説明

二足歩行玩具

【課題】 一つの小型モータで複雑な動作を可能とし、より自然な歩行動作による新たな嗜好を与えることができる二足歩行玩具を提供する。
【解決手段】 本発明の二足歩行玩具は、本体部ケース15と該本体部ケース15の側面を覆う胴部カバー37とを備えた胴体部2と、該胴体部2の下方に位置する臀部4と、主可動部材及び補助可動部材を備えた左右の脚部3と、該左右の脚部3の各下端に連結された左右の足部7と、胴体部2の左右上端近傍に配設された腕部5と、胴体部2の上端に配設された頭部6と、を備え、臀部4、脚部3、足部7を稼動させる駆動機構を有し、この駆動機構は、動力とされるモータ11を備えた動力手段と、二足歩行をさせる二足歩行手段と、を備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二足歩行玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の二足歩行玩具としては、本出願人が先に登録を受けた特許第4009176号の公報(特許文献1)に示すように、足部の左右の傾きを変化させることにより重心移動を行いながら前後に体重移動をさせることで二足歩行を可能としているものがあった。
【特許文献1】特許第4009176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の二足歩行玩具よりも小型であって、一つの小型モータで複雑な動作を可能とし、より自然な歩行動作による新たな嗜好を与えることができる二足歩行玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の二足歩行玩具は、本体部ケースと該本体部ケースの側面を覆う胴部カバーとを備えた胴体部と、該胴体部の下方に位置する臀部と、主可動部材及び補助可動部材を備えた左右の脚部と、該左右の脚部の各下端に連結された左右の足部と、前記胴体部の左右上端近傍に配設された腕部と、前記胴体部の上端に配設された頭部と、を備え、前記臀部、脚部、足部を稼動させる駆動機構を有し、前記駆動機構は、動力となるモータを備えた動力手段と、二足歩行させる二足歩行手段と、を備え、該二足歩行手段は、前記脚部の主可動部材を前記本体部ケースに沿って180度位相をずらして円運動させる可動制御手段と、前記足部に対して前記胴体部を左右に移動させる上体移動手段と、前記足部の前記脚部に対する傾きを制御する足部制御手段とを備えるものである。
【0005】
又、前記二足歩行手段における可動制御手段は、前記動力手段の動力によって前記主可動部材を前記本体部ケースの側面に沿って回動させ、前記上体移動手段は、前記可動制御手段の動きに合わせて支持脚側から他方の脚部側へと前記胴体部を移動させ、前記足部制御手段は、前記上体移動手段の動きに合わせて前記足部の外側を引き上げる又は押し下げることにより足部の前記脚部に対する傾きを変化させることを特徴とするものである。
【0006】
そして、前記動力手段は、前記モータと、減速機構と、減速機構を介してモータによって回転する主軸と、を備え、前記可動制御手段は、前記主軸の両端に嵌合されて回動する第一カムと、該第一カムと同一の曲率半径で回転する第二カム及び三角カムとされる第三カムと、を備え、前記脚部の主可動部材を三点で支持すると共に本体部ケースの側面に沿って円運動させ、前記上体移動手段は、前記臀部と、該臀部に固定され前記左右の脚部が有する主可動部材の動作を支持する二本の脚部支持軸と、を備え、前記主可動部材の円運動に合わせて該臀部が前記本体部ケースとの連結部を中心に回動することにより前記脚部支持軸が前記主可動部材の下方を内側又は外側に回動させ、前記足部制御手段は、前記主可動部材の外側に配置される前記補助可動部材を備え、該補助可動部材は、前記第三カムの上面に圧接されて、下端は前記足部の外側に回動可能に連結され、前記第三カムによって上下に稼動することによって前記足部の脚部に対する角度を制御することを特徴とするものである。
【0007】
又、前記臀部は、回動突起を有し、前記胴体部下端近傍に回動可能に取り付けられ、前記脚部の主可動部材は、外方に突出する係止板を有し、前記上体移動手段は、前記主可動部材の係止板に前記臀部の側端部が係合し、前記臀部が前記回動突起を中心に回動することにより、前記胴体部に対する臀部の角度が変化し前記脚部の下方を左右に揺動させて上体を左右に移動させるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来の二足歩行玩具よりも小型であって、一つの小型モータで複雑な動作を可能とし、より自然な歩行動作による新たな嗜好を与えることができる二足歩行玩具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を実施するための最良の形態の二足歩行玩具1は、本体部ケース15と該本体部ケース15の側面を覆う胴部カバー37とを備えた胴体部2と、該胴体部2の下方に位置する臀部4と、主可動部材及び補助可動部材を備えた左右の脚部3と、該左右の脚部3の各下端に連結された左右の足部7と、胴体部2の左右上端近傍に配設された腕部5と、胴体部2の上端に配設された頭部6と、を備え、臀部4、脚部3、足部7を稼動させる駆動機構を有するものである。
【0010】
又、この駆動機構は、動力とされるモータ11を備えた動力手段と、二足歩行をさせる二足歩行手段と、を備え、該二足歩行手段は、脚部3の主可動部材を本体部ケース15に沿って180度位相をずらして円運動させる可動制御手段と、足部7に対して胴体部2を左右に移動させる上体移動手段と、足部7の脚部3に対する傾きを制御する足部制御手段とを備えるものである。
【0011】
そして、二足歩行手段における可動制御手段は、動力手段の動力によって主可動部材を本体部ケース15の側面に沿って回動させ、上体移動手段は、可動制御手段の動きに合わせて支持脚側から他方の脚部側へと胴体部2を移動させ、足部制御手段は、上体移動手段の動きに合わせて足部7の外側を引き上げる又は押し下げることにより足部7の脚部3に対する傾きを変化させるものである。
【0012】
そして、動力手段は、モータ11と、減速機構と、減速機構を介してモータ11によって回転する主軸19と、を備え、可動制御手段は、主軸19の両端に嵌合されて回動する第一カム21と、該第一カム21と同一の曲率半径で回転する第二カム22及び三角カムとされる第三カム23と、を備え、脚部3の主可動部材を三点で支持すると共に本体部ケース15の側面に沿って円運動させ、上体移動手段は、臀部4と、臀部4に固定され左右の脚部3が有する主可動部材の動作を支持する二本の脚部支持軸45と、を備え、主可動部材の円運動に合わせて臀部4が本体部ケース15との連結部を中心に回動することにより脚部支持軸45が主可動部材の下方を内側又は外側に回動させ、足部制御手段は、主可動部材の外側に配置される補助可動部材を備え、この補助可動部材は、第三カム23の上面に圧接されて、下端は足部7の外側に回動可能に連結され、第三カム23によって上下に稼動することによって足部7の脚部3に対する角度を制御するものである。
【0013】
又、臀部4は、回動突起41を有し、胴体部2下端近傍に回動可能に取り付けられ、脚部3の主可動部材は、外方に突出する係止板31cを有し、上体移動手段は、主可動部材の係止板31cに臀部4の側端部が係合し、臀部4が回動突起41を中心に回動することにより、胴体部2に対する臀部4の角度が変化し脚部3の下方を左右に揺動させて上体を左右に移動させるものである。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。本発明の二足歩行玩具1は、図1に示すように、本体部ケース15とこの本体部ケース15を覆う胴部カバー37とを備えた胴体部2と、胴体部2の下方に位置する臀部4と、主可動部材及び補助可動部材を備えた左右の脚部3と、左右の脚部3の各下端に連結された左右の足部7と、胴体部2の左右上端近傍に配設された腕部5と、胴体部2の上端に配設された頭部6と、を備え、脚部3、臀部4、腕部5、頭部6を稼動させる駆動機構を有し、重心を左右に移動させながら前方に移動する歩行玩具である。尚、脚部3の主可動部材は、足部7が備える後述する連結部材7cの内側と連結しており、補助可動部材は、連結部材7cの外側である足部7の略中央部分と連結している。
【0015】
この胴体部2は、図2に示すように、駆動機構の一部が収納又は取り付けられた本体部ケース15と、腕部5が可動に取り付けられ駆動機構の一部を覆う左右の胴部カバー37と、本体部ケース15の前方を覆う脱着可能な前方カバー16とを備え、脚部3、臀部4、腕部5並びに頭部6が可動に取り付けられるものである。
【0016】
そして、本体部ケース15は、図3に示すように、左本体ケース15aと右本体ケース15bを対向させて縁部を固定することによって形成されたものであり、前方下端近傍に位置しスピーカーが取り付けられるスピーカー取付部と、前後下端近傍に形成され臀部4が回動可能に取り付けられる臀部回動穴15cと、臀部回動穴15cの上方に位置し電池が収納される電池収納部と、後方近傍に位置し後述するモータ11が収納されるモータ収納部と、スイッチが配置されるスイッチ収納部とを備えるものである。
【0017】
又、本体部ケース15は、側面の上方中央近傍に位置し後述する主軸19が貫挿する主軸貫挿穴15dと、後述する第二カム22や第三カム23が軸着される軸穴と、側面の後端近傍に位置し後述する摺動部材35が摺動する摺動レール15gと、側面内表面のギア軸取付部15hと、上面から上方に突出するように形成され頭部6が回動可能に取り付けられる頭部回動部とを備えるものである。更に、本体部ケース15の摺動レール15gの上端には後述する押しバネ39が係着されるバネ係着部15jが形成されているものである。
【0018】
そして、駆動機構は、図2及び図3に示したように、動力とされるモータ11を備えた動力手段と、二足歩行を行う二足歩行手段と、腕部5を稼動させる腕部可動手段と、頭部6を稼動させる頭部可動手段とを備えるものである。この二足歩行手段は、脚部3の主可動部材を本体部ケース15に沿って180度位相をずらして円運動させる可動制御手段と、足部7に対して胴体部2を左右に移動させる上体移動手段と、足部7の脚部3に対する傾きを制御する足部制御手段とを備えるものである。
【0019】
又、二足歩行玩具1は、可動制御手段が左右の脚部3を180度位相をずらして本体部ケース15の側面に沿って円運動させ、該動作に合わせて上体移動手段が胴体部2に対して臀部4を左右に回動させ、更に、該動作に合わせて足部制御手段が足部7の外側を引き上げる又は押し下げることによって足部7の脚部3に対する相対角度を変化させるといった一連の動作を繰り返し行うことにより、連続した二足歩行を可能とするものである。
【0020】
そして、動力手段は、動力となるモータ11と、モータ11の動力を伝達する減速機構としての歯車群12と、該歯車群12を介して回転する主軸19とを備えるものである。このモータ11は、本体部ケース15のモータ収納部に配置され、本実施例における二足歩行玩具1の動力とされるものである。
【0021】
又、歯車群12は、本体部ケース15の内部に収納され、モータ11の回転を主軸19に伝達するものであり、主軸19は、両端部が向きを対称とした半円状に形成され、本体部ケース15の主軸貫挿穴15dを貫挿して回動可能に配置されているものである。
【0022】
そして、二足歩行手段を構成する可動制御手段及び上体移動手段並びに足部制御手段は、本体部ケース15の両側面に配置される第一カム21及び第二カム22並びに第三カム23、脚部3、臀部4、足部7から構成されるものである。
【0023】
この第一カム21は、略円板形状であって、外周縁近傍の所定の位置に主軸19の端部が嵌合する半円状の開口を備え、開口の裏面側には本体部ケース15の主軸貫挿穴15dに回動可能に貫挿される突出部を有し、更に、開口の中心と第一カム21の中心とを結ぶ直線の延長線上に脚部3と連結される連結穴が形成されているものである。そして、第一カム21は、脚部3の主可動部材を本体部ケース15の側面に沿って回動させるものである。又、第一カム21は、主軸19の両端部に180度の位相差を持って各々嵌合されるものであり、中心から外れた位置で主軸19に嵌合されているため、主軸19が回転すると第一カム21の半径よりも大きな半径で主軸19を中心として回動し、後述する可動枠24,25を胴部カバー37に沿って前後に摺動させるものである。尚、可動制御手段は、この第一カム21及び第二カム22並びに第三カム23により構成しているものである。
【0024】
そして、第二カム22は、円板形状であって、中心に軸ピンが貫挿する開口を有し、中心から所定距離離れた位置に脚部3と連結される連結穴が形成され、本体部ケース15の両側面における前下端近傍位置に軸ピンによって回動可能に取り付けられているものである。又、この第二カム22は、脚部3の主可動部材が連結されることによって第一カム21と共に回動するものである。更に、第二カム22の開口と連結穴の距離は、第一カム21の開口と連結穴の距離と同一とされており、夫々の回動に係る曲率半径は同一とされているものである。
【0025】
又、第三カム23は、半径と円弧から形成される略扇形形状の三角カムであって、頂点近傍に軸ピンが貫挿する開口を有し、中心から所定距離離れた位置に脚部3と連結される連結穴が形成され、本体部ケース15の両側面における後下端近傍位置に軸ピンによって回動可能に取り付けられているものである。そして、第三カム23は、脚部3の主可動部材と第一カム21及び第二カム22と共に連結され、主可動部材の円運動によって回動するものである。又、第三カム23の開口と連結穴の距離は、第一カム21の開口と連結穴の距離及び第二カム22の開口と連結穴の距離と同一とされており、夫々の回動に係る曲率半径は同一とされているものである。
【0026】
又、脚部3は、図2に示したように、対称形状の左脚部3aと右脚部3bから形成されて本体部ケース15の両側面に取り付けられており、主可動部材とされる主上部リンク部材31及び主下部リンク部材32と、補助可動部材とされる補助上部リンク部材33及び補助下部リンク部材34並びに補助上部リンク部材33の上端に配置される摺動部材35とを備えるものである。
【0027】
この主上部リンク部材31は、第一カム21及び第二カム22並びに第三カム23の連結穴と軸ピンによって連結される回動支持部と、回動支持部の下端から下方に延設するように形成された下方延設部と、回動支持部と下方延設部との間に位置し外方に突出するように形成された係止板31cを備えるものである。そして、第一カム21及び第二カム22並びに第三カム23と三点で連結されることにより、本体部ケース15の両側面に沿って円運動するものである。
【0028】
又、主下部リンク部材32は、前後方向に広平面を有した略方形状の板であって、後述する臀部4の脚部支持軸45が貫挿する支持軸レール32aが主下部リンク部材32を前後方向に貫通して形成され、上端は主上部リンク部材31に回動可能に軸支され、下端は足部7が備える連結部材7cの内側に回動可能に軸支されているものである。そして、主上部リンク部材31の円運動と共に円運動し、臀部4に取り付けた脚部支持軸45によって主上部リンク部材31との連結部を中心に左右に回動させられ、足部7の内側を上下に稼動させるものである。
【0029】
そして、足部制御手段は、補助可動部材で構成され、この補助可動部材は、摺動部材35と、補助上部リンク部材33と、補助下部リンク部材34とで形成されるものである。この補助上部リンク部材33は、主上部リンク部材31の下方延設部を摺動可能に保持する可動保持部と、可動保持部の上方に位置し主上部リンク部材31の係止板31cが貫挿する貫挿穴を備えた係止板貫挿枠と、上端近傍に位置し摺動部材35に沿って前後に摺動する摺動支持突起33aとを備えるものである。そして、この補助上部リンク部材33は、主上部リンク部材31と対向且つ近接して配置され、補助上部リンク部材33の可動保持部で主上部リンク部材31の下方延設部を摺動可能に連結保持し、補助上部リンク部材33の係止板貫挿枠内に主上部リンク部材31の係止板31cが上下に遊挿されるものである。
【0030】
又、補助下部リンク部材34は、補助上部リンク部材33の下端に回動可能に軸支され、下端は足部7が備える連結部材7cの外側である足部7の略中央部分に回動可能に軸支されているものである。そして、補助上部リンク部材33が稼動すると共に稼動し、主下部リンク部材32が主上部リンク部材31との間で回動すると、主下部リンク部材32と同様に補助上部リンク部材33との連結部を中心に回動し、足部7の略中央部分を上下させることにより足部7の外側を上下に稼動させるものである。
【0031】
更に、摺動部材35は、補助上部リンク部材33の摺動支持突起33aが摺動する摺動支持レール35aと、この摺動支持レール35aが垂直に固定される略方形状の摺動板35bとを備え、第三カム23の上面に圧接された状態で本体部ケース15の摺動レール15gに摺動可能に配置されているものである。又、摺動板35bの下端には後方に向かって延設する下板が形成されており、この下板には、図4に示すように、押しバネ39が取り付けられるバネ取付突起35dが上方に突出するように形成されているものである。
【0032】
又、摺動部材35は、摺動支持レール35aに補助上部リンク部材33の摺動支持突起33aが係入され、摺動支持突起33aが摺動支持レール35aに沿って摺動することにより補助上部リンク部材33の前後動作を許容し、且つ、補助上部リンク部材33の上下動作を規制しているものである。更に、摺動部材35のバネ取付突起35dと本体部ケース15のバネ係着部15jの間には押しバネ39が設置され、摺動部材35を下方に付勢しており、摺動部材35は押しバネ39によって下方に付勢されると共に第三カム23によって上方に付勢されるものである。
【0033】
そして、足部7は、図2に示したように、略円板形状であって、上面に主下部リンク部材32及び補助下部リンク部材34と連結される連結部材7cを有し、主下部リンク部材32とは連結部材7cの内側で軸支され、補助下部リンク部材34とは足部7の略中央部分となる連結部材7cの外側部分に回動可能に軸支されているものである。このように足部7は、内側と略中央部分で軸支されることにより主下部リンク部材32及び補助下部リンク部材34と連動しながら左右に揺動可能とされ、足部制御手段によって脚部3に対する傾きを制御されるものである。又、足部7は、左右対称形状であって、左足部7aは左脚部3aの下端に、右足部7bは右脚部3bの下端に夫々軸支されているものである。
【0034】
又、上体移動手段である臀部4は、中空の略半球形状とされ、略対称形状の前方臀部カバー及び後方臀部カバーから形成されているものである。又、前方臀部カバー及び後方臀部カバーの中央上端近傍には本体部ケース15の臀部回動穴15cに貫挿される回動突起41が形成され、下端近傍には脚部3が位置する脚部貫通孔が形成され、脚部貫通孔の近傍には二本の脚部支持軸45が固定される軸穴が形成され、左右の上端近傍の内側には上述した主上部リンク部材31の係止板31cが係止する係止部44が形成されているものである。そして、この臀部4は、本体部ケース15の臀部回動穴15cに回動突起41が貫挿されて回動可能に本体部ケース15に取り付けられ、脚部3の主可動部材と係合することにより胴体部2に対する傾きが変化し、胴体部2が地上面に対して常に略垂直となるように保ち、上体を安定させているものである。尚、臀部4は、乳幼児が履くオムツのような外観に形成されている。
【0035】
又、臀部4と共に上体移動手段を形成する脚部支持軸45は、主下部リンク部材32の支持軸レール32aを貫挿した状態で臀部4の軸穴に固定され、支持軸レール32aを貫挿することによって、臀部4の回動と共に回動突起41を中心として回動し、左右の主上部リンク部材31及び主下部リンク部材32が同一の高さのとき、主下部リンク部材32を主上部リンク部材31の略延長方向とするように左右の主下部リンク部材32を各々下方に位置させるも、一方の主上部リンク部材31が下方に移動し、他方の主上部リンク部材31が上方に移動するとき、上昇する主上部リンク部材31の係止板31cにより臀部4の一方の側部が持ち上げられ、脚部支持軸45は臀部4の持ち上げられる側に移動し、主上部リンク部材31の降下に合わせて降下する主上部リンク部材31の下方に連結された主下部リンク部材32の下端を本体部ケース15下方である内側に移動させるように、主下部リンク部材32の主上部リンク部材31に対する角度を制御するものである。そして、このように主下部リンク部材32の主上部リンク部材31に対する角度を制御することにより、胴体部2の接地した側の脚部3である支持脚に対する位置関係を制御し、重心位置を移動させるものである。
【0036】
次に、駆動機構における二足歩行手段の動作に関して述べる。モータ11が回転すると、歯車群12が回転して主軸19を回転させ、図4乃至図7に示すように、主軸19に嵌合された第一カム21がこの主軸19を中心として回動する。
【0037】
そして、脚部3の主上部リンク部材31は、回動可能な第一カム21及び第二カム22並びに第三カム23に対して軸ピンを用いて三点で連結されているため、この第一カム21及び第二カム22並びに第三カム23によって位置及び姿勢が規制されると共に、第二カム22及び第三カム23を第一カム21と同一の曲率半径で回動させ、本体部ケース15との相対距離を一定に保ったままで本体部ケース15の側面に沿って円運動を行う。尚、主軸19の両端部における半円の向きは対称となっているため、左右の脚部3では円運動の位相が180度異なっており、左脚部3aが下端に位置している場合は右脚部3bは上端に位置し、左脚部3aが前端に位置している場合には右脚部3bが後端に位置するといったような位置関係とされるものである。
【0038】
次に、主上部リンク部材31が円運動した場合における二足歩行手段を構成する各部材の動作について左脚部3aの動きを中心にして述べる。図4及び図5に示したように、左脚部3aが支持脚とされている状態において、主上部リンク部材31が最下端位置から最後端位置に円運動した場合、図8及び図9に示すように、右脚部3bが備える主上部リンク部材31の係止板31cと臀部4の右側に位置する係止部44の係合状態から、左脚部3aが備える主上部リンク部材31の係止板31cと臀部4の左側に位置する係止部44との係合に変化し、臀部4の左側が上方に引き上げられ、臀部4は、本体部ケース15に貫挿された回動突起41を中心として左側に回動する。又、臀部4に固定された脚部支持軸45は、臀部4と共に回動突起41を中心として円運動し外側上方へと移動する。
【0039】
主下部リンク部材32は、主上部リンク部材31によって上方に引き上げられると共に、脚部支持軸45の円運動によって支持軸レール32aの外側に位置する内壁が外側へと押され、主上部リンク部材31との連結部を中心に外側に回動する。
【0040】
摺動部材35は、図4及び図5に示したように、押しバネ39によって下方に付勢されているため第三カム23の上面に圧接されており、第三カム23が回動して半径と円弧の交点が最後端位置よりも上方に回動すると第三カム23によって上方に押し上げられ、押しバネ39を収縮させながら本体部ケース15の摺動レール15gに沿って上方に摺動する。つまり、主上部リンク部材31が上昇を開始しても、第三カム23の半径と円弧の交点が最後端位置に来るまでは停止しているため、主上部リンク部材31よりもタイミングが遅れて上昇を開始する。
【0041】
又、補助上部リンク部材33は、係止板貫挿枠に貫挿した係止板31cが後方に移動するため係止板31cに付勢されて後方に移動し、この時摺動部材35の摺動支持レール35aに係入された摺動支持突起33aが摺動支持レール35aに沿って後方に摺動する。そして、補助上部リンク部材33は、摺動部材35が上方に摺動すると、摺動支持突起33aが摺動部材35の摺動支持レール35aによって上方に引き上げられて本体部ケース15に対して相対的に上方に移動する。
【0042】
更に、補助下部リンク部材34は、補助上部リンク部材33が上方に移動すると、図8及び図9に示したように、補助上部リンク部材33との連結部で上方に引き上げられ、主下部リンク部材32が主上部リンク部材31との間で外方に回動するため、主下部リンク部材32の回動に合わせて補助上部リンク部材33との連結部を中心に外方に回動する。
【0043】
左足部7aは、主下部リンク部材32によって内側が引き上げられ、補助下部リンク部材34によって中央部分が引き上げられるが、摺動部材35が上昇するタイミングは主上部リンク部材31が上昇するタイミングよりも遅れているため、左足部7aの内側が先に上方に引き上げられ、中央部分が遅れて引き上げられることになり、左脚部3aと成す角度が大きくなる。
【0044】
そして、左足部7aは接地しているため、主下部リンク部材32が主上部リンク部材31との連結部を中心に外側に回動すると、本体部ケース15は、主下部リンク部材32と連結された主上部リンク部材31によって左足部7aの上方から中心側に押されて移動し、重心の位置が中心近くへと移動する。この時、上体移動手段とされる臀部4が脚部支持軸45と共に回動突起41を中心に回動するため、主上部リンク部材31と主下部リンク部材32の角度が変化しても、本体部ケース15は地上面に対して略垂直な角度を保ったままで移動可能となる。又、補助可動部材が上昇を開始すると、本体部ケース15に向かって左足部7aを引き寄せるため、本体部ケース15の重心は下がり、支持脚とは逆側の右脚部3bに連結された右足部7bと地上面との距離が近接する。
【0045】
次に、左脚部3aの主上部リンク部材31が図5及び図6に示したような最後端位置から最上端位置まで円運動する場合、臀部4は、図9及び図10に示すように、主上部リンク部材31の係止板31cによって係止部44が更に上方に付勢され、本体部ケース15に貫挿された回動突起41を中心として更に左側が上方に回動して、本体部ケース15に対して左側が大きく起き上がる。又、臀部4に固定された脚部支持軸45は、臀部4と共に回動突起41を中心として円運動し外側上方へと更に移動する。
【0046】
又、主下部リンク部材32は、主上部リンク部材31によって引き上げられて、前上方へ移動し、この時、脚部支持軸45の円運動によって支持軸レール32aの外側に位置する内壁が外側へと更に押されて主上部リンク部材31との連結部を中心に外側に回動する。
【0047】
更に、摺動部材35は、図5及び図6に示したように、第三カム23が回動するため、第三カム23の半径と円弧の交点と接している状態から円弧と接する状態まで上方に押し上げられ、押しバネ39を収縮させながら本体部ケース15の摺動レール15gに沿って上方に摺動し、第三カム23の円弧と接した後はその位置を保つ。よって、摺動部材35は、主上部リンク部材31が最上端まで上昇する前に上昇を停止することになる。
【0048】
又、補助上部リンク部材33は、係止板貫挿枠に貫挿した主上部リンク部材31の係止板31cが前方に移動するため係止板31cに付勢されて前方に移動すると共に、摺動部材35の摺動支持レール35aに係着された摺動支持突起33aが摺動部材35によって上方に引き上げられて上昇し、摺動部材35が停止すると上下動を停止して前方にのみ移動する。
【0049】
更に、補助下部リンク部材34は、補助上部リンク部材33が上方に移動すると、図9及び図10に示したように、補助上部リンク部材33との連結部で上方に引き上げられると共に、主下部リンク部材32の回動に合わせて補助上部リンク部材33との連結部を中心に外方に回動する。
【0050】
左足部7aは、上述した左脚部3aが最下端位置から最後端位置まで移動する場合と同様に、主下部リンク部材32によって内側が引き上げられ、補助下部リンク部材34によって中央部分が引き上げられるが、主上部リンク部材31が上昇する量の方が摺動部材35が上昇する量よりも大きいため、左足部7aの内側が外側よりも大きく上昇する。
【0051】
そして、本体部ケース15は、上述した左脚部3aが最後端位置に位置している場合よりも右脚部3b側に更に移動するため、中心よりも右側前方へと重心が移動し、右足部7b上に重心が移動して右足部7bが地上面に接地して右脚部3bが支持脚となり、左足部7aは地上面から浮くこととなる。よって、左足部7aが接地していた位置よりも右足部7bが接地した位置が前方にあるため、本体部ケース15は前方に移動することとなり、二足歩行玩具1は前方に移動する。更に、右足部7bが接地した後、左脚部3aは前方に右脚部3bは後方へと本体部ケース15に対して円運動するため、本体部ケース15は支持脚上へと引き寄せられて、重心が右足部7b上へと移動する。
【0052】
更に、左脚部3aの主上部リンク部材31が図6及び図7に示したように最上端位置から最前端位置まで円運動する場合、左脚部3aの主上部リンク部材31が下方に下がるため、臀部4の係止部44と左脚部3aの係止板31cとの係合状態が外れ、支持脚である右脚部3bの係止板31cと臀部4の右側の係止部44が係合する。この時、臀部4は、図10及び図11に示すように、右側の係止部44と右脚部3bの係止板31cとが係合するまでは回動せず、右側の係止部44と右脚部3bの係止板31cとが係合すると、臀部4の右側が係止板31cによって上方に付勢され、臀部4の左側は本体部ケース15に対して下内側方向へと回動する。又、臀部4に固定された脚部支持軸45は、臀部4が停止している場合には停止し臀部4が回動を開始すると、臀部4と共に回動突起41を中心として円運動し外側下方へと移動する。
【0053】
又、主下部リンク部材32は、主上部リンク部材31によって押し下げられて、前下方へ移動し、この時、脚部支持軸45の円運動によって支持軸レール32aの内側に位置する内壁が内側へと押され、主上部リンク部材31との連結部を中心に内側方向に回動する。
【0054】
更に、摺動部材35は、図6及び図7に示したように、第三カム23の円弧と接している間は停止しており、第三カム23の半径と円弧の交点と接した後は、押しバネ39によって下方に付勢され、本体部ケース15の摺動レール15gに沿って下方に摺動するものである。よって、摺動部材35は、主上部リンク部材31が下降を開始した当初は停止したままであり、タイミングをずらして下降を開始するものである。
【0055】
又、補助上部リンク部材33は、係止板貫挿枠に貫挿した主上部リンク部材31の係止板31cが前方に移動するため係止板31cに付勢されて前方に移動し、この時、摺動部材35が停止している間は上下動はせず、摺動部材35が下降を開始した場合には摺動部材35の摺動支持レール35aに係着された摺動支持突起33aが摺動部材35によって下方に押し下げられるため下降する。
【0056】
更に、補助下部リンク部材34は、補助上部リンク部材33が下降すると、図10及び図11に示したように、補助上部リンク部材33との連結部で下方に押し下げられると共に、主下部リンク部材32の回動に合わせて補助上部リンク部材33との連結部を中心に内側方向へ回動するものである。
【0057】
又、左足部7aは、主下部リンク部材32によって内側が押し下げられ、補助下部リンク部材34によって中央部分が押し下げられるが、主下部リンク部材32と補助下部リンク部材34の下降を開始するタイミングが異なるため、左足部7aの内側が先に下降し、その後、外側も下降する。よって、左足部7aの外側が起き上がる。
【0058】
よって、右脚部3bが支持脚となっている場合には、左脚部3aの各部材は本体部ケース15に対して相対的に稼動し、左足部7aは地上面に近接する。又、本体部ケース15は、支持脚とされる右脚部3bに支持されて右足部7b上から中心へと移動すると共に、左脚部3aは前方に右脚部3bは後方に移動するため、重心位置が前方に移動するものである。
【0059】
そして、左脚部3aの主上部リンク部材31が図7及び図4に示したように最前端位置から最下端位置まで円運動する場合、図11及び図8に示したように、臀部4は、右側の係止部44が右脚部3bの係止板31cによって更に引き上げられるため、左側が下内側へ回動突起41を中心として回動する。又、臀部4に固定された脚部支持軸45は、臀部4と共に回動突起41を中心として円運動し下内側へと円運動を行う。
【0060】
又、主下部リンク部材32は、主上部リンク部材31によって押し下げられて、後下方へ移動する。この時、主下部リンク部材32は、脚部支持軸45の円運動によって支持軸レール32aの内側に位置する内壁が内側へと押され、主上部リンク部材31との連結部を中心に内側方向に回動する。
【0061】
更に、摺動部材35は、図7及び図4に示したように、第三カム23の半径と円弧の交点と接している間は、押しバネ39によって下方に付勢され、本体部ケース15の摺動レール15gに沿って下方に摺動し、第三カム23の半径と円弧の交点との接触状態が外れると、そこで停止する。
【0062】
又、補助上部リンク部材33は、係止板貫挿枠に貫挿した主上部リンク部材31の係止板31cが後方に移動するため係止板31cに付勢されて後方に移動する。更に、摺動部材35が下降している間は、摺動部材35の摺動支持レール35aに係着された摺動支持突起33aが摺動部材35によって押し下げられて下降し、摺動部材35が下降を停止すると共に下降を停止する。
【0063】
更に、補助下部リンク部材34は、補助上部リンク部材33が下降すると、図12及び図9に示したように、補助上部リンク部材33との連結部で下方に押し下げられると共に、主下部リンク部材32の回動に合わせて補助上部リンク部材33との連結部を中心に内側方向へ回動するものである。
【0064】
左足部7aは、主下部リンク部材32によって内側が押し下げられ、補助下部リンク部材34によって中央部分が押し下げられるが、補助下部リンク部材34の降下が停止し主下部リンク部材32のみ降下すると左足部7aの中央部分が引き上げられるため左足部7aの外側が大きく上昇し、内側が大きく下降して外側が起き上がる。
【0065】
そして、本体部ケース15は、中心位置よりも左足部7a上に移動するため、重心が左側に移動して左足部7aが地上面に接地し右足部7bが地上面から浮く。又、上述した右足部7bが接地する場合と同様に、右足部7bが接地していた位置よりも前方で左足部7aが接地するため、二足歩行玩具1は前方に移動することとなる。更に、左足部7aが接地した後、右脚部3bは前方に左脚部3aは後方に移動するため、本体部ケース15は、左足部7a上へと移動するものである。
【0066】
そして、二足歩行手段は、左足部7aが接地している場合には、左脚部3aを支持脚として本体部ケース15が地上面と略垂直な角度を保ちながら右前方へと移動し、限界を超えると右足部7b上に重心が移動して右足部7bが接地して左足部7aが地上面から浮き上がり、今度は右脚部3bを支持脚として本体部ケース15が地上面と略垂直な角度を保ちながら左前方へと移動し、限界を超えると左足部7a上に重心が移動して左足部7aが接地して右足部7bが地上面から浮き上がるといった動作を連続で行うことにより、二足歩行玩具1を二足歩行させるものである。
【0067】
駆動機構の腕部可動手段及び頭部可動手段は、図2及び図3に示したように、第一カム21の周縁に配置される可動枠24,25と、腕部5と、胴部カバー37と、頭部6とにより構成されるものである。
【0068】
この可動枠24,25は、腕部可動手段及び頭部可動手段として機能するものであり、左右で異なる形状とされ、左可動枠24は、第一カム21の周縁を囲む縦長で略楕円形状の開口を有し、前端の所定の位置には腕部5を稼動させる腕部可動突起24aを有し、上端には頭部6を稼動させる頭部可動突起24bが上方に突出するように形成され、更に、後述する胴部カバー37の可動枠摺動レールに摺動を支持される摺動支持板24cが上端から外側に突出するように形成されているものである。
【0069】
又、右可動枠25は、左可動枠24と略対称形状であって、略楕円形状の開口と、腕部可動突起25aと、摺動支持板25bとを備えるものである。そして、左右の可動枠24,25の開口は、幅を第一カム21の直径よりも僅かに大きな幅とされ、第一カム21が回動することにより第一カム21の外周面が可動枠24,25の開口の内周縁と接して可動枠24,25を前後に付勢し、可動枠24,25は可動枠摺動レールに沿って前後に摺動するものである。
【0070】
胴部カバー37は、腕部可動手段及び頭部可動手段として機能するものであり、可動枠24,25の腕部可動突起24a,25aが貫挿する腕支持穴37aと、腕支持穴37aの近傍に位置し外方に突出するように形成された腕保持部37bとを備え、本体部ケース15側には図示しないが可動枠24,25の摺動支持板24c,25bが摺動する可動枠摺動レールが前後方向に形成されているものであり、腕保持部37bの端部近傍には後述する腕部5の回動軸が回動可能に貫挿される腕回動穴が形成されているものである。又、胴部カバー37の下端近傍には主上部リンク部材31の係止板31cが位置する切欠きが形成されているものである。
【0071】
そして、この胴部カバー37は、可動枠24,25の腕部可動突起24a,25aが腕支持穴37aを貫挿し、可動枠24,25の摺動支持板24c,25bが可動枠摺動レールに位置するように、脚部3の外側から本体部ケース15に固定されているものである。又、胴部カバー37と本体部ケース15の間には脚部3等が稼動する間隙が形成されており、胴部カバー37の内部で脚部3等が可動とされているものである。
【0072】
又、腕部5は、胴部カバー37の腕回動穴37cに回動可能に貫挿される回動軸と、可動枠24,25の腕部可動突起24a,25aと係止する可動支持突起5bとを備え、回動軸がねじりバネを介して胴部カバー37の腕回動穴37cに回動可能に装着され、可動支持突起5bは、可動枠24,25の腕部可動突起24a,25aと係止した状態で胴部カバー37の腕支持穴37aを貫挿しているものである。尚、可動支持突起5bの腕部可動突起24a,25aと係合する面はテーパー状に形成されており、可動枠24,25の前後の摺動動作を腕部5の回転動作に変換しているものである。そして、この腕部5は、ねじりバネによって体に近づく方向へと付勢されており、可動枠24,25が摺動すると可動支持突起5bが腕部可動突起24a,25aに支持されて回動するものである。
【0073】
そして、腕部可動手段は、図12に示すように、可動枠24,25を胴部カバー37に沿って前方に摺動させることにより、腕部可動突起24a,25aと係合する腕部5の可動支持突起5bを外側へと押し込み、逆に、可動枠24,25を胴部カバー37に沿って後方に摺動させることにより腕部5をねじりバネのバネ力によって元の位置に復帰させるものであり、このように腕部5を稼動させることによって二足歩行玩具1は腕振り動作を行うものである。
【0074】
更に、頭部6は、頭部可動手段によって制御されるものであり、目、口等の顔のパーツが形成され、目には発光ダイオードが配設され、口には乳幼児がくわえるおしゃぶりが配置され、下端には図3に示した本体部ケース15の頭部回動部に回動可能に取り付けられる首部が形成され、この首部の近傍には、図12に示したように、可動枠24の頭部可動突起24bが貫挿される突起貫挿穴6aが形成されているものである。
【0075】
又、頭部6の内部には、図示しないが、音声センサ及びICチップが収納されており、手を叩くと二足歩行玩具1が動き出すと入ったような機能を可能としているものである。更に、本体部ケース15に収納されている電池から電力を供給するための電力線等が本体部ケース15と頭部6を繋いでいるものである。
【0076】
この頭部可動手段は、頭部6の突起貫挿穴6aに貫挿された頭部可動突起24bを可動枠24と共に前後に可動させることにより、突起貫挿穴6aの前後端部を頭部可動突起24bで前後に付勢させ、頭部6を首部を中心に回動させるものである。
【0077】
そして、本実施例の二足歩行玩具1は、スイッチをONにして近くで手を叩くと、音声センサが音を感知して二足歩行手段による二足歩行が開始する。又、これと共に、頭部6の目に組み込まれたLEDが点灯し、本体部ケース15に組み込まれたスピーカーから音声が出力される。二足歩行玩具1の歩行動作は、押しバネ39が設置時の衝撃を吸収するためによちよち歩きとなり、まるで乳幼児がよちよち歩きをしているような外観となる。所定の時間が経過すると二足歩行玩具1は、歩行動作を停止する。停止した後、再び近くで手を叩くと再び動作を開始し、所定の時間が経過すると再び停止するものである。
【0078】
又、金属ボール又は水銀等を内蔵した水平センサ等を組み込むことにより、転倒時には擬似的な鳴き声を発して動作を停止し、起こすと泣きやんで再び動作を開始するといった嗜好を提供することもできる。
【0079】
本実施例の二足歩行玩具1によれば、一つのモータ11で二足歩行動作、首振り動作、腕振り動作の全てを行うため、複雑な動きを可能とした小型の二足歩行玩具1を提供でき、又、上体が左右に振れて、まるで乳幼児がよちよち歩きをしているような嗜好を提供することができ、見た目と動きの両方で楽しむことができるものである。
【0080】
更に、スピーカーを備えることにより、二足歩行と同時に音声も楽しむことができ、更に、腕部可動手段及び頭部可動手段を備えることで、腕部5及び頭部6も稼動するため、人間の二足歩行に近い二足歩行動作が可能な玩具を提供できるものである。
【0081】
又、本発明は、以上の実施例に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施例に係る二足歩行玩具の斜視図。
【図2】本発明の実施例に係る二足歩行玩具の分解斜視図。
【図3】本発明の実施例に係る本体部ケースの分解斜視図。
【図4】本発明の実施例に係る駆動機構において左脚部が最下端に位置する場合の動きを説明する側面図。
【図5】本発明の実施例に係る駆動機構において左脚部が最後端に位置する場合の動きを説明する側面図。
【図6】本発明の実施例に係る駆動機構において脚部が最上端に位置する場合の動きを説明する側面図。
【図7】本発明の実施例に係る駆動機構において脚部が最前端に位置する場合の動きを説明する側面図。
【図8】本発明の実施例に係る駆動機構において左脚部が最下端に位置する場合の動きを説明する正面図。
【図9】本発明の実施例に係る駆動機構において左脚部が最後端に位置する場合の動きを説明する正面図。
【図10】本発明の実施例に係る駆動機構において左脚部が最上端に位置する場合の動きを説明する正面図。
【図11】本発明の実施例に係る駆動機構において左脚部が最前端に位置する場合の動きを説明する正面図。
【図12】本発明の実施例に係る腕部及び頭部の動きを説明する斜視図。
【符号の説明】
【0083】
1 二足歩行玩具 2 胴体部
3 脚部 3a 左脚部
3b 右脚部 4 臀部
5 腕部
5b 可動支持突起 6 頭部
6a 突起貫挿穴 7 足部
7a 左足部 7b 右足部
7c 連結部材 11 モータ
12 歯車群 15 本体部ケース
15a 左本体ケース 15b 右本体ケース
15c 臀部回動穴 15d 主軸貫挿穴
15g 摺動レール 15h ギア軸取付部
15j バネ係着部 16 前方カバー
19 主軸 21 第一カム
22 第二カム 23 第三カム
24 左可動枠 24a 腕部可動突起
24b 頭部可動突起 24c 摺動支持板
25 右可動枠 25a 腕部可動突起
25b 摺動支持板 31 主上部リンク部材
31c 係止板 32 主下部リンク部材
32a 支持軸レール 33 補助上部リンク部材
33a 摺動支持突起 34 補助下部リンク部材
35 摺動部材 35a 摺動支持レール
35b 摺動板 35d バネ取付突起
37 胴部カバー 37a 腕支持穴
37b 腕保持部 37c 腕回動穴
39 押しバネ 41 回動突起
44 係止部 45 脚部支持軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部ケースと該本体部ケースの側面を覆う胴部カバーとを備えた胴体部と、該胴体部の下方に位置する臀部と、主可動部材及び補助可動部材を備えた左右の脚部と、該左右の脚部の各下端に連結された左右の足部と、前記胴体部の左右上端近傍に配設された腕部と、前記胴体部の上端に配設された頭部と、を備え、前記臀部、脚部、足部を稼動させる駆動機構を有し、
前記駆動機構は、動力となるモータを備えた動力手段と、二足歩行させる二足歩行手段と、を備え、
該二足歩行手段は、前記脚部の主可動部材を前記本体部ケースに沿って180度位相をずらして円運動させる可動制御手段と、前記足部に対して前記胴体部を左右に移動させる上体移動手段と、前記足部の前記脚部に対する傾きを制御する足部制御手段とを備えることを特徴とする二足歩行玩具。
【請求項2】
前記二足歩行手段における可動制御手段は、前記動力手段の動力によって前記主可動部材を前記本体部ケースの側面に沿って回動させ、前記上体移動手段は、前記可動制御手段の動きに合わせて支持脚側から他方の脚部側へと前記胴体部を移動させ、前記足部制御手段は、前記上体移動手段の動きに合わせて前記足部の外側を引き上げる又は押し下げることにより足部の前記脚部に対する傾きを変化させることを特徴とする請求項1に記載の二足歩行玩具。
【請求項3】
前記動力手段は、前記モータと、減速機構と、減速機構を介してモータによって回転する主軸と、を備え、
前記可動制御手段は、前記主軸の両端に嵌合されて回動する第一カムと、該第一カムと同一の曲率半径で回転する第二カム及び三角カムとされる第三カムと、を備え、前記脚部の主可動部材を三点で支持すると共に本体部ケースの側面に沿って円運動させ、
前記上体移動手段は、前記臀部と、該臀部に固定され前記左右の脚部が有する主可動部材の動作を支持する二本の脚部支持軸と、を備え、前記主可動部材の円運動に合わせて該臀部が前記本体部ケースとの連結部を中心に回動することにより前記脚部支持軸が前記主可動部材の下方を内側又は外側に回動させ、
前記足部制御手段は、前記主可動部材の外側に配置される前記補助可動部材を備え、該補助可動部材は、前記第三カムの上面に圧接されて、下端は前記足部の外側に回動可能に連結され、前記第三カムによって上下に稼動することによって前記足部の脚部に対する角度を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の二足歩行玩具。
【請求項4】
前記臀部は、回動突起を有し、前記胴体部下端近傍に回動可能に取り付けられ、
前記脚部の主可動部材は、外方に突出する係止板を有し、
前記上体移動手段は、前記主可動部材の係止板に前記臀部の側端部が係合し、前記臀部が前記回動突起を中心に回動することにより、前記胴体部に対する臀部の角度が変化し前記脚部の下方を左右に揺動させて上体を左右に移動させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の二足歩行玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−297189(P2009−297189A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153731(P2008−153731)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(596020680)株式会社キューブ (11)
【Fターム(参考)】