説明

二次電池及びエネルギー貯蔵装置

本発明による二次電池は、電極組立体と電解液が共に収納される収納部と、開放部を含む金属製カンと、カンを密封することができるようにカンの開放部に位置される金属製キャップと、及びカンとキャップの溶融点より低い融点を有して、カンとキャップの接合部との間に介された状態で及び/または接合部周りを取り囲んだ状態で溶融接合される溶融接合部材を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池及びエネルギー貯蔵装置に関するものであり、より詳細には、リチウム(イオン及び/またはポリマー)二次電池及びコンデンサ、燃料電池などのようなエネルギー貯蔵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジカメ、カムコーダ、携帯用電話機、携帯用PCなどのような携帯用電子製品の構造が軽量化または高機能化されることで、電子製品の電源で使用される電池に対して多くの研究が進行されている。このような電池は、充/放電によって連続的に使用することができる。
通常に、繰り返し充/放電が可能な電池、すなわち、二次電池は、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム2次電池などで分類されて、これらのうちで寿命と容量を考慮すれば、リチウム2次電池が汎用化されている。
前記リチウム2次電池は、電解質の種類によって液体電解質を使用するリチウム金属電池、リチウムイオン電池、及び高分子固体電解質を使用するリチウムポリマー電池に区分される。リチウムポリマー電池は、高分子固体電解質の種類によって有機電解液が全然含有されていない完全固体型リチウムポリマー電池、有機電解液を含むゲル型高分子電解質を使用するリチウムイオンポリマー電池に区分される。
リチウムイオン二次電池は、既存二次電池製品より向上したエネルギー密度と繰り返し使用寿命特性を有して、このような長所らのために需要と使用範囲が倦まず弛まず増加している。しかし、リチウムイオン二次電池は、高いエネルギー密度によって外部環境の変化及び危険要因に対してより安定的に性能を維持して、異常状況で電池の内容物がケース(パック)の外部に流出されて安全性を侵害することが発生しないように製品設計に根本的な安全装置の導入が必要である。
電極組立体を取り囲む金属材質の外装材(例、ケースまたはパック)は、このような要求を満たすことができる一つの方便として長年の期間に使用されて来たし、その形態と大きさも多様に存在する。しかし、その形態にかかわらず既存の金属外装材は大きく、電池の内容物を収容するカン(容器)とこれを覆うキャップ(覆い)で構成されることが一般的であり、その材質としては鉄、ステンレス、アルミニウム及びその他の金属、またはこれらの合金が使用される。
通常的に、電池の外装材としてカンとキャップを接合するか、またはそれらの接触部を密封するためには、例えば、圧着またはクリンピングなどのような物理的な固定、溶接などのような熱加工による固定などの方法が使用されて来た。特に、溶接方式は母材(カンとキャップ)が接合部で溶融されて混合された後に凝固されることで、接合部の永久的な結合を形成するために、電池の安定的な密封性を保障してくれる。このような金属外装材の溶接は、例えば、レーザー溶接、アーク溶接、プラズマ溶接などが使用されて来たし、これと係わる先行技術らを本出願人によって出願された多くの特許らを参考することができる(韓国特許出願番号第2000−0021513号と、韓国特許出願番号第2000−0014318号と、韓国特許出願番号第2000−0044179号と、韓国特許出願番号第2003−0065237号)。
溶接方式によって永久的に接合及び/または密封された金属外装材は、電池の長期使用の信頼性を提供するだけでなく、圧力及び機械的衝撃、温度及び湿度変化などの外部環境要因から電池の内容物を保護して、それと同時に電池内部の有害な化学物質が外部に流出されることを効果的に阻んでくれる。
ところが、金属材質の外装材を適用して溶接などのような方式によって電池のカンとキャップを溶接する従来の密封方式は次のような問題点らがある。
第一、母材(外装材)が直接溶融されなければならないので高い熱発生が必要である(鉄及びステンレスの溶融温度は、1500℃であり、アルミニウムの溶融温度は660℃以上である)。
第二、密封過程で外装材に直接高熱が加えられるので、熱に弱い電池の構成要素ら(例、セパレーター、電解液など)に致命的損傷をもたらすことができる。
第三、溶接条件の最適化が気難しくて、溶接のための時間と費用の消耗が大きい。
第四、溶接工程のうちで発生する母材の変形及び/または変性によって溶接部位に、例えば、ピンホール(pin hole)などのような微細欠陷が発生する恐れがある。
五番目、接合(または溶接)面積の制御が難しくて、溶接強度調節に限界がある。特に、高容量/高出力特性を有した薄型広面積電池の場合、接合距離と接合面積が大きくなることによって溶接に多い時間と費用が大きく増加される。
一方、このような電池の安定的な密封に対する要求とは反対に、電池の誤/濫用、あるいはその他の原因によって電池内部の圧力と温度が上昇する場合、電池の密封状態をなるべく早く崩壊させて電池内部の高い温度と圧力を常温及び常圧で安定化させる必要がある。このために大部分の二次電池は(特に、金属外装材を使用する二次電池の場合)例えば、ベント(vent)などのような別途の圧力解消メカニズムを取り揃えているし、このような圧力解消メカニズムは、電池の異常状況で電池内部と外部を物理的に連結させることで電池を安定化させることができる。
ところが、金属材質の外装材を使用する従来の電池らは、それぞれの電池のモデル、サイズ、容量、使用形態などによってそれぞれ異なる設計を有した圧力解消メカニズムを具備しなければならないので、電池製造費用及び工程が増加されて製品の単価が高くなる問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、前述したところのような従来技術の問題点らを改善するために着眼されたものであり、母材の融点より低い温度(例えば、140℃付近から自由に選択可能)で異種金属溶融材を利用して接合させるものであり、電池内部に伝達される熱を最小化することができ、接合部位の形状などに制約なしに簡便で速く密封が可能であり、母材の変形がなく、異種金属溶融材の塗布量を調節することで、接合面積を制御できるように電池の金属外装材の密封構造が改善された二次電池を提供することにその目的がある。
特に、前述したところのように従来技術のまた他の問題点であった別途のベントメカニズムを設計に対する要求条件らを改善して、適切な異種金属溶融材の材質選択によって特定温度で電池の密封性が解除されることができるベントメカニズムが電池の密封及び/または接合部と一体化された二次電池を提供することにその目的がある。このような目的は、溶融材の塗布量及び接合面積制御が容易な点に着眼して、圧力耐久性制御が可能なベント一体型密封設計を備えた二次電池の具現が可能である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記の目的を達成するための本発明による二次電池は、電極組立体と電解液が共に収納される収納部と、開放部を含む金属製カンと、前記カンを密封することができるように前記カンの前記開放部に位置される金属製キャップと、及び前記カンと前記キャップの溶融点より低い融点を有して、前記カンと前記キャップの接合部との間に介された状態で及び/または前記接合部周りを取り囲んだ状態で溶融接合される溶融接合部材を具備する。
望ましくは、前記カンと前記キャップとの間の接合または密封状態は、前記溶融接合部材の融点によって制御可能である。
望ましくは、前記カンと前記キャップとの間に介される溶融接合部材の面積によって前記カンと前記キャップとの間の密封または接合強度が調節されることができる。
望ましくは、前記溶融接合部材は、前記二次電池の圧力耐久性の制御が可能になるようにあらかじめ決まった温度で接合または密封状態が解除されるベント(vent)手段を兼ねる。
望ましくは、前記溶融接合部材は、前記接合部に接触されて、溶融後に凝固されることができるようにあらかじめ決まった形状で事前−成形(pre−formed)される。
望ましくは、前記溶融接合部材は、前記接合部の周辺に塗布される液状物質である。
望ましくは、前記溶融接合部材は、前記キャップの前記接合部に印刷するペースト形態である。
望ましくは、前記接合部を形成する前記カンと前記キャップの少なくともある一面には前記溶融接合部材を収容することができる収容溝が設けられる。
望ましくは、前記カン及び/または前記キャップは、鉄、アルミニウム、銅を含む単一金属または黄銅、青銅、ステンレスを含む合金を具備する。
望ましくは、前記溶融接合部材は、鉛、スズ、亜鉛、アルミニウム、銀またはこれらの合金で構成されたグループから選択された何れか一つを含む。
望ましくは、前記合金は、Zn−Al系列、Sn−Pb系列、Sn−Ag−Cu系列、Sn−Zn系列、Sn−Bi−Ag系列で構成されたグループから選択された何れか一つを含む。
望ましくは、前記溶融接合部材は、およそ100℃乃至およそ450℃の間、望ましくは、およそ138℃乃至およそ250℃間の融点を有する。
望ましくは、前記カン及び/または前記キャップは、前記溶融接合部材との接合性を向上させるために前記接合部の表面がニッケルまたは銅によってメッキされる。
本発明の目的は、リチウムイオン二次電池以外の他の二次電池、コンデンサ、燃料電池などのようなエネルギー貯蔵装置(素子)などで拡がることができ、そのようなエネルギー貯蔵装置は、二次電池用電極組立体またはコンデンサ用極板組立体または燃料電池用極板組立体を含むエネルギー貯蔵装置用構成要素らを収納する収納部を有して開放部を含む金属製第1外装材と、前記第1外装材の開放部に重ねられる金属製第2外装材と、及び前記第1外装材及び前記第2外装材の溶融点より低い融点を有して、前記第1及び第2外装材の間の接合部で溶融接合されて、前記第1及び第2外装材と異なる金属または金属化合物を含む溶融接合部材を具備する。
望ましくは、前記第1外装材及び/または前記第2外装材は、およそ10kcal/mh℃(20℃)以上の熱伝導率、およそ5kgf/mm以上の引張強度を有して、およそ30μm以上の厚さを有する。
望ましくは、前記接合または密封は、熱及び/または圧力によって溶融された後凝固されて、前記第1外装材と前記第2外装材との位置を固定する。
【発明の効果】
【0005】
本発明による二次電池は、金属材質の外装材を密封する時、接合対象になる母材(ステンレス、アルミニウム、鉄など)に所定範囲の溶融温度範囲を有した異種の金属または金属化合物をとかして付ける過程で、母材より低い融点を有した金属/金属化合物を外装材の接合面または接合部の周辺に塗布して、このように塗布された異種金属/金属化合物によって電池の密封を維持する方法を使用することで次のような効果を有する。
第一、接合部位と製品の形状に制約を受けないで多様な製品を密封することができる。
第二、従来に一般的に利用された接合方法である溶接方式に比べてもうすこし低い温度で接合がなされることで、母材または電池の構成要素らに加えられる熱損傷の憂慮を防止することができる。
第三、溶融材で使用される異種金属/金属化合物の種類と融点が多様に存在して、商業化されているので材料の選択の幅が広い。
第四、接合部位の融点調節が自由であるために、特定温度範囲で比較的正確に制御される温度感応型ベントメカニズムを接合部位に一体で具現することができる。
五番目、溶融材の塗布面積(接合面積)を調節すれば、接合部自体を特定圧力範囲で制御される圧力感応型ベントメカニズムでも活用することができる。
本発明の二次電池が特に効果的に適用されることができる分野は、薄型広面積二次電池製品として、従来技術の弱みを補完、改善することができる効果を有する。
前述したところのように、本発明の二次電池は、リチウムイオン二次電池以外にコンデンサ、燃料電池などのようなエネルギー貯蔵装置の構成要素らを取り囲むケースなどにも拡がることができることは当業者が理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の望ましい実施例による二次電池の構成を概略的に示した分解斜視図である。
【図2】図1のキャップを概略的に示した平面図である。
【図3】本発明の望ましい実施例による溶融接合部材の温度/圧力範囲選択時に考慮される事項を説明する図面である。
【図4】本発明の望ましい実施例による溶融接合部材の一例を概略的に示した斜視図である。
【図5】本発明の望ましい実施例による二次電池を密封する工程を概略的にそれぞれ示した構成図である。
【図6】本発明の望ましい実施例による二次電池を密封する工程を概略的にそれぞれ示した構成図である。
【図7】本発明の他の実施例による二次電池を概略的にそれぞれ示した断面図である。
【図8】本発明の他の実施例による二次電池を概略的にそれぞれ示した断面図である。
【図9】本発明の望ましい実施例によるカンとキャップの表面に形成された収容溝の変形例を説明する断面図である。
【図10】本発明の他の実施例による二次電池の密封組み立て工程を概略的に示した斜視図である。
【図11】本発明のまた他の実施例による二次電池の接合工程を概略的に示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例による二次電池を説明する。図面で、等しい構成要素らは等しい参照符号が付与された。
図1は、本発明の望ましい実施例による二次電池の構成を概略的に示した分解斜視図である。
図1を参照すれば、二次電池100は金属製のカン10と、金属製キャップ20、及びカン10とキャップ20の接合部に介される溶融接合部材30を具備する。
前記カン10は、電極組立体40と電解液(図示せず)を含む電池の構成要素らを収納する収納部12を有して、一端が開放された開放部14を有する。カン10はその自体が電極端子の機能をすることもできる。本実施例でカン10は、4面体形態の角形電池で図示されたが、円筒状電池またはどのような他の形態の電池などのように業界で要求される寸法らでいくらでも変形されることができることは、当業者が容易に理解するであろう。カン10の収納部12は、電極組立体40と電解液を収納/収容して、それを密閉させる空間として概略的に直四角形態で図示されたが、実在的に組み立てされる電極組立体40の形状または模様に相応する形態で変更されることができる。カン10の開放部14は、キャップ20によって覆われるものであり、特にその形状及びサイズに制限があるものではない。
カン10は側壁16から実質的に直交される外側方向に予め決定された長さ程度突き出されたフランジ形態の実質的に偏平な接合平面18を具備する。このようなフランジ形態の接合平面18は、カン10の厚さに対して安定した接合面積で確保するためのものである。
本発明の望ましい一実施例によると、カン10及び/またはキャップ20は、収納部12に収納された電極組立体40と電解液のような内容物が外部に流出されるか、または外気が流入されないようにして、内、外部の間の気圧差、物理、化学、気候環境的衝撃に対して内容物が正常に作動することができる範囲内で気密性を保障する材料を含む。例えば、カン10及び/キャップ20はおよそ10kcal/mh℃(20℃)以上の熱伝導率、およそ5kgf/mm以上の引張強度を有して、およそ30μm以上の厚さを有する。
前記電極組立体40は正極板/セパレーター/負極板が順次に配置(例、複数の単位電極らが積層されるラミネーションタイプまたは単位電極らが巻取されたゼリー−ロールタイプ)でなされた構造であり、全体的な外形が直方体またはコイン型などのように多様に変形されることができる。
通常に、二次電池において、正極板はアルミニウム薄板の正極集電体の少なくとも一つの面にリチウム系酸化物を主成分にする正極活物質が塗布された構造であり、負極板は銅薄板の負極集電体の少なくとも一つの面に炭素材を主成分にする負極活物質が塗布された構造である。正極板と負極板は、それぞれ正極タップと負極タップを具備する。このような正極タップと負極タップは極性によってお互いに異なる位置に配置されることもできて、正極板と負極板から突き出される正極タップと負極タップ部分は極板らの間の短絡を防止するために絶縁テープを付着することができる。また、セパレーターは正極板と負極板を分離させるための多孔性高分子フィルムを使用する。正極板/セパレーター/負極板で構成される電極組立体40の構造は、当業者によっていくらでも変形されることができる。
図2は、図1のキャップを概略的に示した平面図である。
図1及び図2を参照すれば、キャップ20はカン10の開放部14を覆って密封することができるものであり、カン10の接合平面18に重ねられる第2接合平面22を具備する。キャップ20は全体的にプレート形態を有して、電極組立体40の電極端子(図示せず)が貫通することができる貫通孔(図示せず)が形成されることができ、必要によってカン10の下面には絶縁材、端子プレート(図示せず)などが含まれることができる。また、キャップ20には密封された状態でカン10内部に電解液を入れ込むことができる電解液注入口(図示せず)が設けられることもできる。
また、カン10及び/またはキャップ20は、溶融接合部材30との接合性を向上させるために接合部の表面がニッケルまたは銅によってメッキされることが望ましい。
前記溶融接合部材30は、金属製のカン10とキャップ20の溶融点より低い溶融点を有して、カン10の接合平面18とキャップ20の第2接合平面22を含む接合部の間に位置される。
溶融接合部材30は母材の融点より低くて、内部熱伝逹憂慮がない溶融点を有しながら、母材との接合性が優秀で十分な接合強度を期待することができ、電池の性能外的な要因(例、費用、環境親和性)まで考慮して、特定温度に到逹すれば溶融されて密封性が解除される性質を考慮して多様な種類の金属及び金属化合物のうちから選択されることができる。一方、溶融接合部材30として合金を使用する理由は、単一金属より融点を低めることができ、機械的強度を改善することができ、価格を低めることができ、母材金属との接合親和性を期待することができ、多様な液相曲線−固相曲線の温度範囲を有することができ
【0008】
るというものである。溶融接合部材30の可用の種類及び特徴は下の表1のようである。
【0009】
【表1】

【0010】
一方、本発明の望ましい実施例らにおいて、溶融接合部材30は鉛を含むものとして敍述されたが、親環境的な要因らを勘案して鉛またはその合金を選択しないこともあることは当業者に自明である。
本発明の望ましい一実施例によると、溶融接合部材30は、およそ100℃乃至およそ450℃間、さらに望ましくはおよそ138℃乃至およそ250℃間の融点を有する。
本発明の望ましい一実施例によると、溶融接合部材30は、例えば、190℃の融点を有するSn−8Zn−3Biを選択する。なぜなら、従来のプラズマ溶接による接合方法の場合、外装材に直接1000℃以上の高熱が加えられて、工程条件達成に多くのエネルギー/時間が必要であって、100℃で電解液が分離されて、120〜140℃でセパレーターの多孔が詰まって、150〜180℃でセパレーターが破壊されるなど二次電池100の主要構成要素らが溶接過程で熱損傷を受ける恐れがあるからである。
したがって、二次電池100の構成要素らの損傷憂慮を考慮すれば、溶融接合部材30は溶融可能な低い温度を有して、なるべくなら高い熱源が工程中に配置されることを回避して、汎用装備(ヒーター、ジグ)(後述)を使用することが望ましい。また、溶融接合部材30は、二次電池100の一般的な作動範囲(例、80℃未満)ではその密封性が解除されるか、または弱くならなく、一般化された耐熱過酷テスト規格(リチウムイオン電池に対するUL規格:130℃)では内部圧力が急激に増加しない限り(分離膜の絶縁性が破壊されなくて内部短絡が発生しない範囲)涙液を起こさないように密封性を維持するが、電池の安全性に致命的な危険を持って来るものとして知られた正極物質の内部熱暴走開始温度(例、およそ200℃)に到逹する前には密封性が充分に解除されることができるものが望ましい。このような理由に対して敷衍説明すれば、従来の二次電池の一般的なベントメカニズム(外装材の一部狭い面積にベント手段が具備される)では、ベントメカニズムが作動しても内部物質の噴出様相に比べて十分な面積を通じた排出が難しくて、さらに噴出物質によってベント穴が詰まることも発生する。しかし、本実施例のベントメカニズム兼用溶融接合部材30によると、意図する広い面積をベントメカニズムとして活用可能であり、そのような範囲内で温度と耐久圧力が容易に調節されることができるという点である。
本発明の実施例らによる溶融接合部材30の温度/圧力範囲選択は、図3を参照することができる。図3の温度と圧力は例示的なものに過ぎなくて、製品設計によってその最適値らはいくらでも多様に調節されることができることを当業者は理解できるであろう。
前記溶融接合部材30の融点によってカン10とキャップ20との間の接合または密封状態が制御される。また、カン10とキャップ20との間の接合または密封状態は、前記溶融接合部材の融点によって制御可能である。また、カン10とキャップ20との間に介される溶融接合部材30の面積によってカン10とキャップ20との間の密封または接合強度が調節されることができる。
図4は、本発明の望ましい実施例による溶融接合部材30の一例を概略的に示した斜視図である。
図1及び図4を参照すれば、本実施例による溶融接合部材30は、カン10の接合平面18及びキャップ20の第2接合平面22にそれぞれ接触されて溶融された後に凝固されることができるように断面が四角形態でなされていて、実質的に直四角形態の閉ループを形成する環形状で事前−成形(pre−formed)される。このような成形方法は業界に既に知られたいろいろの多様な方式で具現されることができることを当業者は理解するであろう。溶融接合部材30は固相に成形されて、例えば、熱線ヒーター(図示せず)による直接加熱、高周波による超音波加熱、抵抗熱で加熱されると共にジグ(図示せず)などによって加えられる圧力によって圧着溶融されながらカン10とキャップ20の接合部を密封する。
図5及び図6は、本発明の望ましい実施例による二次電池を密封する工程を概略的にそれぞれ示した構成図である。
図5に示されたところのように、下部ジグ52の開口に電極組立体40が収納されたカン10を挿入して下部ジグ52の末端がカン10のフランジを支持した状態で溶融接合部材30をカン10の接合平面18上に位置させて、その上にキャップ20を重ねた後キャップ20の上部で上部ジグ54を押して所定圧力及び温度で加圧するようになれば、図6に示されたところのように、溶融接合部材30が溶融後凝固されながらキャップ20がカン10に堅固に固定される。
図7及び図8は、本発明の他の実施例による二次電池を概略的にそれぞれ示した断面図らである。
図7及び図8を参照すれば、本実施例による二次電池200は、カン110の接合平面118とキャップ120の第2接合平面122のうちで少なくとも何れか1ヶ所にあらかじめ成形された溶融接合部材30が収納されることができるように収納溝119、123が設けられる。すなわち、本実施例によると、収納溝119、123に溶融接合部材30が挿入されることができるようにカン110とキャップ120を位置させて前述したところのようなジグまたは当業者によって考慮されることができる他の装置らを使用してカン110とキャップ120を所定圧力及び温度で圧着するようになれば、溶融接合部材30が溶融されて接合平面118及び第2接合平面122で溶融接合部材30が溶融されて凝固されれば、カン110とキャップ120は堅固に密封または接合される。
図7及び図8の収容溝119、123は、直角形態でカン110とキャップ120の接合表面ら118、122に引入形成されたものとして図示されたが、図9に示されたところのように、カン210とキャップ220の接合表面らの少なくとも何れか一つの表面に凹に形成されたリセス形態の収容溝223などのように当業者によっていくらでも変形可能である。本実施例によると、溶融接合部材230は、その断面が円形であらかじめ成形されることができる。
図10は、本発明の他の実施例による二次電池の密封組み立て工程を概略的に示した斜視図である。
図10を参照すれば、本実施例によると二次電池300において、カン310は接合平面318から実質的に垂直で延長される延長部311を具備して、キャップ320はキャッププレート321の角から段差になるように形成されて、カン310の接合平面318に接触されて、その端部が延長部311の側壁に接触されながら所定の空間を形成して、その空間に液状の溶融接合部材330を収容可能な段差部323を具備する。
本実施例によると、カン310の内部に電極組立体40が収納された状態でキャップ320を位置させた後に延長部311と段差部323が形成する空間に溶融状態(液状)の溶融接合部材330を降り注いだ後にその溶融接合部材330を凝固させるようになれば、カン310とキャップ320が密封接合されることができる。本実施例によると、カン310とキャップ320が接触される部分にガスケット(図示せず)が介されることもできる。
図11は、本発明のまた他の実施例による二次電池の接合工程を概略的に示した斜視図である。
図11を参照すれば、本実施例による二次電池は、図1及び図2に示されたカン10とキャップ20を使用して、業界で既に知られたソルダーペースト印刷機401を利用して、カン10の接合表面18に溶融接合部材430をペースト状態で印刷した後、その上にキャップ20を重ねた状態で所定温度及び所定圧力で加熱及び加圧することでカン10とキャップ20を溶融接合させることができる。
本発明の効果を確認するために、リチウムイオン二次電池を製作して、その性能を試して見た。本試験はSUS304ステンレス外装材(厚さ250μm、Niメッキ)を多様な方式で接合(密封)して、15Ah容量の角形電池(148x210x6.5、単位mm)を作って測定した。
比較製品は、従来のプラズマ溶接によってカンとキャップが接合された二次電池を利用したし、実験製品はSn−8Zn−3Bi(融点:191℃)を材料とする溶融接合部材を利用してカンとキャップが溶融接合された二次電池を利用した。
テスト項目は次のようである。
【0011】
(1)容量:0.5C/0.2C標準充放電容量
(2)高温保存特性:
<1>180℃で7日間保管しながら毎1日ごとに外観検査/重さ変化測定
<2>150℃で3時間保管後外観検査/重さ変化測定
(3)減圧テスト:−760mm/Hgで24時間減圧後外観検査/重さ変化測定
(4)加熱テスト:常温−400℃まで5℃/分で加熱して発生現象観察
(5)衝撃テスト:電池をジグに固定して最高加速度150gn/持続時間6msの衝撃を各軸(x、y、z軸)当たり6回印加後外観検査/重さ変化測定
このような実験の結果は次の表2のようである。
【0012】
【表2】

【0013】

前述したところのように、本発明の望ましい実施例らによる二次電池は、薄型の広面積角形電池(接合部位のスタート−終了の距離が長いか、または面積が大きい場合)に適用する場合特に有用であるが、他の一方では例えば、円筒状電池、コイン型電池などのような二次電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル水素電池など多様な電池及びこれを電池らの多様な形態の外装材や接合構造または形状に適用されることができることは、当業者は理解するであろう。
また、本発明の他の側面によるエネルギー貯蔵装置は、コンデンサ、燃料電池などのようなエネルギー貯蔵素子などで拡がることができ、そのようなエネルギー貯蔵装置は、既に知られたコンデンサ用極板組立体または燃料電池用極板組立体を含むエネルギー貯蔵装置用構成要素らを収納する収納部を有して、開放部を含む金属製第1外装材と、第1外装材の開放部に重ねられる金属製第2外装材、及び第1外装材及び第2外装材の溶融点より低い融点を有して、第1及び第2外装材の間の接合部で溶融接合されて、第1及び第2外装材と異なる金属または金属化合物を含む溶融接合部材を具備する。ここで、溶融接合部材の接合または密封は、熱及び/または圧力によって溶融された後凝固されて、第1外装材と第2外装材との位置を固定する。
本発明の多様な実施例らが上で説明された。しかし、当業者らは望ましい実施例らの前述した説明らは例示的なものに過ぎなくて、本発明は前述した装置ら及び方法らに対する修正及び変更が可能であることを理解できるであろう。当業者らは本明細書に開示された本発明の特定の実施例らに対する多くの均等物を日常的な実験を通じて分かるか、または確認することができるであろう。そのような修正、変形及び均等物らは下の請求範囲に列挙された本発明の精神及び範囲に含まれることを意図する。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本明細書に含まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体と電解液が共に収納される収納部と、開放部を含む金属製カンと、該カンを密封することができるように前記カンの前記開放部に位置される金属製キャップと、及び前記カンと前記キャップの溶融点より低い融点を有して、前記カンと前記キャップの接合部との間に介された状態で及び/または前記接合部周りを取り囲んだ状態で溶融接合される溶融接合部材を具備することを特徴とする二次電池。
【請求項2】
前記カンと前記キャップとの間の接合または密封状態は、前記溶融接合部材の融点によって制御可能なことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記カンと前記キャップとの間に介される前記溶融接合部材の面積によって前記カンと前記キャップとの間の密封または接合強度が調節することができることを特徴とする請求項1または2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記溶融接合部材は、前記二次電池の圧力耐久性の制御が可能になるようにあらかじめ決まった温度で接合または密封状態が解除されるベント(vent)手段を兼ねることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項5】
前記溶融接合部材は、前記接合部に接触されて溶融後凝固されることができるように予め決定された形状で事前−成形された(pre−formed)ことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項6】
前記溶融接合部材は、前記接合部周辺に塗布される液状物質であることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項7】
前記溶融接合部材は、前記キャップの前記接合部に印刷されるペースト形態であることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項8】
前記接合部を形成する前記カンと前記キャップとの少なくとも何れの一面には前記溶融接合部材を収容することができる収容溝があらかじめ設けられたことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項9】
前記カン及び/または前記キャップは、鉄、アルミニウム、銅を含む単一金属または黄銅、青銅、ステンレスを含む合金を具備することを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項10】
前記溶融接合部材は、鉛、スズ、亜鉛、アルミニウム、銀またはこれらの合金で構成されたグループから選択された何れか一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項11】
前記合金は、Zn−Al系列、Sn−Pb系列、Sn−Ag−Cu系列、Sn−Zn系列、Sn−Bi−Ag系列で構成されたグループから選択された何れか一つを含むことを特徴とする請求項10に記載の二次電池。
【請求項12】
前記カン及び/または前記キャップの材質は、前記収納部に収納された電極組立体または前記電解液が外部に流出されるか、または外気が流入されないようにして、内、外部の間の気圧差、物理、化学、気候環境的な衝撃に対して前記電極組立体及び前記電解液が正常に作動することができる範囲内で気密性を保障する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項13】
前記カン及び/または前記キャップは、およそ10kcal/mh℃(20℃)以上の熱伝導率、およそ5kgf/mm以上の引張強度を有して、およそ30μm以上の厚さを有したことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項14】
前記溶融接合部材は、およそ100℃乃至およそ450℃間、望ましくは、およそ138℃乃至およそ250℃間の融点を有したことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項15】
前記カン及び/または前記キャップは、前記溶融接合部材との接合性を向上させるために前記接合部の表面がニッケルまたは銅によってメッキされたことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項16】
二次電池用電極組立体またはコンデンサ用極板組立体または燃料電池用極板組立体を含むエネルギー貯蔵装置用構成要素を収納する収納部を有して開放部を含む金属製第1外装材と、該第1外装材の開放部に重ねられる金属製第2外装材と、及び前記第1外装材及び前記第2外装材の溶融点より低い融点を有して、前記第1及び第2外装材の間の接合部で溶融接合されて、前記第1及び第2外装材と異なる金属または金属化合物を含む溶融接合部材を具備することを特徴とするエネルギー貯蔵装置。
【請求項17】
前記第1外装材及び/または前記第2外装材の材質は、前記収納部に収納された内容物が外部に流出されるか、または外気が流入されないようにして、内、外部の間の気圧差、物理、化学、気候環境的な衝撃に対して前記内容物が正常に作動することができる範囲内で気密性を保障する材料を含むことを特徴とする請求項16に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項18】
前記第1外装材及び/または前記第2外装材は、およそ10kcal/mh℃(20℃)以上の熱伝導率、およそ5kgf/mm以上の引張強度を有して、およそ30μm以上の厚さを有したことを特徴とする請求項16に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項19】
前記接合または密封は、熱及び/または圧力によって溶融された後に凝固されて前記第1外装材と前記第2外装材の位置を固定することを特徴とする請求項16に記載のエネルギー貯蔵装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−533845(P2012−533845A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520528(P2012−520528)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【国際出願番号】PCT/KR2010/004194
【国際公開番号】WO2011/007969
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(512008440)ルート ジェイディー,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】