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二酸化チタン含有複合粒子
説明

二酸化チタン含有複合粒子

【課題】二酸化チタン本来の高屈折率を保持しつつ、樹脂組成物中において、分散性が良好で、高度かつ長期にわたる耐候性を有する二酸化チタン含有複合粒子を提供すること。
【解決手段】内側から順に、二酸化チタンを含む基材と、ケイ素、ジルコニウム及びアルミニウムの酸化物、並びにケイ素、ジルコニウム及びアルミニウムの水酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する第1の被覆帯と、セリウムの酸化物又は水酸化物、及びアルミニウムの酸化物又は水酸化物を含有する第2の被覆帯と、を備えた複合粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期の耐候性・耐久性が求められる塗料組成物(塗膜形成用組成物)等に使用される二酸化チタン含有複合粒子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二酸化チタンは、可視光線に対しては高い屈折率を有することから、プラスチック、塗料、インキ用途等への白色顔料として、また紫外線に対しては吸収することから、化粧品用の紫外線遮蔽材などとして幅広く使用されている。
【0003】
しかしながら、二酸化チタンは元来n型半導体であり、紫外線が二酸化チタンに照射されると、光触媒作用を起こす。そのため化粧料、塗料、プラスチックス等の組成物に配合された場合、二酸化チタンの光触媒作用によって、樹脂や油脂などの有機成分の変色、褪色、劣化を引き起こす。そこで、二酸化チタンの紫外線耐性を高めることを目的に、二酸化チタン粒子の表面にシリカ、アルミナ、酸化セリウム等の被覆層を設けることにより、二酸化チタンの光触媒能による粒子界面の活性化を抑制している。中でも特に酸化セリウムは高紫外線遮蔽効果を有することから、二酸化チタンの被覆材として注目されている。
【0004】
例えば特許文献1には、ルチル型酸化チタン粒子の表面にごく少量(酸化チタンに対し、0.01〜1.0重量%)の酸化セリウムを析出させ、さらにその上に緻密無定形シリカを析出させた顔料が開示されている。
【0005】
特許文献2には、アルミナまたはアルミナ・シリカからなる被覆を有するルチル型酸化チタン粒子の顔料であって、その粒子表面が酸化チタンに対し、0.5〜2重量%のセリウムカチオンおよび化学両論的な量の硫酸アニオンもしくはケイ酸アニオンを有する被覆酸化チタン顔料が開示されている。
【0006】
特許文献3には、内側から順に、酸化チタンを含む粒子と、酸化セリウムを含む第1の被覆層と、酸化ケイ素を含む第2の被覆層とを有する複合粒子が開示されている。
【0007】
特許文献4には、酸化セリウムと共に、二酸化ケイ素で二酸化チタン粉末を被覆した組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−315838号公報
【特許文献2】特開昭59−184264号公報
【特許文献3】国際公開第2008/078657号パンフレット
【特許文献4】特開2000−212054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし上述のような、酸化セリウム被覆層を有する二酸化チタンを用いた場合は、ある程度の光触媒活性抑制効果は認められたものの、耐候性がまだ不十分であり、長期的な使用には耐えない場合が多かった。実際にも、例えば建築物外壁面のような高度かつ長期的な耐候性が要求される分野では、未だ満足する性能を有する二酸化チタン含有粒子は得られていない。
【0010】
一方、耐候性を向上させることを目的に、被覆層を厚くすると、粒子全体における二酸化チタンの比率(酸化チタン純度)が相対的に低下する。その結果、隠蔽力、着色力といった酸化チタンに求められるべき本来の性能を損なうことになる。そのため、被覆層の質量をなるべく少なくし、粒子全体に占める二酸化チタンの質量をある一定量以上に保つ必要がある。
【0011】
また酸化セリウムの被覆層を有する従来の二酸化チタン含有複合粒子は、顔料として配合された際、樹脂などの有機物質に対する親和性が不十分であり、組成物中での分散性が必ずしも高いとはいえない。そのため、塗膜を形成した際に顔料が凝集し、塗膜の透明性や光沢が低下する、という問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような状況を踏まえ、本発明は、二酸化チタン本来の性質を保持しつつ、樹脂組成物中において、分散性が良好で、高度かつ長期にわたる耐候性を有する二酸化チタン含有複合粒子を提供することを目的とする。
【0013】
すなわち、本発明の第1の態様は、内側から順に、二酸化チタンを含む基材と、
ケイ素、ジルコニウム及びアルミニウムの酸化物、並びにケイ素、ジルコニウム及びアルミニウムの水酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する第1の被覆帯と、
セリウムの酸化物又は水酸化物、及びアルミニウムの酸化物又は水酸化物を含有する第2の被覆帯
を備えた複合粒子に関する。
【0014】
上記第2の被覆帯の好ましい実施形態の一つは、セリウムの酸化物又は水酸化物を含有する内層と、アルミニウムの酸化物又は水酸化物を含有する外層を含む複層からなるものである。また別の好ましい実施形態の一つは、上記第2の被覆帯は、セリウムの酸化物又は水酸化物と、アルミニウムの酸化物又は水酸化物の両方を含有する単一層からなるものである。
【0015】
上記第2の被覆帯の質量は、上記二酸化チタンの質量100質量部に対し1〜15質量部であるのが好ましい。また上記第2の被覆帯は、さらにジルコニウム、ケイ素、亜鉛、チタン、スズ、リン及びアンチモンの酸化物または水酸化物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含んでいてもよい。
【0016】
さらに上記基材粒子と、上記第1の被覆帯を合わせた粒子の一次粒子径は0.001〜3μmであるのが好ましい。
【0017】
また本発明の第2の態様は、上記複合粒子を含有する塗料に関する。
【0018】
また本発明の第3の態様は、上記複合粒子を含有する化粧料に関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の複合粒子は、酸化チタン顔料としての性能を保持しつつ、長期間にわたる耐候性を有するものである。また、樹脂などの有機物質に対する親和性も高く、化粧料、塗料、プラスチックス等の組成物に配合された場合の分散性に優れる。そのため、本発明は高度かつ長期にわたる耐候性を要求される塗膜形成用組成物や樹脂組成物用の顔料として適した二酸化チタン含有複合粒子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明を詳細に説明する。なお、本願明細書中において、「二酸化チタン」と「酸化チタン」はいずれも化学式:TiOで表される同一の化合物を意味する。
【0021】
(二酸化チタン含有複合粒子)
上述の通り、本発明の第1の態様に係る複合粒子は、内側から順に、二酸化チタンを含む基材と、ケイ素、ジルコニウム及びアルミニウムの酸化物、並びにケイ素、ジルコニウム及びアルミニウムの水酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する第1の被覆帯と、セリウムの酸化物又は水酸化物、及びアルミニウムの酸化物又は水酸化物を含有する第2の被覆帯とを備えている。
【0022】
本発明の複合粒子は、二酸化チタンを含む基材を含有する。二酸化チタンは屈折率が高いため、可視光線を効果的に散乱する。
【0023】
二酸化チタンを含む基材の原料としては、顔料等として用いられる酸化チタン粒子、酸化チタンを含む複合酸化物等の粒子状基材や、酸化チタン被覆雲母等のフレーク状基材が挙げられる。なかでも、可視光線反射率の高さから、酸化チタン粒子が好ましい。
【0024】
複合粒子中の二酸化チタンの割合は、特に限定されないが、下限は、好ましくは複合粒子総質量の50質量%、より好ましくは60質量%、さらに好ましくは70質量%であり、一方、上限は、好ましくは複合粒子総質量の90質量%、より好ましくは85質量%、さらに好ましくは80質量%である。複合粒子中の二酸化チタンの割合が少ないということは、被覆帯が厚いことを意味し、逆に二酸化チタンの割合が多いということは、被覆帯が薄いことを意味する。従って、複合粒子中の二酸化チタンの割合が50質量%より少ない場合には、酸化チタンに求められるべき本来の性能(隠蔽力等)を損なうおそれがある。一方、二酸化チタンの量が90質量%より多い場合には、被覆効果が不十分となる場合があり、複合粒子の耐候性が問題となるおそれがある。
【0025】
本発明の複合粒子は、二酸化チタンを含む基材の外側に、ケイ素、ジルコニウム及びアルミニウムの酸化物、並びにケイ素、ジルコニウム及びアルミニウムの水酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する第1の被覆帯を有する。
【0026】
第1の被覆帯は、基材中の酸化チタンと、第2の被覆帯に含まれる酸化セリウムとの間の電気的なバリアとして設けられるものである。酸化セリウムだけでは完全に紫外線を遮断できないため、酸化チタンの表面に直接酸化セリウムを含有する被覆層を設けた場合、紫外線の一部が酸化セリウム含有層を通過して、酸化チタンに届く場合がある。その結果、酸化チタンの光触媒反応によりヒドロキシラジカル(・OH)が発生する。発生したヒドロキシラジカルは容易に酸化セリウム層を分解することから、長期的に使用すれば次第に紫外線の遮断性能が低下する。これが従来の酸化セリウム被覆酸化チタンにおいて、長期的な耐候性が確保できなかった原因であると考えられる。第1の被覆帯は、酸化セリウムだけでは遮蔽しきれなかった紫外線があったとしても、直接酸化チタンに作用するのを防止する電気的バリアとしての役割も有する。
【0027】
第1の被覆帯に含まれる化合物は、酸化物であっても、水酸化物であっても、両者の混合物であってもよい。
【0028】
第1の被覆帯の質量は、特に限定されないが、下限は上記基材100質量部に対して、好ましくは5質量部であり、上限は、上記基材100質量部に対して、好ましくは35質量部、より好ましくは25質量部、さらに好ましくは15質量部である。第1の被覆帯が5質量部より少ない場合には、上述のようなバリア効果が薄くなるおそれがあり、逆に35質量部より多い場合には酸化チタンに求められるべき本来の性能(隠蔽力等)を損なうおそれがある。
【0029】
上記基材の一次粒子径は0.001〜3μmであるのが好ましい。基材の一次粒子径は、複合粒子の用途によって好ましい範囲が異なる。例えば、本発明の複合粒子を、透明性が要求される化粧料に配合する場合には、基材の一次粒子径の下限は0.001μmであるのが好ましく、0.003μmであるのがより好ましく、0.005μmであるのがさらに好ましい。一方、基材の一次粒子径の上限は、0.1μmが好ましく、0.05μmであるのがより好ましく、0.015μmであるのがさらに好ましい。0.001〜0.1μm程度の粒径であれば、可視光線(約380nmから780nm)をほとんど反射せず、高い透明性を有する塗膜が形成できる。
【0030】
一方、本発明の複合粒子が塗料などに配合される場合には、基材の一次粒子径の下限は0.1μmが好ましく、0.2μmであるのがより好ましい。一方、基材の一次粒子径の上限は3μmが好ましく、1μmであるのがより好ましい。0.1〜3μm程度の粒径の場合、高い散乱能が発揮できる点で好ましい。
【0031】
本願明細書において、一次粒子径とは、透明性顔料の場合、透過型電子顕微鏡(TEM)写真の10万倍(塗料用顔料の場合は2万倍)の視野での一定方向径(粒子をはさむ一定方向の二本の平行線の間隔)で定義される粒子径(μm)であって、TEM写真内の重なっていない独立した粒子1000個の一定方向径を測定して平均値を求めたものである。
【0032】
本発明の複合粒子は、上記第1の被覆帯の外側に、さらにセリウム及びアルミニウムの酸化物又は水酸化物を含有する第2の被覆帯を有する。酸化セリウムは、サングラス等の紫外線遮蔽(UVカット)ガラスや化粧品に用いられることからもわかるように、紫外線を吸収、隠蔽するため、二酸化チタンに到達する紫外線を低減できる。
【0033】
セリウムの酸化物又は水酸化物、及びアルミニウムの酸化物又は水酸化物は、同一の層に含まれていてもよく、第2の被覆帯を構成する別の層にそれぞれ含まれていてもよい。特に限定されないが、上記第2の被覆帯の好ましい実施形態の一つは、セリウムの酸化物又は水酸化物を含有する層(以下、「セリウム層」とも言う)を内層に、アルミニウムの酸化物又は水酸化物を含有する層(以下、「アルミニウム層」とも言う)を外層に有する複層からなるものである。また別の好ましい実施形態の一つは、セリウムの酸化物又は水酸化物と、アルミニウムの酸化物又は水酸化物の両方を含有する単一層(以下、「セリウム・アルミニウム単一層」とも言う)からなるものである。
【0034】
第2の被覆帯に含まれる化合物は、酸化物であっても、水酸化物であっても、両者の混合物であってもよい。
【0035】
上記第2の被覆帯の総質量は、上記二酸化チタンの質量100質量部に対し1〜15質量部であるのが好ましい。上記第2の被覆帯の総質量の下限は、上記二酸化チタンの質量100質量部に対し、好ましくは3質量部、さらに好ましくは5質量部であり、一方、上限は、上記二酸化チタンの質量100質量部に対し、好ましくは12質量部、さらに好ましくは10質量部である。第2の被覆帯の総質量が二酸化チタンの質量100質量部に対し1質量部未満である場合には、被覆量が充分でないため、紫外線遮蔽効果が不十分な場合がある。一方、15質量部を越えると、二酸化チタンに対する被覆物質の割合が高くなりすぎて、酸化チタンに求められるべき本来の性能(隠蔽力等)を損なうおそれがある。
【0036】
上記第2の被覆帯は、さらにジルコニウム、ケイ素、亜鉛、チタン、スズ、リン及びアンチモンからなる群から選択される少なくとも一つの元素の酸化物または水酸化物を含んでいても良い。当該ジルコニウム等の酸化物または水酸化物は、セリウム層と、アルミニウム層のいずれかの層に含まれていてもよく、あるいはセリウム・アルミニウム単一層に含まれていてもよい。さらに、セリウム層やアルミニウム層とは別の第三の層に含まれていてもよい。好ましくは、セリウム層と、アルミニウム層、またはセリウム・アルミニウム単一層のさらに外側の層として、上記第2の被覆帯を構成するものであってもよい。
【0037】
(用途)
本発明の複合粒子は、従来の酸化チタン顔料や酸化チタン含有粒子が使用されてきた塗料、プラスチック、化粧料、自動車の上塗り塗料などの各分野において好適に使用することができる。なかでも比較的平均一次粒子径が小さなもの(0.001〜0.1μm程度)は、透明性が求められる化粧料などに、比較的平均一次粒子径が大きいもの(0.1〜3μm程度)は、自動車塗料やプラスチック、インキ、ゴムなどの顔料として好適である。このような、上記複合粒子を含む塗料や化粧料も本発明を構成する。
【実施例】
【0038】
以下、実施例を参照しながら本発明を説明する。但し、下記実施例は本発明のいくつかの具体例を示すものであって、本発明はこれらに限定されるわけではない。
なお、下記実施例・比較例において、ケイ素、ジルコニウム、アルミニウムの酸化物及び/又は水酸化物からなる層を「バリア層」と呼ぶ場合がある。
さらに、セリウムの酸化物又は水酸化物を含有する層を「セリウム層」、アルミニウムの酸化物又は水酸化物を含有する層を「アルミニウム層」、セリウムの酸化物又は水酸化物と、アルミニウムの酸化物又は水酸化物の両方を含有する単一層を「セリウム・アルミニウム単一層」とも呼ぶ場合がある。また特に断りの無い限り「%」は「質量%」を意味する。
【0039】
(実施例1)
硫酸法で得られたTiO粒子を表面処理して、TiO粒子の表面上にケイ素、ジルコニウム、アルミニウムの酸化物及び/又は水酸化物からなる第1の被覆帯を形成したD−918(平均一次粒子径:0.26μm、堺化学工業(株)製)を、水に添加して、TiO濃度400g/Lの水性スラリーを得た。このスラリー0.5Lを攪拌しながら40℃に調整し、この温度を維持しながら、TiO100質量部当たり、CeO換算で5質量部に相当する量の40%硝酸セリウム水溶液と、Al換算で2質量部に相当する量の100g/L硫酸アルミニウム水溶液との混合液を添加した。水酸化ナトリウム水溶液で、得られたスラリーのpHを7に中和した後、60分間かけて熟成し、TiO表面上にセリウム水酸化物と水酸化アルミニウムを含有する第2の被覆帯を形成した。被覆帯形成後のスラリーを洗浄、固液分離して、120℃の温度で8時間乾燥した。次いで流体エネルギーミルを用いて粉砕することにより、内側から順に、TiO粒子の基材と、バリア層(第1の被覆帯)と、セリウム・アルミニウム単一層(第2の被覆帯)とを備えた本発明の二酸化チタン含有複合粒子を得た(試料A)。
【0040】
(実施例2)
硫酸法で得られたTiO粒子を表面処理して、TiO粒子の表面上にケイ素、ジルコニウム、アルミニウムの酸化物及び/又は水酸化物からなる第1の被覆帯を形成したD−918(平均一次粒子径:0.26μm、堺化学工業(株)製)を水に添加して、TiO濃度400g/Lの水性スラリーを得た。このスラリー0.5Lを攪拌しながら40℃に調整し、この温度を維持しながらTiO100質量部当たり、CeO換算で5質量部に相当する量の40%硝酸セリウム水溶液を添加した。水酸化ナトリウム水溶液で、得られたスラリーのpHを7に中和した後、30分間かけて熟成した。次いでこのスラリーをpH7に維持しながら、TiO100質量部当たり、Al換算で2質量部に相当する250g/Lアルミン酸ナトリウム水溶液と、30%硫酸とを60分かけて同時に添加し、60分間かけて熟成し、第1の被覆帯上にセリウム水酸化物と水酸化アルミニウムの被覆層を順に形成した。この水酸化セリウム被覆粒子を含む液をろ過した。得られた固体を水洗し、乾燥し、粉砕することにより、内側から順に、TiO粒子の基材と、バリア層(第1の被覆帯)と、セリウム層及びアルミニウム層(第2の被覆帯)とを備える水酸化セリウム被覆複合粒子を得た。
【0041】
この水酸化セリウム被覆粒子を温度900℃で2時間焼成し、前駆体粒子を得た。
前駆体粒子を水に添加してTiO濃度400g/Lの水性スラリーを得た。このスラリーを攪拌しながら80℃に昇温し、この温度を維持しながらTiO100質量部に対し、SiO換算で5質量部に相当する量の150g/Lケイ酸ナトリウム水溶液を添加した。次に、120分間かけてスラリーのpHが7になるように30%硫酸を添加した後、30分間かけて熟成した。次いで、攪拌下、スラリーのpHを7に維持しながら、TiO100質量部当たり、Al換算で2質量部に相当する量の250g/Lアルミン酸ナトリウム水溶液と、30%硫酸とを60分かけて同時に添加した。その後、60分間かけて熟成し、上記アルミニウム層上に水酸化ケイ素と水酸化アルミニウムの被覆層を順に形成した。このスラリーを洗浄、固液分離した。得られた固形分を120℃の温度で8時間乾燥し、次いで流体エネルギーミルを用いて粉砕して、本発明の二酸化チタン含有複合粒子を得た(試料B)。
【0042】
(実施例3)
硫酸法で得られた平均一次粒子径が0.26μmのTiO粒子を水に添加し、ビーズミルで湿式粉砕を行なって、TiO濃度300g/Lの水性スラリーを得た。このスラリー0.5Lを攪拌しながら80℃に昇温し、この温度を維持しながらTiO100質量部当たり、SiO換算で5質量部に相当する量の150g/Lケイ酸ナトリウム水溶液を添加した。120分間かけてpH7になるように30%硫酸を添加した後、30分間かけて熟成した。次いで、攪拌下、スラリーのpHを7に維持しながら、TiO100質量部当たり、Al換算で2質量部に相当する量の250g/Lアルミン酸ナトリウム水溶液と30%硫酸を60分かけて同時に添加し、60分間かけて熟成し、TiO表面上に水酸化ケイ素と水酸化アルミニウムの被覆層を順に形成した。
その後さらに、この温度を維持しながら、TiO100質量部当たり、CeO換算で5質量部に相当する量の40%硝酸セリウム水溶液と、Al換算で2質量部に相当する量の100g/L硫酸アルミニウム水溶液との混合液を添加した。水酸化ナトリウム水溶液で、得られたスラリーのpHを7に中和した後、60分間かけて熟成し、TiO表面上にセリウム水酸化物と水酸化アルミニウムを含有する第2の被覆帯を形成した。被覆帯形成後のスラリーを洗浄、固液分離して、120℃の温度で8時間乾燥した。次いで流体エネルギーミルを用いて粉砕することにより、内側から順に、TiO粒子の基材と、バリア層(第1の被覆帯)と、セリウム・アルミニウム単一層(第2の被覆帯)とを備えた本発明の二酸化チタン含有複合粒子を得た(試料C)。
【0043】
(比較例1)
硫酸法で得られた平均一次粒子径が0.26μmのTiO粒子を水に添加し、ビーズミルで湿式粉砕を行なって、TiO濃度300g/Lの水性スラリーを得た。このスラリー0.5Lを攪拌しながら80℃に昇温し、この温度を維持しながらTiO100質量部当たり、SiO換算で5質量部に相当する量の150g/Lケイ酸ナトリウム水溶液を添加した。120分間かけてpH7になるように30%硫酸を添加した後、30分間かけて熟成した。次いで、攪拌下、スラリーのpHを7に維持しながら、TiO100質量部当たり、Al換算で2質量部に相当する量の250g/Lアルミン酸ナトリウム水溶液と30%硫酸を60分かけて同時に添加し、60分間かけて熟成し、TiO表面上に水酸化ケイ素と水酸化アルミニウムの被覆層を順に形成した。このスラリーを洗浄、固液分離した。得られた固形分を120℃の温度で8時間乾燥し、次いで流体エネルギーミルを用いて粉砕して、比較対象の二酸化チタン含有複合粒子を得た(試料D)。
【0044】
(比較例2)
硫酸法で得られた、平均一次粒子径が0.26μmのTiO粒子を、水に添加し、ビーズミルで湿式粉砕を行なって、TiO濃度300g/Lの水性スラリーを得た。このスラリー0.5Lを攪拌しながら40℃に調整し、この温度を維持しながらTiO100質量部当たり、CeO換算で0.10質量部に相当する量の40%硝酸セリウム水溶液を添加した後、水酸化ナトリウム水溶液でpH7に中和した後、30分間かけて熟成した。次いでこのスラリーを攪拌しながら80℃に昇温し、この温度を維持しながらTiO100質量部当たり、SiO換算で5質量部に相当する量の150g/Lケイ酸ナトリウム水溶液を添加した。120分間かけてスラリーのpHが7になるように30%硫酸を添加した後、30分間かけて熟成した。次いで、攪拌下、スラリーのpHを7に維持しながらTiO100質量部当たり、Al換算で2質量部に相当する量の250g/Lアルミン酸ナトリウム水溶液と、30%硫酸を60分かけて同時に添加した。その後、60分間かけて熟成し、CeOの層上に、水酸化ケイ素と水酸化アルミニウムの被覆層を順に形成した。このスラリーを洗浄、固液分離した。得られた固形分を120℃の温度で8時間乾燥し、次いで流体エネルギーミルを用いて粉砕して、比較対象の二酸化チタン含有複合粒子を得た(試料E)。
【0045】
(比較例3)
平均一次粒子径が0.20μmのTiO粒子を水に添加し、ビーズミルで湿式粉砕を行なって、TiO濃度300g/Lの水性スラリーを得た。このスラリー0.5Lを攪拌しながら70℃に昇温し、この温度を維持しながらTiO100質量部当たり、Al換算で2質量部に相当する量の250g/Lアルミン酸ナトリウム水溶液を添加した。30分間攪拌した後、30%硫酸でスラリーのpHを7に中和し、60分間かけて熟成し、TiO表面上に水酸化アルミニウムの被覆層を形成した。このスラリーを洗浄し、固液分離した。得られた固形物を、120℃の温度で8時間乾燥し、次いで流体エネルギーミルを用いて粉砕して、水酸化アルミニウムの被覆層を有する酸化チタン表面処理顔料を得た。
【0046】
この酸化チタン表面処理顔料を水に添加して、TiO濃度400g/Lの水性スラリーを得た。このスラリー0.5Lを攪拌しながら40℃に調整した。この温度を維持しながら、TiO100質量部当たり、CeO換算で10質量部に相当する量の40%硝酸セリウム水溶液を添加した。水酸化ナトリウム水溶液でpH7〜9に中和した後、30分間かけて熟成した。水酸化セリウム被覆粒子を含む液をろ過した。得られた固形分を水洗し、乾燥し、粉砕することにより、水酸化セリウムの被覆層を有する粒子を得た。
【0047】
この水酸化セリウム被覆粒子を水に添加して、TiO濃度400g/Lの水性スラリーを得た。このスラリー0.5Lを攪拌しながら80℃に調整し、この温度を維持しながらTiO100質量部当たり、SiO換算で28.5質量部に相当する量の150g/L 3号ケイ酸ナトリウム水溶液を添加した。この際、2N希硫酸も添加して、液のpHを6〜8とし、水酸化セリウム被覆粒子上に被覆層を形成した。この液をろ過し、得られた固形分を水洗し、乾燥し、粉砕して前駆体粒子を得た。前駆体粒子を温度500℃で2時間焼成し、流体エネルギーミルを用いて粉砕して、比較対象の二酸化チタン含有複合粒子を得た(試料F)。
【0048】
(比較例4)
硫酸法で得られたTiO粒子を表面処理して、TiO粒子の表面上にケイ素、ジルコニウム、アルミニウムの酸化物及び/又は水酸化物からなる第1の被覆帯を形成したD−918(平均一次粒子径:0.26μm、堺化学工業(株)製)を水に添加して、TiO濃度400g/Lの水性スラリーを得た。このスラリー0.5Lを攪拌しながら40℃に調整し、この温度を維持しながらTiO100質量部当たり、CeO換算で20質量部に相当する量の40%硝酸セリウム水溶液を添加した。水酸化ナトリウム水溶液でpH7に中和した後、30分間かけて熟成し、TiO表面上にセリウム水酸化物の被覆層を形成した。このスラリーを洗浄、固液分離した。得られた固形分を120℃の温度で8時間乾燥し、次いで流体エネルギーミルを用いて粉砕して、比較対象の二酸化チタン含有複合粒子を得た(試料G)。
【0049】
(比較例5)
硫酸法で得られた平均一次粒子径が0.26μmのTiO粒子を水に添加し、ビーズミルで湿式粉砕を行なって、TiO濃度300g/Lの水性スラリーを得た。このスラリー0.5Lを攪拌しながら40℃に調整し、この温度を維持しながらTiO100質量部当たり、CeO換算で5質量部に相当する量の40%硝酸セリウム水溶液を添加した。水酸化ナトリウム水溶液でpH7に中和した後、30分間かけて熟成し、TiO表面上にセリウム水酸化物の被覆層を形成した。このスラリーを洗浄、固液分離して、120℃の温度で8時間乾燥し、次いで流体エネルギーミルを用いて粉砕して、比較対象の二酸化チタン含有複合粒子を得た(試料H)。
【0050】
(比較例6)
水酸化アルミニウムによる被覆層を設けず、かつセリウム水酸化物の被覆量をTiO100質量部当たりCeO換算で0.5質量部とする以外は実施例1と同じ手順にて二酸化チタン含有複合粒子を得た(試料I)。
【0051】
(比較例7)
硫酸法で得られたTiO粒子を表面処理して、TiO粒子の表面上にケイ素、ジルコニウム、アルミニウムの酸化物及び/又は水酸化物からなる被覆帯を形成したD−918(平均一次粒子径:0.26μm、堺化学工業(株)製)を水に添加して、TiO濃度400g/Lの水性スラリーを得た。このスラリー0.5Lを攪拌しながら40℃に調整し、この温度を維持しながらTiO100質量部当たり、CeO換算で5質量部に相当する量の40%硝酸セリウム水溶液を添加した。水酸化ナトリウム水溶液でpH7に中和した後、30分間かけて熟成した。このスラリーを攪拌しながら80℃に昇温し、この温度を維持しながらTiO100質量部当たり、SiO換算で5質量部に相当する量の150g/Lケイ酸ナトリウム水溶液を添加した。120分間かけてpH7になるように30%硫酸を添加した後、30分間かけて熟成し、TiO表面上にセリウム水酸化物と水酸化ケイ素の被覆層を順に形成した。このスラリーを洗浄、固液分離して、120℃の温度で8時間乾燥し、次いで流体エネルギーミルを用いて粉砕して、本発明の二酸化チタン含有複合粒子を得た(試料J)。
【0052】
評価1:耐候性の評価
実施例及び比較例で得られた各試料を用い、表1に示す処方にて樹脂成分(アルキド樹脂+ブチル化メラミン樹脂)質量/二酸化チタン顔料質量=1/1の塗料組成物とした。次いで、得られた塗料組成物をバーコーター# 50を用いてボンデライト処理鋼板上に塗布し、140℃で30分間焼付けて試験片を作製した。この試験片をサンシャインウェザーメーターを用いて光照射しながら、一定の間隔で純水を噴霧して促進曝露した。
一定間隔毎に、60度光沢値を光沢計(GM−26D:村上色彩研究所製)を用いて測定し、60度光沢値が初期60度光沢値の50%以下になるのに要する時間を比較した。この時間が長いほど、耐候性が優れている。
【0053】
【表1】

【0054】
評価2:隠蔽性の評価
評価1で得られた塗料組成物を、1.5ミルアプリケーターを用いてガラス板上に塗布し、140℃で30分間焼き付けてから塗膜化した。塗膜化した反対側のガラス面に塗膜に向けて白色紙及び黒色紙をあて塗膜をカラーメーター(SE−2000:日本電色工業社製)を用いてそれぞれのYを測定した。このとき、白色紙ごしの測定値をYw、黒色紙越しの測定値をYbとする。
隠蔽性をコントラスト比(C.R.)=Yb/Yw ×100で算出し、比較した。
この値が大きいほど、隠蔽性が優れている。
【0055】
評価3:光沢の評価
評価1で得られた塗料組成物を、1.5ミルアプリケーターを用いてガラス板上に塗布し、140℃で30分間焼き付けてから塗膜化した。塗膜の表面の20°−20°鏡面の光沢値を光沢計(GM−26D:村上色彩研究所製)にて測定した。この値が大きいほど、光沢が優れており、塗膜中の顔料分散が良いことを示す。
【0056】
【表2】

【0057】
(調製例1)
・化粧料組成物の調製
表3に示す組成に基づいて化粧料を調製した。まず、組成Aとして示した各成分を、ホモジナイザーを用いて15000rpmで15分攪拌し、液Aを調製した。次に、組成Bとして示した各成分を混合して、液Bを調製した。最後にA液とB液を合わせて、ペイントシェイカーにて15分間混合し、化粧料組成物を調製した。
【0058】
【表3】

【0059】
(調製例2)
・透明性塗料組成物の調製
下記表4に示す各成分を、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)にて90分間混合することにより、透明性を有する塗料組成物を調製した。
【0060】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側から順に、二酸化チタンを含む基材と、
ケイ素、ジルコニウム及びアルミニウムの酸化物、並びにケイ素、ジルコニウム及びアルミニウムの水酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する第1の被覆帯と、
セリウムの酸化物又は水酸化物、及びアルミニウムの酸化物又は水酸化物を含有する第2の被覆帯
を備えた複合粒子。
【請求項2】
前記第2の被覆帯は、セリウムの酸化物又は水酸化物を含有する内層と、アルミニウムの酸化物又は水酸化物を含有する外層を含む複層からなる
請求項1記載の複合粒子。
【請求項3】
前記第2の被覆帯は、セリウムの酸化物又は水酸化物と、アルミニウムの酸化物又は水酸化物の両方を含有する単一層からなる
請求項1記載の複合粒子。
【請求項4】
前記第2の被覆帯の総質量は、前記二酸化チタンの質量100質量部に対し1〜15質量部である、請求項1〜3のいずれか一項記載の複合粒子。
【請求項5】
前記第2の被覆帯は、さらにジルコニウム、ケイ素、アルミニウム、亜鉛、チタン、スズ、リン及びアンチモンの酸化物または水酸化物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含む請求項1〜4のいずれか一項記載の複合粒子。
【請求項6】
前記基材の粒子径は0.001〜3μmである、請求項1〜5のいずれか一項記載の複合粒子。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項記載の複合粒子を含有する塗料。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項記載の複合粒子を含有する化粧料。

【公開番号】特開2012−111842(P2012−111842A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261692(P2010−261692)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000174541)堺化学工業株式会社 (96)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】