説明

二置換アニリン化合物

本発明は、新規なクラスの二置換アニリン化合物に関する。これらの化合物は、ヒストン脱アセチル化酵素を阻害し得、そして新生細胞の最終分化、並びに細胞増殖停止及び/又はアポトーシスを選択的に誘導し、それによってこのような細胞の増殖を阻害することにおける使用のために適切である。従って本発明の化合物は、新生細胞の増殖によって特徴付けられる腫瘍を有する患者を治療するのに有用である。本発明の化合物はまた、TRX媒介性の疾患、例えば、自己免疫、アレルギー性疾患及び炎症性疾患の予防及び治療において、並びに中枢神経系(CNS)の疾患、例えば神経変性疾患の予防及び/又は治療において、有用であり得る。本発明はさらに、本発明の化合物を含む医薬組成物、及びこれらの医薬組成物の安全な投薬レジメンであって、従うことが容易であり、かつこれらの化合物の治療上有効な量をインビボで生じる投薬レジメンを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、新規なクラスの二置換アニリン化合物に関する。これらの化合物は、ヒストン脱アセチル化酵素を阻害し得、そして新生細胞(腫瘍細胞)(neoplastic cell)の最終分化、並びに細胞増殖停止及び/又はアポトーシスを選択的に誘導すること、それによってこのような細胞の増殖を阻害することにおける使用のために適切である。従って本発明の化合物は、新生細胞の増殖によって特徴付けられる腫瘍を有する患者を治療するのに有用である。本発明の化合物はまた、TRX媒介性の疾患(例えば、自己免疫、アレルギー性疾患及び炎症性疾患)の予防及び治療において、並びに中枢神経系(CNS)の疾患(例えば神経変性疾患)の予防及び/又は治療において、有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
HDACの阻害は、腫瘍抑制に関連する遺伝子の発現を含む遺伝子発現を抑制し得る。ヒストン脱アセチル化酵素の阻害は、腫瘍抑制遺伝子のヒストン脱アセチル化酵素−媒介性の転写抑制をもたらし得る。例えば、ヒストン脱アセチル化酵素の阻害は、がん、血液学的障害(例えば、造血)及び遺伝子関連代謝障害を治療するための方法を提供し得る。さらに詳細には、転写調節は、細胞の分化、増殖及びアポトーシスにおける主要な事象である。ヒストンアセチル化及び脱アセチル化は、細胞において転写調節が達成される機構であるといういくつかの系列の証拠がある(Grunstein,M.,Nature,389:349−52(1997))。これらの効果は、ヌクレオソームにおけるコイル状DNAについてのヒストンタンパク質の親和性を変更することによるクロマチンの構造における変化を通じて生じると考えられる。特定されている5つのタイプのヒストンが存在する。ヒストンH2A、H2B、H3及びH4は、ヌクレオソームで見出され、そしてH1は、ヌクレオソームの間に位置するリンカーである。各々のヌクレオソームは、ヌクレオソーム構造の外側部分に単一で存在するH1を除いて、そのコア内に2つの各々のヒストンタイプを含む。ヒストンタンパク質が低アセチル化される場合、DNAリン酸骨格に対するヒストンの親和性がさらに大きいということが考えられる。この親和性によって、DNAがヒストンに緊密に結合し、そして転写調節因子及び機構に対してDNAがアクセス不能になる。
【0003】
アセチル化状態の調節は、2つの酵素複合体、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)とヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)との間の活性のバランスを通じて生じる。
【0004】
この低アセチル化状態は、関連するDNAの転写を阻害すると考えられる。この低アセチル化状態は、HDAC酵素を含む大型のマルチタンパク質複合体によって触媒される。詳細には、HDACは、クロマチンコアヒストンからのアセチル基の除去を触媒することが示されている。
【0005】
HAT又はHDAC活性の破壊は、悪性の表現型の発達に関与するということがいくつかの場合で示されている。例えば、急性の前骨髄球性白血病では、PML及びRARαの融合によって生成される腫瘍性タンパク質は、HDACの補充を通じて特異的な遺伝子転写を抑制すると考えられる(Lin,R.J.et al.,Nature 391:811〜14(1998))。この様式では、新生細胞(腫瘍細胞)は、完全な分化ができず、白血病細胞株の過剰な増殖がもたらされる。
【0006】
米国特許第5,369,108号、同第5,932,616号、同第5,700,811号、同第6,087,367号、及び同第6,511,990号は、その内容が参照によって本明細書に援用されており、新生細胞の最終分化、細胞増殖停止又はアポトーシスを選択的に誘導するために有用であるヒドロキサム酸誘導体を開示する。抗腫瘍剤としてのそれらの生物学的な活性に加えて、これらのヒドロキサム酸誘導体は、近年、多種多様なチオレドキシン(TRX)媒介性の疾患及び状態、例えば、炎症性疾患、アレルギー性疾患、自己免疫疾患、酸化的ストレスに関連する疾患、又は細胞過剰増殖によって特徴付けられる疾患を治療又は予防するために有用であるとして特定されてきた(その内容全体が参照によって本明細書に援用される、2003年2月15日出願、米国特許出願第10/369,094号)。さらに、これらのヒドロキサム酸誘導体は、中枢神経系(CNS)の疾患(例えば、神経変性疾患)を治療するため、及び脳腫瘍を治療するために有用であると特定されてきた(その内容全体が参照によって本明細書に援用される、2002年10月16日出願、米国特許出願第10/273,401号を参照のこと)。
【0007】
ヒドロキサム酸部分を含む化合物についての多種多様な適用の観点において、特性が改善されている、例えば、力価が増大するか又はバイオアベイラビリティーが増大している、新規なインヒビターの開発が極めて望ましい。
【発明の開示】
【0008】
発明の要旨
本発明は、新規なクラスの二置換アニリン化合物に関する。これらの化合物は、がんを治療するために用いられ得、ヒストン脱アセチル化酵素を阻害し、そして新生細胞の最終分化、並びに細胞増殖の停止及び/又はアポトーシスを選択的に誘導し、それによってこのような細胞の増殖を阻害するのにおける使用に適切である。従って、本発明の化合物は、新生細胞の増殖によって特徴付けられる腫瘍を有する患者を治療するのにおいて有用である。本発明の化合物は、TRX媒介性疾患(例えば、自己免疫、アレルギー性及び炎症性の疾患)の予防及び治療において、そして、中枢神経系(CNS)の疾患(例えば、神経変性疾患)の予防及び/又は治療において有用であり得る。本発明はさらに、本発明の化合物を含む医薬組成物、並びにこれらの医薬組成物の安全な投薬レジメンであって、従うことが容易であり、かつこれらの化合物の治療上有効な量をインビボで生じる投薬レジメンを提供する。
【0009】
本発明は、本明細書に詳細であるような、以下の構造式によって提示される化合物、並びにその薬学的に許容される塩、溶媒和物及び水和物に関する。
【0010】
【化1】

【0011】
本発明の前述及び他の目的、特徴及び利点は、本発明の実施態様の以下のさらに詳細な説明から明らかになる。
【0012】
発明の詳細な説明
本発明は、新規なクラスの二置換アニリン化合物に関する。本発明の化合物は、ヒストン脱アセチル化酵素を阻害し得、そして新生細胞の最終分化、並びに細胞増殖の停止及び/又はアポトーシスを選択的に誘導し、それによってこのような細胞の増殖を阻害するのにおける使用に適切である。従って、本発明の化合物は、患者においてがんを治療するのにおいて有用である。本発明の化合物はまた、TRX媒介性疾患(例えば、自己免疫、アレルギー性及び炎症性の疾患)の予防及び治療において、そして、中枢神経系(CNS)の疾患(例えば、神経変性疾患)の予防及び/又は治療において有用であり得る。
【0013】
本発明は、以下の構造式:
【0014】
【化2】

【0015】
[式中、
【0016】
【化3】

【0017】
は、置換されていてもよいアリール又は置換されていてもよいヘテロアリールであり;
【0018】
【化4】

【0019】
は、置換されていてもよいアリール又は置換されていてもよいヘテロアリール;
【0020】
【化5】

【0021】
は、アリール又はヘテロアリールであり;
は、NH、OH又はNH[(C1−6アルキル)C(O)NR]であり;
は、H、C1−6アルキル、O(C1−6アルキル)、C(O)R、(C1−6アルキル)C(O)NR、C(O)(C1−6アルキル)NR、(C1−6アルキル)NR又はSO(C1−6アルキル)であり;
は、H、C1−6アルキル、O(C1−6アルキル)、C(O)R、(C1−6アルキル)C(O)NR、C(O)(C1−6アルキル)NR、(C1−6アルキル)NR又はSO(C1−6アルキル)であり;
は、H又はC1−6アルキルであり;
は、H、C1−6アルキル、アリール、ヘテロアリール又はC(O)(C1−6アルキル)であり、ここで、該アルキル、アリール及びヘテロアリール基は、1〜3個のハロで置換されてもよく;
は、H、C1−6アルキル、アリール、ヘテロアリール又はC(O)(C1−6アルキル)であり、ここで、該アルキル、アリール及びヘテロアリール基は、1〜3個のハロで置換されてもよい。]の化合物、
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩に関する。
【0022】
本発明の一実施態様では、
【0023】
【化6】

【0024】
は、1〜3個のハロで置換されてもよいアリールである。本発明のある態様では、
【0025】
【化7】

【0026】
は、1〜3個のハロで置換されてもよいフェニルである。
【0027】
本発明の別の実施態様では、
【0028】
【化8】

【0029】
はヘテロアリールである。本発明のある態様では、
【0030】
【化9】

【0031】
はチオフェンである。
【0032】
本発明の別の実施態様では、
【0033】
【化10】

【0034】
は、アリール又はヘテロアリールである。本発明のある態様では、
【0035】
【化11】

【0036】
は、フェニルである。
【0037】
本発明の別の実施態様では、RはNHである。
【0038】
本発明の別の実施態様では、Rは、C1−6アルキル、O(C1−6アルキル)、C(O)R、(C1−6アルキル)C(O)NR、C(O)(C1−6アルキル)NR、(C1−6アルキル)NR又はSO(C1−6アルキル)である。
【0039】
本発明の別の実施態様では、Rは、C1−6アルキル、O(C1−6アルキル)、C(O)R、(C1−6アルキル)C(O)NR、C(O)(C1−6アルキル)NR、(C1−6アルキル)NR又はSO(C1−6アルキル)である。
【0040】
本発明の化合物の非限定的な実施例を示す特定の実施態様は、本明細書において下の実験のセクションに示される。
【0041】
本発明の化合物の特定の例としては、限定されるわけではないが、以下が挙げられる:
4−{アセチル[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−N−[2−アミノ−5−(2−チエニル)フェニル]ベンズアミド;
N−[2−アミノ−5−(2−チエニル)フェニル]−4−[[2−(ジメチルアミノ)エチル](メチルスルホニル)アミノ]ベンズアミド;
N−[2−アミノ−5−(2−チエニル)フェニル]−4−[[2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエチル](メチル)アミノ]ベンズアミド;
4−{アセチル[2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−N−[2−アミノ−5−(2−チエニル)フェニル]ベンズアミド;
4−(アセチルアミノ)−N−[2−アミノ−5−(2−チエニル)フェニル]−3,5−ジヨードベンズアミド;
N−(4−アミノビフェニル−3−イル)−4−[ビス(2−アニリノ−2−オキソエチル)アミノ]ベンズアミド;
2,2’−{[4−({[2−アミノ−5−(3−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]イミノ}二酢酸;
N−[2−アミノ−5−(2−チエニル)フェニル]−4−{ビス[2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル]アミノ}ベンズアミド;
{[4−({[2−アミノ−5−(3−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]アミノ}酢酸;
N−[2−アミノ−5−(3−チエニル)フェニル]−4−{[2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル]アミノ}ベンズアミド;
N−[2−アミノ−5−(3−チエニル)フェニル]−4−{[2−(ベンジルアミノ)−2−オキソエチル]アミノベンズアミド;
4−アミノ−N−[2−{[2−メチルアミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−5−(2−チエニル)フェニル]ベンズアミド;
4−アミノ−N−[2−{[2−ジメチルアミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−5−(2−チエニル)フェニル]ベンズアミド;
4−アミノ−N−[2−{[2−ジエチルアミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−5−(2−チエニル)フェニル]ベンズアミド;
4−({3−[アセチル(メチル)アミノ]プロパノイル}アミノ)−N−[2−アミノ−5−(2−チエニル)フェニル]ベンズアミド;
N−[2−アミノ−5−(2−チエニル)フェニル]−4−[メチル(4−メチル−5−オキソヘキサノイル)アミノ]ベンズアミド;
4−(アセチル{2−[(4−クロロフェニル)アミノ]−1−メチル−2−オキソエチル}アミノ)−N−[2−アミノ−5−(2−チエニル)フェニル]ベンズアミド;
N,N−ジメチルグリシル−N−(4−{[(2−アミノ−5−チエン−2−イルフェニル)アミノ]カルボニル}フェニル)−N−(4−クロロフェニル)アラニンアミド;
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩。
【0042】
化学的な定義
本明細書において用いる場合、「アルキル(alkyl)」とは、特定の数の炭素原子を有する分枝鎖及び直鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基を含むものとする。例えば、C1−10とは、「C1−10アルキル」の場合のように、直鎖又は分枝鎖の配置において1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の炭素を有する基を包含するものと定義される。例えば、「C1−10アルキル」は詳細には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどを包含する。「シクロアルキル(cycloalkyl)」という用語は、特定の数の炭素原子を有する単環式飽和脂肪族炭化水素基を意味する。シクロアルキルは、例えば、メチレン、エチレン又はプロピレン架橋で架橋されてもよい(すなわち、二環性基を形成する)。この架橋は、置換されても分枝されていてもよい。シクロアルキルは、アリール基、例えば、フェニルと縮合してもよく、そして、シクロアルキル置換基は、シクロアルキル基を介して結合することが理解される。例えば、「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。本発明の一実施態様では、「シクロアルキル」という用語は、すぐ上に記載される基を包含し、そしてさらに、単環式不飽和脂肪族炭化水素基を包含する。例えば、「シクロアルキル」とは、この実施態様で規定されるとおり、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニル、シクロブテニルなどを包含する。一実施態様では、炭素の数が特定されない場合、「アルキル(alkyl)」とは、C−C12アルキルをいい、そしてさらなる実施態様では、「アルキル」とは、C−Cアルキルをいう。一実施態様では、炭素原子の数が特定されない場合、「シクロアルキル」とは、C−C10シクロアルキルをいい、そしてさらなる実施態様では、「シクロアルキル」とは、C−Cシクロアキルをいう。一実施態様では、「アルキル」の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル,t−ブチル及びi−ブチルが挙げられる。
【0043】
「アルキレン(alkylene)」という用語は、特定の数の炭素原子を有する炭化水素二価基(hydrocarbon diradical group)を意味する。例えば、「アルキレン」としては、−CH−、−CHCH−などが挙げられる。一実施態様では、炭素原子の数が特定されない場合、「アルキレン」とは、C−C12アルキレンをいい、そしてさらなる実施態様では、「アルキレン」は、C−Cアルキレンをいう。
【0044】
「アルキルアリール(alkylaryl)」、「アルキルシクロアルキル(alkylcycloalkyl)」及び「アルキルヘテロシクリル(alkylheterocyclyl)」という句で用いる場合、「アルキル」という用語は、該基のアルキル部分をいい、そして、該基のアリール及びヘテロアリール部分の原子数は含まれない。一実施態様では、炭素数が特定されない場合、「アルキルアリール」、「アルキルシクロアルキル」及び「アルキルヘテロシクリル」の「アルキル」とは、C−C12アルキルをいい、そしてさらなる実施態様では、この用語はC−Cアルキルをいう。
【0045】
炭素原子の数が特定されない場合、「アルケニル(alkenyl)」という用語は、2〜10個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する、直鎖、分枝鎖又は環状の、非芳香族炭化水素基をいう。好ましくは、1つの炭素−炭素二重結合が存在し、そして最大4つまでの非芳香族性炭素−炭素二重結合が存在してもよい。従って、「C−Cアルケニル」とは、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基を意味する。アルケニル基としては、エテニル、プロペニル、ブテニル、2−メチルブテニル及びシクロヘキセニルが挙げられる。アルケニル基の直鎖、分枝鎖又は環状部分は、二重結合を含んでもよいし、そして置換アルケニル基が示される場合、置換されてもよい。
【0046】
「アルキニル(alkynyl)」という用語は、2〜10個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する、直鎖、分枝鎖又は環状の、炭化水素基をいう。最大3つまでの炭素−炭素三重結合が存在してもよい。従って、「C−Cアルキニル」とは、2〜6個の炭素原子を有するアルキニル基を意味する。アルキニル基としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、3−メチルブチニルなどが挙げられる。アルキニル基の直鎖、分枝鎖又は環状部分は、三重結合を含んでもよいし、そして置換アルキニル基が示される場合、置換されてもよい。
【0047】
場合によっては、置換基は、ゼロを含むある範囲の炭素、例えば、(C−C)アルキレン−アリールで定義されてもよい。アリールが、フェニルである場合、この定義は、フェニル自体、並びに−CHPh、−CHCHPh、CH(CH)CHCH(CH)Phなどを包含する。
【0048】
一実施態様では、本明細書において用いる場合、「アリール(aryl)」とは、各々の環において最大7原子までの任意の安定な単環式又は二環式の炭素環であって、少なくとも1つの環が芳香族である環を意味するものとする。このようなアリールの要素の例としては、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル及びビフェニルが挙げられる。アリール置換基が二環式であり、1つの環が非芳香族である場合には、結合は、芳香族環を介してもよいことが理解される。
【0049】
別の実施態様では、「アリール」は5〜14個の炭素原子の芳香族環であり、そしてインダンのような5員又は6員のシクロアルキル基と縮合した炭素環性芳香族基を包含する。炭素環式芳香族基の例としては、限定はしないが、フェニル、ナフチル、例えば、1−ナフチル及び2−ナフチル;アントラセニル、例えば、1−アントラセニル、2−アントラセニル;フェナントレニル;フルオレノニル、例えば、9−フルオレノニル、インダニルなどが挙げられる。炭素環式芳香族基は下に記載される指定された数の置換基で置換されてもよい。
【0050】
本明細書において用いる場合、ヘテロアリールという用語は、各々の環において最大7原子までの安定な単環式、又は二環式の環であって、少なくとも1つの環が芳香族であり、かつO、N及びSからなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子を含む環を表わす。別の実施態様では、ヘテロアリールという用語は、5〜14員の環の炭素原子及びO、N又はSから選択される1〜4個のヘテロ原子からなる単環式、二環式又は三環式の芳香族環をいう。この定義の範囲内のヘテロアリール基としては限定はしないが以下が挙げられる:アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、キノキサリニル、ピラゾリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、フラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、テトラヒドロキノリン。下の複素環の定義と同様、「ヘテロアリール(heteroaryl)」はまた、任意の窒素含有ヘテロアリールのN酸化物誘導体を包含することも理解される。ヘテロアリール置換基が二環式であり、1つの環が非芳香族性であるか又はヘテロ原子を含まない場合、結合は、それぞれ芳香族環を介するか、又はヘテロ原子含有環を介するものと理解される。
【0051】
別の実施態様では、「ヘテロアリール(heteroaryl)」とは、5〜14員の環の炭素原子及びO、N又はSから選択される1〜4個のヘテロ原子からなる単環式、二環式又は三環式の芳香族環である。ヘテロアリールの例としては、限定はしないが、ピリジル、例えば、2−ピリジル(α−ピリジルとも呼ばれる)、3−ピリジル(β−ピリジルとも呼ばれる)及び4−ピリジル((γ−ピリジル)とも呼ばれる;チエニル、例えば、2−チエニル及び3−チエニル;フラニル、例えば、2−フラニル及び3−フラニル;ピリミジル、例えば、2−ピリミジル及び4−ピリミジル;イミダゾリル、例えば、2−イミダゾリル;ピラニル、例えば、2−ピラニル及び3−ピラニル;ピラゾリル、例えば、4−ピラゾリル及び5−ピラゾリル;チアゾリル、例えば、2−チアゾリル、4−チアゾリル及び5−チアゾリル;チアジアゾリル;イソチアゾリル;オキサゾリル、例えば、2−オキサゾイル、4−オキサゾイル及び5−オキサゾイル;イソオキサゾイル;ピロリル;ピリダジニル;ピラジニルなどが挙げられる。上記で規定されるような複素環式芳香族基(又はヘテロアリール)は、芳香族基について下に記載されるように、指定された数の置換基で置換されてもよい。
【0052】
一実施態様では、「ヘテロアリール(heteroaryl)」はまた、1つ以上の他のヘテロアリール又は非芳香族性複素環と縮合したヘテロアリールである、「縮合多環式芳香族基(fused polycyclic aromatic」、を包含し得る。例としては、キノリニル及びイソキノリニル、例えば、2−キノリニル、3−キノリニル、4−キノリニル、5−キノリニル、6−キノリニル、7−キノリニル及び8−キノリニル、1−イソキノリニル、3−キノリニル、4−イソキノリニル、5−イソキノリニル、6−イソキノリニル、7−イソキノリニル及び8−イソキノリニル;ベンゾフラニル、例えば、2−ベンゾフラニル及び3−ベンゾフラニル;ジベンゾフラニル、例えば、2,3−ジヒドロベンゾフラニル;ジベンゾチオフェニル;ベンゾチエニル、例えば、2−ベンゾチエニル及び3−ベンゾチエニル;インドリル、例えば、2−インドリル及び3−インドリル;ベンゾチアゾリル、例えば、2−ベンゾチアゾリル;ベンゾオキサゾリル、例えば、2−ベンゾオキサゾリル;ベンズイミダゾリル、例えば、2−ベンゾイミダゾリル;イソインドリル,例えば、1−イソインドリル及び3−イソインドリル;ベンゾトリアゾリル;プリニル;チアナフテニル、ピラジニルなどが挙げられる。縮合多環式芳香族環系は、本明細書に記載されるような指定された数の置換基で置換されてもよい。
【0053】
本明細書において用いる場合、「複素環、ヘテロ環(heterocycle)」又は「ヘテロシクリル(heterocyclyl)」という用語は、O、N、S又はPからなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3員〜10員の芳香族又は非芳香族の複素環を意味するものとし、これには二環式基が挙げられる。非芳香族複素環は、フェニル又は芳香族性ヘテロ環のような芳香族アリール基と縮合されてもよい。
【0054】
従って、「ヘテロシクリル」とは、上述のヘテロアリール、並びにそのジヒドロ及びテトラヒドロアナログを包含する。「ヘテロシクリル」のさらなる例としては限定はしないが、以下が挙げられる:アゼチジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロチエニル、並びにそれらのN酸化物。ヘテロシクリル置換基の結合は、炭素原子を介して生じても、又はヘテロ原子を介して生じてもよい。
【0055】
一実施態様では、「複素環、ヘテロ環(heterocycle)」(本明細書において「ヘテロシクリル(heterocyclyl)」とも呼ばれる)は、5〜14員の環の炭素原子及びO、N、S又はPから選択される1〜4個のヘテロ原子からなる単環式、二環式又は三環式の飽和又は不飽和環である。複素環の例としては、限定はしないが、以下が挙げられる:ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル,チアモルホリニル,ピペラジニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ジヒドロピラジニル、テトラヒドロピラジニル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、など。
【0056】
「アルキルアリール基(alkylaryl group)」(アリールアルキル)とは、芳香族基、好ましくはフェニル基で置換されたアルキル基である。好ましいアルキルアリール基はベンジル基である。適切な芳香族基は、本明細書に記載されており、そして適切なアルキル基は本明細書に記載される。アルキルアリール基の適切な置換基は、本明細書に記載される。
【0057】
「アルキルヘテロシクリル(alkyheterocyclyl)」基」は、ヘテロシクリル基で置換されたアルキル基である。適切なヘテロシクリル基は本明細書に記載されており、そして適切なアルキル基が本明細書に記載される。アルキルヘテロシクリル(alkyheterocyclyl)基の適切な置換基は本明細書に記載される。
【0058】
「アルキルシクロアルキル基(alkycycloalkyl group)」とは、シクロアルキル基で置換されたアルキル基である。適切なシクロアルキル基は本明細書に記載されており、そして適切なアルキル基は本明細書に記載される。アルキルシクロアルキル基の適切な置換基は、本明細書に記載される。
【0059】
「アリールオキシ基(aryloxy group)」とは、酸素を介して化合物に結合したアリール基である(例えば、フェノキシ)。
【0060】
「アルコキシ基(alkoxy group)」(アルキルオキシ)とは、本明細書において用いる場合、直鎖若しくは分枝鎖のC−C12又は環状のC−C12アルキル基であって、酸素原子を介して化合物に結合される基である。アルコキシ基の例としては限定はしないが、メトキシ、エトキシ及びプロポキシが挙げられる。
【0061】
「アリールアルコキシ基(arylalkoxy group)」(アリールアルキルオキシ)とは、アリールアルキルのアルキル部分上の酸素を介して化合物に結合したアリールアルキル基である(例えば、フェニルメトキシ)。
【0062】
「アリールアミノ基(arylamino group)」とは本明細書において用いる場合、窒素を介して化合物に結合したアリール基である。
【0063】
本明細書において用いる場合、「アリールアルキルアミノ基(arylalkylamino group)」とは、アリールアルキルのアルキル部分上の窒素を介して化合物に結合されるアリールアルキル基である。
【0064】
本明細書において用いる場合、「アルキルスルホニル基(alkylsulfonyl group)」とは、スルホニル基のイオウを介して化合物に結合したアルキル基である。
【0065】
本明細書において用いる場合、多くの部分又は基が、「置換又は未置換(substituted or unsubstituted)」のいずれかである。ある部分が置換される場合、置換に利用可能であると当業者に公知である基の任意の部分が置換されていてもよいということが意味される。「1つ以上の置換基で置換されていてもよい(optionally substituted with one or more substituents)」という句は、1つの置換基、2つの置換基、3つの置換基、4つの置換基、又は5つの置換基を意味する。例えば、置換可能な基とは、水素以外の基(すなわち、置換基)で置換される水素原子であってもよい。複数の置換基が存在し得る。複数の置換基が存在する場合、この置換基は、同じであっても又は異なってもよく、そして置換は、任意の置換可能な部位であってもよい。置換基についてのこのような意味は、当該技術分野で周知である。本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではないが例証の目的で、置換基である基のいくつかの例は以下である:アルキル基(1つ以上の置換基で置換されてもよい)、アルコキシ基(置換され得る)、ハロゲン又はハロ基(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ、ニトロ、オキソ、−CN、−COH、−COOH、アミノ、アジド、N−アルキルアミノ又はN,N−ジアルキルアミノ(ここでアルキル基も置換されてもよい)、N−アリールアミノ又はN,N−ジアリールアミノ(ここでアリール基も置換されてもよい)、エステル(−C(O)−OR、ここで、Rは、例えば、アルキル、アリールなどの基であってもよく、これは置換されてもよい)、尿素(−NHC(O)−NHR、ここでRは、例えばアルキル、アリールなどの基であってもよく、これは置換されてもよい)、カルバメート(−NHC(O)−OR、ここで、Rは、例えばアルキル、アリールなどの基であってもよく、これは置換されてもよい)、スルホンアミド(−NHS(O)R、ここでRは、例えばアルキル、アリールなどの基であり、これは置換されてもよい)、アルキルスルホニル(置換されてもよい)、アリール(置換されてもよい)、シクロアルキル(置換されてもよい)、アルキルアリール(置換されてもよい)、アルキルヘテロシクリル(置換されてもよい)、アルキルシクロアルキル(置換されてもよい)、及びアリールオキシ。
【0066】
化学的に安定であり、容易に利用可能な出発材料から当該分野で公知の技術によって容易に合成され得る化合物を提供するために、当業者によって、1つ以上のケイ素(Si)原子が1つ以上の炭素原子の代わりに本発明の化合物に組み込まれてもよいことが理解される。炭素及びケイ素は、類似のC元素及びSi元素の結合を比較した場合、その共有結合半径が異なり、結合距離及び立体配置における相違がもたらされる。これらの相違は、炭素に比較した場合、ケイ素含有化合物のサイズ及び形状の微妙な変化をもたらす。当業者は、サイズ及び形状の相違が、力価、溶解度、オフターゲット活性の欠損、パッケージング特性などのわずかな又は劇的な変化をもたらし得るということを理解する(Diass,J.O.ら、Organometallics(2006)5:1188〜1198;Showell,G.A.ら、Bioorganic&Medicinal Chemistry Letters(2006)16:2555〜2558)。
【0067】
立体化学
多くの有機化合物が、平面偏光の平面を回転させる能力を有する光学活性型で存在する。光学的に活性な化合物を記載するには、分子の絶対的な立体配置をその不斉中心に対して示すために、接頭辞D及びL又はR及びSを用いる。この化合物による平面偏光の回転のサインを示すために、接頭辞d及び1又は(+)及び(−)を使用し、(−)又はlは、この化合物が左旋性であることを意味する。(+)又はdの接頭辞の化合物は、右旋性である。所定の化学構造については、これらの化合物は立体異性体と呼ばれ、お互いの重ね合わせることができない鏡像であること以外は同一である。特異的な立体異性体はまた、エナンチオマーと呼ばれてもよく、そしてこのような立体異性体の混合物はしばしば、エナンチオマー混合物と呼ばれる。エナンチオマーの50:50混合物は、ラセミ混合物と呼ばれる。本明細書において記載される多くの化合物は、1つ以上の不斉中心を有し得、従って、異なるエナンチオマー型で存在し得る。所望の場合、不斉炭素は、星印()で指定され得る。不斉炭素に対する結合が本発明の化学式の直線として示される場合、不斉炭素の(R)及び(S)の両方の立体配置、従って両方のエナンチオマー及びその混合物がこの化学式の範囲内に包含されることが理解される。当該技術分野で用いられるように、不斉中心について絶対的な立体配置を特定することが所望するときは、不斉炭素に対する結合の1つが、クサビ(wedge)として示されてもよく(平面の上の原子に対する結合)、そしてもう一方が、一連の又はクサビの短い平行なラインとして示され得る(平面の下の原子に対する結合)。Cahn−Inglod−Prelogシステムを用いて、不斉炭素に対して(R)又は(S)立体配置を割り当ててもよい。
【0068】
本発明のHDACインヒビターが、1つの不斉中心を含む場合、この化合物は、2つのエナンチオマー型で存在し、そして本発明は、エナンチオマー及びエナンチオマー混合物の両方、例えば、ラセミ混合物と呼ばれる特異的な50:50混合物を含む。このエナンチオマーは、当業者に公知の方法、例えば、結晶化によって分離され得るジアステレオマー塩の形成(CRC Handbook of Optical Resolutions via Diastereomeric Salt Formation by David Kozma(CRC Press,2001)を参照のこと);例えば、結晶化、ガス液体又は液体クロマトグラフィーによって分離され得る、ジアステレオマー誘導体又は複合体の形成;1つのエナンチオマーとエナンチオマー特異的試薬との選択的反応、例えば、酵素エステル化;或いは、キラルな環境における、例えば、キラル支持体、例えば、結合したキラルリガンドを有するシリカ、又はキラル溶媒の存在におけるガス液体又は液体クロマトグラフィー;などによって解明され得る。所望のエナンチオマーが、上記の分離手順の1つによって別の化学物質に変換される場合、所望のエナンチオマー型を開放するのに、さらなる工程が必要であることが理解される。或いは、特定のエナンチオマーは、光学活性な試薬、基質、触媒若しくは溶媒を用いる非対称合成によって、又は非対称形質転換によって1つのエナンチオマーを他に変換することによって合成してもよい。
【0069】
本発明の化合物の不斉炭素での特異的な絶対的な立体配置の命名は、この化合物の指定されたエナンチオマー型がエナンチオマー過剰(enantiomeric excess)(ee)であるか、又は言い換えれば、他のエナンチオマーを実質的に含まないということを意味することが理解される。例えば、この化合物の「R」型はこの化合物の「S」型を実質的に含まず、従って、「R」型のエナンチオマー過剰である。逆に、この化合物の「S」型は実質的にこの化合物の「R」型を含まず、従って、「S」型のエナンチオマー過剰である。本明細書において用いる場合、エナンチオマー過剰とは、50%より大きい特定のエナンチオマーの存在である。特定の実施態様では、特異的な絶対的な立体配置が指定される場合、示された化合物のエナンチオマー過剰とは少なくとも約90%である。
【0070】
本発明の化合物が、2つ以上の不斉炭素を有する場合、3つ以上の光学異性体を有してもよく、そしてジアステレオマー型で存在してもよい。例えば、2つの不斉炭素が存在する場合、この化合物は、最大4つの光学異性体及び2対のエナンチオマー((S,S)/(R,R)及び(R,S)/(S,R))を有し得る。この対のエナンチオマー(例えば、(S,S)/(R,R))は、お互いの鏡像立体異性体である。鏡像ではない立体異性体(例えば、(S,S)及び(R,S))はジアステレオマーである。このジアステレオマー対は、当業者に公知の方法、例えば、クロマトグラフィー又は結晶化によって分離されてもよく、そして各々の対のなかの個々のエナンチオマーは、上記のように分離されてもよい。本発明は、このような化合物の各々のジアステレオマー及びその混合物を包含する。
【0071】
本明細書において用いる場合、「1つの、ある、1つ、(a)、(an)」及び「この、その(the)」とは、文脈が明確に他を示すのでない限り、単数及び複数の言及を含む。従って、例えば、「1つの活性剤(an active agent)」又は「1つの薬理学的活性剤(a pharmaceutically active agent)」という言及は、単一の活性剤、同様に、2つ以上の異なる活性剤を組み合わせて包含し、「1つの担体(a carrier)」という言及は、2つ以上の担体の混合物及び単一の担体などを包含する。
【0072】
本発明はまた、本明細書に開示される本発明の化合物のプロドラッグを包含するものとする。任意の化合物のプロドラッグは、周知の薬理学的な方法を用いて調製できる。
【0073】
本発明は、上記の化合物に加えて、このような化合物のホモログ及びアナログの使用を包含するものとする。この文脈では、ホモログは、上記の化合物に対して実質的な構造的類似性を有する分子であって、アナログとは、構造的な類似性にかかわらず実質的な生物学的な類似性を有する分子である。
【0074】
薬学的に許容される塩
本明細書に記載される本発明の化合物は、上記のとおり、それらの薬学的に許容される塩の形態で調製されてもよい。薬学的に許容される塩とは、親化合物の所望の生物学的活性を保持しており、かつ所望されない毒物学的な影響をもたらさない塩である。このような塩の例は、酸付加塩、有機及び無機の酸、例えば、酸付加塩であって、これは、例えば、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、リン酸などであってもよい。薬学的に許容される塩はまた、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム又は水酸化第二鉄)、及び有機塩基(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなど)での処理によって調製されてもよい。薬学的に許容される塩はまた、塩素、臭素及びヨウ素のような陰イオン元素から形成された塩であってもよい。
【0075】
開示される活性化合物は、上記されるとおり、それらの水和物の形態で調製されてもよい。「水和物(hydrate)」という用語は、限定はしないが、半水化物(hemihydrate)、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物などを包含する。
【0076】
開示される活性化合物は、上記されるとおり、任意の有機溶媒又は無機溶媒、例えば、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノール、ケトン、例えば、アセトン、芳香族溶媒など)との溶媒和物の形態で調製されてもよい。
【0077】
開示される活性化合物はまた、任意の固体又は液体の物理的形態で調製されてもよい。例えば、この化合物は、結晶型であっても、非晶型であってもよく、そして任意の粒子サイズを有してもよい。さらに、この化合物の粒子は、微粉化され(micronized)てもよく、又は凝集塊にされても、粒子性の顆粒でも、粉末でも、油状物でも、油状懸濁物でも、又は任意の他の形態の固体若しくは液体の物理的形態であってもよい。
【0078】
本発明の化合物はまた、多形性(polymorphism)を示してもよい。本発明はさらに、本発明の化合物の異なる多形性を包含する。「多形、多形体(polymorph)」という用語は、X線回折、IRスペクトル、融点などのような特定の物理的特性を有する、物質の特定の結晶状態をいう。
【0079】
本明細書において用いる場合、「1つの、ある、1つ、(a)、(an)」及び「この、その(the)」とは、文脈が明確に他を示すのでない限り、単数及び複数の言及を含む。従って、例えば、「1つの活性剤」又は「1つの薬理学的活性剤」という言及は、単一の活性剤、同様に、2つ以上の異なる活性剤を組み合わせて包含し、「1つの担体」という言及は、2つ以上の担体の混合物及び単一の担体などを包含する。
【0080】
治療の方法
本発明はまた、本発明の化合物を用いる方法に関する。本明細書に示されるとおり、本発明の化合物は、がんの治療に有用である。さらに、置換ニコチンアミドが有用であり得る、多種多様な疾患が存在する。非限定的な例は、本明細書に記載されるようなチオレドキシン(TRX)媒介性疾患、及び本明細書に記載されるような中枢神経系(CNS)の疾患である。
【0081】
1.がんの治療
本明細書において示されるとおり、本発明の化合物は、がんの治療に有用である。従って、一実施態様では、本発明は、治療の必要な患者のがんを治療する方法であって、本発明の化合物の治療上有効な量を、この患者に投与することを包含する方法に関する。
【0082】
「がん(cancer)」という用語は、新生細胞の増殖によって生じる任意のがん、例えば、固形腫瘍、新生物、癌腫、肉腫、白血病、リンパ腫などをいう。詳細には、本発明の化合物、組成物及び方法によって治療され得るがんとしては、限定はしないが、以下が挙げられる:心臓の:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、胎児型性横紋筋肉腫、脂肪肉腫)粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫及び奇形腫;:気管支癌(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大型細胞、腺癌)、肺胞性(細気管支癌)、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、中皮腫;胃腸:食道(扁平上皮癌、悪性腺腫、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(導管腺癌、膵島細胞腺腫、グルカゴン産生腫瘍、ガストリノーマ産生腫瘍、カルチノイド腫瘍、ビポーマ(vipoma))、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経繊維腫、線維腫)、大腸(悪性腺腫、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);尿生殖路:腎臓(悪性腺腫、ウィルムス腫瘍[腎芽腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱及び尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胎生期癌、奇形癌、絨毛膜癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝細胞癌(肝細胞癌腫)、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性の線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性の巨細胞腫脊索腫、骨軟骨腫(osteochronfroma)(骨軟骨性外骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫(chondromyxofibroma)、類骨骨腫、及び巨細胞腫瘍;神経系:頭蓋骨(骨腫瘍、血管腫、肉芽腫、黄色種、変形性骨炎)、髄膜(髄腹腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽細胞腫、神経膠腫、上衣細胞腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性膠芽腫、乏突起細胞腫、シュワン細胞腫、網膜細胞芽腫、先天性腫瘍)、脊椎神経繊維腫、髄腹腫、神経膠腫、肉腫);婦人科医学的:子宮(子宮内膜癌)、子宮頸部(頸癌、前腫瘍子宮頸管異形成)、卵巣、(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、ムチン性嚢胞腺癌、未分類癌腫]、顆粒膜−莢膜細胞腫瘍(granulosa thecal cell tumors)、セルトリ−ライディヒ(Sertoli−Leydig)細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、ファロピウス管(癌腫);血液学的:血液(骨髄性白血病[急性及び慢性]、急性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];皮膚:悪性の黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、異形成母斑(moles dysplastic nevi)、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;並びに副腎:神経芽細胞腫。従って「がん細胞(cancerous cell)」という用語は、本明細書において用いられる場合、上記で特定された状態のいずれか1つに罹患している細胞を包含する。
【0083】
一実施態様では、本発明の化合物は、以下を包含するがこれに限定されないがんの治療に有用である:急性白血病及び慢性白血病を含む、白血病、例えば、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)及びヘアリー細胞白血病;リンパ腫、例えば、皮膚T−細胞リンパ腫(CTCL)、非皮膚抹消T細胞リンパ腫、ヒトT細胞リンパ向性ウイルス(HTLV)に関連するリンパ腫、例えば、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、ホジキン病及び非ホジキンリンパ腫、大細胞リンパ腫、びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL);バーキットリンパ腫;中皮腫、中枢神経系(CNS)原発リンパ腫;多発性骨髄腫;小児固形腫瘍、例えば、脳腫瘍、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、骨腫瘍及び軟部組織の肉腫、成人の一般的固形腫瘍、例えば、頭頸部癌(例えば、口腔、喉頭及び食道)、尿生殖器癌(例えば、前立腺、膀胱、腎臓、子宮、卵巣、精巣、直腸及び結腸)、肺癌、乳癌、前立腺癌、黒色腫及び他の皮膚癌、胃癌、脳腫瘍、肝臓癌及び甲状腺癌。
【0084】
2.チオレドキシン(TRX)媒介性疾患の治療
別の実施態様では、本発明の化合物は、その必要な患者においてチオレドキシン(TRX)媒介性の疾患又は障害を治療する方法で用いられ、この方法は、この患者に対して、本発明の1つ以上の化合物の治療上有効な量を投与する工程を包含する。
【0085】
TRX媒介性疾患の例としては、限定はしないが、急性及び慢性の炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、酸化的ストレスに関連する疾患及び細胞の過剰増殖によって特徴付けられる疾患が挙げられる。
【0086】
非限定的な例は、関節リウマチ(RA)及び乾癬性関節炎を含む関節の炎症状態;炎症性腸疾患、例えば、クローン病及び潰瘍性大腸炎;脊椎関節症;強皮症;乾癬(T細胞媒介性乾癬を含む)及び炎症性皮膚疾患、例えば、皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、蕁麻疹;脈管炎(血管炎)(例えば、壊死性、皮膚の及び過敏性の血管炎);好酸性筋炎、好酸球性筋膜炎;皮膚又は器官の白血球浸潤を伴うがん、脳虚血(例えば、各々が神経変性をもたらし得る、外傷、てんかん、出血又は脳卒中の結果としての脳傷害)を含む虚血性傷害;HIV、心不全、慢性、急性又は悪性肝疾患、自己免疫甲状腺炎;全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、肺疾患(例えば、ARDS);急性膵炎;筋萎縮性側索硬化症(ALS);アルツハイマー病;悪液質/拒食症;喘息;アテローム性動脈硬化症;慢性疲労症候群、発熱;糖尿病(例えば、インスリン糖尿病又は若年発症糖尿病);糸球体腎炎;対宿主性移植片反応(例えば、移植における);出血性ショック;痛覚過敏;炎症性腸疾患;多発性硬化症;筋障害(ミオパチー)(例えば、筋タンパク質代謝、特に、敗血症における);骨粗鬆症;パーキンソン病;疼痛;早期陣痛(pre−term labor)(陣痛);乾癬;再潅流傷害;サイトカイン誘発性毒性(例えば、敗血性ショック、エンドトキシンショック);放射線治療からの副作用、側頭下顎関節疾患、腫瘍転移;又は、緊張から生じる炎症状態、捻挫、軟骨損傷、外傷、例えば、やけど、整形外科手術、感染又は他の疾患の過程である。アレルギー性の疾患及び状態としては、限定はしないが、呼吸器のアレルギー性疾患、例えば、喘息、アレルギー性鼻炎、過敏症肺疾患、過敏性肺炎、好酸球性肺炎(例えば、レフラー症候群、慢性好酸球性肺炎)、遅延型過敏症、間質性肺炎(ILD)(例えば、特発性肺線維症、又はリウマチ様関節炎、全身性紅斑性狼瘡、強直性脊椎炎、全身性硬化、シェーグレン症候群、多発筋炎若しくは皮膚筋炎に関連しているILD);全身性アナフィラキシー又は過敏性応答、薬物アレルギー(例えば、ペニシリン、セファロスポリンに対する)、昆虫穿刺アレルギーなどが挙げられる。
【0087】
3.中枢神経系(CNS)の疾患の治療
別の実施態様では、本発明の化合物は、その必要な患者において中枢神経系の疾患を治療する方法で用いられ、この方法は、この患者に対して、本発明の任意の1つ以上の化合物の治療上有効な量を投与することを包含する。
【0088】
特定の実施態様では、CNS疾患は、神経変性疾患である。さらなる実施態様では、この神経変性疾患は、遺伝性神経変性疾患、例えば、ポリグルタミン伸長疾患である遺伝性神経変性疾患である。一般には、神経変性疾患は、以下のように分類され得る:
【0089】
I.他の重大な神経学的徴候の非存在下における進行性の認知症によって特徴付けられる障害、例えば、アルツハイマー病;アルツハイマー型の老年性認知症;及びピック病(肺葉萎縮症)。
【0090】
II.進行性認知症と、他の主な神経学的異常、例えば、A)成人で主に出現する症候群(例えば、ハンチントン病、認知症と運動失調及び/又はパーキンソン病の徴候とを組み合わせる多系統萎縮症、進行性核上麻痺(Steel−Richardson−Olszewski)、びまん性レヴィー小体疾患、及び大脳皮質基底核変性症)、並びにB)小児又は若年成人で主に出現する症候群(例えば、ハレルフォルデン・スパッツ病及び進行性家族性ミオクローヌス癲癇)との組み合わせの症候群。
【0091】
III.姿勢及び動きの異常を徐々に発症する症候群、例えば、振戦麻痺(パーキンソン病)、線条体黒質変性症、進行性核上麻痺、捻転ジストニア(捻転性筋緊張異常症)(捻転スパズム(torsion spasm);変形性筋失調症)、痙性斜頸及び他の運動障害(dyskinesis)、家族性振戦及びジル・ド・ラ・トゥレット症候群(Gilles de la Tourette syndrome)。
【0092】
IV.進行性失調症の症候群、例えば、小脳変性症(例えば、小脳皮質変性症及びオリーブ橋小脳萎縮症(OPCA));及び脊髄小脳変性症(フリートライヒ運動失調及び関連の症候群)。
【0093】
V.中枢自律神経系不全の症候群(シャイ・ドレーガー症候群)。
【0094】
VI.感覚的変化のない筋の弱化及び消耗の症候群(運動神経疾患、例えば、筋萎縮性側索硬化症、脊髄性筋萎縮症(例えば、乳児脊髄性筋萎縮症(ウェルドニッヒ・ホフマン病(Werdnig−Hoffman)、若年性脊髄性筋萎縮症(ヴォールファルト・クーゲルベルク・ヴェランデル(Wohlfart−Kugelberg−Welander))、及び他の形態の家族性脊髄性筋萎縮)、原発性側索硬化症、及び遺伝性痙性麻痺。
【0095】
VII.感覚的変化を伴う筋の弱化及び消耗を組み合わせる症候群(進行性神経性筋萎縮;慢性家族性多発神経障害)、例えば、腓骨筋萎縮、(シャルコー−マリー−ツース)、肥厚性間質性多発神経障害(Dejerine−Sottas)、及び雑多な形態の慢性進行性神経障害。
【0096】
VIII.進行性の視力喪失の症候群、例えば、網膜の色素変性症(網膜色素変性症)及び遺伝性視神経萎縮症(レーバー病)。
【0097】
定義
「治療する(treating)」という用語は、本発明に関する種々の文法的形態において、疾患状態、疾患進行、疾患原因因子(例えば、細菌又はウイルス)、又は他の異常な状態の悪影響を、予防(すなわち、化学防御(chemoprevention))、治癒、逆転、減弱、軽減、最小化、抑制又は停止させることを指す。例えば、治療は、疾患の症状(すなわち、全ての症状は必要ではない)を軽減させること、又は疾患の進行を減弱させることを包含し得る。本発明の方法のいくつかは、病原因子の物理的な除去を包含するので、当業者は、それらが、本発明の化合物が病原因子に対する曝露の前に、又はそれと同時に投与される状況(予防的治療)、及び本発明の化合物が、病原因子に対する曝露の後投与される(かなり後でさえ)状況において、等しく有効であることを認識する。
【0098】
がんの治療とは、本明細書において用いられる場合、がん転移を含むがんの進行を部分的に又は全体的に阻害、遅延又は予防すること;がん転移を含むがんの再発を阻害、遅延又は予防すること;或いは哺乳動物、例えば、ヒトでのがんの発生又は発達を予防すること(化学防御)をいう。
【0099】
本明細書において用いる場合、「治療上有効な量(therapeutically effective amount)」という用語は、所望の治療効果又は生物学的効果を達成する任意の量を包含するものとする。治療的な効果は、治療されている疾患若しくは障害、又は所望の生物学的効果に依存する。治療的な効果は、そのようなものとして、疾患若しくは障害に関連する重篤な症候群における軽減であっても、及び/又は疾患の進行の阻害(部分的又は完全)であってもよい。治療的な応答を誘発するのに必要な量は、患者の年齢、健康状態、サイズ及び性別に基づいて決定され得る。最適量はまた、治療に対する患者の応答のモニタリングに基づいて決定され得る。
【0100】
本発明では、化合物ががんを治療又は予防するために用いられる場合、所望の生物学的応答とは、哺乳動物、例えば、ヒトにおける、がん転移を含むがんの進行の部分的又は全体的な阻害、遅延又は予防;がん転移を含むがんの再発の阻害、遅延又は予防;或いはがんの発現又は発達の予防(化学防御(chemoprevention))である。
【0101】
さらに、本発明では、化合物がチオレドキシン(TRX)−媒介性の疾患及び状態を治療又は予防するために用いられる場合、治療上有効な量とは、所望の治療効果を誘発するための治療の必要な患者において、TRXの生理学的に適切なレベルを調節、例えば、増大、減少又は維持する量である。この治療効果は、特定のTRX媒介性疾患又は治療されている状態に依存する。この治療的な効果は、そのようなものとして疾患若しくは障害に関連する重篤な症状の軽減であっても、及び/又は疾患の進行の阻害(部分的又は完全)であってもよい。
【0102】
さらに、本発明では、化合物が中枢神経系(CNS)の疾患又は障害を治療及び/又は予防するために用いられる場合、治療上有効な量は、治療されている特定の疾患又は障害に依存する。治療的な効果は、そのようなものとして疾患若しくは障害に関連する重篤な症状の軽減であっても、及び/又は疾患若しくは障害の進行の阻害(部分的又は完全)であってもよい。
【0103】
さらに、治療上有効な量とは、ヒストン脱アセチル化酵素を阻害する量であってもよい。
【0104】
さらに、治療上有効な量とは、新生細胞の最終分化、細胞増殖停止、及び/又はアポトーシスを選択的に誘導する量であっても、或いは、腫瘍細胞の最終分化を誘導する量であってもよい。
【0105】
本発明の方法は、がんを有するヒト患者の治療又は化学予防を意図する。しかし、この方法は、他の患者でのがんの治療に有効である可能性も高い。「患者(subject)」とは、本明細書において用いる場合、限定はしないが、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ(cows)、ヒツジ(sheep)、ヤギ(goats)、ウマ(horses)、ブタ(pigs)、イヌ(dogs)、ネコ(cats)、ウサギ、モルモット、ラット、マウス又は他のウシ科(bovine)、ヒツジ類(ovine)、ウマ科(equine)、イヌ科、ネコ科(feline)、げっ歯類又はネズミ科(murine)の種を含む哺乳動物のような動物をいう。
【0106】
ヒストン脱アセチル化酵素及びヒストン脱アセチル化酵素のインヒビター
本明細書において示されるとおり、本発明の化合物は、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)インヒビターとして改善された活性を示す。従って、一実施態様では、本発明は、ヒストン脱アセチル化酵素と、本発明の一種以上の化合物の有効量との接触を包含する、ヒストン脱アセチル化酵素の活性を阻害する方法に関する。
【0107】
ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)とは、その用語が本明細書において用いられる場合、ヌクレオソームのコアのヒストンのアミノ末端テールにおけるリジン残基からのアセチル基の除去を触媒する酵素である。HDACは、そのようなものとしてヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)と一緒になって、ヒストンのアセチル化状態を調節する。ヒストンのアセチル化は、遺伝子発現に影響し、そしてHDACのインヒビター、例えば、ヒドロキサム酸ベースのハイブリッド極性化合物スベロラニリドヒドロキサム酸(suberoylanilide hydroxamine acid)(SAHA)は、形質転換細胞の増殖停止、分化及び/又はアポトーシスをインビトロで誘導し、かつ腫瘍増殖をインビボで阻害する。HDACは、構造的なホモロジーに基づいて3つのクラスに分類されてもよい。クラスIのHDAC(HDAC1、2、3及び8)は、酵母のRPD3タンパク質に対する類似性を保有し、核に位置して、転写のコ・リプレッサー(co−repressor)に関連する複合体で見出される。クラスIIのHDAC(HDAC4、5、6、7及び9)は、酵母HDA1タンパク質に類似であって、核及び細胞質の細胞下の両方に局在する。クラスI及びIIの両方のHDACは、SAHAのようなヒドロキサム酸に基づくHDACインヒビターによって阻害される。クラスIIIのHDACは、酵母SIR2タンパク質に関連する構造的に別個のクラスのNAD依存性酵素を形成し、そしてヒドロキサム酸に基づくHDACインヒビターによって阻害されない。
【0108】
ヒストン脱アセチル化酵素インヒビター又はHDACインヒビターとは、その用語が、本明細書において用いられる場合、ヒストンの脱アセチル化を、インビボ、インビトロ又はその両方で阻害し得る化合物である。HDACインヒビターは、そのようなものとして少なくとも一種のヒストン脱アセチル化酵素の活性を阻害する。少なくとも一種のヒストンの脱アセチル化を阻害する結果として、アセチル化ヒストンの増大が生じ、そしてアセチル化ヒストンの蓄積は、HDACインヒビターの活性を評価するための適切な生物学的マーカーである。従って、アセチル化ヒストンの蓄積をアッセイし得る手順は、目的の化合物のHDAC阻害性活性を決定するために用いられ得る。ヒストン脱アセチル化酵素活性を阻害し得る化合物はまた、他の基質に結合し得、そのようなものとして、酵素のような他の生物学的に活性な分子を阻害し得ることが理解される。本発明の化合物は、上記の任意のヒストン脱アセチル化酵素、又は任意の他のヒストン脱アセチル化酵素を阻害し得ることも理解されるべきである。
【0109】
例えば、HDACインヒビターを投与されている患者では、末梢単核球における、そしてHDACインヒビターで治療される組織における、アセチル化ヒストンの蓄積が、適切なコントロールに対して決定され得る。
【0110】
特定の化合物のHDAC阻害性活性は、例えば、少なくとも一種のヒストン脱アセチル化酵素の阻害を示す酵素アッセイを用いてインビトロで決定され得る。さらに、特定の組成物で治療される細胞でのアセチル化ヒストンの蓄積の決定によって、化合物のHDAC阻害性活性を決定し得る。
【0111】
アセチル化ヒストンの蓄積のアッセイは、文献中で周知である。例えば、Marks,P.A.ら、J.Natl.Cancer Inst.,92:1210〜1215,2000,Butler,L.M.ら,Cancer Res.60:5165〜5170(2000),Richon,V.M.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,95:3003〜3007,1998,及びYoshida,M.ら,J.Biol.Chem.,265:17174〜17179,1990を参照のこと。
【0112】
例えば、HDACインヒビター化合物の活性を決定する酵素アッセイは、以下のように行われてもよい。要するに、アフィニティー精製ヒトエピトープタグ化(Flag)HDAC1に対するHDACインヒビター化合物の効果は、約20分間、氷上での基質の非存在下で酵素調製物を、示された量のインヒビター化合物とともに、インキュベートすることによってアッセイしてもよい。基質([H]アセチル−標識マウス赤白血病細胞由来ヒストン)を添加し、そしてそのサンプルを、30μLの総容積中で37℃で20分間インキュベートしてもよい。次いで、その反応を停止して、遊離されたアセテートを抽出してもよく、そして放射能放出の量は、シンチレーションカウンティングによって決定してもよい。HDACインヒビター化合物の活性を決定するために有用な別のアッセイは、BIOMOL Research Laboratories,Inc.,Plymouth Meeting,PAから入手可能な「HDAC Fluorescent Activity Assay;Drug Discovery Kit−AK−500」である。
【0113】
インビボ研究は、以下のとおり行なってもよい。動物、例えば、マウスに、HDACインヒビター化合物を腹腔内に注射してもよい。選択された組織、例えば、脳、脾臓、肝臓などは、投与後に予め決定された時間で、単離してもよい。ヒストンは、本質的にYoshidaら、J.Biol.Chem.265:17174〜17179,1990に記載されるとおり、組織から単離してもよい。等量のヒストン(約1μg)を、15%のSDS−ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動してもよく、そしてHybond−Pフィルター(Amershamから入手可能)に転写してもよい。フィルターは、3%のミルクでブロックしてもよく、そしてウサギ精製ポリクローナル抗アセチル化ヒストンH4抗体(αAc−H4)及び抗アセチル化ヒストンH3抗体(αAc−H3)(Upstate Biotechnology,Inc.)を用いてプローブしてもよい。アセチル化ヒストンのレベルは、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体化ヤギ抗−ウサギ抗体(1:5000)及びSuperSignal化学発光基質(Pierce)を用いて可視化してもよい。ヒストンタンパク質についてのローディングのコントロールとして、平行なゲルを泳動して、クマーシーブルー(Coomassie Blue)(CB)で染色してもよい。
【0114】
さらに、ヒドロキサム酸に基づくHDACインヒビターは、p21WAF1遺伝子の発現を上方制御することが示されている。p21WAF1タンパク質は、標準的な方法を用いて、種々の形質転換細胞においてHDACインヒビターとの2時間内の培養で誘導される。p21WAF1遺伝子の誘導は、この遺伝子のクロマチン領域でのアセチル化ヒストンの蓄積に関連する。従って、p21WAF1の誘導は、形質転換細胞においてHDACインヒビターによって生じるG1細胞周期停止に関与すると認識され得る。
【0115】
併用療法
本発明の化合物は、単独で、又は治療されている疾患若しくは障害に適切な他の治療と組み合わせて、投与されてもよい。別々の投薬処方物が用いられる場合、本発明の化合物及び他の治療剤が、本質的に同じ時に(同時に)、又は別々の時差時間で(連続して)投与されてもよい。この薬学的な組み合わせは、これらのレジメン全てを含むことが理解される。これらの種々の方法での投与は、本発明の化合物及び他の治療剤の有益な治療効果が、実質的に同時に患者によって現実化される限り、本発明に適切である。一実施態様では、このような有益な効果は、各々の活性剤の標的血液レベル濃度が、実質的に同じ時間維持される場合に、達成される。
【0116】
本発明の化合物はまた、公知の治療剤及び抗癌剤と組み合わせて有用であり得る。例えば、本発明の化合物は公知の抗癌剤と組み合わせて有用である。現在開示される化合物と他の抗癌剤又は化学療法剤との組み合わせは、本発明の範囲内である。このような剤の例は、Cancer Principles and Practice of Oncology by V.T.Devita及びS.Hellman(編者),第6版(2001年2月15日),Lippincott Williams & Wilkins Publishersに見出され得る。当業者は、薬剤のどの組み合わせが有用であるかを、関与する薬物及びがんの特定の特徴に基づいて識別可能である。このような抗癌剤としては、限定はしないが、以下が挙げられる:エストロゲンレセプターモジュレータ(estrogen receptor modulators)、アンドロゲンレセプターモジュレータ(androgen receptor modulators)、レチノイドレセプターモジュレータ(retinoid receptor modulators)、細胞障害剤/細胞増殖抑制剤(cytotoxic/cytostatic agents)、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼインヒビター、HMG−CoA還元酵素インヒビター及び他の血管形成インヒビター、細胞増殖のインヒビター、及び生存シグナル伝達、アポトーシス誘導剤、細胞周期チエックポイント干渉剤、受容体レセプターチロシンキナーゼ(receptor tyrosine kinases)(RTK)干渉剤及びがんワクチン。本発明の化合物は、放射線療法と同時投与される場合、特に有用である。
【0117】
一実施態様では、本発明の化合物はまた、以下を含む公知の抗癌剤と組み合わせて有用であり得る:エストロゲンレセプターモジュレータ、アンドロゲンレセプターモジュレータ、レチノイドレセプターモジュレータ、細胞傷害剤、抗増殖性剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼインヒビター、HMG−CoA還元酵素インヒビター、HIVプロテアーゼインヒビター、逆転写酵素インヒビター、及び他の血管形成インヒビター。
【0118】
「エストロゲンレセプターモジュレータ(estrogen receptor modulators)」とは、機序にかかわらず、レセプターに対するエストロゲンの結合を妨害するか又は阻害する化合物をいう。エストロゲンレセプターモジュレータの例としては、限定はしないが、ジエチルスチベストラール、タモキシフェン、ラロキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルオキシメステロン(fluoxymestero)、ルフルベストラント(lfulvestrant)、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−フェニル−2,2−ジメチルプロパノエート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニル−ヒドラゾン及びSH646が挙げられる。
【0119】
他のホルモン剤としては以下が挙げられる:アロマターゼインヒビター(例えば、アミノグルテチミド、アナストロゾール及びテトラゾール)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(luteinizing hormone release hormone)(LHRH)アナログ、ケトコナゾール、酢酸ゴセレリン、ロイプロリド、酢酸メゲストロール及びミフェプリストン(mifepristone)。
【0120】
「アンドロゲンレセプターモジュレータ(androgen receptor modulators)」とは、機序にかかわらず、レセプターに対するアンドロゲンの結合を妨害するか又は阻害する化合物をいう。アンドロゲンレセプターモジュレータの例としては、フィナステライド、及び他の5α−リダクターゼインヒビター、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾール及び酢酸アビラテロン(abiraterone acetate)が挙げられる。
【0121】
「レチノイドレセプターモジュレータ(retinoid receptor modulators)」とは、機序にかかわらず、レセプターに対するレチノイドの結合を妨害するか又は阻害する化合物をいう。このようなレチノイドレセプターモジュレータの例としては、ベキサロテン、トレチノイン、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチナミド、及びN−4−カルボキシフェニルレチナミドが挙げられる。
【0122】
「細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤(cytotoxic/cytostatic agents)」とは、細胞の機能を直接妨害することによって主に細胞死を生じるか若しくは細胞増殖を阻害するか、又は細胞の有糸分裂を阻害するか若しくは妨害する化合物をいい、これには、アルキル化剤、腫瘍壊死剤、インターカレーター、低酸素活性化可能化合物(hypoxia activatable compounds)、微小管インヒビター/微小管安定化剤、有糸分裂キネシンのインヒビター(inhibitors of mitotic kinesins)、ヒストン脱アセチル化酵素のインヒビター、細胞分裂進行に関与するキナーゼのインヒビター、代謝拮抗剤;生物学的応答修飾剤;ホルモン/抗ホルモン療法剤、造血性増殖因子、モノクローナル抗体標的治療剤、トポイソメラーゼインヒビター、プロテアソームインヒビター及びユビキチンリガーゼインヒビターが挙げられる。
【0123】
細胞傷害剤の例としては、限定はしないが、セルテネフ(sertenef)、カケクチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イフォスファミド、メクロレタミン、メルファラン、ウラシルマスタード(uracil mustard)、チオテパ、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、タソネルミン(tasonermin)、ロニダミン、カルボプラチン(carboplatin)、アルトレタミン(altretamine)、デカルバジン、プロカルバジン、プレドニムスチン、ジブロモダルシトール、ラニムスチン、フォテムスチン(fotemustine)、ネダプラチン(nedaplatin)、オキサリプラチン、テモゾロミド、ヘプタプラチン、エストラムスチン、イムプロスルファントシレート(improsulfan tosilate)、トロフォスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム(dibrospidium chloride)、プミテパ(pumitepa)、ロバプラチン(lobaplatin)、サトラプラチン(satraplatin)、プロフィロマイシン(profiromycin)、シスプラチン、イロフルベン、ドキシフォスファミド、シス−アミンジクロロ(2−メチル−ピリジン)プラチナム、ベンジルグアニン、グルフォスファミド、GPX100、(トランス、トランス、トランス)−ビス−μ−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−μ−[ジアミン−白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]テトラクロライド、ジアリジジニルスペルミン、三酸化ヒ素(亜ヒ酸)、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、アントラセンジオン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン、プリカトマイシン(plicatomycin)、ビサントレン(bisantrene)、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド、バルビシン、アムルビシン、アンチネオプラストン、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アンナマイシン、ガラルビシン、エリナフィド、MEN10755、及び4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニル−ダウノルビシン(WO 00/50032を参照のこと)が挙げられる。
【0124】
低酸素活性化可能化合物の例はチラパザミン(tirapazamine)である。
【0125】
プロテアソームインヒビターの例としては、限定はしないが、ラクタシスチン(lactacystin)及びボルテゾミブ(bortezomib)が挙げられる。
【0126】
微小管インヒビター/微小管安定化剤の例としては、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビンゾリジン、ビノレルビン、硫酸ビンデシン、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン、ポドフィロトキシン(例えば、エトポシド(VP−16)及びテニポシド(VM−26))、パクリタキセル、ドセタキセル、リゾキシン(rhizoxin)、ドラスタチン、ミボブリンイセチオネート(mivobulin isethionate)、アウリスタチン(auristatin)、セマドチン(cemadotin)、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン(vinflunine)、クリプトフィシン(cryptophycin)、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258、エポチロン(epothilones)(例えば、米国特許第6,284,781号及び同第6,288,237号を参照のこと)及びBMS188797が挙げられる。
【0127】
トポイソメラーゼインヒビターのいくつかの例は、トポテカン、ハイカプタミン(hycaptamine)、イリノテカン、ルビテカン、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−エキソ−ベンジリデン−チュートリウシン、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパンアミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H、12H−ベンゾ[デ]ピラノ[3’,4’:b,7]−インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ルルトテカン(lurtotecan)、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、リン酸エトポシド、テニポシド、ソブゾキサン(sobuzoxane)、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシ−エトポシド、GL331,N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクリン(asulacrine)、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロオキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]−フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソギノリン−5,10−ジオン,5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−de]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オン及びディメスナ(dimesna)である。
【0128】
有糸分裂キネシン、及び詳細にはヒト有糸分裂キネシンKSPのインヒビターの例は、PCT国際公開番号WO01/30768、WO01/98278、WO03/050,064、WO03/050,122、WO03/049,527、WO03/049,679、WO03/049,678及びWO03/39460、並びに係属中のPCT出願番号、US03/06403(2003年、3月4日出願)、米国特許出願番号03/15861(2003年5月19日出願)、同第03/15810号(2003年5月19日出願)、同第03/18482号(2003年6月12日出願)及び同第03/18694号(2003年6月12日出願)に記載される。ある実施態様では、有糸分裂キネシンのインヒビターとしては、限定はしないが、KSPのインヒビター、MKLP1のインヒビター、CENP−Eのインヒビター、MCAKのインヒビター、Kif14のインヒビター、Mphosph1のインヒビター及びRab6−KIFLのインヒビターが挙げられる。
【0129】
「ヒストン脱アセチル化酵素インヒビター(histone deacetylase inhibitors)」の例としては限定はしないが、SAHA、TSA、オキサムフラチン、PXD101、MG98、バルプロ酸及びスクリプタイド(scriptaid)が挙げられる。他のヒストン脱アセチル化酵素インヒビターに対するさらなる言及は、以下の論文に見出され得る;Miller,T.A.ら、J.Med.Chem.46(24):5097〜5116(2003)。
【0130】
「有糸分裂進行に関与するキナーゼのインヒビター(inhibitors of kinases involved in mitotic progression)」としては、限定はしないが、オーロラ(aurora)キナーゼのインヒビター、ポロ様キナーゼPolo−like kinases)のインヒビター(PLK;詳細にはPLK−1のインヒビター)、bub−1のインヒビター及びbub−R1のインヒビターが挙げられる。「オーロラキナーゼインヒビター」の例はVX−680である。
【0131】
「抗増殖性剤(antiproliferative agents)」としては、アンチセンスRNA及びDNAオリゴヌクレオチド、例えば、G3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231、及びINX3001、並びに代謝拮抗剤、例えば、エノシタビン、カルモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキサート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビンオクフォスファート、フォステアビンナトリウム水和物、ラルチトレキセド(raltitrexed)、パルチトレキシド(paltitrexid)、エミテフール、チアゾフリン、デシタビン、ノルアトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノ−ヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクテイナスシジン(ecteinascidin)、トロキサシタビン(troxacitabine)、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b][1,4]チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、フロクスウリジン、メトトレキセート、ロイコボリン、ヒドロキシウレア、チオグアニン(6−TG)、メルカプトプリン(6−MP)、シタラビン、ペントスタチン、リン酸フルダラビン、クラドリビン(cladribine)(2−CDA)、アスパラギナーゼ、ゲムシタビン、アラノシン、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)−テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワイノソニン(swainsonine)、ロメトレキソール(lometrexol)、デキスラゾキサン(dexrazoxane)、メチオニナーゼ、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシン及び3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾンが挙げられる。
【0132】
モノクローナル抗体標的治療剤の例としては、がん細胞特異的又は標的細胞特異的なモノクローナル抗体に対して結合した細胞傷害剤又は放射性同位体を有する治療剤が挙げられる。例はベクサール(Bexxar)である。
【0133】
「HMG−CoA還元酵素インヒビター(reductase inhibitors)」とは、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタアリール−CoA還元酵素のインヒビターをいう。用いられ得るHMG−CoA還元酵素インヒビターの例としては、限定はしないが、ロバスタチン(MEVACOR(登録商標);米国特許第4,231,938号、同第4,294,926及び同第4,319,039号)を参照のこと)、シンバスタチン(ZOCOR(登録商標);米国特許第4,444,784号、同第4,820,850号、及び同第4,916,239号を参照のこと)、プラバスタチン(PRAVACHOL(登録商標);米国特許第4,346,227号、同第4,537,859号、同第4,410,629号、同第5,030,447号、及び同第5,180,589号を参照のこと)、フルバスタチン(LESCOL(登録商標);米国特許第5,354,772号、同第4,911,165号、同第4,929,437号、同第5,189,164号、同第5,118,853号、同第5,290,946号、及び同第5,356,896号を参照のこと)並びにアトルバスタチン(atorvastatin)(LIPITOR(登録商標);米国特許第5,273,995号、同第4,681,893号、同第5,489,691号、及び同第5,342,952号を参照のこと)が挙げられる。本発明の方法で用いられ得る、これらの及びさらなるHMG−CoA還元酵素インヒビターの構造式は、M.Yalpani、「Cholesterol Lowering Drugs」、Chemistry & Industry,第85〜89頁(1996年2月5日)の第87頁、並びに米国特許第4,782,084号、及び同第4,885,314号に記載される。HMG−CoA還元酵素インヒビターという用語は、本明細書において用いる場合、全ての薬学的に許容されるラクトン及び開環酸型(open−acid forms)(すなわち、ラクトン環が開口されて遊離の酸を形成する)、並びにHMG−CoA還元酵素阻害性活性を有する化合物の塩及びエステル型を包含し、従って、このような塩、エステル、開環酸及びラクトン型の使用は、本発明の範囲内に包含される。
【0134】
「プレニル−タンパク質転移酵素インヒビター(prenyl−protein transferase inhibitor)」とは、ファルネシル−タンパク質転移酵素(FPTase)、ゲラニルゲラニル−タンパク質転移酵素I型(GGPTase−I)、及びゲラニルゲラニル−タンパク質転移酵素II型(GGPTase−II、Rab GGPTaseとも呼ばれる)を含む、プレニル−タンパク質転移酵素のうち任意の1つ又は任意の組み合わせを阻害する化合物をいう。
【0135】
プレニル−タンパク質転移酵素インヒビターの例は、以下の刊行物及び特許に見出され得る:WO96/30343、WO97/18813、WO97/21701、WO97/23478、WO97/38665、WO98/28980、WO98/29119、WO95/32987,米国特許第5,420,245号、米国特許第5,523,430号、米国特許第5,532,359号、米国特許第5,510,510号、米国特許第5,589,485号、米国特許第5,602,098号、欧州特許公開第0 618 221号、欧州特許公開第0 675 112号,欧州特許公開第0 604 181号、欧州特許公開第0 696 593号、WO94/19357、WO95/08542、WO95/11917、WO95/12612、WO95/12572、WO95/10514,米国特許第5,661,152号、WO95/10515、WO95/10516、WO95/24612、WO95/34535、WO95/25086、WO96/05529、WO96/06138、WO96/06193、WO96/16443,WO96/21701、WO96/21456、WO96/22278、WO96/24611、WO96/24612,WO96/05168、WO96/05169、WO96/00736,米国特許第5,571,792号、WO96/17861、WO96/33159、WO96/34850、WO96/34851、WO96/30017,WO96/30018、WO96/30362、WO96/30363、WO96/31111、WO96/31477、WO96/31478、WO96/31501、WO97/00252、WO97/03047、WO97/03050,WO97/04785、WO97/02920、WO97/17070、WO97/23478、WO97/26246,WO97/30053、WO97/44350、WO98/02436及び米国特許第5,532,359号。血管形成に対するプレニル−タンパク質転移酵素インヒビターの役割の例については、European J.of Cancer,Vol.35,No.9,pp.1394〜1401(1999)を参照のこと。
【0136】
「血管形成インヒビター(angiogenesis inhibitors)」とは、機序にかかわらず、新規な血管の形成を阻害する化合物をいう。血管形成インヒビターの例としては、限定はしないが、チロシンキナーゼインヒビター、例えば、チロシンキナーゼレセプターFlt−1(VEGFR1)及びFlk−1/KDR(VEGFR2)のインヒビター、表皮由来、線維芽細胞由来、又は血小板由来の増殖因子のインヒビター、MMP(マトリクス・メタロプロテアーゼ)インヒビター、インテグリンブロッカー、インターフェロン−α、インターロイキン−12、エリスロポエチン(エポイエチン−α)、顆粒球−CSF(フィルグラスチン(filgrastin))、顆粒球、マクロファージ−CSF(サルグラモスチム(sargramostim))、ペントサン・ポリサルフェート(pentosan polysulfate)、アスピリン及びイブプロフェンのような非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を含むシクロオキシゲナーゼインヒビター、並びにセレコキシブ及びロフェコキシブのような選択的なシクロオキシ−ゲナーゼ−2インヒビター(PNAS,第89巻,7384頁(1992);JNCI,第69巻,475頁(1982);Arch.Opthalmol.,第108巻,573頁(1990);Anat.Rec.,第238巻,68頁(1994);FEBS Letters,第372巻,83頁(1995);Clin,Orthop.第313巻,76頁(1995);J.Mol.Endocrinol.,第16巻,107頁(1996);Jpn.J.Pharmacol.,第75巻,105頁(1997);Cancer Res.,第57巻,1625頁(1997);Cell,第93巻,705頁(1998);Intl.J.Mol.Med.,第2巻,715頁(1998);J.Biol.Chem.,第274巻,9116頁(1999))、ステロイド性抗炎症薬(例えば、コルチコステロイド、鉱質コルチコイド、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニソロン、メチルプレド、ベタメタゾン)、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチン、A−4、スクアラミン、6−O−クロロアセチル−カルボニル)−フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1、アンギオテンシンIIアンタゴニスト(Fernandezら、J.Lab.Clin.Med.105:141〜145(1985)を参照のこと)、及びVEGFに対する抗体(Nature Biotechnology,第17巻、963〜968頁(1999、10月);Kimら,Nature,362,841〜844(1993);WO00/44777;及びWO00/61186)が挙げられる。
【0137】
血管形成を調節又は阻害し、そしてまた本発明の化合物と組み合わせて用いられ得る他の治療剤としては、凝血及び線維素溶解の系を調節するか又は阻害する剤が挙げられる(Clin.Chem.La.Med.38:679〜692(2000)における概説を参照のこと)。凝血及び線維素溶解の経路を調節又は阻害するこのような剤の例としては、限定はしないが、ヘパリン(Thromb.Haemost.80:10〜23(1998)を参照のこと)、低分子量ヘパリン及びカルボキシペプチダーゼUインヒビター(活性なトロンビン活性化可能線維素溶解インヒビター[TAFIa]のインヒビターとしても公知)(Thrombosis Res.101:329〜354(2001)を参照のこと)が挙げられる。TAFIaインヒビターは、PCT公開WO03/013,526及び米国特許出願第60/349,925号(2002年1月18日出願)に記載されている。
【0138】
「細胞周期チエックポイント干渉剤(agents that interfere with cell cycle checkpoints)」とは、細胞周期チエックポイントシグナルを誘導するタンパク質キナーゼを阻害し、それによって、DNA損傷剤に対してがん細胞を感作させる化合物をいう。このような剤としては、ATR、ATM、Chk1及びChk2キナーゼのインヒビター、並びにcdk及びcdcキナーゼインヒビターが挙げられ、そして詳細には、7−ヒドロキシスタウロスポリン、フラボピリドール、CYC202(Cyclacel)及びBMS−387032によって例証される。
【0139】
「受容体レセプターチロシンキナーゼ(RTK)干渉剤(agents that interfere with receptor tyrosine kinases(RTK))」とは、RTKを、従って、発癌及び腫瘍進行に関与する機構を阻害する化合物をいう。このような薬剤としては、c−Kit、Eph、PDGF、Flt3及びc−Metのインヒビターが挙げられる。さらなる薬剤としては、Bume−Jensen及びHunter,Nature,411:355〜365,2001に記載されるように示されるRTKのインヒビターが挙げられる。
【0140】
「細胞増殖及び生存シグナル伝達経路のインヒビター(inhibitors of cell proliferation and survival signaling pathway)」とは、細胞表面レセプター及びそれらの表面レセプターの下流のシグナル伝達カスケードを阻害する薬剤をいう。このような薬剤としては、EGFRのインヒビターのインヒビター(例えば、ゲフィニチブ及びエルロチニブ)、ERB−2のインヒビター(例えば、トラスツマブ)、IGFRのインヒビター、CD20のインヒビター(リツキマブ)、サイトカインレセプターのインヒビター、METのインヒビター、PI3Kのインヒビター(例えば、LY294002)、セリン/トレオニンキナーゼ(限定はしないが、(WO03/086404、WO03/086403、WO03/086394、WO03/086279、WO02/083675、WO02/083139、WO02/083140及びWO02/083138)に記載されるようなAktのインヒビターが挙げられる)、Rafキナーゼのインヒビター(例えば、BAY−43−9006)、MEKのインヒビター(例えば、CI−1040及びPD−098059)及びmTORのインヒビター(例えば、Wyeth CCI−779及びAriad AP23573)が挙げられる。このような薬剤としては、低分子インヒビター化合物、及び抗体アンタゴニストが挙げられる。
【0141】
「アポトーシス誘導剤(apoptosis inducing agents)」としては、TNFレセプターファミリーメンバー(TRAILレセプターを含む)の活性化剤が挙げられる。
【0142】
本発明はまた、選択的COX−2インヒビターであるNSAIDとの組み合わせを包含する。本明細書の目的のために、COX−2の選択的インヒビターであるNSAIDとは、細胞又はミクロソームのアッセイによって評価されるCOX−1についてのIC50に対するCOX−2についてのIC50の比によって測定される場合、少なくとも100倍という、COX−1を上回るCOX−2阻害の特異性を保有するものとして規定される。このような化合物としては、限定はしないが、その全てが参照によって本明細書に援用される、米国特許第5,474,995号、米国特許第5,861,419号、米国特許第6,001,843号、米国特許第6,020,343号、米国特許第5,409,944号、米国特許第5,436,265号、米国特許第5,536,752号、米国特許第5,550,142号、米国特許第5,604,260,U.S.5,698,584号、米国特許第5,710,140、WO94/15932号、米国特許第5,344,991号、米国特許第5,134,142号、米国特許第5,380,738号、米国特許第5,393,790号、米国特許第5,466,823号、米国特許第5,633,272及び米国特許第5,932,598号に開示される化合物が挙げられる。
【0143】
本発明の治療方法で特に有用であるCOX−2のインヒビターは以下である:3−フェニル−4−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−2−(5H)−フラノン;及び5−クロロ−3−(4−メチルスルホニル)フェニル−2−(2−メチル−5−ピリジニル)ピリジン;又はその薬学的に許容される塩。
【0144】
COX−2の特異的なインヒビターとして記載されており、従って、本発明において有用である化合物としては、限定はしないが以下が挙げられる:パレコキシブ(parecoxib)、CELEBREX(登録商標)及びBEXTRA(登録商標)又はその薬学的に許容される塩。
【0145】
血管形成インヒビターの他の例としては、限定はしないが、エンドスタチン、ウクライン、ランピルナーゼ(ranpirnase)、IM862、5−メトキシ−4−[2−メチル−3−(3−メチル−2−ブテニル)オキシルアニール]−1−オキサスピロ[2,5]オクト−6−イル(クロロアセチル)カルバメート、アセチルジナナリン、5−アミノ−1−[[3,5−ジクロロ−4−(4−クロロベンゾイル)フェニル]メチル]−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド、CM101、スクアラミン、コンブレタスタチン、RPI4610、NX31838、硫酸化マンノペンタオースリン酸塩(sulfated mannopentaose phosphate)、7,7−(カルボニル−ビス[イミノ−N−メチル−4,2−ピロロカルボニルイミノ[N−メチル−4,2−ピロール]−カルボニルイミノ]−ビス−(1,3−ナフトアレンジスルフォナート)、及び3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチレン]−2−インドリノン(SU5416)が挙げられる。
【0146】
上記で用いられるように、「インテグリンブロッカー(integrin blockers)」とは、αvβ3インテグリンに対する生理的リガンドの結合を選択的に拮抗、阻害又は相殺する化合物、αvβ5インテグリンに対する生理学的リガンドの結合を選択的に拮抗、阻害又は相殺する化合物、αvβ3インテグリン及びαvβ5インテグリンの両方に対する生理学的リガンドの結合を拮抗、阻害又は相殺する化合物、並びに毛細管内皮細胞で発現される特定のインテグリンの活性を拮抗、阻害又は相殺する化合物をいう。この用語はまた、αvβ6、αvβ8、α1β1、α2β1、α5β1、α6β1、及びα6β4インテグリンのアンタゴニストをいう。この用語はまた、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α1β1、α2β1、α5β1、α6β1、及びα6β4インテグリンの任意の組み合わせのアンタゴニストをいう。
【0147】
チロシンキナーゼインヒビターのいくつかの特異的な例としては、N−(トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミド,3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチルインデニル)インドリン−2−オン、17−(アリールアミノ)−17−デメトキシゲルダナマイシン、4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−メトキシ−6−[3−(4−モルホリニル)プロポキシル]キナゾリン、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリンアミン、BIBX1382、2,3,9,10,11,12−ヘキサヒドロ−10−(ヒドロキシメチル)−10−ヒドロキシ−9−メチル−9,12−エポキシ−1H−ジインドロ[1,2,3−fg:3’,2’,1’−kl]ピロロ[3,4−i][1,6]ベンゾジアゾシン−1−オン、SH268、ゲニステイン、イマチニブ(STI571)、CEP2563、4−(3−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジメチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンメタンスルホネート、4−(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、4−(4’−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、SU6668、STI571A、N−4−クロロフェニル−4−(4−ピリジルメチル)−1−フタラジンアミン、及びEMD121974が挙げられる。
【0148】
抗がん化合物以外の化合物との組み合わせもまた本発明の方法に包含される。例えば、本発明で特許請求される化合物とPPAR−γ(すなわち、PPAR−ガンマ)アゴニスト及びPPAR−δ(すなわち、PPAR−デルタ)アゴニストとの組み合わせは、特定の悪性腫瘍の治療において有用である。PPAR−γ及びPPAR−δとは、核ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプターγ及びδである。内皮細胞上でのPPAR−γの発現及びその血管新生における関与は、文献中で報告されている(J.Cardiovasc.Pharmacol.1998;31:909〜913;J.Biol.Chem.1999;274:9116〜9121;Invest.Ophthalmol Vis.Sci.2000;41:2309〜2317を参照のこと)。さらに近年では、PPAR−γアゴニストは、インビトロでVEGFに対する血管形成応答を阻害することが示されている;トログリタゾン(troglitazone)及びロシグリタゾンマレアート(rosiglitazone maleate)の両方が、マウスでの網膜の新血管新生の発達を阻害する(Arch.Ophthamol.2001;119:709〜717)。PPAR−γアゴニスト及びPPAR−γ/αアゴニストの例としては、限定はしないが、チアゾリジンジオン(例えば、DRF2725、CS−011、トログリタゾン、ロシグリタゾン及びピオグリタゾン)、フェノフィブレート、ゲムフィブロジル、クロフィブレート、GW2570、SB219994、AR−H039242、JTT−501、MCC−555、GW2331、GW409544、NN2344、KRP297、NP0110、DRF4158、NN622、GI262570、PNU182716、DRF552926、2−[(5,7−ジプロピル−3−トリフルオロメチル−1,2−ベンズイソオキサゾール−6−イル)オキシ]−2−メチルプロピオン酸(米国特許出願第09/782,856号に開示)、及び2(R)−7−(3−(2−クロロ−4−(4−フルオロフェノキシ)フェノキシ)プロポキシ)−2−エチルクロマン−2−カルボン酸(米国特許出願第60/235,708号及び同第60/244,697号に開示)が挙げられる。
【0149】
本発明の別の実施態様は、本明細書で開示された化合物の使用であって、がんの治療のための遺伝子治療と組み合わせた使用である。がんを治療する遺伝子ストラテジーの概説については、Hallら(Am J Hum Genet 61:785〜789,1997)及びKufeら(Cancer Medicine,第5版、876〜889頁,BC Decker,Hamilton 2000)を参照のこと。遺伝子治療は、任意の腫瘍抑制遺伝子を送達するために用いられ得る。このような遺伝子の例としては限定はしないが、組換ウイルス媒介性遺伝子移入を介して送達され得る、p53(例えば、米国特許第6,069,134号を参照のこと)、Duc−4、NF−1、NF−2、RB、WT1、BRCA1、BRCA2、uPA/uPARアンタゴニスト(「Adenovirus−Mediated Delivery of a uPA/uPAR Antagonist Suppresses Angiogenesis−Dependent Tumor Growth and Dissemination in Mice、」Gene Therapy,August 1998;5(8):1105〜13)、及びインターフェロンγ(J.Immunol.2000;164:217〜222)が挙げられる。
【0150】
本発明の化合物はまた、固有の多剤耐性(multidrug resistance)(MDR)のインヒビター、詳細には輸送体タンパク質の高レベルの発現に関連するMDRのインヒビターと組み合わせて投与されてもよい。このようなMDRインヒビターとしては、p−糖タンパク質(P−gp)のインヒビター、例えば、LY335979、XR9576、OC144−093、R101922、VX853及びPSC833(バルスポダール(valspodar))が挙げられる。
【0151】
本発明の化合物は、本発明の化合物、単独又は放射線療法との併用使用から生じ得る、急性、遅延、後期及び予測的な嘔吐を含む、悪心又は嘔吐を治療するために制吐剤と組み合わせて使用されてもよい。嘔吐の予防又は治療のためには、本発明の化合物は、他の制吐剤、特にニューロキニン−1レセプターアンタゴニスト、5HT3レセプターアンタゴニスト、例えば、オンダンセトロン、グラニセトロン、トロプイセトロン及びザチセトロン、GABABレセプターアゴニスト、例えば、バクロフェン、コルチコステロイド、例えば、Decadron(デキサメタゾン)、Kenalog、Aristocort、Nasalide、Preferid、Benecortenその他、例えば、米国特許第2,789,118号、同第2,990,401号、同第3,048,581号、同第3,126,375号、同第3,929,768号、同第3,996,359号、同第3,928,326号、及び同第3,749,712号に開示されるもの、抗ドーパミン剤、例えば、フェノチアジン(例えば、プロクロルペラジン、フルフェナジン、チオリダジン及びメソリダジン)、メトクラプラミド又はドロナビノールと組み合わせて用いられてもよい。ある実施態様では、ニューロキニン−1レセプターアンタゴニスト、5HT3レセプターアンタゴニスト及びコルチコステロイドから選択される制吐剤は、本発明の化合物の投与の際に生じ得る嘔吐の治療又は予防のためのアジュバントとして投与される。
【0152】
本発明の化合物と組み合わせた使用のニューロキニン−1レセプターアンタゴニストは、例えば、米国特許第5,162,339号、同第5,232,929号、同第5,242,930号、同第5,373,003号、同第5,387,595号、同第5,459,270号、同第5,494,926号、同第5,496,833号、同第5,637,699号、同第5,719,147号;欧州特許公開番号.EP0 360 390号、同第0 394 989号、同第0 428 434号、同第0 429 366号、同第0 430 771号、同第0 436 334号、同第0 443 132号、同第0 482 539号、同第0 498 069号、同第0 499 313号、同第0 512 901号、同第0 512 902号、同第0 514 273号、同第0 514 274号、同第0 514 275号、同第0 514 276号、同第0 515 681号、同第0 517 589号、同第0 520 555号、同第0 522 808号、同第0 528 495号、同第0 532 456号、同第0 533 280号、同第0 536 817号、同第0 545 478号、同第0 558 156号、同第0 577 394号、同第0 585 913号、同第0 590 152号、同第0 599 538号、同第0 610 793号、同第0 634 402号、同第0 686 629号、同第0 693 489号、同第0 694 535号、同第0 699 655号、同第0 699 674号、同第0 707 006号、同第0 708 101号、同第0 709 375号、同第0 709 376号、同第0 714 891号、同第0 723 959号、同第0 733 632号及び同第0 776 893号;PCT国際特許公開番号WO90/05525、90/05729、91/09844、91/18899、92/01688、92/06079、92/12151、92/15585、92/17449、92/20661、92/20676、92/21677、92/22569、93/00330、93/00331、93/01159、93/01165、93/01169、93/01170、93/06099、93/09116、93/10073、93/14084、93/14113、93/18023、93/19064、93/21155、93/21181、93/23380、93/24465、94/00440、94/01402、94/02461、94/02595、94/03429、94/03445、94/04494、94/04496、94/05625、94/07843、94/08997、94/10165、94/10167、94/10168、94/10170、94/11368、94/13639、94/13663、94/14767、94/15903、94/19320、94/19323、94/20500、94/26735、94/26740、94/29309、95/02595、95/04040、95/04042、95/06645、95/07886、95/07908、95/08549、95/11880、95/14017、95/15311、95/16679、95/17382、95/18124、95/18129、95/19344、95/20575、95/21819、95/22525、95/23798、95/26338、95/28418、95/30674、95/30687、95/33744、96/05181、96/05193、96/05203、96/06094、96/07649、96/10562、96/16939、96/18643、96/20197、96/21661、96/29304、96/29317、96/29326、96/29328、96/31214、96/32385、96/37489、97/01553、97/01554、97/03066、97/08144、97/14671、97/17362、97/18206、97/19084、97/19942及び97/21702;並びに英国特許公開第2 266 529号、同第2 268 931号、同第2 269 170号、同第2 269 590号、同第2 271 774号、同第2 292 144号、同第2 293 168号、同第2 293 169号、及び同第2 302 689号に詳細に記載される。このような化合物の調製は、参照によって本明細書に援用される上述の特許及び刊行物に詳細に記載される。
【0153】
ある実施態様では、本発明の化合物と組み合わせた使用のためのニューロキニン−1レセプターアンタゴニストは、以下から選択される:米国特許第5,719,147号に記載される、2−(R)−(1−(R)−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)−3−(S)−(4−フルオロフェニル)−4−(3−(5−オキソ−1H,4H−1,2,4−トリアゾロ)メチル)モルホリン、又はその薬学的に許容される塩。
【0154】
本発明の化合物はまた、貧血の治療において有用な薬剤とともに投与されてもよい。このような貧血の治療剤は、例えば、連続的なエリスロポエチンレセプター活性化剤(例えば、エポエチンα)である。
【0155】
本発明の化合物はまた、好中球減少の治療において有用な薬剤とともに投与されてもよい。このような好中球減少の治療剤は、例えば、ヒト顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)のような好中球の生成及び機能を調節する造血性増殖因子である。G−CSFの例としては、フィルグラスチムが挙げられる。
【0156】
本発明の化合物はまた、免疫増強薬物、例えば、レバミゾール(levamisole)、カルメット・ゲラン菌、オクトレオチド、イソプリノシン及びZadaxin(ザダキシン)とともに投与されてもよい。
【0157】
本発明の化合物はまた、骨肉腫を含むがんの治療又は予防のために、ビスホスホネート(ビスホスホネート、ジホスホネート、ビスホスホン酸及びジホスホン酸を含むと理解される)と組み合わせて、有用であり得る。ビスホスホネートの例としては、限定はしないが以下が挙げられる:エチドロネート(Didronel)、パミドロネート(Aredia)、アレンドロネート(Fosamax)、リセドロネート(Actonel)、ゾレドロネート(Zometa)、イバンドロネート(Boniva)、インカドロネート又はシマドロネート、クロドロネート、EB−1053、ミノドロネート、ネリドロネート、ピリドロネート及びチルドロネートであって、これには、その任意のかつ全ての薬学的に許容される塩、誘導体、水和物及び混合物を含む。
【0158】
本発明の化合物はまた、アロマターゼインヒビターと組み合わせて乳癌を治療又は予防するために有用であり得る。アロマターゼインヒビターの例としては、限定はしないが、アナストラゾール、レトロゾール及びエキセメスタンが挙げられる。
【0159】
本発明の化合物はまた、siRNA治療剤と組み合わせてがんを治療又は予防するために有用であり得る。
【0160】
本発明の化合物はまた、新生細胞の最終分化を誘導する化合物と組み合わせてがんを治療又は予防するために有用であり得る。適切な分化剤としては、その内容が参照によって本明細書に援用される以下の引用文献のいずれか1つ以上に開示される化合物が挙げられる。
【0161】
a)極性化合物(Marksら(1987);Friend,C.,Scher,W.,Holland,J.W.,及びSato,T.(1971)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)68:378−382;Tanaka,M.,Levy,J.,Terada,M.,Breslow,R.,Rifkind,R.A.,及びMarks,P.A.(1975)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)72:1003〜1006;Reuben,R.C.,Wife,R.L.,Breslow,R.,Rifkind,R.A.,及びMarks,P.A.(1976)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)73:862〜866);
b)ビタミンD及びレチノイン酸の誘導体(Abe,E.,Miyaura、C.,Sakagami,H.、Takeda,M.、Konno,K.、Yamazaki,T.、Yoshika,S.及びSuda,T.(1981)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)78:4990〜4994;Schwartz,E.L.、Snoddy,J.R.、Kreutter,D.、Rasmussen,H.、及びSartorelli,A.C.(1983)Proc.Am.Assoc.Cancer Res.24:18;Tanenaga,K.,Hozumi,M.,及びSakagami,Y.(1980)Cancer Res.40:914〜919);
c)ステロイドホルモン(Lotem,J.及びSachs,L.(1975)Int.J.Cancer 15:731−740);
d)増殖因子(Sachs,L.(1978)Nature(Lond.)274:535,Metcalf,D.(1985)Science,229:16〜22);
e)プロテアーゼ(Scher,W.、Scher,B.M.及びWaxman,S.(1983)Exp.Hematol.11:490〜498;Scher,W.、Scher,B.M.、及びWaxman,S.(1982)Biochem.& Biophys.Res.Comm.109:348−354);
f)腫瘍プロモーター(Huberman,E.及びCallaham,M.F.(1979)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)76:1293〜1297;Lottem,J.及びSachs,L.(1979)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)76:5158〜5162);並びに
g)DNA又はRNA合成のインヒビター(Schwartz,E.L.及びSartorelli,A.C.(1982)Cancer Res.42:2651〜2655,Terada,M.、Epner,E.、Nudel,U.、Salmon,J.、Fibach,E.、Rifkind,R.A.,及びMarks,P.A.(1978)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)75:2795〜2799;Morin,M.J.及びSartorelli,A.C.(1984)Cancer Res.44:2807〜2812;Schwartz,E.L.、Brown,B.J.、Nierenberg,M.、Marsh,J.C.及びSartorelli,A.C.(1983)Cancer Res.43:2725〜2730;Sugano,H.、Furusawa,M.、Kawaguchi,T.、及びIkawa,Y.(1973)Bibl.Hematol.39:943〜954;Ebert,P.S.、Wars,I.、及びBuell,D.N.(1976)Cancer Res.36:1809〜1813;Hayashi,M.、Okabe,J.、及びHozumi,M.(1979)Gann 70:235〜238)。
【0162】
本発明の化合物はまた、γ−セレクターゼインヒビターと組み合わせてがんを治療又は予防するために有用であり得る。
【0163】
また、治療上有効な量の本発明の化合物を、放射線療法と組み合わせて、及び/又は以下から選択される第二の化合物と組み合わせて、投与することを包含する、がんを治療する方法も特許請求の範囲に包含される:エストロゲンレセプターモジュレータ、アンドロゲンレセプターモジュレータ、レチノイドレセプターモジュレータ、細胞傷害性/細胞増殖抑制性剤、増殖抑制剤、プレニル−タンパク質転移酵素インヒビター、HMG−CoAリダクターゼインヒビター、HIVプロテアーゼインヒビター、逆転写酵素インヒビター、血管形成インヒビター、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、固有の多剤耐性のインヒビター、制吐剤、貧血の治療において有用な薬剤、好中球減少の治療において有用な薬剤、免疫学的増強薬、細胞増殖及び生存シグナル伝達のインヒビター、ビスホスホネート、アロマターゼインヒビター、siRNA治療剤、γセレクターゼインヒビター、受容体レセプターチロシンキナーゼ(RTK)干渉剤、並びに細胞周期チエックポイント干渉剤。
【0164】
本発明の化合物は、以下の治療剤と組み合わせて有用である:アバレリックス(abarelix)(Plenaxis depot(登録商標));アルデスロイキン(aldesleukin)(Prokine(登録商標));Aldesleukin(Proleukin(登録商標));アレムツズマブ(Alemtuzumabb)(Campath(登録商標));アリトレチノイン(alitretinoin)(Panretin(登録商標));アロプリノール(allopurinol(Zyloprim(登録商標));アルトレタミン(altretamine)(Hexalen(登録商標));アミホスチン(amifostine)(Ethyol(登録商標));アナストラゾール(anastrozole)(Arimidex(登録商標));三酸化ヒ素(Trisenox(登録商標));アスパラギナーゼ(asparaginase)(Elspar(登録商標));アザシチジン(azacitidine)(Vidaza(登録商標));ベバクジマブ(bevacuzimab)(Avastin(登録商標));ベキサロテン(bexarotene)カプセル(Targretin(登録商標));ベキサロテン・ゲル(ジェル)(gel)(Targretin(登録商標));ブレオマイシン(Blenoxane(登録商標));ボルテゾミブ(Velcade(登録商標));静脈内ブスルファン(busulfan intravenous)(Busulfex(登録商標));経口ブスルファン(busulfan oral)(Myleran(登録商標));カルステロン(calusterone)(Methosarb(登録商標));カペシタビン(Xeloda(登録商標));カルボプラチン(Paraplatin(登録商標));カルムスチン(BCNU(登録商標),BiCNU(登録商標));カルムスチン(carmustine)(Gliadel(登録商標));カルムスチンとPolifeprosan 20 Implant(Gliadel Wafer(登録商標));セレコキシブ(celecoxib)(Celebrex(登録商標));セツキシマブ(cetuximab)(Erbitux(登録商標));クロラムブシル(chlorambucil)(Leukeran(登録商標));シスプラチン(Platinol(登録商標));クラドリビン(cladribine)(Leustatin(登録商標),2−CdA(登録商標));クロファラビン(clofarabine)(Clolar(登録商標));シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標),Neosar(登録商標));シクロホスファミド(Cytoxan Injection(登録商標));シクロホスファミド(Cytoxan Tablet(登録商標));シタラビン(Cytosar−U(登録商標));シタラビン・リポソマール(cytarabine liposomal)(DepoCyt(登録商標));ダカルバジン(dacarbazine)(DTIC−Dome(登録商標));ダクチノマイシン、アクチノマイシンD(Cosmegen(登録商標));ダルベポエチンα(Darbepoetin alfa)(Aranesp(登録商標));リポソーム・ダウノルビシン(daunorubicin liposomal)(DanuoXome(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(daunomycin)(Daunorubicin(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(Cerubidine(登録商標));デニロイキン・ディフィチトクス(Denileukin diftitox)(Ontak(登録商標));デクスラゾキサン(dexrazoxane)(Zinecard(登録商標));ドセタキセル(Taxotere(登録商標));ドキソルビシン(Adriamycin PFS(登録商標));ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標),Rubex(登録商標));ドキソルビシン(Adriamycin PFS Injection(登録商標));リポソーム・ドキソルビシン(doxorubicin liposomal)(Doxil(登録商標));DROMOSTANOLONE PROPIONATE(DROMOSTANOLONE(登録商標));DROMOSTANOLONE PROPIONATE(MASTERONE INJECTION(登録商標));エリオットB液(Elliott’s B Solution)(Elliott’s B Solution(登録商標));エピルビシン(Ellence(登録商標));エポエチンα(Epoetin alfa)(epogen(登録商標));エルロチニブ(erlotinib)(Tarceva(登録商標));エストラムスチン(estramustine)(Emcyt(登録商標));リン酸エトポシド(Etopophos(登録商標));エトポシド,VP−16(Vepesid(登録商標));エキセメスタン(exemestane)(Aromasin(登録商標));フィルグラスチム(Filgrastim)(Neupogen(登録商標));フロクスウリジン(floxuridine)(動脈内)(FUDR(登録商標));フルダラビン(Fludara(登録商標));フルオロウラシル,5−FU(Adrucil(登録商標));フルベストラント(fulvestrant)(Faslodex(登録商標));ゲフィチニブ(gefitinib)(Iressa(登録商標));ゲムシタビン(gemcitabine)(Gemzar(登録商標));ゲムツズマブ・オゾガマイシン(gemtuzumab ozogamicin)(Mylotarg(登録商標));酢酸ゴセレリン(Zoladex Implant(登録商標));酢酸ゴセレリン(Zoladex(登録商標));酢酸ヒストレリン(Histrelin implant(登録商標));ヒドロキシウレア(hydroxyurea)(Hydrea(登録商標));イブリツモマブ・チウキセタン(Ibritumomab Tiuxetan)(Zevalin(登録商標));イダルビシン(idarubicin)(Idamycin(登録商標));イホスファミド(ifosfamide)(IFEX(登録商標));メシル酸イマチニブ(imatinib mesylate)(Gleevec(登録商標));インターフェロンα2a(interferon alfa 2a)(Roferon A(登録商標));インターフェロンα2b(Interferon alfa−2b)(Intron A(登録商標));イリノテカン(Camptosar(登録商標));レナリドマイド(lenalidomide)(Revlimid(登録商標));レトロゾール(letrozole)(Femara(登録商標));ロイコボリン(leucovorin)(Wellcovorin(登録商標),Leucovorin(登録商標));酢酸ロイプロリド(Leuprolide Acetate)(Eligard(登録商標));レバミゾール(levamisole)(Ergamisol(登録商標));ロムスチン(lomustine),CCNU(CeeBU(登録商標));メクロレタミン(meclorethamine),ナイトロジェン・マスタード(nitrogen mustard)(Mustargen(登録商標));酢酸メゲストロール(megestrol acetate)(Megace(登録商標));メルファラン(melphalan),L−PAM(Alkeran(登録商標));メルカプトプリン(mercaptopurine),6−MP(Purinethol(登録商標));メスナ(mesna)(Mesnex(登録商標));メスナ(Mesnex tabs(登録商標));メトトレキセート(methotrexate)(Methotrexate(登録商標));メトキシサレン(methoxsalen)(Uvadex(登録商標));マイトマイシンC(Mutamycin(登録商標));ミトタン(mitotane)(Lysodren(登録商標));ミトキサントロン(mitoxantrone)(Novantrone(登録商標));ナンドロロンフェンプロピオン酸(nandrolone phenpropionate)(Durabolin−50(登録商標));ネララビン(nelarabine)(Arranon(登録商標));ノフェツモマブ(Nofetumomab)(Verluma(登録商標));オプレルベキン(Oprelvekin)(Neumega(登録商標));オキサリプラチン(oxaliplatin)(Eloxatin(登録商標));パクリタキセル(paclitaxel)(Paxene(登録商標));パクリタキセル(Taxol(登録商標));パクリタキセルタンパク質結合粒子(paclitaxel protein−bound particles)(Abraxane(登録商標));パリフェルミン(palifermin)(Kepivance(登録商標));パミドロネート(pamidronate)(Aredia(登録商標));ペグアデマーゼ(pegademase)(Adagen(Pegademase Bovine)(登録商標));ペグアスパルガーゼ(pegaspargase)(Oncaspar(登録商標));ペグフィルグラスチム(Pegfilgrastim)(Neulasta(登録商標));ペメトレキセド・二ナトリウム(pemetrexed disodium)(Alimta(登録商標));ペントスタチン(pentostatin)(Nipent(登録商標));ピポブロマン(pipobroman)(Vercyte(登録商標));プリカマイシン(plicamycin)、ミトラマイシン(mithramycin)(Mithracin(登録商標));ポルフィマー・ナトリウム(porfimer sodium)(Photofrin(登録商標));プロカルバジン(procarbazine)(Matulane(登録商標));キナクリン(quinacrine)(Atabrine(登録商標));ラスブリカーゼ(Rasburicase)(Elitek(登録商標));リツキシマブ(Rituximab)(Rituxan(登録商標));サルグラモスチム(sargramostim)(Leukine(登録商標));サルグラモスチム(Sargramostim)(Prokine(登録商標));ソラフェニブ(sorafenib)(Nexavar(登録商標));ストレプトゾシン(streptozocin)(Zanosar(登録商標));マレイン酸スニチニブ(sunitinib maleate)(Sutent(登録商標));タルク(滑石)(Sclerosol(登録商標));タモキシフェン(Nolvadex(登録商標));テモゾロミド(Temodar(登録商標));テニポシド,VM−26(Vumon(登録商標));テストラクトン(testolactone)(Teslac(登録商標));チオグアニン(thioguanine)、6−TG(Thioguanine(登録商標));チオテパ(Thioplex(登録商標));トポテカン(Hycamtin(登録商標));トレミフェン(Fareston(登録商標));トシツモマブ(Tositumomab)(Bexxar(登録商標));トシツモマブ(Tositumomab)/I−131トシツモマブ(Bexxar(登録商標));トラスツズマブ(Trastuzumab)(Herceptin(登録商標));トレチノイン(tretinoin),ATRA(Vesanoid(登録商標));ウラシル・マスタード(Uracil Mustard)(Uracil Mustard Capsules(登録商標));バルルビシン(valrubicin)(Valstar(登録商標));ビン
ブラスチン(vinblastine)(Velban(登録商標));ビンクリスチン(vincristine)(Oncovin(登録商標));ビノレルビン(vinorelbine)(Navelbine(登録商標));ビノレルビン(vinorelbine)(Navelbine(登録商標));ゾレドロネート(zoledronate)(Zometa(登録商標));及びゾレドロン酸(zoledronic acid)(Zometa(登録商標))。
【0165】
本明細書に記載されるような、本発明の化合物と組み合わせた全てのこれらのアプローチの使用が、本発明の範囲内である。
【0166】
投薬及び投与のスケジュール
【0167】
本発明の化合物を利用する投薬レジメンは、タイプ、種、年齢、体重、性別及び治療されているがんのタイプ;治療すべき疾患の重篤度(すなわち、段階);投与の経路;患者の腎臓及び肝臓の機能;並びに使用される特定の化合物又はその塩を含む、種々の要因に従って選択され得る。当業者又は獣医は、疾患の進行を治療するために、例えば、予防、阻害(完全に又は部分的に)又は停止するために、必要な薬物の有効量を容易に決定かつ処方し得る。
【0168】
経口投与のためには、適切な毎日の投与量は、例えば、約5〜4000mg/mが、1日1回毎日、毎日2回、又は毎日3回、連続して(毎日)又は間欠的に(例えば、週に3〜5日)経口的に投与される。例えば、所望の疾患を治療するために用いられる場合、本発明の化合物の用量は、1日あたり約2mg〜約2000mgに及んでもよい。
【0169】
本発明の化合物は、1日1回(QD)、又は毎日複数回の用量に分けて、例えば、1日2回(BID)及び1日3回(TID)投与されてもよい。従って、1日1回投与のために適宜調製された医薬は、必要な毎日の用量の全てを含む。従って、1日2回の投与のためには、適宜調製された医薬は、必要な1日用量の半分を含む。従って、1日3回の投与のためには、適宜調製された医薬は、必要な1日用量の三分の一を含む。
【0170】
さらに、投与は、連続、すなわち、毎日、又は間欠的であってもよい。「間欠的な(intermittent)」又は「間欠的に(intermittently)」という用語は、本明細書において用いる場合、一定又は不定期の間隔のいずれかで停止すること及び開始することを意味する。例えば、HDACインヒビターの間欠投与は、1週あたり1〜6日投与されてもよいし、又はサイクルでの投与を意味してもよく(例えば、2〜8連続週の間の毎日投与、次いで、最大1週まで投与なしの休止期間)、又はこれは一日おきの投与を意味してもよい。
【0171】
代表的には、約1.0mg/mL〜約10mg/mLの濃度の本発明の化合物を含む静脈内製剤が調製されてもよい。一例では、1日の総用量が約10〜約1500mg/mになるように静脈内製剤の十分な量を1日あたりに患者に投与してもよい。
【0172】
約5〜約12の範囲のpHで、当該技術分野で周知の手順に従って好ましくは調製された皮下製剤はまた、下記されるような、適切な緩衝液及び等張化剤を含む。それらは1回以上の1日皮下投与で、例えば、各々の日に1、2又は3回、HDACインヒビターの一日量を送達するように処方されてもよい。
【0173】
この化合物はまた、適切な鼻腔内ビヒクルの局所使用を介して鼻腔内フォームで、又は当業者に周知の経皮パッチの形態を用いる、経皮経路を介して投与されてもよい。経皮送達系の形態で投与されるには、この投薬は当然ながら、投薬レジメン全体にわたって間欠的ではなく連続的である。
【0174】
本明細書に記載される種々の投与方式、投薬及び投与スケジュールは単に特定の実施態様を示すだけであって、本発明の広範な範囲を限定すると解釈されるべきではないことが当業者には明らかであるはずである。投薬及び投与のスケジュールの任意の順列、変動及び組み合わせは、本発明の範囲内に包含される。
【0175】
「投与(administration)」という用語及びその改変体(例えば、ある化合物を「投与すること(administering)」)とは、本発明の化合物に関して、その化合物又はその化合物のプロドラッグを治療の必要な動物の系に導入することを意味する。本発明の化合物又はそのプロドラッグが、一種以上の他の活性剤(例えば、細胞傷害剤など)と組み合わせて提供される場合、「投与」及びその改変体は、各々、その化合物又はプロドラッグ及び他の剤の同時及び連続的な投与を包含することが理解される。
【0176】
本明細書において用いる場合、「組成物(composition)」という用語は、特定の成分を特定の量で含む生成物、並びにこの特定の成分の特定の量での組み合わせから、直接又は間接的に生じる任意の生成物を包含するものとする。
【0177】
「治療上有効な量(therapeutically effective amount)」という用語は、本明細書において用いる場合、研究者、獣医、医師又は他の臨床家によって探求されている、組織、系、動物又はヒトにおいて生物学的又は医学的な応答を惹起する活性な化合物又は薬剤の量を意味する。
【0178】
医薬組成物
本発明の化合物、及びその誘導体、フラグメント、アナログ、ホモログ、薬学的に許容される塩又は水和物は、薬学的に許容される担体又は賦形剤とともに、経口投与に適切な医薬組成物中に組み込まれてもよい。このような組成物は代表的には、上記の治療上有効な量の任意の化合物、及び薬学的に許容される担体を含む。一実施態様では、この有効量とは、適切な新生細胞の最終分化を選択的に誘導するのに有効な量であって、かつ患者で毒性を生じる量よりは少ない量である。
【0179】
担体又は希釈剤として通常用いられる任意の不活性な賦形剤、例えば、ゴム(gum)、デンプン、糖、セルロース系物質、アクリレート又はその混合物などが本発明の処方物で用いられ得る。好ましい希釈剤は微結晶性セルロースである。この組成物はさらに、崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム)及び潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)を含んでもよく、そしてさらに、結合剤、緩衝液、プロテアーゼインヒビター、界面活性剤、可溶化剤、可塑剤、乳化剤、安定化剤、増粘剤、甘味料、フィルム形成剤(film forming agent)又はそれらの任意の組み合わせから選択される一種以上の添加物を含んでもよい。さらに、本発明の組成物は、徐放性又は即時放出性の処方物の形態であってもよい。
【0180】
一実施態様では、この医薬組成物は、経口的に投与され、従って、経口投与のために適切な形態で、すなわち、固体又は液体製剤として処方される。適切な固体経口製剤としては、錠剤、カプセル、丸剤、顆粒、ペレットなどが挙げられる。適切な液体経口製剤としては、溶液、懸濁液、分散剤、エマルジョン、油状物などが挙げられる。本発明の一実施態様では、この組成物は、カプセルに処方される。この実施態様によれば、本発明の組成物は、本発明の化合物に加えて、不活性な担体又は希釈剤を硬カプセル(hard gelatin capsule)に含む。
【0181】
本明細書において用いる場合、「薬学的に許容される担体(pharmaceutically acceptable carrier)」とは、医薬品投与と適した、任意のかつ全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張性及び吸収遅延剤など、例えば、無菌のパイロジェン・フリー水を包含するものとする。適切な担体は、参照によって本明細書に援用される、この分野の標準的な参考書である、Remington’s Pharmaceutical Sciencesの最新版に記載される。このような担体又は希釈剤の好ましい例としては、限定はしないが、水、生理食塩水、フィンガー溶液(finger’s solution)、デキストロース溶液、及び5%ヒト血清アルブミンが挙げられる。リポソーム及び非水性のビヒクル、例えば、不揮発性油も用いられてもよい。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体及び剤の使用は、当該技術分野で周知である。任意の従来の媒体又は剤が活性化合物と不適合である場合を除いて、組成物中でのその使用が考慮される。補充用の活性化合物もまたこの組成物に組み込まれてもよい。
【0182】
固体の担体/希釈剤としては限定はしないが、ゴム(gum)、デンプン(例えば、コーンスターチ、アルファ化デンプン)、糖(例えば、ラクトース、マンニトール、スクロース、デキストロース)、セルロース系物質(例えば、微結晶性セルロース)、アクリレート(例えば、ポリメチルアクリレート)、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、滑石、又はその混合物が挙げられる。
【0183】
液体製剤については、薬学的に許容される担体は、水性又は非水性の溶液、懸濁液、エマルジョン、又は油状物であってもよい。水性でない溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及び注射用有機エステル、例えば、オレイン酸エチルである。水性の担体としては、水、アルコール溶液/水溶液、エマルジョン又は懸濁液が挙げられ、これは生理食塩水及び緩衝化媒体を含む。油状物の例は、石油、動物油、植物油又は合成由来のもの、例えば、ピーナツ油、ダイズ油、鉱油、オリーブ油、ひまわり油及び魚肝油である。溶液又は懸濁液はまた、以下の成分を含んでもよい:滅菌希釈液、例えば、注射用水、生理食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒;抗菌剤、例えば、ベンジルアルコール又はメチルパラベン;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸又は重硫酸ナトリウム;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA);緩衝液、例えば、酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩、及び張度の調節剤、例えば、塩化ナトリウム又はデキストロース。pHは、塩酸又は水酸化ナトリウムのような酸又は塩基で調節されてもよい。
【0184】
さらに、この組成物は、結合剤(例えば、アカシア、コーンスターチ、ゼラチン、カルボマー、エチルセルロース、グアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン)、崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸、二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グアーガム、カルボキシメチルスターチナトリウム(sodium starch glycolate)、Primogel)、種々のpH及びイオン強度の緩衝液(例えば、tris−HCl、酢酸塩、リン酸塩)、添加物、例えば、表面に対する吸収を妨げるアルブミン又はゼラチン、界面活性剤(例えば、Tween20、Tween80、Pluronic F68、胆汁酸塩)、プロテアーゼインヒビター、サーファクタント(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、透過促進剤、可溶化剤(例えば、グリセロール、ポリエチレングリセロール)、流動促進剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール)、安定化剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、増粘剤(例えば、カルボマー、コロイド状二酸化ケイ素、エチルセルロース、グアーガム)、甘味料(例えば、スクロース、アスパルテーム、クエン酸)、香味料(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、又はオレンジ香味料)、防腐剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、流動補助剤(flow−aids)(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、可塑剤(例えば、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル)乳化剤(例えば、カルボマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム)、ポリマーコーティング(例えば、ポロキサマー又はポロキサミン)、コーティング及びフィルム形成剤(film forming agents)(例えば、エチルセルロース、アクリレート、ポリメタクリレート)及び/又はアジュバントをさらに含んでもよい。
【0185】
一実施態様では、活性化合物は、移植片及びマイクロカプセル化送達系を含む徐放性製剤のような、この化合物を身体からの急速な消失に対して保護する担体を用いて調製される。エチレン酢酸ビニール、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ乳酸のような生分解性の生体適合ポリマーが用いられてもよい。このような製剤の調製のための方法は、当業者には明白である。この物質はまた、Alza Corporation及びNova Pharmaceuticals,Inc.から市販されており、リポゾーマル懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を用いる感染細胞に対して標的されたリポソームを含む)は薬学的に許容される担体として用いられてもよい。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載のような、当業者に公知の方法に従って調製され得る。
【0186】
投与の容易さ及び投薬の均一性のためには、経口組成物を単位剤形で処方することが特に有利である。単位剤形とは、本明細書において用いる場合、治療されるべき患者の単位剤形として適した物理的に別個の単位をいう;各々の単位は、必要な薬学的な担体に応じて所望の治療効果を生じるように計算した、所定の量の活性化合物を含む。本発明の単位剤形の仕様は、この活性化合物の固有の特徴及び達成されるべき特定の治療効果、並びに個体の治療のためのこのような活性化合物を配合する当該技術分野に特有の限界によって決定されて、かつそれに直接依存する。
【0187】
医薬組成物は、容器、パック又はディスペンサー中に、投与の説明書とともに含まれてもよい。
【0188】
本発明の化合物は治療の初日に静脈内投与され、2日目に、そしてその後全て連続した日には経口投与される。
【0189】
本発明の化合物は、疾患の進行を予防するか、又は腫瘍の増殖を安定化する目的で投与されてもよい。
【0190】
例えば、混合、顆粒化又は錠剤形成プロセスによる、活性成分を含む医薬組成物の調製は、当該技術分野で十分理解される。活性な治療成分はしばしば、薬学的に許容され、活性成分と適合性である賦形剤と混合される。経口投与のためには、活性剤をこの目的のための慣用の添加物、例えば、ビヒクル、安定化剤又は不活性な希釈剤とともに混合して、慣用の方法によって投与に適切な形態、例えば、上記に詳細であるように、錠剤、コーティング錠剤、硬カプセル又は軟カプセル、水溶液、アルコール溶液又は油状溶液などに変換する。
【0191】
患者に投与される化合物の量は、患者に毒性を生じる量未満である。特定の実施態様では、患者に投与される化合物の量は、この化合物の毒性レベルに等しいか又はそれを超える患者の血漿中の化合物濃度を生じる量よりも少ない。一実施態様では、この患者の血漿中の化合物の濃度は、約10nMで維持される。別の実施態様では、患者の血漿中の化合物の濃度は、約25nMで維持される。別の実施態様では、患者の血漿中の化合物の濃度は、約50nMで維持される。別の実施態様では、患者の血漿中の化合物の濃度は、約100nMで維持される。別の実施態様では、患者の血漿中の化合物の濃度は、約500nMで維持される。別の実施態様では、患者の血漿中の化合物の濃度は、約1000nMで維持される。別の実施態様では、患者の血漿中の化合物の濃度は、約2500nMで維持される。別の実施態様では、患者の血漿中の化合物の濃度は、約5000nMで維持される。本発明のプラクティスにおいて患者に投与されるべき化合物の最適量は、用いられる特定の化合物及び治療されているがんのタイプに依存する。
【0192】
本発明はまた、治療上有効な量の式Iの化合物及び以下から選択される第二の化合物を含む、がんを治療又は予防するために有用な医薬組成物を包含する:エストロゲンレセプターモジュレータ、アンドロゲンレセプターモジュレータ、レチノイドレセプターモジュレータ、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質転移酵素インヒビター、HMG−CoA還元酵素インヒビター、HIVプロテアーゼインヒビター、逆転写酵素インヒビター、血管形成インヒビター、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、細胞増殖及び生存シグナル伝達のインヒビター、ビスホスフェート、アロマターゼインヒビター、siRNA治療剤、γ−セクレターゼインヒビター、受容体レセプターチロシンキナーゼ干渉剤(RTK)、及び細胞周期チエックポイント干渉剤。
【0193】
インビトロの方法:
本発明はまた、新生細胞の最終分化、細胞増殖停止、及び/又はアポトーシスを誘導し、それによってこのような細胞の増殖を阻害するための本発明の化合物を用いる方法を提供する。この方法は、インビボで行っても、又はインビトロで行ってもよい。
【0194】
一実施態様では、本発明は、細胞と有効な量の任意の1つ以上の本明細書に記載の本発明の化合物とを接触させることによって、新生細胞の最終分化、細胞増殖停止、及び/又はアポトーシスを選択的に誘導し、それによって、このような細胞の増殖を阻害するための、インビトロの方法を提供する。
【0195】
特定の実施態様では、本発明は、新生細胞の最終分化を選択的に誘導し、それによって、このような細胞の増殖を阻害する、インビトロの方法に関する。この方法は、この細胞を、本明細書に記載の一種以上の本発明の化合物の有効な量と、適切な条件下で接触させることを包含する。
【0196】
別の実施態様では、本発明は、新生細胞の細胞増殖停止を選択的に誘導し、それによって、このような細胞の増殖を阻害する、インビトロの方法に関する。この方法は、この細胞を、本明細書に記載の一種以上の本発明の化合物の有効な量と、適切な条件下で、接触させることを包含する。
【0197】
別の実施態様では、本発明は、新生細胞のアポトーシスを選択的に誘導し、それによって、このような細胞の増殖を阻害する、インビトロの方法に関する。この方法は、この細胞を、本明細書に記載の一種以上の本発明の化合物の有効な量と、適切な条件下で接触させることを包含する。
【0198】
別の実施態様では、本発明は、腫瘍における腫瘍細胞の最終分化を誘導するインビトロの方法であって、この細胞と、本明細書に記載の任意の一種以上の本発明の化合物の有効な量とを接触させることを包含する方法に関する。
【0199】
一実施態様では、新生細胞の最終分化、細胞増殖停止、及び/又はアポトーシスを選択的に誘導する方法、並びにHDACを阻害する方法は、この細胞をインビボにおいて接触させること、すなわち、治療の必要な新生細胞又は腫瘍細胞を保有する患者に対して、この化合物を投与することによって、接触させることを包含する。
【0200】
従って、本発明は、本明細書に記載される任意の1つ以上の本発明の化合物の有効量をこの患者に投与することによって、患者において新生細胞の最終分化、細胞増殖停止、及び/又はアポトーシスを選択的に誘導して、それによって、この患者においてこのような細胞の増殖を阻害するためのインビボの方法を提供する。
【0201】
特定の実施態様では、本発明は、新生細胞の最終分化を選択的に誘導し、それによって患者においてこのような細胞の増殖を阻害する方法に関する。この方法は、本明細書に記載される一種以上の本発明の化合物の有効量をこの患者に投与することを包含する。
【0202】
別の実施態様では、本発明は、新生細胞の細胞増殖停止を選択的に誘導し、それによって、患者におけるこのような細胞の増殖を阻害する方法に関する。この方法は、この患者に対して、本明細書に記載の一種以上の本発明の化合物の有効な量を投与することを包含する。
【0203】
別の実施態様では、本発明は、新生細胞のアポトーシスを選択的に誘導し、それによって、患者においてこのような細胞の増殖を阻害する、方法に関する。この方法は、この患者に対して、本明細書に記載の一種以上の本発明の化合物の有効な量を投与することを包含する。
【0204】
別の実施態様では、本発明は、新生細胞の増殖によって特徴付けられる腫瘍を有する患者を治療する方法に関する。この方法は、本明細書に記載の本発明の一種以上の化合物をこの患者に投与することを包含する。この化合物の量は、選択的にこのような新生細胞の最終分化を誘導し、細胞増殖停止を誘導し、そして/又はアポトーシスを誘導し、それによって、それらの増殖を阻害するのに有効である。
【0205】
本発明は、以下の実験の詳細のセクションにおける以下の一般的スキーム及び実施例に例示される。このセクションは、本発明の理解を示すために記載されるが、本明細書において以降の特許請求の範囲に記載される本発明を限定するとは決して意図されないし、そう解釈されるべきではない。
【0206】
メチル4−ヨードベンゾエート由来の化合物:スキーム1及び2は、モノアルキル又はジアルキルアミノベンズアミド誘導体を生成するためのパラジウムカップリングの使用を図示する。
【0207】
【化12】

【0208】
【化13】

【0209】
メチル4−アミノベンゾエート由来の化合物:スキーム3は、ジアルキルアミノベンズアミド誘導体を生成するためのアルキル化の使用を図示する。
【0210】
【化14】

【0211】
4−アミノベンズアミドの合成:スキーム4は、4−アミノベンズアミドの合成を例示する。
【0212】
【化15】

【0213】
4−アミノベンズアミド由来の化合物:スキーム5〜8は、アルキル化及び/又はアシル化された4−アミノベンズアミド化合物を生成するための4−アミノベンズアミドの使用を図示する。
【0214】
【化16】

【0215】
【化17】

【0216】
【化18】

【0217】
【化19】

【0218】
ジヨードベンズアミドの合成:スキーム9は、ジヨードベンズアミドの合成を図示する。
【0219】
【化20】

【実施例】
【0220】
実験のセクション
【0221】
実施例1
【0222】
【化21】

【0223】
メチル4−(ジベンジルアミノ)ベンゾエート
ジメチルアセトアミド(5mL)中のメチル4−ヨードベンゾエート(100mg、0.38mmol)の溶液に、N−ベンジル−1−フェニルメタンアミン(221μL、1.15mmol)及びKPO(405mg、1.9mmol)を添加する。この反応物を、凍結−ポンプ−解凍(freeze−pump−thaw)によって3回脱気する。Pd[Pd(t−Bu)(39mg、0.076mmol)を添加して、反応物を100℃で12時間一晩攪拌させる。その粗反応混合物をEtOAc(25mL)で希釈し、次いで、dHO(1×10mL)で洗浄した。その有機層をMgSOで乾燥して、濾過し、減圧濃縮した。その粗残渣を逆相クロマトグラフィー(10〜100%のMeCN/HOと0.05%のTFA)によって精製した。適切な画分を合わせて、EtOAc(20mL)で希釈し、そして飽和NaHCO水溶液(1×10mL)で洗浄した。その有機層をMgSOで乾燥し、濾過して、減圧濃縮し、そして所望のメチル4−(ジベンジルアミノ)ベンゾエートを得て、これをMSによって確認した:計算値332.2(MH+)、測定値332.2(MH+)。
【0224】
実施例2
【0225】
【化22】

【0226】
N−(2−アミノフェニル)−4−(ジベンジルアミノ)ベンズアミド
THF/dHOの2:1混合物に含有されるメチル4−(ジベンジルアミノ)ベンゾエート(52mg、0.16mmol)の溶液に、LiOH(10mg、0.48mmol)を添加した。テトラ−ブチル水酸化アンモニウム(トルエン/MeoH中の2mL,0.1N溶液)をこの反応物に添加して、室温で6時間攪拌させた。その溶媒を減圧濃縮し、そしてその反応混合物をMeOHとともに数回共沸させ、次いで高真空下2時間、乾燥して所望の4−(ジベンジルアミノ)安息香酸を得て、これをMSによって確認した:計算値318.1(MH+)、測定値318.1(MH+)。
【0227】
DMF中の4−(ジベンジルアミノ)安息香酸(50mg、0.16mmol)の溶液に、EDC(181mg、0.95mmol)、HOBt(128mg、0.95mmol)及びフェニレンジアミン(171mg、1.58mmol)を添加し、これを室温で12時間攪拌させた。この粗反応混合物をEtOAc(20mL)で希釈し、次いで飽和NaHCO水溶液(1×10mL)で洗浄した。その有機層をMgSOで乾燥し、濾過して、減圧濃縮した。その粗残渣を、逆相クロマトグラフィー(20〜100%のMeCN/HOと0.05%のTFA)によって精製した。その適切な画分を合わせて、EtOAc(20mL)で希釈し、そして飽和NaHCO水溶液(1×10mL)で洗浄した。その有機層をMgSOで乾燥し、濾過して、減圧濃縮し、所望のN−(2−アミノフェニル)−4−(ジベンジルアミノ)ベンズアミドを得た:H NMR(600MHz,MeOH−d)δ7.83(d,J=9.0Hz,2H),7.31(m,6H),7.25(m,8H),6.81(d,J=9.1Hz,2H),4.79(s,4H);計算値408.2(MH+)、測定値408.2(MH+)。
【0228】
実施例3
【0229】
【化23】

【0230】
メチル4−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ}ベンゾエート
メチル4−ヨードベンゾエート(1g,3.82mmol)、XANTPHOS(0.033g、0.057mmol)、Pd(dba)(0.035g、0.038mmol)、CsCO(1.741g、5.34mmol)を、中隔を備える密閉試験管に加えて、アルゴンで3回パージした。次いで、N,N−ジメチル−1,2−エタンジアミン(0.404g、4.58mmol)及び1,4−ジオキサン(4mL)を添加して、110℃で一晩攪拌した。その反応混合物を室温まで冷却して、酢酸エチルで希釈し、セライトを通じてろ過した。その有機溶媒を濃縮した。その生成物をさらなる精製なしに用いた。MS:計算値223(MH+)、測定値223(MH+)。
【0231】
実施例4
【0232】
【化24】

【0233】
メチル4−[[2−(ジメチルアミノ)エチル](メチルスルホニル)アミノ]ベンゾエート
塩化メタンスルホニル(0.105ml、1.350mmol)を、CHCl(2ml)中のトリエチルアミン(0.282ml、2.024mmol)及びメチル4−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ}ベンゾエート(0.15g、0.675mmol)の攪拌溶液に添加し、その混合物を室温で一晩攪拌した。その混合物を、酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過して、溶媒を減圧下でエバポレートした。その生成物を逆相HPLC(20〜100%のMeCN/HOと0.05%のTFA)によって精製した。MS計算値301(MH+)、測定値301(MH+)。
【0234】
実施例5
【0235】
【化25】

【0236】
メチル4−{アセチル[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ}ベンゾエート
無水酢酸(0.170ml、1.800mmol)を、トリエチルアミン(0.502ml、3.60mmol)及びCHCl(2ml)中で攪拌されるメチル4−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ}ベンゾエート(0.2g、0.900mmol)に添加した。その混合物を室温で2時間攪拌し、次いで濃縮した。その生成物をさらなる精製なしに用いた。MS:計算値265(MH+)、測定値265(MH+)。
【0237】
実施例6
【0238】
【化26】

【0239】
4−{アセチル[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−N−[2−アミノ−5−(2−チエニル)フェニル]ベンズアミド
水酸化カリウム(0.757ml、1.513mmol)を、THF(4ml)/MeOH(0.1ml)中で攪拌されたメチル4−{アセチル[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ}ベンゾエート(0.2g、0.757mmol)に添加し、そしてその混合物を室温で2時間攪拌した。その反応物を2NのHClで酸性にして、濃縮した。その生成物をさらなる精製なしに用いた。MS:計算値251(MH+)、測定値251(MH+)。
【0240】
HOBt(0.22g、1.44mmol)を、DMF(4mL)中の4−{アセチル{2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ}安息香酸(0.15g、1.599mmol)及びEDC(0.276g、1.44mmol)の溶液に添加し、そして10分間攪拌させた。Tert−ブチル(2−アミノ−4−(2−アミノ−4−(2−チエニル)フェニル]カルバメート(0.435g、1.498mmol)をその反応混合物に添加して、50℃で一晩攪拌を継続した。翌日、その反応混合物を、アセトニトリル/水+0.05%のTFAで溶出する、分取逆相HPLC(C−18)によって精製して、純粋な生成物を得た。MS:計算値523(MH+)、測定値523(MH+)。
【0241】
TFA(0.5mL)を、DCM(1mL)中のtert−ブチル[2−[(4−{アセチル[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ}ベンゾイル)アミノ]−4−(2−チエニル)フェニル]カルバメート(0.05g、0.096mmol)に添加した。その反応混合物を45分間攪拌した。LC/MSによって、その生成物についての質量を示す。その混合物を濃縮して、純粋な化合物を示すためにH NMRをとった。H NMR(600MHz,MeOH−d)δ8.20d,J=8.4Hz,2H),8.69(d,J=1.8Hz,1H),7.65(dd,J=2.0,8.4Hz,1H),7.57(d,J=8.4Hz,2H)、7.43(dd,J=4.3,7.4Hz,2H)、7.38(d,J=8.4Hz,1H)、7.11(dd,J=3.7,5.1Hz,1H)、4.13(t,J=6.1Hz,2H)、3.31−3.34(m,2H)、3.00(s,6H)、1.92(s.3H);MS:計算値423(MH+)、測定値423(MH+)。
【0242】
実施例7
【0243】
【化27】

【0244】
エチル4−(アセチルアミノ)−3,5−ジヨードベンゾエート
エチル4−アミノ−3,5−ジヨードベンゾエート(1.0g,2.39mmol)及びAgCN(339mg、2.9mmol)の混合物に、MeCN(10mL)及びCHClを、続いてAcCl(340mL,4.76mmol)を添加した。その反応混合物を、35℃まで18時間加熱した。次いで、それをセライトを通してろ過し、酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO、ブラインで洗浄した。その有機溶媒をMgSOで乾燥し、濾過し、次いで濃縮した。次いで、その粗反応混合物をCHClに溶解して、ヘプタンで希釈した。形成した沈殿物を濾過によって収集して、ヘキサンで洗浄した。MS:計算値459(MH+)、測定値459(MH+)。
【0245】
さらなるアナログ(類似体)を、上記と同様の手順で調製した。以下の化合物は、他に注記しない限り、TFA塩として単離した。
【0246】
【化28】

【0247】
実施例12
【0248】
【化29】

【0249】
メチル4−[ビス(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)アミノ]ベンゾエート
CHCN(10.0mL)中のメチル4−アミノベンゾエート(1.0g、6.62mmol)の溶液に、KCO(1.83g、13.2mmol)、tert−ブチルブロモアセテート(3.86mL,26.5mmol)及びNaI(397mg、2.65mmol)を添加した。その反応混合物を加熱還流して、攪拌させた;4部のさらなるブロミド及びNaIを、ビスアルキル化生成物のみになるまで12時間にわたって添加した。その反応物を室温まで冷却し、濾過して、その有機層を減圧濃縮した。その粗残渣を、逆相クロマトグラフィー(30〜100%のMeCN/HOと0.05%のTFA)によって精製した。その適切な画分を合わせて、EtOAc(20mL)で希釈し、そして飽和NaHCO水溶液(1×10mL)で洗浄した。その有機層をMgSOで乾燥し、濾過して、減圧濃縮し、所望のメチル4−[ビス(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)アミノ]ベンゾエートを得て、これをMSによって確認した:計算値380.2(MH+)、測定値380.2(MH+)。
【0250】
実施例13
【0251】
【化30】

【0252】
メチル4−[ビス(2−アニリノ−2−オキソエチル)アミノ]ベンゾエート
4−[ビス(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)アミノ]ベンゾエートを、1:1のTFA:CHClに溶解して、室温で1時間攪拌した。その溶媒を減圧濃縮して、ジオキサン(6.0mL)中の1MのHClを添加し、室温で15分間攪拌した。その溶媒を減圧濃縮し、その反応混合物を、MeOHとともに数回共沸させ、次いで高真空下2時間、乾燥させた。2:1のDMF/CHClに溶解した2,2’−{[4−(メトキシカルボニル)フェニル]イミノ}二酢酸の中間体(mg、mmol)の溶液に、EDC(2.1g、10.97mmol)、HOBt(1.5g、10.97mmol)、アニリン(2.0mL、21.9mmol)及びEtN(1.5mL、10.97mmol)を添加して、その反応物を室温で一晩攪拌させた。その粗反応混合物を、EtOAc(20mL)で希釈し、次いで飽和NaHCO水溶液(1×10mL)で洗浄した。その有機層をMgSOで乾燥し、濾過して、減圧濃縮した。その粗混合物を、EtOHを用いて粉末にし、そして白色固体を粉砕して、所望のメチル4−[ビス(2−アニリノ−2−オキソエチル)アミノ]ベンゾエートを得て、これをMSによって確認した:計算値418.2(MH+)、測定値418.2(MH+)。
【0253】
実施例14
【0254】
【化31】

【0255】
4−[ビス(2−アニリノ−2−オキソエチル)アミノ]安息香酸
1:2:1のMeOH/THF/dHO混合物中のメチル4−[ビス(2−アニリノ−2−オキソエチル)アミノ]ベンゾエート(mg、mmol)の溶液に、LiOH(20mg、0.48mmol)を添加した。DMFを、この反応混合物に添加して、溶解を補助して、これを40℃で2日間攪拌した。その粗反応混合物を、EtOAc(25mL)で希釈し、次いで2MのHCl(1×10mL)及びブライン(1×10mL)で洗浄した。その有機層をMgSOで乾燥し、濾過して、減圧濃縮し、そして所望の4−[ビス(2−アニリノ−2−オキソエチル)アミノ]安息香酸を得て、これをMSによって確認した:計算値404.2(MH+)、測定値404.2(MH+)。
【0256】
実施例15
【0257】
【化32】

【0258】
N−(2−アミノフェニル)−4−[ビス(2−アニリノ−2−オキソエチル)アミノ]ベンズアミド
DMF中の4−[ビス(2−アニリノ−2−オキソエチル)アミノ]安息香酸(20mg、0.050mmol)の溶液に、EDC(28mg、0.149mmol)、HOBt(20mg、0.149mmol)及びフェニレンジアミン(27mg、0.248mmol)を添加し、その反応物を室温で12時間攪拌させた。その粗反応混合物を、EtOAc(25mL)で希釈し、次いで飽和NaHCO水溶液(1×10mL)で洗浄した。その有機層を、MgSOで乾燥して、濾過し、減圧濃縮した。その粗残渣を、逆相クロマトグラフィー(30〜100%のMeCN/HOと0.05%のTFA)によって精製した。その適切な画分を合わせて、EtOAc(20mL)で希釈し、そして飽和NaHCO水溶液(1×10mL)で洗浄した。その有機層をMgSOで乾燥し、濾過して、減圧濃縮し、そして所望のN−(2−アミノフェニル)−4−[ビス(2−アニリノ−2−オキソエチル)アミノ]ベンズアミドを得た:H NMR(600MHz,DMSO−d)δ10.90(s,2H)、9.31(s,1H)、7.83(d,J=9.0Hz,2H)、7.64(dd,J=8.6,1.0Hz,4H)、7.33(m,4H)、7.07(m,3H)、6.89(t,J=7.8Hz,1H)、6.70(d,J=7.8Hz,1H)、6.60(d,9.1Hz,1H)、6.53(t,J=7.2Hz,1H)、4.79(s,2H)、4.42(s,4H);MS:計算値494.2(MH+)、測定値494.2(MH+)。
【0259】
実施例16
【0260】
【化33】

【0261】
N−(4−アミノビフェニル−3−イル)−4−[ビス(2−アニリノ−2−オキソエチル)アミノ]ベンズアミド
2:1のCHCl/DMF中の4−[ビス(2−アニリノ−2−オキソエチル)アミノ]安息香酸(40mg、0.099mmol)の溶液に、BOP(66mg、0.149mmol)、ヒューニッヒ塩基(Hunigs base)(26μL、0.149mmol)及びtert−ブチル(3−アミノビフェニル−4−イル)カルバメート(56mg、0.199mmol)を添加し、その反応物を室温で12時間攪拌させた。その粗反応混合物をEtOAc(20mL)で希釈し、次いで飽和NaHCO水溶液水溶液(1×10mL)で洗浄した。その有機層をMgSOで乾燥し、濾過して、減圧濃縮した。その粗残渣を、逆相クロマトグラフィー(30〜100%のMeCN/HOと0.05%のTFA)によって精製した。適切な画分を合わせて、EtOAc(20mL)で希釈し、そして飽和NaHCO水溶液(1×10mL)で洗浄した。その有機層をMgSOで乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮して、所望のN−(2−アミノフェニル)−4−[ビス(2−アニリノ−2−オキソエチル)アミノ]ベンズアミドを得た:H NMR(600MHz,MeOH−d)δ7.93(d,J=8.9Hz,2H)、7.66(dt,J=8.6,1.5Hz,4H)、7.52(d,J=7.2Hz,2H)、7.44(s,1H)、7.30(m,8H)、7.10(t,J=7.8Hz,2H)、6.96(d,J=7.8Hz,1H)、6.74(d,J=9.1Hz,2H)、6.53(t,J=7.2Hz,1H)、4.79(s,2H)、4.42(s,4H);MS:計算値570.2(MH+)、測定値570.2(MH+)。
【0262】
以下のアナログ(類似体)を、上記の実施例に記載されるのと同様の手順で調製した。
【0263】
【化34】

【0264】
実施例18
【0265】
【化35】

【0266】
tert−ブチル[2−[(4−アミノベンゾイル)アミノ]−4−(2−チエニル)フェニル]カルバメート
ピリジン(5.0mL)中の塩化4−ニトロベンゾイル(320mg、1.72mmol)の溶液に、tert−ブチル[2−アミノ−4−(2−チエニル)フェニル]カルバメート(500mg、1.72mmol)を添加した。その反応混合物を室温で1時間攪拌させた。その粗反応混合物をEtOAc(20mL)で希釈して、2MのHCl(10mL)、2MのNaOH(10mL)及び飽和NaHCO水溶液(1×10mL)で洗浄した。その有機層をMgSOで乾燥し、濾過して、減圧濃縮し、所望のtert−ブチル[2−[2−(4−ニトロベンゾイル)アミノ]−4−(2−チエニル)フェニル]カルバメートを得て、これをMSによって確認した:計算値462.1(MHNa+)、測定値462.1(MHNa+)。
【0267】
1:1のEtOAc/THF中のtert−ブチル[2−[(4−ニトロベンゾイル)アミノ]−4−(2−チエニル)フェニル]カルバメート(598mg、1.36mmol)の溶液に、10モル%のPd/C(136mg、1.36mmol)を添加した。その反応混合物を脱気して、水素(2×)を再充填した。その黒い反応混合物を、parrシェーカー中で、50psiの水素のもとで一晩攪拌した。その混合物をセライトのパッドを通過させて濾過し(EtOAcで、次いでCHClで洗浄する)、そして濃縮して、tert−ブチル[2−[(4−アミノベンゾイル)アミノ]−4−(2−チエニル)フェニル]カルバメートを得て、これをMSによって確認した:計算値410.1(MH+)、測定値410.1(MH+)。
【0268】
実施例19
【0269】
【化36】

【0270】
tert−ブチル[2−{[4−(メチルアミノ)ベンゾイル]アミノ}−4−(2−チエニル)フェニル]カルバメート
HOBt(0.608g、3.97mmol)及びEDC(0.761g、3.97mmol)を、DMF(4ml)中の4−(メチルアミノ)安息香酸(0.5g、3.31mmol)の攪拌混合物に添加し、そしてその混合物を室温で10分間攪拌した。次いで、tert−ブチル[2−アミノ−4−(2−チエニル)フェニル]カルバメート(1.153g、3.97mmol)を添加して、その混合物を50℃に一晩加熱した。室温に冷却して、濃縮した。その混合物を酢酸エチルにとって、水で洗浄した。次いで、その有機層を濃縮して、次の工程への粗生成物にした。MS:計算値424(MH+)、測定値424(MH+)。
【0271】
実施例20
【0272】
【化37】

【0273】
ジ−tert−ブチル2,2’−{[4−({[2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(2−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]イミノ}ジアセテート
CHCN(5.0mL)中のtert−ブチル[2−[(4−アミノベンゾイル)アミノ]−4−(2−チエニル)フェニル]カルバメート(600mg、1.47mmol)の溶液に、KCO(203mg、1.47mmol)、tert−ブチルブロモアセテート(214μL,1.47mmol)、及びNaI(88mg、0.59mmol)を添加した。その反応混合物を還流下で12時間加熱して、さらなる一部のブロミド及びNaIを添加して、モノ及びビスアルキル化生成物を得た。その反応物を室温まで冷却し、濾過して、その有機層を減圧濃縮した。その粗残渣を逆相クロマトグラフィー(10〜100%のMeCN/HOと0.05%のTFA)によって精製して、モノ及びビスのアルキル化生成物(モノ対ビスの比は約〜1:2である)を分離した。その適切な画分を合わせて、EtOAc(20mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液(1×10mL)で洗浄した。その有機層をMgSOで乾燥し、濾過して、減圧濃縮し、そして所望のジ−tert−ブチル2,2’−{[4−({[2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(2−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]イミノ}ジアセテートを得、これをMSによって確認した:計算値638.2(MH+)、測定値638.2(MH+)。
【0274】
実施例21
【0275】
【化38】

【0276】
2,2’−{[4−({[2−アミノ−5−(3−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]イミノ}二酢酸
ジ−tert−ブチル2,2’−{[4−({[2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5−(3−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]イミノ}ジアセテートを、1:1のTFA:CHClに溶解して、室温で1時間攪拌した。その粗反応物を、EtOAc(20mL)で希釈し、そして飽和NaHCO水溶液(1×10mL)で洗浄した。その有機層をMgSOで乾燥し、濾過して、減圧濃縮し、そして所望の2,2’−{[4−({[2−アミノ−5−(3−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]イミノ}二酢酸を得た:H NMR(600MHz,DMSO−d)δ9.57(s,1H)、7.89(d,J=8.8Hz,2H)、7.54(m,3H)、7.48(brs,1H)、7.39(d,J=3.6Hz,1H)、7.33(d,J=8.2Hz,1H)、7.10(d,J=8.9Hz,2H)、6.79(d,J=8.2Hz,1H)、6.69(s,1H)、4.55(s,2H)、4.45(s,2H)、3.69(s,2H);MS:計算値426.1(MH+)、測定値426.1(MH+)。
【0277】
実施例22
【0278】
【化39】

【0279】
tert−ブチル[(4−{[2−アミノ−5−(3−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]アミノ]アセテート
tert−ブチル{[4−({[2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(3−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]アミノ}アセテートを、1:1のTFA:CHClに溶解して、室温で1時間撹拌した。その粗反応物を、EtOAc(20mL)で希釈して、飽和NaHCO水溶液(1×10mL)で洗浄した。その有機層をMgSO上で乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮して、所望のtert−ブチル[(4−{[2−アミノ−5−(3−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]アミノ]アセテートを得た:H NMR(600MHz,MeOH−d)δ7.83(d,J=8.7Hz,1H)、7.48(d,J=2.1Hz,1H)、7.43(m,1H)、7.40(m,1H)、7.37(m,1H)、6.91(d,J=8.3Hz,2H)、6.65(d,J=8.4Hz,2H)、3.88(s,2H)、1.45(s,9H);MS:計算値424.2(MH+)、測定値424.2(MH+)。
【0280】
実施例23
【0281】
【化40】

【0282】
N−[2−アミノ−5−(2−チエニル)フェニル]−4−{ビス[2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル]アミノ}ベンズアミド
1:2:1の混合物のMeOH/THF/dHO中のジ−tert−ブチル2,2’−{[4−({[2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(2−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]イミノ}ジアセテート(100mg、0.16mmol)の溶液に、LiOH(26mg、0.62mmol)を添加し、そして室温で一晩攪拌させた。その溶媒を減圧濃縮して、ジオキサン(5.5mL)中の0.1MのHClを添加して、室温で15分間攪拌した。その溶媒を減圧濃縮して、その反応混合物をMeOHとともに数回共沸させ、次いで高真空下に2時間、乾燥させ、2,2’−{[4−({[2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5−(2−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]イミノ}二酢酸を得て、これをMSによって確認した:計算値526.2(MH+)、測定値526.2(MH+)。
【0283】
2:1のDMF/CHCl中の2,2’−{[4−({[2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(2−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]アミノ}二酢酸(100mg、0.19mmol)の溶液に、EDC(218mg、1.14mmol)、HOBt(154mg、1.14mmol)、メチルアミン(952μL、1.9mmol)を添加して、その反応物を室温で一晩攪拌させた。その粗反応混合物をEtOAc(20mL)で希釈し、次いで飽和NaHCO水溶液(1×10mL)で洗浄した。その有機層をMgSOで乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮した。その粗残渣を、逆相クロマトグラフィー(20〜100%のMeCN/HOと0.05%のTFA)によって精製した。その適切な画分を合わせて、減圧濃縮し、そして所望のtert−ブチル[2−[(4−{ビス[2−(メチルアミノ]−2−オキソエチル]アミノ}ベンゾイル)アミノ−4−(2−チエニル)フェニル]カルバメートを得て、これをMSによって確認した:計算値481.2(MH+)、測定値481.2(MH+)。
【0284】
tert−ブチル[2−[(4−{ビス[2−(メチルアミノ]−2−オキソエチル]アミノ}ベンゾイル)アミノ−4−(2−チエニル)フェニル]カルバメートを、1:1のTFA:CHClに溶解して、室温で1時間撹拌した。その粗反応物を、EtOAc(20mL)で希釈し、そして飽和NaHCO水溶液(1×10mL)で洗浄した。その有機層をMgSOで乾燥し、濾過して、減圧濃縮し、そして所望のN−[2−アミノ−5−(2−チエニル)フェニル]−4−{ビス[2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル]アミノ}ベンズアミドを得た:H NMR(600MHz,DMSO−d)δ9.40(s,1H)、8.83(q,J=4.8Hz,2H)、7.83(d,J=8.9Hz,2H)、7.43(d,J=2.1Hz,1H)、7.32(d,J=5.0Hz,1H)、7.24(dd,J=8.2,2.1Hz,1H)、7.20(d,J=2.5Hz,1H)、7.02(dd,J=5.1,3.6Hz,1H)、6.77(d,J=8.5Hz,1H)、6.43(d,J=9.1Hz,2H)、5.07(brs,2H)、4.11(s,4H)、2.62(d,J=4.8Hz,2H);MS:計算値381.1(MH+)、測定値381.1(MH+)。
【0285】
実施例24
【0286】
【化41】

【0287】
tert−ブチル{[4−({[2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(3−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]アミノ}アセテート
CHCN(5.0mL)中のtert−ブチル[2−[(4−アミノベンゾイル)アミノ]−4−(3−チエニル)フェニル]カルバメートの溶液(945mg、2.31mmol)に、KCO(639mg、4.62mmol)、tert−ブチルブロモアセテート(1.35mL,9.24mmol)、及びNaI(139mg、0.92mmol)を添加した。その反応混合物を12時間、加熱還流して、さらなる一部のブロミド及びNaIを添加して、モノ及びビスアルキル化した生成物を得た。その反応物を室温まで冷却して、濾過し、そしてその有機層を減圧濃縮した。その粗残渣を逆相クロマトグラフィー(10〜100%のMeCN/HOと0.05%のTFA)によって精製して、モノ及びビスアルキル化された生成物を分離した(モノ対ビスの比は、約1:2である)。その適切な画分を合わせて、EtOAc(20mL)で希釈して、飽和NaHCO水溶液(1×10mL)で洗浄した。その有機層をMgSOで乾燥し、濾過して、減圧濃縮し、そして所望のtert−ブチル{[4−({[2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(3−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]アミノ}アセテートを得て、これをMSで確認した:計算値524.2(MH+)、測定値524.2(MH+)。
【0288】
実施例25
【0289】
【化42】

【0290】
tert−ブチル[(4−{[2−アミノ−5−(3−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]アミノ]アセテート
tert−ブチル{[4−({[2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(3−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]アミノ}アセテートを1:1のTFA:CHClに溶解して、室温で1時間撹拌した。その粗反応物をEtOAc(20mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液(1×10mL)で洗浄した。その有機層をMgSOで乾燥し、濾過して、減圧濃縮し、そして所望のtert−ブチル[(4−{[2−アミノ−5−(3−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]アミノ]アセテートを得た:H NMR(600MHz,MeOH−d)δ7.83(d,J=8.7Hz,1H)、7.48(d,J=2.1Hz,1H)、7.43(m,1H)、7.40(m,1H)、7.37(m,1H)、6.91(d,J=8.3Hz,2H)、6.65(d,J=8.4Hz,2H)、3.88(s,2H)、1.45(s,9H);MS:計算値424.2(MH+)、測定値424.2(MH+)。
【0291】
実施例26
【0292】
【化43】

【0293】
{[4−({[2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5−(3−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]アミノ}酢酸
1:2:1の混合物のMeOH/THF/dHO中のtert−ブチル{[4−({[2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(3−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]アミノ}アセテート(145mg、0.277mmol)の溶液に、LiOH(23mg、0.554mmol)を添加し、そして室温で一晩撹拌した。その溶媒を減圧濃縮し、そしてジオキサン(5.5mL)中の0.1MのHClを添加して、室温で15分間攪拌した。その溶媒を減圧濃縮し、その反応混合物を、MeOHとともに数回共沸させ、次いで、2時間高真空において乾燥し、そして所望の{[4−({[2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5−(3−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]アミノ}酢酸を得て、これをMSによって確認した:計算値468.2(MH+)、測定値468.2(MH+)。
【0294】
実施例27
【0295】
【化44】

【0296】
{[4−({[2−アミノ−5−(3−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]アミノ}酢酸
{[4−({[2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5−(3−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]アミノ}酢酸を、1:1のTFA:CHClに溶解して、室温で1時間撹拌した。その粗反応物を、EtOAc(20mL)で希釈し、そして飽和NaHCO水溶液(1×10mL)で洗浄した。その有機層をMgSOで乾燥し、濾過して、減圧濃縮し、そして所望の{[4−({[2−アミノ−5−(3−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]アミノ}酢酸を得た:H NMR(600MHz,MeOH−d)δ7.88(d,J=8.2Hz,2H)、7.63(d,J=5.9Hz,1H)、7.57(d,J=7.7Hz,1H)、7.46(dd,J=16.2,4.2Hz,2H)、7.28(d,J=8.0Hz,1H)、6.74(s,1H)、6.68(d,J=8.2Hz,2H)、3.97(s,2H);MS:計算値368.1(MH+)、測定値368.1(MH+)。
【0297】
実施例28
【0298】
【化45】

【0299】
N−[2−アミノ−5−(3−チエニル)フェニル]−4−{[2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル]アミノ}ベンズアミド
2:1のDMF/CHCl中の{[4−({[2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(3−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]アミノ}酢酸(30mg、0.064mmol)の溶液に、EDC(37mg、0.193mmol)、HOBt(26mg、0.193mmol)、メチルアミン(161μL,0.32mmol)を添加し、そしてその反応物を室温で一晩攪拌した。この粗反応混合物をEtOAc(25mL)で希釈し、次いで飽和NaHCO水溶液(1×10mL)で洗浄した。その有機層をMgSOで乾燥し、濾過して、減圧濃縮した。その粗残渣を、逆相クロマトグラフィー(20〜100%のMeCN/HOと0.05%のTFA)によって精製した。その適切な画分を合わせて、減圧濃縮し、そして所望のtert−ブチル[2−[(4−{[2−(メチルアミノ]−2−オキソエチル]アミノ}ベンゾイル)アミノ−4−(3−チエニル)フェニル]カルバメートを得て、これをMSによって確認した:計算値481.2(MH+)、測定値481.2(MH+)。
【0300】
tert−ブチル[2−[(4−{[2−(メチルアミノ]−2−オキソエチル]アミノ}ベンゾイル)アミノ−4−(3−チエニル)フェニル]カルバメートを、1:1のTFA:CHClに溶解して、室温で1時間撹拌した。その粗反応物をEtOAc(20mL)で希釈し、そして飽和NaHCO水溶液(1×10mL)で洗浄した。その有機層をMgSOで乾燥し、濾過して、減圧濃縮し、そして所望のN−[2−アミノ−5−(3−チエニル)フェニル]−4−{[2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル]アミノベンズアミドを得た:H NMR(600MHz,MeOH−d)δ7.91(d,J=9.0Hz,2H)、7.73(m,1H)、7.69(m,1H)、7.67(d,J=1.2Hz,1H)、7.52(dd,J=5.0,2.9Hz,1H)、7.48(dd,J=5.1,1.2Hz,1H)、7.43(d,J=8.4Hz,1H)、6.67(d,J=9.0Hz,2H)、3.83(s,2H)、2.74(s,3H);MS:計算値381.1(MH+)、測定値381.1(MH+)。
【0301】
以下のアナログを、上記の手順と同様に調製した。この化合物は、TFA塩として単離された。
【0302】
【化46】

【0303】
実施例30
【0304】
【化47】

【0305】
4−アミノ−N−[2−{[2−メチルアミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−5−(2−チエニル)フェニル]ベンズアミド
CHCN中のtert−ブチル[2−[(4−アミノベンゾイル)アミノ]−4−(2−チエニル)フェニル]カルバメートの溶液(mg、mmol)に、KCO及び2−クロロ−N−メチルアセトアミドを添加した。その反応物を一晩還流しながら攪拌させた。その粗反応混合物をEtOAc(20mL)で希釈し、次いで飽和NaHCO水溶液(1×10mL)で洗浄した。その有機層をMgSOで乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮した。その粗残渣を、逆相クロマトグラフィー(10〜100%のMeCN/HOと0.05%のTFA)によって精製した。その適切な画分を合わせて、真空中で濃縮し、そして所望のtert−ブチル[2−[(4−アミノベンゾイル)アミノ]−4−(2−チエニル)フェニル][2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル]カルバメートを得て、これをMSによって確認した:計算値481.2(MH+)、測定値481.2(MH+)。
【0306】
tert−ブチル[2−[(4−アミノベンゾイル)アミノ]−4−(2−チエニル)フェニル][2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル]カルバメートを、1:1のTFA:CHClに溶解し、そして室温で1時間攪拌した。その粗反応物をEtOAc(20mL)で希釈し、そして飽和NaHCO水溶液(1×10mL)で洗浄した。その有機層をMgSOで乾燥し、濾過して、減圧濃縮して、所望の4−アミノ−N−[2−{[2−メチルアミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−5−(2−チエニル)フェニル]ベンズアミドを得た:H NMR(600MHz,DMSO−d)δ10.70(s,1H)、8.27(d,J=4.5Hz,1H)、8.22(d,J=2.1Hz,1H)、7.83(d,J=8.6Hz,2H)、7.54(d,J=3.4Hz,1H)、7.37(dd,J=8.2,2.1Hz,1H)、7.28(d,J=8.2Hz,1H)、7.12(dd,J=5.0,3.7Hz,1H)、6.57(d,J=8.6Hz,2H)、5.73(s,2H)、4.62(d,J=16.8Hz,1H)、3.80(d,J=16.9Hz,1H)、2.64(d,J=4.5Hz,3H)、1.05(s,9H);MS:計算値381.1(MH+)、測定値381.1(MH+)。
【0307】
さらなるアナログは、上記と同様の手順で調製した。
【0308】
【化48】

【0309】
実施例33
【0310】
【化49】

【0311】
4−({3−[アセチル(メチル)アミノ]プロパノイル}アミノ)−N−[2−アミノ−5−(2−チエニル)フェニル]ベンズアミド
HOBt(0.168g、1.099mmol)を、DMF(3ml)中のEDC(0.211g、1.099mmol)及び3−[アセチル(メチル)アミノ]プロパン酸(0.160g、1.099mmol)の攪拌混合物に添加し、そしてその混合物を室温で10分間攪拌した。tert−ブチル[2−[(4−アミノベンゾイル)アミノ]−4−(2−チエニル)フェニル]カルバメート(0.3g、0.733mmol)を、反応混合物に添加して、室温で一晩攪拌を継続した。その反応混合物を逆相HPLC(20〜100%のMeCN/HOと0.05%のTFA)によって精製した。MS:計算値537(MH+)、測定値537(MH+)。
【0312】
TFA(0.8ml、10.38mmol)を、DCM(3ml)中のtert−ブチル[2−{[4−({3−[アセチル(メチル)アミノ]プロパノイル}アミノ)ベンゾイル]アミノ}−4−(2−チエニル)フェニル]カルバメート(0.1g、0.186mmol)の攪拌溶液に添加して、その混合物を室温で1時間攪拌した。次いでその反応混合物を濃縮して、HPLC精製(20〜100%のMeCN/HOと0.05%のTFA)によって生成物を得た。H NMR(600MHz,DMSO−d)δ10.30(s,1H)、10.25(s,1H)、9.77(s,1H)、7.9−8.0(m,2H)、7.69(d,J=8.7Hz,2H)、7.49(s,1H)、7.38(d,J=5.0Hz,1H)、7.34(d,J=8.4Hz,1H)、7.28(d,J=3.5Hz,1H)、7.05(dd,J=4.9,1.3Hz,1H)、6.90(d,J=8.0Hz,1H)、3.61(t,J=7Hz,1H)、3.52(t,J=7Hz,1H)、2.63(t,=7.0Hz,1H)、2.54(t,J=7.0Hz,1H)、CHに現れた2つの回転異性体が存在する 1H NMR2.96(s,1.5H)、2.78(s,1.5H)、2.02(s,1.4H)、1.95(s,1.6H);MS:計算値437(MH+)、測定値437(MH+)。
【0313】
さらなるアナログを、上記と類似の手順で調製した。以下の化合物はTFA塩として単離された。
【0314】
【化50】

【0315】
実施例35
【0316】
【化51】

【0317】
4−(アセチル{2−[(4−クロロフェニル)アミノ]−1−メチル−2−オキソエチル}アミノ)−N−[2−アミノ−5−(2−チエニル)フェニル]ベンズアミド
tert−ブチル2−[(4−アミノベンゾイル)アミノ]−4−チエン−2−イルフェニルカルバメート(20mg、0.050mmol)、アセトアルデヒド(11mg、0.025mmol)、酢酸(4mg、0.06mmol)、及び2−クロロフェニルイソシアニド(8mg、0.06mmol)を1mLバイアル中で合わせて、トリフルオロエタノール(20μL)で希釈した。得られた混合物を室温で一晩攪拌した。次いで、その反応混合物をトリフルオロ酢酸で希釈して、BOC保護基を除去し、そして逆相クロマトグラフィー(20〜90%のMeCN:HO w/0.05%のTFA)によって精製した。H NMR(600MHz,DMSO−d)δ10.25(s,1H)、9.92(s,1H)、8.05−8.07(m,2H)、1.62−7.64(m,4H)、7.48(s,1H)、7.33−7.37(m,4H)、7.26(m,1H)、7.05(m,1H)、6.88(m,1H)、5.05(m,1H)、1.73(s,3H)、1.08(d,J=7.3Hz,3H);MS:計算値533(MH+)、測定値533(MH+)。
【0318】
さらなるアナログを、上記の実施例の調製のために記載された手順と同様の手順で調製した。以下の化合物はTFAの塩として単離した。
【0319】
【化52】

【0320】
実施例37
【0321】
新規な化合物によるHdac阻害−Hdac1−フラグアッセイ
新規な化合物を、ヒストン脱アセチル化酵素、サブタイプ1(HDAC1)を阻害する能力について、インビトロ脱アセチル化アッセイを用いて試験した。このアッセイの酵素の供給源は、安定に発現する哺乳動物細胞から免疫精製されたエピトープタグ化ヒトHDAC1複合体であった。その基質は、アセチル化リジン側鎖を含む市販の生成物から構成された(BIOMOL Research Laboratories,Inc.,Plymouth Meeting,PA)。基質を精製されたHDAC1複合体とのインキュベーションにより脱アセチル化すると、脱アセチル化のレベルに正比例する発蛍光団が生じる。酵素調製のためにKmでの基質濃度を用いて、その脱アセチル化アッセイを、漸増濃度の新規な化合物の存在下で行って、脱アセチル化反応の50%阻害(IC50)に必要な化合物の濃度を半定量的に決定した。上記の実施例及び表に記載される本発明の化合物は、約1μM未満の濃度でヒストン脱アセチル化酵素阻害活性を示す。
【0322】
実施例38
【0323】
細胞株におけるHDAC阻害−ATPアッセイ
本発明の新規な化合物は、ヒト子宮頸癌(HeLa)及び結腸癌(HCT116)細胞の増殖を阻害する能力について試験した。
【0324】
このアッセイでは、Vialight Assayとも呼ばれる、細胞のATPレベルを細胞増殖を定量する方法で測定する。このアッセイは、Cambrexの生物発光方法(ViaLight PLUS,カタログ番号LT07−121)を利用する。ATPの存在下では、ルシフェラーゼはルシフェリンをオキシルシフェリン及び光に変換する。生じた光の量(565nMでの発光)を測定して、増殖の相対量と関連づける。ヒト子宮頸癌(HeLa)又は結腸癌(HCT116)細胞を、ビヒクル又は漸増濃度の化合物とともに48時間、72時間又は96時間インキュベートした。細胞増殖は、培養ウェルに直接細胞溶解試薬(Vialightアッセイキットで提供される)を添加することによって、続いてATP−モニタリング試薬(ルシフェラーゼ/ルシフェリンを含有)を添加することによって定量した。次いで、生じた光の量を測定した(565nMでの発光)。565nMの吸光度で測定された生じた光の量は、培養物中の生きている細胞の数に正比例する。
【0325】
本発明は、その実施態様を参照して詳細に示されかつ記載されてきたが、形態及び詳細の種々の変化が、記載される本発明の意味から逸脱することなく、明細書でなされ得るということが当業者には理解される。もっと正確に言えば、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造式:
【化1】

[式中、
【化2】

は、置換されていてもよいアリール又は置換されていてもよいヘテロアリールであり;
【化3】

は、置換されていてもよいアリール又は置換されていてもよいヘテロアリールであり;
【化4】

は、アリール又はヘテロアリールであり;
は、NH、OH又はNH[(C1−6アルキル)C(O)NR]であり;
は、H、C1−6アルキル、O(C1−6アルキル)、C(O)R、(C1−6アルキル)C(O)NR、C(O)(C1−6アルキル)NR、(C1−6アルキル)NR又はSO(C1−6アルキル)であり;
は、H、C1−6アルキル、O(C1−6アルキル)、C(O)R、(C1−6アルキル)C(O)NR、C(O)(C1−6アルキル)NR、(C1−6アルキル)NR又はSO(C1−6アルキル)であり;
は、H又はC1−6アルキルであり;
は、H、C1−6アルキル、アリール、ヘテロアリール又はC(O)(C1−6アルキル)であり、ここで、該アルキル、アリール及びヘテロアリール基は、1〜3個のハロで置換されてもよく;
は、H、C1−6アルキル、アリール、ヘテロアリール又はC(O)(C1−6アルキル)であり、ここで、該アルキル、アリール及びヘテロアリール基は、1〜3個のハロで置換されてもよい。]
の化合物、又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項2】
【化5】

が、1〜3個のハロで置換されてもよいアリールである、請求項1に記載の化合物;又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項3】
【化6】

が、ヘテロアリールである、請求項2に記載の化合物;又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項4】
【化7】

が、アリール又はヘテロアリールである、請求項3に記載の化合物;又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項5】
【化8】

が、フェニルであり、1〜3個のハロで置換されてもよい、請求項4に記載の化合物;又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項6】
【化9】

が、チオフェンである、請求項5に記載の化合物、又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項7】
【化10】

が、フェニルである、請求項6に記載の化合物、又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項8】
4−{アセチル[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−N−[2−アミノ−5−(2−チエニル)フェニル]ベンズアミド;
N−[2−アミノ−5−(2−チエニル)フェニル]−4−[[2−(ジメチルアミノ)エチル](メチルスルホニル)アミノ]ベンズアミド;
N−[2−アミノ−5−(2−チエニル)フェニル]−4−[[2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエチル](メチル)アミノ]ベンズアミド;
4−{アセチル[2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−N−[2−アミノ−5−(2−チエニル)フェニル]ベンズアミド;
4−(アセチルアミノ)−N−[2−アミノ−5−(2−チエニル)フェニル]−3,5−ジヨードベンズアミド;
N−(4−アミノビフェニル−3−イル)−4−[ビス(2−アニリノ−2−オキソエチル)アミノ]ベンズアミド;
2,2’−{[4−({[2−アミノ−5−(3−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]イミノ}二酢酸;
N−[2−アミノ−5−(2−チエニル)フェニル]−4−{ビス[2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル]アミノ}ベンズアミド;
{[4−({[2−アミノ−5−(3−チエニル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]アミノ}酢酸;
N−[2−アミノ−5−(3−チエニル)フェニル]−4−{[2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル]アミノ}ベンズアミド;
N−[2−アミノ−5−(3−チエニル)フェニル]−4−{[2−(ベンジルアミノ)−2−オキソエチル]アミノベンズアミド;
4−アミノ−N−[2−{[2−メチルアミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−5−(2−チエニル)フェニル]ベンズアミド;
4−アミノ−N−[2−{[2−ジメチルアミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−5−(2−チエニル)フェニル]ベンズアミド;
4−アミノ−N−[2−{[2−ジエチルアミノ)−2−オキソエチル]アミノ}−5−(2−チエニル)フェニル]ベンズアミド;
4−({3−[アセチル(メチル)アミノ]プロパノイル}アミノ)−N−[2−アミノ−5−(2−チエニル)フェニル]ベンズアミド;
N−[2−アミノ−5−(2−チエニル)フェニル]−4−[メチル(4−メチル−5−オキソヘキサノイル)アミノ]ベンズアミド;
4−(アセチル{2−[(4−クロロフェニル)アミノ]−1−メチル−2−オキソエチル}アミノ)−N−[2−アミノ−5−(2−チエニル)フェニル]ベンズアミド;
N,N−ジメチルグリシル−N−(4−{[(2−アミノ−5−チエン−2−イルフェニル)アミノ]カルボニル}フェニル)−N−(4−クロロフェニル)アラニンアミドである、請求項1に記載の化合物、
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物の薬学的に有効な量、及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項10】
哺乳動物におけるがんの治療又は予防における医薬の調製のための請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2009−535333(P2009−535333A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507738(P2009−507738)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/009642
【国際公開番号】WO2007/127137
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】