説明

二次電池および二次電池を搭載した車両

【課題】エネルギ密度の向上を図ることができる二次電池を提供すること。
【解決手段】二次電池は、正極シート21及び負極シート22がセパレータ23を介して交互に積層された積層体14と、正極シート21に接続される正極集電部41とを備えている。正極集電部41は、積層体14の一側面14aに対向する正極側対向面41aを有しており、正極側対向面41aは積層体14の一側面14aにおける積層方向の幅全体に渡り延びている。正極側対向面41aには正極側突条61が設けられており、負極シート22における正極側突条61と対向する部位には正極側凹部62が形成されている。正極側突条61と正極シート21とは電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池および二次電池を搭載した車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばリチウムイオンを吸蔵及び放出が可能な物質(活物質)を電極シートに塗布した二次電池は、そのエネルギ密度が高く、サイクル特性に優れた電池である。このような二次電池としては、電池ケース内に、正極シート及び負極シートがセパレータを介して積層された積層体を収容したものがある(例えば特許文献1参照)。特許文献1の二次電池によれば、電池ケースには開口が設けられており、当該開口が集電部を備えた蓋部によって塞がれることにより、電池ケースは密閉されている。また、特許文献1の二次電池においては、負極シートが電池ケースに電気的に接続されているとともに、正極リードを介して正極シートと集電部とが電気的に接続されている。また、例えば図6に示すように、電池ケース101内に積層体102を収容した二次電池100においては、積層体102を構成する正極シート111及び負極シート112それぞれに、各電極シート111,112の端縁の一部から突出した集電タブ121,122が設けられている。そして、各集電タブ121,122と、蓋部101aに設けられた集電部としての各端子131,132とが、同一極性同士で電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−235174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図6に示すように、各電極シート111,112の端縁のうち各集電タブ121,122が設けられていない部位、すなわち集電部と接続されない部位は、各集電タブ121,122よりも低い位置にある。そして、その部位よりも上側には、充放電に寄与しない、詳細には活物質が設けられていないデッドスペースが形成される(図6における領域S参照)。すると、二次電池100のエネルギ密度の低下が懸念される。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであって、エネルギ密度の向上を図ることができる二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するため、請求項1に記載の発明は、活物質が塗布された電極シートとしての正極シート及び負極シートが、セパレータを介して交互に積層された積層体と、前記正極シートに接続される正極集電部と、前記負極シートに接続される負極集電部と、を備えた二次電池において、前記正極集電部及び前記負極集電部は、前記積層体の一側面に対向する対向面を有するとともに、前記対向面は前記一側面における前記積層体の積層方向の幅全体に渡り延びた形状をなしており、前記正極集電部及び前記負極集電部の少なくとも一方の前記対向面には突部が設けられており、前記正極シート及び前記負極シートのうち前記突部が設けられている集電部の極性とは異なる極性の電極シートにおける前記突部と対向した部位には凹部が設けられており、前記突部と、前記正極シート及び前記負極シートのうち前記突部が設けられている集電部の極性と同一極性の電極シートにおける前記突部と対向した部位とが電気的に接続されていることを特徴とする。
【0007】
かかる発明によれば、積層体の一側面に対向する対向面に設けられた突部と、突部が設けられている集電部の極性と同一極性の電極シートにおける突部と対向した部位との電気的接続によって、同一極性の集電部と電極シートとが電気的に接続されている。一方、凹部が設けられているため、異なる極性の集電部と電極シートとが接触せず、両者が電気的に接続されないようになっている。そして、電極シートにおいて凹部が設けられている部位以外の部位は突部の位置まで張り出している。これにより、電極シートにおいて、集電部と電気的に接続されない部位であっても、突部の位置まで張り出すことにより、活物質が設けられていないデッドスペースを小さくすることができ、エネルギ密度の向上を図ることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記セパレータにおける前記突部と対向した部位は、前記正極シートおよび前記負極シートに融着していることを特徴とする。かかる発明によれば、各電極シートに対するセパレータの位置ずれを抑制することができる。よって、上記位置ずれに起因して、正極シートと負極シートとが接触する事態を回避することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記突部は、前記積層体の積層方向に延びた突条であることを特徴とする。かかる発明によれば、突条と各電極シートとを好適に接触させることができ、同一極性の集電部と電極シートとの電気的接続に関する信頼性の向上を図ることができる。また、1の突条が複数の電極シートと接触することとなるため、電極シート毎に突部が設けられている構成と比較して、突部の形状のバラつきに起因する接触ムラを低減することができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記突部と、前記正極シート及び前記負極シートのうち前記突部が設けられている集電部の極性と同一極性の電極シートにおける前記突部と対向した部位とがインダイレクト溶接により接合されていることを特徴とする。かかる発明によれば、同一極性の集電部と電極シートとの電気的接続を好適に実現することができる。特に、請求項2に記載の発明との関係によれば、インダイレクト溶接の際に発生する熱によってセパレータが溶融して、正極シート及び負極シートに融着する。これにより、セパレータを融着させるための処理を別途行う必要がない。よって、上記位置ずれの抑制を容易に実現することができる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記突部は、前記一側面に向けて先細り形状をなしていることを特徴とする。かかる発明によれば、突部と、当該突部が設けられている集電部の極性と同一極性の電極シートにおける突部と対向した部位との接触面積が小さくなっている。これにより、接触箇所における抵抗が大きくなるため、インダイレクト溶接を行う場合において、その接触箇所にて発生する熱が大きくなる。よって、両者の接合を好適に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、エネルギ密度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る二次電池の実施形態についてその概略を示す断面図。
【図2】積層体及び各集電部の概略を示す斜視図。
【図3】(a)負極シートの正面図、(b)正極シートの正面図、(c)セパレータの正面図、(d)各電極シート及びセパレータを積層させた正面図。
【図4】(a)積層体及び正極集電部の接続態様を説明するための部分拡大図、(b)A−A線断面図。
【図5】(a)正極集電部の別例を示す平面図、(b)正極集電部の別例を示す斜視図、(c)別例の正極集電部を用いた場合のA−A線断面図。
【図6】従来例の二次電池の概略を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
先ず、車両に搭載された二次電池10の概要について図1〜図3を用いて説明する。なお、図面の都合上、図1において各突条61,71を省略して示すとともに、積層体14のハッチングを省略して示し、図2において各電極シート21,22及びセパレータ23の厚みを実際よりも大きくして示す。
【0015】
図1に示すように、二次電池10の外殻を構成する容器11は、上方に開口した器部12と、器部12の開口を塞ぐ蓋部13と、を備えている。容器11内には、活物質が塗布された電極シートを複数積層してなる積層体14と、電解液とが収容されている。図2に示すように、積層体14は、電極シートとしての複数の正極シート21及び複数の負極シート22が、セパレータ23を介して交互に積層されて構成されている。
【0016】
図3(a)〜(c)に示すように、各電極シート21,22及びセパレータ23は、長方形状をなしている。各電極シート21,22及びセパレータ23は同一の大きさに形成されている。これにより、これらを重ね合わせた場合に、各電極シート21,22の間にセパレータ23が介在することとなり、各電極シート21,22間の短絡を抑制することができる。
【0017】
図1に示すように、二次電池10は、正極端子31と負極端子32とを備えている。正極端子31は、複数の正極シート21と電気的に接続される正極集電部41と、当該正極集電部41に一体形成された正極外部端子部42とを備えている。図2に示すように、正極集電部41は板状をなしている。正極集電部41は、積層体14に対してその積層方向に跨るように上方から取り付けられている。詳細には、正極集電部41は、積層体14の上側面である一側面14aと対向する正極側対向面41aを有している。正極側対向面41aは、積層体14の一側面14aにおける積層方向の幅全体に渡り延びており、詳細には正極側対向面41aの積層方向の長さ寸法と、積層体14の一側面14aの積層方向の長さ寸法とが略同一に設定されている。そして、正極側対向面41aと積層体14の一側面14aとが接触し、且つ正極側対向面41aの積層方向の両端と積層体14の一側面14aの積層方向の両端とが揃うように、正極集電部41が積層体14に取り付けられている。この場合、正極集電部41は全ての正極シート21に跨って配置されている。
【0018】
図1に示すように、正極外部端子部42は、正極集電部41において正極側対向面41aとは反対の面に設けられており、容器11の蓋部13に設けられた貫通孔13aを介して容器11から外方に突出している。
【0019】
なお、図1に示すように、負極端子32も、正極端子31と同様に、積層体14の一側面14aと対向する負極側対向面51aを有する負極集電部51と、当該負極集電部51に一体形成されたものであって蓋部13の貫通孔13bを介して容器11から外方に突出した負極外部端子部52とを備えている。図2に示すように、負極側対向面51aは、正極側対向面41aと同様に、積層体14の一側面14aにおける積層方向の幅全体に渡り延びており、当該積層体14の一側面14aと接触している。
【0020】
図1に示すように、各電極シート21,22は、各集電部41,51が容器11内に収容可能な範囲内で大きく形成されている。詳細には、各電極シート21,22における各集電部41,51の取付方向(容器11の深さ方向)の長さ寸法は、容器11の深さ寸法から各集電部41,51の厚み寸法を引いた寸法よりも若干短く設定されている。
【0021】
次に、各集電部41,51と各電極シート21,22との接続態様について説明する。ここで、正極集電部41及び各電極シート21,22の接続態様と、負極集電部51及び各電極シート21,22の接続態様とは、極性が異なる点を除いて、基本的には同一であるため、正極集電部41に係る接続態様について図2,3に加えて図4を用いて説明し、負極集電部51については説明を省略する。
【0022】
図2及び図4(a)に示すように、正極集電部41の正極側対向面41aには、積層体14の積層方向に延びた正極側突条61が設けられている。正極側突条61は、積層体14の積層方向と直交する方向であって、各電極シート21,22の端縁のうち積層体14の一側面14aを構成する端縁の延びる方向に並んで複数設けられており、詳細には各電極シート21,22の長手方向に並んで複数設けられている。図4(a)に示すように、正極側突条61は積層体14の一側面14aに向けて先細り形状をなしており、積層体14の一側面14aに向けて尖っている。
【0023】
図2及び図4(a)に示すように、負極シート22には、正極集電部41に対応させて、正極側突条61と対向する部位(端部)を切り欠くことにより正極側凹部62が形成されている。正極側凹部62は、正極集電部41(正極側突条61)と接触しない範囲内で小さく形成されており、詳細には正極側凹部62の幅寸法は、正極集電部41の幅寸法と同一又はそれよりも若干大きく設定されている。
【0024】
これに対して、図4(a),(b)に示すように、正極集電部41と同一極性の正極シート21において正極側突条61と対向する部位(端部)には、活物質が除去された正極側金属部63が形成されている。図4(a)に示すように、正極側金属部63の幅寸法は、正極側凹部62の幅寸法と同一に設定されている。積層体14において、正極側金属部63と正極側凹部62とは、セパレータ23を介して積層方向に重なり合っている。正極側突条61と正極側金属部63とは接触しており、その接触箇所はインダイレクト溶接により接合されている。なお、正極側金属部63の深さ寸法は、正極側凹部62の深さ寸法よりも短く設定されているが、これに限られず、両者の深さ寸法を同一にしてもよい。
【0025】
また、図2に示すように、負極集電部51の負極側対向面51aには負極側突条71が設けられている。そして、図3(a),(b)に示すように、正極シート21には負極側凹部72が形成されており、負極シート22には負極側金属部73が形成されている。
【0026】
次に、本実施形態における二次電池10の作用について説明する。
図1に示すように、負極シート22に正極側凹部62が設けられ、正極シート21に負極側凹部72が設けられているため、各電極シート21,22と各集電部41,51とにおいて、異なる極性のものが接触しないようになっている。具体的には、図4(b)に示すように、正極集電部41の正極側突条61は、正極シート21の正極側金属部63とは溶接されている一方、負極シート22とは接触していない。この場合、図4(a),(b)に示すように、負極シート22において正極側凹部62が設けられていない端縁及び正極シート21の端縁は、正極集電部41の正極側突条61の先端部と同一高さ位置まで張り出している。つまり、図1に示すように、積層体14において各集電部41,51が取り付けられる一側面14aは、各凹部62,72が形成されている箇所を除いて面一となっており、各集電部41,51が配置されるスペースを残しつつ蓋部13側に張り出している。
【0027】
次に、二次電池10の製造方法における積層体14と各集電部41,51との溶接工程及び作用について説明する。なお、正極側と負極側とは、極性が異なる点を除いて同一であるため、基本的には正極側についてのみ説明する。
【0028】
先ず、正極集電部41の正極側突条61が積層体14の一側面14aにおける正極側金属部63及び正極側凹部62が重なっている部位と接触するように、正極集電部41を上方から配置する(図4(a)参照)。この場合、図4(b)に示すように、正極側突条61は、正極側金属部63とは接触する一方、負極シート22とは接触しない。そして、図4(a)に示すように、正極集電部41において正極側突条61の配列方向の両端間に電圧を印加する。これにより、各正極側突条61及び各正極シート21の接触箇所に電流が流れ、各正極側突条61と各正極シート21とが一括で溶接される(インダイレクト溶接)。一方、正極側突条61は負極シート22に接触しないため、両者の間には電流が流れず、両者は溶接されない(電気的に接続されない)。
【0029】
ここで、正極側突条61が先細り形状となっているため、正極側突条61と正極シート21(正極側金属部63)との接触面積が小さくなっている。これにより、接触箇所の抵抗が大きくなり、インダイレクト溶接において接触箇所にて発生する熱量が大きくなる。よって、両者の溶接を好適に行うことができる。特に、正極シート21の正極側金属部63には活物質が設けられていないため、インダイレクト溶接における活物質に起因する溶接強度の低下を抑制することができるとともに、活物質に起因する伝導性の低下を抑制することができる。
【0030】
また、インダイレクト溶接によって生じた熱によってセパレータ23の一部が溶融して、各電極シート21,22に対して融着する(図4(b)参照)。詳細には、インダイレクト溶接に係る電圧印加によって、セパレータ23においてインダイレクト溶接に係る電流経路と接している部位、具体的には正極側突条61(又は正極側金属部63)と接触している部位が溶融して各電極シート21,22に融着する。つまり、セパレータ23における正極側突条61と対向する部位が各電極シート21,22に融着する。これにより、各電極シート21,22に対するセパレータ23の位置ずれが発生しないようになっている。
【0031】
以上詳述した本実施形態では以下の効果が得られる。
(1)各集電部41,51は積層体14の一側面14aに対向する各対向面41a,51aを有し、各対向面41a,51aを、積層体14の一側面14aにおける積層方向の幅全体に渡り延びた形状とした。そして、各対向面41a,51aに各突条61,71を設け、各電極シート22,21において、異なる極性の集電部の突条と対向する部位には各凹部62,72を形成し、異なる極性の集電部と電極シートとが溶接されることを回避した。また、各電極シート22,21において、各凹部62,72を除いた端縁は、各集電部41,51との溶接位置、詳細には各突条61,71の先端部と同一高さ位置まで張り出している。これにより、各電極シート21,22において各集電部41,51と電気的に接続されない部位であっても、各突条61,71の先端部まで張り出すことにより、容器11内に占める各電極シート21,22の割合を大きくすることができる。よって、二次電池10のエネルギ密度の向上を図ることができる。
【0032】
(2)積層体14の積層方向に延びた各突条61,71を採用したことにより、インダイレクト溶接時に各集電部41,51が積層方向へ位置ずれした場合であっても、各集電部41,51及び各電極シート21,22の同一極性同士が好適に接触し、インダイレクト溶接を好適に行うことができる。これにより、同一極性同士の各集電部41,51及び各電極シート21,22の電気的接続に関する信頼性の向上を図ることができる。また、1の突条が複数の電極シートと接触することとなるため、電極シート毎に突部を設ける構成と比較して、突部の形状のバラつきに起因する溶接ムラ(接触ムラ)を抑制することができる。
【0033】
(3)セパレータ23における各突条61,71と対向した部位は、各電極シート21,22に融着している。これにより、各電極シート21,22に対するセパレータ23の位置ずれを抑制することができる。よって、セパレータ23の位置ずれに起因する各電極シート21,22間の短絡を抑制することができる。
【0034】
(4)正極側突条61と、正極シート21における正極側突条61と対向した部位とがインダイレクト溶接によって接合されている。これにより、両者の電気的接続が実現されている。特に、インダイレクト溶接を行うことに伴って、セパレータ23における各突条61,71と対向した部位が溶融して、各電極シート21,22に融着される。これにより、上記融着のための処理を別途実行する必要がない。よって、上記融着を容易に実現することができる。
【0035】
また、正極側突条61は積層体14の一側面14a側に向けて先細り形状となっているため、正極側突条61と正極シート21(正極側金属部63)との接触面積が小さくなっている。これにより、インダイレクト溶接において接触箇所にて発生する熱が大きくなるため、両者の接合を好適に行うことができる。
【0036】
(5)正極側突条61は、各電極シート21,22の長手方向に複数並んで配置されている。これにより、正極集電部41において正極側突条61の配列方向の両端間に電圧を印加した場合に、各正極側突条61と正極シート21とが一括して溶接される。よって、1回の電圧印加で、複数箇所のインダイレクト溶接を実現することができ、インダイレクト溶接の容易化を図ることができる。
【0037】
(6)各電極シート21,22において、同一極性の集電部の突条と対向する部位に、活物質を除去した各金属部63,73を形成した。積層体14において、セパレータ23を介して、正極側金属部63と正極側凹部62とが重なっているとともに、負極側金属部73と負極側凹部72とが重なっている。各凹部62,72が形成されている箇所は充放電に寄与しないデッドスペースである。すなわち、デッドスペースを利用して、インダイレクト溶接を好適に行うための各金属部63,73が形成されていると言える。これにより、各凹部62,72を形成したことに起因するデッドスペースを利用しつつ、インダイレクト溶接を好適に行うことができる。
【0038】
本発明では以下のように実施してもよい。
○ 実施形態では、各電極シート21,22における各集電部41,51(各突条61,71)が接触する側の端部のうち、同一極性の集電部と対向する部位のみに、活物質が除去された各金属部63,73を形成したが、これに限られず、例えば上記端部全体に亘って活物質を除去してもよい。この場合、積層体14に対する各集電部41,51の各電極シート21,22の長手方向への位置ずれが発生した場合であっても、インダイレクト溶接を好適に行うことができる。但し、エネルギ密度の観点に着目すれば、活物質を除去する領域は、溶接が可能な範囲内で小さく設定されている方がよい。
【0039】
○ 図5(a)に示すように、正極集電部81において、積層体14の積層方向、換言すればインダイレクト溶接に係る電圧印加方向と交差する(直交する)方向に延びるスリット82を形成してもよい。この場合、正極集電部81の両端間に電圧を印加した場合に、スリット82によって両端が短絡する事態を回避することができる。詳細には、スリット82が形成されているため、正極集電部81内での両端間の抵抗が大きくなり、正極集電部81内を電流が流れにくくなる。そして、その分だけ正極集電部81及び正極シート21間を流れる電流が大きくなる。これにより、正極集電部81及び正極シート21間の電流密度を高めることができ、インダイレクト溶接をより好適に行うことができる。
【0040】
○ 図5(b),(c)に示すように、正極集電部91において積層体14の一側面14aと対向する正極側対向面91aに、正極側突条61に代えて、複数の突起部92を所定の間隔だけ離間させて形成してもよい。この場合、各突起部92と各正極シート21とが接触するように、正極シート21の積層間隔に対応させて、各突起部92の積層方向のピッチを設定する。但し、積層方向の位置合わせを容易に行うことができる点、及び信頼性の観点に着目すれば、積層方向に延びた正極側突条61を設ける構成の方が好ましい。
【0041】
○ 各凹部62,72は、異なる極性の集電部と接触しないよう構成されていればよく、その具体的な形状は任意である。但し、エネルギ密度を高める観点に着目すれば、異なる極性の集電部と接触しない範囲内で小さく形成されているのが好ましい。また、振動が付与された場合に接触しないようにする点に着目すれば、各凹部62,72の深さ寸法を各金属部63,73の深さ寸法よりも大きく設定するとよい。
【0042】
また、複数の正極側突条61に対して1の正極側凹部62を設ける構成としたが、これに限られず、例えば各正極側突条61それぞれに対して正極側凹部を設ける構成としてもよい。具体的には、負極シート22において各正極側突条61に対向する各部位それぞれに、幅寸法が正極側突条61の先端部よりも大きく且つ正極側突条61のピッチよりも小さい正極側凹部を設ける。そして、正極シート21において各正極側突条61に対向する各部位それぞれに、正極側凹部と同一形状の正極側金属部を設ける。かかる構成によれば、各正極側凹部間の領域を、活物質の領域にすることができ、エネルギ密度の更なる向上を図ることができる。但し、積層体14に対する正極集電部41の各電極シート21,22の長手方向の位置ずれに起因する短絡を抑制する観点に着目すれば、複数の正極側突条61に対して1の正極側凹部62を設ける構成の方が好ましい。
【0043】
○ 各突条61,71は、積層体14の一側面14aに向けて先細りとなっていればよく、その具体的な形状は任意である。
○ セパレータ23は、各突条61,71と接触する構成としたが、これに限られず、接触しない構成としてもよい。この場合であっても、各金属部63,73と接触している箇所が溶融して、セパレータ23と各電極シート21,22とが接合する。但し、セパレータ23をより好適に融着させること及び各電極シート21,22間の短絡を抑制すること等に着目すれば、セパレータ23と各突条61,71とが接触している構成の方がよい。
【0044】
○ 実施形態では、各電極シート21,22及びセパレータ23が同一形状に形成されていたが、これに限られず、例えばセパレータ23を各電極シート21,22よりも若干大きく形成してもよい。また、正極シート21を、負極シート22よりも小さく形成してもよい。この場合、積層体14において各集電部41,51が取り付けられる一側面14aが面一となるように、各電極シート21,22及びセパレータ23の相対位置を設定するとよい。これにより、インダイレクト溶接の信頼性を高めつつ、各電極シート21,22間の短絡をより好適に抑制することができるとともに、負極側にて正極物質が析出することを抑制することができる。但し、セパレータ23を各電極シート21,22よりも大きく形成し、正極シート21を負極シート22よりも小さく形成すると、充放電に寄与しないデッドスペースが発生する。このため、エネルギ密度の点に着目すれば、各電極シート21,22及びセパレータ23を同一に形成する方がよい。
【0045】
○ 実施形態では、各集電部41,51が取り付けられる積層体14の一側面14aは上側面であったが、これに限られず、積層体14の右側面、左側面又は下側面であってもよい。この場合、それに合わせて、各凹部62,72及び各金属部63,73の位置を変更する。
【0046】
○ 正極側対向面41aの積層方向の長さ寸法と、積層体14の一側面14aの積層方向の長さ寸法とが略同一に設定されていたが、これに限られない。要は、各集電部41,51が、積層体14を構成する各電極シート21,22及びセパレータ23に跨って配置されるべく、各対向面41a,51aは、積層体14の一側面14aにおける積層体14の積層方向の幅全体に渡って延びていればよい。
【0047】
例えば、正極側対向面41aの積層方向の長さ寸法を、積層体14の一側面14aの積層方向の長さ寸法よりも大きく設定してもよい。この場合、正極集電部41が積層体14に対して積層方向に位置ずれした場合であっても、正極集電部41と各正極シート21とを接触させることができる。但し、上記構成では、正極集電部41の一部が、積層体14に対してその積層方向に突出してしまい、積層体14の積層方向の両端側に充放電に寄与しないデッドスペースが形成され得る。このため、エネルギ密度の観点に着目すれば、正極側対向面41aの積層方向の長さ寸法と、積層体14の一側面14aの積層方向の長さ寸法とが略同一に設定されている方がよい。
【0048】
○ 実施形態では、各電極シート21,22は長方形状に形成されていたが、これに限られず、例えば正方形状に形成してもよい。
○ 実施形態では、正極側及び負極側双方について本発明を適用したが、これに限られず、いずれか一方のみについて本発明を適用してもよい。
【0049】
○ 実施形態では、二次電池10は車両に搭載されていたが、搭載される対象はこれに限られず、例えば車両以外のものであってもよい。
上述した実施形態及び別例から把握できる技術思想について以下に記載する。
【0050】
(イ)前記各集電体のうち少なくとも一方には、前記積層方向に延びたスリットが形成されていることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の二次電池。
(ロ)前記突部は、前記対向面において、前記積層方向と直交する方向であって前記各電極シートの端縁のうち前記積層体の一側面を構成する端縁の延びる方向に複数並んで設けられていることを特徴とする請求項1〜5及び技術思想(イ)のうちいずれか一項に記載の二次電池。
【0051】
(ハ)前記正極シート及び前記負極シートのうち前記突部が設けられている集電部の極性と同一極性の電極シートにおける前記突部と対向した部位には、前記活物質が除去された金属部が形成されていることを特徴とする請求項1〜5及び技術思想(イ),(ロ)のうちいずれか一項に記載の二次電池。
【符号の説明】
【0052】
10…二次電池、11…容器、14…積層体、14a…一側面、21…電極シートとしての正極シート、22…電極シートとしての負極シート、23…セパレータ、41…正極集電部、41a…正極側対向面、51…負極集電部、51a…負極側対向面、61…正極側突条、62…正極側凹部、63…正極側金属部、71…負極側突条、72…負極側凹部、73…負極側金属部、82…スリット、92…突起部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活物質が塗布された電極シートとしての正極シート及び負極シートが、セパレータを介して交互に積層された積層体と、
前記正極シートに接続される正極集電部と、
前記負極シートに接続される負極集電部と、
を備えた二次電池において、
前記正極集電部及び前記負極集電部は、前記積層体の一側面に対向する対向面を有するとともに、前記対向面は前記一側面における前記積層体の積層方向の幅全体に渡り延びた形状をなしており、
前記正極集電部及び前記負極集電部の少なくとも一方の前記対向面には突部が設けられており、
前記正極シート及び前記負極シートのうち前記突部が設けられている集電部の極性とは異なる極性の電極シートにおける前記突部と対向した部位には凹部が設けられており、
前記突部と、前記正極シート及び前記負極シートのうち前記突部が設けられている集電部の極性と同一極性の電極シートにおける前記突部と対向した部位とが電気的に接続されていることを特徴とする二次電池。
【請求項2】
前記セパレータにおける前記突部と対向した部位は、前記正極シートおよび前記負極シートに融着していることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記突部は、前記積層体の積層方向に延びた突条であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記突部と、前記正極シート及び前記負極シートのうち前記突部が設けられている集電部の極性と同一極性の電極シートにおける前記突部と対向した部位とがインダイレクト溶接により接合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項5】
前記突部は、前記一側面に向けて先細り形状をなしていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の二次電池が搭載されたことを特徴とする車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−98080(P2013−98080A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241281(P2011−241281)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】