説明

二酸化ハロゲンを安定化させ、且つその有効性を増大させる、組成物、装置、及び方法

二酸化塩素、特に亜塩素酸塩の電気分解を通じて生成された二酸化塩素の安定性及び/又は有効性を増大させる、組成物並びに方法。本発明は、さらに、本発明の安定化及び有効性増大組成物を含む、二酸化塩素を生成する電解装置、並びに本明細書に開示の二酸化塩素安定化・有効性増大組成物並びに装置の両方を使用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化ハロゲン、特に二酸化塩素の塩の電気分解を介して生成される二酸化ハロゲン(特に二酸化塩素)の安定性及び/又は有効性を増大させる組成物並びに方法に関する。本発明は、さらに、本発明の安定化・有効性増大組成物を含む、二酸化ハロゲンを生成する電解装置、並びに二酸化ハロゲン安定化・有効性増大組成物及び本明細書に開示の装置の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化塩素ClO2は、産業及び家庭のプロセスやサービスにおいて、また市販製品及び消費者製品に使用するのに、最も有効な漂白剤の1つである。分子に強い潜在的酸化能力があるので、消毒、滅菌、及び漂白を含めた多種多様な用途に理想的なものとなっている。水溶液中で百万分の1(1ppm)以下程度の二酸化塩素濃度が、細菌、ウイルス、かび、真菌、及び胞子を含めた多種多様な微生物を殺すことで知られている。より高い、数百ppmまでの二酸化塩素濃度は、紙パルプ工業、廃水処理、工業用水処理(例えば、冷却水)、果実・野菜の消毒、亜硫酸塩の油産業処理、繊維産業、及び医療廃棄物処理を含めた様々な用途で、多くの化合物のさらに強力な消毒、漂白、及び酸化をもたらす。
【0003】
二酸化塩素は、次亜塩素酸塩及び塩素のような一般的に使用される他の漂白物質を上回る利点を提供する。二酸化塩素は、フェノール化合物と反応してそれを破壊し、それによってフェノール系の味及び匂いを水から除去することができる。二酸化塩素は、また、シアン化物、硫化物、アルデヒド、及びメルカプタンを取り除くために、飲料水及び廃水を処理する際にも使用される。利用可能な塩素の点から見ると、ClO2の酸化能力は、塩素の2.5倍である。また、7よりも高いpHではその殺菌有効性が低下すると考えられている塩素/次亜塩素酸塩とは異なり、二酸化塩素の殺菌有効性は、7〜10のpHレベルで有効なままであると考えられている。加えて、二酸化塩素は、水中で適切な濃度範囲(すなわち、約100〜200ppm)においてC.パルヴム(C.parvum)のオーシスト(oocyst)を不活化することができるが、塩素/次亜塩素酸塩は、それらに対する耐性の理由から不活化することができない。次亜塩素酸塩及び塩素は、共に、ターゲットの構造に塩素分子を挿入することによって、漂白されたターゲットと反応する。この反応方式は、有効な可能性があるが、経済的意義(反応媒体から炭化水素を取り除くため)並びに安全及び環境的見地の両方から望ましくないことのある、1つ以上の塩素化生成物又は副生成物の形成をまねくおそれがある。加えて、次亜塩素酸塩及び塩素による漂白の工程は、漂白剤種自体の破壊をまねくので、その後の漂白には新しい塩素漂白剤の供給が必要になる。もう1つの欠点は、これら一般的に使用される2つの漂白物質によって殺そうとする特定の微生物が、特に低い塩素又は次亜塩素酸塩濃度で、時間とともに耐性を発達させるおそれがあることである。
【0004】
二酸化塩素は、一般に、水溶液中で最高約1%までの濃度で使用される。それは、高い水溶液中濃度においては、安定性が低く腐食性が高いので、輸送及び取り扱いが困難な物質である。このことから、エンドユーザーは、通常は亜塩素酸ナトリウム(NaClO2)又は塩素酸ナトリウム(NaClO3)のような前駆体を使用して、要求に応じて二酸化塩素を生成する必要があった。塩素酸ナトリウム塩から二酸化塩素を生成する典型的なプロセスは、酸触媒反応である。
【0005】
NaClO3+2HCl → NaCl+1/2Cl2+ClO2+H2
亜塩素酸ナトリウムは、より容易に二酸化塩素へと転換する。亜塩素酸ナトリウム塩から二酸化塩素を生成する典型的なプロセスは、酸触媒反応である。
【0006】
5NaClO2+4HCl → 4ClO2+5NaCl+2H2
二酸化ハロゲン(特に二酸化塩素)のための新規のオンデマンド(on-demand)生成装置をさらに特定することに加えて、生成した二酸化ハロゲン(特に)二酸化塩素を安定化させ、且つその有効性を増大させるように適合された組成物を特定する、同様に重要な必要も残っている。状況によっては、そのような組成物を使用すると、事前に生成された活性な二酸化塩素溶液の「貯蔵寿命」を最大限にすることによって、要求に応じた(on-demand)二酸化塩素生成の要求がいくらか解決される。また状況によっては、安定化・有効性増大組成物を特定すると、電気分解によるか別の方法によるかに関わらず、要求に応じた生成後の二酸化ハロゲン溶液の安定性及び性能を最大限にすることになる。いずれの場合にも、本発明の二酸化ハロゲン安定化・有効性増大組成物は、現在の二酸化塩素の使用に付随した、特に二酸化ハロゲン溶液の低い安定性に関する困難に対処し、それを解決する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、事前に生成されるか要求に応じて生成されるかに関わらず、二酸化ハロゲン(特に二酸化塩素)溶液を安定化させ、且つその有効性を増大させる、組成物、装置、及び方法に関する。本発明の安定化・有効性増大組成物は、事前に生成されるか要求に応じて生成されるかに関わらず、二酸化ハロゲン溶液に水酸化物イオン捕捉溶液及び/又は界面張力(IFT)低減剤を組み込む。二酸化ハロゲン(特に二酸化塩素)溶液に水酸化物イオン捕捉溶液を組み込むことは、得られる溶液のpHを制御し、それによって水酸化物イオン捕捉システムを使用しない場合よりも長い期間にわたって得られる溶液を安定化させる際に、重要な役割を果たす。さらに、水酸化物イオン捕捉システムとともに、又は水酸化物イオン捕捉システムとは独立に、二酸化ハロゲン溶液に界面張力(IFT)低減剤を組み込むと、得られる混合物の性能、抗菌性、及びその他を最大限にすると考えられている。
【0008】
ゆえに、本発明の第1の態様によれば、二酸化ハロゲン、特に二酸化塩素の安定性及び/又は有効性を増大させる組成物が開示且つ請求される。一態様では、水酸化物イオン捕捉システムを使用して、事前に生成されるか要求に応じて生成されるかに関わらず、二酸化塩素溶液を安定化させる組成物が開示される。他の態様では、界面張力(IFT)低減剤を組み込んだ、二酸化塩素溶液の有効性、抗菌性、及びその他を増大させる組成物が開示される。本発明のさらに他の態様では、水酸化物イオン捕捉システム及び界面張力(IFT)低減剤の両方を組み込んだ二酸化ハロゲン(特に二酸化塩素)溶液が開示且つ請求される。本発明のさらに他の態様では、本発明の安定化及び/又は有効性増大組成物は、得られる二酸化ハロゲン溶液に特定の審美的及び/又は性能利益をもたらすための1つ以上の補助剤成分をさらに含む。
【0009】
本発明の他の態様では、安定且つ有効な二酸化ハロゲン、特に二酸化塩素の要求に応じた生成のための電解装置が開示且つ請求される。本発明の一態様では、前記装置は、その中で生成された二酸化ハロゲンの安定化のための水酸化物イオン捕捉システムを組み込む。本発明の他の態様では、本明細書に開示の電解装置は、生成した二酸化ハロゲンの有効性を最大限にするために界面張力(IFT)低減剤を組み込む。本発明のさらに他の態様では、本明細書に開示の電解装置は、水酸化物イオン捕捉溶液及び界面張力(IFT)低減剤の両方を組み込む。装置の精密な構成及び/又は組成物の性質は、配合者の需要及び/又は能力、並びに装置の使用が意図される目的によって決まる。
【0010】
本発明の他の態様では、事前に生成されるか要求に応じて生成されるかに関わらず、二酸化ハロゲン(特に二酸化塩素)溶液を安定化させ、且つ/又はその有効性を増大させる方法が開示される。本発明の一態様では、二酸化ハロゲン、特に二酸化塩素を安定化させる方法が提供される。本発明の他の態様では、二酸化ハロゲン、特に二酸化塩素の有効性を増大させる方法が提供される。他の態様では、本組成物を使用して表面を衛生的且つ/又は清浄にする方法が提供される。前記方法は、一般に、安定性及び/又は有効性の増大が望まれる二酸化ハロゲン溶液に、前述した二酸化ハロゲン安定化及び/又は有効性増大組成物の1つ以上を適用するものである。本発明の他の態様では、本明細書に開示の方法は、要求に応じて生成された二酸化ハロゲンを安定化させ、且つ/又はその有効性を増大させるために本組成物を用いる電解装置の使用に関する。本明細書に開示の他の方法は、衛生的且つ/又は清浄にすることが望まれる基材上に適用するための、請求する装置及び組成物の使用に関する。本明細書に開示した(また以下でさらに論じる)各方法の精密な諸工程は、二酸化ハロゲン溶液に組み込むことが求められる安定化及び/又は有効性増大組成物、配合者の具体的な需要及び/又は能力、並びに本明細書で請求する方法の使用が望まれる用途によって決まる。
【0011】
本発明のさらに他の態様では、本明細書に記載の溶液及び/又はシステムの、様々な製品及び/又は物理形態が開示される。本発明の一態様では、本明細書に記載の溶液及び/又はシステムを含む拭き取り用品が開示される。本発明の他の態様では、本明細書に記載の溶液及び/又はシステムは、ガス状の形態で提供される。本発明のさらに他の態様では、本明細書に記載の溶液及び/又はシステムは、固体の形態で提供される。本発明のさらに他の態様では、本明細書に記載の溶液及び/又はシステムは、ゲルの剤形で提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書で使用する時、「安定化」は、二酸化ハロゲン、好ましくは二酸化塩素溶液中で水酸化物イオン捕捉システムを使用して、得られる溶液の安定性がそのようなシステムを使用しない二酸化ハロゲン溶液の安定性よりも高くなるように、前記溶液の水酸化物イオン濃度を制御することを指すものとする。この点で、用語「安定性の増大」は、その形成に続く3時間後に、25℃で測定される、安定化システムを含まない対応する二酸化ハロゲンの濃度に対して、その形成に続く3時間後に、25℃において二酸化ハロゲン濃度が少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約10%高い、水酸化物イオン捕捉システムを含む二酸化ハロゲン溶液を指すものとする。
【0013】
本明細書で使用する時、「有効性増大」は、二酸化ハロゲン、特に二酸化塩素溶液に1つ以上の抗菌性能及び/又は審美的利益をもたらすために、前記溶液に水酸化物イオン捕捉剤及び/又はIFT低減剤を組み込むことを指すものとする。前記利益としては、決してこれらに限定するものではないが、抗菌溶液における抗菌的殺菌及び/又は対数的減少の増大、臭気除去、選択的漂白、若しくは色の修飾の改善、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。この点で、用語「抗菌性能の増大」は、水酸化物イオン捕捉剤又はIFT低減剤を含まない対応する二酸化ハロゲン溶液よりも微生物数削減が少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約10%多い、水酸化物イオン捕捉剤及び/又はIFT低減剤を含む二酸化ハロゲン溶液を指すものとする。
【0014】
本明細書で使用する時、「水酸化物イオン捕捉システム」は、二酸化ハロゲン(又は二酸化塩素)溶液中で使用でき、そのように使用すると、特に水酸化物イオン捕捉剤を組み込んでいない溶液の安定性と比べたときに、前記溶液の安定性を増大できる、任意の剤を指すものとする。実際、本発明の水酸化物イオン捕捉剤及び/又はシステムは、二酸化ハロゲンの濃度を、形成に続く3時間後に、25℃において、安定化システムを含まない対応する二酸化ハロゲンの濃度(やはりその形成に続く3時間後に、25℃で測定される)に比べて、少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約10%増大させるように適合される。
【0015】
本明細書で使用する時、語句「IFT低減剤」及び/又は「IFTシステム」は、二酸化ハロゲン、特に二酸化塩素溶液の有効性、抗菌性、及びその他を増大させるために前記溶液に組み込むのに適した1つ以上の剤を指すものとする。本発明の二酸化ハロゲン有効性増大組成物で使用するのに適した剤については、以下でより詳細に論じる。
【0016】
本明細書で使用する時、用語「事前に生成された」又は「事前生成」は、その意図される展開の約3時間前よりも、好ましくは約2時間前よりも、より好ましくは約1時間前よりも前の、二酸化ハロゲン、より具体的には二酸化塩素の生成を指すものとする。そのような生成は、二酸化塩素の展開が望まれる場所以外の場所で実施されてもよいが、意図される展開と同一の場所で実施されてもよい。
【0017】
本明細書で使用する時、用語「要求に応じた/オンデマンド(on-demand)」は、意図される展開の時間よりも約3時間未満前、好ましくは約2時間未満前、より好ましくは約1時間未満前の、二酸化ハロゲン(又は二酸化塩素)の生成を指すものとする。本発明の一態様では、「要求に応じた/オンデマンド」は、約1秒未満での二酸化ハロゲンの生成を指すものとする。二酸化塩素の「要求に応じた/オンデマンド」生成は、通常、以下で開示且つ記載するような電解装置の使用を介して達成されてよい。
【0018】
本明細書で使用する時、用語「清浄化及び/又は消毒」は、不必要な汚染物質の除去及び/又は不活化を目的として表面又は環境に組成物を適用する(その後所望により除去する)プロセスを指すものとする。
【0019】
(二酸化ハロゲンを安定化させ、且つ/又はその有効性を増大させる組成物)
(水酸化物イオン捕捉システム)
本発明の第1の態様では、二酸化ハロゲン、特に二酸化塩素を安定化させ、且つ/又はその有効性を増大させる組成物が開示される。本発明の一態様では、そのような組成物は、水酸化物イオン捕捉システムを含む。本発明の水酸化物イオン捕捉システムは、それが添加される二酸化塩素溶液のpHを制御するように適合されたヒドロキシルイオン反応剤を含む。ヒドロキシルイオン反応剤の添加を通じて二酸化塩素溶液のpHを制御することによって、溶液は、長期にわたる安定性を示す。理論に束縛されるものではないが、この長期にわたる安定性は、溶液中のヒドロキシルイオン濃度を低下させて、それと溶解した二酸化塩素との相互作用を低減することに起因すると考えられている。この長期にわたる安定性は、また、低いpHにおける酸性反応の可能性にも関係していることがある。ヒドロキシルイオン濃度を低下させて二酸化塩素を安定化させることは、静止溶液でも、また二酸化ハロゲン溶液の乱流スプレー又は噴霧の場合のように高い剪断力を受ける溶液でも、同様に有用である。
【0020】
一般に、本発明の水酸化物イオン捕捉システムは、水酸化物イオン捕捉システムを含む二酸化塩素溶液全体の約0.001〜約10重量%、好ましくは0.01〜約7.5重量%、より好ましくは0.05〜約5重量%、最も好ましくは0.1〜約2.5重量%の濃度で、二酸化塩素溶液中で使用される。二酸化塩素溶液を安定化させるのに必要な水酸化物イオン捕捉剤の正確な量が、これらに限定するものではないが、水酸化物イオン捕捉剤の性質、安定性の増大をもたらすことが望まれる二酸化ハロゲン溶液の濃度、及び検討している二酸化ハロゲン溶液の生成方法を含めた多くの因子によって決まることが、当業者には容易に理解されよう。本発明で使用するのに適した水酸化物イオン捕捉剤は、有機酸、有機酸の塩、無機酸、無機酸の塩などから成る群から選択される。本発明の水酸化物イオン捕捉剤が、あらゆる二酸化ハロゲン溶液を安定化させるように適合されることに留意すべきである。
【0021】
(界面張力(IFT)低減システム)
本発明の他の態様では、二酸化ハロゲン溶液を安定化させ、且つ/又はその有効性を増大させる、界面張力(IFT)低減システムが開示される。理論に束縛されるものではないが、二酸化ハロゲン(特に二酸化塩素)溶液に1つ以上のIFT低減剤を添加すると、得られる系の界面張力を低減することによって前記溶液の有効性を増大させる総体的な効果をもたらすと考えられている。理論に束縛されるものではないが、本発明のIFT低減剤は、2つの物理相の間の境界面における張力を低減し、それによって該境界面を拡張させるのに必要な仕事及び/又はエネルギーのレベルを低減するように適合されると考えられている。本IFT低減剤が低いエネルギーで境界面の拡張に働きかける能力は、二酸化ハロゲン(特に二酸化塩素)の浸透及び境界面暴露の増大を促進すると考えられている。さらに、本発明のIFT低減剤は、二酸化ハロゲンと相まって相乗効果を示し、それによって微生物の構造及びタンパク質の変性を促進することができる。さらに、空気境界面のところに界面活性剤の単層を形成する界面活性剤を使用して、周囲の空気への二酸化ハロゲンの分配を調節できると考えられている。これは、チャンバー、スプレー、又は他の手段を介するかどうかに関わらず、本IFT低減剤を含む二酸化ハロゲン溶液が汚染除去の場面で使用される状況において、特別の関心事になることがある。
【0022】
使用されるスプレー装置及びIFT低減剤に応じて、スプレーされる二酸化ハロゲン水溶液の粒径を特定の用途のために制御且つ最適化することができる。場合によっては、非常に小さい粒径が、界面活性剤のバリア効果に打ち勝つほどに表面積を増大させて、ガス/空気相への二酸化ハロゲン(二酸化塩素)の分配の促進に役立つことがある。そのような場合、水性の二酸化塩素暴露からガス相の二酸化塩素暴露への遷移が起こり、それが、水性分散体を使用して到達するのが困難な領域に対象組成物を放出する際に有益なことがある。小さい粒径の使用は、また、基材と水溶液との接触が望ましくない状況で望ましいこともある。同様に、表面上の多量の泡も、溶液から周囲雰囲気へと二酸化ハロゲンが失われるのを妨げる、追加的な物理バリアの働きをすることがある。
【0023】
言うまでもなく、ここでの有効性増大IFT低減システムの精密な組成は、得られる二酸化塩素溶液の使用が望まれる目的、並びに配合者の需要及び/又は能力によって決まる。とは言うものの、好ましくは本発明のIFT低減システム及び/又は剤は、IFT低減システム含有二酸化ハロゲン溶液全体の約0.00001〜約10重量%、好ましくは約0.0001〜約5重量%、より好ましくは約0.0005〜約2重量%、最も好ましくは0.001〜約1重量%の濃度で二酸化ハロゲン溶液に組み込まれる。言うまでもなく、本発明の特に好ましい一実施形態では、本明細書に開示のIFT低減剤は、以上に列挙した量で、安定性及び/又は有効性の増大が望まれる二酸化塩素溶液に組み込まれる。
【0024】
多種多様なIFT低減剤を使用して、本発明に従って二酸化ハロゲン溶液を安定化させ、且つ/又はその有効性を増大させることができる。本明細書にはそのような剤が幾つか含まれているが、他の剤が、それらが添加される二酸化ハロゲン溶液の有効性を増大させる際に同様の利益を提供できることを理解すべきである。実際、本発明の目的でIFT低減剤として使用できる幾つかの部類の剤が存在する。これらの部類としては、決してこれらに限定するものではないが、IFT低減ポリマー、IFT低減溶媒、IFT低減界面活性剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。本発明の特に好ましい一態様では、本明細書に開示した本IFT低減剤によって得られる前述の利益をもたらすために、二酸化ハロゲン溶液中でIFT低減界面活性剤が使用される。本明細書に開示の二酸化ハロゲン溶液の効果及び/又は性能を増大させる際に使用するためのIFT低減界面活性剤は、非イオン性、陰イオン性、両性、両染性(amphophilic)、双イオン性、陽イオン性、半極性非イオン性、及びこれらの混合であり得る。そのような界面活性剤の非限定例は、米国特許第5,707,950号及び同第5,576,282号に開示されており、それらを本明細書に参考として組み込む。これらの界面活性剤の陰イオン性、非イオン性、両性、及び双イオン性の部類並びに種の典型的なリストは、米国特許第3,664,961号(ノリス(Norris)、1972年5月23日発行)に与えられており、それを本明細書に参考として組み込む。
【0025】
本明細書で有用なIFT低減界面活性剤の非限定例としては、いわゆる狭ピーク型(narrow peaked)アルキルエトキシレート及びC6〜C12アルキルフェノールアルコキシレート(特にエトキシレート及びエトキシ/プロポキシ混合)を含めた、約1〜22のEOを含む通常のC8〜C18アルキルエトキシレート及び/又はアルコールエトキシレート(AE)、アルキルジアルキルアミンオキシド、アルカノイルグルコースアミド、C11〜C18(線状)アルキルベンゼンスルホネート(LAS)並びに一級、二級、及びランダムアルキルサルフェート(AS及び/又はSAS)、C10〜C18アルキルアルコキシサルフェート(AES)、C10〜C18アルキルポリグリコシド及びそれらの対応する硫酸化ポリグリコシド(APG)、C12〜C18α−スルホン化脂肪酸エステル、C12〜C18アルキル及びアルキルフェノールアルコキシレート(特にエトキシレート及びエトキシ/プロポキシ混合)、C12〜C18ベタイン及びスルホベタイン(「スルタイン」)、C10〜C18アミンオキシド、αオレフィンスルホネート(AOS)、アルコールエトキシサルフェート、パラフィンスルホン酸ナトリウム、アミドプロピルアミン、アルキルN−メチルグルカミド、ニトリロ三酢酸(NTA)、天然脂肪酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。他の従来の有用な界面活性剤は、標準テキストに列挙されている。
【0026】
本発明の他の態様では、安定性及び/又は有効性の増大をもたらすことが望まれる二酸化ハロゲン(特に二酸化塩素)溶液に、IFT低減ポリマー及び/又はIFT低減溶媒が組み込まれる。本発明の状況で使用するのに適したIFT低減ポリマーとしては、決してこれらに限定するものではないが、ポリオキシアルキレンブロックコポリマーが挙げられる。実際、本発明の状況でIFT低減剤として使用するのに適したIFT低減溶媒としては、決してこれらに限定するものではないが、プロピレングリコールn−プロピルエーテルのようなグリコールエーテルが挙げられる。言うまでもなく、本発明の状況で使用するための適切なIFT低減剤の選択は、幾つかの因子に左右され、そのような因子を幾つか挙げれば、(1)二酸化ハロゲンとIFT低減剤との間の十分な化学的適合性、(2)安定性及び/又は有効性の増大をもたらすことが望まれる二酸化ハロゲン溶液の性質、(3)得られるIFT低減剤含有二酸化ハロゲン溶液の展開が望まれる目的、並びに(4)本組成物の配合者の需要及び/又は能力が挙げられる。
【0027】
(水酸化物イオン捕捉システム及びIFT低減システム)
本発明の他の態様では、本明細書に開示の二酸化ハロゲン組成物は、水酸化物イオン捕捉システム及びIFT低減システムの両方を含む。このような組成物は、二酸化ハロゲン、特に二酸化塩素を長期にわたって安定化させ、前記溶液に特定の審美的且つ/又は性能利益をもたらすように適合される。実際、驚いたことに、二酸化ハロゲン溶液中で水酸化物イオン捕捉システム及びIFT低減システムの両方を使用することによって相乗効果が示されることが発見されており、本開示を通じてそれが実証される。理論に束縛されるものではないが、水酸化物イオン捕捉剤と界面活性剤のようなIFT低減剤とを併用すると、劣化の抑制を通じてより高い固有二酸化ハロゲン濃度を維持しながら、界面張力の低減により最大の表面積被覆を促進することによって所望の境界面に放出される二酸化ハロゲンの量を最大限にするという不可欠な目的を果たすと考えられている。実際、本発明の水酸化物イオン捕捉システム及びIFT低減システムは、組み合わせて使用されるときには、水酸化物イオン捕捉システム及び界面活性剤システム含有二酸化塩素溶液全体の約0.00001〜約15重量%、好ましくは約0.0001〜約10重量%、より好ましくは約0.0005〜約5重量%、最も好ましくは約0.001〜約2.5重量%の量で存在する。
【0028】
(補助剤成分)
本発明のさらに他の態様では、本明細書に開示の二酸化ハロゲン安定化・有効性増大組成物は、得られる組成物に審美的及び/又は性能利益を提供する1つ以上の補助剤成分を含む。本発明の一態様では、水酸化物イオン捕捉物含有組成物は、1つ以上の補助剤成分(以下でさらに論じる)を含む。本発明の他の態様では、IFT低減システム含有組成物は、1つ以上の補助剤成分を含む。本発明のさらに他の態様では、本明細書に開示の補助剤成分は、水酸化物イオン捕捉システム及びIFT低減システムの両方を含む二酸化ハロゲン溶液に組み込まれる。
【0029】
本発明の目的には必須ではないが、以下で示す幾つかの従来の清浄化補助物質は、本組成物で使用するのに適しており、例えば、清浄化性能を補助若しくは向上させるために、清浄化すべき基材の処理のために、又は香料、着色剤、染料などの場合のように本組成物の審美性を変化させるために、本発明の好ましい実施形態に望ましくは組み込んでよい。これら追加構成成分の精密な性質及びその組み込み濃度は、組成物の物理形態並びにその使用が意図される清浄化操作の性質によって決まる。
【0030】
本発明の二酸化ハロゲン(特に二酸化塩素)安定化・有効性増大組成物に組み込むのに適した補助剤としては、決してこれらに限定するものではないが、米国特許第5,705,464号、同第5,710,115号、同第5,698,504号、同第5,695,679号、同第5,686,014号、及び同第5,646,101号に記載されているような、漂白システム、酵素及び酵素安定剤、ビルダー、分散剤、汚れ放出剤、キレート剤、抑泡剤、柔軟化剤、移染防止剤、非リン酸塩ビルダー、カラースペックル(color speckles)、シルバーケア、変色防止及び/又は防食剤、染料、フィラー、殺菌剤、アルカリ性源、ヒドロトロープ、酸化防止剤、香料、可溶化剤、キャリア、加工助剤、色素、及びpH調整剤が挙げられ、これらの特許を本明細書に参考として組み込む。
【0031】
(安定化・有効性増大組成物を含む装置)
本発明の他の態様では、前述した態様の安定化及び/又は有効性増大組成物を含む装置が、開示且つ請求される。前記装置は、一般に、要求に応じて(以上で定義した通り)、二酸化ハロゲン塩前駆体から二酸化ハロゲンを生成するように適合されたものに限定される。とは言うものの、本発明の安定化・有効性増大組成物をさらに使用して、事前に生成された二酸化ハロゲンを安定化させ、且つ/又はその有効性を増大させることができる。本発明の安定化・有効性増大組成物と併せて使用するのに適した電解装置の詳細な記述は、米国特許出願第09/947,846号(2001年9月20日に米国特許商標局に出願、2003年1月09日に公開)に含まれている。この出願の全体を参考として本明細書に組み込む。
【0032】
本発明の一態様では、本明細書に開示の安定化及び/又は有効性増大システムと共に使用するのに適したオンデマンド(on-demand)生成装置は、陽極と陰極の間の供給水溶液を流れる電流を使用し、該溶液中に溶解した二酸化ハロゲン塩前駆体を二酸化ハロゲンへと転換させる。水溶液が電解セルのチャンバー内を流れ、電流が陽極と陰極の間を流れる際に、水、並びに水溶液中に含有される他の1つ以上の塩又はイオンに関わる、幾つかの化学反応が起こる。これらの化学反応、並びに本発明のこの態様に従って使用できる生成装置の他の特徴については、同時係属中の米国特許出願第09/947,846号(2001年9月20日に米国特許商標局に出願)に記載されている。本出願人らは、これによって、この特許出願の主題、特に本発明の状況で使用するためのオンデマンド生成装置の精密な特徴に関するその開示を本明細書に組み込む。
【0033】
(多数のチャンバーを含む電解装置)
本発明のさらに他の態様では、米国特許出願第09/947,846号(本明細書に参考として組み込まれる)に記載のオンデマンド生成装置は、本発明の安定化・有効性増大組成物を形成するために、2つ以上の溶液の混合を促進する追加のチャンバーを含んでよい。実際、得られる二酸化ハロゲン溶液の使用が望ましくなるまで混合を遅らせるために対象組成物を隔てることは、亜塩素酸塩を使用するときに特に有用であり、全混合物は、約7未満、好ましくは約5未満のpHを含む。本発明の一態様では、これは、亜塩素酸塩溶液と低いpHの界面活性剤溶液とを隔てることによって達成される。本発明のさらに他の態様では、これは、界面活性剤を含有する亜塩素酸塩溶液と、他の成分を有する低いpHの第2の溶液とを隔てることによって達成される。
【0034】
この「要求に応じた(on-demand)」生成の場合、本発明による電気分解は、多数の方法で実施することができる。それでもやはり、いずれの場合にも、亜塩素酸塩を主体とする溶液又は得られる混合物の下流で電気分解を実施するべきである。本発明の一態様では、これは、2つの流れを混合し、続いて亜塩素酸塩(岩塩(halite))の流れを電気分解することによって達成される。本発明のさらに他の態様では、要求に応じた電気分解は、2つの流れを混合することによって達成することができ、前記混合工程は、亜塩素酸塩を含有する全混合物の電気分解よりも前に実施される。
【0035】
本発明の実施者には、前述した必要な混合を達成するように適合された、幾つかのメカニズムが存在することが理解されよう。本発明の一態様では、必要な混合を達成するために、両方の流れを引き付けるのに十分な吸引力を生み出すように適合された1つの共通ポンプが使用される。本発明のさらに他の態様では、1つの流れを引き付けるためにポンプが使用され、その排出後に引き付けて第2の流れに混合するためにベンチュリが使用される。本発明のさらに他の態様では、ポンプ後に混合される別々の流れを引き寄せる、2つのポンプが使用される。本発明の他の態様では、ポンプ若しくはベンチュリの前又は後で電気分解を実施することができる。とは言うものの、一般に、電気分解の間に形成されるガスによって引き起こされるポンプ性能に対する悪影響を防ぐために、流れが送り出された後で電気分解に携わるように適合された装置を使用することが、より実用的である。
【0036】
本発明の他の態様では、安定化・有効性増大組成物を生成する装置は、電気分解による二酸化ハロゲン(二酸化塩素)の形成だけに限定されない。具体的には、2つ以上の溶液の混合物に関連する前述の態様を、混合すると化学反応によって二酸化ハロゲンが生成されるように構築且つ/又は構成することができる。そのような構成の非限定例としては、岩塩の酸性化による二酸化ハロゲン生成を促進するために、低いpHの溶液と岩塩の溶液とを混合することが含まれる。そのような場合、迅速な二酸化ハロゲン形成のためには、約2未満のpHが好ましい。他の例は、低いpHで液体の次亜塩素酸塩溶液と過剰な亜塩素酸塩を含有する溶液とを混合して、二酸化塩素を形成することに関する。そのような場合、約4未満のpHが好ましい。化学的手段を通じて二酸化ハロゲンを形成する場合、2つ(又はそれ以上)の流れを混合するときには、混合は、これらに限定するものではないが、両方の流れを引き付けるための吸引力を生み出す1つの共通ポンプ、1つの流れのためのポンプとその排出後にその排出を取り込みとして使用して第2の流れに混合するベンチュリ、並びにポンプ後に混合される別々の流れを引き寄せる2つのポンプを含め、多数のメカニズムを介して達成することができる(前述の通り)。
【0037】
本発明のさらに他の態様では、塩素から二酸化塩素への電気分解を促進するために追加の塩化物が使用されるときには、Cl-から次亜塩素酸OCl-への電気分解の副反応を、特定の酸性緩衝剤の形態のヒドロキシルイオン捕捉剤を用いて制御することができる。一態様では、例えば抗菌的な有効性の増大が望まれる状況では、二酸化塩素と共に幾らかのOCl-が存在することが望ましいことがある。そのような場合、ヒドロキシルイオン捕捉剤を用い、且つ最終的なpHを約2〜約7の間で制御することによって、OCl-イオンからHOClへの転換を促進することができる。抗菌的な有効性のためには、HOClが一般的に使用が好ましい種である。約7よりも高いpHでは、OCl-が優勢な種であり、約2未満のpHでは、Cl2が優勢である。次亜塩素酸塩種の存在が望ましくない状況では、溶液を、電気分解で反応していない過剰な亜塩素酸塩を生成するように配合してよい。この過剰な亜塩素酸塩は、後で、電気分解で生成されたHOClと反応して、さらなる二酸化塩素を形成することができる。この種の反応に好ましいpHは、約4未満である。
【0038】
(実質的な膜)
本発明のさらに他の態様では、本発明による電解装置は、実質的な(例えば、うわべの、みせかけの)膜が形成されるように構成された平行平板電極をさらに含む。本発明の実質的な膜は、永久的な物理的膜ではなく、むしろ、電気分解を受けている流動性溶液の流れの特性によって形成される流体状の膜である。具体的には、本明細書に開示の電解装置の平行平板内の流れは、流体に関係したレイノルズ数が約2000未満になるように制御される。理論に束縛されるものではないが、レイノルズ数を約2000未満に維持すると、平板に平行な、平面形態に構成された電解セル内の流体の流れの型が構築される。この構成は、印加される電位の結果として溶液中のイオンの横方向の輸送を促進し、同時に、電解板に垂直なバルク流体の混合を最小限に抑え、且つ/又はなくして、電解反応の副生成物の望ましくない共存(juxtaposition)及び/又は反応を防ぐと考えられている。本明細書に開示の電解装置の状況におけるこの実質的な膜の応用例についての説明を、本開示の「実施例」の項で提供する。
【0039】
(安定化及び/又は有効性増大組成物並びに電解装置の使用方法)
本発明のさらに他の態様では、二酸化ハロゲン(特に二酸化塩素)を安定化させ、且つその有効性を増大させる方法が開示される。一態様では、二酸化ハロゲン溶液を安定化させる方法が開示される。前記方法は、本発明の第1の態様による水酸化物イオン捕捉溶液を、安定性の増大が望まれる二酸化ハロゲン溶液、好ましくは二酸化塩素溶液に組み込む工程を含む。本発明の他の態様では、二酸化ハロゲン溶液の有効性を増大させる方法が開示される。前記方法は、一般に、本発明の第1の態様によるIFT低減剤及び/又はシステムを、有効性及び/又は性能の増大が望まれる二酸化ハロゲン溶液、好ましくは二酸化塩素溶液に組み込む工程を含む。本発明のさらに他の態様では、二酸化ハロゲン溶液を安定化し、且つその有効性を増大させる方法が開示される。前記方法は、一般に、水酸化物イオン捕捉溶液並びにIFT低減システム及び/又は剤の両方を、安定性及び/又は有効性の増大が望まれる二酸化ハロゲン溶液、好ましくは二酸化塩素溶液に添加する工程を含む。
【0040】
本発明の他の態様では、電気分解を通じて生成された二酸化ハロゲン(特に二酸化塩素)溶液を安定化させ、且つ/又はその有効性を増大させる方法が開示される。前記方法は、本発明の安定化及び/又は有効性増大組成物を、岩塩を電気分解するように適合された装置(前述の通り)に導入する工程と、前記安定化及び/又は有効性増大組成物と得られる二酸化ハロゲン混合物との混合を促進する工程とを含む。
【0041】
(二酸化ハロゲン溶液、水酸化物イオン捕捉システムを含む二酸化ハロゲン溶液、及び/若しくはIFT低減システムを含む二酸化ハロゲン溶液を含む、製品並びに/又は物理形態)
本発明のさらに他の態様では、本明細書に記載の溶液及び/又はシステムの様々な製品形態が提供される。実際、本発明の一態様では、本明細書に記載の溶液及び/又はシステムは、ゲルへと配合される。本発明のこの態様によれば、二酸化ハロゲン溶液、水酸化物イオン捕捉システムを含む二酸化ハロゲン溶液、及び/又はIFT低減システムを含む二酸化ハロゲン溶液にいずれか適した増粘剤を添加することによってゲルを配合してよい。理論に束縛されるものではないが、本溶液及び/又はシステムをそのようなゲルに組み込むと、主題溶液及び/又はシステムの輸送が望まれるターゲット表面及び/又は基材へのゲルの接着を促進すると考えられている。さらに、理論に束縛されるものではないが、本システムをゲルへと配合すると、雰囲気への二酸化ハロゲンの物質移動及び/又は喪失を制限することによって劣化の軽減がもたらされると考えられている。本発明が関係する分野の技術者には、このゲルの配合に使用するのに適した多数の増粘剤及び方法が容易に理解されよう。
【0042】
本発明のさらに他の態様では、本明細書に記載の溶液及び/又はシステムは、拭き取り製品に組み込まれる。本発明のこの態様では、二酸化ハロゲンは、拭き取り用品中又は拭き取り用品上に反応種を封入することによって生成される。次いで、該拭き取り用品に剪断力を加えて、且つ/又は1つ以上の二酸化ハロゲン塩前駆体を含む拭き取り用品を電気分解することによって、拭き取り用品を「活性化」させ、それによって二酸化ハロゲンを生成してよい。本発明の他の態様では、1つ以上の二酸化ハロゲン塩前駆体を含む拭き取り用品は、二酸化ハロゲン塩前駆体の電気分解がそれらの間で起こる電解プレートを通過する、且つ/又は該電解プレート間を通ることによって、電気分解される。本発明のさらに他の態様では、本明細書に開示の溶液及び/又はシステムの1つ以上を含む拭き取り用品は、チャンバー内で処理されてよく、該チャンバー内で、前記拭き取り用品に含まれる二酸化ハロゲン塩前駆体が電気分解されて二酸化ハロゲンを生成する。本発明のさらに他の態様では、本明細書に開示の拭き取り用品は、意図される使用の前に二酸化ハロゲン溶液でスプレーされる。本発明のさらに他の態様では、水酸化物イオン捕捉システム及び/又はIFT低減システムを含む拭き取り用品は、意図される使用の前に二酸化ハロゲン溶液でスプレーされる。
【0043】
本発明のさらに他の態様では、本明細書に開示のシステム及び/又は溶液は、安定化された且つ/又は有効な二酸化ハロゲンの輸送が望まれる表面及び/又は領域を燻蒸消毒するように適合された、エアゾール及び/又はガス状相へと配合される。本発明の一態様では、二酸化ハロゲン溶液は、エアゾール及び/又はガス状相で提供される。本発明のさらに他の態様では、水酸化物イオン捕捉システムを含む二酸化ハロゲン溶液及び/又はIFT低減システムを含む二酸化ハロゲン溶液は、エアゾール及び/又はガス状相で提供される。本発明のさらに他の態様では、本明細書に開示の二酸化ハロゲン溶液、水酸化物イオン捕捉システムを含む二酸化ハロゲン溶液、及び/又はIFT低減システムを含む二酸化ハロゲン溶液は、ターゲット表面に輸送するための固相で提供される。
【0044】
(調製例)
実施例1:水酸化物イオン捕捉システムを含む二酸化塩素溶液。以下は、クエン酸の形態の水酸化物イオン捕捉剤を含有する二酸化塩素溶液の一例である。この溶液は、約120ppmの二酸化塩素を含有する。
【0045】
【表1】

【0046】
実施例2:界面活性剤システムを含む二酸化塩素溶液
以下は、陰イオン性界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を含有する二酸化塩素溶液の一例である。この溶液は、約120ppmの二酸化塩素を含有する。
【0047】
【表2】

【0048】
実施例3:界面活性剤システムを含む二酸化塩素溶液
以下は、非イオン性界面活性剤であるAPG若しくはアルキルポリグルコシド(商品名グルコポン(Glucopon))を含有する二酸化塩素溶液の一例である。この溶液は、約120ppmの二酸化塩素を含有する。
【0049】
【表3】

【0050】
実施例4:水酸化物イオン捕捉システム及び界面活性剤システムを含む二酸化塩素溶液
以下は、水酸化物イオン捕捉剤であるクエン酸と、陰イオン性界面活性剤であるSLSとを含有する、二酸化塩素溶液の一例である。ヒドロキシルイオン源は、クエン酸と相互作用して混合物のpHを約4に調節するために添加される。この溶液は、約100ppmの二酸化塩素を含有する。
【0051】
【表4】

【0052】
実施例5:水酸化物イオン捕捉システム及び界面活性剤システムを含む装置
同時係属中の米国特許出願第09/947,846号(2001年9月20日公開、本明細書に参考として組み込む)の図1に描かれている一般設計の電解セルを使用して、亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液を、二酸化塩素を含む流出溶液へと転換させた。電解セルは、約0.19mmの通路ギャップを有する、向かい合う1対の電極を備えていた。陽極は、ES300、すなわち酸化ルテニウム及び酸化イリジウムでコーティングされたチタン製であった。陰極は、201ステンレス鋼製であった。平板電極の寸法は、長さ75.2mm×幅25.4mmであった。
【0053】
10リットルの脱イオン水と、62.6gの工業銘柄亜塩素酸ナトリウムストック(80%活性、アルドリッチ・ケミカル・カンパニー・インコーポレーテッド(Aldrich Chemical Company,Inc)、53233ウィスコンシン州ミルウォーキー、カタログ番号24415−5)とを、溶解するまで攪拌棒を用いて混合して、5000ppmの亜塩素酸ナトリウム塩溶液を形成することによって、供給水溶液を調製した。供給水溶液を、光を通さない箱の中に置かれた15リットルガラス容器内で保持し、5℃まで冷却した。蠕動ポンプを用いて、ガラス容器から供給水溶液を計量して、流速300ml/分で電解セル内に流した。DC電源によって電極間に5.72アンペアの直流電流を印加して、電解セル間に4.5ボルトの電圧を与えた。流出溶液を電解セルから引き出して分析した。流出液は、109ppmの二酸化塩素と4891ppmの未反応の亜塩素酸ナトリウムとを含有し、2.9%の亜塩素酸塩転換であった。
【0054】
以下の実施例を調製して、溶液中で亜塩素酸ナトリウムから二酸化塩素を生成するための、電解セルが設けられた吹付け装置を通過可能な、水酸化物イオン捕捉剤及び界面活性剤システムを含有する単一溶液の使用を実証した。リン酸塩ベースの形態及び炭酸塩ベースの形態を提示する。
【0055】
【表5】

該溶液は、電気分解の前には約6〜7の間のpHを含んでおり、電気分解が実施された後は6〜9の間のpHを維持した。電解セル及びポンプからの排出液は、85ppmの二酸化塩素濃度を有するものと推定された。この溶液は、また、二酸化塩素濃度をさらに増大させるためにセル/ポンプ内に再循環させることができる。セル/ポンプからの流出液は、続いて、粒子を含有する二酸化塩素の微細なミストを作り出すために、噴霧スプレーノズルを通じて排出された。ミストは、処理のために表面を覆うのに使用することができ、又は「燻蒸消毒」効果をもつように密閉領域内に閉じ込めることができる。
【0056】
以下の実施例については、これらの構成組成物を参照する。
【0057】
【表6】

【0058】
以下の実施例は、以上の組成物を用いる。
【0059】
実施例A及びE:ポンプで電解板内に送り出しながら、6.6ボルトを使用して組成物Iを電気分解した。次いで、83%の電気分解された組成物Iと17%の脱イオン水とを含む最終混合物を生成した。
【0060】
実施例B及びF:ポンプで電解板内に送り出しながら、6.6ボルトを使用して組成物Iを電気分解した。次いで、83%の電気分解された組成物Iと17%の組成物IIとを含む最終混合物を生成した。
【0061】
実施例C及びG:ポンプで電解板内に送り出しながら、6.6ボルトを使用して組成物Iを電気分解した。次いで、83%の電気分解された組成物Iと17%の組成物IIIとを含む最終混合物を生成した。
【0062】
実施例D及びH:ポンプで電解板内に送り出しながら、6.6ボルトを使用して組成物Iを電気分解した。次いで、83%の電気分解された組成物Iと17%の組成物IVとを含む最終混合物を生成した。
【0063】
上記実施例の組成物A〜Hを用いて微生物学的有効性試験を実施した。対数回復(Log Recovery)数が小さいほど性能が良い。
【0064】
(表面スプレー試験におけるグラム陽性細菌)
有機体、黄色ブドウ球菌(S.aureus)
目標ClO2溶液濃度、50ppm
処理時間5分
【0065】
【表7】

【0066】
(表面スプレー試験におけるグラム陰性細菌)
有機体、緑膿菌(P.aeruginosa)
目標ClO2溶液濃度、50ppm
処理時間5分
【0067】
【表8】

*は、完全な殺菌(すなわち、検出限界未満)を表す
【0068】
次の実施例は、以下の構成組成物を用いる。
【0069】
【表9】

【0070】
以下の実施例は、以上の組成物を用いる。
【0071】
実施例J:ポンプで電解板内に送り出しながら、6ボルトを使用して組成物VIを電気分解した。次いで、50%の電気分解された組成物VIと50%の脱イオン水とを含む最終混合物を生成した。
【0072】
実施例K:ポンプで電解板内に送り出しながら、6ボルトを使用して組成物VIを電気分解した。次いで、50%の電気分解された組成物VIと50%の組成物VIIIとを含む最終混合物を生成した。
【0073】
実施例L:ポンプで電解板内に送り出しながら、6ボルトを使用して組成物VIを電気分解した。次いで、50%の電気分解された組成物VIと50%の組成物VIIとを含む最終混合物を生成した。
【0074】
上記実施例の組成物J〜Lを用いて微生物学的有効性試験を実施した。対数回収(Log Recovery)数が小さいほど性能が良い。
【0075】
(懸濁試験におけるグラム陽性菌胞子)
有機体、バチルス・セレウス菌(Bacillus cereus)胞子
ClO2溶液濃度、約85ppm
処理時間5分
【0076】
【表10】

*は、完全な殺菌(すなわち、検出限界未満)を表す
【0077】
実施例6:2つの区画を有するスプレーボトルから生成される安定且つ有効な二酸化塩素混合物
溶液M及びNを別々の区画内に入れ、各区画から同量を引き寄せて吸引部でそれらを混合する小さな遠心分離ポンプによって混合し、さらにポンプ内に入れる。生成物をポンプからスプレーノズルを通じて排出する。排出混合物は、2つの構成成分M+Nの混合の結果として二酸化塩素を形成しており、該混合物は、安定なままの二酸化塩素溶液特有の黄色の外観を有し、界面活性剤と相まって有効な抗菌生成物になる。
【0078】
【表11】

【0079】
実施例7:実質的な膜を形成するための平行平板電極におけるレイノルズ数(Re)の決定、
通路全体について、動水半径は、断面積を濡れた状態の周囲の長さで除したものであり、Rh=A/Pである。非円形のパイプの場合、動水直径は、動水半径の4倍である。Dh=4Rh
幅w、間隔sの平行平板通路の場合、動水半径は、w*s/(2*(w+s))になる。動水直径は、4Rh、又はDh=2w*s/(w+s)である。w>>sの通路の場合、Dhは、約2sになる。
Re=DhVp/u(w>>sのときには約2sVp/u)
【0080】
【表12】

【0081】
「発明を実施するための最良の形態」において引用されるすべての文献は、その関連部分において本明細書に参考として組み込まれており、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを認めるものと解釈されるべきではない。
本発明の特定の実施形態を例示し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を冒頭の特許請求の範囲で扱うものとする。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化ハロゲン溶液を安定化させる水酸化物イオン捕捉システムであって、前記システムは、
(a)二酸化ハロゲン前駆体溶液を含む水酸化物イオン捕捉剤全重量(by weight of the total of a hydroxide scavenger)の0.001重量%〜10重量%である、水酸化物イオン捕捉システムと、
(b)二酸化ハロゲン前駆体溶液を含む水酸化物イオン捕捉全重量(by weight of the total of a hydroxide ion scavenging)の0.000001重量%〜50重量%である、1つ以上のハロゲン塩前駆体とを含むことを特徴とし、
前記水酸化物イオン捕捉システムで使用するための剤は、有機酸、有機酸の塩、無機酸、無機酸の塩、及びこれらの混合物から成る群から選択され、
さらに、前記水酸化物イオン捕捉システムは、二酸化ハロゲン溶液の濃度を、前記水酸化物イオン捕捉システムを含まない対応する二酸化ハロゲン溶液の濃度に比べて、両方の溶液が二酸化ハロゲン生成に続く3時間後に25℃で測定されるときに、少なくとも5%増大させるように適合されることを特徴とするシステム。
【請求項2】
二酸化ハロゲンは、事前に生成される(pre−generated)ことを特徴とする請求項1に記載の水酸化物イオン捕捉システム。
【請求項3】
二酸化ハロゲンは、要求に応じて生成されることを特徴とする請求項1に記載の水酸化物イオン捕捉システム。
【請求項4】
二酸化ハロゲン溶液を安定化させる水酸化物イオン捕捉システムであって、前記システムは、
(a)二酸化ハロゲン溶液を含む水酸化物イオン捕捉全重量 (by weight of the total of a hydroxide ion scavenging)の0.001重量%〜10重量%である、水酸化物イオン捕捉システムと、
(b)二酸化ハロゲン溶液を含む水酸化物イオン捕捉全重量(by weight of the total of a hydroxide ion scavenging)の0.000001重量%〜1重量%である、二酸化ハロゲンとを含むことを特徴とし、
前記水酸化物イオン捕捉剤は、有機酸、有機酸の塩、無機酸、無機酸の塩、及びこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とし、
さらに、前記水酸化物イオン捕捉システムは、二酸化ハロゲン溶液の濃度を、前記水酸化物イオン捕捉システムを含まない対応する二酸化ハロゲン溶液の濃度に比べて、両方の溶液が生成に続く3時間後に25℃で測定されるときに、少なくとも5%増大させるように適合されることを特徴とするシステム。
【請求項5】
二酸化ハロゲン溶液の安定性及び/又は有効性を増大させる界面張力(IFT)低減システムであって、前記システムは、
(a)二酸化ハロゲン前駆体溶液を含むIFT低減システム全重量の0.00001重量%〜10重量%である、IFT低減システムと、
(b)二酸化ハロゲン前駆体溶液を含むIFT低減システム全重量の0.000001重量%〜50重量%である、1つ以上のハロゲン塩前駆体とを含むことを特徴とし、
前記IFT低減システムで使用するための剤は、IFT低減ポリマー、IFT低減溶媒、IFT低減界面活性剤、及びこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とし、
さらに、前記IFT低減システムは、IFT低減システムを含む二酸化ハロゲン溶液が、前記IFT低減システムを含まない対応する二酸化ハロゲン溶液に比べて、少なくとも5%多くの微生物数削減をもたらすように適合されることを特徴とするシステム。
【請求項6】
二酸化ハロゲン溶液の安定性及び/又は有効性を増大させる界面張力(IFT)低減システムであって、前記システムは、
(c)二酸化ハロゲン溶液を含むIFT低減システム全重量の0.00001重量%〜10重量%であるIFT低減システムと、
(d)二酸化ハロゲン溶液を含むIFT低減システム全重量の0.000001重量%〜1重量%である二酸化ハロゲンとを含んでおり、
前記IFT低減システムで使用するための剤は、IFT低減ポリマー、IFT低減溶媒、IFT低減界面活性剤、及びこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とし、
さらに、前記IFT低減システムは、IFT低減システムを含む二酸化ハロゲン溶液が、前記IFT低減システムを含まない対応する二酸化ハロゲン溶液に比べて、少なくとも5%多くの微生物数削減をもたらすように適合されることを特徴とするシステム。
【請求項7】
二酸化ハロゲン安定化・有効性増大システムであって、前記システムは、請求項1に記載の水酸化物イオン捕捉システムと、請求項5に記載のIFT低減システムとを含むことを特徴とし、
前記二酸化ハロゲン安定化・有効性増大システムは、生成3時間後に25℃において、前記二酸化ハロゲン安定化・有効性増大システムを含まない対応する二酸化ハロゲンの濃度よりも少なくとも5%高い二酸化ハロゲンの濃度を特徴とし、
さらに、前記二酸化ハロゲン安定化・有効性増大システムは、前記二酸化ハロゲン安定化・有効性増大システムを含まない対応する二酸化ハロゲン溶液よりも、少なくとも5%多くの微生物数削減をもたらすように適合されることを特徴とするシステム。
【請求項8】
二酸化ハロゲン安定化・有効性増大システムであって、前記システムは、請求項4に記載の水酸化物イオン捕捉システムと、請求項6に記載のIFT低減システムとを含むことを特徴とし、
前記二酸化ハロゲン安定化・有効性増大システムは、生成3時間後に25℃において、前記二酸化ハロゲン安定化・有効性増大システムを含まない対応する二酸化ハロゲンの濃度よりも、少なくとも5%高い二酸化ハロゲンの濃度を特徴とし、
さらに、前記二酸化ハロゲン安定化・有効性増大システムは、前記二酸化ハロゲン安定化・有効性増大システムを含まない対応する二酸化ハロゲン溶液よりも、少なくとも5%多くの微生物数削減をもたらすように適合されることを特徴とするシステム。
【請求項9】
二酸化ハロゲン生成システムであって、
a)二酸化ハロゲン塩を含む供給水溶液源と、
b)陽極及び陰極を含む、入口及び出口を備えたセルチャンバーを有することを特徴とする非膜型電解セルと、
c)供給水溶液をチャンバー内へ運び、陽極に隣接した通路に沿って通過させ、出口から排出するための手段と、
d)通路内の供給水溶液に電流を流して、二酸化ハロゲン塩の一部を二酸化ハロゲンへと転換させ、それによって二酸化ハロゲンを含む水性流出液を形成するための電流供給源と、
e)前記二酸化ハロゲン溶液を安定化させる水酸化物イオン捕捉システム、前記二酸化ハロゲン溶液の安定性及び/又は有効性を増大させるIFT低減システム、並びにこれらの組み合わせから成る群から選択されるシステムを含むことを特徴とするチャンバーと、を含むことを特徴とするシステム。
【請求項10】
二酸化ハロゲン生成システムであって:
a)二酸化ハロゲン塩を含む供給水溶液源と、
b)陽極及び陰極を含む、入口及び出口を備えたセルチャンバーを有することを特徴とする非膜型電解セルと、
c)供給水溶液をチャンバー内へ運び、陽極に隣接した通路に沿って通過させ、出口から排出するための手段と、
d)通路内の供給水溶液に電流を流して、二酸化ハロゲン塩の一部を二酸化ハロゲンへと転換させ、それによって二酸化ハロゲンを含む水性流出液を形成するための電流供給源と、
e)二酸化ハロゲン溶液の安定性及び有効性を増大させる水酸化物イオン捕捉システム及びIFT低減システムの両方を含むことを特徴とするチャンバーとを含むことを特徴とするシステム。
【請求項11】
陽極及び陰極は、チャンバーギャップ1.0mm以下、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.2mm以下で向かい合い、且つ同一の広がりを持つ(co−extensive)ことを特徴とする前記請求項1〜10のいずれか一項に記載の二酸化ハロゲン生成システム。
【請求項12】
陽極は、導電性の多孔質陽極であることを特徴とする前記請求項1〜11のいずれか一項に記載の二酸化ハロゲン生成システム。
【請求項13】
二酸化ハロゲン生成・再循環システムであって、
a)二酸化ハロゲン塩を含むことを特徴とする供給水溶液源と、
b)陽極及び陰極を含むことを特徴とし、且つ入口及び出口を備えたセルチャンバーを有することを特徴とする非膜型電解セルと、
c)供給水溶液をチャンバー内へ運び、陽極に隣接した通路に沿って通過させ、出口から排出するための手段と、
d)陽極と陰極の間の水溶液に電流を流して、通路内の二酸化ハロゲン塩の少なくとも一部を二酸化ハロゲンへと転換させ、それによって二酸化ハロゲンを含む水性流出液を形成するための電流供給源と、
e)水性流出液を放出して二酸化ハロゲン減損対陰極(depletion target)と接触させ、それによって水性流出液中の二酸化ハロゲンの一部が減損対陰極を酸化させて元の二酸化ハロゲン塩に戻るようにするための手段と、
f)元に戻った二酸化ハロゲン塩を含む減損した流出液(depleted effluent)を供給源へと返すための手段と、
g)前記二酸化ハロゲン溶液を安定化させる水酸化物イオン捕捉システムを放出する手段とを含むことを特徴とするシステム。
【請求項14】
二酸化ハロゲン生成・再循環システムであって、
a)二酸化ハロゲン塩を含む供給水溶液源と、
b)陽極及び陰極を含む、入口及び出口を備えたセルチャンバーを有することを特徴とする非膜型電解セルと、
c)供給水溶液をチャンバー内へ運び、陽極に隣接した通路に沿って通過させ、出口から排出するための手段と、
d)陽極と陰極の間の水溶液に電流を流して、通路内の二酸化ハロゲン塩の少なくとも一部を二酸化ハロゲンへと転換させ、それによって二酸化ハロゲンを含む水性流出液を形成するための電流供給源と、
e)水性流出液を放出して二酸化ハロゲン減損対電極と接触させ、それによって水性流出液中の二酸化ハロゲンの一部が減損対電極を酸化させて元の二酸化ハロゲン塩に戻るようにするための手段と、
f)元に戻った二酸化ハロゲン塩を含む減損した流出液を供給源へと返すための手段と、
g)前記二酸化ハロゲン溶液の安定性及び/又は有効性を増大させるIFT低減システムを放出する手段とを含むことを特徴とするシステム。
【請求項15】
二酸化塩素を含む水溶液を、要求に応じて製造するのに使用するためのバッテリーを動力源とした電解装置であって、
a)陽極及び陰極を含み、セルチャンバーを有することを特徴とする電解セルと、
b)二酸化ハロゲン塩を含む供給水溶液をセルチャンバー内へ送り出し、陽極に隣接した通路に沿って通過させるための手段と、
c)供給水溶液がチャンバー内に流れ込み、通路に沿って流れる際に、陽極と陰極の間に電流を流し、それによって二酸化ハロゲン塩の一部を二酸化ハロゲンへと転換させるためのバッテリーと、
d)前記二酸化ハロゲン溶液を安定化させる水酸化物イオン捕捉システムを放出するための手段とを含むことを特徴とする装置。
【請求項16】
二酸化塩素を含む水溶液を、要求に応じて製造するのに使用するためのバッテリーを動力源とする電解装置であって、
a)陽極及び陰極を含み、セルチャンバーを有することを特徴とする電解セルと、
b)二酸化ハロゲン塩を含む供給水溶液をセルチャンバー内へ送り出し、陽極に隣接した通路に沿って通過させるための手段と、
c)供給水溶液がチャンバー内を通路に沿って流れるときに、陽極と陰極の間に電流を流し、それによって二酸化ハロゲン塩の一部を二酸化ハロゲンへと転換させるためのバッテリーと、
d)前記二酸化ハロゲン溶液の安定性及び/又は有効性を増大させるIFT低減システムを放出する手段とを含むことを特徴とするデバイス。
【請求項17】
前記請求項1〜16のいずれか一項に記載のバッテリーを動力源とする電解装置であって、該装置は、溶液スプレーボトルであり、送り出し手段は、溶液をボトルから電解セルへと送り出す電動ポンプを含んでおり、電解セルは、1.0mm以下、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.2mm以下のセルチャンバーギャップ(cell chamber gap)を有することを特徴とする、陽極と、それに向かい合い、且つ同一の広がりを持つ陰極とを含むことを特徴とする電解装置。
【請求項18】
二酸化ハロゲン生成・再循環システムであって、
a)二酸化ハロゲン塩を含む供給水溶液源と、
b)陽極及び陰極を含む、入口及び出口を備えたセルチャンバーを有することを特徴とする非膜型電解セルと、
c)供給水溶液をチャンバー内へ運び、陽極に隣接した通路に沿って通過させ、出口から排出するための手段と、
d)陽極と陰極の間の水溶液に電流を流して、通路内の二酸化ハロゲン塩の少なくとも一部を二酸化ハロゲンへと転換させ、それによって二酸化ハロゲンを含む水性流出液を形成するための電流供給源と、
e)水性流出液を放出して二酸化ハロゲン減損対電極と接触させ、それによって水性流出液中の二酸化ハロゲンの一部が減損対電極を酸化させて元の二酸化ハロゲン塩に戻るようにするための手段と、
f)元に戻った二酸化ハロゲン塩を含む減損した流出液を供給源へと返すための手段と、
g)前記二酸化ハロゲン溶液を安定化させる水酸化物イオン捕捉システムを放出する手段、並びに/又は、前記二酸化ハロゲン溶液の安定性及び/若しくは有効性を増大させるIFT低減システムとを含むことを特徴とするシステム。
【請求項19】
二酸化ハロゲンを安定化させる方法であって、前記方法は、その安定性増大のために二酸化ハロゲン溶液に水酸化物イオン捕捉システムを放出する工程を含むことを特徴とし、
前記方法は、二酸化ハロゲン溶液の濃度を、前記水酸化物イオン捕捉システムを含有しない対応する二酸化ハロゲン溶液の濃度に比べて、両方の溶液が生成3時間後に25℃で測定されるときに少なくとも5%増大させるように適合されることを特徴とする方法。
【請求項20】
二酸化ハロゲンの有効性を増大させる方法であって、有効性の増大が望まれる二酸化ハロゲン溶液に界面張力(IFT)低減システムを放出する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
二酸化ハロゲン溶液の安定性及び有効性を増大させる方法であって、安定性及び有効性の増大が望まれる二酸化ハロゲン溶液に水酸化物イオン捕捉システム及び界面張力(IFT)低減システムを放出する工程を含むことを特徴とする方法。


【公表番号】特表2006−526076(P2006−526076A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−514897(P2006−514897)
【出願日】平成16年5月19日(2004.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/015730
【国際公開番号】WO2004/103898
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】