説明

二次電池、充電装置、電池判別用シール、および電池判別用シールシート

【課題】 表面のほぼ全てが電極に形成されていても、1つの導電性接触片を追加するだけで、電池の種類を判別して指定された電池以外の電池の充電を防ぐようにする。
【解決手段】 上面が負極7aに形成され、これ以外の面が正極7bに形成されて、ソーラーパネルで充電される二次電池7において、その負極7aの表面に、二次電池であるか否かを判別するための第2電極板12が負極7aの表面に接触するのを阻止する電池判別用シール9を設けた。従って、表面のほぼ全てが電極に形成されたコイン型の二次電池7であっても、この二次電池7の負極7aの表面に設けられた電池判別用シール9によって、その負極7aに第2電極板12が接触するのを阻止することにより、二次電池であるか否かを判別できる。このため、1つの第2電極板12を追加するだけの少ない部品点数で、簡単に電池の種類を判別して指定された二次電池7以外の電池の充電を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種の電子機器に用いられる充電可能な二次電池、この二次電池を充電する充電装置、二次電池に用いられる電池判別用シール、およびこの電池判別用シールを複数備えた電池判別用シールシートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子機器においては、充電可能な円柱状の二次電池を収納する電池収納部と、この二次電池を充電するソーラーパネルなどの発電装置とを備え、電池収納部に収納された二次電池を発電装置で充電し、この充電された二次電池から電力を供給すると共に、この二次電池からの電力供給が途絶えたときに、二次電池を交換するように構成したものがある。このような電子機器では、二次電池を交換するときに、誤って同じサイズの一次電池を装着すると、この一次電池を発電装置で充電してしまうという問題がある。
【0003】
そこで、このような問題を防ぐために、従来の二次電池においては、特許文献1に記載されているように、両端面にそれぞれ正極と負極とが設けられた円柱状の電池本体の絶縁性外周面に、正極と負極とのいずれの電極にも接続されない検査用の導電部を設け、この導電部に2つの検査用電極片を接触させ、この2つの検査用電極片が導電部によって短絡するか否かを検出することにより、二次電池であるか一次電池であるかを判別するように構成したものがある。
【特許文献1】特開2001−222991号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の二次電池では、正極と負極以外に、検査用の導電部を設け、この導電部に2つの検査用電極片を接触させて、2つの検査用電極片が導電部によって短絡するか否かを検出することにより、二次電池であるか一次電池であるかを判別しているため、正極と負極とにそれぞれ接続される電極片のほかに、導電部に接触する2つの検査用電極片が必要となり、部品点数が増大するという問題がある。
【0005】
特に、このような二次電池では、電池の一面が一方の電極、例えば負極に形成され、これ以外のほぼ全ての面が他方の電極、例えば正極に形成され、これにより表面のほぼ全てが負極と正極との電極に形成されたコイン型の二次電池においては、導電部を設けることができないため、このような従来の技術を使用することができないという問題がある。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、表面のほぼ全てが電極に形成されていても、1つの導電性接触片を追加するだけで、簡単に電池の種類を判別して指定された二次電池以外の電池の充電を防ぐようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
なお、各構成要素には、後述する各実施形態の項で説明される各要素に付されている図面の参照番号などを括弧と共に付す。
【0008】
請求項1に記載の発明は、図1〜図9に示すように、一面が第1の電極(負極7a)に形成され、この一面以外のほぼ全ての面が第2の電極(正極7b)に形成されて、発電装置(ソーラーパネル21または外部充電器31)で充電される二次電池において、この二次電池の前記第1、第2の電極のうちいずれか一方の電極(例えば、負極7a)の表面に、二次電池であるか否かを判別するための導電性接触片(第2電極板12)が前記一方の電極(負極7a)の表面に接触するのを阻止する絶縁層(電池判別用シール9)が設けられていることを特徴とする二次電池(7)である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、全体がコイン型で、前記一面及びこの一面の反対側の他面は円形状をなし、前記絶縁層(電池判別用シール9)が、前記一面若しくは前記他面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の二次電池(7)である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記絶縁層(電池判別用シール9)が、リング形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の二次電池である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、図1〜図9に示すように、発電装置(ソーラーパネル21または外部充電器31)と、一面が第1の電極(負極7a)に形成され、この一面以外のほぼ全ての面が第2の電極(正極7b)に形成されて、前記発電装置で充電される二次電池(7)と、この二次電池の前記第1、第2の電極のうちいずれか一方の電極(例えば、負極7a)の表面にそれぞれ接触可能に設けられた第1、第2導電性接触片(第1、第2電極板11、12)と、前記二次電池の前記第1、第2の電極のうち他方の電極(例えば、正極7b)の表面に接触可能に設けられた第3導電性接触片(第3電極板13)と、前記二次電池の前記一方の電極(負極7a)の表面に貼り付けられて前記第2導電性接触片が前記一方の電極の表面に接触するのを阻止する絶縁層(電池判別用シール9)とを備え、 前記第1、第3導電性接触片に前記発電装置の出力が印加され、前記第2導電性接触片が前記一方の表面に接触していない場合のみ、充電が行われることを特徴とする充電装置(20、30)である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記第1導電性接触片(第1電極板11)が前記第2導電性接触片(第2電極板12)に電気的に接続されていることを特徴とする請求項4に記載の充電装置である。
【0013】
請求項6に記載の発明は、図9に示すように、前記第1、第3導電性接触片(第1、第3電極板11、13)に、過充電防止回路(32)が前記二次電池(7)と並列に接続されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の充電装置(30)である。
【0014】
請求項7に記載の発明は、図1〜図9に示すように、一面が第1の電極(負極7a)に形成され、この一面以外のほぼ全ての面が第2の電極(正極7b)に形成されて、発電装置(ソーラーパネル21または外部充電器31)で充電される二次電池(7)における前記前記第1、第2の電極のうちいずれか一方の電極(例えば、負極7a)の表面に貼り付けられ、この一方の電極の表面にそれぞれ接触可能に設けられた2つの導電性接触片(第1、第2電極板11、12)のうち、1つの導電性接触片(第2電極板12)が前記一方の電極(負極7a)の表面に接触するのを阻止することを特徴とする電池判別用シール(9)である。
【0015】
請求項8に記載の発明は、中心部に、前記2つの導電性接触片のうち他の1つの導電接触片が挿入される孔(貫通孔9a)が形成されているリング形状であることを特徴とする請求項7記載の電池判別用シール(9)である。
【0016】
請求項9に記載の発明は、図4に示すように、請求項7又は8に記載の電池判別用シール(9)がベース材(10a)に剥離可能に複数個設けられていることを特徴とする電池判別用シールシート(10)である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、一面が第1の電極に形成され、この一面以外のほぼ全ての面が第2の電極に形成されて、発電装置で充電される二次電池において、この二次電池の第1、第2の電極のうちいずれか一方の電極の表面に、二次電池であるか否かを判別するための導電性接触片が前記一方の電極の表面に接触するのを阻止する絶縁層を設けているので、表面のほぼ全てが正極と負極との電極に形成されたコイン型の二次電池であっても、この二次電池の一方の電極の表面に設けられた絶縁層によって、その一方の電極の表面に導電性接触片が接触するのを阻止することにより、指定された二次電池であるか否かを判別することができ、これにより1つの導電性接触片を追加するだけの少ない部品点数で、簡単に且つ確実に電池の種類を判別して、指定された二次電池以外の電池の充電を防ぐことができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、発電装置と、一面が第1の電極に形成され、この一面以外のほぼ全ての面が第2の電極に形成されて、発電装置で充電される二次電池と、この二次電池の前記第1、第2の電極のうちいずれか一方の電極の表面にそれぞれ接触可能に設けられた第1、第2導電性接触片と、二次電池の前記第1、第2の電極のうち他方の電極の表面に接触可能に設けられた第3導電性接触片と、二次電池の前記一方の電極の表面に貼り付けられて第2導電性接触片が前記一方の表面に接触するのを阻止する絶縁層とを備え、第1、第3導電性接触片に発電装置の出力が印加され、前記第2導電性接触片が前記一方の電極の表面に接触していない場合のみ、充電が行われる充電装置であることにより、表面のほぼ全てが正極と負極との電極に形成されたコイン型の二次電池であっても、この二次電池の第1、第2の電極のうちいずれか一方の電極の表面に設けられた絶縁層によって、その一方の電極の表面に第2導電性接触片が接触するのを阻止するので、指定された二次電池であるか否かを判別して、指定された二次電池以外の電池の充電を防ぐことができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、第1導電性接触片が第2導電性接触片に電気的に接続されているので、指定されていない電池を取り付けると、この指定されていない電池には絶縁層が設けられていないため、第2導電性接触片が指定されていない電池の電極に接触して、第1導電性接触片と第2導電性接触片とが短絡するので、指定されていない電池の充電を防ぐことができる。このため、1つの導電性接触片である第2導電性接触片を追加するだけの少ない部品点数で、簡単に且つ確実に電池の種類を判別して、指定された二次電池以外の電池が誤って取り付けられても、この二次電池以外の電池の充電を防ぐことができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、第1、第3導電性接触片に過充電防止回路が二次電池と並列に接続されていることにより、発電装置によって二次電池を充電する際、この二次電池の充電が過剰になると、過充電防止回路によって二次電池の充電が阻止されるので、二次電池の過充電を防ぐことができ、これにより二次電池を安全に保護することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、一面が第1の電極に形成され、この一面以外のほぼ全ての面が第2の電極に形成されて、発電装置で充電される二次電池における前記第1、第2の電極のうちいずれか一方の電極の表面に貼り付けられ、この一方の電極の表面にそれぞれ接触可能に設けられた2つの導電性接触片のうち、1つの導電性接触片が前記一方の電極の表面に接触するのを阻止する電池判別用シールであることにより、表面のほぼ全てが正極と負極との電極に形成されたコイン型の二次電池であっても、この二次電池の第1、第2の電極のうち一方の電極の表面に貼り付けられて1つの導電性接触片が接触するのを阻止するので、指定された二次電池であるか否かを判別することができる。
【0022】
これにより、1つの導電性接触片を追加するだけの少ない部品点数で、簡単に且つ確実に電池の種類を判別して、指定された二次電池以外の電池の充電を防ぐことができるほか、二次電池の一方の表面に電池判別用シールを貼り付けるだけで良いので、電池判別用シールを簡単に二次電池に取り付けることができる。この場合、特に電池判別用シールは、その取付スペースをほとんど必要とせず、しかも二次電池の一方の表面形状に合った形状に簡単に製作することができるので、その製作が容易で、その取付作業も簡単にでき、生産性が高く、低価格なものを提供することができる。
【0023】
請求項9に記載の発明によれば、請求項7又は9に記載の電池判別用シールがベース材に剥離可能に複数個設けられている電池判別用シールシートであることにより、ベース材から必要な電池判別用シールのみを剥して二次電池の一方の電極と他方の電極とのいずれか一方の表面に貼り付けることができるので、電池判別用シールの取り扱いが容易で便利であるほか、この場合にも、請求項7に記載の発明と同様、電池判別用シールを二次電池の一方の表面形状に合った形状に簡単に製作することができるので、その製作が容易で、その取付作業も簡単にできると共に、表面のほぼ全てが正極と負極との電極に形成されたコイン型の二次電池であっても、電池判別用シールで導電性接触片が接触するのを阻止するので、指定された二次電池であるか否かを判別することができ、これにより1つの導電性接触片を追加するだけの少ない部品点数で、簡単に且つ確実に電池の種類を判別して、指定された二次電池以外の電池の充電を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(実施形態1)
以下、図1〜図8を参照して、この発明を腕時計に適用した実施形態1について説明する。
図1はこの発明を適用した腕時計に組み込まれる時計モジュールを示した拡大断面図、図2は図1の二次電池を上面側から見た拡大斜視図、図3は図2の二次電池に電池判別用シールを貼り付ける状態を示した分解斜視図、図4は図3の電池判別用シールを複数個設けた電池判別用シールシートを示した斜視図である。
【0025】
この腕時計の時計モジュール1は、図1に示すように、上部ハウジング2と下部ハウジング3とを備えている。この上部ハウジング2と下部ハウジング3との間には、時計機能に必要な各種の電子部品4aを搭載した回路基板4が挟まれた状態で設けられている。上部ハウジング2内には、表示装置5がインターコネクタ6によって回路基板4と電気的に接続された状態で支持されて、上部ハウジング2の上面に形成された開口部2aから上方に露出するように構成されている。この場合、表示装置5は、液晶表示素子やEL(エレクトロルミネッセンス)表示素子などの平面型の表示素子からなり、時刻などの情報を電気光学的に表示するように構成されている。
【0026】
一方、下部ハウジング3内には、図1に示すように、二次電池7を収納する電池収納部8が設けられている。この場合、二次電池7は、図1〜図3に示すように、充電可能なコイン型の電池であり、上面が負極(―極)7aに形成され、これ以外のほぼ全ての面つまり下面および側面が正極(+極)7bに形成され、上面の負極7aに電池判別用シール9が貼り付けられた構成になっている。この電池判別用シール9は、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの絶縁性材料からなり、全体が二次電池7の上面の負極7aとほぼ同じ大きさの円形状に形成され、その中心部に貫通孔9aが形成されたリング形状になっている。これにより、二次電池7の負極7aは、電池判別用シール9の中心部の貫通孔9aに対応する部分が外部に露出し、これ以外の部分が電池判別用シール9によって覆われている。
【0027】
この電池判別用シール9は、図4に示すように、電池判別用シールシート10のベース材10aに剥離可能に複数個設けられている。すなわち、この電池判別用シールシート10は、ベース材10aに複数の電池判別用シール9が接着層(図示せず)によって剥離可能に貼り付けられ、これら複数の電池判別用シール9のうち、所望する電池判別用シール9がベース材10aから接着層と共に自由に剥離されるように構成されている。これにより、剥離された電池判別用シール9は、図3に示すように、二次電池7の負極7aに接着層によって貼り付けられるように構成されている。
【0028】
また、下部ハウジング3内の電池収納部8には、図1および図2に示すように、その内部に収納された二次電池7の負極7aの表面つまり二次電池7の上面にそれぞれ接触可能に設けられた第1、第2電極板11、12と、二次電池7の正極7bの表面つまり二次電池7の下面に接触可能に設けられた第3電極板13とが設けられている。
【0029】
第1電極板11は、図1および図5に示すように、帯状の金属板を二股に分けた構成で、その基端部11a(図1では左側の端部)が下側に折り曲げられて下部ハウジング3の左側上面に設けられた取付穴3aに圧入により固定され、二股に分かれた一方の接触部11bの先端が電池収納部8に収納された二次電池7の上面の負極7aに接触するように斜め下方に向けて折り曲げられ、二股に分かれた他方の接触部11cの先端が回路基板4の下面に接触するように斜め上方に向けて折り曲げられた構成になっている。
【0030】
すなわち、この第1電極板11は、図1および図2に示すように、下部ハウジング3の電池収納部8に二次電池7が収納されたときに、二股に分かれた一方の接触部11bが二次電池7の上面の負極7aに貼り付けられた電池判別用シール9の中心部の貫通孔9aに挿入されて二次電池7の負極7aに接触し、二股に分かれた他方の接触部11cの先端が回路基板4の下面に接触し、これにより二次電池7の負極7aと回路基板4とを電気的に接続するように構成されている。
【0031】
また、この第1電極板11は、図6に示すように、下部ハウジング3の電池収納部8に一次電池14が収納されると、二股に分かれた一方の接触部11bが一次電池14の上面の負極14aに接触し、二股に分かれた他方の接触部11cの先端が回路基板4の下面に接触し、これにより一次電池14の負極14aと回路基板4とを電気的に接続するように構成されている。
【0032】
第2電極板12は、検査用の電極板であり、第1電極板11と同様、帯状の金属板を二股に分けた構成で、その基端部12a(図1では右側の端部)が下側に折り曲げられて下部ハウジング3の右側上面に設けられた取付穴3bに圧入により固定され、二股に分かれた一方の接触部12bの先端が電池収納部8に収納された二次電池7の上面の負極7aに設けられた電池判別用シール9に接触するように斜め下方に向けて折り曲げられ、二股に分かれた他方の接触部12cの先端が回路基板4の下面に接触するように斜め上方に向けて折り曲げられた構成になっている。
【0033】
すなわち、この第2電極板12は、図1および図2に示すように、下部ハウジング3の電池収納部8に二次電池7が収納されたときに、二股に分かれた一方の接触部12bの先端が二次電池7の上面の負極7aに設けられた電池判別用シール9に接触し、二股に分かれた他方の接触部12cの先端が回路基板4の下面に接触し、これにより二次電池7の負極7aと回路基板4とが電気的に接続されないように構成されている。
【0034】
また、この第2電極板12は、図6に示すように、下部ハウジング3の電池収納部8に一次電池14が収納されたときには、この一次電池14に電池判別用シール9が設けられていないため、二股に分かれた一方の接触部12bの先端が一次電池14の上面の負極14aに接触し、二股に分かれた他方の接触部12cが回路基板4に接触し、これにより一次電池14の負極14aによって第2電極板12が第1電極板11と短絡するように構成されている。
【0035】
第3電極板13は、図1および図6に示すように、帯状の金属板の両端部にフック部13aが上方に折り曲げられ、この両側のフック部13aが下部ハウジング3の下面の両側に設けられた挿入孔3cにそれぞれ挿入し、この挿入孔3c内に設けられた係止突起15にそれぞれ係止されることにより、電池収納部8の下面側に架け渡され、この状態で接続部材(図示せず)によって第3電極板13が回路基板4と電気的に接続された構成になっている。
【0036】
これにより、この第3電極板13は、図1および図6に示すように、下部ハウジング3の電池収納部8に二次電池7または一次電池14が収納されたときに、二次電池7の下面の正極7bまたは一次電池14の下面の正極14bに接触し、二次電池7の下面の正極7bまたは一次電池14の下面の正極14bと回路基板4とを電気的に接続するように構成されている。
【0037】
次に、この時計モジュール1の充電装置20の回路について、図7および図8を参照して説明する。
この充電装置20は、図7および図8に示すように、ソーラーパネル21を備えている。このソーラーパネル21は、発電装置であり、複数のソーラーセル(太陽電池素子)からなり、光が照射されると起電力を発生するように構成されている。このソーラーパネル21の正極は、逆流防止ダイオード22のアノードに接続されており、この逆流防止ダイオード22のカソードは、二次電池7の正極7bまたは一次電池14の正極14bに接触する第3電極板13に接続されている。
【0038】
また、ソーラーパネル21の負極は、図7および図8に示すように、二次電池7の負極7aまたは一次電池14の負極14aに接触する第1電極板11に接続されている。さらに、第3電極板13に接続されたソーラーパネル21の正極は、二次電池7の負極7aに設けられた電池判別用シール9または一次電池14の負極14aに接触する検査用の第2電極板12に接続されている。そして、第1、第3電極板11、13には、時計回路23が接続されている。
【0039】
次に、このような充電装置20の回路の動作について説明する。
まず、図1に示すように、電池収納部8に二次電池7が収納されると、図7に示すように、この二次電池7の負極7aに第1電極板11が接続され、二次電池7の正極7bに第3電極板13が接続される。また、検査用の第2電極板12は、二次電池7の負極7aに設けられた電池判別用シール9に接触し、二次電池7の負極7aには接続されない。この状態で、ソーラーパネル21に光が照射されて十分な起電力が発生すると、ソーラーパネル21から逆流防止ダイオード22を通して二次電池7が充電される。これにより、二次電池7に蓄えられた電力によって時計回路23が動作する。
【0040】
また、図6に示すように、電池収納部8に一次電池14が収納されると、図8に示すように、この一次電池14の負極14aに第1電極板11が接続され、一次電池14の正極14bに第3電極板13が接続される。また、検査用の第2電極板12は、一次電池14の負極14aに電池判別用シール9が設けられていないため、一次電池14の負極14aに接触して接続される。この状態では、第1電極板11と第2電極板12とが一次電池14の負極14aによって短絡するため、ソーラーパネル21に光が照射されて起電力が発生しても、一次電池14が充電されることがない。なお、このときには、一次電池14の電力で時計回路23が動作する。
【0041】
このように、この時計モジュール1の充電装置20によれば、ソーラーパネル21で充電されるコイン型の二次電池7と、この二次電池7の負極7aにそれぞれ接触可能に設けられた第1、第2電極板11、12と、二次電池7の正極7bに接触可能に設けられた第3電極板13と、二次電池7の負極7aの表面に貼り付けられて第2電極板12が負極7aに接触するのを阻止する絶縁性の電池判別用シール9とを備え、第1、第3電極板11、13にソーラーパネル21の出力が印加され、第2電極板2が第3電極板13に電気的に接続された構成であるから、電池収納部8に二次電池7が収納されると、ソーラーパネル21によって充電することができ、また電池収納部8に一次電池14が収納されても、一次電池14の充電を防ぐことができる。
【0042】
すなわち、この充電装置20では、コイン型の二次電池7の負極7aの表面に設けられた絶縁性の電池判別用シール9によって、その負極7aに第2電極板12が接触するのを阻止していることにより、指定された二次電池であるか否かを判別することができる。例えば、二次電池7を交換するときに、一次電池14を電池収納部8に収納すると、この一次電池14には電池判別用シール9が設けられていないため、第2電極板12が一次電池14の負極14aに接触し、この第2電極板12と第1電極板11とが短絡することにより、ソーラーパネル21から電力が一次電池14に供給されることがないので、一次電池14の充電を防ぐことができる。
【0043】
この場合、ソーラーパネル21で充電される二次電池7は、上面が負極7aに形成され、これ以外のほぼ全ての面つまり下面および側面が正極7bに形成され、これにより表面のほぼ全体が負極7aと正極7bとの電極で形成されたコイン型の電池であっても、負極7aの表面に絶縁性の電池判別用シール9が設けられていることにより、この電池判別用シール9によって、二次電池であるか否かを判別するための検査用の第2電極板12が二次電池7の負極7aに接触するのを阻止するので、指定された二次電池7であるか否かを判別することができる。このため、1つの第2電極板12を追加するだけの少ない部品点数で、且つ狭い実装スペースで、簡単に且つ確実に電池の種類を判別して、指定された二次電池7以外の電池、つまり一次電池14の充電を防ぐことができる。
【0044】
すなわち、この電池判別用シール9は、ソーラーパネル21で充電されるコイン型の二次電池7における負極7aの表面に貼り付けられ、この負極7aの表面にそれぞれ接触可能に設けられた第1、第2電極板11、12のうち、検査用の第2電極板12が負極7aに接触するのを阻止するので、表面のほぼ全てが負極7aと正極7bとの電極に形成されたコイン型の二次電池7であっても、この二次電池7の負極7aの表面に貼り付けることができ、これにより第2電極板12が接触するのを阻止することができるので、指定された二次電池7であるか否かを確実に判別することができる。
【0045】
また、この電池判別用シール9は、二次電池7の負極7aの表面に貼り付けるだけで良いので、簡単に二次電池7に取り付けて使用することができる。特に、この電池判別用シール9は、取付スペースをほとんど必要とせずに二次電池7に取り付けることができるほか、二次電池7の負極7aの表面形状に合った形状に簡単に製作することができ、その製作が容易で、その取付作業も簡単にできるので、生産性が高く、低価格なものを提供することができる。
【0046】
さらに、この電池判別用シールシート10によれば、電池判別用シール9がベース材10aに剥離可能に接触層によって複数個設けられているので、所望する電池判別用シール9を自由にベース材10aから接着層と共に剥離することができると共に、この接着層によって二次電池7の負極7aの表面に簡単に且つ容易に貼り付けることができ、これにより電池判別用シール9の取り扱いが容易で便利である。
【0047】
(実施形態2)
次に、図9を参照して、この発明を腕時計に適用した実施形態2について説明する。なお、図1〜図8に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この腕時計に組み込まれる時計モジュール1は、充電装置30が実施形態1と異なる構成で、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。すなわち、この充電装置30は、ソーラーパネル21に代えて外部充電器31を用いると共に、二次電池7の過充電を防ぐ過充電防止回路32を組み込んだ構成になっている。
【0048】
すなわち、外部充電器31は、時計モジュール1とは別に構成され、時計モジュール1の外部に配置されて、時計モジュール1に電気的に接続されるように構成されている。この場合、外部充電器31の正極は、実施形態1と同様に、逆流防止ダイオード22のアノードに接続されており、この逆流防止ダイオード22のカソードは、二次電池7の正極7bまたは一次電池14の正極14bに接触する第3電極板13に接続されている。
【0049】
また、外部充電器31の負極は、過充電防止回路32を介して二次電池7の負極7aまたは一次電池14の負極14aに接触する第1電極板11に接続されている。さらに、第3電極板13に接続された外部充電器31の正極は、二次電池7の負極7aに設けられた電池判別用シール9または一次電池14の負極14aに接触する検査用の第2電極板12に接続されている。この場合、過充電防止回路32は、第3電極板13と第1電極板11とに二次電池7または一次電池14と並列に接続されている。なお、第1、第3電極板11、13には、過充電防止回路32を介して時計回路23が接続されている。
【0050】
次に、この充電装置30の回路の動作について説明する。
まず、図1に示すように、電池収納部8に二次電池7が収納されると、図9に示すように、この二次電池7の負極7aに第1電極板11が接続されると共に、この二次電池7の正極7bに第3電極板13が接続される。また、検査用の第2電極板12は、二次電池7の負極7aに設けられた電池判別用シール9に接触し、二次電池7の負極7aに接続されていない。この状態で、外部充電器31が接続されると、この外部充電器31から逆流防止ダイオード22を通して二次電池7が充電される。そして、二次電池7の充電が過剰になると、外部充電器31から過充電防止回路32に電流がなれて二次電池7の過充電を防ぐ。これにより、二次電池7に蓄えられた電力によって時計回路23が動作する。
【0051】
また、図6に示したように、電池収納部8に一次電池14が収納されると、図9に示すように、この一次電池14の負極14aに第1電極板11が接続されると共に、この一次電池14の正極14bに第3電極板13が接続される。また、検査用の第2電極板12は、図示しないが、一次電池14の負極14aに電池判別用シール9が設けられていないため、一次電池14の負極14aに接触して接続される。この状態では、第1電極板11と第2電極板12とが一次電池14の負極14aによって短絡するため、外部充電器31によって一次電池14が充電されることがない。なお、このときには、一次電池14の電力で時計回路23が動作する。
【0052】
このように、この充電装置30によれば、実施形態1と同様、表面のほぼ全てが負極7aと正極7bとの電極に形成されたコイン型の二次電池7であっても、この二次電池7の負極7aの表面に電池判別用シール9が設けられていることにより、この電池判別用シール9によって、二次電池7の負極7aの表面に第2電極板12が接触するのを阻止することができ、これにより指定された二次電池7であるか否かを判別することができる。このため、二次電池7を交換するときに、誤って一次電池14を電池収納部8に収納しても、一次電池14の充電を確実に防ぐことができる。
【0053】
これにより、実施形態1と同様、1つの第2電極板12を追加するだけの少ない部品点数で、且つ狭い実装スペースで、簡単に且つ確実に電池の種類を判別し、指定された二次電池7以外の電池、つまり一次電池14の充電を防ぐことができるほか、特に過充電防止回路32を備えているので、二次電池7の充電が過剰になると、外部充電器31から過充電防止回路32に電流がなれて二次電池7の過充電を防ぐことができ、これにより二次電池7を安全に保護することができる。
【0054】
なお、上記実施形態1、2では、二次電池7の上面の負極7aに電池判別用シール9を貼り付け、この電池判別用シール9に第2電極板12を接触させて、第2電極板12が二次電池7の負極7aに接触するのを阻止するように構成した場合について述べたが、これに限らず、例えば二次電池7の下面の正極7bに電池判別用シール9を貼り付け、この電池判別用シール9に第2電極板12を接触させて、第2電極板12が二次電池7の正極7bに接触するのを阻止するように構成しても良い。この場合には、第1電極板11を二次電池7の正極7bに接触させるように設け、第3電極板13を二次電池7の負極7aに接触させるように設ければ良い。
【0055】
また、上記実施形態1、2では、電池判別用シール9が円形状に形成され、その中心部に貫通孔9aが設けられた構成になっている場合について述べたが、必ずしも電池判別用シールは円形状である必要はなく、二次電池7の負極7aと正極7aとの一方の電極の表面を覆う形状であれば、三角形、四角形、五角形などの多角形や楕円形状などの各種の形状であっても良く、また貫通孔9aは必ずしも中心部に設けられている必要はなく、第2電極板12が挿入しない位置であれば、どのような位置に設けられていても良い。
【0056】
さらに、上記実施形態1、2では、腕時計に組み込まれる時計モジュール1に適用した場合にいて述べたが、これに限らず、トラベルウオッチや目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の時計に用いられる時計モジュールにも適用することができるほか、携帯電話機やPDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)などの各種の電子機器にも広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明を適用した腕時計の時計モジュールを示した拡大断面図である。(実施形態1)
【図2】図1の二次電池を上側から見た拡大斜視図である。
【図3】図2の二次電池に電池判別用シールを貼り付ける状態を示した分解斜視図である。
【図4】図3の電池判別用シールをベース材に複数個設けた電池判別用シールシートを示した斜視図である。
【図5】図1の第1電極板を示した拡大斜視図である。
【図6】図1の電池収納部に一次電池を収納した場合の時計モジュールを示した拡大断面図である。
【図7】図1の時計モジュールにおける充電装置の回路図である。
【図8】図7の充電装置に一次電池を装着した場合の回路図である。
【図9】この発明を適用した腕時計の時計モジュールにおける充電装置の回路図である。(実施形態2)
【符号の説明】
【0058】
1 時計モジュール
4 回路基板
7 二次電池
7a 負極
7b 正極
8 電池収納部
9 電池判別用シール
9a 貫通孔
10 電池判別用シールシート
10a ベース材
11 第1電極板
12 第2電極板
13 第3電極板
14 一次電池
14a 負極
14b 正極
20、30 充電装置
21 ソーラーパネル
31 外部充電器
32 過充電防止回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面が第1の電極に形成され、この一面以外のほぼ全ての面が第2の電極に形成されて、発電装置で充電される二次電池において、
この二次電池の前記第1、第2の電極のうちいずれか一方の電極の表面に、二次電池であるか否かを判別するための導電性接触片が前記一方の電極の表面に接触するのを阻止する絶縁層が設けられていることを特徴とする二次電池。
【請求項2】
全体がコイン型で、前記一面及びこの一面の反対側の他面は円形状をなし、
前記絶縁層が、前記一面若しくは他面に設けられていることを特徴とする二次電池。
【請求項3】
前記絶縁層が、リング形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項4】
発電装置と、
一面が第1の電極に形成され、この一面以外のほぼ全ての面が第2の電極に形成されて、前記発電装置で充電される二次電池と、
この二次電池の前記第1、第2の電極のうちいずれか一方の電極の表面に、それぞれ接触可能に設けられた第1、第2導電性接触片と、
前記二次電池の前記第1、第2の電極のうち他方の電極の表面に、接触可能に設けられた第3導電性接触片と、
前記二次電池の前記一方の電極の表面に貼り付けられて前記第2導電性接触片が前記一方の電極の表面に接触するのを阻止する絶縁層とを備え、
前記第1、第3導電性接触片に前記発電装置の出力が印加され、
前記第2導電性接触片が前記一方の電極の表面に接触していない場合のみ、充電が行われることを特徴とする充電装置。
【請求項5】
前記第1導電性接触片が前記第2導電性接触片に電気的に接続されていることを特徴とする請求項4記載の充電装置。
【請求項6】
前記第1、第3導電性接触片には、過充電防止回路が前記二次電池と並列に接続されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の充電装置。
【請求項7】
一面が第1の電極に形成され、この一面以外のほぼ全ての面が第2の電極に形成されて、発電装置で充電される二次電池における前記第1、第2の電極のうちいずれか一方の電極の表面に貼り付けられ、この一方の電極の表面にそれぞれ接触可能に設けられた2つの導電性接触片のうち、1つの導電性接触片が前記一方の電極の表面に接触するのを阻止することを特徴とする電池判別用シール。
【請求項8】
中心部に、前記2つの導電性接触片のうち他の1つの導電接触片が挿入される孔が形成されているリング形状であることを特徴とする請求項7記載の電池判別用シール。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の電池判別用シールがベース材に剥離可能に複数個設けられていることを特徴とする電池判別用シールシート。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−331668(P2006−331668A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−149170(P2005−149170)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】