説明

二酸化炭素吸収剤及び該吸収剤を用いた二酸化炭素の分離回収方法

【課題】省エネルギーでガス中に含まれる二酸化炭素を安定に分離するための二酸化炭素吸収剤を提供する。
【解決手段】二酸化炭素を分離回収するための、下記一般式(I):


(式中、nは、2以上6以下の整数である。)
で表される構造を有するアミン化合物を含むアミンと、水とを含有する二酸化炭素吸収剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省エネルギーで、且つ安定に分離するための二酸化炭素吸収剤に関するものである。また本発明は、燃焼排ガスのような二酸化炭素を含有するガスからの二酸化炭素の分離回収方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の原因物質として大気中の二酸化炭素が着目されており、大規模な排出源である火力発電所、製鉄所、セメント工場等から排出される排ガス中の二酸化炭素を分離回収する検討がなされている。
【0003】
従来、ガス中に含まれる二酸化炭素の分離は種々の方法により行なわれてきた。例えば、アンモニア製造過程での二酸化炭素の除去等、塩基性の吸収液と接触させて二酸化炭素を吸収除去する方法が一般的に行なわれている。このような方法は、化学吸収法に分類され、吸収塔で化学的に吸収された二酸化炭素は、再生塔で吸収液を加熱することにより吸収液から放出されて回収される。化学吸収法のプロセスでは、二酸化炭素の高効率な除去と高純度の二酸化炭素の回収が可能であることを特徴としている。
【0004】
排ガスからの二酸化炭素の分離回収に対して、化学吸収法に代表される従来の分離回収技術を用いた場合、分離に要する付加的なエネルギーの比重が大きくなるため、経済性が非常に大きな問題となる。この分離に要するエネルギーは、化学吸収法の場合、二酸化炭素を吸収させた吸収液を加熱して、二酸化炭素を放出させる工程での熱エネルギーが最も大きい。化学吸収法で用いられる従来の塩基性の吸収液としては、炭酸カリウム水溶液や、モノエタノールアミン水溶液に代表されるアルカノールアミン水溶液が使われており、これらを基本技術として、より分離エネルギーの小さな吸収液の検討がなされている。
【0005】
特許文献1及び特許文献2では、特定のモノアミン水溶液を用いた燃焼排ガスからの二酸化炭素の除去方法が提案されている。特許文献3及び特許文献4では、特定のジアミン水溶液を用いた燃焼排ガスからの二酸化炭素の除去方法が提案されている。これらの方法は、モノエタノールアミン水溶液を用いた方法より改善はされているものの、さらなる省エネルギー化と高効率化が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2871334号公報
【特許文献2】特許第2895325号公報
【特許文献3】特開平7−313840号公報
【特許文献4】特表2010−514549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、従来の二酸化炭素吸収剤では、二酸化炭素の分離回収時におけるさらなる省エネルギー化と高効率化が一つの課題である。その他の課題として、アミン化合物の揮発性と金属腐食性が挙げられる。アミン化合物を用いた吸収液では、二酸化炭素を吸収させる工程においてガスと接触させる際に、少量のアミン化合物が揮発損失してしまうという問題がある。このためアミン化合物の揮発性を下げることが重要である。また、アミン化合物の塩基性に起因する金属の腐食性も課題であり、反応器に使用できる材質に制限を受ける。さらに、二酸化炭素吸収剤の生産性も課題の1つである。
【0008】
本発明は、上記の課題に対応し、省エネルギーでガス中に含まれる二酸化炭素を分離回収するためのアミン化合物を用いた二酸化炭素吸収剤を提供することを目的とする。また本発明は、上記の二酸化炭素吸収剤を用いた、燃焼排ガスのような二酸化炭素含有ガスからの二酸化炭素の分離回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の二酸化炭素吸収剤が省エネルギーでガス中に含まれる二酸化炭素を分離回収することができることを見出した。さらに、本発明の二酸化炭素吸収剤を用いた二酸化炭素の分離回収方法を発明するに至った。即ち、本発明は以下の通りである。
【0010】
[1] 二酸化炭素を分離回収するための、下記一般式(I):
【化1】

(式中、nは、2以上6以下の整数である。)
で表される構造を有するジアミン化合物を含むアミンと、水とを含有する二酸化炭素吸収剤。
【0011】
[2] 式(I)中、nが2であり、下記一般式(II):
【化2】

で表される[1]に記載の二酸化炭素吸収剤。
【0012】
[3] 前記アミンを、5.0質量%以上80.0質量%以下で、且つ水を質量20.0%以上95.0質量%以下で含有する、[1]又は[2]に記載の二酸化炭素吸収剤。
【0013】
[4] 全アミン中の[1]又は[2]に記載のジアミン化合物の割合が、10.0質量%以上100.0質量%以下である、[3]に記載の二酸化炭素吸収剤。
【0014】
[5] 以下の工程:
二酸化炭素を、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の二酸化炭素吸収剤に吸収させる工程;及び
該吸収剤から二酸化炭素を加熱することによって分離回収する工程
を含む、二酸化炭素の分離回収方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明者らが鋭意検討を行った結果、本発明における二酸化炭素吸収剤は、意外なことに公知の二酸化炭素吸収剤よりも高い吸収放出性能を有しながら、且つ低い反応熱で二酸化炭素と反応できることがわかった。また、本発明における二酸化炭素吸収剤は、揮発性が低く、金属腐食性が少ないことがわかった。結果として、本発明によって、省エネルギーで安定且つ連続的に二酸化炭素を分離回収することのできる二酸化炭素吸収剤が提供できる。本発明の二酸化炭素吸収剤のこのような効果は、二酸化炭素吸収剤が、上記式(I)で表される化合物群(以下、「ジアミン群A」とする)から少なくとも1種選択されるジアミン化合物を含有することによって発現する。
【0016】
ジアミン群Aと二酸化炭素とを水の存在下で反応させると、予想外にも、高い反応速度で且つ低い反応熱で二酸化炭素と反応させることができる。理論に限定されないが、これは、ジアミン群Aの構造が、末端に2−プロパノール構造の置換基を有する第二級ジアミンであることに起因していると考えられる。
【0017】
水溶液中で二酸化炭素とアミノ基は、カルバメートアニオン生成反応と重炭酸塩生成反応の二つの反応を行うと考えられる。二つの反応において、カルバメートアニオン生成反応は、反応熱が高い一方で、二酸化炭素との反応速度の点で優れており、重炭酸塩生成反応は、二酸化炭素との反応速度の点で劣っているが、反応熱は低いという特徴を持っている。
【0018】
上記二つの反応の内、第一級、第二級アミンでは、いずれの反応も起こり、第三級アミンでは、重炭酸塩生成反応のみ起こると考えられる。このように考えると、第一級アミン構造及び/又は第二級アミン構造を有している化合物は、反応速度と反応熱との最良のバランスを取れる可能性を有しているといえる。
【0019】
その中でもジアミン群Aが、高い反応速度と低い反応熱の高度のバランスを有するのには、ジアミン群Aが第二級アミンを有することに加え、水酸基とアミノ基とが水素結合できること、及び二酸化炭素との反応部位であるアミノ基を二つ有していることがさらに考えられる。すなわち、水酸基とアミノ基とが水素結合することで、上記二つの反応の内、アミノ基の水和の影響を大きく受ける重炭酸塩生成反応に影響を与えると考えられる。さらに、ジアミンであることにより、アミノ基1つと二酸化炭素1分子とが反応した後、残った未反応のアミノ基の反応性が、先に反応した1つ目のアミノ基の反応性と異なるためと考えられる。これは、一方のアミノ基が反応した後、もう一方のアミノ基の塩基性が、先に反応したアミノ基より弱くなるためである。これにより、重炭酸塩生成反応に偏ることなく、適度にカルバメートアニオン生成反応も織り交ぜることができ、反応速度を高めることができたと考えられる。
【0020】
また、ジアミン群Aは、水素結合形成が可能な部位が多く、揮発性が低い特性を有するため、本発明の二酸化炭素吸収剤は揮発性を低下させることが出来ると考えられる。さらに、本発明の二酸化炭素吸収剤においては、ジアミン群Aを製造する際に得られる原料の反応混合物を、そのままの形態で二酸化炭素吸収剤に用いることができる。したがって、アミン化合物の分離等を必ずしも必要としないことから、容易に吸収剤を製造することができ、生産性を向上させることができる。
【0021】
本発明の二酸化炭素の分離回収方法を実施することによって、省エネルギーで、燃焼排ガスのようなガスからの二酸化炭素の分離回収を提供することができる。また、本発明の二酸化炭素吸収剤に用いるジアミン化合物は、揮発性と金属腐食性が非常に低いため、安定に使用可能な吸収剤を提供することができ、さらに連続して効率の良い二酸化炭素の分離回収方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】化学吸収法における二酸化炭素分離回収装置の概略図
【図2】二酸化炭素吸収剤の二酸化炭素吸収速度及び放出量の評価装置の模式図
【図3】二酸化炭素吸収剤の反応熱測定セルの模式図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0024】
<二酸化炭素吸収剤>
二酸化炭素吸収剤とは二酸化炭素を吸収除去することを目的とするものであり、本願における「二酸化炭素吸収剤」は、特に、少なくとも1種のアミン化合物と水との組み合わせを含む。本発明の二酸化炭素吸収剤は、アミン化合物として、上記式(I)で表されるジアミン群Aから少なくとも1種選択される、ジアミン化合物を含有する。
【0025】
[ジアミン群A]
ジアミン群Aは、上記一般構造式(I)の構造において、nの数が2以上6以下の範囲となる。nがこの範囲であれば、適度な親水性が得られ水に可溶性となり、且つ両アミノ基の距離が適度となることによって上記のジアミンとしての効果を発揮できる。両アミノ基に挟まれる炭化水素基は、直鎖のアルキレン基である必要はなく、上記nの範囲内で分岐を有することも出来る。
【0026】
一般構造式(I)を表す化合物として、具体的には、N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,2−エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,3−プロピレンジアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,4−ブチレンジアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,5−ペンタメチレンジアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−2−メチル−1,3−プロピレンジアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,3−ジメチル−1,3−プロピレンジアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−2−エチル−1,3−プロピレンジアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−2,3−ジメチル−1,4−ブチレンジアミン、等が挙げられる。
【0027】
これらの構造の内、アミノ基とアミノ基の間の炭素数が2であるN,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,2−エチレンジアミンは、ジアミン群Aの構造の内、親水性が高く、水溶性に長けている。従って、一般構造式(I)で、nが2である一般構造式(II)で表される化合物、N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,2−エチレンジアミンは、ジアミン群Aの中で、高濃度の水溶液として使用する際に、特に優れる。
【0028】
また、N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,2−エチレンジアミンは、塩基性が低く、金属腐食性が課題となる用途において優れた性能を示す。塩基性としてpKbで示す場合、N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,2−エチレンジアミンは、25℃水溶液中で6.5であり、モノエタノールアミンの25℃でのpKb4.6と比較すると、塩基性が非常に弱い。
【0029】
<ジアミン群Aの製造方法>
上記ジアミン群Aの製造方法としては、特に限定されない。具体的な製造方法の例としては、下記の一般構造式(III )で示されるジアミン化合物1当量に対して、エポキシ化合物を2当量反応させる方法や、ジハロアルカン1当量に対して、1−アミノ−2−プロパノールを2当量反応させる方法等が挙げられる。
【0030】
【化3】

(式中、mは、2以上6以下の整数である。)
【0031】
式(III )で示されるジアミン化合物とエポキシ化合物とを反応させる方法では、ジアミン化合物として、1,2−エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、2−メチル−1,3−プロピレンジアミン、1,3−ジメチル−1,3−プロピレンジアミン、2−エチル−1,3−プロピレンジアミン、2,3−ジメチル−1,4−ブチレンジアミン等が使用できる。また、エポキシ化合物として、プロピレンオキサイドが使用できる。反応は室温下で行うこともでき、必要に応じて加熱して行うことも可能である。
【0032】
具体的に、一般構造式(I)で、nが2の場合のN,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,2−エチレンジアミンを生成する方法を例として挙げる。エチレンジアミン1モルに対して、2モルのプロピレンオキサイドを水、アルコール系等の溶媒中で混合させる。急激な発熱を避けるため、室温で放冷しながら攪拌し、その後、必要に応じて加熱する。この際の温度は30℃〜100℃程度である。反応後の処理は、溶媒を蒸留等により除去した後、水や有機溶媒を用いて再結晶させることでN,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,2−エチレンジアミンを得ることができる。
【0033】
式(III )で示されるジアミン化合物とエポキシ化合物とを反応させる製造方法において、通常生成物は混合物となる。例えば、反応後の処理としてアミン化合物の分離を行なわない場合、1,2−エチレンジアミンとプロピレンオキサイドとを反応させると、目的物のN,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,2−エチレンジアミン、及び原料の1,2−エチレンジアミンの他に、N−(2−ヒドロキシプロピル)−1,2−エチレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,2−エチレンジアミン、N,N,N’−トリス(2−ヒドロキシプロピル)−1,2−エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)−1,2−エチレンジアミンの内の1種以上を含有する混合物が得られる。
【0034】
本発明の二酸化炭素吸収剤では、ジアミン群Aを含有していれば、このような混合物の形態で用いることも可能である。反応後の液中のアミン化合物の分離を行わず、混合物のまま二酸化炭素吸収剤に用いることで、非常に容易に吸収剤を製造することができる。且つ、反応液中のアミン化合物全てを二酸化炭素吸収剤として利用することができ、工業的に有益である。また、混合物の組成は、反応させるエポキシ化合物の量によって調節することができる。式(III )で示されるジアミン化合物1モルに対して、反応させるプロピレンオキサイドの量は、1.1モル以上2.9モル以下、好ましくは1.5モル以上2.5モル以下がよい。この範囲であれば、ジアミン群Aの生成量が比較的高くなり、生産上好ましく、混合物として使用する上でも本発明の効果を発揮しうる。
【0035】
例えば、ジハロアルカンと1−アミノ−2−プロパノールとを反応させる方法では、ジハロアルカンとして、1,2−ジクロロエタン、1,3−ジクロロプロパン、1,4−ジクロロブタン、1,5−ジクロロペンタン、1,6−ジクロロヘキサン、2−メチル−1,3−ジクロロプロパン、1,3−ジメチル−1,3−ジクロロプロパン、2−エチル−1,3−ジクロロプロパン、2,3−ジメチル−1,4−ジクロロブタン、1,2−ジブロモエタン、1,3−ジブロモプロパン、1,4−ジブロモブタン、1,5−ジブロモペンタン、1,6−ジブロモヘキサン、2−メチル−1,3−ジブロモプロパン、1,3−ジメチル−1,3−ジブロモプロパン、2−エチル−1,3−ジブロモプロパン、2,3−ジメチル−1,4−ジブロモブタン等が使用できる。反応は、室温下でも行うことができ、必要に応じて30℃〜100℃程度に加熱をして行うことも可能である。
【0036】
<二酸化炭素吸収剤中の水とアミンの含有量>
上述したように、二酸化炭素吸収剤中のアミンとしては、少なくともジアミン群Aから選ばれる一種以上のジアミン化合物を含有させる必要がある。
【0037】
二酸化炭素吸収剤中の全アミン中のジアミン群Aの割合は、10.0質量%以上100.0質量%以下であり、好ましくは15.0質量%以上、さらに好ましくは20.0質量%以上、より好ましくは25.0質量%以上、最も好ましくは30.0質量%以上である。この範囲では、二酸化炭素吸収剤中のジアミン群Aの効果が、有効である。
【0038】
また、二酸化炭素吸収剤におけるアミンと二酸化炭素との反応では、二酸化炭素吸収剤中の水の量が重要である。水の含有量は、用いるアミンによって異なるが、20.0質量%以上95.0質量%以下であり、好ましくは30.0質量%以上90.0質量%以下、さらに好ましくは35.0質量%以上80.0質量%以下である。二酸化炭素吸収剤中のアミンの含有量は、5.0質量%以上80.0質量%以下であり、好ましくは10.0質量%以上70.0質量%以下、さらに好ましくは20.0質量%以上65.0質量%以下がよい。この範囲であれば、反応に寄与するアミンと水和した水分子の数が必要量存在し、二酸化炭素とアミンとの反応性が十分となる。
【0039】
<二酸化炭素吸収剤中に含有してもよいジアミン群A以外のアミン化合物>
本発明の二酸化炭素吸収剤は、ジアミン群A以外の他のアミン化合物を含有させることができる。含有させることで、吸収量や放出量といった二酸化炭素吸収剤の性能を補助的に向上させることが可能である。ジアミン群Aと二酸化炭素との反応を妨げなければ特に制限はないが、蒸気圧の低い又は沸点の高いものが好ましく、二酸化炭素との反応熱の小さいものがより好ましい。含有させることが可能なアミン化合物の例としては、モノエタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、1−アミノ−2−ブタノール、2−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、3−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、アニリン、シクロヘキシルアミン等の第一級アミン類、2−メチルアミノエタノール、2−エチルアミノエタノール、2−イソプロピルアミノエタノール、2−プロピルアミノエタノール、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2−t−ブチルアミノエタノール、2−n−ブチルアミノエタノール、ピペリジン等の第二級アミン類、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、N−エチル−N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、1−ヒドロキシエチルピペリジン等の第三級アミン類、1,3−ジアミノプロパン−2−オール、エチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−1,2−エチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−1,2−エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−1,2−エチレンジアミン、N,N,N’−トリス(2−ヒドロキシエチル)−1,2−エチレンジアミン、N,N,N’−トリス(2−ヒドロキシプロピル)−1,2−エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)−1,2−エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)−1,2−エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、N,N,N’−トリス(2−ヒドロキシエチル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、N,N,N’−トリス(2−ヒドロキシプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、等のジアミン類、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、1−ヒドロキシエチルピペラジン等のピペラジン類、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等、が挙げられる。
【0040】
<二酸化炭素吸収剤に含有してもよいその他成分>
二酸化炭素吸収剤において、その他の成分として、必要に応じて水以外にも溶媒を含有していてもよい。含有させる溶媒は、二酸化炭素吸収剤に用いるアミンの溶解性又は分散性に応じて適応するものが違うが、蒸気圧が低く沸点の高いものは分離回収工程において揮発しにくいため好ましい。また、二酸化炭素吸収剤に用いるアミンと反応性の高いものも好ましくない。省エネルギー化の観点では、比熱が低く熱伝導性のよいものが好ましい。含有させてもよい溶媒として、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等の多価アルコール類、ブタノール、ペンタノール、シクロヘキサノール等の炭素数4以上のアルコール類、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等のアミド類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート類又はシリコンオイル等を挙げることができる。
【0041】
また、二酸化炭素吸収剤の二酸化炭素を分離回収する性能を調整する目的で、酸、アルカリ又は塩を添加することも可能である。また、二酸化炭素吸収剤の形態に応じて、既知の消泡剤又は分散安定剤、界面活性剤、粘度調整剤、腐食防止剤等を添加することも可能である。
【0042】
<二酸化炭素吸収剤の形態>
本発明の二酸化炭素吸収剤の形態としては、溶液状態の他に、分散液、エマルジョンの形態を取ることが可能である。また、多孔質の支持体に担持させて使用することも可能である。
【0043】
<分離回収方法>
本発明における二酸化炭素の分離回収方法では、前述した二酸化炭素吸収剤を用いる。具体的には、本発明における二酸化炭素吸収剤に、二酸化炭素を含有するガスを接触させることにより二酸化炭素を吸収させ、その後、上記二酸化炭素吸収剤を加熱することにより二酸化炭素を分離回収する方法が最も好ましい。特に、二酸化炭素吸収剤を溶液状態で取り扱う場合には、従来の化学吸収法と同様の装置、設備によって連続的に分離回収を行なうことが可能である。
【0044】
化学吸収法における装置の概要を図1に示す。図1において、二酸化炭素を含む混合ガスは必要に応じて加湿冷却された後、ガス供給口14を通って吸収塔11へ供給される。吸収塔11へ押し込められた混合ガスは、ノズル12から供給される吸収液と下部充填部13で向流接触させられ、混合ガス中の二酸化炭素は、吸収液により吸収除去され、脱二酸化炭素ガスは、上部の排出口19から排出される。吸収液再生塔117では、再生加熱器110により、下部充填部111で吸収液が再生される。そして、吸収液は、熱交換器18と冷却器16により冷却され吸収塔へ戻される。吸収液から分離された二酸化炭素は、再生塔還流冷却器116により冷却され、二酸化炭素に同伴した水蒸気を気液分離器114において凝縮分離させて、回収二酸化炭素排出ライン115より排出されて回収される。
【0045】
二酸化炭素を含有するガスとしては、特に限定はなく、様々な濃度、圧力、温度条件のガスに適用できる。特に省エネルギーでの分離を求められるものとして、火力発電所排ガス、鉄鋼所排ガス、セメント工場排ガス、化学プラント排ガス、バイオ発酵ガス、天然ガス等が挙げられる。これらのガスの内、二酸化炭素以外の酸性ガスを成分として含有するものにおいては、公知の脱硫及び/又は脱硝工程を組み合わせることが好ましい。
【実施例】
【0046】
以下に本発明を実施例により詳細に説明する。なお、本発明は実施例により制限されるものではない。
【0047】
<略語の説明>
BHPEDA:N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,2−エチレンジアミン
BHPHDA:N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン
THPEDA:N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)−1,2−エチレンジアミン
DPA:ジイソプロパノールアミン
EAE:2−エチルアミノエタノール
MEA:モノエタノールアミン
【0048】
<組成の測定>
化合物の組成を、液体クロマトグラフ質量分析装置(LC−MS)によって解析した。LC装置は、Agilent,1100series(カラムGL Sciences Inc.,Inertsil ODS−3)を用いた。LCの移動相は水/アセトニトリル混合液を用いて、カラム温度は40℃で測定を行った。また、MS装置は、ThermoElectron,LCQを用いた。
【0049】
<実施例用アミン化合物の製造例>
[実施例1](BHPEDAの製造例)
攪拌機、コンデンサー及び温度計を備えた反応容器に、エチレンジアミン10.0gと水90.0mlとの混合液を仕込み、オイルバスにて30℃に昇温した。次に、プロピレンオキサイド19.3gとエタノール10.0mlとの混合液を攪拌しながら5分間かけて滴下し、滴下終了後20分間攪拌しながら反応させた。さらに、80℃で8時間攪拌しながら反応させた。反応後の液を室温まで放冷した後、蒸留により未反応のプロピレンオキサイドと反応溶媒を留去し、その後再結晶を行うことで、BHPEDAを得た。LC−MS測定及び13C NMR測定からBHPEDAの生成を確認した。
【0050】
[実施例2](BHPEDAを含むアミンの製造例)
攪拌機、コンデンサー及び温度計を備えた反応容器に、エチレンジアミン10.0gと水90.0mlとの混合液を仕込み、オイルバスにて30℃に昇温した。次に、プロピレンオキサイド19.3gとエタノール10.0mlとの混合液を攪拌しながら5分間かけて滴下し、滴下終了後20分間攪拌しながら反応させた。さらに、80℃で8時間攪拌しながら反応させた。反応後の液を室温まで放冷した後、蒸留により未反応のプロピレンオキサイドと反応溶媒を留去し、実施例2の吸収剤用化合物を得た。得られた化合物の組成を、LC−MS測定により確認した。具体的な組成は、BHPEDA 57.9質量%、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,2−エチレンジアミン 30.8質量%、N,N,N’−トリス(2−ヒドロキシプロピル)−1,2−エチレンジアミン 6.5質量%、THPEDA 4.8質量%であった。
【0051】
[実施例3](BHPHDAを含むアミンの製造例)
攪拌機、コンデンサー、温度計を備えた反応容器に、ヘキサメチレンジアミン10.0gと水90.0mlとの混合液を仕込み、オイルバスにて30℃に昇温した。次に、プロピレンオキサイド10.0gとエタノール10.0mlとの混合液を攪拌しながら5分間かけて滴下し、滴下終了後20分間攪拌しながら反応させた。さらに、80℃で8時間攪拌しながら反応させた。反応後の液を室温まで放冷した後、蒸留により未反応のプロピレンオキサイドと反応溶媒を留去し、実施例3の吸収剤用化合物を得た。得られた化合物の組成は、LC−MS測定により確認した。具体的な組成は、BHPHDA 29.5質量%、N−(2−ヒドロキシプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン 22.1質量%、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン 9.9質量%、N,N,N’−トリス(2−ヒドロキシプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン 29.6質量%、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン 8.9質量%であった。
【0052】
[比較例1](THPEDAの製造例)
攪拌機、コンデンサー及び温度計を備えた反応容器に、エチレンジアミン10.0gと水90.0mlとの混合液を仕込み、オイルバスにて30℃に昇温した。次に、プロピレンオキサイド48.3gとエタノール10.0mlとの混合液を攪拌しながら5分間かけて滴下し、滴下終了後20分間攪拌しながら反応させた。さらに、80℃で8時間攪拌しながら反応させた。反応後の液を室温まで放冷した後、蒸留により未反応のプロピレンオキサイドと反応溶媒を留去することで、BHPEDAを得た。LC−MS測定及び13C NMR測定からBHPEDAの生成を確認した。
【0053】
<二酸化炭素吸収剤の調製>
表1に記載の組成で実施例1〜3、比較例1〜4の二酸化炭素吸収速度及び放出量評価用二酸化炭素吸収剤を調製した。調製は、アミンと水とを表1の配合で混合溶解させることで行った。表1の実施例2及び3において、ジアミン群A以外に吸収剤に含有されるアミンを、実施例2では混合物B、実施例3では混合物Cと記載した。具体的には、混合物Bは、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,2−エチレンジアミン 11.1質量%、N,N,N’−トリス(2−ヒドロキシプロピル)−1,2−エチレンジアミン 2.4質量%、THPEDA 1.7質量%である。また、混合物Cは、N−(2−ヒドロキシプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン 11.0質量%、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン 5.0質量%、N,N,N’−トリス(2−ヒドロキシプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン 14.8質量%、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン 4.4質量%である。
【0054】
【表1】

【0055】
<二酸化炭素吸収速度及び放出量の評価方法>
図2に示す装置を作成した。この装置は、二酸化炭素を含有するガスを、密閉系でポンプにより循環させながら、二酸化炭素を吸収剤の入ったガス洗浄瓶に通気させることにより吸収させて、ガス中に残留している二酸化炭素濃度から、吸収量を測定する装置である。ここでまず、25と26のバルブを閉じ、27のバルブを開けた状態で、ポンプ211により1.5L/分の流量でガスを循環させながら、二酸化炭素ボンベ21から供給される二酸化炭素をガス用シリンジ22にて500mlを仕込み、さらに二酸化炭素濃度が17体積%となるように空気を仕込んで調整する。二酸化炭素吸収剤6gをガス洗浄瓶214に仕込み、内温が任意の温度になるようにオイルバス213により調節する。次に25と26のバルブを開け、27のバルブを閉める。そして、二酸化炭素含有ガスをガス洗浄瓶214の方へ循環させ、二酸化炭素が吸収剤により吸収される量を、二酸化炭素濃度計29にてモニタリングする。吸収量を評価後、オイルバスの温度を上げ、同様に吸収量を測定し、吸収量の減少分を放出量として評価する。二酸化炭素の吸収量は、二酸化炭素濃度と初期の装置内容積から計算される空気量2.85Lとから計算する。初期の装置内容積は、吸収剤を入れずに同様の操作を行い、二酸化炭素濃度から計算した。尚、室内は常圧・常温であった。
【0056】
各吸収剤の30℃での一定時間における吸収反応率を表1に示す。表1の吸収反応率は、30℃の温度において、30分間で吸収した二酸化炭素量を100%とした際の、15分間で吸収した反応率、20分間で吸収した反応率で評価した。本評価において、短い吸収時間で高い吸収反応率を有するほど、二酸化炭素吸収剤は、高い吸収速度を有することとなる。合わせて、90℃での放出量を表1に示す。尚、放出は90℃に昇温後20分間行なった。表1における放出量は、吸収剤1Lを用いた場合の二酸化炭素放出g数に換算して、g/Lで示す。
【0057】
<反応熱の評価方法>
反応熱の測定は、リアクションカロリーメーターC−80(SETARAM社製)にて行った。セルはGas circulation normal pressureタイプ(Stainless steel 31/1415)を使用し、ガス入り口、出口に図3のように機器を接続した。各吸収剤をセルに入れ、C−80にセットした。温度を30℃に調節し、安定させた。バルブ34を閉じ、二酸化炭素ボンベ31から供給される二酸化炭素から、ガス用シリンジ32に二酸化炭素を50ml注入し、その後バルブ34を開けた。C−80によって、発熱量を計測しながら、圧力計35によって、内圧の減少を計測し、反応量を評価した。その際に、発熱量及び反応量は、予め試料を入れずに測定した圧縮熱及び内圧の検量線を用いて算出した。
【0058】
反応熱は、各吸収剤中アミンのアミノ基1モルに対する二酸化炭素反応モル数が0.40mol CO2/mol Nとなるまでに発生した熱量の総計値を用いた。この値を、反応した二酸化炭素1モルあたりの平均反応熱量kJ/molに換算し、評価に用いた吸収剤量と共に表1に示す。
【0059】
<二酸化炭素吸収剤の評価結果>
表1は、二酸化炭素吸収剤としての性能を比較したものである。実施例1〜3に示される二酸化炭素吸収剤と比較例1、2に示される二酸化炭素吸収剤とを比較すると、吸収反応率において実施例1〜3に示される二酸化炭素吸収剤の方が優れている。これは、実施例1〜3に示される二酸化炭素吸収剤が、ジアミン群Aを含有している効果である。
【0060】
比較例3、4に示される二酸化炭素吸収剤は、実施例1〜3に示される二酸化炭素吸収剤と同等の吸収反応率を有していた。しかし、放出量に関して、実施例1〜3に示される二酸化炭素吸収剤の方が、比較例4に示されるモノエタノールアミンを用いた二酸化炭素吸収剤よりも高く、吸収剤として使用する上で優れている。
【0061】
さらに、実施例1〜3に示される二酸化炭素吸収剤と比較例3、4に示される二酸化炭素吸収剤とを比較すると、反応熱において実施例1〜3に示される二酸化炭素吸収剤の方が優れている。これは、実施例1〜3に示される二酸化炭素吸収剤が、ジアミン群Aを含有している効果である。
【0062】
以上のことから、ジアミン群Aを含有している実施例1〜3に示される吸収剤は、吸収放出性能及び反応熱の両方において優れた性質を示す。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、ガス中に含まれる二酸化炭素を吸収させた後、再度放出させて分離するための二酸化炭素吸収剤を提供することができ、さらに詳しくは、省エネルギーで安定に分離するための二酸化炭素吸収剤を提供することができる。また、燃焼排ガスのような二酸化炭素を含有するガスからの二酸化炭素の分離方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0064】
11 吸収塔
12 ノズル
13 下部充填部
14 排ガス供給口
15 吸収液循環ポンプ
16 冷却器
17 吸収液循環ポンプ
18 熱交換器
19 脱二酸化炭素排ガス排出口
110 再生加熱器
111 下部充填部
112 ノズル
113 還流水ポンプ
114 気液分離器
115 回収二酸化炭素排出ライン
116 再生塔還流冷却器
117 吸収液再生塔
21 ボンベ
22 ガス用シリンジ
23 三方バルブ
24 逆止弁
25 ボールバルブ
26 ボールバルブ
27 ボールバルブ
28 テドラーバッグ
29 赤外線式二酸化炭素濃度計
210 SUS配管(φ6mm)
211 ガス循環ポンプ
212 ガス流量計
213 温浴
214 ガス洗浄瓶(ガラス製、25ml)
215 コンデンサー
31 ボンベ
32 ガス用シリンジ
33 三方バルブ
34 ボールバルブ
35 圧力計
36 ねじ口瓶(250ml)
37 SUS配管(φ6mm)
38 C−80セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を分離回収するための、下記一般式(I):
【化1】

(式中、nは、2以上6以下の整数である。)
で表される構造を有するジアミン化合物を含むアミンと、水とを含有する二酸化炭素吸収剤。
【請求項2】
式(I)中、nが2であり、下記一般式(II):
【化2】

で表される請求項1に記載の二酸化炭素吸収剤。
【請求項3】
前記アミンを、5.0質量%以上80.0質量%以下で、且つ水を20.0質量%以上95.0質量%以下で含有する、請求項1又は2に記載の二酸化炭素吸収剤。
【請求項4】
全アミン中の請求項1又は2に記載のジアミン化合物の割合が、10.0質量%以上100.0質量%以下である、請求項3に記載の二酸化炭素吸収剤。
【請求項5】
以下の工程:
二酸化炭素を、請求項1〜4のいずれか一項に記載の二酸化炭素吸収剤に吸収させる工程;及び
該吸収剤から二酸化炭素を加熱することによって分離回収する工程
を含む、二酸化炭素の分離回収方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−13854(P2013−13854A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148256(P2011−148256)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】