二次電池システム、およびこの二次電池システムを用いた車両
【課題】二次電池の充放電に伴う発電要素の膨張収縮に追従して、発電要素内部の圧力を適正に保つことのできる二次電池システムを提供する。
【解決手段】正極、電解質、負極からなる単電池を複数積層したリチウムイオン二次電池10を単電池の積層方向から規制手段4の下板42と規制板41によって挟み込み、その間隔を、二次電池10の充電時は二次電池10が膨張した分間隔を広げ、放電時は収縮した分間隔を狭くする。
【解決手段】正極、電解質、負極からなる単電池を複数積層したリチウムイオン二次電池10を単電池の積層方向から規制手段4の下板42と規制板41によって挟み込み、その間隔を、二次電池10の充電時は二次電池10が膨張した分間隔を広げ、放電時は収縮した分間隔を狭くする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池システム、およびこの二次電池システムを用いた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は、充放電時における負極へのリチウムの吸蔵、放出に伴い、電池全体が膨張収縮する。従来、このような電池の膨張収縮による影響を緩和する目的で、充電時に電池の両主面から電池を加圧して、電池内部において正極と負極の間隔が近くなるようにして充電効率を向上させる技術がある(特許文献1)。
【0003】
上記技術によれば、充電時に発生するガスなどの影響で電極間隔が開くので、これを防止するために充電時に電池を加圧することとなっている。
【特許文献1】特開2004−213902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、充電時に内圧を上昇するようにしているため、充電時においては、負極自体の膨張により二次電池内において正極、負極、およびセパレータの接触圧が強くなりすぎてしまうおそれがある。このような場合、セパレータの一部が圧力で薄くなりすぎて正極と負極が短絡するおそれさえある。一方、上記技術では、放電時のことがまったく考慮されていない。放電時に負極はリチウムを放出するため収縮する。したがって、放電時には電極板と活物質との接触がゆるくなり、内部抵抗が増加して放電電圧が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、二次電池の充放電に伴う二次電池の膨張収縮に追従して、発電要素内部の圧力を適正に保つことのできる二次電池システムを提供することである。
【0006】
また、本発明の目的は、二次電池の充放電に起因した不具合を抑え耐久性を向上させた車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の二次電池システムは、正極と負極が電解質を含むセパレータを介して対向してなる単電池を複数積層した二次電池を有する。そして、二次電池を積層方向から挟み込み、かつ、挟み込んだ間隔を可変可能な規制手段を備える。さらに、二次電池の充放電に起因して起こる二次電池の積層方向における寸法変化に対応して、充電時においては二次電池が積層方向に膨張した分間隔を広げ、放電時においては二次電池が積層方向に収縮した分前記間隔を狭くするように規制手段を制御する制御手段を有する。
【0008】
また、上記課題を解決するための本発明の車両は、上記二次電池システムをモータの電源として搭載したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の二次電池システムによれば、二次電池の充放電に伴う二次電池の膨張収縮に追従して規制手段の位置を変えるので、充放電に伴う膨張収縮による内部圧力の変化を吸収して内部圧を適正に保つことができる。
【0010】
また、本発明の車両によれば、搭載した二次電池システム自体が高耐久性を有するため、車両における電源系の耐久性も向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0012】
図1は本発明を適用した二次電池システムの構成を説明するためのブロック図、図2は本発明を適用した二次電池システムの二次電池を含む規制手段部分を説明するための斜視図であり、図3は同じく二次電池を含む規制手段部分の側面図である。
【0013】
本実施形態の二次電池システムは、二次電池10と、この二次電池10を挟み込んで二次電池10の厚さを規制する規制手段4(詳細後述)と、規制手段4が二次電池10を挟み込んだ間隔を制御するコントローラ3(制御手段)を備える。ここで「二次電池10の厚さ」とは、後述するように、複数の単電池を積層した二次電池10においてそれら単電池の積層方向の厚さをいう。
【0014】
二次電池10は負荷50に接続されており、その回路途中には負荷50に供給する電圧を変更するためのインバータ51が介在されている。そして二次電池10から負荷50への回路上には、電流計31が直列に接続され、また、電圧計32が並列に接続されている。電流計31および電圧計32はコントローラ3に接続されており、それぞれの測定値がコントローラ3に入力される。二次電池10からの出力端には、コントローラ3からの指令により開閉するリレースイッチ33が設けられている。このリレースイッチ33は二次電池10の開路電圧、閉路電圧を計測するために回路の開閉を行う。開路電圧は負荷50が接続されていない状態の電圧であり(開放電圧ともいう)、閉路電圧は負荷50が接続された状態の電圧である。
【0015】
コントローラ3は、入力された電流値、電圧値、および時間から得られる二次電池10の残存容量、開路電圧、閉路電圧の少なくともいずれかから規制板41の位置を制御するための二次電池10の厚さ(現在の積層方向寸法)を求める。
【0016】
さらに、この回路には補助電源35が設けられている。この補助電源35は、たとえば、回路全体が単独で動作しているときには二次電池(蓄電池)でもよいし、一次電池でもよい。また、この回路が外部電源に接続された際、たとえば二次電池10を充電するために外部電源に接続された際には、その外部電源が補助電源35となる。
【0017】
この補助電源35は、二次電池10の残存容量が低下した際に、コントローラ3および規制手段4を動作させるための電源となる。なお、通常時、二次電池10の残存容量がコントローラ3および規制手段4を動作させるために必要な量以上あるときには、二次電池10がコントローラ3および規制手段4を動作させるために電源となる。
【0018】
一方、規制手段4は、図2および3に示すように、下板42および上板43の間に、可動する規制板41が設けられている。そして下板42と規制板41によって二次電池10を挟み込んでいる。下板42と上板43はボルトナット44によって接続され、固定されている。一方、規制板41は、その四隅にボールねじ45が設けられている。なお、図2および3において、二次電池10の負極タブ18および正極タブ19(図4参照)は図示省略した。
【0019】
ボールねじ45のねじ軸46は、下板42および上板43に対して回転自在に取り付けられている。上板43からはねじ軸46の一部が突出している。この突出部分に、ギア(不図示)が噛み合されてモータ48に接続されている。一方、規制板41には、ボールねじ45のナット部47が固定されている。規制板41は、この4つのボールねじ45のねじ軸46がモータ48によって回転させられることにより上板43と下板42の間でその位置が移動する。これにより、二次電池10の厚さを規制する間隔が変わる。
【0020】
ここでモータ48は4つのボールねじ45を同期して動作するように、エンコーダ付きのサーボモータやステッピングモータなどを使用することが好ましい。コントローラ3はエンコーダからの信号により規制板41の位置を把握するとともに、4つのボールねじ45を同期させて、規制板41が傾いたりせずに移動させるようにしている。
【0021】
そして、このように設けられた規制板41がコントローラ3からの指令によりその位置が動くことで、下板42と規制板41の間隔が変わることになる。これにより二次電池厚さが下板42と規制板41により適正な厚さに制御され、二次電池10に対して常に適正な圧力が加わるように、その間隔が調整される。
【0022】
規制手段4は、セットアップのときには、たとえば、二次電池10が満充電の状態で下板42と規制板41の間に載置する。そして、この状態で二次電池10に適切な圧力、たとえば、0.5kg/cm2〜1kg/cm2が加わるように、下板42と規制板41の間隔を調整する。その後は、二次電池10への充放電に応じてこの間隔を制御することで、常に二次電池10には同じ圧力が加わることになる。つまり、二次電池10が放電して、その厚さが1mm減少すれば、それに合わせて下板42と規制板41の間隔を1mm減らす。逆に、充電時にその厚さが1mm増加すれば、それに合わせて下板42と規制板41の間隔を1mm増やすように調整することになる。このような調整は、コントローラ3からの指令によってモータ48が回転することによって行われる。
【0023】
なお、規制手段10の機械的機構、すなわち、上板43と下板42を固定するボルトナット44や、ボールねじ45、モータ48、ギアなどの機械的機構は、ここで説明した構成に限定されるものではない。このような機械的機構は二次電池10を挟んでその厚さを制御(調整)できるものであればどのような構成であってもよい。たとえば、ボールねじ45に代えて、単純な送りねじを採用してもよい。また、ボールねじ45や送りねじなどのねじ機構に以外にも、空気圧シリンダや油圧シリンダを用いて規制板41を移動するようにしてもよい。さらに上板43、下板42を固定するボルトナット44も、これに代えて、上板43と下板42を側壁面で固定するようにしてもよいし、内部に可動する規制板41を備えた缶体構造とすることもできる。
【0024】
次に、二次電池について説明する。本実施形態における二次電池10は、リチウムイオン二次電池である。
【0025】
ここでは、リチウムイオン二次電池の一例として双極型電極を用いた二次電池10を説明する。しかし本発明を実施する上で、二次電池10はリチウムイオン二次電池であれば特に限定されない。
【0026】
図4は、リチウムイオン二次電池の一例を説明するための内部断面図である。
【0027】
この二次電池10(リチウムイオン二次電池)は、一つの集電体11の一方の面に正極12、他方の面に負極13を有する双極型電極を用いている、このため双極型二次電池とも称されている。そして、正極12、セパレータ14、および負極13によって単電池15を形成している。単電池15は、その正極12と負極13を集電体11によって電気的に直列に接続されて複数積層されている。このように単電池15が複数積層したものを発電要素16という。なお、最外層に位置する集電体は、最外層集電体11aおよび11bであり、これには片面にのみ、負極13または正極12のいずれか一方が形成されている。この最外層集電体11aおよび11bのさらに外側に集電板18a、19bが設けられている。これら集電板18a、19bはそれぞれ延長されて負極タブ18および正極タブ19となっている。また、集電板18a、19bは、集電体11より厚く形成することで、積層された複数の単電池15からの電流を取り出しやすくなるようにしている。
【0028】
そして、これら各部材が、ラミネートシート17によって封止されている。集電板18a、19bは、それぞれラミネートシート17の外に延長されて負極タブ18および正極タブ19とされている。また、単電池15の外周には、隣接する集電体11の間を絶縁するためのシール部材20が設けられている。
【0029】
なお、集電板に代えて、最外層集電体11aおよび11bを厚くして、そのままラミネートシート17の外に延長して負極タブ18および正極タブ19としてもよい。また、最外層集電体11aおよび11bと集電板18a、19bの間に電極活物質があってもよい。すなわち、片面にのみ電極活物質を設けた最外層専用の集電体11aおよび11bとするのではなく、両面に電極活物質がある集電体11をそのまま最外層の集電体として用いてもよいのである。
【0030】
このような双極型二次電池を構成する各部材は、通常のリチウムイオン二次電池と同じである。各部材についての一例を挙げれば下記のとおりである。
【0031】
(集電体)
集電体11(および11a、11b)は導電性材料から構成される。そして、既に説明したように、その表面(第1面)に正極、裏面(第2面)に負極が形成されている。
【0032】
この集電体11を構成する材料は、導電性を有するものであれば特に制限はない。たとえば、金属や導電性高分子が採用されうる。より具体的には、たとえば、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、銅などの金属材料が挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材、あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが好ましく用いられうる。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。ただし、材料によって耐蝕性が異なるため、使用可能な正極材料、負極材料が限定される。このため、耐蝕性、作り易さ、経済性などの観点からは、ステンレス箔を集電体として用いることが好ましい。また、集電体11の具体的な厚さについても特に制限はなく、集電体11としての機能を果たしうる厚さであればよい。なお、集電板18a、19bについても、集電体と同様の材料で形成することができる。
【0033】
(正極および負極)
正極12および負極13は、それぞれ活物質を含み、必要に応じてその他の添加剤をさらに含む。
【0034】
正極活物質は、たとえば、LiMn2O4、LiCoO2、LiNiO2、Li(Ni−Co−Mn)O2およびこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの等のリチウム−遷移金属複合酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、リチウム−遷移金属硫酸化合物などが挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。好ましくは、リチウム−遷移金属複合酸化物が、正極活物質として用いられる。なお、上記以外の正極活物質が用いられてもよいことは勿論である。
【0035】
負極活物質としては、たとえば、黒鉛(グラファイト)、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素材料、リチウム−遷移金属複合酸化物(たとえば、Li4Ti5O12)、金属材料、リチウム−金属合金材料などが挙げられる。より高密度化できる負極材料として、シリコン、酸化シリコン、錫などを用いた負極活物質を用いてもよい。特に、このような高密度化できる負極材料を用いた場合、充放電時における負極の膨張収縮が大きいため、本発明はよりいっそうの効果を発揮することができる。これは、たとえば、シリコン(Si)では充電容量4000mAh/g程度が可能であり、錫(Sn)では同990mAh/g)である。そしてこれらの負極材料を用いた場合、充電により約400〜600%の体積が増加する。なお、従来から多く使用されている黒鉛の場合はこれより少ないが、それでも充電時に120%程度は膨張する。当然ながら、放電時は、膨張したものが同じ割合で収縮することになる。
【0036】
なお、正極、負極の材料は2種以上の活物質が併用されていてもよい。さらに、ここで例示した以外の正極活物質、負極活物質が用いられてもよいことは勿論である。
【0037】
さらに、正極および負極には、添加剤としては、たとえば、バインダー、導電助剤、電解質塩(リチウム塩)、イオン伝導性ポリマー等が混合されうる。
【0038】
導電助剤は、正極活物質層または負極活物質層の導電性を向上させるために配合される添加物である。導電助剤としては、たとえばアセチレンブラック等のカーボンブラック、グラファイト、気相成長炭素繊維などの炭素材料が挙げられる。活物質層(13、15)が導電助剤を含むと、活物質層の内部における電子ネットワークが効果的に形成され、電池の出力特性の向上に寄与しうる。
【0039】
電解質塩(リチウム塩)としては、Li(C2F5SO2)2N)、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiCF3SO3等が挙げられる。
【0040】
イオン伝導性ポリマーとしては、たとえば、ポリエチレンオキシド(PEO)系およびポリプロピレンオキシド(PPO)系のポリマーが挙げられる。
【0041】
正極活物質および負極活物質中に含まれる成分の配合比は、特に限定されない。配合比は、非水溶媒二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整されうる。
【0042】
正極および負極の厚さ(各活物質層の厚さ)についても特に制限はなく、電池についての従来公知の知見が適宜参照されうる。
【0043】
(セパレータ)
セパレータ14は、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンからなる微多孔膜が挙げられる。そして、セパレータ14には、電解質が含浸されている。
【0044】
電解質は、たとえば液体電解質であり、可塑剤である有機溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解した形態を有する。可塑剤として用いられうる有機溶媒としては、たとえば、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が例示される。また、支持塩(リチウム塩)としては、LiBETI等の電極の活物質層に添加されうる化合物が同様に採用されうる。
【0045】
また、このような液体電解液を含浸させたセパレータ14に変えて、ポリマー電解質そのものをセパレータ14として用いてもよい。ポリマー電解質としては、たとえば電解液を含むゲル電解質と、電解液を含まない真性ポリマー電解質に分類される。
【0046】
ゲル電解質は、イオン伝導性ポリマーからなるマトリックスポリマーに、上記の液体電解質が注入されてなる構成を有する。マトリックスポリマーとして用いられるイオン伝導性ポリマーとしては、たとえば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびこれらの共重合体等が挙げられる。かようなポリアルキレンオキシド系ポリマーには、リチウム塩などの電解質塩がよく溶解しうる。
【0047】
なお、電解質が液体電解質やゲル電解質から構成される場合には、電解質にセパレータ14を用いてもよい。セパレータ14の具体的な形態としては、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンからなる微多孔膜が挙げられる。
【0048】
真性ポリマー電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、可塑剤である有機溶媒を含まない。したがって、電解質が真性ポリマー電解質から構成される場合には電池からの液漏れの心配がなく、電池の信頼性が向上しうる。
【0049】
ゲル電解質や真性ポリマー電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発現しうる。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(たとえば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合等の重合処理を施せばよい。
【0050】
次に、以上のように構成された二次電池システムの制御について説明する。
【0051】
本実施形態における二次電池システムの制御の基本は、充放電時に二次電池10の厚さが膨張収縮するのに応じて、その厚さ方向の寸法を規制するものである。このため、まず、充放電によって二次電池10の厚さがどのように変化するかを知る必要がある。
【0052】
図5は、二次電池10の厚さと二次電池10の残存容量との関係を示すグラフである。
【0053】
このグラフから明らかなように、二次電池10の厚さと残存容量、すなわちSOC(State Of Charge)には相関関係のあることがわかる。
【0054】
したがって、二次電池10の現在のSOCを求めれば、求めたSOCから現在の二次電池10の厚さがわかる。そこで二次電池システムにおける制御は、あらかじめそれぞれの二次電池10に対応した図5のようなグラフ(関係表)またはこのグラフに基づき作成した関係式をコントローラ3内に記憶しておく。そして、現在のSOCを用いて記憶した関係表または関係式から現在の二次電池10の厚さを求め、それに対応して、二次電池10が膨張するときには二次電池10を挟んでいる下板42と規制板41の間隔を広げ、二次電池10が収縮するときには間隔を狭くする。
【0055】
あらかじめ記憶しておく関係表または関係式は、二次電池10の負極材料(負極活物質)が異なるごとに、かつ単電池の積層方向の負極の総厚さが異なるごとに作成する必要がある。なぜなら、負極材料が異なれば、充放電に伴う負極の膨張量が異なるためである。同じく負極の総厚さが異なれば、全体としての厚さの変化量も違うからである。なお、負極の総厚さは、たとえば上述した双極型二次電池の場合、1つの単電池を構成する負極における負極活物質の厚さを、単電池を積層した数だけ積算することで求められる。
【0056】
SOCは、満充電状態における容量と現在時点における容量との比をいう。このSOCの算出(推定)方法は様々である。たとえば、開路電圧と電池の内部抵抗から推定する方法、電流値を時間積分する方法などである。ここでは、この二次電池システムに負荷50が接続された状態でもSOCを求めることができるように、電流値を時間積分する方法を採用する。これは具体的には満充電から取り出すことのできる電流量(電流×時間)をあらかじめ求めておいて、そこから、放電および充電を行った電流値と放電時間をかけたものを引けば(または足せば)簡単に残存容量が出てくる。つまり、電池残存容量(SOC)=初期容量±電流値×時間となる。ここで、±の符号は、充電時は+、放電時は−となる。SOCを用いる場合は、満充電時が100%となるように満充電が行われるたびに補正することが好ましい。
【0057】
なお、SOCの算出(推定)は、このような方法に限らず、その他の方法を使用してもよいが、あらかじめ作成しておく関係表または関係式を作成したときと同じ方法を用いる。
【0058】
二次電池10の厚さの変化は、SOC以外の指標を使って求めることもできる。
【0059】
上記のように、二次電池10の厚さはSOCと相関関係がある。一方、SOC算出方法のなかには開路電圧を用いる方法がある。これらのことから二次電池10の厚さは開路電圧を相関関係がある。
【0060】
図6は、二次電池10の厚さと開路電圧との関係を示すグラフである。
【0061】
このグラフからわかるように、二次電池10の厚さは開路電圧(Open circuit voltage(OCV),(またはloadvoltageともいう))と相関関係があるといえる。そこで、本実施形態の二次電池システムは、この二次電池10の厚さと開路電圧の相関関係を示す図6に示すようなグラフ(関係表)またはこのグラフに基づき作成した関係式をコントローラ3内に記憶しておく。そして、開路電圧を測定し、その電圧値から現在の電池の厚さを求めて、電池が膨張するときにはそれに合わせて二次電池10を挟んでいる下板42と規制板41の間隔を広げ、電池が収縮するときには間隔を狭くすることになる。なお、開路電圧を測定する際には、コントローラ3がリレースイッチ33を開いて(OFF)にして、電圧計32により二次電池10の両端子電圧を測定することになる。この場合は、いったん負荷50への電流供給を絶たなければならない。したがって、負荷の状態に依存しない二次電池の現在の電圧値を計測でき、より正確な厚さの推定が可能となる。
【0062】
さらに、同様の関係は、閉路電圧(Closed circuit voltage(CCV)でも認められる。閉路電圧は負荷50を接続したままの状態で測定した二次電池10の端子間電圧である。
【0063】
図7は、二次電池10の厚さと閉路電圧との関係を示すグラフである。
【0064】
このグラフからわかるように、二次電池10の厚さは閉路電圧を相関関係があるといえる。ただし、図7に示したように、閉路電圧の場合は流した電流量によって厚さとの相関関係が違ってくる。したがって、この場合は、二次電池10の厚さと閉路電圧の相関関係を示す図7に示すようなグラフ(関係表)またはこのグラフに基づき作成した関係式を、それぞれ負荷50に流す電流に応じてあらかじめ作成してコントローラ3内に記憶しておく。そして、閉路電圧を測定し、その電圧値から現在の電池の厚さを求めて、電池が膨張するときにはそれに合わせて二次電池10を挟んでいる下板42と規制板41の間隔を広げ、電池が収縮するときには間隔を狭くすることになる。なお、閉路電圧を測定する際には、コントローラ3がリレースイッチ33を閉じて(ON)にして、電圧計32により二次電池10の両端子電圧を測定することになる。したがって、この場合は、負荷50への電流供給を絶たなくてもよい。
【0065】
次に、二次電池システムの制御手順を説明する。
【0066】
図8は、二次電池システムの制御手順を示すフローチャートである。
【0067】
まず、コントローラ3は二次電池10の現在の厚さを求める(S1)。これには、上述したように、SOCから求める、開路電圧から求める、および閉路電圧から求めるのいずれかを採用することができる。SOCから求める場合は常に二次電池10からの放電電流を時間積分しておく必要がある。開路電圧から求める場合はいったん負荷50への電流供給を止めて電圧値を測定する。閉路電圧から求める場合は負荷50へ電流を供給している現在時点における電圧値を測定する。そして、これらの値から、それぞれにあった関係表または関係式を用いて二次電池10の現在の厚さを求める。
【0068】
続いて、コントローラ3は求めた二次電池10の現在の厚さに対応させて規制手段4の間隔を変更する(S2)。そして、制御はS1へ戻り繰り返し実行することになる。
【0069】
なお、この制御は、リアルタイムで継続的に実行してもよいが、たとえば一定時間間隔ごとや、あらかじめ決められたイベント発生時ごとに実行するようにしてもよい。一定時間間隔ごとに行う場合は、たとえば、10分ごと、30分後と、あるいは1時間ごとなど、満充電から残量0(または0に近い残量)となるまでの時間を分割して適宜二時電池10の膨張収縮量に合わせて、二次電池の10の厚さが規制できる間隔とする。一方、イベント発生時ごとに実行する場合は、たとえば、負荷50が停止したようなイベントが発生したときに、このS1〜S2の制御を行うようにするとよい。特に開路電圧から厚さを求める場合には負荷50へ電流供給を止める必要があるため、この負荷停止イベント時に行うことになる。イベントとしては他に、充電のために外部電源につないだときなどでもよい。もちろん時間間隔ごとに行うのと、イベント発生時に行うものを組み合わせるようにしてもよい。たとえば、負荷停止イベントや外部電源からの充電イベント発生時には、開路電圧から厚さを求めて制御し、負荷動作中は一定時間間隔ごとにSOCや閉路電圧から厚さを求めて制御するようにしてもよい。
【0070】
(実施例)
実際にリチウムイオン二次電池を製作して、これの厚さを上述した実施形態に従い積層方向から規制しながら充放電サイクル試験を行った結果(実施例)を説明する。比較のために厚さ方向を規制せずに充放電サイクル試験を行った結果(比較例)を合わせて示す。
【0071】
試作した二次電池の構成は下記のとおりである。
【0072】
正極:Al箔15μm、マンガン酸リチウム(90(成分の質量比、以下同様))、助剤(6)、バインダーPVdF(4)、密度2.8g/ml、厚み110μm。
【0073】
負極:銅箔10μm、酸化シリコン(45)、グラファイト(45)、バインダーPVdF(10)、密度1.4g/ml、厚み20μm。
【0074】
セパレータ:PE、空孔率。
【0075】
電極サイズ:146mm×96mm(正極)、150mm×100mm(負極)。
【0076】
積層数:21層(正極10層+負極11層)。
【0077】
電解液:PC/EC/DEC=1/1/1、1M LiPF6。
【0078】
電池容量:5.5Ah。
【0079】
これを、最外層の正極および負極に電極リードを取り付けラミネートパッケージしてアセンブリした。
【0080】
電池厚み変化は、アセンブリ時4.0mm、充電時4.4mm、放電時4.2mmであった。
【0081】
充放電サイクル試験は0.2Cで充放電サイクルを20回行った。そして、実施例においては、電流値の時間積分によりSOCを算出して、前述した図5のグラフに基づき電池厚みをラミネートパッケージの上から圧力0.5kg/cm2〜1kg/cm2となるように充電時の大きさから放電時の大きさまで充放電に応じて規制した。一方、比較例はラミネートパッケージのままで厚さ方向の規制はしていない。
【0082】
充電条件は定電流定電圧充電で4.2V、8時間、放電条件は3V終止とした。
【0083】
図9は、この充放電サイクル試験の結果を示すグラフである。
【0084】
図に示したとおり、実施例も比較例も充放電サイクルが進むにつれて、放電容量が減っている。しかし、実施例の方は比較例よりもその減り方が少ないことがわかる。この結果から本実施形態のように、充放電に応じてその厚みを規制し、二次電池内部の圧力を一定に保つことで、優れた電池特性を長く維持できるようになることがわかる。
【0085】
次に、二次電池システムの応用例について説明する。
【0086】
二次電池は一つのパッケージをそのまま用いることもあるが、パッケージされた二次電池を複数直列および/または並列に接続して組電池として用いることがある。ここでは、そのような複数のパケージされた二次電池を複数用いた組電池に本発明による二次電池システムを適用した例を説明する。
【0087】
図10は、複数の二次電池を使用した場合の規制手段の一例を説明する側面図である。
【0088】
最も単純には、図10に示すように、一つの規制手段4を取り付けた一つの二次電池10を直列または並列に接続する形態である。この場合、図2および3に示したような規制手段4を取り付けた一つの二次電池10を複数用意さえすれば、それらの二次電池10を直列および/または並列にバスバーやリード線60などで接続することで、所望の電圧または電池容量の組電池とすることができる。なお、この場合、制御手段であるコントローラも、一つひとつの二次電池10ごとに用意し、それぞれの二次電池10ごとに個別に規制手段4を動作させることになる。
【0089】
このようにして組電池を構成した場合、個々の二次電池10がそれぞれ個別に規制手段4によってその厚さが規制されるように制御される。このため、個々の二次電池10はそれぞれの容量や大きさが違っていてもよい。
【0090】
組電池の他の形態としては、たとえば、図11に示すように、規制手段4の上板43および下板42を共通として、そのなかに、直列および/または並列に接続した複数の二次電池10を載置する。そしてこれら複数の二次電池10に対してそれぞれ個別に可動可能な規制板41a、41b、41cを設ける。この場合、それぞれの二次電池10のSOC、開路電圧、または閉路電圧を計測して、それぞれ個別に二次電池10の厚さを推定し、その厚さから個別に、規制板41a、41b、41cを動作させ、規制する間隔を変更する。この場合、制御手段であるコントローラも、一つひとつの二次電池10ごとに用意し、それぞれの二次電池10ごとに個別に規制板41a、41b、41cを動作させることになる。
【0091】
このようにした場合、全体としては複数の二次電池からなる一つの組電池となるが、個々の二次電池10の厚さはそれぞれ個別に規制することができる。したがって、個々の二次電池10がそれぞれ個別に規制手段4によってその厚さが規制されるように制御される。このため、個々の二次電池10はそれぞれの容量や大きさが違っていてもよい。ただし、個々の二次電池10は下板42と規制板41の間に入る必要がある。
【0092】
さらに他の形態としては、図12に示すように、上板43、下板42、そして規制板41dも共通として、そのなかに直列および/または並列に接続した複数の二次電池10を載置する。この場合、二次電池10のいずれか一つのSOC、開路電圧、または閉路電圧を代表値として計測して、規制板41dを動作させればよい。したがって、複数の二次電池10に対してコントローラは一つでよく、複数の二次電池10がある場合でも制御が簡単になる。ただし、この形態の組電池の場合は、個々の二次電池10の容量および大きさは同じものを使用することになる。
【0093】
次に、二次電池システムを搭載した車両について説明する。
【0094】
本実施形態の二次電池システムは、たとえば、電気自動車、ハイブリッド自動車など電力を駆動源として用いる車両に好適である。
【0095】
図13は、上述した二次電池システムを電気自動車に搭載した例を示す図面である。
【0096】
この電気自動車400は、上述した図11〜12に示したいずれかの組電池構成の二次電池部分(規制手段付き二次電池300と称する)を車体中央部の座席下に搭載し、電気自動車400のモータ用電源として用いている。座席下に搭載すれば、車内空間およびトランクルームを広く取ることができるからである。なお、規制手段付き二次電池300を搭載する場所は、座席下に限らず、後部トランクルームの下部でもよいし、車両前方のエンジンルームでも良い。
【0097】
電気自動車などに二次電池システムを搭載した場合、二次電子システムのコントローラとしては、電気自動車内の電子制御装置に上述したコントローラの動作をさせるようにしてもよい。
【0098】
二次電池10の厚さを規制する制御は、車両の場合も、一定時間間隔ごとの制御とイベント発生時の制御を行うことができる。特にこれらを組み合わせて、負荷停止イベント、すなわち、車両が停止したときには開路電圧から厚さを求めて制御し、走行中は一定時間間隔ごとにSOCや閉路電圧から厚さを求めて制御するようにするとよい。また、車両の場合、一定時間間隔ごとに行うのに代えて、走行距離ごとに行うようにしてもよい。
【0099】
このように規制手段付き二次電池300を用いた電気自動車400は、規制手段4によって二次電池10の電力取り出し効率が高く、かつ耐久性(充放電サイクル)がよくなる。このため、長期間使用しても十分な出力を提供しうる。
【0100】
本実施形態の規制手段付き二次電池300または二次電池システムをモータ用電源として用いる車両としては、たとえば、ガソリンを用いない完全電気自動車、シリーズハイブリッド自動車やパラレルハイブリッド自動車などのハイブリッド自動車、および燃料電池自動車などの車輪をモータによって駆動する自動車が挙げられる。そのほか、二輪車(バイク)や三輪車、さらには、電車などの移動体の各種電源や二次電池10としても利用可能である。
【0101】
さらに、本実施形態の規制手段付き二次電池300または二次電池システムは載置用電源として利用することも可能である。
【0102】
以上説明した実施形態によれば、二次電池の単電池積層方向両端の間隔を規制する規制手段を設け、二次電池の充放電に伴う二次電池の膨張収縮に追従して規制手段によって規制している積層方向両端の間隔を変更する。これにより内部圧力が充放電に起因して大きく変化しなくなり、正極、負極、およびセパレータのそれぞれの接触圧が一定に保たれるようになる。したがって、充電時においては正極、負極、およびセパレータのそれぞれに過大な圧力が加わるおそれがなく、これらの間で起こる短絡を確実に防止することができる。また、放電時においては正極、負極、およびセパレータの接触圧が放電量(残存容量)によらず一定となるので、内部抵抗の変動が少なく効率よく最後まで電流を取り出すことができる。さらに、充放電による内部圧力の変動が少ないので充放電サイクル特性も向上する。
【0103】
また、本実施形態によれば、現在の残存容量を求めて、その値とあらかじめ求められている残存容量と積層方向の寸法との関係を規定した関係表または関係式から、二次電池の厚さを推定することとした。そして、求めた厚さに対応させて規制手段の間隔を変更することとしている。したがって二次電池の電圧、電流を計測することで二次電池の寸法変化を推定して、その寸法変化分を規制手段の間隔として調整することができる。特に残存容量を、二次電池の放電電流を時間により積算した値から推定することで、二次電池使用中、つまり、負荷を動作させながらでも簡単に二次電池を厚さを推定することができる。
【0104】
その他、あらかじめ求められている開路電圧と積層方向の寸法との関係を規定した関係表または関係式から二次電池の厚さを推定することもできる。この場合、負荷と二次電池との接続を切って電圧を測定することになる。したがって、負荷の状態に依存しない二次電池の現在の電圧値を計測でき、より正確な厚さの推定が可能となる。
【0105】
また、あらかじめ求められている開路電圧と前記積層方向の寸法との関係を規定した関係表または関係式から二次電池の厚さを推定することもできる。この場合、負荷を接続した状態で簡単に二次電池の厚さを推定することができる。
【0106】
また、本実施形態によれば、二次電池を複数個直列および/または並列に接続し、各二次電池のそれぞれに規制手段を設けた。この場合、二次電池システムの規制手段を一つひとつの二次電池に対して設けることになる。したがって、規制手段を付けた二次電池を接続さえすれば、任意の電圧や電池容量となる組電池を容易に構築することができる。
【0107】
また、本実施形態によれば、二次電池を複数個直列および/または並列に接続し、かつ、複数の二次電池に対して一つの規制手段が設けるようにしてもよい。このようにすれば、複数の二次電池に対して、一つの規制手段で済む。したがって、複数の二次電池を一つの制御で行うことができる。
【0108】
また、本実施形態の車両によれば、搭載した二次電池システム自体が高耐久性を有するため、車両における電源系の耐久性も向上させることができる。このため、電池の交換回数を少なくすることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明を適用した実施形態における二次電池システムの構成を説明するためのブロック図である。
【図2】上記二次電池システムの二次電池を含む規制手段部分を説明するための斜視図である。
【図3】上記二次電池システムの二次電池を含む規制手段部分を説明するための側面図である。
【図4】リチウムイオン二次電池の一例を説明するための内部断面図である。
【図5】二次電池の厚さと二次電池の残存容量(SOC)との関係を示すグラフである。
【図6】二次電池の厚さと開路電圧(OCV)との関係を示すグラフである。
【図7】二次電池の厚さと閉路電圧(CCV)との関係を示すグラフである。
【図8】二次電池システムの制御手順を示すフローチャートである。
【図9】充放電サイクル試験の結果を示すグラフである。
【図10】複数の二次電池を使用した場合の規制手段の構成例を説明する側面図である。
【図11】複数の二次電池を使用した場合の規制手段の他の構成例を説明する側面図である。
【図12】複数の二次電池を使用した場合の規制手段の他の構成例を説明する側面図である。
【図13】二次電池システムを電気自動車に搭載した例を示す図面である。
【符号の説明】
【0110】
3 コントローラ、
4 規制手段、
10 二次電池、
11 集電体、
12 正極、
13 負極、
14 セパレータ、
15 単電池、
16 発電要素、
17 ラミネートシート、
31 電流計、
32 電圧計、
33 リレースイッチ、
35 補助電源、
41 規制板、
42 下板、
43 上板、
44 ボルトナット、
45 ボールねじ、
46 ねじ軸、
47 ナット部、
48 モータ、
50 負荷、
51 インバータ、
400 車両。
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池システム、およびこの二次電池システムを用いた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は、充放電時における負極へのリチウムの吸蔵、放出に伴い、電池全体が膨張収縮する。従来、このような電池の膨張収縮による影響を緩和する目的で、充電時に電池の両主面から電池を加圧して、電池内部において正極と負極の間隔が近くなるようにして充電効率を向上させる技術がある(特許文献1)。
【0003】
上記技術によれば、充電時に発生するガスなどの影響で電極間隔が開くので、これを防止するために充電時に電池を加圧することとなっている。
【特許文献1】特開2004−213902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、充電時に内圧を上昇するようにしているため、充電時においては、負極自体の膨張により二次電池内において正極、負極、およびセパレータの接触圧が強くなりすぎてしまうおそれがある。このような場合、セパレータの一部が圧力で薄くなりすぎて正極と負極が短絡するおそれさえある。一方、上記技術では、放電時のことがまったく考慮されていない。放電時に負極はリチウムを放出するため収縮する。したがって、放電時には電極板と活物質との接触がゆるくなり、内部抵抗が増加して放電電圧が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、二次電池の充放電に伴う二次電池の膨張収縮に追従して、発電要素内部の圧力を適正に保つことのできる二次電池システムを提供することである。
【0006】
また、本発明の目的は、二次電池の充放電に起因した不具合を抑え耐久性を向上させた車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の二次電池システムは、正極と負極が電解質を含むセパレータを介して対向してなる単電池を複数積層した二次電池を有する。そして、二次電池を積層方向から挟み込み、かつ、挟み込んだ間隔を可変可能な規制手段を備える。さらに、二次電池の充放電に起因して起こる二次電池の積層方向における寸法変化に対応して、充電時においては二次電池が積層方向に膨張した分間隔を広げ、放電時においては二次電池が積層方向に収縮した分前記間隔を狭くするように規制手段を制御する制御手段を有する。
【0008】
また、上記課題を解決するための本発明の車両は、上記二次電池システムをモータの電源として搭載したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の二次電池システムによれば、二次電池の充放電に伴う二次電池の膨張収縮に追従して規制手段の位置を変えるので、充放電に伴う膨張収縮による内部圧力の変化を吸収して内部圧を適正に保つことができる。
【0010】
また、本発明の車両によれば、搭載した二次電池システム自体が高耐久性を有するため、車両における電源系の耐久性も向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0012】
図1は本発明を適用した二次電池システムの構成を説明するためのブロック図、図2は本発明を適用した二次電池システムの二次電池を含む規制手段部分を説明するための斜視図であり、図3は同じく二次電池を含む規制手段部分の側面図である。
【0013】
本実施形態の二次電池システムは、二次電池10と、この二次電池10を挟み込んで二次電池10の厚さを規制する規制手段4(詳細後述)と、規制手段4が二次電池10を挟み込んだ間隔を制御するコントローラ3(制御手段)を備える。ここで「二次電池10の厚さ」とは、後述するように、複数の単電池を積層した二次電池10においてそれら単電池の積層方向の厚さをいう。
【0014】
二次電池10は負荷50に接続されており、その回路途中には負荷50に供給する電圧を変更するためのインバータ51が介在されている。そして二次電池10から負荷50への回路上には、電流計31が直列に接続され、また、電圧計32が並列に接続されている。電流計31および電圧計32はコントローラ3に接続されており、それぞれの測定値がコントローラ3に入力される。二次電池10からの出力端には、コントローラ3からの指令により開閉するリレースイッチ33が設けられている。このリレースイッチ33は二次電池10の開路電圧、閉路電圧を計測するために回路の開閉を行う。開路電圧は負荷50が接続されていない状態の電圧であり(開放電圧ともいう)、閉路電圧は負荷50が接続された状態の電圧である。
【0015】
コントローラ3は、入力された電流値、電圧値、および時間から得られる二次電池10の残存容量、開路電圧、閉路電圧の少なくともいずれかから規制板41の位置を制御するための二次電池10の厚さ(現在の積層方向寸法)を求める。
【0016】
さらに、この回路には補助電源35が設けられている。この補助電源35は、たとえば、回路全体が単独で動作しているときには二次電池(蓄電池)でもよいし、一次電池でもよい。また、この回路が外部電源に接続された際、たとえば二次電池10を充電するために外部電源に接続された際には、その外部電源が補助電源35となる。
【0017】
この補助電源35は、二次電池10の残存容量が低下した際に、コントローラ3および規制手段4を動作させるための電源となる。なお、通常時、二次電池10の残存容量がコントローラ3および規制手段4を動作させるために必要な量以上あるときには、二次電池10がコントローラ3および規制手段4を動作させるために電源となる。
【0018】
一方、規制手段4は、図2および3に示すように、下板42および上板43の間に、可動する規制板41が設けられている。そして下板42と規制板41によって二次電池10を挟み込んでいる。下板42と上板43はボルトナット44によって接続され、固定されている。一方、規制板41は、その四隅にボールねじ45が設けられている。なお、図2および3において、二次電池10の負極タブ18および正極タブ19(図4参照)は図示省略した。
【0019】
ボールねじ45のねじ軸46は、下板42および上板43に対して回転自在に取り付けられている。上板43からはねじ軸46の一部が突出している。この突出部分に、ギア(不図示)が噛み合されてモータ48に接続されている。一方、規制板41には、ボールねじ45のナット部47が固定されている。規制板41は、この4つのボールねじ45のねじ軸46がモータ48によって回転させられることにより上板43と下板42の間でその位置が移動する。これにより、二次電池10の厚さを規制する間隔が変わる。
【0020】
ここでモータ48は4つのボールねじ45を同期して動作するように、エンコーダ付きのサーボモータやステッピングモータなどを使用することが好ましい。コントローラ3はエンコーダからの信号により規制板41の位置を把握するとともに、4つのボールねじ45を同期させて、規制板41が傾いたりせずに移動させるようにしている。
【0021】
そして、このように設けられた規制板41がコントローラ3からの指令によりその位置が動くことで、下板42と規制板41の間隔が変わることになる。これにより二次電池厚さが下板42と規制板41により適正な厚さに制御され、二次電池10に対して常に適正な圧力が加わるように、その間隔が調整される。
【0022】
規制手段4は、セットアップのときには、たとえば、二次電池10が満充電の状態で下板42と規制板41の間に載置する。そして、この状態で二次電池10に適切な圧力、たとえば、0.5kg/cm2〜1kg/cm2が加わるように、下板42と規制板41の間隔を調整する。その後は、二次電池10への充放電に応じてこの間隔を制御することで、常に二次電池10には同じ圧力が加わることになる。つまり、二次電池10が放電して、その厚さが1mm減少すれば、それに合わせて下板42と規制板41の間隔を1mm減らす。逆に、充電時にその厚さが1mm増加すれば、それに合わせて下板42と規制板41の間隔を1mm増やすように調整することになる。このような調整は、コントローラ3からの指令によってモータ48が回転することによって行われる。
【0023】
なお、規制手段10の機械的機構、すなわち、上板43と下板42を固定するボルトナット44や、ボールねじ45、モータ48、ギアなどの機械的機構は、ここで説明した構成に限定されるものではない。このような機械的機構は二次電池10を挟んでその厚さを制御(調整)できるものであればどのような構成であってもよい。たとえば、ボールねじ45に代えて、単純な送りねじを採用してもよい。また、ボールねじ45や送りねじなどのねじ機構に以外にも、空気圧シリンダや油圧シリンダを用いて規制板41を移動するようにしてもよい。さらに上板43、下板42を固定するボルトナット44も、これに代えて、上板43と下板42を側壁面で固定するようにしてもよいし、内部に可動する規制板41を備えた缶体構造とすることもできる。
【0024】
次に、二次電池について説明する。本実施形態における二次電池10は、リチウムイオン二次電池である。
【0025】
ここでは、リチウムイオン二次電池の一例として双極型電極を用いた二次電池10を説明する。しかし本発明を実施する上で、二次電池10はリチウムイオン二次電池であれば特に限定されない。
【0026】
図4は、リチウムイオン二次電池の一例を説明するための内部断面図である。
【0027】
この二次電池10(リチウムイオン二次電池)は、一つの集電体11の一方の面に正極12、他方の面に負極13を有する双極型電極を用いている、このため双極型二次電池とも称されている。そして、正極12、セパレータ14、および負極13によって単電池15を形成している。単電池15は、その正極12と負極13を集電体11によって電気的に直列に接続されて複数積層されている。このように単電池15が複数積層したものを発電要素16という。なお、最外層に位置する集電体は、最外層集電体11aおよび11bであり、これには片面にのみ、負極13または正極12のいずれか一方が形成されている。この最外層集電体11aおよび11bのさらに外側に集電板18a、19bが設けられている。これら集電板18a、19bはそれぞれ延長されて負極タブ18および正極タブ19となっている。また、集電板18a、19bは、集電体11より厚く形成することで、積層された複数の単電池15からの電流を取り出しやすくなるようにしている。
【0028】
そして、これら各部材が、ラミネートシート17によって封止されている。集電板18a、19bは、それぞれラミネートシート17の外に延長されて負極タブ18および正極タブ19とされている。また、単電池15の外周には、隣接する集電体11の間を絶縁するためのシール部材20が設けられている。
【0029】
なお、集電板に代えて、最外層集電体11aおよび11bを厚くして、そのままラミネートシート17の外に延長して負極タブ18および正極タブ19としてもよい。また、最外層集電体11aおよび11bと集電板18a、19bの間に電極活物質があってもよい。すなわち、片面にのみ電極活物質を設けた最外層専用の集電体11aおよび11bとするのではなく、両面に電極活物質がある集電体11をそのまま最外層の集電体として用いてもよいのである。
【0030】
このような双極型二次電池を構成する各部材は、通常のリチウムイオン二次電池と同じである。各部材についての一例を挙げれば下記のとおりである。
【0031】
(集電体)
集電体11(および11a、11b)は導電性材料から構成される。そして、既に説明したように、その表面(第1面)に正極、裏面(第2面)に負極が形成されている。
【0032】
この集電体11を構成する材料は、導電性を有するものであれば特に制限はない。たとえば、金属や導電性高分子が採用されうる。より具体的には、たとえば、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、銅などの金属材料が挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材、あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが好ましく用いられうる。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。ただし、材料によって耐蝕性が異なるため、使用可能な正極材料、負極材料が限定される。このため、耐蝕性、作り易さ、経済性などの観点からは、ステンレス箔を集電体として用いることが好ましい。また、集電体11の具体的な厚さについても特に制限はなく、集電体11としての機能を果たしうる厚さであればよい。なお、集電板18a、19bについても、集電体と同様の材料で形成することができる。
【0033】
(正極および負極)
正極12および負極13は、それぞれ活物質を含み、必要に応じてその他の添加剤をさらに含む。
【0034】
正極活物質は、たとえば、LiMn2O4、LiCoO2、LiNiO2、Li(Ni−Co−Mn)O2およびこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの等のリチウム−遷移金属複合酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、リチウム−遷移金属硫酸化合物などが挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。好ましくは、リチウム−遷移金属複合酸化物が、正極活物質として用いられる。なお、上記以外の正極活物質が用いられてもよいことは勿論である。
【0035】
負極活物質としては、たとえば、黒鉛(グラファイト)、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素材料、リチウム−遷移金属複合酸化物(たとえば、Li4Ti5O12)、金属材料、リチウム−金属合金材料などが挙げられる。より高密度化できる負極材料として、シリコン、酸化シリコン、錫などを用いた負極活物質を用いてもよい。特に、このような高密度化できる負極材料を用いた場合、充放電時における負極の膨張収縮が大きいため、本発明はよりいっそうの効果を発揮することができる。これは、たとえば、シリコン(Si)では充電容量4000mAh/g程度が可能であり、錫(Sn)では同990mAh/g)である。そしてこれらの負極材料を用いた場合、充電により約400〜600%の体積が増加する。なお、従来から多く使用されている黒鉛の場合はこれより少ないが、それでも充電時に120%程度は膨張する。当然ながら、放電時は、膨張したものが同じ割合で収縮することになる。
【0036】
なお、正極、負極の材料は2種以上の活物質が併用されていてもよい。さらに、ここで例示した以外の正極活物質、負極活物質が用いられてもよいことは勿論である。
【0037】
さらに、正極および負極には、添加剤としては、たとえば、バインダー、導電助剤、電解質塩(リチウム塩)、イオン伝導性ポリマー等が混合されうる。
【0038】
導電助剤は、正極活物質層または負極活物質層の導電性を向上させるために配合される添加物である。導電助剤としては、たとえばアセチレンブラック等のカーボンブラック、グラファイト、気相成長炭素繊維などの炭素材料が挙げられる。活物質層(13、15)が導電助剤を含むと、活物質層の内部における電子ネットワークが効果的に形成され、電池の出力特性の向上に寄与しうる。
【0039】
電解質塩(リチウム塩)としては、Li(C2F5SO2)2N)、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiCF3SO3等が挙げられる。
【0040】
イオン伝導性ポリマーとしては、たとえば、ポリエチレンオキシド(PEO)系およびポリプロピレンオキシド(PPO)系のポリマーが挙げられる。
【0041】
正極活物質および負極活物質中に含まれる成分の配合比は、特に限定されない。配合比は、非水溶媒二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整されうる。
【0042】
正極および負極の厚さ(各活物質層の厚さ)についても特に制限はなく、電池についての従来公知の知見が適宜参照されうる。
【0043】
(セパレータ)
セパレータ14は、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンからなる微多孔膜が挙げられる。そして、セパレータ14には、電解質が含浸されている。
【0044】
電解質は、たとえば液体電解質であり、可塑剤である有機溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解した形態を有する。可塑剤として用いられうる有機溶媒としては、たとえば、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が例示される。また、支持塩(リチウム塩)としては、LiBETI等の電極の活物質層に添加されうる化合物が同様に採用されうる。
【0045】
また、このような液体電解液を含浸させたセパレータ14に変えて、ポリマー電解質そのものをセパレータ14として用いてもよい。ポリマー電解質としては、たとえば電解液を含むゲル電解質と、電解液を含まない真性ポリマー電解質に分類される。
【0046】
ゲル電解質は、イオン伝導性ポリマーからなるマトリックスポリマーに、上記の液体電解質が注入されてなる構成を有する。マトリックスポリマーとして用いられるイオン伝導性ポリマーとしては、たとえば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびこれらの共重合体等が挙げられる。かようなポリアルキレンオキシド系ポリマーには、リチウム塩などの電解質塩がよく溶解しうる。
【0047】
なお、電解質が液体電解質やゲル電解質から構成される場合には、電解質にセパレータ14を用いてもよい。セパレータ14の具体的な形態としては、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンからなる微多孔膜が挙げられる。
【0048】
真性ポリマー電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、可塑剤である有機溶媒を含まない。したがって、電解質が真性ポリマー電解質から構成される場合には電池からの液漏れの心配がなく、電池の信頼性が向上しうる。
【0049】
ゲル電解質や真性ポリマー電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発現しうる。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(たとえば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合等の重合処理を施せばよい。
【0050】
次に、以上のように構成された二次電池システムの制御について説明する。
【0051】
本実施形態における二次電池システムの制御の基本は、充放電時に二次電池10の厚さが膨張収縮するのに応じて、その厚さ方向の寸法を規制するものである。このため、まず、充放電によって二次電池10の厚さがどのように変化するかを知る必要がある。
【0052】
図5は、二次電池10の厚さと二次電池10の残存容量との関係を示すグラフである。
【0053】
このグラフから明らかなように、二次電池10の厚さと残存容量、すなわちSOC(State Of Charge)には相関関係のあることがわかる。
【0054】
したがって、二次電池10の現在のSOCを求めれば、求めたSOCから現在の二次電池10の厚さがわかる。そこで二次電池システムにおける制御は、あらかじめそれぞれの二次電池10に対応した図5のようなグラフ(関係表)またはこのグラフに基づき作成した関係式をコントローラ3内に記憶しておく。そして、現在のSOCを用いて記憶した関係表または関係式から現在の二次電池10の厚さを求め、それに対応して、二次電池10が膨張するときには二次電池10を挟んでいる下板42と規制板41の間隔を広げ、二次電池10が収縮するときには間隔を狭くする。
【0055】
あらかじめ記憶しておく関係表または関係式は、二次電池10の負極材料(負極活物質)が異なるごとに、かつ単電池の積層方向の負極の総厚さが異なるごとに作成する必要がある。なぜなら、負極材料が異なれば、充放電に伴う負極の膨張量が異なるためである。同じく負極の総厚さが異なれば、全体としての厚さの変化量も違うからである。なお、負極の総厚さは、たとえば上述した双極型二次電池の場合、1つの単電池を構成する負極における負極活物質の厚さを、単電池を積層した数だけ積算することで求められる。
【0056】
SOCは、満充電状態における容量と現在時点における容量との比をいう。このSOCの算出(推定)方法は様々である。たとえば、開路電圧と電池の内部抵抗から推定する方法、電流値を時間積分する方法などである。ここでは、この二次電池システムに負荷50が接続された状態でもSOCを求めることができるように、電流値を時間積分する方法を採用する。これは具体的には満充電から取り出すことのできる電流量(電流×時間)をあらかじめ求めておいて、そこから、放電および充電を行った電流値と放電時間をかけたものを引けば(または足せば)簡単に残存容量が出てくる。つまり、電池残存容量(SOC)=初期容量±電流値×時間となる。ここで、±の符号は、充電時は+、放電時は−となる。SOCを用いる場合は、満充電時が100%となるように満充電が行われるたびに補正することが好ましい。
【0057】
なお、SOCの算出(推定)は、このような方法に限らず、その他の方法を使用してもよいが、あらかじめ作成しておく関係表または関係式を作成したときと同じ方法を用いる。
【0058】
二次電池10の厚さの変化は、SOC以外の指標を使って求めることもできる。
【0059】
上記のように、二次電池10の厚さはSOCと相関関係がある。一方、SOC算出方法のなかには開路電圧を用いる方法がある。これらのことから二次電池10の厚さは開路電圧を相関関係がある。
【0060】
図6は、二次電池10の厚さと開路電圧との関係を示すグラフである。
【0061】
このグラフからわかるように、二次電池10の厚さは開路電圧(Open circuit voltage(OCV),(またはloadvoltageともいう))と相関関係があるといえる。そこで、本実施形態の二次電池システムは、この二次電池10の厚さと開路電圧の相関関係を示す図6に示すようなグラフ(関係表)またはこのグラフに基づき作成した関係式をコントローラ3内に記憶しておく。そして、開路電圧を測定し、その電圧値から現在の電池の厚さを求めて、電池が膨張するときにはそれに合わせて二次電池10を挟んでいる下板42と規制板41の間隔を広げ、電池が収縮するときには間隔を狭くすることになる。なお、開路電圧を測定する際には、コントローラ3がリレースイッチ33を開いて(OFF)にして、電圧計32により二次電池10の両端子電圧を測定することになる。この場合は、いったん負荷50への電流供給を絶たなければならない。したがって、負荷の状態に依存しない二次電池の現在の電圧値を計測でき、より正確な厚さの推定が可能となる。
【0062】
さらに、同様の関係は、閉路電圧(Closed circuit voltage(CCV)でも認められる。閉路電圧は負荷50を接続したままの状態で測定した二次電池10の端子間電圧である。
【0063】
図7は、二次電池10の厚さと閉路電圧との関係を示すグラフである。
【0064】
このグラフからわかるように、二次電池10の厚さは閉路電圧を相関関係があるといえる。ただし、図7に示したように、閉路電圧の場合は流した電流量によって厚さとの相関関係が違ってくる。したがって、この場合は、二次電池10の厚さと閉路電圧の相関関係を示す図7に示すようなグラフ(関係表)またはこのグラフに基づき作成した関係式を、それぞれ負荷50に流す電流に応じてあらかじめ作成してコントローラ3内に記憶しておく。そして、閉路電圧を測定し、その電圧値から現在の電池の厚さを求めて、電池が膨張するときにはそれに合わせて二次電池10を挟んでいる下板42と規制板41の間隔を広げ、電池が収縮するときには間隔を狭くすることになる。なお、閉路電圧を測定する際には、コントローラ3がリレースイッチ33を閉じて(ON)にして、電圧計32により二次電池10の両端子電圧を測定することになる。したがって、この場合は、負荷50への電流供給を絶たなくてもよい。
【0065】
次に、二次電池システムの制御手順を説明する。
【0066】
図8は、二次電池システムの制御手順を示すフローチャートである。
【0067】
まず、コントローラ3は二次電池10の現在の厚さを求める(S1)。これには、上述したように、SOCから求める、開路電圧から求める、および閉路電圧から求めるのいずれかを採用することができる。SOCから求める場合は常に二次電池10からの放電電流を時間積分しておく必要がある。開路電圧から求める場合はいったん負荷50への電流供給を止めて電圧値を測定する。閉路電圧から求める場合は負荷50へ電流を供給している現在時点における電圧値を測定する。そして、これらの値から、それぞれにあった関係表または関係式を用いて二次電池10の現在の厚さを求める。
【0068】
続いて、コントローラ3は求めた二次電池10の現在の厚さに対応させて規制手段4の間隔を変更する(S2)。そして、制御はS1へ戻り繰り返し実行することになる。
【0069】
なお、この制御は、リアルタイムで継続的に実行してもよいが、たとえば一定時間間隔ごとや、あらかじめ決められたイベント発生時ごとに実行するようにしてもよい。一定時間間隔ごとに行う場合は、たとえば、10分ごと、30分後と、あるいは1時間ごとなど、満充電から残量0(または0に近い残量)となるまでの時間を分割して適宜二時電池10の膨張収縮量に合わせて、二次電池の10の厚さが規制できる間隔とする。一方、イベント発生時ごとに実行する場合は、たとえば、負荷50が停止したようなイベントが発生したときに、このS1〜S2の制御を行うようにするとよい。特に開路電圧から厚さを求める場合には負荷50へ電流供給を止める必要があるため、この負荷停止イベント時に行うことになる。イベントとしては他に、充電のために外部電源につないだときなどでもよい。もちろん時間間隔ごとに行うのと、イベント発生時に行うものを組み合わせるようにしてもよい。たとえば、負荷停止イベントや外部電源からの充電イベント発生時には、開路電圧から厚さを求めて制御し、負荷動作中は一定時間間隔ごとにSOCや閉路電圧から厚さを求めて制御するようにしてもよい。
【0070】
(実施例)
実際にリチウムイオン二次電池を製作して、これの厚さを上述した実施形態に従い積層方向から規制しながら充放電サイクル試験を行った結果(実施例)を説明する。比較のために厚さ方向を規制せずに充放電サイクル試験を行った結果(比較例)を合わせて示す。
【0071】
試作した二次電池の構成は下記のとおりである。
【0072】
正極:Al箔15μm、マンガン酸リチウム(90(成分の質量比、以下同様))、助剤(6)、バインダーPVdF(4)、密度2.8g/ml、厚み110μm。
【0073】
負極:銅箔10μm、酸化シリコン(45)、グラファイト(45)、バインダーPVdF(10)、密度1.4g/ml、厚み20μm。
【0074】
セパレータ:PE、空孔率。
【0075】
電極サイズ:146mm×96mm(正極)、150mm×100mm(負極)。
【0076】
積層数:21層(正極10層+負極11層)。
【0077】
電解液:PC/EC/DEC=1/1/1、1M LiPF6。
【0078】
電池容量:5.5Ah。
【0079】
これを、最外層の正極および負極に電極リードを取り付けラミネートパッケージしてアセンブリした。
【0080】
電池厚み変化は、アセンブリ時4.0mm、充電時4.4mm、放電時4.2mmであった。
【0081】
充放電サイクル試験は0.2Cで充放電サイクルを20回行った。そして、実施例においては、電流値の時間積分によりSOCを算出して、前述した図5のグラフに基づき電池厚みをラミネートパッケージの上から圧力0.5kg/cm2〜1kg/cm2となるように充電時の大きさから放電時の大きさまで充放電に応じて規制した。一方、比較例はラミネートパッケージのままで厚さ方向の規制はしていない。
【0082】
充電条件は定電流定電圧充電で4.2V、8時間、放電条件は3V終止とした。
【0083】
図9は、この充放電サイクル試験の結果を示すグラフである。
【0084】
図に示したとおり、実施例も比較例も充放電サイクルが進むにつれて、放電容量が減っている。しかし、実施例の方は比較例よりもその減り方が少ないことがわかる。この結果から本実施形態のように、充放電に応じてその厚みを規制し、二次電池内部の圧力を一定に保つことで、優れた電池特性を長く維持できるようになることがわかる。
【0085】
次に、二次電池システムの応用例について説明する。
【0086】
二次電池は一つのパッケージをそのまま用いることもあるが、パッケージされた二次電池を複数直列および/または並列に接続して組電池として用いることがある。ここでは、そのような複数のパケージされた二次電池を複数用いた組電池に本発明による二次電池システムを適用した例を説明する。
【0087】
図10は、複数の二次電池を使用した場合の規制手段の一例を説明する側面図である。
【0088】
最も単純には、図10に示すように、一つの規制手段4を取り付けた一つの二次電池10を直列または並列に接続する形態である。この場合、図2および3に示したような規制手段4を取り付けた一つの二次電池10を複数用意さえすれば、それらの二次電池10を直列および/または並列にバスバーやリード線60などで接続することで、所望の電圧または電池容量の組電池とすることができる。なお、この場合、制御手段であるコントローラも、一つひとつの二次電池10ごとに用意し、それぞれの二次電池10ごとに個別に規制手段4を動作させることになる。
【0089】
このようにして組電池を構成した場合、個々の二次電池10がそれぞれ個別に規制手段4によってその厚さが規制されるように制御される。このため、個々の二次電池10はそれぞれの容量や大きさが違っていてもよい。
【0090】
組電池の他の形態としては、たとえば、図11に示すように、規制手段4の上板43および下板42を共通として、そのなかに、直列および/または並列に接続した複数の二次電池10を載置する。そしてこれら複数の二次電池10に対してそれぞれ個別に可動可能な規制板41a、41b、41cを設ける。この場合、それぞれの二次電池10のSOC、開路電圧、または閉路電圧を計測して、それぞれ個別に二次電池10の厚さを推定し、その厚さから個別に、規制板41a、41b、41cを動作させ、規制する間隔を変更する。この場合、制御手段であるコントローラも、一つひとつの二次電池10ごとに用意し、それぞれの二次電池10ごとに個別に規制板41a、41b、41cを動作させることになる。
【0091】
このようにした場合、全体としては複数の二次電池からなる一つの組電池となるが、個々の二次電池10の厚さはそれぞれ個別に規制することができる。したがって、個々の二次電池10がそれぞれ個別に規制手段4によってその厚さが規制されるように制御される。このため、個々の二次電池10はそれぞれの容量や大きさが違っていてもよい。ただし、個々の二次電池10は下板42と規制板41の間に入る必要がある。
【0092】
さらに他の形態としては、図12に示すように、上板43、下板42、そして規制板41dも共通として、そのなかに直列および/または並列に接続した複数の二次電池10を載置する。この場合、二次電池10のいずれか一つのSOC、開路電圧、または閉路電圧を代表値として計測して、規制板41dを動作させればよい。したがって、複数の二次電池10に対してコントローラは一つでよく、複数の二次電池10がある場合でも制御が簡単になる。ただし、この形態の組電池の場合は、個々の二次電池10の容量および大きさは同じものを使用することになる。
【0093】
次に、二次電池システムを搭載した車両について説明する。
【0094】
本実施形態の二次電池システムは、たとえば、電気自動車、ハイブリッド自動車など電力を駆動源として用いる車両に好適である。
【0095】
図13は、上述した二次電池システムを電気自動車に搭載した例を示す図面である。
【0096】
この電気自動車400は、上述した図11〜12に示したいずれかの組電池構成の二次電池部分(規制手段付き二次電池300と称する)を車体中央部の座席下に搭載し、電気自動車400のモータ用電源として用いている。座席下に搭載すれば、車内空間およびトランクルームを広く取ることができるからである。なお、規制手段付き二次電池300を搭載する場所は、座席下に限らず、後部トランクルームの下部でもよいし、車両前方のエンジンルームでも良い。
【0097】
電気自動車などに二次電池システムを搭載した場合、二次電子システムのコントローラとしては、電気自動車内の電子制御装置に上述したコントローラの動作をさせるようにしてもよい。
【0098】
二次電池10の厚さを規制する制御は、車両の場合も、一定時間間隔ごとの制御とイベント発生時の制御を行うことができる。特にこれらを組み合わせて、負荷停止イベント、すなわち、車両が停止したときには開路電圧から厚さを求めて制御し、走行中は一定時間間隔ごとにSOCや閉路電圧から厚さを求めて制御するようにするとよい。また、車両の場合、一定時間間隔ごとに行うのに代えて、走行距離ごとに行うようにしてもよい。
【0099】
このように規制手段付き二次電池300を用いた電気自動車400は、規制手段4によって二次電池10の電力取り出し効率が高く、かつ耐久性(充放電サイクル)がよくなる。このため、長期間使用しても十分な出力を提供しうる。
【0100】
本実施形態の規制手段付き二次電池300または二次電池システムをモータ用電源として用いる車両としては、たとえば、ガソリンを用いない完全電気自動車、シリーズハイブリッド自動車やパラレルハイブリッド自動車などのハイブリッド自動車、および燃料電池自動車などの車輪をモータによって駆動する自動車が挙げられる。そのほか、二輪車(バイク)や三輪車、さらには、電車などの移動体の各種電源や二次電池10としても利用可能である。
【0101】
さらに、本実施形態の規制手段付き二次電池300または二次電池システムは載置用電源として利用することも可能である。
【0102】
以上説明した実施形態によれば、二次電池の単電池積層方向両端の間隔を規制する規制手段を設け、二次電池の充放電に伴う二次電池の膨張収縮に追従して規制手段によって規制している積層方向両端の間隔を変更する。これにより内部圧力が充放電に起因して大きく変化しなくなり、正極、負極、およびセパレータのそれぞれの接触圧が一定に保たれるようになる。したがって、充電時においては正極、負極、およびセパレータのそれぞれに過大な圧力が加わるおそれがなく、これらの間で起こる短絡を確実に防止することができる。また、放電時においては正極、負極、およびセパレータの接触圧が放電量(残存容量)によらず一定となるので、内部抵抗の変動が少なく効率よく最後まで電流を取り出すことができる。さらに、充放電による内部圧力の変動が少ないので充放電サイクル特性も向上する。
【0103】
また、本実施形態によれば、現在の残存容量を求めて、その値とあらかじめ求められている残存容量と積層方向の寸法との関係を規定した関係表または関係式から、二次電池の厚さを推定することとした。そして、求めた厚さに対応させて規制手段の間隔を変更することとしている。したがって二次電池の電圧、電流を計測することで二次電池の寸法変化を推定して、その寸法変化分を規制手段の間隔として調整することができる。特に残存容量を、二次電池の放電電流を時間により積算した値から推定することで、二次電池使用中、つまり、負荷を動作させながらでも簡単に二次電池を厚さを推定することができる。
【0104】
その他、あらかじめ求められている開路電圧と積層方向の寸法との関係を規定した関係表または関係式から二次電池の厚さを推定することもできる。この場合、負荷と二次電池との接続を切って電圧を測定することになる。したがって、負荷の状態に依存しない二次電池の現在の電圧値を計測でき、より正確な厚さの推定が可能となる。
【0105】
また、あらかじめ求められている開路電圧と前記積層方向の寸法との関係を規定した関係表または関係式から二次電池の厚さを推定することもできる。この場合、負荷を接続した状態で簡単に二次電池の厚さを推定することができる。
【0106】
また、本実施形態によれば、二次電池を複数個直列および/または並列に接続し、各二次電池のそれぞれに規制手段を設けた。この場合、二次電池システムの規制手段を一つひとつの二次電池に対して設けることになる。したがって、規制手段を付けた二次電池を接続さえすれば、任意の電圧や電池容量となる組電池を容易に構築することができる。
【0107】
また、本実施形態によれば、二次電池を複数個直列および/または並列に接続し、かつ、複数の二次電池に対して一つの規制手段が設けるようにしてもよい。このようにすれば、複数の二次電池に対して、一つの規制手段で済む。したがって、複数の二次電池を一つの制御で行うことができる。
【0108】
また、本実施形態の車両によれば、搭載した二次電池システム自体が高耐久性を有するため、車両における電源系の耐久性も向上させることができる。このため、電池の交換回数を少なくすることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明を適用した実施形態における二次電池システムの構成を説明するためのブロック図である。
【図2】上記二次電池システムの二次電池を含む規制手段部分を説明するための斜視図である。
【図3】上記二次電池システムの二次電池を含む規制手段部分を説明するための側面図である。
【図4】リチウムイオン二次電池の一例を説明するための内部断面図である。
【図5】二次電池の厚さと二次電池の残存容量(SOC)との関係を示すグラフである。
【図6】二次電池の厚さと開路電圧(OCV)との関係を示すグラフである。
【図7】二次電池の厚さと閉路電圧(CCV)との関係を示すグラフである。
【図8】二次電池システムの制御手順を示すフローチャートである。
【図9】充放電サイクル試験の結果を示すグラフである。
【図10】複数の二次電池を使用した場合の規制手段の構成例を説明する側面図である。
【図11】複数の二次電池を使用した場合の規制手段の他の構成例を説明する側面図である。
【図12】複数の二次電池を使用した場合の規制手段の他の構成例を説明する側面図である。
【図13】二次電池システムを電気自動車に搭載した例を示す図面である。
【符号の説明】
【0110】
3 コントローラ、
4 規制手段、
10 二次電池、
11 集電体、
12 正極、
13 負極、
14 セパレータ、
15 単電池、
16 発電要素、
17 ラミネートシート、
31 電流計、
32 電圧計、
33 リレースイッチ、
35 補助電源、
41 規制板、
42 下板、
43 上板、
44 ボルトナット、
45 ボールねじ、
46 ねじ軸、
47 ナット部、
48 モータ、
50 負荷、
51 インバータ、
400 車両。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と負極とが電解質を含むセパレータを介して対向してなる単電池を複数積層した二次電池と、
前記二次電池を積層方向から挟み込み、かつ、挟み込んだ間隔を可変可能な規制手段と、
前記二次電池の充放電に起因して起こる前記二次電池の前記積層方向における寸法変化に対応して、充電時においては前記二次電池が前記積層方向に膨張した分前記間隔を広げ、放電時においては前記二次電池が前記積層方向に収縮した分前記間隔を狭くするように前記規制手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする二次電池システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記二次電池の残存容量を求め、あらかじめ求められている残存容量と前記積層方向の寸法との関係を規定した関係表または関係式から、前記求めた残存容量に対応した現在の前記積層方向の寸法を求め、当該求めた寸法に対応させて前記規制手段の前記間隔を変更することを特徴とする請求項1記載の二次電池システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記二次電池の開路電圧を測定し、あらかじめ求められている開路電圧と前記積層方向の寸法との関係を規定した関係表または関係式から、前記測定した開路電圧に対応した現在の前記積層方向の寸法を求め、当該求めた寸法に対応させて前記規制手段の前記間隔を変更することを特徴とする請求項1記載の二次電池システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記二次電池の閉路電圧を測定し、あらかじめ求められている閉路電圧と前記積層方向の寸法との関係を規定した関係表または関係式から、前記測定した閉路電圧に対応した現在の前記積層方向の寸法を求め、当該求めた寸法に対応させて前記規制手段の前記間隔を変更することを特徴とする請求項1記載の二次電池システム。
【請求項5】
前記残存容量は、前記二次電池の放電電流を時間により積算した値から推定することを特徴とする請求項2記載の二次電池システム。
【請求項6】
前記二次電池を複数個直列および/または並列に接続し、各二次電池のそれぞれに前記規制手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の二次電池システム。
【請求項7】
前記二次電池を複数個直列および/または並列に接続し、複数の前記二次電池に対して一つの前記規制手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の二次電池システム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の二次電池システムをモータの電源として搭載したことを特徴とする車両。
【請求項1】
正極と負極とが電解質を含むセパレータを介して対向してなる単電池を複数積層した二次電池と、
前記二次電池を積層方向から挟み込み、かつ、挟み込んだ間隔を可変可能な規制手段と、
前記二次電池の充放電に起因して起こる前記二次電池の前記積層方向における寸法変化に対応して、充電時においては前記二次電池が前記積層方向に膨張した分前記間隔を広げ、放電時においては前記二次電池が前記積層方向に収縮した分前記間隔を狭くするように前記規制手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする二次電池システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記二次電池の残存容量を求め、あらかじめ求められている残存容量と前記積層方向の寸法との関係を規定した関係表または関係式から、前記求めた残存容量に対応した現在の前記積層方向の寸法を求め、当該求めた寸法に対応させて前記規制手段の前記間隔を変更することを特徴とする請求項1記載の二次電池システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記二次電池の開路電圧を測定し、あらかじめ求められている開路電圧と前記積層方向の寸法との関係を規定した関係表または関係式から、前記測定した開路電圧に対応した現在の前記積層方向の寸法を求め、当該求めた寸法に対応させて前記規制手段の前記間隔を変更することを特徴とする請求項1記載の二次電池システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記二次電池の閉路電圧を測定し、あらかじめ求められている閉路電圧と前記積層方向の寸法との関係を規定した関係表または関係式から、前記測定した閉路電圧に対応した現在の前記積層方向の寸法を求め、当該求めた寸法に対応させて前記規制手段の前記間隔を変更することを特徴とする請求項1記載の二次電池システム。
【請求項5】
前記残存容量は、前記二次電池の放電電流を時間により積算した値から推定することを特徴とする請求項2記載の二次電池システム。
【請求項6】
前記二次電池を複数個直列および/または並列に接続し、各二次電池のそれぞれに前記規制手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の二次電池システム。
【請求項7】
前記二次電池を複数個直列および/または並列に接続し、複数の前記二次電池に対して一つの前記規制手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の二次電池システム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の二次電池システムをモータの電源として搭載したことを特徴とする車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−80279(P2010−80279A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247736(P2008−247736)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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