説明

二酸化炭素(CO2)濃度制御システムを備えたターボ機械

【課題】ターボ機械の二酸化炭素(CO2)濃度を制御する。
【解決手段】ターボ機械4は、圧縮機区画6と、圧縮機区画6に作動的に接続されたタービン区画8と、圧縮機区画6とタービン区画8との間に流体的に接続された燃焼器12と、燃焼器12に流体的に接続された二酸化炭素CO2抽出システム50とを備える。CO2抽出システム50は、CO2セパレータ54を含む。CO2セパレータ54は、CO2に富んだ流入ガスを、第1ガス流64と第2ガス流66とに分離する。第1ガス流64はCO2を実質的に含まず、第2ガス流は66CO2を含む。第1ガス流64は燃焼器12に導かれ、第2ガス流66は放出管72を通過する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の主題は、ターボ機械の技術に関し、特に、ターボ機械の二酸化炭素(CO2)濃度を制御するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
金属鋳造所では、高炉を使用して、コークスを用いて鉄鉱石を還元し金属鉄にすることが多い。高炉は、発熱量が小さい高炉ガスを発生する。高炉ガスは、鋳造所の様々な機械に動力供給するための燃料として使用されることが多い。例えば、高炉ガスを用いて、鋳造所の発電を行う発電機を作動させるターボ機械に動力を供給する。即ち、圧縮機区画からの圧縮空気は、高炉ガスと混合され、燃焼器で点火され、更にターボ機械のタービン区画へと導かれる。タービン区画は、鋳造所の電気エネルギーを創出するように構成された発電機に結合される。一般に、高炉ガスは、約60%の窒素、18%〜20%の二酸化炭素、並びに、幾分の酸素を含み、残りが一酸化炭素となる。希薄燃料である高炉ガスは、高流量でターボ機械の燃焼器に導入される。高流量により、圧縮機区画がストール限界に達することがある。そこで、圧縮機区画から抽気を行い、これをタービン区画の排気部分に送給することで、圧縮機のストールを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6237320号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ターボ機械の二酸化炭素(CO2)濃度を制御する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様において、ターボ機械は、圧縮機区画と、圧縮機区画に作動的に接続されたタービン区画と、圧縮機区画とタービン区画との間に流体的に接続された燃焼器と、燃焼器に流体的に接続された二酸化炭素(CO2)抽出システムと、を備える。CO2抽出システムは、CO2セパレータを備える。CO2セパレータは、CO2に富んだ流入ガス流を、第1ガス流と第2ガス流とに分離する。第1ガス流はCO2を実質的に含まず、第2ガス流はCO2を含む。第1ガス流は燃焼器に導かれ、第2ガス流は放出管を通過する。
【0006】
本発明の別の態様において、高炉ガス発電プラントは、排気部分を含む高炉と高炉の排気部分に流体的に接続された炉ガス圧縮機とを備える。炉ガス圧縮機では、高炉からの高炉ガスが与圧される。ガス炉発電プラントは更に、圧縮機区画を有するターボ機械と、圧縮機区画に作動的に接続されたタービン区画と、圧縮機区画とタービン区画との間に流体的に接続された燃焼器とを備える。二酸化炭素(CO2)抽出システムは、炉ガス圧縮機と燃焼器とに流体的に接続される。CO2抽出システムは、CO2セパレータを含む。CO2セパレータは、炉ガス圧縮機からのCO2に富んだ流入ガスを、第1ガス流と第2ガス流とに分離する。第1ガス流はCO2を実質的に含まず、第2ガス流はCO2を含む。第1ガス流は燃焼器に導かれ、第2ガス流は放出管を通過する。
【0007】
本発明の更に別の態様において、高炉ガス発電プラントの作動方法は、二酸化炭素(CO2)を含む高炉ガスを生成するステップと、炉ガス圧縮機に高炉ガスを導入して与圧された高炉ガスを生成するステップと、この与圧された高炉ガスをCO2抽出システムに通すステップと、与圧された高炉ガスからCO2を抽出してCO2を実質的に含まない第1与圧ガス流とCO2を含む第2与圧ガス流とを生成するステップと、ターボ機械の燃焼器に第1与圧ガス流を導入するステップを含む。
【0008】
図面に関連した下記の説明から、これら及びその他の利点及び特徴が更に明らかとなる。
【0009】
本明細書の結びの特許請求の範囲において、本発明とみなされる主題を個別に提示し明記している。本発明の上記及びその他の特徴及び利点は、添付図面に関連した下記の説明から明らかである。
【0010】
発明を実施するための形態では、例示の目的で、本発明の実施形態をその利点及び特徴と共に、図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施例の一態様による、CO2濃度を制御するためのシステムを有するターボ機械を備えた高炉ガス発電プラントの概略図である。
【図2】一実施例の別の態様による、CO2濃度を制御するためのシステムを有するターボ機械を備えた高炉ガス発電プラントの概略図である。
【図3】一実施例のまた別の態様による、CO2濃度を制御するためのシステムを有するターボ機械を備えた高炉ガス発電プラントの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照して、一実施例による高炉ガス(BFG)発電プラントを概略的に2で示す。BFG発電プラント2は、一般的な圧縮機/タービンシャフト10によって作動的に接続された圧縮機区画6及びタービン区画8を有する、ターボ機械4を備える。圧縮機区画6及びタービン区画8は、燃焼器12によって流体的に接続されている。タービン区画8は、廃熱回収ボイラ(HRSG)16に流体的に接続された排気部分14を含む。BFG発電プラント2は更に、炉ガス圧縮機(FGC)40に流体的に接続された排気部分33を有する高炉30を備える。この構造では、高炉30からの炉ガスが、FGC40によって与圧され、燃料として燃焼器12に受け渡される。与圧された炉ガスが、圧縮機区画6からの或る一定量の抽気と混合され、点火されて、燃焼ガスが生成される。燃焼ガスは次に、タービン区画8の第1段に受け渡される。タービン区画8は、燃焼ガスの熱エネルギーを、高炉設備に電力を供給する発電機の作動に使用する力学的/回転エネルギーに変換する。
【0013】
一実施例によると、二酸化炭素(CO2)は、燃焼器12に到達する前に、与圧された高炉ガスから除去される。与圧された高炉ガスからCO2を除去することで、圧縮機区画6からの所要抽気量が減少するので、燃焼器12の燃焼温度を高めることができる。燃焼に必要な抽気量を低下させ、燃焼器での燃焼温度を高めることにより、ガスタービン性能が向上する。CO2を除去するにあたり、与圧された高炉ガスが、二酸化炭素抽出システム50を通る。一実施例の一態様によると、二酸化炭素抽出システム50は、二酸化炭素メンブレン56の形態をとる二酸化炭素セパレータ54を備える。
【0014】
一実施例によると、与圧された高炉ガス59は、FGC40から二酸化炭素抽出システム50に受け渡される。二酸化炭素セパレータ54は、与圧された高炉ガス59を、二酸化炭素を実質的に含まない第1与圧ガス流64と、二酸化炭素を含む第2与圧ガス流66とに分割する。「実質的に含まない」とは、一実施例の一態様によると、第1与圧ガス流64が二酸化炭素を95%含まないことを意味すると理解されたい。一実施例の別の態様によると、第1与圧ガス流64は二酸化炭素を98%含まない。一実施例のまた別の態様によると、第1与圧ガス流64は二酸化炭素を99%含まない。一実施例の更に別の態様によると、第1与圧ガス流64は完全に、100%二酸化炭素を含まない。
【0015】
第1与圧ガス流64は、燃料管69を通り、燃焼器12に至り、ターボ機械4で燃料として使用される。第2与圧ガス流66は、制御弁部材75を有する放出管72を通過して、図示の一実施例によると、排気管76を介してタービン区画8の排気部分14へと導かれる。更に、一実施例によると、制御弁部材75を選択的に開閉することにより、第2与圧ガス流66の所望の流量を得る。第2与圧ガス流66の流量を制御することにより、第1与圧ガス流64において所望レベルの二酸化炭素を得る。第1与圧ガス流のCO2レベルを制御することで、燃焼器12をよりフレキシブルに制御できるようになるので、ターボ機械4の性能が向上し、排出規制への適合性が高まる。
【0016】
ここで図2を参照するが、一実施例の別の態様を説明するにあたり、各図で一致するパーツを同様の参照番号で示す。図示の構造によると、第2与圧ガス流66は、放出管72から副放出管78に導かれる。副放出管78からは、第2与圧ガス流66が周囲環境に放出されるか、又は、貯蔵その他の用途のために別のシステムに受け渡される。この構造では、第2与圧ガス流66を排気部分14に受け渡す代わりに、伴出された二酸化炭素を捕捉して他の目的で使用し、BFG発電プラント2から更なる実用性を引き出すこともできる。
【0017】
図3をここで参照するが、一実施例のまた別の態様を説明するにあたり、各図で一致するパーツを同様の参照番号で示す。図示の構造によると、二酸化炭素抽出システム50は、与圧された高炉ガス59をFGC40から受け取ることに加えて、圧縮機区画6から抽気79を受け取る。より具体的には、圧縮機区画6が、抽気路80によって二酸化炭素セパレータ54に流体的に接続される。抽気路80は、圧縮機区画6から二酸化炭素セパレータ54まで抽気79を搬送するべく、選択的に開閉することにより抽気の流量を制御する抽気制御弁部材89を備える。この構造において、抽気制御弁部材89は、制御弁部材75とは別個に作動可能及び/又は連動して作動可能であり、これによって、第1与圧ガス流64の二酸化炭素量を調節する。図示のように、第2与圧ガス流66は、タービン区画6の排気部分14に導かれるか、又は、別の用途として捕集システムに受け渡される。
【0018】
ここで、これらの実施例は、高炉発電プラントの燃料ガス流中の二酸化炭素量を制御するシステムを提供することを理解されたい。燃焼器に供給する高炉ガスのCO2量を制御することにより、圧縮機区画からの所要抽気量が減少する。可燃混合気中のCO2量を減少させることにより、燃焼器の燃焼温度を高めることができる。圧縮機保護のために必要な抽気量を減少させ、燃焼器の燃焼温度を高めることにより、ガスタービン性能が向上する。
【0019】
限られた数の実施形態のみに関して本発明を詳説したが、本発明がこうした開示の実施形態に限定されないことは、明らかであろう。むしろ、本発明を改変して、上述しなかった変形、変更、置換、又は等価の構造を幾つでも組み込むことができるが、これらも本発明の範囲及び概念に含まれる。また、本発明の様々な実施形態を記述したが、本発明の態様には、記述した実施形態の一部を含むのみでもよいことを理解されたい。したがって、本発明が上記の記述によって限定されるとみなすべきではなく、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0020】
2 高炉ガス発電プラント
4 ターボ機械
6 圧縮機区画
8 タービン区画
10 一般的な圧縮機/タービンシャフト
12 燃焼器
14、33 排気部分
16 廃熱回収ボイラ(HRSG)
30 高炉
40 炉ガス圧縮機(FGC)
50 二酸化炭素抽出システム
54 二酸化炭素セパレータ
56 二酸化炭素メンブレン
59 与圧された高炉ガス
64 第1与圧ガス流
66 第2与圧ガス流
69 燃料管
72 放出管
75、89 制御弁部材
76 タービン排気管
78 副放出管
79 抽気
80 抽気路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機区画(6)と、
前記圧縮機区画(6)に作動的に接続されたタービン区画(8)と、
前記圧縮機区画(6)と前記タービン区画(8)との間に流体的に接続された燃焼器(12)と、
前記燃焼器(12)に流体的に接続された二酸化炭素(CO2)抽出システム(50)と、を含むターボ機械(4)であって、
前記CO2抽出システム(50)がCO2セパレータ(54)を備え、
前記CO2セパレータ(54)が、CO2に富んだ流入ガス流を第1ガス流(64)と第2ガス流(66)とに分離し、
前記第1ガス流(64)がCO2を実質的に含まず、
前記第2ガス流(66)がCO2を含み、
前記第1ガス流(64)が前記燃焼器(12)に導かれ、前記第2ガス流(66)が放出管(72)を通る、ターボ機械(4)。
【請求項2】
前記放出管(72)に配置された放出ガス弁部材(75、89)を更に含み、
前記放出ガス弁部材(75、89)を選択的に開放することによって、前記第1ガス流(64)のCO2濃度を制御する、請求項1に記載のターボ機械(4)。
【請求項3】
前記放出管(72)が前記タービン区画(8)に流体的に接続された、請求項2に記載のターボ機械(4)。
【請求項4】
前記放出管(72)が、前記タービン区画(8)の排気部分(14、33)に流体的に接続された、請求項3に記載のターボ機械(4)。
【請求項5】
前記圧縮機区画(6)と前記CO2抽出システム(50)とを流体的に接続する抽気路(80)を更に含む、請求項1に記載のターボ機械(4)。
【請求項6】
前記抽気路(80)に配置された抽気弁部材(75、89)を更に含み、
前記抽気弁部材(75、89)を選択的に開放することによって、前記第1ガス流(64)のCO2濃度を制御する、請求項5に記載のターボ機械(4)。
【請求項7】
前記CO2セパレータ(54)がCO2メンブレン(56)を含む、請求項1に記載のターボ機械(4)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−97743(P2012−97743A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236581(P2011−236581)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】