説明

二軸延伸エチレン系共重合体フィルム

【課題】
耐ピンホール性等の耐屈曲性に優れ冷凍食品その他の製品の包装材に適した二軸延伸エチレン系共重合体フィルムを提供する。
【解決手段】
二軸延伸されたフィルムであって、その引張弾性率がいずれの延伸方向においても300ないし3000MPaの範囲であり、その破断点応力がいずれの延伸方向においても50ないし300MPaであり、さらにその屈折率であるΔNxz(Nx−Nz)及びΔNyz(Ny−Nz)の値がいずれも5×10−3 から4.5×10−2であることを特徴とする二軸延伸エチレン系共重合体フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐ピンホール性等の耐屈曲性に優れ冷凍食品その他の製品の包装材に適した二軸延伸エチレン系共重合体フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
線状低密度ポリエチレン(LLDPE)であるエチレン・α−オレフィン共重合体は、高圧法低密度ポリエチレンに比べ、透明性、耐ストレスクラッキング性、低温ヒートシール性、ヒートシール強度、耐衝撃性等に優れておりその特徴を活かして食品包装用のシーラントとして広く用いられている。中でも、シングルサイト触媒で重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体は、更に透明性、低温ヒートシール性、夾雑物シール性、ホットタック性にも優れている。
【0003】
エチレン・α−オレフィン共重合体フィルムの透明性、機械的強度等を改良する方法としてエチレン・α−オレフィン共重合体を二軸延伸することは従来から行われている。
特許文献1(特開2005−89693)には密度の異なる2種類のエチレン・α−オレフィン共重合体と高密度ポリエチレンからなる樹脂組成物からなる延伸フィルムが開示されている。
特許文献4(特開2006−239877)には、密度の異なる2種類のエチレン・α−オレフィン共重合体と高圧法低密度ポリエチレンからなる樹脂組成物(α)からなる層と ポリエチレン組成物(β)からなる層を含む積層フィルムであって、樹脂組成物(α)からなる層が延伸された積層フィルムが開示されている。
これらの特許文献1、特許文献4には、延伸の態様として、一軸延伸あるいは二軸に逐次あるいは同時に延伸することが記載されているが、好ましい態様として、インフレーション成形した単層フィルムをさらに延伸倍率2から15倍程度に一軸延伸した一軸延伸フィルムが記載され、実施例においても、加熱ロールを用いた一軸延伸フィルムが記載されている。
特許文献2(特開2005−298642)には、縦横いずれの方向にも容易に引き裂け、且つ透明性、収縮性に優れる二軸延伸エチレン系重合体フィルムについて開示されており、特定の密度の組み合わせからなるエチレン・α−オレフィン共重合体及びエチレン系重合体を用いることが開示されている。
特許文献3(特開2006−181831)には、縦横いずれの方向にも容易に引き裂け、且つ透明性、収縮性に優れ、しかもヒートシール性及び耐屈曲性にも優れる二軸延伸エチレン重合体多層フィルムが開示されており、基材層は特定の密度の組み合わせからなるエチレン・α−オレフィン共重合体からなることが開示されている。
これらの特許文献9、特許文献10には、基材フィルムをフラット方式(テンター方式)により、縦(MD)方向及び横(TD)方向に二軸延伸することが開示されている。
これら従来のエチレン・α−オレフィン共重合体からなる二軸延伸フィルムは、耐ピンホール性の耐屈曲性が不十分であり、冷凍食品等その他の包装材として更なる改善が求められている。
また、従来の技術では優れた耐屈曲性を得るためには特定のエチレン・α−オレフィン共重合体を組み合わせた組成物を用いなければならないなど等の制約がある。
【0004】
【特許文献1】特開2005−89693号公報
【特許文献2】特開2005−298642号公報
【特許文献3】特開2006−181831号公報
【特許文献4】特開2006−239877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は耐ピンホール性等の耐屈曲性に優れた二軸延伸エチレン系重合体フィルムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、下記の二軸延伸エチレン系重合体フィルムが提供されて、上記課題が解決される。
すなわち、本発明は二軸延伸されたフィルムであって、その引張弾性率がいずれの延伸方向においても300ないし3000MPaの範囲であり、その破断点応力がいずれの延伸方向においても50ないし300MPaであり、さらにそのΔNxz(Nx−Nz)及びΔNyz(Ny−Nz)の値がいずれも5×10−3 から4.5×10−2であることを特徴とする二軸延伸エチレン系共重合体フィルムに関する。
本発明の二軸延伸フィルムの結晶化度の値は50から65%であることが望ましい。さらに、用いられるエチレン系共重合体は、その密度が895〜945Kg/m3のエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(α−オレフィンは炭素数4ないし10のα−オレフィンである。)であることが望ましく、さらに、密度が895〜945Kg/m3のエチレン・α−オレフィンランダム共重合体及び密度が910〜935Kg/m3の高圧法低密度ポリエチレンからなるエチレン系共重合体組成物であることが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の二軸延伸エチレン系共重合体は、耐ピンホール性等の耐屈曲性、透明性に優れており、冷凍食品をはじめとして種々の包装材として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に係る二軸延伸エチレン系共重合体フィルムについて説明する。
本発明のフィルムに用いられるエチレン系共重合体としては、エチレンと炭素数4から10のα−オレフィンとの共重合体が好適である。α−オレフィンには例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等が例示される。これらのエチレン系共重合体の中でも、エチレンと共に炭素数4から10のα−オレフィンを共重合して得られるランダム共重合体が好適であり、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体等が例示される。
【0009】
これらのエチレン系共重合体の密度は895〜945Kg/m3、特に900〜940Kg/m3が好適であり、フィルム成形が可能な限りメルトフローレート(MFR:ASTM D1238 荷重2160g、温度190℃)は特に限定されないが、通常、0.5〜15g/10分、好ましくは0.8〜8g/10分である。
また、これらのエチレン系重合体は、チーグラー触媒、メタロセン触媒などのシングルサイト触媒、その他の触媒を適宜選択し、得られるエチレン系共重合体の組成分布(密度分布)を調整することにより得ることができる。さらには密度の異なるこれらのエチレン系共重合体を適宜混合して用いることも行われる。
【0010】
本発明ではエチレン系共重合体をメタロセン触媒等のシングルサイト触媒等を用いた製造法により調整することが好ましく、例えばメタロセン化合物を含む触媒は、(a)遷移金属のメタロセン化合物と、(b)有機アルミニウムオキシ化合物と、(c)担体とから形成されることが好ましく、さらに必要に応じて、これらの成分と(d)有機アルミニウム化合物および/または有機ホウ素化合物とから形成さていてもよい。
なお、メタロセン化合物を含むオレフィン重合用触媒、および触媒を用いたエチレン系共重合体の調整方法は、たとえば特開平8−269270号公報に記載されている。
本発明のエチレン系共重合体のうち、シングルサイト触媒等を用いて得られるエチレン系共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.5〜4.0、好ましくは1.8〜3.5の範囲にある。このMw/Mnはゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定できる。
【0011】
本発明においては、エチレン系共重合体に、高圧法低密度ポリエチレンを配合してその溶融張力を高めることが望ましい。
配合される高圧法低密度ポリエチレンの密度は通常910〜935Kg/m3、好ましくは915〜930Kg/m3であり、高圧下で重合されるエチレンの単独重合体、若しくは5重量パーセント(%)以下の他のα−オレフィンあるいは酢酸ビニル等のビニル化合物との共重合体である。
高圧法低密度ポリエチレンは、フィルム成形が可能な限りメルトフローレート(MFR:ASTM D1238 荷重2160g、温度190℃)は特に限定はされないが、通常、0.5〜15g/10分、好ましくは0.8〜8g/10分である。
高圧法低密度ポリエチレンの配合量は配合後の組成物中における割合が5から45重量パーセント(%)とすることが通常であり、好ましくは10から40重量パーセント(%)である。これにより配合後の組成物の密度を895〜945Kg/m3、メルトフローレート(MFR:ASTM D1238 荷重2160g、温度190℃)を、0.5〜15g/10分、好ましくは0.8〜8g/10分に調節することが望ましい。
【0012】
本発明に用いられるエチレン系共重合体、あるいは更には高圧法低密度ポリエチレンには、本発明の目的を損なわない範囲で、通常用いられる酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、滑剤、核剤、顔料等の添加剤或いは他の重合体を必要に応じて配合することができる。
エチレン系共重合体及び高圧法低密度ポリエチレン、あるいは更に添加剤等は、ヘンシェルミキサー、タンブラーブレンダー、V−ブレンダー等によりドライブレンドする方法またはドライブレンドした後、単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー等により溶融混練することにより調製することができる。
【0013】
本発明の二軸延伸エチレン系共重合体フィルムは、上記のエチレン系共重合体、好ましくは高圧法低密度ポリエチレンとの組成物を用いて成形される。
【0014】
二軸延伸エチレン系共重合体フィルムの成形は、フラット方式(テンター方式)により、縦(MD)方向および横(TD)方向のうちの一方向の延伸倍率が3〜15倍、好ましくは5〜12倍及び他方向の延伸倍率が3〜15倍、好ましくは5〜12倍の範囲で縦(MD)方向及び横(TD)方向に二軸延伸することにより行われる。二軸延伸は同時二軸延伸でも、逐次二軸延伸でもよい。これら方式の中でも、フラット方式により得られる二軸延伸エチレン系共重合体フィルムが、より透明性に優れるので好ましい。
【0015】
本発明の二軸延伸エチレン系共重合体は、フラット方式により延伸して成形することが望ましい。すなわち、逐次二軸延伸により成形するには、押出し成形して得たシートの温度を60〜110℃、さらに好適には70〜90℃において、縦方向に延伸した後、さらに60〜120℃の温度範囲で横方向に延伸することが望ましい。
また、同時二軸延伸により成形するには、押出し成形して得たシートの温度を60〜110℃、さらに好適には、70〜90℃で、縦(MD)、横(TD)それぞれ3〜15倍の延伸倍率で同時二軸延伸することが望ましい。
なお、二軸延伸した後は、用途によりヒートセットを行ってもよい。ヒートセットの温度は目的とする熱収縮率に応じて変える事が出来るが、通常は80〜140℃程度である。
本発明の二軸延伸エチレン系重合体フィルムの厚さは用途により種々決定され得るが、通常5〜200μm、好ましくは15〜130μmである。
【0016】
上記の方法で得られる本発明の二軸延伸フィルムは、以下のような物性を有する。
(1)弾性率:
いずれの延伸方向においても300ないし3000MPaの範囲
(2)破断点応力:
いずれの延伸方向においても50ないし300MPaの範囲
(3)屈折率ΔNxz(Nx−Nz)及びΔNyz(Ny−Nz)の値:
5×10−3 から4.5×10−2
【0017】
さらに、本発明の二軸延伸エチレン系共重合体フィルムは、その屈折率が上記の範囲となると共に、面配向度であるΔNp(1/2(ΔNxz+ΔNyz))の値が1×10−2 から3×10−2であるフィルムが特に好適である。
【0018】
さらに、本発明の二軸延伸エチレン系共重合体フィルムは、さらにその結晶化度の値が50から65パーセント(%)であるフィルムが特に好適である。
このように、屈折率及び面配向度、あるいは更に結晶化度が上記の範囲の二軸延伸エチレン系共重合体フィルムは、そのフィルム強度のバランスが優れている。
【0019】
さらに、本発明の二軸延伸エチレン系共重合体フィルムの中でも、以下の物性を有するものが特に好適である。すなわち、ヘイズ(曇価、フィルム4枚の値)が5〜30%であり、熱収縮率(100℃における)がいずれの延伸方向も1〜15%の範囲であり、引裂強度がいずれの延伸方向も5〜120N/cmである二軸延伸フィルムである。
【0020】
本発明の二軸延伸エチレン系共重合体フィルムは、印刷性あるいは後述の基材層を含め他のフィルムとの接着性を改良するために、フィルムの表面を、例えば、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、アンダーコート処理等の表面活性化処理を行っておいてもよい。
【0021】
本発明の二軸延伸エチレン重合体フィルムは、単層でも用いられるが、他のフィルム基材、例えば熱可塑性樹脂からなるシート状またはフィルム状のもの、紙、アルミニウム箔等からなる基材層と積層してもよい。かかるフィルム基材として熱可塑性樹脂を用いる場合は、種々公知の熱可塑性樹脂、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリブテン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド等)、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体もしくはその鹸化物、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、アイオノマー、あるいはこれらの混合物等を例示することができる。これらのうちでは、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等、延伸性、透明性が良好な熱可塑性樹脂が好ましい。
【0022】
また、これら熱可塑性樹脂フィルムからなるフィルム基材は、無延伸フィルムであっても、延伸フィルムであっても良いし、1種または2種以上の共押し出し成形、押出しラミネート、ドライラミネート、サーマルラミネート等で得られる積層体であっても良い。中でも、二軸延伸熱可塑性フィルム、とくにポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミドからなる二軸延伸熱可塑性フィルムが好ましい。
【0023】
本発明の二軸延伸エチレン系共重合体フィルムは、印刷性あるいは後述の基材層を含め他のフィルムとの接着性を改良するために、フィルムの表面を、例えば、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、アンダーコート処理等の表面活性化処理を行っておいてもよい。
【0024】
[実施例]
次に本発明を、実施例を通して説明するが、本発明はそれら実施例によって限定されるものではない。
本発明における各種試験法および評価法は次の通りである。
【0025】
(1)屈折率、面配向度
フィルムの屈折率をアッベ(abbe)屈折計DR−M2((株)アタゴ製)を用いて下記のNx、Ny、NzをJIS K 7142に準拠して測定した。
すなわち、測定光としてD線(波長589nm)を使用して、フィルムの直交3方向の屈折率Nx、Ny、Nzを測定し、その測定で得られた数値から以下の屈折率、面配向度を求めた。
Nx フィルムの長手方向(MD)の屈折率
Ny フィルムの幅方向(TD)の屈折率
Nz フィルムの厚み方向の屈折率
屈折率であるΔNxz(Nx−Nz)及びΔNyz(Ny−Nz)の値
面配向度であるΔNp(1/2(ΔNxz+ΔNyz))の値
(2)メルトフローレート(g/10分)
ASTM D1238に準拠し、荷重2160g、温度190℃の条件で測定した。
(3)密度(Kg/m3)
JIS K 7112に準拠し、D法(密度勾配管)により測定した。
(4)結晶化度
密度勾配管で求めた密度をもとに、ポリエチレンの完全結晶および完全非晶の密度の比から結晶化度を求めた。
【0026】
(5)耐ピンホール性
テスター産業製のゲルボフレックステスターを使用し、多層フィルムから210mm幅、297mm長さの試験片を切り出し、屈曲角度440度、屈曲速度40回/分で、−30℃の各雰囲気下で、3000回の屈曲試験を行った後、屈曲試験後の試験片で袋をつくり、三菱ガス化学製のエージレスシールチェックでピンホール数を測定した。

(6)ヘイズ(曇価)(%)
Haze Meter(日本電色工業社製 NDH−2000)を使用してフィルム4枚の曇り度をJIS K 7136に準拠して測定した。
【0027】
(7)弾性率、破断点応力
フィルムから長さ方向がフィルムの流れ方向(MD)、幅方向(TD)となるように15mm幅、200mm長さの短冊状の試験片を切出し、オリエンテック社製テンシロンRT1225型を使用してJIS K 7127に準拠して弾性率と破断点応力を測定した。
【0028】
(8)引裂強度(N/cm)
JIS P8116及びASTM 1922を参考にして、軽荷重引裂試験機(東洋精機製作所製:振り子の左端に容量ウェイトB:79gを取り付け)を使用し、フィルムから引裂き方向に長さ63.5mm(長辺)及び引裂き方向と直角方向に幅50mm(短辺)の長方形の試験片を切出し、短辺の中央に端から12.7mmの切り込みを入れて複数枚の試験片を用意する。しかる後、試験機の指針(置き針)が20〜80の範囲に収まるように、試験片を複数枚重ねて予備テストを行い、測定に用いる試験片の枚数を調整した後、引裂き試験を行い、以下の式により引裂強度(N/cm)を求めた。なお、試験機の測定レンジ(R)は200とした。
【0029】
T=(A×0.001×9.81×R/100)/(t)
T:引裂強度(N/cm)
A:指針の指した値(g)
t:重ねた試験片の合計厚み(cm)
【0030】

(9)熱収縮率(%)
フィルムの長さ方向がフィルムの流れ方向(MD)、幅方向(TD)となるように100mm幅、100mm長さの試験片を切り出し、これを所定温度のオーブン内に15分間放置後、取り出して室温まで放冷した後の試験片の寸法変化を測定し収縮率を測定した。

本発明の実施例及び比較例で用いた重合体及び組成物は次の通りである。
【0031】
[実施例1〜6]
エチレン・1−ヘキセンランダム共重合体(メルトフローレート 2g/10分、190℃)からT−ダイを用いて溶融押出し成形により、厚さ約2mmのシートを成形した。
このシートを用いて、縦方向(MD)は、ロールによる延伸を行い、その後、横方向(TD)は、テンターにより延伸した。ロールによる延伸の温度は、80〜100℃であり、テンターによる延伸の温度は80〜110℃である。それぞれの延伸倍率は表1に示す。
得られた二軸延伸フィルムの物性の物性値を表1に示す。
【0032】
表1

【0033】
表1から明らかなように、本発明の二軸延伸エチレン系共重合体フィルムは、耐ピンホール性等の耐屈曲性に特に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の二軸延伸エチレン系共重合体フィルムは、本発明は、耐ピンホール性等の耐屈曲性に優れており、単体で、また他の材料、ポリプロピレン、PET、ナイロン等のフィルムにラミネートして、包装材その他の種々の用途に利用することができる。
例えば、耐ピンホール性等の耐屈曲性に優れていることから、干物、甲殻類、鮮魚、冷凍食品、氷、保冷剤等の包装材、トレイ等の包装材に好適である。さらに、ナイロン、PET、ポリプロピレン等にラミネートされてシーラント層として用いる用途に好適であり、スパウト袋、スタンディングパウチのシーラント内層として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二軸延伸されたフィルムであって、その引張弾性率がいずれの延伸方向においても250ないし3000MPaの範囲であり、その破断点応力がいずれの延伸方向においても50ないし300MPaであり、さらにその屈折率であるΔNxz(Nx−Nz)及びΔNyz(Ny−Nz)の値がいずれも5×10−3 から4.5×10−2であることを特徴とする二軸延伸エチレン系共重合体フィルム。
【請求項2】
結晶化度の値が50から65%であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
エチレン系共重合体が、密度が895〜945Kg/m3のエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(α−オレフィンは炭素数4ないし10のα−オレフィンである。)であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のフィルム。
【請求項4】
エチレン系共重合体が、密度が895〜945Kg/m3のエチレン・α−オレフィンランダム共重合体及び密度が910〜935Kg/m3の高圧法低密度ポリエチレンからなるエチレン系共重合体組成物であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のフィルム。
【請求項5】
ヘイズ(4枚)の値が5ないし30%であることを特徴とする請求項1ないし4に記載のフィルム。

【公開番号】特開2010−270227(P2010−270227A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123482(P2009−123482)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000220099)東セロ株式会社 (177)
【Fターム(参考)】