説明

二軸延伸ポリプロピレンフィルム製造用の半結晶性プロピレンポリマー組成物

【課題】メタロセン触媒により製造され、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの形成が容易な半結晶性ポリプロピレン組成物を提供すること。
【解決手段】少なくとも50モル%がプロピレンの重合により得られ、プロピレンポリマー組成物の少なくとも20質量%がメタロセン触媒を用いる重合で得られたものであり、融点Tが65〜170℃の範囲の半結晶性プロピレンポリマー組成物は、65〜85質量%の主成分A、10〜35質量%の副成分B及び0〜25質量%の副成分Cを有し、A、B及びCの割合を温度上昇溶離分留により決定し、そして主成分Aを、(T/2)+7.5℃を超える温度で溶離され且つ平均モル質量120000g/モル以上、副成分Bを、(T/2)+7.5℃で溶離する留分によって形成し、そして副成分Cを、(T/2)+7.5℃を超える温度で溶離され且つ平均モル質量120000g/モル未満である半結晶性プロピレンポリマー組成物。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、プロピレン、エチレン及び/又はC4〜C18−1−アルケンを重合することにより製造される半結晶性プロピレンポリマー組成物であって、
含まれるモノマー単位の少なくとも50モル%がプロピレンの重合により得られ、プロピレンポリマー組成物の少なくとも20質量%がメタロセン触媒を用いる重合により得られたものであり、
融点TMが65〜170℃の範囲であり、
この融点TMを、予め溶融した試験片を20℃/分の加熱速度で加熱することによりISO3146の示差走査熱量法(DSC)によって℃単位で測定し、これにより得られた曲線の極大値が融点TMであり、
半結晶性プロピレンポリマー組成物は、65〜85質量%の主成分A、10〜35質量%の副成分B及び0〜25質量%の副成分Cに分解可能であり、
各成分A、B及びCの割合を、TREF(温度上昇溶離分留)、すなわちポリマーを最初に煮沸キシレンに溶解し、その後この溶液を10℃/時の冷却速度で25℃に冷却し、その後温度が上昇と共に、(TM/2)+7.5℃でキシレンに溶解するプロピレンポリマー組成物留分をまず溶解して、残った固体を分離し、その後、温度の上昇と共に、より高温の70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、94℃、98℃、102℃、107℃、112℃、117℃、122℃及び125℃の全温度で、当該溶離温度とその前の溶離温度間の温度範囲内で溶解する留分を溶離することからなるTREFを行うことにより決定し、
これに続く評価中に考慮される留分は、質量換算による割合がプロピレンポリマー組成物の最初の質量に対して少なくとも1質量%である留分であり、そして
1,2,4−トリクロロベンゼン中における145℃でのゲル透過クロマトグラフィ(GPC)により、考慮すべき全留分のモル質量分布を測定し、
そして主成分Aを、(TM/2)+7.5℃を超える温度で溶離され且つ平均モル質量MN(数平均)120000g/モル以上である考慮すべき全留分によって形成し、
副成分Bを、(TM/2)+7.5℃で溶離する留分によって形成し、そして
副成分Cを、(TM/2)+7.5℃を超える温度で溶離され且つ平均モル質量MN(数平均)120000g/モル未満である考慮すべき全留分によって形成することを特徴とする半結晶性プロピレンポリマー組成物半結晶性プロピレンポリマー組成物に関する。
【0002】
更に本発明は、半結晶性プロピレンポリマー組成物の製造方法、半結晶性プロピレンポリマー組成物をフィルム、繊維又は成形体の製造に使用する方法、そしてかかる組成物から作製されるフィルム、繊維及び成形体に関する。
【0003】
用語ポリプロピレンは、極めて多種多様なポリマーであるが、これがプロピレンモノマーから実質上構築されるという共通の特徴を示すと一般に理解される。各種ポリプロピレンを、遷移金属からなる触媒(これにより、モノマーを成長ポリマー鎖に主として規則正しく導入する)での配位重合により得られる。
【0004】
一般的な配位触媒を用いるプロピレンの重合中に得られるポリマー鎖は、それぞれ2番目の炭素原子にメチル側基を有している。従って、重合が、位置選択的な態様で進行する。鎖への導入中のモノマーの配向によっては、種々の立体化学的な配置を得る。これらの導入時に全てのモノマーが同じ配列である場合、ポリマー鎖のメチル側基が、主鎖の同一側に全てある。用いられる用語は、イソタクチックポリプロピレンである。鎖への導入時に、全てのモノマーが空間配向において交互である場合、これにより得られるポリプロピレンをシンジオタクチックと称する。立体規則構造であるこれら変体は両方共に半結晶性であるため、融点を有している。
【0005】
しかしながら、配位触媒を使用する場合にプロピレンモノマーの導入は完全に首尾一貫としておらず、モノマーの一部を大部分のモノマーと異なる方法で導入するため、形成するポリマー鎖が一般的な配列において必ず「欠陥」を有し、そしてこの欠陥の数が少なからず変化可能である。
【0006】
ポリマー鎖において欠陥を含まない構造配列が長くなればなるほど、連鎖の結晶化が容易となるので、プロピレンの結晶性及び融点が高くなる。
【0007】
メチル側基が不規則な立体化学配列を有する場合、そのプロピレンをアタクチックと称する。これは完全に無定形であるため、融点を有していない。
【0008】
ポリプロピレンの工業的な生産は、今日では、チタンを基礎とする不均一系触媒を使用しており、そしてこれにより得られる製品(生成物)は、主としてイソタクチックポリマーである。この触媒に関して、チーグラ−ナッタ触媒と呼ばれる触媒が確立されおり、これは重合の活性中心を多数有している。この中心は、その立体特異性、すなわちこれにより得られる鎖が有する「欠陥」の数と、更に形成される鎖の平均モル質量との両方において異なる。全ての場合に観察される主な欠陥は、個々のプロピレンモノマーを異性特異的でなく立体特異的に導入したことを示す立体欠陥である。従って、この種類の不均一系触媒で重合した結果、立体化学(空間配置)とモル質量の両方が異なる種々のポリマー鎖の混合物が得られる。
【0009】
メタロセンは、重合中に活性である化合物であり、チーグラ−ナッタ触媒と異なり、明確に限定可能な重合中心を1カ所だけ有している。これにより得られるポリマー鎖は、均一な空間配置を有しており、更にモル質量も均一である。メタロセン触媒によって形成されるポリプロピレンは、不均一系触媒により得られるポリプロピレンと、鎖構造中の主な欠陥が空間欠陥でなく、平面欠陥である点で更に異なるため、このポリプロピレンにおいては、各二番目の炭素原子にだけメチル側基を有さなくなる。
【0010】
従って、メタロセン触媒作用により得られるポリプロピレンにより、種々の性質を新規な組み合わせで有するフィルム、繊維又は成形体の製造が可能となる。
【0011】
ポリプロピレンの重要な利用分野は、フィルム分野、特に、屡々BOPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルムと称される二軸延伸フィルム分野である。
【0012】
ポリプロピレン分野における殆んど全ての開発の一般的な目的は、使用されるポリマーの可溶性留分を低減させることである。これは、最適化した従来からのチーグラ−ナッタ触媒を使用することによって屡々可能となる。結果としては、まず第1に、医療及び食品分野での利用に有効である官能的性質が改善され、第2に、機械特性、特に剛性面での望ましい効果となる。しかしながら、この種類の可溶性留分を低減させたポリプロピレンを、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造に使用することができない。なぜなら、このようなフィルムを形成するために加工するには、能力(性能)が低いか、又は全くないからである。
【0013】
メタロセン触媒を使用して製造されたポリマーは、それ自体可溶性留分の含有率が極めて低いだけである。従って、容易に加工してBOPPフィルムの形成が可能であり且つメタロセン触媒を使用する重合により得られたプロピレンポリマーを見出すことに対する興味が増している。
【0014】
EP−A745638では、基層がメタロセン触媒を使用して製造されたポリプロピレンから構成されている二軸延伸ポリプロピレンフィルムを開示している。このポリプロピレンは、長さ40を超えるイソタクチックブロックに集中し、そしてn−ヘプタン可溶性留分1%未満であり且つモル質量分布が狭い。
【0015】
EP−A905173では、少なくとも0.5%の2,1−挿入、少なくとも96%のメソの5価元素及び少なくとも99%のメソの2価元素を含み且つ置換インデン基含有架橋メタロセン錯体を使用して製造されたイソタクチックポリプロピレンを使用する二軸延伸フィルムの製造方法を開示し、更にこれにより得られる二軸延伸フィルムを開示している。
【0016】
これらの文献に開示され且つメタロセンを使用して製造されるプロピレンポリマーにより二軸延伸フィルムの製造が可能となるが、その加工性は依然として満足できるものでない。特に、加工寛容度、すなわち二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造が混乱なく進行可能である温度範囲が不適当である。理由の一つとしては、特に、極めて良好な加工寛容度とするために、その後の製造プロセスが温度変化に過度に敏感とならなくなることが考えられる。
【0017】
WO98/10016では、プロピレン単独重合体成分とプロピレン共重合体成分の両方を含む半結晶性プロピレンポリマー組成物を開示している。このプロピレンポリマー組成物は、少なくとも2種の異なるメタロセンを含むメタロセン触媒組成物を使用することによって製造され、そして重合が少なくとも二段階(二工程)で起こり、その一段階で、プロピレン単独重合体を製造し、そして別の段階で、プロピレン共重合体をコモノマーの割合を少なくして製造する。通常のメタロセンポリプロピレンと比較して、かかる組成物はモル質量分布が広く且つ組成分布が広い。(A. K. Mehta, M. C. Chen, J. J. McAlpin,“Potential Film Applications of Metallocene−based Propylene Polymers from Exxpol Catalysis”, Eds.: G. M. Benedikt, B. L. Goodall, Plastic Design Library, 1998も参照されたい)。これは、延伸フィルムの製造に適当であり、比較的良好な加工範囲を有し、そして従来からのポリプロピレンと比較して、低い温度で延伸可能である。しかしながら、プロピレンポリマー組成物は製造するには複雑であるという不都合がある。更に、依然として良好な加工寛容度を必要とする。
【0018】
従って、本発明は、上述した不都合を克服し、そしてBOPPフィルムを形成するために容易に加工可能であり且つメタロセン触媒作用により製造されるポリマーの割合が極めて高いプロピレンポリマー組成物を開発することを目的とする。このポリマーは、極めた簡易な方法によって入手可能とすべきであり、可溶性留分の割合を極めて低くすべきであり、二軸延伸フィルムの形成するための加工寛容度を良好にすべきであり、そしてこのポリマーにより、良好な性質、特に高い剛性及び良好なバリア作用のBOPPフィルムを形成すべきである。
【0019】
本発明者等は、上記目的が冒頭に定義された半結晶性プロピレンポリマー組成物、更にこの半結晶性プロピレンポリマー組成物の製造方法、この半結晶性プロピレンポリマー組成物をフィルム、繊維又は成形体の製造に使用する方法、そしてかかる組成物により作製されるフィルム、繊維及び成形体によって達成されることを見出した。
【0020】
新規な半結晶性プロピレンポリマー組成物を、プロピレン、エチレン及び/又はC4〜C18−1−アルケンの重合によって製造する。本発明の目的のために、C4〜C18−1−アルケンは直鎖又は分岐の炭素原子数4〜18個の1−アルケンである。直鎖の1−アルケンが好ましい。特に、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン及び1−オクテン、そしてこれらのコモノマーからなる混合物が例として挙げられ、そしてエチレン又は1−ブテンを使用するのが好ましい。プロピレンポリマー組成物は、少なくとも50モル%のプロピレンの重合から得られるモノマー単位を含んでいる。プロピレンから誘導されるモノマー単位含有率は、少なくとも70モル%、特に少なくとも85モル%とするのが好ましい。しかしながら、新規なプロピレンポリマー組成物の製造において、プロピレンが、使用される単一モノマーとすることも可能であるため、プロピレンポリマー組成物は、プロピレンの単独重合体とする場合がある。1種以上のコモノマーを使用可能とする場合、プロピレンポリマー組成物全体が、ランダム共重合体のように、実質的に同一のコモノマー分布を有する場合がある。しかしながら、プロピレンの耐衝撃性共重合体として知られているように、異なるコモノマー含有率の異なる成分の混合物であっても良い。
【0021】
本発明により、少なくとも20質量%のプロピレンポリマー組成物を、メタロセン触媒を使用する重合によって得る。メタロセンポリプロピレンの割合を少なくとも50質量%、特に少なくとも80質量%とするのが好ましい。極めて好ましい一態様において、プロピレンポリマー組成物全体の重合を、メタロセン触媒作用によって引き起こす。
【0022】
本発明の目的のために、メタロセン触媒は、少なくとも1種のメタロセン化合物を含む触媒組成物であればどのようなものでも良く、ここでは、メタロセンが、周期表の遷移族の金属(遷移金属)と有機配位子との錯体化合物であり、そしてこれは、メタロセニウムイオン形成化合物と共に、有効な触媒組成物を形成する。
【0023】
本発明により好適なメタロセン触媒は、一般に、活性組成分として、
(A)少なくとも1種の、下式(I):
【0024】
【化1】

【0025】
[但し、Mがチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ又はタンタルを表すか、又は周期表第3族の元素若しくはランタノイドを表わし、
Xがフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水素、C1〜C10アルキル、C6〜C15アリール、アルキル基の炭素原子数1〜10個及びアリール基の炭素原子数6〜20個のアルキルアリール、−OR6又は−NR67を表わし、
nが1、2又は3を表わし、且つnがMの原子価から2を引いた数であり、
6及びR7がC1〜C10アルキル、C6〜C15アリール、それぞれアルキル基の炭素原子数1〜10個及びアリール基の炭素原子数6〜20個のアルキルアリール、アリールアルキル、フルオロアルキル又はフルオロアリールを表わし、そして
基Xが同一又は異なっていてもよく、
1〜R5が水素、C1〜C10アルキル、5〜7員のシクロアルキル(C1〜C10アルキル置換されていても良い)、C6〜C15アリール又はアリールアルキルを表わし、且つ2個の隣接基が合体して、炭素原子数4〜15個の飽和又は不飽和環式基を形成しても良く、或いはR1〜R5がSi(R83を表わし、
8がC1〜C10アルキル、C3〜C10シクロアルキル又はC6〜C15アリールを表わし、そして
ZがXか、又は下式:
【0026】
【化2】

【0027】
{但し、R9〜R13が水素、C1〜C10アルキル、5〜7員のシクロアルキル(C1〜C10アルキル置換されていても良い)、C6〜C15アリール又はアリールアルキルを表わし、且つ2個の隣接基が合体して、炭素原子数4〜15個の飽和又は不飽和環式基を形成しても良く、或いはR9〜R13がSi(R143を表わし、
14がC1〜C10アルキル、C3〜C10シクロアルキル又はC6〜C15アリールを表す}
を表すか、或いは
4とZが合体して、基−R15−A−:
{但し、R15が、
【0028】
【化3】

【0029】
(但し、R16、R17及びR18がそれぞれ同一又は異なっていてもよく、水素、ハロゲン、C1〜C10アルキル、C1〜C10フルオロアルキル、C6〜C10フルオロアリール、C6〜C10アリール、C1〜C10アルコキシ、C2〜C10アルケニル、C7〜C40アリールアルキル、C8〜C40アリールアルケニル又はC7〜C40アルキルアリールを表すか、或いは2個の隣接基が、これらに結合する原子と共に合体して、炭素原子数4〜15個の飽和又は不飽和環を形成し、
1がケイ素、ゲルマニウム又はスズを表す)
を表わし、
Aが、
【0030】
【化4】

【0031】
(但し、R19がC1〜C10アルキル、C6〜C15アリール、C3〜C10シクロアルキル又はC7〜C18アルキルアリールか、又はSi(R203を表わし、
20が水素、C1〜C10アルキル、C6〜C15アリール(C1〜C4アルキル基で置換されていても良い)か、又はC3〜C10シクロアルキルを表す)
を表す}
を形成するか、或いは
4とR12が合体して、基−R15−を形成する]
で表されるメタロセン錯体を含んでいる。
【0032】
式(I)で表される基Xが同一であるのが好ましい。
【0033】
一般式(I)で表されるメタロセン錯体の中で、下式:
【0034】
【化5】

で表されるのが好ましい。
【0035】
式(Ia)で表される化合物の中で、特に、
Mがチタン、ジルコニウム又はハフニウムを表わし、
Xが塩素、C1〜C4アルキル又はフェニルを表わし、
nが数字の2を表わし、そして
1〜R5が水素又はC1〜C4アルキルを表す化合物が好ましい。
【0036】
式(Ib)で表される化合物の中で、
Mがチタン、ジルコニウム又はハフニウムを表わし、
Xが塩素、C1〜C4アルキル又はフェニルを表わし、
nが数字の2を表わし、
1〜R5が水素、C1〜C4アルキル又はSi(R83を表わし、そして R9〜R13が水素、C1〜C4アルキル又はSi(R143を表す化合物が好ましい。
【0037】
式(Ib)で表される化合物は、シクロペンタジエニル基が同一である化合物が特に適当である。
【0038】
特に適当な化合物の例は、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
であり、更にこれに対応するジメチルジルコニウム化合物である。
【0039】
式(Ic)で表される特に好適な化合物は、
1及びR5が同一であり、水素又はC1〜C10アルキルを表わし、
5及びR13が同一であり、水素、メチル、エチル、イソプロピル又はtert−ブチルを表し、
3及びR11がC1〜C4アルキルを表わし、そして
2及びR10が水素を表すか、或いは
隣接する2個の基R2とR3、又は基R10とR11が合体して、炭素原子数4〜12個の飽和又は不飽和環式基を形成し、
15が、
【0040】
【化6】

を表わし、
Mがチタン、ジルコニウム又はハフニウムを表わし、そして
Xが塩素、C1〜C4アルキル又はフェニルを表す化合物である。
【0041】
特に好適な錯体化合物(Ic)の例は、
ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
テトラメチルエチレン−9−フルオレニルシクロペンタジエニルジクロニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(3−tert−ブチル−5−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−tert−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジブロミド、
ジメチルシランジイルビス(3−メチル−5−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(3−エチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、
メチルフェニルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、
メチルフェニルシランジイルビス(2−エチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシランジイルビス(2−エチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、及び
ジフェニルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ハフニウムジクロリド、
であり、更にこれに対応するジメチルジルコニウム化合物である。
【0042】
好適な化合物の他の例は、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−プロピル−4[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、及び
ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)(2−メチル−4[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、
であり、更にこれに対応するジメチルジルコニウム化合物である。
【0043】
一般式(Id)で表される特に好適な化合物は、
Mがチタン又はジルコニウムを表わし、
Xが塩素、C1〜C4アルキル又はフェニルを表わし、
15が、
【0044】
【化7】

を表わし、
Aが、
【0045】
【化8】

を表わし、そして
1〜R3及びR5が水素、C1〜C10アルキル、C3〜C10シクロアルキル、C6〜C15アリール又はSi(R83を表すか、或いは隣接する2個の基が合体して、炭素原子数4〜12個の環式基を形成する化合物である。
【0046】
この種類の化合物を、それ自体公知の方法によって合成しても良い。対応する置換環式炭化水素アニオンを、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ又はタンタルのハロゲン化物と反応させるのが好ましい。
【0047】
これに対応する製造方法の例は、特に、Journal of Organometallic Chemistry,369(1989), 359−370頁に記載されている。
【0048】
成分A)として異なるメタロセン錯体の混合物を使用することも可能である。
【0049】
メタロセン触媒は、更に、成分B)として少なくとも1種のメタロセニウムイオン形成化合物を含んでいる。
【0050】
好適なメタロセニウムイオン形成化合物の例は、中性の強ルイス酸、ルイス酸カチオンとのイオン化合物及びカチオンとしてのブレンステッド酸とのイオン性化合物である。
【0051】
好ましい中性の強ルイス酸は、一般式(II):
【0052】
【化9】

【0053】
[但し、M2が周期表第3主族の元素、特にB、Al又はGa、好ましくはBを表し、そして
1、X2及びX3が水素、C1〜C10アルキル、C6〜C15アリール、それぞれアルキル基の炭素原子数1〜10個及びアリール基の炭素原子数6〜20個のアルキルアリール、アリールアルキル、ハロアルキル又はハロアリール、又はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を表わし、特にハロアリール、好ましくはペンタフルオロフェニルを表す]
で表される化合物である。
【0054】
一般式(II)で表される化合物は、X1、X2及びX3が同一であり、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを表すのが特に好ましい。
【0055】
ルイス酸カチオンとのイオン性化合物は、一般式(III):
【0056】
【化10】

【0057】
[但し、Yが周期表の第1〜第6主族か、又は第1〜第8副族の元素を表わし、
1〜Qzがマイナス1価の基、例えばC1〜C28アルキル、C6〜C15アリール、それぞれアルキル基の炭素原子数1〜28個及びアリール基の炭素原子数6〜20個のアルキルアリール、アリールアルキル、ハロアルキル若しくはハロアリール、C1〜C10基で置換されていても良いC3〜C10シクロアルキルを表すか、或いは
1〜Qzがハロゲン、C1〜C28アルコキシ、C6〜C15アリールオキシ、シリル又はメルカプチルを表わし、
aが1〜6までの整数を表わし、
zが0〜5までの整数を表わし、そして
dがa−z(aとzとの差)であり且つ1以上である]
で表される化合物であるが適当である。
【0058】
特に好適なカチオンは、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン及びスルホニウムカチオンであり、更にカチオン性の遷移金属錯体である。トリフェニルメチルカチオン、銀カチオン及び1,1’−ジメチルフェロセニルカチオンが特に特記に値する。これらは、非配位対イオン、特に、WO91/09882に開示されているホウ素化合物、好ましくはテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを有しているのが好ましい。
【0059】
カチオンとしてのブレンステッド酸とのイオン性化合物及び好ましくは同様に非配位対イオンは、WO91/09882に開示されており、そして好ましいカチオンはN,N−ジメチルアニリニウムである。
【0060】
中性の強ルイス酸、ルイス酸カチオンとのイオン性化合物、又はカチオンとしてのブレンステッド酸とのイオン性化合物の量は、メタロセン錯体A)に対して、0.1〜10当量であるのが好ましい。
【0061】
特に好適なメタロセニウムイオン形成化合物B)は、一般式(IV)〜(V):
【0062】
【化11】

【0063】
[但し、R21がC1〜C4アルキル、好ましくはメチル又はエチルを表わし、そして
mから5〜30までの整数、好ましくは10〜25までの整数を表す]
で表される鎖状又は環式のアルミノキサン化合物である。
【0064】
これらオリゴマーのアルミノキサン化合物を、一般に、特にEP−A284708及びUS−A47947096に開示されているように、トリアルキルアルミニウム溶液を水と反応させることによって製造する。
【0065】
これにより得られるオリゴマーのアルミノキサン化合物は、一般に、異なる鎖状及び/又は環式の長鎖分子の混合物であるので、mを平均値と見なす。このアルミノキサン化合物は、他のアルキル金属化合物、好ましくはアルキルアルミニウム化合物との混合物で存在しても良い。
【0066】
メタロセン錯体A)及び一般式(IV)〜(V)で表されるオリゴマーのアルミノキサン化合物を、オリゴマーのアルミノキサン化合物によるアルミニウムの、メタロセン錯体による遷移金属に対する原子比が10:1〜106:1の範囲、特に10:1〜104:1の範囲を形成する量を使用することが有効であると証明された。
【0067】
更に、使用される成分B)が、一般式(IV)〜(V)で表されるアルミノキサン化合物の代わりに、US−A5391793に開示されているアリールオキシアルミノキサン、US−A5371260に開示されているアミノアルミノキサン、EP−A633264に開示されているアミノアルミノキサンヒドロクロリド、EP−A621279に開示されているシロキシアルミノキサン、又はこれらの混合物としても良い。
【0068】
他の好適なメタロセニウムイオン形成化合物B)は、WO99/06414に開示されているホウ素−アルミニウム化合物、例えばジ[ビス(ペンタフルオロフェニルボロキシ)]メチルアランである。使用されるホウ素−アルミニウム化合物を、有機又は無機担体に析出させても良い。
【0069】
メタロセン錯体A)、更にメタロセニウムイオン形成化合物B)は、溶液で使用されるのが好ましく、炭素原子数6〜20個の芳香族炭化水素、特にキシレン及びトルエンが特に好ましい。
【0070】
好適なメタロセン触媒は、更に、他の成分C)として、一般式(VI):
【0071】
【化12】

【0072】
[但し、M3が、アルカリ金属、アルカリ土類金属又周期表第3主族の金属、すなわちホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム又はタンタルを表し、
22が水素、C1〜C10アルキル、C6〜C15アリール、それぞれアルキル基の炭素原子数1〜10個及びアリール基の炭素原子数6〜20個のアルキルアリール又はアリールアルキルを表わし、
23及びR24が水素、ハロゲン、C1〜C10アルキル、C6〜C15アリール、それぞれアルキル基の炭素原子数1〜10個及びアリール基の炭素原子数6〜20個のアルキルアリール、アリールアルキル又はアルコキシを表わし、
rが1〜3までの整数を表わし、そして
s及びtが0〜2までの整数を表わし、そして
r+s+tの合計がM3の原子価に相当する]
で表される金属化合物を含んでいても良い。
【0073】
一般式(VI)で表される金属化合物の中で、M3がリチウム、マグネシウム及びアルミニウムを表わし、そしてR23及びR24がC1〜C10アルキルを表す化合物が好ましい。
【0074】
式(VI)で表される金属化合物は、n−ブチルリチウム、n−ブチル−n−オクチルマグネシウム、n−ブチル−n−ヘプチルマグネシウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−イソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム及びトリメチルアルミニウムが特に好ましい。
【0075】
金属化合物C)を使用する場合、式(VI)によるM3の、式(I)による遷移金属Mに対するモル比が800:1〜1:1の範囲、特に500:1〜50:1の範囲を形成する量の触媒組成物に存在するのが好ましい。
【0076】
メタロセン錯体A)を坦体材料として使用しても良い。
【0077】
担体として、一般に粒径が1〜300μm、特に20〜90μmである微粉砕担体を使用するのが好ましい。好適な担体の例は、ケイ素、アルミニウム、チタンの無機酸化物か、又は周期表第1若しくは第2主族の金属の一つの無機酸化物、又はこれらの酸化物の混合物であり、これらの中で、アルミナとマグネシウムの酸化物及びフィロシリケートの他に、シリカゲルが好ましい。
【0078】
担体を熱処理、例えば吸収された水を除去しても良いが、かかる処理を80〜200℃、好ましくは100〜150℃で行うか、或いは担体をか焼しても良い。従来からの乾燥剤、例えばアルキル金属化合物、好ましくはアルキルアルミニウム化合物、クロロシラン又はSiCl4を使用して、担体を化学的に処理しても良い。
【0079】
他の好適な担体は、微粒子状のポリオレフィン、例えば微粒子状のポリプロピレンである。
【0080】
メタロセン触媒組成物を、重合すべきモノマーの存在下又は非存在下、チーグラ触媒と混合し、そしてオレフィンの重合に使用しても良い。
【0081】
例えば懸濁又はバルク処理で、触媒を予備重合又は予備活性化することも可能である。
【0082】
新規な半結晶性プロピレンポリマー組成物は、融点TMが65〜170℃、好ましくは135〜165℃、特に140〜160℃である。
【0083】
本発明の目的のために、ここでの融点TMは、ISO3146の示差走査熱量法(DSC)により得られた結果であり且つ予め溶融した試験片を20℃/分の加熱速度で加熱することによって得られた温度に対するエントロピーグラフの最大温度(極大値)である。ここでのDSC測定は、通常、最初に試験片を20℃/分の加熱速度で融点より約40℃を超える温度に加熱し、その後、20℃/分の冷却速度で試験片を動的結晶化(dyanamic crystallization)し、そして20℃/分の加熱速度で2回目の加熱処理中に融点TMを測定することによって行う。
【0084】
新規な半結晶性プロピレンポリマー組成物は、
65〜85質量%、好ましくは70〜80質量%の主成分A、
10〜35質量%、好ましくは10〜25質量%の副成分B、及び
0〜25質量%、好ましくは5〜25質量%、特に10〜20質量%の副成分Cを有し、且つ成分A、B及びCは、これらの立体特異性及びモル質量が異なる。
【0085】
本発明により、半結晶性プロピレンポリマー組成物中の各成分A、B及びCの割合を測定するために、TREF(温度上昇溶離分留(temperature rising elution fractionation))によって分留を行い、その後、全留分のモル質量分布をゲル透過クロマトグラフィ(GPC)によって測定する。
【0086】
GPC及びTREFは、ポリマー試験片を分別するための種々の物理的性質を使用する方法である。GPCがポリマー鎖をその大きさで分別し、TREFにおいてはポリマー分子の結晶性で選別する。温度上昇溶離分留の原理は、L. Wild, Advances in Polymer Sciences 98, 1−47 (1990)に例示によって詳細に記載されている。この技術では、ポリマー試験片を高温で溶剤に溶解し、そしてこの溶液濃度は2質量%未満とすべきである。その後、このポリマー溶液を極めてゆっくり(約0.1℃/分)冷却する。その後、沈殿する最初の(第1の)ポリマー分子は極めて良好に結晶化する分子であり、次いで、結晶化性の低い分子である。従って、溶剤中で得られたポリマー粒子において、この粒子を構成する分子の結晶化性が内側から外側に向かって低減する。冷却後、ポリマー懸濁液を加熱することによって実際の分別(分留)が行われる。この処理中、十分に結晶化しない、ポリマー粒子の周囲に存在する分子を、比較的低温で最初に溶解し、そしてこれを溶解させた溶剤で除去し、次いで、結晶化が更に容易であるポリマー鎖を高温で除去する。
【0087】
図1に概略的に示されている装置は、TREFを行う場合に特に好適であると証明された。これは、温度制御可能な貯蔵タンク(1)、温度制御可能な溶離タンク(2)、2基のサーモスタット(3)(例えば、ジュラボ(Julabo)社製のHC5型)、2つの熱センサー(4)及びポリマー懸濁液を混合する高性能混合器(5)から構成されている。荒目金網によって分割されている溶離容器の下側部分において、ポリマー溶液を流出させる場合に排出されることにより得る未溶解ポリマー粒子を防ぐガラスウール(6)が具備されている。
【0088】
本発明によると、半結晶性プロピレンポリマー組成物を特徴付けるために、ポリマーを最初にキシレンに溶解する。原則として、ここでは、キシレンの異性体、異性体混合物又はエチルベンゼン内容物との異性体混合物を使用することが可能であり、経済上の理由から、異性体混合物が好ましい。しかしながら、純粋なp−キシレン及び約50質量%を超えるp−キシレン含有率の異性体混合物を使用するのを避けるのが有効である。なぜなら、p−キシレンは約20℃で凍るからである。
【0089】
ポリマー試験片を溶解するために、例えば、還流冷却器の下側で、磁気撹拌棒を具備するガラス容器に溶剤と共に導入し、その後、ガラス容器を、ポリマーが完全に溶解するまで、温度制御可能なバス(浴)で撹拌しながら加熱する。その後、このポリマー溶液を、例えば、ガラス容器を、サーモスタット装置を構成する予め加熱した油浴に、10℃/時の冷却速度で室温に到達するまで冷却する。特定の冷却を、このサーモスタット装置に関連するプログラマーに適当にプログラミングさせることによって達成しても良い。5gのプロピレンポリマーを、通常、TREF解析用に400mlのキシレンに溶解する。
【0090】
この特定の結晶化処理により得られるポリマー懸濁液を、図1に示された装置の溶離容器(2)に移し、温度を(TM/2)+7.5℃に上げ、そしてポリマーの結晶を、この温度で15分間、勢いよく混合しながら抽出する。その後、ポリマー溶液を排出する一方、結晶が抽出器に残った。溶解ポリマーを冷たいアセトン(0℃未満)で沈殿させ、ろ別し、そして真空で100℃にて4〜5時間乾燥するのが好ましい。
【0091】
次のより高温の70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、94℃、98℃、102℃、107℃、112℃、117℃、122℃及び125℃に温度制御した400mlのキシレンを、溶離容器(2)中のポリマーの結晶に添加し、次いで、再びこの次の高温で15分間混合する。これは、この溶離温度とその前の溶離温度間の温度範囲で溶解可能な半結晶性プロピレンポリマー組成物の留分を溶解する。これにより得られた溶液を、その後に排出する一方、結晶が抽出器に残った。
【0092】
この処理を、ポリマーの結晶が全て溶解するまで繰り返す。この段階は、全てのポリプロピレンがある程度まで調査した場合に、125℃以下で達成された。
【0093】
各留分より得られた溶解ポリマーを、冷たい(低温)アセトン(0℃未満)で沈殿させ、ろ別し、そして真空で100℃にて4〜5時間乾燥するのが好ましい。
【0094】
ポリマー組成物の分別中に損失が必ず発生するので、損失が僅かな場合であったとしても、留分の量の合計は、一般に、ポリマーの最初の質量未満となる。この現象は、プロピレンポリマー組成物の最初の質量の96質量%以上を分別中に回収する限り、無視することが可能である。しかしながら、損失が高い場合、この分別を繰り返す必要がある。
【0095】
使用される試験片の量が極端に少ない場合、モル質量分布を高い信頼性で測定するのが不可能となる。誤差を最小限にするために、評価中(次いで、各成分A、B及びCの量を計算する)に考慮すべき留分は、最初のポリマー試験片の質量に対する割合が少なくとも1質量%である留分のみである。この留分のモル質量分布を、145℃で1,2,4−トリクロロベンゼン中においてゲル透過クロマトグラフィによって測定するが、このGPCをモル質量100〜107g/モルであるポリプロピレン標準で較正する。
【0096】
その後、留分を、各留分が溶離された温度、すなわちポリマー鎖が溶解した温度順序70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、94℃、98℃、102℃、107℃、112℃、117℃、122℃内の温度と、各留分の平均モル質量Mn(数平均)とにより各成分A、B及びCに配分可能となる。
【0097】
主成分Aを、(TM/2)+7.5℃を超える温度で溶離され且つ平均モル質量Mn(数平均)120000g/モル以上である考慮すべき全留分によって形成する。
【0098】
副成分Bを、(TM/2)+7.5℃で溶離される留分によって形成する。(TM/2)+7.5℃で溶離される留分の割合が、プロピレンポリマー組成物全体に対して1質量%未満である場合、副成分Bの割合は、考慮すべき留分に関して上記に示した定義に従い0質量%である。
【0099】
副成分Cを、(TM/2)+7.5℃を超える温度で溶離され且つ平均モル質量Mn(数平均)が120000g/モル未満である考慮すべき留分全てによって形成する。
【0100】
TREF中で損失が発生し、そしてプロピレンポリマー組成物に対する割合が1質量%未満である留分を更に考慮しないという理由から、実験的に得られる成分A、B及びCの量は、合計して、分別に取り入れられ且つ基準として使用されるポリマーの最初の質量未満となる。成分A、B及びCの割合を一般に質量%とするため、成分A、B及びCの割合の合計は、100質量%にならない。この差をZと称することもあり、そして下式:
Z=100質量%−(A+B+C)
[但し、A、B及びCが成分A、B及びCの見出された量の、プロピレンポリマー組成物の最初の質量に対する質量%を単位とする比であり、
Zも同様に質量%単位である]
により定量化する。
【0101】
驚くべきことに、BOPPフィルムを形成するための特に良好な加工及び高い程度の加工寛容度が、半結晶性プロピレンポリマー組成物であって、組成物の少なくとも20質量%をメタロセン触媒作用重合によって製造し且つ成分A、B及びCを本発明に従う割合で有する半結晶性プロピレンポリマー組成物によって特に形成される。新規なプロピレンポリマー組成物の良好な性質を説明するために、特に、主成分A含有率が高いと、フィルムの剛性が高くなることが想定されるであろう。副成分Bの含有量は、加工速度に影響を与え、そして副成分Cの含有量は、高程度の温度寛容度に起因するものである。
【0102】
新規なプロピレンポリマー組成物の性質に関して重要な要因は、これの成分A、B及びCの割合である。プロピレンポリマー組成物を製造するために本発明により使用されるメタロセン触媒の化学的な性質は、一般に、組成物が異なる重合条件下で製造されるポリマーの混合物であることを包含する。この混合物を製造する方法はそれ自体重要ではない。
【0103】
例えば、2種以上の出発ポリマーを別々に重合し、その後、これらを適当な混合装置、例えばスクリュー押出器又はディスクパックプラスチケータ(Diskpack plasticator)、混練機又はロールミルによって混合することが可能である。
【0104】
しかしながら、プロピレンポリマー組成物を別々に重合しないのが好ましい。従って、用いられる重合条件下で異なるポリプロピレンを形成する2種以上の異なるメタロセンの混合物を使用するのが一法として考えられる。その後、メタロセンの一つが、一般に、成分Aを形成し、他方が成分B及びCを形成するか、或いはメタロセンの一つが成分Aを形成し、別のメタロセンが成分Bを形成し、更に別のメタロセンが成分Cを形成する。その他の方法としては、触媒を1種だけ使用するが、重合を異なる反応器、例えば反応器カスケードで、所望の最終組成物を形成するために十分異なる条件下で重合を行うことである。
【0105】
新規なプロピレンポリマー組成物の組成分、又はプロピレンポリマー組成物全体を、プロピレンの重合に一般に使用される反応器中、バッチ又は好ましくは連続的に、バルク、懸濁又は気相において一段階(一工程)以上でそれ自体公知の方法によって製造しても良い。重合は、20〜150℃及び1〜100バール(105〜107Pa)の圧力条件下に平均滞留時間0.5〜5時間で一般に行われ、60〜90℃及び20〜35バール(2.0×106〜3.5×106Pa)の圧力条件下に平均滞留時間0.5〜3時間で行われるのが好ましい。
【0106】
新規な半結晶性プロピレンポリマー組成物は、モル質量(質量平均Mw)が20000〜900000g/モルの範囲であるのが好ましい。ISO1133による2.16kgの負荷条件下、230℃での溶融流量は、0.1〜100g/10分であり、0.5〜50g/10分であるのが好ましく、1〜12g/10分であるのが特に好ましい。
【0107】
従来からの添加剤、例えば安定剤、滑剤、離型剤、フィラー、核形成剤、耐電防止剤、可塑剤、染料、顔料又は難燃剤の一般的な量を、新規な半結晶性プロピレンポリマー組成物の使用前にこれに添加するのが一般的である。これらを、一般に、微粉形態で製造される重合生成物のペレット化中にポリマーに導入するのが一般的である。
【0108】
一般的な安定剤は、酸化防止剤(例えば、立体障害フェノール)、加工安定剤(例えば、ホスフィト又はホスホニト)、掃酸剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛又はジヒドロタルサイト、立体障害アミン)、又はUV安定剤である。新規なプロピレンポリマー組成物は、一般に、2質量%以下の1種以上の安定剤を含んでいる。
【0109】
好適な滑剤及び離型剤の例は、脂肪酸、脂肪酸のカルシウム塩又は亜鉛塩、脂肪アミド、及び低分子量ポリオレフィンワックスであり、これらを通常、2質量%以下の濃度で使用する。
【0110】
プロピレンポリマー組成物に使用しても良いフィラーの例は、タルク、白亜及びガラス繊維であり、50質量%以下の量で使用しても良い。
【0111】
好適な核形成剤の例は、無機添加剤、例えばタルク、シリカ又はカオリン、モノ−若しくはポリカルボン酸の塩、例えば安息香酸ナトリウム又はtert−ブチル安息香酸アルミニウム、ジベンジリデンソルビトール若しくはそのC1〜C8アルキル置換誘導体、例えばメチル−若しくはジメチルジベンジリデンソルビトール、及びリン酸ジエステルの塩、例えば2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)リン酸ナトリウムである。プロピレンポリマー組成物中の核形成剤含有率は、一般に5質量%以下である。
【0112】
この種類の添加剤は、一般に市販されており、例えばGaechter/Mueller, Plastics Additives Handbook, 第4版, Hansa Publishers, Munich, 1993に記載されている。
【0113】
新規な半結晶性プロピレンポリマー組成物は、溶解性留分の割合が極めて低いこと、バリア作用(barrier action)が良好であること、剛性、靭性及び透明度が高いこと、そして二軸延伸ポリプロピレンフィルムを形成するための加工性が良好であることという特徴がある。これらの良好な性能により、新規な半結晶性プロピレンポリマー組成物は、フィルム、繊維又は成形体の製造に特に適当となる。
【0114】
更に本発明は、新規な半結晶性プロピレンポリマー組成物より製造され且つ縦延伸比が少なくとも1:3で、横延伸比が少なくとも1:5である二軸延伸フィルを提供する。
【0115】
二軸延伸フィルムを、プロピレンポリマー組成物の溶融押出によって製造し、そこでは、排出された溶融物を、100と20℃との間で最初に冷却して凝固させ、その後凝固したフィルムを80〜150℃で少なくとも1:3の延伸比にて縦方向に延伸し、そして120〜170℃で少なくとも1:5の延伸比にて横方向に延伸する。
【0116】
そのために、半結晶性プロピレンポリマー組成物を220〜300℃、好ましくは240〜280℃で、例えば押出器で溶融し、且つ他の添加剤又はポリマーをこの押出器に添加し、そして溶融物をスロットダイ又は環状ダイによって押出す。
【0117】
これにより得られたフィルムを、その後、冷却して凝固させる。スロットダイ(フラット−フィルム押出ダイ)による押出によって、冷却は、表面温度が例えば10〜100℃、好ましくは15〜70℃であるテークオフロールにより一般に起こる。環状ダイを使用する場合、フィルムバブルを0〜40℃で空気又は水によって冷却するのが一般的である。
【0118】
これにより得られたフィルムを、その後、分子鎖を配向させる、押出方向に対して縦方向及び横方向に延伸する。延伸の順序は重要でない。フラットフィルム押出ダイにおいて、最初に縦方向に延伸し、これは、所望の延伸比に対応して異なる速度で回転する2対以上のロールを用いることによって行われる。次いで、クリップを具備する適当な装置によって横方向に延伸する。グリップを具備する適当な装置によって、縦方向と横方向の延伸を同時に行うことも可能である。環状ダイを使用する場合、両方向への延伸は、ガスをフィルムバブルに注入することによって同時に行うのが一般的である。
【0119】
フィルムを延伸する前に、例えば60と110℃の間に加熱しても良い。縦方向の延伸は80〜150℃、特に100〜130℃で起こるのが好ましく、横方向の延伸は120〜190℃、特に135から180℃で起こるのが好ましい。縦延伸比は一般に少なくとも1:3であり、1:4〜1:7であるのが好ましく、特に1:4.5〜1:5である。横延伸比は一般に少なくとも1:5であり、1:6〜1:12が好ましく、特に1:7〜1:10である。
【0120】
二軸延伸に次いで、熱硬化用に熱処理しても良く、ここでは、フィルムを100〜160℃で約0.1〜10秒間保持する。その後、フィルムを巻取り装置により一般的な方法で巻取る。
【0121】
BOPPフィルムの製造中又は製造後、表面のどちらか一方又は両面共に、公知の方法の一法によってコロナ処理又は火炎処理するか、或いは必要により例えばアルミニウムを蒸着する。
【0122】
新規な半結晶性プロピレンポリマー組成物は、1層のみ、又は複数層である多層二軸延伸フィルムを形成することも可能である。
【0123】
新規な半結晶性プロピレンポリマー組成物から製造された二軸延伸フィルムは、特に、極めて良好な剛性、極めて良好なバリア作用及び極めて良好な透明性を有している。
【実施例】
【0124】
以下の試験を行って、試験片を特徴付けた:
[平均粒径の測定]
シリカゲルの平均粒径を測定するために、シリカゲル粒子の粒径分布を、ASTM D 4438によるコウルターカウンター解析(Coulter Counter Analysis)によって測定し、そしてこの結果から、体積を基礎とする平均(メジアン)を計算した。
【0125】
[細孔容積の測定]
ドイツ工業規格66133(DIN66133)による水銀多孔度法によって測定した。
【0126】
[比表面積の測定]
ドイツ工業規格66131による窒素吸収性によって測定した。
【0127】
[エチレン含有量の測定]
エチレン含有量を、ポリマーペレットの13C−NMR分光法によって測定した。
【0128】
[溶融流量(MFR)の測定]
2.16kgの負荷条件下、230℃でISO1133により測定した。
【0129】
[TMの測定]
融点TMを、最初に、1分当り20℃の加熱速度で200℃に加熱処理し、1分当り20℃の冷却速度で25℃に動的結晶化し、そして1分当り20℃の加熱速度で再び200℃に2回目の加熱処理することによって、ISO3146によるDSCによって測定した。融点TMは、この2回目の加熱処理中に測定される温度に対してエントロピーをプロットした場合の最大温度であった。
【0130】
[TREF分別]
使用される溶剤は、安定剤として添加される5g/L(リットル)の2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールで含んで、不揮発性留分0.1質量%未満である工業キシレンを含んでいた。それぞれ分別する場合、5gのプロピレンポリマー組成物を400mlの煮沸キシレンに溶解し、その後、この溶液を10℃/時の冷却速度で25℃に直線的に冷却し、ポリマーの大部分が沈殿した。
【0131】
結晶性の懸濁液を、図1に示されている500mlの温度調節可能な抽出装置に移し、そして最初の溶離温度:(TM/2)+7.5℃に加熱した。測定を開始する前に、装置全体を窒素でフラッシュした。抽出液より上側のガス空間は、抽出中に窒素下で残した。ポリプロピレンの結晶をこの温度で激しく混合しながら15分間抽出した。その後、ポリマー溶液を流出させると、ポリプロピレンの結晶が抽出器に残った。溶解ポリマーを冷たい(低温)アセトン(0℃未満)に沈殿させ、ろ別し、そして真空で100℃にて4〜5時間乾燥した。
【0132】
その後、抽出器を、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、94℃、98℃、102℃、107℃、112℃、117℃、122℃の温度順序で次の溶離温度に加熱し、同じ温度で400mlのキシレンを添加した。激しく混合しながら15分間抽出を繰り返し、ポリマー溶液を流出させ、そして溶解ポリマーを冷たいアセトンに沈殿させ、ろ別し、そして乾燥した。全てのプロピレン単独重合体が溶解するまで、この工程を繰り返した。
【0133】
各TREF留分に関して計算された含有量は、規定された温度で抽出中に溶解した含有量である。ここで、質量%データは、最初の試料質量である5gに基づいている。従って、計量及びろ過中での損失の結果、留分の合計は、それぞれの場合で、100質量%にならなかった。
【0134】
[ゲル透過クロマトグラフィ(GPC)]
145℃でのゲル透過クロマトグラフィ(GPC)を、ウォーターズ150CGPC(Waters 150C GPC)装置を用い、1,2,4−トリクロロベンゼンにおいて145℃で行った。ドイツのオバー−ヒルベルスアイム(Ober−Hilbersheim)にあるHS−Entwicklungsgesellschaft fuer wissenschaftliche Hard und Software mbH製のウイン−GPC(Win−GPC)ソフトウエアを使用して、データを評価した。モル質量100〜107g/モルであるポリプロピレン標準によって、カラムを較正した。
【0135】
ポリマーの質量平均(Mw)モル質量及び数平均(Mn)モル質量を測定した。値Qは、質量平均(Mw)の数平均(Mn)に対する比である。
【0136】
[成分A、B及びCの割合の測定]
TREF解析を、調査すべきプロピレンポリマー組成物を使用して行った。次の評価において、考慮すべき留分は、質量換算の割合が1%を超える留分全てであった。考慮すべき留分全てのモル質量分布をGPCによって測定した。
【0137】
副成分Bの質量換算による割合は、最初の溶離温度、すなわち(TM/2)+7.5℃で得られた留分の質量換算による割合であった。
【0138】
主成分Aの質量換算による割合は、溶離温度より高い温度で得られ且つ平均モル質量Mn(数平均)120000g/モル以上である全留分の質量換算による割合である。
【0139】
副成分Cを、(TM/2)+7.5℃より高い温度で得られ且つ平均モル質量Mn(数平均)120000g/モル未満である全留分によって形成する。
【0140】
下式:
Z=100質量%−(A+B+C)
で表される差Zは、成分A、B及びCの量を計算する際に考慮されない、最初に計量されるプロピレンポリマー組成物の留分を定量化する。なぜなら、TREF中に損失が発生するか、或いは特定の留分の量が限度以下であったからである。
【0141】
[加工寛容度の測定]
BOPPフィルムの製造中、延伸温度を変化させて、BOPPフィルムが入手可能な温度範囲を測定した。この温度範囲は、溶融に起因するフィルムの引き裂けによる上限温度と、溶融が不十分であるため起こる不均一性に起因するフィルムの引き裂けによるか、或いは配向装置をスリップしてしまう程度にフィルムを固めることよる下限温度とを有している。
【0142】
安定作動を保証する加工温度で処理し始めた。その後、延伸温度を、フィルムが引き裂けるまで2℃ずつ昇温させた。ここでは、次の温度を、1000mのフィルムが所定の温度で裂けることなく製造可能となった直後に設定した。その後、最初の温度で再び出発して、延伸温度を、フィルムが再び裂けるか、又は配向装置からスリップするまで2℃ずつ低下させた。
【0143】
[弾性率(引張弾性率)の測定]
幅15mmの縦及び横ストリップを、二軸延伸フィルムから切り取り、これを使用して、23℃でISO527−2により引張弾性率を測定した。
【0144】
[曇り度の測定]
ASTM D−1003により測定した。
【0145】
[防湿性の測定]
ドイツ工業規格53122によりH2O透過性を測定した。
【0146】
[酸素遮断性の測定]
ASTM D3985−81によりO2透過性を測定した。
【0147】
[実施例1]
a)固体触媒の調製
130℃及び10ミリバール(10-2Pa)の条件下で8時間予め乾燥した、平均粒径50μm、細孔容積1.56cm3/g及び比表面積310m2/gである4000gの微粒子状の球形シリカゲル(SiO2)を、20Lのヘプタンに懸濁させ、そして8Lの、トリイソブチルアルミニウムをヘプタンに溶解した8M溶液と混合した。この添加は、懸濁液の温度をいつでも40℃未満とするために十分にゆっくりと行った。その後、混合物を2時間撹拌し、そして懸濁液を沈降させ、そして上澄み液を除去した。固体を、20Lのトルエンを使用し懸濁液に導入し、そして短時間撹拌した。その後再び懸濁液を沈降させ、上澄み液を除去した。この処理を更に2回繰り返した。不活性化担体を最終的に20Lのトルエンに懸濁させ、256.6g(80μモル/gのSiO2)のN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートと混合し、そして85℃に加熱した。懸濁液をこの温度で30分間撹拌した。その後、50.3g(20μモル/gのSiO2)のrac−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジクロニウムジクロリドを添加した。その後、混合物を85℃で更に90分間撹拌した。この間に、懸濁液の色が最初に白色から青紫色に変化し、その後黒みがかった青紫色に変化した。その後、触媒を真空で85℃にて乾燥した。
【0148】
これにより、0.15%のZr、3.2%のAl及び36%のSiを含む易流動性粉末を約5000g得た。
【0149】
b)重合
重合を、2基の垂直撹拌気相反応器(有効容積200L)を連続して接続したカスケードで行った。両方の反応器は、微粒子状ポリマーからなる移動固体吸着床を具備していた。
【0150】
気体のプロピレンを第1の気相反応器に導入し、28バール(2.8×106Pa)及び80℃で連続的に重合した。使用される触媒は、実施例1a)で得られた固体を含んでいて、給送導入される触媒の量は、カスケードからの平均生産量を1時間当たり25kgのポリプロピレンを維持するようにした。30mlの、トリイソブチルアルミニウムをヘプタンに溶解した2M溶液及び1時間当たり40gの、アトメル(Atmer)(登録商標)163(ICI製)をヘプタンに溶解した1質量%濃度溶液を反応器に給送した。
【0151】
この第1の気相反応器で得られたプロピレンの単独重合体を、依然として活性状態にあった触媒組成分と共に、第2の気相反応器に移し、そこで、プロピレンとエチレンの混合物を15バール(1.5×106Pa)及び65℃で連続的に重合した。プロピレンのエチレンに対する分圧比は12:1であった。使用されるモノマーの定常濃度を、5分間隔のガスクロマトグラフィーを用いて、ガスの組成を測定し、そして必要な量のモノマーを供給して濃度を調節することによって気相で得た。第1重合段階で反応したモノマー質量の、第2段階で反応したモノマー質量に対する比は4:1であった。
【0152】
触媒の生産性は、使用される固体触媒1g当りに5000gのポリプロピレンであった。
【0153】
ペレット化中、プロピレンポリマーに従来から用いられ且つテトラキス[メチレン(3,5−ジ−tert−ブチルヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン及びトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィトを基礎とする安定剤を導入した。これにより得られたプロピレンポリマー組成物は、融点154℃、溶融流量2.7g/10分であり、1.9質量%のエチレンを含んでいた。GPCにより、Mw350000g/モル、Mn95000g/モル及びQ(=Mw/Mn)3.7が得られた。TREFを用いて、組成物を表1に示される留分に分解した。この分別による収量、すなわち質量換算による留分の割合の合計は98.7質量%であった。
【0154】
【表1】

【0155】
調査されるプロピレンポリマー組成物の(TM/2)+7.5℃が84.5℃であったため、最初の留分をこの温度で溶離した。85℃及び90℃での留分2及び3が成分Cに相当し、そして94℃、98℃及び102℃での留分4〜6は成分Aに相当した。従って、組成物の構成(組成)は、
主成分A:72.6質量%、
副成分B:13.1質量%、及び
副成分C:13.0質量%、
であった。従って、差Zは、1.3質量%であった。
【0156】
c)BOPPフィルムの製造
これにより得られた半結晶性プロピレンポリマー組成物を使用して、厚さ約20μmの二軸延伸フィルムを製造した。このフィルムを、30cmのフラットフィルム押出ダイを具備するブルークナーマシーネンバウ(Brueckner Maschinenbau)社のパイロットプラントで製造した。処理量は150kg/時であった。押出フィルムを20℃に冷却し、そして凝固フィルムは、延伸比4.5:1で116℃にて縦延伸し且つ延伸比8:1で157℃にて横延伸した。これにより製造した二軸延伸フィルムは、以下の表7に見出すことができる。
【0157】
[比較実施例A]
a)固体触媒の調製
実施例1a)で調製された固体触媒を使用した。
【0158】
b)重合
実施例1a)で調製された固体触媒を使用して、プロピレン単独重合体を、実施例1b)でも使用した反応器カスケードの第1反応器において同一の反応条件下で製造した。第1の気相反応器で得られた生成物を直接排出した。
【0159】
これにより得られたポリマーを実施例1b)と同様に安定化させ、そしてこれは、融点155℃及び溶融流量1.7g/10分であった。GPCにより、Mw500000g/モル、Mn250000g/モル及びQ(=Mw/Mn)2.0が得られた。TREFにより、表2に示される留分に分解した。この分別により得られる収量、すなわち質量による留分の割合の合計は99.4質量%であった。
【0160】
【表2】

【0161】
プロピレンポリマー組成物の(TM/2)+7.5℃が85℃であったため、最初の留分を85℃で溶離した。この留分の質量による割合が1質量%未満であったため、規定により成分Bの含有量は0質量%であった。90℃、94℃、102℃及び107℃での留分2〜6は成分Aに割り当てるべきであるので、成分Cの値はここでも0質量%であった。従って、これにより、
主成分A:98.8質量%、
副成分B:0質量%、及び
副成分C:0質量%、
が得られた。従って、差Zは、1.2質量%であった。
【0162】
c)BOPPフィルムの製造
これにより得られた半結晶性プロピレンポリマー組成物を使用して、厚さ約20μmの二軸延伸フィルムを製造した。このフィルムを、30cmのフラットフィルム押出ダイを具備するブルックナーマシーネンバウ社のパイロットプラントで製造した。処理量は150kg/時であった。押出フィルムを20℃に冷却し、そして凝固フィルムは、延伸比4.5:1で116℃にて縦延伸し且つ延伸比8:1で157℃にて横延伸した。これにより製造した二軸延伸フィルムの性質を、以下の表7に見出すことができる。
【0163】
[実施例2]
a)固体触媒の調製
実施例1a)に記載されている処理を同一の条件下で繰り返した。しかしながら、32.5g(14μモル/gのSiO2)のrac−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジクロニウムジクロリド及び11.3g(6μモル/gのSiO2)のrac−ジメチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジクロニウムジクロリドを1Lのトルエンに懸濁させた懸濁液を、実施例1a)で使用されたrac−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジクロニウムジクロリドの代わりに用いた。メタロセンのモル比は70:30であった。
【0164】
これにより、0.14質量%のZr、3.3質量%のAl及び36質量%のSiを含む易流動性粉末を約5000g得た。
【0165】
b)重合
プロピレンとエチレンのモノマー混合物を、連続的に運転される、有効容積200Lの、微粒子状ポリマーからなる撹拌固体吸着床を具備する垂直撹拌気相反応器で、実施例2a)に記載されている固体触媒を使用し、28バール(2.8×106Pa)の圧力下に80℃にて重合した。使用されるモノマーの定常濃度を、5分間隔のガスクロマトグラフィーを用いて、ガスの組成を測定し、そして必要な量のモノマーを供給して濃度を調節することによって気相で得た。給送導入される固体触媒の量は、カスケードからの平均生産量を1時間当たり20kgのポリプロピレンを維持するようにした。30mlの、トリイソブチルアルミニウムをヘプタンに溶解した2M溶液及び1時間当たり40gの、アトメル(登録商標)163(ICI製)をヘプタンに溶解した1質量%濃度溶液を反応器に給送した。
【0166】
触媒の生産性は、使用される固体触媒1g当りに5000gのポリプロピレンであった。
【0167】
これにより得られたポリマーを実施例1b)と同様に安定化させ、そしてこれは、融点153.8℃、溶融流量1.7g/10分であり、1.9質量%のエチレンを含んでいた。GPCにより、Mw560000g/モル、Mn160000g/モル及びQ(=Mw/Mn)3.5が得られた。TREFにより、表3に示される留分に分解した。この分別による収量、すなわち質量による留分の割合の合計は98.9質量%であった。
【0168】
【表3】

【0169】
調査されるプロピレンポリマー組成物の(TM/2)+7.5℃が84.4℃であったため、最初の留分をこの温度で溶離した。85℃での留分2が成分Cに相当し、そして90℃、94℃、98℃及び102℃での留分3〜6は成分Aに相当した。これにより、組成物の以下の構成、
主成分A:76.9質量%、
副成分B:20.4質量%、及び
副成分C:1.6質量%、
が得られた。従って、差Zは、1.1質量%であった。
【0170】
c)BOPPフィルムの製造
これにより得られた半結晶性プロピレンポリマー組成物を使用して、厚さ約20μmの二軸延伸フィルムを製造した。このフィルムを、30cmのフラットフィルム押出ダイを具備するブルークナーマシーネンバウ(Brueckner Maschinenbau)社のパイロットプラントで製造した。処理量は150kg/時であった。押出フィルムを20℃に冷却し、そして凝固フィルムは、延伸比4.5:1で116℃にて縦延伸し且つ延伸比8:1で157℃にて横延伸した。これにより製造した二軸延伸フィルムの性質を、以下の表7に見出すことができる。
【0171】
[比較実施例B]
a)固体触媒の調製
実施例2a)に記載されている処理を同一の条件下で繰り返した。しかしながら、25.1g(10μモル/gのSiO2)のrac−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジクロニウムジクロリド及び18.8g(10μモル/gのSiO2)のrac−ジメチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジクロニウムジクロリドを1Lのトルエンに懸濁させた懸濁液を使用した、すなわちメタロセンのモル比は50:50であった。
【0172】
これにより、0.15質量%のZr、3.3質量%のAl及び36質量%のSiを含む易流動性粉末を約5000g得た。
【0173】
b)重合
重合を、実施例1b)で使用された反応器カスケードで同一の条件下で行った。しかしながら、実施例Ba)で調製された固体触媒を使用した。
【0174】
これにより得られたポリマーを実施例1b)と同様に安定化させ、そしてこれは、融点146℃及び溶融流量5.7g/10分であり、3.1質量%のエチレンを含んでいた。GPCにより、Mw250000g/モル、Mn111000g/モル及びQ(=Mw/Mn)2.3が得られた。TREFにより、表4に示される留分に分解した。この分別により得られる収量、すなわち質量による留分の割合の合計は99.9質量%であった。
【0175】
【表4】

【0176】
調査されるプロピレン組成物の(TM/2)+7.5℃が80.5℃であったため、最初の留分をこの温度で溶離した。85℃、90℃及び94℃での留分2〜4は成分Cに相当し、98℃及び102℃での留分5及び6は成分Aに相当した。従って、組成物の構成は、以下の通り、
主成分A:28.2質量%、
副成分B:48.0質量%、及び
副成分C:22.8質量%、
であった。従って、差Zは、1.0質量%であった。
【0177】
c)BOPPフィルムの製造
これにより得られた半結晶性プロピレンポリマー組成物を使用して、厚さ約20μmの二軸延伸フィルムを製造した。このフィルムを、30cmのフラットフィルム押出ダイを具備するブルックナーマシーネンバウ社のパイロットプラントで製造した。処理量は150kg/時であった。押出フィルムを20℃に冷却し、そして凝固フィルムは、延伸比4.5:1で116℃にて縦延伸し且つ延伸比8:1で157℃にて横延伸した。これにより製造した二軸延伸フィルムの性質を、以下の表7に見出すことができる。
【0178】
[比較実施例C]
a)固体触媒の調製
比較実施例Ba)で調製された固体触媒を使用した。
【0179】
b)重合
重合を、実施例2b)で使用された反応器で同一の条件下で行った。しかしながら、実施例Ba)で調製された固体触媒を使用した。
【0180】
これにより得られたポリマーを実施例1b)と全く同じに安定化させ、そしてこれは、融点151.3℃及び溶融流量1.3g/10分であった。GPCにより、Mw480000g/モル、Mn110000g/モル及びQ(=Mw/Mn)4.4が得られた。TREFにより、表5に示される留分に分解した。この分別により得られる収量、すなわち質量による留分の割合の合計は98.9質量%であった。
【0181】
【表5】

【0182】
調査されるプロピレンポリマー組成物の(TM/2)+7.5℃が83.15℃であったため、最初の留分をこの温度で溶離した。85℃、90℃及び94℃での留分2〜4は成分Cに相当し、98℃、102℃、107℃及び112℃での留分5〜8は成分Aに相当した。従って、組成物の構成は、以下の通り、
主成分A:58.2質量%、
副成分B:10.4質量%、及び
副成分C:30.3質量%、
であった。従って、差Zは、1.1質量%であった。
【0183】
[比較実施例D]
a)固体触媒の調製
1000gのシリカゲル(SG332、孔径50μm、グレース(Grace)社;真空下(1ミリバール)で180℃にて8時間熱処理した)を、N2下で5Lのトルエンに懸濁させた。7.75L(6.38kg)の1.53モルのメチルアルミノキサン溶液(トルエン溶液、ヴィトコ(Witco)社)を18℃で120分に亘って添加した。これに次いで、RT(室温)で7時間撹拌及びろ過し、そしてろ過ケークを、それぞれ2.5Lのトルエンで2回洗浄した。次いで、真空下で乾燥した。これにより得られた1kgのMAO装填シリカを、空の容器に導入した。5.8g(10ミリモル)のrac−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンズインデニル)ジクロニウムジクロリドを1.32Lの1.53モルMAO溶液(トルエン溶液、ヴィトコ社)に溶解した溶液を撹拌しながら添加した。N2での均圧後、RTで30分間混合した。その後、溶剤の大部分を真空で、最初に20℃で蒸留除去した(溶剤がもはや除去されなくなるまで)。その後、温度を5℃ずつ55℃まで昇温させ、そして触媒が橙色の易流動性微粉残渣となるまで乾燥した。
【0184】
b)重合
30ミリモルのトリイソブチルアルミニウム(TIBA;15mlの2Mヘプタン溶液)、500mgの、アトメル(登録商標)163(ICI製)をヘプタンに溶解した1質量%濃度溶液、及び3500gの液体のプロピレンが、乾燥状態のN2フラッシュ処理10Lオートクレーブにおいて最初の充填物を形成した。このオートクレーブを撹拌しながら65℃に加熱した。この温度で、プロピレン圧より1バール高い圧力に昇圧させる態様で、エチレンを給送導入した。その後、反応器を室温に冷却し、そしてこの温度で521mgの担持触媒を、N2と共にバルブを介して添加し、このオートクレーブを65℃に加熱した。60分の反応時間後、残ったプロピレンを排出することによって重合を停止させ、そして生成物がバルブを介して底部で排出した。これにより、2300gのポリマー顆粒が得られ、これは、融点128℃、溶融流量350g/10分であり、エチレン含有率2.4質量%であった。GPCにより、Mw90000g/モル、Mn45000g/モル及びQ(=Mw/Mn)2.0が得られた。TREFにより、表6に示される留分に分解した。この分別により得られる収量、すなわち質量による留分の割合の合計は98.7質量%であった。
【0185】
【表6】

【0186】
調査されるプロピレンポリマー組成物の(TM/2)+7.5℃が71.5℃であったため、最初の留分をこの温度で溶離した。75℃、80℃、85℃、90℃及び94℃での留分2〜6は成分Cに相当し、98℃及び102℃での留分7及び8は成分Aに相当した。従って、組成物の構成は、以下の通り、
主成分A:17.9質量%、
副成分B:18.7質量%、及び
副成分C:62.1質量%、
であった。従って、差Zは、1.3質量%であった。
【0187】
[実施例3]
押出器を使用して、2種のプロピレンポリマーの混合物を製造した。この混合物に使用される成分は、メタロセン触媒作用によって得られる溶融流量MFR1g/10分、融点TM150℃、及びMw/Mn比1.8であるプロピレン単独重合体と、メタロセン触媒作用によって得られるランダム構造の、エチレン含有量5.0質量%、溶融流量MFR60g/10分、融点TM139℃、及びMw/Mn比1.9であるプロピレン−エチレン共重合体であった。混合物の各成分の比は、80質量%のプロピレン単独重合体及び20質量%のプロピレン−エチレン共重合体であった。ヴェルナー&プフレイデラー(Werner & Pfleiderer)ZSK57押出器を、処理量150kg/時で230℃にて使用した。
【0188】
これにより得られたプロピレンポリマー組成物のTREF分別により、
主成分A:72.3質量%、
副成分B:13.2質量%、及び
副成分C:13.0質量%、
の構成を得た。従って、差Zは、1.5質量%であった。
【0189】
【表7】

【0190】
実施例及び比較実施例で示したように、新規なプロピレンポリマー組成物は、加工時の温度寛容度の程度が高かった。更に、同一物(組成物)から製造される二軸延伸フィルムは、極めて良好な透明性を示した。これは、特に、酸素及び水蒸気に関する良好な剛性と良好なバリア作用を併用している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタロセン触媒を使用して、プロピレン、エチレン及び/又はC4〜C18−1−アルケンを重合することにより得られる半結晶性プロピレンポリマー組成物であって、
含まれるモノマー単位の少なくとも50モル%がプロピレンの重合により得られ、プロピレンポリマー組成物の少なくとも20質量%がメタロセン触媒を用いる重合により得られたものであり、
融点TMが65〜170℃の範囲であり、
この融点TMを、予め溶融した試験片を20℃/分の加熱速度で加熱することによりISO3146の示差走査熱量法(DSC)によって℃単位で測定し、これにより得られた曲線の極大値が融点TMであり、
半結晶性プロピレンポリマー組成物は、65〜85質量%の主成分A、10〜35質量%の副成分B及び0〜25質量%の副成分Cに分解可能であり、
各成分A、B及びCの割合を、TREF(温度上昇溶離分留)、すなわちポリマーを最初に煮沸キシレンに溶解し、その後この溶液を10℃/時の冷却速度で25℃に冷却し、その後温度が上昇と共に、(TM/2)+7.5℃でキシレンに溶解するプロピレンポリマー組成物留分をまず溶解して、残った固体を分離し、その後、温度の上昇と共に、より高温の70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、94℃、98℃、102℃、107℃、112℃、117℃、122℃及び125℃の全温度で、当該溶離温度とその前の溶離温度間の温度範囲内で溶解する留分を溶離することからなるTREFを行うことにより決定し、
これに続く評価中に考慮される留分は、質量換算による割合がプロピレンポリマー組成物の最初の質量に対して少なくとも1質量%である留分であり、そして 1,2,4−トリクロロベンゼン中における145℃でのゲル透過クロマトグラフィ(GPC)により、考慮すべき全留分のモル質量分布を測定し、
そして主成分Aを、(TM/2)+7.5℃を超える温度で溶離され且つ平均モル質量MN(数平均)120000g/モル以上である考慮すべき全留分によって形成し、
副成分Bを、(TM/2)+7.5℃で溶離する留分によって形成し、そして 副成分Cを、(TM/2)+7.5℃を超える温度で溶離され且つ平均モル質量MN(数平均)120000g/モル未満である考慮すべき全留分によって形成することを特徴とする半結晶性プロピレンポリマー組成物。
【請求項2】
含まれるモノマー単位の少なくとも85モル%がプロピレンの重合より得られる繰り返し単位である請求項1に記載の半結晶性プロピレンポリマー組成物。
【請求項3】
プロピレンの単独重合又はプロピレンとエチレンの共重合によって製造された請求項1又は2に記載の半結晶性プロピレンポリマー組成物。
【請求項4】
使用されるメタロセンが、少なくとも1種の以下の化合物:
ジメチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチルベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−プロピル−4[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、及び
ジメチルシランジイルビス(2−イソプロピル−4[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)(2−メチル−4[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、
から選択される化合物を含んでいる請求項1〜3のいずれかに記載の半結晶性プロピレンポリマー組成物。
【請求項5】
融点TMが135〜165℃である請求項1〜4のいずれかに記載の半結晶性プロピレンポリマー組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の半結晶性プロピレンポリマー組成物をフィルム、繊維又は成形体の製造に使用する方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の半結晶性プロピレンポリマー組成物を含むフィルム、繊維又は成形体。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれかに記載の半結晶性プロピレンポリマー組成物からなり且つ縦延伸比が少なくとも1:3及び横延伸比が少なくとも1:5である二軸延伸フィルム。

【公開番号】特開2012−255166(P2012−255166A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−181351(P2012−181351)
【出願日】平成24年8月20日(2012.8.20)
【分割の表示】特願2001−547181(P2001−547181)の分割
【原出願日】平成12年12月11日(2000.12.11)
【出願人】(501408754)バーゼル、ポリオレフィン、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング (1)
【Fターム(参考)】