説明

二重ポリマー系を用いた制御可能な充填剤の事前綿状塊凝集

製紙プロセスにおいて用いる綿状塊に凝集した充填剤粒子の安定分散物の調製方法は、第一の綿状塊凝集剤を充填剤粒子の水分散物に添加すること、次いで分散物をせん断すること、次いで分散物に第二の綿状塊凝集剤を添加すること、及び更に生成した充填剤の綿状塊を所望の粒径にせん断することを含み、その結果として耐せん断性であり、定義され、かつ制御可能な粒度分布を有する充填剤の綿状塊がもたらされる。加えて、第一の綿状塊凝集剤を添加する前に、充填剤の電荷を部分的又は完全に中和するために、中和凝固剤を添加することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2007年9月12日に出願された係属中の米国特許出願第11/854,044号の部分継続出願である。
(連邦による補助金の言明)
該当せず。
【0002】
本発明は製紙において用いられる充填剤の事前の綿状塊凝集(preflocculation)に関し、より具体的には、高い充填剤固体において、定義され、かつ制御可能な粒度分布を有する、耐せん断性の充填剤の綿状塊の製造に関する。
【背景技術】
【0003】
印刷及び筆記用紙において充填剤含有量を増加させることは、製品の性質の向上と同時に原料費及びエネルギー費を削減することにおいて大変興味深い。しかしながら、セルロース繊維を炭酸カルシウム及び粘土のような充填剤で置換することは、完成シートの強度を低下させる。充填剤含有量が増加されたときの別の問題は、3次元のシート構造を通じた充填剤の均一な分布を維持することである。充填剤含有量の増加の、これらの否定的影響を削減するアプローチは、抄紙機のウエットエンドのアプローチ・システムに添加する前に、充填剤を予め凝集させることである。
【0004】
用語「事前の綿状塊凝集」(preflocculation)の定義は、凝固剤及び/又は凝集剤処理による充填剤粒子の塊への変更である。このプロセスの綿状塊凝集処理及びせん断力が、紙料に添加される前の綿状塊の粒度分布及び安定性を決定する。現代の高速製紙に存在する化学的環境及び高い流体せん断速度は、充填剤綿状塊が安定であり耐せん断性であることを要求する。事前綿状塊凝集処理により与えられる綿状塊の粒度分布は、充填剤含有量増加によるシート強度の低下を最小化し、充填剤粒子による光学効率の損失を最小化し、シートの均一性及び印刷性への悪影響を最小化すべきである。更に、全システムは経済的に実現可能でなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、高いせん断安定性、及び鋭い粒度分布の組み合わせが充填剤の事前綿状塊凝集技術の成功にとって死活的である。しかしながら、通常用いられるデンプンを含む低分子量凝固剤単独から形成された充填剤の綿状塊は、抄紙機の高いせん断力の下で破壊される比較的小さな粒径を持つ傾向がある。高分子量凝集剤単独から形成された充填剤の綿状塊は、制御が困難な幅広い粒度分布を持つ傾向があり、主に粘性の凝集剤溶液をスラリー中に混合することの困難性に起因して、この粒度分布はより高い充填剤固体レベルでより悪化する。従って、改善された事前の綿状塊凝集技術に対する継続中の需要が存在する。
【0006】
本章に記載される技術は、本明細書において引用されるいかなる特許、刊行物、又は情報も、そのように記載されない限り、本発明の「先行技術」であることの承認を構成することを意図するものではない。加えて、本章は、米国特許法施行規則第37条1.56(a)(37C.F.R.§1.56(a))に規定された検索が行われ、又は該当情報が存在しなかったものと解釈されるべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
少なくとも1つの実施形態が、製紙プロセスにおいて用いられる、特定の粒度分布を有する、綿状塊に凝集した充填剤粒子の安定分散物の調製方法を指向しており、その方法はa)充填剤粒子の水性分散物を提供する工程;b)充填剤粒子の顕著な綿状塊凝集を引き起こさずに、分散物に均一に混合するのに十分な量の第一の綿状塊凝集剤を分散物に加える工程;c)第一の綿状塊凝集剤の存在下で充填剤粒子の綿状塊凝集を開始するのに十分な量の第二の綿状塊凝集剤を分散物に添加する工程;及びd)所望の粒径を有する充填剤の綿状塊の分散物を提供するために、綿状塊に凝集した分散物を随意にせん断する工程、を含む。
【0008】
少なくとも1つの実施形態は、パルプから紙製品を製造する方法を指向しており、この方法は:水性セルロースの製紙原料を形成すること;本明細書に記載されるように調製された水性充填剤の綿状塊の分散物をこの原料に加えること;シート及びシートの乾燥のために原料から排水すること、を含む。製紙原料を形成すること、排水及び乾燥の工程は、一般的に当業者に周知の任意の従来の様式に従って実行できる。
【0009】
少なくとも1つの実施形態は、本明細書において記載されるように調製される充填剤の綿状塊を組み込んだ紙製品を指向している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
この後に、発明の詳細な説明が以下の特定の図面を参照して記載される。
【図1】図1は、綿状塊凝集反応のMCLの時間的な分解の図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願の目的のための、用語の定義は以下のとおりである:
「凝固剤」とは、凝集剤より高い電荷密度、及びより低い分子量を持つ物質の組成物であり、細かく分割され懸濁された粒子を含む液体に添加されたときに、イオン性電荷の中和により、固体を不安定化して凝集させるものを意味する。
【0012】
「凝集剤」とは、低い電荷密度及び高分子量(1,000,000を超過する)を有する物質の組成物であり、細かく分割され懸濁された粒子を含む液体に添加されたときに、粒子間の結合により、固体を不安定化して凝集させるものを意味する。
【0013】
「綿状塊凝集剤」とは、液体中のコロイド状の細かく分割され懸濁された粒子に添加されたときに、不安定化して凝集させる物質の組成物を意味し、凝集剤及び凝固剤は綿状塊凝集剤であることができる。
【0014】
「GCC」とは、粉末化された炭酸カルシウムを意味し、天然の炭酸カルシウム塊を粉末化して製造される。
【0015】
「PCC」は合成的に製造される沈降炭酸カルシウムを意味する。
【0016】
本発明において有用な充填剤は、よく知られた市販品である。それらは典型的には、不透明性または輝度を増加させ、滑らかさを増加させ、又は紙若しくは板紙のシートのコストを低下させるために用いられる、無機又は有機粒子若しくは顔料を含む。代表的な充填剤としては、炭酸カルシウム、カオリン粘土、タルク、二酸化チタン、アルミナ三水和物、硫酸バリウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。炭酸カルシウムは、乾燥又は分散されたスラリー形状のGCC、白亜(チョーク)、任意の形態のPCC、及び分散されたスラリー形状のPCCを含む。GCC及びPCCのスラリーのいくつかの例は、同時係属中の米国特許出願第12/323,976号に提供されている。分散されたスラリー形状のGCC又はPCCは、典型的にポリアクリル酸ポリマー分散剤又はポリリン酸ナトリウム分散剤を用いて製造される。これらの分散剤のそれぞれは、炭酸カルシウム粒子に顕著な陰イオン性電荷を付与する。カオリン粘土スラリーも、ポリアクリル酸ポリマー分散剤、又はポリリン酸ナトリウム分散剤を用いて分散され得る。
【0017】
実施形態では、前記充填剤は炭酸カルシウム、及びカオリン粘土並びにそれらの組み合わせから選ばれる。
【0018】
実施形態では、前記充填剤は、沈降炭酸カルシウム、粉末化炭酸カルシウム及びカオリン粘土、並びにそれらの混合物から選ばれる。
【0019】
前記第一の綿状塊凝集剤は、好適には、陽イオン性に荷電した充填剤とともに用いられるときには、陽イオン性ポリマー性凝集剤であり、陰イオン性に荷電した充填剤と用いられるときに陰イオン性である。しかしながら、それは高固体成分スラリーに顕著な綿状塊凝集を引き起こさず均一に混合する限り、陰イオン性、非イオン性、両性イオン性、両性であってよい。
【0020】
「顕著な綿状塊凝集を引き起こさずに」の定義は、第一の綿状塊凝集剤の存在下に充填剤の綿状塊凝集、又は綿状塊の形成がないことであり、綿状塊は第二の綿状塊凝集剤の添加により生成されるものより小さく、中程度のせん断条件に対して不安定である。中程度のせん断は、IKA RE16撹拌モーターで、5cmの直径の4つ刃のタービン羽根車を用いて、800rpmで600mLのビーカー中の300mLのサンプルを混合することにより与えられるせん断として定義される。このせん断は、現在の抄紙機のアプローチ・システムのものと同様である。
【0021】
適切な凝集剤は、一般的に1,000,000、しばしば5,000,000を超過する分子量を有する。
【0022】
前記ポリマー性凝集剤は、典型的には、1つ以上の陽イオン性、陰イオン性又は非イオン性モノマーのビニル付加重合、1つ以上の陽イオン性モノマーと1つ以上の非イオン性モノマーの共重合、1つ以上の陰イオン性モノマーと1つ以上の非イオン性モノマーの共重合、両性ポリマーの製造のためには、1つ以上の陽イオン性モノマーと1つ以上の陰イオン性モノマー及び随意に1つ以上の非イオン性とのモノマーの共重合により調製され、又は両性イオン性ポリマーの形成は、1つ以上の両性イオン性モノマー及び随意に1つ以上の非イオン性モノマーの重合による。陽イオン性又は陰イオン性電荷を両性イオン性ポリマーに付与するために、1つ以上の両性イオン性モノマー及び随意に1つ以上の非イオン性モノマーを、1つ以上の陰イオン性又は陽イオン性モノマーと共重合させることもできる。適切な凝集剤は、一般的に80モル%未満の、及びしばしば40モル%未満の電荷含有量を有する。
【0023】
陽イオン性ポリマー凝集剤は陽イオン性モノマーを用いて調製できる一方、陽イオン性に荷電したポリマーの製造のために、特定の非イオン性ビニル付加ポリマーを反応させることもできる。この種のポリマーとしては、ポリアクリルアミドとジメチルアミン及びホルムアルデヒドの反応によりマンニッヒ(Mannich)誘導体を生成する反応により調製されたものが挙げられる。
【0024】
同様に、陰イオン性ポリマー凝集剤は陰イオン性モノマーを用いて形成される一方、陰イオン性に荷電したポリマーを形成するために、特定の非イオン性ビニル付加ポリマーを修飾することも可能である。この種のポリマーは、例えば、ポリアクリルアミドの加水分解により調製されるものが挙げられる。
【0025】
前記凝集剤は、固定形状、水性溶液、油中水滴エマルション、又は水中分散物として調製され得る。代表的な陽イオン性ポリマーとしては、(メタ)アクリルアミドとジメチルアミノエチルメタアクリレート(DMAEM)、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、ジエチルアミノエチルアクリレート(DEAEA)、又はジエチルアミノエチルメタアクリレート(DEAEM)との共重合体及び三元重合体、又はそれらと硫酸ジメチル、塩化メチル又は塩化ベンジルとの反応により形成されるそれらの四級アンモニウム形態が挙げられる。代表的な陰イオン性ポリマーとしては、アクリルアミドと、アクリル酸ナトリウム及び/又は2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)との共重合体、又はアクリルアミド基をアクリル酸に変換するために加水分解された、アクリルアミドホモポリマーが挙げられる。
【0026】
実施形態では、前記凝集剤は少なくとも3dL/gのRSVを有する。
実施形態では、前記凝集剤は少なくとも10dL/gのRSVを有する。
実施形態では、前記凝集剤少なくとも15dL/gのRSVを有する。
【0027】
本明細書において用いられる「RSV」とは、換算比粘度の略である。実質的に直線状であり、及び良好に溶媒和された一連のポリマー同族体内では、Paul J.Flory著「Principles of ポリmer Chemistry」Cornell University Press、ニューヨーク州イサカ(Ithaca)(1953)の第7章、266〜316ページの「Determination of Molecular Weights」によると、希釈ポリマー溶液の「換算比粘度(RSV)」測定値は、ポリマー鎖長鎖長及び平均分子量の指標である。所与のポリマー濃度及び温度において、RSVは以下のように測定並びに計算される:
RSV=[(η/ηo)−l]/c
式中、η=ポリマー溶液の粘度、η0=同一温度での溶媒の粘度、及びc=溶液中のポリマーの濃度である。
【0028】
濃度「c」の単位は、(g/100mL又はg/デシリットル)である。従って、RSVの単位はdL/gとなる。他に特に規定がなければ、1.0モル濃度の硝酸ナトリウム溶液がRSVの測定に用いられる。この溶媒中のポリマー濃度は0.045g/dLである。RSVは摂氏30度測定される。粘度、η及びη0は、キャノン−ウブベローデセミ−マイクロ希釈粘度計サイズ75(Cannon Ubbelohde semi−micro dilution viscometer,粒径75)を用いて測定された。この粘度計は、30±0.02度Cに調整された恒温浴中で完全に垂直位置に設置された。本明細書に記載されるポリマーのRSVの計算に固有の典型的な誤差は約0.2dL/gである。同一シリーズ内の2つのポリマー同族体は、同様の分子量の指標である同様のRSVを有する。
【0029】
上記で議論したように、充填剤粒子の顕著な綿状塊凝集を引き起こさずに、分散物に均一に混合するのに十分な量の前記第一の綿状塊凝集剤が添加される。実施形態では、前記第一の綿状塊凝集剤の用量は処理される充填剤の1トン当たり0.2〜6.0lbである。実施形態では、凝集剤用量は処理される充填剤の1トン当たり0.4〜3.0lbである。本発明の目的のためにトン当たりポンド(lb/ton)は、2、000ポンドの充填剤当たり、1ポンドの活性ポリマー(凝固剤又は凝集剤)の単位用量を意味する。
【0030】
第二の綿状塊凝集剤は、第一の綿状塊凝集剤の存在下に充填剤の綿状塊凝集を開始する物質である。実施形態では、この第二の綿状塊凝集剤は、微小粒子、凝固剤、凝集剤及びそれらの混合物から選ばれる。
【0031】
適切な微小粒子は、シリカ性物質及びポリマー性微小粒子を含む。代表的なシリカ性物質としては、シリカを主成分とする粒子、シリカミクロゲル、コロイド状シリカ、シリカゾル、シリカゲル、多ケイ酸塩、陽イオン性シリカ、アルミノケイ酸塩、ポリアルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、ポリホウケイ酸塩、ゼオライト、及び合成又は天然由来の膨潤粘土が挙げられる。膨潤粘土は、ベントナイト、ヘクトライト、スメクタイト、モンモリロナイト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、モーマイト、アタパルジャイト、海泡石であってよい。
【0032】
本発明において有用なポリマー性微小粒子は、陰イオン性、陽イオン性、又は両性有機微小粒子を含む。これらの微小粒子は、典型的に限定された水溶性を有し、架橋されていてよく、及び750nm未満の非膨潤粒径を有する。
【0033】
陰イオン性有機微小粒子としては、米国特許第6,524,439号に記載されたもの、及びアクリルアミドポリマー微小粒子の加水分解により製造されたもの、又は(メタ)アクリル酸及びその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩、スルホエチル−(メタ)アクリレート、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、マレイン酸若しくは他の二塩基酸又はそれらの塩若しくはそれらの組み合わせのような陰イオン性モノマーの重合により製造されるものが挙げられる。これらの陰イオン性モノマーは、(メタ)アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、N−ビニルメチルアセトアミド、N−ビニルメチルホルムアミド、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、及びそれらの混合物のような非イオン性モノマーと共重合されることもできる。
【0034】
陽イオン性有機微小粒子としては、米国特許第6,524,439号に記載されたもの、及びジアルキルジアルキルアンモニウムハライド類、アクリルオキシアルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルアミノアルキル化合物の(メタ)アクリレート、及び塩並びに四級塩などのモノマー、並びにN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド及びそれらの酸又はN,N−ジメチルアミノエチルアクリレートの四級塩などのモノマーの重合により製造されるものが含まれる。これらの陽イオン性モノマーは、(メタ)アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、N−ビニルメチルアセトアミド、N−ビニルメチルホルムアミド、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、及びそれらの混合物などの非イオン性モノマーと共重合されることもできる。
【0035】
両性有機微小粒子は、上記に記載された陰イオン性モノマーの少なくとも1つ、上記に記載された陽イオン性モノマーの少なくとも1つ、及び、随意に、上記に記載された非イオン性モノマーの少なくとも1つの組み合わせの重合により製造される。
【0036】
有機微小粒子中のモノマーの重合は、典型的に多官能性架橋剤の存在下に行われる。これらの架橋剤は、米国特許第6,524,439号に記載されており、少なくとも2つの二重結合、1つの二重結合及び1つの反応基、又は2つの反応基を有する。これらの反応剤の例は、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、N−ビニルアクリルアミド、ジビニルベンゼン、トリアリルアンモニウム塩、N−メチルアリルアクリルアミドグリシジル(メタ)アクリレート、アクロレイン、メチロールアクリルアミド、グリオキサールなどのジアルデヒド、ジエポキシ化合物、及びエピクロルヒドリンである。
【0037】
実施形態では、微小粒子の用量は処理される充填剤1トン当たり0.5〜8lbである。実施形態では、微小粒子の用量は処理される充填剤1トン当たり1.0〜4.0lbである。
【0038】
適切な凝固剤は一般的に凝集剤より低い分子量を有し、及び高密度の陽イオン性電荷基を有する。本発明において有用な凝固剤は、よく知られた市販品として入手可能なものである。それらは無機物又は有機物である。代表的な無機凝固剤としては、ミョウバン、アルミン酸ナトリウム、ポリ塩化アルミニウム又はPAC(塩化水酸化アルミニウム(aluminum chlorohydroxide又はaluminum hydroxide chloride)、及びポリ塩化水酸化アルミニウム(polyaluminum hydroxychloride)とも呼ばれる)、硫酸化ポリ塩化アルミニウム、ポリケイ酸硫酸アルミニウム、硫酸第二鉄、塩化第二鉄など及びそれらの混合物が挙げられる。
【0039】
多くの有機凝固剤は、縮合重合により形成される。この種のポリマーの例は、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン(EPI−DMA)共重合体、及びアンモニアに架橋したEPI−DMA共重合体を含む。
【0040】
追加的な凝固剤としては、二塩化エチレン及びアンモニアのポリマー、又はアンモニアとともに、若しくはアンモニアなしでの二塩化エチレン及びジメチルアミンのポリマー、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミンなどの多官能性アミンと、二塩化エチレン又はアジピン酸多などの官能性酸との縮合ポリマー及びメラミンホルムアルデヒド樹脂などの縮合反応から形成されるポリマーが挙げられる。
【0041】
追加的な凝固剤としては、(メタ)アクリルアミド、ジアリル−N,N−二置換アンモニウムハライド、ジメチルアミノエチルメタアクリレート及びそれらの四級アンモニウム塩、ジメチルアミノエチルアクリレート及びその四級アンモニウム塩、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアリルメチル(β−プロピオンアミド)アンモニウムクロリド、(β−メタクリロキシエチル)トリメチルアンモニウムメチルサルフェート、四級化ポリビニルラクタム、ビニルアミンなどの、ポリマー、共重合体、及び三元重合体、並びにマンニッヒ又は四級マンニッヒ誘導体を製造するために反応されたアクリルアミド又はメタクリルアミドなどの陽イオン性に荷電したビニル付加ポリマーが挙げられる。適切な四級アンモニウム塩は、塩化メチル、ジメチル硫酸、又は塩化ベンジルを用いて製造できる。前記三元重合体は、ポリマーの合計荷電が陽イオン性である限り、アクリル酸又は2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸などの陰イオン性モノマーを含むことができる。これらのビニル付加及び縮合の両方のポリマーの分子量は、数百の低さから数百万の高さまでの範囲に及ぶ。
【0042】
第二の綿状塊凝集剤として有用な他のポリマーは、その化学的性質が上記の凝集剤において記載されている、陽イオン性、陰イオン性、又は両性ポリマーを含む。これらのポリマー及び凝集剤の間の区別は、主に分子量である。
【0043】
第二の綿状塊凝集剤は単独又は1つ以上の追加的な第二の綿状塊凝集剤と組み合わせて用いられる。実施形態では、第二の綿状塊凝集剤の添加の後で、1つ以上の微小粒子が綿状塊に凝集した充填剤スラリーに添加される。
【0044】
第一の綿状塊凝集剤の存在下で充填剤粒子の綿状塊凝集を開始するのに十分な量の第二の綿状塊凝集剤が分散物に添加される。実施形態では、第二の綿状塊凝集剤の用量は、処理される充填剤1トン当たり0.2〜8.0lbである。実施形態では、第二の成分の用量は、処理される充填剤1トン当たり0.5〜6.0lbである。
【0045】
実施形態では、追加的な綿状塊凝集及び/又は狭い粒度分布を提供するために、1つ以上の微小粒子を、せん断に先立って綿状塊に凝集した分散物に添加できる。
【0046】
実施形態では、第二の綿状塊凝集剤及び第一の綿状塊凝集剤は互いに逆に荷電している。
【0047】
実施形態では、第一の綿状塊凝集剤は陽イオン性であり、及び第二の綿状塊凝集剤は陰イオン性である。
【0048】
実施形態では、第一の綿状塊凝集剤は、アクリルアミドとジメチルアミノエチルメタアクリレート(DMAEM)又はジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)及びそれらの混合物との共重合体から選ばれる。
【0049】
実施形態では、第一の綿状塊凝集剤は、5〜50モル%の陽イオン性荷電含有量及びan15dL/gを超えるRSVを有する、アクリルアミド及びジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)の共重合体である。
【0050】
実施形態では、第二の綿状塊凝集剤は、部分的に加水分解されたアクリルアミド、並びにアクリルアミド及びアクリル酸ナトリウムの共重合体よりなる群から選ばれる。
【0051】
実施形態では、第二の綿状塊凝集剤は、5〜40モル%の陰イオン性荷電及び0.3〜5dL/gのRSVを有する、アクリルアミド−アクリル酸ナトリウムの共重合体である。
【0052】
実施形態では、第一の綿状塊凝集剤は陰イオン性であり、及び第二の綿状塊凝集剤は陽イオン性である。
【0053】
実施形態では、第一の綿状塊凝集剤は、部分的に加水分解されたアクリルアミド、並びにアクリルアミド及びアクリル酸ナトリウムの共重合体よりなる群から選ばれる。
【0054】
実施形態では、第一の綿状塊凝集剤は、5〜75モル%の陰イオン性荷電及び少なくとも15dL/gのRSVを有する、アクリルアミド−アクリル酸ナトリウムの共重合体である。
【0055】
実施形態では、第二の綿状塊凝集剤は、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン(EPI−DMA)共重合体、アンモニアと架橋したEPI−DMA共重合体、及びジアリル−N,N−二置換アンモニウムハライドのホモポリマーよりなる群から選ばれる。
【0056】
実施形態では、第二の綿状塊凝集剤は、0.1〜2dL/gのRSVを有する、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドのホモポリマーである。
【0057】
実施形態では、第二の綿状塊凝集剤は、アクリルアミドとジメチルアミノエチルメタアクリレート(DMAEM)又はジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)及びそれらの混合物との共重合体から選ばれる。
【0058】
実施形態では、第二の綿状塊凝集剤は、5〜50モル%の陽イオン性荷電含有量及び15dL/gを超えるRSVを有する、アクリルアミド及びジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)の共重合体である。
【0059】
本発明による、充填剤の綿状塊分散物は、製紙原料に加える前に調製される。これはバッチ式又は連続式の様式で行われることができる。これらのスラリー中の充填剤濃度は典型的に80質量%未満である。より典型的には、5〜65質量%である。
【0060】
バッチ式プロセスは、オーバーヘッド・プロペラ・ミキサーを持つ大容量タンクから成ることができる。充填剤スラリーは混合タンクに充填され、及び所望の量の第一の綿状塊凝集剤が、連続的な撹拌下にスラリーに供給される。スラリー及び凝集剤は、第一の綿状塊凝集剤を系内中に均一に分配するのに十分な時間の間混合され、その時間は使用されるエネルギーに依存し、典型的に約10〜60秒間である。次いで、充填剤の綿状塊を分解するのに十分な混合速度で撹拌しながら、増加された混合時間にわたり第二の綿状塊凝集剤の所望量が加えられるが、この時間は使用されるエネルギーに依存し、典型的に数秒間〜数分間である。随意に、綿状塊再凝集及び狭い綿状塊の粒度分布をもたらすために、微小粒子を第三の成分として加える。充填剤の綿状塊の適切な粒度分布が得られると、綿状塊が安定化するレベルまで混合速度を低下させる。次いで、充填剤の綿状塊の分散物中の均一な懸濁が保たれるように十分に混合しながら、綿状塊に凝集した充填剤のこのバッチを、より大きな混合タンクに移送する。綿状塊に凝集した充填剤はこの混合タンクからポンプにより製紙原料中に注入される。
【0061】
連続式プロセスでは、第一の綿状塊凝集剤の所望量を充填剤を含む管にポンプで注入し、及び必要であればインラインの静的ミキサーで混合する。適切な充填剤及び凝集剤の混合を可能とするに十分な長さの管又は混合槽が、適切な量の第二の綿状塊凝集剤の注入前に含まれることができる。次いで、第二の綿状塊凝集剤がポンプにより充填剤を含む管内に注入され、及び必要であればインラインの静的ミキサーで混合される。随意に、綿状塊再凝集及び狭い綿状塊の粒度分布をもたらすために、微小粒子を第三の成分として加える。充填剤綿状塊の所望の粒度分布を得るためには、次いで、より高い速度の混合が必要とされる。混合装置のせん断率、又は混合時間のいずれかの調整により、綿状塊の粒度分布を制御できる。連続式プロセスは、固定容積の装置内で調整可能なせん断率を使用するのに適している。かかる装置の一つは米国特許第4,799,964号に記載されている。この装置は、作動するときに、その停止圧力を超える背圧では、ポンプ機能のない、機械的せん断装置として作用する、調整可能な速度の遠心力ポンプである他の適切なせん断装置としては、調整可能な圧力低下を有するノズル、タービン形式の乳化装置、又は固定容積中の速度調整可能な高強度ミキサーが挙げられる。せん断後、綿状塊に凝集した充填剤スラリーは直接製紙原料に供給される。
【0062】
上述のバッチ式及び連続式プロセスの両方で、大きすぎる充填剤の綿状塊を除去するためにフィルター又はスクリーンを用い得る。これは、紙又は板紙中のより大きな充填剤の綿状塊の含有に起因する、潜在的な機械の操業性及び紙の質の問題を除去する。
【0063】
実施形態では、充填剤の綿状塊の粒径中央値は少なくとも10μmである。実施形態では、充填剤の綿状塊の粒径中央値は少なくとも10〜100μmである。実施形態では、充填剤の綿状塊の粒径中央値は少なくとも10〜70μmである。
【0064】
以上の記述は、説明の目的のためのみに提供され、本発明の範囲を制限する意図のない、以下の実施例を参照することにより、よりよく理解され得るであろう。
【0065】
(実施例1〜7)
各実施例に用いられた充填剤は、非分散、分散、又は偏三角面体晶系(scalenohedral)PCC(スペシアルティ・ミネラルズ社(Specialty Minerals Inc.,)米国ペンシルバニア州ベスレヘム(Bethlehem)より、Albacar HOとして入手可能)のいずれかである。非分散PCCが用いられる場合、乾燥製品が水道水を用いて10%固体分に希釈される。分散PCCが用いられる場合、それは40%固体スラリーとして得られ、及び水道水を用いて10%固体分に希釈される。PCCの粒度分布は、Lasentec(登録商標)S400 FBRM(収束ビーム反射測定:Focused Beam Reflectance Measurement)プローブ(ラセンテック(Lasentec)ワシントン州レッドモンド(Redmond)により製造)を用いて凝集の間に3秒間の間隔で測定される。FBRMの背景にある理論の記載は、米国特許第4,871,251号に見出すことができる。PCC綿状塊の平均翼弦長(mean chord length:MCL)が、綿状塊凝集の範囲の総合的測定値として用いられる。300mLの10%PCCスラリーを含む600mLのビーカーにレーザー・プローブが挿入される。綿状塊凝集剤を添加する前に、この溶液をIKA RE16撹拌モーターにより800rpmで少なくとも30秒間撹拌した。
【0066】
シリンジにより第一の綿状塊凝集剤が、30〜60秒間にわたって、ゆっくりと添加される。第二の綿状塊凝集剤が用いられる場合、第一の綿状塊凝集剤が混合されるのを10秒間待った後に、第一の綿状塊凝集剤と同様の様式で加えられる。最終的に、微小粒子が加えられる場合には、第二の綿状塊凝集剤が混合されるのを10秒間待った後に、綿状塊凝集剤と同様の様式で加えられる。私用に先立ち、凝集剤は、固体に基づき0.3%の濃度に希釈され、凝固剤は、固体に基づき0.7%の濃度に希釈され、デンプンは固体に基づき5%の濃度に希釈され、及び微小粒子は固体に基づき0.5%の濃度に希釈される。典型的なMCLの時間により分解したプロファイルが図1に示される。
【0067】
図1のMCLの時間により分解したプロファイルは、Lasentec(登録商標)S400FBRMにより記録された。ポイント1で、第一の綿状塊凝集剤がスラリー中に導入され、次いで、800rpmの撹拌速度下で、MCLが増加してから、急速に減少し、充填剤の綿状塊がせん断下で不安定なことを示した。ポイント2で、第二の綿状塊凝集剤が導入され、及びこのときも800rpmをわずかに下回る混合下で、MCLが増加して次いで減少した。ポイント3では、微小粒子が導入されMCLは急速に上昇し次いでプラトーに達し、800rpmの混合下で充填剤凝集が安定であることを示した。せん断がいったん1500rpmに上昇されると、MCLは減少し始めた。
【0068】
全ての充填剤綿状塊凝集実験で、綿状塊凝集剤添加後の最大MCLが記録され、表IIに示されている。最大MCLは綿状塊凝集の範囲を示す。次いで高せん断条件下での充填剤の綿状塊の安定性を試験するために、このスラリーを1500rpmで8分間撹拌する。4分及び8分におけるMCL値を記録し、表III及びIVにそれぞれ示した。
【0069】
充填剤の綿状塊の粒度分布は、マルバーン・インスツルメンツ社(Malvern Instruments Ltd.,)(米国、マサチューセッツ州サウスボロー(Southborough))からのMastersizer Microを用いるレーザー光散乱によっても特徴付けられる。この分析は、多分散系モデル及びプレゼンテーション(presentation)4PADを用いて実行された。このプレゼンテーションは、1.60の充填剤の屈折率及び連続相としての水の1.33の屈折率を仮定する。分布の質は、容積により重み付けされた綿状塊粒径中央値、D(V,0.5)により示され、分布の幅、及び分布の均一性は以下のように定義される:
【0070】
【数1】

【0071】
【数2】

【0072】
D(v,0.1)、D(v,0.5)及びD(v,0.9)は、充填剤粒子の体積の、それぞれ10%以上、50%以上及び90%以上の直径として定義される。V;及びDiは、グループiの体積分率及び粒子直径である。より小さな幅及び均一性の値は、製紙においてよりよい性能を有すると考えられる、より均一な粒度分布を示す。それぞれのサンプルについての、最大MCLでの充填剤の綿状塊のこれらの特性は、1500rpmのせん断での0分、4分、及び8分の値として、表II、III及びIVに示されている。各サンプルで用いられた、PCCの種類、綿状塊凝集剤、及び綿状塊凝集剤の用量は表Iに示されている。
【0073】
(実施例8)
この実験は、PCCスラリーを綿状塊に凝集するための連続式プロセスの実現性を実証している。18Lの水道水に溶解した10%固体非分散PCC(スペシアルティ・ミネラルズ社(Specialty MineralsInc.,)米国ペンシルバニア州ベスレヘム(Bethlehem)より、Albacar HOとして入手可能)を遠心力ポンプを用いて7.6L/minの速度で5ガロンのバケツに注入した。1.0lb/tonの活性用量の0.3%の固体凝集剤A溶液を、一軸ねじポンプを用いて遠心力ポンプの注入口のPCCスラリーに注入した。次いでPCCを、1.0lb/tonの活性用量の凝固剤Aの0.7%固体溶液と共に、静的ミキサー内に供給した。充填剤の綿状塊の粒度分布をMastersizer Microを用いて測定し、及び表IIにまとめた。実施例1〜7と同様に、300mLの生成したスラリーをビーカー中で、1500rpmで8分間撹拌した。4分及び8分における充填剤の綿状塊の特性を、表III及びIVにそれぞれ示した。
【0074】
(実施例9)
凝固剤Aが遠心力ポンプに供給され、及び凝集剤Aが静的ミキサーに供給された以外は、充填剤スラリー及び実験操作は実施例8のものと同じである。充填剤の綿状塊の粒度特性は表II、III及びIVに示されている。
【0075】
【表1】

【0076】
【表2】

【0077】
【表3】

【0078】
【表4】

【0079】
表II〜IVに示されるように、実施例1で形成された陽イオン性デンプンのみが用いられている充填剤の綿状塊は、せん断表に記載されていない。他方では、充填剤複数のポリマーにより形成された綿状塊は、実施例2〜9で実証されたように、増大されたせん断安定性を示した。実施例2、4、6及び8は本発明に従い調製された充填剤の綿状塊を示しており、実施例3、5、7及び9は従来法に従い調製された充填剤の綿状塊を示している。本発明に従って調製された充填剤の綿状塊は、せん断された後に、従来法に従って調製されたものに比べて、一般的により狭い粒度分布を有する(表III及びIVの幅及び均一性のより小さな値として示される)。
【0080】
(実施例10)
この実施例の目的は、手漉き紙の物理的性質に対する異なるサイズのPCC綿状塊の効果を評価することであった。PCCサンプルは、PCCの固体濃度が2%である以外は、実施例2に記載された操作手順を用いて得られた。1500rpmでの異なる時間のせん断により異なる粒径を持つ、あらかじめ綿状塊に凝集した充填剤の綿状塊の4サンプル(10−A、10−B、10−C及び10−D)が調製された。せん断時間及び生成された粒径特性が表Vに示されている。
【0081】
2.5%の稠度(consistency)を有するこのストックは、80%の広葉樹乾燥ラップ・パルプ及び20%のアメリカン・ファイバー・リソーシズLLC(American Fiber Resources(AFR)LLC;ウエストバージニア州フェアモント(Fairmont))から得られた、リサイクルされた繊維から調製された。硬材は、バリー・ビーター(Valley Beater)(ボイス・サルザー(Voith Sulzer)、ウイスコンシン州アップルトン(Appleton))中で、300mLのカナダ標準ろ水度(Canadian Standard Freeness(パルプ製紙業界技術協会(TAPPI)試験法T227om−94))まで精製された。濃厚なストックは水道水により0.5%稠度まで希釈される。
【0082】
手漉き紙は、650mLの0.5%稠度の原料を、ダイナミック・ドレイネージ・ジャー(Dynamic Drainage Jar)中で、排水を防ぐためにその底部のスクリーンをプラスチック固体シートで覆い、800rpmで混合して調製した。ダイナミック・ドレイネージ・ジャー及びミキサーは、ペーパー・ケミストリー・コンサルティング・ラボラトリー社(Paper Chemistry Consulting Laboratory Inc.,)ニューヨーク州カーメル(Carmel)から入手可能である。混合を開始し、1gのPCCサンプルの1つを15秒後に加え、次いで30秒目に、6lb/ton(製品に基づき)のGC7503ポリ塩化アルミニウム溶液(ガルブランドセン・テクノロジーズ(Gulbrandsen Technologies)、米国ニュージャージー州クリントン(Clinton)より入手可能)を加え、45秒目に、1lb/ton(製品に基づき)の約32dL/gのRSV及び29モル%の荷電含有量を有するアクリル酸ナトリウム−アクリルアミド共重合体凝集剤(ナルコ社(Nalco Company)、米国イリノイ州ネーパービル(Naperville)より入手可能)を加え、及び60秒目に3.5lb/ton(活性)のホウケイ酸塩微小粒子(ナルコ社(Nalco Company)、米国イリノイ州ネーパービル(Naperville)より入手可能)を加えた。
【0083】
75秒目に混合を停止し、及び原料をノーブル&ウッドの手漉き紙金型(Noble&Wood 手漉き紙 モールド)の手漉き紙型枠(deckle box)内に移した。100メッシュのフォーミング・ワイヤーを通過させて排水し、8”x8”の手漉き紙を作成した。紙の金型からこの手漉き紙を横にして、2枚の吸い取り紙を配置し、及び金属板を湿った手漉き紙に当てて、25ポンドの金属ローラーを、その上を6回通過させてロール・プレスした。フォーミング・ワイヤー及び1枚の吸い取り紙を取り除き、及び手漉き紙を2枚の新しい吸い取り紙とプレス・フェルトの間に配置し、及びロール・プレスを用いて50psiでプレスした。全ての吸い取り紙を取り除き、及び回転式ドラム乾燥機により、華氏220度で手漉き紙を60秒間乾燥した(上面を乾燥機の表面に対向させて)。手漉き紙の平均基本重量は84g/mであった。手漉き紙の金型、ロール・プレス、及び回転式ドラム乾燥機は、アディロンダック・マシン社(Adirondack Machine Company)、ニューヨーク州クインズバリー(Queensbury)から入手可能である。手漉き紙は5回反復して製造し、各サンプルを試験した。
【0084】
完成された手漉き紙は、一晩、50%相対湿度及び23度のTAPPI(パルプ製紙業界技術協会)標準条件に保存した。各紙について、TAPPI試験方法T 410 om−98を用いて基本重量を測定し、灰分含有量はTAPPI試験方法T 211 om−93を用いて測定し、輝度はISO試験方法2470:1999により測定され、及び不透明度はISO試験方法2471:1998を用いて測定された。シートの形成、基本重量の均一性の測定は、メツオ・オートメーション(Metso Automation、フィンランド、ヘルシンキ(Helsinki))からのKajaani(登録商標)Formation Analyzerを用いて行った。これらの測定からの結果を表VIに示した。シートの引張強度は、TAPPI試験方法T 494 om−01、内部結合強度(Scott Bond)は、TAPPI試験方法T 569pm−00を用いて測定し、及びz−方向引張強度(ZDTは、TAPPI試験方法T 541om−89を用いて測定した。これらの結果を表VIIに示した。
【0085】
【表5】

【0086】
【表6】

【0087】
【表7】

【0088】
表Vに示されるように、1500rpmでのせん断時間が増加するほど、充填剤の綿状塊の粒径は減少し、充填剤の綿状塊の粒径を高度のせん断時間により制御することの実現可能性が実証された。4つのあらかじめ綿状塊に凝集した充填剤(10−A〜10−D)、及び無処理の充填剤(10−E)から調製された各手漉き紙は、表VIに示されるように、おおよそ等しい灰分含有量及び基本重量を有していた。綿状塊の粒径を増大させることは輝度を損なわないが、シートのフォーメーション及び不透明度をわずかに減少させた。充填剤の綿状塊の粒径を増大させることによりz−方向引張強度、ScottBond、張力指数、及び引張力エネルギー吸収量(TEA)で表されるシートの機械的強度は顕著に増大した。これは表VIIに示される。一般的に、より高いPCC綿状塊の粒径の中央値は増大されたシート強度を導く。実用的には、不透明度のわずかな損失は改善されたシート強度に対して一定である、シートのPCC含有量の増大により補われ得る。
【0089】
少なくとも1つの実施形態では、製紙プロセスで用いられる、充填剤粒子をあらかじめ綿状塊に凝集させる方法は:a)充填剤粒子水性スラリーを提供すること;b)高度の混合の下に第一の綿状塊凝集剤を分散物に添加すること;d)高度の混合条件の下に、第一の綿状塊凝集剤の存在下に、充填剤粒子の綿状塊凝集を引き起こすに十分な量の第二の綿状塊凝集剤を添加すること;及びe)所望の粒径を有する充填剤の綿状塊の分散物を提供するために、綿状塊に凝集した分散物を随意にせん断すること、を含む。好適には、第一の綿状塊凝集剤は上述された陰イオン性凝集剤の一つである。好適には、第二の綿状塊凝集剤上述された陽イオン性凝集剤の一つである。2つの凝集剤のそれぞれは、高分子量及び低いものから中程度までの荷電密度を有することができる。
【0090】
理論又は設計に束縛されることはないが、吸収の前に、第一の高分子量綿状塊凝集剤は、スラリー全体の中に均一に分配された混合物を形成すると信じられる。この均一に分配された混合物が、陽イオン性の第二の綿状塊凝集剤がともに効率的に物質を引っ張って綿状塊粒子を形成することを助ける。以下の実施例が実証するように、スラリー全体の中の粒度分布を制御するためのこの実施形態での2つの高分子量綿状塊凝集剤の新規の使用が、予期されなかった効果的な綿状塊を生成させる。この実施形態は、実施例11〜16を参照することにより最もよく理解される。
【0091】
(実施例11〜12)
偏三角面体晶系(scalenohedral)PCC(オムヤ(Omya)よりSyncarbSNYとして入手可能)を水道水を用いて10%固体に希釈した。充填剤の粒度分布は、Lasentec(登録商標)S400FBRMを用いて、綿状塊凝集の間に、3秒間の間隔で測定された。300mLの10%PCCスラリーを含む600mLのビーカーにレーザー・プローブを挿入した。綿状塊凝集剤の添加に先立ち、この溶液をIKARE16撹拌モーターにより800rpmで少なくとも30秒間撹拌した。
【0092】
第一の綿状塊凝集剤が希釈溶液としてシリンジにより数分間にわたりゆっくりと添加された。第二の綿状塊凝集剤が用いられたときには、第一の綿状塊凝集剤が混合するのを10秒間待った後に、第二の綿状塊凝集剤が第一の綿状塊凝集剤と同様に添加された。せん断条件下で充填剤の綿状塊の安定性を試験するために、次いで、このスラリーを、1500rpmで2〜4分間撹拌した。これらの実施例で用いられた、PCCの種類、綿状塊凝集剤、及び綿状塊凝集剤用量が表VIIIに示され、及び生成された粒子の特性が表IXに与えられている。
【0093】
(実施例13〜16)
この実験は、PCCスラリーの綿状塊凝集に連続式プロセスを用いる実現可能性を実証している。18Lの10%固体非分散PCC((スペシアルティ・ミネラルズ社(Specialty Minerals Inc.,)米国ペンシルバニア州ベスレヘム(Bethlehem)より、Albacar HOとして入手可能)の水道水溶液のバッチを遠心力ポンプにより7.2kgPCC/minの速度で5ガロンのバケツに注入した。第一の綿状塊凝集剤溶液の適切な用量を、一軸ねじポンプを用いて遠心力ポンプの注入口のPCCスラリーに注入した。次いでPCCを、第二の綿状塊凝集剤の適切な量と共に、静的ミキサー内に供給した。充填剤の綿状塊の粒度分布をMastersizer Microを用いて測定し、及び表Xにまとめた。生成したサンプルは、遠心力ポンプを循環させることにより追加的なせん断にさらされ、その結果も表Xに与えられている。
【0094】
表IX〜表Xに示されている結果は、二重凝集剤処理の利点を強調している。実施例12、14〜16は、粒径が10μm未満の粒子のより低い容積%により示される、改善されたせん断安定性を強調している。これらのサンプル実施例11及び13より優れていることが見出された。
【0095】
【表8】

【0096】
【表9】

【0097】
【表10】

【0098】
少なくとも1つの実施形態は、高荷電の陰イオン性分散剤を用いて分散された充填剤をあらかじめ綿状塊凝集させる方法である。この方法は、
a)充填剤粒子の陰イオン性に分散された充填剤粒子の水性スラリーを提供する工程;
b)系内の荷電を完全又は部分的に中和する目的で、低分子量組成物を分散物に添加する工程で;
c)高度の混合条件の下で、第一の綿状塊凝集剤を分散物に添加する工程;
d)高度の混合条件の下で、第二の綿状塊凝集剤(凝固剤又は凝集剤であり得る)を分散物に添加する工程;及び
e)所望の粒径を有する充填剤の綿状塊の分散物を提供するために、綿状塊に凝集した分散物を随意にせん断する工程、を含む。
【0099】
好適には、低分子量の、荷電中和成分は上述された凝固剤である。好適には、第一の綿状塊凝集剤は上述された陰イオン性又は陽イオン性凝集剤である。好適には、第二の綿状塊凝集剤は第一の綿状塊凝集剤と反対の荷電を持つ凝固剤又は凝集剤のいずれかである。このことは以下の実施例17〜20を参照することにより最もよく理解されるであろう。
【0100】
(実施例17〜20)
実施例で用いられた、分散された粉末炭酸カルシウム(GCC)は、オムヤ(Omya)よりのHydrocarb HO G−ME又はOmyafil 90であった。65%固体スラリーとして得られた分散されたGCCは水道水により10%固体に希釈された。
充填剤の粒度分布は、実施例1〜7で述べたように、Lasentec(登録商標)S400FBRMを用いて、綿状塊凝集の間に、3秒間の間隔で測定された。300mLの10%PCCスラリーを含む600mLのビーカーにレーザー・プローブを挿入した。綿状塊凝集剤の添加に先立ち、この溶液をIKARE16撹拌モーターにより800rpmで少なくとも30秒間撹拌した。
【0101】
中和ポリマーが数分間かけて、ゆっくりと加えられた。第一の綿状塊凝集剤が希釈溶液としてシリンジにより数分間にわたりゆっくりと添加された。第二の綿状塊凝集剤が用いられたときには、第一の綿状塊凝集剤が混合するのを10秒間待った後に、第二の綿状塊凝集剤が第一の綿状塊凝集剤と同様に添加された。せん断条件下で充填剤の綿状塊の安定性を試験するために、次いで、このスラリーを、1500rpmで2〜4分間撹拌した。
【0102】
【表11】

【0103】
【表12】

【0104】
表XIに示されるように、実施例18及び20は、開示された本発明をすなわち、最初に荷電中和ポリマーで、次いで2つの綿状塊凝集ポリマーで処理することを実証している。実施例17及び19は、凝集剤に続く凝固剤の使用を代表している。表XIIに示されるように、実施例18及び20の、あらかじめ綿状塊に凝集したGCCは、同じせん断量でのより大きな粒径D(v,0.5)で示される、改善されたせん断安定性を示した。実施例18及び20は、より狭い幅、及びより低い10μm未満の粒子の容積%で示される、改善された粒度分布も有している。
【0105】
(実施例21)
この実施例の目的は、紙シートの物理的性質に対する異なるサイズの綿状塊に凝集した粉末炭酸カルシウムの効果を評価することであった。実施例 20からの、あらかじめ綿状塊に凝集した サンプル がこの目的で使用され、及び未処理のOmyafil 90に対して比較された。
【0106】
2.3%の稠度を有するこの濃厚ストックは、75%の広葉樹乾燥ラップ・パルプ及び25%の針葉樹乾燥ラップ・パルプから調製された。両方の木材は、バリー・ビーター(Valley Beater)(ボイス・サルザー(Voith Sulzer)、ウイスコンシン州アップルトン(Appleton))中で、400mLのカナダ標準ろ水度(Canadian Standard Freeness(パルプ製紙業界技術協会(TAPPI)試験法T227om−94))まで精製された。濃厚なストックは水道水により0.5%稠度まで希釈される。
【0107】
手漉き紙は、650mLの0.5%稠度の原料を、ダイナミック・ドレイネージ・ジャー(Dynamic Drainage Jar)中で、排水を防ぐためにその底部のスクリーンをプラスチック固体シートで覆い、800rpmで混合して調製した。ダイナミック・ドレイネージ・ジャー及びミキサーは、ペーパー・ケミストリー・コンサルティング・ラボラトリー社(Paper Chemistry Consulting Laboratory Inc.,)ニューヨーク州カーメル(Carmel)から入手可能である。混合を開始し、GCCサンプルを加え、次いで11lb/tonの陽イオン性デンプン、及び3lb/tonのNalco7542サイズ剤を15秒目に加え、及び最終的に0.6lb/ton(製品に基づき)の32dL/gのRSV及び29モル%の荷電含有量を持つアクリル酸ナトリウム−アクリルアミド共重合体凝集剤(ナルコ社(Nalco Company)、米国イリノイ州ネーパービル(Naperville)より入手可能)を加えた。
【0108】
45秒目に混合を停止し、及び原料をノーブル&ウッドの手漉き紙金型(Noble & Wood handsheet mold)の手漉き紙型枠(deckle box)内に移した。100メッシュのフォーミング・ワイヤーを通過させて排水し、8”x8”の手漉き紙を作成した。紙の金型からこの手漉き紙を横にして、2枚の吸い取り紙を配置し、及び金属板を湿った手漉き紙に当てて、25ポンドの金属ローラーを、その上を6回通過させてロール・プレスした。フォーミング・ワイヤー及び1枚の吸い取り紙を取り除き、及び手漉き紙を2枚の新しい吸い取り紙とプレス・フェルトの間に配置し、及びロール・プレスを用いて50psiでプレスした。全ての吸い取り紙を取り除き、及び回転式ドラム乾燥機により、華氏220度で手漉き紙を60秒間乾燥した(上面を乾燥機の表面に対向させて)。手漉き紙の平均基本重量は84g/mであった。手漉き紙の金型、ロール・プレス、及び回転式ドラム乾燥機は、アディロンダック・マシン社(Adirondack Machine Company)、ニューヨーク州グレンズ・フォールズ(Glens Falls)から入手可能である。手漉き紙は5回反復して製造し、各サンプルを試験した。
【0109】
完成された手漉き紙は、一晩、50%相対湿度及び23℃のTAPPI(パルプ製紙業界技術協会)標準条件に保存した。手漉き紙の、基本重量(TAPPI試験方法T 410 om−98)、灰分含有量(TAPPI試験方法T 211 om−93)、輝度(ISO試験方法2470:1999)、不透明度(ISO試験方法2471:1998)、フォーメーション、引張強度(TAPPI試験方法T 494 om−01)、内部結合強度(Scott Bond)(TAPPI試験方法T 569pm−00を)、及びz−方向引張強度(ZDT)(TAPPI試験方法T 541om−89)を試験した。基本重量、均一性の測定は、メツオ・オートメーション(Metso Automation、フィンランド、ヘルシンキ(Helsinki))からのKajaani(登録商標)Formation Analyzerを用いて行った。
【0110】
【表13】

【0111】
表XII中の機械的強度のデータは、実施例20で製造された18%の灰分含有量であらかじめ綿状塊に凝集した充填剤を含むシートでは、無処理のGCCを含むものに比較して、引張指数において20%の増加を、内部結合強度において10%の増加を示した。
【0112】
本発明は、多くの異なる形態において実施可能であるが、その詳細は、本発明の具体的な好適な実施形態において、図面に示されかつ記載されている。本開示は本発明の原理の例示であり、本発明を説明された特定の実施形態に限定することを意図するものではない。更に本発明は、本明細書において記載されたさまざまな実施形態のいくつか、又は全ての可能な組み合わせを包含するものである。本明細書において言及された、任意の及び全ての特許、特許出願、科学的文献、及び他の参考文献は、参照によりその全体が本願に組み込まれる。
【0113】
上記に開示されたものは、説明的であることを意図しており、網羅的なものを意図していない。この記載は当業者に多くの変形及び代替物を示唆するであろう。全てのこれらの代替物及び変形も、「comprising」が「including、butnotlimitedto〜:含むが、〜に制限されない」を意味する、請求範囲に含まれることが意図される。当業者は、特定の実施形態に対して他の等価物を認識し得るであろうが、それらもまた請求範囲に包含されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製紙プロセスで用いられる、特定の粒度分布を有する綿状塊に凝集した充填剤粒子の安定分散物を調製する方法であって:
a)充填剤粒子の水性スラリーを提供する工程;
b)第一の綿状塊凝集剤は凝集剤であり、充填剤粒子の顕著な綿状塊凝集を引き起こさずに、分散物に均一に混合するのに十分な量の第一の綿状塊凝集剤を分散物に添加する工程;
c)第一の綿状塊凝集剤を添加した後に、分散物に、第一の綿状塊凝集剤の存在下で、充填剤粒子の綿状塊凝集を開始させるのに十分な量の、第一の綿状塊凝集剤と反対の電荷を有する、第二の綿状塊凝集剤を添加する工程;及び
d)所望の粒径を有する充填剤の綿状塊の分散物を提供するために、綿状塊に凝集した分散物を随意にせん断する工程、を含む方法。
【請求項2】
前記充填剤の綿状塊が10〜100μmの粒径中央値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記充填剤が、炭酸カルシウム、カオリン粘土、タルク、二酸化チタン、アルミナ三水和物、硫酸バリウム及び水酸化マグネシウムよりなる群から選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第一及び第二の綿状塊凝集剤の両方ともが少なくとも2dL/gのRSVを有する凝集剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第一の綿状塊凝集剤が陰イオン性である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第一の綿状塊凝集剤が、アクリルアミド及びアクリル酸ナトリウムの共重合体である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第二の綿状塊凝集剤が、アクリルアミドとDMAEM、DMAEA、DEAEA、DEAEMの共重合体よりなる群から選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第二の綿状塊凝集剤が、硫酸ジメチル、塩化メチル、塩化ベンジル及びそれらの任意の組み合わせから選ばれるものにより形成される四級アンモニウム塩の形態である、請求項8に記載の方法。
【請求項9】
製紙プロセスで用いられる、高い荷電を用いて分散される綿状塊に凝集した充填剤粒子の安定分散物を調製する方法であって:
a)陰イオン性に分散された充填剤粒子の水性スラリーを提供する工程;
b)低分子量組成物を分散物に添加する工程であって、添加される該低分子量組成物は少なくとも部分的に分散物の荷電を中和する;
c)高度の混合条件の下で、第一の綿状塊凝集剤を分散物に添加する工程;
d)高度の混合条件の下で、第二の綿状塊凝集剤を分散物に添加する工程であって、該第二の綿状塊凝集剤は、凝集剤、凝固剤、微小粒子、及びそれらの任意の組み合わせよりなる軍群から選ばれ;及び
e)所望の粒径を有する充填剤の綿状塊の分散物を提供するために、綿状塊に凝集した分散物を随意にせん断する工程、を含む方法。
【請求項10】
前記低分子量の組成物が凝固剤である、請求項10に記載の方法。
【請求項11】
前記第一の綿状塊凝集剤が陰イオン性である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第二の綿状塊凝集剤が、第一の綿状塊凝集剤の電荷と反対の電荷を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記充填剤の綿状塊が、10〜100μmの粒径中央値を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記充填剤が、炭酸カルシウム、カオリン粘土、タルク、二酸化チタン、アルミナ三水和物、硫酸バリウム及び水酸化マグネシウムよりなる群から選ばれる、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記低分子量組成物が陽イオン性凝固剤であり、前記第一の綿状塊凝集剤が、陰イオン性綿状塊凝集剤であり、前記第二の綿状塊凝集剤が陽イオン性綿状塊凝集剤であり、及び両方の凝集剤が、少なくとも1,000,000の分子量を有する、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−525511(P2012−525511A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508519(P2012−508519)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/030986
【国際公開番号】WO2010/126712
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(507248837)ナルコ カンパニー (91)
【Fターム(参考)】