説明

二重コアゴルフボール用の負硬度勾配の外側コア層

【課題】圧縮、打撃フィーリング、スピン特性の独特の組合せを伴うゴルフボールの提供。
【解決手段】内側コアであって、第1の外側表面および幾何中心を含み、その硬度が35ショアCから85ショアCの範囲内であるように、全体にわたり実質的に均一な第1の調合から製造されたものを含むゴルフボールである。外側コア層は内側コア層の周りに形成され、第2の外側表面および内側表面を有し、その硬度が55ショアCから90ショアCの範囲内であるように、全体にわたり実質的に均一な第2の調合から製造される。カバー層は外側コア層の周りに配される。第1の外側表面の硬度は幾何中心の硬度よりも大きくて「正の硬度勾配」を形成し、第2の外側表面の硬度は内側表面の硬度と実質的に同一か、それより小さくて「負の硬度勾配」を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、全般的にはコアを伴うゴルフボールに関し、より具体的には、外側表面の硬度が中心の硬度と等しいか小さい単一層のコアに関する。
【背景技術】
【0002】
ソリッドゴルフボールは典型的にはカバーにより封入されたソリッドコアから製造され、ソリッドコアおよびカバーの双方は複数の層を有して良く、例えば、二重コアはソリッドセンタおよび外側コア層を具備し、また多層カバーは内側層を有する。一般的に、ゴルフボールコアおよび/またはセンタは熱硬化性ゴム、典型的にはポリブタジエンをベースにした組成物から構築される。コアは、通常、加熱され、架橋されて、所定の特性、例えば、より大きな、あるいはより小さな圧縮を実現し、これはボールのスピンレートおよび/またはより良好な「フィーリング」に影響を与える。これらの特徴や他の特徴は種々の技量のゴルファーの要望に応じて微調整されてよい。ゴルフボールの製造業者の観点からは、コアが幅広い特性、例えば、弾力性、耐久性、スピン、および「フィーリング」を実現することが望まれる。これにより、製造業者は、種々のレベルの技量に適合させた多くの種々のタイプのゴルフボールを製造して販売できるからである。
【0003】
従来、多くの単一コアゴルフボールは、コアの表面からコアの中心へと向かって硬から柔となる、慣用的な硬度勾配を伴い、「正の硬度勾配」として知られている。特許文献は、ゴルフボールを横切って硬い表面から柔らかい中心に至る硬度勾配を検討する多数の文献を含む。
【0004】
米国特許第4,650,193号(Molitor等、特許文献1)は、硬化可能なエラストマーのスラグを硬化修正剤で表面処理して、この後、スラグをコアに成型して、コアの表面層に硬度勾配をもたらすことを検討している。この処理は、異なる組成の2つの領域をコアにもたらすと主張されており、第1の部分は、硬く、弾力性がある、コアの中央部分であり、これは未処理のままであり、第2の部分は、柔らかく、変形しやすい、コアの外側層であり、これはコア修正剤により処理されている。コアの2つの「層」すなわち領域は相互に一体であり、この結果、柔らかな表面から硬い中心への勾配の効果が実現される。
【0005】
米国特許第3,784,209号(Berman等、特許文献2)は柔から硬への硬度勾配を全般的に開示している。この「209」特許は、「混合した」エラストマーからなるコアを用いた非均一な成型ゴルフボールを開示している。非硬化の中央の球が、相性がよいけれども異なる非硬化のエラストマーで包囲される。エラストマーの2つの層は同時に硬化剤に露呈されて、相互に一体になり、これにより混合されたコアを形成する。このコアの中心は、外側層より大きな第1のエラストマー材料の密度を伴い、より硬い。この製造方法の欠点の1つは、第1のエラストマーを形成し、その後、第2のエラストマーを形成し、さらにその後に、2つを一緒に成型するという、時間を浪費するプロセスということである。
【0006】
他の特許は、柔らかな「表皮」を実現する表面処理を受容するコアを検討している。ただし、これらのコアの内部の部分は未処理であるので、これらは、慣用的なコアと類似する硬い表面から柔らかい中心という勾配を伴う。例えば、米国特許第6,113,831号(Nesbitt等、特許文献3)は全般的に慣用的なコアおよびこのコアの周りを包む別個の柔らかい表皮を開示している。この柔らかい表皮は、成型プロセスの間にストリームに母材スラグを露呈して最大成型温度がストリーム設定温度を超えるようにし、さらに、成型中に発熱成型温度を制御して形成される。この表皮は、球状コアの径方向において最も外側の1/32インチから1/4インチを有する。米国特許第5,976,443号および同第5,733,206号(ともにNesbitt等、特許文献4、5)は成型の前にスラグの表面に水の霧を付与して柔らかな表皮を形成することを開示している。主張されるところによれば、水は、コア表面の架橋を遅らせ、これにより、硬い中央の部分の周りにさらに柔らかな表皮を形成し、これによって、コアの圧縮を柔らかにする。
【0007】
さらに、多くの特許が多層ゴルフボールコアを開示しており、ここでは、コア層の各々が異なる硬度を伴い、これにより1のコア層から他のコア層二位足る硬度勾配を形成する。
【0008】
しかしながら、表面から中央にいくに従って柔から硬になる勾配(「負」の勾配)を伴う単一層コアを実現すること、また、そのようなコアを廉価かつ効率よく製造する方法を実現することが依然として望まれる。そのような特性を有するコアによれば、ゴルフボール設計者は、圧縮、「フィーリング」、およびスピンの独特の組み合わせを伴う製品を製造できる。
【特許文献1】米国特許第4,650,193号明細書
【特許文献2】米国特許第3,784,209号明細書
【特許文献3】米国特許第6,113,831号明細書
【特許文献4】米国特許第5,976,443号明細書
【特許文献5】米国特許第5,733,206号明細書
【発明の開示】
【0009】
この発明は、内側コアであって、第1の外側表面および幾何中心を含み、その硬度が35ショアCから85ショアCの範囲内であるように、全体にわたり実質的に均一な第1の調合から製造されたものを含むゴルフボールに向けられている。外側コア層は内側コア層の周りに形成され、第2の外側表面および内側表面を有し、その硬度が55ショアCから90ショアCの範囲内であるように、全体にわたり実質的に均一な第2の調合から製造される。カバー層は外側コア層の周りに配されてゴルフボールを形成する。カバー層は単一の層であっても良く、複数の層、例えば内側カバー層および外側カバー層からなってもよい。第1の外側表面の硬度は幾何中心の硬度よりも大きくて「正の硬度勾配」を形成し、第2の外側表面の硬度は内側表面の硬度と実質的に同一か、それより小さくて「負の硬度勾配」を形成する。
【0010】
内側コアは、約15phrから約30phrの量のカルボン酸の金属塩を含み、外側コア層は、約30phrから約45phrの量のカルボン酸の金属塩を含み、外側コア層の、開始剤に対する酸化防止剤の比は、100%活性に正規化した場合、約0.40以上、好ましくは、約0.50以上である。開始剤は典型的には100%活性の下で約0.25phrから約5.0phrの量だけ存在し、酸化防止剤は約0.2phrから約1phrの量だけ存在する。
【0011】
1実施例において、第1の外側表面の硬度は55ショアCから80ショアCであり、幾何中心の硬度は45ショアCから62ショアCであり、正の勾配の大きさは10から20である。他の実施例において、第2の外側表面の硬度は58ショアCから82ショアCであり、内側表面の硬度は62ショアCから89ショアCであり、負の勾配の大きさは約0から−10である。好ましくは、内側コアの外側直径は0.75インチから1.4インチであり、外側コア層の外側直径は1.5インチkら1.59インチである。具体的に好ましい実施例において、カバー層は内側カバー層および外側カバー層を有する。一般的に、内側コアおよび外側コア層はジエンゴム組成物から製造され、オプションとして、柔軟化・高速化剤(ソフトおよびファースト剤)を含む。
【0012】
この発明は、また、内側コアであって、第1の外側表面および幾何中心を含み、その硬度が60ショアCから90ショアCの範囲内であるように、全体にわたり実質的に均一な第1の調合から製造されたものを含むゴルフボールに向けられている。外側コア層は内側コア層の周りに形成され、第2の外側表面および内側表面を有し、その硬度が45ショアCから70ショアCの範囲内であるように、全体にわたり実質的に均一な第2の調合から製造される。カバー層は外側コア層の周りに配され、このカバー層は単一または複数の層を有する。第1の外側表面の硬度は幾何中心の硬度よりも大きくて「正の硬度勾配」を形成し、第2の外側表面の硬度は内側表面の硬度と実質的に同一か、それより小さくて「負の硬度勾配」を形成する。
【0013】
内側コアは、約25phrから約35phrの量のカルボン酸の金属塩を含み、外側コア層は、約10phrから約25phrの量のカルボン酸の金属塩を含み、外側コア層の、開始剤に対する酸化防止剤の比は、100%活性に正規化した場合、約0.50以下、好ましくは、約0.40以下である。開始剤は典型的には100%活性の下で約0.25phrから約5.0phrの量だけ存在し、酸化防止剤は約0.2phrから約1phrの量だけ存在する。
【0014】
1実施例において、第1の外側表面の硬度は65ショアCから85ショアCであり、幾何中心の硬度は55ショアCから80ショアCであり、「正の勾配」の大きさは10から20である。他の実施例において、第2の外側表面の硬度は49ショアCから63ショアCであり、内側表面の硬度は52ショアCから68ショアCであり、「負の勾配」の大きさは約0から−10である。好ましくは、内側コアの外側直径は0.75インチから1.4インチであり、外側コア層の外側直径は1.5インチkら1.59インチである。具体的に好ましい実施例において、カバー層は内側カバー層および外側カバー層を有する。内側コアおよび外側コア層は典型的にはジエンゴム組成物から製造され、オプションとして、柔軟化・高速化剤を含む。
【0015】
この発明は、さらに、内側コアであって、第1の外側表面および幾何中心を含み、その硬度が30ショアCから80ショアCの範囲内であるように、全体にわたり実質的に均一な第1の調合から製造されたものを含むゴルフボールに向けられている。外側コア層は内側コア層の周りに形成され、第2の外側表面および内側表面を有し、その硬度が60ショアCから90ショアCの範囲内であるように、全体にわたり実質的に均一な第2の調合から製造される。少なくとも2つの層を具備するカバー層が外側コア層の周りに形成される。
【0016】
第1の外側表面の硬度は、典型的には、幾何中心の硬度よりも大きくて「正の硬度勾配」を形成し、第2の外側表面の硬度は内側表面の硬度と実質的に同一か、それより小さくて「負の硬度勾配」を形成し、かつ、内側表面および第1の外側表面の硬度は、幾何中心の硬度および第2の外側表面の硬度と実質的に同一か、それより大きい。内側コアおよび外側コア層は典型的にはジエンゴム組成物から製造され、オプションとして、柔軟化・高速化剤を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明のコアおよび比較例のコアに関してその中心からの距離に応じたコアの硬度を示すグラフである。
【図2】この発明の「低スピン」の実施例に関する好ましい硬度範囲を示すグラフである。
【図3】この発明の「高スピン」の実施例に関する好ましい硬度範囲を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明のゴルフボールは、単一層(ワンピース)ゴルフボール、および多層ゴルフボール、例えばコアおよびコアを包囲するカバーを具備するゴルフボールを含んでよいけれども、好ましくは、ソリッドセンタ(内側コアとしても知られている)、および外側コア層を有してなるコア、内側カバー層、ならびに外側カバー層から製造される。もちろん、コアおよび/またはカバー層のいずれかが複数の層を含んでよい。好ましい実施例において、コアは内側コアおよび外側コアから製造され、内側コアおよび外側コア層は、各要素の外側表面からその最も内側の部分(すなわち、内側コアの中心または外側コア層の内側表面)へと、径方向の内側へ「柔から硬」の硬度勾配(「負」の硬度勾配)を伴うけれども、コア要素の間の硬度勾配の方向や組み合わせを変更した代替的な実施例も想定できる(例えばセンタ中で「負」の勾配でありながら、外側コア層で「正」の勾配、あるいはその逆)。
【0019】
コアのセンタは、1または複数の中間および/またはカバー層により包囲された、液体充填または空洞の球であってもよく、あるいは、張力を加えられた弾性材料をその周囲に巻き付けたソリッドまたは液体センタであってよもよい。これら代替的なセンタの周りに配された任意の層がこの発明のコアの硬度勾配(すなわち「負」)を伴ってよい。カバー層は単一層、または、例えば、複数の層、具体的には内側カバー層および外側カバー層から形成されてよい。
【0020】
先に簡単に検討したように、この発明のコアでは、硬度勾配は、内側コア(または外側コア層)の表面での硬度測定値、および内側コアの中心へ径方向に、典型的には2mmの増分で行われる硬度測定値により定義される。ここで使用されるように、用語「負」および「正」は、測定対象の要素の最も内側の部分(例えば、ソリッドコアまたは二重コア構造における内側コアの中心;コア層の内側表面;その他)の硬度値を、測定対象の要素の外側表面(例えば、ソリッドコアの外側表面;二重コアにおける内側コアの外側表面;二重コアにおける外側コア層の外側表面、等)の硬度値から引いた結果を指す。例えば、ソリッドコアの外側表面の硬度値が中心より小さい(すなわち、表面が中心より柔らかい)ならば、硬度勾配は「負」の勾配と見なされる(小さな数−大きな数=負の数)。この発明のコアはゼロまたは負の硬度勾配を伴うことが好ましく、より好ましくは、ゼロ(0)および−10の間であり、最も好ましくは0および−5の間である。
【0021】
好ましくは、コア層(内側コアまたは外側コア層)は、少なくとも1つの熱硬化性ベースゴム、例えば、ポリブタジエンゴムを含む組成物から製造され、これは少なくとも1つの過酸化物および少なくとも1つの反応性コエージェントにより硬化され、これは不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸またはメタクリル酸の金属塩、非金属コエージェント、またはこれらの混合物であってよい。好ましくは、適切な酸化防止剤が組成物中に含まれる。オプションの柔軟化・高速化剤(およびしばしばシス・ツー・トランス触媒)、例えば有機硫黄または金属含有有機硫黄か棒物もコア調合に含ませてよい。
【0022】
当業者に知られている他の含有物を用いて良く、これに限定されないけれども、密度調整フィラー、処理助剤、可塑剤、発泡剤また起泡剤、硫黄促進剤、および/または非過酸化物ラジカル源を含むと理解できる。
【0023】
ベースの熱硬化性ゴムは他のゴムおよびポリマーとブレンドしてよく、典型的には、天然ゴムまたは合成ゴムを含む。好ましいベースゴムは、少なくとも40%、好ましくは80%より多くの、さらに好ましくは90%より多くのシス構造を伴う1,4−ポリブタジエンである。
【0024】
所望のポリブタジエンゴムの例は、LANXESS社から商業的に入手可能なBUNA(商標)CB22およびBUNA(商標)CB23;日本国、東京のUBE Industry社から商業的に入手可能なUBEPOL(商標)360LおよびUBEPOL(商標)150LおよびUBEPOL−BRゴム;オハイオ州アクロンのGoodyear社から購入可能なKINEX(商標)7245;Dow Chemical社から商業的に入手可能なSE BR−1220およびTAKTENE(商標)1203G1、220、および221;Polimeri Europa社から商業的に入手可能なEuroprene(商標)NEOCIS(商標)BR40およびBR60;およびJapan Synthetic Rubber社から商業的に入手可能なBR 01、BR 730、BR 11、およびBR 51;PETROFLEX(商標)BRNd−40;およびKarbochem社から商業的に入手可能なKABOCHEM(商標)ND40、ND45、およびND60を含む。
【0025】
ベースゴムはムーニー(Mooney)粘度が大きな、または中くらいのゴム、またはそのブレンドを有してもよい。「ムーニー」単位は、生すなわち非加硫のゴムの可塑性を測定するのに採用する単位を指す。ムーニー単位の可塑性は、任意のスケールで測定された、100°Cの温度のゴムを含み、1分に2回転する容器中のディスクに加わるトルクと等しい。ムーニー粘度の測定はASTM D−1646に規定されている。
【0026】
ムーニー粘度の範囲は好ましくは約40より大きく、より好ましくは約40から約80の範囲であり、さらに好ましくは約40から約60の範囲である。ムーニー粘度がより大きなポリブタジエンゴムを用いてもよい。ただし、ポリブタジエンの粘度が、高粘度のポリブタジエンが詰まったり、その他、製造機械に悪影響を与えるレベルに至らないことを条件とする。粘度が65ムーニーより小さなポリブタジエンはこの発明に採用可能であると理解できる。
【0027】
この発明の1実施例において、中間から高ムーニー粘度のポリブタジエン材料で製造したゴルフボールコアは、ボールの硬度を増大させることなく、大きな弾力性(したがって、距離が大)を実現する。そのようなコアは柔らかく、すなわち、圧縮が約60より小さく、より具体的には約50−55の範囲である。圧縮が約30から約50の範囲のコアも、かかる好ましい実施例の範囲内である。
【0028】
適切な中位、または高いムーニー粘度のポリブタジエンの商業的なリソースは、Bayer AG CB23(Nd触媒)およびShell 1220(共触媒)を含み、前者は50辺りのムーニー粘度を伴い、硬度に線型菜ポリブタジエンである。望ましいときには、ポリブタジエンは、当業界で知られている他のエラストマー、例えば他のポリブタジエンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、および/またはイソプレンゴムと混合してコアの特性を修正してもよい。エラストマーの混合物を用いるときには、コア組成物中の他の成分の量は典型的にはエラストマー混合物の総量の100重量部に基づく。
【0029】
1実施例において、ベースゴムはNd触媒ポリブタジエン、希土類触媒ポリブタジエンゴム、またはこれらのブレンドを有する。望ましいときには、ポリブタジエンは、当業界で知られている他のエラストマー、例えば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、および/またはスチレンブタジエンゴムと混合してコアの特性を修正してもよい。他の適切なベースゴムは熱硬化性材料、例えば、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ハロブチルゴム、水素化ニトリルブタジエンゴム、ニトリルゴム、およびシリコーンゴムを含む。
【0030】
熱可塑性エラストマー(TPE)は、これをベースの熱硬化性ゴムと混合して、コア層または非硬化のコア層ストックの特性を修正してもよい。これらPTEは、天然または合成ゴム、または高トランス−ポリイソプレン、高トランス−ポリブタジエン、または任意のスチレンブロックコポリマー、例えば、スチレンエチレンブタジエンスチレン、スチレン−イソプレン−スチレン等、メタローセンまたは他のシングルサイト触媒ポリオレフィン、例えばスチレン−オクテン、またはエチレン−ブテン、または熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含み、これは例えばシリコーンとのコポリマーを含む。この発明の熱硬化性ゴムと混合して適切な他のTPEは、ポリエーテルアミドコポリマーを有すると考えられる、PEBAX(商標)、ポリエーテルエステルコポリマー、熱可塑性ウレタンを有すると考えられる、HYTEL(商標)、およびスチレンブロックコポリマーエラストマーを有すると考えられる、KRATON(商標)を含む。上述のTPEまたはTPUのいずれもグラフト化に適切な官能基を含有し、マレイン酸または無水マレイン酸を含む。
【0031】
付加的なポリマーをベースゴムにオプションとして組み入れてもよい。かかる例は、これに限定されないが、熱硬化性エラストマー、例えばコアリグリンド、熱可塑性加硫物、コポリマー性アイオノマー、ターポリマー性アイオノマー、ポリカーボネート、ポリアミド、コポリマー性ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、ポリアリーレート、ポリアクリレート、ポリフェニレンエーテル、衝突改質ポリフェニレンエーテル、高衝突ポリスチレン、フタル酸ジアリルポリマー、スチレン−アクリロニトリルポリマー(SAN)(オレフィン改質SANおよびアクリロニトリル−スチレン−アクリロニトリルポリマーを含む)、スチレン−マレイン酸無水物コポリマー、スチレンコポリマー、官能性スチレンコポリマー、官能性スチレンターポリマー、スチレンターポリマー、セルロースポリマー、液晶ポリマー、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、ポリ尿素、およびポリシロキサンまたはこれら種のメタローセン触媒ポリマーである。
【0032】
この発明の範囲内の組成物の付加的なポリマー材料として用いて好適なポリアミドは、つぎのようにして取得された樹脂を含む。(1)として、(a)ジカルボン酸例えば蓚酸、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を(b)ジアミン例えばエチレンジアミン、テトラエチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、またはデカメチレンジアミン、1,4−シクロヘキシルアミンまたはm−キシリレンジアミンで宿重合する。(2)として、環状ラクタム例えばイプシロンカプロカクタム、またはオメガラウロラクタムを開環重合する。(3)として、アミノカルボン酸例えば6−アミノカプロン酸、9−アミノカプロン酸、11−アミノカプロン酸または12−アミノカプロン酸を宿重合する。または、(4)として、環状ラクタムをジカルボン酸およびジアミンで共重合する。適切なポリアミドの具体的な例は、NYLON6、NYLON66、NYLON610、NYLON11、NYLON12、コポリマーNYLON、NYLONMXD6およびNYLON46である。
【0033】
適切な過酸化物開始剤は、ジクミルペルオキシド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン;2,2’−ビス(t−ブチルペルオキシ)−ジ−イソ−プロピルベンゼン;1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート;t−ブチルペルベンゾエート;ベンゾイルペルオキシド;n−ブチル−4,4’−ビス(ブチルペルオキシ)バレレート;ジ−t−ブチルペルオキシド;または2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、ラウリルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、α−αビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロプロピルベンゼン、ジ(2−tブチル−ペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシドを含む。好ましくは、ゴム組成物は、ゴム100重量部に対して約0.25から約5.0重量部(phr)の過酸化物を含み、より好ましくは0.5phrから3phr、最も好ましくは0.5phrから1.5phrの過酸化物を含む。最も好ましい実施例においては、過酸化物は約0.8phrの量だけ存在する。過酸化物のこれらの範囲は、過酸化物が100%活性であり、存在するかもしれないいずれのキャリアも考慮していないという仮定の下で与えられる。多くの商業的に入手可能な過酸化物はキャリア化合物とともに販売されるので、活性の過酸化物の実際の存在量を計算しなければならない。商業的に入手可能な過酸化物開始剤は、Cropton(Geo Specialty Chemicals)から入手可能なDICUP(商標)ファミリのジクミルペルオキシド(DICUP(商標)R、DICUP(商標)40CおよびDICUP(商標)40KE)を含む。類似の開始剤は、AkroChem、Laxess、Flexsys/Haewick、およびR.T. Vanderbiltから入手できる。他の商業的に入手可能で好ましい開始剤はAkzo NobelからのTRIGONOX(商標)265−50Bであり、これは1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、およびジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンである。TRIGONOX(商標)過酸化物はキャリア化合物とともに販売される。
【0034】
適切な反応性コエージェントは、これに限定されないが、ジアクリレート、ジメタクリレート、およびモノメタクリレートの金属塩を含み、この発明に使用して好適なものは、金属が亜鉛、マンガン、カルシウム、バリウム、錫、アルミニウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、鉄、ジルコニウム、およびビスマスであるものである。亜鉛ジアクリレート(ZDA)が好ましいけれども、この発明はこれに限定されない。ZDAはゴルフボールに大きな初期速度を付与する。DZAは種々の純度グレードであってよい。この発明の目的を実現する上では、ZDA中に存在するステアリン酸亜鉛の量が少なければZDA純度が大きくなる。約10%未満のステアリン酸亜鉛を含有するZDAが好ましい。さらに約4−8%のステアリン酸亜鉛しか含有しないZDAがより好ましい。適切な商業的に入手可能な亜鉛ジアクリレートはSartmer社から入手できるものを含む。利用可能なZDAの好ましい濃度は約10phrから約40phrであり、より好ましくは約20phrから約35phrであり、最も好ましくは約25phrから約35phrである。具体的な好ましい実施例において、反応性コエージェントは約29phrから約31phrの量だけ存在する。
【0035】
単独で、または上述のものと組み合わせて利用してよい付加的な好ましいコエージェントは、これに限定されないが、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、その他を含む。コエージェントが室温で液体の場合には、有利なことに、これら化合物を適切なキャリア上に分散させてゴム混合物への一体化がより容易になることが、当業者には理解できるであろう。
【0036】
酸化防止剤は、エラストマーの酸化破壊を阻止し、および/または酸素ラジカルによって助長される反応を阻止する化合物である。この発明に利用できるいくつかの例示的な酸化防止剤は、これに限定されないが、キノリン型酸化防止剤、アミン型酸化防止剤、およびフェノール型酸化防止剤を含む。好ましい酸化防止剤はR.T.VanderbiltからVANOX(商標)MBPCとして利用可能な2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)である。他のポリフェノール性酸化防止剤はVANOX(商標)T、VANOX(商標)L、VANOX(商標)SKT、VANOX(商標)SWP、VANOX(商標)13、およびVANOX(商標)1290を含む。
【0037】
適切な酸化防止剤は、これに限定されないが、アルキレン−ビス−アルキル置換クレゾール、例えば4,4’−メチレン−ビス(2,5−キシレノール);4,4’−エチリデン−ビス−(6−エチル−m−クレゾール);4,4’−ブチリデン−ビス−(6−t−ブチル−m−クレゾール);4,4’−デシリデン−ビス−(6−メチル−m−クレゾール);4,4’−メチレン−ビス−(2−アミル−m−クレゾール);4,4’−プロピリデン−ビス−(5−ヘキシル−m−クレゾール);3,3’−デシリデン−ビス−(5−エチル−p−クレゾール);2,2’−ブチリデン−ビス−(3−n−ヘキシル−p−クレゾール);4,4’−(2−ブチリデン)−ビス−(6−t−ブチル−m−クレゾール);3,3’−4(デシリデン)−ビス−(5−エチル−p−クレゾール);(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン;(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)(2−エチル−3−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン;(3−メチル−5−ヒドロキ−6−t−ブチルフェニル)(2−ヒドロキシ−4−メチル−5−デシルフェニル)−n−ブチルメタン;(2−ヒドロキシ−4−エチル−5−メチルフェニル)(2−デシル−3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ブチルアミルメタン;(3−エチル−4−メチル−5−ヒドロキシフェニル)−(2,3−ジメチル−3−ヒドロキシ−フェニル)ノニルメタン;(3−メチル−2−ヒドロキ−6−エチルフェニル)−(2−イソプロピル−3−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)シクロヘキシルメタン;(2−メチル−4−ヒドロキ−5−メチルフェニル)(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−エチルフェニル)ジシクロヘキシルメタン;その他を含む。
【0038】
他の適切な酸化防止剤は、これに限定されないが、置換フェノール、例えば、2−タート−ブチル−4−メトキシフェノール;3−タート−ブチル−4−メトキシフェノール;3−タート−オクチル−4−メトキシフェノール;2−メチル−4−メトキシフェノール;2−ステアリル−4−n−ブトキシフェノール;3−t−ブチル−4−ステアリロキシフェノール;3−ラウリル−4−エトキシフェノール;2,5−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール;2−メチル−4−メトキシフェノール;2−(1−メチルシクロヘキシル)−4−メトキシフェノール;2−t−ブチル−4−ドデシルオキシフェノール;2−(1−メチルベンジル)−4−メトキシフェノール;2−t−オクチル−4−メトキシフェノール;メチルガレート;n−プロピルガレート;n−ブチルガレート;ラウリルガレート;ミリスチルガレート;ステアリルガレート;2,4,5−トリヒドロキシアセトフェノール;2,4,5−トリヒドロキシ−n−ブチロフェノール;2,4,5−トリヒドロキシステアロフェノール;2,6−ジタート−ブチル−4−メチルフェノール;2,6−ジタート−オクシル−4−メチルフェノール;2,6−ジタート−ブチル−4−ステアリルフェノール;2−メチル−4−メチル−6−タート−ブチルフェノール;2,6−ジステアリル−4−メチルフェノール;2,6−ジラウリル−4−メチルフェノール;2,6−ジ(n−オクチル)−4−メチルフェノール;2,6−ジ(n−ヘキサデシル)−4−メチルフェノール;2,6−ジ(1−メチルウンデシル)−4−メチルフェノール;2,6−ジ(1−メチルヘプタデシル)−4−メチルフェノール;2,6−ジ(トリメチルヘキシル)−4−メチルフェノール;2,6−ジ(1,1,3,3−テトラメチルオクチル)−4−メチルフェノール;2−n−ドデシル−6−タートブチル−4−メチルフェノール;2−n−ドデシル−6−(1−メチルウンデシル)−4−メチルフェノール;2−n−ドデシル−6−(1,1,3,3−テトラメチルオクチル)−4−メチルフェノール;2−n−ドデシル−6−n−オクタデシル−4−メチルフェノール;2−n−ドデシル−6−n−オクチル−4−メチルフェノール;2−メチル−6−n−オクタデシル−4−メチルフェノール;2−n−ドデシル−6−(1−メチルヘプタデシル)−4−メチルフェノール;2,6−ジ(1−メチルベンジル)−4−メチルフェノール;2,6−ジ(1−メチルシクロヘキシル)−4−メチルフェノール;2,6−(1−メチルシクロヘキシル)−4−メチルフェノール;2−(1−メチルベンジル)−4−メチルフェノール;および関連する置換フェノールを含む。
【0039】
より適切な酸化防止剤は、これに限定されないが、アルキレンビスフェノール、例えば、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール);2,2−ブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール);2,2’−ブチリデンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−ブチリデンビス(4−t−ブチル−6−メチルフェノール);2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−メチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール);4,4’−エチレンビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−t−ブチル−6−フェニルフェノール);2,2’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベン;2,2’−イソプロピリデンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);エチレンビス(ベータ−ナフトール);1,5−ヒドロキシナフタレン;2,2’−エチレンビス(4−メチル−6−プロピルフェノール);4,4’−メチレンビス(2−プロピル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−エチレンビス(2−メチル−6−プロピルフェノール);2,2’−メチレンビス(5−メチル−6−t−ブチルフェノール);および4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)を含む。
【0040】
適切な酸化防止剤は、さらに、これに限定されないが、アルキレントリフェノール、例えば、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール;2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−エチル−5’−ブチルベンジル)−4−メチルフェノール;および2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メプロピルベンジル)−4−メチルフェノールを含む。
【0041】
酸化防止剤は典型的には約0.1phrkら約5phrの量だけ存在し、好ましくは、約0.1phrから約2phr、さらに好ましくは、約0.1phrから約1phrの量だけ存在する。具体的な好ましい実施例においては、酸化防止剤は約0.4phrの量だけ存在する。
【0042】
代替的な実施例において、酸化防止剤は、本件発明のコアの硬度勾配が確実に負になることを保障する量だけ存在しなければならない。好ましくは、酸化防止剤は、約0.2phrから約1phr、より好ましくは約0.3phrから約0.8phr、最も好ましくは約0.4phrから約0.7phrだけ、コア層(内側コアまたは外側コア層)の調合に加えられる。好ましくは、100%活性として計算されたときに、約0.25phrから約1.5phrの過酸化物がコアの調合に加えられて良く、より好ましくは約0.5phrから約1.2phr、最も好ましくは約0.7phrから約1.0phrが加えられてよい。ZDAの量は、製造される誤ブルボールの所望の圧縮、スピンおよびフィーリングに適合するように可変してよい。硬化養生は約290°F(143°C)から約335°F(168°C)、より好ましくは約300°F(149°C)から約325°F(163°C)の温度範囲を伴って良く、ストックは少なくとも約10分から約30分の間その温度に保持される。
【0043】
この発明の熱硬化性組成物はオプションの柔軟化・高速化剤を含んでもよい。ここで使用されるように「柔軟化・高速化剤」(soft and fast agent)は、柔軟化・高速化剤なしに準備した場合に較べて、コアを1)一定のCORの下でより柔らかく(より小さな圧縮)し、または2)等しい圧縮でより大きなCORを伴うようにする、任意の化合物またはそれらのブレンド、または任意の組み合わせを意味する。好ましくは、この発明の組成物は約0.05phrから約10.0phrの柔軟化・高速化剤を含有する。1実施例において、柔軟化・高速化剤は約0.05phrから約3.0pr、好ましくは約0.05phrから約2.0phr、より好ましくは約0.05phrから約1.0phrの範囲で存在する。他の実施例では、柔軟化・高速化剤は約2.0phrから約5.0pr、好ましくは約2.35phrから約4.0phr、より好ましくは約2.35phrから約3.0phrの範囲で存在する。代替的な高濃度の実施例では、柔軟化・高速化剤は約5.0phrから約10.0pr、より好ましくは約6.0phrから約9.0phr、最も好ましくは約7.0phrから約8.0phrの範囲で存在する。最も好ましい実施例では、柔軟化・高速化剤は約2.6phrの量だけ存在する。
【0044】
適切な柔軟化・高速化剤は、これに限定されないが、有機硫黄または金属含有有機硫黄化合物、無機硫黄化合物、第VIA族の化合物、またはこれらの混合物を含み、有機硫黄化合物は、モノ、ジ、およびポリスルフィド、チオール、またはメルカプト化合物を含む。柔軟化・高速化剤化合物は、有機硫黄化合物おおび無機硫黄化合物のブレンドであってもよい。
【0045】
この発明の適切な柔軟化・高速化剤は、これに限定されないが以下の一般式を有するものを含む。
【化1】

【0046】
式中、R〜Rはいずれの順番であってもよく、C〜Cアルキル基;ハロゲン基;チオール基(−SH)、カルボキシレート基;スルホネート基;、及び水素であってよく、また、ペンタフルオロチオフェノール;2−フルオロチオフェノール;3−フルオロチオフェノール;4−フルオロチオフェノール;2,3−フルオロチオフェノール;2,4−フルオロチオフェノール;3,4−フルオロチオフェノール;3,5−フルオロチオフェノール;2,3,4−フルオロチオフェノール;3,4,5−フルオロチオフェノール;2,3,4,5−テトラフルオロチオフェノール;2,3,5,6−テトラフルオロチオフェノール;4−クロロテトラフルオロチオフェノール;ペンタクロロチオフェノール;2−クロロチオフェノール;3−クロロチオフェノール;4−クロロチオフェノール;2,3−クロロチオフェノール;2,4−クロロチオフェノール;3,4−クロロチオフェノール;3,5−クロロチオフェノール;2,3,4−クロロチオフェノール;3,4,5−クロロチオフェノール;2,3,4,5−テトラクロロチオフェノール;2,3,5,6−テトラクロロチオフェノール;ペンタブロモチオフェノール;2−ブロモチオフェノール;3−ブロモチオフェノール;4−ブロモチオフェノール;2,3−ブロモチオフェノール;2,4−ブロモチオフェノール;3,4−ブロモチオフェノール;3,5−ブロモチオフェノール;2,3,4−ブロモチオフェノール;3,4,5−ブロモチオフェノール;2,3,4,5−テトラブロモチオフェノール;2,3,5,6−テトラブロモチオフェノール;ペンタヨードチオフェノール;2−ヨードチオフェノール;3−ヨードチオフェノール;4−ヨードチオフェノール;2,3−ヨードチオフェノール;2,4−ヨードチオフェノール;3,4−ヨードチオフェノール;3,5−ヨードチオフェノール;2,3,4−ヨードチオフェノール;3,4,5−ヨードチオフェノール;2,3,4,5−テトラヨードチオフェノール;2,3,5,6−テトラヨードチオフェノール;及びこれらの亜鉛塩であってよい。好ましくはハロゲン化した有機硫黄化合物はペンタクロロチオフェノールであり、これは純粋な形態で市場から入手可能であり、又はペンタクロロチオフェノールを45パーセント(2.4部のPCTPに相当する)付加した硫黄化合物を含むクレイをベースとするキャリヤであるSTRUKTOL(登録商標)の商標名で入手可能である。STRUKTOL(商標)はオハイオ州ストウのStruktolCompanyof Americaから商業的に入手可能である。PCTPは商業的にカリフォルニア州サンフランシスコのeChinachemから純粋な形態で入手可能であり、サンフランシスコのeChinachemから塩の形態で入手可能である。最も好ましくは、ハロゲン化した有機硫黄化合物はペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩であり、これはサンフランシスコのeChinachemから商業的に入手可能である。
【0047】
この発明を参照する際にはここで使用されるように、用語「有機硫黄化合物」は、炭素、水素およびイオウを含有する任意の化合物を称し、ここで、硫黄は少なくとも1個の炭素に直接に結合する。ここで使用されるように、用語「イオウ化合物」は、元素状イオウ、高分子イオウ、またはこれらの組合せである化合物を意味する。さらに、「元素状イオウ」はSの環構造体を称し、「高分子イオウ」は元素状イオウに対して少なくとも1個の追加のイオウを含む構造体であることを理解すべきである。
【0048】
柔軟化・高速化剤の付加的に適切な例(これはシス−トランス触媒とも考えられる)は、これに限定されないが、ジフェニルジスルフィド;4,4’−ジトリルジスルフィド;2,2’−ベンズアミドジフェニルジスルフィド;ビス(2−アミノフェニル)ジスルフィド;ビス(4−アミノフェニル)ジスルフィド;ビス(3−アミノフェニル)ジスルフィド;2,2’−ビス(4−アミノナフチル)ジスルフィド;2,2’−ビス(3−アミノナフチル)ジスルフィド;2,2’−ビス(4−アミノナフチル)ジスルフィド;2,2’−ビス(5−アミノナフチル)ジスルフィド;2,2’−ビス(6−アミノナフチル)ジスルフィド;2,2’−ビス(7−アミノナフチル)ジスルフィド;2,2’−ビス(8−アミノナフチル)ジスルフィド;1,1’−ビス(2−アミノナフチル)ジスルフィド;1,1’−ビス(3−アミノナフチル)ジスルフィド;1,1’−ビス(3−アミノナフチル)ジスルフィド;1,1’−ビス(4−アミノナフチル)ジスルフィド;1,1’−ビス(5−アミノナフチル)ジスルフィド;1,1’−ビス(6−アミノナフチル)ジスルフィド;1,1’−ビス(7−アミノナフチル)ジスルフィド;1,1’−ビス(8−アミノナフチル)ジスルフィド;1,2’−ジアミノ−1,2’−ジチオジナフタレン;2,3’−ジアミノ−1,2’−ジチオジナフタレン;ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド;ビス(2−クロロフェニル)ジスルフィド;ビス(3−クロロフェニル)ジスルフィド;ビス(4−ブロモフェニル)ジスルフィド;ビス(2−ブロモフェニル)ジスルフィド;ビス(3−ブロモフェニル)ジスルフィド;ビス(4−フルオロフェニル)ジスルフィド;ビス(4−イオドフェニル)ジスルフィド;ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド;ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド;ビス(2,4−ジクロロフェニル)ジスルフィド;ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド;ビス(2,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド;ビス(3,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド;ビス(2−クロロ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド;ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド;ビス(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)ジスルフィド;ビス(4−シアノフェニル)ジスルフィド;ビス(2−シアノフェニル)ジスルフィド;ビス(4−ニトロフェニル)ジスルフィド;ビス(2−ニトロフェニル)ジスルフィド;2,2’−ジチオベンゾイックエチル;2,2’−ジチオベンゾイックメチル;2,2’−ジチオ安息香酸;4,4’−ジチオベンゾイックエチル;ビス(4−アセチルフェニル)ジスルフィド;ビス(2−アセチルフェニル)ジスルフィド;ビス(4−ホルミルフェニル)ジスルフィド;ビス(4−カルバモイルフェニル)ジスルフィド;1,1’−ジナフチルジスルフィド;2,2’−ジナフチルジスルフィド;1,2’−ジナフチルジスルフィド;2,2’−ビス(1−クロロジナフチル)ジスルフィド;2,2’−ビス(1−ブロモナフチル)ジスルフィド;1,1’−ビス(2−クロロナフチル)ジスルフィド;2,2’−ビス(1−シアノナフチル)ジスルフィド;2,2’−ビス(1−アセチルナフチル)ジスルフィド等の;またはこれらの混合物がある。好ましい有機イオウ化合物は、ジフェニルジスルフィド、4,4’−ジトリルジスルフィド、または2,2’−ベンズアミドジフェニルジスルフィド、またはこれらの混合物である。より好ましい有機硫黄化合物は、4,4’−ジトリルジスルフィドである。他の実施例において、金属含有有機硫黄化合物をこの発明に従って使用してよい。適切な金属含有有機硫黄化合物は、これに限定されないが、ジエチルジチオカルバメート、ジアミルジチオカルバメート、およびジメチルジチオカルバメートのカドミウム、銅、鉛、およびテルリウム類似体、またはこの混合物である。
【0049】
硫黄または金属を含まない、適当な置換または無置換の芳香族有機成分は、4,4’−ジフェニルアセチレン、アゾベンゼン、またはこれらの混合物を含むが、これらに制限されない。該芳香族有機基は、好ましくはそのサイズにおいて、C〜C20なる範囲にあり、またより好ましくはC〜C10なる範囲にある。適当な無機硫化物成分は、硫化チタン、硫化マンガン、および鉄、カルシウム、コバルト、モリブデン、タングステン、銅、セレン、イットリウム、亜鉛、錫、およびビスマスの類似の硫化物を包含するが、これらに限定されない。
【0050】
また、置換または非置換芳香族有機化合物も柔軟化・高速化剤である。適切な置換または非置換芳香族有機成分としては、限定するものではないが、式(R−R−M−R−(Rを有する成分があり、式中、RおよびRは、各々、水素、または置換または非置換のC〜C20線状、枝分れまたは環状のアルキル、アルコキシまたはアルキルチオ基、または単環、多環または縮合環のC〜C24芳香族基であり;xおよびyは、各々、0〜5の整数であり;RおよびRは、各々、単環、多環または縮合環のC〜C24芳香族基から選ばれ;Mは、アゾ基または金属成分である。RおよびRは、各々、好ましくはC〜C10芳香族基から選ばれ、より好ましくはフェニル、ベンジル、ナフチル、ベンズアミドおよびベンゾチアジルから選ばれる。RおよびRは、各々、好ましくは、置換または非置換のC〜C10線状、枝分れまたは環状のアルキル、アルコキシまたはアルキルチオ基、またはC〜C10芳香族基から選ばれる。R、R、RまたはRが置換されている場合、その置換基としては、1種以上の以下の置換基があり得る:ヒドロキシおよびその金属塩;メルカプトおよびその金属塩;ハロゲン;アミノ、ニトロ、シアノおよびアミド;エステル類、酸類およびその金属塩を含むカルボキシル;シリル;アクリレート類およびその金属塩;スルホニルまたはスルホンアミド;およびホスフェート類およびホスファイト類。Mが金属成分である場合、Mは、当業者に入手し得る任意の適切な元素状金属であり得る。典型的には、金属は、遷移金属であるが、好ましくは、テルルまたはセレニウムである。上記シス−トランス−変換触媒中に含ませ得る。1実施例において、芳香族有機化合物は、金属を実質的に含まず、他方、他の実施例において、、芳香族有機化合物は、金属を完全に含まない。
【0051】
柔軟化・高速化剤は、また第VIA族成分を含むこともできる。元素硫黄および重合体硫黄は、例えばオハイオ州、シャルドンのElastochem社から、市販品として入手できる。硫黄触媒化合物の例は、PB(RM−S)−80元素硫黄およびPB(CRST)−65重合体硫黄を含み、これら各々は、Elastochem社から入手できる。「TELLOY」という商品名のテルル触媒の例および「VANDEX」という商品名のセレン触媒の例は、各々RT Vanderbilt社から市販品として入手できる。
【0052】
他の適切な柔軟化・高速化剤は、これに限定されないが、ヒドロキノン、ベンゾキノン、キンヒドロン、カテコール、およびレソルシノールを含む。
【0053】
ヒドロキノン化合物は、つぎの化学式で表される化合物およびその水和物から選択される。
【化2】

【0054】
ここで、R、R、RおよびRの各々は、水素;ハロゲン;アルキル;カルボキシル;その金属塩およびそのエステル;アセテートおよびそのエステル;ホルミル;アシル;アセチル基;ハロゲン化カルボニル;スルホおよびそのエステル;ハロゲン化スルホニル;スルフィノ;アルキルスルフィニル;カルバモイル;ハロゲン化アルキル;シアノ;アルコキシ;ヒドロキシおよびその金属塩;アミノ;ニトロ;アリール;アリールオキシ;アリールアルキル;ニトロソ;アセトアミド;またはビニルである。
【0055】
他の適切なヒドロキノン化合物の例は、これに限定されないが、ヒドロキノン;テトラクロロヒドロキノン;2−クロロヒドロキノン;2−ブロモヒドロキノン;2,5−ジクロロヒドロキノン;2,5−ジブロモヒドロキノン;テトラブロモヒドロキノン;2−メチルヒドロキノン;2−t−ブチルヒドロキノン;2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン;および2−(2−クロロフェニル)ヒドロキノンハイドレートを含む。
【0056】
より適切なヒドロキノン化合物はつぎの化学式で表される化合物およびその水和物を含む。
【化3】

【0057】
ここで、R、R、RおよびRの各々は、カルボキシルの金属塩;アセテートおよびそのエステル;ヒドロキシ;ヒドロキシの金属塩;アミノ;ニトロ;アリール;アリールオキシ;アリールアルキル;ニトロソ;アセトアミド;またはビニルである。
【0058】
適切なベンゾキノン化合物はつぎの化学式で表される化合物およびその水和物を含む。
【化4】

【0059】
ここで、R、R、RおよびRの各々は、水素;ハロゲン;アルキル;カルボキシル;その金属塩およびそのエステル;アセテートおよびそのエステル;ホルミル;アシル;アセチル基;ハロゲン化カルボニル;スルホおよびそのエステル;ハロゲン化スルホニル;スルフィノ;アルキルスルフィニル;カルバモイル;ハロゲン化アルキル;シアノ;アルコキシ;ヒドロキシおよびその金属塩;アミノ;ニトロ;アリール;アリールオキシ;アリールアルキル;ニトロソ;アセトアミド;またはビニルである。
【0060】
他の適切なベンゾキノン化合物は、つぎの化学式で表される1または複数の化合物およびその水和物を含む。
【化5】

【0061】
ここで、R、R、RおよびRの各々は、カルボキシルの金属塩;アセテートおよびそのエステル;ヒドロキシ;ヒドロキシの金属塩;アミノ;ニトロ;アリール;アリールオキシ;アリールアルキル;ニトロソ;アセトアミド;またはビニルである。
【0062】
適切なキンヒドロンは、つぎの化学式で表される1または複数の化合物およびその水和物を含む。
【化6】

【0063】
ここで、R、R、R、R、R、R、RおよびRの各々は、水素;ハロゲン;アルキル;カルボキシル;カルボキシルの金属塩およびそのエステル;アセテートおよびそのエステル;ホルミル;アシル;アセチル;ハロゲン化カルボニル;スルホおよびそのエステル;ハロゲン化スルホニル;スルフィノ;アルキルスルフィニル;カルバモイル;ハロゲン化アルキル;シアノ;アルコキシ;ヒドロキシおよびその金属塩;アミノ;ニトロ;、アリール;アリールオキシ;アリールアルキル;ニトロソ;アセトアミド;またはビニルである。
【0064】
他の適切なキンヒドロンは、上述の化学式を有するものである。ただし、R、R、R、R、R、R、RおよびRの各々は、カルボキシルの金属塩;アセテートおよびそのエステル;ヒドロキシ;ヒドロキシの金属塩;アミノ;ニトロ;アリール;アリールオキシ;アリールアルキル;ニトロソ;アセトアミド;またはビニルである。
【0065】
適切なカテコールはつぎの化学式で表される1または複数の化合物およびその水和物を含む。
【化7】

【0066】
ここで、R、R、RおよびRの各々は、水素;ハロゲン;アルキル;カルボキシル;その金属塩およびそのエステル;アセテートおよびそのエステル;ホルミル;アシル;アセチル基;ハロゲン化カルボニル;スルホおよびそのエステル;ハロゲン化スルホニル;スルフィノ;アルキルスルフィニル;カルバモイル;ハロゲン化アルキル;シアノ;アルコキシ;ヒドロキシおよびその金属塩;アミノ;ニトロ;アリール;アリールオキシ;アリールアルキル;ニトロソ;アセトアミド;またはビニルである。
【0067】
適切なレソルシノールはつぎの化学式で表される1または複数の化合物およびその水和物を含む。
【化8】

【0068】
ここで、R、R、RおよびRの各々は、水素;ハロゲン;アルキル;カルボキシル;その金属塩およびそのエステル;アセテートおよびそのエステル;ホルミル;アシル;アセチル基;ハロゲン化カルボニル;スルホおよびそのエステル;ハロゲン化スルホニル;スルフィノ;アルキルスルフィニル;カルバモイル;ハロゲン化アルキル;シアノ;アルコキシ;ヒドロキシおよびその金属塩;アミノ;ニトロ;アリール;アリールオキシ;アリールアルキル;ニトロソ;アセトアミド;またはビニルである。
【0069】
フィラーもコアの熱硬化性組成物に付加して組成物の密度を上方または下方に調整してよい。フィラーは、典型的には、タングステン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、金属、金属酸化物および塩、リグリンド(リサイクルしたコア材料であって典型的には約30メッシュの粒子に粉砕したもの)、高ムーニー粘度ゴムリグリンド、トランス−リグリンドコア材料(リサイクルしたコア材料であって、ポリブタジエンの高trans−アイソマーを含むもの)等を含む。trans−リグリンドがあるときは、trans−アイソマーの量は好ましくは約10%から約60%の間である。本発明の好ましい例では、コアは、約95%を超える内容量のcis−アイソマーを有するポリブタジエンと、フィラーとしてのtrans−リグリンド材料(すでに硫化されている)を含む。任意の粒子サイズのtrans−リグリンドコア材料で十分であるが、好ましくは、約125μm未満である。
【0070】
ゴルフボールの1部または多数の部分に添加するフィラーは、典型的には、レオロジー特性および混合特性に影響を与える処理助剤または化合物、密度調整用フィラー、引き裂き強度または強化用フィラー等を含む。フィラーは一般に無機物であり、適切なフィラーは多数の金属又は金属酸化物を含み、例えば酸化亜鉛及び酸化スズ、ならびに硫酸バリウム、硫酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、クレイ、タングステン、炭化タングステン、シリカのアレイ、及びこれらの混合物を含む。フィラーは種々の発泡剤又はブローイング剤を含むこともでき、当業者はこれらを容易に選択することができる。フィラーはポリマー、セラミック、金属で含んでよく、ガラスの微小球はソリッドでも空洞でもよく、充填しても充填しなくてもよい。フィラーも典型的にはゴルフボールの1部又は複数部分に添加されてその密度を調整し、均一なゴルフボール標準に適合させる。フィラーを使用してセンタ又は特別なボールのための少なくとも一つの追加的な層の質量を調整することもでき、例えば質量が小さいボールはスイング速度が小さい競技者に好ましいものである。
【0071】
タングステン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、金属、金属酸化物および塩、リグリンド(リサイクルしたコア材料であって典型的には約30メッシュの粒子に粉砕したもの)のような材料も適切なフィラーである。
【0072】
ポリブタジエンおよび/または任意の他のベースゴムまたはエラストマーシステムも、発泡処理され、あるいは、空洞の微小球または硬化処理中に設定温度で拡張する拡張可能微小球を充填して、任意の低比重レベルにしてよい。他の含有成分、例えば、硫黄促進剤、具体的には、テトラメチルチウラム、ジ、トリ、またはテトラスルフィド、および/または金属含有有機硫黄促進剤を本発明に従って使用してもよい。適切な金属含有有機硫黄促進剤は、これに限定されないが、ジエチルジチオカルバメート、ジアミルジチオカルバメートおよびジメチルジチオカルバメートまたはこれらの混合物の、カドミウム、銅、鉛、およびルテニウム類似体を含む。他の含有成分、例えば処理助剤、具体的には、脂肪酸および/またはその金属塩、処理オイル、染料および顔料、ならびに、当業者に周知の他の添加物をこの発明によりそれらが用いられる目的を達成するのに十分な量だけ使用しても良い。
【0073】
この発明により規定される3つの好ましい実施例があり、これらは好ましくは「二重コア」を含むゴルフボールであり、この場合、内側コアおよび外側コア層の双方が「負」の硬度勾配を伴い、オプションとしてゼロ勾配である。第1の好ましい実施例、すなわち「低スピン」の実施例において、外側コア層の内側表面は内側コアの外側表面より硬い。第2の好ましい実施例、すなわち「高スピン」の実施例において、外側コア層の内側表面は内側コアの外側表面より柔らかい。第3の好ましい実施例において、外側コア層の内側表面の硬度は内側コアの外側表面の硬度と実質的に一致し、外側コア層の外側表面から内側コアの中心に伸びる、連続した「負」の勾配を有効に実現する。
【0074】
「低スピン」の実施例において、内側コア(表面、中心、またはその他の任意の点)の硬度は、30ショアCから80ショアC、より好ましくは40ショアCから75ショアC、最も好ましくは45ショアCから70ショアCの範囲である。同時に、外側コア層(表面、内側表面、またはその他の任意の点)の硬度は、60ショアCから95ショアC、より好ましくは60ショアCから90ショアC、最も好ましくは65ショアCから80ショアCの範囲である。
【0075】
「高スピン」の実施例において、内側コアの硬度は、60ショアCから95ショアC、より好ましくは60ショアCから90ショアC、最も好ましくは65ショアCから80ショアCの範囲である。同時に、外側コア層の硬度は、30ショアCから80ショアC、より好ましくは40ショアCから75ショアC、最も好ましくは45ショアCから70ショアCの範囲である。
【0076】
外側コア層および内側コアのインターフェース(すなわち2つの要素が合う領域)が実質的に同一の硬度を伴う実施例において、「低スピン」または「高スピン」の実施例にいずれかのために実現される範囲も十分である。ただし、「負」の硬度勾配が維持され、外側コア層の内側表面の硬度値が内側コアの外側表面に硬度値におおよそ同一である必要がある。
【0077】
ここで開示される「負」の硬度勾配が存在する硬度領域を示す代表的なグラフが図2および図3に示される。具体的に上述の実施例におけるように、「負」の勾配は任意のスロープ(すなわち、深い勾配、浅い勾配、または実質的な平坦)を伴う。所定の実施例において、「負」の勾配に沿って測定された1点または複数の点が、勾配ならびに最も外側の点および最も内側の点に適合する線に対して上または下にあってもよい。代替的な好ましい実施例では、具体的な「負」の勾配に沿う最も硬い点が外側コアの最も内側の点(幾何中心)、または外側コア層の最も内側の点(内側表面)より大きくてもよい。最も外側の点(すなわち内側コアの外側表面)が最も内側の点(すなわち内側コアの幾何中心)とおよそ同一であるかそれより小さければ、「負」の勾配はそのまま維持される。
【0078】
多数の適切かつ代替的な「低スピン」の実施例があり、各々の実施例はゴルフボールの性能特性を可変させる。以下の3つの実施例の各々において、内側コアの外側径は好ましくは約1.00インチであり、コア(内側コアおよび外側コア層の組み合わせ)の外側径は好ましくは約1.53インチである。先に列挙した任意のカバー材料が適切と考えられ、内側カバーはあってもなくてもよい。好ましくは、内側カバー層が存在し、これはアイオノマーをベースにした材料、例えば硬度に中和されたアイオノマーからなり、好ましくは外側カバーはウレタンまたは尿素材料から製造される。
【0079】
a.内側コアおよび外側コア層から製造されたコアを具備するゴルフボール。
内側コアの中心の硬度は約42ショアCであり、表面の硬度は約37ショアCであり、この発明の「負」の硬度勾配を実現する。外側コア層の内側表面の硬度は約79ショアCであり、外側表面の硬度は約73ショアCであり、ここでも、この発明の「負」の硬度勾配を実現する。このコアのAtti圧縮は好ましくは約60であり、CORは約0.790である。酸化防止剤(AO)について、内側コアの開始剤レシオが約0.5であり、ZDAレベルが約8−10phrである。酸化防止剤について、外側コア層の開始剤レシオは約0.4であり、ZDAレベルは約32−34hprである。内側コアおよび外側コア層の双方の硬化温度および時間は約315°F(157°C)および11分である。
【0080】
b.内側コアおよび外側コア層から製造されたコアを具備するゴルフボール。
内側コアの中心の硬度は約56ショアCであり、表面の硬度は約55ショアCであり、この発明の「負」の硬度勾配を実現する。外側コア層の内側表面の硬度は約89ショアCであり、外側表面の硬度は約82ショアCであり、ここでも、この発明の「負」の硬度勾配を実現する。このコアのAtti圧縮は好ましくは約70であり、CORは約0.805である。酸化防止剤については、内側コアの開始剤レシオが約0.5であり、ZDAレベルが約10−12phrである。酸化防止剤について、外側コア層の開始剤レシオは約0.5であり、ZDAレベルは約34−36hprである。内側コアおよび外側コア層の双方の硬化温度および時間は約320°F(160°C)および11分である。
【0081】
c.内側コアおよび外側コア層から製造されたコアを具備するゴルフボール。
内側コアの中心の硬度は約46ショアCであり、表面の硬度は約44ショアCであり、この発明の「負」の硬度勾配を実現する。外側コア層の内側表面の硬度は約62ショアCであり、外側表面の硬度は約58ショアCであり、ここでも、この発明の「負」の硬度勾配を実現する。このコアのAtti圧縮は好ましくは約65であり、CORは約0.800である。酸化防止剤については、内側コアの開始剤レシオが約0.4であり、ZDAレベルが約8−10phrである。酸化防止剤について、外側コア層の開始剤レシオは約0.3であり、ZDAレベルは約26−28hprである。内側コアおよび外側コア層の双方の硬化温度および時間は約315°F(157°C)および11分である。
【0082】
多数の適切かつ代替的な「高スピン」の実施例があり、各々の実施例は、「低スピン」の実施例により実現されるゴルフボールの性能特性と異なる性能特性を可変させる。上述と同様に、以下の3つの実施例の各々において、内側コアの外側径は好ましくは約1.00インチであり、コア(内側コアおよび外側コア層の組み合わせ)の外側径は好ましくは約1.53インチである。
【0083】
a.内側コアおよび外側コア層から製造されたコアを具備するゴルフボール。
内側コアの中心の硬度は約74ショアCであり、表面の硬度は約71ショアCであり、この発明の「負」の硬度勾配を実現する。外側コア層の内側表面の硬度は約68ショアCであり、外側表面の硬度は約63ショアCであり、ここでも、この発明の「負」の硬度勾配を実現する。このコアのAtti圧縮は好ましくは約68であり、CORは約0.790である。酸化防止剤について、内側コアの開始剤レシオが約0.5であり、ZDAレベルが約28−30phrである。酸化防止剤について、外側コア層の開始剤レシオは約0.4であり、ZDAレベルは約12−14hprである。内側コアの硬化温度および時間は約320°F(160°C)および14分であり、外側コア層の硬化温度および時間は約320°F(160°C)および11分である。
【0084】
b.内側コアおよび外側コア層から製造されたコアを具備するゴルフボール。
内側コアの中心の硬度は約86ショアCであり、表面の硬度は約83ショアCであり、この発明の「負」の硬度勾配を実現する。外側コア層の内側表面の硬度は約61ショアCであり、外側表面の硬度は約57ショアCであり、ここでも、この発明の「負」の硬度勾配を実現する。このコアのAtti圧縮は好ましくは約74であり、CORは約0.800である。酸化防止剤については、内側コアの開始剤レシオが約0.4であり、ZDAレベルが約33−35phrである。酸化防止剤について、外側コア層の開始剤レシオは約0.5であり、ZDAレベルは約11−13hprである。内側コアの硬化温度および時間は約320°F(160°C)および14分であり、外側コア層の硬化温度および時間は約315°F(157°C)および11分である。
【0085】
c.内側コアおよび外側コア層から製造されたコアを具備するゴルフボール。
内側コアの中心の硬度は約65ショアCであり、表面の硬度は約61ショアCであり、この発明の「負」の硬度勾配を実現する。外側コア層の内側表面の硬度は約52ショアCであり、外側表面の硬度は約49ショアCであり、ここでも、この発明の「負」の硬度勾配を実現する。このコアのAtti圧縮は好ましくは約62であり、CORは約0.785である。酸化防止剤については、内側コアの開始剤レシオが約0.5であり、ZDAレベルが約22−27phrである。酸化防止剤について、外側コア層の開始剤レシオは約0.5であり、ZDAレベルは約9−11hprである。内側コアの硬化温度および時間は約315°F(157°C)および14分であり、外側コア層の硬化温度および時間は約315°F(157°C)および11分である。
【0086】
代替的な実施例は、内側コアの外側表面に硬度が全体として55ショアCから80ショアCの範囲であり、かつ内側コアの幾何中心の硬度が全体として45ショアCから62ショアCであり、「正の硬度勾配」が10から20の大きさになるゴルフボールを含む。この実施例では、外側コア層の外側表面に硬度が全体として58ショアCから82ショアCの範囲であり、かつ外側コア層の内側表面の硬度が全体として62ショアCから89ショアCであり、「負の硬度勾配」が0から−10の大きさになる。
【0087】
さらに、内側コアの外側表面に硬度が65ショアCから85ショアCの範囲であり、かつ内側コアの幾何中心の硬度が55ショアCから80ショアCであり、「正の硬度勾配」が10から20の大きさになってよい。この実施例では、外側コア層の外側表面に硬度が全体として49ショアCから63ショアCの範囲であり、かつ外側コア層の内側表面の硬度が全体として52ショアCから68ショアCであり、「負の硬度勾配」が0から−10の大きさになる。
【0088】
上述の実施例は予め定められた性能特性を満たすために適合化されてよい。例えば、代替的な実施例は、外側直径が約0.250インチから約1.550インチ、好ましくは約0.500インチから約1.500インチ、より好ましくは約0.750インチから約1.400インチの内側コアを具備するものを含む。好ましい実施例では、内側コアの外側直径は約1.000インチ、1.200インチ、または1.300インチであり、最も好ましい外側直径は1.130インチである。外側コア層の外側直径(トータルの二重コア)は約1.30インチから約1.620インチ、好ましくは約1.400インチから約1.600インチ、より好ましくは約1.500インチから約1.590インチである。好ましい実施例では、外側コア層の外側直径は約1.510インチ、1.530インチであり、また最も好ましくは1.550インチである。
【0089】
以下の表1に説明される調合および硬化サイクルに基づいて多数のコアが製造され、そのコア硬度値が以下の表2に報告され、図1にプロットされる。
【表1】

(*)VANOX MBPC:R.T.Vanderbiltから入手可能な2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)
(**)TRIGONOX 265−50B:Akzo Nobelから入手可能な非活性キャリア上で50%活性な1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンの混合物
(***)Perkadox BC−FF:Akzo Nobelから入手可能なジクミルペルオキシド(99%−100%活性)
(+)SR−526:Sartomerから入手可能なZDA
【表2】

【0090】
コアの表面硬度は、コアの対抗する半球から取った多数の測定の平均から取得され、コアの分離線または表面欠陥、例えば穴または突起の上の測定を行わないように配慮する。硬度の測定はASTM D−2240「デュロメータによるゴムおよびプラスチックの凹み硬度」に従ってなされる。コアは曲面なので、表面硬度が読み取られる前にコアをデュロメータインデンタの真下に中心づけられるようにコアを扱う必要がある。0.1単位まで読みとることが可能な較正済みの1つのデジタルデュロメータをすべての硬度測定に用い、最大の読みが得られた後1秒後に硬度の読みを取得するように設定した。デジタルデュロメータはその脚部を平行にし自動スタンドの基部に取り付け、デュロメータ上の重量およびアタック速度がASTM D−2240に適合するようにしなければならない。
【0091】
コアの硬度勾配測定を準備するために、内部直径がコアの直径より若干小さい半球状のホルダ中にコアをやさしく押し込み、コアがホルダの半球部分に静止して保持され、同時にコアの幾何中心面が露出されるようになす。コアは摩擦によりホルダ中に固定され、切断および研磨ステップ中に動かないようにする。ただし、摩擦が過剰でなくコアの自然な形状が変形しないようになす。コアの分離線がホルダの頂部とおよそ平行になるようにコアを固定する。コアを固定する前にコアの直径をこの配位に対して90°で測定する。また、ホルダの底からコアの頂部までの距離を測定して将来の較正のための基準点を得る。コアの露出された幾何中心の若干上で、コアがこのステップ中にホルダ内で動かないようにしながら、帯ノコまたは他の適切な切断ツールを用いて、大まかに切断する。ホルダ内に依然として保持されているコアの残りの部分が表面研磨機のベース板に固定される。露出されている「粗い」コア表面が平滑で平坦な表面に研磨され、コアの幾何中心が現れるようにし、この幾何中心はホルダの底からコアの露出表面までの高さを測定して検証できる。これによりコアのオリジナルの高さのちょうど半分が、+−0.004インチの範囲内で除去されたことを確実にする。
【0092】
コアをホルダ内に保持して、コアの中心を芯出し定規で見いだし、注意して印付けし、この中心印で硬度を測定する。コアの中心から任意の距離での硬度測定を、中心から径方向外側に伸びる線を引き、中心からの距離を典型的には2mmの増分で測定し、印付けすることにより行う。幾何中心を通る面の上ですべての硬度測定が実行されても、コアは依然としてホルダの中にあり、その配位が乱されないようにし、測定面がホルダの底に常に平行になるようにする。コア上の任意の予め定められた点からの硬度差は、平均表面硬度から適切な基準点、例えば単一ソリッドコアについてはコアの中心の硬度を差し引いて計算し、中心より柔らかいコア表面が負の硬度勾配を有するようになす。
【0093】
表1および表2を参照すると、例1において、表面が中心硬度より10ショアCだけ小さく、コア中で最も大きな硬度の点より12ショアCだけ小さい。例3において、表面が中心硬度より5ショアCだけ小さく、コア中で最も大きな硬度の点より8ショアCだけ小さい。例2において、中心および表面の硬度値は等しく、コア中で最も柔らかい点は表面より10ショアCだけ小さい。
【0094】
表1に提示されるこの発明の例においては、硬化温度は305°F(152°C)から320°F(160°C)まで変化し、硬化時間は11から16分まで変化する。例1および例2のコア組成物はどう膣であり、硬化サイクルだけが変更されている。例3においては、酸化防止剤量は例1おより例2と同一であるけれども他の成分ならびに硬化サイクルが変更されている。さらに、酸化防止剤の開始剤に対する比が、例1および例2と例3では、0.50から0.57へと変化する。
【0095】
開始剤に対する酸化防止剤の比はコアの表面硬度を制御する1つの要素である。表2に示されるデータから、硬度勾配は、これに限定されないが、少なくとも、酸化防止剤および過酸化物の量、それらの比、および硬化サイクルに左右されることがわかる。酸化防止剤を多くすると、所望の圧縮を実現するためにその分多くの過酸化物開始剤が必要となることに留意されたい。
【0096】
図1において、比較例1〜3のコアがこの発明のコアと比較される。比較例1のコアの組成は表1に示され、硬化温度350°F(177°C)及び硬化時間11分の通常のコアサイクルを用いて硬化された。この発明のコアは、305°F(152°C)、14分、315°F(157°C)、11分の硬化サイクルを用いて製造された。これらコアの硬度勾配が測定され、以下の観察を行える。比較例のコアについては、予測したとおり、硬い表面から柔らかい中心という通常の勾配が明瞭に見いだすことができる。この発明のコアの勾配はお互いに実質的に同一の形状をとる。
【0097】
この発明の好ましい実施例において、表面におけるコアの硬度は中心におけるコアの硬度とたかだかほぼ同一であるか、あるいはこれより小さい。さらに、コアの中心硬度はコア中の最も硬い点でなくてよいが、すべての場合、これが少なくとも表面と同じかより硬いことが好ましい。さらに、コア中のいずれにあろうと最も小さな硬度が表面にある必要がない。いくつかの実施例において、最も小さな硬度値がコア表面の外寄り6mm内にある。ただし、表面硬度が依然として中心の硬度と等しいか、あるいは小さい限り、コア内の最も小さな硬度値が表面、または中心を除く、表面からの任意の点にあってよい。この発明においてはコアまたはコア層を通じて調合が同一であり、好ましい表面硬度を得るためになんら表面処理を施していない点に留意されたい。
【0098】
この発明のゴルフボールは種々の異なる慣用的なカバー材料(中間層および外側カバー層の双方)から製造してよいけれども、好ましいカバー材料は、これに限定されないが、以下のものを含む。
(1)ポリウレタン、例えば、ポリオールまたはポリアミンおよびジイソシアネートまたはポリイソシアネートおよび、/またはそれらのプレポリマーから準備されたもの、ならびに、米国特許第5,33,4673号、同第6,506,851号に開示されているもの。
(2)ポリ尿素、例えば、米国特許第5,484,870号および同第6,835,794号に開示されているもの。
(3)ウレタンまたは尿素セグメントを含む、ポリウレタン−尿素ハイブリッド、ブレンドまたはコポリマー。
適切なポリウレタン組成物は、少なくとも1つのポリイソシアネートと少なくとも1つの硬化剤との反応生成物を含む。硬化剤は、例えば、1または複数のポリアミン、1または複数のポリオール、またはこれらの組み合わせを含んでよい。ポリイソシアネートは1または複数のポリオールと組み合わせてプレポリマーを形成しても良い。これは、上述の少なくとも1つの硬化剤と組み合わされる。このように、ここで説明されるポリオールは、ポリウレタン材料の1または双方の要素として適切である。すなわち、プレポリマーおよび硬化剤の一部として使用して好適である。適切なポリウレタンは米国特許出願公開第2005/0176526号に説明されており、その内容は参照してここに組み入れる。
【0099】
当業者が入手可能ないずれのポリイソシアネートもこの発明に従って使用するのに適切である。ポリイソシアネートの例示は以下を含むがこれに限定されない:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(”MDI”);ポリマーMDI;カルボジイミド−変性液状MDI;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(”H12MDI”);p−フェニレンジイソシアネート(”PPDI”);m−フェニレンジイソシアネート(”MPDI”);トルエンジイソシアネート(”TDI”);3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート(”TODI”);イソホロンジイソシアネート(”IPDI”);ヘキサメチレンジイソシアネート(”HDI”);ナフタレンジイソシアネート(”NDI”);キシレンジイソシアネート(”XDI”);p−テトラメチルキシレンジイソシアネート(”p−TMXDI”);m−テトラメチルキシレンジイソシアネート(”m−TMXDI”);エチレンジイソシアネート;プロピレン−1,2−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート;シクロヘキシルジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレン−ジイソシアネート(”HDI”);ドデカン−1,12−ジイソシアネート;シクロブタン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート;1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン;メチルシクロヘキシレンジイソシアネート;HDIのトリイソシアネート;2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネートのトリイソシアネート(”TMDI”);テトラセンジイソシアネート;ナフタレンジイソシアネート;アントラセンジイソシアネート;トルエンジイソシアネートのイソシアヌレート;ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン;及びこれらの混合物。ポリイソシアネートは、1以上のイソシアネート基、例えばジイソシアネート、トリイソシアネートおよびテトライソシアネートを有するものとして、当業者には知られている。好ましくは、ポリイソシアネートは、MDI、PPDI、TDI、又はこれらの混合物を含み、より好ましくはポリイソシアネートはMDIを含む。本明細書で使用する用語「MDI」は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリマーMDI、カルボジイミド変性液状MDI、及びこれらの混合物を意味し、かつさらに使用したジイソシアネートが「低遊離(low free)モノマー」であることができるとは「遊離」モノマーの量が低いイソシアネート基であること、典型的には遊離モノマー基の量が約0.1%より低いことを当業者が理解すると理解すべきである。「低遊離モノマー」ジイソシアネートの例は、これに限定されないが、低遊離モノマーMDI、低遊離モノマーTDI、及び低遊離モノマーPPDIである。
【0100】
少なくとも一つのポリイソシアネートは約14%より少ない未反応のNCO基を有することが必要である。好ましくは該少なくとも一つのポリイソシアネートは約7.5%より多くない、より好ましくは約7.0%より少ないNCOを有する。
【0101】
当業者が利用可能ないずれのポリオールも、この発明に従って使用するのに適している。ポリオールの例は、これに限定されないが、ポリエーテルポリオール、ヒドロキシ末端ポリブタジエン(部分的に/完全に水素添加した誘導体を含む)、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、及びポリカーボネートポリオールである。好ましい実施例では、ポリオールはポリエーテルポリオールを含む。その例は、これに限定されないが、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(「PTMEG」)、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、及びこれらの混合物である。炭化水素鎖は飽和又は不飽和結合及び置換又は未置換の芳香族及び環状基を有することができる。好ましくは、この発明のポリオールはPTMEGを含む。
【0102】
他の実施例では、この発明のポリウレタン材料にポリエステルポリオールが含まれる。適切なポリエステルポリオールは、これに限定されないが、ポリエチレンアジペートグリコール;ポリブチレンアジペートグリコール;ポリエチレンプロピレンアジペートグリコール;o−フタレート−1,6−ヘキサンジオール;ポリ(ヘキサメチレンアジーペート)グリコール;及びこれらの混合物である。炭化水素鎖は飽和又は不飽和結合、又は置換又は未置換の芳香族及び環状基を有することができる。
【0103】
他の実施例では、この発明のポリウレタン材料にポリカプロラクトンポリオールが含まれる。適切なポリカプロラクトンポリオールは、これに限定されないが、1,6−ヘキサンジオール−開始ポリカプロラクトン、ジエチレングリコール開始ポリカプロラクトン、トリメチロールプロパン開始ポリカプロラクトン、ネオペンチルグリコール開始ポリカプロラクトン、1,4−ブタンジオール開始ポリカプロラクトン、PTMEG開始ポリカプロラクトン、及びこれらの混合物である。炭化水素鎖は飽和又は不飽和の、又は置換又は未置換の芳香族及び環状基を有することができる。
【0104】
さらに他の実施例では、この発明のポリウレタン材料にポリカーボネートポリオールが含まれる。適切なポリカーボネートは、これに限定されないが、ポリフタレートカーボネート及びポリ(ヘキサメチレンカーボネート)グリコールである。炭化水素鎖は飽和又は不飽和結合、又は置換又は未置換芳香族及び環状基を有することができる。1実施例では、ポリオールの分子量は約200〜約4000である。
【0105】
ポリアミン硬化剤もこの発明のポリウレタン組成物中に使用して好適であり、製品ボールの耐切断性、耐剪断性、および耐衝撃性が改善することがわかっている。好ましいポリアミン硬化剤は、これに限定されないが、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及びこのアイソマー;3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン及びこのアイソマー、例えば3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミン;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジフェニルメタン;1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ベンゼン、4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン);4,4’−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)(”MCDEA”);ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート;N,N’−ジアルキルジアミノジフェニルメタン;p,p’−メチレンジアニリン(”MDA”);m−フェニレンジアミン(”MPDA”);4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン)(”MOCA”);4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)(”MDEA”);4,4’−メチレン−ビス−(2,3−ジクロロアニリン)(”MDCA”);4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン;2,2’−3,3’−テトラクロロジアミノジフェニルメタン;トリメチレングリコールジ−p−アミノベンゾエート;及びこれらの混合物である。好ましくはこの発明の硬化剤は、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及びそのアイソマー、例えばバトンルージュのアルバマール社(Albermarle Corporation of Baton Rouge,LA)から入手可能なEthacure(登録商標)300である。適切なポリアミン硬化剤は第1及び第2アミンの両者を含み、好ましくは、その分子量は約64〜約2000の範囲である。
【0106】
少なくとも一つのジオール、トリオール、テトラオール、又はヒドロキシ末端硬化剤を上述のポリウレタン組成物に添加することができる。適切なジオール、トリオール、及びテトラオール基は以下を含む:エチレングリコール;ジエチレングリコール;ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;低分子量ポリテトラメチレンエーテルグリコール;1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン;1,3−ビス−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼン;1,3−ビス−{2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}ベンゼン;1,4−ブタンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;レゾルシノール−ジ−(β−ヒドロキシエチル)エーテル;ヒドロキノン−ジ−(β−ヒドロキシエチル)エーテル;及びこれらの混合物である。好ましいヒドロキシ−末端硬化剤は1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン;1,3−ビス−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼン;1,3−ビス−{2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}ベンゼン;1,4−ブタンジオール、及びこれらの混合物である。好ましくは、ヒドロキシ−末端硬化剤の分子量は約48〜約2000の範囲である。ここで、分子量は、絶対重量平均文四郎であり、当業者が理解するとおりのものである。
【0107】
ヒドロキシ末端及びアミン硬化剤の両者は、一又は複数の飽和、不飽和、芳香族、及び環状基を含むことができる。さらに、ヒドロキシ末端及びアミン硬化剤は一又は複数のハロゲン基を含むことができる。ポリウレタン組成物を硬化剤のブレンド又は混合物によって製造することができる。しかしながら所望の場合には、ポリウレタン組成物を単一の硬化剤で製造することができる。
【0108】
この発明の好ましい実施例において、カバー層、特に外側カバー層を形成するのに使用する飽和ポリウレタンを注型可能な熱硬化性及び熱可塑性ポリウレタンの両者から選択することができる。
【0109】
この実施例において、この発明の飽和ポリウレタンは芳香族基又は部分を実質的に含まない。この発明に使用して好適な飽和ポリウレタンは、少なくとも1つのポリウレタンプレポリマーおよび少なくとも1つの飽和硬化剤の反応生成物である。ポリウレタンプレポリマーは少なくとも1つのポリオールおよび少なくとも1つの飽和ジイソシアネートの反応生成物である。当技術分野で周知のとおり、触媒を採用して硬化剤およびイソシアネートおよびポリオールの反応を促進させても良い。
【0110】
使用可能な飽和のジイソシアネートは、これに限定されないが、エチレンジイソシアネート;プロピレン−1,2−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(「HDI」);2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;ドデカン−1,12−ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;シクロブタン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート;1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン;イソホロンジイソシアネート;メチルシクロヘキシレンジイソシアネート;HDIのトリイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネートのトリイソシアネートを含む。最も好ましい飽和ジイソシアネートは4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートである。
【0111】
この発明で使用するのに適した飽和ポリオールは、これに限定されないが、ポリエーテルポリオール、例えばポリテトラメチレンエーテルグリコール及びポリ(オキシプロピレン)グリコールである。適切な飽和ポリステルポリオールは、ポリエチレンアジペートグリコール、ポリエチレンプロピレンアジペートグリコール、ポリブチレンアジペートグリコール、ポリカーボネートポリオール及びエチレンオキシドでキャップしたポリオキシプロピレンジオールである。この発明で有用な飽和ポリカプロラクトンポリオールは、ジエチレングリコール開始ポリカプロラクトン、1,4−ブタンジオール開始ポリカプロラクトン、1,6−ヘキサンジオール開始ポリカプロラクトン;トリメチロールプロパン開始ポリカプロラクトン、ネオペンチルグリコール開始ポリカプロラクトン、およびポリテトレメチルエーテルグリコール開始ポリカプロラクトンである。最も好ましい飽和ポリオールはPTMEG及びPTMEG開始ポリカプロラクトンである。
【0112】
適切な飽和硬化剤は、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、プロピレングリコール;トリメタノールプロパン;テトラ−(2−ヒドロキシプロピル)−エチレンジアミン;シクロヘキシルジメチロールのアイソマーのアイソマー及び混合物、シクロヘキサンビス(メチルアミン)のアイソマーのアイソマー及び混合物;トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン;2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン;ジエチレングリコールジ−(アミノプロピル)エーテル;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタン;1,2−ビス−(sec−ブチルアミノ)シクロヘキサン;1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)シクロヘキサン;イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、1−メチル−2,4−シクロヘキシルジアミン、1−メチル−2,6−シクロヘキシルジアミン、1,3−ジアミノプロパン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、イミド−ビス−プロピルアミン、ジアミノシクロヘキサンのアイソマーのアイソマー及び混合物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、及びジイソプロパノールアミン。最も好ましい飽和硬化剤は1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキシルジメチロール及び4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタンである。
【0113】
代替的には、他の適切なポリマーは、部分的にまたは十分に中和されたアイオノマー、メタローセン、または他のシングルサイト触媒ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、非アイオノマー性熱可塑性エラストマー、コポリエーテル−エステル、コポリエーテル−アミド、ポリカーボネート、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリスチレンブロックコポリマー(例えばスチレン−ブタジエン−スチレン)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン等、およびこれらのブレンドを含む。熱硬化性ポリウレタンまたはポリ尿素はこの発明のゴルフボールの外側カバー層として適切である。
【0114】
さらに、ポリウレタンをポリ尿素材料に替えて、またはブレンドしてよい。ポリ尿素は、明らかにポリウレタン組成物と異なるが、ゴルフボール部品に用いられるときには所望の空力特性や美観特性をもたらす。ポリ尿素ベースの組成物は好ましくはその性質上飽和である。
【0115】
特定の理論に拘束されるものではないが、ポリウレタンプレポリマー中の長鎖ポリオールセグメントを長鎖ポリエーテルジアミンオリゴマーソフトセグメントで置換してポリ尿素プレポリマーを形成することにより、せん断性、切断性及び反発弾性が改良され、かつ他の成分に対する接着性が改良されると、現在考えられている。したがって、この発明のポリ尿素組成物はイソシアネートと硬化剤により架橋されたポリアミンプレポリマーとの反応生成物からなる。例えば、この発明のポリ尿素ベースの組成物は、少なくとも1つのイソシアネートと、少なくとも1つのポリエーテルアミンと、少なくとも1つのジオール硬化剤または少なくとも1つのジアミン硬化剤とから準備されてよい。
【0116】
当業者に利用可能な全てのポリアミンが、このポリ尿素プレポリマー中に使用して好適である。ポリエーテルアミンはとくにプレポリマー中で好適である。ここでは、用語「ポリエーテルアミン」は、ポリエーテル主鎖の末端に結合した第1アミノ基を含むポリオキシアルキレンアミンを少なくとも意味する。しかしながら、イソシアネートとアミンの反応が早く、かつ多くの尿素生成物が不溶性であることから、ジアミンとポリエーテルアミンの選択は、ポリ尿素プレポリマーの形成を可能にするものに限られる。1実施例では、ポリエーテル主鎖は、テトラメチレン、プロピレン、エチレン、トリメチロールプロパン、グリセリン、及びこれらの混合物に基づく。
【0117】
適切なポリエーテルアミンは、これに限定されないが、ポリテトラメチレンエーテルジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリ(エチレンオキシド末端オキシプロピレン)エーテルジアミン、トリエチレングリコールジアミン、プロピレンオキシドをベースとするトリアミン、トリメチロールプロパンをベースとするトリアミン、グリセリンをベースとするトリアミン、及びこれらの混合物である。1実施例では、プレポリマーを製造するために使用するポリエーテルアミンはJEFFAMINE(商標) D2000(Huntsman社製、オースチン、テキサス)である。
【0118】
ポリ尿素プレポリマーに使用するポリエーテルアミンの分子量は約100〜約5000の範囲にある。1実施例では、ポリエーテルアミンの分子量は約230又はそれより大きい。他の実施例では、ポリエーテルアミンの分子量は約4000又はそれより小さい。さらに他の実施例では、ポリエーテルアミンの分子量は約600又はそれより大きい。さらに他の実施例では、ポリエーテルアミンの分子量は約3000又はそれより小さい。さらに他の実施例では、ポリエーテルアミンの分子量は約1000〜約3000であり、より好ましくは約1500〜約2500である。ポリエーテルアミンの分子量が低いと固形ポリ尿素を形成しがちであるので、大きい分子量のオリゴマー、たとえばJEFFAMINE D2000が好ましい。
【0119】
先に簡単に述べたように、アミンとイソシアネートとの反応が早いために、多くのアミンはイソシアネートとの反応に不適切である。特に短鎖のアミンは早く反応する。しかしながら、1実施例において、立体障害を有する第2ジアミンはプレポリマーで使用するのに適している可能性がある。いずれの特定の理論に束縛されるものではないが、高度の立体障害を有するアミン、例えば窒素原子に結合した第3ブチル基を有するアミンは、障害がないか又はその程度が低いアミンより反応速度が遅くなると考えられる。例えば、4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタン(CLEARLINK(商標) 1000)は、イソシアネートと組み合わせてポリ尿素プレポリマーを製造するのに適している可能性がある。
【0120】
当業者が利用可能ないずれのイソシアネートも、ポリ尿素プレポリマー中に使用して好適である。本発明で使用するイソシアネートは、分子当たり2又はそれより多いイソシアネート(NCO)基を有する脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族、これらのいずれかの誘導体、及びこれらの化合物の組合せを含む。イソシアネートは、有機ポリイソシアネート末端プレポリマー、低級遊離イソシアネート、及びこれらの混合物であることができる。イソシアネートを含む反応性の成分はいずれのイソシアネート官能性単量体、二量体、三量体、又はこれらの多量体付加物、プレポリマー、疑似プレポリマー、又はこれらの混合物を含むことができる。イソシアネート官能性化合物は、モノイソシアネート又は2又はそれより多いイソシアネート官能基を含むポリイソシアネートを含むことができる。
【0121】
適切なイソシアネートを含む成分は以下の一般式を有するジイソシアネートを含む:O=C=N−R−N=C=O、式中Rは好ましくは約1〜約20の炭素原子を含む環状、芳香族、又は直鎖若しくは分岐した炭化水素部分である。ジイソシアネートはさらに一又は複数の環状基又は一又は複数のフェニル基を含むこともできる。多環式基又は芳香族基が存在する場合、環状基又は芳香族基の間のスペーサーとして、約1〜約10の炭素原子を含む直鎖及び/又は分岐した炭化水素が存在することができる。ある場合には、環状基又は芳香族基は2−、3−、及び/又は4−位、又はオルト−、メタ−及び/又はパラ−位においてそれぞれ置換されていてもよい。置換した基は、これに限定されないが、ハロゲン、第1、第2、又は第3炭化水素基、又はこれらの混合物である。
【0122】
この発明で使用することができるジイソシアネートの例は、これに限定されないが、2,2’−、2,4’−、及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを含む置換した及び異性体混合物;3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート;トルエンジイソシアネート;ポリマーMDI;カルボジイミド−変性液状4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート;パラ−フェニレンジイソシアネート;メタ−フェニレンジイソシアネート;トリフェニルメタン−4,4’−及びトリフェニルメタン−4,4”−トリイソシアネート;ナフチレン−1,5−ジイソシアネート;2,4’−、4,4’−、及び2,2−ビフェニルジイソシアネート;ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート;MDIとPMDIの混合物;PMDIとTDIの混合物;エチレンジイソシアネート;プロピレン−1,2−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,2−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,3−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート;オクタメチレンジイソシアネート;デカメチレンジイソシアネート;2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;ドデカン−1,12−ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;シクロブタン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,2−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート;メチル−シクロヘキシレンジイソシアネート;2,4−メチルシクロヘキサンジイソシアネート;2,6−メチルシクロヘキサンジイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネート;2,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネート;1,3,5−シクロヘキサントリイソシアネート;イソシアネートメチルシクロヘキサンイソシアネート;1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン;イソシアネートエチルシクロヘキサンイソシアネート;ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサンジイソシアネート;4,4’−ビス(イソシアネートメチル)ジシクロヘキサン;2,4’−ビス(イソシアネートメチル)ジシクロヘキサン;イソホロンジイソシアネート;HDIのトリイソシアネート;2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネートのトリイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;2,4−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;2,6−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;1,2−、1,3−、及び1,4−フェニレンジイソシアネート;芳香族脂肪族イソシアネート、例えば1,2−、1,3−、及び1,4−キシレンジイソシアネート;メタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート;パラ−テトラメチルキシレンジイソシアネート;いずれかのポリイソシアネートの三量化したイソシアヌレート、例えばトルエンジイソシアネートのイソシアヌレート、ジフェニルメタンジイソシアネートの三量体、テトラメチルキシレンジイソシアネートの三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、及びこれらの混合物;いずれかのポリイソシアネートの二量化したウレジオン、例えばトルエンジイソシアネートのウレトジオン、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン、及びこれらの混合物;上記のイソシアネート及びポリイソシアネートから誘導した変性したポリイソシアネート;及びこれらの混合物である。
【0123】
この発明で使用することができる飽和ジイソシアネートの例は、これに限定されないが、エチレンジイソシアネート;プロピレン−1,2−ジイソシアネート;テトラメチレン−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート;オクタメチレンジイソシアネート;デカメチレンジイソシアネート;2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;ドデカン−1,12−ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;シクロブタン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,2−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート;メチル−シクロヘキシレンジイソシアネート;2,4−メチルシクロヘキサンジイソシアネート;2,6−メチルシクロヘキサンジイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネート;2,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネート;1,3,5−シクロヘキサントリイソシアネート;イソシアネートメチルシクロヘキサンイソシアネート;1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン;イソシアネートエチルシクロヘキサンイソシアネート;ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサンジイソシアネート;4,4’−ビス(イソシアネートメチル)ジシクロヘキサン;2,4’−ビス(イソシアネートメチル)ジシクロヘキサン;イソホロンジイソシアネート;HDIのトリイソシアネート;2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネートのトリイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;2,4−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;2,6−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;及びこれらの混合物を含む。芳香族脂肪族イソシアネートも光安定な物質を製造するために使用することができる。これらのイソシアネートの例は以下を含む:1,2−、1,3−、及び1,4−キシレンジイソシアネート;メタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(m−TMXDI);パラ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(p−TMXDI);いずれかのポリイソシアネートの三量化したイソシアヌレート、例えばトルエンジイソシアネートのイソシアヌレート、ジフェニルメタンジイソシアネートの三量体、テトラメチルキシレンジイソシアネートの三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、及びこれらの混合物;いずれかのポリイソシアネートの二量化したウレジオン、例えばトルエンジイソシアネートのウレトジオン、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン、及びこれらの混合物;上記のイソシアネート及びポリイソシアネートから誘導した変性したポリイソシアネート;及びこれらの混合物である。さらに、芳香族脂肪族イソシアネートを、本発明の目的にために、先に挙げた飽和イソシアネートのいずれかと混合することができる。
【0124】
イソシアネートとポリエーテルアミンのポリ尿素プレポリマーにおける未反応のNCO基の数を変化させて、反応の速度、得られた組成物の硬度等の因子を制御することができる。例えば、イソシアネートとポリエーテルアミンのポリ尿素プレポリマーにおける未反応のNCO基の数を約14%より小さくすることができる。1実施例では、ポリ尿素プレポリマーは約5%〜約11%の未反応のNCO基を有し、より好ましくは約6%〜約9.5%の未反応のNCO基を有する。1実施例では、未反応のNCO基の割合は約3%〜約9%である。代替的には、未反応のNCO基の割合は約7.5%又はそれより低く、より好ましくは約7%又はそれより低い。他の実施例では、未反応のNCO基の割合は約2.5%〜約7.5%、より好ましくは約4%〜約6.5%である。
【0125】
生成された状態で、ポリ尿素プレポリマーが、プレポリマーの約10重量%から約20重量%の遊離イソシアネートモノマーを含んでもよい。この結果、1実施例では、ポリ尿素プレポリマーから遊離イソシアネートモノマーを除去しても良い。例えば、除去後、プレポリマーは1%またはそれ未満の遊離イソシアネートモノマーを含むことになる。他の実施例では、プレポリマーは約0.5重量%または逸れ未満の遊離イソシアネートモノマーを含んでよい。
【0126】
ポリエーテルアミンを追加のポリオールとブレンドしてコポリマーを形成し、これを過剰のイソシアネートと反応させてポリ尿素プレポリマーを製造することもできる。1実施例では、コポリマーの約30重量%より少ないポリオールを飽和ポリエーテルアミンとブレンドする。他の実施例では、コポリマーの約20重量%より少ない、好ましくはコポリマーの約15重量%より少ないポリオールを、飽和ポリエーテルアミンとブレンドする。当業者に利用可能ないずれかの飽和ポリオール、例えばポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、炭化水素ポリオール、他のポリオール、及びこれらの混合物が、本発明に従ってブレンドするのに適している。これらのポリマーの分子量は約200〜約4000であることができるが、約1000〜約3000であることができ、より好ましくは約1500〜約2500であることができる。
【0127】
ポリ尿素組成物を、ポリ尿素プレポリマーを単一の硬化剤またはそのブレンドで架橋して製造することができる。この発明で使用する硬化剤は、好ましくは、アミン−末端硬化剤、より好ましくは第2ジアミン硬化剤であり、これにより、組成物が単一の尿素結合のみを含むようになる。1実施例では、アミン−末端硬化剤の分子量は約64又はそれより大きい。他の実施例では、アミン−末端硬化剤の分子量は約2000又はそれより小さい。上述のとおり、所定のアミン−末端硬化剤を互換性のあるアミン−末端凝固点降下剤またはその混合物により改質してもよい。
【0128】
適切なアミン−末端硬化剤は、これに限定されないが、エチレンジアミン;ヘキサメチレンジアミン;1−メチル−2,6−シクロヘキシルジアミン;テトラヒドロキシプロピレンエチレンジアミン;2,2,4−及び2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタン;1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)−シクロヘキサン;1,2−ビス−(sec−ブチルアミノ)−シクロヘキサン;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタンの誘導体;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン;1,4−シクロヘキサン−ビス−(メチルアミン);1,3−シクロヘキサン−ビス−(メチルアミン);ジエチレングリコールジ−(アミノプロピル)エーテル;2−メチルペンタメチレン−ジアミン;ジアミノシクロヘキサン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;プロピレンジアミン;1,3−ジアミノプロパン;ジメチルアミノプロピルアミン;ジエチルアミノプロピルアミン;イミド−ビス−プロピルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン;トリエタノールアミン;モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン;イソホロンジアミン;4,4’−メチレンビス−(2−クロロアニリン);3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン;3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミン;3,5−ジエチルチオ−2,4−トルエンジアミン;3,5−ジエチルチオ−2,6−トルエンジアミン;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジフェニルメタン及びその誘導体;1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ベンゼン;1,2−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ベンゼン;N,N’−ジアルキルアミノ−ジフェニルメタン;トリメチレングリコール−ジ−アミノベンゾエート;ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート;4,4’−メチレンビス−(3−クロロ−2,6−ジエチレンアニリン);4,4’−メチレンビス−(2,6−ジエチルアニリン);メタ−フェニレンジアミン;パラ−フェニレンジアミン;シクロヘキシルジメトール;及びこれらの混合である物。1実施例では、アミン−末端硬化剤は4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタンである。
【0129】
適切な飽和アミン−末端硬化剤は、これに限定されないが、エチレンジアミン;ヘキサメチレンジアミン;1−メチル−2,6−シクロヘキシルジアミン;テトラヒドロキシプロピレンエチレンジアミン;2,2,4−及び2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタン;1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)−シクロヘキサン;1,2−ビス−(sec−ブチルアミノ)−シクロヘキサン;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタンの誘導体;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン;1,4−シクロヘキサン−ビス−(メチルアミン);1,3−シクロヘキサン−ビス−(メチルアミン);ジエチレングリコールジ−(アミノプロピル)エーテル;2−メチルペンタメチレン−ジアミン;ジアミノシクロヘキサン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;プロピレンジアミン;1,3−ジアミノプロパン;ジメチルアミノプロピルアミン;ジエチルアミノプロピルアミン;イミド−ビス−プロピルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン;トリエタノールアミン;モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン;イソホロンジアミン;トリイソプロパノールアミン;及びこれらの混合物である。さらに、上記のポリエーテルアミンのいずれかを、ポリ尿素プレポリマーと反応させる硬化剤として使用することができる。
【0130】
ゴルフボールのセンターおよび任意の層は高度に中和されたポリマー(「HNP」)から製造できる。HNPの酸部分は、典型的にはエチレンを塩基にしたアイオノマーであり、好ましくは約70%より多く、より好ましくは約90%より多く、最も好ましくは少なくとも約100%中和されている。HNPも第2のポリマー成分とブレンドすることができ、この成分を、酸基を含む場合は、従来法に従って、本発明の有機脂肪酸(organic fatty acids)によって、又は両者によって中和することができる。第2のポリマー成分は、部分的に又は完全に中和されていてもよく、好ましくはアイオノマーコポリマー及びアイオノマーターポリマー、アイオノマー前駆体、熱可塑性物、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ尿素、熱可塑性エラストマー、ポリブタジエンゴム、バラタ、メタローセンで触媒したポリマー(グラフト化したもの及びグラフト化していないもの)、単一サイトポリマー、高結晶性酸ポリマー、カチオン性アイオノマー、等を含む。HNPポリマーの材料硬度は、典型的には、約20および約80ショアDの間であり、曲げ弾性率は約3,000psiおよび約200,000の間である。
【0131】
この発明の1実施例では、HNPは、アイオノマーおよび/またはその酸先駆体であり、これは、好ましくは完全にまたは部分的に有機酸コポリマーまたはその塩により中和されている。酸コポリマーは好ましくはα−オレフィン、例えばエチレン、C3−8 α,β−エチレン不飽和カルボン酸、例えばアクリルまたはメタクリル酸コポリマーである。これらはオプションとして軟化モノマー、例えばアルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートを含有してよい。ただし、アクリル基は1から8個の炭素原子を具備する。
【0132】
酸コポリマーをE/X/Yコポリマーと記載することができ、ここでEはエチレン、Xはα,β−エチレン系不飽和カルボン酸、かつYは柔軟化コモノマーである。好ましい態様では、Xはアクリル酸又はメタクリル酸であり、YはC1−8アルキルアクリレート又はメタクリレートエステルである。Xは好ましくはポリマーの約1〜約35重量%、より好ましくはポリマーの約5〜約30重量%、最も好ましくはポリマーの約10〜約20重量%の量で存在する。Yは好ましくはポリマーの約0〜約50重量%、より好ましくはポリマーの約5〜約25重量%、最も好ましくはポリマーの約10〜約20重量%の量で存在する。
【0133】
具体的な酸含有エチレンコポリマーは、これに限定されないが、エチレン/アクリル酸/n−ブチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/n−ブチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/イソ−ブチルアクリレート、エチレン/アクリル酸/イソ−ブチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/メチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/n−ブチルメタクリレート、エチレン/アクリル酸/メチルメタクリレート、エチレン/アクリル酸/メチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/メチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/メチルメタクリレート、および、エチレン/アクリル酸/n−ブチルメタクリレートである。好ましい酸含有エチレンコポリマーは、エチレン/メタクリル酸/n−ブチルアクリレート、エチレン/アクリル酸/n−ブチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/メチルアクリレート、エチレン/アクリル酸/エチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/エチルアクリレート、および、エチレン/アクリル酸/メチルアクリレートコポリマーである。最も好ましい酸含有エチレンコポリマーは、エチレン/(メタ)アクリル酸/n−ブチルアクリレート、エチレン/(メタ)アクリル酸/エチルアクリレート、およびエチレン/(メタ)アクリル酸/メチルアクリレートコポリマーである。
【0134】
アイオノマーは、典型的には、金属カチオン例えばLi、Na、Mg、K、Ca、またはZnにより中和される。十分な有機酸または有機酸の塩を、適切な塩基とともに、酸コポリマーまたはアイオノマーに添加することにより、アイオノマーが、加工性を損なうことなく、金属カチオンに対してよりかなり多くのレベルまで中和される。好ましくは、酸部分は約80%以上中和され、好ましくは90−100%中和され、最も好ましくは100%中和される。ただし、加工性を損なわない。これは、α,β−エチレン系不飽和カルボン酸コポリマーを例えば有機酸または有機酸の塩とともにメルトブレンドし、その後、十分な量のカチオン源を添加してすべての酸部分(酸コポリマーおよび有機酸の酸部分を含む)の中和レベルを90%を越えて(好ましくは100%を越えて)増大させることにより達成される。
【0135】
この発明の有機酸は、脂肪族、モノ−またはマルチ−官能性(飽和した、不飽和の、又は多不飽和の)有機酸である。これらの有機酸の塩も使用することができる。本発明の有機酸の塩は、バリウム、リチウム、ナトリウム、亜鉛、ビスマス、クロム、コバルト、銅、カリウム、ストロンチウム、チタン、タングステン、マグネシウム、セシウム、鉄、ニッケル、銀、アルミニウム、スズ、又はカルシウムの塩、脂肪酸の塩、特にステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、リノール酸又はこれらの二量化した誘導体の塩を含む。本発明の有機酸及び塩は相対的に非移行性(常圧下でポリマーの表面にブルーミングを生じないこと)でありかつ非揮発性(メルトブレンドに必要な温度で蒸発しないこと)であることが好ましい。
【0136】
この発明のアイオノマーは、また、より慣用的なアイオノマーでよく、すなわち金属カチオンで部分的に中和されても良い。酸コポリマーの酸部分は、カチオン、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、錫、亜鉛、アルミニウムまたはこれらの混合物により、約1から約100%、好ましくは、少なくとも約40から約100%、より好ましくは、少なくとも約90から約100%中和され、アイオノマーを生成する。
【0137】
好ましい実施例において、この発明の単一層コアは2つのカバー層に包囲され、内側カバー層の厚さは約0.01インチから約0.06インチ、より好ましくは約0.015インチから約0.040インチ、最も好ましくは約0.02インチから約0.035インチであり、当該内側カバー層は、ショアD硬度が約55より大きく、より好ましくは約60より大きく、最も好ましくは約65より大きな部分的にまたは十分に中和されたアイオノマーから製造される。この実施例において、外側カバー層の厚さは約0.015インチから約0.055インチ、より好ましくは約0.02インチから約0.04インチ、最も好ましくは約0.025インチから約0.035インチであり、しかも、その硬度が約ショアD60以下、より好ましくは約55以下、最も好ましくは約52以下でなければならない。内側カバー層は外側カバー層より硬くする必要がある。この実施例において、外側カバー層は部分的または十分に中和されたアイオノマー、ポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのブレンドを有する。最も好ましい外側カバー層は鋳造可能または反応性射出成型されたポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのハイブリッドであり、そのショアD硬度が約40から約50のものである。最も好ましい内側カバー層材料は、亜鉛、ナトリウム、またはリチウムで中和されたアイオノマーを有する部分的に中和されたアイオノマー、例えば、SURLYN(商標)8940、8945、9910、7930、7940またはこれらのブレンドで、ショアD硬度が約63から約68の者である。
【0138】
他の多層カバー、単一コアの実施例において、外側カバーおよび内側カバー層の材料および厚さは同一であるけれども、硬度範囲が反転されている。すなわち外側カバー層は内側カバー層より硬い。
【0139】
代替的な好ましい実施例において、ゴルフボールは、ディンプル表面を具備し、その表面硬度が中心の硬度以下である(すなわち負の硬度勾配)ワンピースゴルフボールである。好ましくは、ワンピースボールの直径は約1.680インチから約1.690インチ、その重量は約1.620オンス、そのAtti圧縮は約40から120、そのCORは約0.750〜約0.825である。
【0140】
好ましいツーピースボールの実施例において、負の硬度勾配を伴う単一層コアが、ショアD硬度が約20から約80、より好ましくは約40から約75、最も好ましくは約45から約70の単一層のカバー材料に封入され、熱可塑性または熱硬化性ポリウレタン、ポリ尿素、ポリアミド、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリエーテル−アミドまたはポリエステル−アミド、部分的または十分に中和されたアイオノマー、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンコポリマー、例えばエチレン−ブチルアクリレートまたはエチレン−メチルアクリレート、ポリ(エチレンメタクリル酸)コ−およびターポリマー、メタローセン触媒ポリオレフィン、極性基官能性ポリオレフィン、およびこれらのブレンドを有する。ツーピースの実施例において好ましいカバー材料は、硬度が約50から約70ショアDのアイオノマー(通常のもの、またはHNP)である。ツーピースの実施例において他の好ましいカバー材料は熱可塑性または熱硬化性のポリウレタンまたはポリ尿素である。好ましいアイオノマーは、エチレンとメタクリル酸またはアクリル酸のコポリマーを有し酸含有量が少なくとも16から約25重量パーセントである高酸アイオノマーである。この場合、比較的堅固な高酸のアイオノマーによりもたらされるスピンの減少が、スピンを増大させる負の勾配のコアによりある程度相殺される。コアの直径は約1.0インチから約1.64インチ、好ましくは約1.30インチから約1.620インチ、最も好ましくは約1.40インチから約1.60インチであってよい。
【0141】
他の好ましいカバー材料は鋳造可能、または反応性射出成型可能なポリウレタン、ポリ尿素、またはポリウレタン/ポリ尿素のコポリマーまたはハイブリッドを有する。好ましくは、このカバーは熱硬化性であるけれども、熱可塑性であってもよく、そのショアD硬度は約20から約70、より好ましくは約30から約65、最も好ましくは約35から約60である。水蒸気バリア層、例えば米国特許第6,632,147号、同第6,932,720号、同第7,004,854号、および同第7,182,702号に開示されているものをカバー層およびコアの間にオプションとして採用する。これら特許文献は参照してここに組み入れる。
【0142】
ここに示した実施例のいずれもいずれの既知のディンプル数およびパターンを伴ってよいけれども、ディンプルの好ましい数は252から456であり、より好ましくは330から392である。ディンプルは先行技術に開示された任意の幅、深さ、およびエッジ角度を伴って良く、パターンは異なる幅、深さおよびエッジ書くの複数のディンプルを有してよい。かかるパターンの分離線構造は、直線でも、互い違いの波状の分離線(SWPL:Staggered Wave Parting Line)でもよい。最も好ましくはディンプル数が330、332、または392であり5から7のディンプル寸法を伴い。分離線がSWPLである。
【0143】
これら実施例のいずれにおいても、単一層コアを2またはそれ以上の層からなるコアに置き換えてよい。ただし。少なくとも1つのコア層が負の硬度勾配を伴う。
【0144】
作業例における他の事柄、または、とくに明言しなくとも、すべての数値範囲、量、値、百分率、例えば材料の量についてのこれら、および明細書中の他のものは、たとえその値、量または範囲に関連して用語「約」が表示されていなくとも、「約」がその前に配置されているように読むことができる。したがって、そうでないと示されていない限り、明細書および特許請求の範囲に表される数のパラメータは近似的であり、これは、この発明により得られることが企図される所望の特性に応じて変化する。最低限でも、もちろん均等論の適用を制約するものではないが、各数のパラメータは記録されている有効数字の数や通常の丸め処理に照らして解釈されるべきである。
【0145】
この発明の広範な範囲を示す数的範囲およびパラメータは近似的であるけれども、具体例において示された数値は可能な限り正確に記録した。任意の数値は、それでも、それぞれのテスト計測に見いだされる標準偏差に必然的に起因する誤差を含む。さらに、種々のスコープの数値範囲が示される場合には、例示された値を含めた値の任意の組み合わせが利用できると理解されたい。
【0146】
ここに説明した発明の事例的な実施例はこの発明の好ましい実施例を満たすことは明らかであるが、種々の変更や他の実施例を当業者が想到できることを理解されたい。そのような変更の例は上述した数値の若干の変更を含む。したがって、上述の数値および特許請求の範囲の数値がそのような数値を含み、また上述した、また特許請求の範囲に記載した値に近似され、また非常に接近した値を含む。したがって、特許請求の範囲は、そのような変更や他の実施例をすべてカバーするように意図されており、この発明の精神およびスコープの範囲に入ると理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の外側表面および幾何中心を伴い、第1の実質的に均一な調合から全体として製造されてその硬度が60ショアCから90ショアCの内側コアと、
第2の外側表面および内側表面を伴い、第2の実質的に均一な調合から全体として製造されてその硬度が45ショアCから70ショアCの外側コア層と、
カバーとを有し、
上記幾何中心、上記第1および第2の外側表面、および上記内側表面が各々硬度を伴い、上記第1の外側表面の硬度が上記幾何中心の硬度より大きくて正の硬度勾配を形成し、かつ上記第2の外側表面の硬度が上記内側表面の硬度と実質的に同一かまたはこれより小さくて負の硬度勾配を形成するゴルフボール。
【請求項2】
上記内側コアは25phrから35phrの量のカルボン酸の金属塩を有し、かつ、上記外側コア層は10phrから25phrの量のカルボン酸の金属塩を有し、さらに上記外側コア層の酸化防止剤の開始剤に対する比が、100%活性に正規化されたときに、0.50以下である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項3】
上記酸化防止剤の開始剤に対する比が、0.40以下である請求項2記載のゴルフボール。
【請求項4】
上記開始剤が、100%活性で、0.25phrから5.0phrの量だけ存在し、上記酸化防止剤が0.2phrから1phrの量だけ存在する請求項2記載のゴルフボール。
【請求項5】
上記第1の外側表面の硬度が65ショアCから85ショアCであり、上記幾何中心の硬度が55ショアCから80ショアCであり、上記正の硬度勾配の大きさが10から20である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項6】
上記第2の外側表面の硬度が49ショアCから63ショアCであり、上記内側表面の硬度が52ショアCから68ショアCであり、上記負の硬度勾配の大きさが0から−10である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項7】
上記内側コアの外側直径が1.905cm(0.75インチ)から3.556cm(1.4インチ)であり、上記外側コア層の外側直径が3.81cm(1.5インチ)から4.039cm(1.59インチ)である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項8】
上記内側コアおよび上記外側コア層はジエンゴムおよびオプションの柔軟化・高速化剤を有する請求項1記載のゴルフボール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−196521(P2012−196521A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−139482(P2012−139482)
【出願日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【分割の表示】特願2008−199278(P2008−199278)の分割
【原出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(390023593)アクシュネット カンパニー (155)
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY