説明

二輪車用カバー

【課題】 必要最低限の覆う箇所を2箇所に分担して覆うように構成することによって、各カバーの大きさを小さく抑えることができ、カバーにて覆う作業及びカバーを折り畳む作業を迅速に行うことができ、しかも、簡素な構成で実現することができる二輪車用カバーを提供する点にある。
【解決手段】 二輪車の前籠とハンドルとの間に位置させて取り付けられた袋部材8内に、前籠を上方から覆い被せる第1のカバー部材3と、ハンドルから座席部に渡って上方から覆い被せる第2のカバー部材5とをそれぞれ別々に収納可能な2つの収納部6,7を備えさせ、2つのカバー部材3,5のそれぞれの一端を各カバー部材の外面が収納部6,7内面に接触する状態で収納部6,7に連結した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車やオートバイなどに備えられる前籠、ハンドル、座席を被覆するための二輪車用カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
上記二輪車用カバー、特に自転車用カバーとしては、従来から自転車全体を覆う大きなサイズのカバーが知られている。このカバーは、大きなサイズであるため、カバーにて自転車を覆うための作業及び覆ったカバーを外してカバーを折り畳む作業が手間のかかる煩わしい作業になるだけでなく、折り畳んだカバーを前籠のスペースの一部を利用して収納しておかなければならないものであり、収納場所に困るものであった。
そこで、収納場所に困らないように前籠の開口部に着脱自在に取り付けた蓋体内に、前輪、前籠、ハンドル、座席を覆うことができるカバー体を折り畳んで収納することができるように構成した自転車用カバーが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−1191号公報(図1、図2、図5参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のカバーでは、蓋体にカバーを入れるための工夫をしなければならなだけでなく、蓋体が比較的強度を有するように構成しなければならないことから、コスト高になるだけでなく、前籠の開口部の大きさによっては蓋体を取り付けることができない場合があり、使用面において不利になっていた。
又、前輪、前籠、ハンドル、座席を全て覆うことができる比較的大きなサイズのカバーであるため、カバーにて自転車を覆うための作業及び覆ったカバーを外してカバーを折り畳む作業にある程度手間がかかるものであり、改善の余地があった。
【0004】
本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、必要最低限の覆う箇所を2箇所に分担して覆うように構成することによって、各カバーの大きさを小さく抑えることができ、カバーにて覆う作業及びカバーを折り畳む作業を迅速に行うことができ、しかも、簡素な構成で実現することができる二輪車用カバーを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前述の課題解決のために、二輪車の前籠とハンドルとの間に位置させて取り付けられた袋部材内に、前記前籠を上方から覆い被せる第1のカバー部材と、前記ハンドルから座席部に渡って上方から覆い被せる第2のカバー部材とをそれぞれ別々に収納可能な2つの収納部を備えさせ、前記2つのカバー部材のそれぞれの一端を各カバー部材の外面が該収納部内面に接触する状態で該収納部に連結して、二輪車用カバーを構成した。
従って、二輪車を雨や埃などからガードしたい(保管状態にしたい)場合には、第1のカバー部材にて前籠を覆い被せると共に、第2のカバー部材にてハンドルから座席部に渡る範囲を覆い被せるのである。又、2つのカバー部材のそれぞれの一端を各カバー部材の外面が収納部内面に接触する状態で収納部に連結しているから、各カバー部材を拡げるだけでカバー部材の外面を上方に向けることができ、直ちに被せる作業を開始することができる。
【0006】
前記袋部材をシート状部材から構成し、前記2つの収納部が、上端にカバー部材出し入れ用の開口を備え、かつ、前壁部と後壁部とを前後方向に重ね合わせてなり、前側に位置する収納部の後壁部と後側に位置する前壁部とを共通の部材から構成してもよい。
【0007】
前記後側に位置する収納部の前壁部及び後壁部の上端部を、前記前側に位置する収納部の前壁部の上端部よりも上方に位置させてもよい。
【0008】
前記第1のカバー部材の一端を、前記前側に位置する収納部の後壁部に連結し、前記第2のカバー部材の一端を、前記後側に位置する収納部の前壁部に連結してもよい。
【0009】
前記2つの収納部の上端開口を閉じるための蓋カバーをそれぞれ設け、それら2つの蓋カバーを同一側に開閉操作可能に取り付けてもよい。
【0010】
前記第2のカバー部材を前記ハンドルから座席部に渡って上方から覆い被せた状態で、該座席部の前側下方で該カバー部材の左右の部分を内面側で連結するための連結手段を備えてもよい。
【0011】
前記後側に位置する収納部の後壁部に、ハンドルに巻き付けて吊り下げ固定するための吊り下げ用部材を備えさせてもよい。
【発明の効果】
【0012】
前籠を上方から覆い被せる第1のカバー部材と、ハンドルから座席部に渡って上方から覆い被せる第2のカバー部材とをそれぞれ別々に収納可能な2つの収納部を備えさせて、必要最低限の覆う箇所を2箇所に分担させることによって、1つのカバーにてそれらを覆うものに比べて、カバーの大きさを小さくすることができ、その分カバーにて覆う作業及び覆ったカバーを外してカバーを折り畳む作業を迅速に行うことができ、作業性のよい二輪車用カバーを提供することができる。又、2つのカバーを収納できる袋部材を設けるだけの簡素な構成にすることができるから、コスト面においても有利になる。又、2つのカバー部材のそれぞれの一端を各カバー部材の外面が収納部内面に接触する状態で収納部に連結しているから、各カバー部材を拡げるだけでカバー部材の外面を上方に向けることができ、直ちに被せる作業を開始することができ、さらにカバーにて覆う作業を行う上において有利になる。又、二輪車の走行中においても、第1のカバー部材にて前籠を覆い被せておけば、ひったくりなどの盗難防止対策になる効果がある。
【0013】
袋部材をシート状部材から構成し、2つの収納部が、上端にカバー部材出し入れ用の開口を備え、かつ、前壁部と後壁部とを前後方向に重ね合わせてなり、前側に位置する収納部の後壁部と後側に位置する前壁部とを共通の部材から構成することによって、部品点数の削減化によるコストの低減化を図ることができる。
【0014】
後側に位置する収納部の前壁部及び後壁部の上端部を、前側に位置する収納部の前壁部の上端部よりも上方に位置させることによって、同一高さにした場合に比べて、それぞれのカバー部材を取り出したり、収納する作業がし易くなる利点がある。
【0015】
第1のカバー部材の一端を、前側に位置する収納部の後壁部に連結し、第2のカバー部材の一端を、後側に位置する収納部の前壁部に連結することによって、それぞれのカバー部材にて覆った状態にしたときに、それぞれの収納部の上端開口部をカバー部材にて閉塞することができ、収容部内に雨が入ったり、塵が入ることを阻止することができる。
【0016】
2つの収納部の上端開口を閉じるための蓋カバーをそれぞれ設け、それら2つの蓋カバーを同一側に開閉操作可能に取り付けることによって、2つの蓋カバーを連続して直ちに開閉操作することができる。
【0017】
前記第2のカバー部材を前記ハンドルから座席部に渡って上方から覆い被せた状態で、該座席部の前側下方で該カバー部材の左右の部分を内面側で連結するための連結手段を備えさせることによって、座席部の下方にて第2のカバー部材を絞り込んで座席部の上方側へ強風などによりカバー部材が移動することを確実に阻止することができる。
【0018】
前記後側に位置する収納部の後壁部に、ハンドルに巻き付けて吊り下げ固定するための吊り下げ用部材を備えさせることによって、本来的に備えているハンドルに迅速に吊り下げて袋部材を装着させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1及び図2に、二輪車の一例である自転車のハンドル1に吊り下げて、前籠2とハンドル1との間に位置させた自転車用カバー(以下、単にカバーと言う)Aを示している。ここでは、自転車のカバーについて説明しているが、オートバイなどの自動二輪車であってもよい。
【0020】
前記カバーAは、前籠2を上方から覆い被せるシート状の第1のカバー部材3と、前記ハンドル1から座席4に渡って上方から覆い被せるシート状の第2のカバー部材5とをそれぞれ別々に収納可能な2つの収納部6,7を備えた袋部材8からなり、前記2つのカバー部材3,5のそれぞれの一端を各カバー部材3又は5の外面3A又は5Aが収納部6又は7内面10A又は10Bに接触する状態で収納部6,7に連結している。前記2つのカバー部材3,5、袋部材8を、撥水・防水加工が施されて防水性を備えさせたものから構成することが好ましい。
【0021】
前記袋部材8は可撓性を有するシート状部材から構成されているが、合成樹脂や防水処理された板紙などであってもよい。又、前記2つの収納部6,7が、上端にカバー部材出し入れ用の開口6A,7Aを備え、かつ、前壁部9,10と後壁部10,11とを前後方向に重ね合わせてなり、前側に位置する収納部6の後壁部と後側に位置する前壁部とが共通の部材10から構成して、部品点数の削減化を図っているが、4枚の部材から袋部材8を構成してもよい。
【0022】
前記後側に位置する収納部7の前壁部10及び後壁部11の上端部を、前記前側に位置する収納部6の前壁部9の上端部よりも上方に位置させることによって、2つのカバー部材3,5を取り出しやすくなっているが、同一の高さにしてもよいし、後側の収納部7の前壁部10及び後壁部11の上端部を前側の収納部6の前壁部9の上端部よりも低く構成して実施することもできる。
【0023】
前記第1のカバー部材3の一端を、前記前側に位置する収納部6の後壁部10に連結し、前記第2のカバー部材5の一端を、前記後側に位置する収納部7の前壁部10に連結することによって、図2に示すように、カバー部材3,5を取り出して覆う状態にしたときに、開口6A,7Aをカバー部材3,5にて覆うことができる利点があるが、他の箇所に連結して実施してもよい。
【0024】
図2に示すように、前記2つの収納部6,7の上端の開口6A,7Aを閉じるための蓋カバー12,13をそれぞれ設け、それら2つの蓋カバー12,13を同一側に開閉操作可能に取り付けて、蓋カバー12,13を連続して迅速に開閉操作することができるが、一方を反対側から開閉操作できるように取り付けてもよい。前記蓋カバー12,13の内面に収納部6,7の前壁部9,10の上側前面に取り付けた面ファスナー14,15に係脱自在な面ファスナー16,17を取り付けているが、これらを省略して実施することもできる。
【0025】
図1及び図2に示すように、前記後側に位置する収納部7の後壁部11の上端の後面(背面)に、ハンドル1に巻き付けて吊り下げ固定するための左右一対の吊り下げ用部材18,18を備えさせているが、他の構成にてハンドル1に固定してもよいし、又ハンドルポストに固定して実施することもできる。
前記各吊り下げ用部材18は、一枚の帯状部材の一端を収納部7の後壁部11の上端の後面に固定し、該吊り下げ用部材18の両端部それぞれに係脱自在なホック19A,19Bを取り付けて、吊り下げ用部材18をハンドル1に巻き付けてから、一端部に備えさせたホック19Aと他端部に備えさせたホック19Bとを係止させることによって、両者を連結固定することができるようになっているが、面ファスナーやボタンなどであってもよい。
【0026】
前記第2のカバー部材5を前記ハンドル1から座席4に渡って上方から覆い被せた状態で、図6に示すように、該座席4の前側下方で該カバー部材5の左右の部分を内面側で連結するための連結手段Bを備えてもよい。この連結手段Bは、左右一対の係脱自在なホック20,20から構成しているが、面ファスナーやボタンなどであってもよい。図6に示す21は、カバー部材5の下端周縁に内装したゴムであり、カバー部材5の下端周縁をゴム21にて絞ることによって、座席4からカバー部材5が外れ難いようにしているが、無くてもよい。図示していないが、前記カバー部材3の下端周縁にも、ゴムを内装してもよい。
【0027】
図3では、第1のカバー部材3にて前籠2を覆い、第2のカバー部材5にてハンドル1から座席4までを覆って、自転車を保管状態(収納状態)にしている。又、図4では、第1のカバー部材3にて前籠2のみを覆った状態を示し、この状態で自転車を走らせることによって、前籠2内に入れたバックなどをひったくられることがないようにしている。この場合、第1のカバー部材3の上端部をファスナーなどの開閉手段を介して開閉自在に備えさせておけば、ファスナーを開放するだけで、第1のカバー部材3の上端部を開放状態にして前籠2内に入れたバックなどを迅速に取り出せる利点がある。又、図5では、前籠2を覆わないで、ハンドル1から座席4までを第2のカバー部材5にて覆うだけで自転車を保管状態(収納状態)にすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】前籠とハンドルとの間に位置させたカバーの正面図である。
【図2】カバーの縦断側面図である。
【図3】2つのカバー部材にて自転車の特定箇所を覆った状態を示す斜視図である。
【図4】第1のカバー部材にて前籠を覆った状態を示す斜視図である。
【図5】第2のカバー部材にてハンドルから座席までを覆った状態を示す斜視図である。
【図6】座席を第2のカバー部材にて覆った状態を示す要部の側面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 ハンドル
2 前籠
3,5 カバー部材
3A 外面
4 座席
6,7 収納部
6A,7A 開口
8 袋部材
9 前壁部
10 前壁部(後壁部)
10A 内面
10 部材
11 後壁部
12,13 蓋カバー
14,15 面ファスナー
16,17 面ファスナー
18 吊り下げ用部材(帯状部材)
19A,19B ホック
20,20 ホック
21 ゴム
A カバー
B 連結手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
二輪車の前籠とハンドルとの間に位置させて取り付けられた袋部材内に、前記前籠を上方から覆い被せる第1のカバー部材と、前記ハンドルから座席部に渡って上方から覆い被せる第2のカバー部材とをそれぞれ別々に収納可能な2つの収納部を備えさせ、前記2つのカバー部材のそれぞれの一端を各カバー部材の外面が該収納部内面に接触する状態で該収納部に連結したことを特徴とする二輪車用カバー。
【請求項2】
前記袋部材をシート状部材から構成し、前記2つの収納部が、上端にカバー部材出し入れ用の開口を備え、かつ、前壁部と後壁部とを前後方向に重ね合わせてなり、前側に位置する収納部の後壁部と後側に位置する前壁部とを共通の部材から構成してなる請求項1記載の二輪車用カバー。
【請求項3】
前記後側に位置する収納部の前壁部及び後壁部の上端部を、前記前側に位置する収納部の前壁部の上端部よりも上方に位置させてなる請求項2に記載の二輪車用カバー。
【請求項4】
前記第1のカバー部材の一端を、前記前側に位置する収納部の後壁部に連結し、前記第2のカバー部材の一端を、前記後側に位置する収納部の前壁部に連結してなる請求項2又は3に記載の二輪車用カバー。
【請求項5】
前記2つの収納部の上端開口を閉じるための蓋カバーをそれぞれ設け、それら2つの蓋カバーを同一側に開閉操作可能に取り付けてなる請求項1〜4のいずれかに記載の二輪車用カバー。
【請求項6】
前記第2のカバー部材を前記ハンドルから座席部に渡って上方から覆い被せた状態で、該座席部の前側下方で該カバー部材の左右の部分を内面側で連結するための連結手段を備えてなる請求項1〜5のいずれかに記載の二輪車用カバー。
【請求項7】
前記後側に位置する収納部の後壁部に、ハンドルに巻き付けて吊り下げ固定するための吊り下げ用部材を備えさせてなる請求項2〜6のいずれかに記載の二輪車用カバー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−290217(P2006−290217A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−115461(P2005−115461)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(504105689)有限会社川住製作所 (3)