説明

二酸化炭素が地中に貯蔵される敷地の非飽和帯の二酸化炭素濃度感知装置、モニタリングシステム及びモニタリング方法

【課題】
二酸化炭素が地中に貯蔵される敷地の非飽和帯の二酸化炭素濃度を感知するための装置、モニタリングシステム及びモニタリング方法を開示する。
【解決手段】
本発明に係る非飽和帯の二酸化炭素濃度モニタリングシステムは、地表面下の非飽和帯に埋設され、筒状を有するチャンバと、前記チャンバの側面に形成される気体流入口と、前記チャンバの上部に貫通形成され、前記チャンバ内の気体に含まれた二酸化炭素の濃度を測定する二酸化炭素濃度測定センサとをそれぞれ含む複数の非飽和帯の二酸化炭素濃度感知装置と;前記二酸化炭素濃度測定センサから出力される二酸化炭素濃度を伝送する複数の通信装置と;時間帯別に基準二酸化炭素濃度を格納し、前記通信装置から伝送される測定された二酸化炭素濃度と前記基準二酸化炭素濃度とを比較して正常信号又は異常信号を出力するモニタリングサーバと;を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地球温暖化を防止するための二酸化炭素(CO2)の地中貯蔵技術に関するもので、より詳細には、二酸化炭素の地中貯蔵後、地中貯蔵敷地やその周辺の土壌への二酸化炭素の漏れの有無を遠隔でモニタリングし、二酸化炭素が漏れた場合、自動的に警報を発生させることによって二酸化炭素の地中貯蔵事業や地上設備の安全性を確保することができる地中に貯蔵された二酸化炭素の漏れモニタリング及び警報システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、全世界的に大きな問題となっている地球温暖化現象においては、二酸化炭素が最も大きな要因として作用する。二酸化炭素は、石炭を用いる火力発電所、鉄鉱石を原料とする製鉄所、石油を原料とする石油化学工場などのような経済活動を営むための事業所の排出ガスに多く含まれている。したがって、地球温暖化現象を最大限に防止するためには、前記のような原因などによって発生する二酸化炭素を処理しなければならない。
【0003】
二酸化炭素の処理技術のうち最も脚光を浴びている技術は、二酸化炭素を捕集して地下地層に貯蔵する、いわゆる二酸化炭素の地中貯蔵技術である。二酸化炭素の地中貯蔵技術は、事業所などで排出される二酸化炭素を捕集し、これを地下800m以上に半永久的に貯蔵する技術である。
このとき、地中に貯蔵された二酸化炭素が再び地表に漏れてはならないが、地中に貯蔵された二酸化炭素は、様々な理由で地表に漏れるおそれがある。二酸化炭素が地表に漏れる場合、二酸化炭素の地中貯蔵事業は、多くの費用を投入した状態で失敗に終わるおそれがあり、かつ、地上設備の安全性を確保できなくなる。
【0004】
したがって、貯蔵された二酸化炭素の漏れを最小限にできる安定的な地層を探すことが重要である。また、地層に貯蔵された二酸化炭素が地表に漏れる場合、これを自動的にモニタリングすることによって警報が迅速に発生し、後処理が進行されるシステムを構築する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、二酸化炭素が地中に貯蔵される敷地の非飽和帯の二酸化炭素濃度を効率的に感知することができる非飽和帯の二酸化炭素感知装置を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、前記非飽和帯の二酸化炭素感知装置を用いることによって、自動的に非飽和帯の二酸化炭素濃度をモニタリングすることができる非飽和帯の二酸化炭素モニタリングシステムを提供することにある。
【0007】
本発明の更に他の目的は、二酸化炭素が地中に貯蔵される敷地の基準二酸化炭素濃度を格納し、これを測定される二酸化炭素濃度と比較して正常信号又は異常信号を出力し、異常信号である場合、警報を発生させ、二酸化炭素の地中貯蔵を中止することができる非飽和帯の二酸化炭素モニタリング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記一つの目的を達成するための本発明の一実施例に係る二酸化炭素が地中に貯蔵される敷地の非飽和帯の二酸化炭素感知装置は、地表面下の非飽和帯に埋設され、筒状を有するチャンバと、前記チャンバの側面に形成される気体流入口と、前記チャンバの上部に貫通形成され、前記チャンバ内の気体に含まれた二酸化炭素の濃度を測定する二酸化炭素濃度測定センサとを含むことを特徴とする。
【0009】
前記他の目的を達成するための本発明の一実施例に係る二酸化炭素が地中に貯蔵される敷地の非飽和帯の二酸化炭素モニタリングシステムは、地表面下の非飽和帯に埋設され、筒状を有するチャンバと、前記チャンバの側面に形成される気体流入口と、前記チャンバの上部に貫通形成され、前記チャンバ内の気体に含まれた二酸化炭素の濃度を測定する二酸化炭素濃度測定センサとをそれぞれ含む複数の非飽和帯の二酸化炭素濃度感知装置と;前記二酸化炭素濃度測定センサから出力される二酸化炭素濃度を伝送する複数の通信装置と;時間帯別に基準二酸化炭素濃度を格納し、前記通信装置から伝送される測定された二酸化炭素濃度と前記基準二酸化炭素濃度とを比較して正常信号又は異常信号を出力するモニタリングサーバと;を含むことを特徴とする。
【0010】
前記他の目的を達成するための本発明の一実施例に係る二酸化炭素が地中に貯蔵される敷地の非飽和帯の二酸化炭素モニタリング方法は、二酸化炭素濃度感知装置で、二酸化炭素が地中に貯蔵される敷地の非飽和帯の二酸化炭素濃度を時間帯別に測定し、これを通信装置を介してモニタリングサーバに伝送し、前記モニタリングサーバから伝送された非飽和帯の二酸化炭素濃度を基準二酸化炭素濃度として格納し;二酸化炭素の地中貯蔵が開始された後、前記二酸化炭素濃度感知装置で前記非飽和帯の二酸化炭素濃度を測定し、これを前記通信装置を介してモニタリングサーバに伝送し;前記モニタリングサーバで、測定された二酸化炭素濃度と基準二酸化炭素濃度とを比較して正常信号又は異常信号を出力することを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る非飽和帯の二酸化炭素感知装置は、チャンバ及びNDIRセンサを用いることによって、非飽和帯の二酸化炭素を平均化した状態で二酸化炭素の感知が可能であり、二酸化炭素感知の精度を高めることができる。
【0012】
また、本発明に係る非飽和帯の二酸化炭素モニタリングシステム及びモニタリング方法は、二酸化炭素の地中貯蔵前に予め時間帯別に基準二酸化炭素濃度を測定・格納した状態で、これをリアルタイムに感知される二酸化炭素濃度と比較することによって、環境の変化による二酸化炭素濃度の変化と地中に貯蔵された二酸化炭素の漏れによる二酸化炭素濃度の変化とを容易に区別することができる。
【0013】
また、本発明に係る非飽和帯の二酸化炭素モニタリングシステム及びモニタリング方法は、複数の二酸化炭素感知装置で測定された二酸化炭素濃度がモニタリングサーバに伝送され、異常発生時には即時に警報を発生させることができ、地中に貯蔵された二酸化炭素の漏れ時に即時に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る二酸化炭素が地中に貯蔵される敷地の非飽和帯の二酸化炭素濃度感知装置を概略的に示した図である。
【図2】本発明に係る二酸化炭素が地中に貯蔵される敷地の非飽和帯の二酸化炭素濃度モニタリングシステムを概略的に示した図である。
【図3】図2のモニタリングサーバを概略的に示した図である。
【図4】本発明に係る二酸化炭素が地中に貯蔵される敷地の非飽和帯の二酸化炭素濃度モニタリング方法の一実施例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の利点、特徴及びそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述する各実施例を参照すれば明確になるだろう。しかし、本発明は、以下で開示する各実施例に限定されるものでなく、互いに異なる多様な形態で具現可能である。ただし、本実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであって、本発明は、特許請求の範囲の範疇によって定義されるものに過ぎない。明細書全般にわたって同一の参照符号は、同一の構成要素を示す。
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施例に係る二酸化炭素が地中に貯蔵される敷地の非飽和帯の二酸化炭素濃度感知装置、モニタリングシステム及びモニタリング方法について詳細に説明する。
【0016】
二酸化炭素が地中に貯蔵された場合、貯蔵地層で流動する二酸化炭素は、地球物理遠隔探査を通して確認し、対象地層を逸脱して意図していない地層に漏れる場合も、地球物理遠隔探査を通して漏れを確認することができる。
【0017】
また、観測井を介して地下で直接流体を採取して分析することによって、二酸化炭素が対象地層でない他の地層に漏れるかどうかを確認することができる。二酸化炭素の物理化学的な特性を考慮すれば、地下800mに貯蔵された二酸化炭素は、浮力によって地表側に上昇するようになる。
二酸化炭素が800m以上に上昇して地表に至れば、土壌層/非飽和帯を経て二酸化炭素が地表に漏れるようになる。
【0018】
図1は、本発明に係る二酸化炭素が地中に貯蔵される敷地の非飽和帯の二酸化炭素濃度感知装置を概略的に示した図である。
図1を参照すれば、非飽和帯の二酸化炭素濃度感知装置100は、チャンバ110、気体流入口120及び二酸化炭素濃度測定センサ130を含む。
チャンバ110は、円筒状及び四角筒状などの筒状を有し、地表面下の非飽和帯に埋設される。ここで、非飽和帯は、地下水面の上部層を意味し、通常、未膠結岩石と土壌が分布し、土壌内の気体(酸素、窒素、二酸化炭素など)と水分が共に存在する層を意味する。非飽和帯は、地表面から略50〜100cm下である。
【0019】
チャンバ110の材質は、土壌層を撹乱せずに長期間使用することができ、気体との反応があまり行われないと同時に、気体を吸着しない材質であることが望ましい。このような条件を満足するチャンバ110の材質は、ステンレススチールである。チャンバ110の底には、地下水又は土壌水が流入した場合、重力による自然排水が可能なように複数の排水孔が形成される。
【0020】
気体流入口120は、チャンバ110の側面に形成され、気体流入口120を通してチャンバ110外部の気体がチャンバ110の内部に流入する。気体流入口120は、メッシュ、すなわち、網状に形成される。
一方、気体流入口120は、チャンバ110の側面に複数形成される。
【0021】
二酸化炭素濃度測定センサ130は、チャンバ110の上部に貫通形成され、チャンバ110内の気体に含まれた二酸化炭素の濃度を測定する。
前記二酸化炭素濃度測定センサ130は、NDIR(Non Dispersive Infra―Red)センサであることが望ましい。
土壌内の二酸化炭素は、一般的に土壌内の気体試料を採取してガスクロマトグラフィで分析したり、NDIRセンサを用いて測定することができる。このうち、試料の採取とガスクロマトグラフィを用いた土壌内の二酸化炭素の濃度分析には、多くの時間、手間及び費用が要される。また、前記分析法によれば、二酸化炭素濃度の増加時に迅速に対応できる時間的な余裕がない。その一方、NDIRセンサは、気体試料内の二酸化炭素の含量を測定するセンサであって、簡便であるとともに、精度を高められるという長所を有する。そのため、このNDIRセンサを用いることがより望ましい。
【0022】
ただし、NDIRセンサを土壌内に設置した場合、土壌空隙内の気体の含量が不均一であって、測定が不完全になるおそれがある。したがって、本発明のように、一定量以上の気体が集積されるチャンバ110を土壌層に設置し、前記チャンバ110に集められて平均化された分布を有する気体に対してNDIRセンサを用いることによって二酸化炭素の濃度を測定することが望ましい。
【0023】
本発明に係る二酸化炭素濃度感知装置100は、チャンバ110内で下記の式1に示すような二酸化炭素との反応によって炭酸塩鉱物に変換するように、アルカリ土類金属水酸化物をチャンバ110の内部に供給して貯蔵するためのアルカリ土類金属水酸化物流入及び貯蔵部(図示せず)をさらに含むことができる。このとき、アルカリ土類金属水酸化物としては、Mg(OH)、Ca(OH)、Ba(OH)などを提示することができる。
M(OH)+CO→MCO+H
(ここで、Mは、アルカリ土類金属である。)
【0024】
チャンバ110の内部に供給されて貯蔵されたアルカリ土類金属水酸化物は、前記のように二酸化炭素と反応して炭酸塩鉱物を形成する。特に、土壌内での二酸化炭素の含量が大気の二酸化炭素の含量より約100倍高いと知られているので、前記反応を起こすのに充分な二酸化炭素が提供される。このようなアルカリ土類金属水酸化物流入及び貯蔵部では、アルカリ土類金属の流入がチャンバ110の側面から行われ、貯蔵がチャンバ110内部の別途の空間で行われる。
【0025】
アルカリ土類金属水酸化物は、二酸化炭素濃度の感知が進行される時点ではアルカリ土類金属水酸化物流入及び貯蔵部に貯蔵されているだけで、チャンバ110内部とは隔離した状態になる。その理由は、二酸化炭素濃度の感知時点にアルカリ土類金属水酸化物がチャンバ110内に存在すれば、二酸化炭素濃度の感知精度が低下するおそれがあるためである。
【0026】
したがって、アルカリ土類金属水酸化物とチャンバ110内部の気体との疎通は、二酸化炭素の感知時点以外の時点になされることが望ましい。例えば、二酸化炭素濃度の感知周期を1時間とする場合、二酸化炭素濃度の感知直後の30分間、アルカリ土類金属水酸化物流入及び貯蔵部とチャンバ内部との疎通がなされる。
【0027】
前記アルカリ土類金属水酸化物流入及び貯蔵部が存在する場合、二酸化炭素の感知と共に、炭酸塩鉱物の生成及び二酸化炭素の低減効果を得ることができる。
【0028】
一旦、地表上に漏れた二酸化炭素は、地表面の大気と混合されて迅速に移動する。そのため、二酸化炭素の濃度を迅速に感知して漏れの有無を判断し、地上設備の稼働可否を判断することが難しい。したがって、地表漏れの前段階である非飽和帯で二酸化炭素濃度が非理想的に高くなれば、二酸化炭素の地中貯蔵における地上注入設備の稼働を暫定的に中止し、二酸化炭素の濃度/流出有無を確認した上で、注入を継続するかどうかを判断する必要がある。
【0029】
図2は、本発明に係る二酸化炭素が地中に貯蔵される敷地の非飽和帯の二酸化炭素濃度モニタリングシステムを概略的に示した図である。
【0030】
図2を参照すれば、非飽和帯の二酸化炭素濃度モニタリングシステムは、複数の非飽和帯の二酸化炭素濃度感知装置210、複数の通信装置220及びモニタリングサーバ230を含む。
複数の非飽和帯の二酸化炭素濃度感知装置210は、チャンバ、気体流入口及び二酸化炭素濃度測定センサをそれぞれ含む。
【0031】
チャンバは、ステンレススチールなどの材質として地表面下の非飽和帯に埋設され、筒状を有する。
【0032】
気体流入口は、チャンバの側面にメッシュなどの形状に形成され、気体流入口 を通して周辺の気体がチャンバ内に流入する。
二酸化炭素濃度測定センサは、チャンバの上部に貫通形成され、前記チャンバ内の気体に含まれた二酸化炭素の濃度を測定する。このとき、二酸化炭素濃度測定センサはNDIRセンサであることが望ましい。
前記複数の非飽和帯の二酸化炭素濃度感知装置210を構成するチャンバ、気体流入口及び二酸化炭素濃度測定センサは、図1を参照して説明した通りであるので、それに関する詳細な説明は省略することにする。
【0033】
一方、二酸化炭素の貯蔵敷地には、二酸化炭素の臨時貯蔵設備、加圧設備、増温設備、注入設備などが配置される。これらの設備が含まれることを考慮すれば、二酸化炭素の貯蔵敷地は少なくとも200m×200m以上になる。
【0034】
したがって、非飽和帯の二酸化炭素濃度感知装置210は、二酸化炭素の貯蔵敷地に複数配置される。また、二酸化炭素は、貯蔵敷地の周辺にも流出するおそれがあるので、非飽和帯の二酸化炭素濃度感知装置210は、二酸化炭素の貯蔵敷地のみならず、その周辺敷地にも複数配置されることが望ましい。
【0035】
複数の通信装置220は、前記複数の非飽和帯の二酸化炭素濃度感知装置210の二酸化炭素濃度測定センサとそれぞれ連結され、二酸化炭素濃度測定センサから出力される二酸化炭素濃度を無線通信を介してモニタリングサーバ230に伝送する。本発明では、二酸化炭素濃度の伝送手段として無線通信装置の例を挙げたが、その理由は、遠距離や複数の非飽和帯の二酸化炭素濃度感知装置210が存在する場合に便利なためであって、有線通信装置を排除することを意味するのではない。
【0036】
モニタリングサーバ230は、時間帯別に基準二酸化炭素濃度を格納する。また、モニタリングサーバ230は、通信装置220から伝送される測定された二酸化炭素濃度C_detecと予め格納された時間帯別の基準二酸化炭素濃度C_refとを比較し、正常信号又は異常信号をモニタ又はプリンタを介して出力する。もちろん、モニタリングサーバ230は、測定された二酸化炭素濃度を直接出力することができ、測定された二酸化炭素濃度を格納空間に格納することができる。
【0037】
モニタリングサーバ230は、伝送される測定された二酸化炭素濃度C_detecと測定時間に該当する基準二酸化炭素濃度C_refとを比較し、測定された二酸化炭素濃度C_detecが基準二酸化炭素濃度C_refより一定値以上大きい場合、前記異常信号を発生させる。
【0038】
このとき、モニタリングサーバ230で異常信号を発生させる基準は、測定された二酸化炭素濃度C_detecが基準二酸化炭素濃度C_refより特定数値α以上である場合(C_detec≧C_ref+α)になる。
【0039】
また、モニタリングサーバ230で異常信号を発生させる基準は、測定された二酸化炭素濃度C_detecが基準二酸化炭素濃度C_refの特定比率(β%、βは1より大きい値)以上である場合(C_detec≧βxC_ref)になる。
【0040】
前記のような動作を行うために、モニタリングサーバ230は、図3に示すように、入力部310、データ格納部320、比較部330及び出力部340を含むことができる。
【0041】
入力部310は、前記複数の二酸化炭素濃度感知装置210の各通信装置から測定された二酸化炭素濃度C_detecの入力を受ける。データ格納部320は、時間帯別に基準二酸化炭素濃度を格納する。
【0042】
比較部330は、入力部310から測定された二酸化炭素濃度C_detecの入力を受け、データ格納部320から基準二酸化炭素濃度C_refの入力を受け、入力された測定された二酸化炭素濃度C_detecと基準二酸化炭素濃度C_refとを比較し、‘0’と‘1’又は‘LOW’と‘HIGH’などの結果信号を出力する。
【0043】
出力部340は、比較部330の結果信号によって正常信号又は異常信号をモニタ又はプリンタなどの出力装置に出力する。
【0044】
一方、モニタリングサーバ230は警報装置(図示せず)と連結されるが、警報装置は、モニタリングサーバ230の異常信号に応答してアラームやサイレンなどの警報を発生させ、管理者や勤務者などが容易に二酸化炭素の漏れ発生を認知できるようにする。
【0045】
図4は、本発明に係る二酸化炭素が地中に貯蔵される敷地の非飽和帯の二酸化炭素濃度モニタリング方法の一実施例を示すフローチャートである。
図4を参照すれば、非飽和帯の二酸化炭素濃度モニタリング方法は、基準二酸化炭素濃度データの格納段階(S410)、二酸化炭素濃度の感知及びモニタリング段階(S420)及び結果信号の出力段階(S431、S432)を含む。
【0046】
基準二酸化炭素濃度データの格納段階(S410)では、二酸化炭素濃度感知装置で、二酸化炭素が地中に貯蔵される敷地の非飽和帯の二酸化炭素濃度を時間帯別に測定し、これを通信装置を介してモニタリングサーバに伝送し、前記モニタリングサーバで、伝送された非飽和帯の二酸化炭素濃度を基準二酸化炭素濃度として格納する。
【0047】
非飽和帯の二酸化炭素濃度感知装置は、図1に示すように、地表面下の非飽和帯に埋設され、筒状を有するチャンバと、前記チャンバの側面に形成される気体吸入口と、前記チャンバの上部に貫通形成され、前記チャンバ内の気体に含まれた二酸化炭素の濃度を測定するNDIRセンサなどの二酸化炭素濃度測定センサとを含むことができる。
【0048】
以下、基準二酸化炭素濃度を予め格納する理由について説明する。
土壌又は非飽和帯の二酸化炭素濃度は、土壌内の生物学的活動及びそれに影響を及ぼす物理化学的現象によって変化する。すなわち、土壌では、有機物の分解及び酸化によって二酸化炭素の含量が大気の二酸化炭素の含量より約100倍高いと知られている。また、土壌内の二酸化炭素は、季節によって、昼と夜によって、又はその他の物理化学的条件によって随時変化するようになる。また、土壌内の二酸化炭素は、土壌の特性、土壌層の深度、水分含量などによって地域別に異なり、ほんの数メートルの間でも変化するので、土壌の二酸化炭素濃度を一般化するのは非常に難しい。したがって、注入された二酸化炭素の漏れの有無を確認するためには、少なくとも1年以上定められた地点で二酸化炭素の濃度を時間単位で測定し、自然な背景濃度を予め把握した後、このような背景濃度を逸脱する異常値の観測時に対応する必要がある。
【0049】
すなわち、日別/月別/四半期別/季節別の二酸化炭素濃度の特性と濃度変化を起こす要因について充分に研究した後、自然な変化及びその他変化に予め対応することが望ましい。
【0050】
次に、二酸化炭素濃度の感知及びモニタリング段階(S420)では、二酸化炭素の地中貯蔵が開始された後、二酸化炭素濃度感知装置で非飽和帯の二酸化炭素の濃度を測定し、これを通信装置を介してモニタリングサーバに伝送し、モニタリングサーバで、測定された二酸化炭素濃度と基準二酸化炭素濃度とを比較する。
【0051】
結果信号の出力段階(S431、S432)では、モニタリングサーバで、測定された二酸化炭素濃度と基準二酸化炭素濃度とを比較した結果を用いて正常信号又は異常信号を出力する。モニタリングサーバは、測定された二酸化炭素濃度と基準二酸化炭素濃度とを比較し、測定された二酸化炭素濃度が基準二酸化炭素濃度より一定値以上大きい場合、異常信号を発生させる。
【0052】
モニタリングサーバで異常信号が出力される場合、警報を出力する段階(S433)がさらに含まれ、二酸化炭素の注入を中断する段階(S434)に進む。
【0053】
上述したように、本発明に係る非飽和帯の二酸化炭素モニタリングシステム及びモニタリング方法は、二酸化炭素の地中貯蔵前に予め時間帯別に基準二酸化炭素濃度を測定・格納した状態で、これをリアルタイムに感知される二酸化炭素濃度と比較することによって、環境の変化による二酸化炭素濃度の変化と地中に貯蔵された二酸化炭素の漏れによる二酸化炭素濃度の変化とを容易に区別することができる。また、チャンバ及びNDIRセンサを用いて非飽和帯の二酸化炭素感知装置を構成することによって、非飽和帯の二酸化炭素を平均化した状態で二酸化炭素の感知が可能であり、二酸化炭素の感知精度を高めることができる。
【0054】
また、本発明に係る非飽和帯の二酸化炭素モニタリングシステム及びモニタリング方法は、測定された二酸化炭素濃度がモニタリングサーバにリアルタイムに伝送され、異常信号の発生時には即時に警報を発生させることができ、地中に貯蔵された二酸化炭素の漏れ時に即時に対応することができる。
【0055】
以上、本発明の一実施例を中心に説明したが、当業者の水準で多様な変形や変更が可能である。このような変形及び変更は、本発明の範囲を逸脱しない限り、本発明に属するものと言える。したがって、本発明の権利範囲は、以下に記載する特許請求の範囲によって判断されなければならない。
【符号の説明】
【0056】
100:非飽和帯の二酸化炭素濃度感知装置
110:チャンバ
120:気体流入口
130:二酸化炭素濃度測定センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素が地中に貯蔵される敷地の非飽和帯の二酸化炭素濃度を感知するための装置において、
地表面下の非飽和帯に埋設され、筒状を有するチャンバと、
前記チャンバの側面に形成される気体流入口と、
前記チャンバの上部に貫通形成され、前記チャンバ内の気体に含まれた二酸化炭素の濃度を測定する二酸化炭素濃度測定センサと、を含むことを特徴とする非飽和帯の二酸化炭素濃度感知装置。
【請求項2】
前記二酸化炭素濃度測定センサは、NDIR(Non Dispersive Infra―Red)センサであることを特徴とする、請求項1に記載の非飽和帯の二酸化炭素濃度感知装置。
【請求項3】
前記気体流入口はメッシュ形態であることを特徴とする、請求項1に記載の非飽和帯の二酸化炭素濃度感知装置。
【請求項4】
前記チャンバの側面に形成され、アルカリ土金属水酸化物を前記チャンバの内部に供給して貯蔵するためのアルカリ土金属水酸化物流入及び貯蔵部をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の非飽和帯の二酸化炭素濃度感知装置。
【請求項5】
前記アルカリ土金属水酸化物は、Mg(OH)、Ca(OH)及びBa(OH)のうち少なくとも一つであることを特徴とする、請求項4に記載の非飽和帯の二酸化炭素濃度感知装置。
【請求項6】
前記チャンバは、ステンレススチール材質からなることを特徴とする、請求項1に記載の非飽和帯の二酸化炭素濃度感知装置。
【請求項7】
二酸化炭素が地中に貯蔵される敷地の非飽和帯の二酸化炭素濃度をモニタリングするためのシステムにおいて、
地表面下の非飽和帯に埋設され、筒状を有するチャンバと、前記チャンバの側面に形成される気体流入口と、前記チャンバの上部に貫通形成され、前記チャンバ内の気体に含まれた二酸化炭素の濃度を測定する二酸化炭素濃度測定センサとをそれぞれ含む複数の非飽和帯の二酸化炭素濃度感知装置と、
前記二酸化炭素濃度測定センサから出力される二酸化炭素濃度を伝送する複数の通信装置と、
時間帯別に基準二酸化炭素濃度を格納し、前記通信装置から伝送される測定された二酸化炭素濃度と前記基準二酸化炭素濃度とを比較し、正常信号又は異常信号を出力するモニタリングサーバと、を含むことを特徴とする非飽和帯の二酸化炭素濃度モニタリングシステム。
【請求項8】
前記モニタリングサーバの前記異常信号に応答して警報を出力する警報装置をさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の非飽和帯の二酸化炭素濃度モニタリングシステム。
【請求項9】
前記モニタリングサーバは、
前記伝送される測定された二酸化炭素濃度と前記基準二酸化炭素濃度とを比較し、前記測定された二酸化炭素濃度が前記基準二酸化炭素濃度より一定値以上大きい場合、前記異常信号を発生させることを特徴とする、請求項7に記載の非飽和帯の二酸化炭素濃度モニタリングシステム。
【請求項10】
前記モニタリングサーバは、前記測定された二酸化炭素濃度が前記基準二酸化炭素濃度より特定数値以上である場合、前記異常信号を発生させることを特徴とする、請求項9に記載の非飽和帯の二酸化炭素濃度モニタリングシステム。
【請求項11】
前記モニタリングサーバは、前記測定された二酸化炭素濃度が前記基準二酸化炭素濃度の特定比率以上である場合、前記異常信号を発生させることを特徴とする、請求項9に記載の非飽和帯の二酸化炭素濃度モニタリングシステム。
【請求項12】
前記モニタリングサーバは、
前記通信装置から前記測定された二酸化炭素濃度の入力を受ける入力部と、
時間帯別に前記基準二酸化炭素濃度を格納するデータ格納部と、
前記測定された二酸化炭素濃度と前記基準二酸化炭素濃度とを比較する比較部と、
前記比較部の結果信号によって前記正常信号又は異常信号を出力する出力部と、を含むことを特徴とする、請求項7に記載の非飽和帯の二酸化炭素濃度モニタリングシステム。
【請求項13】
前記二酸化炭素濃度測定センサはNDIRセンサであることを特徴とする、請求項7に記載の非飽和帯の二酸化炭素濃度モニタリングシステム。
【請求項14】
前記気体流入口はメッシュ形態であることを特徴とする、請求項7に記載の非飽和帯の二酸化炭素濃度モニタリングシステム。
【請求項15】
前記チャンバの側面に形成され、アルカリ土金属水酸化物を前記チャンバの内部に供給して貯蔵するためのアルカリ土金属水酸化物流入及び貯蔵部をさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の非飽和帯の二酸化炭素濃度モニタリングシステム。
【請求項16】
前記アルカリ土金属水酸化物は、Mg(OH)、Ca(OH)及びBa(OH)のうち少なくとも一つであることを特徴とする、請求項15に記載の非飽和帯の二酸化炭素濃度モニタリングシステム。
【請求項17】
前記チャンバは、ステンレススチール材質からなることを特徴とする、請求項7に記載の非飽和帯の二酸化炭素濃度モニタリングシステム。
【請求項18】
二酸化炭素が地中に貯蔵される敷地の非飽和帯の二酸化炭素濃度をモニタリンする方法において、
二酸化炭素濃度感知装置で、二酸化炭素が地中に貯蔵される敷地の非飽和帯の二酸化炭素濃度を時間帯別に測定し、これを通信装置を介してモニタリングサーバに伝送し、前記モニタリングサーバで、伝送された非飽和帯の二酸化炭素濃度を基準二酸化炭素濃度として格納し、
二酸化炭素の地中貯蔵が開始された後、前記二酸化炭素濃度感知装置で前記非飽和帯の二酸化炭素濃度を測定し、これを前記通信装置を介してモニタリングサーバに伝送し、
前記モニタリングサーバで、測定された二酸化炭素濃度と前記基準二酸化炭素濃度とを比較し、正常信号又は異常信号を出力することを含むことを特徴とする非飽和帯の二酸化炭素濃度モニタリング方法。
【請求項19】
前記モニタリングサーバで前記異常信号が出力される場合、警報を出力することをさらに含むことを特徴とする、請求項18に記載の非飽和帯の二酸化炭素濃度モニタリング方法。
【請求項20】
前記モニタリングサーバで、測定された二酸化炭素濃度と前記基準二酸化炭素濃度とを比較して正常信号又は異常信号を出力するとき、前記モニタリングサーバは、
前記測定された二酸化炭素濃度と前記基準二酸化炭素濃度とを比較し、前記測定された二酸化炭素濃度が前記基準二酸化炭素濃度より一定値以上大きい場合、前記異常信号を発生させることを特徴とする、請求項18に記載の非飽和帯の二酸化炭素濃度モニタリング方法。
【請求項21】
前記モニタリングサーバは、前記測定された二酸化炭素濃度が前記基準二酸化炭素濃度より特定数値以上である場合、前記異常信号を発生させることを特徴とする、請求項20に記載の非飽和帯の二酸化炭素濃度モニタリング方法。
【請求項22】
前記モニタリングサーバは、前記測定された二酸化炭素濃度が前記基準二酸化炭素濃度の特定比率以上である場合、前記異常信号を発生させることを特徴とする、請求項20に記載の非飽和帯の二酸化炭素濃度モニタリング方法。
【請求項23】
前記非飽和帯の二酸化炭素濃度感知装置は、
地表面下の非飽和帯に埋設され、筒状を有するチャンバと、
前記チャンバの側面に形成される気体吸入口と、
前記チャンバの上部に貫通形成され、前記チャンバ内の気体に含まれた二酸化炭素の濃度を測定する二酸化炭素濃度測定センサと、を含むことを特徴とする、請求項18に記載の非飽和帯の二酸化炭素濃度モニタリング方法。
【請求項24】
前記二酸化炭素濃度測定センサはNDIRセンサであることを特徴とする、請求項23に記載の非飽和帯の二酸化炭素濃度モニタリング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−64671(P2011−64671A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126989(P2010−126989)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(506081530)コリア インスティチュート オブ ジオサイエンス アンド ミネラル リソースズ (21)
【Fターム(参考)】