説明

二次電池、二次電池の温調装置および車両

【課題】省スペース化を図るとともに効率的な温調を実現することができる二次電池、二次電池の温調装置および車両を提供する。
【解決手段】第1列セル間接続用導電部材群Gr1は、バスバー61,63,65,67を有し、隣接する電池セルの端子同士を電気的に接続する。第2列セル間接続用導電部材群Gr2は、バスバー60,62,64,66を有し、隣接する電池セルの端子同士を電気的に接続する。第1の温調ダクト30は、第1列セル間接続用導電部材群Gr1の周囲を囲む態様でかつ第1列セル間接続用導電部材群Gr1の延設方向に配置され、温調用流体が通過可能である。第2の温調ダクト40は、第2列セル間接続用導電部材群Gr2の周囲を囲む態様でかつ第2列セル間接続用導電部材群Gr2の延設方向に配置され、温調用流体が通過可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池、二次電池の温調装置および車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において蓄電装置の冷却構造が開示されており、複数の蓄電素子を積層した蓄電モジュールと、蓄電素子間に形成される第1の冷媒通路と、蓄電モジュールの外部に設けられ、蓄電モジュールの外面のうち蓄電素子の端子が位置する側の第1の外面に沿って形成される第2の冷媒通路と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−252473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、効率よく温調するとともに、よりコンパクトな構造という観点から改良が望まれている。
本発明の目的は、省スペース化を図るとともに効率的な温調を実現することができる二次電池、二次電池の温調装置および車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明では、複数の電池セルを並設して構成した電池モジュールと、前記電池セルの隣接方向に沿って延び、前記電池セルから突出する端子に連結されかつ隣接する前記電池セルの前記端子同士を電気的に接続する第1列セル間接続用導電部材群および第2列セル間接続用導電部材群と、前記第1列セル間接続用導電部材群の周囲を囲む態様でかつ前記第1列セル間接続用導電部材群の延設方向に配置される第1の流路形成部材と、前記第2列セル間接続用導電部材群の周囲を囲む態様でかつ前記第2列セル間接続用導電部材群の延設方向に配置される第2の流路形成部材と、を有し、前記第1列セル間接続用導電部材群および前記第2列セル間接続用導電部材群は、前記電池セルの並設される方向にそれぞれ対応して並設され、前記第1列セル間接続用導電部材群は1以上の第1列セル間接続用導電部材を有し、前記第2列セル間接続用導電部材群は1以上の第2列セル間接続用導電部材を有し、前記第1の流路形成部材および前記第2の流路形成部材は、温調用流体が通過可能であることを要旨とする。
【0006】
なお、電気的に接続するとは端子同士を直列接続する場合および並列接続する場合の両方を指す。
請求項1に記載の発明によれば、第1列セル間接続用導電部材群および第2列セル間接続用導電部材群は、電池セルの隣接方向に沿って延び、電池セルから突出する端子に連結されかつ隣接する電池セルの端子同士を電気的に接続している。第1列セル間接続用導電部材群および第2列セル間接続用導電部材群は、電池セルの並設される方向にそれぞれ対応して並設され、第1列セル間接続用導電部材群は1以上の第1列セル間接続用導電部材を有し、第2列セル間接続用導電部材群は1以上の第2列セル間接続用導電部材を有している。第1の流路形成部材は、第1列セル間接続用導電部材群の周囲を囲む態様でかつ第1列セル間接続用導電部材群の延設方向に配置されている。第2の流路形成部材は、第2列セル間接続用導電部材群の周囲を囲む態様でかつ第2列セル間接続用導電部材群の延設方向に配置されている。そして、第1の流路形成部材および第2の流路形成部材には温調用流体が通過する。この温調用流体により第1列セル間接続用導電部材が温調され、第1列セル間接続用導電部材の温調により電池セルの端子を通して電池セルが温調される。また、温調用流体により第2列セル間接続用導電部材が温調され、第2列セル間接続用導電部材の温調により電池セルの端子を通して電池セルが温調される。
【0007】
このようにして、第1列セル間接続用導電部材に対しては第1の流路形成部材を、また、第2列セル間接続用導電部材に対しては第2の流路形成部材を配する構成とすることにより省スペース化を図ることができる。さらに、第1の流路形成部材を用いて第1列セル間接続用導電部材を、また、第2の流路形成部材を用いて第2列セル間接続用導電部材を、それぞれ集中的に温調でき、効率的な温調を実現することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の二次電池において、前記第1列セル間接続用導電部材および前記第2列セル間接続用導電部材は、複数であり、前記第1の流路形成部材、前記第2の流路形成部材および前記温調用流体は、電気絶縁性を有することを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、第1列セル間接続用導電部材および第2列セル間接続用導電部材が、複数であっても、第1の流路形成部材、第2の流路形成部材および温調用流体は、電気絶縁性を有するので、セル間接続用導電部材間がショートすることがない。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の二次電池と、前記電池セルの温度を検出する温度検出手段と、前記第1の流路形成部材の内部を通過させる前記温調用流体である第1温調用流体および前記第2の流路形成部材の内部を通過させる前記温調用流体である第2温調用流体の温度を調整するための流体温度調整手段と、前記温度検出手段により検出した前記電池セルの温度に基づいて前記流体温度調整手段を制御して、前記第1温調用流体および前記第2温調用流体の温度を制御する制御手段と、を備えたことを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、温度検出手段により電池セルの温度が検出され、流体温度調整手段により第1の流路形成部材の内部を通過させる温調用流体である第1温調用流体および第2の流路形成部材の内部を通過させる温調用流体である第2温調用流体の温度を調整することができ、制御手段により、温度検出手段により検出した電池セルの温度に基づいて流体温度調整手段が制御されて第1温調用流体および第2温調用流体の温度が制御される。これにより、最適な温調を実行することができる。
【0012】
請求項4に記載のように、請求項1または2に記載の二次電池を搭載してなる車両とすることができる。
請求項5に記載のように、請求項3に記載の二次電池の温調装置を搭載してなる車両とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、省スペース化を図るとともに効率的な温調を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は実施形態におけるリチウムイオン二次電池の概略平面図、(b)はリチウムイオン二次電池の概略右側面図、(c)は(a)のA−A線での概略縦断面図。
【図2】リチウムイオン二次電池の概略一部拡大断面図。
【図3】温調ダクトを取り外した状態でのリチウムイオン二次電池の概略平面図、(b)は温調ダクトを取り外した状態でのリチウムイオン二次電池の概略右側面図、(c)は(a)のA−A線での概略縦断面図。
【図4】電気回路図。
【図5】実施形態における二次電池の温調装置の全体構成図。
【図6】(a)は別例のリチウムイオン二次電池の概略平面図、(b)はリチウムイオン二次電池の概略右側面図、(c)は(a)のA−A線での概略縦断面図。
【図7】温調ダクトを取り外した状態でのリチウムイオン二次電池の概略平面図、(b)は温調ダクトを取り外した状態でのリチウムイオン二次電池の概略右側面図、(c)は(a)のA−A線での概略縦断面図。
【図8】電気回路図。
【図9】別例のリチウムイオン二次電池の概略一部拡大断面図。
【図10】別例のリチウムイオン二次電池の概略平面図、(b)はリチウムイオン二次電池の概略右側面図、(c)は(a)のA−A線での概略縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を、リチウムイオン二次電池に具体化した一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
なお、図面において、水平面を、直交するX,Y方向で規定するとともに、上下方向をZ方向で規定している。
【0016】
図1,3に示すように、リチウムイオン二次電池10は、電池モジュールMbと、第1列セル間接続用導電部材群Gr1(バスバー61,63,65,67)と、第2列セル間接続用導電部材群Gr2(バスバー60,62,64,66)と、第1の温調ダクト30と、第2の温調ダクト40とを有している。第1の流路形成部材としての第1の温調ダクト30および第2の流路形成部材としての第2の温調ダクト40は樹脂製であり、その内部には温調用流体としての空気が流れる。
【0017】
図3において、電池モジュールMbは、複数の電池セルC1〜C9を並設して構成されている。各電池セルC1〜C9は角型電池セルであり、電池セルC1〜C9の本体部20が薄い四角箱型をなしている。本体部20は、電槽(缶)の内部においてプレート状の正極とプレート状の負極をセパレータで巻き込んで構成されている。電池セルC1〜C9の本体部20はY方向において並設して配置され、隣接する電池セルの本体部20は側面が接触する状態で固定されている。
【0018】
各電池セルC1〜C9は、本体部20の上面には正極用の端子21と負極用の端子22が上方に突出している。両端子21,22は、雌ねじの端子である。図3において、電池セルC1は、本体部20において左側に正極用の端子21が配置され、右側に負極用の端子22が配置されている。電池セルC2は、本体部20において左側に負極用の端子22が配置され、右側に正極用の端子21が配置されている。
【0019】
以下、電池セルC3は本体部20の左側に正極用の端子21が右側に負極用の端子22が、電池セルC4は本体部20の左側に負極用の端子22が右側に正極用の端子21が、電池セルC5は本体部20の左側に正極用の端子21が右側に負極用の端子22が配置されている。電池セルC6は本体部20の左側に負極用の端子22が右側に正極用の端子21が、電池セルC7は本体部20の左側に正極用の端子21が右側に負極用の端子22が、電池セルC8は本体部20の左側に負極用の端子22が右側に正極用の端子21が、電池セルC9は本体部20の左側に正極用の端子21が右側に負極用の端子22が配置されている。
【0020】
電池セルC1〜C9は、本体部20の上面において台座50(図2参照)が端子21,22を貫通する状態で配置されている。
バスバー60はY方向に延びている。バスバー60は隣接する電池セルC1,C2の端子21,22に締結されている。即ち、バスバー60の一端側において電池セルC1の端子21がバスバー60を貫通するとともにバスバー60の上側からナット51が螺入され、ナット51によりバスバー60が電池セルC1の端子21に締結されている。バスバー60の他端側において電池セルC2の端子22がバスバー60を貫通するとともにバスバー60の上側からナット51が螺入され、ナット51によりバスバー60が電池セルC2の端子22に締結されている。
【0021】
バスバー61はY方向に延びている。バスバー61は隣接する電池セルC2,C3の端子21,22に締結されている。即ち、バスバー61の一端側において電池セルC2の端子21がバスバー61を貫通するとともにバスバー61の上側からナット51が螺入され、ナット51によりバスバー61が電池セルC2の端子21に締結されている。バスバー61の他端側において電池セルC3の端子22がバスバー61を貫通するとともにバスバー61の上側からナット51が螺入され、ナット51によりバスバー61が電池セルC3の端子22に締結されている。
【0022】
以下同様に、バスバー62はY方向に延び、隣接する電池セルC3,C4の端子21,22に締結されている。バスバー63はY方向に延び、隣接する電池セルC4,C5の端子21,22に締結されている。バスバー64はY方向に延び、隣接する電池セルC5,C6の端子21,22に締結されている。バスバー65はY方向に延び、隣接する電池セルC6,C7の端子21,22に締結されている。バスバー66はY方向に延び、隣接する電池セルC7,C8の端子21,22に締結されている。バスバー67はY方向に延び、隣接する電池セルC8,C9の端子21,22に締結されている。
【0023】
このようにして、バスバー60,61,62,63,64,65,66,67により電池セル同士を電気的に接続して、図4に示すごとく、各電池セルC1〜C9が直列接続されている。
【0024】
ここで、バスバー61,63,65,67は一直線上に並んで設けられているとともに、バスバー60,62,64,66は一直線上に並んで設けられており、複数のバスバー60〜67はX方向に離間して2列に配置されている。即ち、2列のセル間接続用導電部材のうちの第1列セル間接続用導電部材としてのバスバー61,63,65,67は、電池セルの隣接方向(Y方向)に沿って延び、電池セルから突出する端子21,22に連結されて隣接する電池セルの端子21,22同士を電気的に接続している。このようにして、第1列セル間接続用導電部材群Gr1は、1以上の第1列セル間接続用導電部材としてのバスバー61,63,65,67を有している。第1列セル間接続用導電部材群Gr1は、電池セルの隣接方向に沿って延び、電池セルから突出する端子に連結されかつ隣接する電池セルの端子同士を電気的に接続する。
【0025】
また、2列のセル間接続用導電部材のうちの第2列セル間接続用導電部材としてのバスバー60,62,64,66は、電池セルの隣接方向(Y方向)に沿って延び、電池セルから突出する端子21,22に連結されて隣接する電池セルの端子21,22同士を電気的に接続している。このようにして、第2列セル間接続用導電部材群Gr2は、1以上の第2列セル間接続用導電部材としてのバスバー60,62,64,66を有している。第2列セル間接続用導電部材群Gr2は、電池セルの隣接方向に沿って延び、電池セルから突出する端子に連結されかつ隣接する電池セルの端子同士を電気的に接続する。第1列セル間接続用導電部材群Gr1および第2列セル間接続用導電部材群Gr2は、電池セルの並設される方向にそれぞれ対応して並設されている。
【0026】
図1,2に示すように、第1の温調ダクト30はY方向に延びている。第1の温調ダクト30は、一直線上に並んだバスバー61,63,65,67を覆っている。詳しくは、第1の温調ダクト30は、断面が四角枠状をなし、下面の中央部が開口している。第1の温調ダクト30の下面は電池セルの本体部20の上面と接着されている。この第1の温調ダクト30の内部には温調用流体としての空気が通過する。このように、第1の流路形成部材としての第1の温調ダクト30は、第1列セル間接続用導電部材としてのバスバー61,63,65,67の延設方向に延び、バスバー61,63,65,67の周囲を囲み、内部に温調用流体としての空気が通過する。即ち、第1の流路形成部材としての第1の温調ダクト30は、第1列セル間接続用導電部材群Gr1の周囲を囲む態様でかつ第1列セル間接続用導電部材群Gr1の延設方向に配置され、温調用流体が通過可能である。
【0027】
同様に、第2の温調ダクト40はY方向に延びている。第2の温調ダクト40は、一直線上に並んだバスバー60,62,64,66を覆っている。詳しくは、第2の温調ダクト40は、断面が四角枠状をなし、下面の中央部が開口している。第2の温調ダクト40の下面は電池セルの本体部20の上面と接着されている。この第2の温調ダクト40の内部には温調用流体としての空気が通過する。このように、第2の流路形成部材としての第2の温調ダクト40は、第2列セル間接続用導電部材としてのバスバー60,62,64,66の延設方向に延び、バスバー60,62,64,66の周囲を囲み、内部に温調用流体としての空気が通過する。即ち、第2の流路形成部材としての第2の温調ダクト40は、第2列セル間接続用導電部材群Gr2の周囲を囲む態様でかつ第2列セル間接続用導電部材群Gr2の延設方向に配置され、温調用流体が通過可能である。
【0028】
図5に示すように、二次電池の温調装置69は、リチウムイオン二次電池10と、ファン70と、空気温度調整装置71と、コントローラ72と、温度センサ73を備えている。
【0029】
空気循環系として、ファン70と空気温度調整装置71とがダクトで接続され、空気温度調整装置71と第1の温調ダクト30、および、空気温度調整装置71と第2の温調ダクト40とがダクトで接続され、第1の温調ダクト30とファン70、および、第2の温調ダクト40とファン70とがダクトで接続されている。
【0030】
ファン70はコントローラ72により駆動される。ファン70の駆動に伴い空気を、空気温度調整装置71を通して温調ダクト30,40に供給することができる。温調ダクト30,40を通過した空気はファン70に戻されるようになっている。
【0031】
空気温度調整装置71の内部にはペルチェモジュール71aが配置されている。ペルチェモジュール71aは、ペルチェ素子と、ペルチェ素子と熱的に結合した熱交換部材からなる。そして、空気温度調整装置71を通過する空気が、ペルチェモジュール71aの熱交換部材と熱交換される。詳しくは、ペルチェモジュール71aのペルチェ素子に対し第1の通電方向に電流を流すことにより熱交換部材が吸熱部材となって空気を冷却することができる。また、ペルチェ素子に対し第1の通電方向とは逆の第2の通電方向に電流を流すことにより熱交換部材が発熱部材となって空気を加熱することができる。
【0032】
電池セルの本体部20には温度センサ73が取り付けられており、温度センサ73により電池セルの本体部20の温度が検出される。コントローラ72は温度センサ73による電池セルの本体部20の温度を取り込んで、電池セルの本体部20の温度に基づいてペルチェモジュール71aのペルチェ素子の通電電流の向きとその大きさを制御する。
【0033】
本実施形態の二次電池の温調装置69(リチウムイオン二次電池10)は、車両(自動車)に搭載される。リチウムイオン二次電池10にはインバータ等を介して走行モータが接続され、リチウムイオン二次電池10の電力により走行モータを駆動させることができるようになっている。また、リチウムイオン二次電池10には充電器に接続され、充電器によりリチウムイオン二次電池10を充電することができるようになっている。
【0034】
次に、このように構成したリチウムイオン二次電池10の作用を説明する。
高負荷となると電池温度が上昇する。また、急速充電時においても電池温度が上昇する。温度センサ73により電池セルの本体部20の温度が検出され、コントローラ72は温度センサ73による電池セルの本体部20の温度を取り込んでペルチェモジュール71aのペルチェ素子を制御して空気温度調整装置71を通過する空気の温度を下げる。冷却された空気が温調ダクト30,40の内部を通過する。これにより、バスバー60,61,62,63,64,65,66,67が冷却される。これに伴い正極用の端子21、および、負極用の端子22が冷却される。その結果、電池温度が下がる。
【0035】
一方、寒冷地において電池温度が低温になる。温度センサ73により電池セルの本体部20の温度が検出され、コントローラ72は温度センサ73による電池セルの本体部20の温度を取り込んでペルチェモジュール71aのペルチェ素子を制御して空気温度調整装置71を通過する空気の温度を上げる。昇温された空気が温調ダクト30,40の内部を通過する。これにより、バスバー60,61,62,63,64,65,66,67が昇温される。これに伴い正極用の端子21、および、負極用の端子22が昇温される。その結果、電池温度が上昇する。
【0036】
このようにして、第1の温調ダクト30内を流れる空気により第1列のバスバー61,63,65,67が温調され、第1列のバスバー61,63,65,67の温調により電池セルの端子21,22を通して電池セルC1〜C9が温調される。また、第2の温調ダクト40内を流れる空気により第2列のバスバー60,62,64,66が温調され、第2列のバスバー60,62,64,66の温調により電池セルの端子21,22を通して電池セルC1〜C9が温調される。このとき、第1列セル間接続用導電部材(バスバー61,63,65,67)に対しては第1の温調ダクト30を、また、第2列セル間接続用導電部材(バスバー60,62,64,66)に対しては第2の温調ダクト40を配する構成とすることにより省スペース化が図られる。さらに、第1の温調ダクト30を用いて第1列セル間接続用導電部材(バスバー61,63,65,67)を、また、第2の温調ダクト40を用いて第2列セル間接続用導電部材(バスバー60,62,64,66)を、それぞれ集中的に温調でき、効率的な温調が行われる。
【0037】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)リチウムイオン二次電池の構成として、第1の温調ダクト30は、バスバー61,63,65,67の延設方向に延び、バスバー61,63,65,67の周囲を囲み、内部に温調用流体としての空気が通過する。また、第2の温調ダクト40は、バスバー60,62,64,66の延設方向に延び、バスバー60,62,64,66の周囲を囲み、内部に温調用流体としての空気が通過する。よって、バスバー60,61,62,63,64,65,66,67(電池セルの端子21,22)を直接温調する。これにより、電気伝導性がよいと共に熱伝導性のよいバスバー60,61,62,63,64,65,66,67(熱伝導性がよいと共に熱伝導性のよい端子21,22)が発熱等するが、効率的に温調することができる。
【0038】
詳しくは、大型電池は、車載時のハンドリングのしやすさと安全性のため電槽(缶)自身は活物質から絶縁されており、そのため最大面積の側面からの冷却しかできず、熱伝導が悪く温調の効率が低い。また、正負の電極間にはセパレータがあり、熱伝導が悪く、電池セルの内部温調の効率が悪い。
【0039】
これに対し本実施形態では、バスバー60,61,62,63,64,65,66,67(電池セルの端子21,22)を直接温調することにより、効率的に温調が可能となる。また、省スペース化を図ることができる。
【0040】
(2)流路形成部材としての温調ダクト30,40が端子21,22のカバーとして機能する。
(3)第1列セル間接続用導電部材(バスバー61,63,65,67)および第2列セル間接続用導電部材(バスバー60,62,64,66)は、複数である。また、第1の温調ダクト30、第2の温調ダクト40、および、温調用流体である空気(第1の温調ダクト30の内部を通過する空気、第2の温調ダクト40の内部を通過する空気)は、電気絶縁性を有する。これにより、図3のバスバー60,62間、および、バスバー62,64間、バスバー64,66間がショートすることがない。同様に、図3のバスバー61,63間、および、バスバー63,65間、バスバー65,67間がショートすることがない。
【0041】
(4)二次電池の温調装置69の構成として、リチウムイオン二次電池10と、温度検出手段としての温度センサ73と、流体温度調整手段としての空気温度調整装置71と、制御手段としてのコントローラ72とを備えている。温度センサ73により、電池セルの温度を検出し、空気温度調整装置71により第1の温調ダクト30の内部を通過させる空気および第2の温調ダクト40の内部を通過させる空気の温度を調整することができる。即ち、空気温度調整装置71は、第1の流路形成部材の内部を通過させる温調用流体である第1温調用流体および第2の流路形成部材の内部を通過させる温調用流体である第2温調用流体の温度を調整するためのものである。そして、コントローラ72は、温度センサ73により検出した電池セルの温度に基づいて空気温度調整装置71を制御して第1の温調ダクト30の内部を通過させる空気の温度および第2の温調ダクト40の内部を通過させる空気の温度を制御する。即ち、コントローラ72は、温度センサ73により検出した電池セルの温度に基づいて空気温度調整装置71を制御して、第1温調用流体および第2温調用流体の温度を制御する。これにより、最適な温調を実行することができる。
【0042】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
・図4においては各電池セルC1〜C9を直列接続したが、図8に示すように電池セルC1〜C3、C4〜C6、C7〜C9をそれぞれ並列接続したものを直列接続した場合に適用して、図6,7に示す構成としてもよい。
【0043】
図7において、電池セルC1,C2,C3における負極の端子22は、1本のバスバー80で接続されている。また、電池セルC1,C2,C3における正極の端子21および電池セルC4,C5,C6における負極の端子22は、1本のバスバー81で接続されている。さらに、電池セルC4,C5,C6における正極の端子21および電池セルC7,C8,C9における負極の端子22は、1本のバスバー82で接続されている。また、電池セルC7,C8,C9における正極の端子21は、1本のバスバー83で接続されている。
【0044】
バスバー80,82はY方向に延び、かつ、一直線上に並んで設けられている。また、バスバー81,83はY方向に延び、かつ、一直線上に並んで設けられている。このように、第1列セル間接続用導電部材としてのバスバー80,82および第2列セル間接続用導電部材としてのバスバー81,83は、複数のバスバー(セル間接続用導電部材)を含んでいる。即ち、第1列セル間接続用導電部材群Gr11は1以上の第1列セル間接続用導電部材としてのバスバー80,82を有し、第2列セル間接続用導電部材群Gr12は1以上の第2列セル間接続用導電部材としてのバスバー81,83を有している。
【0045】
図6に示すように、バスバー80およびバスバー82は樹脂製の第1の温調ダクト30により覆われており、内部に空気が流れる。バスバー81およびバスバー83は樹脂製の第2の温調ダクト40により覆われており、内部に空気が流れる。図6において温調ダクト30,40におけるA1,A2,B1,B2で示す部位(図8の等電位部に対応する部位)は絶縁性を有しても導電性を有していてもよい。
【0046】
・図2においては電池セルの端子21,22は雌ねじの端子であり、ナット51によりバスバーを締結する構成であったが、これに代わり、図9に示すように、本体部20に螺入してバスバーを締結する端子90を用いてもよい。つまり、電池セルの本体部20の表面に台座50を載せ、さらに、その上にバスバー60〜67を配置し、端子90を、バスバー60〜67および台座50を通して電池セルの本体部20に螺入する構成としてもよい。
【0047】
・図10に示すように、四角箱型の電池セルの本体部20の側面に突条25を設け、隣接する電池セルにおける突条25同士を接触させ、隣接する電池セルの本体部20の間に空気流路となる隙間Ga1を形成して、バスバー60〜67の温調に加えて電池セルの本体部20間に形成した隙間Ga1に空気を流すことにより温度を調整するようにしてもよい。他にも、隙間Ga1に空気を流す構成に代わり、電池セルの本体部20間に温調用のジャケットを挟み込む構成としてもよい。
【0048】
・流路形成部材としての温調ダクト30,40の内部には温調用流体としての空気を流したが、他にも、例えば、流路形成部材の内部に温調用流体としてのシリコーンオイルを流してもよい。シリコーンオイルは絶縁体である。
【0049】
・流路形成部材(図1の場合、温調ダクト30,40)における流路の断面形状は問わない。例えば、円形でも四角形状でも台形状でもよい。特に、図2に示すように、台座50の上にバスバー60を配置するとともにバスバー60の上にナット51を配置した構成においては上ほど幅狭になってので、この形状に合わせた流路断面形状とすると、よりコンパクト化が図られる。
【0050】
・図5の空気温度調整装置71は、その内部にペルチェモジュール71aが配置されている構成としたが、これに限定されるものではなく、他にも例えば冷却用の熱交換器と加熱用の熱交換器を具備し、流路を切り替えることにより空気を冷却または加熱する構成であってもよい。
【0051】
・二次電池はリチウムイオン二次電池であったが、これに限定されることなく、他にも例えば、鉛蓄電池、ニッケル水素電池等であってもよい。
・二次電池の温調装置69(リチウムイオン二次電池10)を搭載する車両は問わない。例えば、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車、産業車両等に搭載するとよい。
【符号の説明】
【0052】
10…リチウムイオン二次電池、21…端子、22…端子、30…第1の温調ダクト、40…第2の温調ダクト、60,61,62,63,64,65,66,67…バスバー、69…二次電池の温調装置、71…空気温度調整装置、72…コントローラ、73…温度センサ、C1〜C9…電池セル、Gr1…第1列セル間接続用導電部材群、Gr2…第2列セル間接続用導電部材群、Gr11…第1列セル間接続用導電部材群、Gr12…第2列セル間接続用導電部材群、Mb…電池モジュール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを並設して構成した電池モジュールと、
前記電池セルの隣接方向に沿って延び、前記電池セルから突出する端子に連結されかつ隣接する前記電池セルの前記端子同士を電気的に接続する第1列セル間接続用導電部材群および第2列セル間接続用導電部材群と、
前記第1列セル間接続用導電部材群の周囲を囲む態様でかつ前記第1列セル間接続用導電部材群の延設方向に配置される第1の流路形成部材と、
前記第2列セル間接続用導電部材群の周囲を囲む態様でかつ前記第2列セル間接続用導電部材群の延設方向に配置される第2の流路形成部材と、
を有し、
前記第1列セル間接続用導電部材群および前記第2列セル間接続用導電部材群は、前記電池セルの並設される方向にそれぞれ対応して並設され、
前記第1列セル間接続用導電部材群は1以上の第1列セル間接続用導電部材を有し、
前記第2列セル間接続用導電部材群は1以上の第2列セル間接続用導電部材を有し、
前記第1の流路形成部材および前記第2の流路形成部材は、温調用流体が通過可能であることを特徴とする二次電池。
【請求項2】
前記第1列セル間接続用導電部材および前記第2列セル間接続用導電部材は、複数であり、
前記第1の流路形成部材、前記第2の流路形成部材および前記温調用流体は、電気絶縁性を有することを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
請求項1または2に記載の二次電池と、
前記電池セルの温度を検出する温度検出手段と、
前記第1の流路形成部材の内部を通過させる前記温調用流体である第1温調用流体および前記第2の流路形成部材の内部を通過させる前記温調用流体である第2温調用流体の温度を調整するための流体温度調整手段と、
前記温度検出手段により検出した前記電池セルの温度に基づいて前記流体温度調整手段を制御して、前記第1温調用流体および前記第2温調用流体の温度を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする二次電池の温調装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の二次電池を搭載してなる車両。
【請求項5】
請求項3に記載の二次電池の温調装置を搭載してなる車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−89511(P2013−89511A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230142(P2011−230142)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】