説明

二物質混合容器

【課題】使用時の衝突音や異物の混入を防止する二物質混合容器を提供することを目的とする。
【解決手段】二物質混合容器100は、第1容器10と、中蓋20と、第2容器30と、無底筒状のカバー部材40と、蓋体50とを備える。また、この二物質混合容器100は、第2容器30を下方位置と上方位置との間での移動を案内するガイド機構とを備える。中蓋20の上面と第2容器30の底面とが離間することにより、中蓋20の貫通口21及び第2容器30の流通口62が開放される。第2容器30に貯留される第2物質が第1容器10の内部に混入し、第1容器10に貯留される第1物質と第2容器30から混入される第2物質とが混合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二物質混合容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上下に隣接する第一収納部及び第二収納部と、第一収納部と第二収納部とを連通する第一開口部を螺合密封する中キャップと、第二収納部の上部開口部である台に開口部を密封する注出キャップと、注出キャップの回転を中キャップに伝達する回転伝達手段とから構成される容器が提案されている(特許文献1参照)。この容器において、注出キャップを中キャップが螺脱する方向に回転させると、この回転が中キャップに伝えられて、中キャップが第一開口部から螺脱して、第一開口部が開放される。第一開口部が開放されると、第一収納部と第二収納部とが開放された第一開口部を通して連通するため、第一の内容物と第二の内容物とを混合することができる。
【特許文献1】特開平11−91831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の容器を用いると、中キャップが第一収納部の内部に落下することになるため、容器の使用時に中キャップと第一収納部とが衝突することになる。そうすると、その容器の使用をするたび毎に衝突音が生じ、使用者に不快感を生じさせることになる。また、中キャップと第一収納部とが衝突すれば、第一収納部の内部が破損し、容器の内容物に第一収納部の破損物が混入する事態も考えうる。特に後者の問題は、中キャップと第一収納部とが衝突回数が増えるほど顕在化することになる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、本発明の容器は、上述の複数の技術課題を一度に解決することにより、二物質を混合するための容器の機能性と、その使い心地の向上に大きく貢献するものである。
【0005】
本発明の1つの二物質混合容器は、上部に口頚部が形成されるとともに第1物質を貯留する第1容器と、その口頚部に係合して固定され、かつ、その口頚部を覆うとともに、その第1容器の内側と外側とを連通する貫通口が形成された中蓋と、上部に吐出口が形成されるとともに底部に流通口が形成される第2容器と、その第2容器の下方位置と上方位置との間の移動を案内するガイド機構とを備えている。その上で、本発明の1つの二物質混合容器は、前述の下方位置で前述の中蓋の上面と前述の第2容器の底面とが接することにより、前述の貫通口及び前述の流通口が閉塞され、前述の上方位置に移動する過程でその中蓋の上面とその第2容器の底面とが離間することにより、前述の吐出口と前述の第1容器の内側とがその流通口及びその貫通口を介して連通する。
【0006】
この二物混合容器を採用すれば、第2容器の下方位置で中蓋の上面と第2容器の底面とが接することにより貫通口及び流通口が閉塞されるため、未使用の状態においては第1容器に貯留される第1物質と第2容器に貯留される第2物質とが混合されることがない。
【0007】
さらに、中蓋が第1容器に固定されているので、中蓋が第1容器の内部に落下して、第1容器と衝突することがない。他方、その中蓋には貫通口が形成されているため、その中蓋を落下させることなく、第1容器の内容物と第2容器の内容物とを混合させることができる。このため、衝突音が生じることもなく、また衝突により第1容器、中蓋、又は第2容器が破損し、内容物に第1容器、中蓋、又は第2容器の破損物が混入することもない。加えて、その中蓋が固定されていることにより、一旦混合された内容物が全て第1容器に収められることになれば、再度第2容器の底面がその中蓋の上面と接することにより、第1容器内の内容物を封じ込めることも可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の二物混合容器によれば、初期状態において第1容器に貯留される第1物質と第2容器に貯留される第2物質とが混合することなく保持することができる。また、混合の際に容器の構造物を破壊、切断等により離脱させることが無いため、内容物に第1容器、中蓋、又は第2容器の破損物が混入することもない。さらに、各容器の内容物を混合した後に、使用の都度、使用者に不快な衝突音が生じることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施形態を、添付する図面に基づいて詳細に述べる。尚、この説明に際し、全図にわたり、特に言及がない限り、共通する部分には共通する参照符号が付されている。また、図中、本実施形態の要素は必ずしもスケール通りに示されていない。また、各図面を見やすくするために、一部の符号が省略されうる。
【0010】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の1つの実施形態における二物質混合容器の第2容器30の下方位置の状態を示す断面図であり、図2は、その上方位置の状態を示す断面図である。また、図3は、中蓋20及び第2容器30を拡大して示す拡大断面図である。また、図4は、中蓋20を上方から示す斜視図であり、図5は、第2容器30の第2貯留部60を下方から示す斜視図である。
【0011】
図1乃至図3に示す二物質混合容器100は、第1容器10と、中蓋20と、第2容器30と、無底筒状のカバー部材40と、蓋体50とを備える。また、この二物質混合容器100は、図1及び図3に示すように、第2容器30をその下方位置(図1における第2容器30の位置)と上方位置(図2における第2容器30の位置)との間の移動を案内するガイド機構を備えている。このガイド機構は、中蓋ガイド部24と、第2容器ガイド部72と、第2容器の一部を構成する雄ネジ部73と、カバー部材40の一部を構成する雌ネジ部43を組み合わせたものである。以下に、二物質混合容器100の各構成部材について説明する。
【0012】
まず、第1容器10は、図1及び図2に示すように、その上部に口頚部11が形成されるとともに、第1物質を貯留する第1貯留部12を備える。また、口頚部11の外周には雄ネジ部13が形成されている。
【0013】
図1及び図4に示すように、中蓋20は、第1容器10の口頚部11を覆うように形成されている。この中蓋20は、第1容器10の内側と外側とを連通する貫通口21と、第1容器10の雄ネジ部13に螺合する雌ネジ部22を備えている。この雌ネジ部22と第1容器10の雄ネジ部13とが螺合することにより、中蓋20は第1容器10と固定される。さらに、中蓋20と口頚部11が相対的な回動を妨げる廻り止を備えることが好ましい。このような廻り止を備えていれば、後述するカバー部材40が頻繁に回動されたとしても、カバー部材40の回動に伴う中蓋20の回動を防止できる。このため、中蓋20と第1容器10との間に緩みが生じることを防止できる。
【0014】
また、この中蓋20は、さらに蓋部26から上方に突出する凸部23と、その蓋部26の外周から上方に立設される円筒状の中蓋ガイド部24と、その蓋部26の外周から第1容器10の内側方向に垂設されるシール筒25とを備える。このシール筒25が、第1容器10の口頚部11の内周面に密接して嵌合される。これにより、第1容器10の口頚部11の内周面と中蓋20との隙間から内容物が漏れることが防止される。なお、本実施形態では、雌ネジ部22と第1容器10の雄ネジ部13とが螺合によって固定されているが、これに限定されない。螺合と異なる公知の係合手段が適用され得る。
【0015】
第2容器30は、第2物質を貯留する有底筒状の第2貯留部60と、第2貯留部60の下方位置と上方位置との移動を案内するガイド部材70とを備える。
【0016】
図5に示す第2貯留部60は、その上部に開口部61を有するとともに、その底部に流通口62が形成されている。また、その下方位置において、中蓋20の凸部23と嵌合する凹部64とを備える。この凸部23と凹部64とが嵌合することにより、中蓋20と第2容器30とを確度高く位置合わせすることができる。尚、凸部23及び凹部64は先細状であることが好ましい。凸部23及び凹部64が先細状であれば、第2容器30が上下移動する際、中蓋20との相対位置のズレが多少生じたとしても、凸部23と凹部64とが容易に嵌合することができる。特に、第2容器30の上下移動を頻繁に繰り返す場合、あるいは容器全体に何らかの軽度の物理的衝撃が加わった場合であっても、第2容器30の下方位置における中蓋20との位置関係のズレを口頚部11の閉塞に影響しない程度まで低減することが可能となる。また、凸部23は、蓋部26の略中央から突出することが好ましい。凸部23が蓋部26の略中央から突出していれば、凸部23を軸心として回転方向へのズレを防止できるためである。但し、凸部23が蓋部26の略端部から突出している場合であっても、複数の凸部23を形成することにより、凸部23を軸心とした回転方向へのズレを防止することができる。
【0017】
また、第2容器30のガイド部材70は、その一部が筒状の第2貯留部60の開口部61に嵌合することにより開口部61を覆うように固定されており、第2貯留部60の内部と外部とを連通する吐出口71を備えている。また、ガイド部材70は、中蓋ガイド部24と摺動可能に配置される第2容器ガイド部72と、カバー部材40に係合する雄ネジ部73と、雄ネジ部73の略上端部に形成される突部74と、吐出口71が形成された上板の下面から第2貯留部60の内側方向に垂設されるシール筒75とを備える。このシール筒75が、第2貯留部60の開口部61の内周面に密接して嵌合される。これにより、第2貯留部60の開口部61の内周面とガイド部材70との隙間から内容物が漏れることが防止される。
【0018】
第2容器30の底面は、下方位置において中蓋20の上面と接する。特に、本実施形態では、第2容器30の底面と中蓋20の上面とが圧接している。これにより、中蓋20の貫通口21及び第2容器30の流通口62が、内容物の流入出が不可能な状態で閉塞される。このため、未使用の段階で第2容器30が下方位置にある場合は、第2容器30に貯留される第2物質が第1容器10内に混入することがない。尚、第2容器30と中蓋20の圧接面が、コンタクトリングやパッキング等を備えることにより、閉塞性を更に向上させることができる。このように閉塞性を向上させることにより、内容物の粘度や界面活性剤の有無などの性状の変化にも対応できる。
【0019】
一方、第2容器30が一旦上方位置に移動すると、その過程で中蓋20の上面と第2容器30の底面とが離間することになる。その結果、中蓋20の貫通口21及び第2容器30の流通口62が閉塞状態から解かれる。このため、第2容器30が上方位置に移動する過程又はその上方位置においては、第2容器30の吐出口71と第1容器10の内側とが、第2容器30の流通口62及び中蓋20の貫通口21を介して連通する。従って、この状態では、第2容器30に貯留される第2物質が第1容器10内に混入し、第1容器10に貯留される第1物質と第2容器30に収められていた第2物質とが混合する。
【0020】
また、本実施形態では、第2容器30の第2貯留部60の外周側面は、第2容器30が下方位置と上方位置との間で移動する際に、中蓋20の中蓋ガイド部24と密接した状態で摺動する。このため、中蓋20と第2容器30との隙間から内容物が漏れることを防止することができる。なお、中蓋20と第2容器30との隙間から内容物が漏れることを防止するために、第2貯留部60及び中蓋20をインジェクション成形法により成形することが好ましい。これは、インジェクション成形法で成形すると、一定以上の精度が保たれるため、第2貯留部60と中蓋20との間のシール性を向上できるためである。
【0021】
カバー部材40は、第2容器30の下方位置で第2容器30の外周部を囲うカバー部41と、中蓋20の外周部に回動可能に係合する突起部42と、第2容器30の雄ネジ部73と螺動可能に係合する雌ネジ部43と、雌ネジ部43の略上端部に形成されて第2容器30の突部74と係合可能な突部44とを備える。本実施形態では、第2容器30の上方位置において、第2容器30の突部74とカバー部材40の突部44とが係合することにより、第2容器30とカバー部材40とが固定される。その結果、第2容器30の雄ネジ部73とカバー部材40の雌ネジ部43の螺動が妨げられるため、第2容器30が下方位置に向かうことがない。このような構成であれば、第1容器10に貯留される第1物質と第2容器30に貯留される第2物質とが混合された後、第2容器30がその上方位置で動かなくなるため、使用者は、第1物質と第2物質とが混合された状態であることを一見して判断することができる。なお、第2容器30の上方位置において第2容器30とカバー部材40とを固定するための固定手段として、第2容器30の突部74とカバー部材40の突部44とを採用しているが、例えば公知の接着技術を用いた固定手段を含む他の公知手段により固定されても良い。
【0022】
蓋体50は、吐出口71を開閉可能に第2容器30に係合する。この蓋体50は、第2容器30に対してヒンジにより係合する構成であることが好ましい。この場合には、蓋体50を吐出口71から取り外しても、蓋体50と第2容器30とが係合しているため、蓋体50を別途保管する必要がない。また、本実施形態の蓋体50は、その最上部A点が、第2容器30の下方位置においてカバー部材40の上側開口部45がなす平面Bと略同一平面上に配置される。ここで、略同一平面とは、同一平面から5mm以下の範囲をいい、好ましくは蓋体50を把持することが極めて困難といえる距離(1mm以下)の平面をいう。他方、第2容器30の上方位置では、その最上部A点が平面Bより上方に位置する。このため、第2容器30の下方位置においては、誤って蓋体50を開栓することを防ぐことができる一方、第2容器30の上方位置においては、蓋体50を容易に開栓することができる。尚、人間工学の観点から、蓋体の最上部A点が上側開口部45がなす平面Bよりも20mm以上上方であることが好ましい。また、蓋体50の上面外周とカバー部材40の上側開口部45の内周との隙間は、人間の指が入らない程度(8mm以下(より好ましくは3mm以下))であることが好ましい。
【0023】
次に、二物質混合容器100を使用する工程を説明する。図6は、二物質混合容器100を使用する工程を示すフロー図である。
【0024】
図6に示すように、まず、カバー部材40を第1容器10に対して相対的に回動させる(ステップS1)。そうすると、カバー部材40の雌ネジ部43と係合する第2容器30の雄ネジ部73が、カバー部材40の雌ネジ部43に対して相対的に螺動する。これにより、第2容器30が上方位置への移動を開始する(ステップS2)。第2容器30の上方位置への移動が始まることにより、中蓋20の貫通口21及び第2容器30の流通口62が開放され、第2容器30の吐出口71と第1容器10の内側とが流通口62及び貫通口21を介して連通する。従って、第2容器30に貯留される第2物質が、流通口62及び貫通口21を経由して第1容器10の内部に混入し、第1容器10に貯留される第1物質と第2物質とが混合される(ステップS3)。さらに、カバー部材40の回動を続けて第2容器30を上方位置へ移動させると、第2容器30の突部74とカバー部材40の突部44が係合し、第2容器30とカバー部材40とが固定される(ステップS4)。続いて、第2容器30の上部に係合する蓋体50を第2容器30から取り外し、吐出口71を開放する(ステップS5)。この状態で、吐出口71を下方に、換言すれば、第1容器10を上方に向けるように二物質混合容器100を配置すると、重力により第1容器10の内容物が貫通口21、流通口62、及び吐出口71を経由して吐出する(ステップS6)。
【0025】
<第2の実施形態>
図7は、本発明のもう1つの実施形態における二物質混合容器の下方位置の状態を示す断面図である。
【0026】
図7に示す二物質混合容器200は、第1の実施形態の二物質混合容器100のカバー部材40がカバー部材240に変更されている点以外は、第1の実施形態の二物質混合容器100と同じ構成を備えている。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。
【0027】
本実施形態のカバー部材240は、第1の実施形態のカバー部材40における中蓋20の外周部に回動可能に係合する突起部42に代えて、第1容器10の外周部に回動可能に係合する突起部242を備える。このようにカバー部材240を第1容器10に係合させる場合には、カバー部材240の容積が大きくなるため、カバー部材240をより安定した状態で係合させることができる。
【0028】
<第3の実施形態>
図8は、本発明のもう1つの実施形態における二物質混合容器の第2容器30の下方位置の状態を示す断面図であり、図9は、その上方位置の状態を示す断面図である。
【0029】
図8及び図9に示す二物質混合容器300は、第1の実施形態の二物質混合容器100の第2容器30が第2容器330に変更されている。また、カバー部材40がカバー部材340に変更され、さらに蓋体50が蓋体350に変更されている。本実施形態の二物質混合容器300は、上述の点以外は、第1の実施形態の二物質混合容器100と同じ構成を備えている。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。
【0030】
本実施形態の第2容器330は、第1の実施形態の第2容器30におけるガイド部材70に代えてガイド部材370を備える。このガイド部材370は、ガイド部材70のカバー部材40に係合する雄ネジ部73に代えて係合突起部373を備える。また、本実施形態のカバー部材340は、第1の実施形態のカバー部材40の雌ネジ部43に代えて第2容器330の係合突起部373とスライド移動可能に係合する溝部343を備える。さらに、本実施形態の蓋体350は、第1の実施形態の蓋体50の上部に取手351を備える。
【0031】
本実施形態の二物質混合容器300を使用する場合には、まず取手351を上方に引き上げる。これにより、第2容器330の係合突起部373が、カバー部材340の溝部343上をスライド移動し、第2容器330がカバー部材340に対して、相対的に上方に移動する。このような構成であれば、カバー部材340を第1容器10の外周部に回動可能に係合させる構成を採用する必要がない。つまり、カバー部材340を第1容器10又は中蓋20に固定すれば足りるため、カバー部材340が回動可能に係合するための突部44を備える必要がない。このため、製造上のコストを削減することができる。
【0032】
<第4の実施形態>
図10は、本発明のもう1つの実施形態における二物質混合容器の下方位置の状態を示す断面図である。
【0033】
図10に示す二物質混合容器400は、第1の実施形態の二物質混合容器100のカバー部材40がカバー部材440に変更されている点以外は、第1の実施形態の二物質混合容器100と同じ構成を備えている。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。
【0034】
本実施形態のカバー部材440は、第1の実施形態のカバー部材40における雌ネジ部43に代えて、雌ネジ部443を備える。この雌ネジ部443は、雌ネジ部43に比べて長尺になっている。このため、第2容器30の下方位置において、蓋体50は、最上部A点が、第2容器30の下方位置においてカバー部材40の上側開口部45がなす平面Bより下方に配置される。このような場合には、第2容器30の下方位置においては、誤って蓋体50を開栓することを、より確度高く防ぐことができる。
【0035】
<第5の実施形態>
図11は、本発明のもう1つの実施形態における二物質混合容器の下方位置の状態を示す断面図であり、図12は、本発明のもう1つの実施形態における中蓋520及び第2容器530を拡大して示す拡大断面図である。
【0036】
図11及び図12に示す二物質混合容器500は、第1の実施形態の中蓋20が中蓋520に変更され、二物質混合容器100の第2容器30が第2容器530に変更されている。本実施形態における二物質混合容器500は、上述の点以外は、第1の実施形態の二物質混合容器100と同じ構成を備えている。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。
【0037】
本実施形態の中蓋520は、第1の実施形態の中蓋20の構成に加えてさらに、第2容器530の下方位置において第2貯留部560の流通口62に嵌入する中蓋口蓋部527を備える。また、本実施形態の第2容器530は、第1の実施形態の第2容器における第2貯留部60に代えて、第2貯留部560を備える。この第2貯留部560は、第1の実施形態の第2貯留部60の構成に加えてさらに、第2容器30の下方位置において中蓋520の貫通口21に嵌入する第2容器口蓋部565を備える。
【0038】
このように、第2容器530の下方位置において、流通口62が中蓋口蓋部527の嵌入により閉塞され、かつ、貫通口21が第2容器口蓋部565の嵌入により閉塞されるため、第2容器の底面と中蓋の上面との間で内容物が漏れない程度に密に接することを必要としない。このため、第2容器の底面と中蓋の上面の加工精度を特段に高める必要がなく、製造上のコストを削減することができる。
【0039】
ところで、上述した各実施形態においては、中蓋の凸部23と第2容器の凹部64とを備え、これらを嵌合させる構成を採用しているが、これらを備えない構成を採用しても良い。この場合には、中蓋20と第2容器30との位置合わせの確度が低下するが、中蓋及び第2容器の製造コストを軽減できる。また、中蓋の上面及び第2容器の底面の強度も増すことができる。さらに、流通口62を拡大させることができるため、内容物の流通のスピードを上げることができる。
【0040】
また、上述した各実施形態における各部品は樹脂製であることが好ましい。さらに、密封性を要求されない第1容器についてはブロー成形、密封性を要求される中蓋及び第2容器については高精度で加工可能な公知のインジェクション成形法により成形することが好ましい。
【0041】
また、上述した各実施形態においては、第2容器の貯留部とガイド部材とを別部品とする構成を採用しているが、貯留部とガイド部材とを一体化して構成しても良い。この場合には、貯留部とガイド部材とを組み立てる工程を省略することができる。
【0042】
また、上述した各実施形態においては、第2容器の上方位置において第2容器とカバー部材とが固定される構成を採用しているが、第2容器とカバー部材とを固定せず、第2容器を上方位置と下方位置との間で往復移動可能に構成しても良い。本発明では、第2容器の下方位置においては、第2容器の底面と中蓋の上面とが接することにより、中蓋の貫通口及び第2容器の流通口が閉塞される。従って、内容物が第1容器内のみに貯留される場合は、中蓋及び第2容器が蓋の役割を果たすため、蓋体を省略でき得る。
【0043】
また、上述した各実施形態においては、中蓋ガイド部24及びシール筒25は蓋部26の外周から立設される構成を採用しているが、これに限られない。中蓋ガイド部24及びシール筒25は蓋部26の上面又は底面から立設されていても良く、雄ネジ部22の上方又は下方から立設されても良い。
【0044】
また、上述した第5の実施形態においては、口蓋部527及び口蓋部565により流通口62及び貫通口21を閉塞する構成を採用しているが、口蓋部527又は口蓋部565のいずれか一方により流通口62又は貫通口21を閉塞する構成にしても良い。この場合には、さらに製造上のコストを削減することができる。
【0045】
また、上述した各実施形態において、第1容器に貯留される物質と第2容器に貯留される物質とは、液体同士、粒状体同士、粉体同士の組み合わせであっても良く、液体と粒状体又は粉体、粒状体と粉体の組み合わせであっても良い。以上、述べたとおり、本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、二物質混合容器として広く利用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の1つの実施形態における二物質混合容器の下方位置の状態を示す断面図である。
【図2】本発明の1つの実施形態における二物質混合容器の上方位置の状態を示す断面図である。
【図3】本発明の1つの実施形態における中蓋及び第2容器を拡大して示す拡大断面図である。
【図4】本発明の1つの実施形態における中蓋を上方から示す斜視図である。
【図5】本発明の1つの実施形態における第2貯留部を下方から示す斜視図である。
【図6】本発明の1つの実施形態における二物質混合容器を使用する工程を示すフロー図である。
【図7】本発明の他の実施形態における二物質混合容器の下方位置の状態を示す断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態における二物質混合容器の下方位置の状態を示す断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態における二物質混合容器の上方位置の状態を示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態における二物質混合容器の下方位置の状態を示す断面図である。
【図11】本発明の他の実施形態における二物質混合容器の下方位置の状態を示す断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態における中蓋及び第2容器を拡大して示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0048】
10 第1容器
11 口頚部
12 第1貯留部
13 雄ネジ部
20,520 中蓋
21 貫通口
22 雌ネジ部
23 凸部
24 中蓋ガイド部
25 シール筒
26 蓋部
30,330,530 第2容器
40,240,340,440 カバー部材
41 カバー部
42,242 突起部
43,443 雌ネジ部
44 突部
45 上側開口部
50,350 蓋体
60,560 第2貯留部
61 開口部
62 流通口
64 凹部
70,370 ガイド部材
71 吐出口
72 第2容器ガイド部
73 雄ネジ部
74 突部
75 シール筒
100,200,300,400,500 二物質混合容器
343 溝部
351 取手
373 係合突起部
527 中蓋口蓋部
565 第2容器口蓋部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に口頚部が形成されるとともに第1物質を貯留する第1容器と、
前記口頚部に係合して固定され、かつ、前記口頚部を覆うとともに、前記第1容器の内側と外側とを連通する貫通口が形成された中蓋と、
上部に吐出口が形成されるとともに底部に流通口が形成される第2容器と、
前記第2容器の下方位置と上方位置との間の移動を案内するガイド機構とを備え、
前記下方位置で前記中蓋の上面と前記第2容器の底面とが接することにより前記貫通口及び前記流通口が閉塞され、前記上方位置に移動する過程で前記中蓋の上面と前記第2容器の底面とが離間することにより、前記吐出口と前記第1容器の内側とが前記流通口及び前記貫通口を介して連通する
二物質混合容器。
【請求項2】
前記第1容器又は前記中蓋の外周部に係合し、前記下方位置で前記第2容器の外周部を囲うように配置される無底筒状のカバー部材をさらに備え、
前記吐出口を開閉可能に前記第2容器に係合する蓋体の最上部が、前記下方位置において前記カバー部材の上側開口部がなす平面と略同一平面上又は前記平面より下方に配置されるとともに、前記上方位置において前記最上部が前記平面より上方に配置される
請求項1に記載の二物質混合容器。
【請求項3】
前記上方位置で、前記第2容器と前記ガイド機構とを固定する固定具をさらに備える
請求項1に記載の二物質混合容器。
【請求項4】
前記中蓋が凹部又は凸部を備え、
前記第2容器が、前記下方位置において前記中蓋の凹部と嵌合する凸部、又は前記下方位置において前記中蓋の凸部と嵌合する凹部を備える
請求項1に記載の二物質混合容器。
【請求項5】
前記中蓋の凹部及び前記第2容器の凸部、又は前記中蓋の凸部及び前記第2容器の凹部が、先細状である
請求項4に記載の二物質混合容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−23890(P2010−23890A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188710(P2008−188710)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(000206185)大成化工株式会社 (83)
【Fターム(参考)】