説明

二色性を示す配向ポリマーシートおよびそれを含む物品

【課題】二色性を示す配向ポリマーシートおよびそれを含む物品を提供すること。
【解決手段】フォトクロミック二色性材料を含む配向ポリマーシートが提供され、このシートは、活性化状態において二色性を示す。多層複合材もまた提供され、この多層複合材は、少なくとも支持層、および1つの配向熱可塑性ポリマーシートを備え、この配向熱可塑性ポリマーシートは、2つの反対側の表面を有し、そしてフォトクロミック二色性材料を含む。このシートは、活性化状態において二色性を示す。このシートの少なくとも一方の表面は、この支持層の少なくとも一部分に接続される。本発明はまた、この多層複合材を含む光学要素に関する。関連する方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2003年7月1日に出願された米国仮特許出願番号60/484,100の優先権の利益を主張する2004年5月17日に出願された米国特許出願番号10/846,650の一部継続出願である2006年8月1日に出願された米国仮特許出願番号60/821,028の優先権の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、フォトクロミック二色性材料を含む配向ポリマーシートに関する。この配向ポリマーシートは、多層複合材(例えば、光学物品)の構成要素として有用である。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
従来の直線偏光要素(例えば、サングラスおよび直線偏光フィルタ用の直線偏光レンズ)は、代表的に、二色性材料(例えば、二色性染料)を含む延伸ポリマーシートから形成されている。その結果、従来の直線偏光要素は、単一の直線偏光状態を有する静的要素である。従って、従来の直線偏光要素が、適切な波長のランダムに偏光した放射線または反射した放射線のいずれかに曝露される場合、この要素を透過する放射線のうちのいくらかは、直線偏光される。本明細書中で使用される場合、用語「直線偏光」とは、光波の電界ベクトルの振動を、一方向または一面に制限することを意味する。
【0004】
さらに、従来の直線偏光要素は、代表的に、着色されている。すなわち、従来の直線偏光要素は、着色剤(すなわち、二色性材料)を含み得、そして化学線に応答して変化しない吸収スペクトルを有し得る。本明細書中で使用される場合、「化学線」とは、応答を引き起こし得る電磁放射線(例えば、紫外放射線および可視放射線であるがこれらに限定されない)を意味する。従来の直線偏光要素の色は、この要素を形成するために使用される着色剤に依存し、そして最も通常には、中間色(例えば、茶色または灰色)である。従って、従来の直線偏光要素は、反射光の眩しさを低減する際に有用であるが、その着色に起因して、これらの直線偏光要素は、特定の弱い光の条件下で使用するためにはさほど適切ではない。さらに、従来の直線偏光要素は、単一の着色された直線偏光状態のみを有するので、情報を格納または表示する能力が制限され得る。
【0005】
上で議論されたように、従来の直線偏光要素は、二色性材料を含む延伸ポリマーフィルムのシートを使用して形成され得る。本明細書中で使用される場合、用語「二色性」とは、少なくとも透過放射線の2つの直交する面偏光成分のうちの一方を、他方よりも強く吸収し得ることを意味する。従って、二色性材料は、透過放射線の2つの直交する面偏光成分のうちの一方を優先的に吸収し得るが、この二色性材料の分子が適切に位置または配置されない場合、透過放射線の正味の直線偏光は達成されない。すなわち、二色性材料の分子のランダムな位置に起因して、個々の分子による選択的な吸収が互いに相殺され、その結果、正味または全体の直線偏光効果が達成されない。従って、正味の直線偏光を達成する目的で、一般に、二色性材料の分子を適切に位置または配置することが必要である。
【0006】
二色性染料の分子を整列させる1つの通常の方法は、ポリビニルアルコール(「PVA」)のシートまたは層を加熱してPVAを軟化させ、次いでこのシートを延伸してPVAポリマー鎖を配向させることを包含する。その後、二色性染料がこの延伸シートに含浸され、そして染料分子がこのポリマー鎖の配向を帯びる。すなわち、これらの染料分子は、その染料分子の長軸が配向したポリマー鎖に対してほぼ平行になるように整列する。あるいは、この二色性染料がまずPVAシートに含浸され、その後、このシートが上記のように加熱および延伸されて、これらのPVAポリマー鎖および会合した染料を配向させ得る。この様式で、二色性染料の分子は、PVAシートの配向したポリマー鎖内で適切に位置または配置され得、そして正味の直線偏光が達成され得る。すなわち、このPVAシートは、透過放射線を直線偏光させるように作製され得る。換言すれば、直線偏光フィルムが形成され得る。
【0007】
上で議論された二色性要素とは逆に、従来のフォトクロミック要素(例えば、従来の熱可逆性フォトクロミック材料を使用して形成されたフォトクロミックレンズ)は、一般に、化学線に応答して第一の状態(例えば、「クリア状態」)から第二の状態(例えば、「有色状態」)へと変換し得、そして熱エネルギーに応答してこの第一の状態に戻り得る。本明細書中で使用される場合、用語「フォトクロミック」とは、少なくとも化学線に応答して変化する、少なくとも可視放射線に対する吸収スペクトルを有することを意味する。従って、従来のフォトクロミック要素は、一般に、光が弱い状態と明るい状態との両方において使用するために十分に適している。しかし、直線偏光フィルタを含まない従来のフォトクロミック要素は、一般に、直線偏光放射線に適合されていない。すなわち、従来のフォトクロミック要素の吸収率は、いずれの状態においても、一般に、2未満である。本明細書中で使用される場合、用語「吸収率」とは、第一の面内で直線偏光される放射線の吸光度の、この第一の面に対して直交する面内で直線偏光される同じ波長の放射線の吸光度の比をいい、この第一の面は、最も高い吸光度を有する面として選択される。従って、従来のフォトクロミック要素は、従来の直線偏光要素と同程度まで、反射光の眩しさを低減することができない。さらに、先に記載したように、従来のフォトクロミック要素は、情報を格納または表示する能力が制限され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、直線偏光特性とフォトクロミック特性との両方を示すように適合された要素およびデバイスを提供することが有利である。さらに、直線偏光、円偏光または楕円偏光、およびフォトクロミック特性を示すように適合された要素およびデバイスを提供することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、フォトクロミック二色性材料を含む配向ポリマーシートに関し、このシートは、活性化状態において二色性を示す。
【0010】
さらなる実施形態において、本発明は、多層複合材に関し、この多層複合材は、少なくとも支持層、および配向熱可塑性ポリマーシートを備え、この配向熱可塑性ポリマーシートは、2つの反対側の表面を有し、そしてフォトクロミック二色性材料を含む。このシートは、活性化状態において二色性を示す。このシートの少なくとも一方の表面は、この支持層の少なくとも一部分に接続される。
【0011】
本発明はまた、上記多層複合材を含む光学要素に関する。
【0012】
さらなる実施形態において、本発明は、フォトクロミック二色性材料を含む配向ポリマーシートに関し、このシートは、第一の一般方向を有する第一の順序領域、およびこの第一の順序領域に隣接した少なくとも1つの第二の順序領域を有し、この第二の順序領域は、この第一の一般方向とは異なる第二の一般方向を有し、このシートは、活性化状態において二色性を示す。
【0013】
関連する方法もまた開示される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、冠詞「a」、「an」、および「the」は、1つの指示物に特別に明白に制限されない限り、複数の指示物を含む。
【0015】
さらに、本明細書の目的で、他に示されない限り、本明細書中で使用される成分の量、反応条件、および他の特性またはパラメータを表すすべての数字は、全ての例において、用語「約」により修飾されると理解されるべきである。従って、他に示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数字パラメータは近似であることが理解されるべきである。少なくとも、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する意図としてではなく、数字パラメータは、報告される有効数字の数および通常の丸め技術の適用を考慮して読まれるべきである。
【0016】
さらに、本発明の広い範囲を記載する数字範囲およびパラメータは、上述のように近似であるが、実施例の節に記載される数値は、可能な限り正確に報告されている。しかし、このような数値は、測定設備および/または測定技術から生じる特定の誤差を固有に含むことが理解されるべきである。
【0017】
本発明は、フォトクロミック二色性材料を含む配向熱可塑性ポリマーシートに関し、このシートは、少なくとも活性化状態において、二色性(すなわち、直線偏光)を示す。本発明の配向熱可塑性ポリマーシートは、第一の状態および第二の状態を示す。このシートを構成するフォトクロミック二色性材料は、少なくとも化学線に応答して、第一の状態から第二の状態へと移行するように適合され、熱エネルギーに応答してこの第一の状態に戻るように適合され、そしてこの第一の状態およびこの第二の状態のうちの少なくとも一方において、少なくとも透過放射線を直線偏光させるように適合される。本明細書中で使用される場合、用語「熱エネルギー」とは、任意の形態の熱を意味する。
【0018】
用語「フォトクロミック二色性」とは、特定の条件下でフォトクロミック特性と二色性(すなわち、直線偏光)特性との両方を示すことを意味し、これらの特性は、器具類によって少なくとも検出可能である。従って、「フォトクロミック二色性化合物」とは、特定の条件下でフォトクロミック特性と二色性(すなわち、直線偏光)特性との両方を示す化合物であり、これらの特性は、器具類によって少なくとも検出可能である。従って、フォトクロミック二色性化合物は、少なくとも化学線に応答して変化する、少なくとも可視放射線に対する吸収スペクトルを有し、そして少なくとも透過放射線の2つの直交する面偏光成分のうちの一方を、他方よりも強く吸収し得る(すなわち、二色性を示し得る)。さらに、以下で議論される従来のフォトクロミック化合物と同様に、本明細書中に開示されるフォトクロミック二色性化合物は、熱可逆性であり得る。すなわち、これらのフォトクロミック二色性化合物は、化学線に応答して第一の状態から第二の状態へと切り替わり得、そして熱エネルギーに応答してこの第一の状態に戻り得る。本明細書中で使用される場合、用語「化合物」とは、2つ以上の元素、構成要素、成分または部分の統合により形成される物質を意味し、そして2つ以上の元素、構成要素、成分または部品の統合により形成される、分子および高分子(例えば、ポリマーおよびオリゴマー)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
例えば、本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態によれば、フォトクロミック二色性化合物は、第一の吸収スペクトルを有する第一の状態、およびこの第一の吸収スペクトルとは異なる第二の吸収スペクトルを有する第二の状態を有し得、そして少なくとも化学線に応答してこの第一の状態から第二の状態に切り替わるように適合され得、そして熱エネルギーに応答してこの第一の状態に戻るように適合され得る。さらに、フォトクロミック二色性化合物は、第一の状態および第二の状態のうちの一方または両方において、二色性(すなわち、直線偏光性)であり得る。例えば、必要ではないが、フォトクロミック二色性化合物は、活性化状態において直線偏光性であり得、そして漂白状態または退色状態(すなわち、活性化されていない状態)においては非偏光性であり得る。本明細書中で使用される場合、用語「活性化状態」とは、充分な化学線に曝露されてフォトクロミック二色性化合物の少なくとも一部が第一の状態から第二の状態に切り替えられた場合の、フォトクロミック二色性化合物をいう。さらに、必要ではないが、フォトクロミック二色性化合物は、第一の状態と第二の状態との両方において二色性であり得る。本明細書中で限定しないが、例えば、フォトクロミック二色性化合物は、活性化状態と漂白状態との両方において、可視放射線を直線偏光させ得る。さらに、フォトクロミック二色性化合物は、活性化状態において可視放射線を直線偏光させ得、そして漂白状態において、UV放射線を直線偏光させ得る。
【0020】
用語「配向」とは、本発明のポリマーシートに関連して使用される場合、このシートが、(整列の)少なくとも第一の一般方向を有し、その結果、このシートを構成する1つ以上の構造体または構成要素が、同じ一般方向に沿って位置または適切に配置されていることを意味する。例えば、フォトクロミック二色性化合物の、活性化状態におけるこのフォトクロミック二色性化合物の長軸に沿った整列または順序付けは、本質的に、少なくともこのシートの第一の一般方向に対して平行である。材料または構造体の順序または整列に関して本明細書中で使用される場合、用語「一般方向」とは、その材料、化合物または構造体の優先的な配置または配向をいう。さらに、材料、化合物または構造体は、その材料、化合物または構造体が少なくとも1つの優先的な配置を有することを条件として、その材料、化合物または構造体の配置の範囲内でいくらかの変動が存在するにもかかわらず、一般方向を有し得ることが当業者によって理解される。
【0021】
上で議論されたように、本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態による配向熱可塑性ポリマーシートは、少なくとも第一の一般方向を有し得る。例えば、このシートは、第一の一般方向を有する第一の順序領域、およびこの第一の順序領域に隣接する少なくとも1つの第二の順序領域を含み得、この第二の順序領域は、この第一の一般方向とは異なる第二の一般方向を有する。さらに、このシートは、複数の順序領域を有し得、これらの順序領域の各々は、残りの領域と同じかまたは異なる一般方向を有し、これによって所望のパターンまたは設計を形成する。
【0022】
本発明は、1つの実施形態において、フォトクロミック二色性材料を含むポリマーシートにおいて、(すぐ上に記載されたような)少なくとも二方向パターンを形成するための方法に関する。このシートは、活性化状態において二色性を示し、この方法は、このポリマーシートを2以上の連続した段階で二軸延伸する工程を包含する。
【0023】
また、本明細書中で使用される場合、用語「コーティング」とは、流動性組成物由来の支持されたフィルムを意味し、このフィルムは、均一な厚さを有しても有してなくてもよく、そして特に、ポリマーシートを除外する。逆に、用語「シート」とは、ほぼ均一な厚さを有して自立が可能である、予め形成されたフィルムを意味する。本発明の目的で、用語「シート」は、測定可能なほぼ均一な厚さを有する、予め形成された「繊維」を包含することが意図される。このシート(繊維の形態のシートを含む)は、2つの反対側の表面を有し、これらの表面のうちのいずれかまたは両方が、その表面を覆う1つ以上の層(コーティング層を含む)を有しても有さなくてもよい。これらの層のうちの任意のものが、無機材料および/または有機材料を含み得る。
【0024】
本発明のポリマーシートは、活性化状態において少なくとも1.5の吸収率を有し得る。例えば、このポリマーシートは、その活性化状態において、1.5〜30の範囲、または3〜20の範囲、または4〜10の範囲、例えば5の吸収率を有し得る。吸収率は、実施例に関連して本明細書中で以下に記載されるように、吸収率試験方法に従って決定される。
【0025】
ポリマーシートは、広範な種々のポリマー(熱硬化性ポリマーと熱可塑性ポリマーとの両方が挙げられる)のうちの任意のもののポリマー組成物を含み得る。本明細書中で使用される場合、用語「ポリマー」とは、ポリマーとオリゴマーとの両方、およびホモポリマーとコポリマーとの両方を包含することが意図される。このようなポリマーとしては、例えば、アクリルポリマー、ポリエステルポリマー、ポリウレタンポリマー、ポリ(ウレア)ウレタンポリマー、ポリアミンポリマー、ポリエポキシドポリマー、ポリアミドポリマー、ポリエーテルポリマー、ポリシロキサンポリマー、ポリスルフィドポリマー、これらのコポリマー、およびこれらの混合物が挙げられ得る。一般に、これらのポリマーは、当業者に公知である任意の方法によって作製される、これらの型の任意のポリマーであり得る。
【0026】
ポリマーシートを形成するために使用されるポリマーはまた、官能基を含み得、これらの官能基としては、カルボン酸基、アミン基、エポキシド基、ヒドロキシル基、チオール基、カルバメート基、アミド基、ウレア基、イソシアネート基(ブロックイソシアネート基を含む)、メルカプタン基、エチレン性不飽和を有する基(例えば、アクリレート基)、ビニル基、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。フィルム形成樹脂の適切な混合物がまた、コーティング組成物の調製において使用され得る。ポリマーシートが形成されるポリマー組成物が官能基含有ポリマー(例えば、先に記載した官能基含有ポリマーのうちのいずれか)を含む場合、そのポリマー組成物は、このポリマーの官能基と反応性である官能基を有する材料をさらに含み得る。反応は、例えば、熱硬化技術、光開始硬化技術、酸化的硬化技術、および/または放射性硬化技術によって容易にされ得る。上記ポリマーのうちのいずれかの混合物もまた企図される。
【0027】
本発明のポリマーシートを形成する際に使用するために適切なポリマーのさらなる非限定的な例は、米国特許出願公開第2004/0068071号の第[0020]段落〜第[0042]段落(その特定した部分は本明細書中に参考として援用される);および米国特許第6,096,375号の第18欄第8行〜第19欄第5行(その特定した部分は本明細書中に参考として援用される)に記載されている、ポリアルキル(メタ)アクリレートとポリアミドとの熱可塑性ブロックコポリマーである。
【0028】
本発明の特定の実施形態において、このポリマーシートは、エラストマーポリマー(例えば、熱可塑性エラストマーポリマー)を含む。本明細書中で使用される場合、「エラストマーポリマー」とは、少なくとも部分的に可逆的である変形および伸びが可能であるように高度な弾力および弾性を有するポリマーを意味する。いくつかの例において、伸ばされる場合、エラストマーの分子は整列し、そして結晶配置の外観を帯び得、そして弛緩される場合、このエラストマーは、ある程度までその自然な無秩序状態に戻り得る。本発明の目的で、エラストマーポリマーとしては、熱可塑性ポリマー、熱可塑性エラストマーポリマー、および熱硬化性ポリマーが「エラストマーポリマー」に関して上に提供された説明の範囲内である限り、このようなポリマーが挙げられ得る。
【0029】
エラストマーポリマーは、当該分野において認識された広範な種々のエラストマーのうちの任意のものを含み得、これらとしては、先に記載されたポリマーのうちの任意のもののコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の1つの実施形態において、エラストマーポリマーは、そのポリマー骨格にエーテル結合および/またはエステル結合を有する、ブロックコポリマーを含み得る。適切なブロックコポリマーの例としては、ポリ(アミド−エーテル)ブロックコポリマー、ポリ(エステル−エーテル)ブロックコポリマー、ポリ(エーテル−ウレタン)ブロックコポリマー、ポリ(エステル−ウレタン)ブロックコポリマー、および/またはポリ(エーテル−ウレア)ブロックコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。このようなエラストマーポリマーの適切な具体例としては、商品名DESMOPAN(登録商標)およびTEXIN(登録商標)の元でBayer Material Scienceから市販されているもの;商品名ARNITEL(登録商標)の元でRoyal DSMから市販されているもの;ならびに商品名PEBAX(登録商標)の元でAtofina ChemicalsまたはCordis Corporationから市販されているものが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0030】
先に記載したように、本発明の配向ポリマーシートは、フォトクロミック二色性材料を含む。当該分野において周知であるフォトクロミック二色性材料の任意のものが、この目的のために適切である。適切なフォトクロミック二色性化合物の例は、(a)ピラン、オキサジン、およびフルギドから選択される、少なくとも1つのフォトクロミック基(PC);ならびに(b)この少なくとも1つのフォトクロミック基に付着した少なくとも1つの延長剤を含むものである。この延長剤(L)は、以下の式I:
【0031】
【化1】


によって表される(以下に詳細に記載される)。
【0032】
本明細書中で使用される場合、用語「付着(する)」とは、直接結合すること、または別の基を介して間接的に結合することを意味する。従って、例えば、本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態によれば、Lは、PC上の置換基としてPCに直接結合し得るか、またはLは、PCに直接結合する別の基(例えば、以下で議論されるRにより表される基)上の置換基であり得る(すなわち、LがPCに間接的に結合する)。本明細書中で限定しないが、種々の非限定的な実施形態によれば、Lは、PCを活性化状態で延長または伸長させるようにPCに付着し得、その結果、延長したPC(すなわち、フォトクロミック化合物)の吸収率が、PC単独と比較して増強される。本明細書中で限定しないが、種々の非限定的な実施形態によれば、PC上へのLの付着の位置は、PCの活性化形態の理論遷移双極子モーメントに対して平行な方向および垂直な方向のうちの少なくとも一方に、LがPCを伸ばすように選択され得る。本明細書中で使用される場合、用語「理論遷移双極子モーメント」とは、電磁放射線と分子との相互作用により引き起こされる遷移双極子分極をいう。例えば、IUPAC Compendium of Chemical Technology,第2版、国際純正・応用科学連合(1997)を参照のこと。
【0033】
上記式Iを参照すると、各Q、QおよびQは、各存在について、非置換もしくは置換芳香族基、非置換もしくは置換脂環式基、非置換もしくは置換複素環式基、およびこれらの混合物から選択される二価の基から独立して選択され得、ここで置換基は、Pにより表される基(以下に記載される)、アリール、チオール、アミド、液晶メソゲン、ハロゲン、C〜C18アルコキシ、ポリ(C〜C18アルコキシ)、アミノ、アミノ(C〜C18)アルキレン、C〜C18アルキルアミノ、ジ(C〜C18)アルキルアミノ、C〜C18アルキル、C〜C18アルケン、C〜C18アルキン、C〜C18アルキル(C〜C18)アルコキシ、C〜C18アルコキシカルボニル、C〜C18アルキルカルボニル、C〜C18アルキルカーボネート、アリールカーボネート、C〜C18アセチル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルコキシ、イソシアナト、アミド、シアノ、ニトロ、直鎖または分枝鎖の、シアノ、ハロ、もしくはC〜C18アルコキシで一置換されたC〜C18アルキル基、またはハロで多置換されたC〜C18アルキル基、ならびに以下の式−M(T)(t−1)および−M(OT)(t−1)のうちの一方により表される基から選択され、これらの式において、Mは、アルミニウム、アンチモン、タンタル、チタン、ジルコニウムおよびケイ素から選択され、Tは、有機官能基、有機官能性炭化水素基、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択され、そしてtは、Mの価数である。本明細書中で使用される場合、接頭語「ポリ」は、少なくとも2を意味する。
【0034】
上で議論されたように、Q、Q、およびQは、各存在について、二価の基(例えば、非置換もしくは置換芳香族基、非置換もしくは置換複素環式基、および非置換もしくは置換脂環式基)から独立して選択され得る。有用な芳香族基の非限定的な例としては、ベンゾ、ナフト、フェナントロ、ビフェニル、テトラヒドロナフト、テルフェニル、およびアントラセノが挙げられる。
【0035】
本明細書中で使用される場合、用語「複素環式基」とは、環を形成している少なくとも1つの原子がその環を形成している他の原子と異なる、原子の環を有する化合物を意味する。さらに、本明細書中で使用される場合、用語「複素環式基」は、縮合複素環式基を特に除外する。Q、Q、およびQが選択され得る適切な複素環式基の非限定的な例としては、イソソルビトール、ジベンゾフロ、ジベンゾチエノ、ベンゾフロ、ベンゾチエノ、チエノ、フロ、ジオキシノ、カルバゾロ、アントラニリル、アゼピニル、ベンゾオキサゾリル、ジアゼピニル、ジアゾリル(dioazlyl)、イミダゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、インダゾリル、インドレニニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、インドオキサジニル、イソベンゾアゾリル、イソインドリル、イソオキサゾリル、イソオキサジル、イソピロリル、イソキノリル、イソチアゾリル、モルホリノ、モルホリニル、オキサジアゾリル、オキサチアゾリル、オキサチアジル、オキサチオリル、オキサトリアゾリル、オキサゾリル、ピペラジニル、ピペラジル、ピペリジル、プリニル、ピラノピロリル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピラジル、ピリダジニル、ピリダジル、ピリジル、ピリミジニル、ピリミジル、ピリデニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル(pyrroyl)、キノリジニル、キヌクリジニル、キノリル、チアゾリル、トリアゾリル、トリアジル、N−アリールピペラジノ、アジリジノ、アリールピペリジノ、チオモルホリノ、テトラヒドロキノリノ、テトラヒドロイソキノリノ、ピリル(pyrryl)、非置換C〜C18スピロ二環式アミン、一置換C〜C18スピロ二環式アミン、二置換C〜C18スピロ二環式アミン、非置換C〜C18スピロ三環式アミン、一置換C〜C18スピロ三環式アミン、および二置換C〜C18スピロ三環式アミンが挙げられる。
【0036】
上で議論されたように、Q、Q、およびQは、一置換または二置換のC〜C18スピロ二環式アミンおよびC〜C18スピロ三環式アミンから選択され得る。適切な置換基の非限定的な例としては、アリール、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシまたはフェニル(C〜C)アルキルが挙げられる。一置換または二置換のスピロ二環式アミンの具体的な非限定的な例としては、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル;3−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル;2−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イル;および6−アザビシクロ[3.2.2]ノナン−6−イルが挙げられる。一置換または二置換の三環式アミンの具体的な非限定的な例としては、2−アザトリシクロ[3.3.1.1(3,7)]デカン−2−イル;4−ベンジル−2−アザトリシクロ[3.3.1.1(3,7)]デカン−2−イル;4−メトキシ−6−メチル−2−アザトリシクロ[3.3.1.1(3,7)]デカン−2−イル;4−アザトリシクロ[4.3.1.1(3,8)]ウンデカン−4−イル;および7−メチル−4−アザトリシクロ[4.3.1.1(3,8)]ウンデカン−4−イルが挙げられる。Q、Q、およびQが選択され得る脂環式基の例としては、シクロヘキシル、シクロプロピル、ノルボルネニル、デカリニル、アダマンタニル、ビシクロオクタン、ペルヒドロフルオレン、およびキュバニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
式Iを続けて参照すると、各S、S、S、S、およびSは、各存在について、以下から選択されるスペーサー単位から独立して選択される:
(1)−(CH−、−(CF−、−Si(CH−、−(Si[(CH]O)−であって、gは、各存在について1〜20から独立して選択され、hは、1〜16から選択されるもの;
(2)−N(Z)−、−C(Z)=C(Z)−、−C(Z)=N−、−C(Z’)−C(Z’)−であって、Zは、各存在について、水素、C〜Cアルキル、シクロアルキルおよびアリールから独立して選択され、そしてZ’は、各存在について、C〜Cアルキル、シクロアルキルおよびアリールから独立して選択されるもの;ならびに
(3)−O−、−C(O)−、−C≡C−、−N=N−、−S−、−S(O)−、−S(O)(O)−、直鎖もしくは分枝鎖のC〜C24アルキレン残基であって、このC〜C24アルキレン残基は、非置換であるか、シアノもしくはハロにより一置換されているか、またはハロにより多置換されているもの。
ただし、ヘテロ原子を含む2個のスペーサー単位が一緒に結合している場合、これらのスペーサー単位は、これらのヘテロ原子が互いに直接結合しないように結合し、そしてSおよびSがそれぞれPCおよびPに結合する場合、2つのヘテロ原子が互いに直接結合しないように結合する。本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロ原子」とは、炭素でも水素でもない原子を意味する。
【0038】
さらに、式Iにおいて、種々の非限定的実施形態によれば、c、d、e、およびfの各々は、1〜20の範囲(1および20を含む)の整数から独立して選択され得;そしてd’、e’およびf’の各々は、0、1、2、3、および4から独立して選択され得、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも1である。他の非限定的な実施形態によれば、c、d、e、およびfの各々は、0〜20の範囲(0および20を含む)の整数から独立して選択され得、そしてd’、e’およびf’の各々は、0、1、2、3、および4から独立して選択され得、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも2である。さらに他の非限定的な実施形態によれば、c、d、e、およびfの各々は、0〜20の範囲(0および20を含む)の整数から独立して選択され得、そしてd’、e’およびf’の各々は、0、1、2、3、および4から独立して選択され得、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも3である。さらに他の非限定的な実施形態によれば、c、d、e、およびfの各々は、0〜20の範囲(0および20を含む)の整数から独立して選択され得、そしてd’、e’およびf’の各々は、0、1、2、3、および4から独立して選択され得、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも1である。
【0039】
さらに、式Iにおいて、Pは、アジリジニル、水素、ヒドロキシ、アリール、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アルキルアルコキシ、アルコキシアルコキシ、ニトロ、ポリアルキルエーテル、(C〜C)アルキル(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、ポリエチレンオキシ、ポリプロピレンオキシ、エチレン、アクリレート、メタクリレート、2−クロロアクリレート、2−フェニルアクリレート、アクリロイルフェニレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、2−クロロアクリルアミド、2−フェニルアクリルアミド、エポキシ、イソシアネート、チオール、チオイソシアネート、イタコン酸エステル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン誘導体、シロキサン、主鎖型液晶ポリマー、側鎖型液晶ポリマー、液晶メソゲン、エチレンイミン誘導体、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体、非置換ケイ皮酸誘導体、ケイ皮酸誘導体(メチル、メトキシ、シアノおよびハロゲンのうちの少なくとも1つで置換されたもの)、ならびに置換および非置換のキラルおよび非キラルの一価または二価の基(ステロイド基、テルペノイド基、アルカロイド基およびこれらの混合物から選択されるものであって、その置換基は、アルキル、アルコキシ、アミノ、シクロアルキル、アルキルアルコキシ、フルオロアルキル、シアノアルキル、シアノアルコキシおよびこれらの混合物から独立して選択される)から選択され得る。
【0040】
さらに、本明細書中で限定しないが、Pが重合性基である場合、この重合性基は、重合反応に関与するために適合された任意の官能基であり得る。重合反応の非限定的な例としては、Hawley’s Condensed Chemical Dictionary第13版、1997、John Wiley & Sonsの901−902頁「重合」の定義に記載されるものが挙げられる。その開示は、本明細書中に参考として援用される。例えば、本明細書中で限定しないが、重合反応としては、「付加重合」(フリーラジカルが開始剤であり、一方でモノマーの二重結合に付加しながら同時に、他方で新たな遊離電子を生成することによって、この二重結合と反応する);「縮合重合」(2個の反応分子が一緒になってより大きい分子を形成し、同時に小さい分子(例えば、水分子)を脱離させる);および「酸化的カップリング重合」が挙げられる。さらに、重合性基の非限定的な例としては、ヒドロキシ、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、2−(アクリルオキシ)エチルカルバミル、2−(メタクリルオキシ)エチルカルバミル、イソシアネート、アジリジン、アリルカーボネート、およびエポキシ(例えば、オキシラニルメチル)が挙げられる。
【0041】
さらに、Pは、主鎖型液晶ポリマー、側鎖型液晶ポリマー、および液晶メソゲンから選択され得る。本明細書中で使用される場合、用語液晶「メソゲン」とは、剛直な棒様または円盤様の液晶分子を意味する。さらに、本明細書中で使用される場合、用語「主鎖型液晶ポリマー」とは、そのポリマーの骨格(すなわち、主鎖)構造中に液晶メソゲンを有するポリマーをいう。本明細書中で使用される場合、用語「側鎖型液晶ポリマー」とは、液晶メソゲンが側鎖においてそのポリマーに付着しているポリマーをいう。本明細書中で限定しないが、メソゲンは、2つ以上の芳香族環から構成され、これらの芳香族環が、液晶ポリマーの動きを制限する。適切な棒様液晶メソゲンの例としては、置換もしくは非置換芳香族エステル、置換もしくは非置換線状芳香族化合物、および置換もしくは非置換テルフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。別の特定の非限定的な実施形態によれば、Pは、ステロイド(例えば、限定されないが、コレステロール化合物)から選択され得る。
【0042】
フォトクロミック基PCが選択され得る熱可逆性フォトクロミックピランの非限定的な例としては、ベンゾピラン、ナフトピラン(例えば、ナフト[1,2−b]ピラン、ナフト[2,1−b]ピラン、インデノ縮合ナフトピラン(例えば、米国特許第5,645,767号に開示されるもの)、および複素環縮合ナフトピラン(例えば、米国特許第5,723,072号、同第5,698,141号、同第6,153,126号、および同第6,022,497号に記載されるものであり、これらは、本明細書中に参考として援用される));スピロ−9−フルオレノ[1,2−b]ピラン;フェナントロピラン;キノピラン;フルオロアントレノピラン;スピロピラン(例えば、スピロ(ベンゾインドリン)ナフトピラン、スピロ(インドリン)ベンゾピラン、スピロ(インドリン)ナフトピラン、スピロ(インドリン)キノピランおよびスピロ(インドリン)ピラン)が挙げられる。ナフトピランおよび相補的な有機フォトクロミック物質のより具体的な例は、米国特許第5,658,501号に記載されており、これは、本明細書中に参考として特に援用される。スピロ(インドリン)ピランはまた、教科書Techniques in Chemistry,第III巻、「Photochromism」第3章、Glenn H.Brown編、John Wiley and Sons,Inc.,New York,1971に記載されており、これは、本明細書中に参考として援用される。
【0043】
PCが選択され得るフォトクロミックオキサジンの非限定的な例としては、ベンゾオキサジン、ナフトオキサジン、およびスピロオキサジン(例えば、スピロ(インドリン)ナフトオキサジン、スピロ(インドリン)ピリドベンゾオキサジン、スピロ(ベンゾインドリン)ピリドベンゾオキサジン、スピロ(ベンゾインドリン)ナフトオキサジン、スピロ(インドリン)ベンゾオキサジン、スピロ(インドリン)フルオランテンオキサジン、およびスピロ(インドリン)キノキサジン)が挙げられる。PCが選択され得るフォトクロミックフルギドの非限定的な例としては、フルギミド、3−フリルフルギド、3−チエニルフルギド、3−フリルフルギミドおよび3−チエニルフルギミド(これらは、米国特許第4,931,220号(これは、本明細書中に参考として特に援用される)に開示されている)ならびに上記フォトクロミック材料/化合物のいずれかの混合物が挙げられる。
【0044】
さらに、フォトクロミック二色性化合物が少なくとも2つのPCを含む場合、これらのPCは、個々のPC上の連結基置換基を介して互いに結合し得る。例えば、PCは、重合性フォトクロミック基またはホスト材料と適合性であるように適合されたフォトクロミック基(「適合化フォトクロミック基」)であり得る。PCが選択され得、そして本明細書中に開示される種々の非限定的実施形態と組み合わせて有用である、重合性フォトクロミック基の非限定的な例は、米国特許第6,133,814号に開示されており、これは、本明細書中に参考として特に援用される。PCが選択され得、そして本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態と組み合わせて有用である、適合化フォトクロミック基の非限定的な例は、米国特許第6,555,028号に開示されており、これは、本明細書中に参考として特に援用される。
【0045】
他の適切なフォトクロミック基および相補的なフォトクロミック基は、米国特許第6,080,338号の第2欄第21行〜第14欄第43行;同第6,136,968号の第2欄第43行〜第20欄第67行;同第6,296,785号の第2欄第47行〜第31欄第5行;同第6,348,604号の第3欄第26行〜第17欄第15行;同第6,353,102号の第1欄第62行〜第11欄第64行;および同第6,630,597号の第2欄第16行〜第16欄第23行に記載されている。上記特許の開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0046】
少なくとも1つの延長剤(L)に加えて、これらのフォトクロミック化合物は、PCに直接結合している、Rによって表される少なくとも1つの基をさらに含み得る。必要ではないが、先に議論されたように、少なくとも1つの延長剤(L)は、Rによって表される少なくとも1つの基を介してPCに間接的に結合し得る。すなわち、Lは、PCに結合している少なくとも1つの基R上の置換基であり得る。本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態によれば、Rは、各存在について、以下から独立して選択され得る:
(i)水素、C〜C12アルキル、C〜C12アルキリデン、C〜C12アルキリジン、ビニル、C〜Cシクロアルキル、C〜C12ハロアルキル、アリル、ハロゲン、およびベンジルであって、非置換であるか、またはC〜C12アルキルおよびC〜C12アルコキシのうちの少なくとも1つで一置換されているもの;
(ii)パラ位が少なくとも1つの置換基で一置換されているフェニルであって、この置換基は、C〜Cアルコキシ、直鎖もしくは分枝鎖のC〜C20アルキレン、直鎖もしくは分枝鎖のC〜Cポリオキシアルキレン、環状C〜C20アルキレン、フェニレン、ナフチレン、C〜Cアルキルで置換されたフェニレン、モノウレタン(C〜C20)アルキレン、ポリウレタン(C〜C20)アルキレン、モノエステル(C〜C20)アルキレン、ポリエステル(C〜C20)アルキレン、モノカーボネート(C〜C20)アルキレン、ポリカーボネート(C〜C20)アルキレン、ポリシラニレン、ポリシロキサニレンおよびこれらの混合物から選択され、少なくとも1つの置換基は、フォトクロミック材料のアリール基に結合する、フェニル;
(iii)−CH(CN)および−CH(COOXであって、ここでXは、上記式Iにより表される延長剤L、H、非置換もしくはフェニルで一置換されたC〜C12アルキル、C〜C12アルキルもしくはC〜C12アルコキシで一置換されたフェニル(C〜C12)アルキル、および非置換、一置換もしくは二置換のアリール基のうちの少なくとも1つから選択され、各アリールの置換基は、C〜C12アルキルおよびC〜C12アルコキシから独立して選択される、−CH(CN)および−CH(COOX
(iv)−CH(X)(X)であって、
(A)Xは、上記式Iにより表される延長剤L、水素、C〜C12アルキル、および非置換、一置換もしくは二置換のアリール基のうちの少なくとも1つから選択され、各アリールの置換基は、C〜C12アルキルおよびC〜C12アルコキシから独立して選択され;そして
(B)Xは、−COOX、−COX、−COX、および−CHOXのうちの少なくとも1つから選択され、ここで
(1)Xは、モルホリノ、ピペリジノ;非置換またはC〜C12アルキルで一置換もしくは二置換されたアミノ;フェニルアミノおよびジフェニルアミノから選択される非置換、一置換もしくは二置換の基であり、各置換基は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立して選択され;そして
(2)Xは、上記式Iにより表される延長剤L、水素、−C(O)X;非置換であるかまたは(C〜C12)アルコキシもしくはフェニルで一置換されたC〜C12アルキル;(C〜C12)アルコキシで一置換されたフェニル(C〜C12)アルキル;および非置換、一置換もしくは二置換のアリール基であり、各アリールの置換基は、C〜C12アルキルおよびC〜C12アルコキシから独立して選択される、
−CH(X)(X);
(v)非置換、一置換、二置換、もしくは三置換のアリール基であって、例えば、フェニル、ナフチル、フェナントリル、もしくはピレニル;9−ユロリジニル;または非置換、一置換もしくは二置換のヘテロ芳香族基であって、ピリジル、フラニル、ベンゾフラン−2−イル、ベンゾフラン−3−イル、チエニル、ベンゾチエン−2−イル、ベンゾチエン−3−イル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾリル、ベンゾピリジル、インドリニル、およびフルオレニルから選択され;これらの置換基は、各存在について、
(A)上記式Iにより表される延長剤L;
(B)−C(O)Xであって、Xは、上記式Iにより表される延長剤L、H、C〜C12アルコキシ;非置換であるか、またはC〜C12アルキルもしくはC〜C12アルコキシで一置換もしくは二置換されたフェノキシ;非置換であるか、またはC〜C12アルキルもしくはC〜C12アルコキシで一置換もしくは二置換されたアリール基;非置換であるか、またはC〜C12アルキルで一置換もしくは二置換されたアミノ基;および非置換であるか、またはC〜C12アルキルもしくはC〜C12アルコキシで一置換もしくは二置換されたフェニルアミノ基のうちの少なくとも1つから選択される、−C(O)X
(C)アリール、ハロアリール、C〜Cシクロアルキルアリール;およびC〜C12アルキルもしくはC〜C12アルコキシで一置換もしくは二置換されているアリール基;
(D)C〜C12アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルキルオキシ(C〜C12)アルキル、アリール(C〜C12)アルキル、アリールオキシ(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルキル、ジ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルキル、ジ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルキル、ハロアルキル、およびモノ(C〜C12)アルコキシ(C〜C12)アルキル;
(E)C〜C12アルコキシ、C〜Cシクロアルコキシ;シクロアルキルオキシ(C〜C12)アルコキシ;アリール(C〜C12)アルコキシ、アリールオキシ(C〜C12)アルコキシ、モノ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルコキシ、ジ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルコキシ、モノ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルコキシ、またはジ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルコキシ;
(F)アミド、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、ピペラジノ、N−(C〜C12)アルキルピペラジノ、N−アリールピペラジノ、アジリジノ、インドリノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、テトラヒドロキノリノ、テトラヒドロイソキノリノ、ピロリジル、ヒドロキシ、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、およびハロゲン;
(G)−OXおよび−N(Xであって、Xは、
(1)上記式Iにより表される延長剤L、水素、C〜C12アルキル、C〜C12アシル、フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルキル置換フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニル(C〜C12)アルキル;C〜C12アルコキシ(C〜C12)アルキル、C〜Cシクロアルキル;モノ(C〜C12)アルキル置換C〜Cシクロアルキル、C〜C12ハロアルキル、アリール、ベンゾイル、一置換ベンゾイル、ナフトイルまたは一置換ナフトイルであって、これらのベンゾイルおよびナフトイルの置換基の各々は、C〜C12アルキルおよびC〜C12アルコキシから独立して選択されるもの;
(2)−CH(X)Xであって、Xは、上記式Iにより表される延長剤L、HまたはC〜C12アルキルから選択され;そしてXは、上記式Iにより表される延長剤L、−CN、−CF、または−COOX10から選択され、X10は、上記式Iにより表される延長剤L、HまたはC〜C12アルキルから選択される、−CH(X)X
(3)−C(O)X;ならびに
(4)トリ(C〜C12)アルキルシリル、トリ(C〜C12)アルコキシシリル、ジ(C〜C12)アルキル(C〜C12アルコキシ)シリル、またはジ(C〜C12)アルコキシ(C〜C12アルキル)シリル;
から選択される、−OXおよび−N(X
(H)−SX11であって、X11は、上記式Iにより表される延長剤L、C〜C12アルキル;非置換であるか、またはC〜C12アルキル、C〜C12アルコキシもしくはハロゲンで一置換もしくは二置換されたアリール基である、−SX11
(I)式i:
【0047】
【化2】


により表される窒素含有環であって、式iにおいて、
(1)nは、0、1、2、および3から選択される整数であり、ただし、nが0である場合、U’はUであり、そして各Uは、各存在について、−CH−、−CH(X12)−、−C(X12−、−CH(X13)−、−C(X13−、および−C(X12)(X13)−から独立して選択され、X12は、上記式Iにより表される延長剤LおよびC〜C12アルキルから選択され、そしてX13は、上記式Iにより表される延長剤L、フェニルおよびナフチルから選択され、そして
(2)U’は、U、−O−、−S−、−S(O)−、−NH−、−N(X12)−または−N(X13)−から選択され、そしてmは、1、2、および3から選択される整数である、
窒素含有環;ならびに
(J)式iiまたは式iii:
【0048】
【化3】


のうちの一方により表される基であって、式iiまたは式iiiにおいて、X14、X15、およびX16は、各存在について、上記式Iにより表される延長剤L、C〜C12アルキル、フェニルおよびナフチルから独立して選択されるか、またはX14とX15とが一緒になって、5個〜8個の炭素原子の環を形成し;pは、0、1、または2から選択される整数であり、そしてX17は、各存在について、上記式Iにより表される延長剤L、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシおよびハロゲンから独立して選択される基;
から独立して選択されるもの;
(vi)ピラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、ピロリジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フェナジニルおよびアクリジニルから選択される、非置換または一置換の基であって、各置換基は、上記式Iにより表される延長剤L、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、アミノおよびハロゲンから独立して選択される、基;
(vii)式ivまたは式v:
【0049】
【化4】


のうちの一方により表される基であって、式ivおよび式vにおいて、
(A)V’は、各式において、式−O−、−CH−、C〜Cアルキレン、およびC〜Cシクロアルキレンから独立して選択され、
(B)Vは、各式において、−O−または−N(X21)−から独立して選択され、X21は、上記式Iにより表される延長剤L、水素、C〜C12アルキル、およびC〜C12アシルから選択され、但し、Vが−N(X21)−である場合、V’は−CH−であり、
(C)X18およびX19は、上記式Iにより表される延長剤L、水素およびC〜C12アルキルからそれぞれ独立して選択され、そして
(D)kは、0、1、および2から選択され、そして各X20は、各存在について、上記式Iにより表される延長剤L、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、ヒドロキシおよびハロゲンから独立して選択される、基;
(viii)式vi:
【0050】
【化5】


により表される基であって、式viにおいて、
(A)X22は、上記式Iにより表される延長剤L、水素およびC〜C12アルキルから選択され、そして
(B)X23は、上記式Iにより表される延長剤L、または非置換、一置換もしくは二置換の基から選択され、この基は、ナフチル、フェニル、フラニルおよびチエニルから選択され、各置換基は、各存在について、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、およびハロゲンから独立して選択される、基;
(ix)−C(O)X24であって、X24は、上記式Iにより表される延長剤L、ヒドロキシ、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ;非置換であるかまたはC〜C12アルキルもしくはC〜C12アルコキシで一置換されたフェニル;非置換であるかまたはC〜C12アルキル、フェニル、ベンジル、およびナフチルのうちの少なくとも1つで一置換もしくは二置換されたアミノから選択される、−C(O)X24
(x)Xが上記のとおりである−OXおよび−N(X
(xi)X11が上記のとおりである−SX11
(xii)上に記載された式ivにより表される窒素含有環;
(xiii)上に記載された式vまたは式viのうちの一方により表される基;ならびに
(xiv)すぐ隣にあるR基が一緒になったものが、式vii、式viii、および式ix:
【0051】
【化6】


のうちの1つにより表される基であり、式vii、式viii、および式ixにおいて、
(A)WおよびW’は、各存在について、−O−、−N(X)、−C(X14)−、−C(X17)−(X、X14、およびX17は上記のとおりである)から独立して選択され、
(B)X14、X15、およびX17は、上記のとおりであり、そして
(C)qは、0、1、2、3、および4から選択される整数である。
【0052】
1つの非限定的な実施形態によれば、フォトクロミック二色性化合物は、式II:
【0053】
【化7】


によって表されるフォトクロミックピランであり得る。式IIにおいて、Aは、芳香族環または縮合芳香族環であり、ナフト、ベンゾ、フェナントロ、フランテノ、アンテノ、キノリノ、チエノ、フロ、インドロ、インドリノ、インデノ、ベンゾフロ、ベンゾチエノ、チオフェノ、インデノ縮合ナフト、複素環縮合ナフト、および複素環縮合ベンゾから選択され、そしてBおよびB’は、各々が、以下から独立して選択され得る:
(i)水素、C〜C12アルキル、C〜C12アルキリデン、C〜C12アルキリジン、ビニル、C〜Cシクロアルキル、C〜C12ハロアルキル、アリル、ハロゲン、およびベンジルであって、非置換であるか、またはC〜C12アルキルおよびC〜C12アルコキシのうちの少なくとも1つで一置換されているもの;
(ii)パラ位が少なくとも1つの置換基で一置換されているフェニルであって、この置換基は、C〜Cアルコキシ、直鎖もしくは分枝鎖のC〜C20アルキレン、直鎖もしくは分枝鎖のC〜Cポリオキシアルキレン、環状C〜C20アルキレン、フェニレン、ナフチレン、C〜Cアルキルで置換されたフェニレン、モノウレタン(C〜C20)アルキレン、ポリウレタン(C〜C20)アルキレン、モノエステル(C〜C20)アルキレン、ポリエステル(C〜C20)アルキレン、モノカーボネート(C〜C20)アルキレン、ポリカーボネート(C〜C20)アルキレン、ポリシラニレン、ポリシロキサニレンおよびこれらの混合物から選択され、少なくとも1つの置換基は、フォトクロミック材料のアリール基に結合する、フェニル;
(iii)Xが上記のとおりである−CH(CN)および−CH(COOX
(iv)XおよびXが上記のとおりである−CH(X)(X);
(v)非置換、一置換、二置換、もしくは三置換のアリール基であって、例えば、フェニル、ナフチル、フェナントリル、もしくはピレニル;9−ユロリジニル;または非置換、一置換もしくは二置換のヘテロ芳香族基であって、ピリジル、フラニル、ベンゾフラン−2−イル、ベンゾフラン−3−イル、チエニル、ベンゾチエン−2−イル、ベンゾチエン−3−イル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾリル、ベンゾピリジル、インドリニル、およびフルオレニルから選択され;これらの置換基は、各存在について、
(A)上記式Iにより表される延長剤L;
(B)Xが上記のとおりである−C(O)X
(C)アリール、ハロアリール、C〜Cシクロアルキルアリール;およびC〜C12アルキルもしくはC〜C12アルコキシで一置換もしくは二置換されているアリール基;
(D)C〜C12アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルキルオキシ(C〜C12)アルキル、アリール(C〜C12)アルキル、アリールオキシ(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルキル、ジ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルキル、ジ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルキル、ハロアルキル、およびモノ(C〜C12)アルコキシ(C〜C12)アルキル;
(E)C〜C12アルコキシ、C〜Cシクロアルコキシ;シクロアルキルオキシ(C〜C12)アルコキシ;アリール(C〜C12)アルコキシ、アリールオキシ(C〜C12)アルコキシ、モノ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルコキシ、ジ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルコキシ、モノ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルコキシ、またはジ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルコキシ;
(F)アミド、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、ピペラジノ、N−(C〜C12)アルキルピペラジノ、N−アリールピペラジノ、アジリジノ、インドリノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、テトラヒドロキノリノ、テトラヒドロイソキノリノ、ピロリジル、ヒドロキシ、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、およびハロゲン;
(G)Xが上記のとおりである−OXおよび−N(X
(H)X11が上記のとおりである−SX11
(I)上記式iにより表される窒素含有環;ならびに
(J)上記式iiまたは式iiiのうちの一方により表される基;
から独立して選択されるもの;
(vi)ピラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、ピロリジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フェナジニルおよびアクリジニルから選択される、非置換または一置換の基であって、各置換基は、延長剤L、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、アミノまたはハロゲンから独立して選択される、基;
(vii)上記式ivまたは式vのうちの一方により表される基;ならびに
(viii)上記式viにより表される基。
【0054】
あるいは、BとB’とは一緒になって、
(a)非置換、一置換もしくは二置換のフルオレン−9−イリデンであって、このフルオレン−9−イリデンの置換基の各々は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、フルオロおよびクロロから選択される、フルオレン−9−イリデン;
(b)飽和C〜C12スピロ単環式炭化水素環であって、例えば、シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、シクロオクチリデン、シクロノニリデン、シクロデシリデン、シクロウンデシリデン、シクロドデシリデン;
(c)飽和C〜C12スピロ二環式炭化水素環であって、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプチリデン(すなわち、ノルボルニリデン)、1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプチリデン(すなわち、ボルニリデン)、ビシクロ[3.2.1]オクチリデン、ビシクロ[3.3.1]ノナン−9−イリデン、ビシクロ[4.3.2]ウンデカン;あるいは
(d)飽和C〜C12スピロ三環式炭化水素環であって、例えば、トリシクロ[2.2.1.02,6]ヘプチリデン、トリシクロ[3.3.1.13,7]デシリデン(すなわち、アダマンチリデン)、およびトリシクロ[5.3.1.12,6]ドデシリデン、
を形成し得る。さらに、以下でより詳細に議論される種々の非限定的な実施形態によれば、BおよびB’は、一緒になって、インドリノまたはベンゾインドリノを形成し得、これは非置換であるか、またはRにより表される少なくとも1つの基で置換される。
【0055】
式IIを再度参照すると、種々の非限定的な実施形態によれば、「i」は、0から、A上の利用可能な位置の合計までから選択される整数であり得、そして各Rは、各存在について、
(i)式I(上記)により表される延長剤Lおよび
(ii)R(上記)により表される基
から独立して選択され得る。ただし、式IIにより表されるフォトクロミック二色性化合物は、上記式Iにより表される少なくとも1つの延長剤(L)を含む。
【0056】
従って、例えば、式IIにおいて、「i」は、少なくとも1であり得、そしてR基のうちの少なくとも1つは、延長剤Lであり得る。さらに、あるいは代替的に、フォトクロミック二色性化合物は、延長剤Lで置換された、少なくとも1つのR基、少なくとも1つのB基、または少なくとも1つのB’基を含み得る。従って、例えば、限定ではなく、Lは、例えばピラン基に直接結合し得(この場合iは少なくとも1でありRはLである)、またはLは、例えば、R、B、またはB’基上の置換基としてピラン基に間接的に結合し得、その結果、Lが活性化状態のピラン基を延長し、その結果、このフォトクロミック化合物の吸収率が、延長していないピラン基と比較して増強される。例えば、本明細書中で限定しないが、B基またはB’基は、延長剤Lで一置換されたフェニル基であり得る。
【0057】
例えば、種々の非限定的な実施形態によれば、フォトクロミック二色性化合物は、式III:
【0058】
【化8】


により表されるナフト[1,2−b]ピランであり得る。式IIIにおいて、(a)6位のR置換基、8位のR置換基、BおよびB’のうちの少なくとも1つが、延長剤Lを含むか;(b)6位のR置換基が5位のR置換基と一緒になって、式x〜式xiv:
【0059】
【化9】


のうちの1つにより表される基を形成し、Kは、−O−、−S−、−N(X)−;および非置換のCまたはアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、オキソ、もしくはアリールで置換されたCから選択され;K’は、−C−、−O−、または−N(X)−であり;K”は、−O−または−N(X)−から選択され;X25は、Rにより表される基(上に詳細に記載される)であり;X26は、水素、アルキル、アリールから選択され得るか、または一緒になってベンゾもしくはナフトを形成し得;そして各X27は、アルキルおよびアリールから選択されるか、または一緒になってオキソであり;ただし、8位のR置換基、X25、K、K’、K”、BまたはB’のうちの少なくとも1つは、延長剤Lを含むか;あるいは(c)6位のR置換基が7位のR置換基と一緒になって、ベンゾおよびナフトから選択される芳香族基を形成し、ただし、8位のR置換基、BおよびB’のうちの少なくとも1つが、延長剤Lを含む。
【0060】
さらに、他の非限定的な実施形態によれば、フォトクロミック二色性化合物は、式IV:
【0061】
【化10】


により表されるインデノ縮合ナフト[1,2−b]ピランであり得、式IVにおいて、Kは、上記のとおりであり、そして11位のR置換基、7位のR置換基、K、BおよびB’のうちの少なくとも1つは、延長剤Lを含む。さらに、1つの具体的な非限定的な例によれば、11位のR置換基および7位のR置換基のうちの少なくとも1つが、延長剤Lである。
【0062】
他の非限定的な実施形態によれば、フォトクロミック二色性化合物は、式V:
【0063】
【化11】


により表されるナフト[2,1−b]ピランであり得、式Vにおいて、そして6位のR置換基、7位のR置換基、B、およびB’のうちの少なくとも1つは、延長剤Lを含む。より具体的には、1つの非限定的な例によれば、6位のR置換基および7位のR置換基のうちの少なくとも1つが、延長剤Lである。
【0064】
さらに、なお他の非限定的な実施形態によれば、フォトクロミック二色性化合物は、式VI:
【0065】
【化12】


により表される構造を含むベンゾピランであり得る。式VIにおいて、(a)5位のR置換基、7位のR置換基、BまたはB’のうちの少なくとも1つは、延長剤Lを含むか;あるいは(b)5位のR置換基および7位のR置換基が、すぐ隣にあるR置換基と一緒になって(すなわち、7位のR置換基は、6位もしくは8位のR置換基と一緒になって、または5位のR置換基は、6位のR置換基と一緒になって)、式x〜式xiv(上記)により表される基を形成し、ただし、5位のR置換基および7位のR置換基のうちの一方のみが、6位のR置換基と結合し、そして5位のR置換基、7位のR置換基、X25、K、K’、K”、BまたはB’のうちの少なくとも1つは、延長剤Lを含む。
【0066】
本発明の配向ポリマーシートにおいて使用するために適切な具体的なフォトクロミック二色性化合物の非限定的な例は、米国特許出願公開第2005/0012998号の第[0089]段落〜第[0151]段落(その特定した部分は本明細書中に参考として援用される)に開示されるものを含んだ。
【0067】
本発明の種々の実施形態において使用され得るフォトクロミック二色性材料を形成するための一般的な反応順序は、米国特許出願公開第2005/0012998号の第[0252]段落〜第[0339]段落(その特定した部分は本明細書中に参考として援用される)に開示されている。
【0068】
明らかに、所望であれば、本発明のポリマーシートは、複数のフォトクロミック二色性化合物を含み得る。本明細書中で限定しないが、2つ以上のフォトクロミック二色性化合物が組み合わせて使用される場合、これらのフォトクロミック二色性化合物は、所望の色または色相を生じるように互いに補色になるように選択され得る。例えば、フォトクロミック二色性化合物の混合物は、本明細書中に開示される特定の非限定的な実施形態に従って、特定の活性化色(例えば、中間色に近い灰色または中間色に近い茶色)を得るために使用され得る。例えば、米国特許第5,645,767号の第12欄第66行〜第13欄第19行を参照のこと。その開示は、本明細書中に参考として特に援用される。これは、中間色の灰色および茶色を定義するパラメータを記載する。さらに、または代替的に、ポリマーシートは、相補的な直線偏光状態を有するフォトクロミック二色性化合物の混合物を含み得る。例えば、フォトクロミック二色性化合物は、所望の波長範囲にわたって相補的な直線偏光状態を有するように選択され得、所望の波長範囲にわたって光を偏光させ得るポリマーシートを生じる。なおさらに、同じ波長において本質的に同じ偏光状態を有する補色のフォトクロミック二色性化合物の混合物が、達成される全体的な直線偏光を強化または増強するために選択され得る。例えば、1つの非限定的な実施形態によれば、第一の状態および第二の状態を有する配向ポリマーシートは、少なくとも2つの少なくとも部分的に整列したフォトクロミック二色性化合物を含み得、これらの少なくとも2つの少なくとも部分的に整列したフォトクロミック二色性化合物は、補色および相補的な直線偏光状態のうちの少なくとも一方を有する。
【0069】
さらに、本発明のポリマーシートを調製するために使用されるポリマー組成物は、広範な種々の添加剤のうちのいずれかを含み、このポリマーシートの処理および/または性能特性のうちの1つ以上に影響を与え得るかまたは増強し得る。このような添加剤の非限定的な例としては、染料、二色性染料、フォトクロミック染料、整列促進剤、運動増強添加剤、光開始剤、熱開始剤、重合防止剤、溶媒、光安定剤(例えば、紫外光吸収剤および光安定剤(例えば、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)であるが、これらに限定されない)、熱安定剤、離型剤、レオロジー制御剤、レベリング剤(例えば、界面活性剤であるがこれに限定されない)、フリーラジカル捕捉剤、および接着促進剤(例えば、ヘキサンジオールジアクリレートおよび/または結合剤)が挙げられ得る。
【0070】
使用され得る適切な染料の非限定的な例としては、所望の色または他の光学特性を少なくとも部分的なコーティングに付与し得る有機染料が挙げられる。
【0071】
本明細書中で使用される場合、用語「整列促進剤」とは、この添加剤が添加される材料の整列の速度および均一性のうちの少なくとも1つを容易にし得る添加剤を意味する。
【0072】
本発明によるポリマーシート中に存在し得る運動増強添加剤の非限定的な例としては、エポキシ含有化合物、有機ポリオール、および/または可塑剤が挙げられ得る。このような運動増強添加剤のより具体的な例は、米国特許第6,433,043号および米国特許出願公開第2003/0045612号に開示されており、これらは、本明細書中に参考として特に援用される。
【0073】
本発明によるポリマーシートを構成し得る光開始剤の非限定的な例としては、切断型光開始剤および引抜き型光開始剤が挙げられ得る。切断形光開始剤の非限定的な例としては、アセトフェノン、α−アミノアルキルフェノン、ベンゾインエーテル、ベンゾイルオキシム、アシルホスフィンオキシドおよびビスアシルホスフィンオキシド、またはこのような開始剤の混合物が挙げられる。このような光開始剤の市販の例は、DAROCURE(登録商標)4265であり、これは、Ciba Chemicals,Inc.から入手可能である。引抜き型光開始剤の非限定的な例としては、ベンゾフェノン、Michlerケトン、チオキサントン、アントラキノン、ショウノウキノン、フルオロン、ケトクマリン、またはこのような開始剤の混合物が挙げられる。
【0074】
本発明によるポリマーシートを構成し得る光開始剤の別の非限定的な例は、可視光光開始剤である。適切な可視光光開始剤の非限定的な例は、米国特許第6,602,603号の第12欄第11行〜第13欄第21行に記載されており、これは、本明細書中に参考として特に援用される。
【0075】
熱開始剤の非限定的な例としては、有機ペルオキシ化合物およびアゾビス(オルガノニトリル)化合物が挙げられ得る。熱開始剤として有用な有機ペルオキシ化合物の具体的な非限定的な例としては、ペルオキシ一炭酸エステル(例えば、第三級ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート);ペルオキシ二炭酸エステル(例えば、ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ(第二級ブチル)ペルオキシジカーボネートおよびジイソプロピルペルオキシジカーボネート);ジアシルペルオキシド(例えば、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、プロピオニルペルオキシド、アセチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシおよびp−クロロベンゾイルペルオキシド);ペルオキシエステル(例えば、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシオクチレートおよびt−ブチルペルオキシイソブチレート);メチルエチルケトンペルオキシド、およびアセチルシクロヘキサンスルホニルペルオキシドが挙げられる。1つの非限定的な実施形態において、使用される熱開始剤は、得られる重合体を変色させない開始剤である。熱開始剤として使用され得るアゾビス(オルガノニトリル)化合物の非限定的な例としては、アゾビス(イソブチロニトリル)、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)またはこれらの混合物が挙げられる。
【0076】
重合防止剤の非限定的な例としては、ニトロベンゼン、1,3,5−トリニトロベンゼン、p−ベンゾキノン、クロラニル、DPPH、FeCl、CuCl、酸素、硫黄、アニリン、フェノール、p−ジヒドロキシベンゼン、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、2,4,6−トリメチルフェノール、ならびにヒドロキノンおよびその誘導体が挙げられ得る。
【0077】
また、本発明のポリマーシートは、少なくとも1つの従来の二色性化合物をさらに含み得る。適切な従来の二色性化合物の非限定的な例としては、アゾメチン、インジゴイド、チオインジゴイド、メロシアニン、インダン、キノフタロニック染料、ペリレン、フタロペリレン、トリフェノジオキサジン、インドロキノキサリン、イミダゾトリアジン、テトラジン、アゾ染料、ポリ(アゾ)染料、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントロキノン、(ポリ)アントロキノン、アントロピリミジノン、ヨウ素およびヨウ素酸塩が挙げられる。二色性材料はまた、重合性二色性化合物を含み得る。すなわち、この二色性材料は、少なくとも1つの重合し得る基(すなわち、「重合性基」)を含み得る。例えば、本明細書中で限定しないが、1つの非限定的な実施形態において、少なくとも1つの二色性化合物は、少なくとも1つの重合性基を末端とする少なくとも1つのアルコキシ置換基、ポリアルコキシ置換基、アルキル置換基、またはポリアルキル置換基を有し得る。
【0078】
なおさらに、本発明のポリマーシートは、少なくとも1つの従来のフォトクロミック化合物を含み得る。本明細書中で使用される場合、用語「従来のフォトクロミック化合物」は、熱可逆的フォトクロミック化合物と非熱可逆的(または光可逆的)フォトクロミック化合物との両方を包含する。一般に、本明細書中で限定しないが、2つ以上の従来のフォトクロミック材料が、互いにかまたはフォトクロミック二色性化合物と組み合わせて使用される場合、種々の材料は、所望の色または色相を生じるように、互いに補色であるように選択され得る。例えば、フォトクロミック化合物の混合物は、本明細書中に開示される特定の非限定的な実施形態に従って、特定の活性化色(例えば、中間色に近い灰色または中間色に近い茶色)を得るために使用され得る。例えば、米国特許第5,645,767号の第12欄第66行〜第13欄第19行を参照のこと。その開示は、本明細書中に参考として特に援用される。これは、中間色の灰色および茶色を定義するパラメータを記載する。
【0079】
いくつかの例において、本発明のポリマーシートを形成するために使用されるフォトクロミック組成物は、溶媒を含み得る。本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態によるポリマーシートを調製するために使用され得る溶媒の非限定的な例としては、本明細書中以下に記載されるように、このポリマーシートが調製されるポリマー組成物の固体構成要素を溶解する溶媒、このポリマーシートの(例えば、溶媒キャスティングまたは押出しによる)形成を容易にする溶媒、シート、支持層ならびに要素および基材と適合性である溶媒が挙げられる。このような溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートおよびその誘導体(DOWANOL(登録商標)産業用溶媒として販売されている)、アセトン、プロピオン酸アミル、アニソール、ベンゼン、酢酸ブチル、シクロヘキサン、エチレングリコールのジアルキルエーテル(例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテルおよびその誘導体(CELLOSOLVE(登録商標)産業用溶媒として販売されている))、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメトキシベンゼン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピオン酸メチル、炭酸プロピレン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、2−メトキシエチルエーテル、3−プロピレングリコールメチルエーテル、およびこれらの混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0080】
一般に、上記ポリマーのうちのいずれかを含むポリマー組成物、フォトクロミック二色性化合物、および添加剤は、一緒にブレンドされ得、次いで当該分野において公知である種々の処理技術のうちのいずれかに供されて、本発明のポリマーシートを形成し得る。このような技術としては、例えば、押出し、溶媒キャスティング、カレンダリング、吹き込み、成形、またはこのような技術の組み合わせが挙げられ得る。あるいは、上記ポリマーのうちのいずれかを含むポリマー組成物および添加剤が一緒にブレンドされ得、そして当該分野において公知である種々の処理技術のうちのいずれかに供されて、ポリマーシートを形成し得る。一旦、このポリマーシートが形成されると、フォトクロミック二色性材料を含む溶液が、例えば当該分野において周知である吸収プロセスによりこのシートに組み込まれ得、次いで、この吸収されたポリマーシートが配向させられて、フォトクロミック二色性材料を整列させ得る。
【0081】
先に記載したように、一旦形成されると、フォトクロミック二色性材料を含むポリマーシートは、当該分野において公知である種々の方法のいずれかによって配向させられて、フォトクロミック二色性材料を整列させる。例えば、このポリマーシートは、延伸、カレンダリング、押し出し、吹き込み、成形、または上記配向技術のうちの任意の組み合わせによって配向させられ得る。シートが調製されるポリマー組成物に依存して、このポリマーシートは、例えば、押出しプロセス自体によってシートが同時に押出しおよび配向される場合、押出しによって、一工程で形成および配向され得ることが理解されるべきである。本発明の特定の実施形態において、このポリマーシートは、延伸および/または押出しによって配向される。
【0082】
このように形成された配向ポリマーシートは、次いで、当該分野において公知である種々の固定手段のうちのいずれかによって、その配向された構成に固定され得る。例えば、延伸により配向されたポリマーシートは、その配向された構成に固定されて、機械的固定手段により(例えば、クランプの使用により)その延伸前の構成にこのシートが回復することを防止し得る。他の手段としては、熱固定または熱アニーリング(すなわち、加熱による配向ポリマーシートの固定)が挙げられ得る。ポリマーシートが反応性(例えば、架橋性)ポリマー構成要素から調製される場合、このシートは、これらの構成要素が反応しないような様式で、例えば、押出しまたは溶媒キャスティングによって形成され得る。一旦形成されると、このポリマーシートは配向され得、次いで、そのポリマー構成要素を反応させる(例えば、自己架橋を含めて架橋させる)ことによって、その配向構成に固定され得る。例えば、このような架橋は、配向シートを、任意の反応性ポリマー構成要素の官能基の反応を促進する条件に供すること(例えば、配向シートを熱または放射線(化学線(紫外放射線)および/もしくは電離放射線(電子線))に曝露すること)によって引き起こされ得る。また、配向ポリマーシートが(以下に記載されるような)多層複合材において使用される場合、少なくとも支持層との積層もまた、ポリマーシートをその配向構成に固定するのに役立ち得る。さらなる実施形態において、配向ポリマーシートは、熱形成され得、そして冷却の際にその配向構成に固定され得る。
【0083】
配向ポリマーシートを調製するために使用される構成要素、このポリマーシートを形成するために使用される方法、およびその所望の最終用途に依存して、本発明の配向ポリマーシートは、広範な厚さを有し得る。一般に、この配向ポリマーシートは、2マイクロメートル〜3000マイクロメートル、例えば、10マイクロメートル〜1000マイクロメートル、または20マイクロメートル〜500マイクロメートル、または25マイクロメートル〜100マイクロメートルの範囲の厚さを有する。
【0084】
先に記載したように、本発明はまた、少なくとも支持層、およびフォトクロミック材料を含む配向ポリマーシート(例えば、上記配向ポリマーシートのうちのいずれか)を備える多層複合材に関し、このシートは、活性化状態において二色性を示す。この配向ポリマーシートは、2つの反対側の表面を有し、そしてこのシートの少なくとも一方の表面は、この支持層の少なくとも一部分に接続されている。フォトクロミック二色性材料は、上記フォトクロミック二色性材料のうちのいずれかを含み得る。本発明の1つの実施形態において、このフォトクロミック二色性材料は、少なくとも化学線に応答して、第一の状態から第二の状態へと移行するように適合されており、そして少なくともこの第二の状態において、少なくとも透過放射線を直線偏光させるように適合されている。
【0085】
本明細書中で使用される場合、用語「接続される」とは、物体との直接的な接触、または1つ以上の他の構造体もしくは材料(そのうちの少なくとも1つは物体と直接接触している)を介しての物体との間接的な接触を意味する。従って、本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態によれば、配向ポリマーシートは、支持層(すなわち、基材)の少なくとも一部分と直接接触し得るか、または1つ以上の他の構造体もしくは材料を介して、支持層(または、基材)の少なくとも一部分と間接的に接触し得る。例えば、本明細書中で限定しないが、配向ポリマーシートは、1つ以上のコーティング、他のポリマーシート、またはこれらの組み合わせ(これらのうちの少なくとも1つは、支持層(または、基材)の少なくとも一部分と直接接触している)と接触し得る。
【0086】
一般的に言えば、本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態による多層複合材の支持層(すなわち、基材)としては、有機材料、無機材料、またはこれらの組み合わせ(例えば、複合材料)から形成された基材が挙げられ得るが、これらに限定されない。本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態に従って使用され得る基材の非限定的な例は、以下により詳細に記載される。
【0087】
本明細書中に開示される支持層または基材を形成するために使用され得る有機材料の具体的な非限定的な例としては、米国特許第5,962,617号および米国特許第5,658,501号の第15欄第28行〜第16欄第17行(これらの米国特許の開示は、本明細書中に参考として特に援用される)に開示されるモノマーおよびモノマー混合物から調製された、ポリマー材料(例えば、ホモポリマーおよびコポリマー)が挙げられる。例えば、このようなポリマー材料は、熱可塑性ポリマー材料であっても熱硬化性ポリマー材料であってもよく、透明であっても光学的にクリアであってもよく、そして必要とされる任意の屈折率を有し得る。このような開示されたモノマーおよびポリマーの非限定的な例としては、ポリオール(アリルカーボネート)モノマー(例えば、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)などのアリルジグリコールカーボネートであり、このモノマーは、PPG Industries,Inc.によって商標CR−39の元で販売されている);ポリウレア−ポリウレタン(ポリウレアーウレタン)ポリマー(例えば、ポリウレタンプレポリマーとジアミン硬化剤とを反応させることにより調製され、1つのこのようなポリマーのための組成物は、商標TRIVEXの元でPPG Industries,Inc.により販売されている);ポリオール(メタ)アクリロイル末端を有するカーボネートモノマー;ジエチレングリコールジメタクリレートモノマー;エトキシ化フェノールメタクリレートモノマー;ジイソプロペニルベンゼンモノマー;エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマー;エチレングリコールビスメタクリレートモノマー;ポリ(エチレングリコール)ビスメタクリレートモノマー;ウレタンアクリレートモノマー;ポリ(エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート);ポリ(酢酸ビニル);ポリ(ビニルアルコール);ポリ(塩化ビニル);ポリ(塩化ビニリデン);ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリウレタン;ポリチオウレタン;熱可塑性ポリカーボネート(例えば、ビスフェノールAとホスゲンとから誘導されるカーボネート結合樹脂であって、1つのこのような材料は、商標LEXANの元で販売されている);ポリエステル(例えば、商標MYLARの元で販売されている材料);ポリ(エチレンテレフタレート);ポリビニルブチラール;ポリ(メタクリル酸メチル)(例えば、商標PLEXIGLASの元で販売されている材料)、ポリオレフィン性材料(例えば、ポリ(環状)オレフィンおよびそのコポリマーであって、例えば、商品名ARTONの元でUSR Corporationから市販されている材料、および商品名ZEONORFILMの元でZeon Chemicals L.P.から市販されている材料);ポリアミド;および多官能性イソシアネートをポリチオールまたはポリエピスルフィドモノマーと反応させることにより調製されるポリマーであって、単独重合されたか、またはポリチオール、ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネート、および必要に応じてエチレン性不飽和モノマーまたはハロゲン化芳香族含有ビニルモノマーと共重合および/もしくは三元重合されたポリマーが挙げられる。このようなモノマーのコポリマー、ならびに記載されたポリマーおよびコポリマーと他のポリマー(例えば、ブロックコポリマーまたは相互侵入網目生成物を形成するため)とのブレンドもまた企図される。
【0088】
本明細書中で限定しないが、本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態によれば、基材は、眼用基材であり得る。本明細書中で使用される場合、用語「眼用基材」とは、レンズ、部分的に形成されたレンズ、およびレンズブランクを意味する。本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態による眼用基材を形成する際に使用するために適切な有機材料の非限定的な例としては、眼用基材として有用な、当該分野において認識されたポリマー(例えば、光学用途のための光学的にクリアなキャスティング(例えば、眼用レンズ)を調製するために使用される有機光学樹脂)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態による基材を形成する際に使用するために適切な有機材料の他の非限定的な例としては、合成有機材料と天然有機材料との両方が挙げられ、半透明または透明なポリマー材料(例えば、商品名TESLINの元でPPG Industries,Inc.によって販売されている、細孔性ポリオレフィン合成印刷シート、天然織物、合成織物、およびセルロース材料(例えば、紙および木材)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態よる基材を形成する際に使用するために適切な無機材料の非限定的な例としては、ガラス、鉱物、セラミック、および金属が挙げられる。例えば、1つの非限定的な実施形態において、この基材は、ガラスを含み得る。他の非限定的な実施形態において、この基材は、反射性表面を有し得、例えば、研磨されたセラミック基材、金属基材、または鉱物基材であり得る。他の非限定的な実施形態において、反射性のコーティングまたは層が、無機基材または有機基材の表面に堆積または他の様式で適用されて、この基材を反射性にし得るか、またはその反射性を増強し得る。
【0091】
支持層または基材は、例えば、化学エッチングまたはプラズマ処理によって、あるいは苛性溶液の適用によって予備処理され、この支持層または基材へのポリマーシートの接着を増強し得る。
【0092】
さらに、本明細書中に開示される特定の非限定的な実施形態によれば、これらの基材は、保護コーティング(例えば、耐磨耗コーティング(例えば、「ハードコート」)であるがこれに限定されない)を、その外側表面に有し得る。例えば、市販の熱可塑性ポリカーボネート眼用レンズ基材は、しばしば、耐磨耗コーティングがその外側表面にすでに塗布された状態で販売されている。なぜなら、これらの表面は、容易に引っかき傷が付くか、磨耗するか、または傷む傾向があるからである。このようなレンズの例は、GENTEXTMポリカーボネートレンズ(Gentex Opticsから入手可能)である。従って、本明細書中で使用される場合、用語「支持層」または「基材」は、1つ以上の保護コーティング(例えば、耐磨耗コーティングであるがこれに限定されない)をその表面に有する支持層または基材を包含する。
【0093】
なおさらに、本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態による支持層または基材は、着色されていない基材、着色された基材、直線偏光基材、円偏光基材、楕円偏光基材、フォトクロミック基材、または着色フォトクロミック基材であり得る。基材に関して本明細書中で使用される場合、用語「着色されていない」とは、着色剤(例えば、従来の染料であるがこれに限定されない)の添加が本質的になく、そして化学線に応答して有意には変化しない可視放射線に対する吸収スペクトルを有する基材を意味する。さらに、基材に関して、用語「着色された」とは、着色剤(例えば、従来の染料であるがこれらに限定されない)の添加を有し、そして化学放射線に応答して有意には変動しない可視放射線に対する吸収スペクトルを有する基材を意味する。
【0094】
本発明の非限定的な実施形態において、配向ポリマーシートは、支持層または基材の少なくとも一部分に接続され、この支持層または基材は、ポリカーボネート、ポリ(環状)アルケン、ポリウレタン、ポリ(ウレア)ウレタン、ポリチオウレタン、ポリチオ(ウレア)ウレタン、ポリオール(アリルカーボネート)、これらのコポリマー、またはこれらの混合物を含む。さらなる非限定的な実施形態において、この支持層は、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(ウレア)ウレタン、ポリチオウレタン、ポリチオ(ウレア)ウレタン、ポリスルホン、ポリオレフィン、ポリアミド、これらのコポリマー、および/またはこれらの混合物を含む。
【0095】
多層複合材は、ポリマーシートの少なくとも一部分に接続された保護層をさらに備え得、その結果、このポリマーシートは、この保護層と支持層(または、基材)との間に挟まれる。この保護層は、上記ポリマーシートのうちのいずれかを含む1つ以上のポリマーシートを含み得る。この保護層はまた、支持層または基材として使用するために適切な、先に記載された材料のいずれかからなる1つ以上のシートを含み得る。さらに、この保護層は、1つ以上のコーティング(例えば、耐磨耗コーティング、酸素障壁コーティング、UV遮蔽コーティング、反射防止コーティング、曇り防止コーティング、ミラーコーティング、またはこれらの組み合わせ)を含み得る。さらに、この保護層は、1つ以上のシート(例えば、ポリマーシート)、およびこのシートの表面の少なくとも一部分に適用された1つ以上のコーティングを、任意の組み合わせで含み得る。
【0096】
さらに、いくつかの用途については、支持層(または、基材)および保護層のうちの一方または両方は、複屈折性ではない。本発明の目的で、「複屈折性ではない」とは、支持層および保護層のうちの一方または両方が、非常に低い(0.006未満)〜低い(0.006〜0.05)複屈折を有することを意味する。
【0097】
1つの非限定的な実施形態において、本発明は、先に記載された多層複合材のうちのいずれかを含む光学要素に関する。本明細書中で使用される場合、用語「光学」とは、光および/または視力に関与または関連することを意味する。例えば、本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態によれば、光学要素または光学デバイスは、眼用要素およびデバイス、ディスプレイ要素およびデバイス、窓、ミラー、ならびに能動および受動液晶セル要素およびデバイスから選択され得る。
【0098】
本明細書中で使用される場合、用語「眼用」とは、眼および視力に関与または関連することを意味する。眼用要素の非限定的な例としては、矯正および非矯正レンズ(単焦点レンズまたは多焦点レンズ(多焦点レンズは、セグメント多焦点レンズであっても非セグメント多焦点レンズ(例えば、二焦点レンズ、三焦点レンズ、および累進レンズであるが、これらに限定されない)であってもいずれでもよい)を含む)、ならびに視力を(美容上またはその他のために)矯正、保護、または強化するために使用される他の要素(コンタクトレンズ、眼内レンズ、拡大レンズ、保護レンズ、またはバイザーが挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられる。本明細書中で使用される場合、「ディスプレイ」とは、単語、数字、記号、意匠または図としての情報の視覚提示または機械読み取り可能な提示を意味する。ディスプレイ要素およびデバイスの非限定的な例としては、スクリーン、モニタ、およびセキュリティー要素が挙げられる。セキュリティー要素の非限定的な例としては、基材(例えば、アクセスカードおよび通行許可証(例えば、切符、バッジ、身分証明書、会員証、デビットカードなど);換金可能な証書および換金不可能な証書(例えば、為替手形、小切手、証文、紙幣、預金証明書、株券など);政府の文書(例えば、通貨、免許証、身分証明書、給付金カード、入国許可証、パスポート、公文書、証書など);消費財(例えば、ソフトウェア、コンパクトディスク(「CD」)、デジタルビデオディスク(「DVD」)、電気製品、消費エレクトロニクス、スポーツ用品、車など);クレジットカード;ならびに商品のタグ、ラベルおよびパッケージであるが、これらに限定されない)の少なくとも一部分に接続されたセキュリティーマークおよび認証マークが挙げられ得る。
【0099】
例えば、1つの非限定的な実施形態において、ディスプレイ要素は、基材の少なくとも一部分に接続されたセキュリティー要素であり得る。この非限定的な実施形態によれば、このセキュリティー要素は、上記多層複合材のうちのいずれかを含む。このセキュリティー要素は、セキュリティーマークおよび/または認証マークであり得る。
【0100】
さらに、セキュリティー要素は、光学的に透明な基材(支持層)、光学的に不透明な基材(支持層)および/または反射性基材(支持層)から選択される支持層の少なくとも一部分に接続され得る。この基材は、本発明の多層複合材の支持層または基材の材料に関して上に詳細に記載された材料のうちのいずれかを含み得る。反射性基材が必要とされる特定の非限定的な実施形態によれば、この基材が反射性ではない場合、または意図される用途のために充分には反射性ではない場合、反射性材料が最初にこの基材の少なくとも一部分に適用され得、その後、そこにセキュリティーマークが適用される。例えば、反射性アルミニウムコーティングが基材の少なくとも一部分に適用され得、その後、そこにセキュリティー要素が形成され得る。なおさらに、セキュリティー要素は、着色されていない基材、着色された基材、フォトクロミック基材、着色されたフォトクロミック基材、直線偏光基材、円偏光基材、および/または楕円偏光基材から選択される基材(支持層)の少なくとも一部分に接続され得る。
【0101】
1つの実施形態において、本発明は、光学的に不透明な材料(例えば、細孔性の合成印刷シート(例えば、商品名TESLINの元でPPG Industries,Inc.から市販されている、無機粒子充填材料を含む細孔性ポリオレフィンシート)、および線状に配向した繊維の形態の本発明による配向ポリマーシートを備える、セキュリティー要素に関する。
【0102】
本明細書中で使用される場合、用語「窓」とは、放射線の透過を可能にするように適合された開口部分を意味する。窓の非限定的な例としては、自動車および航空機の透明部品、フィルタ、シャッター、および光学スイッチが挙げられる。本明細書中で使用される場合、用語「ミラー」とは、入射光の大部分を鏡面反射する表面を意味する。
【0103】
本明細書中で使用される場合、用語「液晶セル」とは、順序付けられ得る液晶材料を含む構造体をいう。能動液晶セルとは、液晶材料が外力(例えば、電場または磁場)の適用によって、順序付けられた状態と順序付けられていない状態との間、または2つの順序付けられた状態の間で切り替わり得るセルである。受動液晶セルとは、液晶材料が順序付けられた状態を維持するセルである。能動液晶セル要素またはデバイスの1つの非限定的な例は、液晶ディスプレイである。
【0104】
本発明の多層複合材(すぐ上に記載され多様な多層複合材を含む光学要素を含む)の調製において、フォトクロミック二色性材料を含む配向ポリマーシートが、支持層または基材の少なくとも一部分に、当該分野において公知である広範な種々の技術のうちのいずれかによって接続される。例えば、配向ポリマーシートは、積層、融合、インモールドキャスティング、およびポリマーシートを支持層または基材の少なくとも一部分に接着により結合することのうちの少なくとも1つによって、支持層(基材)に接続され得る。本明細書中で使用される場合、インモールドキャスティングは、種々のキャスティング技術(例えば、オーバーモールディング(シートが型に入れられ、そしてこのシートの少なくとも一部分の上に(例えば、キャスティングによって)基材が形成される);および射出成形(基材がシートの周りに形成される)であるがこれらに限定されない)を包含し得る。さらに、ポリマーシートが、基材/支持層の第一の部分(例えば、光学基材)の表面に積層され得、そしてこの基材/支持層の第一の部分が型に入れられ得る。その後、基材/支持層の第二の部分が、この基材/支持層の第一の部分の頂部に(例えば、キャスティングによって)形成され得、その結果、このポリマー層は、基材/支持層の2つの部分の間にくる。
【0105】
本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態が、以下の非限定的な実施例に記載される。
【実施例】
【0106】
(実施例 パートA)
以下の実施例のパート1Aにおいて、本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態による、二色性を示す配向フォトクロミックフィルムを作製するために使用された手順が、実施例1A〜実施例11Aおよび比較例1Aに記載されている。パート2Aにおいて、試験の手順および結果が記載される。
【0107】
(パート1A:フォトクロミック二色性フィルムの調製手順)
(実施例1A)
(工程1−押出し)
ARNITEL(登録商標)EM550 TPE(5g)を、使用前に、減圧オーブン中100℃で少なくとも8時間乾燥させ、そしてPHOTOSOL(登録商標)7−1502フォトクロミック染料(0.5g)を、円錐形二軸スクリュー5ccミニ押出し機(DSM Research,The Netherlands)に添加した。スクリュー速度を、3分間の充填の間、10rpmから25rpmまで次第に増加させ、そして10分間の混合の間、50rpmから100rpmまで次第に増加させた。混合中の圧力は、約600ニュートン/cm(N/cm)〜700N/cmであった。充填中のこのユニットの温度は225℃であり、混合中は230℃であり、そしてポリマーの収集中は240℃であった。混合後、工程1の生成物をアルミニウムカップに収集した。
【0108】
(工程2−圧縮成形)
工程1の生成物を2枚のポリジメチルシロキサンの間に置き、そしてDr.Collin圧縮成形300G(Dr.Collin GmbH,Germany)中で220℃の温度および20バールの圧力で圧縮成形した。この材料を最初に低圧で融解し、その後、圧力を付与した。
【0109】
(工程3−フィルム延伸)
工程2の生成物(圧縮成形したフィルムストリップ)を3cm×1cmの寸法に切断した。これらのサンプルを端部でクランプし、そして100℃に設定したホットシュー(hot shoe)で、延伸比7で(すなわち、元の長さの7倍)延伸した。この延伸したサンプルの両面にパラフィン油を塗布することによって、この延伸したサンプルをガラススライドの間に固定し、光学的接触を確実にし、シアノアクリレートベースの接着剤を各ガラススライドの縁部に塗布し、そしてこれらのガラススライドを一緒に接続した。
【0110】
(実施例2A)
PHOTOSOL(登録商標)7−1513フォトクロミック染料をPHOTOSOL(登録商標)7−1502フォトクロミック染料の代わりに使用したことを除いて、実施例1Aの手順に従った。
【0111】
(実施例3A)
PHOTOSOL(登録商標)7−1515フォトクロミック染料(0.25g)をPHOTOSOL(登録商標)7−1502フォトクロミック染料(0.50g)の代わりに使用したことを除いて、実施例1Aの手順に従った。
【0112】
(実施例4A)
PHOTOSOL(登録商標)7−1570フォトクロミック染料(0.25g)をPHOTOSOL(登録商標)7−1502フォトクロミック染料(0.50g)の代わりに使用し、そして押出し機の温度が235℃ではなく240℃であったことを除いて、実施例1Aの手順に従った。
【0113】
(実施例5A)
PHOTOSOL(登録商標)7−1570フォトクロミック染料をPHOTOSOL(登録商標)7−1502フォトクロミック染料の代わりに使用し、ARNITEL(登録商標)EM400TPEをARNITEL(登録商標)EM550TPEの代わりに使用し、そして220℃ではなく230℃のホットプレス温度を使用したことを除いて、実施例1Aの手順に従った。AおよびBと識別される2つのサンプルを調製した。Aサンプルを延伸比7まで延伸し、そしてBサンプルを延伸比6まで延伸し、そして両方のフィルムを延伸した後に、それぞれ延伸比5および4.5まで弛緩させた。
【0114】
(実施例6A)
PHOTOSOL(登録商標)7−1570フォトクロミック染料をPHOTOSOL(登録商標)7−1502フォトクロミック染料の代わりに使用し、235℃ではなく240℃の押出し機の温度を使用し、そして220℃ではなく235℃のホットプレス温度を使用したことを除いて、実施例1Aの手順に従った。AおよびBと識別される2つのサンプルを調製した。Aサンプルを延伸比7まで延伸し、そしてBサンプルを延伸比6まで延伸し、そして両方のフィルムを延伸した後に、それぞれ延伸比6および5.5まで弛緩させた。
【0115】
(実施例7A)
PHOTOSOL(登録商標)7−1515フォトクロミック染料をPHOTOSOL(登録商標)7−1502フォトクロミック染料の代わりに使用し、ARNITEL(登録商標)EM400TPEをARNITEL(登録商標)EM550TPEの代わりに使用し、そして220℃ではなく230℃のホットプレス温度を使用し、そしてサンプルを延伸比7ではなく6まで延伸したことを除いて、実施例1Aの手順に従った。
【0116】
(実施例8A)
PHOTOSOL(登録商標)7−1515フォトクロミック染料をPHOTOSOL(登録商標)7−1502フォトクロミック染料の代わりに使用し、そしてサンプルを延伸比7ではなく6まで延伸したことを除いて、実施例1Aの手順に従った。
【0117】
(実施例9A)
PHOTOSOL(登録商標)7−1515フォトクロミック染料をPHOTOSOL(登録商標)7−1502フォトクロミック染料の代わりに使用し、ARNITEL(登録商標)EM630TPEをARNITEL(登録商標)EM550TPEの代わりに使用し、そして235℃ではなく240℃の押出し機の温度を使用し、そしてサンプルを延伸比7ではなく6まで延伸したことを除いて、実施例1Aの手順に従った。
【0118】
(実施例10A)
(工程1−押出し)
PHOTOSOL(登録商標)7−1570フォトクロミック染料をARNITEL(登録商標)EM550TPEのポリマーマトリックス中に、重量に基づいて1%の濃度で、逆回転円錐形二軸スクリュー押出し機モデルTW100(HaakeBuchler Instruments Inc.,Germany)で、210℃の温度で、65g/分のスループットで混合し、3kgの生成物を生成した。押し出したポリマーをBarmag EKS6D,Germany製の巻き付けユニットを使用してボビンに巻き付けた。
【0119】
(工程2−顆粒化)
工程1からの繊維を、C.F.Scheer & Cie GmbH & Co製のペレット化システムを使用して、室温で4時間作動させてペレット化し、1.5mmの平均直径および3.5mmの平均長さを有するペレットを生成した。
【0120】
(工程3−フィルム形成)
工程2からのペレットを、一軸スクリュー押出し機(Dr.Collin Teach−line E20Tモデル)を使用して押し出した。この押出し機は、スクリューの始点において200℃、スクリューの中間において240℃、スクリューの終点において250℃、および押出し機の出口において260℃の温度プロフィールを有した。得られた押出し融解物を、冷却ローラモデルTape Postex(Haake TPI,Germany)を使用して、約100ミクロンの厚さを有するフィルムに形成した。この冷却ローラは、押出し機より速い速度で作動し、そして約20℃の温度の水道水を通すことにより冷却された。
【0121】
(工程4−フィルムの延伸)
工程3の生成物をPolymatic machinebouw,The Netherlands製のPolymatic 4Gモデル中の2セットのローラに通し、ここで第二のセットのローラを、第一のセットのローラの速度の7倍で回転させた。これらのローラの間で、150℃に設定された、Polymatic Machinebouw,The Netherlands製のPolymatic熱空気オーブンでこのフィルムを加熱した。延伸後、このフィルムを、Barmag EKS6D,Germany製の巻き付けユニットを使用してボビンに巻き付けた。得られたフィルムは40ミクロンの厚さを有し、最初の延伸比は7であり、弛緩後の延伸比は5.5であった。
【0122】
(実施例11A)
実施例10Aの生成物を、R K Print Coat Instruments Ltd.,United Kingdom製のブレードコーターを使用して、シアノアクリレート接着剤の薄膜でコーティングした。Island Polymer Industries GmbH,Germany製の80ミクロンの厚さを有する三酢酸セルロースフィルムをこの接着剤でコーティングしたフィルムの上部に置き、そして5キログラムの分銅を使用して15分間圧力を付与した。最初の調査は、合理的な程度の接着が得られたことを明らかにした。合理的な接着の評価を、個々のフィルムに塗布された様々な量の接着剤を有する複数のサンプルからの三酢酸セルロースフィルムの剥離の困難の程度によって決定した。
【0123】
(パート2A:フォトクロミック二色性フィルムの試験手順)
実施例1A〜10Aにおいて調製されたサンプルについての吸収率(AR)と退色半減期の両方を、UV−VIS−NIR走査分光光度計モデルUV−3102PC(Schimadzu,The Netherlands)を使用して、以下の手順に従って測定した。実施例1A〜4Aおよび7A〜9Aのサンプルを、一定の延伸比において試験し、そして実施例5−A、6−Aおよび10−Aを、それぞれの弛緩された延伸比で試験した。
【0124】
吸収率を測定する前に、サンプルを、Philips Original Home SolariaからのUV光に、±1.4・10−3W/cmUV Aの強度で10分間曝露した。直線偏光器を分光光度計の測定ビーム中に配置した。各PHOTOSOL(登録商標)フォトクロミック染料についてのピーク波長における吸収極大を、最初に、この偏光器に対して平行なポリマーフィルムの延伸方向で記録し、次いで、この偏光器に対して垂直な延伸方向で記録した。各測定の前に、サンプルを10分間、Home Solariaの前で活性化した。標準ベースライン補正を、サンプルの吸光度からガラススライドおよび油の吸光度を減算することにより実施した。吸収比を、大きいほうの吸収を小さいほうの吸収で除算することにより決定した。
【0125】
退色半減期を、最初にサンプルをPhilips Original Home SolariaからのUV光に10分間曝露し、そして吸収を各PHOTOSOL(登録商標)フォトクロミック染料についてのピーク波長における退色時間の関数として測定することにより、決定した。標準ベースライン補正を、非活性化フィルムの吸光度から活性化サンプルの吸光度を減算することにより行った。これらのデータを、最高吸光度を1.0に設定することにより標準化した。秒単位での退色半減期を、吸光度が0.5になる時間を決定することにより決定した。その結果を表1に列挙する。
【0126】
【表1】


(実施例−パートB)
以下の実施例のパート1Bにおいて、フォトクロミック延伸フィルムを作製するために使用した手順、および本明細書中に開示される種々の非限定的な実施形態によるレンズへの引き続いての積層または適用を、実施例1B〜実施例9Bに記載する。パート2Bにおいて、吸収率試験方法および結果を記載する。
【0127】
(パート1B:フォトクロミック二色性フィルムの調製手順)
(実施例1B)
(工程1−ストランドの押出し)
PEBAX(登録商標)5533樹脂SA01ペレットを、メインホッパに通して1.0の機械設定(1分間あたり約49.5立方センチメートル(cm)を送達すると測定された)で二軸スクリュー配合機(APV Baker Ltd製のマシンタイプNEF 970054 701/1)に、ストランドダイスを使用して供給した。この配合機のスクリュー速度は、1分間あたり100回転(rpm)であり、そしてこのメインホッパからこのダイスまでの温度プロフィールは、170℃、180℃、190℃、200℃、210℃、215℃、および209℃であった。出てきたストランドを、約14℃の温度を有する水浴で冷却した。水浴を取り除き、過剰の水をエアナイフ(Siemens製のモデルELMO−G 2BH1300−1AA11)を使用して冷却したストランドから除去した。次いで、冷却したストランドをC.F.Scheer & Cie GmbH & Co.製の顆粒化機モデルSGS50−E(2.5の機械設定に設定した)に通し、元のペレットと類似の大きさの顆粒を生成した。顆粒は元のペレットと類似の大きさおよび特徴であったので、PHOTOSOL(登録商標)7−1570フォトクロミック染料(組み合わせ全体に基づいて75重量%)、IRGANOX(登録商標)3114酸化防止剤(組み合わせ全体に基づいて12.5重量%)、およびTINUVIN(登録商標)114光安定剤(組み合わせ全体に基づいて12.5重量%)の組み合わせ5グラムであった。この組み合わせを、これらの成分をガラスビーカー中でスパチュラを使用して手で混合することにより調製した。この組み合わせを一度に全部ホッパに直接添加し、そして得られたPHOTOSOL(登録商標)7−1570フォトクロミック染料含有ストランドを適切な容器に収集した。得られたマスターバッチは、色勾配を示したので、透明容器中でのさらなる手での混合を行い、マスターバッチ全体にわたって一貫した色を生じさせた。
【0128】
(工程2−薄膜押出し)
工程1からのマスターバッチを、5rpmで作動する二次サイドホッパに通して、0.8キログラム/時間(kg/hr)の速度で、100rpmのスクリュー速度に設定されたVerbruggen製のFlexlip調節モデルMO 100/LABを取り付けられた押出し機ヘッドを有する二軸スクリュー配合機(Leistritz製のモデルMIC27/GL−36D)に供給した。得られたフィルムを、C.W.Brabender製のUnivex取り出しシステムモデル番号843303007に通して1.2メートル/分(m/分)の速度で供給し、約80ミクロンの厚さおよび約11.7cmの幅を有するフィルムを生成した。
【0129】
(工程3−フィルムの延伸)
工程2からのフィルムのサンプルを、Lloyd Instruments製のTensile TesterモデルLR10Kで延伸した。個々のフィルムを、張力試験機で使用するために設計された、特製の自己締め付け型の幅広フィルムクランプに設置した。40ミリメートル(mm)の初期フィルム長さを、480mm/分の引っ張り速度を使用して、約19℃の周囲温度でさらに240mm延伸した。
【0130】
(工程4−フィルム熱固定)
この延伸プロセスの後に、これらのフィルムを2つのアルミニウムフレームから調製された特製の薄膜クランプにクランプした。これらのクランプは、フィルムを適所に保持し、そしてこれらのフィルムが延伸状態で張力試験機から取り外されることを可能にした。このクランプされたフィルムを、引き続いて、Carbolite製のサーモスタットで制御された空気循環オーブンに120℃で10分間入れ、このポリマーを延伸状態に熱固定した。
【0131】
熱サイクル後、これらのフィルムをクランプから取り外し、そして周囲温度まで冷却した。異なる厚さを有する2つのフィルムを調製した。フィルム1B−1は、52ミクロンの厚さを有し、そしてフィルム1B−2は、86ミクロンの厚さを有した。フィルムの厚さを、Mitutoyo digimaticインジケータを使用して測定した。
【0132】
(実施例2B−積層フィルム)
約90ミクロンの厚さを有する、実施例1Bのプロセスにより調製したフィルムを、以下の手順に記載されるように積層した。20cm×5cmの寸法のこのフィルムのサンプルを、EverBuild’s Mitre Fast Activator Sprayを用いて、このフィルムに4秒間、このフィルムから3cmの距離でスプレーし、そしてこのフィルムを30秒間空気乾燥させることによりコーティングした。得られたフィルムを平坦な表面に載せ、そして分銅を使用して適所に保持した。LOFO High Tech Film GmbH製の、7cm×25cm×厚さ180ミクロンの寸法のTACPHAN(登録商標)P 914 G4三酢酸セルロースのフィルムを、PRISM(登録商標)401シアノアクリレート接着剤で、この接着剤を表面に広げるために薄い金属棒を使用してコーティングした。このコーティングした三酢酸セルロースフィルムを、即座に実施例1Bのフィルムのコーティングされた面に押し付け、そして30秒間硬化させた。この手順を、このフィルムの反対側の面についても繰り返し、三酢酸セルロース、実施例1Bのフィルム(90ミクロン)、および三酢酸セルロースの積層体を生成した。過剰の三酢酸セルロースフィルムを切断により除去した。
【0133】
(実施例3B−フィルムコーティングされたレンズ)
実施例1Bの手順により調製した、90ミクロンの厚さを有するフィルムを、Loctite製の「All plastics」Activatorペンを用いて手でコーティングし、30秒間空気乾燥させ、そして特製の幅広フィルムクランプ内に配置した。PPG Industries Inc.により販売されているCR−607から作製された直径75mmの寸法の平面レンズを、2mLのPRISM(登録商標)401シアノアクリレート接着剤で、CPS Ltd製のスピンコーターモデルS−COAT 2001で、以下のパラメータを使用してスピンコーティングした:500rpmで2.5秒間の接着剤分配、続いて1800rpmで6.5秒間の高速スピン。実施例1Bのクランプされたフィルム(90ミクロン)のコーティングされた面を、レンズのコーティングされた面に手で押し付け、そして30秒間適所に保持した。得られた積層レンズを切断してクランプされたフィルムから離し、そしてあらゆる過剰のフィルムを切断により除去した。
【0134】
(実施例4B−ハードコートを有するフィルムコーティングされたレンズ)
実施例3Bのフィルムコーティングされたレンズを、3.5mLのDYMAXアクリレートOP−4−20632接着剤(これは、供給者によりハードコートとして使用され得ると示されている)で、CPS Ltd製のスピンコーターモデルS−COAT 2001を使用してスピンコーティングした。以下のスピンコーティングパラメータを使用した:500rpmで2.5秒間の分配、続いて1850rpmで6.5秒間の高速スピン。得られたコーティングされたレンズをDYNMAX Blue WaveTM 200 Light Curingシステムで、56秒間約10cmの高さまで予備硬化させ、そして2つのV電球(ヨウ化ガリウム)を備えるEYE(登録商標)Ultravioletシステムで約40秒間UVに曝露することにより、後硬化させた。このシステムを、100ppm未満の酸素のレベルまで、窒素で不活性化した。
【0135】
(実施例5B−EXACT(登録商標)0201プラストマーのフィルム)
工程1において以下のことを除いて、実施例1Bの手順に従った:EXACT(登録商標)0201プラストマー(エチレンオクテンコポリマーであると報告されている)をPEBAX(登録商標)5533の代わりに使用した。CPS Ltd.Galway,Ireland製のあつらえフィルムダイス(小規模のフィルムサンプルをAPV押出し機から直接製造し得る)を使用した。温度プロフィールは、ダイスの温度を220℃にしたことを除いて同じであった。その後、押出し機を未使用原料でパージして、あらゆる残留不純物を除去し、そして適切な視覚品質のフィルムを押し出した。10gのEXACT(登録商標)0201プラストマーのバッチの混合物(1重量%のIRGACURE(登録商標)651酸化防止剤および0.4重量%のIRGANOX(登録商標)1010酸化防止剤を含み、0.5gのPHOTOSOL(登録商標)1570と50/50重量ベースの安定剤混合物(IRGANOX(登録商標)3114およびTINUVIN(登録商標)144光安定剤)との組み合わせ(PHOLOTOL(登録商標)1570:安定剤の重量比1:1.7)を添加されている)を、メインホッパ供給領域でスクリューに直接添加した。工程1からの押し出されたフィルムを、Univex取り出しシステムを通して、1.2m/分ではなく1.0m/分の速度で直接供給した。
【0136】
(実施例6B−GRILAMID Ely 2702 NATURエラストマーのフィルム)
以下のことを除いて、実施例5Bの手順に従った:GRILAMID Ely 2702 NATURエラストマーをEXACT(登録商標)0201プラストマー/IRGACURE(登録商標)651酸化防止剤/IRGANOX(登録商標)1010酸化防止剤の代わりに使用し、そして0.2gのPHOTOSOL(登録商標)1570を0.5gの量の代わりに使用し、そして安定化フォトゾル(photosol)混合物を、未使用のGRILAMID Ely 2072 NATURエラストマーの押し出し中に、1.0の機械設定(1.7キログラム/時間(kg/hr)と等価)でサイドホッパ(少量のサンプルの添加を可能にする)に添加した。
【0137】
(実施例7B−PHOTOSOL(登録商標)7−1515および二色性染料のフィルム)
以下のことを除いて、実施例1Bの手順に従った:C.F.Scheer & Cie GmbH & Co.製の顆粒化機モデルSGS50−Eを2.5ではなく1.25に設定した。PHOTOSOL(登録商標)1570および安定剤の組成物の代わりに、PHOTOSOL(登録商標)7−1515(6.034g)、適切な二色性染料(黄色二色性染料(0.112g)、赤色二色性染料(0.229g)、および青色二色性染料(0.66g))を用いた。マスターバッチの最終重量は、250gであった。
【0138】
(実施例8B−積層フィルム)
実施例7Bの手順に従って延伸フィルムを生成し、このフィルムを実施例2Bの手順において使用して、積層フィルムを生成した。
【0139】
(実施例9B−PELLETHANETM80AE熱可塑性ポリウレタンのフィルム)
PELLETHANETM80AE熱可塑性ポリウレタンをEXACT(登録商標)0201プラストマーの代わりに使用したことを除いて、実施例5Bの手順に従った。
【0140】
(パート2B:フォトクロミック二色性フィルム試験手順)
(吸収率試験方法)
光学ベンチを吸収率試験方法において使用して、実施例1B〜9Bにおいて調製したサンプルの各々についての平均吸収率(AR)を以下のように測定した。試験前に、サンプルの各々を少なくとも7cm×4cmのセクションに切断し、そして特製のアルミニウムフレームクランプ内に保持した。これらのクランプしたサンプルを活性化放射線に5分間、4つのUV管BLE−7900B(Spectronics Corp製)の群から15センチメートル(cm)の距離で曝露し、次いで、4つのUVなし管F4OGO(General Electric製)の群から15cmの距離に30分間配置し、そして最後に、暗所に少なくとも30分間保持した。その後、クランプされたサンプルを、光学ベンチのばね付勢フォルダに配置した。この光学ベンチは、サンプルの表面に30°の入射角で配置された活性化光源(Melles Griot 04 IES 211高速コンピュータ制御シャッター(このシャッターは、データ収集中に一時的に閉じ、その結果、迷光がデータ収集プロセスを妨害しない)、Schott 3mm KG−2帯域フィルタ(短波長の放射線を除去する)、強度減衰のための濃度フィルタ、および光線平行化のための集光レンズを備えるOriel Model 66011 300ワットキセノンアークランプ)を備えた。
【0141】
応答測定を監視するために使用される光ファイバーケーブルを備えるOcean Optics製のHL−2000タングステンハロゲンランプを、サンプルの表面に対して垂直な様式で配置した。光源の直線偏光を、コンピュータ駆動モータ式回転ステージ(Polytech,PI製Model M−061−PD)に保持されたMoxtek,Proflux Polarizerにこのケーブルの端部からの光を通過させることによって達成した。監視光線を、1つの偏光面(0°)が光学ベンチのテーブルの面に対して垂直になるように、そして第二の偏光面(90°)が光学ベンチのテーブルの面に対して平行になるように、設定した。これらのサンプルを、実験室空調システムにより維持された室温(73°F±5°F)で空気中で動かした。
【0142】
測定を行うために、サンプルを活性化光源からの1.17W/mのUVAに5分間〜15分間曝露して、フォトクロミック二色性化合物を活性化した。検出器システム(Model SED033検出器、Bフィルタおよび拡散器)を備えるInternational Light Research Radiometer(Model IL−1700)を使用して、各試験前の曝露を検証した。次いで、0°偏光面で偏光された監視光源からの光をサンプルに通し、そして1機能光ファイバーケーブルを使用してOcean Optics 2000分光光度計に接続された2インチの積分球に集束させた。サンプル通過後のスペクトル情報をOcean Optics OOIBase32およびOOIColorソフトウェア、およびPPG占有のソフトウェアを使用して収集した。フォトクロミック二色性化合物が活性化される間に、偏光シートの位置を前後に回転させて、監視光源からの光を90°偏光面に偏光させ、戻した。データを活性化の間に3秒の間隔で収集した。各試験について、偏光器の回転を調節し、0°、90°、90°、0°などの順序でデータを収集した。
【0143】
応答測定(非活性の状態または漂白状態と活性化した状態または有色状態との間の光学密度の変化の観点)を、最初の非活性透過率を確立し、キセノンランプからのシャッターを開き、そして活性化を通る透過率を選択された時間間隔で測定することにより、決定した。実際の透過率測定の時間の間、キセノン光線を短時間閉じ、光散乱を防止した。
【0144】
各サンプルについて吸収スペクトルを得、そしてIgor Proソフトウェア(WaveMetricsから入手可能)を使用して分析した。各サンプルについての吸光度の変化を、試験した各波長についての時刻0(すなわち、不活性化)の吸収測定値を減算することにより計算した。平均吸光度値を、フォトクロミック応答が飽和またはほぼ飽和する活性化プロフィールの領域(すなわち、吸光度が経時的に増加しないかまたは有意には増加しない領域)において、各サンプルについて、この領域における各サンプルの各時間間隔において測定した吸光度を平均することによって得た(抽出した各波長は、5〜100のデータ点の平均であった)。極大可視±5nmに対応する波長の所定の範囲における平均吸光度値を、0°および90°の偏光について抽出し、そしてこの範囲における各波長についての吸収比を、大きい方の平均吸光度を小さい方の平均吸光度で除算することにより計算した。抽出した各波長について、5〜100のデータ点を平均した。次いで、サンプルについての平均吸収比を、これらの個々の吸収比を平均することにより計算した。以下に報告されるλmaxまたは極大λは、交差した偏光状態において吸光度のピークがそのサンプルについて観察された波長である(サンプルの偏光方向は、Moxtek,Proflux Polarizerに対して90°である)。これらの結果が以下に報告される。ここで、第一の退色半減期(「T1/2」)値は、サンプル中のフォトクロミック二色性材料の活性化形態のΔODが活性化光源の除去後に73.4°F(23℃)で最大ΔODの半分に達する時間間隔(秒)である。第二の退色半減期(「2T1/2」)値は、サンプル中のフォトクロミック材料の活性化形態のΔODが、活性化光源の除去後に73.4°F(23℃)で最大ΔODの4分の1に達する時間間隔(秒)である。第二の退色半減期について試験されなかったサンプルは、以下の表2に提供される他の結果と共に、「決定せず」と示される。
【0145】
【表2】


本明細書は、本発明の明瞭な理解のために重要な本発明の局面を説明することが理解されるべきである。当業者に明らかであり、従って本発明のよりよい理解を容易にしない、本発明の特定の局面は、本明細書を単純にする目的で、提供されていない。本発明は、特定の実施形態に関連して記載されたが、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の趣旨および範囲内での変更を網羅することが意図される。
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
フォトクロミック二色性材料を含む配向ポリマーシートであって、該シートが活性化状態において二色性を示す、ポリマーシート。
(項目2)
上記フォトクロミック二色性材料が、少なくとも化学線に応答して、第一の状態から第二の状態へと移行するように適合されており、そして少なくとも該第二の状態において、少なくとも透過放射線を直線偏光させるように適合されている、項目1に記載のポリマーシート。
(項目3)
吸収率試験方法に従って決定される場合に、上記活性化状態において少なくとも1.5の吸収率を有する、項目1に記載のポリマーシート。
(項目4)
吸収率試験方法に従って決定される場合に、上記活性化状態において3〜20の範囲の吸収率を有する、項目3に記載のポリマーシート。
(項目5)
上記シートが、押出し、延伸、カレンダリング、吹き込みおよび/または成形によって配向させられている、項目1に記載のポリマーシート。
(項目6)
上記シートが延伸によって配向させられている、項目5に記載のポリマーシート。
(項目7)
上記シートがエラストマーポリマーを含む、項目1に記載のポリマーシート。
(項目8)
上記エラストマーポリマーが、コポリマー骨格にエーテル結合および/またはエステル結合を含むブロックコポリマーを含む、項目7に記載のポリマーシート。
(項目9)
上記エラストマーブロックコポリマーが、ポリ(アミド−エーテル)ブロックコポリマー、ポリ(エステル−エーテル)ブロックコポリマー、ポリ(エーテル−ウレタン)ブロックコポリマー、ポリ(エステル−ウレタン)ブロックコポリマー、および/またはポリ(エーテル−ウレア)ブロックコポリマーを含む、項目8に記載のポリマーシート。
(項目10)
上記フォトクロミック二色性材料が、
(a)ピラン、オキサジン、およびフルギドから選択される、少なくとも1つのフォトクロミック基;ならびに
(b)該少なくとも1つのフォトクロミック基に付着した少なくとも1つの延長剤Lであって、該延長剤Lは:
【化13】


によって表される、延長剤L、
を含む化合物を含み、該式において、
(i)各Q、QおよびQは、各存在について、非置換もしくは置換芳香族基、非置換もしくは置換脂環式基、非置換もしくは置換複素環式基、およびこれらの混合物から選択される二価の基から独立して選択され、ここで置換基は、Pにより表される基、チオール、アミド、液晶メソゲン、ハロゲン、C〜C18アルコキシ、ポリ(C〜C18アルコキシ)、アミノ、アミノ(C〜C18)アルキレン、C〜C18アルキルアミノ、ジ(C〜C18)アルキルアミノ、C〜C18アルキル、C〜C18アルケン、C〜C18アルキン、C〜C18アルキル(C〜C18)アルコキシ、C〜C18アルコキシカルボニル、C〜C18アルキルカルボニル、C〜C18アルキルカーボネート、アリールカーボネート、C〜C18アセチル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルコキシ、イソシアナト、アミド、シアノ、ニトロ、直鎖または分枝鎖の、シアノ、ハロ、もしくはC〜C18アルコキシで一置換されたC〜C18アルキル基、またはハロで多置換されたC〜C18アルキル基、ならびに以下の式−M(T)(t−1)および−M(OT)(t−1)のうちの一方を含む基から選択され、該式において、Mは、アルミニウム、アンチモン、タンタル、チタン、ジルコニウムおよびケイ素から選択され、Tは、有機官能基、有機官能性炭化水素基、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択され、そしてtは、Mの価数であり;
(ii)c、d、e、およびfの各々は、0および20を含めて0〜20の範囲の整数から独立して選択され;そして各S、S、S、S、およびSは、各存在について、以下:
(A)−(CH−、−(CF−、−Si(CH−、−(Si[(CH]O)−であって、gは、各存在について1〜20から独立して選択され、hは、1および16を含めて1〜16の整数であるもの;
(B)−N(Z)−、−C(Z)=C(Z)−、−C(Z)=N−、−C(Z’)−C(Z’)−であって、Zは、各存在について、水素、C〜Cアルキル、シクロアルキルおよびアリールから独立して選択され、そしてZ’は、各存在について、C〜Cアルキル、シクロアルキルおよびアリールから独立して選択されるもの;ならびに
(C)−O−、−C(O)−、−C≡C−、−N=N−、−S−、−S(O)−、−S(O)(O)−、直鎖もしくは分枝鎖のC〜C24アルキレン残基であって、該C〜C24アルキレン残基は、非置換であるか、シアノもしくはハロにより一置換されているか、またはハロにより多置換されているもの、
から選択されるスペーサー単位から独立して選択され、ただし、ヘテロ原子を含む2個のスペーサー単位が一緒に結合している場合、該スペーサー単位は、ヘテロ原子が互いに直接結合しないように結合し、そしてSおよびSがそれぞれPCおよびPに結合する場合、2つのヘテロ原子が互いに直接結合しないように結合し;
(iii)Pは、アジリジニル、水素、ヒドロキシ、アリール、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アルキルアルコキシ、アルコキシアルコキシ、ニトロ、ポリアルキルエーテル、(C〜C)アルキル(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、ポリエチレンオキシ、ポリプロピレンオキシ、エチレン、アクリレート、メタクリレート、2−クロロアクリレート、2−フェニルアクリレート、アクリロイルフェニレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、2−クロロアクリルアミド、2−フェニルアクリルアミド、エポキシ、イソシアネート、チオール、チオイソシアネート、イタコン酸エステル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン誘導体、シロキサン、主鎖型液晶ポリマー、側鎖型液晶ポリマー、エチレンイミン誘導体、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体、非置換ケイ皮酸誘導体;メチル、メトキシ、シアノおよびハロゲンのうちの少なくとも1つで置換されたケイ皮酸誘導体;ならびに置換および非置換のキラルおよび非キラルの一価または二価の基であって、ステロイド基、テルペノイド基、アルカロイド基およびこれらの混合物から選択され、その置換基は、アルキル、アルコキシ、アミノ、シクロアルキル、アルキルアルコキシ、フルオロアルキル、シアノアルキル、シアノアルコキシおよびこれらの混合物から独立して選択される、一価または二価の基;から選択され;そして
(iv)d’、e’およびf’は、0、1、2、3、および4から各々独立して選択され、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも3である、
項目1に記載のポリマーシート。
(項目11)
上記フォトクロミック二色性材料が、
(a)ピラン、オキサジン、および非熱可逆性フルギドから選択される、少なくとも1つのフォトクロミック基;ならびに
(b)該少なくとも1つのフォトクロミック基に付着した少なくとも1つの延長剤Lであって、該延長剤Lは:
【化14】


によって表される、延長剤L、
を含む化合物を含み、該式において、
(i)各Q、QおよびQは、各存在について、非置換もしくは置換芳香族基、非置換もしくは置換脂環式基、非置換もしくは置換複素環式基、およびこれらの混合物から選択される二価の基から独立して選択され、ここで置換基は、Pにより表される基、チオール、アミド、液晶メソゲン、ハロゲン、C〜C18アルコキシ、ポリ(C〜C18アルコキシ)、アミノ、アミノ(C〜C18)アルキレン、C〜C18アルキルアミノ、ジ(C〜C18)アルキルアミノ、C〜C18アルキル、C〜C18アルケン、C〜C18アルキン、C〜C18アルキル(C〜C18)アルコキシ、C〜C18アルコキシカルボニル、C〜C18アルキルカルボニル、C〜C18アルキルカーボネート、アリールカーボネート、C〜C18アセチル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルコキシ、イソシアナト、アミド、シアノ、ニトロ、直鎖または分枝鎖の、シアノ、ハロ、もしくはC〜C18アルコキシで一置換されたC〜C18アルキル基、またはハロで多置換されたC〜C18アルキル基、ならびに以下の式−M(T)(t−1)および−M(OT)(t−1)のうちの一方を含む基から選択され、該式において、Mは、アルミニウム、アンチモン、タンタル、チタン、ジルコニウムおよびケイ素から選択され、Tは、有機官能基、有機官能性炭化水素基、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択され、そしてtは、Mの価数であり;
(ii)c、d、e、およびfの各々は、1および20を含めて1〜20の範囲の整数から独立して選択され;そして各S、S、S、S、およびSは、各存在について、以下:
(A)−(CH−、−(CF−、−Si(CH−、−(Si[(CH]O)−であって、gは、各存在について1〜20から独立して選択され、hは、1および16を含めて1〜16の整数であるもの;
(B)−N(Z)−、−C(Z)=C(Z)−、−C(Z)=N−、−C(Z’)−C(Z’)−であって、Zは、各存在について、水素、C〜Cアルキル、シクロアルキルおよびアリールから独立して選択され、そしてZ’は、各存在について、C〜Cアルキル、シクロアルキルおよびアリールから独立して選択されるもの;ならびに
(C)−O−、−C(O)−、−C≡C−、−N=N−、−S−、−S(O)−、−S(O)(O)−、直鎖もしくは分枝鎖のC〜C24アルキレン残基であって、該C〜C24アルキレン残基は、非置換であるか、シアノもしくはハロにより一置換されているか、またはハロにより多置換されているもの、
から選択されるスペーサー単位から独立して選択され、ただし、ヘテロ原子を含む2個のスペーサー単位が一緒に結合している場合、該スペーサー単位は、ヘテロ原子が互いに直接結合しないように結合し、そしてSおよびSがそれぞれPCおよびPに結合する場合、2つのヘテロ原子が互いに直接結合しないように結合し;
(iii)Pは、アジリジニル、水素、ヒドロキシ、アリール、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アルキルアルコキシ、アルコキシアルコキシ、ニトロ、ポリアルキルエーテル、(C〜C)アルキル(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、ポリエチレンオキシ、ポリプロピレンオキシ、エチレン、アクリレート、メタクリレート、2−クロロアクリレート、2−フェニルアクリレート、アクリロイルフェニレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、2−クロロアクリルアミド、2−フェニルアクリルアミド、エポキシ、イソシアネート、チオール、チオイソシアネート、イタコン酸エステル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン誘導体、シロキサン、主鎖型液晶ポリマー、側鎖型液晶ポリマー、エチレンイミン誘導体、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体、非置換ケイ皮酸誘導体;メチル、メトキシ、シアノおよびハロゲンのうちの少なくとも1つで置換されたケイ皮酸誘導体;ならびに置換および非置換のキラルおよび非キラルの一価または二価の基であって、ステロイド基、テルペノイド基、アルカロイド基およびこれらの混合物から選択され、その置換基は、アルキル、アルコキシ、アミノ、シクロアルキル、アルキルアルコキシ、フルオロアルキル、シアノアルキル、シアノアルコキシおよびこれらの混合物から独立して選択される、一価または二価の基;から選択され得;そして
(iv)d’、e’およびf’は、0、1、2、3、および4から各々独立して選択され、ただし、d’+e’+f’の合計は、少なくとも1である、
項目1に記載のポリマーシート。
(項目12)
、Q、およびQのうちの少なくとも1つが、イソソルビトール、ジベンゾフロ、ジベンゾチエノ、ベンゾフロ、ベンゾチエノ、チエノ、フロ、ジオキシノ、カルバゾロ、アントラニリル、アゼピニル、ベンゾオキサゾリル、ジアゼピニル、ジアゾリル、イミダゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、インダゾリル、インドレニニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、インドオキサジニル、イソベンゾアゾリル、イソインドリル、イソオキサゾリル、イソオキサジル、イソピロリル、イソキノリル、イソチアゾリル、モルホリノ、モルホリニル、オキサジアゾリル、オキサチアゾリル、オキサチアジル、オキサチオリル、オキサトリアゾリル、オキサゾリル、ピペラジニル、ピペラジル、ピペリジル、プリニル、ピラノピロリル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピラジル、ピリダジニル、ピリダジル、ピリジル、ピリミジニル、ピリミジル、ピリデニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、キノリジニル、キヌクリジニル、キノリル、チアゾリル、トリアゾリル、トリアジル、N−アリールピペラジノ、アジリジノ、アリールピペリジノ、チオモルホリノ、テトラヒドロキノリノ、テトラヒドロイソキノリノ、ピリル、非置換C〜C18スピロ二環式アミン、一置換C〜C18スピロ二環式アミン、二置換C〜C18スピロ二環式アミン、非置換C〜C18スピロ三環式アミン、一置換C〜C18スピロ三環式アミン、および二置換C〜C18スピロ三環式アミンから選択される非置換または置換複素環式基である、項目11に記載のポリマーシート。
(項目13)
、Q、およびQのうちの少なくとも1つが、シクロヘキシル、シクロプロピル、ノルボルネニル、デカリニル、アダマンタニル、ビシクロオクタン、ペルヒドロフルオレン、およびキュバニルから選択される非置換または置換脂環式基である、項目11に記載のポリマーシート。
(項目14)
上記化合物が、上記少なくとも1つのフォトクロミック基に付着した少なくとも1つのR基をさらに含み、各R基が、各存在について、
(a)水素、C〜C12アルキル、C〜C12アルキリデン、C〜C12アルキリジン、ビニル、C〜Cシクロアルキル、C〜C12ハロアルキル、アリル、ハロゲン、およびベンジルであって、非置換であるか、またはC〜C12アルキルおよびC〜C12アルコキシのうちの少なくとも1つで一置換されているもの;
(b)パラ位が少なくとも1つの置換基で一置換されているフェニルであって、この置換基は、C〜Cアルコキシ、直鎖もしくは分枝鎖のC〜C20アルキレン、直鎖もしくは分枝鎖のC〜Cポリオキシアルキレン、環状C〜C20アルキレン、フェニレン、ナフチレン、C〜Cアルキルで置換されたフェニレン、モノウレタン(C〜C20)アルキレン、ポリウレタン(C〜C20)アルキレン、モノエステル(C〜C20)アルキレン、ポリエステル(C〜C20)アルキレン、モノカーボネート(C〜C20)アルキレン、ポリカーボネート(C〜C20)アルキレン、ポリシラニレン、ポリシロキサニレンおよびこれらの混合物から選択され、少なくとも1つの置換基は、フォトクロミック材料のアリール基に結合する、フェニル;
(c)−CH(CN)および−CH(COOXであって、ここでXは、延長剤L、水素、非置換もしくはフェニルで一置換されたC〜C12アルキル、C〜C12アルキルもしくはC〜C12アルコキシで一置換されたフェニル(C〜C12)アルキル、および非置換、一置換もしくは二置換のアリール基のうちの少なくとも1つから選択され、各アリールの置換基は、C〜C12アルキルおよびC〜C12アルコキシから独立して選択される、−CH(CN)および−CH(COOX
(d)−CH(X)(X)であって、
(i)Xは、延長剤L、水素、C〜C12アルキル、および非置換、一置換もしくは二置換のアリール基のうちの少なくとも1つから選択され、各アリールの置換基は、C〜C12アルキルおよびC〜C12アルコキシから独立して選択され;そして
(ii)Xは、−COOX、−COX、−COX、および−CHOXのうちの少なくとも1つから選択され、ここで
(A)Xは、モルホリノ、ピペリジノ;非置換またはC〜C12アルキルで一置換もしくは二置換されたアミノ;フェニルアミノおよびジフェニルアミノから選択される非置換、一置換もしくは二置換の基であり、各置換基は、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから独立して選択され;そして
(B)Xは、延長剤L、水素、−C(O)X;非置換であるかまたは(C〜C12)アルコキシもしくはフェニルで一置換されたC〜C12アルキル;(C〜C12)アルコキシで一置換されたフェニル(C〜C12)アルキル;および非置換、一置換もしくは二置換のアリール基であり、各アリールの置換基は、C〜C12アルキルおよびC〜C12アルコキシから独立して選択される、
−CH(X)(X);
(e)非置換、一置換、二置換、もしくは三置換のアリール基;9−ユロリジニル;または非置換、一置換もしくは二置換のヘテロ芳香族基であって、ピリジル、フラニル、ベンゾフラン−2−イル、ベンゾフラン−3−イル、チエニル、ベンゾチエン−2−イル、ベンゾチエン−3−イル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾリル、ベンゾピリジル、インドリニル、およびフルオレニルから選択され;各置換基は、各存在について、
(i)延長剤L;
(ii)−C(O)Xであって、Xは、延長剤L、水素、C〜C12アルコキシ;非置換であるか、またはC〜C12アルキルもしくはC〜C12アルコキシで一置換もしくは二置換されたフェノキシ;非置換であるか、またはC〜C12アルキルもしくはC〜C12アルコキシで一置換もしくは二置換されたアリール基;非置換であるか、またはC〜C12アルキルで一置換もしくは二置換されたアミノ基;および非置換であるか、またはC〜C12アルキルもしくはC〜C12アルコキシで一置換もしくは二置換されたフェニルアミノ基のうちの少なくとも1つから選択される、−C(O)X
(iii)アリール、ハロアリール、C〜Cシクロアルキルアリール;およびC〜C12アルキルもしくはC〜C12アルコキシで一置換もしくは二置換されているアリール基;
(iv)C〜C12アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルキルオキシ(C〜C12)アルキル、アリール(C〜C12)アルキル、アリールオキシ(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルキル、ジ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルキル、ジ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルキル、ハロアルキル、およびモノ(C〜C12)アルコキシ(C〜C12)アルキル;
(v)C〜C12アルコキシ、C〜Cシクロアルコキシ;シクロアルキルオキシ(C〜C12)アルコキシ;アリール(C〜C12)アルコキシ、アリールオキシ(C〜C12)アルコキシ、モノ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルコキシ、ジ(C〜C12)アルキルアリール(C〜C12)アルコキシ、モノ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルコキシ、またはジ(C〜C12)アルコキシアリール(C〜C12)アルコキシ;
(vi)アミド、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、ピペラジノ、N−(C〜C12)アルキルピペラジノ、N−アリールピペラジノ、アジリジノ、インドリノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、テトラヒドロキノリノ、テトラヒドロイソキノリノ、ピロリジル、ヒドロキシ、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、およびハロゲン;
(vii)−OXまたは−N(Xであって、Xは、
(A)延長剤L、水素、C〜C12アルキル、C〜C12アシル、フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルキル置換フェニル(C〜C12)アルキル、モノ(C〜C12)アルコキシ置換フェニル(C〜C12)アルキル;C〜C12アルコキシ(C〜C12)アルキル;C〜Cシクロアルキル;モノ(C〜C12)アルキル置換C〜Cシクロアルキル、C〜C12ハロアルキル、アリル、ベンゾイル、一置換ベンゾイル、ナフトイルまたは一置換ナフトイルであって、これらのベンゾイルおよびナフトイルの置換基の各々は、C〜C12アルキルおよびC〜C12アルコキシから独立して選択されるもの;
(B)−CH(X)Xであって、Xは、延長剤L、HまたはC〜C12アルキルから選択され;そしてXは、延長剤L、−CN、−CF、または−COOX10から選択され、X10は、延長剤L、水素またはC〜C12アルキルから選択される、−CH(X)X
(C)−C(O)X;ならびに
(D)トリ(C〜C12)アルキルシリル、トリ(C〜C12)アルコキシシリル、ジ(C〜C12)アルキル(C〜C12アルコキシ)シリル、またはジ(C〜C12)アルコキシ(C〜C12アルキル)シリル;
から選択される、−OXまたは−N(X
(viii)SX11であって、X11は、延長剤L、C〜C12アルキル;非置換であるか、またはC〜C12アルキル、C〜C12アルコキシもしくはハロゲンで一置換もしくは二置換されたアリール基である、−SX11
(ix)式i:
【化15】


により表される窒素含有環であって、式iにおいて、
(A)nは、0、1、2、および3から選択される整数であり、ただし、nが0である場合、U’はUであり、そして各Uは、各存在について、−CH−、−CH(X12)−、−C(X12−、−CH(X13)−、−C(X13−、および−C(X12)(X13)−から独立して選択され、X12は、上記式Iにより表される延長剤LおよびC〜C12アルキルから選択され、そしてX13は、上記式Iにより表される延長剤L、フェニルおよびナフチルから選択され、そして
(B)U’は、U、−O−、−S−、−S(O)−、−NH−、−N(X12)−または−N(X13)−から選択され、そしてmは、1、2、および3から選択される整数である、
窒素含有環;ならびに
(x)式iiまたは式iii:
【化16】


により表される基であって、式iiまたは式iiiにおいて、X14、X15、およびX16は、各存在について、延長剤L、C〜C12アルキル、フェニルまたはナフチルから独立して選択されるか、またはX14とX15とが一緒になって、5個〜8個の炭素原子の環を形成し;pは、0、1、または2から選択される整数であり、そしてX17は、各存在について、延長剤L、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシまたはハロゲンから独立して選択される基;
から独立して選択されるもの;
(f)ピラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、ピロリジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フェナジニルまたはアクリジニルから選択される、非置換または一置換の基であって、各置換基は、延長剤L、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、フェニル、ヒドロキシ、アミノおよびハロゲンから独立して選択される、基;
(g)式ivまたは式v:
【化17】


のうちの一方により表される基であって、式ivおよび式vにおいて、
(i)V’は、各式において、式−O−、−CH−、C〜Cアルキレン、およびC〜Cシクロアルキレンから独立して選択され、
(ii)Vは、各式において、−O−または−N(X21)−から独立して選択され、X21は、上記式Iにより表される延長剤L、水素、C〜C12アルキル、およびC〜C12アシルから選択され、ただし、Vが−N(X21)−である場合、V’は−CH−であり、
(iii)X18およびX19は、延長剤L、水素およびC〜C12アルキルからそれぞれ独立して選択され、そして
(iv)kは、0、1、および2から選択され、そして各X20は、各存在について、延長剤L、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、ヒドロキシおよびハロゲンから独立して選択される、基;
(h)式vi:
【化18】


により表される基であって、式viにおいて、
(i)X22は、延長剤L、水素およびC〜C12アルキルから選択され、そして
(ii)X23は、延長剤L、および非置換、一置換もしくは二置換の基から選択され、この基は、ナフチル、フェニル、フラニルおよびチエニルから選択され、各置換基は、各存在について、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、およびハロゲンから独立して選択される、基;
(i)−C(O)X24であって、X24は、延長剤L、ヒドロキシ、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ;非置換であるかまたはC〜C12アルキルもしくはC〜C12アルコキシで一置換されたフェニル;非置換であるかまたはC〜C12アルキル、フェニル、ベンジル、およびナフチルのうちの少なくとも1つで一置換もしくは二置換されたアミノから選択される、−C(O)X24
(j)−OXおよび−N(X
(k)−SX11
(l)式iにより表される窒素含有環;
(m)式iiまたは式iiiのうちの一方により表される基;ならびに
(n)すぐ隣にあるR基が一緒になって、式vii、式viii、または式ix:
【化19】


のうちの1つにより表される基を形成し、式vii、式viii、および式ixにおいて、
(i)WおよびW’は、各存在について、−O−、−N(X)、−C(X14)−、−C(X17)−から独立して選択され、
(ii)X14、X15、およびX17は、上記のとおりであり、そして
(iii)qは、0、1、2、3、および4から選択される整数であるもの
から独立して選択される、項目11に記載のポリマーシート。
(項目15)
添加剤をさらに含み、該添加剤は、染料、二色性染料、フォトクロミック染料、整列促進剤、運動増強添加剤、光開始剤、熱開始剤、重合防止剤、溶媒、光安定剤、熱安定剤、離型剤、レオロジー制御剤、レベリング剤、フリーラジカル捕捉剤、および/または接着促進剤を含む、項目1に記載のポリマーシート。
(項目16)
上記シートが繊維の形態である、項目1に記載のポリマーシート。
(項目17)
多層複合材であって、少なくとも支持層および配向ポリマーシートを備え、該配向ポリマーシートは、2つの反対側の表面を有し、そしてフォトクロミック二色性材料を含み、該シートは、活性化状態において二色性を示し、そして該シートの少なくとも1つの表面は、該支持層の少なくとも一部分に接続されている、多層複合材。
(項目18)
上記フォトクロミック二色性材料が、少なくとも化学線に応答して第一の状態から第二の状態へと移行するように適合されており、そして少なくとも該第二の状態において、少なくとも透過放射線を直線偏光するように適合されている、項目17に記載の多層複合材。
(項目19)
上記ポリマーシートがエラストマーポリマーを含む、項目17に記載の多層複合材。
(項目20)
上記ポリマーが、コポリマー骨格にエーテル結合および/またはエステル結合を含むブロックコポリマーを含む、項目17に記載の多層複合材。
(項目21)
上記ブロックコポリマーが、ポリ(アミド−エーテル)ブロックコポリマー、ポリ(エステル−エーテル)ブロックコポリマー、ポリ(エーテル−ウレタン)ブロックコポリマー、ポリ(エステル−ウレタン)ブロックコポリマー、および/またはポリ(エーテル−ウレア)ブロックコポリマーを含む、項目20に記載の多層複合材。
(項目22)
上記支持層が、ポリカーボネート、多環式アルケン、ポリウレタン、ポリ(ウレア)ウレタン、ポリチオウレタン、ポリチオ(ウレア)ウレタン、ポリオール(アリルカーボネート)、これらのコポリマー、またはこれらの混合物を含む、項目17に記載の多層複合材。
(項目23)
上記支持層が、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(ウレア)ウレタン、ポリチオウレタン、ポリチオ(ウレア)ウレタン、ポリスルホン、ポリオレフィン、ポリアミド、これらのコポリマー、および/またはこれらの混合物を含む、項目17に記載の多層複合材。
(項目24)
上記ポリマーシートの少なくとも一部分に接続された保護層をさらに備え、その結果、該ポリマーシートは該保護層と上記支持層との間に挟まれる、項目17に記載の多層複合材。
(項目25)
上記保護層が、耐磨耗コーティング、酸素障壁コーティング、UV遮蔽コーティング、反射防止コーティング、曇り防止コーティング、ミラーコーティング、またはこれらの組み合わせを含む保護コーティングを含む、項目24に記載の多層複合材。
(項目26)
項目17に記載の多層複合材を含む光学要素。
(項目27)
上記光学要素が、眼用要素、ディスプレイ素子、窓、鏡、ならびに/あるいは能動および受動液晶セル素子およびデバイスを備える、項目26に記載の光学要素。
(項目28)
上記眼用要素が、矯正レンズ、非矯正レンズ、コンタクトレンズ、眼内レンズ、拡大レンズ、保護レンズ、またはバイザーを含む、項目27に記載の光学要素。
(項目29)
基材が、着色されていない基材、着色された基材、フォトクロミック基材、着色フォトクロミック基材、および直線偏光基材を含む、項目26に記載の光学要素。
(項目30)
基材が、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ(ウレア)ウレタン、ポリチオウレタン、ポリチオ(ウレア)ウレタン、多環式アルケン、ポリオール(アリルカーボネート)、これらのコポリマー、またはこれらの混合物を含む、項目26に記載の光学要素。
(項目31)
上記支持層が、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(ウレア)ウレタン、ポリチオウレタン、ポリチオ(ウレア)ウレタン、ポリスルホン、ポリオレフィン、これらのコポリマー、および/またはこれらの混合物を含む、項目26に記載の光学要素。
(項目32)
上記ディスプレイ素子が、スクリーン、モニタ、およびセキュリティー要素を含む、項目27に記載の光学要素。
(項目33)
上記セキュリティー要素が、光学的に透明な材料および/または光学的に不透明な材料を含む、項目32に記載の光学要素。
(項目34)
項目24に記載の多層複合材を含む光学要素。
(項目35)
上記支持層および上記保護層のうちの一方または両方が、非複屈折性である、項目34に記載の光学要素。
(項目36)
フォトクロミック二色性材料を含む配向ポリマーシートであって、該シートは、第一の一般方向を有する第一の順序領域、および該第一の順序領域に隣接する少なくとも1つの第二の順序領域を有し、該第二の順序領域は、該第一の一般方向とは異なる第二の一般方向を有し、該シートは、活性化状態において二色性を示す、ポリマーシート。
(項目37)
上記シートが、複数の順序領域を含み、該順序領域の各々が、残りの領域と同じかまたは異なる一般方向を有し、これによって該シートにおいて所望のパターンを形成する、項目36に記載のポリマーシート。
(項目38)
フォトクロミック二色性材料を含む配向ポリマーシートを形成する方法であって、該方法は、該ポリマーシートを2以上の連続段階で二軸延伸する工程を包含し、その結果、シートは、第一の一般方向を有する第一の順序領域、および該第一の順序領域に隣接する少なくとも1つの第二の順序領域を有し、該第二の順序領域は、該第一の一般方向とは異なる第二の一般方向を有し、該シートは、活性化状態において二色性を示す、方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層複合材であって、少なくとも支持層および配向ポリマーシートを備え、該配向ポリマーシートは、2つの反対側の表面を有し、そしてフォトクロミック二色性材料を含み、該シートは、活性化状態において二色性を示し、そして該シートの少なくとも1つの表面は、該支持層の少なくとも一部分に接続されている、多層複合材。
【請求項2】
前記フォトクロミック二色性材料が、少なくとも化学線に応答して第一の状態から第二の状態へと移行するように適合されており、そして少なくとも該第二の状態において、少なくとも透過放射線を直線偏光するように適合されている、請求項に記載の多層複合材。
【請求項3】
前記ポリマーシートがエラストマーポリマーを含む、請求項に記載の多層複合材。
【請求項4】
前記ポリマーが、コポリマー骨格にエーテル結合および/またはエステル結合を含むブロックコポリマーを含む、請求項に記載の多層複合材。
【請求項5】
前記ブロックコポリマーが、ポリ(アミド−エーテル)ブロックコポリマー、ポリ(エステル−エーテル)ブロックコポリマー、ポリ(エーテル−ウレタン)ブロックコポリマー、ポリ(エステル−ウレタン)ブロックコポリマー、および/またはポリ(エーテル−ウレア)ブロックコポリマーを含む、請求項に記載の多層複合材。
【請求項6】
前記支持層が、ポリカーボネート、多環式アルケン、ポリウレタン、ポリ(ウレア)ウレタン、ポリチオウレタン、ポリチオ(ウレア)ウレタン、ポリオール(アリルカーボネート)、これらのコポリマー、またはこれらの混合物を含む、請求項に記載の多層複合材。
【請求項7】
前記支持層が、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(ウレア)ウレタン、ポリチオウレタン、ポリチオ(ウレア)ウレタン、ポリスルホン、ポリオレフィン、ポリアミド、これらのコポリマー、および/またはこれらの混合物を含む、請求項に記載の多層複合材。
【請求項8】
前記ポリマーシートの少なくとも一部分に接続された保護層をさらに備え、その結果、該ポリマーシートは該保護層と前記支持層との間に挟まれる、請求項に記載の多層複合材。
【請求項9】
前記保護層が、耐磨耗コーティング、酸素障壁コーティング、UV遮蔽コーティング、反射防止コーティング、曇り防止コーティング、ミラーコーティング、またはこれらの組み合わせを含む保護コーティングを含む、請求項に記載の多層複合材。
【請求項10】
請求項に記載の多層複合材を含む光学要素。
【請求項11】
前記光学要素が、眼用要素、ディスプレイ素子、窓、鏡、ならびに/あるいは能動および受動液晶セル素子およびデバイスを備える、請求項10に記載の光学要素。
【請求項12】
前記眼用要素が、矯正レンズ、非矯正レンズ、コンタクトレンズ、眼内レンズ、拡大レンズ、保護レンズ、またはバイザーを含む、請求項11に記載の光学要素。
【請求項13】
基材が、着色されていない基材、着色された基材、フォトクロミック基材、着色フォトクロミック基材、および直線偏光基材を含む、請求項10に記載の光学要素。
【請求項14】
基材が、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ(ウレア)ウレタン、ポリチオウレタン、ポリチオ(ウレア)ウレタン、多環式アルケン、ポリオール(アリルカーボネート)、これらのコポリマー、またはこれらの混合物を含む、請求項10に記載の光学要素。
【請求項15】
前記支持層が、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(ウレア)ウレタン、ポリチオウレタン、ポリチオ(ウレア)ウレタン、ポリスルホン、ポリオレフィン、これらのコポリマー、および/またはこれらの混合物を含む、請求項10に記載の光学要素。
【請求項16】
前記ディスプレイ素子が、スクリーン、モニタ、およびセキュリティー要素を含む、請求項11に記載の光学要素。
【請求項17】
前記セキュリティー要素が、光学的に透明な材料および/または光学的に不透明な材料を含む、請求項16に記載の光学要素。
【請求項18】
請求項に記載の多層複合材を含む光学要素。
【請求項19】
前記支持層および前記保護層のうちの一方または両方が、非複屈折性である、請求項18に記載の光学要素。

【公開番号】特開2011−232781(P2011−232781A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−178150(P2011−178150)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【分割の表示】特願2009−522935(P2009−522935)の分割
【原出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(504175051)トランジションズ オプティカル, インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】