説明

二輪車用駐輪装置及び二輪車駐輪システム

【課題】ドライバーが何ら動作を行わずに二輪車を拘束することが可能であり、且つ、容易に設置・移動等を行うことができる二輪車用駐輪装置を提供する。
【解決手段】駐輪装置1は、地上に固定されるベース部材3と、ベース部材3上に形成され、二輪車Bを駐輪する為の駐輪スペースに二輪車Bが載置された際に当該二輪車Bが前方へ移動する動作を規制する前方柵5と、ベース部材3上に形成され、駐輪スペースに二輪車Bが載置された際に当該二輪車Bの側方に沿って配置される様に形成された第1側方柵7,第2側方柵9と、ベース部材3上に形成され、駐輪スペースに二輪車Bが入ったことを検出する検出センサ15と、ベース部材3上におけるベース部材3上に載置される二輪車Bの後輪の後方に形成され、検出センサ15の検出結果に基づいて二輪車Bが後方へ移動する動作を規制するフラッパー17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪車用の駐輪装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二輪車用の駐輪装置としては、特許文献1及び非特許文献1に開示された駐輪装置がある。
【0003】
【特許文献1】特開2004−316098公報(図1、2、及び段落25)
【非特許文献1】〔平成18年6月8日検索〕インターネット〈URL:http://www.8090.co.jp/information/news/news_20060508.html〉
【0004】
具体的には、特許文献1には、二輪車を駐輪した際に例えば利用時間に応じた課金をすべく、使用料金を支払うまで二輪車を拘束するロック装置を備える駐輪装置が記載されている。ロック装置は、二輪車が駐車装置に載置された際に、二輪車のフロント部分の正面に位置する様に配置されている。この様なロック装置には、二輪車を拘束するチェーンの一端が固定されている。そして、ドライバーが二輪車を駐輪するとき、ドライバーは所定の位置に二輪車を載置した後、チェーンを二輪車の例えばハンドルの下部に巻き付け、チェーンの他端をロック装置に形成された引掛け部に引掛ける。そして、引掛け部にチェーンの他端が引掛けられると、ロック装置は、引掛け部に引掛けられたチェーンの他端が外れなくなる様に、チェーンの他端を固定する。そして、ドライバーが例えば外部に設けられた精算装置を用いて精算を行うと、該精算装置から所定の信号がロック装置に入力される。そして、ロック装置は、該入力された信号を認識すると、引掛け部に引掛けられたチェーンの他端の固定を解除する。そして、チェーンの他端の固定が解除されると、二輪車は駐輪装置から出ることが可能となる。この様な駐輪装置では、ドライバーが精算処理を終えるまでの間は、チェーンによって二輪車を拘束することで、駐輪料金の回収を図ることとしている。
【0005】
また、非特許文献1には、二輪車の幅に相当する長さの前方柵と、二輪車の長さに相当する長さの2個の側方柵と、該側方柵の間に渡されたチェーン又はバーを備える駐輪装置が示されている。そして、この様な駐輪装置では、前方柵の各端部に、側方柵の端部を近接させ、且つ、前方柵と側方柵とが互いに直角に位置する様に配置して、二輪車が一台入ることが可能なスペースを形成する。このとき、前方柵と側方柵は、コンクリート等を打設して形成した地面に埋め込まれて固定されている。そして、ドライバーが駐輪装置に二輪車を駐輪するときは、2個の側方柵の間の開口部からチェーンを跨いで二輪車を誘導して、二輪車を該スペース内部に載置する。そして、駐輪装置が、二輪車が載置されたことを検出すると、駐輪装置は二輪車が開口部から出られない様にチェーンを上昇させる。そして、ドライバーが精算処理を終えた後に、二輪車が駐輪装置から出られる様にチェーンを下降させる。この様な駐輪装置では、ドライバーが精算処理を終えるまでの間は、前方柵及び側方柵、並びにチェーンによって二輪車の動作を規制することによって、駐輪料金の回収を図ることとしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載された駐輪装置によれば、チェーンが二輪車に巻き付けられている場合にのみ二輪車を拘束することが可能な構成と成っている為、ドライバーがチェーンを巻き付けることを忘れた場合、又はドライバーが意図的にチェーンを巻き付けなかった場合等においては、二輪車を拘束することが出来ない為、駐輪料金の回収を図れない、という問題があった。
【0007】
また、非特許文献1に示された駐輪装置によれば、前方柵と側方柵とを地面に埋め込む必要がある為、地面を掘り起こして、コンクリート等を打設した後に、前方柵及び側方柵を埋め込むといった工法を経なければならない。すなわち、駐輪装置を設置する際に非常に煩雑な作業を要するという問題があった。この問題は、特に、一時的に駐輪装置を配置したい場合や、駐輪装置の配置を変更したい場合等に顕著になる。
【0008】
そこで本発明はこの様な実情に鑑みてなされたものであり、ドライバーが何ら動作を行わずに二輪車を拘束することが可能であり、且つ、容易に設置・移動等を行うことができる二輪車用駐輪装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する為に、本発明に係る二輪車用駐輪装置は、地上に固定されるベース部材と、前記ベース部材上に形成され、二輪車を駐輪する為の駐輪スペースに前記二輪車が載置された際に当該二輪車の前方への移動を規制する前方移動規制柵と、前記ベース部材上に形成され、前記二輪車が前記スペースに載置された際に当該二輪車の側方に沿って配置される様に形成された側方柵と、前記ベース部材上に形成され、前記駐輪スペース内部に前記二輪車が入ったことを検出する検出部材と、前記ベース部材上に且つ前記駐輪スペースに駐輪された前記二輪車の後輪の後方に形成され、前記検出部材の検出結果に基づいて前記二輪車が後方へ移動する動作を規制するストッパ部材とを備えることを特徴としている。
【0010】
この構成によれば、検出部材によって二輪車がベース部材上に存在するか否かを検出する。そして、ストッパ部材は、該検出結果に基づいて二輪車の前輪又は後輪の後方への移動を規制する。このとき二輪車は、前方移動規制柵によって前方への移動が規制され、側方柵によって側方への移動が規制され、ストッパ部材によって前輪又は後輪の後方への移動が規制される。この様に二輪車用駐輪装置は、二輪車を実質的にベース部材上に拘束することが出来る。
【0011】
さらにこの構成によれば、駐輪装置を構成する前方規制柵、側方柵、二輪車検出部材、及びストッパ部材は、すべてベース部材上に形成されてユニット化されている。そして、二輪車用駐輪装置をユニット化することによって、二輪車用駐輪装置の設置や移動を容易に行うことが出来る。
【発明の効果】
【0012】
この様に本発明に係る二輪車用駐輪装置は、ドライバーが何ら動作を行わずに二輪車を拘束することが可能となり、且つ、容易に設置・移動等を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
実施の形態に係る駐輪装置は、ドライバーが一時的に二輪車を駐輪する為に使用する例えば有料の駐車場又は駐輪場等に設置される駐輪装置である。そして、ドライバーが二輪車を駐輪するときは、駐輪装置に二輪車を載置する。そして、駐輪装置に二輪車が載置されると、駐輪装置はこれを検出し、該二輪車を拘束すると共にその旨を外部に設置された精算装置に通知する。そして、ドライバーが二輪車を駐輪装置から出すときは、駐輪装置は、精算装置によって駐輪場の使用料を精算したことを検知し、二輪車の拘束を解く。以下、この様な駐輪装置の具体的な構成について詳細な説明をする。
【0015】
図1に示す様に、駐輪装置1は、地上に固定されるベース部材3と、二輪車が前方へ移動する動作を規制する前方柵5と、二輪車の側方に沿って形成された第1側方柵7と、二輪車を介して第1側方柵7と対向して形成された第2側方柵9とを備える。この様な駐輪装置1では、前方柵5、第1側方柵7、及び第2側方柵9によって二輪車1台分の駐輪スペースを形成する。そしてこの駐輪スペースには、図2に示す様に、二輪車Bが、矢印A方向に搬入され、二輪車Bの正面が前方柵5と対向する様に、ベース部材3上に載置される。
【0016】
ベース部材3は、地上に固定され、駐輪装置1を構成する各部が固定される。この様に駐輪装置1では、ベース部材3に各部を固定することによって、駐輪装置1をユニット化している。ベース部材3は、例えば所定の強度を有する材料を所定の厚さを有する略長方形状に形成して成る。ベース部材3の大きさとしては、ベース部材3の主面に、一般的なサイズのオートバイ等の二輪車Bが載置することが可能な大きさとされる。具体的には、ベース部材3の主面の長辺の長さは、約2500mm程度であり、短辺の長さは、約800mm程度であることが好ましい。また、ベース部材3の短辺のうち、二輪車Bが搬入される側の短辺は、二輪車Bをベース部材3上に載せ易くする為に、傾斜して形成されていることが好ましい。尚、以下では説明の便宜上、ベース部材3において斜面が形成されている短辺のある方向を「ベース部材3の後方」とし、他方の短辺の方向を「ベース部材3の前方」として詳細な説明をする。
【0017】
前方柵5は、ベース部材3上に形成され、ベース部材3上に二輪車Bが載置された際に当該二輪車Bが前方へ移動する動作を規制する。具体的には、前方柵5は、ベース部材3の前方の端部近傍に、該短辺と平行した方向に渡って形成された2本の棒である。尚、前方柵5の構成としては、この様な構成に限らず、二輪車Bが前方へ移動しようとする動作を規制することができる構成であればどの様な構成であっても良い。
【0018】
第1側方柵7は、ベース部材3上に、ベース部材3の主面の一方の長辺に近接してベース部材3の前方の短辺と該長辺とで形成される角部から、他方の短辺と該長辺とで形成される角部に渡って形成された柵である。具体的には、第1側方柵7は、ベース部材3の主面の長辺と平行に形成されている。この様な第1側方柵7は、例えばパイプを所定の形状に折り曲げてベース部材3の主面から立設している。そしてパイプの一端は前方の短辺近傍に固定され、他端は後方の短辺近傍に固定されている。さらに第1側方柵7は、この様なパイプを、ベース部材3から立設する2本の支柱によって支持することで形成されている。
【0019】
第2側方柵9は、ベース部材3の主面における第1側方柵7が形成された長辺とは異なる長辺に近接して、ベース部材3の前方短辺と該長辺とで形成される角部から後方の短辺と該長辺とで形成される角部に向けて延在して形成される。具体的には、第2側方柵9は、ベース部材3の主面の長辺と平行に形成されている。また、第2側方柵9が、ベース部材3の前方短辺と該長辺とで形成される角部から後方の短辺と該長辺とで形成される角部に向けて延在する距離としては、駐輪装置1を側面から見た場合に、第2側方柵9と駐輪装置1に載置された二輪車Bの前輪とが重複する位置近傍まで延在していることが好ましい。即ち、第2側方柵9の主な役割としては、ベース部材3上に載置された二輪車Bがベース部材3上から不正に脱出することを防止することにある。より具体的には、第2側方柵9が、ベース部材3の前方の短辺から後方の短辺の方向に延在する距離は、約520mm程度であることが好ましい。この様な第2側方柵9は、例えばパイプを所定の形状に折り曲げてベース部材3の主面から立設している。そして、第2側方柵9の頂部と底部との中間部には、第2側方柵9の強度を補強する梁が形成されている。
【0020】
この様な前方柵5、第1側方柵7、及び第2側方柵9の配置関係としては、第1側方柵7の一端、及び第2側方柵9の一端が、ベース部材3における前方の短辺に近接する位置に配置される。そして、第1側方柵7及び第2側方柵9は、ベース部材3の主面の長辺と平行になる様に、且つ第1側方柵7及び第2側方柵9との間に所定の間隙が形成される様に配置される。そして、前方柵5は、第1側方柵7及び第2側方柵9における、前方の短辺に近接した垂直部分の間に架設されている。そして、前方柵5、第1側方柵7、及び第2側方柵9をこの様に配置することによって、ベース部材3上に載置された二輪車Bの一部を囲い、駐輪スペースを形成すると共に、二輪車Bの移動を規制する。
【0021】
また、駐輪装置1は、第3側方柵11を備える。第3側方柵11は、ベース部材3に固定された、第2側方柵9と略同一形状を有する柵である。そして、この様な第3側方柵11は、第2側方柵9と略同一の直線上に、ベース部材3の後方短辺と該長辺とで形成される角部から前方の短辺と該長辺とで形成される角部に向けて延在して形成される。また、第3側方柵11が、ベース部材の後方の短辺から前方の短辺の方向に延在する距離としては、駐輪装置1を側面から見た場合に、第3側方柵11と駐輪装置1に載置された二輪車Bの後輪とが重複する位置近傍まで延在していることが好ましい。即ち、第3側方柵11の主な役割としては、ベース部材3上に載置された二輪車Bの後輪がベース部材3上から出ることを防止することにある。より具体的には、第3側方柵11が、ベース部材3の前方の短辺から後方の短辺の方向に延在する距離は、約520mm程度であることが好ましい。
【0022】
また、上述した第2側方柵9と、第3側方柵11との配置関係としては、略同一の直線上に、所定の間隔をもって形成されていることとなる。そして、第2側方柵9は、二輪車Bの前輪に対応して設けられており、第3側方柵11は、二輪車Bの後輪に対応して設けられている為、両者の間に形成される間隙は、二輪車Bにおける座席部分に対応する位置となる。すなわち、この間隔は、乗降スペースを形成する。そしてこの様に、第2側方柵9と第3側方柵11との間に乗降スペースを設けることによって、二輪車Bをベース部材3上の所定の位置に載置したドライバーが二輪車Bから降車するときに、ドライバーの動線上に柵が存在しないこととなり、ドライバーの利便性を向上させることができる。これは、ドライバーが二輪車Bに乗車しようとする場合についても同様である。
【0023】
また、駐輪装置1は、ベース部材3上に形成され、二輪車Bの前輪を所定の位置にガイドするガイド溝13を備える。ガイド溝13は、ベース部材3の主面における前方柵5、第1側方柵7、及び第2側方柵9によって囲まれた位置に形成された、すり鉢状の溝である。この様なガイド溝13は、二輪車Bがベース部材3上に載置されたときに、二輪車Bの前輪が配置される。そして、この様なガイド溝13を形成することによって、二輪車Bの前輪が配置されるべき場所をドライバーに報知する。この場合、ガイド溝13を第1側方柵7と第2側方柵9との間の全面に渡って形成することが好ましい。ガイド溝13を第1側方柵7と第2側方柵9との間の全面に渡って形成することによって前輪は強制的にガイド溝13内部にガイドされる為、後述する検出センサが前輪を検出することができない死角を無くすことができる。
【0024】
また、駐輪装置1は、ベース部材3上に二輪車Bが載置された際に二輪車Bの存在を検出する検出センサ15を備える。具体的には、検出センサ15は、ベース部材3の主面に形成されたガイド溝13内部の壁面に形成されたセンサである。この様な検出センサ15は、例えば光電管センサ等の光学式のセンサによって構成されており、二輪車Bがベース部材3上に載置され、その前輪がガイド溝13内部に下りたことを検出することで二輪車Bの存在を検出する。また、検出センサ15は、ユーザが二輪車Bのドライバーが使用料金の精算処理を終えた後に二輪車Bを駐輪装置1の外部へ出し、ガイド溝13内部に二輪車Bの前輪が存在しなくなったことも検出する。
【0025】
また、駐輪装置1は、ベース部材3上に載置された二輪車Bが後方へ移動する動作を規制するフラッパー17を備える。フラッパー17は、ベース部材3上に支持され、フラッパー制御部17cの制御のもと上下に移動する。フラッパー17は、所定の間隔をもって形成され、一端がベース部材3に回動支持された2本の支持部材17aと、支持部材17aの間に架設されたストッパ部材17bとを備える。この様なフラッパー17は、支持部材17aを回動させることでストッパ部材17bを上下に移動させる。そして、ベース部材3上に二輪車が存在するときは、支持部材17aは図示せぬ駆動源からの駆動力に基づいて一定の角度回転することでストッパ部材17bを上昇させ、ストッパ部材17bが一定の位置まで上昇した後に回転を停止する。そして、フラッパー17は、ストッパ部材17bを一定の高さに固定する。そして、ストッパ部材17bが一定の高さに固定されることによって、フラッパー17は、前方柵5と共に二輪車の前後の移動を制限し、二輪車を拘束する。一方で、二輪車が駐輪装置1から出るときは、支持部材17aはストッパ部材17bを下降させ、ストッパ部材17bを二輪車の後輪から離し、二輪車の拘束を解除する。そしてストッパ部材17bが下降しているときは、フラッパー17は、ベース部材3における後方の短辺近傍に形成された、フラッパー17と略同一の形状を有する収納溝19内部に収容される。
【0026】
フラッパー制御部17cは、検出センサ15の検出結果を受けて二輪車Bが駐輪スペースに入ってきたことを認識する。そして、フラッパー制御部17cは、検出センサ15の検出結果を受けてから所定の時間が経過した後に、モータ等の駆動機構を使用してフラッパー17を上昇させる。
【0027】
また、駐輪装置1は、フラッパー17が最上部まで上昇したことを検出する、図示せぬリミッタ部材を備える。リミッタ部材は、例えばフラッパー17の支持部材17aが、ストッパ部材17bを最上部まで上昇させたことを検出するセンサであり、例えば接触型のセンサであっても良く、非接触型の光学式センサであっても良い。そして、フラッパー17のストッパ部材17bが最上部まで上昇し、リミッタ部材がこれを検出すると、かかる検出結果は図示せぬ精算装置に送信される。そして、図示せぬ精算装置は、かかる検出結果を受けて使用時間の計測を開始する。
【0028】
この様な構成の駐輪装置1は、全ての部材がベース部材3を基礎として形成されている為、駐輪装置1を駐輪場等に設置する場合は、所定の位置に駐輪装置1を配置するだけで足りる。即ち、駐輪装置1によれば、従来技術の様にコンクリートの打設等を行う必要がなく、設置作業を容易に行うことができる。また、駐輪装置1の地上への定着性を高める為に、ボルト等の固定手段を用いてベース部材3を地上に固定することも可能である。
【0029】
また、駐輪装置1を複数個配置しようとする場合は、図3に示す様に駐輪装置1を配置することが出来る。
【0030】
図3に示す様に、駐輪装置1を複数個配置する場合は、ベース部材3の一方の長辺を、隣接する駐輪装置1のベース部材3の他方の長辺と近接させて配列することが出来る。そして、この場合、配列された駐輪装置1,1´,1´´のうち、最も端に配置された駐輪装置1以外の駐輪装置1´,1´´では、第2側方柵9及び第3側方柵11を備える必要がない。具体的には、同図に示す様に、第2側方柵9及び第3側方柵11を必要とする駐輪装置1は、配列された駐輪装置1のうち、第2側方柵9及び第3側方柵11が近接している長辺と同一の方向にある駐輪装置1である。即ち、第2側方柵9及び第3側方柵11がベース部材3の主面における右側の長辺に形成されている場合は、配列された駐輪装置1のうち最も右側にある駐輪装置1のみが第2側方柵9及び第3側方柵11を備えていれば良く、他の駐輪装置1は第2側方柵9及び第3側方柵11を備える必要がない。また、第2側方柵9及び第3側方柵11がベース部材3の主面における左側の長辺に形成されている場合は、配列された駐輪装置1のうち最も左側にある駐輪装置1のみが第2側方柵9及び第3側方柵11を備えていれば良く、他の駐輪装置1´,1´´は第2側方柵9及び第3側方柵11を備える必要がない。これは、駐輪装置1,1´,1´´を配列することによって第1側方柵7が隣接する駐輪装置1の第2側方柵9及び第3側方柵11の替わりに二輪車が側面から出ることを防止するからである。
【0031】
以下、駐輪装置1の具体的な動作について詳細な説明をする。尚、説明の便宜上、フラッパー17が収納溝19内部に収納されている状態を「初期状態」として詳細な説明を行う。
【0032】
ドライバーが初期状態にある駐輪装置1に二輪車を載置するとき、先ず、ドライバーは二輪車Bに乗車した状態で、ベース部材3の後方の短辺に形成された斜面から二輪車Bをベース部材3上に載せる。そして、ドライバーは、二輪車Bを操作しながら二輪車Bの前輪をガイド溝13内部に下ろす。
【0033】
ガイド溝13内部に前輪が下ろされると、検出センサ15はこれを検出し、該検出結果をフラッパー制御部17cに供給する。一方でドライバーは、ガイド溝13内部に前輪を下ろした後に、第2側方柵9及び第3側方柵11の間隙を利用して二輪車から降車する。
【0034】
フラッパー制御部17cは、検出センサ15から検出結果を供給されると、経過時間の計測を開始し、予め設定された時間、例えば検出センサ15によって二輪車Bが検出されてから1分が経過した後にフラッパー17を上昇させて二輪車を拘束する。そして、フラッパー17が上昇すると、図示せぬリミッタ部材はこれを検出し、該検出結果を図示せぬ精算装置に供給する。その後、精算装置は、リミッタ部材の検出結果を受けて使用時間の計測を開始する。
【0035】
次に、ユーザが駐輪装置1から二輪車を出す場合の動作について詳細な説明をする。ユーザが駐輪装置1から二輪車を出そうとする場合、まずユーザは、図示せぬ精算装置を用いて使用料金の精算を行う。精算処理が終了すると、精算装置はその旨を駐輪装置1のフラッパー制御部17cに供給する。フラッパー制御部17cは、該通知に応じてフラッパー17を下降させ、フラッパー17を収納溝19に収納して二輪車の拘束を解除する。そしてこれによりドライバーは、二輪車を後方へ移動させることが可能となる。
【0036】
この様に、駐輪装置1によれば、ドライバーが何ら特殊な動作を行うことなく二輪車を拘束することが可能となる。これにより、ドライバーが二輪車の拘束作業等を行うことを忘れたことによって使用料金等を正確に算出することができないという事態を防止することができる。さらに駐輪装置1によれば、駐輪装置1はユニット化されている為、設置作業等を効率的に行うことができる。
【0037】
また、駐輪装置1によれば、板状のベース部材3を備え、該ベース部材3上に二輪車を駐輪させることで、表面が整地されていない土地においても容易に駐輪場を設けることが可能となり、整備コストの削減を図ることができる。
【0038】
次に、本発明を適用した第2の実施の形態について詳細な説明を行う。
【0039】
図4に示す様に、第2の実施の形態にかかる駐輪装置23は、地上に固定される前方ベース部材25と、前方ベース部材25と所定の間隔をもって地上に固定される後方ベース部材27と、前方ベース部材25と後方ベース部材27との間に架設された第1側方柵29と、前方ベース部材25に形成された前方柵31と、前方ベース部材25に形成された第2側方柵33と、後方ベース部材27に形成されたフラッパー35と、後方ベース部材27に形成された第3側方柵37とを備える。また、後方ベース部材27上には、フラッパー制御部35aが形成されている。尚、前方柵31、第2側方柵33、フラッパー35及びフラッパー制御部35a、並びに第3側方柵37については、第1の実施の形態において詳細な説明を行った前方柵5、第2側方柵9、フラッパー17及びフラッパー制御部17c、並びに第3側方柵11と同一の構成を有する為、詳細な説明を省略する。
【0040】
前方ベース部材25は、略同一の長さを有する長軸の板状の3枚の部材の端部を、互いに直角を形成する様な形状を備える。そして、前方ベース部材25の各角部近傍には、それぞれ第2側方柵33又は第1側方柵29が固定される。
【0041】
第1側方柵29は、前方ベース部材25と後方ベース部材27との間に架設された柵である。そして、第1側方柵29の一方は前方ベース部材25に固定され、他方は後方ベース部材27に固定されている。また、第1側方柵29の中間部には、継手部29aが形成されており、継手部29aにおいて第1側方柵29を形成する棒状の部材は伸縮自在に形成されている。そして、継手部29aにおいて第1側方柵29を形成する棒状の部材を伸縮自在に形成することによって、駐輪装置23は、前方ベース部材25と後方ベース部材27とを一体的に保持した状態で、前方ベース部材25と後方ベース部材27との間の距離を調整することができる。
【0042】
また、駐輪装置23は、検出部材としての検出センサ39を備える。検出センサ39は、フラッパー制御部35aと一体的に形成された、例えば光電管等を利用した光学式のセンサである。そして、検出センサ39は、矢印Bによって示す様に、フラッパー制御部35aから前方ベース部材25の方向に向けて光を照射する。そして、検出センサ39から照射された光が、二輪車Bが通過することによって遮られると、検出センサ39はこれを検出し、フラッパー制御部35aに通知する。
【0043】
この様に、駐輪装置23によれば、ベース部材を、前方ベース部材25と後方ベース部材27とに分割した為、駐輪装置23の軽量化を図ることが可能となり、駐輪装置23の運搬性を向上させることができる。また、駐輪装置23によれば第1側方柵29を用いて前方ベース部材25と後方ベース部材27との間の距離を調整することができる為、駐輪装置23を設置する土地の条件や、二輪車の車長を考慮して駐輪装置23を設置することができる。また、駐輪装置23では、フラッパー35、フラッパー制御部35a、及び検出センサ39等の機械系統は、全て後方ベース部材27と一体的に形成されている為、各機構間の配線を最小限に抑えることができる。
【0044】
尚、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0045】
例えば、上述の実施の形態では、ガイド部としてのガイド溝13を、ベース部材3上における二輪車の前輪に対応する位置に設ける構成としたが、二輪車の後輪に対応する位置に設ける構成としても良い。
【0046】
また、ベース部材3の形状としては、主面が長方形となる形状として詳細な説明を行ったが、ベース部材3の形状はどの様な形状であっても良い。但し、図3に示す様に、駐輪装置1を連結する場合には、駐輪装置1,1´,1´´を同一の方向に向けて、且つ互いに密着させる必要がある為、ベース部材3の主面としては、長方形、又は正方形等の矩形を有することが好ましい。
【0047】
また、駐輪装置23についても、駐輪装置1と同様に配列することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る駐輪装置の斜視図であり、同駐輪装置の構成について説明する為の図である。
【図2】同駐輪装置に、二輪車を駐車した状態を示す斜視図である。
【図3】同駐輪装置を連結させた際の斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る駐輪装置の斜視図であり、同駐輪装置の構成について説明する為の図である。
【符号の説明】
【0049】
1 駐輪装置
3 ベース部材
5 前方柵
7 第1側方柵
9 第2側方柵
11 第3側方柵
13 ガイド溝
15 検出センサ
17 フラッパー
17a 支持部材
17b ストッパ部材
17c フラッパー制御部
19 収納溝
23 駐輪装置
25 前方ベース部材
27 後方ベース部材
29 第1側方柵
31 前方柵
33 第2側方柵
35 フラッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上に固定されるベース部材と、
前記ベース部材上に形成され、二輪車を駐輪する為の駐輪スペースに前記二輪車が載置された際に当該二輪車の前方への移動を規制する前方移動規制柵と、
前記ベース部材上に形成され、前記二輪車が前記スペースに載置された際に当該二輪車の側方に沿って配置される様に形成された側方柵と、
前記ベース部材上に形成され、前記駐輪スペース内部に前記二輪車が入ったことを検出する検出部材と、
前記ベース部材上に且つ前記駐輪スペースに駐輪された前記二輪車の後輪の後方に形成され、前記二輪車検出部材の検出結果に基づいて前記二輪車が後方へ移動する動作を規制するストッパ部材とを備えること、
を特徴とする二輪車用駐輪装置。
【請求項2】
前記ベース部材上に形成され、前記ベース部材上における前記二輪車の前輪又は後輪を所定の位置にガイドするガイド部を備え、
前記二輪車検出部材は、前記ガイド部内部に配置され前記前輪又は後輪を検出するセンサであること、
を特徴とする請求項1記載の二輪車用駐輪装置。
【請求項3】
前記側方柵は、前記二輪車の一方の側方に形成された第1側方柵と、
前記第1側方柵とは反対側の側方に形成された第2側方柵とを備え、
前記第1側方柵は、前記ベース部材上に前記二輪車が載置された際に当該二輪車の前記前輪の位置近傍から前記後輪の位置近傍に渡って、前記二輪車に沿って形成され、
前記第2側方柵は、前記ベース部材上に前記二輪車が載置された際に当該二輪車の前記前輪の位置近傍に形成されていること、
を特徴とする請求項1又は請求項2の何れかの項記載の二輪車用駐輪装置。
【請求項4】
前記ベース部材は、
前記前方移動規制柵が形成される前方ベース部材と、
前記ストッパ部材が形成される後方ベース部材とを有し、
前記側方柵は、前記前方ベース部材及び前記後方ベース部材とを連結する様に前記前方ベース部材と前記後方ベース部材との間に架設されていること、
を特徴とする請求項1記載の二輪車用駐輪装置。
【請求項5】
前記側方柵は、前記前方ベース部材と前記後方ベース部材との間の距離を調整することができる様に伸縮自在に形成されていること、
を特徴とする請求項4記載の二輪車用駐輪装置。
【請求項6】
地上に固定される略矩形の主面を有する板状のベース部材と、
前記ベース部材の前記主面の一方の短辺近傍に形成され、前記ベース部材上に二輪車が載置された際に当該二輪車が前方へ移動する動作を規制する前方移動規制柵と、
前記ベース部材の前記主面の一方の長辺近傍に、且つ前記ベース部材上に前記二輪車が載置された際に当該二輪車の側方に沿って配置される様に形成された第1側方柵と、
前記ベース部材上に形成され、前記ベース部材上に前記二輪車が載置された際に当該二輪車の存在を検出する二輪車検出部材と、
前記ベース部材上における前記ベース部材上に載置される前記二輪車の前輪又は後輪の後方に形成され、前記二輪車検出部材の検出結果に基づいて前記二輪車の前輪又は後輪が後方へ移動する動作を規制するストッパ部材と
を有する駐輪装置を複数個備え、
前記複数の駐輪装置は、互いの前記長辺を近接させて同一方向に向けて配列され、
前記配列された複数個の駐輪装置のうち、
前記第1側方柵が近接して形成された長辺とは反対側の長辺に隣接する前記駐輪装置が配置されていない端部の駐輪装置は、前記反対側の長辺近傍に、且つ前記ベース部材上に前記二輪車が載置された際に当該二輪車の側方に沿って配置される様に形成された第2側方柵を有すること、
を特徴とする二輪車駐輪システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−31658(P2008−31658A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−203724(P2006−203724)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(591107230)株式会社デンケン (3)
【出願人】(506255832)株式会社ディーワイコーポレーション (1)
【出願人】(506255854)有限会社コーシン (1)