説明

二段膜ろ過システム、および二段膜ろ過システムの運転方法

【課題】低環境負荷、低コスト、省エネルギーの観点から水処理システム全体の透過水回収率を高めて、かつ被処理水水質に対して好適な二段膜ろ過プラントを設計し、安定に運転維持管理するための技術を提供すること。
【解決手段】限外ろ過膜モジュールまたは精密ろ過膜モジュールからなる一段目膜ろ過装置で平均濁度Tの被処理水を膜ろ過流束Fで透過水回収率をRとして膜ろ過する一段目ろ過工程、前記一段目膜ろ過装置の透過水側から被処理水側に送水することで前記一段目膜ろ過装置を逆洗する工程を有する物理洗浄工程、限外ろ過膜または精密ろ過膜からなる二段目膜ろ過装置で前記物理洗浄工程を行う際に一段目膜ろ過装置から排出された平均濁度Tの物理洗浄排水を膜ろ過流束Fで透過水回収率をRとして膜ろ過する二段目ろ過工程を有し、所定の関係式を満たす二段膜ろ過システムならびにその運転方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料水製造のための浄水処理、工業用水製造、下水・排水処理、海水淡水化の前処理などの水処理分野において、透過水の回収率を高めた高効率で低コストな限外ろ過膜モジュールまたは精密ろ過膜モジュールからなる二段膜ろ過システム、ならびに二段膜ろ過システムの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、膜ろ過法は飲料水製造のための浄水処理、工業用水製造、食品工業分野、下水・排水処理、海水淡水化などの様々な水処理分野での利用が進んでいる。これは、膜ろ過法が高精度の分離機能を有すること、設備の自動運転が可能で運転維持管理が容易であること、設置スペースが小さくてすむこと、既存のプロセスなど他機能のプロセスとの組合せが可能で高機能な水処理システムが組めることなどの特長を有するためである。
【0003】
特に飲料水製造分野、すなわち浄水処理用途においては、家畜の糞尿などに由来するクリプトスポリジウムやジアルジアなどの耐塩素性病原性微生物が浄水場で処理しきれず、処理水に混入する事故が1990年代から顕在化していることから、従来の凝集沈殿と砂ろ過を基本とする急速ろ過法の代替として、膜ろ過法の導入が進んでいる。
【0004】
一方、精密ろ過膜や限外ろ過膜には、細孔と呼ばれる小さな無数の孔が空いており、基本的にはこの孔より大きい物質が膜によって取り除かれ清澄な透過水が得られると共に、取り除かれた汚れ物質が膜に蓄積して“ファウリング”と呼ばれるろ過性能低下現象を引き起こす。精密ろ過膜や限外ろ過膜では、通常数十分から数時間毎に清澄水による逆流洗浄(以下逆洗と呼ぶ)や空気を用いたエアースクラビング洗浄と呼ばれる物理的な洗浄を繰り返しながらろ過運転を安定に継続させる。この物理洗浄によって膜から剥離した汚れ物質は、物理洗浄排水として膜モジュール系外に排出される。以上のような物理洗浄によってろ過運転が継続できるものの、物理洗浄に透過水の一部を使うために水処理システム全体の透過水回収率が低下するといった問題があった。
【0005】
さらに近年、膜を用いた水処理プラントの処理量が日量数万トン、日量数十万トンと大型化し、低コスト化が図られているため、透過水回収率の僅かな低下でも日量数千トン規模の物理洗浄排水が出ることになり、低環境負荷、低コスト、省エネルギーの観点から透過水回収率の低下は無視できない重要な課題の1つになってきている。
【0006】
特許文献1では、河川水等を膜ろ過した際に排出される膜の洗浄排水を汚泥の固形物濃度が5〜10%となるまで濃縮できる膜ろ過装置を具備する排水処理装置が開示されている。ここでは、膜洗浄排水を濃縮処理用膜装置で濃縮してから脱水機に導入することで年間を通じて安定した脱水処理を可能にし、透過水回収率を向上させることが述べられている。しかしながら、特許文献1では一段目、二段目の膜ろ過装置の回収率や膜ろ過流束、被処理水水質との関係については一切記載がなく、被処理水水質に応じた最適な二段膜ろ過プラントを設計し、運転維持管理するための技術に関しては開示されていない。
【0007】
特許文献2においても、被処理水を前処理してから膜ろ過し、その物理洗浄排水を二段目の膜ろ過装置でろ過してシステム全体の透過水回収率を99.9%以上にする技術が開示されているが、ここでは、二段目膜ろ過装置で一段目膜ろ過装置の物理洗浄排水を濃縮すれば、前処理として凝集剤を添加することなしに、汚泥の安定濃縮が可能であることが述べられているだけで、従来から実プラントで行われている二段膜ろ過システムを単に記載しているに過ぎない。特別な新規技術の提案も見受けられず、特許文献1と同様に、一段目、二段目の膜ろ過装置の回収率や膜ろ過流束、被処理水水質との関係については一切記載がない。
【特許文献1】特開平11−57434号公報
【特許文献2】特開2004−267887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、低環境負荷、低コスト、省エネルギーの観点から水処理システム全体の透過水回収率を高めて、かつ被処理水水質に対して好適な二段膜ろ過システムを設計し、かつ該システムを安定に運転維持管理するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明は、下記(1)〜(12)の構成によって達成される。
【0010】
(1)1)固有のパラメータa,b,cを有する限外ろ過膜モジュールまたは精密ろ過膜モジュールを具備する一段目ろ過手段、2)前記一段目ろ過手段の透過水側から被処理水側への送水することで、前記一段目ろ過手段を逆洗する物理洗浄手段、3)前記物理洗浄手段による洗浄時に排出された物理洗浄排水を膜ろ過する、固有のパラメータd,e,fを有する限外ろ過膜モジュールまたは精密ろ過膜モジュールを具備する二段目ろ過手段、4)前記一段目ろ過手段で膜ろ過する被処理水の平均濁度をT,前記二段目ろ過手段で膜ろ過する被処理水の平均濁度をTとしたとき、前記一段目ろ過手段における膜ろ過流束Fおよび透過水回収率R、ならびに前記二段目ろ過手段における膜ろ過流束Fおよび透過水回収率Rを、下式
=aT−b
=dT−e
=1−cF
=1−fF
を実質的に満たすように膜ろ過条件を制御する手段を有する二段膜ろ過システムであって、前記限外ろ過膜モジュールまたは精密ろ過膜モジュールに固有のパラメータa、b、c、d、e、fが
1.5≦a≦10
0.3≦b≦1
0.005≦c≦0.04
1.5≦d≦6
0.1≦e≦1
0.005≦f≦0.02
である二段膜ろ過システム。
【0011】
(2)二段膜ろ過システム全体の透過水回収率Rを99.9%以上に制御する手段を有する(1)に記載の二段膜ろ過システム。
【0012】
(3)前記二段目膜ろ過装置の膜モジュールが浸漬型膜モジュールである(1)または(2)に記載の二段膜ろ過システム。
【0013】
(4)前記一段目膜ろ過装置の膜モジュールが加圧型膜モジュールである(1)〜(3)のいずれかに記載の二段膜ろ過システム。
【0014】
(5)前記一段目膜ろ過装置の膜モジュールが全量ろ過方式である(4)に記載の二段膜ろ過システム。
【0015】
(6)1)その固有のパラメータa,b,cが、
1.5≦a≦10
0.3≦b≦1
0.005≦c≦0.04
である限外ろ過膜モジュールまたは精密ろ過膜モジュールからなる一段目膜ろ過装置で、平均濁度Tの被処理水を、膜ろ過流束Fで透過水回収率をRで膜ろ過する一段目ろ過工程、2)前記一段目膜ろ過装置の透過水側から被処理水側に送水し、前記一段目膜ろ過装置を逆洗する工程を有する物理洗浄工程、3)その固有のパラメータd,e,fが、
1.5≦d≦6
0.1≦e≦1
0.005≦f≦0.02
である限外ろ過膜モジュールまたは精密ろ過膜モジュールからなる二段目膜ろ過装置で、前記物理洗浄工程から排出された平均濁度Tの物理洗浄排水を、膜ろ過流束Fで透過水回収率をRで膜ろ過する二段目ろ過工程を有する二段膜ろ過システムの運転方法であって、前記平均濁度T,T、前記膜ろ過流束F,F、および前記透過水回収率R,Rを実質的に、
=aT−b
=dT−e
=1−cF
=1−fF
となるように運転して、前記一段目ろ過工程および前記二段目ろ過工程から透過水を回収する二段膜ろ過システムの運転方法。
【0016】
(7)二段膜ろ過システム全体の透過水回収率Rが99.9%以上の(6)に記載の二段膜ろ過システムの運転方法。
【0017】
(8)前記二段目膜ろ過装置の膜モジュールが浸漬型膜モジュールである(6)または(7)に記載の二段膜ろ過システムの運転方法。
【0018】
(9)前記一段目膜ろ過装置の膜モジュールが加圧型膜モジュールである(6)〜(8)のいずれかに記載の二段膜ろ過システムの運転方法。
【0019】
(10)前記一段目膜ろ過装置の膜モジュールが全量ろ過方式である(9)に記載の二段膜ろ過システムの運転方法。
【0020】
(11)限外ろ過膜モジュールまたは精密ろ過膜モジュールに固有のパラメータであるa、b、c、d、e、fが、
5≦a≦8
0.4≦b≦0.8
0.016≦c≦0.03
2.5≦d<5
0.2≦e<0.4
0.01≦f<0.016
であることを特徴とする(1)〜(5)に記載の二段膜ろ過システム。
【0021】
(12)限外ろ過膜モジュールまたは精密ろ過膜モジュールに固有のパラメータであるa、b、c、d、e、fが、
5≦a≦8
0.4≦b≦0.8
0.016≦c≦0.03
2.5≦d<5
0.2≦e<0.4
0.01≦f<0.016
であることを特徴とする(6)〜(10)に記載の二段膜ろ過システムの運転方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、従来95%程度であった透過水回収率を99.9%にまで高めた限外ろ過膜または精密ろ過膜からなる水処理システムが提供される。被処理水水質に対して好適な二段膜ろ過システムを設計し、かつ該システムを安定に運転維持管理するための技術が提供され、低環境負荷、低コスト、省エネルギーの観点から優れた水処理システムが得られる。特に大処理量の大型膜ろ過プラントにおいては安定運転が出来なかった時のリスクが大きいが、本発明によれば、一段目の膜ろ過装置と二段目の膜ろ過装置で好適にリスクを分散させることも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の二段膜ろ過システムを図1の例を用いて詳細に説明する。なお、本発明は、図1に示される二段膜ろ過システムに限定されるものではない。
【0024】
被処理水タンク1に導いた被処理水を、一段目膜ろ過装置のポンプ2で一段目膜ろ過装置3に供給し、透過水を透過水タンク6に蓄える。透過水タンク6に蓄えた透過水の一部を、逆洗用ポンプ7を用いて、一段目膜ろ過装置3の透過側から被処理水側へ送水して、一段目膜ろ過装置の逆洗を行う。また、膜モジュールが中空糸膜モジュールの場合には、膜モジュールの下部から空気を導入して中空糸膜を揺らすエアースクラビング洗浄なども一般に行われる。これら逆洗やエアースクラビング洗浄などの物理洗浄は、数十分から数時間毎に行われ、通常はこの物理洗浄度に物理洗浄排水が発生する。発生する物理洗浄排水は二段目膜ろ過装置4に導かれ、二段目膜ろ過装置のポンプ5を用いてろ過されて透過水タンク6に送水される。
【0025】
本発明者らは、図1に示す二段膜ろ過システムにおいて、被処理水タンク1に導かれた被処理水の平均濁度T、一段目膜ろ過装置3の物理洗浄排水平均濁度(二段目膜ろ過装置への膜供給水平均濁度)T、一段目膜ろ過装置の膜ろ過流束F、二段目膜ろ過装置の膜ろ過流束F、一段目膜ろ過装置の透過水回収率R、二段目膜ろ過装置の透過水回収率Rの関係について鋭意検討した結果、一段目の膜ろ過装置を高膜ろ過流束で低透過水回収率、二段目の膜ろ過装置を低膜ろ過流束で高透過水回収率とすることで、一段目膜ろ過装置の膜面積と二段目膜ろ過装置の膜面積の合計膜面積を減らし、かつ、一段目膜ろ過装置および二段目膜ろ過装置が安定に運転を継続でき、その結果、低コストで透過水の安定供給に対するリスクの少ない二段膜ろ過システムが得られることを見出した。
【0026】
ここで、膜ろ過流束とは、膜モジュールの透過水流量(m/日)を膜面積(m)で割った値であり、単位はm/日である。また、透過水回収率とは、膜ろ過装置の1サイクルのろ過で得られた透過水量から物理洗浄で発生する物理洗浄排水量を引いた値を1回のろ過サイクルで得られた透過水量で割った値に100をかけた値で、単位は%である。二段膜ろ過システム全体の透過水回収率Rとは、透過水タンク6から流出する透過水の平均流量を被処理水タンク1への被処理水流入流量で割った値に100をかけた値である。従来、膜ろ過装置の透過水回収率は95%程度であったが、以下に詳述する本発明の二段膜ろ過システムを用いることで99.9%以上の透過水回収率が得られる。
【0027】
二段膜ろ過システム全体処理流量の主系統の一段目膜ろ過装置を低膜ろ過流束とすると、一段目膜ろ過装置の膜面積が増加し、膜モジュール費用がかさむと共に、システム全体の設置面積の増加、加えて膜モジュールを接続するパイプやフランジや電動弁の数が増えて設備費が増加する。さらに一段目を低膜ろ過流束にすると一段目透過水回収率を高めに設定する必要が生じ、二段目膜ろ過装置の膜供給水平均濁度が高くなり、二段目の安定運転が難しくなる。また二段膜ろ過システム全体処理流量のうちの僅かな処理量である回収系統の二段目膜ろ過装置の膜透過流束を高めても二段膜ろ過システム全体の膜面積から見て僅かな膜面積しか低減できず、トータルコスト低減への寄与が小さいだけでなく、二段目膜ろ過装置の膜供給水平均濁度が高いことから安定運転も難しくなる。
【0028】
上述したように一段目の膜ろ過装置を高膜ろ過流束で低透過水回収率、二段目の膜ろ過装置を低膜ろ過流束で高透過水回収率とする本発明の二段膜ろ過システムを達成するためには、一段目の膜ろ過装置の膜モジュールに高膜ろ過流束で安定運転できる膜モジュールを、二段目の膜ろ過装置に高平均濁度膜供給水に対して高透過水回収率運転が可能な膜モジュールを採用することが必要である。一段目、二段目それぞれの膜ろ過装置の膜ろ過流束や透過水回収率の関係を種々検討したところ、次の関係式を満たすような膜モジュールを採用し、かつ次の関係式を満たすように膜ろ過流束および透過水回収率を制御することが可能なろ過手段を配してなる二段膜ろ過システムによって被処理水水質に好適で低コストな二段膜ろ過システムが得られることを本発明者らは見出した。
=aT−b
=dT−e
=1−cF
=1−fF
1.5≦a≦10
0.3≦b≦1
0.005≦c≦0.04
1.5≦d≦6
0.1≦e≦1
0.005≦f≦0.02
ここで、a、b、c、d、e、fは膜モジュール固有のパラメータである。
【0029】
aおよびdは膜モジュール自身の濁質に対する耐汚れ性のポテンシャルを表現すると考えられるパラメータで、大きければ高い膜ろ過流束で運転可能であること、小さければ高い膜ろ過流束での運転が難しいことを表す。このことを踏まえると高膜ろ過流束が必要な一段目膜モジュールに固有の定数aは1.5以上10以下、好ましくは3以上9以下、さらに好ましくは5以上8以下であり、二段目膜モジュールに固有の定数dは1.5以上6以下、好ましくは2以上5.5以下、さらに好ましくは2.5以上5未満である。
【0030】
bおよびeは濁質量の変化に対する膜モジュールの安定運転可能上限膜ろ過流束の変化量の大小を表現すると考えられるパラメータで、大きければ濁質量の変化に対する安定運転可能上限膜ろ過流束の変化量が大きく、小さければ変化量は大きくないことを表す。高膜ろ過流束での安定運転が必要な一段目膜モジュールに固有の定数bは0.3以上1以下、好ましくは0.35以上0.9以下、さらに好ましくは0.4以上0.8以下であり、二段目膜モジュールに固有の定数eは0.1以上1以下、好ましくは0.15以上0.7以下、さらに好ましくは0.2以上0.4未満である
cおよびfは安定運転のために必要な物理洗浄の量を表現すると考えられるパラメータで、小さければ必要な物理洗浄の量が少なく高い膜ろ過流束においても高い透過水回収率で運転可能なことを、大きければ膜ろ過流束の増加に伴い安定運転可能な透過水回収率の低下が大きいことを表す。高透過水回収率運転が求められる二段目膜モジュールに固有の定数fは0.005以上0.02以下、好ましくは0.008以上0.018以下、さらに好ましくは0.01以上0.016未満であり、一段目膜モジュールに固有の定数cは0.005以上0.04以下、好ましくは0.01以上0.035以下、さらに好ましくは0.016以上0.03以下である。
【0031】
特に、aを5以上8以下、dを2.5以上5未満とし、bを0.4以上0.8以下、eを0.2以上0.4未満とし、cを0.016以上0.03以下、fを0.01以上0.016未満とすることで、一段目の膜ろ過装置を高膜ろ過流束で低透過水回収率とし、二段目の膜ろ過装置を低膜ろ過流束で高透過水回収率とすることを顕著に実現でき、好ましい。
【0032】
次に、定数a、b、c、d、e、fの求め方について述べる。まず被処理水の平均濁度Tと膜ろ過流束Fの関係については、二段膜ろ過システムに採用する膜モジュールを用いて被処理水平均濁度Tを変化させたときの安定運転可能な上限膜ろ過流束Fを求め、その実験結果をF=aT−bの関数にフィッティングすることにより定数a、bを決める。定数の決定については、異なる被処理水平均濁度のデータを少なくとも3点、好ましくは4点、更に好ましくは5点以上用いて決定する。関数のフィッティングには最小自乗法を用いることが好ましく採用できる。
【0033】
次いで膜ろ過流束Fと透過水回収率Rの関係であるが、これについては二段膜ろ過システムに採用する膜モジュールを用いて被処理水平均濁度Tを変化させ、先に求めた被処理水平均濁度Tに対する安定運転可能な上限膜ろ過流束Fで膜ろ過を行い、この時の安定運転可能な上限回収率Rを求め、その実験結果をR=1−cFの関数にフィッティングすることにより定数cを決める。以上の手順を一段目膜ろ過装置および二段目膜ろ過装置の双方で行い、二段膜ろ過システム設計に必要な関係式を得る。
【0034】
なお、そのようなa,b,cを有する限外ろ過膜モジュールまたは精密ろ過膜モジュール、ならびに、そのようなd,e,fを有する限外ろ過膜モジュールまたは精密ろ過膜モジュールとしては、公知の方法によって得られるもので良い。
【0035】
次に、前記限外ろ過膜モジュールまたは精密ろ過膜モジュールを用いて本発明の二段膜ろ過システムにおいて一段目膜ろ過装置および二段目膜ろ過装置の膜ろ過流束F、Fおよび透過水回収率R、Rを特定の関係を保つように運転条件に制御して膜ろ過を行う二段膜ろ過システムの運転方法を述べる。
【0036】
被処理水平均濁度TからF=aT−bの関係を用いて一段目膜ろ過装置の膜ろ過流束Fを求める。次いで、このFからR=1−cFの関係を用いて一段目膜ろ過装置の透過水回収率Rを求める。Rが決まるとT=T/(1−R)の関係から二段目膜ろ過装置の膜供給水平均濁度Tが求まる。Tが決まればF=dT−eの関係から二段目膜ろ過装置の膜ろ過流束Fを決めることができ、このFからR=1−fFの関係を用いて二段目膜ろ過装置の透過水回収率Rが決まる。以上のような手順で定まったF、F、R、Rを維持するように制御して膜ろ過を行う二段膜ろ過システムの運転方法とするのが本発明の要旨である。なお、一段目ろ過工程、二段目ろ過工程、および物理洗浄工程の各運転条件の制御は、二段膜ろ過システムを構成する各装置(各手段)に内蔵されたPLC(プログラマブルコントローラー)にあらかじめ記録させ自動的に実行させることができる。
【0037】
なお、上記の方法で膜ろ過流束および透過水回収率を決めると被処理水の平均濁度に応じて最適な膜ろ過流束および透過水回収率がそれぞれ1点のみしか得られないことになる。しかしながら、実際は安定運転可能で好適な膜ろ過流束および透過水回収率にはある幅が存在する。よって本発明においては、上記関係式を実質的に満たすように運転すれば本発明の目的は達成される。ここで、実質的に満たすとは、膜ろ過流束および透過水回収率の値を中央に、膜ろ過流束については±10%の範囲の値を、透過水回収率については±2%の範囲の値を本発明の一段目膜ろ過装置および二段目膜ろ過装置の膜ろ過流束および透過水回収率として制御することをいう。
【0038】
また、一段目膜ろ過装置および二段目膜ろ過装置のろ過差圧上昇速度の推移を見ながら、膜ろ過流束については±10%、透過水回収率については±2%の範囲において膜ろ過流束や透過水回収率を変更して、例えば一時的な高濁度被処理水流入時にも一段目膜ろ過装置および二段目膜ろ過装置のろ過差圧上昇速度が小さくなるように運転条件を変更、制御することも好ましく、本発明の範囲に含まれるものとする。
本発明の膜ろ過装置に用いられる分離膜の形状には、中空糸膜、管状膜、平膜などがあり、いずれの形状のものでも本発明に用いることができるが、一般的な飲料水製造分野すなわち浄水処理過程、用水製造や排水処理などの水処理用途には、装置単位体積あたりの有効膜面積を大きくできる中空糸膜が好ましくい採用できる。中空糸膜モジュールには中空糸膜が容器に収納され、被処理水をポンプ等で加圧供給して透過水を得る加圧型膜モジュールと、膜供給水をタンクなどに入れて、そのタンクの中に直接膜モジュールを浸漬して吸引ろ過する浸漬膜モジュールの大きく2種類があり、本発明ではいずれの膜モジュールも採用できる。しかしながら本発明のポイントは、一段目の膜ろ過装置を高膜ろ過流束で低透過水回収率、二段目の膜ろ過装置を低膜ろ過流束で高透過水回収率とすることであり、このためには一段目の膜ろ過装置では高膜ろ過流束に有利な加圧型膜モジュールを、二段目の膜ろ過装置では高平均濁度被処理水の高透過水回収率運転に適した浸漬膜モジュールを採用することが好ましい。
【0039】
本発明に用いられる分離膜は、細孔径が1nm以上10μm以下のいわゆる精密ろ過膜または限外ろ過膜に分類される分離膜である。逆浸透膜やナノろ過膜は一般には物理洗浄を行わず、さらにシステムの設計思想が異なるため本発明には含まれない。ここで、分離膜の細孔径は、以下に述べる方法で測定する。すなわち、分離膜の透水性Lと水の膜ろ過速度Jから、次式の関係を使って計算して求める。
【0040】
=L・ΔP
= (H/L)・(R/8η)
ここで、ΔPは膜間圧力差、Hは平均の膜空隙率、Lは膜厚、Rは平均細孔径、ηは水の粘性である。
【0041】
精密ろ過膜または限外ろ過膜の素材には、ポリアクリロニトリル、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンスルフィドスルフォン、ポリフッ化ビニリデン、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、セラミック等の無機素材等を挙げることができ、本発明の主旨から言って特に限定されないが、化学的耐久性が高いポリフッ化ビニリデンや親水性の素材であり汚れにくいポリアクリロニトリル、酢酸セルロースが好ましい。
【0042】
本発明における被処理水とは一段目膜ろ過装置の膜モジュールに供給される膜供給水のことで、例えば浄水処理分野では主に河川水、湖沼水、地下水などの自然水が被処理水となる。被処理水は下水の2次処理水、海水などでも構わない。
【0043】
膜ろ過装置とは、少なくとも原液側に加圧手段もしくは透過液側に吸引手段を設けて、透過水の製造を行う装置のことである。加圧手段としてはポンプを用いてもよいし、また水位差による圧力を利用してもよい。また、吸引手段としては、ポンプやサイフォンを利用すればよい。この膜ろ過装置を二段に組合せ、一段目膜ろ過装置の物理洗浄排水を二段目の膜ろ過装置でろ過するシステムが本発明の二段膜ろ過システムである。
【0044】
膜分離装置の運転には、定流量ろ過および定圧ろ過があるが、本発明は膜ろ過流束と透過水回収率を好適に決定する技術を提供するものであり、定流量ろ過運転に限定される。
【0045】
また、被処理水の分離膜への供給の仕方で、被処理水の全量をろ過する全量ろ過運転と分離膜モジュールに供給した被処理水の一部を被処理水に返送するクロスフローろ過運転がある。本発明の主旨から言えばいずれのろ過運転方式でも構わないが、全量ろ過運転の方が設備が単純で運転管理し易く、物理洗浄排水以外の膜供給水のすべてを透過水として得られるので、エネルギーコストの低減につながり有利であり好ましい。
【0046】
以下に具体的実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0047】
二段膜ろ過システムの性能評価は、以下に述べる琵琶湖水を用いた運転性評価によって行った。2週間〜3ヶ月間のろ過差圧推移を計測して、次式により1日平均のろ過差圧上昇速度(kPa/日)を算出して比較した。
【0048】
ろ過差圧上昇速度(kPa/日)=(P−P)/T
ここで運転評価開始時点の物理洗浄直後のろ過差圧をP(kPa)、運転評価終了時点の該ろ過差圧をP(kPa)、運転期間をT(日)とする。
【0049】
ろ過差圧上昇速度が0.35kPa/日程度以下であれば、6ヶ月の運転で約60kPaのろ過差圧上昇である。運転初期ろ過差圧が20〜30kPa程度であり、薬液洗浄の目安がろ過差圧100kPaから150kPa程度であることを考えれば、ろ過差圧上昇速度が0.35kPa/日のろ過運転は薬液洗浄間隔が6ヶ月程度となり、該中空糸膜は耐汚れ性が高く、安定運転が可能と言える。
【0050】
<実施例1>
一段目膜ろ過装置として加圧型で膜面積72mの東レ株式会社製ポリフッ化ビニリデン製中空糸精密ろ過膜モジュール“HFS−2020”を1モジュール用い、二段目膜ろ過装置として東レ株式会社製ポリフッ化ビニリデン製中空糸精密ろ過膜モジュール“HFS−2020”の中空糸膜を用いて作製した膜面積22mの浸漬型中空糸膜モジュールを1モジュール用いた二段膜ろ過システムを作製した。
【0051】
東レ株式会社製ポリフッ化ビニリデン製中空糸精密ろ過膜モジュール“HFS−2020”の被処理水平均濁度Tと安定運転可能上限膜ろ過流束Fの関係はF=5.8T−0.55、Fと安定運転可能上限透過水回収率Rの関係はR=1−0.021Fであった。また、東レ株式会社製ポリフッ化ビニリデン製中空糸精密ろ過膜モジュール“HFS−2020”の中空糸膜を用いて作製した膜面積20mの浸漬型中空糸膜モジュールの膜供給水平均濁度Tと安定運転可能上限膜ろ過流束Fの関係はF=2.5T−0.35、Fと安定運転可能上限透過水回収率Rの関係はR=1−0.014Fであった。この二段膜ろ過システムを用いて平均濁度3度の琵琶湖水のろ過を行った。
【0052】
上記の式から一段目膜ろ過装置の膜ろ過流束は3.2m/日、透過水回収率は93.3%、二段目膜ろ過装置の膜ろ過流束は0.7m/日、透過水回収率は99.0%とした。この時、一段目膜ろ過装置の物理洗浄排水平均濁度、すなわち二段目膜ろ過装置の膜供給水平均濁度は45度、二段膜ろ過システムの被処理水タンクへの被処理水流入流量は230m/日、透過水タンクから流出する透過水の平均流量は229.85m/日、システム全体の透過水回収率は99.93%であった。
【0053】
運転性評価を実施した結果、一段目膜ろ過装置のろ過差圧上昇速度は0.20kPa/日、二段目膜ろ過装置は50日間ろ過差圧の上昇がなく、システムとして安定なろ過運転を行うことができた。
【0054】
<比較例1>
実施例1と同様な二段膜ろ過システムにおいて、一段目膜ろ過装置の膜ろ過流束Fを3.8m/日とする以外は実施例1と同様な運転条件で二段膜ろ過システムの運転性評価を実施した。本比較例ではFが、F=5.8T−0.55から得られるFの±10%に含まれず、請求項1および6の要件を満たさないこととなる。その結果、一段目膜ろ過装置のろ過差圧上昇速度が0.65kPa/日となり、実施例1に比べてろ過差圧の上昇が早く、一段目膜ろ過装置の薬液洗浄頻度が多くなると考えられた。
【0055】
<比較例2>
実施例1と同様な二段膜ろ過システムにおいて、二段目膜ろ過装置の膜面積を15m、膜ろ過流束Fを1.0m/日とする以外は実施例1と同様な運転条件で二段膜ろ過システムの運転性評価を実施した。本比較例ではFが、F=2.5T−0.35から得られるFの±10%に含まれず、請求項1および6の要件を満たさないこととなる。ここで二段目膜ろ過装置の浸漬型中空糸膜モジュールは、実施例1の浸漬型中空糸膜モジュールと同一の中空糸膜有効長、同一の中空糸膜充填率として、モジュールの直径のみを小さくして、中空糸膜の本数を減らして作製した。このため定数d、e、fは実施例1と同一であった。運転性評価の結果、二段目膜ろ過装置のろ過差圧上昇速度が1.0kPa/日となり、実施例1に比べてろ過差圧の上昇が早く、二段目膜ろ過装置の薬液洗浄頻度が多くなると考えられた。
【0056】
<比較例3>
実施例1と同様な二段膜ろ過システムにおいて、一段目膜ろ過装置および/または二段目膜ろ過装置の膜ろ過流束F、Fを請求項1および6の要件を満たさなくするまで下げると、膜モジュール数を増やす必要があり、膜モジュール費用、設置面積、設備費用などの点から経済的でなく実施例1に比べて不利であった。
【0057】
<比較例4>
実施例1と同様な二段膜ろ過システムにおいて、一段目膜ろ過装置の透過水回収率Rを97.0%と高めた。本比較例ではRが、F=5.8T−0.55、およびR=1−0.021Fから得られるRの±2%に含まれず、請求項1および6の要件を満たさないこととなる。また、一段目膜ろ過装置の回収率を高めたぶん二段目膜ろ過装置の回収率を97.5%まで下げてもシステム全体の透過水回収率は99.93%を保てるため、二段目膜ろ過装置の透過水回収率を97.5%に下げた。それ以外は実施例1と全く同様な条件として二段膜ろ過システムの運転性評価を実施した。その結果、一段目膜ろ過装置のろ過差圧上昇速度が0.68kPa/日となり、実施例1に比べてろ過差圧の上昇が早かった。また、一段目膜ろ過装置の透過水回収率を高めたため、一段目膜ろ過装置の物理洗浄排水平均濁度、すなわち二段目膜ろ過装置の膜供給水平均濁度が102度となり、二段目膜ろ過装置のろ過差圧上昇速度が1.3kPa/日と高くなり安定運転ができなかった。
【0058】
<比較例5>
実施例1と同様な二段膜ろ過システムにおいて、一段目膜ろ過装置の透過水回収率Rを90.0%に下げた。本比較例ではR=5.8T−0.55、およびR=1−0.021Fから得られるRの±2%に含まれず、請求項1および6の要件を満たさないこととなる。また、一段目膜ろ過装置の回収率を下げたぶん二段目膜ろ過装置の回収率を99.93%まで高めないとシステム全体の透過水回収率を99.93%にできないため、二段目膜ろ過装置の透過水回収率を99.93%に高めた。それ以外は実施例1と全く同様な条件として二段膜ろ過システムの運転性評価を実施した。その結果、一段目膜ろ過装置のろ過差圧上昇速度は0.16kPa/日となり、実施例1に比べてろ過差圧の上昇が遅く安定であった。しかしながら、一段目膜ろ過装置の透過水回収率を下げたため、一段目膜ろ過装置の物理洗浄排水平均濁度、すなわち二段目膜ろ過装置の膜供給水平均濁度は31度と下がったにもかかわらず、物理洗浄が僅かしか実施できなかったため、二段目膜ろ過装置のろ過差圧上昇速度が0.9kPa/日と高くなり、実施例1に比べてろ過差圧の上昇が早く、二段目膜ろ過装置の薬液洗浄頻度が多くなると考えられた。
【0059】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の二段膜ろ過システムは、飲料水製造のための浄水処理、工業用水製造、下水・排水処理、海水淡水化の前処理などに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る二段膜ろ過システムの一例。
【符号の説明】
【0062】
1 被処理水タンク
2 一段目膜ろ過装置のポンプ
3 一段目膜ろ過装置
4 二段目膜ろ過装置
5 二段目膜ろ過装置のポンプ
6 透過水タンク
7 逆洗用ポンプ
8 バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)固有のパラメータa,b,cを有する限外ろ過膜モジュールまたは精密ろ過膜モジュールを具備する一段目ろ過手段、
2)前記一段目ろ過手段の透過水側から被処理水側への送水することで、前記一段目ろ過手段を逆洗する物理洗浄手段、
3)前記物理洗浄手段による洗浄時に排出された物理洗浄排水を膜ろ過する、固有のパラメータd,e,fを有する限外ろ過膜モジュールまたは精密ろ過膜モジュールを具備する二段目ろ過手段、
4)前記一段目ろ過手段で膜ろ過する被処理水の平均濁度をT,前記二段目ろ過手段で膜ろ過する被処理水の平均濁度をTとしたとき、前記一段目ろ過手段における膜ろ過流束Fおよび透過水回収率R、ならびに前記二段目ろ過手段における膜ろ過流束Fおよび透過水回収率Rを、下式
=aT−b
=dT−e
=1−cF
=1−fF
を実質的に満たすように膜ろ過条件を制御する手段
を有する二段膜ろ過システムであって、前記限外ろ過膜モジュールまたは精密ろ過膜モジュールに固有のパラメータa、b、c、d、e、fが
1.5≦a≦10
0.3≦b≦1
0.005≦c≦0.04
1.5≦d≦6
0.1≦e≦1
0.005≦f≦0.02
である二段膜ろ過システム。
【請求項2】
二段膜ろ過システム全体の透過水回収率Rを99.9%以上に制御する手段を有する請求項1に記載の二段膜ろ過システム。
【請求項3】
前記二段目膜ろ過装置の膜モジュールが浸漬型膜モジュールである請求項1または2に記載の二段膜ろ過システム。
【請求項4】
前記一段目膜ろ過装置の膜モジュールが加圧型膜モジュールである請求項1〜3のいずれかに記載の二段膜ろ過システム。
【請求項5】
前記一段目膜ろ過装置の膜モジュールが全量ろ過方式である請求項4に記載の二段膜ろ過システム。
【請求項6】
1)その固有のパラメータa,b,cが、
1.5≦a≦10
0.3≦b≦1
0.005≦c≦0.04
である限外ろ過膜モジュールまたは精密ろ過膜モジュールからなる一段目膜ろ過装置で、平均濁度Tの被処理水を、膜ろ過流束Fで透過水回収率をRで膜ろ過する一段目ろ過工程、
2)前記一段目膜ろ過装置の透過水側から被処理水側に送水し、前記一段目膜ろ過装置を逆洗する工程を有する物理洗浄工程、
3)その固有のパラメータd,e,fが、
1.5≦d≦6
0.1≦e≦1
0.005≦f≦0.02
である限外ろ過膜モジュールまたは精密ろ過膜モジュールからなる二段目膜ろ過装置で、前記物理洗浄工程から排出された平均濁度Tの物理洗浄排水を、膜ろ過流束Fで透過水回収率をRで膜ろ過する二段目ろ過工程
を有する二段膜ろ過システムの運転方法であって、前記平均濁度T,T、前記膜ろ過流束F,F、および前記透過水回収率R,Rを実質的に、
=aT−b
=dT−e
=1−cF
=1−fF
となるように運転して、前記一段目ろ過工程および前記二段目ろ過工程から透過水を回収する二段膜ろ過システムの運転方法。
【請求項7】
二段膜ろ過システム全体の透過水回収率Rが99.9%以上の請求項6に記載の二段膜ろ過システムの運転方法。
【請求項8】
前記二段目膜ろ過装置の膜モジュールが浸漬型膜モジュールである請求項6または7に記載の二段膜ろ過システムの運転方法。
【請求項9】
前記一段目膜ろ過装置の膜モジュールが加圧型膜モジュールである請求項6〜8のいずれかに記載の二段膜ろ過システムの運転方法。
【請求項10】
前記一段目膜ろ過装置の膜モジュールが全量ろ過方式である請求項9に記載の二段膜ろ過システムの運転方法。
【請求項11】
限外ろ過膜モジュールまたは精密ろ過膜モジュールに固有のパラメータであるa、b、c、d、e、fが、
5≦a≦8
0.4≦b≦0.8
0.016≦c≦0.03
2.5≦d<5
0.2≦e<0.4
0.01≦f<0.016
であることを特徴とする請求項1〜5に記載の二段膜ろ過システム。
【請求項12】
限外ろ過膜モジュールまたは精密ろ過膜モジュールに固有のパラメータであるa、b、c、d、e、fが、
5≦a≦8
0.4≦b≦0.8
0.016≦c≦0.03
2.5≦d<5
0.2≦e<0.4
0.01≦f<0.016
であることを特徴とする請求項6〜10に記載の二段膜ろ過システムの運転方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−272218(P2006−272218A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−97269(P2005−97269)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】