説明

二酸化炭素挙動モニタリングシステム及び方法

【課題】本発明は、pH測定用指示薬を混ぜた水に二酸化炭素ガスを注入し、これをディジタルイメージ化することによって、非接触方式により二酸化炭素が溶けた炭酸水の正確な局部的pH測定は勿論、二酸化炭素の挙動を含んだ状態変化に対して定量化した情報が得られる二酸化炭素挙動モニタリングシステムを提供するためのものである。
【解決手段】本発明は、水と共に統合pH指示薬が混合されて受容される観察水槽、上記観察水槽に二酸化炭素ガスを注入する二酸化炭素供給タンク、上記観察水槽をディジタルイメージまたは映像に撮影する撮影部、及び上記撮影部のディジタルイメージまたは映像の色相変化を通じて二酸化炭素の移動及び炭酸水の挙動に対する情報を獲得する分析部を含み、上記分析部がディジタルイメージまたは映像の色相をpHテーブルと比較して局部的pH値を導出することによって、イメージ内で二酸化炭素及び炭酸水を判別することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二酸化炭素挙動モニタリングシステム及び方法に関し、より詳しくは、pH測定用指示薬を混ぜた水に二酸化炭素ガスを注入し、これをディジタルイメージ化することによって非接触方式により二酸化炭素が溶けた炭酸水の正確な局部的pH測定は勿論、二酸化炭素の挙動を含んだ状態変化に対して定量化した情報が得られる二酸化炭素挙動モニタリングシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に広く使われるpH測定装置(pH meter)はガラス膜電極(Glass membrane electrode)を用いて電気化学的に分析しようとする試料のpHを測定することが普遍的である。
【0003】
前述したpH測定装置のガラス膜電極は電気化学的反応により上記試料のpHを測定するため、上記ガラス膜電極が浸る位の多量(10mL以上)の試料が必要である。このため、上記ガラス膜電極が適用されたpH測定装置は極少量を使用する大部分の試料のpH測定に限界がある。そして、上記ガラス膜電極が適用されたpH測定装置は試料と直接接触して電気化学的反応により試料のpHを測定するため、記憶効果、腐食などの問題がもたらされて、上記ガラス膜電極の寿命が短くなる問題点が発生する。特に、ガラス膜電極はHFに非常に敏感で、保管が難しく、比較的高価に販売されているだけでなく、長期間使用する場合、接触式に伴う汚染などに起因する信号の安定性が悪くなる問題点を有しているので、精密な分析が要求される半導体産業及びバイオ産業への適用が困難な実状である。
【0004】
また、前述したpH測定装置とは異なり、ペーパー(paper)型pH測定方式もあるが、これもまた製造社で提供されるカラーチャート(Color chart)と比較してpHを判断するようになるので、多分主観的な結果が導出されるという問題点がある。
【0005】
特に、前述したpH測定装置やペーパー(paper)型pH測定方式では、不均質の溶液に対しては局部的なpH値を測定することが不可能である。
【0006】
一方、これらとは異なり、試片内の局部的にpHを異にする状況でも、各部分でのpHが変化する状況を推定できる方式により統合pH指示薬(Universal pH indicator)が使われている。
【0007】
この統合pH指示薬の使用は、測定しようとする対象溶液に統合pH指示薬溶液を混ぜる場合、目立つように変わった溶液の色に基づいて与えられたカラーチャートを用いてpHを推定できるように作る。したがって、溶液を採取しなくても該当部分での色変化を通じてpHを推定できるので、外部と隔離された部分でもpH推定が可能になる長所を持っている。
【0008】
しかしながら、統合pH指示薬の使用は、照明程度及び試験容器のサイズによって、肉眼観察時、色が変わるように見えるので、単純にカラーチャートを用いては正確なpH値の算出が困難であるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記のような問題点を解決するために案出したものであって、その目的はpH測定用指示薬を混ぜた水に二酸化炭素ガスを注入し、これをディジタルイメージ化することによって、非接触方式により二酸化炭素が溶けた炭酸水の正確な局部的pH測定は勿論、二酸化炭素の挙動を含んだ状態変化に対して定量化した情報が得られる二酸化炭素挙動モニタリングシステム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、水と共に統合pH指示薬が混合されて受容される観察水槽、上記観察水槽に二酸化炭素ガスを注入する二酸化炭素供給タンク、上記観察水槽をディジタルイメージまたは映像に撮影する撮影部、及び上記撮影部のディジタルイメージまたは映像の色相変化を通じて二酸化炭素の移動及び炭酸水の挙動に対する情報を獲得する分析部を含み、上記分析部がディジタルイメージまたは映像の色相をpHテーブルと比較して局部的pH値を導出することによって、イメージ内で二酸化炭素及び炭酸水を判別することを特徴とする、二酸化炭素挙動モニタリングシステムを提供する。
【0011】
好ましくは、上記観察水槽には透明粒子がさらに含まれて水−粒子複合体を形成することを特徴とする。
【0012】
好ましくは、上記二酸化炭素供給タンクは配管を介して二酸化炭素ガスを観察水槽に注入し、上記配管には二酸化炭素ガスのタンク排出圧力を測定できる第1圧力センサーと水槽注入圧力を測定できる第2圧力センサーが備えられることを特徴とする。
【0013】
好ましくは、上記分析部は、上記撮影部から伝えられるディジタルイメージまたは映像を収集するイメージ収集部、収集されたイメージ内で色相が変化した領域の色相値をpHテーブルの標準pH色相データと比較してイメージ内の局部的pH値を決めるpH判別部、及び上記pH判別部で決まった局部的pH値を通じて二酸化炭素ガスの移動、二酸化炭素の溶解、及び炭酸水の挙動に関するイメージ分析情報を導出し、上記イメージ分析情報に時間帯別の二酸化炭素ガスの排出圧力値及び注入圧力値を適用して二酸化炭素及びその副産物の挙動状況を分析する情報分析部を含むことを特徴とする。
【0014】
好ましくは、上記pHテーブルはpH値によって変化する色相に対する情報を標準RGB値として持っており、上記分析部がディジタルイメージまたは映像のピクセル別のRGB値を上記pHテーブルのpH別の標準RGB値と比較して局部的pH値を導出することを特徴とする、二酸化炭素挙動モニタリングシステム。
【0015】
本発明の他の態様によれば、(a)観察水槽に水と統合pH指示薬とを混合させるステップ、(b)二酸化炭素供給タンクから上記観察水槽に二酸化炭素ガスを注入するステップ、(c)上記観察水槽をディジタルイメージまたは映像に撮影するステップ、(d)撮影されたディジタルイメージまたは映像の色相変化を通じて二酸化炭素の移動及び炭酸水の挙動に対する情報を獲得するステップを含むことを特徴とする、二酸化炭素挙動モニタリング方法を提供する。
【0016】
好ましくは、上記(a)ステップで、観察水槽に透明粒子を含めて水−粒子複合体を形成することを特徴とする。
【0017】
好ましくは、上記(b)ステップで、二酸化炭素供給タンクは配管を介して二酸化炭素ガスを観察水槽に注入し、上記配管で二酸化炭素ガスのタンク排出圧力を測定し、水槽注入圧力を測定することを特徴とする。
【0018】
好ましくは、上記(d)ステップは、(d−1)撮影されたディジタルイメージまたは映像を収集するステップ、(d−2)収集されたイメージ内で色相が変化された領域の色相値をpHテーブルの標準pH色相データと比較してイメージ内の局部的pH値を決めるステップ、(d−3)決まった局部的pH値を通じて二酸化炭素ガスの移動、二酸化炭素の溶解、及び炭酸水の挙動に関するイメージ分析情報を導出し、上記イメージ分析情報に時間帯別の二酸化炭素ガスの排出圧力値及び注入圧力値を適用して二酸化炭素及びその副産物の挙動状況を分析するステップを含むことを特徴とする。
【0019】
好ましくは、上記pHテーブルはpH値によって変化する色相に対する情報を標準RGB値として持っており、上記ディジタルイメージまたは映像のピクセル別のRGB値を上記pHテーブルのpH別の標準RGB値と比較して局部的pH値を導出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、pH測定用指示薬を混ぜた水に二酸化炭素ガスを注入し、これをディジタルイメージ化することによって、非接触方式により二酸化炭素が溶けた炭酸水の正確な局部的pH測定は勿論、二酸化炭素の挙動を含んだ状態変化に対して定量化した情報が得られる効果がある。
【0021】
特に、pH測定用指示薬を混ぜた水に透明な材質の透明粒子が混ざるようになるので、二酸化炭素が水−粒子複合体で二酸化炭素ガスの移動をモニタリングできるようになり、注入された二酸化炭素ガスの圧力及び粒子のサイズによって二酸化炭素ガスが水−粒子複合体の内の間隙を通じて移動したり複合体の内に亀裂を作りながら移動する過程をモニタリングできるようになる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る二酸化炭素挙動モニタリングシステムを説明するための図である。
【図2】本発明に係る標準pHテーブルを説明するための図である。
【図3】本発明に従ってディジタルイメージからpHコンツアーを導出する過程を説明するための図である。
【図4】本発明に係る時間別の二酸化炭素ガスの拡散過程を説明するための図である。
【図5】本発明に係る時間別の炭酸水挙動を説明するための図である。
【図6】本発明に係る水−粒子複合体で時間別の二酸化炭素ガスの移動及び炭酸水の拡散及び対流を説明するための図である。
【図7】本発明に係る水−粒子複合体で時間別の二酸化炭素ガス亀裂移動及びそれに従うガス圧力の変化を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る二酸化炭素挙動モニタリングシステム及び方法に対する実施形態を添付した図面を参考しつつより詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明に係る二酸化炭素挙動モニタリングシステムを説明するための図である。
【0025】
図1を参照すると、本発明に係る二酸化炭素挙動モニタリングシステムは、観察水槽10、二酸化炭素供給タンク20、撮影部30、及び分析部を含んで構成される。
【0026】
上記観察水槽10は水を盛ることができる内部空間を有し、下部の底には二酸化炭素供給タンク20から注入される二酸化炭素ガスが流入できる注入口12が形成される。このような観察水槽10は透明素材のアクリル材質で作られることができる。
【0027】
上記観察水槽10には水が詰められるようになり、二酸化炭素の挙動を肉眼で確認することができるように、統合pH指示薬(Universal pH indicator)が混ざるようになる。観察水槽10の内で水と混ざった上記統合pH指示薬は、測定しようとする物質が注入されれば該当物質のpHによって色相が変化する性質を有する。
【0028】
また、上記観察水槽10には前述した水と統合pH指示薬に加えて透明な材質の透明粒子が混ざるようになる。上記透明粒子はガラス材質のビード(bead)からなることができる。
【0029】
上記二酸化炭素供給タンク20は、上記観察水槽10に測定対象物質である二酸化炭素ガスを供給するためのものであって、上記観察水槽10の底に構成された注入口12と連結される配管21を介して二酸化炭素ガスを排出して二酸化炭素ガスを観察水槽10の下部を通じて注入させるようになる。
【0030】
ここで、このような配管21にはレギュレータ22が備えられて二酸化炭素供給タンク20から排出する二酸化炭素ガスの排出圧力を調節することができる。
【0031】
そして、このようなレギュレータ22を含んだ配管構造で該当レギュレータ22の後端には第1圧力センサー24が備えられてレギュレータ22を通じて調節された二酸化炭素ガスの排出圧力を測定し、測定された排出圧力値を上記分析部に伝達する。
【0032】
また、上記第1圧力センサー24の後端には圧力調節バルブ23が備えられて配管21を介して観察水槽10に注入される二酸化炭素ガスの注入圧力を調節することができる。
【0033】
そして、このような圧力調節バルブ23を含んだ配管構造において、該当圧力調節バルブ23の後端には第2圧力センサー25が備えられて圧力調節バルブ23を介して調節された二酸化炭素ガスの注入圧力を測定し、測定された注入圧力値を上記分析部に伝達するようになる。特に、このような第2圧力センサー25は注入される二酸化炭素ガス滴の圧力を測定することができる。
【0034】
したがって、上記二酸化炭素供給タンク20から供給される二酸化炭素ガスは、配管21に沿って供給されて観察水槽10の下部注入口12を通じて該当観察水槽10の内部に注入される。そして、このような二酸化炭素ガスの排出圧力及び注入圧力はレギュレータ22及び圧力調節バルブ23によって微細に調節され、調節された実際の排出圧力値及び注入圧力値は上記分析部に伝えられる。
【0035】
一方、上記撮影部30は上記観察水槽10を撮影するための第1カメラ31及び第2カメラ32を含む。このようなカメラ31、32はディジタル方式のイメージまたは映像を撮影できるカメラであって、周期的に撮影されたディジタルイメージまたは映像を上記分析部に伝達するようになる。
【0036】
ここで、上記撮影部30を必ず2台以上のカメラで構成する必要はないし、2台以上のカメラ構成時、1/10秒単位のような細分化した連続瞬間撮影などが可能な利得があり、1台のカメラでも本発明の目的は達成可能である。
【0037】
実際、二酸化炭素ガスが水が含まれた媒質に注入される時、初期にはガス状態で媒質内の間隙の間に移動するようになる。そして、移動しながら一部は水に溶けて炭酸水を生成するようになる。ここで、観察水槽10の水に統合pH指示薬を混ぜた状態で二酸化炭素を注入する場合、二酸化炭素の移動とその副産物である炭酸水の挙動を前述した撮影部30の撮影イメージまたは映像を通じて難無くモニタリングできるようになる。pH7での水の色は緑色系列であるので、水に溶ける前の無色の二酸化炭素と区分が可能であるので、二酸化ガスの移動を区分して観察できるようになる。
【0038】
そして、水に溶けて生成された炭酸水は水のpHを低めるようになるので、水の色が緑色から黄色、赤色系列に変わるようになる。したがって、変化される色によって炭酸水の挙動を容易にモニタリングすることができ、変化された色でpHの推定が可能であるので、溶けた二酸化炭素の量を推定することができる。
【0039】
特に、該当観察水槽10には基本的に水と統合pH指示薬の他に透明な材質の透明粒子が混ざるようになるので、二酸化炭素が水−粒子複合体で二酸化炭素ガスの移動をモニタリングできるようになる。また、注入された二酸化炭素ガスの圧力及び粒子のサイズによって二酸化炭素ガスが水−粒子複合体の内の間隙を通じて移動したり、複合体の内に亀裂を作りながら移動する過程をモニタリングできるようになる。
【0040】
一方、上記分析部は、上記第1圧力センサー24及び第2圧力センサー25から伝えられる二酸化炭素ガスの排出圧力値及び注入圧力値を表示するアナログ分析器41と、上記第1圧力センサー24及び第2圧力センサー25から伝えられる排出圧力値及び注入圧力値をディジタルデータに変換するA/Dコンバータ42と、上記A/Dコンバータ42から伝えられる排出圧力値及び注入圧力値、そして上記撮影部30から伝えられるディジタルイメージまたは映像を収集し分析して、局部pH値、二酸化炭素状態変化資料などを算出するディジタル分析器43とを含んで構成される。
【0041】
ここで、上記ディジタル分析器43は上記撮影部30から伝えられるディジタルイメージまたは映像を収集するイメージ収集部44と、収集されたイメージの内で色相が変わった領域の色相値をpHテーブル46の標準pH色相データと比較し、その比較結果を通じてイメージ内の局部的pH値を決めるpH判別部47と、上記pH判別部47で決まった局部的pH値を通じて二酸化炭素ガスの移動、二酸化炭素の溶解、及び炭酸水の挙動に関するイメージ分析情報を導出し、また上記イメージ分析情報に時間帯別の二酸化炭素ガスの排出圧力値及び注入圧力値を適用して水−粒子複合体での二酸化炭素の拡散関連係数を算出する情報分析部48と、上記情報分析部48の分析結果を格納するデータ格納部49とを含んで構成される。
【0042】
上記pHテーブル46はpH値によって変化する色相に対する情報を標準RGB値として持っている。
【0043】
また、このようなpHテーブル46を参照する上記pH判別部47は、ディジタルイメージの各ピクセルのRGB値を抽出し、これを上記pHテーブル46の標準RGB値と比較して各ピクセルのpH値を導出するようになる。
【0044】
ここで、RGB値からpH値に変換する過程を説明すれば、次の通りである。
【0045】
統合pH指示薬の適用によって色の変化はブルー系列からグリーン、イエロー、レッド系列にpHが低くなるほど変化されていく。このような色の変化において、彩度及び明度に従ってグリーンとレッド軸がより敏感に反応するので、RG平面のみを用いてカリブレーションチャート(Calibration Chart)を構成することができる。
【0046】
これを図2を参照してより詳細に説明すれば、ディジタルpHメートルを用いて互いに異なる値を有するpH溶液を多数個作ってディジタルイメージを撮影する。イメージ撮影時、シャッタースピードを調節することによって、同一な色相試片に対して異なる明度のRGB値を導出するようになる。図2の(a)では、8個のカリブレーション用溶液を製造した場合である。同一なpH溶液に対して異なる明度を有する時のRG値の変化を図示する。全ての溶液に対して図示すると、図2の(b)のようなカリブレーションチャートが完成できる。マットラブ(MATLAB)などのプログラムを通じて完成されたカリブレーションチャートに基づいてディジタルイメージ内の各ピクセルのRGB値をpH値に変換する過程を図3のように自動化することができる。
【0047】
一方、上記情報分析部48は観察水槽10を撮影したイメージから二酸化炭素ガスが水に溶けながら拡散されていく過程を周期的フレームデータとして提供する。
【0048】
図4を参照すると、二酸化炭素供給タンク20の配管21を介して観察水槽10の注入口12に二酸化炭素ガスを供給するようになれば、二酸化炭素ガスが水に溶けながら拡散されていく周期的過程を確認することができる。図4は、水平に置かれた板形状の観察水槽10を周期的に撮影したイメージである。これは、該当観察水槽10の水に統合pH指示薬が混ざっていることにより可能なものであって、肉眼でも観察可能であり、上記pH判別部47及び情報分析部48のディジタルイメージプロセシングを通じて各部分に対する局部的pH値の導出が可能である。また、時間帯別のイメージの局部的pH値の変化量の測定を通じて上記情報分析部48では水−粒子複合体での二酸化炭素の拡散関連係数を算出できるようになる。
【0049】
また、図5を参照すると、二酸化炭素供給タンク20の配管21を介して観察水槽10の注入口12に二酸化炭素ガスを供給するようになれば、注入された二酸化炭素ガスのうちの一部が溶けて炭酸水を生成する過程を確認することができる。図5は、垂直に立てた板形状の観察水槽10を周期的に撮影したイメージである。垂直に立てた板形水槽にpH7の水と統合pH指示薬が混ざっているので、水槽の下端部の中央で二酸化炭素ガスを注入する場合、注入された二酸化炭素ガスのうちの一部が溶けて炭酸水が生成される。溶けた程度によってこのpH値は異なり、それによってイメージ内の色相を異にし、該当領域の密度も異なるようになる。上記pH判別部47及び情報分析部48を通じてイメージプロセシングを行う場合、pHコンツアーが変化を通じて炭酸水の挙動をモニタリングできるようになる。
【0050】
また、図6を参照すると、本発明に従う水−粒子複合体で、時間別の二酸化炭素ガスの移動及び炭酸水の拡散及び対流を確認できるようになる。観察水槽10の水に統合pH指示薬と透明粒子を混ぜた状態で二酸化炭素ガスを注入した時、二酸化炭素ガスと一部の水に溶けた炭酸水が複合体の間を移動するようになる。上記pH判別部47及び情報分析部48を通じてイメージプロセシングを行う場合、二酸化炭素ガスの移動及び炭酸水の拡散及び対流をモニタリングできるようになる。
【0051】
また、図7を参照すると、本発明に従う水−粒子複合体で、時間別の二酸化炭素ガス亀裂移動を確認できるようになる。観察水槽10の水に統合pH指示薬と透明粒子とを混ぜた状態で二酸化炭素ガスを注入した時、該当二酸化炭素ガスが複合体の間に移動しながら亀裂を作るようになり(図7の(a))、それに従うガス圧力の変化(図7の(b))がモニタリングできる。比較的二酸化炭素ガスの間隙の大きい個所では間隙の間に移動するが、間隙の小さい個所では亀裂を作りながら移動するようになる。これを通じて粒子サイズに従う水−粒子複合体での二酸化炭素ガスの移動原理及びそれに従うガス圧力変化をモニタリングできるようになる。
【0052】
以上のように図面及び明細書で最適の実施形態が開示された。ここで、特定の用語が使われたが、これは単に本発明を説明するための目的として使われたものであり、意味の限定や特許請求範囲に記載された本発明の範囲を制限するために使われたものではない。したがって、本技術分野の通常の知識を有する者であれば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解することができる。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は添付した特許請求範囲の技術的思想により定まるべきである。
【符号の説明】
【0053】
10 観察水槽
12 注入口
20 二酸化炭素供給タンク
21 配管
22 レギュレータ
23 圧力調節バルブ
24 第1圧力センサー
25 第2圧力センサー
30 撮影部
31 第1カメラ
32 第2カメラ
41 アナログ分析器
42 A/Dコンバータ
43 ディジタル分析器
44 イメージ収集部
46 pHテーブル
47 pH判別部
48 情報分析部
49 データ格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と共に統合pH指示薬が混合されて受容される観察水槽と、
前記観察水槽に二酸化炭素ガスを注入する二酸化炭素供給タンクと、
前記観察水槽をディジタルイメージまたは映像に撮影する撮影部と、
前記撮影部のディジタルイメージまたは映像の色相変化を通じて二酸化炭素の移動及び炭酸水の挙動に対する情報を獲得する分析部と、を含み、
前記分析部がディジタルイメージまたは映像の色相をpHテーブルと比較して局部的pH値を導出することによって、イメージ内で二酸化炭素及び炭酸水を判別することを特徴とする、二酸化炭素挙動モニタリングシステム。
【請求項2】
前記観察水槽には透明粒子がさらに含まれて水−粒子複合体を形成することを特徴とする、請求項1に記載の二酸化炭素挙動モニタリングシステム。
【請求項3】
前記二酸化炭素供給タンクは配管を介して二酸化炭素ガスを観察水槽に注入し、前記配管には二酸化炭素ガスのタンク排出圧力を測定できる第1圧力センサーと水槽注入圧力を測定できる第2圧力センサーとが備えられることを特徴とする、請求項1または2に記載の二酸化炭素挙動モニタリングシステム。
【請求項4】
前記分析部は、
前記撮影部から伝えられるディジタルイメージまたは映像を収集するイメージ収集部と、
収集されたイメージ内で色相が変わった領域の色相値をpHテーブルの標準pH色相データと比較してイメージ内の局部的pH値を決めるpH判別部と、
前記pH判別部で決まった局部的pH値を通じて二酸化炭素ガスの移動、二酸化炭素の溶解、及び炭酸水の挙動に関するイメージ分析情報を導出し、前記イメージ分析情報に時間帯別の二酸化炭素ガスの排出圧力値及び注入圧力値を適用して二酸化炭素及びその副産物の挙動状況を分析する情報分析部と、
を含むことを特徴とする、請求項3に記載の二酸化炭素挙動モニタリングシステム。
【請求項5】
前記pHテーブルはpH値によって変化する色相に対する情報を標準RGB値として持っており、前記分析部がディジタルイメージまたは映像のピクセル別のRGB値を前記pHテーブルのpH別の標準RGB値と比較して局部的pH値を導出することを特徴とする、請求項1に記載の二酸化炭素挙動モニタリングシステム。
【請求項6】
(a)観察水槽に水と統合pH指示薬とを混合させるステップと、
(b)二酸化炭素供給タンクから前記観察水槽に二酸化炭素ガスを注入するステップと、
(c)前記観察水槽をディジタルイメージまたは映像に撮影するステップと、
(d)撮影されたディジタルイメージまたは映像の色相変化を通じて二酸化炭素の移動及び炭酸水の挙動に対する情報を獲得するステップと、
を含むことを特徴とする、二酸化炭素挙動モニタリング方法。
【請求項7】
前記(a)ステップで、観察水槽に透明粒子を含めて水−粒子複合体を形成することを特徴とする、請求項6に記載の二酸化炭素挙動モニタリング方法。
【請求項8】
前記(b)ステップで、二酸化炭素供給タンクは配管を介して二酸化炭素ガスを観察水槽に注入し、前記配管で二酸化炭素ガスのタンク排出圧力を測定し、水槽注入圧力を測定することを特徴とする、請求項6または7に記載の二酸化炭素挙動モニタリング方法。
【請求項9】
前記(d)ステップは、
(d−1)撮影されたディジタルイメージまたは映像を収集するステップと、
(d−2)収集されたイメージ内で色相が変わった領域の色相値をpHテーブルの標準pH色相データと比較してイメージ内の局部的pH値を決めるステップと、
(d−3)決まった局部的pH値を通じて二酸化炭素ガスの移動、二酸化炭素の溶解、及び炭酸水の挙動に関するイメージ分析情報を導出し、前記イメージ分析情報に時間帯別の二酸化炭素ガスの排出圧力値及び注入圧力値を適用して二酸化炭素及びその副産物の挙動状況を分析するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項8に記載の二酸化炭素挙動モニタリング方法。
【請求項10】
前記pHテーブルはpH値によって変化する色相に対する情報を標準RGB値として持っており、前記ディジタルイメージまたは映像のピクセル別のRGB値を前記pHテーブルのpH別の標準RGB値と比較して局部的pH値を導出することを特徴とする、請求項6に記載の二酸化炭素挙動モニタリング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−83648(P2013−83648A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−223987(P2012−223987)
【出願日】平成24年10月9日(2012.10.9)
【出願人】(510230311)コリア・インスティテュート・オヴ・ジオサイエンス・アンド・ミネラル・リソーシズ (4)
【氏名又は名称原語表記】Korea Institute of Geoscience & Mineral Resources
【住所又は居所原語表記】92, Gwahang−no, Yuseong−gu, Daejeon, 305−350, Republic of Korea
【Fターム(参考)】