説明

二次元画像コード、コード領域を含む領域を特定する方法、コード領域を含む領域を特定するプログラム、コード領域を含む領域を特定する装置

【課題】コード内容を識別せずに、コード領域を含む領域を特定する。
【解決手段】二次元画像コードは、明度が高い色と明度が高い色に比べて明度が低い色の2色でデータセルが表現されたコードを有するコード領域10aと、コード領域の周囲に設けられ明度が低い色に比べて明度が高い色で構成された高明度領域10bを備え、コード領域と高明度領域は、QRコード(登録商標)を構成し、コード領域は、特定形状領域10dを有し、特定形状領域は、データセルの最小単位よりも大きく、特定形状領域の明度の平均値は、コード領域における特定形状領域を除く領域の明度の平均値よりも10%以上高い、若しくは、特定形状領域の明度の平均値は、コード領域における特定形状領域を除く領域の明度の平均値よりも10%以上低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次元画像コード等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のように、二次元画像コードなどの対象物を特定し、特定した情報に基づいて、合成画像を表示する装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−82107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、対象物を特定する際に、対象物の内容(コード内容など)を識別するシステムを使用すると、処理速度が遅くなる。
【0005】
したがって本発明の目的は、コード内容を識別せずに、コード領域を含む領域を特定することが出来る二次元画像コードなどを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコード領域を含む領域を特定する方法は、明度が高い色と明度が高い色に比べて明度が低い色の少なくとも2色でデータセルが表現されたコードを有するコード領域と、コード領域の周囲に設けられ明度が低い色に比べて明度が高い色で構成された高明度領域を備え、コード領域と高明度領域は、QRコードを構成し、コード領域は、特定位置に特定形状領域を有し、特定形状領域は、データセルの最小単位よりも大きく、特定形状領域の明度の平均値は、コード領域における特定形状領域を除く領域の明度の平均値よりも10%以上高い、若しくは、特定形状領域の明度の平均値は、コード領域における特定形状領域を除く領域の明度の平均値よりも10%以上低い二次元画像コードを含む撮影対象物を撮像する撮像工程と、撮像工程で得られた画像上における特定形状領域を含む領域を特定する特定工程とを備える。
【0007】
コード領域の特定形状領域以外の領域は、全領域で、明度が高い色と明度が低い色が混在するため、画像パターンの特定においては、周囲の高明度領域に相当する部分を除いて、他の領域に比べて突出して明度が高い領域が特定形状領域であると認識出来る。なお、特定形状領域が、明度が低い色で構成された場合には、画像パターンの特定において、他の領域に比べて突出して明度が低い領域が特定形状領域であると認識出来る。特定形状領域を含む領域を特定する工程には、コード領域のコード内容まで識別する処理を必要としないため、かかる識別処理を必要とする場合に比べて、コード領域を含む領域を特定する処理を速く出来るメリットがある。
【0008】
なお、高明度領域の幅を上下か左右の一対で異ならしめ、かかる幅の違いから、コード領域を含む領域の向きを特定する形態も考えられる。ただし、この場合には、高明度領域の略中央から外れた位置にコード領域が配置されるため、見た目のバランスが悪い。本発明では、高明度領域の略中央にコード領域を配置することが出来るため、かかる問題は生じない。
【0009】
また、コード領域における特定形状領域を除く領域と、特定形状領域とを区別出来る限り(特定形状領域を含む領域の特定に影響を及ぼさない限り)、特定形状領域は、一色の構成に限定されるものではなく、明度の平均値が他の領域と比べて10%明るい方か暗い方に突出していれば、特定形状領域を含む領域を特定することが出来る。
【0010】
好ましくは、特定工程において、特定形状領域を含む領域を特定することにより、コード領域と高明度領域を含む領域の向き、若しくはコード領域の向きが特定される。
【0011】
撮像で得られた画像の中から、特定形状領域を含む領域を特定することにより、コード領域の画像パターンからコード領域(またはコード領域と高明度領域を含む領域)の向きを特定するため、特定形状領域が設けられていないコード領域の画像パターンからコード領域(またはコード領域と高明度領域を含む領域)の向きを特定する形態に比べて、向きを特定する処理を速く出来るメリットがある。
【0012】
また、好ましくは、特定形状領域は、明度が高い色と同じかそれ以上に明度が高い色、若しくは、明度が低い色と同じかそれ以上に明度が低い色のいずれかの一色で構成される。
【0013】
また、好ましくは、高明度領域の周りに設けられ、高明度領域を構成する色に比べて明度が低い色で構成される低明度領域を更に備える。
【0014】
高明度領域の周囲に低明度領域が設けられている場合には、高明度領域と低明度領域との境界が明確になっているので、コード領域の外側の四角形領域(高明度領域と低明度領域の境界)を特定することが可能になる。
【0015】
また、好ましくは、特定形状領域は、矩形形状を有し、特定位置は、コード領域の中心近傍から離れた位置である。
【0016】
また、好ましくは、特定形状領域は、矩形形状を有し、特定位置は、コード領域の外形の一部と接する位置である。
【0017】
特定形状領域を目立ちにくく出来るメリットがある。
【0018】
また、好ましくは、特定形状領域は、コード内容に対応したコード領域のデータセルが形成された後に、コード領域の上の特定位置に上書きすることにより形成される。
【0019】
特定形状領域の存在を考慮せず、コード領域のデータセルを形成することが可能になる。
【0020】
また、好ましくは、コード領域における特定位置に特定形状領域が配置され、特定位置以外でコード内容を表現するようにコード領域のデータセルが形成される。
【0021】
コード内容の読み取り時にエラーになる可能性を低くすることが可能になる。
【0022】
本発明に係るコード領域を含む領域を特定するプログラムは、明度が高い色と明度が高い色に比べて明度が低い色の少なくとも2色でデータセルが表現されたコードを有するコード領域と、コード領域の周囲に設けられ明度が低い色に比べて明度が高い色で構成された高明度領域を備え、コード領域と高明度領域は、QRコードを構成し、コード領域は、特定位置に特定形状領域を有し、特定形状領域は、データセルの最小単位よりも大きく、特定形状領域の明度の平均値は、コード領域における特定形状領域を除く領域の明度の平均値よりも10%以上高い、若しくは、特定形状領域の明度の平均値は、コード領域における特定形状領域を除く領域の明度の平均値よりも10%以上低い二次元画像コードを含む撮影対象物を撮像する撮像工程と、撮像工程で得られた画像上における特定形状領域を含む領域を特定する特定工程とを実行する。
【0023】
本発明に係るコード領域を含む領域を特定する装置は、明度が高い色と明度が高い色に比べて明度が低い色の少なくとも2色でデータセルが表現されたコードを有するコード領域と、コード領域の周囲に設けられ明度が低い色に比べて明度が高い色で構成された高明度領域を備え、コード領域と高明度領域は、QRコードを構成し、コード領域は、特定位置に特定形状領域を有し、特定形状領域は、データセルの最小単位よりも大きく、特定形状領域の明度の平均値は、コード領域における特定形状領域を除く領域の明度の平均値よりも10%以上高い、若しくは、特定形状領域の明度の平均値は、コード領域における特定形状領域を除く領域の明度の平均値よりも10%以上低い二次元画像コードを含む撮影対象物を撮像する撮像部と、撮像部で得られた画像上における特定形状領域を含む領域を特定する特定工程を実行する画像処理部とを備える。
【0024】
本発明に係るコード領域を含む領域を特定する方法は、輝度が高い色と輝度が高い色に比べて輝度が低い色の少なくとも2色でデータセルが表現されたコードを有するコード領域と、コード領域の周囲に設けられ輝度が低い色に比べて輝度が高い色で構成された高輝度領域を備え、コード領域と高輝度領域は、QRコードを構成し、コード領域は、特定位置に特定形状領域を有し、特定形状領域は、データセルの最小単位よりも大きく、特定形状領域の輝度の平均値は、コード領域における特定形状領域を除く領域の輝度の平均値よりも10%以上高い、若しくは、特定形状領域の輝度の平均値は、コード領域における特定形状領域を除く領域の輝度の平均値よりも10%以上低い二次元画像コードを含む撮影対象物を撮像する撮像工程と、撮像工程で得られた画像上における特定形状領域を含む領域を特定する特定工程とを備える。
【0025】
本発明に係るコード領域を含む領域を特定するプログラムは、輝度が高い色と輝度が高い色に比べて輝度が低い色の少なくとも2色でデータセルが表現されたコードを有するコード領域と、コード領域の周囲に設けられ輝度が低い色に比べて輝度が高い色で構成された高輝度領域を備え、コード領域と高輝度領域は、QRコードを構成し、コード領域は、特定位置に特定形状領域を有し、特定形状領域は、データセルの最小単位よりも大きく、特定形状領域の輝度の平均値は、コード領域における特定形状領域を除く領域の輝度の平均値よりも10%以上高い、若しくは、特定形状領域の輝度の平均値は、コード領域における特定形状領域を除く領域の輝度の平均値よりも10%以上低い二次元画像コードを含む撮影対象物を撮像する撮像工程と、撮像工程で得られた画像上における特定形状領域を含む領域を特定する特定工程とを実行する。
【0026】
本発明に係るコード領域を含む領域を特定する装置は、輝度が高い色と輝度が高い色に比べて輝度が低い色の少なくとも2色でデータセルが表現されたコードを有するコード領域と、コード領域の周囲に設けられ輝度が低い色に比べて輝度が高い色で構成された高輝度領域を備え、コード領域と高輝度領域は、QRコードを構成し、コード領域は、特定位置に特定形状領域を有し、特定形状領域は、データセルの最小単位よりも大きく、特定形状領域の輝度の平均値は、コード領域における特定形状領域を除く領域の輝度の平均値よりも10%以上高い、若しくは、特定形状領域の輝度の平均値は、コード領域における特定形状領域を除く領域の輝度の平均値よりも10%以上低い二次元画像コードを含む撮影対象物を撮像する撮像部と、撮像部で得られた画像上における特定形状領域を含む領域を特定する特定工程を実行する画像処理部とを備える。
【0027】
本発明に係る二次元画像コードは、明度が高い色と明度が高い色に比べて明度が低い色の少なくとも2色でデータセルが表現されたコードを有するコード領域と、コード領域の周囲に設けられ明度が低い色に比べて明度が高い色で構成された高明度領域を備え、コード領域と高明度領域は、QRコードを構成し、コード領域は、特定位置に特定形状領域を有し、特定形状領域は、データセルの最小単位よりも大きく、特定形状領域の明度の平均値は、コード領域における特定形状領域を除く領域の明度の平均値よりも10%以上高い、若しくは、特定形状領域の明度の平均値は、コード領域における特定形状領域を除く領域の明度の平均値よりも10%以上低い。
【0028】
本発明に係る二次元画像コードは、輝度が高い色と輝度が高い色に比べて輝度が低い色の少なくとも2色でデータセルが表現されたコードを有するコード領域と、コード領域の周囲に設けられ輝度が低い色に比べて輝度が高い色で構成された高輝度領域を備え、コード領域と高輝度領域は、QRコードを構成し、コード領域は、特定位置に特定形状領域を有し、特定形状領域は、データセルの最小単位よりも大きく、特定形状領域の輝度の平均値は、コード領域における特定形状領域を除く領域の輝度の平均値よりも10%以上高い、若しくは、特定形状領域の輝度の平均値は、コード領域における特定形状領域を除く領域の輝度の平均値よりも10%以上低い。
【発明の効果】
【0029】
以上のように本発明によれば、コード内容を識別せずに、コード領域を特定することが出来る二次元画像コードなどを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】コード領域の周囲に高明度領域が設けられ、高明度領域の周囲に低明度領域が設けられた撮影対象物の構成図である。
【図2】コード領域の周囲に高明度領域が設けられ、高明度領域の周囲に低明度領域が設けられない撮影対象物の構成図である。
【図3】撮像装置の構成図である。
【図4】コード領域等を追尾する動作手順を示すフローチャートである。
【図5】コード領域の周囲に高明度領域が設けられ、高明度領域の周囲に低明度領域が設けられた撮影対象物の構成図であって、特定形状領域がコード領域の外形接する位置に設けられたものを示す図である。
【図6】特定形状領域に文字が含まれるコード領域の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本実施形態におけるコード追尾システムの構成について、図を用いて説明する。本実施形態に係るコード追尾システムは、撮影対象物10、撮像装置20を備える(図1〜図3参照)。
【0032】
撮影対象物10は、明度が高い色(例えば白色)と明度が低い色(例えば黒色)の2色でデータセルが表現された二次元画像コードを示す矩形形状の領域(コード領域10a)を含む印刷物であるが、二次元画像コードを示す領域(コード領域10a)を含む画像がモニター上に表示された物であってもよい。なお、図1、図2、図5、図6に示される二次元画像コードは、二次元画像コードの具体的な図を表すために使用するが、コード内容は本実施形態と関係するものではない。
【0033】
コード領域10aの周囲には、コード領域10aのデータセルを構成する2色のうち明度が低い方の色よりも明度が高い色(例えば白色)で構成され枠形状を有する高明度領域10bが設けられ、高明度領域10bの周囲には、高明度領域10bを構成する色よりも明度が低い色(例えば黒色)で構成された低明度領域10cが設けられる(図1参照)。コード領域10aと、高明度領域10bとは、QRコード(登録商標)を構成する。QRコード(登録商標)では、コード領域10aの全領域(後述する特定形状領域10dを除く)で、明度が低い色と明度が高い色とが混在する。
【0034】
低明度領域10cの外形は特に限定される形状はなく、矩形形状や円形形状など他の形状であってもよい。
【0035】
高明度領域10bの色と、コード領域10aのデータセルを構成する2色のうち明度が高い色とは、同じ色(例えば白色)であってもよいし、異なる色であってもよい。
【0036】
低明度領域10cの色と、コード領域10aのデータセルを構成する2色のうち明度が低い色とは、同じ色(例えば黒色)であってもよいし、異なる色であってもよい。
【0037】
コード領域10aを含む撮影対象物10は、高明度領域10bと低明度領域10cとの境界が明確になっている物(図1参照)もあれば、高明度領域10bが枠形状でない場合や、低明度領域10cが無い場合など、高明度領域10bと低明度領域10cとの境界が明確になっていない物(図2参照)も考えられる。
【0038】
コード領域10aの特定位置には、データセルの最小単位よりも大きな特定形状領域10dが設けられる。特定形状領域10dは、明度が高い色(例えば白色)の一色若しくは明度が低い色(例えば黒色)の一色で構成された矩形形状を有し、コード領域10aの外形の内側に設けられる。特定形状領域10dはコード領域10aを含む領域の向きを特定するため(それによって撮像により得られた画像上のコード領域10aを含む領域を追尾するため)に使用されるため、特定しやすいように、特定形状領域10dの位置(特定位置)は、コード領域10aの中心近傍から離れた位置に設けられるのが望ましい。
【0039】
特定形状領域10dは、コード領域10aのデータセルを構成する二色のうち明度が高い色と同じかそれ以上に明度が高い色、若しくは、データセルを構成する二色のうち明度が低い色と同じかそれ以上に明度が低い色のいずれか一色で構成される(本実施形態では、明度が高い白色で構成される)。
【0040】
コード領域10a、若しくはコード領域10aと高明度領域10bを含む領域の画像パターンを特定する際に、特定形状領域10dを含む領域がコード領域10aの他の部分と明確に区別出来るように、特定形状領域10dのコード領域10aや高明度領域10bに対する位置関係や特定形状領域10dの形状や大きさが決定されるのが望ましい。
【0041】
例えば、画像パターン特定において、コード領域10a、若しくはコード領域10aと高明度領域10bを含む領域が分割された領域の幾つかが特定形状領域10dに対応する領域になるように、特定形状領域10dのコード領域10aや高明度領域10bに対する位置関係や特定形状領域10dの形状や大きさが決定される。特定形状領域10dは、画像パターン特定において分割された領域よりも大きく、分割された領域は、データセルの最小単位よりも大きい。
【0042】
また、コード領域10aの四隅のうちの3カ所に設けられた位置検出パターン(切り出しシンボル)の領域と重複しないように、特定形状領域10dの位置(特定位置)が決定される。本実施形態では、特定形状領域10dが、四隅のうちの位置検出パターンが設けられない箇所に配置され、位置検出パターンと同程度の大きさの正方形形状を有するものとして説明する。
【0043】
特定形状領域10dは、コード内容に対応したコード領域10aのデータセルが形成された後に、コード領域10aの上の特定位置に上書き(マスキング)することにより形成される。この場合には、特定形状領域10dの存在を考慮せず、コード領域10aのデータセルを形成することが可能になる。
【0044】
QRコード(登録商標)では、コード領域10aの一部が汚れなどによって読み取り出来ない場合でも、コード領域10aに記載されたコード内容を読み取ることが出来る。このため、特定位置に上書きして特定形状領域10dをコード領域10aに設ける場合には、特定形状領域10dに起因してかかるコード内容の読み取りがエラーにならない程度に特定形状領域10dの大きさを決定する必要がある。これにより、既存のQRコード(登録商標)のコード領域10aにおける特定位置をマスキングして特定形状領域10dを形成することが出来る。
【0045】
ただし、上書きに代えて、コード領域10aにおける特定位置に特定形状領域10dが配置されるように、かかる特定位置は、明度が高い色と同じかそれ以上に明度が高い色、若しくは、明度が低い色と同じかそれ以上に明度が低い色のいずれかで構成され、特定位置以外でコード内容を表現するように、コード領域10aのデータセルが形成される形態であってもよい。この場合には、コード領域10aのデータセルを形成する演算処理は複雑になるが、コード内容の読み取り時にエラーになる可能性を低くすることが可能になる。
【0046】
コード領域10aの一部に特定形状領域10dが含まれるように新しい規格の二次元画像コードを用意すれば、特定形状領域10dに基づいて、二次元画像コード(の向き)を特定することが可能になるかもしれないが、既に市場に広く出回っているQRコード(登録商標)を活用することは出来ない。これに対して、本実施形態では、既存のQRコード(登録商標)の仕様を活用することが出来るため、新しい規格の二次元画像コードを用意して普及させる必要はない。
【0047】
撮像装置(コード領域特定装置)20は、例えば、カメラ付きの携帯電話などである(図3参照)。操作部21は、テンキーなどの入力手段であるが、タッチパネルのように、操作部21と表示部24が一体となった形態であってもよい。記録部22には、コード領域10aの位置などに対応して画面上に重畳する立体画像が記録されたり、コード領域10a等を追尾するコード領域を含む領域を特定するプログラムがインストールされたりする。
【0048】
画像処理部23は、DSPなど、演算処理を行う装置で、撮像部25で得られた画像信号の画像処理や、撮像部25で得られた画像信号に基づく画像上のコード領域10a(またはコード領域10aと高明度領域10bを含む領域)の位置などの特定(第1探索工程、第2探索工程、特定工程)を行う。
【0049】
表示部24は、撮像部25で得られた画像信号に基づく画像を表示し、画像処理部23が画像上のコード領域10a(またはコード領域10aと高明度領域10bを含む領域)を特定した場合には、かかる画像の上に立体画像を重畳して表示する。撮像部25は、撮影対象物10を撮像するカメラである。制御部29は、CPUなど、各部の制御を行う。
【0050】
撮像装置20は、撮影対象物10を撮像し、撮像により得られた画像上のコード領域10aまたはコード領域10aと高明度領域10bを含む領域を特定(コード領域10aまたはコード領域10aと高明度領域10bを含む領域の位置、大きさ、変形度合い、向きを特定)する動作を一定時間(例えば、1/30秒)ごとに行うことにより、コード領域10aまたはコード領域10aと高明度領域10bを含む領域を追尾する。
【0051】
コード領域10aまたはコード領域10aと高明度領域10bを含む領域を追尾する動作手順について、図4のフローチャートを用いて、説明する。使用者が、撮像装置20の操作部21を操作し、コード領域10a等を追尾する動作を開始させることにより、コード領域を含む領域を特定するプログラムが起動し、制御部29が撮像部25など各部を制御し、ステップS11〜S15の動作が、一定時間(例えば1/30秒)ごとに行われる(撮像工程などが実行される)。
【0052】
ステップS11で、撮像部25は、撮影対象部10を撮像する(撮像工程)。撮像工程で得られた撮影対象物10の画像は、画像処理部23で画像処理が施され、表示部24に表示される(ライブビュー表示)。
【0053】
ステップ12で、画像処理部23は、前回のステップS15の第2探索工程でコード領域10aの外形を特定出来たか否かを判断する。前回のステップS15の第2探索工程でコード領域10aの外形を特定出来た場合には、コード領域10aを追尾するため、ステップS15に進められる。前回のステップS15の第2探索工程でコード領域10aの外形を特定出来なかった場合には、新しく高明度領域10bの外形を探索するため、ステップS13に進められる。前回のステップS13の第1探索工程で、高明度色で構成された略正方形形状の枠(高明度領域10bの外形)を特定出来た場合には、コード領域10aと高明度領域10bを含む領域を追尾するため、ステップS13に進められる。
【0054】
ステップS13で、画像処理部23は、撮像工程で得られた撮影対象物10の画像上に、高明度色で構成された直線で略正方形(又は略矩形)が形成されている領域があるか否かを判断する。すなわち、高明度色で構成された略正方形形状の枠(高明度領域10bの外形)を探索する(第1探索工程)。
【0055】
具体的には、第1探索工程では、高明度領域10bと低明度領域10cとの境界に高明度色で形成された直線を探索する。なお、図2のように、高明度領域10bが枠形状でない場合や、低明度領域10cが無い場合には、高明度色で形成された直線を見つけることが出来ないため、高明度色で構成された略正方形形状の枠(高明度領域10bの外形)を特定することは出来ない。
【0056】
第1探索工程で、高明度色で構成された直線で略正方形(又は略矩形)が形成されている領域を特定出来た場合、ステップS14で、画像処理部23は、高明度色で構成された直線で略正方形(又は略矩形)が形成されている領域の内側領域(コード領域10aと高明度領域10bを含む領域)を特定する(特定工程)。
【0057】
ステップS13の後に行われるステップS14の特定工程では、表示部24に表示された画像上におけるコード領域10aと高明度領域10bを含む領域の位置、大きさ、変形度合い、向きを特定し、撮像装置20と実際の撮影対象物10のコード領域10aと高明度領域10bを含む領域との位置関係を把握する。コード領域10aと高明度領域10bを含む領域の変形度合いは、撮像装置20と実際の撮影対象物10との位置関係に起因するもので、コード領域10aと高明度領域10bを含む領域の本来の形状(正方形若しくは矩形)に比べた変形度合いを示す。コード領域10aと高明度領域10bを含む領域の向きは、コード領域10aと高明度領域10bを含む領域における特定の部位の画面上における向き(例えば、画面上におけるコード領域10aと高明度領域10bを含む領域の中心からかかる領域の外形を構成する辺の1つへの方向)を示し、コード領域10aと高明度領域10bを含む領域の画像パターンにより、特定される。
【0058】
コード領域10aと高明度領域10bを含む領域の向きは、かかる領域の画像パターンにおける特定形状領域10dの位置に基づいて特定することが出来る。特定形状領域10dの形状や大きさや、特定形状領域10dのコード領域10aに対する位置関係が予め定められているため、画像パターンから、特定形状領域10dを含む領域を特定することが出来る。
【0059】
例えば、本実施形態のように、特定形状領域10dが、明度が高い色で構成された矩形である場合には、画像パターンの中から、周囲の高明度領域10bに相当する部分を除いて、明度が高い色の矩形領域が含まれる領域に特定形状領域10dがあると判断することが出来る。
【0060】
コード領域10aの特定形状領域10d以外の領域は、全領域で、明度が高い色と明度が低い色が混在するため、画像パターンの特定においては、周囲の高明度領域10bに相当する部分を除いて、他の領域に比べて突出して明度が高い領域が特定形状領域10dであると認識出来る。なお、特定形状領域10dが、明度が低い色の一色で構成された場合には、画像パターンの特定において、他の領域に比べて突出して明度が低い領域が特定形状領域10dであると認識出来る。特定形状領域10dを含む領域を特定する工程には、コード領域10aのコード内容まで識別する処理を必要としないため、かかる識別処理を必要とする場合に比べて、コード領域10aと高明度領域10bを含む領域を特定する処理を速く出来るメリットがある。
【0061】
なお、撮像装置20と実際の撮影対象物10上のコード領域10aと高明度領域10bを含む領域との相対的な位置関係まで特定する必要はなく、表示部24上に表示された画像上におけるコード領域10aと高明度領域10bを含む領域の位置などを特定するだけで良い。
【0062】
画像パターンは、コード領域10aに記載されたコード内容を読み取る必要はなく、コード領域10aと高明度領域10bを含む領域の向きを特定するために、明度が高い色と明度が低い色の配列パターンを大まかに特定する。例えば、コード領域10aと高明度領域10bを含む領域を16分割(他の分割数でもよい)し、16分割された領域ごとの明度を特定する。また、他の画像パターンのマッチング処理で、画像パターンを特定する形態であってもよい。このため、バーコードリーダーのように、コード領域10aに記載されたコード内容を読み取りする処理(後述するコード読み取り工程)に比べて早く処理を行うことが出来る。
【0063】
16分割(他の分割数でもよい)など、コード領域10aと高明度領域10bを含む領域を複数の領域に分け、それぞれの領域の明度などで、画像パターンを特定する場合には、分割された領域の中で、周囲の高明度領域10bに相当する部分を除いて、明度が突出した領域(本実施形態では高い明度の領域)を特定し、かかる領域に特定形状領域10dがあると判断する。
【0064】
第1探索工程で、高明度色で構成された直線で略正方形(又は略矩形)が形成されている領域を特定できなかった場合は、ステップS15に進められる。ステップS15で、画像処理部23は、撮像工程で得られた撮影対象物10の画像上に、低明度色で構成された直線で略正方形(又は略矩形)が形成されている領域があるか否かを判断する。すなわち、明度が高い色と明度が低い色の2色でデータセルが表現された二次元画像コード(コード領域10a)の外形を探索する(第2探索工程)。
【0065】
具体的には、第2探索工程では、コード領域10aと高明度領域10bとの境界に低明度色で形成された直線を探索する。
【0066】
コード領域10aは、明度が高い色と明度が低い色の配列で構成されるため、コード領域10aと高明度領域10bとの境界は、低明度色だけで構成されるとは限らず、低明度色と高明度色が入り交じっており、低明度色だけで形成された直線にならないことが考えられる。このため、かかる低明度色の直線の探索では、低明度色だけで形成された直線だけでなく、低明度色の直線上に高明度色の点が混じっているもの(低明度色の点が直線上に並んでいるもの)も含めて低明度色で形成された直線として探索する。
【0067】
第2探索工程で、低明度色で構成された直線で略正方形(又は略矩形)が形成されている領域を特定出来た場合、ステップS14で、画像処理部23は、低明度色で構成された直線で略正方形(又は略矩形)が形成されている領域の内側領域(コード領域10a)を特定する(特定工程)。
【0068】
ステップS15の後に行われるステップS14の特定工程では、表示部24に表示された画像上におけるコード領域10aの位置、大きさ、変形度合い、向きを特定し、撮像装置20と実際の撮影対象物10のコード領域10aとの位置関係を把握する。コード領域10aの変形度合いは、撮像装置20と実際の撮影対象物10との位置関係に起因するもので、画像上におけるコード領域10aの本来の形状(正方形若しくは矩形)に比べた変形度合いを示す。コード領域10aの向きは、コード領域10aにおける特定の部位の画面上における向き(例えば、画面上におけるコード領域10aの中心からコード領域10aの外形を構成する辺の1つへの方向)を示し、コード領域10aの画像パターンにより、特定される。
【0069】
コード領域10aの向きは、かかる領域の画像パターンにおける特定形状領域10dの位置に基づいて特定することが出来る。特定形状領域10dの形状や大きさや、特定形状領域10dのコード領域10aに対する位置関係が予め定められているため、画像パターンから、特定形状領域10dを含む領域を特定することが出来る。
【0070】
例えば、本実施形態のように、特定形状領域10dが、明度が高い色で構成された矩形である場合には、画像パターンの中から、明度が高い色の矩形領域が含まれる領域に特定形状領域10dがあると判断することが出来る。
【0071】
コード領域10aの特定形状領域10d以外の領域は、全領域で、明度が高い色と明度が低い色が混在するため、画像パターンの特定においては、他の領域に比べて突出して明度が高い領域が特定形状領域10dであると認識出来る。なお、特定形状領域10dが、明度が低い色の一色で構成された場合には、画像パターンの特定において、他の領域に比べて突出して明度が低い領域が特定形状領域10dであると認識出来る。特定形状領域10dを含む領域を特定する工程には、コード領域10aのコード内容まで識別する処理を必要としないため、かかる識別処理を必要とする場合に比べて、コード領域10aを特定する処理を速く出来るメリットがある。
【0072】
なお、撮像装置20と実際の撮影対象物10上のコード領域10aとの相対的な位置関係まで特定する必要はなく、表示部24上に表示された画像上におけるコード領域10aの位置などを特定するだけで良い。
【0073】
画像パターンは、コード領域10aに記載されたコード内容を読み取る必要はなく、コード領域10aの向きを特定するために、明度が高い色と明度が低い色の配列パターンを大まかに特定する。例えば、コード領域10aを16分割(他の分割数でもよい)し、16分割された領域ごとの明度を特定する。また、他の画像パターンのマッチング処理で、画像パターンを特定する形態であってもよい。
【0074】
16分割(他の分割数でもよい)など、コード領域10aを複数の領域に分け、それぞれの領域の明度などで、画像パターンを特定する場合には、分割された領域の中で、明度が突出した領域(本実施形態では高い明度の領域)を特定し、かかる領域に特定形状領域10dがあると判断する。
【0075】
第2探索工程で、低明度色で構成された直線で略正方形(又は略矩形)が形成されている領域を特定出来なかった場合、画像処理部23は、手順を終了し、一定時間経過後に、ステップS11に戻り、撮像工程等を行う。すなわち、第1探索工程と第2探索工程のいずれかで、コード領域10aの外側の四角形領域を探索し、いずれかの探索工程でかかる四角形領域が見つかった場合には、その内側にコード領域10aがあると判断して、特定工程を行い、かかる内側領域の画像パターン等を特定する。
【0076】
撮像工程、第1探索工程と第2探索工程の少なくとも一方を、一定時間ごとに行うことにより、画像上におけるコード領域10a(またはコード領域10aと高明度領域10bを含む領域)の位置、大きさ、変形度合い、向きを特定し、コード領域10a(またはコード領域10aと高明度領域10bを含む領域)を追尾することが可能になる。第1探索工程で、コード領域10aと高明度領域10bを含む領域が特定出来た場合には、引き続き高明度領域10bの外形を探索し、コード領域10aと高明度領域10bを含む領域を追尾する。第2探索工程で、コード領域10aを特定出来た場合には、引き続きコード領域10aの外形を探索し、コード領域10aを追尾する。
【0077】
特に、撮像で得られた画像の中から、特定形状領域10dを含む領域を特定することにより、コード領域10aの画像パターンからコード領域10a(またはコード領域10aと高明度領域10bを含む領域)の向きを特定するため、特定形状領域10dが設けられていないコード領域10aの画像パターンからコード領域10a(またはコード領域10aと高明度領域10bを含む領域)の向きを特定する形態に比べて、高い精度で向きを特定し、追尾を続けることが可能になる。
【0078】
追尾出来れば、コード領域10a(またはコード領域10aと高明度領域10bを含む領域)の位置、大きさ、変形度合い、向きなどに関連して、撮像により得られ表示部24に表示された撮影対象物10の画像上に、画像処理部23が、立体画像などを重畳することも可能になる(重畳工程)。特に、コード領域10a(またはコード領域10aと高明度領域10bを含む領域)の位置などに対応して、立体画像の位置、大きさ、変形度合い、向きなどを変化させて重畳することが可能になる。
【0079】
立体画像は、撮像装置20の記録部22に予め記録しておいたものを使用する形態であってもよいし、第1探索工程や第2探索工程の為の撮像工程を行う前に、撮像部25を使ってコード領域10aに含まれるURL情報を読み取り(コード読み取り工程)、かかるURL情報から立体画像に関連したコンテンツをダウンロードし記録部22に記録したものを使用する形態であってもよい。なお、特定工程では、コードの内容まで読み取る必要はなく、コード領域10a(またはコード領域10aと高明度領域10bを含む領域)の向きなどが特定出来るだけで良いため。このため、コード領域10a(またはコード領域10aと高明度領域10bを含む領域)の画像パターンの特定は、コード読み取り工程よりも画像解析処理の負荷が小さいメリットがある。
【0080】
コード領域10aの外側の四角形の外形(第1探索工程における高明度領域10bと低明度領域10cの境界にある高明度色で構成された四角形の外形、若しくは、第2探索工程におけるコード領域10aと高明度領域10bの境界にある低明度色で構成された四角形の外形)を探索する処理や、特定工程におけるコード領域10aと高明度領域10bを含む領域またはコード領域10aを特定する処理は、コード領域10aのコード内容まで識別する処理を必要としないため、かかる識別処理を必要とする場合に比べて、コード領域10a(またはコード領域10aと高明度領域10bを含む領域)を特定する処理を速く出来るメリットがある。
【0081】
特に、撮像で得られた画像の中から、特定形状領域10dを含む領域を特定することにより、コード領域10aの画像パターンからコード領域10a(またはコード領域10aと高明度領域10bを含む領域)の向きを特定するため、特定形状領域10dが設けられていないコード領域10aの画像パターンからコード領域10a(またはコード領域10aと高明度領域10bを含む領域)の向きを特定する形態に比べて、向きを特定する処理精度を高く出来るメリットがある。
【0082】
なお、高明度領域10bの幅を上下か左右の一対で異ならしめ、かかる幅の違いから、コード領域10aを含む領域の向きを特定する形態も考えられる。ただし、この場合には、高明度領域10bの略中央から外れた位置にコード領域10aが配置されるため、見た目のバランスが悪い。本実施形態では、高明度領域10bの略中央にコード領域10aを配置することが出来るため、かかる問題は生じない。
【0083】
コード領域10aの周囲は、通常、白色などの明度が高い色の領域(高明度領域10b)が設けられる。但し、高明度領域10bの周囲に、図1のように黒色などの明度が低い領域(低明度領域10c)が設けられる場合もあるし、図2のように設けられない場合も考えられる。
【0084】
高明度領域10bの周囲に低明度領域10cが設けられている場合には、高明度領域10bと低明度領域10cとの境界が明確になっているので、第1探索工程で、コード領域10aの外側の四角形領域(高明度領域10bと低明度領域10cの境界)を特定することが可能になる。ただし、総ての高明度領域10bの周囲に低明度領域10cが設けられているとは限らないし、高明度領域10bと低明度領域10cの境界が矩形であるとも限らない。
【0085】
高明度領域10bの周囲に低明度領域10cが設けられていない場合には、高明度領域10bと低明度領域10cとの境界が明確になっていないので、第1探索工程では、コード領域10aの外側の四角形領域(高明度領域10bと低明度領域10cの境界)を特定することは出来ない。
【0086】
また、高明度領域10bが枠形状でない(外形が矩形でない)場合にも、第1探索工程では、コード領域10aの外側の四角形領域(高明度領域10bと低明度領域10cの境界)を特定することは出来ない。
【0087】
但し、いずれの場合も、第2探索工程で、コード領域10aの外側の四角形領域(コード領域10aと高明度領域10bの境界)を特定することは出来る。
【0088】
コード領域10aと高明度領域10bとの境界における低明度色で形成された四角形の直線は、低明度色だけで形成されたものだけでなく、低明度色の直線上に高明度色の点が混じっているものも含まれるため、高明度領域10bと低明度領域10cとの境界における高明度色で形成された四角形の直線に比べると、探索精度が低くなる可能性があるが、コード領域10aの周囲は大抵の場合高明度領域10bが設けられているし、高明度領域10bの外形形状の制限が無いため、汎用性は高い。
【0089】
このため、第1探索工程と第2探索工程を行う本実施形態では、高明度領域10bの周囲に低明度領域10cが設けられている場合も、設けられていない場合も、コード領域10aの外側の四角形の外形を特定し、コード領域10a(またはコード領域10aと高明度領域10bを含む領域)を追尾することが可能になる。
【0090】
なお、第1探索工程で、コード領域10aを含む高明度領域10bの外形を探索した後、特定工程でコード領域10aと高明度領域10bを含む領域を特定する形態に代え、さらに、内側にあるコード領域10aを探索した後に、特定工程でコード領域10aを特定する形態であってもよい。この場合には、1つ探索工程が増えるが、第1探索工程の後の特定工程でも第2探索工程の後の特定工程でも同じコード領域10aの追尾が出来るメリットがある。
【0091】
また、第2探索工程で、コード領域10aの外形を探索した後、特定工程でコード領域10aを特定する形態に代え、特定工程でコード領域10aとその周りの一定範囲にある高明度領域10bを含む領域を特定する形態であってもよい。この場合も、第1探索工程の後の特定工程でも第2探索工程の後の特定工程でもほぼ同じコード領域10aと高明度領域10bを含む領域の追尾が出来るメリットがある。
【0092】
また、特定形状領域10dがコード領域10aの外形(高明度領域10bとの境界線)よりも内側にある形態(図1、図2参照)を説明したが、特定形状領域10dが、コード領域10aの外形の一部と接する形態(特定形状領域10dによって、コード領域10aの一部が切り欠きされた状態)であってもよい(図5参照)。この場合、第2探索工程において、コード領域10aの外形と想定される直線上に高明度色(若しくは低明度色)の割合が多くなるため、コード領域10aの外形を特定することは困難になるが、特定形状領域10dを目立ちにくく出来るメリットがある。
【0093】
また、追尾のために、コード領域10aや、コード領域10aを含む領域を特定するのは、第1探索工程や第2探索工程のような外形を探索する形態に限るものではない。例えば、コード領域10aの外形を形成する矩形の頂点(特徴点)を探索する形態や、コード領域10aの四隅のうちの3カ所に設けられた位置検出パターンを撮像で得られた画像の中から探索し、これらの情報からコード領域10aを含む領域を特定することも考えられる。ただし、コード領域10a(またはコード領域10aと高明度領域10bを含む領域)の向きの特定は、画像パターンから特定形状領域10dを含む領域を特定する処理の方が、処理が単純であり、高精度且つ高速に行うことが可能になる。
【0094】
また、コード領域10aを含む領域は、明度が高い色(例えば白色)と明度が低い色(例えば黒色)の2色でデータセルが表現された二次元画像コードであるとして説明したが、データセルを構成する色は、バーコードリーダー等によって、コード領域10aに記載されたコード内容を読み取りする処理が可能である限り、3色以上で構成される形態であってもよい。第1探索工程、第2探索工程や特定工程では、コード領域10aに記載されたコード内容の読み取りまでは行われないため、データセルを構成する色の数が、これらの工程に影響を及ぼす可能性は低い。
【0095】
また、特定形状領域10dは、特定工程において、特定形状領域10dを含む領域を特定しやすいように、矩形形状であることが望ましいが、矩形以外の形状で構成される形態であってもよい。
【0096】
また、本実施形態では、明度(RGB各チャンネルの最大値)の違いで色領域を区別する形態を説明したが、輝度(RGB値の加重平均)の違いで色領域を区別する形態であってもよい。この場合には、コード領域10aは、輝度が高い色と該輝度が高い色に比べて輝度が低い色の2色でデータセルが表現されたコードを有するものになり、高明度領域10bが高輝度領域10bに、低明度領域10cが低輝度領域10cになり、通常画像処理工程の中で算出される画素ごとの輝度信号に基づいて、第1探索工程や第2探索工程が行われる。特定形状領域10dは、データセルを構成する輝度が高い色と同じかそれ以上に輝度が高い色、若しくは、データセルを構成する輝度が低い色と同じかそれ以上に輝度が低い色のいずれか一色で構成される。
【0097】
また、特定形状領域10dは、明度(又は輝度)が高い色と同じかそれ以上に明度(又は輝度)が高い色、若しくは、明度(又は輝度)が低い色と同じかそれ以上に明度(又は輝度)が低い色の一色で構成される形態を説明したが、特定工程において、コード領域10aにおける特定形状領域10dを除く領域と、特定形状領域10dとを区別出来る限り(特定形状領域10dを含む領域の特定に影響を及ぼさない限り)、特定形状領域10dがかかる一色に他の色が混在した構成であってもよい(図6参照)。
【0098】
例えば、特定形状領域の明度(又は輝度)の平均値は、コード領域10aにおける特定形状領域10dを除く領域の明度(又は輝度)の平均値よりも10%以上高い(白色に近い)、若しくは、特定形状領域10dの明度(又は輝度)の平均値は、コード領域10aにおける特定形状領域10dを除く領域の明度(又は輝度)の平均値よりも10%以上低い(黒色に近い)ものが考えられる。明度(又は輝度)の平均値の差異が10%以上あれば、画像処理部23は、特定形状領域10dを含む領域をコード領域10aの他の領域と区別して認識することが可能になるからである。
【0099】
この場合には、特定形状領域10dの領域に、文字やイラストやグラデーションなどを含めても、明度(又は輝度)の平均値が他の領域と比べて10%明るい方か暗い方に突出していれば、特定形状領域10dを含む領域を特定することが可能になる。但し、誤動作を防止するため、特定形状領域10dの明度(又は輝度)の平均値と、コード領域10aにおける特定形状領域10dを除く領域の明度(又は輝度)の平均値との差異が大きくなるように、特定形状領域10dの色が設定されるのが望ましい。図6は、特定形状領域10dの領域の一部に、「QaR」という文字を、異なる色(黒色)で表記したものを示す。
【符号の説明】
【0100】
10 撮影対象物
10a コード領域
10b 高明度領域(高輝度領域)
10c 低明度領域(低輝度領域)
10d 特定形状領域
20 撮像装置
21 操作部
22 記録部
23 画像処理部
24 表示部
25 撮像部
29 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明度が高い色と前記明度が高い色に比べて明度が低い色の少なくとも2色でデータセルが表現されたコードを有するコード領域と、前記コード領域の周囲に設けられ前記明度が低い色に比べて明度が高い色で構成された高明度領域を備え、前記コード領域と前記高明度領域は、QRコードを構成し、前記コード領域は、特定位置に特定形状領域を有し、前記特定形状領域は、前記データセルの最小単位よりも大きく、前記特定形状領域の明度の平均値は、前記コード領域における前記特定形状領域を除く領域の明度の平均値よりも10%以上高い、若しくは、前記特定形状領域の明度の平均値は、前記コード領域における前記特定形状領域を除く領域の明度の平均値よりも10%以上低い二次元画像コードを含む撮影対象物を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程で得られた画像上における前記特定形状領域を含む領域を特定する特定工程とを備えることを特徴とするコード領域を含む領域を特定する方法。
【請求項2】
前記特定工程において、前記特定形状領域を含む領域を特定することにより、前記コード領域と前記高明度領域を含む領域の向き、若しくは前記コード領域の向きが特定されることを特徴とする請求項1に記載のコード領域を含む領域を特定する方法。
【請求項3】
前記特定形状領域は、前記明度が高い色と同じかそれ以上に明度が高い色、若しくは、前記明度が低い色と同じかそれ以上に明度が低い色のいずれかの一色で構成されることを特徴とする請求項1に記載のコード領域を含む領域を特定する方法。
【請求項4】
前記高明度領域の周りに設けられ、前記高明度領域を構成する色に比べて明度が低い色で構成される低明度領域を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のコード領域を含む領域を特定する方法。
【請求項5】
前記特定形状領域は、矩形形状を有し、
前記特定位置は、前記コード領域の中心近傍から離れた位置であることを特徴とする請求項1に記載のコード領域を含む領域を特定する方法。
【請求項6】
前記特定形状領域は、矩形形状を有し、
前記特定位置は、前記コード領域の外形の一部と接する位置であることを特徴とする請求項1に記載のコード領域を含む領域を特定する方法。
【請求項7】
前記特定形状領域は、コード内容に対応した前記コード領域のデータセルが形成された後に、前記コード領域の上の前記特定位置に上書きすることにより形成されることを特徴とする請求項1に記載のコード領域を含む領域を特定する方法。
【請求項8】
前記コード領域における前記特定位置に前記特定形状領域が配置され、前記特定位置以外でコード内容を表現するように前記コード領域のデータセルが形成されることを特徴とする請求項1に記載のコード領域を含む領域を特定する方法。
【請求項9】
明度が高い色と前記明度が高い色に比べて明度が低い色の少なくとも2色でデータセルが表現されたコードを有するコード領域と、前記コード領域の周囲に設けられ前記明度が低い色に比べて明度が高い色で構成された高明度領域を備え、前記コード領域と前記高明度領域は、QRコードを構成し、前記コード領域は、特定位置に特定形状領域を有し、前記特定形状領域は、前記データセルの最小単位よりも大きく、前記特定形状領域の明度の平均値は、前記コード領域における前記特定形状領域を除く領域の明度の平均値よりも10%以上高い、若しくは、前記特定形状領域の明度の平均値は、前記コード領域における前記特定形状領域を除く領域の明度の平均値よりも10%以上低い二次元画像コードを含む撮影対象物を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程で得られた画像上における前記特定形状領域を含む領域を特定する特定工程とを実行することを特徴とするコード領域を含む領域を特定するプログラム。
【請求項10】
明度が高い色と前記明度が高い色に比べて明度が低い色の少なくとも2色でデータセルが表現されたコードを有するコード領域と、前記コード領域の周囲に設けられ前記明度が低い色に比べて明度が高い色で構成された高明度領域を備え、前記コード領域と前記高明度領域は、QRコードを構成し、前記コード領域は、特定位置に特定形状領域を有し、前記特定形状領域は、前記データセルの最小単位よりも大きく、前記特定形状領域の明度の平均値は、前記コード領域における前記特定形状領域を除く領域の明度の平均値よりも10%以上高い、若しくは、前記特定形状領域の明度の平均値は、前記コード領域における前記特定形状領域を除く領域の明度の平均値よりも10%以上低い二次元画像コードを含む撮影対象物を撮像する撮像部と、
前記撮像部で得られた画像上における前記特定形状領域を含む領域を特定する特定工程を実行する画像処理部とを備えることを特徴とするコード領域を含む領域を特定する装置。
【請求項11】
輝度が高い色と前記輝度が高い色に比べて輝度が低い色の少なくとも2色でデータセルが表現されたコードを有するコード領域と、前記コード領域の周囲に設けられ前記輝度が低い色に比べて輝度が高い色で構成された高輝度領域を備え、前記コード領域と前記高輝度領域は、QRコードを構成し、前記コード領域は、特定位置に特定形状領域を有し、前記特定形状領域は、前記データセルの最小単位よりも大きく、前記特定形状領域の輝度の平均値は、前記コード領域における前記特定形状領域を除く領域の輝度の平均値よりも10%以上高い、若しくは、前記特定形状領域の輝度の平均値は、前記コード領域における前記特定形状領域を除く領域の輝度の平均値よりも10%以上低い二次元画像コードを含む撮影対象物を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程で得られた画像上における前記特定形状領域を含む領域を特定する特定工程とを備えることを特徴とするコード領域を含む領域を特定する方法。
【請求項12】
輝度が高い色と前記輝度が高い色に比べて輝度が低い色の少なくとも2色でデータセルが表現されたコードを有するコード領域と、前記コード領域の周囲に設けられ前記輝度が低い色に比べて輝度が高い色で構成された高輝度領域を備え、前記コード領域と前記高輝度領域は、QRコードを構成し、前記コード領域は、特定位置に特定形状領域を有し、前記特定形状領域は、前記データセルの最小単位よりも大きく、前記特定形状領域の輝度の平均値は、前記コード領域における前記特定形状領域を除く領域の輝度の平均値よりも10%以上高い、若しくは、前記特定形状領域の輝度の平均値は、前記コード領域における前記特定形状領域を除く領域の輝度の平均値よりも10%以上低い二次元画像コードを含む撮影対象物を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程で得られた画像上における前記特定形状領域を含む領域を特定する特定工程とを実行することを特徴とするコード領域を含む領域を特定するプログラム。
【請求項13】
輝度が高い色と前記輝度が高い色に比べて輝度が低い色の少なくとも2色でデータセルが表現されたコードを有するコード領域と、前記コード領域の周囲に設けられ前記輝度が低い色に比べて輝度が高い色で構成された高輝度領域を備え、前記コード領域と前記高輝度領域は、QRコードを構成し、前記コード領域は、特定位置に特定形状領域を有し、前記特定形状領域は、前記データセルの最小単位よりも大きく、前記特定形状領域の輝度の平均値は、前記コード領域における前記特定形状領域を除く領域の輝度の平均値よりも10%以上高い、若しくは、前記特定形状領域の輝度の平均値は、前記コード領域における前記特定形状領域を除く領域の輝度の平均値よりも10%以上低い二次元画像コードを含む撮影対象物を撮像する撮像部と、
前記撮像部で得られた画像上における前記特定形状領域を含む領域を特定する特定工程を実行する画像処理部とを備えることを特徴とするコード領域を含む領域を特定する装置。
【請求項14】
明度が高い色と前記明度が高い色に比べて明度が低い色の少なくとも2色でデータセルが表現されたコードを有するコード領域と、
前記コード領域の周囲に設けられ前記明度が低い色に比べて明度が高い色で構成された高明度領域を備え、
前記コード領域と前記高明度領域は、QRコードを構成し、
前記コード領域は、特定位置に特定形状領域を有し、
前記特定形状領域は、前記データセルの最小単位よりも大きく、
前記特定形状領域の明度の平均値は、前記コード領域における前記特定形状領域を除く領域の明度の平均値よりも10%以上高い、若しくは、前記特定形状領域の明度の平均値は、前記コード領域における前記特定形状領域を除く領域の明度の平均値よりも10%以上低いことを特徴とする二次元画像コード。
【請求項15】
輝度が高い色と前記輝度が高い色に比べて輝度が低い色の少なくとも2色でデータセルが表現されたコードを有するコード領域と、
前記コード領域の周囲に設けられ前記輝度が低い色に比べて輝度が高い色で構成された高輝度領域を備え、
前記コード領域と前記高輝度領域は、QRコードを構成し、
前記コード領域は、特定位置に特定形状領域を有し、
前記特定形状領域は、前記データセルの最小単位よりも大きく、前記特定形状領域の輝度の平均値は、前記コード領域における前記特定形状領域を除く領域の輝度の平均値よりも10%以上高い、若しくは、前記特定形状領域の輝度の平均値は、前記コード領域における前記特定形状領域を除く領域の輝度の平均値よりも10%以上低いことを特徴とする二次元画像コード。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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