説明

二酸化炭素を処理するためのシステムおよび方法

【課題】二酸化炭素を処理するための熱交換アセンブリを提供する。
【解決手段】本熱交換アセンブリ12は、注入部、排出部、および注入部と排出部との間に広がる空胴を画定する内側表面を含むハウジング68を含む。ハウジング68は、注入部を介して固体二酸化炭素を受け取るように構成される。少なくとも1つの熱交換チューブ70が、ハウジング68を通って延び、固体二酸化炭素の少なくとも一部を液体二酸化炭素へと変換させることを促進させるために、固体二酸化炭素と接触するような向きに配置される。熱交換器アセンブリ12は、固体二酸化炭素から冷凍価を回収し、回収した冷凍価の少なくとも一部を煙道ガスへ移すように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において説明する主題は、全体としてガス処理システムに関係し、特に、二酸化炭素(CO2)を処理する際に使用するためのガス処理システムに関係する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも一部の既知の発電システムは、蒸気タービン発電機中で使用される水蒸気を発生させるために、燃焼器および/またはボイラを含む。燃焼器またはボイラの内部での典型的な燃焼プロセス中に、例えば、燃焼ガスまたは煙道ガスの流れが生成される。既知の燃焼ガスは、炭素、フライアッシュ、二酸化炭素、一酸化炭素、水、水素、窒素、硫黄、塩素、ヒ素、セレン、および/または水銀を含むが、これらに限定されない燃焼生成物を含有する。
【0003】
少なくとも一部の既知の発電システムは、煙道ガスの中の燃焼生成物の量を減少させる際に使用するためのガス処理システムを含む。既知のガス処理システムは、煙道ガスからCO2を分離するための低温冷却システムを含む。動作中には、低温冷却システムは、煙道ガス流を冷却して、煙道ガス流の中に浮遊するガス状のCO2から固体CO2を形成する。それに加えて、少なくとも一部の既知のガス処理システムは、CO2を隔離し堆積させるためのCO2隔離システムへ低温冷却システムから固体CO2を搬送する際に使用するための低温固体ポンプを含む。動作中には、低温冷却システムは、煙道ガス流へと冷凍価(refrigeration value)を移して、固体CO2を形成する。低温固体ポンプが冷却システムから固体CO2を搬送するので、冷凍価のうちの少なくとも一部が、固体ポンプの動作から発生する熱のために失われることがある。固体ポンプを介した冷凍価の損失は、煙道ガス流を冷却するために必要なエネルギーの量を増加させることによってガス処理システムの動作コストを増加させる。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、二酸化炭素(CO2)を処理するための熱交換アセンブリを提供する。本熱交換アセンブリは、注入部、排出部、および注入部と排出部との間に広がる空胴を画定する内側表面76を含むハウジングを含む。ハウジングは、注入部を介して固体CO2を受け取るように構成される。少なくとも1つの熱交換チューブが、ハウジングを通って延びる。熱交換チューブが、固体CO2の少なくとも一部を液体CO2へと変換させることを促進させるために、熱交換チューブを介して送られる熱交換器流体へ固体CO2から熱を伝達することを容易にするために固体CO2と接触するような向きに配置される。熱交換アセンブリは、固体CO2から冷凍価を回収し、回収した冷凍価の少なくとも一部を煙道ガスへ移すように構成される。
【0005】
別の一態様では、煙道ガス中の二酸化炭素(CO2)を処理する際に使用するためのガス処理システムを提供する。本ガス処理システムは、煙道ガスの供給源に連結され、供給源から煙道ガスの流れを受け取るように構成された冷却システムを含む。冷却システムは、固体CO2を形成するために煙道ガスの中に浮遊するガス状のCO2を冷却するように構成される。熱交換アセンブリが、冷却システムから固体CO2の流れを受け取るために冷却システムに連結される。熱交換アセンブリは、固体CO2から冷凍価を回収し、煙道ガスへ回収した冷凍価の少なくとも一部を移すように構成される。熱交換器アセンブリは、注入部、排出部、および注入部と排出部との間に広がる空胴を画定する内側表面を含むハウジングを含む。ハウジングは、注入部を介して固体CO2を受け取るように構成される。少なくとも1つの熱交換チューブが、ハウジングを通って延びる。熱交換チューブは、固体CO2の少なくとも一部を液体CO2へと変換させることを促進させるために、熱交換チューブを介して送られる熱交換器流体へ固体CO2から熱が伝達することを容易にするために固体CO2と接触するような向きに配置される。
【0006】
さらに別の一態様では、二酸化炭素(CO2)を処理する方法を提供する。本方法は、固体CO2を形成するために煙道ガスを冷却する冷却システムへCO2を含有する煙道ガスを送るステップと、熱交換器アセンブリへ固体CO2を送るステップとを含む。熱交換器アセンブリは、その中に固体CO2を受け取るように構成されたハウジングと、ハウジングを通って延びる少なくとも1つの熱交換チューブとを含む。ハウジングの内部の圧力は、固体CO2が再昇華することを防止するためにハウジング圧力を所定の範囲内の圧力に維持するように調節される。熱交換流体の流れが、固体CO2の少なくとも一部を液体CO2へと変換させるため、およびCO2から冷凍価を回収するために、固体CO2から熱交換流体へ熱が伝達することを容易にするために少なくとも1つの熱交換チューブを介して送られる。回収した冷凍価の少なくとも一部が、煙道ガスを冷却することを容易にするために煙道ガスへ移される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】例示的な発電システムの概略図である。
【図2】図1に示した発電システムと共に使用することができる例示的な熱交換器アセンブリの概略図である。
【図3】図2に示した熱交換器アセンブリの代替実施形態の概略図である。
【図4】図2に示した熱交換器アセンブリの代替実施形態の概略図である。
【図5】図1に示した発電システムの代替実施形態の図である。
【図6】図1に示した発電システムの別の一実施形態の図である。
【図7】図1に示した発電システムの動作中に発生する二酸化炭素を処理するために使用することができる例示的な方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において説明する例示的なシステムおよび方法は、熱交換流体から固体CO2へ熱を伝達させて、固体CO2から冷凍価を回収することを容易にするように構成されている熱交換器アセンブリを含むガス処理システムを提供することによって、既知のガス処理システムの少なくとも一部の欠点を克服する。その上、熱交換アセンブリは、CO2を固相−液相平衡に維持し、熱交換アセンブリが固体CO2へ熱を伝達させることを可能にして、煙道ガスを事前冷却する際に使用するための液体CO2を形成することを容易にするように構成される。固体CO2から冷凍価を回収するように構成された熱交換アセンブリを含むガス処理システムを提供することによって、煙道ガスの中に浮遊するCO2を処理するコストを、既知のガス処理システムと比較して削減する。
【0009】
図1は、例示的な発電システム10の概略図である。図2は、発電システム10の一部として使用することができる例示的な熱交換アセンブリ12の概略図である。例示的な実施形態では、発電システム10は、燃焼器アセンブリ14、燃焼器アセンブリ14の下流の水蒸気発生アセンブリ16、および水蒸気発生アセンブリ16に連結された蒸気タービンエンジン20を含む。燃焼器アセンブリ14は、少なくとも1つの燃焼器22、燃料供給システム24、および空気供給システム26を含む。燃料供給システム24を、燃焼器22への、例えば石炭などの燃料の流れを送るために燃焼器22に連結する。あるいは、燃料供給システム24は、石油、天然ガス、バイオマス、廃棄物、ならびに/または発電システム10が本明細書において説明するように機能することを可能にする任意の他の化石燃料および/もしくは再生可能燃料を含むがこれらの限定されない任意の他の適した燃料を送ることができる。それに加えて、空気供給システム26を、燃焼器22へ空気の流れを送るために燃焼器22に連結する。燃焼器22は、それぞれ、燃料供給システム24および空気供給システム26から所定の量の燃料および空気を受け取り、燃焼を発生させるために燃料/空気混合物または煙道ガスを発火させるように構成される。その上、燃焼器22は、煙道ガス28の流れを水蒸気発生アセンブリ16へ送って、発電負荷を発生する際に使用するために蒸気タービンエンジン20へ送られる水蒸気を発生する。
【0010】
例示的な実施形態では、水蒸気発生アセンブリ16は、ボイラ給水アセンブリ32と流れ伝通で連結される少なくとも1つの熱回収水蒸気発生器(HRSG)30を含む。HRSG30は、ボイラ給水アセンブリ32からボイラ給水33の流れを受け取り、水蒸気を発生させるためにボイラ給水33を加熱することに役立つ。HRSG30は、燃焼器アセンブリ14から煙道ガス28をやはり受け取って、水蒸気を発生させるためにボイラ給水33をさらに加熱する。HRSG30は、水蒸気を発生させるために煙道ガス28からボイラ給水33へ熱が伝達することを容易にして、蒸気タービンエンジン20へ水蒸気34を送るように構成される。蒸気タービンエンジン20は、駆動シャフト40を用いて発電機38に回転可能に連結される1つまたは複数の蒸気タービン36を含む。HRSG30は、蒸気タービン36へ向けて水蒸気34を放出し、蒸気タービンでは水蒸気中の熱エネルギーが機械的な回転エネルギーに変換される。水蒸気34は、蒸気タービン36および駆動シャフト40に回転エネルギーを与え、これは引き続いて発電機38を駆動して、発電負荷を発生することに役立つ。
【0011】
例示的な実施形態では、発電システム10は、燃焼器アセンブリ14および水蒸気発生アセンブリ16から下流にあるガス処理システム42を含む。ガス処理システム42は、燃焼器アセンブリ14および/または水蒸気発生アセンブリ16から排出される煙道ガス28を受け取り、煙道ガスから炭素、フライアッシュ、二酸化炭素、一酸化炭素、水、水素、窒素、硫黄、塩素、ヒ素、セレン、および/または水銀を含むがこれらに限定されない燃焼生成物を除去すること容易にするように構成される。
【0012】
例示的な実施形態では、ガス処理システム42は、煙道ガス事前冷却システム44、煙道ガス事前冷却システム44の下流の低温冷却システム46、冷却システム46の下流のCO2分離器48、冷却システム46の下流の熱交換アセンブリ12、および熱交換アセンブリ12の下流のCO2利用システム52を含む。ガス状のCO2および窒素(N2)を含む煙道ガス28は、燃焼器アセンブリ14および/または水蒸気発生アセンブリ16から煙道ガス事前冷却システム44へ送られる。煙道ガス事前冷却システム44は、煙道ガス事前冷却システム44を介して送られる熱交換流体54への煙道ガス28からの熱伝達を促進させて、煙道ガス28の温度を低下させることを容易にする。事前冷却システム44は、冷却した煙道ガス28を冷却システム46へ送る。
【0013】
冷却システム46は、煙道ガス28を処理し、煙道ガス28の中のガス状のCO2を冷却して、固体CO2を形成するように構成される。冷却システム46は、CO2分離器48へ冷却した煙道ガス28および固体CO2を送り、煙道ガス28から固体CO2およびN2を分離することに役立つ。CO2分離器48は、固体CO256を熱交換アセンブリ12へ送って、熱交換流体54から固体CO256へ熱が伝達することを容易にする。その上、熱交換アセンブリ12は、熱交換アセンブリ12を介して送られる熱交換流体54へ固体CO256から熱が伝達することを容易にして、固体CO256が液体CO258へ変換することを促進させるように構成される。その上、熱交換アセンブリ12は、固体CO256から冷凍価を回収し、回収した冷凍価の少なくとも一部を煙道ガス28へ移して、煙道ガス28を冷却することを容易にするように構成される。それに加えて、熱交換アセンブリ12は、含有量の多いCO2を利用するためにCO2利用システム52へ液体CO258を送るように構成される。一実施形態では、CO2利用システム52は、含有量の多いCO2を隔離するための隔離システムを含む。あるいは、利用システム52は、任意の目的のためにCO2を使用するように構成された任意のシステムを含むことができる。例示的な実施形態では、熱交換アセンブリ12は、熱交換アセンブリ12の内部のCO2が固相−液相平衡になるように熱交換アセンブリ12の内部の温度および圧力を調節するようにやはり構成される。
【0014】
熱交換アセンブリ12は、熱交換器60およびロックホッパアセンブリ62を含む。固体CO256をCO2分離器48から熱交換器60へ送るために、ロックホッパアセンブリ62を熱交換器60とCO2分離器48との間に連結する。ロックホッパアセンブリ62は、CO2分離器48から固体CO256を受け取るように構成されている槽64、および槽64と熱交換器60との間に連結され、固体CO256が槽64から熱交換器60へ選択的に送られることを可能にする弁アセンブリ66を含む。ロックホッパアセンブリ62は、槽64の内部の圧力が、固体CO256が固相のままであるような圧力の範囲内になるように、槽64の内部の圧力を調節するように構成される。それに加えて、ロックホッパアセンブリ62は、固体CO256が槽64から熱交換器60中へと重力で供給されることを可能にするように構成される。例示的な実施形態では、ロックホッパアセンブリ62は、内部圧力を約7atmに等しく維持するように構成される。
【0015】
熱交換器60は、ハウジング68およびハウジング68を通って延びる少なくとも1つの熱交換チューブ70を含む。ハウジング68は、注入部72、排出部74、および注入部72と排出部74との間に広がる空胴78を画定する内側表面76を含む。ハウジング68は、所定の範囲内の圧力に空胴78の内部の圧力を維持して、固体CO256が空胴78の内部でガス状のCO2へと再昇華することを防止することに役立つように構成される。例示的な実施形態では、ハウジング68は、約7atmの内部圧力を維持するように構成される。一実施形態では、ハウジング68は、約1atmと約10atmとの間に内部圧力を維持するように構成される。その上、ロックホッパアセンブリ62は、弁アセンブリ66を介してハウジング空胴78へ加圧した流体の流れを送り、所定の圧力までハウジング68を加圧する。例示的な実施形態では、内側表面76は、上側部分80および上側部分80の下方に広がる下側部分82を含む。注入部72は、上側部分80を通って延び、ロックホッパアセンブリ62から固体CO256を受け取るためにロックホッパアセンブリ62に連結される。それに加えて、ハウジング下側部分82は、液体CO258をその中に含むように大きさおよび形状を決められる。排出部74は、下側部分82を通って延び、CO2利用システム52へ連結される。より具体的には、熱交換アセンブリ12は、液体CO258を下側部分82からCO2利用システム52へ送るために、熱交換器60とCO2利用システム52との間に連結されている液体CO2ポンプ84を含む。
【0016】
例示的な実施形態では、熱交換チューブ70は、ハウジング空胴78を通って延び、ハウジング空胴78を介して熱交換流体54の流れを送るように構成される。熱交換チューブ70は、第1の末端86と第2の末端88との間の中心線軸85に沿って延びる。熱交換チューブ70は、空胴78の内部で、熱交換チューブ70の外側表面90が固体CO256と接触して、熱交換流体54から固体CO256へ熱が伝達することを容易にして、固体CO256の温度を高くし且つ固体CO256の少なくとも一部を液体CO258へ変換させることを促進させるような向きに配置される。
【0017】
熱交換アセンブリ12は、チューブ外側表面90から外へ向かって延びる複数のフィン92をやはり含む。各フィン92は、固体CO256と接触して、熱交換流体54から固体CO256へ熱が伝達することを容易にし、固体CO256から液体CO258が形成されることを容易にし、固体CO256から冷凍価を回収するために熱交換流体54を冷却するように構成される外側表面94を含む。各フィン92は、空胴78の内部で、固体CO256がハウジング上側部分80の内部で熱交換チューブ70によって少なくとも部分的に支持されるような向きに配置される。その上、各フィン92は、液体CO258が下側部分82の内部に形成されたプール96の中に集められるように、上側部分80から下側部分82へと空胴78の内部で形成された液体CO258を流すような向きに配置される。例示的な実施形態では、各フィン92は、中心線軸85に実質的に垂直な向きに配置される。それに加えて、各フィン92は、液体CO258の中に少なくとも部分的に浸されて、液体CO258から熱交換流体54へと熱が伝達することを容易にする。一実施形態では、熱交換チューブ70は、1つまたは複数のフィン92に各々連結されている複数のパイプ98を含む。各パイプ98は、空胴78の内部で向きを決められ、第1の末端86と第2の末端88との間に延びる。1つまたは複数のパイプ98は、液体CO258の中に少なくとも部分的に浸されて、液体CO258から熱交換流体54へと熱が伝達することを容易にする。
【0018】
システム10の動作中には、燃焼器22は、燃料供給システム24から所定の量の燃料を受け取り、且つ空気供給システム26から所定の量の空気を受け取る。燃焼器22は、燃料を空気の流れの中へと注入し、燃料−空気混合物を発火させて燃焼を介して燃料−空気混合物を膨張させ、高温煙道ガスを発生する。燃焼器22は、HRSG30へ煙道ガス28を送り、煙道ガス28から水蒸気が発生することを容易にする。それに加えて、ボイラ給水アセンブリ32は、ボイラ給水33の流れをHRSG30へ送る。HRSG30は、煙道ガス28からボイラ給水33へ熱を伝達させ、水蒸気34を発生させるためにボイラ給水33を加熱することを容易にする。HRSG30は、蒸気タービン36へ向けて水蒸気34を放出し、蒸気タービン36では、水蒸気中の熱エネルギーが機械的な回転エネルギーに変換される。HRSG30および/または燃焼器22は、ガス処理システム42へ向けて煙道ガス28を放出して、煙道ガス28の中に浮遊する二酸化炭素CO2を処理することを容易にする。
【0019】
例示的な実施形態では、HRSG30および/または燃焼器22は、煙道ガスを事前冷却システム44へ送る。事前冷却システム44は、煙道ガス28から熱交換流体54へ熱を伝達させて、煙道ガス28の温度を低下させる。事前冷却システム44は、煙道ガス28を冷却システム46へ向けて放出して、煙道ガス28の中に浮遊するガス状のCO2から固体CO2を発生させることを容易にする。それに加えて、事前冷却システム44は、熱交換流体54を熱交換アセンブリ12に向けて送る。冷却システム46は、煙道ガス28を冷却して固体CO2を発生させ、煙道ガス28から固体CO2およびN2を分離することを容易にするためにCO2分離器48へ冷却した煙道ガス28および固体CO256を送る。CO2分離器48は、固体CO2をロックホッパアセンブリ62に向けて放出する。それに加えて、CO2分離器48は、CO2およびN2の混合物を含むCO2の少ないガス100の流れを冷却システム46および/またはロックホッパアセンブリ62へ送る。一実施形態では、CO2分離器48から放出されたCO2の少ないガス100を、第1の分流102および第2の分流104へと分割する。第1の分流102は、大気へと放出される。第2の分流104は、圧縮機106内で圧縮され、所定の圧力でロックホッパアセンブリ62へ送られ、ロックホッパアセンブリ62の内部の圧力を調節することに役立つ。
【0020】
ロックホッパアセンブリ62は、固体CO256を熱交換器60へ向けて送り、固体CO256から熱交換器60を介して送られる熱交換流体54へ熱を伝達させる。固体CO256を、熱交換器60へ重力で供給し、熱交換流体54から固体CO256へ熱を伝達させて、固体CO256の少なくとも一部を液体CO258に変換し、熱交換流体54を冷却して固体CO256から冷凍価を回収する。熱交換器60は、液体CO258をCO2利用システム52へ放出する。それに加えて、熱交換器60は、煙道ガス28を冷却する際に使用するために、熱交換流体54を事前冷却システム44に向けて送る。
【0021】
例示的な実施形態では、ロックホッパアセンブリ62および熱交換器60は、約7atmに等しい内圧を各々有し、空胴78の内部で固体CO256がガス状のCO2へと再昇華することを防止することに役立ち、固相−液相平衡にCO2を維持する。ロックホッパアセンブリ62は、約−102℃に等しい温度を有する固体CO256を熱交換器60に向けて送る。熱交換流体54は、約−51℃に等しい温度を有する熱交換器60中へと送られる。固体CO256が熱交換チューブ70と接触するので、固体CO256の少なくとも一部が、液体CO258へと変換される。熱交換器60から放出された液体CO258は、約−51℃に等しい流体温度を有する。熱交換器60から放出された熱交換流体54は、約−80℃に等しい流体温度を有する。
【0022】
図3〜図4は、熱交換アセンブリ12の代替実施形態の概略図である。図3〜図4に示した同一の構成要素を、図2において使用した同じ参照番号を用いて表示する。一代替実施形態では、熱交換チューブ70は、第1のセクション108と第2のセクション110との間に延びる。第1のセクション108は、下側部分82の内部で、第1のセクション108が液体CO258の中に少なくとも部分的に浸るような向きに配置される。第2のセクション110は、上側部分80の内部で向きを決められ、固体CO256を支持するように構成され、その結果、固体CO256が液体CO2プール96の上方で向きを決められる。フィン92が、熱交換チューブ70に連結され、中心線軸85に対して斜めの向きに配置されて、上側部分80から下側部分82へ液体CO258を送ることを容易にする。1つまたは複数のフィン92を、チューブの第1のセクション108に連結し、液体CO258の中に少なくとも部分的に浸す。
【0023】
図4を参照すると、別の一実施形態では、各フィン92を上側部分80の内部で向きを決めるように、各フィン92を熱交換チューブ70の第2のセクション110に連結する。複数の開口部112を隣接するフィン92の間で画定するように、各フィン92を隣接するフィン92に対して向きを決める。各開口部112は、上側部分80から下側部分82へ液体CO258を送るように大きさおよび形状を決められる。
【0024】
図5は、発電システム10の別の一実施形態である。図5に示した同一の構成要素を、図1において使用した同じ参照番号を用いて表示する。一代替実施形態では、熱交換器60は、煙道ガス28を事前冷却する際に使用するために冷たい液体CO258を煙道ガス事前冷却システム44へ送る。より詳しくは、液体CO2ポンプ84は、液体CO258を熱交換器60から煙道ガス事前冷却システム44へ送る。それに加えて、煙道ガス事前冷却システム44は、液体CO258をCO2利用システム52へ送る。一実施形態では、液体CO2ポンプ84は、煙道ガス事前冷却システム44を介してCO2利用システム52へ液体CO258を送るように構成される。
【0025】
図6は、発電システム10の一代替実施形態である。図6に示した同一の構成要素を、図1において使用した同じ参照番号を用いて表示する。一代替実施形態では、発電システム10は、上部循環またはガスタービンエンジンアセンブリ114および底部循環または蒸気タービンエンジン20を含む。ガスタービンエンジンアセンブリ114は、圧縮機116、圧縮機116の下流の燃焼器118、および燃焼器118の下流で且つ燃焼器118から放出されるガスによって動力を与えられるタービン120を含む。タービン120は、発電機122を駆動する。それに加えて、タービン120は、煙道ガス28から水蒸気を発生させるために、煙道ガス28をHRSG30へ放出する。
【0026】
例示的な実施形態では、熱交換器60は、事前冷却システム44からの煙道ガス28の流れを受け取るために事前冷却システム44の下流に連結される。動作中には、HRSG30および/またはタービン120は、煙道ガス28を事前冷却システム44へ放出して、煙道ガス28から液体CO258へ熱を伝達させる。事前冷却システム44は、煙道ガス28を熱交換器60へ送り、煙道ガス28から固体CO256へ熱を伝達させて固体CO256から液体CO258を形成して煙道ガス28を冷却することを容易にし、且つ固体CO256から冷凍価を回収する。熱交換器60は、冷却した煙道ガス28を冷却システム46へ送り、煙道ガス28を冷却して煙道ガス28の中に浮遊するガス状のCO2から固体CO2を形成する。冷却システム46は、固体CO2および煙道ガス28をCO2分離器48へ送って、煙道ガス28から固体CO2を分離し、固体CO2をロックホッパアセンブリ62へ放出する。ロックホッパアセンブリ62は、固体CO256を熱交換器60へ放出し、熱交換器60を介して送られる煙道ガス28へ固体CO256から熱を伝達させ、且つ固体CO256から液体CO258を形成する。熱交換器60は、液体CO258を事前冷却システム44へ送って、煙道ガス28から液体CO258へ熱が伝達することを容易にする。それに加えて、事前冷却システム44は、液体CO258をCO2利用システム52へ送る。
【0027】
図7は、発電システム10の動作中に発生するCO2を処理するために使用することができる例示的な方法200の流れ図である。例示的な実施形態では、方法200は、固体CO2をロックホッパアセンブリ62から熱交換アセンブリ12へ送るステップ202、および固体CO2から液体CO2を形成し且つ固体CO2および液体CO2から冷凍価を回収するために、固体CO2から熱交換流体54へ熱が伝達することを容易にさせるように熱交換チューブ70を介して熱交換流体54の流れを送るステップ204を含む。方法200は、固体CO2がガス状のCO2へと再昇華することを防止するために所定の範囲内の圧力にハウジング圧力を維持するようにハウジング68の内部の圧力を調節するステップ206をやはり含む。熱交換流体54は、煙道ガス28を事前冷却するために、熱交換アセンブリ12から事前冷却システム44へ送られる208。液体CO2は、含有量の多いCO2を利用することを促進させるために、熱交換アセンブリ12からCO2利用システム52へ送られる210。
【0028】
上に説明したシステムおよび方法は、固体CO2から冷凍価を回収することを容易にするために、熱交換流体から固体CO2へ熱を伝達させるように構成された熱交換アセンブリを含むガス処理システムを提供することによって、既知のガス処理システムの少なくとも一部の欠点を克服する。それに加えて、ガス処理システムは、煙道ガスを事前冷却する際に使用するため液体CO2を形成することを容易にし、熱交換器アセンブリが固体CO2から熱交換流体へ熱を伝達させることを可能にするために、CO2を固相−液相平衡に維持するように構成されている熱交換器アセンブリを含む。固体CO2から冷凍価を回収する熱交換器アセンブリを含むガス処理システムを提供することによって、煙道ガスの中に浮遊するCO2を処理するコストが、既知のガス処理システムに比べて削減される。
【0029】
二酸化炭素を処理するためのシステムおよび方法の例示的な実施形態を、詳細に上に説明している。本システムおよび方法は、本明細書において説明した具体的な実施形態に限定されずに、むしろシステムの構成要素および/または方法のステップを、本明細書において説明した他の構成要素および/またはステップから独立しておよび個別に利用することができる。例えば、本システムおよび方法を、また、別のガス処理システムおよび方法と組み合わせて使用することができ、本明細書において説明したようなガス処理システムだけを用いて実行するように限定されない。むしろ、例示的な実施形態を、多くの他のガス処理システム応用例と協働して実装し利用することができる。
【0030】
本発明の様々な実施形態の具体的な特徴を、いくつかの図面において示し、他の図面では示さないことがあるが、これは、利便性のためだけである。本発明の原理にしたがえば、ある図面の任意の特徴を、いずれかの他の図面の任意の特徴と組み合わせて参照するおよび/または権利を主張することができる。
【0031】
この明細書は、最良の形態を含む本発明を開示するため、および任意の装置またはシステムを作成することおよび使用すること、ならびに任意の組み込んだ方法を実行することを含む本発明を当業者が実施することをやはり可能にするために例を使用している。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者なら思い付く別の例を含むことができる。そのような別の例が、特許請求の範囲の文面と異ならない構造的要素を有する場合、またはそのような別の例が、特許請求の範囲の文面との実質的でない差異を有する等価な構造的要素を含む場合には、そのような別の例は、特許請求の範囲の範囲内に収まることを意図されている。
【符号の説明】
【0032】
10 発電システム
12 熱交換アセンブリ
14 燃焼器アセンブリ
16 水蒸気発生アセンブリ
20 蒸気タービンエンジン
22 燃焼器
24 燃料供給システム
26 空気供給システム
28 煙道ガス
30 HRSG
32 ボイラ給水アセンブリ
33 ボイラ給水
34 水蒸気
36 蒸気タービン
38 発電機
40 駆動シャフト
42 ガス処理システム
44 事前冷却システム
46 低温冷却システム
48 CO2分離器
52 CO2隔離システム
54 熱交換流体
56 固体CO2
58 液体CO2
60 熱交換器
62 ロックホッパアセンブリ
64 槽
66 弁アセンブリ
68 ハウジング
70 熱交換パイプライン
72 注入部
74 排出部
76 内側表面
78 空胴
80 上側部分
82 下側部分
84 液体CO2ポンプ
85 中心線軸
86 第1の末端
88 第2の末端
90 外側表面
92 フィン
94 外側表面
96 液体CO2プール
98 パイプ
100 少ないガス
102 第1の分流
104 第2の分流
106 圧縮機
108 第1のセクション
110 第2のセクション
112 開口部
114 ガスタービンエンジンアセンブリ
116 圧縮機
118 燃焼器
120 タービン
122 発電機
200 方法
202 固体CO2をロックホッパアセンブリから送るステップ
204 熱交換パイプラインを介して熱交換流体の流れを送るステップ
206 熱交換器アセンブリの内部の圧力を調節するステップ
208 熱交換流体を事前冷却システムへ送るステップ
210 液体CO2をCO2利用システムへ送るステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素(CO2)を処理するための熱交換アセンブリ(12)であって、
注入部(72)、排出部(74)、および前記注入部と前記排出部との間に広がる空胴(78)を画定する内側表面(76)を備えたハウジング(68)であって、前記注入部を介して固体CO2を受け取るように構成される、ハウジング(68)と、
前記ハウジングを通って延びる少なくとも1つの熱交換チューブ(70)であって、固体CO2の少なくとも一部を液体CO2へと変換させることを促進させるために、前記熱交換チューブを介して送られる熱交換流体へ固体CO2から熱が伝達することを容易にするために固体CO2と接触するような向きに配置され、前記熱交換器アセンブリが前記固体CO2から冷凍価を回収し、前記回収した冷凍価の少なくとも一部を煙道ガスへ移すように構成される、少なくとも1つの熱交換チューブ(70)とを備えた、熱交換器アセンブリ(12)。
【請求項2】
前記ハウジング(68)は、固体CO2がガス状のCO2に再昇華することを防止するために、所定の範囲内の圧力に前記空胴を維持するように構成される、請求項1記載の熱交換アセンブリ(12)。
【請求項3】
前記ハウジング内側表面(76)が、上側部分(80)と前記上側部分(80)の下方に広がる下側部分(82)との間に広がり、前記下側部分がその中に液体CO2を収容するように構成される、請求項1記載の熱交換アセンブリ(12)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのチューブ(70)が、外側表面(90)および前記チューブ外側表面から外へ向かって延びる複数のフィン(92)を含み、前記複数のフィンの各フィン(92)が、前記上側部分(80)の内部で固体CO2を支持するような向きに配置される、請求項3記載の熱交換アセンブリ(12)。
【請求項5】
前記複数のフィンの各フィン(92)が、液体CO2の中に少なくとも部分的に浸される、請求項4記載の熱交換アセンブリ(12)。
【請求項6】
隣接するフィン(92)は、複数の開口部(112)が隣接するフィンの間で画定されるように向きを決められ、各開口部が、液体CO2を前記上側部分(80)から前記下側部分(82)へ送る大きさに決められる、請求項4記載の熱交換アセンブリ(12)。
【請求項7】
前記注入部を介して前記ハウジング空胴(78)中へと固体CO2を送るために前記ハウジング注入部(72)に連結されたロックホッパアセンブリ(62)をさらに備えた、請求項1記載の熱交換アセンブリ(12)。
【請求項8】
前記ロックホッパアセンブリ(62)は、固体CO2が前記ハウジング空胴(78)中へと重力で供給されることを可能にするように構成される、請求項7記載の熱交換アセンブリ(12)。
【請求項9】
煙道ガス中の二酸化炭素(CO2)を処理する際に使用するためのガス処理システム(42)であって、
煙道ガスの供給源に連結され、前記供給源から煙道ガスの流れを受け取るように構成された冷却システム(46)であって、固体CO2を形成するために前記煙道ガスの中のCO2を冷却するように構成される、冷却システム(46)と、
前記冷却システムから固体CO2の流れを受け取るために前記冷却システムに連結された熱交換アセンブリ(12)であって、前記固体CO2から冷凍価を回収し、前記煙道ガスへ前記回収した冷凍価の少なくとも一部を移すように構成される、熱交換器アセンブリ(12)とを備え、前記熱交換アセンブリが、
注入部(72)、排出部(74)、および前記注入部と前記排出部との間に広がる空胴(78)を画定する内側表面(76)を備えたハウジング(68)であって、前記注入部を介して固体CO2を受け取るように構成される、ハウジングと(68)、
前記ハウジングを通って延びる少なくとも1つの熱交換チューブ(70)であって、固体CO2の少なくとも一部を液体CO2へと変換させることを促進させるために、前記熱交換チューブを介して送られる熱交換流体へ固体CO2から熱が伝達することを容易にするために固体CO2と接触するような向きに配置される、少なくとも1つの熱交換チューブ(70)とを備えた、ガス処理システム(42)。
【請求項10】
前記ハウジング(68)は、固体CO2がガス状のCO2に再昇華することを防止するために、所定の範囲内の圧力に前記空胴を維持するように構成される、請求項9記載のガス処理システム(42)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−96695(P2013−96695A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−187110(P2012−187110)
【出願日】平成24年8月28日(2012.8.28)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)