説明

二環式へテロ環化合物

【課題】カンナビノイド2型受容体に対するアゴニスト作用に基づく、カンナビノイド2型受容体に関与する疾患の新規かつ優れた予防及び/又は治療剤として有用な化合物を提供する。
【解決手段】本発明者らは、カンナビノイド2型受容体に対するアゴニスト作用を有する化合物について検討し、本発明の二環式へテロ環化合物が優れたカンナビノイド2型受容体に対するアゴニスト作用を有する事を確認し、本発明を完成した。本発明の二環式へテロ環化合物は、カンナビノイド2型受容体に対するアゴニスト作用を有し、例えば炎症性疾患、疼痛等のカンナビノイド2型受容体に関与する疾患の予防及び/又は治療剤として使用しうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬組成物、特にカンナビノイド2型受容体に関与する疾患の予防及び/又は治療用医薬組成物の有効成分として有用な二環式へテロ環化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
カンナビノイドは大麻に含まれるマリファナ成分の総称で、これまでに約60種類以上が知られており、主なものにテトラヒドロカンナビノール、カンナビノール、カンナビジオールなどがある。マリファナは数千年前から医薬などに利用されており、精神神経反応を示し、感覚の混乱、多幸感、鎮痛作用、幻覚などを生じる。カンナビノイドは薬理作用がきわめて多様であり、中枢神経系作用のほかに免疫抑制作用、抗炎症作用、鎮痛作用などが見出されている。
【0003】
カンナビノイド受容体は7回膜貫通、Gタンパク質共役型受容体であり、これまでにカンナビノイド1型受容体(CB1)と2型受容体(CB2)の2種類が同定・スクリーニングされている(Nature, 1990, 346, 561-564;Nature, 1993, 365, 61-65)。ヒトCB1は472個のアミノ酸からなっており、脳中の淡蒼球、線条体、黒質、海馬、小脳の分子層、大脳皮質などで多く発現している。脳以外では精巣、輸精管、子宮、小腸、血管などに発現している。CB2は360個のアミノ酸からなっており、CB1とは44%の相同性を有し、脾臓、扁桃腺、リンパ節に多く発現しており、さらにマクロファージ、単球、Bリンパ球、NK細胞、好酸球などの白血球系細胞に多く発現している。最近になって、CB2は脳内でも発現していることが報告されている(Science, 2005, 310, 329-332)。
【0004】
CB2アゴニストは中枢性の鎮痛作用(European Journal of Neuroscience, 2006, 23, 1530-1538)及び末梢性の鎮痛作用(Proceedings of the National Academy of Sciences, 2005, 102, 3093-3098)を示すことが報告されている。またCB2は血球系細胞及び免疫系細胞に多くの発現が見られることから、CB2アゴニストが免疫抑制作用、抗炎症作用を示すとの報告もある(British Journal of Pharmacology, 2003, 139, 775-786)。CB2アゴニストは皮膚疾患における抗掻痒作用が報告されており(Science, 2007, 316, 1494-1497)、アトピー性皮膚炎などへの応用が期待されている。また、CB2アゴニストの抗炎症作用、免疫抑制作用からアテローム性動脈硬化症(Nature, 2005, 434, 782-786)、逆流性食道炎(European Journal of Pharmacology, 2007, 573, 206-213)、肝障害(British Journal of Pharmacology, 2008, 153, 286-289)、慢性肝疾患(Expert Opinion of Therapeutic Targets, 2007, 11, 403-409)への有効性が期待できる。さらにCB2は骨芽細胞や破骨細胞にも発現しており、CB2アゴニストは骨芽細胞の増加作用、破骨細胞の活性抑制作用により骨破壊抑制作用を有することも報告されている(Proceedings of the National Academy of Sciences, 2006, 103, 696-701)。
【0005】
CB2アゴニスト作用を有する化合物として例えば、下記式(A)(特許文献1)、式(B)(特許文献2)、式(C)(特許文献3及び4)、式(D)(特許文献5)及び、下記式(E)(非特許文献1)の化合物がそれぞれ報告されている。しかし、本発明に係る式(I)の化合物又はその塩についての開示や示唆は、上記のいずれの文献にもない。
【化1】

(上記式(A)及び式(B)中、特にX1はNR12であり、X2及びX3は一緒になって-CR13=CR11-基を又は、X3はNR12であり、X1及びX2は一緒になって-CR13=CR11-基を示す。詳細は当該公報参照。式(C)及び式(D)は当該公報参照。式(E)中R6は、メチル、クロロ、CHxFnを示す。詳細は当該文献参照)
【0006】
更に以下の式(F)(特許文献6)、式(G)(特許文献7)、式(H)(特許文献8)の化合物がそれぞれ報告されている。しかし、いずれの文献にもCB2に関する活性の開示は無く、本願記載の化合物の開示もない。
【化2】

(上記式(F)中、波線は単結合又は2重結合を示す。詳細は当該文献参照)
【0007】
また、PubChem Compound社からID番号が、4615682、15994170、16002126、16000655、15991664、15998379、15995129、15991969、16003789、15999888、15996048、16003792、
15998986、15994686、15998375、15996615、15993211及び、4615681、更に、Aurora Fine Chemicals社からも、ID番号が、kcd-297525、kcd-297156、kcd-297214、kcd-310445、kcd-310456、kcd-310479、kcd-297191、kcd-309135、kcd-310453、kcd-309152、kcd-297290、kcd-309159、kcd-297216、kcd-309157、kcd-309158、kcd-297155、kcd-297564、kcd-309149、kcd-310450、kcd-297387、kcd-310477、kcd-617915、kcd-297247、kcd-297443、kcd-297394、kcd-297442、kcd-297567、kcd-310454、kcd-297147、kcd-310441、kcd-297386、kcd-297566、kcd-297581、kcd-309118、kcd-297291、kcd-297527、kcd-297245、kcd-297248、kcd-297288、kcd-310444、kcd-310446、kcd-297252、kcd-297218、kcd-297389、kcd-310461、kcd-310464、kcd-297148、kcd-297220、kcd-310465、kcd-310470、kcd-297284、kcd-310472、kcd-297647、kcd-310457、kcd-297249、kcd-297418、kcd-297419、kcd-309139、kcd-310459、kcd-297417、kcd-309150、kcd-310451、kcd-297289、kcd-309138、kcd-297550、kcd-297587、kcd-310449、kcd-297565、kcd-310484、kcd-309131、kcd-309147、kcd-309121、kcd-309125、kcd-310466、kcd-296780、kcd-297215、kcd-297281、kcd-297436、kcd-309123、kcd-309145、kcd-310489、kcd-309124、kcd-309133、kcd-309126、kcd-297213、kcd-310448、kcd-297385、kcd-309132、kcd-309141、kcd-297168、kcd-297250、kcd-310447、kcd-297648、kcd-309134、kcd-309136、kcd-309144、kcd-297420、kcd-297422、kcd-309148、kcd-297292、kcd-297251、kcd-297286、kcd-310473、kcd-297246、kcd-297384、kcd-297392、kcd-297287、kcd-297285、kcd-310469、kcd-310478、kcd-309151、kcd-310443、kcd-310455、kcd-297588、kcd-310460、kcd-297160、kcd-297169、kcd-297438、kcd-297441、kcd-297255、kcd-297526、kcd-309120、kcd-309122、kcd-297253、kcd-309153、kcd-310483、kcd-309129、kcd-309140、kcd-617939、kcd-309130、kcd-309142、kcd-310481、kcd-297256、kcd-310487、kcd-297283、kcd-297145、kcd-297680、kcd-297219、kcd-297390、kcd-310485、kcd-297388、kcd-309127、kcd-309143、kcd-310486、kcd-297066、kcd-310462、kcd-310488、kcd-309161、kcd-297217、kcd-309119、kcd-309137、kcd-309155、kcd-310442、kcd-310467、kcd-297254、kcd-309128、kcd-310452、kcd-310476、kcd-297435、kcd-309154、kcd-310468、kcd-297146、kcd-309146、kcd-310475、kcd-310471、kcd-310482、kcd-617272、kcd-297282、kcd-297393、kcd-297549、kcd-617275、kcd-617938、kcd-309156、kcd-310463である1,4位に置換基を有するイソキノリン誘導体が販売されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第WO2005/121140号パンフレット
【特許文献2】国際公開第WO2007/017264号パンフレット
【特許文献3】国際公開第WO2007/017237号パンフレット
【特許文献4】国際公開第WO2008/116816号パンフレット
【特許文献5】国際公開第WO2004/018433号パンフレット
【特許文献6】米国特許第6608071号明細書
【特許文献7】米国特許第6689883号明細書
【特許文献8】米国特許第6706731号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Journal of Medicinal Chemistry、2009年、第52巻、第19号、5785〜5788ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
医薬組成物、例えばCB2アゴニスト作用を有する医薬、特にCB2の関与する疾患の予防及び/又は治療剤として有用な化合物の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らはCB2アゴニストについて鋭意検討した結果、以下に示す二環式へテロ環化合物が優れたCB2アゴニスト作用を有し、CB2の関与する疾患の予防剤及び/又は治療剤となりうることを知見して本発明を完成した。
【0012】
式(I)の化合物、又はその塩を有効成分として含有する、CB2の関与する疾患の予防剤及び/又は治療剤。
【化3】

(式中、
XとYは、一方がN、他方がCH又は、CR0であり、
A部は、下記式(II)、(III)又は、(IV)で示される基を示し、
【化4】

R1は、-L1-R5、置換されていてもよい1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-1-イル又は、置換されていてもよいアリールであり、
R2は、-C(O)NR6R7、-低級アルキレン-OH、-低級アルキレン-C(O)OR0、-低級アルキレン-NH-低級アルキレン-OH、置換されていてもよい芳香族ヘテロ環又は、下記式(V)で示される基を示し、
【化5】

R3は、同一又は互いに異なって、R0又は、ハロゲンであり、
R4は、同一又は互いに異なって、R0、ハロゲン又は、-OR0であり、
R5は、-OHで置換されていてもよいC1-10アルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール又は、置換されていてもよい架橋環状エーテルであり、
R6は、H又は、R0であり、
R7は、i) ハロゲン、-OH、-OR0、-C(O)R0及び、-C(O)-低級アルキレン-C(O)OR0からなる群より選択される基で置換されていてもよい低級アルキル、ii) -L3-置換されていてもよいシクロアルキル又は、iii) -L3-置換されていてもよい非芳香族ヘテロ環であり、
R8は、同一又は互いに異なって、R0又は、ハロゲンであり、
Wは、C(R9)2、O、S(O)r、NH又は、NR0であり、
R0は、同一又は互いに異なって、低級アルキルであり、
R9は、同一又は互いに異なって、H、R0、ハロゲン又は、-OHであり
L1は、-低級アルキレン-、-NH-、-NR0-、-O-又は、-S(O)s-であり、
L2は、-C(O)-又は-低級アルキレン-であり、
L3は、結合又は-低級アルキレン-であり、
mは、同一または互いに異なって、0から2の整数であり、
nは、0から4の整数であり、
pは、0から4の整数であり、
qは、0から2の整数であり、
rは、0から2の整数であり、
sは、0から2の整数である。)
【0013】
また、本発明は式(I')の化合物又はその製薬学的に許容される塩、並びに、式(I')の化合物又はその塩、及び賦形剤を含有する医薬組成物に関する。
【化6】

(式中、
XとYは、XとYは、一方がN、他方がCH又は、CR0であり、
A部は、下記式(II)、(III)又は、(IV)で示される基を示し、
【化7】

R1は、-L1-R5、置換されていてもよい1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-1-イル又は、置換されていてもよいアリールであり、
R2は、-C(O)NR6R7、-低級アルキレン-OH、-低級アルキレン-C(O)OR0、-低級アルキレン-NH-低級アルキレン-OH、置換されていてもよい芳香族ヘテロ環又は、下記式(V)で示される基を示し、
【化8】

R3は、同一又は互いに異なって、R0又は、ハロゲンであり、
R4は、同一又は互いに異なって、R0、ハロゲン又は、-OR0であり、
R5は、-OHで置換されていてもよいC1-10アルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール又は、置換されていてもよい架橋環状エーテルであり、
R6は、H又はR0であり、
R7は、i) ハロゲン、-OH、-OR0、-C(O)R0及び、-C(O)-低級アルキレン-C(O)OR0からなる群より選択される基で置換されていてもよい低級アルキル、ii) -L3-置換されていてもよいシクロアルキル又は、iii) -L3-置換されていてもよい非芳香族ヘテロ環であり、
R8は、同一又は互いに異なって、R0又は、ハロゲンであり、
Wは、C(R9)2、O、S(O)r、NH又は、NR0であり、
R0は、同一又は互いに異なって、低級アルキルであり、
R9は、同一又は互いに異なって、H、R0、ハロゲン又は、-OHであり
L1は、-低級アルキレン-、-NH-、-NR0-、-O-又は、-S(O)s-であり、
L2は、-C(O)-又は-低級アルキレン-であり、
L3は、結合又は-低級アルキレン-であり、
mは、同一または互いに異なって、0から2の整数であり、
nは、0から4の整数であり、
pは、0から4の整数であり、
qは、0から2の整数であり、
rは、0から2の整数であり、
sは、0から2の整数である。
但し、XがCH、YがN、A環が式(IV)及び、R1が-NH-R5であって、
(1)R5が2-メトキシフェニル若しくは、4-メトキシフェニル及び、R2が-C(O)NHR7である場合には、R7はn-ブチル、3-メチルブチル、シクロヘキシル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、1,4-ベンゾジオキシン-6-イル、2-(シクロヘキセン-1-イル)エチル、(テトラヒドロフラン-2-イル)メチル、(1,4-ベンゾジオキシン-2-イル)メチル、2-(モルホリン-4-イル)エチル、3-(ピロリジン-1-イル)プロピル、3-(4-メチルピペリジン-1-イル)プロピル、3-(3,5-ジメチルピペリジン-1-イル)プロピル、3-(モルホリン-4-イル)プロピル、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル、3-[4-(4-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]プロピル、3-(アゼパン-1-イル)プロピル、3-メトキシプロピル、3-(イソプロポキシ)プロピル及び、3,3-ジエトキシプロピル以外の基であり、
(2)R5が3-メトキシフェニル及び、R2が-C(O)NHR7である場合には、R7は3-(4-エチルピペラジン-1-イル)プロピル以外の基であり、
(3)R5が4-フルオロフェニル及び、R2が-C(O)NHR7である場合には、R7は1-メチルプロピル及び、2-(シクロヘキセン-1-イル)エチル以外の基であり、
(5)R5が3-クロロ-4-メチルフェニル及び、R2が-C(O)NHR7である場合には、R7はイソプロピル、3-メチルシクロヘキシル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、1,3-ベンゾジオキソール-5-イル、1,4-ベンゾジオキシン-6-イル、2-(シクロヘキセン-1-イル)エチル、(1,4-ベンゾジオキシン-2-イル)メチル、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル、3-(4-エチルピペラジン-1-イル)プロピル、3-(3,5-ジメチルピペリジン-1-イル)プロピル、3-[4-(3-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル]プロピル、3-(モルホリン-4-イル)プロピル、3-(アゼパン-1-イル)プロピル及び、3-メトキシプロピル以外の基であり、
(6)R5が3-クロロ-4-メチルフェニル及び、R2が-C(O)NHR7である場合には、R7はn-ブチル以外の基であり、
(7)R5が4-クロロ-2-メトキシフェニル及び、R2が-C(O)NHR7である場合には、R7は1,3-ベンゾジオキソール-5-イル以外の基であり、
(8)R5が2-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル若しくは、3-クロロ-4-メチルフェニルである場合には、式(V)はピロリジン-1-イル-メタノン、ピペリジン-1-イル-メタノン、3-メチルピペリジン-1-イル-メタノン、4-メチルピペリジン-1-イル-メタノン、3,5-ジメチルピペリジン-1-イル-メタノン、4位が低級アルキルで置換されたピペラジン-1-イル-メタノン、モルホリン-4-イル-メタノン及び、アゼパン-1-イル-メタノン以外の基であり、
(9)R5が4-クロロ-2-メトキシフェニルである場合には、式(V)は4位が低級アルキルで置換されたピペラジン-1-イル-メタノン以外の基であり、
(10)R5が4-フルオロフェニルである場合には、式(V)はピロリジン-1-イル-メタノン、4-メチルピペリジン-1-イル-メタノン及び、4位で置換されたピペラジン-1-イル-メタノン以外の基である。)
【0014】
なお、特に記載がない限り、本明細書中のある化学式中の記号が他の化学式においても用いられる場合、同一の記号は同一の意味を示す。
【0015】
本明細書記載の式(I)の化合物は、式(I')の化合物を包含する。従って以下それらをまとめて式(I)又は式(I)の化合物として記載する事がある。
【0016】
本発明は式(I)の化合物又はその塩を含有するCB2の関与する疾患の予防用及び/又は治療用医薬組成物、即ち、式(I)の化合物又はその塩を含有するCB2の関与する疾患の予防剤及び/又は治療剤に関する。
また、本発明はCB2の関与する疾患の予防用及び/又は治療用医薬組成物の製造のための式(I)の化合物又はその塩の使用、CB2の関与する疾患の予防及び/又は治療のための式(I)の化合物又はその塩の使用、並びに、式(I)の化合物又はその塩の有効量を患者に投与することからなるCB2の関与する疾患の予防及び/又は治療方法に関する。
【発明の効果】
【0017】
式(I)の化合物はCB2アゴニスト作用を有し、CB2の関与する疾患の予防及び/又は治療剤として使用できる。
【0018】
CB2の関与する疾患としては炎症性疾患(例えばリウマチ性関節炎、変形性関節炎など)、疼痛(例えば急性疼痛、慢性疼痛、侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、リウマチ性関節症痛、変形性関節症痛など)、癌及び腫瘍(例えば免疫系の癌、肺癌、大腸癌、白血病など)、呼吸器疾患(例えば呼吸促迫症候群、肺結核、喘息、慢性閉塞性肺疾患など)、肝臓疾患、脳疾患、眼の疾患(例えば高眼圧症、白内障、緑内障、網膜疾患など)、皮膚疾患(例えば掻痒皮膚炎、皮膚表面の真菌症など)、循環器疾患(例えば狭心症、心筋梗塞、動脈硬化、高血圧症、冠動脈ステント後の再狭窄、血栓症など)、アレルギー性疾患(例えばアナフィラキシー、アレルギー性喘息、アトピー性喘息、薬剤アレルギーなど)、消化器疾患(例えば便秘、下痢、嘔吐、消化性潰瘍、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎など)、免疫性疾患(例えば免疫不全、乾癬、関節リウマチ、骨粗鬆症、敗血症、全身性エリテマトーデスなど)、神経性疾患(例えば神経変性疾患、悪心、神経障害、認知症、パーキンソン病、統合失調症、強迫性障害、心的外傷性ストレス障害、記憶障害、食欲不振、拒食症、概日リズム障害、睡眠時無呼吸、薬物依存症、運動障害、痙攣、感覚異常など)、骨形成、骨再構築、肥満などが挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において、「アルキル」及び、「アルキレン」とは、特に断らない限り、直鎖又は分枝状の炭化水素鎖を意味する。
【0020】
「低級アルキル」とは、直鎖又は分枝状の炭素数が1から6(以後、C1-6と略す)のアルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル等である。別の態様としては、C1-4アルキルであり、更に別の態様としては、メチル、エチル、n-プロピル、tert-ブチルであり、また更に別の態様としては、メチルである。
【0021】
「低級アルキレン」とは、直鎖又は分枝状のC1-6のアルキレン、例えばメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、プロピレン、メチルメチレン、エチルエチレン、1,2-ジメチルエチレン、1,1,2,2-テトラメチルエチレン等である。別の態様としては、C1-4アルキレンであり、更に別の態様としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、1,2-ジメチルエチレンであり、また更に別の態様としては、メチレンである。
【0022】
「ハロゲン」とは、F、Cl、Br、Iである。別の態様としては、Fであり、別の態様としては、Clである。
【0023】
「ハロゲノ低級アルキル」とは、1個以上のハロゲンで置換されたC1-6アルキルである。別の態様としては、1〜5個のハロゲンで置換された低級アルキルであり、さらに別の態様としては、トリフルオロメチルである。
【0024】
「シクロアルキル」とは、C3-10の飽和炭化水素環基であり、架橋を有していてもよく、一部の結合が不飽和であってもよい。例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、アダマンチル等であり、別の態様としては、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、アダマンチルであり、更に別の態様としては、シクロヘキシル、アダマンチルであり、更に別の態様としては、アダマンチルであり、また更に別の態様としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルである。
【0025】
「アリール」とは、C6-14の単環乃至三環式芳香族炭化水素環基である。例えば、フェニル、ナフチル等であり、別の態様としてはフェニルである。
【0026】
「芳香族へテロ環」とは、O、N及び、Sから選択される1から4のヘテロ原子を環構成原子として含む、環員数5から6の芳香族へテロ環基であり、当該芳香族へテロ環はベンゼン環、若しくはチオフェン環と縮合していてもよい。具体的には、例えばピロリル、フリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、チエノピリジル、チエノピリミジニル、チエノピラジル等が挙げられる。
【0027】
「非芳香族へテロ環」とは、O、N、及びSから選択される1から4のヘテロ原子を環構成原子として含む、環員数3〜8の非芳香族ヘテロ環基であり、当該非芳香族ヘテロ環はベンゼン環、チオフェン環若しくはシクロヘキサン環と縮合していてもよく、一部の結合が不飽和であってもよい。また、環構成原子である硫黄原子は酸化されていてもよい。具体的には、例えばアジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼパニル、オキセタニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、チエタニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロチオピラニル、1,1-ジオキシドテトラヒドロチオピラニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、1,1-ジオキシドチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、1,1-ジオキシドイソチアゾリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,1-ジオキシドチオモルホリニル、ジオキサニル、インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロイソキノリル、テトラヒドロイソキノリル、デカヒドロイソキノリル、テトラヒドロチエノピリジル、テトラヒドロベンゾアゼピン、テトラヒドロベンゾジアゼピン、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ベンゾジオキソリル等が挙げられる。
【0028】
「架橋環状エーテル」とは、上記「シクロアルキル」のうち架橋を有するシクロアルキルの任意の箇所のメチレンが1又は2の酸素に置換した基であり、具体的には、例えば、7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル等が挙げられる。
【0029】
本明細書において、「置換されていてもよい」とは、無置換若しくは置換基を1から5個有していることを意味する。ある態様としては、無置換若しくは置換基を1から3個有している、別の態様としては、無置換若しくは置換基を1個有している、更に別の態様としては無置換である。なお、複数個の置換基を有する場合、それらの置換基は同一であっても、互いに異なっていてもよい。
【0030】
(1)R5記載の「置換されていてもよいシクロアルキル」の置換基としては、R0、ハロゲン、-OH、-OR0及び、ハロゲノ低級アルキルから選択される基が挙げられる。別の態様としては、R0、ハロゲン、-OH及び、-OR0から選択される基が挙げられ、更に別の態様としては、R0であり、更に別の態様としては、ハロゲンであり、更に別の態様としては、-OHであり、また更に別の態様としては、-OR0である。
(2)R7記載の「置換されていてもよいシクロアルキル」の置換基としては、低級アルキル、ハロゲン-、-OH及び、ハロゲノ低級アルキルから選択される基が挙げられる。別の態様としては、-OHである。
【0031】
(1)R1記載の「置換されていてもよいアリール」の置換基としては、R0、ハロゲン、-OR0及び、ハロゲノ低級アルキルから選択される基が挙げられる。別の態様としては、ハロゲンである。
(2)R5記載の「置換されていてもよいアリール」の置換基としては、R0、ハロゲン、ハロゲノ低級アルキル、-OH、-OR0、-O-ハロゲノ低級アルキル、-低級アルキレン-OH、-低級アルキレン-OR0、-C(O)NH2及び、-C(O)N(R0)2から選択される基が挙げられる。別の態様としては、R0、ハロゲン、ハロゲノ低級アルキル、-OH、-OR0、-O-ハロゲノ低級アルキル、-低級アルキレン-OH及び、-C(O)NH2から選択される基であり、更に別の態様としては、ハロゲン、ハロゲノ低級アルキル、-OH、-O-ハロゲノ低級アルキル、-低級アルキレン-OH及び、-C(O)NH2から選択される基である。
【0032】
「置換されていてもよい芳香族へテロ環」における置換基としては、R0、ハロゲン、ハロゲノ低級アルキル、-低級アルキレン-OH、-低級アルキレン-OR0及び、-低級アルキレン-C(O)OR0から選択される基が挙げられる。別の態様としては、R0、-低級アルキレン-OH及び、-低級アルキレン-C(O)OR0から選択される基が挙げられる。
【0033】
「置換されていてもよい非芳香族へテロ環」における置換基としては、R0、ハロゲン及び、ハロゲノ低級アルキルから選択される基が挙げられる。別の態様としては、R0である。
【0034】
「置換されていてもよい架橋環状エーテル」における置換基としては、R0、ハロゲン及び、ハロゲノ低級アルキルから選択される基が挙げられる。別の態様としては、R0である。
【0035】
「置換されていてもよい1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-1-イル」における置換基としては、R0、ハロゲン及び、ハロゲノ低級アルキルから選択される基が挙げられる。別の態様としては、R0である。
【0036】
本発明のある態様を以下に示す。
(1)XとYのある態様としては、XがCH、YがNであり、別の態様としては、XがN、YがCHであり、更に別の態様としては、XがCR0、YがNであり、また更に別の態様としては、XがCMe、YがNである。
(2)A環のある態様としては、式(II)又は、式(IV)で示される基であり、別の態様としては、式(II)であり、更に別の態様としては、式(IV)である。
(3)R1のある態様としては、-L1-R5、1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-1-イル又は、置換されていてもよいフェニルであり、別の態様としては、-L1-R5又は、1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-1-イルであり、更に別の態様としては、-L1-R5であり、更に別の態様としては、1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-1-イルであり、更に別の態様としては、-L1-(置換されていてもよいシクロアルキル)又は、-L1-(置換されていてもよいアリール)であり、更に別の態様としては、-L1-(置換されていてもよいシクロアルキル)であり、更に別の態様としては、-L1-(置換されていてもよいアリール)であり、更に別の態様としては、-NH-(置換されていてもよいシクロアルキル)又は、-NH-(置換されていてもよいアリール)であり、更に別の態様としては、-NH-(置換されていてもよいシクロアルキル)であり、更に別の態様としては、-NH-(置換されていてもよいアリール)であり、更に別の態様としては、-O-(置換されていてもよいアリール)であり、また更に別の態様としては、-S-(置換されていてもよいアリール)である。
(4)R2のある態様としては、-C(O)NR6R7又は、式(V)であり、別の態様としては、-C(O)NR6R7であり、更に別の態様としては、式(V)である。
(5)R3のある態様としては、R0である。
(6)R4のある態様としては、ハロゲン又は、-OR0であり、別の態様としては、ハロゲンである。
(7)R6のある態様としては、Hである。
(8)R7のある態様としては、ハロゲン、-OH、-OR0、-C(O)R0及び、-C(O)-低級アルキレン-C(O)OR0からなる群より選択される基で置換されていてもよい低級アルキルである。
(9)R8のある態様としては、R0、F又は、Clであり、別の態様としては、Fである。
(10)Wのある態様としては、C(R9)2、O、S(O)r又は、NR0であり、別の態様としては、C(ハロゲン)2、O又は、S(O)rであり、更に別の態様としては、O又は、S(O)rであり、更に別の態様としては、O又は、S(O)2であり、更に別の態様としては、CF2であり、更に別の態様としては、Oであり、また更に別の態様としては、S(O)2である。
(11)L2のある態様としては、-C(O)-又は、-CH2-であり、別の態様としては、-C(O)-である。
(12)mのある態様としては、0又は2であり、別の態様としては、0である。
(13)nのある態様としては、0から2の整数であり、別の態様としては、0又は1であり、更に別の態様としては、0である。
(14)pのある態様としては、0から2の整数であり、別の態様としては、0又は2であり、更に別の態様としては、0である。
(15)qのある態様としては、0又は1であり、別の態様としては、1である。
(16)上記(1)から(15)に記載の基の二以上の組み合わせである化合物又はその塩。
【0037】
本発明には、上記(16)に記載したように、上記(1)から(15)に記載の基の二以上の組合わせである化合物又はその塩が包含されるが、その具体例として以下の態様が挙げられる。
(17)XがCH、YがNであり、A環が式(II)又は、式(IV)であり、R1が-L1-(置換されていてもよいシクロアルキル)であり、R2が式(V)である化合物又はその塩。
(18)XがCH、YがNであり、A環が式(II)又は、式(IV)であり、R1が-L1-(置換されていてもよいアリール)であり、R2が式(V)である化合物又はその塩。
(19)XがN、YがCHであり、A環が式(II)又は、式(IV)であり、R1が-L1-(置換されていてもよいシクロアルキル)であり、R2が式(V)である化合物又はその塩。
(20)XがN、YがCH、A環が式(II)又は、式(IV)であり、R1が-L1-(置換されていてもよいアリール)であり、R2が式(V)である化合物又はその塩。
(21)WがC(R9)2、O、S(O)r又は、NR0である(17)、(19)又は、(20)記載の化合物又はその塩。
(22)WがO又は、S(O)rである(18)記載の化合物又はその塩。
(23)L2が-C(O)-である(21)又は(22)記載の化合物又はその塩。
(24)R3がR0である(21)又は(22)記載の化合物又はその塩。
(22)R4がハロゲン又は、-OR0である(21)又は(22)記載の化合物又はその塩。
(23)R8がR0である(21)又は(22)記載の化合物又はその塩。
(24)mが0又は2である(21)記載の化合物又はその塩。
(25)nが0から2の整数である(22)記載の化合物又はその塩。
(26)pが0から2の整数である(23)記載の化合物又はその塩。
(27)qが0又は1である(26)記載の化合物又はその塩。
【0038】
式(I)の化合物には、置換基の種類によって、互変異性体や幾何異性体が存在しうる。本明細書中、式(I)の化合物が異性体の一形態のみで記載されることがあるが、本発明は、それ以外の異性体も包含し、異性体の分離されたもの、あるいはそれらの混合物も包含する。
また、式(I)の化合物には、不斉炭素原子や軸不斉を有する場合があり、これに基づく光学異性体が存在しうる。本発明は、式(I)の化合物の光学異性体の分離されたもの、あるいはそれらの混合物も包含する。
【0039】
更に、本発明は、式(I)で示される化合物の製薬学的に許容されるプロドラッグも包含する。製薬学的に許容されるプロドラッグとは、加溶媒分解により又は生理学的条件下で、アミノ基、水酸基、カルボキシル基等に変換されうる基を有する化合物である。プロドラッグを形成する基としては、例えば、Prog. Med., 5, 2157-2161(1985)や、「医薬品の開発」(廣川書店、1990年)第7巻 分子設計163-198に記載の基が挙げられる。
【0040】
また、式(I)の化合物の塩とは、式(I)の化合物の製薬学的に許容される塩であり、置換基の種類によって、酸付加塩又は塩基との塩を形成する場合がある。具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の無機塩基、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リシン、オルニチン等の有機塩基との塩、アセチルロイシン等の各種アミノ酸及びアミノ酸誘導体との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。
【0041】
更に、本発明は、式(I)の化合物及びその塩の各種の水和物や溶媒和物、及び結晶多形の物質も包含する。また、本発明は、種々の放射性又は非放射性同位体でラベルされた化合物も包含する。
【0042】
(製造法)
式(I)の化合物及びその塩は、その基本構造あるいは置換基の種類に基づく特徴を利用し、種々の公知の合成法を適用して製造することが出来る。その際、官能基の種類によっては、当該官能基を原料から中間体へ至る段階で適当な保護基(容易に当該官能基に転化可能な基)に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。このような保護基としては、例えば、ウッツ(P.G.M.Wuts)及びグリーン(T.W.Greene)著、「Greene's Protective Groups in Organic Synthesis(第4版、2006年)」に記載の保護基等を挙げることができ、これらの反応条件に応じて適宜選択して用いればよい。このような方法では、当該保護基を導入して反応を行なった後、必要に応じて保護基を除去することにより、所望の化合物を得ることが出来る。
また、式(I)の化合物のプロドラッグは、上記保護基と同様、原料から中間体へ至る段階で特定の基を導入、あるいは得られた式(I)の化合物を用いてさらに反応を行なうことで製造出来る。反応は通常のエステル化、アミド化、脱水等、当業者に公知の方法を適用することにより行うことが出来る。
【0043】
以下、式(I)の化合物の代表的な製造法を説明する。各製法は、当該説明に付した参考文献を参照して行う事も出来る。なお、各発明の製造法は以下に示した例に限定されない。
【0044】
(第一製法)
【化9】

【0045】
本発明化合物(I−1)若しくは(I−2)は、化合物(1)と対応する環状アミノ化合物(2)若しくは、鎖状アミノ化合物(3)とのアミド化反応により得る事が出来る。
例えば、この反応では化合物(1)と対応する環状アミノ化合物(2)若しくは、鎖状アミノ化合物(3)とを当量若しくは、一方を過剰量用い、これらの混合物を、縮合剤の存在下、反応に不活性な溶媒中、冷却下から加熱下、好ましくは-20℃〜100℃において、通常0.1時間から5日間撹拌する。ここで用いられる溶媒の例としては、特に限定はされないが、ベンゼン、トルエン若しくはキシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン若しくはクロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、アセトニトリル、エタノール又は、水、及びこれらの混合物が挙げられる。縮合剤の例としては、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-1-イウム3-オキシド ヘキサフルオロホスファート(HATU)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(WSC)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1,1'-カルボニルジイミダゾール(CDI)、ジフェニルリン酸アジド、オキシ塩化リン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。添加剤(例えば1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)等)を用いることが反応に好ましい場合がある。トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン若しくは、N-メチルモルホリン等の有機塩基又は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム若しくは、水酸化カリウム等の無機塩基の存在下で反応を行うことが、反応を円滑に進行させる上で有利な場合がある。
また、カルボン酸誘導体(1)のカルボキシル基部分を反応性誘導体へ変換した後に環状アミノ化合物(2)若しくは、鎖状アミノ化合物(3)とを反応させる方法を用いることが出来る。カルボン酸の反応性誘導体の例としては、オキシ塩化リン、塩化チオニル等のハロゲン化剤と反応して得られる酸ハロゲン化物、クロロギ酸イソブチル等と反応して得られる混合酸無水物、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール等と縮合して得られる活性エステル等が挙げられる。これらの反応性誘導体と化合物(2)又は、(3)との反応は、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類等の反応に不活性な溶媒中、冷却下〜加熱下、好ましくは、-20℃〜60℃で行うことが出来る。
〔文献〕
S. R. Sandler及びW. Karo著、「Organic Functional Group Preparations」、第2版、第1巻、Academic Press Inc.、1991年
日本化学会編「実験化学講座(第5版)」16巻(2005年)(丸善)
【0046】
(第二製法)
【化10】

(式中、LGは、脱離基を示す。)
【0047】
本発明化合物(I−3)は、化合物(4)の水酸基を脱離基に変換した後、環状アミノ化合物(2)との反応により得ることができる。
本反応は、化合物(4)の水酸基を、例えば、クロロ、ブロモ、ヨード等のハロゲン又は、メタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシ、4-メチルベンゼンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ等のスルホニルオキシに変換し、適当な塩基の存在下、反応に不活性な溶媒中又は無溶媒で、冷却下から加熱下、好ましくは室温〜加熱下において、通常0.1時間〜5日間攪拌して行うことができる。その後、水酸基が脱離基へと変換された(5)と環状アミノ化合物(2)とを当量若しくは、一方を過剰量用い、塩基の存在下、反応に不活性な溶媒中、冷却下から加熱還流下、通常0.1時間〜5日間撹拌する。ここで用いられる溶媒の例としては、特に限定はされないが、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、アセトニトリル及びこれらの混合物が挙げられる。塩基の例には、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、n-ブチルリチウム等の有機塩基、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、tert-ブトキシカリウム等の無機塩基が含まれる。テトラ-n-ブチルアンモニウムクロライド等の相間移動触媒の存在下で反応を行うことが有利な場合がある。
〔文献〕
S. R. Sandler及びW. Karo著、「Organic Functional Group Preparations」、第2版、第1巻、Academic Press Inc.、1991年
日本化学会編「実験化学講座(第5版)」14巻(2005年)(丸善)
【0048】
(第三製法)
【化11】

(式中、Zは、N又はCHを示す。)
【0049】
本発明化合物(I−4)は、(6)の環化反応により得る事が出来る。
この反応では化合物(6)を反応に不活性な溶媒中、冷却下から加熱還流下、通常0.1時間から5日間撹拌する。ここで用いられる溶媒の例としては、特に限定されないが、例えば、トルエン等が挙げられる。
(原料合成1)
【化12】

【0050】
本製法は第一製法の原料化合物である(1)のXがCH及び、YがNである化合物(12)を製造する方法である。なお、A環がチオフェンである原料化合物(12)はUS3845065記載の方法若しくは、これに準じた方法で製造する事も出来る。
【0051】
化合物(8)は、Bioorg. Med. Chem. Lett, 2009, 19, 770-772に記載の方法若しくはそれに準じた方法で製造出来る化合物(7)をホルミル化する事で製造出来る。
本反応は、化合物(7)とギ酸メチルとを、当量或いは一方を過剰量用い、塩基の存在下、通常0.1時間〜5日間撹拌する事によって行われる。ここで用いられる塩基の例としては、例えばナトリウムメトキサイドが挙げられる。
化合物(9)は、化合物(8)と酢酸アンモニウムとを、当量或いは一方を過剰量用い、酢酸等の溶媒中、冷却下から加熱下、好ましくは室温から100℃で、通常0.1時間〜5日間攪拌する事によって製造できる
化合物(10)は、第二製法と同様の方法により化合物(9)より製造出来る。
化合物(11)は、化合物(10)をイプソ置換、アルキル化又は、アリール化反応に付す事で製造出来る。
イプソ置換反応は、化合物(10)と所定のアミノ化合物とを当量或いは、一方を過剰量用い、これらの混合物を、反応に不活性な溶媒中、室温から加熱下、通常0.1時間〜5日間撹拌する。ここで用いられる溶媒の例としては、特に限定はされないが、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、アセトニトリル若しくは、N-メチルピロリドン又は、これらの混合物が挙げられる。トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン若しくは、N-メチルモルホリン等の有機塩基又は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、tert-ブトキシナトリウム若しくは、tert-ブトキシカリウム等の無機塩基の存在下で反応を行うのが、反応を円滑に進行させる上で有利な場合がある。
アルキル化反応は、化合物(10)と所定の有機亜鉛化合物とを当量或いは、一方を過剰量用い、触媒存在下、反応に不活性な溶媒中、室温から加熱下で、通常0.1時間〜5日間撹拌する。ここで用いられる触媒の例として、例えば塩化ニッケル等が挙げられる。溶媒の例としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類が挙げられる。トリフェニルフォスフィンを加え反応を行うのが、反応を円滑に進行させる上で有利な場合がある。
アリール化反応は、化合物(10)と所定の有機ホウ酸化合物とを当量或いは、一方を過剰量用い、所定の塩基及び、触媒存在下、反応に不活性な溶媒中、室温から加熱還流下で、通常0.1時間〜5日間撹拌する。ここで用いられる塩基の例としては、炭酸カリウム等の無機塩基が挙げられる。触媒としては、例えばテトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム等が挙げられる。溶媒の例としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類が挙げられる。
化合物(12)は、化合物(11)を加水分解することで製造出来る。
ここで、加水分解反応は、グリーン(Greene)及びウッツ(Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版、John Wiley & Sons Inc、1999年を参照して実施することができる。
【0052】
(原料合成2)
【化13】

【0053】
本製法は第一製法の原料化合物である(1)のXがN及び、YがCHである化合物(18)を製造する方法である。
【0054】
化合物(14)は、Synthetic Communications, 2007, 37(23), 4199-4208に記載の方法若しくはそれに準じた方法で製造出来る化合物(13)を用い原料合成1と同様の方法により製造出来る。
化合物(15)は、化合物(14)を脱メチル化する事で製造出来る。
本反応は、化合物(14)と当量、若しくは過剰量の所定の酸、例えばトリメチルシリルクロライド等の存在下、反応に不活性な溶媒中、室温から加熱還流下、通常0.1時間〜5日間撹拌することによって行われる。ここで用いられる溶媒の例としては、特に限定はされないがアセトニトリル等が挙げられる。また、ヨウ化カリウムや、ヨウ化ナトリウム等の存在下で反応を行うのが、反応を円滑に進行させる上で有利な場合がある。
また、トリメチルシリルクロライドの代わりに、濃塩酸等を用いることも出来る。この場合溶媒として、例えばジオキサン、水若しくは、エタノール等又は、これらの混合物が用いられる。
化合物(16)は、化合物(15)より、第二製法と同様の方法で製造出来る。
化合物(17)は、化合物(16)にニトリル基を導入する事で製造できる。
本反応は、化合物(16)と所定のシアン化合物とを当量、或いは一方を過剰に用い、これらの混合物を、反応に不活性な溶媒中、パラジウム触媒の存在下、室温から加熱還流下で、通常0.1時間〜5日間撹拌することによって行なわれる。ここで用いられる溶媒の例としては、特に限定はされないが、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン及び、これらの混合物が挙げられる。シアン化合物としては、シアン化亜鉛、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム等が挙げるられる。パラジウム触媒としては、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム等が好ましい。また、別途リガンドとして1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン等の存在下で反応を行うのが反応を円滑に進行させる上で有利な場合がある。さらに、金属粉末例えば、亜鉛粉末の存在下で反応を行うのが、反応を円滑に進行させる上で有利な場合がある。
化合物(18)は、化合物(17)を加水分解する事で製造出来る。
ここで、加水分解反応は、グリーン(Greene)及びウッツ(Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版、John Wiley & Sons Inc、1999年を参照して実施することができる。
【0055】
(原料合成3)
【化14】

【0056】
化合物(4)は、化合物(19)と所定の還元剤、例えば水素化アルミニウムリチウム等とを当量若しくは、一方を過剰量用い、例えばテトラヒドロフラン中、氷冷下から加熱下、好ましくは氷冷下で、通常0.1時間〜5日間撹拌する。
【0057】
式(I)の化合物の薬理活性は、以下の試験により確認した。
【0058】
試験例1:ヒトCB2を介するサイクリックAMP(cAMP)生成阻害実験
本試験はヒトCB2を発現させたCHO細胞を用いて行った(「モレキュラー・ファーマコロジー(Molecular Pharmacology)」、1995年、第48巻、p.443−450)。
ヒトCB2発現CHO細胞(2.5x103/mL)浮遊液と、被験物質およびフォルスコリン(最終濃度 0.5μM)を添加したアッセイ培地を等量混合し、30分間室温でインキュベーションした後、0.6% Triton X-100溶液を添加して得た細胞溶解液中のcAMP濃度をcAMP kit(Cisbio international社製)を用いて測定した。アッセイ培地はインビトロジェン社のα-MEM培地に0.02% CHAPS、1mM イソブチルメチルキサンチン、0.5mg/mL ウシ血清アルブミンを補充したものから成る。フォルスコリン無添加の細胞浮遊液のcAMP濃度をcAMP上昇率0%、フォルスコリンを添加した細胞浮遊液のcAMP濃度をcAMP上昇率100%として、被験物質30nMにおける細胞内cAMP上昇阻害率を求めた。その結果を表1に示す。表中のExは、後記実施例化合物番号を示す。
【0059】
【表1】

【0060】
試験例2:アジュバント関節炎誘導ラットの後肢荷重差の発現に対する抑制効果
実験には雌性ルイスラット(7-8週齢)を使用した。10mg/mLとなるように流動パラフィンで懸濁した結核死菌H37 Ra(DIFCO社製)50μLを右後肢足蹠に皮下投与した。翌日に被験物質を経口投与し、任意の時間後に左右後肢の荷重をIncapacitance Tester(Linton Instruments社製)で測定し、左右の荷重差を算出した。Vehicle投与群の荷重差を抑制率0%、Normal群の荷重差を抑制率100%として、被験物質の抑制率を算出した。
【0061】
上記試験の結果、式(I)の化合物は優れたCB2アゴニスト作用を有し、以下に示すCB2の関与する疾患の予防及び/又は治療等に使用しうることが示された。
炎症性疾患、例えば皮膚炎、接触性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、うるしかぶれ・化粧品かぶれ等の皮膚炎、アレルギー性鼻炎、季節性アレルギー性鼻炎、慢性気管支炎、気管支炎、肺炎、突発性間質性肺炎、逆流性食道炎、胃炎、アトピー性胃炎、膵炎、心筋炎、心膜炎、心内膜炎、肝炎、炎症性腸疾患、大腸炎、難治性大腸炎、潰瘍性大腸炎、炎症性腸炎、限局性回腸炎、腎炎、糸球体腎炎、腎炎症候群、血管炎、アレルギー性肉芽腫血管炎、潰瘍性血管炎、脈管炎、リウマチ性脊椎炎、関節炎、骨関節炎、乾癬性関節炎、痛風関節炎、若年性関節炎、反応性関節炎、未分化脊椎関節炎、網膜炎、ぶどう膜炎、ぶどう細膜炎、結膜炎、アレルギー性結膜炎、角結膜炎、感染性結膜炎、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、多発性筋炎、歯肉炎、発熱、腱炎、滑液包炎、膀胱炎、強直性脊椎炎、脳炎、髄膜炎、悪性髄膜炎、細菌脳髄膜炎、サイトメガロウイルスによる髄膜炎、神経炎症、日焼け、火傷、リウマチ熱、外陰部膣前庭炎、口内炎、急性膣炎、亀頭炎、亀頭包皮炎、粘膜の慢性炎症、皮膚筋炎、橋本甲状腺炎、慢性炎症疾患(関節リウマチ、変形性関節症、リウマチ性脊椎炎、痛風関節炎、若年性関節炎、多発性硬化症に伴う痛み)などの疾患。
疼痛、例えば関節リウマチ痛、変形性関節症痛、慢性痛、炎症型慢性疼痛、急性痛、急性末梢疼痛、腰痛、慢性腰痛、背痛、頭痛、偏頭痛、歯痛、炎症性疼痛、侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、神経障害性疼痛、筋肉痛、線維筋症、内臓痛、骨盤痛、神経痛、坐骨神経痛、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性疼痛、HIV関連痛、癌性疼痛、三叉神経痛、神経因性腰痛、線維筋骨格痛、心因性疼痛、月経痛、錯覚痛、痛覚過敏、痛覚鈍麻、歯痛、頚部痛、ウイルス感染に伴う痛み、インフルエンザウイルス感染に伴う痛み、機能性腹痛(非潰瘍性胃腸障害、非心臓性疼痛、過敏性腸症候群など)、心筋虚血に伴う痛み、多発性硬化症痛、外傷・毒によってもたらされる痛み、異痛症、脳卒中後の痛み、捻挫、筋挫傷などの疾患。
癌及び腫瘍、例えば免疫系の癌、肺癌、大腸癌、悪性脳腫瘍、皮膚癌、子宮癌、乳癌、前立腺癌、白血病、良性皮膚腫瘍、癌性腫瘍および乳頭腫、小細胞肺癌、グリア芽腫、髄様上皮腫、髄芽細胞腫、神経芽細胞腫、胚に起因する腫瘍、星状細胞腫、星状芽細胞腫、上衣細胞腫、乏突起膠腫、神経叢腫瘍、神経上皮腫、骨端腫瘍、上衣芽細胞腫、神経外胚葉腫瘍、肉腫症、悪性黒色腫、シュワン細胞腫、リンパ腫、神経膠腫、甲状腺上皮腫、神経芽腫、皮膚T細胞リンパ腫、神経膠腫、腫瘍、松果体の腫瘍、悪性骨髄腫などの疾患。
呼吸器疾患、例えば呼吸促迫症候群、急性呼吸促迫症候群、肺結核、咳嗽疾患、気管支喘息、気道過敏性亢進に基づく咳嗽(気管支炎、かぜ症候群、喘息、閉塞性肺疾患等)、風邪症候群、鎮咳、気道過敏症、結核病変、喘息(気道炎症性細胞浸潤、気道過敏性亢進、気管支収縮、粘液分泌亢進など)、慢性閉塞性肺疾患、肺気腫、肺線維症、特発性肺線維症、咳嗽、可逆性気道閉塞、成人性呼吸器疾患症候群、ハト愛好家病、農夫肺、気管支肺異形成、気道障害、気腫などの疾患。
肝臓疾患、例えば肝繊維症、肝硬変、慢性肝硬変などの疾患。
脳疾患、例えば脳損傷、脳梗塞、脳卒中、脳腫瘍治療剤、脳虚血、急性脳虚血、脳血管虚血などの疾患。
眼の疾患、例えば高眼圧症、白内障、緑内障、網膜剥離、網膜症、網膜疾患、眼球障害、角膜潰瘍などの疾患。
皮膚疾患、例えば掻痒症、強皮症、老人性乾皮症、皮膚硬化症などの疾患。
循環器疾患、例えば狭心症、不安定狭心症、心筋梗塞、心不全、多発性硬化症、動脈硬化、アテローム硬化症、不整脈、高血圧症、虚血性心疾患、心臓発作、心臓虚血、心臓麻痺、末梢血管拡張、高血圧、低血圧、冠動脈ステント後の再狭窄、血栓症、血管病、脈管改造に伴う心暇血管症状などの疾患。
アレルギー性疾患、例えばアナフィラキシー、消化管アレルギー、アレルギー性胃腸症、アレルギー性喘息、アトピー性喘息、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、花粉症、薬剤アレルギーなどの疾患。
消化器疾患、例えば胃腸疾患、便秘、下痢、分泌性下痢、嘔吐(癌化学療法誘発嘔吐)、嘔気、特に化学療法に伴う嘔気、AIDS消耗症候群に伴う吐気、胃食道逆流性疾患、消化性潰瘍、過敏性腸症候群、機能性胃腸障害、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎などの疾患。
泌尿生殖器疾患、例えば月経困難症などの疾患。
免疫性疾患、例えば免疫不全、免疫調節、自己免疫疾患、T細胞リンパ腫、乾癬、尋常性乾癬、関節リウマチ、骨粗鬆症、敗血症、敗血症ショック、全身性エリテマトーデス、自己免疫性溶血性貧血、AIDSなどの疾患。
移植に伴う合併症、例えば臓器移植後の拒絶、移植片対宿主病などの疾患。
神経性疾患、例えば神経変性疾患、抑鬱病、躁鬱病、悪心、眩暈、幻肢、神経障害、抹消神経障害、神経損傷、外傷性神経症、認知症、老年認知症、痴呆、老人性痴呆、アルツハイマー病、精神病、精神分裂、ピック病、ハンチントン舞踏病、舞踏病、パーキンソン病、クロイツフェルトヤコブ病、運動神経疾患、多発脳梗塞性認知症、無酸素症、ビタミン欠乏症、加齢に伴う記憶障害、統合失調症、うつ、不安、パニック障害、広場恐怖症、社会恐怖症、強迫性障害、心的外傷性ストレス障害、記憶障害、健忘症、食欲調節、食欲不振、拒食症、神経性過食症、機能性障害、概日リズム障害、睡眠障害、睡眠異常、不眠症、過眠症、睡眠時無呼吸、薬物依存症、胸焼け、嚥下障害、骨盤過敏症、神経変性(脳卒中、心停止、外傷性脳障害、脊髄障害に伴う)、運動障害、痙攣、筋痙攣、振せん、感覚異常、知覚過敏などの疾患。
その他ギランバレー症候群、ページェット病、慢性虚弱、嫌悪感、重症筋無力症、糖尿病、I型糖尿病、虚血状態、自然気胸、神経退縮症、蕁麻疹、シェーグレン症候群、脊髄損傷、外傷性軟骨損傷、癲癇、一過性脳虚血発作、日和見感染(HIVなど)、扁平苔癬、天疱瘡、表皮水疱症、過形成瘢痕、ケロイド、関節症、心虚血障害、梗塞形成、血清病、腎虚血、アフタ性潰瘍、クローン病、セリアック病、再生不良性貧血、ホジキン病、ネフローゼ症候群、内毒素性ショック、低血圧ショック、受胎能低減の為、トゥレット症候群、記憶を抑制する為、湿疹、サルコイドーシス、成人呼吸窮迫症候群、冠状動脈疾患、黒色腫、グレーブス病、グッドパスチャー症候群、穀粉症、形質細胞ラインに影響を及ぼす疾患、遅延型または即時型過敏症、寄生性・ウイルス性または細菌性感染症、脊椎損傷、目眩、肥満病、結合組織疾患、リンパ系造血系に影響を及ぼす疾患、筋萎縮性側索硬化症、合併筋肉痙攣、合併悪液質症候群、細菌性髄膜症などの疾患。
式(I)の化合物又はその塩の1種又は2種以上を有効成分として含有する医薬組成物は、当分野において通常用いられている賦形剤、即ち薬剤用賦形剤や薬剤用担体等を用いて、通常使用されている方法によって調製することができる。
投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、又は関節内、静脈内、筋肉内等の注射剤、坐剤、点眼剤、眼軟膏、経皮用液剤、軟膏剤、経皮用貼付剤、経粘膜液剤、経粘膜貼付剤、吸入剤等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、1種又は2種以上の有効成分を、少なくとも1種の不活性な賦形剤と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な添加剤、例えば滑沢剤や崩壊剤、安定化剤、溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要により糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被膜してもよい。
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤又はエリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水又はエタノールを含む。当該液体組成物は不活性な希釈剤以外に可溶化剤、湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
非経口投与のための注射剤は、無菌の水性若しくは非水性の溶剤、懸濁剤、又は乳濁剤を含有する。水性の溶剤としては、例えば注射用蒸留水又は生理食塩液が含まれる。非水性の溶剤としては、例えばエタノールのようなアルコール類がある。このような組成物は、さらに等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、又は溶解補助剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合、又は照射によって無菌化される。また、これらは無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解又は懸濁して使用することもできる。
外用剤としては、軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤、ゼリー剤、パップ剤、噴霧剤、ローション剤、点眼剤、眼軟膏等を包含する。一般に用いられる軟膏基剤、ローション基剤、水性又は非水性の液剤、懸濁剤、乳剤等を含有する。
吸入剤や経鼻剤等の経粘膜剤は固体、液体又は半固体状のものが用いられ、従来公知の方法に従って製造することができる。例えば公知の賦形剤や、更に、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、滑沢剤、安定剤や増粘剤等が適宜添加されていてもよい。投与は、適当な吸入又は吹送のためのデバイスを使用することができる。例えば、計量投与吸入デバイス等の公知のデバイスや噴霧器を使用して、化合物を単独で又は処方された混合物の粉末として、若しくは医薬的に許容し得る担体と組み合わせて溶液又は懸濁液として投与することができる。乾燥粉末吸入器等は、単回又は多数回の投与用のものであってもよく、乾燥粉末又は粉末含有カプセルを利用することができる。あるいは、適当な駆出剤、例えばクロロフルオロアルカン、ヒドロフルオロアルカン、又は二酸化炭素等の好適な気体を使用した加圧エアゾールスプレー等の形態であってもよい。
通常経口投与の場合、1日の投与量は、体重当たり約0.001〜100 mg/kg、好ましくは0.1〜30 mg/kg、更に好ましくは0.1〜10 mg/kgが適当であり、これを1回であるいは2回〜4回に分けて投与する。静脈内投与される場合は、1日の投与量は、体重当たり約0.0001〜10 mg/kgが適当で、1日1回〜複数回に分けて投与する。また、経粘膜剤としては、体重当たり約0.001〜100 mg/kgを1日1回〜複数回に分けて投与する。投与量は症状、年令、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。
式(I)の化合物は、前述の式(I)の化合物が有効性を示すと考えられる疾患の種々の治療又は予防剤と併用することができる。当該併用は、同時投与、あるいは別個に連続して、若しくは所望の時間間隔をおいて投与してもよい。同時投与製剤は、別個に製剤化されていても、前述の式(I)の化合物が有効性を示すと考えられる疾患の種々の治療剤又は予防剤と式(I)の化合物とを含む医薬組成物であってもよい。
【実施例】
【0062】
以下、実施例に基づき、式(I)の化合物の製造法をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、下記実施例に記載の化合物に限定されるものではない。また、原料化合物の製法を製造例に示す。また、式(I)の化合物の製造法は、以下に示される具体的実施例の製造法のみに限定されるものではなく、式(I)の化合物はこれらの製造法の組み合わせ、あるいは当業者に自明である方法によっても製造されうる。
【0063】
製造例、実施例及び、後記表中において、以下の略号を用いることがある。
PEx:製造例番号(なお製造例番号が、例えば131-1、131-2となっている場合は、それぞれがジアステレオマーの関係にある化合物を示す)、Ex:実施例番号(なお実施例番号が、例えば157-1、157-2となっている場合は、それぞれがジアステレオマーの関係にある化合物を示す)、Str:化学構造式、PSyn:製造方法(当該化合物が、その欄に記載されている製造例番号の化合物と同様の製造法により製造された事を示す。)、Syn:製造方法(当該化合物が、その欄に記載されている実施例番号の化合物と同様の製造法により製造された事を示す)、Data:物理化学的データ、NMR1:DMSO-d6中の1H-NMRにおける特徴的なピークのδ(ppm)、ESI+:質量分析値におけるm/z値(イオン化法ESI、断りの無い場合(M+H)+)、ESI-:m/z値(イオン化法ESI、断りの無い場合(M-H)-)を示す。また、構造中に*の印がある化合物は、光学活性体を示す。製造例及び実施例中の[M]は、[mol/L]を示す。製造例中で2重結合がクロスしている化合物(PEx.9及び、PEx.137)は、cis体とtrans体の混合物を示す。また、構造式中のMeは、メチル基を、Etは、エチル基を、iPrは、イソプロピル基を、tBuは、tert-ブチル、Phは、フェニルを示す。
【0064】
製造例1
メチル 1-クロロイソキノリン-4-カルボキシラート(1.0g)及び、rel-(1R,2R,4S)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-アミン(760mg)の1,4-ジオキサン(20mL)混合物にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(4.0mL)を室温で加え、同温で19時間攪拌した。反応液を100℃に昇温し、4時間攪拌した。反応液を濃縮し、残渣に酢酸エチルを加えた。有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)にて精製し、メチル rel-1-[(1R,2R,4S)-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イルアミノ]イソキノリン-4-カルボキシラート(682mg)を微黄色泡状物として得た。
【0065】
製造例2
メチル 1-クロロイソキノリン-4-カルボキシラート(500 mg)の1,4-ジオキサン(10mL)混合物に、3-エチルアニリン(310 μL)を加え、100℃で5時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、析出した固体をろ取、ジオキサンで洗浄し、メチル 1-[(3-エチルフェニル)アミノ]イソキノリン-4-カルボキシラート塩酸塩(720mg)を淡黄色固体として得た。
【0066】
製造例3
メチル 1-クロロイソキノリン-4-カルボキシラート(537mg)、3-アミノアダマンタン-1-オール(810mg)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.0mL)、及び1,4-ジオキサン(3.0mL)の混合物をマイクロ波照射下、130℃で1時間攪拌した。反応液に3-アミノアダマンタン-1-オール(410mg)を追加し、さらに2時間攪拌した後、反応液を減圧下濃縮した。得られた残渣に酢酸エチルを加え、有機層を水、10%クエン酸水溶液、水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール)にて精製し、メチル 1-[(3-ヒドロキシアダマンタン-1-イル)アミノ]イソキノリン-4-カルボキシラート(131mg)を淡黄色油状物として得た。
【0067】
製造例4
3-メトキシフェノール(246mg)とN,N-ジメチルホルムアミド(4.6mL)の混合物に、60% 水素化ナトリウム(87mg)を加え、室温にて1時間撹拌した。反応液にメチル 1-クロロイソキノリン-4-カルボキシラート(400mg)を加え、室温にて更に15時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、生じた固体を濾取し、メチル 1-(3-メトキシフェノキシ)イソキノリン-4-カルボキシラート(521mg)を白色固体として得た。
【0068】
製造例5
3-クロロベンゼンチオール(300mg)とN,N-ジメチルホルムアミド(4.0mL)の混合物に、60% 水素化ナトリウム(99.6mg)を加え、室温にて1時間撹拌した。反応液にメチル 1-クロロイソキノリン-4-カルボキシラート(460mg)を加え、室温にて更に2時間撹拌した。反応液に水を加え、生じた固体を濾取し、メチル 1-[(3-クロロフェニル)スルファニル]イソキノリン-4-カルボキシラート(553mg)を白色固体として得た。
【0069】
製造例6
メチル 1-クロロイソキノリン-4-カルボキシラート(1.0 g)、トリフェニルホスフィン-ジクロロニッケル(2:1) (590 mg)及び、テトラヒドロフラン(20 mL)の混合物に、0.5Mの3-クロロベンジル亜鉛クロライド(10 mL)を加え、室温で6時間攪拌した。反応混合物に水を加え、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)にて生成し、メチル 1-(3-クロロベンジル)イソキノリン-4-カルボキシラート(910 mg)を黄色油状物として得た。
【0070】
製造例7
メチル 1-クロロイソキノリン-4-カルボキシラート(500 mg)、4-クロロフェニルボロン酸(530 mg)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (130 mg)、ジオキサン(5 mL)及び、2M 炭酸カリウム水溶液(2.3 mL)の混合物を5時間加熱還流した。反応混合物に水を加え、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で生成し、メチル 1-(4-クロロフェニル)イソキノリン-4-カルボキシラート(910 mg)を黄色油状物として得た。
【0071】
製造例8
メチル rel-1-[(1R,2R,4S)-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イルアミノ]イソキノリン-4-カルボキシラート(671mg)、エタノール(12mL)及び、1,4-ジオキサン(6mL)の混合物に1M 水酸化ナトリウム水溶液(18mL)を氷冷下で加えた後、室温で1日攪拌した。反応液に1M 水酸化ナトリウム水溶液(6mL)を氷冷下で追加し、室温で更に16時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣に水と1M 塩酸(18mL)を順次加えた。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、rel-1-[(1R,2R,4S)-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イルアミノ]イソキノリン-4-カルボン酸(546mg)を淡黄色粉末として得た。
【0072】
製造例9
エチル 2-(2-エトキシ-2-オキソエチル)-4-メトキシベンゾアート(754mg)及び、ギ酸メチル(5mL)の混合物に、28%ナトリウムメトキシド-メタノール溶液(1.1g)を室温で加え、そのまま終夜攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣に氷(50mL)と6M 塩酸(50mL)を加え、酢酸エチル(80mL)で2回抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去し、メチル 2-(1-ヒドロキシ-3-メトキシ-3-オキソプロパ-1-エン-2-イル)-4-メトキシベンゾアート(762mg)を淡褐色油状物として得た。
【0073】
製造例10
メチル 2-(1-ヒドロキシ-3-メトキシ-3-オキソプロパ-1-エン-2-イル)-4-メトキシベンゾアート(748mg)と酢酸(5mL)の混合物に、アンモニウムアセタート(1.65g)を室温で加え、80℃で終夜攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、水(50mL)、ヘキサン(10mL)を加え、室温で10分間攪拌した。生成した沈殿物を濾取し、水及び、ヘキサンで順次洗浄した後、減圧下乾燥し、メチル 6-メトキシ-1-オキソ-1,2-ジヒドロイソキノリン-4-カルボキシラート(352mg)を淡黄色粉末として得た。
【0074】
製造例11
メチル 6-メトキシ-1-オキソ-1,2-ジヒドロイソキノリン-4-カルボキシラート(346mg)及び、塩化ホスホリル(3mL)の混合物を110℃で3時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣に氷水(50mL)を加え、酢酸エチル(50mL)で2回抽出した。水及び、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下留去し、メチル 1-クロロ-3-メトキシイソキノリン-4-カルボキシラート(368mg)を淡黄色粉末として得た。
【0075】
製造例12
4-ブロモ-1-メトキシイソキノリン (1.19 g)、クロロアニリン (765 mg)、ナトリウムt-ブトキシド(673 mg)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) (92 mg)及び、ビフェニル-2-イル(ジt-ブチル)ホスフィン(119 mg)のトルエン(12 mL)懸濁液を窒素気流下、110℃で3時間攪拌した。室温へと冷却後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で生成することにより、N-(3-クロロフェニル)-1-メトキシイソキノリン-4-アミン (940 mg)を黄色固体として得た。
【0076】
製造例13
N-(3-クロロフェニル)-1-メトキシイソキノリン-4-アミン (940 mg)及び、ヨウ化カリウム(603 mg)のアセトニトリル (15 mL)懸濁液に、クロロトリメチルシラン (395 mg)を加え、60℃で3時間攪拌した。室温へと冷却後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。クロロホルムを加え、不溶物をろ取後、減圧下乾燥し、4-[(3-クロロフェニル)アミノ]イソキノリン-1(2H)-オン (375 mg)を褐色固体として得た。ろ液を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、4-[(3-クロロフェニル)アミノ]イソキノリン-1(2H)-オン (144 mg)を褐色固体として得た。
【0077】
製造例14
4-[(3-クロロフェニル)アミノ]イソキノリン-1(2H)-オン (517 mg)及び、塩化ホスホリル (8.23 g)の混合物を90℃で1.5時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮した後、氷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、1-クロロ-N-(3-クロロフェニル)イソキノリン-4-アミン (550 mg)を淡黄色固体として得た。
【0078】
製造例15
1-クロロ-N-(3-クロロフェニル)イソキノリン-4-アミン (540 mg)、亜鉛粉末 (24 mg)、シアン化亜鉛 (439 mg)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) (43 mg)及び、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン (52 mg)のN,N-ジメチルアセトアミド (5 mL)懸濁液を、窒素気流下、120℃で2時間攪拌した。アンモニア水を加え、不溶物を除去し、ろ液を酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。クロロホルムを加え、不溶物をろ取した後、減圧下乾燥し、4-[(3-クロロフェニル)アミノ]イソキノリン-1-カルボニトリル (377 mg)を褐色固体として得た。ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、4-[(3-クロロフェニル)アミノ]イソキノリン-1-カルボニトリル (69 mg)を褐色固体として得た。
【0079】
製造例16
4-[(3-クロロフェニル)アミノ]イソキノリン-1-カルボニトリル (416 mg)のエタノール (10 mL)混合物に、15% 水酸化ナトリウム溶液 (10 mL)を加え、80℃で6時間攪拌した。室温へと冷却後、6M 塩酸を加えpHを3程度に調整した。生じた固体をろ取し、水洗後、減圧下乾燥し、4-[(3-クロロフェニル)アミノ]イソキノリン-1-カルボン酸 (430 mg)を赤色固体として得た。
【0080】
製造例17
水素化アルミニウムリチウム(1.91 g)とテトラヒドロフラン(60 mL)の混合物に、メチル 1-[(3-クロロフェニル)アミノ]イソキノリン-4-カルボキシラート(4.5 g)のテトラヒドロフラン(60 mL)溶液を氷冷下加え、2時間攪拌した。反応混合物に水(1.9 mL)、15% 水酸化ナトリウム水溶液(1.9 mL)及び、水(6 mL)を順次加えた。反応混合物にテトラヒドロフランを加えて、セライトろ過し、酢酸エチルで洗浄した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製した。溶媒を減圧留去後、残渣にクロロホルムを加えて撹拌し、析出した固体をろ取した後、減圧下乾燥し、{1-[(3-クロロフェニル)アミノ]イソキノリン-4-イル}メタノール(2.9 g)を白色固体として得た。
【0081】
製造例18
1-[(3-クロロフェニル)アミノ]イソキノリン-4-カルボン酸(500 mg)及び、ジメチルホルムアミド(5 mL)の混合物に、カルボニルジイミダゾール(407 mg)を加え、室温で30分間攪拌した。反応液に氷冷下でヒドラジン水和物(0.32 mL)を加え、室温で2時間攪拌した。反応混合物に水を加え、析出した固体をろ取した。得られた固体を水、イソプロピルエーテルで洗浄後、減圧下乾燥し、1-[(3-クロロフェニル)アミノ]イソキノリン-4-カルボヒドラジド(400 mg)を白色固体として得た。
【0082】
製造例19
1-[(3-クロロフェニル)アミノ]イソキノリン-4-カルボヒドラジド(400 mg)、塩化メチレン(8 mL)とテトラヒドロフラン(8 mL)の混合物に氷冷下でトリエチルアミン(0.27 mL)、2,2-ジメチルプロパノイルクロライド(0.19 mL)を加え、室温で1時間攪拌した。反応混合物に飽和重曹水を加え、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール)で精製し、1-[(3-クロロフェニル)アミノ]-N'-(2,2-ジメチルプロパノイル)イソキノリン-4-カルボヒドラジド(430 mg)を黄色非晶質固体として得た。
【0083】
実施例1
rel-1-[(1R,2R,4S)-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イルアミノ]イソキノリン-4-カルボン酸(189mg)とN,N-ジメチルホルムアミド(4mL)の混合物に、モルホリン(76μL)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(136mg)及び、1-エチル-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(193mg)を室温にて順次加えた後、室温で2日間攪拌した。反応液に水と酢酸エチルを加え、有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール)で精製し、rel-N-[(1R,2R,4S)-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル]-4-(モルホリン-4-イルカルボニル)イソキノリン-1-アミン(172mg)を無色泡状物として得た。
【0084】
実施例2
{1-[(3-クロロフェニル)アミノ]イソキノリン-4-イル}メタノール(200 mg)及び、テトラヒドロフラン(4 mL)の混合物に、氷冷下でトリエチルアミン(0.24 mL)とメタンスルホニルクロライド(0.08 mL)を加え、1時間攪拌した。氷冷下、反応混合物にモルホリン(0.31 mL)を加え、室温で5時間攪拌した。反応混合物に飽和重曹水と水を加え、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、N-(3-クロロフェニル)-4-(モルホリン-4-イルメチル)イソキノリン-1-アミン(122 mg)を黄色固体として得た。
【0085】
実施例3
1-[(3-クロロフェニル)アミノ]-N'-(2,2-ジメチルプロパノイル)イソキノリン-4-カルボヒドラジド(150 mg)とトルエン(3 mL)の混合物に塩化ホスホリル(0.11 mL)を加え、5時間加熱還流した。反応混合物に飽和重曹水を加え、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)にて精製し、4-(5-tert-ブチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)-N-(3-クロロフェニル)イソキノリン-1-アミン(100 mg)を黄色非晶質固体として得た。
【0086】
実施例4
1-[(3-クロロフェニル)アミノ]イソキノリン-4-カルボン酸(500 mg)のジメチルホルムアミド(5 mL)混合物に、カルボニルジイミダゾール(407 mg)を加え、室温で40分間攪拌した。反応液に1-アミノ-3,3-ジメチルブタン-2-オン 塩酸塩(381 mg)、トリエチルアミン(0.47 mL)及び、4-ジメチルアミノピリジン(20 mg)を室温にて順次加えた後、80℃で終夜攪拌した。反応混合物に水を加え、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を1M 水酸化ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、溶媒を減圧留去後、残渣をエタノールと水の混合溶媒で固化し、1-[(3-クロロフェニル)アミノ]-N-(3,3-ジメチル-2-オキソブチル)イソキノリン-4-カルボキサミド(150 mg)を黄白色固体として得た。
【0087】
実施例5
1-[(3-クロロフェニル)アミノ]-N-(3,3-ジメチル-2-オキソブチル)イソキノリン-4-カルボキサミド(200 mg)及び、トルエン(4 mL)の混合物に塩化ホスホリル(0.19 mL)を加え、5時間加熱還流した。反応混合物に飽和重曹水を加え、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、4-(5-tert-ブチル-1,3-オキサゾール-2-イル)-N-(3-クロロフェニル)イソキノリン-1-アミン(105 mg)を黄色非晶質固体として得た。
【0088】
実施例6
1-[(3-クロロフェニル)アミノ]イソキノリン-4-カルボン酸(500 mg)及び、N,N-ジメチルホルムアミド(10 mL)の混合物に、4-アミノ-2,2-ジメチル-3-オキソブタン酸メチル塩酸塩(426 mg)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(294 mg)、1-エチル-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(417mg)及び、トリエチルアミン(0.30 mL)を室温にて順次加えた後、室温で5時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルを加え、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、4-[({1-[(クロロフェニル)アミノ]イソキノリン-4-イル}カルボニル)アミノ]-2,2-ジメチル-3-オキソブタン酸メチル(580mg)を白色非晶質固体として得た。
【0089】
実施例7
4-[({1-[(クロロフェニル)アミノ]イソキノリン-4-イル}カルボニル)アミノ]-2,2-ジメチル-3-オキソブタン酸メチル(460 mg)及び、トルエン(10 mL)の混合物に塩化ホスホリル(0.39 mL)を加え、7時間加熱還流した。反応混合物に飽和重曹水を加え、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、2-(2-{1-[(3-クロロフェニル)アミノ]イソキノリン-4-イル}-1,3-オキサゾール-5-イル)-2-メチルプロパン酸メチル(357 mg)を黄色固体として得た。
【0090】
実施例8
水素化アルミニウムリチウム(27 mg)及び、テトラヒドロフラン(3 mL)の混合物に、2-(2-{1-[(3-クロロフェニル)アミノ]イソキノリン-4-イル}-1,3-オキサゾール-5-イル)-2-メチルプロパン酸メチル(100 mg)及び、テトラヒドロフラン(2 mL)の混合物を氷冷下加え、30分間攪拌した。反応混合物に水(0.03 mL)、15%水酸化ナトリウム水溶液(0.03 mL)及び、水(0.10 mL)を順次加えた。反応混合物にテトラヒドロフラン(7 mL)を加え、セライトろ過し、酢酸エチルで洗浄した。溶媒を減圧留去し、残渣に酢酸エチルとヘキサンを加えて固化した固体をろ取した。得られた固体をヘキサンで洗浄し、2-(2-{1-[(3-クロロフェニル)アミノ]イソキノリン-4-イル}-1,3-オキサゾール-5-イル)-2-メチルプロパン-1-オール(59 mg)を黄色固体として得た。
【0091】
実施例9
{1-[(3-クロロ-4-メトキシフェニル)アミノ]イソキノリン-4-イル}(モルホリン-4-イル)メタノン (60mg)と1,2-ジクロロエタン(5mL)の混合物に、室温で塩化アルミニウム(1.01g)を加え、室温で30分、80℃で5時間攪拌した。反応混合物を氷冷し、水を加えた後、クロロホルムとイソプロパノールの混合溶媒で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール)にて精製した。溶媒を減圧留去後、得られた黄色油状物を酢酸エチル(10mL)に溶解し、4M 塩化水素/酢酸エチル溶液(1mL)を加え、室温で30分攪拌した後、溶媒を減圧下留去した。残渣にエタノールを少量加え、溶解した後、ジイソプロピルエーテルを加え、室温で2時間攪拌した。析出した淡茶色固体をろ取し、ジイソプロピルエーテルで洗浄後、減圧乾燥し、{1-[(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)アミノ]イソキノリン-4-イル}(モルホリン-4-イル)メタノン 塩酸塩(20mg)を得た。
【0092】
実施例10
1-[(3-クロロフェニル)アミノ]イソキノリン-4-カルボン酸(100 mg)とN,N-ジメチルホルムアミド(2 mL)の混合物に、トリエチルアミン(0.06 mL)とヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム(178 mg)を室温にて順次加えた後、室温で15分間攪拌した。反応混合物に3-アミノアダマンタン-1-オール(84 mg)を加え、室温で4時間攪拌した。更に50℃で2時間攪拌した。反応液に水を加えて、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール)で精製後エタノールと水の混合溶媒で固化した。固体をろ取、水洗後、減圧下乾燥し、4-[({1-[(クロロフェニル)アミノ]イソキノリン-4-イル}カルボニル)アミノ]-2,2-ジメチル-3-オキソブタン酸メチル1-[(3-クロロフェニル)アミノ]-N-(3-ヒドロキシアダマンタン-1-イル)イソキノリン-4-カルボキサミド(67 mg)を白色固体として得た。
【0093】
上述の製造例及び実施例と同様にして、後記表に示す化合物を製造した。
以下の表2〜表26に製造例化合物の化学構造式、製造方法及び、物理化学的データを示す。
また、以下の表27〜表39に実施例化合物の化学構造式を、表40〜表57には、実施例化合物の製造方法及び、物理化学的データを示す。
【0094】
【表2】

【0095】
【表3】

【0096】
【表4】

【0097】
【表5】

【0098】
【表6】

【0099】
【表7】

【0100】
【表8】

【0101】
【表9】

【0102】
【表10】

【0103】
【表11】

【0104】
【表12】

【0105】
【表13】

【0106】
【表14】

【0107】
【表15】

【0108】
【表16】

【0109】
【表17】

【0110】
【表18】

【0111】
【表19】

【0112】
【表20】

【0113】
【表21】

【0114】
【表22】

【0115】
【表23】

【0116】
【表24】

【0117】
【表25】

【0118】
【表26】

【0119】
【表27】

【0120】
【表28】

【0121】
【表29】

【0122】
【表30】

【0123】
【表31】

【0124】
【表32】

【0125】
【表33】

【0126】
【表34】

【0127】
【表35】

【0128】
【表36】

【0129】
【表37】

【0130】
【表38】

【0131】
【表39】

【0132】
【表40】

【0133】
【表41】

【0134】
【表42】

【0135】
【表43】

【0136】
【表44】

【0137】
【表45】

【0138】
【表46】

【0139】
【表47】

【0140】
【表48】

【0141】
【表49】

【0142】
【表50】

【表51】

【0143】
【表52】

【0144】
【表53】

【0145】
【表54】

【0146】
【表55】

【0147】
【表56】

【0148】
【表57】

【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明医薬の有効成分である化合物は、カンナビノイド2型受容体に対する強力なアゴニスト作用と、これに基づく良好な薬理作用を有することから、本発明の医薬組成物は、例えば炎症性疾患、疼痛等のカンナビノイド2型受容体に関与する疾患の予防又は治療剤として使用しうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、又はその塩を有効成分として含有する、CB2の関与する疾患の予防剤及び/又は治療剤。
【化15】

(式中、
XとYは、XとYは、一方がN、他方がCH又は、CR0であり、
A部は、下記式(II)、(III)又は、(IV)で示される基を示し、
【化16】

R1は、-L1-R5、置換されていてもよい1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-1-イル又は、置換されていてもよいアリールであり、
R2は、-C(O)NR6R7、-低級アルキレン-OH、-低級アルキレン-C(O)OR0、-低級アルキレン-NH-低級アルキレン-OH、置換されていてもよい芳香族ヘテロ環又は、下記式(V)で示される基を示し、
【化17】

R3は、同一又は互いに異なって、R0又は、ハロゲンであり、
R4は、同一又は互いに異なって、R0、ハロゲン又は、-OR0であり、
R5は、-OHで置換されていてもよいC1-10アルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール又は、置換されていてもよい架橋環状エーテルであり、
R6は、H又は、R0であり、
R7は、i) ハロゲン、-OH、-OR0、-C(O)R0及び、-C(O)-低級アルキレン-C(O)OR0からなる群より選択される基で置換されていてもよい低級アルキル、ii) -L3-置換されていてもよいシクロアルキル又は、iii) -L3-置換されていてもよい非芳香族ヘテロ環であり、
R8は、同一又は互いに異なって、R0又は、ハロゲンであり、
Wは、C(R9)2、O、S(O)r、NH又は、NR0であり、
R0は、同一又は互いに異なって、低級アルキルであり、
R9は、同一又は互いに異なって、H、R0、ハロゲン又は、-OHであり
L1は、-低級アルキレン-、-NH-、-NR0-、-O-又は、-S(O)s-であり、
L2は、-C(O)-又は-低級アルキレン-であり、
L3は、結合又は-低級アルキレン-であり、
mは、同一または互いに異なって、0から2の整数であり、
nは、0から4の整数であり、
pは、0から4の整数であり、
qは、0から2の整数であり、
rは、0から2の整数であり、
sは、0から2の整数である。)
【請求項2】
式(I')の化合物又はその塩。
【化18】

(式中、
XとYは、XとYは、一方がN、他方がCH又は、CR0であり、
A部は、下記式(II)、(III)又は、(IV)で示される基を示し、
【化19】

R1は、-L1-R5、置換されていてもよい1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-1-イル又は、置換されていてもよいアリールであり、
R2は、-C(O)NR6R7、-低級アルキレン-OH、-低級アルキレン-C(O)OR0、-低級アルキレン-NH-低級アルキレン-OH、置換されていてもよい芳香族ヘテロ環又は、下記式(V)で示される基を示し、
【化20】

R3は、同一又は互いに異なって、R0又は、ハロゲンであり、
R4は、同一又は互いに異なって、R0、ハロゲン又は、-OR0であり、
R5は、-OHで置換されていてもよいC1-10アルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール又は、置換されていてもよい架橋環状エーテルであり、
R6は、H又はR0であり、
R7は、i) ハロゲン、-OH、-OR0、-C(O)R0及び、-C(O)-低級アルキレン-C(O)OR0からなる群より選択される基で置換されていてもよい低級アルキル、ii) -L3-置換されていてもよいシクロアルキル又は、iii) -L3-置換されていてもよい非芳香族ヘテロ環であり、
R8は、同一又は互いに異なって、R0又は、ハロゲンであり、
Wは、C(R9)2、O、S(O)r、NH又は、NR0であり、
R0は、同一又は互いに異なって、低級アルキルであり、
R9は、同一又は互いに異なって、H、R0、ハロゲン又は、-OHであり
L1は、-低級アルキレン-、-NH-、-NR0-、-O-又は、-S(O)s-であり、
L2は、-C(O)-又は-低級アルキレン-であり、
L3は、結合又は-低級アルキレン-であり、
mは、同一または互いに異なって、0から2の整数であり、
nは、0から4の整数であり、
pは、0から4の整数であり、
qは、0から2の整数であり、
rは、0から2の整数であり、
sは、0から2の整数である。
但し、XがCH、YがN、A環が式(IV)及び、R1が-NH-R5であって、
(1)R5が2-メトキシフェニル若しくは、4-メトキシフェニル及び、R2が-C(O)NHR7である場合には、R7はn-ブチル、3-メチルブチル、シクロヘキシル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、1,4-ベンゾジオキシン-6-イル、2-(シクロヘキセン-1-イル)エチル、(テトラヒドロフラン-2-イル)メチル、(1,4-ベンゾジオキシン-2-イル)メチル、2-(モルホリン-4-イル)エチル、3-(ピロリジン-1-イル)プロピル、3-(4-メチルピペリジン-1-イル)プロピル、3-(3,5-ジメチルピペリジン-1-イル)プロピル、3-(モルホリン-4-イル)プロピル、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル、3-[4-(4-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]プロピル、3-(アゼパン-1-イル)プロピル、3-メトキシプロピル、3-(イソプロポキシ)プロピル及び、3,3-ジエトキシプロピル以外の基であり、
(2)R5が3-メトキシフェニル及び、R2が-C(O)NHR7である場合には、R7は3-(4-エチルピペラジン-1-イル)プロピル以外の基であり、
(3)R5が4-フルオロフェニル及び、R2が-C(O)NHR7である場合には、R7は1-メチルプロピル及び、2-(シクロヘキセン-1-イル)エチル以外の基であり、
(5)R5が3-クロロ-4-メチルフェニル及び、R2が-C(O)NHR7である場合には、R7はイソプロピル、3-メチルシクロヘキシル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、1,3-ベンゾジオキソール-5-イル、1,4-ベンゾジオキシン-6-イル、2-(シクロヘキセン-1-イル)エチル、(1,4-ベンゾジオキシン-2-イル)メチル、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル、3-(4-エチルピペラジン-1-イル)プロピル、3-(3,5-ジメチルピペリジン-1-イル)プロピル、3-[4-(3-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル]プロピル、3-(モルホリン-4-イル)プロピル、3-(アゼパン-1-イル)プロピル及び、3-メトキシプロピル以外の基であり、
(6)R5が3-クロロ-4-メチルフェニル及び、R2が-C(O)NHR7である場合には、R7はn-ブチル以外の基であり、
(7)R5が4-クロロ-2-メトキシフェニル及び、R2が-C(O)NHR7である場合には、R7は1,3-ベンゾジオキソール-5-イル以外の基であり、
(8)R5が2-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル若しくは、3-クロロ-4-メチルフェニル、R2が式(V)及び、L2が-C(O)-である場合には、式(V)はピロリジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、3-メチルピペリジン-1-イル、4-メチルピペリジン-1-イル、3,5-ジメチルピペリジン-1-イル、4位が低級アルキルで置換されたピペラジン-1-イル、モルホリン-4-イル及び、アゼパン-1-イル以外の基であり、
(9)R5が4-クロロ-2-メトキシフェニル、R2が式(V)及び、L2が-C(O)-である場合には、式(V)は4位が低級アルキルで置換されたピペラジン-1-イル以外の基であり、
(10)R5が4-フルオロフェニル、R2が式(V)及び、L2が-C(O)-である場合には、式(V)はピロリジン-1-イル、4-メチルピペリジン-1-イル及び、4位で置換されたピペラジン-1-イル以外の基である。)

【公開番号】特開2012−72068(P2012−72068A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216265(P2010−216265)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000006677)アステラス製薬株式会社 (274)
【Fターム(参考)】