説明

二酸化炭素外用剤調製用組成物

【課題】美容効果及び医療効果を有する二酸化炭素外用剤を調製するために用いられる組成物の提供。
【解決手段】水溶性酸、増粘剤と、この増粘剤とは別の物質である水溶性分散剤を必須成分とし、前記増粘剤が前記水溶性酸及び前記水溶性分散剤と混合されている粒状物と、炭酸塩、水、増粘剤を必須成分とし、使用時に前記粒状物と混合する粘性組成物とを含んでなる二酸化炭素外用剤調製用組成物。
【効果】調製が短時間で容易に行え、衣服等を汚すことがなく、より強い美容及び医療効果が短期間で得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は美容効果及び医療効果を有する二酸化炭素外用剤を調製するために用いられる組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
経皮経粘膜吸収された二酸化炭素が、皮膚や皮下組織、筋肉の血行を促進し、新陳代謝を活発化することによって美容及び医療効果が得られることは、これらの効果を得る目的で従来より世界各地で炭酸泉が利用されていることや、様々な研究により明らかである。例えば医療効果では床ずれの治療への応用として、日吉らは人工炭酸泉が難治性褥創に対し有効であることを報告している(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
二酸化炭素の外用による美容及び医療効果を簡便に得るために、二酸化炭素を配合した二酸化炭素外用剤や、用時調製により二酸化炭素を発生させる外用剤が提案されている。二酸化炭素外用剤は、その製造技術が確立されていないこと、二酸化炭素の損失がないかあるいは損失が少ない保存容器の価格が高いことなどの問題点があるのに対し、用時調製により二酸化炭素を発生させる外用剤にはこれらの問題点が少なく、より実用的である。
そのような外用剤を調製できる組成物として、例えば特許文献1には二酸化炭素経皮・経粘膜吸収用組成物製造キットが提案されている。この公報には、二酸化炭素の経皮・経粘膜吸収が、水虫、虫さされ、アトピー性皮膚炎、貨幣状湿疹、乾皮症、脂漏性湿疹、蕁麻疹、痒疹、主婦湿疹、尋常性ざ瘡、膿痂疹、毛包炎、癰、せつ、蜂窩織炎、膿皮症、乾癬、魚鱗癬、掌蹠角化症、苔癬、粃糠疹、創傷、熱傷、き裂、びらん、凍瘡などの皮膚粘膜疾患もしくは皮膚粘膜障害に伴う痒み、褥創、創傷、熱傷、口角炎、口内炎、皮膚潰瘍、き裂、びらん、凍瘡、壊疽などの皮膚粘膜損傷;移植皮膚片、皮弁などの生着不全;歯肉炎、歯槽膿漏、義歯性潰瘍、黒色化歯肉、口内炎などの歯科疾患;閉塞性血栓血管炎、閉塞性動脈硬化症、糖尿病性末梢循環障害、下肢静脈瘤などの末梢循環障害に基づく皮膚潰瘍や冷感、しびれ感;慢性関節リウマチ、頸肩腕症候群、筋肉痛、関節痛、腰痛症などの筋骨格系疾患;神経痛、多発性神経炎、スモン病などの神経系疾患;乾癬、鶏眼、たこ、魚鱗癬、掌蹠角化症、苔癬、粃糠疹などの角化異常症;尋常性ざ瘡、膿痂疹、毛包炎、癰、せつ、蜂窩織炎、膿皮症、化膿性湿疹などの化膿性皮膚疾患;除毛後の再発毛抑制(むだ毛処理);そばかす、肌荒れ、肌のくすみ、肌の張りや肌の艶の衰え、髪の艶の衰えなどの皮膚や毛髪などの美容上の問題及び部分肥満に有効であることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−319187号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】日吉俊紀;人工炭酸泉浴剤による褥創治療について.総合リハ17(8):605−609,1989
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記キットは水、増粘剤及び炭酸塩を含有する塩基性組成物と、酸を含有する二酸化炭素発生補助剤との組み合わせ、もしくは水、増粘剤及び酸を含有する酸性組成物と、炭酸塩を含有する二酸化炭素発生補助剤との組み合わせからなり、各組成物とそれに対応する二酸化炭素発生補助剤を用時混合して二酸化炭素を発生させ、二酸化炭素外用剤を調製するものである。酸と炭酸塩の各製剤の混合ひいては二酸化炭素の発生を容易かつ確実にするためには、酸性組成物もしくは塩基性組成物の粘度をあまり高くできない。したがって、該キットを用いて二酸化炭素外用剤を調製すると粘度が不十分であり、縦になった部分への塗布では、該外用剤が垂れてしまって、塗布部分への二酸化炭素の供給が不完全あるいは不可能であるだけでなく衣服等を汚す欠点がある。また、横になった部分への塗布では、該外用剤の自重により該外用剤の厚みが充分に確保されないため、供給される二酸化炭素量が不十分となり、充分な美容もしくは医療効果が得られないなどの欠点があった。二酸化炭素外用剤の必要な粘度を確保するために、酸性組成物もしくは塩基性組成物の粘度を高くすると、これらと対応する二酸化炭素発生補助剤との混合及び溶解が困難になるという欠点がある。また、両者をむりやり混合しても、二酸化炭素発生補助剤の溶解が不十分であるために二酸化炭素が充分発生しないか、発生しても二酸化炭素発生補助剤の混合と溶解に時間がかかるために、途中で二酸化炭素が外気中に発散して充分な濃度の二酸化炭素を含む二酸化炭素外用剤が調製できないなどの欠点があった。
【0007】
そのために前記二酸化炭素経皮・経粘膜吸収用組成物製造キットは、比較的低粘度の酸性組成物もしくは塩基性組成物しか使用せざるを得ない。したがって、該キットから調製された二酸化炭素外用剤は、皮膚粘膜に塗布すると垂れたり厚みが確保できなかったりするために使いにくい。また、十分な二酸化炭素が皮膚粘膜に供給されないために、所望の効果を得るためには頻繁に該二酸化炭素外用剤を使用する必要がある。例えば該二酸化炭素外用剤を用いた顔痩せには、毎日使用して2週間から2ヶ月を必要とする。
【0008】
一般に増粘剤は、水と接触したときの膨潤速度や水への溶解速度が遅いので、そのまま水と混合すると、固形物である増粘剤どうしが凝集し、内部が水を含まない固形物であり、その外側が溶解もしくは膨潤した粘性物に囲まれた凝集塊であるいわゆる「だま」もしくは「ままこ」になりやすい。この「だま」もしくは「ままこ」の内部には、前記粘性物のために水が浸透しにくいので、粘性組成物を作るときに所望の粘度が得られるまでに時間がかかる。増粘剤の分散溶解、もしくは膨潤を促進する製剤処方も知られているが、二酸化炭素外用剤調製用組成物において、短時間で粘度の高い二酸化炭素外用剤が容易に得られる組成物は知られていなかった。
【0009】
本発明の目的は、調製が短時間で容易に行え、衣服等を汚すことがなく、より強い美容及び医療効果が、より短期間で得られる二酸化炭素外用剤を調製することができる二酸化炭素外用剤調製用組成物を得ることにある。
【0010】
本発明の二酸化炭素外用剤調製用組成物は、水溶性酸、増粘剤と、この増粘剤とは別の物質である水溶性分散剤を必須成分とし、前記増粘剤が前記水溶性酸及び前記水溶性分散剤と混合されている粒状物と、炭酸塩、水、増粘剤を必須成分とし、使用時に前記粒状物と混合する粘性組成物とを含んでいる。
【0011】
本発明でいう水溶性分散剤とは、それ自身が水に溶解しやすく、粒子状の増粘剤と混合したとき、該分散剤中に該粒子が安定に散在し、該粒子が互いに隔てられる物質すべてをいう。なお、水溶性酸も水溶性分散剤として機能する。また、本発明でいう粒状物とは、原料が混合され、顆粒、細粒、マイクロカプセルなどの粒状に加工された固形製剤を意味する。さらに、本発明でいう二酸化炭素外用剤とは、皮膚粘膜に塗布して二酸化炭素を経皮経粘膜吸収させることを目的とするものであって、組成物中に二酸化炭素を含有する外用剤を意味する。
【0012】
本発明の二酸化炭素外用剤調製用組成物において、粘性組成物は粒状物の混合、崩壊が容易な程度の粘度である。増粘剤は粒子状であり、この増粘剤が水溶性酸及び水溶性分散剤と混合されている粒状物は、増粘剤の粒子どうしが水溶性酸及び水溶性分散剤により互いに隔てられる。また、前記増粘剤は粒子状であり、その表面積合計が大きいので、粘性組成物と混合したときに、該粘性組成物中の水により短時間で溶解もしくは膨潤する。この際、該増粘剤の粒子が互いに隔てられているために、増粘剤の粒子どうしが凝集する前に溶解もしくは膨潤し、「だま」もしくは「ままこ」になるおそれがない。さらに、前記粘性組成物の初期粘度があまり高くなくても、充分な粘度を持つ二酸化炭素外用剤が短時間で得られる。その結果、水溶性酸と炭酸塩の反応により発生する二酸化炭素が外気中に発散しにくい二酸化炭素外用剤を、短時間で容易に調製することができる。しかも、該外用剤は皮膚粘膜に塗布したときに、適度な粘着力があり、皮膚粘膜に密着するとともに、縦になった部分では垂れにくく、横になった部分では自重による外用剤の厚みの減少が少ないため、衣服等を汚しにくいとともに、塗布部位に充分な量の二酸化炭素を供給でき、二酸化炭素の美容及び医療効果が従来技術と比較して強く、より短期間で美容及び医療効果が得られる。
【0013】
一つの好適な態様において、前記二酸化炭素外用剤調製用組成物は、粒状物全体に対して水溶性酸が2〜50重量%、増粘剤が10〜40重量%、水溶性分散剤が30〜85重量%であり、粘性組成物全体に対して炭酸塩が0.1〜10重量%、水が70〜97.5重量%、増粘剤が0.5〜20重量%であり、粒状物と粘性組成物の重量比が1:10〜40である。この態様においては、粒状物が粘性組成物に短時間で分散、崩壊し、粒状物中の増粘剤が迅速に溶解もしくは膨潤して粘性組成物の粘度を短時間で増加させ、しかも水溶性酸と炭酸塩が適度な速度で反応して、該粘性組成物と該粒状物の混合物中に必要充分量の二酸化炭素をまんべんなく発生し、外気中に発散することなく、皮膚粘膜に塗布したときに効率よく二酸化炭素が経皮経粘膜吸収される二酸化炭素外用剤を調製することができる。また、この態様により得られる二酸化炭素外用剤は、充分な粘性を持つために縦になった部分に塗布してもまったく垂れることがない。しかも、適度な柔軟性及び展延性を持つために塗布部位の伸縮にも追随する。このため、塗布したまま動くことが可能である。さらに、横になった部分に塗布しても自重による厚みの減少あるいは塗布面積の拡大がなく、所望部位にのみ的確に必要充分量の二酸化炭素を投与することが可能であり、短期間で、強い美容及び医療効果が得られる。
【0014】
他の好ましい態様において、前記二酸化炭素外用剤調製用組成物は、粘性組成物が多価アルコール1〜15重量%を含んでいる。本発明の二酸化炭素外用剤調製用組成物から得られる二酸化炭素外用剤は、そのままでも使用性は良好であるが、粘性組成物が多価アルコールを含むことにより、調製される二酸化炭素外用剤の皮膚粘膜への粘着性と延びがさらに良くなるため、効果が一層確実に得られるとともに、使用性も一層良好になる。
【0015】
前記二酸化炭素外用剤調製用組成物において、水溶性酸はクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、リン酸二水素ナトリウムからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。前記酸はいずれも食品添加物等として広く使われているものであり、比較的化学的安定性があり、水に溶けやすく、炭酸塩と反応して効率よく二酸化炭素を発生する。
【0016】
前記二酸化炭素外用剤調製用組成物において、水溶性酸はリンゴ酸であることがさらに好ましい。クエン酸やリン酸二水素ナトリウムは吸湿性があり、べたつきやすいために粒状物の製造効率と保存の湿気対策に若干問題があり、酒石酸は低温の水には溶けにくいため二酸化炭素外用剤の調製に若干問題があるが、リンゴ酸、とりわけDL−リンゴ酸はきわめて水に溶けやすいにもかかわらず、吸湿性がないため、粒状物の製造効率が高く、保存性に優れ、粘性組成物に溶けやすいため二酸化炭素外用剤の調製が容易である。
【0017】
前記二酸化炭素外用剤調製用組成物において、粒状物の増粘剤は加工澱粉、デキストリン、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。この場合には、前記増粘剤の水への溶解が比較的早く、使用感も良好となる。
【0018】
前記二酸化炭素外用剤調製用組成物において、粘性組成物の増粘剤はアルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。アルギン酸ナトリウムは蛋白結合性が強いため、医療用途では粘膜保護剤や創傷保護剤に使用されており、肌荒れや傷の治療が可能なため、本発明の目的である美容もしくは医療用途に好適に使用される。また、アルギン酸ナトリウムは酸性で粘度が上昇する性質があり、粒状物との混合により調製される二酸化炭素外用剤が酸性になる場合は、粒状物による増粘剤添加効果に相加的もしくは相乗的に作用して粘度を増加させるため、粒状物の粘性組成物への混合溶解は容易でありながら、得られる二酸化炭素外用剤は充分な粘度を持つ。また、アルギン酸プロピレングリコールエステルは水素イオン指数の変化による粘度の変化が少ないため、粘性組成物に使用するとき粘度の調節が容易であり、しかも延びが良いため、塗布しやすさと使用感に優れる。さらに、カルボキシメチルセルロースナトリウムは、少量で強い粘着性が得られ、二酸化炭素外用剤の皮膚粘膜への密着を促すため、二酸化炭素の経皮経粘膜吸収がより確実になるとともに、皮膜を形成しやすいため、該外用剤の空気に触れる部分は該被膜により二酸化炭素の発散が抑制され、二酸化炭素の経皮経粘膜吸収への利用率が高まる。これら増粘剤単独の効果により、本発明の二酸化炭素外用剤調製用組成物から調製される二酸化炭素外用剤は、強い美容及び医療効果を短時間で示すが、これら増粘剤の組み合わせによる複合効果により、さらに強い美容及び医療効果がより短時間で得られる。
【0019】
前記二酸化炭素外用剤調製用組成物において、粒状物の水溶性分散剤はキシリトール、D−ソルビトール、ブドウ糖、D−マンニトール、果糖、蔗糖、乳糖、白糖、尿素からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。前記水溶性分散剤はいずれも水に溶けやすく、該粒状物と前記粘性組成物の混合により、充分な粘性を持つ二酸化炭素外用剤が短時間で容易に調製でき、強い美容及び医療効果がより短時間で得られる。
【0020】
本発明の二酸化炭素外用剤調製用組成物は、水溶性酸、増粘剤、この増粘剤とは別の物質である水溶性分散剤を必須成分とし、増粘剤が水溶性酸及び水溶性分散剤と混合されている粒状物と、炭酸塩、水、増粘剤を必須成分とし、使用時に前記粒状物と混合する粘性組成物とを含み、前記粒状物全体に対して水溶性酸が2〜50重量%、増粘剤が10〜40重量%、水溶性分散剤が30〜85重量%であり、前記粘性組成物全体に対して炭酸塩が0.1〜10重量%、水が70〜97.5重量%、増粘剤が0.5〜20重量%であり、前記粒状物と粘性組成物との重量比が1:10〜40であり、前記粒状物の増粘剤が、加工澱粉、デキストリンおよび馬鈴薯澱粉であり、かつ、前記粒状物の水溶性分散剤が、乳糖である構成にすることができる。
【0021】
本発明の二酸化炭素外用剤調製用組成物は、水溶性酸、増粘剤、この増粘剤とは別の物質である水溶性分散剤を必須成分とし、増粘剤が水溶性酸及び水溶性分散剤と混合されている粒状物と、炭酸塩、水、増粘剤を必須成分とし、使用時に前記粒状物と混合する粘性組成物とを含み、前記粒状物全体に対して水溶性酸が2〜50重量%、増粘剤が10〜40重量%、水溶性分散剤が30〜85重量%であり、前記粘性組成物全体に対して炭酸塩が0.1〜10重量%、水が70〜97.5重量%、増粘剤が0.5〜20重量%であり、前記粒状物と粘性組成物との重量比が1:10〜40であり、前記粒状物の増粘剤が、デキストリンおよびトウモロコシ澱粉であり、かつ、前記粒状物の水溶性分散剤が、キシリトールである構成にすることができる。
【0022】
本発明の二酸化炭素外用剤調製用組成物は、水溶性酸、増粘剤、この増粘剤とは別の物質である水溶性分散剤を必須成分とし、増粘剤が水溶性酸及び水溶性分散剤と混合されている粒状物と、炭酸塩、水、増粘剤を必須成分とし、使用時に前記粒状物と混合する粘性組成物とを含み、前記粒状物全体に対して水溶性酸が2〜50重量%、増粘剤が10〜40重量%、水溶性分散剤が30〜85重量%であり、前記粘性組成物全体に対して炭酸塩が0.1〜10重量%、水が70〜97.5重量%、増粘剤が0.5〜20重量%であり、前記粒状物と粘性組成物との重量比が1:10〜40であり、前記粒状物の増粘剤が、デキストリンおよび馬鈴薯澱粉であり、かつ、前記粒状物の水溶性分散剤が、乳糖である構成にすることができる。
【0023】
本発明の二酸化炭素外用剤調製用組成物は、水溶性酸、増粘剤、この増粘剤とは別の物質である水溶性分散剤を必須成分とし、増粘剤が水溶性酸及び水溶性分散剤と混合されている粒状物と、炭酸塩、水、増粘剤を必須成分とし、使用時に前記粒状物と混合する粘性組成物とを含み、前記粒状物全体に対して水溶性酸が2〜50重量%、増粘剤が10〜40重量%、水溶性分散剤が30〜85重量%であり、前記粘性組成物全体に対して炭酸塩が0.1〜10重量%、水が70〜97.5重量%、増粘剤が0.5〜20重量%であり、前記粒状物と粘性組成物との重量比が1:10〜40であり、前記粒状物の増粘剤が、デキストリンおよび馬鈴薯澱粉であり、かつ、前記粒状物の水溶性分散剤が、白糖である構成にすることができる。
【0024】
本発明の二酸化炭素外用剤調製用組成物は、水溶性酸、増粘剤、この増粘剤とは別の物質である水溶性分散剤を必須成分とし、増粘剤が水溶性酸及び水溶性分散剤と混合されている粒状物と、炭酸塩、水、増粘剤を必須成分とし、使用時に前記粒状物と混合する粘性組成物とを含み、前記粒状物全体に対して水溶性酸が2〜50重量%、増粘剤が10〜40重量%、水溶性分散剤が30〜85重量%であり、前記粘性組成物全体に対して炭酸塩が0.1〜10重量%、水が70〜97.5重量%、増粘剤が0.5〜20重量%であり、前記粒状物と粘性組成物との重量比が1:10〜40であり、前記粒状物の増粘剤が、加工澱粉であり、かつ、前記粒状物の水溶性分散剤が、乳糖である構成にすることができる。
【0025】
本発明の二酸化炭素外用剤調製用組成物は、水溶性酸、増粘剤、この増粘剤とは別の物質である水溶性分散剤を必須成分とし、増粘剤が水溶性酸及び水溶性分散剤と混合されている粒状物と、炭酸塩、水、増粘剤を必須成分とし、使用時に前記粒状物と混合する粘性組成物とを含み、前記粒状物全体に対して水溶性酸が2〜50重量%、増粘剤が10〜40重量%、水溶性分散剤が30〜85重量%であり、前記粘性組成物全体に対して炭酸塩が0.1〜10重量%、水が70〜97.5重量%、増粘剤が0.5〜20重量%であり、前記粒状物と粘性組成物との重量比が1:10〜40であり、前記粒状物の増粘剤が、デキストリンであり、かつ、前記粒状物の水溶性分散剤が、白糖である構成にすることができる。
【0026】
本発明の二酸化炭素外用剤調製用組成物は、水溶性酸、増粘剤、この増粘剤とは別の物質である水溶性分散剤を必須成分とし、増粘剤が水溶性酸及び水溶性分散剤と混合されている粒状物と、炭酸塩、水、増粘剤を必須成分とし、使用時に前記粒状物と混合する粘性組成物とを含み、前記粒状物全体に対して水溶性酸が2〜50重量%、増粘剤が10〜40重量%、水溶性分散剤が30〜85重量%であり、前記粘性組成物全体に対して炭酸塩が0.1〜10重量%、水が70〜97.5重量%、増粘剤が0.5〜20重量%であり、前記粒状物と粘性組成物との重量比が1:10〜40であり、前記粒状物の増粘剤が、馬鈴薯澱粉であり、かつ、前記粒状物の水溶性分散剤が、白糖である構成にすることができる。
【0027】
本発明の二酸化炭素外用剤調製用組成物は、水溶性酸、増粘剤、この増粘剤とは別の物質である水溶性分散剤を必須成分とし、増粘剤が水溶性酸及び水溶性分散剤と混合されている粒状物と、炭酸塩、水、増粘剤を必須成分とし、使用時に前記粒状物と混合する粘性組成物とを含み、前記粒状物全体に対して水溶性酸が2〜50重量%、増粘剤が10〜40重量%、水溶性分散剤が30〜85重量%であり、前記粘性組成物全体に対して炭酸塩が0.1〜10重量%、水が70〜97.5重量%、増粘剤が0.5〜20重量%であり、前記粒状物と粘性組成物との重量比が1:10〜40であり、前記粒状物の増粘剤が、キサンタンガム、デキストリンおよび馬鈴薯澱粉であり、かつ、前記粒状物の水溶性分散剤が、キシリトールである構成にすることができる。
【0028】
本発明の二酸化炭素外用剤調製用組成物は、水溶性酸、増粘剤、この増粘剤とは別の物質である水溶性分散剤を必須成分とし、増粘剤が水溶性酸及び水溶性分散剤と混合されている粒状物と、炭酸塩、水、増粘剤を必須成分とし、使用時に前記粒状物と混合する粘性組成物とを含み、前記粒状物全体に対して水溶性酸が2〜50重量%、増粘剤が10〜40重量%、水溶性分散剤が30〜85重量%であり、前記粘性組成物全体に対して炭酸塩が0.1〜10重量%、水が70〜97.5重量%、増粘剤が0.5〜20重量%であり、前記粒状物と粘性組成物との重量比が1:10〜40であり、前記粒状物の増粘剤が、デキストリンおよびヒドロキシプロピルセルロースであり、かつ、前記粒状物の水溶性分散剤が、D−マンニトールである構成にすることができる。
【0029】
本発明の二酸化炭素外用剤調製用組成物は、水溶性酸、増粘剤、この増粘剤とは別の物質である水溶性分散剤を必須成分とし、増粘剤が水溶性酸及び水溶性分散剤と混合されている粒状物と、炭酸塩、水、増粘剤を必須成分とし、使用時に前記粒状物と混合する粘性組成物とを含み、前記粒状物全体に対して水溶性酸が2〜50重量%、増粘剤が10〜40重量%、水溶性分散剤が30〜85重量%であり、前記粘性組成物全体に対して炭酸塩が0.1〜10重量%、水が70〜97.5重量%、増粘剤が0.5〜20重量%であり、前記粒状物と粘性組成物との重量比が1:10〜40であり、前記粒状物の増粘剤が、キサンタンガム、デキストリンおよびヒドロキシプロピルセルロースであり、かつ、前記粒状物の水溶性分散剤が、尿素である構成にすることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の二酸化炭素外用剤調製用組成物によれば、調製が短時間で容易に行え、衣服等を汚すことがなく、より強い美容及び医療効果が、より短期間で得られる二酸化炭素外用剤を調製することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の二酸化炭素外用剤調製用組成物は、粒状物と粘性組成物からなり、前記粒状物は水溶性酸、増粘剤、水溶性分散剤を必須成分とし、増粘剤が水溶性酸及び水溶性分散剤と混合されている。また前記粘性組成物は、炭酸塩、水、増粘剤を必須成分とし、使用時に前記粒状物と混合する。
【0032】
前記粘性組成物は、表面が滑らかな長さ21cm以上のガラス板の端に、粘性組成物1gを直径1cmの円盤状に塗り、該粘性組成物が上に来るように、水平面に対して60度の角度で立てたときに、5秒後の移動距離が20cm以下となる粘度を持つ粘性組成物であり、ゲル、ペースト、ゼリー、クリーム、軟膏などが含まれる。ただし、該ガラス板を垂直に立てたときに、10分後の移動距離が1cm以下のものは除く。
【0033】
前記二酸化炭素外用剤調製用組成物において、粒状物は水溶性酸と水溶性分散剤が粒状物全体に対して32〜90重量%配合されており、水溶性物質の構成比が比較的高い。また、粘性組成物の水分含量は70〜97.5重量%と比較的高い。このため、粒状物と粘性組成物を混合すると、水溶性物質は迅速に溶解し、該粒状物は容易に崩壊する。
【0034】
粒状物中の増粘剤が水と接触して迅速に溶解もしくは膨潤するためには、増粘剤と水との接触面積が大きいほど好ましく、増粘剤の重量が同じ場合には、その粒子が細かいほど増粘剤の表面積合計が大きいため、粒状物に使用する増粘剤は粒子状であるのが好ましく、粒子径が小さいほどより好ましい。粒状物中で増粘剤の粒子は、水溶性酸と水溶性分散剤の両水溶性物質中に散在しており、該水溶性物質により、増粘剤の粒子は互いに隔てられているため、水と接触したとき、すべての増粘剤の粒子が迅速に溶解もしくは膨潤して粘性物となる。このため、該粘性組成物の初期粘度があまり高くなくても、「だま」もしくは「ままこ」を形成することなく、短時間で充分な粘度を持つ二酸化炭素外用剤を調製できる。
【0035】
増粘剤を迅速に溶解もしくは膨潤させたり、水溶性酸と炭酸塩との反応が偏らないようにしたりするためには、粒状物中で増粘剤、水溶性酸、及び水溶性分散剤が、できる限り均一に混合されていることが好ましい。水溶性酸、水溶性分散剤も粒子状が好ましく、粒子径が小さいほどより好ましい。
【0036】
前記二酸化炭素外用剤調製用組成物において、粒状物の剤形は特に制限されず、顆粒、細粒、粉末などが含まれる。粒状物にはマイクロカプセルも含むが、製造コスト面では通常の顆粒もしくは細粒もしくは粉末が有利である。粒状物は、増粘剤ができる限り細かい粒子であり、水溶性酸及び水溶性分散剤とできる限り均一に混合分散されていれば特に制限されない。例えば水溶性酸と水溶性分散剤、増粘剤がすべて粉末で、均一に混合された粉末でもよい。また、前記粉末に適当な溶媒もしくは結合剤などを使用して顆粒や細粒としたものでもよく、この場合には、扱いやすいだけでなく、顆粒もしくは細粒崩壊に多少時間が必要なため、粘性組成物と混合したときに二酸化炭素発生反応が徐々に進行し、顆粒もしくは細粒が該粘性組成物中にまんべんなく行き渡り、発生する二酸化炭素が二酸化炭素外用剤中にまんべんなく含まれ、外気中に発散するおそれがないのでより好ましい。また、増粘剤の種類によっては、これを結合剤として使用できる場合もある。
【0037】
なお、前記二酸化炭素外用剤調製用組成物において、粒状物を微粉末にすると、粘性組成物と混合したときに、両者が充分混合される前に二酸化炭素が発生して外気中に発散してしまう。また、増粘剤の粒子の互いの距離が近すぎるため、増粘剤が溶解もしくは膨潤する前に凝集して「だま」もしくは「ままこ」になるために、調製された二酸化炭素外用剤は粘度があまり増加せず、二酸化炭素含有量が少なく、しかも二酸化炭素がまんべんなく含まれないため好ましくない。粒状物が錠剤、カプセル等体積の比較的大きな固形製剤の場合は、粒状物の溶解に時間がかかるために、使用に適した粘度に達するまでに時間がかかるだけでなく、発生する二酸化炭素が二酸化炭素外用剤中にまんべんなく含まれないため、やはり好ましくない。
【0038】
粒状物の表面形状は特に制限がないが、溶解速度の点から表面積の大きい凹凸形状が好ましく、吸水効率が高い多孔性がさらに好ましい。これらの粒状物は、配合成分の性質等に応じて流動層造粒法や攪拌造粒法、乾式破砕造粒法、湿式破砕造粒法、押し出し造粒法など公知の粒状物製造方法を適宜利用して製造できる。
【0039】
前記二酸化炭素外用剤調製用組成物において、粒状物の水溶性酸としては、有機酸または無機酸からなる群の中から選ばれる1種以上を用いることができる。酸の配合量は、粒状物全体に対して2〜50重量%が好ましいが、より好ましくは10〜35重量%、さらに好ましくは15〜25重量%である。酸の配合量が2重量%以下では二酸化炭素の発生速度が遅く、発生量が少なすぎて二酸化炭素による美容もしくは医療効果が充分得られない。また、50重量%以上では二酸化炭素の発生量が多くなりすぎて、外用剤に含まれる気泡量が多すぎるため、充分な粘度を持つ外用剤が調製できない。
【0040】
前記二酸化炭素外用剤調製用組成物において、粒状物の水溶性酸の有機酸としては、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、イタ酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、サリチル酸、没食子酸、トロパ酸、アスコルビン酸、グルコン酸等のオキシ酸が挙げられ、これらの1種以上が使われる。
【0041】
無機酸としては、例えばリン酸、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、酸性ヘキサメタリン酸カリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、スルファミン酸が挙げられ、これらの1種以上が使われる。これらの中でグリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、サリチル酸、リン酸二水素ナトリウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、スルファミン酸が好ましく、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、リン酸二水素ナトリウムが効果と使用性等の面からさらに好ましく、リンゴ酸が吸湿性等がなく扱いやすいため製造面から最も好ましい。
【0042】
前記二酸化炭素外用剤調製用組成物において、増粘剤としては、天然高分子、半合成高分子、合成高分子、無機物からなる群の中から選ばれる1種以上を使用できる。
【0043】
前記天然高分子としては、例えばアラビアゴム、カラギーナン、ガラクタン、寒天、クインスシード、グアガム、トラガントガム、ペクチン、マンナン、ローカストビーンガム、米澱粉、小麦粉澱粉、トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉などの植物系高分子、カードラン、キサンタンガム、サクシノグルカン、デキストラン、ヒアルロン酸、プルランなどの微生物系高分子、アルブミン、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、フィブロインなどの蛋白系高分子が挙げられ、これらの1種以上が使用される。
【0044】
半合成高分子としては、エチルセルロース、加工澱粉、カルボキシメチルセルロース及びその塩類、カルボキシメチルエチルセルロース及びその塩類、カルボキシメチルスターチ及びその塩類、クロスカルメロース及びその塩類、結晶セルロース、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、粉末セルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系高分子、アルファー化澱粉、部分アルファー化澱粉、カルボキシメチル澱粉、デキストリン、メチル澱粉などの澱粉系高分子、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルなどのアルギン酸系高分子、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウムなどのその他の多糖類系高分子などが挙げられ、これらの1種以上が使用される。
【0045】
合成高分子としては、例えばカルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メタアクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー、メタアクリル酸−メタアクリル酸エチルコポリマー、メタアクリル酸エチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルコポリマー、メタアクリル酸ジメチルアミノエチル・メタアクリル酸メチルコポリマーが挙げられ、これらの1種以上が使用される。
【0046】
無機物としては、例えば含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、コロイダルアルミナ、ベントナイト、ラポナイトが挙げられ、これらの1種以上が使用される。
【0047】
前記二酸化炭素外用剤調製用組成物において、粒状物の増粘剤としては、加工澱粉、アルファー化澱粉、カルボキシメチル澱粉、デキストリン、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンが溶解もしくは膨潤速度の面から好ましく、加工澱粉、デキストリン、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンが、使用性などの面からより好ましい。
【0048】
増粘剤の配合量は粒状物においては、粒状物全体に対して10〜40重量%が好ましいが、より好ましくは15〜35重量%、さらに好ましくは20〜30重量%である。粒状物の増粘剤の配合量が10重量%以下では、粒状物と粘性組成物を混合したときにできる外用剤の粘度が不十分である。粒状物の増粘剤の配合量が40重量%以上では、粒状物と粘性組成物を混合したときに粒状物の崩壊と分散、溶解が遅くなり、外用剤の調製に時間がかかりすぎる。
【0049】
前記二酸化炭素外用剤調製用組成物において、粒状物の水溶性分散剤としては、水に溶けやすく、化学的に安定で、粒子状で使用できれば特に制限されない。例えばアルファー化デンプン、α−シクロデキストリンなどのデンプン誘導体、白糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、乳糖、キシリトール、D−ソルビトール、D−マンニトールなどの糖類、プルラン、キサンタンガムなどの多糖類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウムなどのセルロース誘導体とその塩類、ポリビニルピロリドンなどの合成高分子、尿素が挙げられ、これらの1種以上が使われる。これらの中で糖類と尿素が好ましく、キシリトール、D−ソルビトール、ブドウ糖、D−マンニトール、果糖、蔗糖、乳糖、白糖、尿素がさらに好ましい。
【0050】
水溶性酸も水溶性分散剤としての機能を有する。しかし、粒状物が水溶性酸及び増粘剤を必須成分としていても、水溶性分散剤及びその他の水溶性添加物を含まず、かつ増粘剤が水溶性酸と混合され、該水溶性酸中に該増粘剤の粒子が散在し、水溶性酸により増粘剤の粒子が互いに隔てられていると、該粒状物を粘性組成物と混合したとき、増粘剤が水により充分溶解もしくは膨潤して粘性組成物の粘度が増加する前に酸と炭酸塩の反応が進行し、発生する二酸化炭素が外気中に発散するとともに、増粘剤が「だま」もしくは「ままこ」になってしまい、充分な粘度を有する二酸化炭素外用剤が得られない。
【0051】
なお、水溶性分散剤の中で増粘剤として使用できるもの、及び増粘剤の中で水溶性分散剤として使用できるものもあるが、構成上は別のものとして扱う。
【0052】
前記二酸化炭素外用剤調製用組成物において、粘性組成物の炭酸塩としては、酸と反応して二酸化炭素を発生するものであれば特に限定されない。例えば炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、セスキ炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、セスキ炭酸リチウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、セスキ炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水酸化マグネシウム、炭酸バリウムが挙げられ、これらの1種以上が用いられる。炭酸塩の配合量は、粘性組成物全体に対して0.1〜10重量%が好ましいが、より好ましくは0.5〜6重量%、さらに好ましくは1〜3重量%である。炭酸塩の配合量が0.1重量%以下であると、これと反応する酸の量がどれだけ多くても二酸化炭素の発生量が少ないために、美容もしくは医療効果が得られない。炭酸塩の配合量が10重量%以上であると、これと反応化学的に等量以上の酸を含有する粒状物を混合し、反応させると二酸化炭素の発生量が多すぎて、外気中に発散し、経皮経粘膜吸収に利用されないだけでなく、調製された二酸化炭素外用剤が気泡を多く含みすぎ、粒状物が含む増粘剤の増粘効果が打ち消され、粘着性が低下して該外用剤が皮膚粘膜に密着しない。そのため、使いにくいだけでなく、充分な美容もしくは医療効果が得られない。
【0053】
前記二酸化炭素外用剤調製用組成物において、粘性組成物の水としては、通常の化粧品や医薬品等の製造に使用できる水であれば特に制限されず、蒸留水、膜濾過水、イオン交換水などが適宜使用できる。水の配合量は、粘性組成物全体に対して70〜97.5重量%が好ましいが、より好ましくは75〜95重量%、さらに好ましくは80〜92.5重量%である。水の配合量が70重量%以下であると、粘性組成物の粘性が高すぎて流動性、柔軟性等に欠けるために粒状物の混合が困難になり、粘性組成物中に粒状物がまんべんなく行き渡らなくなるとともに、水分が少ないために粒状物中の増粘剤の溶解もしくは膨潤が不十分なために粘度の増加が少なく、充分な美容もしくは医療効果が得られない。水の配合量が97.5重量%以上であると、粘性組成物に粒状物を混合したとき、水溶性酸の溶解が早すぎて二酸化炭素が急激に発生し、外気中に発散し、調製された二酸化炭素外用剤中の含有量が少なくなるとともに、粘性組成物の粘度の増加が少なく、得られた二酸化炭素外用剤を皮膚粘膜に塗布したときに垂れるため使用性が悪いだけでなく、充分な美容もしくは医療効果が得られない。
【0054】
前記二酸化炭素外用剤調製用組成物において、粘性組成物の増粘剤としては、アルギン酸系高分子、セルロース系高分子、合成高分子が好ましく、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロース及びその塩類、カルボキシメチルスターチ及びその塩類、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドンが使用性などの面からより好ましく、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースナトリウムが使用感などの面からさらに好ましい。
【0055】
増粘剤の配合量は粘性組成物においては、粘性組成物全体に対して0.5〜20重量%が好ましいが、より好ましくは1〜10重量%、さらに好ましくは2〜5重量%である。粘性組成物の増粘剤の配合量が0.5重量%以下では粘度が低すぎるために、粒状物を加えても充分な粘度が得られない。粘性組成物の増粘剤の配合量が20重量%以上では粘度が高すぎて粒状物との混合が困難になり、むりやり混合しても粒状物の崩壊が不十分なために二酸化炭素が充分発生しないか、発生しても混合に時間がかかるために途中で二酸化炭素が外気中に発散して経皮経粘膜吸収に充分利用されず、美容もしくは医療効果が得られにくい。
【0056】
前記二酸化炭素外用剤調製用組成物から得られる二酸化炭素外用剤は、弱アルカリ性〜弱酸性であり、傷などにしみることはない。該外用剤の水素イオン指数は、刺激性等の面からpH4〜9が好ましく、pH5〜8がさらに好ましい。
【0057】
前記二酸化炭素外用剤調製用組成物の粘性組成物は、そのままでも使用性は良好であるが、多価アルコールを加えることにより、粒状物との混合により得られる二酸化炭素外用剤の皮膚粘膜への粘着性と延びがさらに良くなるため、使用性は一層良好になるとともに、効果が一層確実になる。多価アルコールの配合量としては、粘性組成物の1〜15重量%が好ましいが、より好ましくは3〜10重量%である。1重量%以下では前記の効果が得られず、15重量%以上配合すると、該外用剤の粘度が低くなり、皮膚粘膜に塗布したとき垂れたり流れたりするため好ましくない。
【0058】
多価アルコールとしては、特に制限されず、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、スピログリコールなどのグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどのグリセロール類、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオールなどのジオール類が挙げられ、これらの1種以上が使用される。これらの中でも1,3−ブチレングリコール、グリセリンが、粘着性及び延びの改善と粘度のバランスに優れ、保湿性も持つために特に好ましい。
【0059】
前記二酸化炭素外用剤調製用組成物には前記必須成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、通常外用剤や化粧料に用いられる原料、例えば香料、色素、界面活性剤、油分、保湿剤、アルコール類、防腐剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、着色防止剤、紫外線吸収・散乱剤、ビタミン類、アミノ酸類、アルブチン、コウジ酸、栄養剤、抗炎症剤、血管拡張剤、ホルモン剤、収斂剤、抗ヒスタミン剤、殺菌剤、皮脂抑制剤、角質剥離・溶解剤、抗脂漏剤、鎮痒剤などの薬剤を配合できる。これにより、二酸化炭素外用剤を化粧料や外用医薬として好適に使用できる。
【0060】
本発明の二酸化炭素外用剤調製用組成物は、粒状物と粘性組成物が接触しない状態で保存されていれば良く、両者とも特に密閉状態で保存されることが好ましい。保存容器としては、材質や形状、構造など特に制限なく使用でき、例えば材質としてはプラスチック、ガラス、アルミニウム、紙、各種ポリマーやこれらの材料の複合体が挙げられ、また、形状や構造としてはカップ、チューブ、バッグ、びん、スティック、ポンプが挙げられ、これらのいずれかが制限なく使用できる。これらの中で特に粒状物には、内面をポリエチレンテレフタレートでラミネートしたアルミスティックもしくはアルミバッグ、粘性組成物には内面をポリエチレンテレフタレートでラミネートしたアルミスティックもしくはアルミバッグ、あるいは内面をポリエチレンテレフタレートでラミネートしたアルミシートで蓋をヒールシートするポリエチレンテレフタレート製のカップが、密閉性や内容物の保存安定性、製造コストの面などから好ましい。
【0061】
前記二酸化炭素外用剤調製用組成物において、粒状物と粘性組成物の混合は、ガラスやプラスチックなどの適当な容器を用いて行っても良く、あるいは手のひらや皮膚粘膜の上などで行っても良い。粒状物と粘性組成物の混合は手指などで行っても良いし、バターナイフやヘラなどの道具を用いても良い。粒状物が完全に粘性組成物に溶けるまで混合しても良いし、粒状物が半分程度溶けるだけでも良い。後者の場合は、皮膚粘膜にそのまま塗布しても粒状物が急速に溶けて行くので、塗布時間が極端に短くなければ完全に溶かした場合と同様の効果が得られる。
【0062】
前記二酸化炭素外用剤調製用組成物は、粒状物1重量部に対し粘性組成物10〜40重量部であることが好ましいが、より好ましくは15〜35重量部、さらに好ましくは20〜30重量部である。粒状物1重量部に対し粘性組成物が10重量部以下では、両者を混合して二酸化炭素外用剤を調製した場合に二酸化炭素の発生が激しく、多すぎるために、二酸化炭素が外気中に発散しやすいとともに、得られた二酸化炭素外用剤は気泡を多く含みすぎて粘性が低下し、皮膚粘膜への粘着性が損なわれる結果、充分な美容もしくは医療効果が得られにくい。粒状物1重量部に対して粘性組成物が40重量部以上では、粒状物を粘性組成物中にまんべんなく分散させるには時間がかかり、その間に発生する二酸化炭素が外気中に発散しやすく、また、二酸化炭素の発生量が少ないために美容及び医療効果が弱くなる。
【0063】
前記二酸化炭素外用剤調製用組成物から得られる二酸化炭素外用剤の塗布の厚さは0.2〜10mmが好ましいが、より好ましくは0.5〜5mm、さらに好ましくは1〜3mmである。塗布の厚さが0.2mm以下では美容もしくは医療効果が得られにくく、10mm以上では塗布しにくいだけでなく、それ以上の効果が得られない。
【0064】
二酸化炭素外用剤の塗布時間は、美容目的の場合5分間〜3時間が好ましいが、より好ましくは10分間〜2時間、さらに好ましくは15分間〜1時間である。塗布時間が5分間より短いと美容効果が弱く、3時間より長いとそれ以上の効果が得られず、また皮膚がふやけてしまう。医療目的の場合の塗布時間も美容目的のそれに準ずるが、床ずれなどの深い傷に使用する場合などは24時間以上の塗布も有効である。
【0065】
以上の構成の二酸化炭素外用剤調製用組成物は、二酸化炭素外用剤の調製が容易であり、調製される二酸化炭素外用剤は多量の二酸化炭素を全体にまんべんなく含有し、充分な粘度と粘着性を持ち、外気に触れる部分は被膜を形成して二酸化炭素の発散が抑えられ、皮膚粘膜に塗布したときに垂れたり厚みが減少したりすることがない。このため、従来の二酸化炭素外用剤と比較して水虫、虫さされ、アトピー性皮膚炎、貨幣状湿疹、乾皮症、脂漏性湿疹、蕁麻疹、痒疹、主婦湿疹、尋常性ざ瘡、膿痂疹、毛包炎、癰、せつ、蜂窩織炎、膿皮症、乾癬、魚鱗癬、掌蹠角化症、苔癬、粃糠疹、創傷、熱傷、き裂、びらん、凍瘡などの皮膚粘膜疾患もしくは皮膚粘膜障害に伴う痒み、褥創、創傷、熱傷、口角炎、口内炎、皮膚潰瘍、き裂、びらん、凍瘡、壊疽などの皮膚粘膜損傷;移植皮膚片、皮弁などの生着不全;歯肉炎、歯槽膿漏、義歯性潰瘍、黒色化歯肉、口内炎などの歯科疾患;閉塞性血栓血管炎、閉塞性動脈硬化症、糖尿病性末梢循環障害、下肢静脈瘤などの末梢循環障害に基づく皮膚潰瘍や冷感、しびれ感;慢性関節リウマチ、頸肩腕症候群、筋肉痛、関節痛、腰痛症などの筋骨格系疾患;神経痛、多発性神経炎、スモン病などの神経系疾患;乾癬、鶏眼、たこ、魚鱗癬、掌蹠角化症、苔癬、粃糠疹などの角化異常症;尋常性ざ瘡、膿痂疹、毛包炎、癰、せつ、蜂窩織炎、膿皮症、化膿性湿疹などの化膿性皮膚疾患;除毛後の再発毛抑制(むだ毛処理);そばかす、肌荒れ、肌のくすみ、肌の張りや肌の艶の衰え、髪の艶の衰えなどの皮膚や毛髪などの美容上の問題及び部分肥満に対する効果がより強力であり、効果発現が早い。
【実施例】
【0066】
次に実施例を挙げて本発明の二酸化炭素外用剤調製用組成物について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
粒状物の製造
水溶性分散剤として乳糖50重量部、水溶性酸としてクエン酸30重量部、増粘剤として加工澱粉7重量部、デキストリン3重量部、馬鈴薯澱粉10重量部を用い、水を溶媒とする湿式押し出し造粒法により長さ約4mm、直径約1mmの多孔性柱状顆粒を製造した。この粒状物の収率は約60%であった。
粘性組成物の製造
精製水91.5重量部に炭酸塩として炭酸水素ナトリウム4.0重量部を溶かし、60℃まで徐々に加温しながら増粘剤としてアルギン酸ナトリウム1.5重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム3.0重量部を徐々に加えて攪拌しながら溶かし、溶解後一夜放置し、室温まで冷まして粘性組成物を製造した。
前記粒状物と粘性組成物を組み合わせて二酸化炭素外用剤調製用組成物とした。
【0067】
(実施例2)
粒状物の製造
水溶性分散剤としてキシリトール65重量部、水溶性酸としてリン酸二水素ナトリウム15重量部、増粘剤としてデキストリン10重量部、トウモロコシ澱粉10重量部を用い、水を溶媒とする湿式押し出し造粒法により長さ約4mm、直径約1mmの多孔性柱状顆粒を製造した。この粒状物の収率は約65%であった。
粘性組成物の製造
精製水92.5重量部に炭酸塩として炭酸水素ナトリウム1.5重量部、防腐剤としてメチルパラベン0.1重量部、フェノキシエタノール1.0重量部、その他の原料としてオウバクエキス0.1重量部、カミツレエキス0.1重量部、ローズウッドエキス0.1重量部、シソエキス0.1重量部を分散溶解し、60℃まで徐々に加温しながら増粘剤としてアルギン酸ナトリウム2.5重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム2.0重量部を徐々に加えて攪拌しながら溶かし、溶解後一夜放置し、室温まで冷まして粘性組成物を製造した。
前記粒状物と粘性組成物を組み合わせて二酸化炭素外用剤調製用組成物とした。
【0068】
(実施例3)
粒状物の製造
水溶性分散剤として乳糖60重量部、水溶性酸としてクエン酸20重量部、増粘剤としてデキストリン10重量部、馬鈴薯澱粉10重量部を用い、水を溶媒とする湿式押し出し造粒法により長さ約4mm、直径約1mmの多孔性柱状顆粒を製造した。この粒状物の収率は約65%であった。
粘性組成物の製造
精製水88.5重量部に炭酸塩として炭酸水素ナトリウム3.0重量部、その他の原料としてソウハクヒエキス、オタネニンジンエキス、シソエキス、シコンエキス、ローズマリーエキスを各々0.1重量部、防腐剤として1,2−ペンタンジオール3.0重量部を溶かし、60℃まで徐々に加温しながら増粘剤としてアルギン酸ナトリウム3.0重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム2.0重量部を徐々に加えて攪拌しながら溶かし、溶解後一夜放置し、室温まで冷まして粘性組成物を製造した。
前記粒状物0.7gを内面がポリエチレンテレフタレートでラミネートされたアルミスティックに密閉充填し、粘性組成物15gを内面がポリエチレンテレフタレートでラミネートされたアルミパウチに密閉充填して粒状物と粘性組成物を組み合わせて二酸化炭素外用剤調製用組成物とした。
【0069】
(実施例4)
粒状物の製造
水溶性分散剤として乳糖50重量部、水溶性酸としてリンゴ酸30重量部、増粘剤として加工澱粉7重量部、デキストリン3重量部、馬鈴薯澱粉10重量部を用い、水を溶媒とする湿式押し出し造粒法により長さ約4mm、直径約1mmの多孔性柱状顆粒を製造した。この粒状物の収率は約95%であった。
粘性組成物の製造
精製水91.5重量部に炭酸塩として炭酸水素ナトリウム4.0重量部を溶かし、60℃まで徐々に加温しながら増粘剤としてアルギン酸ナトリウム1.5重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム3.0重量部を徐々に加えて攪拌しながら溶かし、溶解後一夜放置し、室温まで冷まして粘性組成物を製造した。
前記粒状物と粘性組成物を組み合わせて二酸化炭素外用剤調製用組成物とした。
【0070】
(実施例5)
粒状物の製造
水溶性分散剤として乳糖50重量部、水溶性酸として酒石酸20重量部、増粘剤として加工澱粉10重量部、デキストリン10重量部、馬鈴薯澱粉10重量部を用い、水を溶媒とする湿式押し出し造粒法により長さ約4mm、直径約1mmの多孔性柱状顆粒を製造した。この粒状物の収率は約95%であった。
粘性組成物の製造
精製水88.5重量部に炭酸塩として炭酸水素ナトリウム3.0重量部、その他の原料としてソウハクヒエキス、オタネニンジンエキス、シソエキス、シコンエキス、ローズマリーエキスを各々0.1重量部、防腐剤として1,2−ペンタンジオール3.0重量部を溶かし、60℃まで徐々に加温しながら増粘剤としてアルギン酸プロピレングリコールエステル3.0重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム2.0重量部を徐々に加えて攪拌しながら溶かし、溶解後一夜放置し、室温まで冷まして粘性組成物を製造した。
前記粒状物1.5gを内面がポリエチレンテレフタレートでラミネートされたアルミスティックに密閉充填し、粘性組成物30gを容量50mlのポリエチレンテレフタレートの半球形カップに充填し、上面をポリエチレンテレフタレートでラミネートしたアルミシートで熱融着した。前記アルミスティック充填粒状物1本と前記半球形カップ充填粘性組成物1個を組み合わせて二酸化炭素外用剤調製用組成物とした。
【0071】
(実施例6)
粒状物の製造
水溶性分散剤として乳糖73重量部、水溶性酸としてリンゴ酸7重量部、増粘剤として加工澱粉7重量部、デキストリン3重量部、馬鈴薯澱粉10重量部を用い、水を溶媒とする湿式押し出し造粒法により長さ約4mm、直径約1mmの多孔性柱状顆粒を製造した。この粒状物の収率は約95%であった。
粘性組成物の製造
精製水90.5重量部に炭酸塩として炭酸水素ナトリウム2.0重量部、防腐剤としてフェノキシエタノール1.0重量部、多価アルコールとして1,3−ブチレングリコール2.0重量部を溶かし、60℃まで徐々に加温しながら増粘剤としてアルギン酸プロピレングリコールエステル1.5重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム3.0重量部を徐々に加えて攪拌しながら溶かし、溶解後一夜放置し、室温まで冷まして粘性組成物を製造した。
前記粒状物と粘性組成物を組み合わせて二酸化炭素外用剤調製用組成物とした。
【0072】
(実施例7)
粒状物の製造
水溶性分散剤として白糖50重量部、水溶性酸としてリンゴ酸20重量部、増粘剤としてデキストリン15重量部、馬鈴薯澱粉15重量部を用い、水を溶媒とする湿式押し出し造粒法により長さ約4mm、直径約1mmの多孔性柱状顆粒を製造した。この粒状物の収率は約95%であった。
粘性組成物の製造
精製水89.0重量部に炭酸塩として炭酸水素ナトリウム3.0重量部、防腐剤として1,2−ペンタンジオール0.5重量部、多価アルコールとして1,3−ブチレングリコール3.0重量部を溶かし、60℃まで徐々に加温しながら増粘剤としてアルギン酸プロピレングリコールエステル1.5重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム3.0重量部を徐々に加えて攪拌しながら溶かし、溶解後一夜放置し、室温まで冷まして粘性組成物を製造した。
前記粒状物と粘性組成物を組み合わせて二酸化炭素外用剤調製用組成物とした。
【0073】
(実施例8)
粒状物の製造
水溶性分散剤として乳糖55重量部、水溶性酸としてクエン酸25重量部、増粘剤として加工澱粉7重量部、デキストリン3重量部、馬鈴薯澱粉10重量部を用い、水を溶媒とする湿式押し出し造粒法により長さ約4mm、直径約1mmの多孔性柱状顆粒を製造した。この粒状物の収率は約65%であった。
粘性組成物の製造
後述する比較例2の粘性組成物の製造に従い、製造した。前記粒状物と粘性組成物を組み合わせて二酸化炭素外用剤調製用組成物とした。
【0074】
(実施例9)
粒状物の製造
水溶性分散剤として乳糖60重量部、水溶性酸としてリンゴ酸25重量部、増粘剤として加工澱粉15重量部を用い、水を溶媒とする湿式押し出し造粒法により長さ約4mm、直径約1mmの多孔性柱状顆粒を製造した。この粒状物の収率は約95%であった。
粘性組成物の製造
実施例6の粘性組成物の製造に従い製造した。
前記粒状物と粘性組成物を組み合わせて二酸化炭素外用剤調製用組成物とした。
【0075】
(実施例10)
粒状物の製造
水溶性分散剤として白糖60重量部、水溶性酸としてリンゴ酸30重量部、増粘剤としてデキストリン10重量部を用い、水を溶媒とする湿式押し出し造粒法により長さ約4mm、直径約1mmの多孔性柱状顆粒を製造した。この粒状物の収率は約95%であった。
粘性組成物の製造
実施例6の粘性組成物の製造に従い製造した。前記粒状物と粘性組成物を組み合わせて二酸化炭素外用剤調製用組成物とした。
【0076】
(実施例11)
粒状物の製造
水溶性分散剤として白糖50重量部、水溶性酸としてリンゴ酸30重量部、増粘剤として馬鈴薯澱粉20重量部を充分混合し、水を溶媒とする湿式押し出し造粒法により長さ約4mm、直径約1mmの多孔性柱状顆粒を製造した。この粒状物の収率は約95%であった。
粘性組成物の製造
実施例6の粘性組成物の製造に従い製造した。前記粒状物と粘性組成物を組み合わせて二酸化炭素外用剤調製用組成物とした。
【0077】
(実施例12)
粒状物の製造
水溶性分散剤として乳糖50重量部、水溶性酸としてリンゴ酸30重量部、増粘剤として加工澱粉7重量部、デキストリン3重量部、馬鈴薯澱粉10重量部を充分混合し、水を溶媒とする湿式押し出し造粒法により長さ約4mm、直径約1mmの多孔性柱状顆粒を製造した。この粒状物の収率は約95%であった。
粘性組成物の製造
精製水91重量部に炭酸塩として炭酸水素ナトリウム4.0重量部を溶かし、60℃まで徐々に加温しながら増粘剤としてアルギン酸ナトリウム5重量部を徐々に加えて攪拌しながら溶かし、溶解後一夜放置し、室温まで冷まして粘性組成物を製造した。
前記粒状物と粘性組成物を組み合わせて二酸化炭素外用剤調製用組成物とした。
【0078】
(実施例13)
粒状物の製造
実施例12の粒状物の製造方法に従い製造した。
粘性組成物の製造
精製水91重量部に炭酸塩として炭酸水素ナトリウム4.0重量部を溶かし、60℃まで徐々に加温しながら増粘剤としてアルギン酸プロピレングリコールエステル5重量部を徐々に加えて攪拌しながら溶かし、溶解後一夜放置し、室温まで冷まして粘性組成物を製造した。
前記粒状物と粘性組成物を組み合わせて二酸化炭素外用剤調製用組成物とした。
【0079】
(実施例14)
粒状物の製造
実施例12の粒状物の製造方法に従い製造した。
粘性組成物の製造
精製水91重量部に炭酸塩として炭酸水素ナトリウム4.0重量部を溶かし、60℃まで徐々に加温しながら増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム5重量部を徐々に加えて攪拌しながら溶かし、溶解後一夜放置し、室温まで冷まして粘性組成物を製造した。
前記粒状物と粘性組成物を組み合わせて二酸化炭素外用剤調製用組成物とした。
【0080】
(実施例15)
粒状物の製造
水溶性分散剤としてキシリトール50重量部、水溶性酸としてリンゴ酸30重量部、増粘剤としてキサンタンガム7重量部、デキストリン5重量部、馬鈴薯澱粉8重量部を充分混合し、水を溶媒とする湿式押し出し造粒法により長さ約4mm、直径約1mmの多孔性柱状顆粒を製造した。この粒状物の収率は約70%であった。
粘性組成物の製造
精製水89.0重量部に炭酸塩として炭酸水素ナトリウム3.0重量部、防腐剤として1,2−ペンタンジオール0.5重量部、多価アルコールとして1,3−ブチレングリコール3.0重量部を溶かし、60℃まで徐々に加温しながら増粘剤としてアルギン酸ナトリウム1.5重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム3.0重量部を徐々に加えて攪拌しながら溶かし、溶解後一夜放置し、室温まで冷まして粘性組成物を製造した。
前記粒状物と粘性組成物を組み合わせて二酸化炭素外用剤調製用組成物とした。
【0081】
(実施例16)
粒状物の製造
水溶性分散剤としてD−ソルビトール50重量部、水溶性酸としてリンゴ酸20重量部、増粘剤としてデキストリン15重量部、ヒドロキシプロピルセルロース15重量部を充分混合し、水を溶媒とする湿式押し出し造粒法により長さ約4mm、直径約1mmの多孔性柱状顆粒を製造した。この粒状物の収率は約65%であった。
粘性組成物の製造
精製水89.0重量部に炭酸塩として炭酸ナトリウム3.0重量部、防腐剤として1,2−ペンタンジオール0.5重量部、多価アルコールとして1,3−ブチレングリコール3.0重量部を溶かし、60℃まで徐々に加温しながら増粘剤としてアルギン酸プロピレングリコールエステル1.5重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム3.0重量部を徐々に加えて攪拌しながら溶かし、溶解後一夜放置し、室温まで冷まして粘性組成物を製造した。
前記粒状物と粘性組成物を組み合わせて二酸化炭素外用剤調製用組成物とした。
【0082】
(実施例17)
粒状物の製造
水溶性分散剤としてD−マンニトール45重量部、水溶性酸としてリンゴ酸25重量部、増粘剤としてデキストリン15重量部、キサンタンガム15重量部を充分混合し、水を溶媒とする湿式押し出し造粒法により長さ約4mm、直径約1mmの多孔性柱状顆粒を製造した。この粒状物の収率は約90%であった。
粘性組成物の製造
精製水88.5重量部に炭酸塩として炭酸水素ナトリウム3.0重量部、防腐剤として1,2−ペンタンジオール1.0重量部、多価アルコールとして1,3−ブチレングリコール3.0重量部を溶かし、60℃まで徐々に加温しながら増粘剤としてアルギン酸ナトリウム1.5重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム3.0重量部を徐々に加えて攪拌しながら溶かし、溶解後一夜放置し、室温まで冷まして粘性組成物を製造した。
前記粒状物と粘性組成物を組み合わせて二酸化炭素外用剤調製用組成物とした。
【0083】
(実施例18)
粒状物の製造
水溶性分散剤として尿素50重量部、水溶性酸として酒石酸20重量部、増粘剤としてキサンタンガム10重量部、デキストリン10重量部、ヒドロキシプロピルセルロース10重量部を充分混合し、水を溶媒とする湿式押し出し造粒法により長さ約4mm、直径約1mmの多孔性柱状顆粒を製造した。この粒状物の収率は約95%であった。
粘性組成物の製造
実施例7の粘性組成物の製造に従い製造した。
粒状物1.5gを内面がポリエチレンテレフタレートでラミネートされたアルミスティックに密閉充填し、粘性組成物30gを容量50mlのポリエチレンテレフタレートの半球形カップに充填し、上面をポリエチレンテレフタレートでラミネートしたアルミシートで熱融着した。前記アルミスティック充填粒状物1本と前記半球形カップ充填粘性組成物1個を組み合わせて二酸化炭素外用剤調製用組成物とした。
【0084】
(比較例1)
粒状物の製造
水溶性酸としてクエン酸20重量部、増粘剤としてヒドロキシプロピルセルロース30重量部、デキストリン20重量部、カルボキシメチルスターチナトリウム30重量部を用い、湿式押し出し造粒法により長さ約4mm、直径約1mmの柱状顆粒を製造した。この粒状物の収率は約45%であった。
粘性組成物の製造
精製水91.5重量部に炭酸塩として炭酸水素ナトリウム4.0重量部を溶かし、60℃まで徐々に加温しながら増粘剤としてアルギン酸ナトリウム1.5重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム3.0重量部を徐々に加えて攪拌しながら溶かし、溶解後一夜放置し、室温まで冷まして粘性組成物を製造した。前記粒状物と粘性組成物を組み合わせて二酸化炭素外用剤調製用組成物とした。
【0085】
(比較例2)
特開2000−319187号公報の実施例109に従い以下のように製造した。
粒状物の製造
クエン酸25重量部、エチルセルロース25重量部、クロスカルメロースナトリウム50重量部を用い、水を溶媒とする湿式押し出し造粒法により長さ約4mm、直径約1mmの多孔性柱状顆粒を製造した。
粘性組成物の製造
精製水89.6重量部に炭酸水素ナトリウム2.4重量部を溶かし、60℃まで徐々に加温しながらアルギン酸ナトリウム4.0重量部、エチルセルロース2.0重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム2.0重量部を徐々に加えて攪拌しながら溶かし、溶解後一夜放置し、室温まで冷まして粘性組成物を製造した。
前記粒状物と粘性組成物を組み合わせて二酸化炭素外用剤調製用組成物とした。
【0086】
(比較例3)
水溶性酸含有粉末の製造
水溶性酸としてクエン酸60重量部、増粘剤としてデキストリン20重量部、馬鈴薯澱粉20重量部を充分混合し、粉末を製造した。この粒状物の収率は約100%であった。
粘性組成物の製造
精製水91.5重量部に炭酸塩として炭酸水素ナトリウム4.0重量部を溶かし、60℃まで徐々に加温しながら増粘剤としてアルギン酸ナトリウム1.5重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム3.0重量部を徐々に加えて攪拌しながら溶かし、溶解後一夜放置し、室温まで冷まして粘性組成物を製造した。
前記水溶性酸含有粉末と粘性組成物を組み合わせて二酸化炭素外用剤調製用組成物とした。
【0087】
評価試験
このようにして製造した二酸化炭素外用剤調製用組成物を次のようにして評価した。
評価1:顔の部分痩せ、美白、美肌効果(1)
実施例1〜18及び比較例1〜3の21種類の二酸化炭素外用剤調製用組成物の粒状物もしくは水溶性酸含有粉末1.4gと、各々に対応する粘性組成物30gを、直径5cmのプラスチック容器中で、ヘラを用いて30回攪拌して二酸化炭素外用剤を調製し、調製のしやすさを評価した。
次に、調製された各外用剤の10gを21〜42才の女性被験者延べ21人の顎を含む右頬に厚さ約1mmに塗布して垂れ具合を観察し、塗布15分後に外用剤を取り去って頬と肌の状態を観察した。
その結果、実施例1〜18のいずれの二酸化炭素外用剤調製用組成物も、粒状物と粘性組成物の混合は容易であり、粒状物は粘性組成物中にまんべんなく行き渡って溶けるとともに、二酸化炭素の発生は充分であった。特にこれらから調製されたいずれの二酸化炭素外用剤も、被験者の頬に塗布しても垂れることはなく、15分後に取り去った後、本発明の二酸化炭素外用剤を使用した被験者すべてにおいて、該外用剤塗布側頬が第三者の観察で非塗布部分と比較して小さくなり、口角が上がり、肌が白く透明感が出ていることが認められた。これらの中でも特に実施例4、12、15、17の二酸化炭素外用剤調製用組成物から調製した二酸化炭素外用剤の顔の部分痩せ、美白、美肌効果が優れていた。
【0088】
一方、比較例1の二酸化炭素外用剤調製用組成物は、粒状物と粘性組成物の混合は容易で二酸化炭素の発生も充分であったものの、これから調製された二酸化炭素外用剤を被験者の頬に塗布したところ、塗布直後から垂れてきて頬から落ち、衣服を汚した。塗布15分後に該外用剤を取り去ったところ、肌が多少白くなってはいたものの、頬が小さくなり口角が上がる効果は認められなかった。
【0089】
比較例2の二酸化炭素外用剤調製用組成物は、粒状物が粘性組成物にほとんど溶けず、二酸化炭素の発生は不十分であった。これから調製された二酸化炭素外用剤を被験者の頬に塗布したところ、塗布直後から垂れてきて頬から落ち、衣服を汚した。塗布15分後に該外用剤を取り去ったところ、該外用剤中にはまだ粒状物が溶けずに残り、被験者の塗布側の頬は多少白くなったものの、非塗布側と比較して小さくなり、口角が上がり、肌に透明感が出る効果は認められなかった。
【0090】
比較例3の二酸化炭素外用剤調製用組成物は、粒状物を粘性組成物に加えて攪拌した途端に粘性組成物表面近くで二酸化炭素の発生が始まり、粒状物が粘性組成物に充分混合される前に二酸化炭素の発生が終了してしまった。また、粘性組成物中で「だま」もしくは「ままこ」がたくさんできて粒状物は溶けきらなかった。これから調製された二酸化炭素外用剤を被験者の頬に塗布したところ、依然「だま」もしくは「ままこ」はなくならず、該外用剤は塗布直後から垂れてきて頬から落ち、衣服を汚した。塗布15分後に該外用剤を取り去ったところ、肌が多少白くなってはいたものの、頬が小さくなり口角が上がる効果は認められなかった。
【0091】
評価2:顔の部分痩せ、美白、美肌効果(2)
実施例8及び比較例2の2種類の二酸化炭素外用剤調製用組成物の粒状物1.4gを、直径5cmのプラスチック容器中で、粒状物に対応する粘性組成物30gに加え、ヘラを用いて30回攪拌して二酸化炭素外用剤を調製した。実施例8の組成物から調製された二酸化炭素外用剤の10gを、41才の女性被験者の右頬に、比較例2の組成物から調製された二酸化炭素外用剤10gを左頬に各々厚さ約1.5mmに塗布して垂れ具合を観察し、塗布15分後に外用剤を取り去って頬と肌の状態を観察した。その結果、実施例8の二酸化炭素外用剤調製用組成物から調製された二酸化炭素外用剤は、被験者の右頬に塗布しても垂れることはなく、15分後に取り去った後、右側頬が第三者の観察で左側頬と比較して小さくなり、口角が上がり、肌が白く透明感が出ていることが認められた。一方、比較例2の二酸化炭素外用剤調製用組成物から調製された二酸化炭素外用剤は、塗布直後から垂れ、被験者の衣服を汚した。
【0092】
評価3:傷の治療(1)
実施例3の二酸化炭素外用剤調製用組成物の粒状物0.7gと粘性組成物15gを用いて二酸化炭素外用剤を調製し、その0.5gを32才の男性の左手薬指の理髪用はさみによる長さ1cmの切り傷に20分間塗布した。これを1日1回、3日間繰り返したところ、傷口が完全にふさがった。理髪用はさみによる切り傷は、通常の絆創膏貼付では傷口がふさがるまでに2週間以上必要なことから、本発明の二酸化炭素外用剤調製用組成物は、非常に強い創傷治療効果を持つ二酸化炭素外用剤を調製できることが明らかである。
【0093】
評価4:傷の治療(2)
12才男子の虫さされの掻き傷が難治化した、浸出液を伴う長径3cm×短径2cmの浅い皮膚潰瘍に対し、実施例4の二酸化炭素外用剤調製用組成物の粒状物0.2gと粘性組成物3gを用いて二酸化炭素外用剤を調製し、15分間塗布した。これを1日1回、5日間繰り返したところ、副作用なく傷口が完全にふさがった。
【0094】
評価5:にきびの治療
29才の女性の額中央部にできた高さ約1mmの赤みを伴うにきびに対し、実施例1の二酸化炭素外用剤調製用組成物の粒状物0.7gと粘性組成物15gを用いて二酸化炭素外用剤を調製し、その0.5gを30分間塗布したところ、赤みが薄くなり、にきびの高さはやや膨らみが分かる程度に低くなった。同様に実施例1の二酸化炭素外用剤調製用組成物から二酸化炭素外用剤を調製し、1回0.5gを30分間毎日塗布したところ、4日でにきびが完全に消失した。
【0095】
評価6:アトピー性皮膚炎の治療
全体が黒青色化し、多数のかさぶたと出血がある29才男性の両手甲のアトピー性皮膚炎に対し、実施例6の二酸化炭素外用剤調製用組成物の粒状物0.7gと粘性組成物15gを用いて二酸化炭素外用剤を調製し、右手甲に30分間塗布したところ、黒青色化の程度が改善され、やや血色が戻るとともに、出血がすべて止まった。同様に実施例6の二酸化炭素外用剤調製用組成物の粒状物0.7gと粘性組成物15gを用いて二酸化炭素外用剤を調製し、毎日30分間塗布したところ、12日目には黒色化が完全に解消され、普通の皮膚の色調になるとともに、かさぶたの数は半分以下になり、出血は全く認められなくなった。
【0096】
評価7:ヘルペス感染後色素沈着の治療
左胸下にヘルペス感染による多数の色素沈着が生じて2週間以上続いていた28歳の女性に対し、実施例17の二酸化炭素外用剤調製用組成物の粒状物1.4gと粘性組成物25gを用いて二酸化炭素外用剤を調製して色素沈着部分に塗布し、その上から合成樹脂ラップをかぶせて30分間放置した。これを1日1回、3週間続けたところ、色素沈着はほとんど目立たなくなった。
【0097】
評価8:爪床欠損の治療
左親指爪床をカンナで約0.6平方センチメートル欠損した12歳の男性に対し、該欠損に創傷被覆材を使用し、2日目にほぼ出血が止まった。該欠損部はまだ多少血が滲み、皮下組織が見えていたが、実施例15の二酸化炭素外用剤調製用組成物の粒状物0.3gと粘性組成物5gを用いて二酸化炭素外用剤を調製し、該欠損部を広く覆うように厚く塗布し、合成樹脂ラップで丸1日密閉する治療を繰り返したところ、4日目に上皮が該欠損部を覆い、出血が完全に止まって治癒した。
【0098】
これらの結果から、本発明の二酸化炭素外用剤調製用組成物は二酸化炭素外用剤の調製が短時間で容易に行え、調製された二酸化炭素外用剤は充分な粘度を持ち、使いやすく、短時間で強力な美容及び医療効果が得られる二酸化炭素外用剤調製用組成物であることが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性酸、増粘剤、この増粘剤とは別の物質である水溶性分散剤として乳糖、白糖、D−マンニトール、果糖、蔗糖、及び尿素から選択される1種又は2種以上を必須成分とし、前記増粘剤が前記水溶性酸及び前記水溶性分散剤と混合されている粒状物と、
炭酸塩、水および増粘剤を必須成分とし、使用時に前記粒状物と混合する粘性組成物とを含み、
前記粒状物全体に対して前記水溶性酸が2〜50重量%、前記水溶性分散剤が30〜85重量%であり、
前記粘性組成物全体に対して炭酸塩が0.1〜10重量%、水が70〜97.5重量%、前記粘性組成物の増粘剤が0.5〜20重量%であり、
前記粒状物と前記粘性組成物との重量比が1:10〜40であることを特徴とする二酸化炭素外用剤調製用組成物。
【請求項2】
粘性組成物の増粘剤がアルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウムおよびキサンタンガムから選択される1種または2種以上である、請求項1に記載の二酸化炭素外用剤調製用組成物。
【請求項3】
水溶性酸が、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、イタ酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、サリチル酸、没食子酸、トロパ酸、アスコルビン酸、グルコン酸、リン酸、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、酸性ヘキサメタリン酸カリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウムおよびスルファミン酸から選ばれる1種又は2種以上である請求項1または2に記載の二酸化炭素外用剤調製用組成物。
【請求項4】
粒状物が、多孔性顆粒である請求項1〜3のいずれかに記載の二酸化炭素外用剤調製用組成物。

【公開番号】特開2012−116854(P2012−116854A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−21173(P2012−21173)
【出願日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【分割の表示】特願2010−92460(P2010−92460)の分割
【原出願日】平成14年4月5日(2002.4.5)
【出願人】(301039505)ネオケミア株式会社 (15)
【Fターム(参考)】