説明

二軸延伸エチレン重合体多層フィルム

【課題】縦横何れの方向にも容易に引裂け、且つ透明性、収縮性に優れると共にヒートシール性及び耐屈曲性にも優れる二軸延伸エチレン重合体多層フィルムを提供すること。
【解決手段】密度が915〜938Kg/m3、示差走査熱量計(DSC)により得
られる融解熱量(ΔHT)が100〜140J/g、融解開始温度〜110℃の範囲の融
解熱量(ΔHL)が50〜80J/g、110℃〜融解終了温度の範囲の融解熱量(ΔHH)が35〜80J/gの範囲にあり、(ΔHH)/(ΔHL)が0.5〜1.5の範囲にあるエチレン系重合体(A)から得られる二軸延伸エチレン重合体フィルム基材層の少なくとも片面に、密度が890〜910Kg/m3の範囲のエチレン・α―オレフィンランダ
ム共重合体(B)から得られる熱融着層が積層されてなることを特徴とする二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦横何れの方向にも容易に引裂け、且つ透明性、収縮性に優れ、しかもヒートシール性及び耐屈曲性にも優れる二軸延伸エチレン重合体多層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体、所謂線状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、高圧法低密度ポリエチレンに比べ、透明性、耐ストレスクラッキング性、低温ヒートシール性、ヒートシール強度、耐衝撃性等に優れておりその特徴を活かして食品包装用のシーラントとして広く用いられている。中でも、シングルサイト触媒で重合されたエチレン・α−オレフィンランダム共重合体は、更に透明性、低温ヒートシール性、夾雑物シール性、ホットタック性にも優れている。
【0003】
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体フィルムの透明性、機械的強度等を改良する方法としてエチレン・α−オレフィンランダム共重合体を特定の条件下で二軸延伸する方法(特許文献1)、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体及びエチレン・α−オレフィンランダム共重合体に高密度ポリエチレンあるいは高圧法低密度ポリエチレンを加えてなる組成物を二軸延伸してなる収縮フィルム(特許文献2)が提案されている。
【0004】
また、二軸延伸LLDPEフィルムにヒートシール性を付与するために、70〜99重量%のチーグラー−ナッタ触媒で製造された線状低密度ポリエチレンと1〜30重量%のメタロセン触媒で製造された線状低密度ポリエチレンを含む心層に0.86〜0.97g/cm3の範囲の密度を有するエチレンポリマー及び/またはコポリマーを含む少なくと
も1つの表皮層を有する包装用の二軸延伸多層フィルム(特許文献3)、密度が0.90より小さいエチレン・α―オレフィンプラストマーコポリマー20〜35重量%と密度が少なくとも0.912でありかつ0.914よりも小さいVLDPE65〜80重量%とのブレンド物からなる第一外層及び第二外層を有する二軸延伸された熱収縮性多層延伸フィルム(特許文献4)が提案されている。
【0005】
しかしながら、かかる方法で得られる二軸延伸LLDPEフィルムあるいは二軸延伸多層LLDPEフィルムは透明性、引張強度等が強くなると共に、引裂き強度も強くなることから、易引裂き性フィルムとしては使用できない虞がある。
【特許文献1】特開昭58−90924号公報(特許請求の範囲、実施例)
【特許文献2】特開昭57−181828号公報(特許請求の範囲、実施例2及び3)
【特許文献3】特表2002−534289号公報(特許請求の範囲、実施例6及び実施例13)
【特許文献4】特開平6−87193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、縦横何れの方向にも容易に引裂け、且つ透明性、収縮性に優れると共にヒートシール性及び耐屈曲性にも優れる二軸延伸エチレン重合体フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、下記の二軸延伸エチレン重合体多層フィルムが提供されて、上記課題が解決される。
(1)密度が915〜938Kg/m3、示差走査熱量計(DSC)により得られる融
解熱量(ΔHT)が100〜140J/g、融解開始温度〜110℃の範囲の融解熱量(
ΔHL)が50〜80J/g、110℃〜融解終了温度の範囲の融解熱量(ΔHH)が35〜80J/gの範囲にあり、(ΔHH)/(ΔHL)が0.5〜1.5の範囲にあるエチレン系重合体(A)から得られる二軸延伸エチレン重合体フィルム基材層の少なくとも片面に、密度が890〜910Kg/m3の範囲のエチレン・α―オレフィンランダム共重合
体(B)から得られる熱融着層が積層されてなることを特徴とする二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。
【0008】
(2)二軸延伸エチレン重合体フィルム基材層が、MD方向の延伸倍率が3〜14倍、TD方向の延伸倍率が3〜14倍の範囲にある上記(1)記載の二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。
【0009】
(3)エチレン系重合体(A)が、密度が895〜925Kg/m3のエチレン・α−
オレフィンランダム共重合体(a1)成分と、密度が926〜970Kg/m3のエチレ
ン系重合体(a2)成分とからなるエチレン共重合体組成物(A−1)である上記(1)に記載の二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。
【0010】
(4)エチレン共重合体組成物(A−1)が、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)成分が5〜95重量部及びエチレン系重合体(a2)成分が95〜5重量部〔(a1)+(a2)=100重量部〕からなる上記(3)に記載の二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。
【0011】
(5)エチレン系重合体(A)が、密度が895〜925Kg/m3のエチレン・α−
オレフィンランダム共重合体(a1)成分、密度が926〜970Kg/m3のエチレン
系重合体(a2)成分及び密度が910〜935Kg/m3の高圧法低密度ポリエチレン
(a3)とからなるエチレン共重合体組成物(A−2)である上記(1)に記載の二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。
【0012】
(6)エチレン共重合体組成物(A−2)が、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)成分を5〜95重量部及びエチレン系重合体(a2)成分を95〜5重量部〔(a1)+(a2)=100重量部〕の割合で含有する上記(5)に記載の二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。
【0013】
(7)エチレン重合体組成物(A−2)が、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)成分とエチレン系重合体(a2)成分との合計量が50〜95重量部及び高圧法低密度ポリエチレン(a3)が50〜5重量部〔[(a1)+(a2)]+(a3)=100重量部〕からなる上記(5)または(6)に記載の二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。
【0014】
(8)エチレン系重合体(a2)成分が、密度が926〜945Kg/m3のエチレン
系重合体(a2−1)成分と密度が946〜970Kg/m3のエチレン系重合体(a2
−2)成分とからなる上記(3)ないし(7)のいずれかに記載の二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。
【0015】
(9)エチレン系重合体(a2)成分が、エチレン系重合体(a2−1)成分を1〜99重量部及びエチレン系重合体(a2−2)成分を99〜1重量部〔(a2−1)+(a2−2)=100重量部〕の割合で含有する上記(8)に記載の二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。
【0016】
(10)二軸延伸エチレン重合体多層フィルムのMD方向の引裂き強度およびTD方向の引裂き強度のうち一方を(TS)、他方を(TW)(但し、TS>TWである。)としたときに、引裂き強度(TS)が80〜10N/cm、(TW)/(TS)が0.10〜1の範
囲にある上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。
【0017】
(11)二軸延伸エチレン重合体多層フィルムの基材層の他の片面に熱可塑性樹脂フィルムが積層されてなる上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。
【0018】
(12)熱可塑性樹脂フィルムが、二軸延伸されてなる上記(11)に記載の二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。
(13)熱可塑性樹脂がポリエステル、ポリアミド若しくはポリプロピレンのいずれかである上記(11)または(12)に記載の二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。
【発明の効果】
【0019】
本発明の二軸延伸エチレン重合体多層フィルムは、縦横何れの方向にも容易に引裂け、且つ透明性、収縮性に優れ、しかもヒートシール性及び耐屈曲性にも優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る二軸延伸エチレン重合体多層フィルムについて詳細に説明する。
[エチレン系重合体(A)]
本発明の二軸延伸エチレン重合体多層フィルムの二軸延伸エチレン重合体フィルム基材層を形成するエチレン系重合体(A)は、密度が915〜938Kg/m3、好ましくは
920〜935Kg/m3、示差走査熱量計(DSC)により得られる融解熱量(ΔHT)が100〜140J/g、好ましくは115〜135J/g、融解開始温度〜110℃の範囲の融解熱量(ΔHL)が50〜80J/g、好ましくは55〜80J/g、110℃
〜融解終了温度の範囲の融解熱量(ΔHH)が35〜80J/g、好ましくは45〜80
J/gの範囲にあり、(ΔHH)/(ΔHL)が0.5〜1.5、好ましくは0.65〜1.4の範囲にあるエチレン系重合体である。
【0021】
密度が上記範囲外、あるいは(ΔHT)が上記範囲外のエチレン系重合体は、二軸延伸
多層フィルムの成形が困難な場合がある、また、(ΔHH)が35J/g未満、あるいは
(ΔHH)/(ΔHL)が0.5未満のエチレン系重合体は、二軸延伸多層フィルムを成形しても、一方向の引裂き強度が大きくなり、縦横何れの方向にも容易に引裂ける二軸延伸多層フィルムが得られない虞がある。
【0022】
本発明に係るエチレン系重合体(A)は、フィルム形成能がある限り、メルトフローレート(MFR:ASTM D1238 荷重2160g、温度190℃)は特に限定はされないが、通常、0.5〜10g/10分、好ましくは0.8〜5g/10分の範囲にある。
【0023】
本発明に係るエチレン系重合体(A)の密度は、後述するように密度勾配管により測定される。
本発明に係るエチレン系重合体(A)の各熱融解量は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、以下の方法で測定した値である。
【0024】
示差走査熱量計(DSC)としてティ・エイ・インスツルメント社製 Q100を用い、試料約5mgを精秤し、JIS K 7122に準拠し、10℃から加熱速度:10℃/分で180℃迄昇温して試料を一旦融解させた後、180℃に10分間維持し、冷却速度
:10℃/分で10℃迄降温して結晶化させた後、10℃に5分間維持した後、再度加熱速度:10℃/分で180℃迄昇温して熱融解曲線を得、得られた熱融解曲線から、試料の熱融解量(ΔHT)、得られた熱融解曲線を110℃で二分し、融解開始温度〜110
℃の範囲の融解熱量(ΔHL)及び110℃〜融解終了温度の範囲の融解熱量(ΔHH)を求めた。
【0025】
本発明で用いられるエチレン系重合体(A)の(ΔHL)は、主としてエチレン系重合
体(A)に含まれる低密度成分に由来し、(ΔHH)は、主としてエチレン系重合体(A
)に含まれる高密度成分に由来するものであり、(ΔHH)/(ΔHL)が上記範囲にあるということは、換言すれば、本発明に係るエチレン系重合体(A)は、特定の範囲の組成分布を有するエチレン系重合体とも言えるものである。
【0026】
したがって、本発明に係るエチレン系重合体(A)は、チーグラー触媒、シングルサイト触媒等を適宜選択し、得られるエチレン系重合体の組成分布(密度分布)を調整することにより得られるが、密度の異なるエチレン系重合体を適宜混合することによっても得られる。その場合は、密度の異なるエチレン系重合体、例えば、密度が895〜915kg/m3の範囲にある重合体の量及び密度が915〜965kg/m3の範囲にある重合体の量を夫々増減することによっても得られる。
【0027】
本発明で用いられるエチレン系重合体(A)は、特には、密度の異なるエチレン系重合体を混合することにより得られる下記エチレン共重合体組成物(A−1)またはエチレン共重合体組成物(A−2)が好ましい。
[エチレン共重合体組成物(A−1)]
本発明で用いられるエチレン共重合体組成物(A−1)は、密度が895〜925Kg/m3、好ましくは900〜920Kg/m3の範囲にあるエチレン・α−オレフィン共重合体(a1)成分と密度が926〜970Kg/m3、好ましくは930〜965Kg/
3の範囲にあるエチレン系重合体(a2)成分とからなるエチレン共重合体組成物であ
り、好ましくは、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)成分が5〜95重量部、より好ましくは20〜80重量部及びエチレン系重合体(a2)成分が95〜5重量部、より好ましくは80〜20重量部〔(a1)+(a2)=100重量部〕の範囲にある。
【0028】
本発明で用いられるエチレン共重合体組成物(A−1)は、フィルム形成能がある限り、メルトフローレート(MFR:ASTM D1238 荷重2160g、温度190℃)は特に限定はされないが、通常、0.5〜10g/10分、好ましくは0.8〜5g/10分の範囲にある。
[エチレン共重合体組成物(A−2)]
本発明で用いられるエチレン共重合体組成物(A−2)は、密度が895〜925Kg/m3、好ましくは900〜920Kg/m3の範囲にあるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)成分、密度が926〜970Kg/m3、好ましくは930〜96
5Kg/m3の範囲にあるエチレン系重合体(a2)成分及び密度が910〜935Kg
/m3、好ましくは915〜930Kg/m3の範囲にある高圧法低密度ポリエチレン(a3)とからなるエチレン共重合体組成物である。エチレン共重合体組成物(A−2)は、(a1)、(a2)および(a3)のうち、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)成分が、好ましくは5〜95重量部、より好ましくは20〜80重量部及びエチレン系重合体(a2)成分が95〜5重量部、より好ましくは40〜70重量部〔(a1)+(a2)=100重量部〕の範囲にあることが望ましい。また、エチレン共重合体組成物(A−2)は、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)成分+エチレン系重合体(a2)成分が、好ましくは50〜95重量部、好ましくは60〜90重量部及び高圧法低密度ポリエチレン(a3)が50〜5重量部、好ましくは30〜10重量部〔
[(a1)+(a2)]+(a3)=100重量部〕の範囲にあることが望ましい。
【0029】
本発明の係るエチレン共重合体組成物(A−2)は、フィルム形成能がある限り、メルトフローレート(MFR:ASTM D1238 荷重2160g、温度190℃)は特に限定はされないが、通常、0.5〜10g/10分、好ましくは0.8〜5g/10分の範囲にある。
[エチレン・α−オレフィン共重合体(a1)]
本発明の二軸延伸エチレン重合体多層フィルムの二軸延伸エチレン重合体フィルム基材層を形成するエチレン共重合体組成物(A−1)またはエチレン共重合体組成物(A−2)を構成する成分であるエチレン・α−オレフィン共重合体(a1)は、密度が895〜925Kg/m3、好ましくは900〜920Kg/m3の範囲にあるエチレンと炭素数4以上のα−オレフィン、例えば、1−ブテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン、好ましくは炭素数が6以上のα−オレフィンとのランダム共重合体である。本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(a1)は前記範囲の密度であれば、1種あるいは2種以上の混合物であってもよい。
【0030】
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(a1)のメルトフローレート(MFR:ASTM D1238 荷重2160g、温度190℃)は、後述のエチレン系重合体(a2)との組成物(A−1)またはエチレン系重合体(a2)と高圧法低密度ポリエチレン(a3)との組成物(A−2)とした際に、フィルム形成能がある限りとくに限定はされないが、通常0.01〜10g/10分、好ましくは0.2〜5g/10分の範囲にある。
【0031】
また、かかるエチレン・α−オレフィン共重合体(a1)は、分子量分布(重量平均分子量:Mw、と数平均分子量:Mn、との比:Mw/Mnで表示)が通常1.5〜4.0、好ましくは1.8〜3.5の範囲にある。このMw/Mnはゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定できる。
【0032】
また、エチレン・α−オレフィン共重合体(a1)は、示差走査熱量計(DSC)の昇温速度10℃/分で測定した吸熱曲線から求めた鋭いピークが1個ないし複数個あり、該ピークの最高温度、すなわち融点が通常70〜130℃、好ましくは80〜120℃の範囲にある。
【0033】
上記のようなエチレン・α−オレフィン共重合体(a1)は、チーグラー触媒、シングルサイト触媒等を用いた従来公知の製造法により調整することができるが、シングルサイト触媒(メタロセン触媒)により得られた共重合体がとくに好ましい。このメタロセン化合物を含む触媒は、(a)遷移金属のメタロセン化合物と、(b)有機アルミニウムオキシ化合物と、(c)担体とから形成されることが好ましく、さらに必要に応じて、これらの成分と(d)有機アルミニウム化合物および/または有機ホウ素化合物とから形成さていてもよい。
【0034】
なお、このようなメタロセン化合物を含むオレフィン重合用触媒、および触媒を用いたエチレン・α−オレフィン共重合体(a1)の調整方法は、たとえば特開平8−269270号公報に記載されている。
[エチレン系重合体(a2)]
本発明の二軸延伸エチレン重合体多層フィルムの二軸延伸エチレン重合体フィルム基材層を形成するエチレン共重合体組成物(A−1)またはエチレン共重合体組成物(A−2)を構成する他の成分であるエチレン系重合体(a2)は、密度が926〜970Kg/m3、好ましくは930〜965Kg/m3の範囲にあるエチレンの単独重合体またはエチレンと炭素数3以上のα−オレフィン、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘプテン
、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンとのランダム共重合体である。本発明に係るエチレン系重合体(a2)は前記範囲の密度であれば、1種あるいは2種以上の混合物であってもよい。
【0035】
エチレン系重合体(a2)のメルトフローレート(MFR:ASTM D1238 荷重2160g、温度190℃)は、前述のエチレン系重合体(a1)との組成物(A−1)及びエチレン系重合体(a1)及び後述の高圧法低密度ポリエチレン(a3)との組成物(A−2)とした際に、フィルム形成能がある限りとくに限定はされないが、通常0.01〜100g/10分、好ましくは0.1〜80g/10分の範囲にある。
【0036】
エチレン系重合体(a2)は、さらには、密度が926〜945Kg/m3、好ましく
は935〜945Kg/m3の範囲のエチレン系重合体(a2−1)成分と密度が946
〜970Kg/m3、好ましくは950〜965Kg/m3の範囲のエチレン系重合体(a2−2)成分と低密度成分と高密度成分を併用すると、より縦/横方向の何れにも容易に引裂け易い二軸延伸エチレン重合体多層フィルムが得られる。
【0037】
エチレン系重合体(a2)としてエチレン系重合体(a2−1)成分とエチレン系重合体(a2−2)成分を用いる場合は、エチレン系重合体(a2−1)成分を1〜99重量部、好ましくは30〜70重量部及びエチレン系重合体(a2−2)成分を99〜1重量部、好ましくは70〜30重量部〔(a2−1)+(a2−2)=100重量部〕の割合とすることが望ましい。
【0038】
また、かかるエチレン系重合体(a2)は、分子量分布(重量平均分子量:Mw、と数平均分子量:Mn、との比:Mw/Mnで表示)が通常1.5〜4.0、好ましくは1.8〜3.5の範囲にある。このMw/Mnはゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定できる。
【0039】
また、エチレン系重合体(a2)は、示差走査熱量計(DSC)の昇温速度10℃/分で測定した吸熱曲線から求めた鋭いピークが1個ないし複数個あり、該ピークの最高温度、すなわち融点が通常122〜135℃、の範囲にある。
【0040】
上記のようなエチレン系重合体(a2)は、チーグラー触媒、シングルサイト触媒等を用いた従来公知の製造法により調整することができる。特に、エチレン系重合体(a2)としてエチレン系重合体(a2−1)を用いる場合は、シングルサイト触媒(メタロセン触媒)により得られた共重合体がとくに好ましい。このメタロセン化合物を含む触媒は、(a)遷移金属のメタロセン化合物と、(b)有機アルミニウムオキシ化合物と、(c)担体とから形成されることが好ましく、さらに必要に応じて、これらの成分と(d)有機アルミニウム化合物および/または有機ホウ素化合物とから形成さていてもよい。
【0041】
なお、このようなメタロセン化合物を含むオレフィン重合用触媒、および触媒を用いたエチレン・α−オレフィン共重合体(a2)の調整方法は、たとえば特開平8−269270号公報に記載されている。
【0042】
一方、エチレン系重合体(a2)としてエチレン系重合体(a2−2)を用いる場合は、シングルサイト触媒(メタロセン触媒)により得られる重合体であってもよいが、従来公知のチーグラー触媒等で製造されている、所謂高密度ポリエチレンであってもよい。
[高圧法低密度ポリエチレン(a3)]
本発明の二軸延伸エチレン重合体多層フィルムの二軸延伸エチレン重合体フィルム基材層を形成するエチレン共重合体組成物(A−2)を構成する他の一つ成分である高圧法低密度ポリエチレン(a3)は、密度が910〜935Kg/m3、好ましくは915〜9
30Kg/m3の範囲にある。かかる高圧法低密度ポリエチレンは、高圧下で重合される
エチレンの単独重合体、若しくは5重量%以下の、他のα−オレフィンあるいは酢酸ビニル等のビニル化合物との共重合体で、低密度ポリエチレンの範疇に入るエチレン系重合体である。
【0043】
密度が910Kg/m3未満の高圧法低密度ポリエチレンは、前記エチレン共重合体組
成物(A−2)として二軸延伸多層フィルムを成形した場合に得られるフィルムがブロッキングし易く、引裂き強度が強く、本発明の目的が達成出来ない虞がある。
【0044】
高圧法低密度ポリエチレン(a3)のメルトフローレート(MFR:ASTM D12
38 荷重2160g、温度190℃)は、前述のエチレン系重合体(a1)及びエチレン系重合体(a1)との組成物(A−2)とした際に、フィルム形成能がある限りとくに限定はされないが、通常、0.1〜30g/10分、好ましくは0.1〜10g/10分の範囲にある。
【0045】
本発明に係るエチレン共重合体組成物(A−1)及びエチレン共重合体組成物(A−2)は、各々別個にエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)、エチレン系重合体(a2)及び高圧法低密度ポリエチレン(a3)を得た後、ヘンシェルミキサー、タンブラーブレンダー、V−ブレンダー等によりドライブレンドする方法またはドライブレンドした後、単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー等により溶融混練することにより得られる。
【0046】
本発明に係るエチレン共重合体組成物(A−1)はまた、連続・多段重合プロセスにより、複数の重合器を用いて、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)とエチレン系重合体(a2)を夫々重合した後、混合してエチレン共重合体組成物(A−1)とする方法、1個の重合器を用いて、先にエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)若しくはエチレン系重合体(a2)を重合した後、続いてエチレン系重合体(a2)若しくはエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)を重合する方法等、種々公知の重合方法を採り得る。
【0047】
本発明に係るエチレン系重合体(A)、エチレン共重合体組成物(A−1)、エチレン共重合体組成物(A−2)若しくはそれら組成物を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体(a1)、エチレン系重合体(a2)または高圧法低密度ポリエチレン(a3)には本発明の目的を損なわない範囲で、通常用いられる酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、滑剤、核剤、顔料等の添加剤或いは他の重合体を必要に応じて配合することができる。
[エチレン・α―オレフィンランダム共重合体(B)]
本発明の二軸延伸エチレン重合体多層フィルムの熱融着層を形成するエチレン・α―オレフィンランダム共重合体(B)は、密度が890〜910Kg/m3、好ましくは90
0〜907Kg/m3の範囲にある。
【0048】
密度が890Kg/m3未満のエチレン・α―オレフィンランダム共重合体は二軸延伸
エチレン重合体多層フィルムを製造する際、特に後述のフラット方式(テンター方式)により二軸延伸する場合に延伸ロールあるいはテンタークリップに融着する虞があり、また、得られる二軸延伸エチレン重合体多層フィルムもブロッキングし易い。一方、密度が910Kg/m3を超えるエチレン・α―オレフィンランダム共重合体は得られる二軸延伸
エチレン重合体多層フィルムのヒートシール性が劣る。
【0049】
本発明に係るエチレン・α―オレフィンランダム共重合体(B)は、フィルム形成能がある限り、メルトフローレート(MFR:ASTM D1238 荷重2160g、温度1
90℃)は特に限定はされないが、通常、0.5〜10g/10分、好ましくは0.8〜5g/10分の範囲にある。
【0050】
また、本発明に係るエチレン・α―オレフィンランダム共重合体(B)は上記エチレン系重合体(a2)と同様にチーグラー触媒、シングルサイト触媒等を用いた従来公知の製造法により調整することができる。
【0051】
本発明に係るエチレン・α―オレフィンランダム共重合体(B)には、本発明の目的を損なわない範囲で、通常用いられる酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、滑剤、核剤、顔料等の添加剤或いは他の重合体を必要に応じて配合することができる。
[二軸延伸エチレン重合体多層フィルム]
本発明の二軸延伸エチレン重合体多層フィルムは、前記エチレン系重合体(A)、好ましくはエチレン共重合体組成物(A−1)若しくはエチレン共重合体組成物(A−2)から形成され得る二軸延伸エチレン重合体フィルム基材層の少なくとも片面に、前記エチレン・α―オレフィンランダム共重合体(B)から得られる熱融着層が積層されてなる多層フィルムである。
【0052】
本発明の二軸延伸エチレン重合体多層フィルムは、好ましくは多層フィルムのMD方向の引裂き強度およびTD方向の引裂き強度のうち一方を(TS)、他方を(TW)(但し、TS≧TWである。)としたときに、引裂き強度(TS)が80〜10N/cm、好ましく
は75〜15N/cm、特に好ましくは60〜20N/cm、(TW)/(TS)が0.10〜1、好ましくは0.20〜1の範囲にある二軸延伸エチレン重合体多層フィルムであり、好ましくはMD方向およびTD方向のうちの一方向の延伸倍率が3〜14倍、好ましくは5〜10倍及び他方向の延伸倍率が3〜14倍、好ましくは5〜10倍の範囲にある。
【0053】
なお、引裂き強度は、後述するようにJIS P8116及びASTM 1922を参考にして、東洋精機製作所製軽荷重引裂試験機を用いて測定される。
引裂き強度(TS)が80N/cmを越える二軸延伸多層フィルムは、引裂き強度が強
く、易引裂き性に劣ったフィルムとなり、10N/cm未満の二軸延伸多層フィルムは引裂き強度が弱過ぎて、包装材料として耐え得ない虞がある。(TW)/(TS)が0.10未満の二軸延伸多層フィルムは引裂き性に方向性が生じ、縦/横何れかの方向に裂け得ないフィルムとなる。
【0054】
一方向の延伸倍率が5倍未満又は他方向の延伸倍率が3倍未満の二軸延伸多層フィルムは引裂き強度が強く、本発明の目的を達成し得ない虞がある。
本発明の二軸延伸エチレン重合体多層フィルムは、好ましくは透明性(ヘイズ)が0.5〜15%、引張弾性率が200MPa以上、インパクト強度が15KJ/m以上、120℃での熱収縮率が20%以上の範囲にある。本発明の二軸延伸エチレン重合体多層フィルムの厚さは用途により種々決定され得るが、通常、二軸延伸エチレン重合体フィルム基材層の厚さが約10〜200μm、好ましくは約15〜130μm、熱融着層の厚さが約0.2〜60μm、好ましくは約0.4〜40μmの範囲、二軸延伸エチレン重合体多層フィルム全体の厚さが、約10〜320μm、好ましくは約15〜230μmの範囲にある。
【0055】
本発明の二軸延伸エチレン重合体多層フィルムの熱融着層は二軸延伸エチレン重合体フィルム基材層の片面に形成されていても、両面に形成されていてもよい。熱融着層が両面に形成された二軸延伸エチレン重合体多層フィルムはオーバーラップ包装用フィルム、水物充填用包装体用シーラントフィルム、あるいは、貼り合わせ用基材フィルムとして使用
し得る。
【0056】
また、本発明の二軸延伸エチレン重合体多層フィルムの二軸延伸エチレン重合体フィルム基材層は一層であっても二層以上、即ち、中間層とラミネート層の多層であってもよい。
【0057】
本発明の二軸延伸エチレン重合体多層フィルムは、印刷性あるいは後述の他の熱可塑性樹脂フィルムを含め他の基材との接着性を改良するために、二軸延伸エチレン重合体多層フィルムの他の片面、基材層が二層以上であればラミネート層の表面を、両面が熱融着層であればその一方の表面を、例えば、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、アンダーコート処理等の表面活性化処理を行っておいてもよい。
【0058】
本発明の二軸延伸エチレン重合体多層フィルムの他の片面(ラミネート面)に、両面が熱融着層であればその一方の表面に熱可塑性樹脂フィルムが積層されていてもよい。
かかる熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリブテン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド等)、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体もしくはその鹸化物、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、アイオノマー、あるいはこれらの混合物等から得られるフィルムを例示することができる。
【0059】
また、かかる熱可塑性樹脂フィルムは、無延伸フィルムであっても、延伸フィルムであっても良いし、1種または2種以上の共押し出し成形、押出しラミネート、ドライラミネート、サーマルラミネート等で得られる積層体であっても良い。中でも、二軸延伸熱可塑性フィルム、とくにポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミドからなる二軸延伸熱可塑性フィルムが好ましい。
【0060】
本発明の二軸延伸エチレン重合体多層フィルムには、紙、アルミニウム箔等からなる基材と積層してもよい。
[二軸延伸エチレン重合体多層フィルムの製造方法]
本発明の二軸延伸エチレン重合体多層フィルムは、種々公知の方法、例えば、二軸延伸エチレン重合体フィルム基材層を形成する前記エチレン系重合体(A)と熱融着層を形成する前記エチレン・α―オレフィンランダム共重合体(B)とを共押出し成形し、チューブラー方式又はフラット方式(テンター方式)により、上記範囲で縦(MD)方向及び横(TD)方向に二軸延伸することにより得られる。二軸延伸は同時二軸延伸でも、逐次二軸延伸でもよい。これら方式の中でも、フラット方式により得られる二軸延伸エチレン重合体多層フィルムが、より透明性に優れるので好ましい。
【0061】
フラット方式による場合は、通常、押出し成形して得た多層シートを90〜125℃の温度範囲で縦方向に延伸した後、90〜130℃の温度範囲で横方向に延伸することにより得られる。二軸延伸した後は、用途により、80〜140℃の温度範囲でヒートセットを行ってもよい。ヒートセットの温度は目的とする熱収縮率に応じて変える事が出来る。
【0062】
本発明の二軸延伸エチレン重合体多層フィルムの非熱融着層面に、両面が熱融着層であればその一方の表面に他の熱可塑性樹脂フィルムを積層する場合は種々公知の方法、例えば、必要二応じてコロナ処理した二軸延伸エチレン重合体多層フィルムのラミネート面あるいは両面が熱融着層であればその一方の表面にウレタン型接着剤、イソシアネート系接着剤を塗布した後、熱可塑性樹脂フィルムとドライラミネートする方法あるいは、ラミネート面あるいは両面が熱融着層と熱可塑性樹脂フィルムとを高圧法低密度ポリエチレンを
用いて押出しラミネートする方法を採り得る。
【実施例】
【0063】
次に本発明を、実施例を通して説明するが、本発明はそれら実施例によって限定されるものではない。
本発明における各種試験法および評価法は次の通りである。
(1)メルトフローレート(g/10分)
ASTM D1238に準拠し、荷重2160g、温度190℃の条件で測定した。
(2)密度(Kg/m3
MFRを測定して得た重合体ストランドを120℃で2時間処理し、1時間かけて室温(23℃)まで徐冷した後、JIS K 7112に準拠し、D法(密度勾配管)により測定した。
(3)ヘイズ(曇価)(%)
Haze Meter(日本電色工業社製 NDH−2000)を使用してフィルム1枚の曇り度をJIS K 7136に準拠して測定した。
(4)引張試験
多層フィルムから長さ方向がフィルムの流れ方向(MD)、幅方向(TD)となるように15mm幅、200mm長さの短冊状の試験片を切出し、オリエンテック社製テンシロンRT1225型を使用してJIS K 7127に準拠してヤング率と破断強伸度を測定した。
(5)引裂き強度(N/cm)
軽荷重引裂試験機(東洋精機製作所製:振り子の左端に容量ウェイトB:79gを取り付け)を使用し、多層フィルムから引裂き方向に長さ63.5mm(長辺)及び引裂き方向と直角方向に幅50mm(短辺)の長方形の試験片を切出し、短辺の中央に端から12.7mmの切り込みを入れて複数枚の試験片を用意する。しかる後、試験機の指針(置き針)が20〜80の範囲に収まるように、試験片を複数枚重ねて予備テストを行い、測定に用いる試験片の枚数を調整した後、引裂き試験を行い、以下の式により引裂き強度(N/cm)を求めた。なお、試験機の測定レンジ(R)は200とした。
【0064】
T=(A×0.001×9.81×R/100)/(t)
T:引裂強度(N/cm)
A:指針の指した値(g)
t:重ねた試験片の合計厚み(cm)
(6)衝撃強度(KJ/m)
東洋精機製作所製のフィルムインパクトテスターを使用し、先端形状は0.5インチ径半球を使用し、多層フィルムから100mm四方の正方形の試験片を切り出し、23℃の雰囲気温度化にてインパクト強度を測定した。
(7)熱収縮率(%)
多層フィルムの長さ方向がフィルムの流れ方向(MD)、幅方向(TD)となるように15mm幅、200mm長さの短冊状の試験片を切り出し、150mm間隔に穴を開け、これを所定温度のオーブン内に15分間放置後、取り出して室温まで放冷した後に穴の距離を測定し収縮率を測定した。
(8)耐屈曲性
テスター産業製のゲルボフレックステスターを使用し、多層フィルムから210mm幅、297mm長さの試験片を切り出し、屈曲角度440度、屈曲速度40回/分で、23℃、−10℃、−30℃の各雰囲気下で、1000回および3000回の屈曲試験を行った後、屈曲試験後の試験片で袋をつくり、三菱ガス化学製のエージレスシールチェックでピンホール数を測定した。
(9)ヒートシール強度
東洋精機製ヒートシールテスターを使用し、多層フィルムから100mm幅、150m
m長さの試験片を切り出し、半分に折ってヒーターが80℃〜140℃で圧力が0.2MPaで、シール時間が1秒で、ヒートシールを行った後、シールした試験片を幅15mmの試験片に切り出し、オリエンテック製テンシロンRT1225型を使用し、剥離強度を測定した。
(10)突刺し強度
オリエンテック製テンシロンRT1225型を使用し、多層フィルムから60mm幅、200〜300mm程度の試験片を切り出し、JIS Z1707に準拠して、突き刺し強度を測定した。
【0065】
本発明の実施例及び比較例で用いた重合体及び組成物は次の通りである。
(i)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)
(1)エチレン・1−ヘキセンランダム共重合体(a1−1):メタロセン触媒を用いた重合体、密度;905Kg/m3、MFR;0.5g/10分。
【0066】
(2)エチレン・1−ヘキセンランダム共重合体(a1−2):メタロセン触媒を用いた重合体、密度;915Kg/m3、MFR;0.5g/10分。
(ii)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(b)
(1)エチレン・1−ヘキセンランダム共重合体(b−1):メタロセン触媒を用いた重合体、密度;918Kg/m3、MFR;4.0g/10分、融解熱量(ΔHT);103.2J/g、融解開始温度〜110℃の範囲の融解熱量(ΔHL);69.8J/g、
110℃〜融解終了温度の範囲の融解熱量(ΔHH);33.4J/g及び(ΔHH)/(ΔHL);0.48。
(iii)エチレン系重合体(a2)
(a2−1)
(1)エチレン・1−ヘキセンランダム共重合体(a2−1−1):メタロセン触媒を用いた重合体、密度;930Kg/m3、MFR;60g/10分。
【0067】
(2)エチレン・1−ヘキセンランダム共重合体(a2−1−2):メタロセン触媒を用いた重合体、密度;945Kg/m3、MFR;60g/10分。
(a2−2)
(1)エチレン・プロピレン・1−ブテンランダム共重合体(a2−2−1):チーグラー触媒を用いた重合体、密度;958Kg/m3、MFR;0.9g/10分。
(iv)高圧法低密度ポリエチレン(a3)
(1)高圧法低密度ポリエチレン(a3−1):密度;923Kg/m3、MFR;0
.6g/10分。
【0068】
(2)高圧法低密度ポリエチレン(a3−2):密度;917Kg/m3、MFR;7
g/10分。
(v)エチレン重合体組成物(A−1)
(1)エチレン重合体組成物(A−1−1)
前記エチレン・1−ヘキセンランダム共重合体(a1−2)及びエチレン・1−ヘキセンランダム共重合体(a2−1−2)を60:40(重量部)の割合でドライブレンドした後、池貝鉄工社製二軸押出機(46mmφ)を用いて、温度190℃、押出量50Kg/時の条件で溶融混練し、エチレン重合体組成物(A−1−1)を得た。
【0069】
得られたエチレン重合体組成物(A−1−1)は密度;925Kg/m3、MFR;2
.5g/10分、融解熱量(ΔHT);117.5J/g、融解開始温度〜110℃の範
囲の融解熱量(ΔHL);65.3J/g、110℃〜融解終了温度の範囲の融解熱量(
ΔHH);52.2J/g及び(ΔHH)/(ΔHL);0.80であった。
(vi)エチレン重合体組成物(A−2)
(1)エチレン重合体組成物(A−2−1)
前記エチレン・1−ヘキセンランダム共重合体(a1−2)、エチレン・1−ヘキセンランダム共重合体(a2−1−2)及び高圧法低密度ポリエチレン(a3−1)を51:34:15(重量部)の割合でドライブレンドした後、池貝鉄工社製二軸押出機(46mmφ)を用いて、温度190℃、押出量50Kg/時の条件で溶融混練し、エチレン重合体組成物(A−2−1)を得た。
【0070】
得られたエチレン重合体組成物(A−2−1)は密度;925Kg/m3、MFR;が
1.9g/10分、融解熱量(ΔHT);126.0J/g、融解開始温度〜110℃の
範囲の融解熱量(ΔHL);76.1J/g、110℃〜融解終了温度の範囲の融解熱量
(ΔHH);49.9J/g及び(ΔHH)/(ΔHL);0.66であった。
【0071】
(2)エチレン重合体組成物(A−2−2)
前記エチレン・1−ヘキセンランダム共重合体(a1−1)、エチレン・1−ヘキセンランダム共重合体(a2−1−1)、エチレン・プロピレン・1−ブテンランダム共重合体(a2−2−1)及び高圧法低密度ポリエチレン(a3−2)を36:24:25:15(重量部)の割合でドライブレンドした後、池貝鉄工社製二軸押出機(46mmφ)を用いて、温度190℃、押出量50Kg/時の条件で溶融混練し、エチレン重合体組成物(A−2−2)を得た。
【0072】
得られたエチレン重合体組成物(A−2−2)は密度;927Kg/m3、MFR;2
.0g/10分、融解熱量(ΔHT);127.1J/g、融解開始温度〜110℃の範
囲の融解熱量(ΔHL);63.55J/g、110℃〜融解終了温度の範囲の融解熱量
(ΔHH);63.55J/g及び(ΔHH)/(ΔHL);1.00であった。
(vii)エチレン・α―オレフィンランダム共重合体(B)
(1)エチレン・1−オクテンランダム共重合体(B−1);メタロセン触媒にて重合されたもの;密度 903kg/m3、MFR 3.8g/10min.。
(2)エチレン・1−オクテンランダム共重合体(B−2);メタロセン触媒にて重合されたもの;密度 909kg/m3、MFR 2.0g/10min。
(3)エチレン・1−ブテンランダム共重合体(B−3);メタロセン触媒にて重合されたもの;密度885kg/m3、MFR2.0g/10min
(4)エチレン・α―オレフィンランダム共重合体組成物(B−4);B−1とB−3を60/40重量%でブレンドしたもの;密度892kg/m3、MFR2.6g/10m
in。
(viii)エチレン重合体組成物(C)
(1)エチレン重合体組成物(C−1)
エチレン・1−オクテンランダム共重合体組成物(ダウ・ケミカル社製、商品名 エリート 5220G)、密度;917Kg/m3、MFR;3.5g/10分、融解熱量(
ΔHT);101.5J/g、融解開始温度〜110℃の範囲の融解熱量(ΔHL);71.74J/g、110℃〜融解終了温度の範囲の融解熱量(ΔHH);29.76J/g
及び(ΔHH)/(ΔHL);0.41。
実施例1
二軸延伸エチレン重合体フィルム基材層用のエチレン系重合体(A)として、前記エチレン重合体組成物(A−2−1)を、及び熱融着層用のエチレン・α―オレフィンランダム共重合体(B)としてエチレン・1−オクテンランダム共重合体(B−1)を用い、3台の押出を備えた二軸延伸フィルム成形機を用いて溶融押出しし、T−ダイで賦形した後、冷却ロール上にて急冷し厚さ約2mmの三層シート(B−1/A−2−1/B−1=5/90/5の層比)を得た。このシートを112℃に加熱しフィルムの流れ方向(縦方向)に5倍延伸した。この5倍延伸したシートを120℃に加熱し流れ方向に対して直交する方向(横方向)に8.5倍延伸して厚さ47μmの二軸延伸エチレン重合体多層フィル
ムを得た。かかる二軸延伸エチレン重合体多層フィルムの物性等を前記記載の方法で測定した。
【0073】
結果を表1に示す。
実施例2
二軸延伸エチレン重合体フィルム基材層用のエチレン系重合体(A)として、前記エチレン重合体組成物(A−2−2)を、及び熱融着層用のエチレン・α―オレフィンランダム共重合体(B)としてエチレン・1−オクテンランダム共重合体(B−1)を用い、3台の押出を備えた二軸延伸フィルム成形機を用いて溶融押出しし、T−ダイで賦形した後、冷却ロール上にて急冷し厚さ約1.6mmの三層シート(B−1/A−2−2/B−1=5/90/5の層比)を得た。このシートを110℃に加熱しフィルムの流れ方向(縦方向)に6倍延伸した。この6倍延伸したシートを116℃に加熱し流れ方向に対して直交する方向(横方向)に8.5倍延伸して厚さ32μmの二軸延伸エチレン重合体多層フィルムを得た。かかる二軸延伸エチレン重合体多層フィルムの物性等を前記記載の方法で測定した。
【0074】
結果を表1に示す。
実施例3
二軸延伸エチレン重合体フィルム基材層用のエチレン系重合体(A)として、前記エチレン重合体組成物(A−2−2)を、及び熱融着層用のエチレン・α―オレフィンランダム共重合体(B)としてエチレン・1−オクテンランダム共重合体(B−2)を用い、3台の押出を備えた二軸延伸フィルム成形機を用いて溶融押出しし、T−ダイで賦形した後、冷却ロール上にて急冷し厚さ約1.6mmの三層シート(B−2/A−2−2/B−2=5/90/5の層比)を得た。このシートを110℃に加熱しフィルムの流れ方向(縦方向)に6倍延伸した。この6倍延伸したシートを116℃に加熱し流れ方向に対して直交する方向(横方向)に8.5倍延伸して厚さ31μmの二軸延伸エチレン重合体多層フィルムを得た。かかる二軸延伸エチレン重合体多層フィルムの物性等を前記記載の方法で測定した。
【0075】
結果を表1に示す。
実施例4
二軸延伸エチレン重合体フィルム基材層用及び非熱融着層用のエチレン系重合体(A)として、前記エチレン重合体組成物(A−2−2)を、及び熱融着層用のエチレン・α―オレフィンランダム共重合体(B)としてエチレン・1−オクテンランダム共重合体(B−1)を用い、3台の押出を備えた二軸延伸フィルム成形機を用いて溶融押出しし、T−ダイで賦形した後、冷却ロール上にて急冷し厚さ約2.4mmの三層シート(B−1/A−2−2/A−2−2=10/80/10の層比)を得た。このシートを113℃に加熱しフィルムの流れ方向(縦方向)に7倍延伸した。この7倍延伸したシートを110℃に加熱し流れ方向に対して直交する方向(横方向)に8倍延伸して厚さ42μmの二軸延伸エチレン重合体多層フィルムを得た。かかる二軸延伸エチレン重合体多層フィルムの物性等を前記記載の方法で測定した。
【0076】
結果を表1に示す。
実施例5
二軸延伸エチレン重合体フィルム基材層用及び非熱融着層用のエチレン系重合体(A)として、前記エチレン重合体組成物(A−2−2)を、及び熱融着層用のエチレン・α―オレフィンランダム共重合体(B)としてエチレン・1−オクテンランダム共重合体(B−3)を用い、3台の押出を備えた二軸延伸フィルム成形機を用いて溶融押出しし、T−ダイで賦形した後、冷却ロール上にて急冷し厚さ約1.8mmの三層シート(B−3/A−2−2/A−2−2=10/80/10の層比)を得た。このシートを113℃に加熱
しフィルムの流れ方向(縦方向)に7倍延伸した。この7倍延伸したシートを110℃に加熱し流れ方向に対して直交する方向(横方向)に8倍延伸して厚さ32μmの二軸延伸エチレン重合体多層フィルムを得た。かかる二軸延伸エチレン重合体多層フィルムの物性等を前記記載の方法で測定した。
【0077】
結果を表1に示す。
実施例6
二軸延伸エチレン重合体フィルム基材層用及び非熱融着層用のエチレン系重合体(A)として、前記エチレン重合体組成物(A−2−2)を、及び熱融着層用のエチレン・α―オレフィンランダム共重合体(B)としてエチレン・αオレフィンランダム共重合体組成物(B−4)を用い、3台の押出を備えた二軸延伸フィルム成形機を用いて溶融押出しし、T−ダイで賦形した後、冷却ロール上にて急冷し厚さ約2mmの三層シート(B−4/A−2−2/A−2−2=5/85/10の層比)を得た。このシートを112℃に加熱しフィルムの流れ方向(縦方向)に5倍延伸した。この5倍延伸したシートを113℃に加熱し流れ方向に対して直交する方向(横方向)に10倍延伸して厚さ39μmの二軸延伸エチレン重合体多層フィルムを得た。かかる二軸延伸エチレン重合体多層フィルムの物性等を前記記載の方法で測定した。
【0078】
結果を表1に示す。
実施例7
二軸延伸エチレン重合体フィルム基材層用のエチレン系重合体(A)として、前記エチレン重合体組成物(A−1−1)を、非熱融着層用のエチレン系重合体(A)として、前記エチレン重合体組成物(A−2−2)を、及び熱融着層用のエチレン・α―オレフィンランダム共重合体(B)としてエチレン・αオレフィンランダム共重合体組成物(B−1)を用い、3台の押出を備えた二軸延伸フィルム成形機を用いて溶融押出しし、T−ダイで賦形した後、冷却ロール上にて急冷し厚さ約1.6mmの三層シート(B−1/A−1−1/A−2−2=10/80/10の層比)を得た。このシートを115℃に加熱しフィルムの流れ方向(縦方向)に5倍延伸した。この5倍延伸したシートを116℃に加熱し流れ方向に対して直交する方向(横方向)に8。5倍延伸して厚さ37μmの二軸延伸エチレン重合体多層フィルムを得た。かかる二軸延伸エチレン重合体多層フィルムの物性等を前記記載の方法で測定した。
【0079】
結果を表1に示す。
比較例1
二軸延伸エチレン重合体フィルム基材層用及び非熱融着層用のエチレン系重合体(A)として、前記エチレン・1−ヘキセンランダム共重合体(b−1)を、及び熱融着層用のエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)としてエチレン・1−オクテンランダム共重合体(B−1)を用い、3台の押出を備えた二軸延伸フィルム成形機を用いて溶融押出しし、T−ダイで賦形した後、冷却ロール上にて急冷し厚さ約1.64mmの三層シート(B−1/b−1/b−1=5/90/5の層比)を得た。このシートを111℃に加熱しフィルムの流れ方向(縦方向)に5倍延伸した。この5倍延伸したシートを115℃に加熱し流れ方向に対して直交する方向(横方向)に8倍延伸して厚さ41μmの二軸延伸エチレン重合体多層フィルムを得た。かかる二軸延伸エチレン重合体多層フィルムの物性等を前記記載の方法で測定した。
【0080】
結果を表1に示す。
【0081】
【表1】

【0082】
表1から明らかなように特定の融解熱量特性を有するエチレン重合体組成物から得られる二軸延伸エチレン重合体フィルム基材層とする二軸延伸エチレン重合体多層フィルム(
実施例1〜実施例7)は、MD方向及びTD方向の何れの引裂強度の60N/cm以下であり両方向の易引裂き性に優れ、且つヒートシール性も有していることが分かる。
実施例8
実施例4で得た二軸延伸エチレン重合体多層フィルム及び厚さ15μmの二軸延伸ポリアミドフィルム(商品名;エンブレム ユニチカ社製)を用い、二軸延伸エチレン重合体多層フィルムのラミネート層にアンカー剤を塗布した後、押出しラミネート機を用いて高圧法低密度ポリエチレン(商品名;ミラソン11P 三井化学社製)を溶融押出しして、二軸延伸エチレン重合体多層フィルムのラミネート層と二軸延伸ポリアミドフィルムとを貼り合わせて二軸延伸エチレン重合体多層フィルムを得た。なおアンカー剤は、コロネートL、ニッポラン1100(ともに日本ポリウレタン工業)に、溶剤として酢酸エチル(広島
和光純薬製)を混合したものを使用した。かかる二軸延伸エチレン重合体多層フィルムの物性等を前記記載の方法で測定した。
【0083】
結果を表2に示す。
実施例9
実施例8で用いた二軸延伸ポリアミドフィルムに代えて厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名;ルミラー 東レ社製)を用いる以外は実施例8と同様に行い二軸延伸エチレン重合体多層フィルムを得た。かかる二軸延伸エチレン重合体多層フィルムの物性等を前記記載の方法で測定した。
【0084】
結果を表2に示す。
参考例1
実施例8で用いた二軸延伸エチレン重合体多層フィルムに代えて厚さ40μmの線状低密度ポリエチレンフィルム(商品名;T.U.X FCS 東セロ社製)を用いる以外は実施例8と同様に行い積層フィルムを得た。かかる積層フィルムの物性等を前記記載の方法で測定した。
【0085】
結果を表2に示す。
【0086】
【表2】

【0087】
表2から明らかなように特定の融解熱量特性を有するエチレン重合体組成物から得られる二軸延伸エチレン重合体フィルム基材層とする二軸延伸エチレン重合体多層フィルムと二軸延伸ポリアミドフィルム、あるいは二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと積層してなる二軸延伸エチレン重合体多層フィルムは、かかる二軸延伸ポリアミドフィルム等と積層してもMD方向及びTD方向の何れの引裂強度の60N/cm以下であり両方向の易引裂き性に優れ、且つ突刺し強度及び耐屈曲性にも優れている。
【0088】
それに対して、二軸延伸ポリアミドフィルムと無延伸の線状低密度ポリエチレンフィルムとを貼り合わせた積層フィルムは引裂き強度が96N/cmと強く易引裂き性に劣り、しかも衝撃強度、耐屈曲性にも劣る。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の二軸延伸エチレン重合体多層フィルムは、縦横何れの方向にも容易に引裂け、且つ透明性、収縮性に優れ、しかもヒートシール性、耐屈曲性及び耐衝撃性にも優れるので、開封が容易なシュリンク包装やシュリンクラベルなどの用途に適している。また、内容物が液体や粉末などの包装用フィルムに使用することで、容易に引き裂け、開封時のショックで中身が飛び散らない易開封性包装袋としても使用できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
密度が915〜938Kg/m3、示差走査熱量計(DSC)により得られる融解熱量
(ΔHT)が100〜140J/g、融解開始温度〜110℃の範囲の融解熱量(ΔHL)が50〜80J/g、110℃〜融解終了温度の範囲の融解熱量(ΔHH)が35〜80
J/gの範囲にあり、(ΔHH)/(ΔHL)が0.5〜1.5の範囲にあるエチレン系重合体(A)から得られる二軸延伸エチレン重合体フィルム基材層の少なくとも片面に、密度が890〜910Kg/m3の範囲のエチレン・α―オレフィンランダム共重合体(B
)から得られる熱融着層が積層されてなることを特徴とする二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。
【請求項2】
二軸延伸エチレン重合体フィルム基材層が、MD方向の延伸倍率が3〜14倍、TD方向の延伸倍率が3〜14倍の範囲にある請求項1記載の二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。
【請求項3】
エチレン系重合体(A)が、密度が895〜925Kg/m3のエチレン・α−オレフ
ィンランダム共重合体(a1)成分と、密度が926〜970Kg/m3のエチレン系重
合体(a2)成分とからなるエチレン共重合体組成物(A−1)である請求項1記載の二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。
【請求項4】
エチレン共重合体組成物(A−1)が、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)成分が5〜95重量部及びエチレン系重合体(a2)成分が95〜5重量部〔(a1)+(a2)=100重量部〕からなる請求項3記載の二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。
【請求項5】
エチレン系重合体(A)が、密度が895〜925Kg/m3のエチレン・α−オレフ
ィンランダム共重合体(a1)成分、密度が926〜970Kg/m3のエチレン系重合
体(a2)成分及び密度が910〜935Kg/m3の高圧法低密度ポリエチレン(a3
)とからなるエチレン共重合体組成物(A−2)である請求項1記載の二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。
【請求項6】
エチレン共重合体組成物(A−2)が、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)成分を5〜95重量部及びエチレン系重合体(a2)成分を95〜5重量部〔(a1)+(a2)=100重量部〕の割合で含有する請求項5記載の二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。
【請求項7】
エチレン重合体組成物(A−2)が、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)成分とエチレン系重合体(a2)成分との合計量が50〜95重量部及び高圧法低密度ポリエチレン(a3)が50〜5重量部〔[(a1)+(a2)]+(a3)=100重量部〕からなる請求項5または6記載の二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。
【請求項8】
エチレン系重合体(a2)成分が、密度が926〜945Kg/m3のエチレン系重合
体(a2−1)成分と密度が946〜970Kg/m3のエチレン系重合体(a2−2)
成分とからなる請求項3ないし7のいずれか1項に記載の二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。
【請求項9】
エチレン系重合体(a2)成分が、エチレン系重合体(a2−1)成分を1〜99重量部及びエチレン系重合体(a2−2)成分を99〜1重量部〔(a2−1)+(a2−2)=100重量部〕の割合で含有する請求項8記載二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。
【請求項10】
二軸延伸エチレン重合体多層フィルムのMD方向の引裂き強度およびTD方向の引裂き強度のうち一方を(TS)、他方を(TW)(但し、TS>TWである。)としたときに、引裂き強度(TS)が80〜10N/cm、(TW)/(TS)が0.10〜1の範囲にある
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。
【請求項11】
二軸延伸エチレン重合体多層フィルムの基材層の他の片面に熱可塑性樹脂フィルムが積層されてなる請求項1ないし9のいずれか1項に記載の二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。
【請求項12】
熱可塑性樹脂フィルムが、二軸延伸されてなる請求項11記載の二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。
【請求項13】
熱可塑性樹脂がポリエステル、ポリアミド若しくはポリプロピレンのいずれかである請求項11または12記載の二軸延伸エチレン重合体多層フィルム。



【公開番号】特開2006−181831(P2006−181831A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−376951(P2004−376951)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(505130112)株式会社プライムポリマー (180)
【出願人】(000220099)東セロ株式会社 (177)
【Fターム(参考)】