を有し、かつ該第2の核酸分子の第2の関心対象領域が、RNA依存性タンパク質キナーゼ(PKR)ポリペプチドまたはインターフェロン反応に関連するポリペプチドの該領域に対して実質的な相補性を有する、請求項86記載の方法。
【請求項88】
癌を治療または予防する必要がある被験者に対して、RNAヘアピンを含むかまたはコードする核酸分子の有効量を投与する段階を含む、癌を治療または予防するための方法であって、該RNAヘアピンは、5'から3'の順に、第1の関心対象領域、第1の塩基対形成領域、ループ領域、第2の塩基対形成領域、および第2の関心対象領域を含み、該第1および第2の塩基対形成領域は互いに塩基対形成されており、かつ該投与により、該核酸分子を投与していない被験者における標的遺伝子の発現と比較して、標的遺伝子の発現を阻害または減少させ、かつ該標的遺伝子は、発癌性細胞の増殖、維持、または生存のために必要とされるポリペプチドをコードする方法。
【請求項89】
第1および第2の関心対象領域の長さが同じかまたは異なる、請求項88記載の方法。
【請求項90】
第1の関心対象領域を含むRNAヘアピンの5'末端および第2の関心対象領域を含むRNAヘアピンの3'末端が、部分的に重複して、非重複領域を有する部分的なRNAヘアピンを形成し、該第1の関心対象領域の5'末端は、該第2の関心対象領域の3'末端を越えて伸びている、請求項89記載の方法。
【請求項91】
第1の関心対象領域を含むRNAヘアピンの5'末端および第2の関心対象領域を含むRNAヘアピンの3'末端が、部分的に重複して、非重複領域を有する部分的なRNAヘアピンを形成し、該第2の関心対象領域の3'末端は、該第1の関心対象領域の5'末端を越えて伸びている、請求項88記載の方法。
【請求項92】
部分的なRNAヘアピンの非重複領域が、RNA依存性RNAポリメラーゼによってインビボで伸長される、請求項90記載の方法。
【請求項93】
RNA依存性RNAポリメラーゼが、宿主細胞に対して内因性である、請求項92記載の方法。
【請求項94】
RNA依存性RNAポリメラーゼが、宿主細胞に対して外因性であり、かつ該宿主細胞に提供される、請求項92記載の方法。
【請求項95】
第1の関心対象領域が、標的遺伝子の領域に対して実質的な同一性を有し、第2の関心対象領域が、該標的遺伝子に対して実質的な相補性を有し、かつ核酸分子が、被験者の細胞における該標的遺伝子の発現を阻害する、請求項88記載の方法。
【請求項96】
第1の関心対象領域が、2つ以上の標的遺伝子の領域に対して実質的な同一性を有し、第2の関心対象領域が、該2つ以上の標的遺伝子の該領域に対して実質的な相補性を有し、かつ核酸分子が、被験者の細胞における該2つ以上の標的遺伝子の発現を阻害する、請求項95記載の方法。
【請求項97】
癌を治療または予防する必要がある被験者に対して、第2のRNAヘアピンを含むかまたはコードする第2の核酸分子を投与する段階をさらに含む、請求項88記載の方法であって、該第2のRNAヘアピンは、5'から3'の順に、第1の関心対象領域、第1の塩基対形成領域、ループ領域、第2の塩基対形成領域、および第2の関心対象領域を含み、該第1および第2の塩基対形成領域は互いに塩基対形成されており、かつ該投与により、該核酸分子を投与していない被験者における第2の標的遺伝子の発現と比較して、第2の標的遺伝子の発現を阻害または減少させ、該第2の標的遺伝子は、二本鎖のリボ核酸(dsRNA)介在毒性に関連するポリペプチドをコードする、方法。
【請求項98】
dsRNA介在毒性に関連するポリペプチドが、RNA依存性タンパク質キナーゼ(PKR)ポリペプチドまたはインターフェロン反応に関連するポリペプチドである、請求項97記載の方法。
【請求項99】
第2の核酸分子の第1の関心対象領域が、RNA依存性タンパク質キナーゼ(PKR)ポリペプチドまたはインターフェロン反応に関連するポリペプチドの領域に対して実質的な同一性を有し、かつ該第2の核酸分子の第2の関心対象領域が、RNA依存性タンパク質キナーゼ(PKR)ポリペプチドまたはインターフェロン反応に関連するポリペプチドの該領域に対して実質的な相補性を有する、請求項98記載の方法。
【請求項100】
動物に請求項1〜54のいずれか一項記載の核酸分子を提供する第1の薬剤を、動物に導入する段階を含む、動物における疾患、障害、または感染を治療、安定化、または予防するための方法であって、該核酸分子の第1の関心対象領域は、該疾患、障害、または感染に関連する標的核酸の領域に対して実質的な配列同一性を有し、かつ特異的に該標的核酸分子の発現を阻害する、方法。
【請求項101】
標的核酸分子が病原体に関連する、請求項100記載の方法。
【請求項102】
病原体がウイルス、細菌、酵母、または感染因子である、請求項101記載の方法。
【請求項103】
以下の段階を含む、細胞の検出可能な表現型を調整する核酸分子を同定するための方法:
(a)dsRNA発現ライブラリーで細胞集団を形質転換する段階、ここで該ライブラリーは、請求項1〜54のいずれか一項記載の複数の核酸分子を含み、該複数の核酸分子の第1の関心対象領域は、細胞の検出可能な表現型を調整する該核酸分子に対して実質的な同一性を有する配列を含み;かつ該細胞集団の少なくとも2つの細胞は、それぞれ、該dsRNA発現ライブラリーとは異なる核酸分子で形質転換される、段階;および
(b)該検出可能な表現型の調整についてアッセイする段階、ここで該調整により、該表現型に関連する核酸分子を同定する、段階。
【請求項104】
検出可能な表現型の調整は、細胞の機能の調整、ポリペプチドの生物活性の調整、または標的核酸分子の発現の調整である、請求項103記載の方法。
【請求項105】
以下の段階をさらに含む、請求項103記載の方法:
(c)核酸分子を増幅し、かつ該増幅された核酸分子をシーケンスすることによって、細胞の検出可能な表現型を調整する核酸分子を同定する段階。
【請求項106】
dsRNA発現ライブラリーが、細胞に由来するcDNAを含む、請求項103記載の方法。
【請求項107】
宿主細胞の第1の下流コード配列に動作可能に結合されてそのコード配列の発現に有効であるプロモーターを含むdsRNA発現構築物を含む、RNAヘアピン合成用のキットであって、該第1の下流コード配列は、5'から3'の順に、該プロモーターの下流の第1のマルチクローニングサイト(MCS)、第1の塩基対形成領域、ループ領域、第2の塩基対形成領域、および第2のMCSを含み、該第1のMCSに挿入された第1の関心対象領域および該第2のMCSに挿入された第2の関心対象領域は、該プロモーターによって転写され、該第1の下流コード配列の転写後に、該第1および第2の塩基対形成領域は互いに塩基対形成される、キット。
【請求項108】
キットがリボ核酸(RNA)依存性RNAポリメラーゼをさらに含む、請求項107記載のキット。
【請求項109】
宿主細胞のRNA依存性RNAポリメラーゼに動作可能に結合されてそのRNA依存性RNAポリメラーゼの発現に有効であるプロモーターを含む第2のdsRNA発現構築物をさらに含む、請求項107記載のキット。
【請求項110】
第2の下流コード配列に動作可能に結合されてそのコード配列の発現に有効である第2のプロモーターを、2シストロン性であるdsRNA発現構築物にさらに含み、第2の下流コード配列は、第1の下流コード配列と同時発現するRNA依存性RNAポリメラーゼを含む、請求項107記載のキット。
【請求項111】
DNAプラスミド構築物が、選択可能な薬剤耐性マーカーをさらに含む、請求項107記載のキット。
【請求項112】
選択可能な薬剤耐性マーカーが、ゼオマイシン、カナマイシン、アミノ配糖体、テトラサイクリン、アンピシリン、またはハイグロマイシン薬剤耐性遺伝子である、請求項111記載のキット。
【請求項113】
dsRNA発現構築物がDNAプラスミド構築物を含む、請求項107記載のキット。
【請求項114】
第2のdsRNA発現構築物がDNAプラスミド構築物を含む、請求項109記載のキット。
【請求項115】
5'から3'の順に、第1の関心対象領域、第1の塩基対形成領域、ループ領域、および第2の塩基対形成領域を含むかまたはコードする核酸分子の、標的遺伝子の発現を阻害するための薬剤、感染を治療もしくは予防するための薬剤、または癌を治療もしくは予防するための薬剤を製造するための使用であって、該第1および第2の塩基対形成領域は互いに塩基対形成される、使用。
【請求項116】
核酸分子が第2の関心対象領域をさらに含む、請求項115記載の使用であって、第1の関心対象領域は、標的遺伝子の領域に対して実質的な同一性を有し、第2の関心対象領域は、該標的遺伝子に対して実質的な相補性を有し、かつ核酸分子は、細胞における該標的遺伝子の発現を阻害する、使用。

【公表番号】特表2006−500012(P2006−500012A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−524259(P2004−524259)
【出願日】平成15年7月31日(2003.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2003/024028
【国際公開番号】WO2004/011624
【国際公開日】平成16年2月5日(2004.2.5)
【出願人】(504412026)ヌクレオニクス インコーポレーティッド (2)
【Fターム(参考)】