説明

二酸化炭素の還元,固定装置、および還元,固定方法

【課題】第1に、二酸化炭素を確実に還元,固定化処理できると共に、第2に、しかもこれが簡単容易に、効率的に実現でき、第3に、有用物質への合成,活用も可能な、二酸化炭素の還元,固定装置および還元,固定方法を、提案する。
【解決手段】本発明の二酸化炭素の還元,固定装置1、および還元,固定方法では、酸性雰囲気へのpH調整と、鉄(Fe),2価の鉄イオン(Fe2+),3価の鉄イオン(Fe3+)等の添加や生成により、発生期の原子状水素等、電子(e)とプロトン(H)の組み合わせに基づき、二酸化炭素(CO2)を、少なくとも蟻酸(H-COOH)、その他の有用物質に還元,固定化する。そしてこのような還元,固定化処理が行われる処理槽2と、処理槽2に付設された二酸化炭素水溶液の供給手段3と、酸性雰囲気へのpH調整手段4と、鉄粉や2価の鉄イオン等の添加手段5と、後処理槽6等を、備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素の還元,固定装置、および還元,固定方法に関する。すなわち二酸化炭素を、鉄,2価の鉄イオン,3価の鉄イオン等を用いて還元,固定化処理する、装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素は周知のごとく、炭素,炭素化合物,有機化合物の燃焼の他、生物の呼吸,腐敗を含むあらゆる酸化反応により発生するが、最近は地球温暖化要因とされ、グローバル問題化している。
すなわち二酸化炭素は、元々、空気中に約0.036%程度存在しているが、石油,石炭等の化石燃料の消費に伴い近年急増しつつあり、温室効果ガス,地球温暖化ガスとして、その対策が急務とされている。
このような二酸化炭素については、その排出規制対策が、目下各種検討,研究され、開発,実施されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに対し、このような二酸化炭素の排出規制対策ではなく、二酸化炭素の固定化技術,有効利用技術に関しては、まだ検討,研究段階に留まっている。
すなわち、工場その他で大量発生して排出される二酸化炭素を、化学的,物理的方法で効率的に固定化処理したり、更に有用物質へと合成,活用する技術に関しては、経済性の観点からも種々検討,研究されている。しかしながら、その大規模処理用,大容量処理用の技術は、まだ開発,実施段階には達していない。
この種の二酸化炭素の固定化技術としては、例えば次の特許文献1に示したものが、挙げられるに過ぎない。
【特許文献1】特開2006−150232号公報
【0004】
《本発明について》
本発明の二酸化炭素の還元,固定装置、および還元,固定方法は、このような実情に鑑み、上記従来例の課題を解決すべくなされたものである。
そして本発明は、第1に、二酸化炭素を確実に還元,固定化処理できると共に、第2に、しかもこれが簡単容易に、効率的に実現でき、第3に、有用物質への合成,活用も可能な、二酸化炭素の還元,固定装置および還元,固定方法を、提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
《各請求項について》
このような課題を解決する本発明の許請求の範囲記載の技術的手段は、次のとおりである。まず、請求項1,2は、本発明の第1発明に関する。
請求項1については、次のとおり。請求項1の二酸化炭素の還元,固定装置は、二酸化炭素の鉄による還元,固定装置であって、処理槽に、供給手段,pH調整手段,添加手段が、付設されている。
そして該供給手段は、該処理槽に二酸化炭素の水溶液を供給する。該pH調整手段は、pH調整剤を添加して、該水溶液を酸性雰囲気とする。該添加手段は、該処理槽の酸性雰囲気下の該水溶液に鉄粉を添加し、もって該鉄粉が、2価の鉄イオンとして溶解すると共に、電子を放出すること、を特徴とする。
請求項2については、次のとおり。請求項2の二酸化炭素の還元,固定方法は、二酸化炭素の鉄による還元,固定方法であって、まず、酸性雰囲気下で二酸化炭素の水溶液に鉄粉を添加し、もって該鉄粉が、2価の鉄イオンとして溶解すると共に、電子を放出する。
そして該二酸化炭素は、該電子および水中のプロトンと反応して、少なくとも蟻酸に還元,固定されること、を特徴とする。
【0006】
次に、請求項3,4,5は、本発明の第2発明に関する。
請求項3については、次のとおり。請求項3の二酸化炭素の還元,固定装置は、二酸化炭素の2価の鉄イオンによる還元,固定装置であって、処理槽に、供給手段,pH調整手段,添加手段が、付設されている。
そして該供給手段は、該処理槽に二酸化炭素の水溶液を供給する。該pH調整手段は、pH調整剤を添加して、該水溶液を酸性雰囲気とする。該添加手段は、該処理槽の酸性雰囲気下の該水溶液に、2価の鉄イオンを添加し、もって該2価の鉄イオンが、3価の鉄イオンとして溶解すると共に、電子を放出すること、を特徴とする。
請求項4については、次のとおり。請求項4の二酸化炭素の還元,固定方法は、二酸化炭素の2価の鉄イオンによる還元,固定方法であって、まず、酸性雰囲気下で二酸化炭素の水溶液に2価の鉄イオンを添加し、もって該2価の鉄イオンが、3価の鉄イオンとして溶解すると共に、電子を放出する。
そして該二酸化炭素は、該電子および水中のプロトンと反応して、少なくとも蟻酸に還元,固定されること、を特徴とする。
請求項5については、次のとおり。請求項5の二酸化炭素の還元,固定方法では、請求項4において、その排液中に含有された3価の鉄イオンは、アルカリ雰囲気下において、水酸化イオンから電子を引き抜いて、2価の鉄イオンに還元されること、を特徴とする。
【0007】
次に、請求項6,7,8は、本発明の第3発明に関する。
請求項6については、次のとおり。請求項6の二酸化炭素の還元,固定装置は、二酸化炭素の3価の鉄イオンよる還元,固定装置であって、処理槽に、供給手段,pH調整手段,添加手段が、付設されている。
そして該供給手段は、該処理槽に二酸化炭素の水溶液を供給する。該pH調整手段は、pH調整剤を添加して、該水溶液を酸性雰囲気とする。該添加手段は、該処理槽の酸性雰囲気下の該水溶液に、3価の鉄イオンおよびOHラジカルを生成すべく添加し、もって該OHラジカルが、水を酸化して発生期の原子状水素を生成すること、を特徴とする。
請求項7については、次のとおり。請求項7の二酸化炭素の還元,固定方法は、二酸化炭素の3価の鉄イオンによる還元,固定方法であって、まず、酸性雰囲気下で二酸化炭素の水溶液について、3価の鉄イオンとOHラジカルを生成せしめ、もって該OHラジカルが、水を酸化して発生期の原子状水素を生成する。
そして該二酸化炭素は、該3価の鉄イオンおよび発生期の原子状水素と反応して、少なくとも蟻酸に還元,固定されること、を特徴とする。
請求項8については、次のとおり。請求項8の二酸化炭素の還元,固定方法では、請求項6において、その排液中に含有された3価の鉄イオンは、アルカリ雰囲気下において、水酸化イオンから電子を引き抜いて、2価の鉄イオンに還元されること、を特徴とする。
【0008】
《作用等について》
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)この還元,固定装置では、処理槽に供給手段,pH調整手段,添加手段等が、付設されており、この還元,固定方法では、これらが使用される。
(2)そしてまず、供給手段の原水槽に、水が導入されると共に二酸化炭素が注入され、もって二酸化炭素の水溶液が、原水として形成される。
(3)この原水は、pH調整手段にて酸性や弱酸性とされる。
(4)それから原水は、処理槽に供給され、pH調整手段にて酸性や弱酸性を維持される。
(5)そして第1発明では、添加手段から鉄粉が添加されて、2価の鉄イオンとして溶解すると共に、電子を放出する。二酸化炭素は、この電子および水中のプロトンと反応して、少なくとも蟻酸に還元,固定される。
(6)第2発明では、添加手段から2価の鉄イオンが添加されて、3価の鉄イオンとして溶解すると共に、電子を放出する。二酸化炭素は、この電子および水中のプロトンと反応して、少なくとも蟻酸に還元,固定される。
(7)第3発明では、添加手段にて3価の鉄イオンとOHラジカルが生成せしめられ、もって発生期の原子状水素が生成される。二酸化炭素は、3価の鉄イオンおよび発生期の原子状水素と反応して、少なくとも蟻酸に還元,固定される。
(8)蟻酸は、ホルムアルデヒド,メタノール,メタン等へと、順次還元,合成されて行く可能性がある。
(9)さて、第1発明,第2発明,第3発明の還元,固定装置、および還元,固定方法では、二酸化炭素が、このようにして蟻酸,その他の有機高分子化合物として、固定化される。
(10)更に、処理槽から排出された処理水中の3価の鉄イオンは、pH調整手段にてアルカリ過多にすることにより、2価の鉄イオンに還元される。
(11)そして、この還元,固定装置や還元,固定は、比較的簡単な構成により、二酸化炭素を容易かつ安定的に、還元,固定化可能である。
(12)さてそこで、本発明の二酸化炭素の還元,固定装置、および還元,固定方法は、次の効果を発揮する。
【発明の効果】
【0009】
《第1の効果》
第1に、二酸化炭素を確実に還元,固定化可能である。すなわち、本発明の第1発明,第2発明,第3発明に係る二酸化炭素の還元,固定装置、および還元,固定方法では、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素を、鉄,2価の鉄イオン,3価の鉄イオン等を用いて、還元等により蟻酸,その他の有機高分子化合物として、固定化することができる。
この種従来例の排出規制対策とは異なり、固定化そして有効利用への道が開ける。
【0010】
《第2の効果》
第2に、しかもこれは、簡単容易に効率的に実現される。すなわち、本発明の第1発明,第2発明,第3発明に係る二酸化炭素の還元,固定装置、および還元,固定方法では、酸性雰囲気へのpH調整と、自然界に大量に存在する鉄,2価の鉄イオン,3価の鉄イオン等の添加や生成により、発生期の原子状水素等、電子とプロトンの組み合わせに基づき、二酸化炭素を還元,固定化可能である。
つまり、簡単な構成により、容易かつ安定的に還元,固定化可能である。もって、イニシャルコストやランニングコスト等のコスト面に優れており、二酸化炭素の大規模処理,大容量処理へのスケールアップへの道も開ける。
【0011】
《第3の効果》
第3に、更に有用物質への合成,活用も、可能である。すなわち、本発明の第1発明,第2発明,第3発明に係る二酸化炭素の還元,固定装置、および還元,固定方法によると、二酸化炭素を、蟻酸,ホルムアルデヒド,メタノール,メタン等へと、固定可能である。二酸化炭素は、蟻酸,その他の工業的に有用な高分子有機化合物へと合成される。
又、この還元,固定装置を、二酸化炭素が大量発生する工場施設内に設置することにより、産廃処置費用も削減される。
更に、本発明の第2発明,第3発明において、その排液中に含まれた3価の鉄イオンは、アルカリ雰囲気へのpH調整により、2価の鉄イオンへと還元可能である。
このようにして3価の鉄イオンを、2価の鉄イオンの原料として容易にリサイクル再生可能であり、2価の鉄イオンの原料として一般的に用いられている硫酸第一鉄7水和物等を、節約可能となる。例えば、本発明の第2発明の原料や、いわゆるフェントン法の原料となる2価の鉄イオンを、容易に得ることができ、工業的利用価値は大きい。
このように、この種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
《図面について》
以下、本発明の二酸化炭素の還元,固定装置、および還元,固定方法を、図面に示した発明を実施するための最良の形態に基づいて、詳細に説明する。
図1は、本発明を実施するための最良の形態の説明に供し、構成フロー図である。なお、この図1は、過酸化水素と鉄塩にてOHラジカルを生成して、対象物質を酸化,分解するいわゆるフェントン法において使用される図面であるが、この明細書では、同図面を利用して本発明を説明する。
【0013】
《還元,固定装置1の概要》
本発明の第1発明,第2発明,第3発明に係る二酸化炭素の還元,固定装置1、および還元,固定方法では、二酸化炭素(CO)を還元,固定化する。すなわち、酸性雰囲気へのpH調整と、鉄,2価の鉄イオン,3価の鉄イオン等の添加や生成とにより、発生期の原子状水素等の電子とプロトンの組み合わせに基づき、還元,固定化処理する。
周知の通り二酸化炭素は、石油,石炭等の化石燃料の消費に伴い、工場その他で大量発生するが、大気中から濃縮採取されるケースもあるが、何れにしても本発明では、蟻酸(H-COOH),その他の高分子化合物に合成,固定化される。
そして、本発明の第1発明,第2発明,第3発明の還元,固定装置1は、いずれも、処理槽2と、処理槽2に付設された供給手段3,pH調整手段4,添加手段5,後処理槽6等を、備えている。
以下、このような第1発明,第2発明,第3発明について、更に詳述する。
【0014】
《供給手段3について》
まず、供給手段3について説明する。本発明に係る二酸化炭素の還元,固定装置1および還元,固定方法は、第1発明,第2発明,第3発明共通に、供給手段3を備えている。
そして、図示例の供給手段3は、原水槽7を備えている。原水槽7には多くの場合、常時連続的に水供給部8から水が、溶媒として導入されると共に、二酸化炭素注入部9から二酸化炭素が、媒質として注入され、もって二酸化炭素の水溶液が、原水10として形成される。炭酸イオン水ではなく炭酸ガス入りの水つまり炭酸水が、原水10として形成される。
二酸化炭素注入部9からの注入は、気体である二酸化炭素の溶解度を上げるべく、なるべく低温かつ高圧(ヘンリーの法則)の分圧のもとで行われる。つまり、常温以下であると共に、1気圧又は1気圧以上の加圧状態のもとで行われる。
それから、図示の供給手段3では、二酸化炭素溶存水である原水10が、原水槽7からpH調整槽11を経由して、処理槽2へと供給される。
pH調整槽11では、付設されたpH調整手段4から、pH調整剤が添加される。pH調整手段4は、原水槽7から処理槽2に供給される途中のpH調整槽11の原水10に対し、pH調整剤を添加して、二酸化炭素溶存水2を所定の弱酸性にpH調整してから、処理槽2に供給する。すなわち、この原水10は例えばpH6以上であることが多いので、これを例えばpH3〜pH5程度に調整すべく、pH調整剤として硫酸等の酸pH調整剤が添加される。
なお、このようにpH調整槽11が途中に介装されるのは、例えば、二酸化炭素の大規模処理,大容量処理,連続処理,高濃度処理等を行う場合である。これに対しpH調整槽11を使用せず、原水槽7において代用的,兼用的に、上述したpH調整を実施することも可能である。更に、原水槽7,pH調整槽11を共に使用せず、処理槽2のみで、原水10の生成や事前のpH調整を行うことも可能である。
供給手段3は、このようになっている。
【0015】
《第1発明:鉄粉の添加について》
次に、第1発明について説明する。
本発明の第1発明の還元,固定装置1は、二酸化炭素の鉄による還元,固定装置1であり、処理槽2に、供給手段3,pH調整手段4,添加手段5が、付設されている。
供給手段3は、処理槽2に二酸化炭素の水溶液を、原水10として供給する。pH調整手段4は、pH調整剤を添加して、原水10を所定酸性雰囲気とする。添加手段5は、処理槽2の酸性雰囲気下の原水10に鉄粉を添加し、もって鉄粉が、2価の鉄イオンとして溶解すると共に、電子を放出する。
又、第1発明の還元,固定方法は、二酸化炭素の鉄による還元,固定方法であって、まず、酸性雰囲気下で二酸化炭素の水溶液である原水10に、鉄粉を添加し、もって鉄粉が、2価の鉄イオンとして溶解すると共に、電子を放出する。
そして二酸化炭素は、この電子および水中のプロトンと反応して、少なくとも蟻酸に還元,固定される。
【0016】
このような第1発明の反応等について、更に詳述する。まず、酸性雰囲気下の原水10に鉄粉(Fe)を投入すると、下記化1の反応式により、2価の鉄イオン(Fe2+)として溶解して、電子(e)が放出される。
そして、原水10中に溶存している二酸化炭素が、飽和等で過多であるという前提条件のもとにおいては、次のとおり。すなわち、化1の反応式で水中に放出された電子は、水中の溶存酸素(O)より還元し易い二酸化炭素を、下記化2の反応式により、酸性雰囲気下で多量に存在するプロトン(H)と共に捉えて還元し、もって蟻酸(H-COOH)を合成する。
これに対し、上記前提条件が満たされないと仮定した場合は、次のようになる。すなわち、下記化1の反応式で水中に放出された電子は、水中の溶存酸素を、下記化3の反応式により還元し、もって水酸化イオン(OH)を生成して、酸性レベルを下げることになる。化2の反応式の可能性は、低下する。
【0017】
【化1】

【化2】

【化3】

【0018】
ところで、処理槽2の原水10つまり二酸化炭素の水溶液は、pH調整手段4により、例えばpH3〜4程度の酸性に維持されている。
すなわち、処理槽2へ供給される供給手段3の原水槽7の原水10は、水供給部8からの水がpH6以上であることが多いので、前述したようにpH調整槽11において、又は処理槽2において、pH調整手段4から例えば硫酸等が添加され、もって例えばpH3〜4程度に調整される。
これに対し、処理槽2において、例えば2価の鉄イオンが生成されたり添加されると、そのままでは原水10のpHが過度に低下し酸性度が過度に上がるので、その場合には、pH調整手段4から例えばカセイソーダ(NaOH)が添加され、もって例えばpH3〜4程度に調整される。
第1発明については、以上のとおり。
【0019】
《第2発明:2価の鉄イオンの添加について》
次に、第2発明について説明する。
本発明の第2発明の還元,固定装置1は、二酸化炭素の2価の鉄イオンによる還元,固定装置1であり、処理槽2に、供給手段3,pH調整手段4,添加手段5が、付設されている。
供給手段3は、処理槽2に二酸化炭素の水溶液を、原水10として供給する。pH調整手段4は、pH調整剤を添加して、原水10を所定酸性雰囲気とする。添加手段5は、処理槽2の酸性雰囲気下の原水10に、2価の鉄イオンを添加し、もって2価の鉄イオンが、3価の鉄イオンとして溶解すると共に、電子を放出する。
又、第2発明の還元,固定方法は、二酸化炭素の2価の鉄イオンによる還元,固定方法であって、まず、酸性雰囲気下で二酸化炭素の水溶液である原水10に、2価の鉄イオンを添加し、もって2価の鉄イオンが、3価の鉄イオンとして溶解すると共に、電子を放出する。
そして二酸化炭素は、この電子および水中のプロトンと反応して、少なくとも蟻酸に還元,固定される。
【0020】
このような発明の反応等について、更に詳述する。まず、弱酸性雰囲気下の原水10に対し、硫酸第一鉄7水和物(FeSO・7HO)その他の鉄塩を用いて、2価の鉄イオン(Fe2+)を投入すると、下記化4の反応式により、3価の鉄イオン(Fe3+)として溶解して、電子(e)が放出される。酸性雰囲気下では、化学平衡の法則により、水酸化イオン(OH)を増加させる方向へ反応が進むため、2価の鉄イオンを添加すると、3価の鉄イオンに酸化される。
そして、原水10中に溶存している二酸化炭素が、飽和等で過多であるという前提条件のもとにおいては、次のとおり。すなわち、化4の反応式で水中に放出された電子は、水中の溶存酸素(O)より還元し易い二酸化炭素を、下記化5の反応式により、酸性雰囲気下で多量に存在するプロトン(H)と共に捉えて還元し、もって蟻酸(H-COOH)を合成する。
これに対し、上記前提条件が満たされないと仮定した場合は、次のようになる。すなわち、下記化4の反応式で水中に放出された電子は、水中の溶存酸素を、下記化6の反応式により還元し、もって水酸化イオン(OH)を生成して、酸性レベルを下げることになる。化5の反応式の可能性は、低下する。
【0021】
【化4】

【化5】

【化6】

【0022】
なお第1に、処理槽2の原水10つまり二酸化炭素の水溶液は、pH調整手段4により、例えばpH5程度の弱酸性に維持されている。pH調整手段4による酸性維持については、第1発明において前述した所に準じる。
なお第2に、添加手段5は、上述した例では、2価の鉄イオン添加のため、鉄塩を処理槽2の原水10に投入していたが(上記化4の反応式の原料側を参照)、これらによらず、第1発明において鉄粉投入により得られる2価の鉄イオンを、利用するようにしてもよい(前記化1の反応式を参照)。
第2発明については、以上のとおり。
【0023】
《第3発明:3価の鉄イオン等の生成について》
次に、第3発明について説明する。
本発明の第3発明の還元,固定装置1は、二酸化炭素の3価の鉄イオンよる還元,固定装置1であり、処理槽2に、供給手段3,pH調整手段4,添加手段5が、付設されている。
供給手段3は、処理槽2に二酸化炭素の水溶液を、原水10として供給する。pH調整手段4は、pH調整剤を添加して、原水10を酸性雰囲気とする。添加手段5は、処理槽2の酸性雰囲気下の原水10に、3価の鉄イオンおよびOHラジカルを生成すべく添加し、もってOHラジカルが、水を酸化して発生期の原子状水素を生成する。
又、第3発明の還元,固定方法は、二酸化炭素の3価の鉄イオンによる還元,固定方法であって、まず、酸性雰囲気下で二酸化炭素の水溶液である原水10について、3価の鉄イオンとOHラジカルを生成せしめ、もってOHラジカルが、水を酸化して発生期の原子状水素を生成する。
そして二酸化炭素は、この3価の鉄イオンおよび発生期の原子状水素と反応して、少なくとも蟻酸に還元,固定される。
【0024】
このような第3発明の反応等について、更に詳述する。まず、二酸化炭素の水溶液である原水10について、3価の鉄イオンとOHラジカルそして発生期の原子状水素とが、共存して生成せしめられる。
すなわち図示例では、酸性雰囲気下の原水10に対し、過酸化水素添加手段12から過酸化水素(H)が添加されると共に、添加手段5から硫酸第一鉄7水和物(FeSO・7HO)その他の鉄塩を用いて、2価の鉄イオン(Fe2+)が添加される。
もって、下記化7の反応式により、水酸化イオン(OH),OHラジカル(・OH),3価の鉄イオン(Fe3+)等が、生成される。
このように生成されたOHラジカルつまりヒドロキシカル(・OH)は、極めて強力な酸化力(電子奪収力)を備えており、下記化8の反応式により、原水10の溶媒である水を、水素原子(H)を引き抜いて酸化する。そして、自身は水に帰すると共に、酸化物として酸素分子(O)を生成,遊離しつつ、発生期の原子状水素(H+e)(水素ラジカルとも称される)を、生成する。
【0025】
【化7】

【化8】

【0026】
なお第1に、処理槽2の原水10つまり二酸化炭素の水溶液は、pH調整手段4により、弱酸性や酸性に維持されているので、過酸化水素が水と酸素に分解,消費されてしまうことは抑制されると共に、OHラジカルの生成反応が促進される。
なお第2に、上述した例では、3価の鉄イオン生成のため、過酸化水素と2価の鉄イオンを処理槽2の原水10に添加していたが(上記化7の反応式を参照)、これによらず、第2発明において生成された3価の鉄イオンを、利用するようにしてもよい(前記化4の反応式を参照)。
なお第3に、上述した例では、OHラジカルの生成は、上記化7の反応式によったが、更に、この反応式によらずとも、OHラジカルの生成は可能である。例えば次の反応によって、付随的,副次的,連鎖的なOHラジカルの生成が考えられる。すなわち、化7の反応式で生成された水酸化イオンが3価の鉄イオンで酸化されることや、生成されたOHラジカルが水と反応することや、3価の鉄イオンが過酸化水素と反応することによっても、生成される。
第3発明では、このように3価の鉄イオンと発生期の原子状水素とが、生成される。
【0027】
《第3発明:二酸化炭素の還元等について》
第3発明では、上述したように、二酸化炭素の水溶液である原水10について、3価の鉄イオンと発生期の原子状水素とが、酸性雰囲気下で生成されて共存する(例えば、前記化7の反応式そして両者共存は、いわゆるフェントン法において周知のとおり)。
発生期の原子状水素(H+e)は、強力な還元力(電子供与性)を備えている。そして、3価の鉄イオン(Fe3+)は触媒として機能し、その原子構造の表面d電子の空孔に、下記化9の反応式により、まず過渡的にこの原子状水素を捉える。それから、原水10中に飽和等で過多で溶存している二酸化炭素と遭遇すると(飽和等過多の意義については、第1発明,第2発明において述べた所を参照)、下記化10の反応式により、プロトンHと電子eとを放すことになる。
ここに、原子状水素を捉えた3価の鉄イオンを反応中心として、溶存二酸化炭素の還元反応が成立する。下記化11の反応式により、原水10中に溶質として溶存していた二酸化炭素は、原子状水素により還元されて、蟻酸(H-COOH)となる。
第3発明については、以上のとおり。
【0028】
【化9】

【化10】

【化11】

【0029】
《後処理槽6等について》
次に、後処理槽6等について説明する。
処理槽2には、後処理槽6が付設されており、後処理槽6には、前述により、二酸化炭素が固定化された蟻酸、更には、蟻酸が順次還元,合成されたホルムアルデヒド,メタノール,メタン等を含有した処理水13が、処理槽2から排出される。二酸化炭素溶存水である原水10は、このように有機高分子化合物の生成物質が溶存した処理水13となって、後処理槽6に排出される。
そして後処理槽6では、これらの固定化物資つまり生成物質が分離され、もって後処理槽6から生成物槽14へと排出,供給される。残った処理水13は、後処理槽6から第2後処理槽15や中和槽16を経由して、外部排水される。
中和槽16では、処理水13に対し必要に応じpH調整剤が添加され、もって外部排水用にpH調整される。又、その水中に僅かでも過酸化水素が残留している場合は、水質汚濁を回避すべくカタラーゼ等の中和剤が添加される。
後処理槽6等は、このようになっている。
【0030】
《3価の鉄イオンの2価への還元について》
次に、処理水13中に含有された3価の鉄イオンを、第2後処理槽15で、2価の鉄イオンに還元するステップについて、説明する。
第2発明や第3発明の処理槽2からの排液、つまり、その処理水13中には、3価の鉄イオンが含有されている。そこで第2後処理槽15において、このように処理水13の排液中に含有されて蓄積した3価の鉄イオンは、アルカリ雰囲気下において、水の水酸化イオンから電子を引き抜いて、2価の鉄イオンに還元される。
すなわち、3価の鉄イオン(Fe3+)は、過多の水酸化イオン(OH)から電子(e)を引き抜くため、pH調整手段4からカセイソーダ等を添加して、排液をアルカリ過多のアルカリ雰囲気下に置くことにより、次の化12,化13の反応式により、2価の鉄イオン(Fe2+)に還元され、もってリサイクル槽17へと排出,供給される。
3価の鉄イオンは、このように2価の鉄イオンに還元される。
【0031】
【化12】

【化13】

【0032】
《作用等》
本発明の二酸化炭素の還元,固定装置1、および還元,固定方法は、以上説明したように構成されている。そこで、以下のようになる。
(1)本発明の二酸化炭素の還元,固定装置1は、処理槽2を備えており、処理槽2には、まず、二酸化炭素注入部9,水供給部8,原水槽7等の供給手段3、そして、pH調整手段4,添加手段5,過酸化水素添加手段12、更には、後処理槽6,生成物槽14,第2後処理槽15,リサイクル槽17,中和槽16等が、順に付設されている。又、本発明の二酸化炭素の還元,固定方法では、これらが使用される。
【0033】
(2)そして、まず供給手段3の原水槽7には、水供給部8から水が溶媒として導入され、二酸化炭素注入部9から二酸化炭素が溶質として注入される。もって二酸化炭素の水溶液が、原水10として形成される。
【0034】
(3)次に原水10は、図示例ではpH調整槽11において、pH調整手段4から例えば硫酸等のpH調整剤が添加され、もって例えば、pH3〜4程度の酸性やpH5程度の弱酸性とされる。
【0035】
(4)それから原水10は、処理槽2に供給される。もって、原水10で満たされた処理槽2に対し、添加手段5から鉄粉や2価の鉄イオンが添加され、更に必要に応じ、過酸化水素添加手段12から過酸化水素の水溶液が添加される。又、pH調整手段4から、例えばカセイソーダ等のpH調整剤が添加され、もって酸性や弱酸性を維持する。
【0036】
(5)そして第1発明では、添加手段5から鉄粉が処理槽2に添加され、もって鉄粉が、2価の鉄イオンとして溶解すると共に、電子を放出する(前記化1の反応式を参照)。
そこで、原水10に溶存していた二酸化炭素が、この電子および酸性雰囲気下の水中のプロトンと反応して、少なくとも蟻酸に還元,固定される(前記化2の反応式を参照)。
【0037】
(6)第2発明では、添加手段5から2価の鉄イオンが処理槽2に添加され、もって2価の鉄イオンが、3価の鉄イオンとして溶解すると共に、電子を放出する(前記化4の反応式を参照)。
そこで、原水10に溶存していた二酸化炭素が、この電子および酸性雰囲気下の水中のプロトンと反応して、少なくとも蟻酸に還元,固定される(前記化5の反応式を参照)。
【0038】
(7)第3発明では、例えば、添加手段5から2価の鉄イオンが添加され、過酸化水素添加手段12から過酸化水素が添加される。例えばこのようにして、3価の鉄イオンと、OHラジカルそして発生期の原子状水素とが、生成される(前記化7,化8の反応式を参照)。
そこで、原水10に溶存していた二酸化炭素が、この3価の鉄イオンおよび発生期の原子状水素と反応して、少なくとも蟻酸に還元,固定される(前記化9,化10,化11の反応式を参照)。
【0039】
(8)処理槽2では、このように第1発明,第2発明,第3発明にて還元,固定された蟻酸が、更に、ホルムアルデヒド,メタノール,メタン等へと、順次還元,合成されて行く連鎖ステップが、進行する可能性がある。なお、進行が途中で止まる可能性や全く進行しない可能性もある。
又、第1発明,第2発明,第3発明は、それぞれ単独で実施される可能性もあるが、順次又は同時併行的に実施されることも考えられ、更に、いずれか2つの発明の選択的組み合わせも考えられる。
【0040】
(9)第1発明,第2発明,第3発明の還元,固定装置1、および還元,固定方法の処理槽2では、このようにして、鉄,2価の鉄イオン,3価の鉄イオン等を用い、還元により、二酸化炭素溶存水の原水10中の二酸化炭素が、蟻酸,その他の有機高分子化合物として、確実に分解,固定化される。
そして、この蟻酸等の固定化物質、つまり有用な有機高分子化合物に合成された生成物質を含有した処理水13は、処理槽2から後処理槽6へと排出され、もって有用な生成物質が、生成物槽14へと回収される。
【0041】
(10)更に、第2発明や第3発明において、処理槽2から排出された処理水13中には、3価の鉄イオンが含有されている。
そこで、第2後処理槽15において、pH調整手段4からカセイソーダ等を添加して、アルカリ過多にすることにより、処理水13中の3価の鉄イオンは、2価の鉄イオンに還元される。そして、この2価の鉄イオンは、リサイクル槽17へと回収される(前記化12,化13の反応式を参照)。
なお図示例では、後処理槽6そして第2後処理槽15の順に配設されているが、このような図示例によらず、両者は、図示例とは順序を逆にして配設するようにしてもよい。
【0042】
(11)ところで、この二酸化炭素の還元,固定装置1や還元,固定方法は、処理槽2を中心に、供給手段3,添加手段5,pH調整手段4,そのタンク,ポンプ,配管等を付設した構成よりなる。つまり、比較的簡単な構成により、二酸化炭素を容易かつ安定的に、還元,固定化可能である。
本発明の作用等は、このようになっている。
【0043】
《処理槽2における反応:その後の還元反応について》
ここで、蟻酸以下の還元反応について、説明しておく。
前述したように、二酸化炭素は蟻酸(H-COOH)として固定されるが、事後、生成された蟻酸がホルムアルデヒド(H-CHO)に、更に、ホルムアルデヒドがメタノール(CH-OH)に、メタノールがメタン(CH)へと、連鎖ステップを順次辿り、還元反応にて合成されて行くことも考えられる。
まず、第1発明および第2発明では、前述した所に準じて、鉄粉や2価の鉄イオンの添加にて生成された電子(e)と、水中のプロトン(H)との組み合わせが、水中の蟻酸,ホルムアルデヒド,又はメタノールと反応する。
そして、それぞれホルムアルデヒド,メタノール,メタンへと還元,固定される(それぞれの反応式については、前記化2,化5の反応式に準じる)。
【0044】
又、第3発明では、前述した所に準じて生成されたOHラジカルと発生期の原子状水素とにより、水中の蟻酸,ホルムアルデヒド,又はメタノールの還元反応等が進行する。
すなわち、まず蟻酸は、OHラジカルによる酸化反応を前段階としつつ、原子状水素にて還元されて、ホルムアルデヒドとなる(下記化14の反応式を参照)。
ホルムアルデヒドは、原子状水素にて還元されて、メタノールとなる(下記化15の反応式を参照)。メタノールは、OHラジカルによる酸化反応を前段階としつつ、原子状水素にて還元されて、メタンとなる(下記化16の反応式を参照)。
蟻酸以下の還元反応については、以上のとおり。
【0045】
【化14】

【化15】

【化16】

【0046】
《その他》
以上、二酸化炭素の還元処理について、説明した。ところで、この還元,固定装置1および還元,固定方法は、ベンゼン(C),トリクロロエチレン(CCl),テトラクロロエチレン(CCl),四塩化炭素(CCl),その他の難分解性の有機化合物にも、そのまま適用可能である。そして例えば、難分解性の有機化合物で汚染された土壌処理に、適用可能である。
そこで、本発明には属さない参考例として、これらの概略を述べておく。
前述した第1発明および第2発明において、還元剤として使用される電子(e)と水中のプロトン(H)との組み合わせにより、又、第3発明において、酸化剤として使用されるOHラジカルや、還元剤として使用される発生期の原子状水素(H+e)により、難分解性の有機化合物は、分解,無害化される。
すなわち難分解性の有機化合物は、例えば、還元されて中間生成物となり、その後、酸化や還元される各ステップを辿るが、その1例として、テトラクロロエチレン(CCl=CCl)の反応ステップについて、次の化17に示しておく。化18は、化17の各反応ステップを合算した総括反応式である。
難分解性有機化合物については、以上のとおり。
【0047】
【化17】

【化18】

【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る二酸化炭素の還元,固定装置、および還元,固定方法について、発明を実施するための最良の形態の説明に供し、構成フロー図である。
【符号の説明】
【0049】
1 還元,固定装置
2 処理槽
3 供給手段
4 pH調整手段
5 添加手段
6 後処理槽
7 原水槽
8 水供給部
9 二酸化炭素注入部
10 原水
11 pH調整槽
12 過酸化水素添加手段
13 処理水
14 生成物槽
15 第2後処理槽
16 中和槽
17 リサイクル槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素の鉄による還元,固定装置であって、処理槽に、供給手段,pH調整手段,添加手段が、付設されており、
該供給手段は、該処理槽に二酸化炭素の水溶液を供給し、該pH調整手段は、pH調整剤を添加して該水溶液を酸性雰囲気とし、
該添加手段は、該処理槽の酸性雰囲気下の該水溶液に鉄粉を添加し、もって該鉄粉が、2価の鉄イオンとして溶解すると共に電子を放出すること、を特徴とする、二酸化炭素の還元,固定装置。
【請求項2】
二酸化炭素の鉄による還元,固定方法であって、まず、酸性雰囲気下で二酸化炭素の水溶液に鉄粉を添加し、もって該鉄粉が、2価の鉄イオンとして溶解すると共に電子を放出し、
該二酸化炭素は、該電子および水中のプロトンと反応して、少なくとも蟻酸に還元,固定されること、を特徴とする、二酸化炭素の還元,固定方法。
【請求項3】
二酸化炭素の2価の鉄イオンによる還元,固定装置であって、処理槽に、供給手段,pH調整手段,添加手段が、付設されており、
該供給手段は、該処理槽に二酸化炭素の水溶液を供給し、該pH調整手段は、pH調整剤を添加して該水溶液を酸性雰囲気とし、
該添加手段は、該処理槽の酸性雰囲気下の該水溶液に、2価の鉄イオンを添加し、もって該2価の鉄イオンが、3価の鉄イオンとして溶解すると共に電子を放出すること、を特徴とする、二酸化炭素の還元,固定装置。
【請求項4】
二酸化炭素の2価の鉄イオンによる還元,固定方法であって、まず、酸性雰囲気下で二酸化炭素の水溶液に2価の鉄イオンを添加し、もって該2価の鉄イオンが、3価の鉄イオンとして溶解すると共に電子を放出し、
該二酸化炭素は、該電子および水中のプロトンと反応して、少なくとも蟻酸に還元,固定されること、を特徴とする、二酸化炭素の還元,固定方法。
【請求項5】
請求項4に記載した二酸化炭素の還元,固定方法において、その排液中に含有された3価の鉄イオンは、アルカリ雰囲気下において、水酸化イオンから電子を引き抜いて2価の鉄イオンに還元されること、を特徴とする、二酸化炭素の還元,固定方法。
【請求項6】
二酸化炭素の3価の鉄イオンよる還元,固定装置であって、処理槽に、供給手段,pH調整手段,添加手段が、付設されており、
該供給手段は、該処理槽に二酸化炭素の水溶液を供給し、該pH調整手段は、pH調整剤を添加して該水溶液を酸性雰囲気とし、
該添加手段は、該処理槽の酸性雰囲気下の該水溶液に、3価の鉄イオンおよびOHラジカルを生成すべく添加し、もって該OHラジカルが、水を酸化して発生期の原子状水素を生成すること、を特徴とする、二酸化炭素の還元,固定装置。
【請求項7】
二酸化炭素の3価の鉄イオンによる還元,固定方法であって、まず、酸性雰囲気下で二酸化炭素の水溶液について、3価の鉄イオンとOHラジカルを生成せしめ、もって該OHラジカルが、水を酸化して発生期の原子状水素を生成し、
該二酸化炭素は、該3価の鉄イオンおよび該発生期の原子状水素と反応して、少なくとも蟻酸に還元,固定されること、を特徴とする、二酸化炭素の還元,固定方法。
【請求項8】
請求項7に記載した二酸化炭素の還元,固定方法において、その排液中に含有された3価の鉄イオンは、アルカリ雰囲気下において、水酸化イオンから電子を引き抜いて2価の鉄イオンに還元されること、を特徴とする、二酸化炭素の還元,固定方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−99626(P2010−99626A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275197(P2008−275197)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【出願人】(500561931)三井造船プラントエンジニアリング株式会社 (41)
【Fターム(参考)】