説明

二酸化チタン

本発明は(1)実質的にルチル結晶性質を有し且つ約0.5μm〜約2.0μmの間の平均粒子寸法を有する粒子物質並びに(2)約5,000mm−1もしくはそれ以上の可視光線域における最大吸光計数、約500mm−1もしくはそれ以下の可視光線域における最大拡散係数および約50mm−1もしくはそれ以下の赤外線域における平均吸光計数を有する有機顔料を含んでなる着色された太陽反射性成分系を提供する。コーティング組成物中でまたはそこから製品を形成しうる組成物として使用できる太陽反射性成分系は濃くて強い色を示しながら増加した合計太陽反射率も与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
この開示は、一般的には、改良された着色された太陽反射性成分系、着色された太陽反射性成分系を含有する着色された組成物、およびそのような着色された組成物の種々の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
エネルギー効率を改良するために新しい技術が絶えず開発されつつある。1つのそのような技術は建物の(または他の対象の)外部上に置かれたコーティング中の赤外線反射性顔料の使用である。知られているように、太陽はそのエネルギーの約50%を近赤外線として出す。この近赤外線が吸収される時に、それは物理的に熱に転換される。赤外線反射性顔料を含有するコーティングは日光を反射させることによりそして熱の移動を遮断してそれにより建物に対する熱負荷を減ずることにより作用する。例えば、二酸化チタンの如き白色顔料が太陽のエネルギーの大部分を反射するためにコーティング中で使用されている。しばしば、美的理由のために白色の代わりに着色されたコーティングを提供することが望まれる。しかしながら、使用可能な非白色顔料の選択は制限されており、その理由はそれらが望まれるものより多い太陽のエネルギーを吸収して上記の効果における顕著な減少をもたらす傾向があるからである。それ故、改良された太陽反射率を有する着色されたコーティングを提供するための種々の成分系の開発が続けられている。
【0003】
例えば、特許文献1は50μmもしくはそれより小さい粒子直径を有する2種もしくはそれ以上の非白色顔料を組み合わせて低い明度の色、そして特に、非染色性黒色を生ずる成分系を記述している。特許文献2はさらに、1種もしくはそれ以上の黒色顔料、1種もしくはそれ以上の非白色顔料および珪酸を含有する濃く着色されたコーティングを記述している。
【0004】
特許文献3では、コーティング中での複合無機着色顔料(CICP類)の使用が可視部分における濃い茶色を電磁スペクトルの近赤外線部分における反射性と共に示すと教示されている。
【0005】
特許文献4は1つの層が樹脂および所望する色を与える顔料を含有しておりそして他の層が赤外線反射率を与える顔料を含有する2つもしくはそれ以上の層を含有する赤外線反射性成分系を記述している。特許文献5も合成樹脂および有機顔料よりなる頂部層並びに合成樹脂および二酸化チタンをベースとする白色顔料よりなる底部層を有する2層のシート状の赤外線反射性成分系を開示している。特許文献5は頂部層が合成樹脂および有機顔料を含有しておりそして底部層が合成樹脂および二酸化チタンをベースとする白色顔料を含有する2層のシート状の赤外線反射性成分系を開示している。
【0006】
さらに、特許文献6は近赤外線の非吸収性着色剤およびそのような着色剤でコーティングされた白色顔料を含有する近赤外線の反射性複合顔料を教示している。この複合顔料は次にコーティング中の着色剤として使用することができる。
【0007】
最後に、特許文献7は近赤外線の高い反射性および可視光線の減少した反射率を与える近赤外線拡散性粒子物質と種々の非白色着色剤との組み合わせ使用を記述している。
【0008】
それぞれは太陽反射率を与えるが、これらの最近利用可能な成分系の使用における幾つ
かの欠点は以下の事項を包含する:所望する太陽反射レベルを与えるには高レベルの従来の二酸化チタンが必要であるためそれらは相対的に薄い着色を与える;2つもしくはそれ以上の層の適用には時間がかかり且つ費用もかかりそして時間が経つにつれて薄くなる傾向があるパッチ状または不均一な外観を有するコーティングをもたらしうる;並びに成分系内に含有される不純物がスペクトルの近赤外線部分における吸収をもたらして太陽反射率の減少をもたらしうる。そのため、広範囲の濃さにおける増加した太陽反射性すなわち他の方法で得られるものより強い均一な色を示す代替成分系が依然として非常に望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,540,998号明細書
【特許文献2】米国特許第5,962,143号明細書
【特許文献3】米国特許第6,174,360号明細書
【特許文献4】米国特許第6,336,397号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2009/0268278号明細書
【特許文献6】米国特許第6,521,038号明細書
【特許文献7】国際公開第2009/136141号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
要旨
本発明は大きい平均粒子寸法を有する粒子物質および以下の性質に基づき選択される有機顔料を含む着色された太陽反射性成分系を提供する:(i)それは可視光線域で強く吸収しなければならず、(ii)それは近赤外線域でごくわずかに吸収しなければならず、そして(iii)それは可視光線域でごくわずかに拡散しなければならない。コーティング組成物中でまたはそこから製品を形成しうる組成物として使用できる太陽反射性成分系は濃くて強い色を示しながら増加した合計太陽反射率も与える。
【0011】
一面で、本開示は(1)実質的にルチル結晶性質を有し且つ約0.5μm〜約2.0μmの間の平均粒子寸法を有する粒子物質並びに(2)約5,000mm−1もしくはそれ以上の可視光線域における最大吸光計数、約500mm−1もしくはそれ以下の可視光線域における最大拡散係数、および約50mm−1もしくはそれ以下の近赤外線域における平均吸光計数を有する有機顔料を含有する着色された太陽反射性成分系を提供する。幾つかの態様では、上記の性質を有する有機顔料は単一の有機顔料であってもよく或いはそれは各顔料が上記の性質を有する有機顔料の混合物であってもよい。
【0012】
他の面では、着色された太陽反射性成分系がベヒクル内部に分散されて着色された組成物を形成することもできる。着色された組成物を次に1層コーティングとしてまたはそこから製品を形成しうる組成物として使用することができる。
【0013】
図面の簡単な記述
本発明の詳細な理解およびより良い認識のために、本発明の以下の詳細な記述を添付図面と共に参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は種々の波長におけるral 8007(栗毛色)に関する反射率を描写するグラフである。それは比較成分系および本発明の反射性成分系のral 8007(栗毛色)に関する波長に対する反射率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
好ましい態様の記述
この明細書および以下の特許請求の範囲においては、以下の意味を有すると解釈される多くの用語に言及する。
【0016】
用語「可視光線」は電磁スペクトルの400nm〜760nmの範囲内の波長を有する電磁線をさす。
【0017】
用語「近赤外線」は電磁スペクトルの760nm〜約2500nmの範囲内の波長を有する電磁線をさす。
【0018】
用語「合計太陽反射率」または「TSR」は当該表面により反射される入射太陽エネルギー(〜360nm−2500nm)の部分をさす。それは反射された波のエネルギー対入射波のそれの比である。例えば、0.8の反射率は入射波の80%の反射率に相当する。合計太陽反射率は標準試験方法ASTM E903で指定されている通りにして測定することができ、それらの全ての内容は引用することにより本発明の内容となる。
【0019】
用語「有機顔料」は内部にそれが分散されそしてそれが色を与える適用媒体の中に実質的に不溶性である有機粒子をさす。
【0020】
用語「エネルギー消費量」は普遍的なエネルギー形態、例えば、電気、ガスなど、の使用量または消費量をさす。それ故、構造体におけるエネルギー消費量の減少は構造体における例えば電気のより低い使用量に関係する。
【0021】
用語「構造体」は太陽に露呈されるいずれかの対象、例えば、建物、自動車、汽車、コンテナー、容器、パイプ、道路、床、車道、駐車場、歩道、水泳プール、デッキ、織物、航空機、船舶、潜水艦、窓枠、壁板、屋根材粒子、屋根板、農業用フィルム、またはガラス製品、をさす。構造体の材料は限定されるものでなく、従って、それは金属、ガラス、セラミック、プラスチック、コンクリート、アスファルト、木材、タイル、天然または人工繊維、ゴムなどを含んでなりうる。
【0022】
この開示は一般的には着色された太陽反射性成分系に関する。本発明の着色された太陽反射性成分系が色と近赤外反射性質との相互作用を断つことが可能であること、すなわち、着色された成分系の近赤外線反射率および光触媒性質が色とは独立して変動しうることが驚くべきことに見出された。それ故、ある種の有機顔料を用いて所望する色が得られたら、粒子濃度に依存する所望する太陽反射性質が次に独立して得られうる。
【0023】
着色された太陽反射性成分系はこれらの成分系で製造されたかまたはそれにより被覆された構造体において改良された赤外線反射性も与えながら、色スペクトルの青色部分を包含するがそれに限定されないこれまでに得られなかった色および色調も与える。例えば、構造体、例えば壁または屋根、の外表面に対するこの着色された太陽反射性成分系の適用により構造体は増加した合計太陽反射率を示すことができる。これは、換言すると、より低い表面温度およびコーティングされた構造体を介する熱移動を生ずる。従って、構造体の内部温度がより冷たくなりそしてその結果として構造体の内部を冷却するためにより少ないエネルギーを必要とする。その上、構造体内部に含有される揮発性成分の蒸発による能力損失が減少する。さらに、熱により引き起こされる損傷、例えば割れおよび熱歪み、が有意に減じられるため、構造体の一体性が改良される。最後に、着色された太陽反射性成分系を単一層コーティングの中に適用して時間および価格を減少させながら適用されたコーティング全体にわたる一定の着色を与える。
【0024】
ある態様によると、着色された太陽反射性成分系は(1)実質的にルチル結晶性質を有し且つ約0.5μm〜約2.0μmの間、好ましくは約0.6μm〜約1.7μmの間、そしてさらに好ましくは約0.7μm〜約1.4μmの間の平均粒子寸法を有する粒子物質並びに(2)約5,000mm−1もしくはそれ以上、好ましくは約10,000mm−1もしくはそれ以上、そしてより好ましくは約15,000mm−1もしくはそれ以上の可視光線域における最大吸光計数、約500mm−1もしくはそれ以下、好ましくは約250mm−1もしくはそれ以下、そしてより好ましくは約100mm−1もしくはそれ以下の可視光線域における最大拡散係数、および約50mm−1もしくはそれ以下、好ましくは約30mm−1もしくはそれ以下、そしてより好ましくは約10mm−1もしくはそれ以下の赤外線域における平均吸光計数を有する有機顔料を含む。
【0025】
1つの態様では、粒子物質は二酸化チタン、ドープされた二酸化チタン、およびそれらの混合物から選択される。
【0026】
本発明において有用な二酸化チタンは近赤外線を拡散可能であるが可視光線の低い拡散および低い吸収も与えるものである。そのような性質は二酸化チタンが約0.5μm〜約2.0μmの間の平均粒子寸法を有する時に得られうる。さらに他の態様では、二酸化チタンは約0.6μm〜約1.7μmの間、そしてより好ましくは約0.7μm〜約1.4μmの間、の平均粒子寸法を有する。そのような二酸化チタンは従来の二酸化チタン顔料と比べた時に近赤外線を異常に高いレベルで反射しながら可視光線の顕著に減じられた反射率も示すことが驚くべきことに見出された。さらに、薄色で使用される従来の着色された成分系を発色させる可視光線に非常に反射性である従来の二酸化チタンとは対照的に、有機顔料との本発明の配合物の二酸化チタンは成分系の色に過度に影響を与えることなくより広く利用可能な濃さのパレットまたはより強く着色された成分系を与える。
【0027】
当業者に既知であるように、結晶寸法は粒子寸法とは異なる。結晶寸法は粒子物質を構成する基本的結晶の寸法に関係する。これらの結晶を次にある程度まで固めてより大きい粒子を形成する。例えば、ルチル結晶性質での従来の二酸化チタンは約0.17μm−0.29μmの結晶寸法および約0.25μm−0.40μmの粒子寸法を有するが、アナターゼ結晶形態での従来の二酸化チタンは約0.10μm−0.25μmの結晶寸法および約0.20μm−0.40μmの粒子寸法を有する。粒子寸法はそれ故、例えば結晶寸法の如き因子並びに例えば乾燥、湿潤または合体粉砕の如き製造中に使用される粉砕技術により影響される。従って、幾つかの態様では、二酸化チタンの粒子寸法は結晶寸法より大きい。さらに別の態様では、二酸化チタンの粒子寸法は結晶寸法にほぼ等しい。
【0028】
二酸化チタンの結晶寸法および粒子寸法は当業者に既知である方法により測定できる。例えば、結晶寸法は擦り消された試料上の透過型電子顕微鏡と生じた写真の像分析とにより測定できる。結晶寸法の結果はラテックスNANOSHPHERETM寸法基準(テルモ・サイエンティフィック(Thermo Scientific)から入手可能である)を用いる照合によりさらに確認できる。二酸化チタンの粒子寸法を測定するために使用できる方法はX線沈降を包含する。
【0029】
比較的高い屈折率のために、粒子物質は実質的にルチル結晶性質である二酸化チタンを含有する。それ故、他の態様によると、粒子物質の合計重量を基準として、90重量%より多い二酸化チタン、好ましくは95重量%より多い二酸化チタン、そしてさらにより好ましくは99重量%より多い二酸化チタン、がルチル結晶性質である。さらに他の態様では、粒子物質はアナターゼ結晶形態である二酸化チタンをさらに含有しうる。
【0030】
二酸化チタンを製造するために使用できる既知の方法はそれらに限定されるものではないが硫酸塩方法、塩化物方法、弗化物方法、水熱方法、エーロゾル方法および浸出方法を
包含するが、各々のそのような既知の方法は以下の条件の1つもしくはそれ以上により改変される:
(a)より高い温度、例えば、900℃もしくはそれ以上、における処理、
(b)より長い期間の時間、例えば、5時間もしくはそれ以上、にわたる処理、
(c)方法において存在する成長調節剤の典型的なレベルの増加または減少、および
(d)ルチル種の典型的なレベルの減少。
【0031】
それ故、例えば、二酸化チタンは硫酸塩方法により製造することができ、それは一般的には
(i)チタンを含む供給原料を硫酸と反応させて固体の水溶性反応ケーキを形成し、
(ii)反応ケーキを水および/または弱酸の中に溶解して硫酸チタン溶液を製造し、
(iii)硫酸チタン溶液を加水分解して硫酸チタンを二酸化チタン水和物に転化し、そして
(iv)沈殿した二酸化チタンを溶液から分離しそしてカ焼して二酸化チタンを得る
ことを包含し、ここでこの方法は上記の条件(a)−(d)の1つもしくはそれ以上により改変される。1つの態様ではこの方法は条件(a)により改変され、他のものではこの方法は条件(b)により改変され、他のものではこの方法は条件(c)により改変され、そして他のものではこの方法は条件(d)により改変される。
【0032】
この開示の二酸化チタンは白色もしくは透明であってよくまたはそれは着色されていてもよい。好ましくは、二酸化チタンは白色である。それ故、1つの態様では、二酸化チタンは95より大きい明度値L(CIE L色空間)、5より小さいa値および5より小さいb値を有する。
【0033】
好ましくは、粒子物質は、粒子物質の合計重量を基準として、70重量%より多い二酸化チタンを含有する。他の態様では、粒子物質は、粒子物質の合計重量を基準として、80重量%より多い、好ましくは90重量%より多い、より好ましくは95重量%より多いそしてさらに好ましくは95.5重量%より多い、二酸化チタンを含有する。
【0034】
他の態様では、粒子物質はドープされた二酸化チタンである。ここで使用される際には、「ドープされた二酸化チタン」はこの開示の二酸化チタンをさすがさらに二酸化チタンの製造中に加えられている1種もしくはそれ以上のドープ剤を含む。既知の方法により加えることができるドープ剤はカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、アルミニウム、アンチモン、燐、ニオブまたはセシウムを包含するが、それらに限定されない。ドープ剤は、二酸化チタンの合計重量を基準として、30重量%より多くない、好ましくは15重量%より多くない、そしてより好ましくは5重量%より多くない、量で加えることができる。例えば、ドープ剤は、二酸化チタンの合計重量に関して、0.1〜30重量%、または0.5〜15重量%、または1〜5重量%、の量で加えることができる。その比較的高い屈折率のために、そのようなドープされた二酸化炭素は実質的にルチル結晶性質であることにより認識されうる。別の態様では、粒子物質はアナターゼ結晶形態のドープされた二酸化チタンをさらに含有してもよい。
【0035】
さらに他の態様では、粒子物質を当該技術で既知のようにコーティング剤でさらに処理してコーティングされた二酸化チタンまたはコーティングされたドープされた二酸化チタンを生成することもできる。例えば、粒子物質をコーティング剤と共に水中に分散させることができる。溶液のpHを次に調節して所望する水和酸化物を沈殿させて粒子物質の表面上にコーティングを形成しうる。コーティング後に、例えば流体エネルギーミルまたは粉砕器中で粉砕する前に粒子物質を洗浄しそして乾燥して、コーティングによって一緒に付着した粒子を分離することができる。この粉砕段階において、所望により有機表面処理剤を適用することもできる。
【0036】
使用に適するコーティング剤は無機酸化物または水和酸化物を粒子の表面上にコーティングするために普遍的に使用されているものを包含する。代表的な無機酸化物および水和酸化物は珪素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、マグネシウム、亜鉛、セリウム、燐、または錫の1種もしくはそれ以上の酸化物および/または水和酸化物、例えばAl、SiO、ZrO、CeO、P、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、アルミン酸ナトリウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、またはそれらの混合物、を包含する。二酸化チタンまたはドープされた二酸化チタンの表面上にコーティングされるコーティングの量は二酸化チタンまたはドープされた二酸化チタンの合計重量に関して約0.1重量%〜約20重量%の無機酸化物および/または水和酸化物の範囲でありうる。
【0037】
粉砕段階における適用に適する有機表面処理剤はポリオール類、アミン類、アルキルホスホン酸類およびシリコーン誘導体を包含する。例えば、有機表面処理剤はトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、トリエタノールアミン、n−オクチルホスホン酸またはトリメチロールエタンでありうる。
【0038】
上記の粒子物質の他に、着色された太陽反射性成分系は有機顔料も含む。種々の態様によると、有機顔料は黒色、褐色、青色、シアン色、緑色、紫色、マゼンタ色、赤色、橙色、黄色顔料およびそれらの混合物から選択できる。選択は所望する色、例えば、明るく輝く青色、赤色、褐色および緑色、を得るために必要な必須有機顔料に依存するであろう。有機顔料は商業源から得ることができそして以下の性質に基づいて選択される:(i)それは可視光線域で強く吸収しなければならず、(ii)それは近赤外線域でごくわずかに吸収しなければならず、そして(iii)それは可視光線域でごくわずかに拡散しなければならない。「可視光線域で強く吸収する」によると、有機顔料は可視光線域で少なくとも約5,000mm−1、好ましくは少なくとも約10,000mm−1、そしてより好ましくは少なくとも約15,000mm−1、の最大吸光計数を有していなければならない。「近赤外線域でごくわずかに吸収する」によると、有機顔料は近赤外線域で約50mm−1より少ない、好ましくは約30mm−1より少ない、より好ましくは約15mm−1より少ない、そしてさらにより好ましくは約10mm−1より少ない、平均吸光計数を有していなければならない。「可視光線域でごくわずかに拡散する」によると、有機顔料は可視光線域で約500mm−1より少ない、好ましくは約250mm−1より少ない、そしてより好ましくは約100mm−1より少ない、最大拡散計数を有していなければならない。吸光および拡散係数は当業者に既知である方法、例えば引用することにより本発明の内容となる“Solar Spectral Optical Properties of Pigments - Part I:Model for Deriving Scattering and Absorption Coefficients
From Transmittance and Reflectance Measurements”,R Levinson et al.,Solar Energy
Materials and Solar Cells 89 (2005) 319−349に記述されているもの、により測定することができる。
【0039】
幾つかの態様では、有機顔料は上記の性質(i)、(ii)および(iii)を有する1種の有機顔料である。別の態様では、有機顔料は1種より多い有機顔料の混合物であり、各々が上記の性質(i)、(ii)および(iii)を有する。さらに別の態様では、着色された太陽反射性成分系は、着色された太陽反射性成分系の合計重量を基準として、約5重量%より少ない上記の性質(i)、(ii)および(iii)を有していない1種もしくはそれ以上の有機顔料をさらに含有することにより特徴づけられる。さらに他の態様では、着色された太陽反射性成分系は、着色された太陽反射性成分系の合計重量を基準として、約2.5重量%より少ない、好ましくは約1重量%より少ない、上記の性質(i)、(ii)および(iii)を有していない1種もしくはそれ以上の有機顔料をさらに
含有することにより特徴づけられる。1つの態様では、着色された太陽反射性成分系は、着色された太陽反射性成分系の合計重量を基準として、0〜2.5重量%、例えば0.1〜1重量%、の上記の性質(i)、(ii)および(iii)を有していない1種もしくはそれ以上の有機顔料を含有する。
【0040】
1つの態様によると、その(または各々の)有機顔料はアゾ、アントラキノン、フタロシアニン、ペリノン/ペリレン、インジゴ/チオインジゴ、ジオキサジン、キナクリドン、イソインドリノン、イソインドリン、ジケトピロロピロール、アゾメチンまたはアゾメチン−アゾ顔料でありうる。
【0041】
粒子物質および有機顔料を組み合わせることにより、着色された太陽反射性成分系を形成できる。それ故、1つの態様では、粒子物質を有機顔料と混合することを含んでなる方法により、着色された太陽反射性成分系を形成できる。混合はいずれかの既知の手段により行うことができる。
【0042】
さらに他の方法では、この開示はベヒクル内部に分散された着色された太陽反射性成分系を含有する着色された組成物を提供する。ベヒクルは内部に着色された太陽反射性成分系が分散されうる成分または成分の組み合わせでありうる。着色された組成物中に含まれる着色された太陽反射性成分の量は、着色された組成物の合計容量を基準として約0.1容量%〜約20容量%の有機顔料、および着色された組成物の合計容量を基準として約0.5容量%〜約40容量%の粒子物質を与えるのに充分な量である。それ故、1つの態様では、着色された組成物は、着色された組成物の合計容量を基準として、約0.1容量%〜約20容量%の有機顔料および約0.5容量%〜約40容量%の粒子物質を、ベヒクル内部に分散させて含んでなる。
【0043】
1つの態様によると、ベヒクルは合成または天然樹脂である。樹脂はポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、フルオロポリマー、またはエポキシ樹脂を包含しうるが、それらに限定されない。
【0044】
他の態様では、ベヒクルは担体である。担体は水性溶媒、例えば、水を包含しうるが、それらに限定されない。担体は非水性溶媒、例えば石油蒸留物、アルコール、ケトン、エステル、グリコールエーテルなどの如き有機溶媒、であってもよい。
【0045】
さらに他の態様では、ベヒクルは結合剤である。結合剤は金属珪酸塩結合剤、例えばアルミノ珪酸塩結合剤、を包含しうるが、それらに限定されない。結合剤は重合体状結合剤、例えば、アクリル系重合体または共重合体結合剤、であってもよい。
【0046】
着色された組成物は1種もしくはそれ以上の普遍的な添加剤をさらに包含しうる。使用に適する添加剤は濃稠化剤、安定剤、乳化剤、肌理調整剤(texturizers)、付着促進剤、紫外線安定剤、艶消し剤、分散化剤、発泡防止剤、湿潤剤、合着剤、および殺細菌剤/殺真菌剤を包含するが、それらに限定されない。
【0047】
着色された組成物は組成物内部に含有された間に入れるかまたは支持する物質の中で有用な1つもしくはそれ以上のスペーサー粒子を包含することもできる。スペーサー粒子は中空球の形態または微球の形態のシリカ、珪酸塩類、アルミン酸塩類、硫酸塩類、炭酸塩類、クレイ類、または重合体状粒子でありうる。
【0048】
着色された組成物はコーティング組成物として、例えば、塗料、インキ、液体コーティ
ング、粉末コーティングなど、として使用することができ、或いはそれは組成物として、例えばそこから成型、押し出しまたは他の既知の方法により製品を形成しうるプラスチックまたは重合体成型用組成物として、使用することができる。
【0049】
それ故、1つの態様では、この開示はベヒクル内部に分散された着色された太陽反射性成分系を含有する1層の太陽反射性の着色されたコーティングを提供する。他の態様では、1層の太陽反射性の着色されたコーティングは75もしくはそれ以下、好ましくは65もしくはそれ以下、より好ましくは55もしくはそれ以下、そしてさらにより好ましくは45もしくはそれ以下、の明度値L(CIE L色空間)を有する。
【0050】
上記のように、着色された太陽反射性成分系は増加した近赤外線反射性も提供する。それ故、他の態様では、1層の太陽反射性の着色されたコーティングは30%より大きい合計太陽反射率を有する。さらに他の態様では、1層の太陽反射性の着色されたコーティングは35%より大きい、好ましくは40%より大きい、そしてさらにより好ましくは45%より大きい、合計太陽反射率を有する。
【0051】
調合されたら、1層の太陽反射性の着色されたコーティングを構造体の1つもしくはそれ以上の表面に適用することができる。それ故、他の態様では、この開示は1層の太陽反射性の着色されたコーティングを含んでなる構造体を提供する。
【0052】
他の態様では1層の太陽反射性の着色されたコーティングは基質を被覆し、そこで基質が近赤外線の一部を吸収する。反射性層の厚さは入射近赤外線の1%より多い部分が基質に到達するようなものである。
【0053】
それよりさらに他の態様では、この開示は1層の太陽反射性の着色されたコーティングを構造体の1つもしくはそれ以上の表面に適用することにより構造体のエネルギー消費量を減少させる方法を提供する。1層の太陽反射性の着色されたコーティングはいずれかの既知の方法により、例えば、ブラシ塗布、回転噴霧、浸漬などにより、適用することができる。その増加した近赤外線反射性のために、1層の太陽反射性の着色されたコーティングは生ずるコーティングされた表面の表面温度を同色の非反射性コーティングでコーティングされた表面の表面温度と比べて低下させる。それ故、構造体の内部を冷却するためにより少ないエネルギーが必要である。
【0054】
1種もしくはそれ以上のプライマーを構造体に適用した後にここに提示されている1層の太陽反射性の着色されたコーティングを構造体の表面に適用することもできる。例えば、1層の着色されたコーティングの適用前に構造体の表面をプライマーでコーティングすることができる。
【0055】
この開示は着色された組成物を含んでなる製品も提供する。1つの態様では、製品は75もしくはそれ以下、好ましくは65もしくはそれ以下、より好ましくは55もしくはそれ以下、そしてさらにより好ましくは45もしくはそれ以下、の明度値L(CIE L色空間)を有する。
【0056】
上記のように、着色された太陽反射性成分系は増加した近赤外線反射性も提供する。それ故、他の態様では、製品は30%より大きい合計太陽反射率を有する。さらに他の態様では、製品は35%より大きい、好ましくは40%より大きい、そしてさらに好ましくは45%より大きい、合計太陽反射率を有する。合計太陽反射率はASTM E903に記述された方法に従い測定することができる。
【0057】
本発明を以下の実施例の考察によりさらに説明するが、それらは発明の例示であること
が意図される。
【実施例】
【0058】
実施例
実施例1A. 実験プログラムはral 8007(栗毛色)に色適合させるための条件を受けた。目標はL=39.56、a=12.20、およびb=18.01であった。有機顔料PB60(アルビオン・カラーズ・ブリコフォル・ブルー(Albion Colours Bricofor Blue)3GRP)、PY154(ハイ・パーフォーマンス・カラーズ(High Performance Colours)PY1540)およびPR122(ハイ・パーフォーマンス・カラーズPR1220)、ここでPB60およびPY154は1.4μmの平均粒子寸法を有する二酸化チタンと組み合わされて使用された。この成分系を次に有機顔料PY128(チバ(Ciba)8GNP)、PR122(ハイ・パーフォーマンス・カラーズPR1220)およびPV23(チバ・クロモフタル・バイオレット(Ciba Cromophtal Violet)Gt)と1.4μmの平均粒子寸法を有する二酸化チタンとの本発明の組み合わせを含有する成分系に対して比較した。
【0059】
アクリル系樹脂、湿潤化および分散化添加剤、溶媒並びに指定された着色剤を使用して指定された顔料(PB60、PY154、PR122、PY128、PV23)の各々に関して濃縮着色剤を製造した。各成分の量は表1に指定されている。この濃縮着色剤を鋼バロティーニュで粉砕した。
【0060】
【表1】

【0061】
要求される濃縮着色剤の各々の表2に指定された量を採取しそして指定量の追加アクリル系樹脂と2分間にわたり激しく混合することにより、着色された樹脂溶液を次に製造した。
【0062】
【表2】

【0063】
二酸化チタン(表3に指定された量)を7.5gの着色された樹脂溶液に加えてミルベースを作成し、それを次に30秒間にわたり激しく混合した。この着色されたミルベースを次にさらに13gの着色された樹脂と一緒にした。このミルベースを次にさらに2分間にわたり粉砕した。
【0064】
【表3】

【0065】
試験塗料を次に不透明なチャートに番号150ワイヤー巻きアプリケーターを使用して適用し、そのアプリケーターのゲージが名目上の湿潤フィルム厚さを測定した。溶媒を自然蒸発させそしてパネルを105℃において30分間にわたりストーブ乾燥した。この方法を次に繰り返して第二コーティングを与えた。
【0066】
積分球および300nm−2500nmの波長範囲を有するUV/vis/NIR分光計を用いて反射スペクトルを測定した。合計太陽反射率をこのデータからASTM E903に記述された方法に従い反射率を計算した。D65光源下でのL、aおよびbもこのデータから計算した。
【0067】
比較成分系において本発明の成分系におけるものと同じ%TSRを達成する試みでは、TiO PVCは比較成分系では増加させなければならなかった。この増加にもかかわらず、本発明の成分系の最高の%TSRを得ることは依然として可能でなかった。黄色顔料は可視光線域においてかなりの光を拡散するため要求される色も比較成分系では得られなかった。青色顔料は760nmより上の域では有意な吸収を示し、反射能力を落とした。これは図1で明らかに見ることができ、そこには比較成分系における760nm後のはるかに少ない反射率が存在する。比較成分系における追加の二酸化チタンにもかかわらず、青色顔料からの近赤外線域における吸収により、この成分系における%TSRは本発明の成分系と比べて依然として低い。各成分系に関する%TSRは以下の表4に示される。
【0068】
【表4】

【0069】
実施例1B. 1.4μmの平均粒子寸法を有する二酸化チタンを使用してPVCプラークをral 8007の色で製造した。40gの各顔料を350gのクエン酸アセチルトリブチルと混合することにより、PY128(チバ8GNP)、PR122(ハイ・パーフォーマンス・カラーズPR1220)およびPV23(チバ・クロモフタル・バイオレットGt)の原料溶液を製造した。
【0070】
【表5】

【0071】
PVCプラークは以下の通りにして製造された:乾燥配合物をクリプト−ピアレスタイプのミキサーを使用して製造した。J.R.Dare2ロールミル(前部140℃および後部135℃ローラー)を次に使用してPVCを製造した。生じたPVCを3分間にわたり165℃に予備加熱し、次に2分間にわたり15te/inで加圧した。
【0072】
積分球および300nm−2500nmの波長範囲を有するUV/vis/NIR分光計を用いて反射スペクトルを測定した。反射率をこのデータからASTM E903に記述された方法に従い計算しそして50.87%であると測定された。
【0073】
実施例2. 1.4μmの平均粒子寸法を有する二酸化チタンおよび有機顔料PY180(クラリアント・ファスト・イエロー(Clariant Fast Yellow)H
G)、PR122(HPC PR1220)、PV23(チバ・クロモフタル・バイオレットGt)、PB15:3(HPC PB1530)、PBlack32(バスフ・パリオゲン・ブラック(BASF Paliogen Black)L0086)、PO71(チバ・イルガジン・DPP・コスモレイ(Ciba Irgazin DPP Cosmoray))を塗料成分系中で使用して着色された塗料をral標準6011、7010、7022および7034に適合させた。
【0074】
アクリル系樹脂、湿潤化および分散化添加剤、溶媒並びに指定された着色剤を使用して指定された顔料(PY180、PR122、PV23、PB15:3、PBlack32、PO71)の各々に関して濃縮着色剤を製造した。各成分の量は表6に指定されている。この濃縮着色剤を鋼バロティーニュで粉砕した。
【0075】
【表6】

【0076】
要求される濃縮着色剤の各々の表7に指定された量を採取しそして指定量の追加アクリル系樹脂と2分間にわたり激しく混合することにより着色された樹脂溶液を次に製造した。
【0077】
【表7】

【0078】
二酸化チタンを、表8に指定された量で、7.50gの着色された樹脂溶液に加えてミルベースを作成し、それを次に30秒間にわたり激しく混合した。この着色されたミルベ
ースを次にさらに13.00gの着色された樹脂と一緒にした。このミルベースを次にさらに2分間にわたり粉砕した。
【0079】
【表8】

【0080】
試験塗料を次に黒色基質上に番号6ワイヤー巻きアプリケーターを使用して約28ミクロンの乾燥フィルム厚さを与えるまで引きおろした。溶媒を自然蒸発させそしてパネルを次に105℃において30分間にわたりストーブ乾燥した。積分球および300nm−2500nmの波長範囲を有するUV/vis/NIR分光計を用いて反射スペクトルを測定した。反射率をこのデータからASTM E903に記述された方法に従い計算した。
【0081】
%TSRを、複合色無機顔料を使用して最適化された成分系に関する公共利用可能なTSR値から照合したデータと比較した。既知のTSRデータはASTM E903(300nm−2500nmに関する加重座標)に従い、トップコートおよびプライマー上で測定して、計算されると報告されていた。太陽反射率は黒色基質上で測定されたため本発明の成分系はそのために最適されていなかったが、本発明の成分系に関する%TSRにおける有意な増加が依然としてあることは表9からわかる。
【0082】
【表9】

【0083】
実施例3. 4種の二酸化チタン平均粒子寸法(0.7ミクロン、1.1ミクロン、1.4ミクロン、および1.7ミクロン)並びに有機顔料PY180(クラリアント・ファスト・イエロー)HG)、PV23(チバ・クロモフタル・バイオレットGt)、PBlack32(バスフ・パリオゲン・ブラックL0086)を使用してral7024(グラファイトグレイ)を製造した。有機顔料を以上の表6に詳述されている通りにして濃縮着色剤に製造した。要求される濃縮着色剤の各々の表10に指定された量を採取しそして指定量の追加アクリル系樹脂と2分間にわたり激しく混合することにより着色された樹脂溶液を次に製造した。
【0084】
【表10】

【0085】
二酸化チタンを7.50gの着色された樹脂溶液に加えてミルベースを作成し、それを次に30秒間にわたり激しく混合した。この着色されたミルベースを次にさらに13.00gの着色された樹脂と一緒にした。このミルベースを次にさらに2分間にわたり粉砕した。これが全4種の塗料においてTiO 10%の容量濃度を生じた。
【0086】
塗料を次に基質上に番号150ワイヤー巻きアプリケーターを使用して約77ミクロンの乾燥フィルム厚さを与えるまで引きおろした。溶媒を自然蒸発させそしてパネルを次に105℃において30分間にわたりストーブ乾燥した。積分球および300nm−2500nmの波長範囲を有するUV/vis/NIR分光計を用いて反射スペクトルを測定した。合計太陽反射率をこのデータからASTM E903に記述された方法に従い計算しそして結果は表11に示される。
【0087】
【表11】

【0088】
0.7ミクロン粒子寸法TiOは最高のTSRを与えるが、TiOからのパステル化のために色を維持するために大量の有機物質を加える必要がある。1.1および1.4ミクロンTiOは依然として高いTSRを与えるが、0.7ミクロン粒子寸法TiOと比べて約2/3量の有機物質を使用する。
【0089】
以上で開示した主題は説明用であり限定用でないと考えるべきであり、そして添付された特許請求の範囲は本発明の真の範囲内に入る全てのそのような改変、強化、および他の態様を包括することが意図される。それ故、法律により許可される最大限度まで、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲およびそれらの同等物の最大許容解釈により決められるべきでありそして以上の詳細な記述により制限または限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)実質的にルチル結晶性質を有し且つ約0.5μm〜約2.0μmの間の平均粒子寸法を有する粒子物質並びに(2)約5,000mm−1もしくはそれ以上、好ましくは約10,000mm−1もしくはそれ以上、そしてより好ましくは約15,000mm−1もしくはそれ以上の可視光線域における最大吸光計数、および約500mm−1もしくはそれ以下、好ましくは約250mm−1もしくはそれ以下、そしてより好ましくは約100mm−1もしくはそれ以下の可視光線域における最大拡散係数および約50mm−1もしくはそれ以下、好ましくは約30mm−1もしくはそれ以下、そしてより好ましくは約10mm−1もしくはそれ以下の赤外線域における平均吸光計数を有する有機顔料を含んでなる着色された太陽反射性成分系。
【請求項2】
粒子物質が二酸化チタン、ドープされた二酸化チタンおよびそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項1の着色された太陽反射性成分系。
【請求項3】
粒子物質が、粒子物質の合計重量を基準として、70重量%より多い二酸化チタンを含有する、請求項1または2の着色された太陽反射性成分系。
【請求項4】
ドープされた二酸化チタンがチタン酸アンチモンニッケルである、請求項2または3の着色された太陽反射性成分系。
【請求項5】
ドープされた二酸化チタンがチタン酸アンチモンクロムである、請求項2または3の着色された太陽反射性成分系。
【請求項6】
二酸化チタンが約0.7μm〜約1.4μmの間の平均粒子寸法を有する、請求項1−3のいずれか1項の着色された太陽反射性成分系。
【請求項7】
二酸化チタンおよび/またはドープされた二酸化チタンがコーティングされた二酸化チタンまたはコーティングされたドープされた二酸化チタンである、請求項2−6のいずれか1項の着色された太陽反射性成分系。
【請求項8】
有機顔料がアゾ、アントラキノン、フタロシアニン、ペリノン/ペリレン、インジゴ/チオインジゴ、ジオキサジン、キナクリドン、イソインドリノン、イソインドリン、ジケトピロロピロール、アゾメチンおよびアゾメチン−アゾ顔料よりなる群から選択される、請求項1−7のいずれか1項の着色された太陽反射性成分系。
【請求項9】
実質的にルチル結晶性質を有し且つ約0.5μm〜約2.0μmの間の平均粒子寸法を有する粒子物質を約5,000mm−1もしくはそれ以上、より好ましくは約10,000mm−1もしくはそれ以上、そしてさらにより好ましくは約15,000mm−1もしくはそれ以上の可視光線域における最大吸光計数、約500mm−1もしくはそれ以下、より好ましくは約250mm−1もしくはそれ以下、そしてさらにより好ましくは約100mm−1もしくはそれ以下の可視光線域における最大拡散係数および約50mm−1もしくはそれ以下、より好ましくは約30mm−1もしくはそれ以下、そしてさらにより好ましくは約10mm−1もしくはそれ以下の近赤外線域における平均吸光計数を有する有機顔料と混合することを含んでなる着色された太陽反射性成分系を製造する方法。
【請求項10】
ベヒクル内部に分散された、実質的にルチル結晶性質を有し且つ約0.5μm〜約2.0μmの間の平均粒子寸法を有する粒子物質、並びに約5,000mm−1もしくはそれ以上、より好ましくは約10,000mm−1もしくはそれ以上、そしてさらにより好ましくは約15,000mm−1もしくはそれ以上の可視光線域における最大吸光計数、約500mm−1もしくはそれ以下、より好ましくは約250mm−1もしくはそれ以下、そしてさらにより好ましくは約100mm−1もしくはそれ以下の可視光線域における最大拡散係数および約50mm−1もしくはそれ以下、より好ましくは約30mm−1もしくはそれ以下、そしてさらにより好ましくは約10mm−1もしくはそれ以下の近赤外線域における平均吸光計数を有する有機顔料を含んでなる着色された組成物。
【請求項11】
有機顔料が、着色された組成物の合計重量を基準として、約0.1容量%〜約20容量%の量で存在し、そして粒子物質が、着色された組成物の合計重量を基準として、約0.5容量%〜約40容量%の量で存在する、請求項10の着色された組成物。
【請求項12】
ベヒクルがポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、フルオロポリマーまたはエポキシ樹脂を含んでなる合成または天然樹脂である、請求項10または11の着色された組成物。
【請求項13】
ベヒクルが担体または結合剤である、請求項10または11の着色された組成物。
【請求項14】
1種もしくはそれ以上の濃稠化剤、安定剤、乳化剤、肌理調整剤、付着促進剤、紫外線安定剤、艶消し剤、分散化剤、発泡防止剤、湿潤剤、合着剤、スペーサー粒子または殺細菌剤/殺真菌剤をさらに含んでなる請求項10−13のいずれか1項の着色された組成物。
【請求項15】
塗料、インキもしくはコーティングとしてのまたはそこから製品を形成しうる組成物としての請求項10−14のいずれか1項の着色された組成物の使用。
【請求項16】
ベヒクル内部に分散された、実質的にルチル結晶性質を有し且つ約0.5μm〜約2.0μmの間の平均粒子寸法を有する粒子物質並びに約5,000mm−1もしくはそれ以上、より好ましくは約10,000mm−1もしくはそれ以上、そしてさらにより好ましくは約15,000mm−1もしくはそれ以上の可視光線域における最大吸光計数、約500mm−1もしくはそれ以下、より好ましくは約250mm−1もしくはそれ以下、そしてさらにより好ましくは約100mm−1もしくはそれ以下の可視光線域における最大拡散係数および約50mm−1もしくはそれ以下、より好ましくは約30mm−1もしくはそれ以下、そしてさらにより好ましくは約10mm−1もしくはそれ以下の赤外線域における平均吸光計数を有する有機顔料を含んでなる1層の太陽反射性の着色されたコーティング。
【請求項17】
近赤外線の一部を吸収する基質をコーティングが被覆しそして層の厚さが入射した近赤外線の1%より多くが基質に到達するようなものである、請求項16の1層の太陽反射性の着色されたコーティング。
【請求項18】
コーティングが75もしくはそれ以下、好ましくは65もしくはそれ以下、より好ましくは55もしくはそれ以下、そしてさらにより好ましくは45もしくはそれ以下の明度値Lを有する、請求項16または17の1層の太陽反射性の着色されたコーティング。
【請求項19】
コーティングが30%より大きい、好ましくは35%より大きい、さらにより好ましくは40%より大きい、そしてさらにより好ましくは45%より大きい合計太陽反射率を有する請求項16−18のいずれか1項の1層の太陽反射性の着色されたコーティング。
【請求項20】
請求項16−19のいずれか1項に記載の1層の太陽反射性の着色されたコーティング
を含んでなる構造体。
【請求項21】
請求項16−19のいずれか1項の1層の太陽反射性の着色されたコーティングを構造体の1つもしくはそれ以上の表面に適用することを含んでなる構造体のエネルギー消費量を減少させる方法であって、1層の太陽反射性の着色されたコーティングが生ずるコーティングされた表面の表面温度を同色の非反射性コーティングでコーティングされた表面の表面温度に比べて低下させて構造体の内部を冷却するためにより少ないエネルギーを必要とする、方法。
【請求項22】
製品が75もしくはそれ以下、好ましくは65もしくはそれ以下、より好ましくは55もしくはそれ以下、そしてさらにより好ましくは45もしくはそれ以下の明度値Lを有する請求項10−14のいずれか1項の着色された組成物を含んでなる製品。
【請求項23】
製品が30%より大きい、好ましくは35%より大きい、より好ましくは40%より大きい、さらにより好ましくは45%より大きい合計太陽反射率を有する、請求項22の製品。
【請求項24】
1層の太陽反射性の着色されたコーティングとしての請求項10−14のいずれか1項の着色された組成物または請求項16−19のいずれか1項のコーティングの使用。
【請求項25】
構造体の1つもしくはそれ以上の表面が請求項16−19のいずれか1項に記載の1層の太陽反射性の着色されたコーティングでコーティングされている構造体。

【図1】
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【公表番号】特表2013−519780(P2013−519780A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553403(P2012−553403)
【出願日】平成23年2月11日(2011.2.11)
【国際出願番号】PCT/GB2011/050267
【国際公開番号】WO2011/101657
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(510286008)テイオキサイド・ユーロプ・リミテツド (6)
【Fターム(参考)】