説明

二輪自動車用の側面安定器

【課題】オートバイは、駐車または保管のためにスタンドによって横方向で安定させられ、そして信号機または停止の道路標識で一時停止するときにライダーの足によって安定させられる。ライダーの脚が短い場合、足を用いてオートバイを安定させることは困難である。
【解決手段】停止時にオートバイを直立位置で横方向に安定させるための空気推進装置10。上面と、底面と、向き合う第1と第2の側面12C、12Dとを有するほぼ長方形の板を備えている。前記空気推進装置10をオートバイに取付けるために、1対のブラケット14、14が板の第1と第2の側面12C、12D、に取付けられている。空気流発生ユニット22が板12Aの上面に一体的に取付けられ、そしてそれに取付けられた第1と第2のホース24,26を有する。膨張させるためおよびしぼませるためにスカート28が板の底面に一体的に取付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連技術の相互参照)
本願は、2006年4月19日に登録された特許第11/407,022号の分割出願であり、2005年4月18日に出願された仮特許出願第60/672,234号の、米国特許法第119(e)条下の権利を主張する。
【0002】
本発明は、二輪車のための安定機構、更に詳しくは停止時にオートバイを直立位置で横方向に安定させるための空気推進装置に関する。
【背景技術】
【0003】
オートバイは昔から、駐車または保管のためにスタンドによって横方向で安定させられ、そして信号機または停止の道路標識で一時停止するときにライダーの足によって安定させられる。ライダーの脚が短い場合、短時間停止しているときに足を用いてオートバイを安定させることは困難である。今日のオートバイは300ポンドを超える傾向があり、重いオートバイが片側にかなり傾いているときに、脚の短いライダーはオートバイを片足で接地して安定させることができない。脚の短いライダーはオートバイの両側でその脚を宙ぶらりんにし、そして2個のタイヤ上で完全にバランスをとることによってオートバイを安定した直立位置に保つことを望む。
【0004】
Yapleの特許文献1は、液圧操作、空気圧操作、電気操作またはエンジン操作のオートバイスタンドを開示している。このオートバイスタンドは接地し、オートバイの後端部を地面から持ち上げる。
【0005】
Hallの特許文献2は、二輪車のための横方向スタビライザを開示している。このスタビライザは後輪の両側に、一対のアウトリガー付き車輪を備えている。このアウトリガー付き車輪は、安定させる必要があるときに、接地させるために垂直に動くことができる。
【0006】
Yapleの特許文献3は、自動的に操作されるオートバイセンタースタンドを開示している。このセンタースタンドは接地位置と上昇位置との間で伸縮する。
【0007】
Coesterの特許文献4は、貨物車または乗用車のための空気圧推進システムを開示している。
【0008】
これらのユニットは採用された特別な目的のためあるいは一般的な使用のために適しているが、後述するような本発明の目的のためには適していない。
【特許文献1】米国特許第5,118,126号
【特許文献2】米国特許第5,518,259号
【特許文献3】米国特許第5,358,265号
【特許文献4】米国特許第4,658,732号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ライダーによる補助なしでオートバイを安定させるための手段を提供することである。そこで、本発明は、オートバイが停止するときに、ライダーがあらゆる機構を作動させることなく、オートバイを自動的に安定させる空気推進装置を提供する。
【0010】
本発明の他の目的は、脚の短いオートバイライダーに、大きな安定感を提供することである。そこで、本発明の膨張スカートは直立位置のオートバイを安定させる下向きと横向きの力を発生し、ライダーは倒れるのを恐れて足を接地するために片側へ大きく傾ける必要がない。
【0011】
本発明の他の目的は、オートバイのライダーのために、体力的に我慢しなければならない乗車経験を少なくすることである。そこで、空気推進装置は、すべての信号機および停止道路標識でライダーが重いオートバイを停止させようとする間にエネルギーを使わなくて済むようにする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、停止時にオートバイを直立位置で横方向に安定させるための空気推進装置に関する。この空気推進装置は、上面と、底面と、向き合う第1と第2の側面とを有するほぼ長方形の板を備えている。前記空気推進装置をオートバイに取付けるために、1対のブラケットが板の第1と第2の側面に取付けられている。空気推進装置内で空気圧を発生および制御するために、空気流発生ユニットが板の上面に一体的に取付けられ、そしてそれに取付けられた第1と第2のホースを有する。膨張させるためおよびしぼませるためにスカートが板の底面に一体的に取付けられている。
【0013】
上記および関連する目的を達成するために、図に示した形態で本発明を実施することができる。図は実例を示しているだけであることに留意すべきである。変更は特許請求の範囲によって限定される本発明の一部と見なされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、停止時にオートバイを直立位置で横方向に安定させるための空気推進装置10を示している。この空気推進装置10はほぼ長方形の板12を備え、この板は上面12Aと、底面12Bと、第1側面12Cと、第2側面12Dを備えている。この第1と第2の側面12C,12Dは互いに向き合っている。空気推進装置10をオートバイに取付けるために、1対のブラケット14が板12の第1側面12Cと第2側面12Dに取付けられている。オートバイは好ましくは、ブラケット14を取付けるための下面を有している。
【0015】
空気推進装置10内で空気圧を発生および制御するために、空気流発生ユニット22が板12の上面12Aに一体的に取付けられている。この空気流発生ユニット22は空気源との多重接続を可能にする。空気推進装置10のための空気源は好ましくは、オートバイのエンジンおよび排気系からなっている。オートバイ11の減速時に空気推進装置10に空気を供給するために、第1ホース24が空気流発生ユニット22をオートバイのエンジンに接続している。同様に、第2ホース26は空気流発生ユニット22をオートバイの排気系に接続している。この第2ホース26はオートバイ11の加速時に空気推進装置10から空気を取り去る。
【0016】
空気流発生ユニット22は好ましくは複数の制御弁と空気圧シリンダを有し、この空気圧シリンダは弁の絞り板を回転させるコマンドレバーに接続されている。シリンダのための空気圧はエア・コンプレッサによって供給され、電空式弁によって制御される。論理回路の電子モジュールは、オートバイ11の位置に従って各制御弁の適切な位置を選択する。空気流発生ユニット22は制御マイクロプロセッサの出力モジュールによって制御される論理回路によって自動的に作動する。この制御マイクロプロセッサはオートバイが速度を下げるときに弁を作動させ、空気圧推進を生じ、オートバイ11を安定させるためにスカート28を膨らませる。オートバイ11を加速すると、制御マイクロプロセッサが空気遮断弁を作動させ、スカート28が空気を抜かれてしぼむ。従って、弁は推進空気を制御する。
【0017】
スカート28(好ましくはゴム)は、板12の底面12Bに一体的に取付けられている。スカート28はエンジンから空気を導く第1ホース24によって膨らみ、そして排気系に空気を導く第2ホース26によってしぼむ。スカート28は表面32に小さな通気穴30を有する。スカート28を一層迅速にしぼませるために、通気穴30はスカート28から空気を逃がし、スカート28の表面32のすぐ近くで空気を加圧する。
【0018】
図2は、空気推進装置10を取付けたオートバイ11の側面図である。この場合、空気推進装置は非膨張状態34にある。非膨張状態34は、オートバイ11が動いているときに、最低地上高およびタイヤクリアランスを確保する。
【0019】
図3は、空気推進装置10を取付けた、減速時のオートバイ11の側面図である。空気推進装置10は、図1に示した空気流発生ユニット22とエンジンからの空気を用いて、図2に示した非膨張状態34から図4に示す膨張状態36に移行している。代替的に、空気ブロワとモータによって空気を供給してもよい。この場合、空気はオートバイ11の空気圧推進のための空気を提供するために弁によって制御される。この代替的な実施の形態では、空気流発生ユニット22または代替的な遠心ブロワまたは他の空気流発生ユニットは、軸と継手を介して電気モータによって動かされる。継手を介して電気モータに第2モータを接続することができ、空気流発生ユニット22はどちらのモータでも作動させることが可能である。
【0020】
非膨張状態34はオートバイ11が動いているときに、ライダーによって利用される。空気推進装置10が膨張するとき、スカート28は空気ホースによって空気を入れられ、膨張し始める。
【0021】
図4は、停止位置にあるオートバイ11の側面図であり、オートバイに取付けられた空気推進装置10は膨張状態36にある。膨張状態36は直立位置でオートバイ11を横方向に安定させる。従って、スタンドが不要となり、ライダーが足を地面につく必要がなくなる。地面とスカート28の膨張表面32との間には、空気の薄い層38が存在する。当該空気38は下向きの力と横向きの力を発生し、直立位置のオートバイ11を安定させる。
【0022】
図5は停止位置にあるオートバイ11上のライダーを後側から見た図であり、オートバイに取付けられた空気推進装置10は膨張状態36にある。膨張状態36は直立位置のオートバイ11を横方向において安定させる。それによって、ライダーは図示のように両足をステップに載せてシートに着座した状態のままでいられる。
【0023】
図6(A),6(B)および6(C)は停止位置にあるオートバイを後側から見た図である。図6(A)に示すようにオートバイ11が右側に傾いているとき、図6(B)に示すように傾いていないとき、そして図6(C)に示すように左側に傾いているときに、安定性の提供を補う。図6(A)では、空気推進装置10は膨張状態36にあり、直立位置のオートバイ11を安定させるために、オートバイ11の右側に排出される空気の力が強くなっている。図6(C)では、空気推進装置10が膨張状態36にあり、直立位置のオートバイ11を安定させるために、オートバイ11の左側に排出される空気の力が強くなっている。図6(B)では、空気推進装置10が膨張状態36にあり、直立位置のオートバイ11を安定させるために、左と右の両側に排出される空気の力が等しくなっている。
【0024】
従って、停止時にオートバイを直立位置で横方向に安定させるための空気推進装置が提供される。
【0025】
本発明の実施の形態を図示し、上記において説明した。発明思想を守りながら、多数の変更が可能であることが理解されるであろう。このような変更は本発明の一部であると見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図において、類似の要素は類似の参照番号によって示されている。図を簡単に説明すると、次の通りである。
【図1】図1は、停止時にオートバイを直立位置で横方向に安定させるための本発明の空気推進装置の斜視図である。
【図2】図2は、本発明の空気推進装置を取付けたオートバイの側面図であり、空気推進装置は非膨張状態にある。
【図3】図3は、本発明の空気推進装置を取付けたオートバイの側面図であり、空気推進装置は非膨張状態から膨張状態に移行している。
【図4】図4は、本発明の空気推進装置を取付けたオートバイの側面図であり、空気推進装置は膨張状態にある。
【図5】図5は、本発明の空気推進装置を取付けたオートバイのライダーを後側から見た図であり、空気推進装置は膨張状態にある。
【図6】図6(A),(B)および(C)は、本発明の空気推進装置を取付けたオートバイを後側から見た図であり、空気推進装置は使用されて膨張状態にあり、空気推進装置はそれぞれ、オートバイが右側に傾いているとき、傾いていないときおよび左側に傾いているときに安定性の提供を補う。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
停止時にオートバイを直立位置で横方向に安定させるための空気推進装置であって、
上面と、底面と、向き合う第1と第2の側面とを有するほぼ長方形の板と、
前記空気推進装置をオートバイに取付けるための、前記板の第1と第2の側面に取付けられた1対のブラケットと、
前記板の上面に一体的に取付けられ、第1と第2のホースを取付けた、前記空気推進装置内で空気圧を発生および制御するための空気流発生ユニットと、
前記板の底面に一体的に取付けられた、膨張させるため、および、しぼませるためのスカートとを備えた前記空気推進装置。
【請求項2】
停止時にオートバイを直立位置で横方向に安定させるための空気推進装置であって、
上面と、底面と、向き合う第1と第2の側面とを有するほぼ長方形の板と、
前記空気推進装置をオートバイに取付けるための、前記板の第1と第2の側面に取付けられた1対のブラケットと、
前記板の上面に一体的に取付けられ、第1と第2のホースを取付けた、前記空気推進装置内で空気圧を発生および制御するための空気流発生ユニットとを備えた前記空気推進装置。
【請求項3】
前記板の底面に一体的に取付けられた、膨張させるため、および、しぼませるためのスカートを更に備えていることを特徴とする請求項2に記載の前記空気推進装置。
【請求項4】
前記第1と第2のホースと、表面と通気穴を有する前記スカートとを備えた前記空気推進装置を使用して、エンジンと排気部を有するオートバイを安定させる方法であって、
オートバイの減速時にエンジンから前記第1ホースを経て流れる推進空気を制御することによって前記スカートを膨らませる工程と、
オートバイの加速時に前記排気部と前記スカートの表面の通気穴を経て排気することによって、前記スカートをしぼませる工程とを備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−269420(P2009−269420A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−119477(P2008−119477)
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願人】(508133352)