説明

二重リング・ネットワークの制御方法、二重リング・ネットワークの初期化方法、二重リング・ネットワークの伝送局及び二重リング・ネットワークの異常発生時の再構築方法並びにネットワークシステム、ネットワークシステムの制御方法、伝送局、伝送局のプログラム

【課題】2箇所で切断を行うことを基本とし、ネットワークの初期化時点で、隣り合う二つの終端局を構成し、一箇所故障からの復帰に際しては、各伝送局が個別に分散して並列に動作し、新たな位置に終端局を構成する。
【解決手段】双方向に通信が可能な二つの通信ポートを備えた二つ以上の伝送局#ST1〜伝送局#ST8の内でいずれかの隣合う2つの伝送局が終端局になり、いずれかの伝送局が基点となり、相互をリング状に接続して二重リング・ネットワークを構成する。伝送局#ST1〜伝送局#ST8は、隣接する伝送局からフレーム信号が受信されたかどうかを判定し、フレーム信号が受信されないときは、経路確認のための経路確認フレーム信号を隣接の伝送局に送信し、経路確認フレームが隣接の伝送局から返信がないときは、現在の終端局に代わって自局を終端局として設定して、リング状につながり更に先の伝送局へは送達しないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の伝送局が双方向に通信が可能な通信路でリング状に相互に接続された二重リング・ネットワークで、各伝送局が通常はリングの両方向に同時に伝送フレームを送出し、伝送フレームは各々の伝送局により受信され中継されることで、リング内の全ての伝送局との相互交信を行うネットワークに関する。
【0002】
特に、送出された伝送フレームがリング内を循環し続けないように、隣り合う二つの伝送局が終端局として、伝送フレームの双方向への中継を禁止し、リング状ではあるがバス型と等価な二重リング・ネットワークを構成する制御方式に関する。
【0003】
また、二重リング・ネットワークで一箇所故障が発生した場合に、健全機能を維持する伝送局から、新たな位置にある二つの伝送局を終端局に変化させ、全面停止を避けるようにした冗長化の制御方式に関する。
【0004】
さらに、伝送局間で交信される、これらの制御方式に関わる伝送フレームやアプリケーションで使用されるデータフレームとインタフェースがISO/IEC8802−3イーサネット(登録商標)規格に準拠し、更にOSI(ISO/IEC7498−1)物理層として、上位層のデータリンク層、特に、伝送フレーム同士の共通伝送路上での衝突を回避するための共通伝送路のアクセス制御を行うメディア・アクセス制御方式(MAC)を限定しない物理層としての二重リング・ネットワークの構成制御に関する。
【背景技術】
【0005】
一般に複数の伝送局の相互間を双方向通信が可能な通信路で、リング状に順々に接続して構成したネットワークシステムは、各伝送局が両方向に伝送フレームを送出する。
【0006】
これらの各伝送局は、予め定められた伝送局の一つが制御局となり、各々の伝送局から送出された伝送フレームがリング内を循環し続けないようにしている。
【0007】
この伝送局にて伝送フレーム流を遮断する方式の従来例として、特許第3461954号公報(特許文献1)がある。
【0008】
この特許文献1は稼動中に、いずれか一箇所で故障が発生した場合には、この伝送局が中央制御局として、ネットワーク内の伝送局と、特に故障を検出した伝送局と主に交信する事で故障部分を切り離す。
【0009】
また、定常的に交信する伝送フレームが途切れたことで故障を判断し、故障部分を切り離すとともに、制御局として今まで遮断していた伝送フレームの双方向中継を実施することで、一箇所故障によるネットワークシステムの全面ダウンを回避する方式が行われている。
【0010】
同様な方式には、IEEE802.5トークンリング方式ネットワークもある。
【0011】
一方、各伝送局は、常時は、リング上の一方向に伝送フレームを送出し、各伝送局は他の伝送局が送出した伝送フレームを中継し、またリングを巡って戻ってきた伝送フレームは、その伝送フレームを送出した伝送局にて廃棄することで、リング内を伝送フレームが循環し続けないようにしたリング状ネットワークとしてANSIX3T9.5FDDIがある。
【0012】
このタイプのネットワークでは、相互間で双方向通信が可能な通信路のうち、常時は一方向の通信路を用い、他方向の通信路は待機状態としている。
【0013】
稼動中に、いずれか一箇所で故障が発生した場合には、伝送フレームの遮断が生じることとなり、予め指定された中央伝送局と故障箇所に隣接した伝送装置とが主に交信することで、故障部分を挟んだ両隣の二つの伝送装置において通信路を折り返し、今まで待機状態にあった逆方向の通信路を生かすことで、通信路としては2倍長となるが新たなリング・ネットワークを構成する。これによって、一箇所故障によるネットワークの全面ダウンを回避する。
【0014】
つまり、従来例においては、通常は、リング状ネットワークの固定された一箇所にて伝送流を遮断する。
【0015】
遮断する箇所は、予め固定的に定められた中央の制御局か、共通伝送路に伝送フレームを送出できる伝送権を一時的に与えられた伝送局であり、伝送権を保持している間は伝送路を制御する制御局となる。
【特許文献1】特許第3461954号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、これらのネットワークシステムでは、一箇所故障が発生すると、それらのネットワークに固有の伝送路制御方式の手順に従って、制御局と故障箇所に隣接する伝送局との間でタイミングをとって交信しあい、又は同期をとって、前者の場合は切断していた制御局内で、また後者の場合は、故障箇所を挟むようにした2箇所にて折り返すことで、全面停止をさけ、伝送フレームが循環し続けることを避ける。
【0017】
いづれの方式も伝送路制御方式に依存したものであり、汎用性に制限があることや、応用するとしても故障から復帰のための制御に時間を要するという課題があった。
【0018】
従って、伝送制御方式とは独立した形でバス型の伝送路を提供する、一箇所故障からの汎用的な方式とするのは難しいという課題があった。
【0019】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、2箇所にて切断を行うことを基本として、ネットワークの初期化時点で、隣り合う二つの終端局を構成し、一箇所故障からの復帰に際しては、各伝送局が個別に分散して並列に動作し、新たな位置に終端局を構成することを目的とする。
【0020】
これによって、復帰までの時間を非常に短時間に行えること、更に、初期化やその後の運用や一箇所故障からの復帰に際しても、上位層となる伝送路制御方式に依存しないで汎用的な応用が可能となり、市場で流通する用品や実績のある技術を利用し活用でき比較して安価に製品化が可能となる、更に、リング状であるがバス型と等価の物理層メディアとして二重リング・ネットワークを提供できることになる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
請求項1の二重リング・ネットワークの制御方法は、双方向に通信が可能な二つの通信ポートを備えた二つ以上の伝送局が、各々の該二つの通信ポートにより伝送路を介して相互をリング状に接続して伝送局相互間で交信を行えるように構成した二重リング・ネットワークにおいて、
前記伝送局は、
情報を含む伝送フレームを一度に当該伝送局の二つの通信ポートから同時に送出して、該二つの通信ポートの一方から受信する他の該伝送局から送出された伝送フレームを検出し、
前記一方の通信ポートに対して他方となる他方の通信ポートへ中継でき、該他方の通信ポートから前記した該伝送フレームを送出し、
リング状に相互に接続された該二つ以上の伝送局のうち隣り合う二つの該伝送局の各々では、一方の該伝送局の通信ポートから前記伝送フレームを送出させ、
伝送路を介してつながる他方の該伝送局の通信ポートから受信される伝送フレームは、当該伝送局にて検出し、
該伝送フレームに含まれる情報に応じて応答されるが、該受信した通信ポートから他方の通信ポートへの中継を通して該他方の通信ポートからは該伝送フレームを送出しないことで、
該受信した伝送フレームを、その中継方向にある、リング状につながり更に先の伝送局へは送達しないようにして、前記した該伝送局から送出される伝送フレームがリング状に構成したネットワーク内を循環しないようにしたことを要旨とする。
【0022】

請求項2では、伝送局は、一つの該伝送局を基点として、リング状に相互に接続された二つ以上の該伝送局のうち、リング状のネットワークを構成する該伝送局の総数と該伝送局の相互間を接続する伝送路の総長に応じて決まる位置の隣り合う二つの該伝送局の各々で、前記伝送フレームを一方の該伝送局の通信ポートから送出させることを要旨とする。
【0023】
請求項3では、二重リング・ネットワーク内を送達される伝送フレーム形式や接続の伝送路インタフェースを、今後とも市場で優位となるISO/IEC8802−3イーサネット(登録商標)規格とすることで、市場で広く流通する用品や応用技術を利用し活用して製品化することが可能となる。
【0024】
請求項4の二重リング・ネットワークの初期化方法では、双方向に通信が可能な二つの通信ポートを備えた二つ以上の伝送局が、各々の該二つの通信ポートにより伝送路を介して相互をリング状に接続して伝送局相互間で交信を行えるように構成した二重リング・ネットワークである。
【0025】
リング状に相互に接続された二つ以上の該伝送局のうち、一つの該伝送局を基点とし、該基点の伝送局は、
周期的に初期化を指定する伝送フレーム(INZフレーム)を両方向に送出し、
これを受信検出する伝送局では、受信した側の通信ポートから他方の通信ポートへの伝送フレームの中継を禁止状態から許可状態にし、
また、受信した側の通信ポートから以降は伝送フレームの受信取り込みを許可して、
また、受信した通信ポート側から応答確認のINZフレーム(応答確認INZフレーム)を送出することで受信確認の応答とし、
さらにINZフレームを送出した後に、該前記した最初にINZフレームを受信した通信ポートから他方の通信ポートへの中継方向にある一つ隣の伝送局から、該前記した応答確認INZフレームを受信検出すると、受信した側の通信ポートから他方への通信ポートへの伝送フレームの中継を禁止状態から許可状態にし、
また、その受信した側の通信ポートからの以降は伝送フレームの受信取り込みを許可として、該伝送局では以降は双方向側の通信ポートから受信する伝送フレームの受信取り込みと他方側への中継を可能として、
更に、リング状のネットワークを構成する該伝送局の総数と、該伝送局の相互間を接続する伝送路の総長に応じて決定し、
前記したINZフレームを両側の通信ポートから受信する位置にある伝送局と、該伝送局とは伝送路を介して隣り合う位置となる伝送局の各々では、
一方の該伝送局の通信ポートから送出されて該他方の伝送局の対向する通信ポートにて受信される伝送フレームを該伝送局において検出し、該伝送フレームに含まれる情報に応じて応答されるが、該受信した通信ポートから他方の通信ポートへの中継は禁止状態とし、
また、受信取り込みも禁止状態となる終端局として構成することで、該終端局の各々により、他方の終端局から受信した伝送フレームを、その中継方向にある、リング状につながり更に先の伝送局へは中継送信しないようにして、二重リング・ネットワークを構成する該各々の伝送局から送出される伝送フレームが、リング状に構成したネットワーク内を循環しないように構成することを要旨とする。
【0026】
請求項5では、請求項4に記載の二重リング・ネットワークの初期化方法において、
リング状に相互に接続された二つ以上の該伝送局のうち、一つの該伝送局を基点として、該伝送局は、初期化を指定する伝送フレーム(INZフレーム)を両方向に送出し、これを受信検出した該伝送局の一つ隣の伝送局では、受信した側の通信ポートから他方の通信ポートへの伝送フレームの中継を禁止状態から許可状態にし、
また、受信した側の通信ポートから以降は伝送フレームの受信取り込みを許可とし、
また、応答確認のINZフレーム(応答確認INZフレーム)を、受信先として該受信したINZフレームの送信元アドレスを設定して、両方向に送出することで受信確認の応答とし、
更に、INZフレームを送出した後に、該前記した最初にINZフレームを受信した通信ポートから他方の通信ポートへの中継方向にある一つ隣の伝送局から、該前記した該一つ隣の伝送局の自局を指定した応答確認INZフレームを受信検出すると、受信した側の通信ポートから他方への通信ポートへの伝送フレームの中継を禁止状態から許可状態にし、
また、その受信した側の通信ポートからの以降は伝送フレームの受信取り込みを許可とすることで、該伝送局では以降は両側の通信ポートから受信する伝送フレームの受信取り込みと他方側への中継を可能として、
該前記した基点の伝送局が両方向に送出したINZフレームを始まりに、リング状の両方向に位置する各々の伝送局で、順々に、INZフレームを受信すると再びINZフレームを両側の通信ポートから送出することで、
リング状のネットワークを構成する該伝送局の総数と、該伝送局の相互間を接続する伝送路の総長に応じて決定され、
INZフレームを両側の通信ポートから受信する位置にある伝送局と、該伝送局とは伝送路を介して隣り合う位置となる伝送局の各々で、一方の該伝送局の通信ポートから送出されて該他方の伝送局の対向する通信ポートにて受信される伝送フレームは、該伝送局において検出し該伝送フレームに含まれる情報に応じて応答されるが、該受信した通信ポートから他方の通信ポートへの中継は禁止状態とし、
また、受信取り込みも禁止状態となる終端局として構成することで、該終端局の各々により、他方の終端局から受信した伝送フレームを、その中継方向にある、リング状につながり更に先の伝送局へは中継送信しないようにして、二重リング・ネットワークを構成する該各々の伝送局から送出される伝送フレームが、リング状に構成したネットワーク内を循環しないように構成することを要旨とする。
【0027】
請求項6では、請求項5に記載の初期化方法において、
各々の伝送局では、初期化期間内で始めてINZフレームを受信すると、受信した通信ポート(MSポート)側に対向した隣り合う伝送局のアドレスとして、該受信したINZフレーム中の送信元アドレスを該受信ポートの識別子と共に保持し、
続けて該隣り合う伝送局のアドレスを受信先に指定したINZフレームを両方向に送出した後に、予め指定した時間内で自局を受信先に指定したINZフレームをMSポートの反対側の通信ポートより受信すると、該通信ポート側に対向した隣り合う伝送局からの応答確認INZフレームとして、
該INZフレーム内の送信元アドレスを該受信ポートの識別子とともに保持することで、該伝送局の両側に隣り合う各々の伝送局のアドレスを取得できるようにしたことを要旨とする。
【0028】
すなわち、各々の伝送局は、初期化期間内で始めてINZフレームを受信すると、受信した通信ポート(MSポート)側に対向した隣り合う伝送局のアドレスとして、受信したINZフレーム中の送信元アドレスを受信ポートの識別子と共に保持し、更に、続けて隣り合う伝送局のアドレスを受信先に指定したINZフレームを両方向に送出した後には、予め指定した時間内で自局を受信先に指定したINZフレームをMSポートの反対側の通信ポートより受信すると、その通信ポート側に対向した隣り合う伝送局からの応答確認INZフレームとして、INZフレーム内の送信元アドレスを受信ポートの識別子とともに保持することで、伝送局の両側に隣り合う各々の伝送局の識別アドレスを取得することができる。
【0029】
請求項7では、請求項4、請求項5又は請求項6に記載の二重リング・ネットワークの初期化方法において、
該一つの伝送局を基点として、リング状のネットワークを構成する該伝送局の総数と、該伝送局の相互間を接続する伝送路の総長に応じて決まる位置に隣り合って前記した該二つの終端局が構成された時点で、
または、初期化途中において、自局の隣局からの応答確認INZフレームの受信がないことで終端局となった時点で、
二重リング・ネットワークの二つの終端局の各々は、初期化終了の表示と、終端局アドレスおよび終端局モードを含む終端局情報を含んだINZ−COMPフレームを送出することで、また基点となった該一つの伝送局にて、該INZ−COMPフレームを受信検知することで、
二重リング・ネットワークの初期化が完了したことが確認できるようにした、ことを要旨とする。
【0030】
すなわち、一つの伝送局を基点として、リング状のネットワークを構成する伝送局の総数と、伝送局の相互間を接続する伝送路の総長に応じて決まる位置に隣り合った二つの終端局が構成された時点で、または、初期化の途中で、自局の隣局からの応答確認INZフレームの受信がないことにより終端局となることを判断した時点で、二重リング・ネットワークの二つの終端局の各々が、初期化終了の表示と、終端局アドレスおよびどちらの通信ポートが中継禁止状態になっているかの終端局モードを含む終端局情報からなるINZ−COMPフレームを送出することで、また基点となった伝送局にて、INZ−COMPフレームを受信検知することで、二重リング・ネットワークの初期化が完了したことを確認できる。
【0031】
請求項8の二重リング・ネットワークの伝送局は、双方向に通信が可能な二つの通信ポートを備えた二つ以上の伝送局が、各々の該二つの通信ポートにより伝送路を介して相互をリング状に接続して伝送局相互間で交信を行えるように構成した二重リング・ネットワークにおいて、
初期化が完了している状態で、該伝送局の一つ以上が、特定情報を含む一つ以上の伝送フレームを、周期的に送出し、伝送局は、前記した通信ポート−A、−B又は通信ポートAを介して伝送フレームを送出および受信することにつながる手段と、
機能他に対しては、サフックス−Aを、同様に通信ポートBに対するものには、サフックス−Bをつけて以降記載)を介して伝送フレームを受信し、該周期的に送出された伝送フレームから特定情報が、設定された条件に合うSYNフレームを検出する“SYNフレーム検出手段A、−B”と、
該SYNフレーム検出手段−A、−Bの出力信号から、該SYNフレームの受信が予め設定した期間にわたり無いことを検出する“SYN無検出手段−A、−B”と、
一方の通信ポートを介しては周期的なSYNフレームの到来が連続継続する状態で、他方の通信ポートを介しては周期的な到来が連続して予め指定した期間にわたらないことを検出する“SYN断検出手段”と、
通信ポートを介して受信する伝送フレームの受信信号状態の異常を検出する“受信異常検出手段−A、−B“とを備え、
SYN無検出手段A、−Bで、SYN無検出状態を検出した通信ポートAまたは−B(例えば通信ポートA)を介して受信される伝送フレームは、検出判別して、該伝送フレームに含まれる情報に応じて応答するが、受信した通信ポート(通信ポートA)から他方の通信ポート(通信ポートB)への中継を通して他方の通信ポート(通信ポートB)からは該伝送フレームを送出しない非ブロック状態に該通信ポート(通信ポート−A)を移行し、
受信異常検出手段A、−Bで、受信異常検出状態を検出した通信ポートAまたは−Bをブロック状態とすることで、故障発生の検出から、回復手順によるネットワーク機能回復に至る間、複数の伝送局の通信ポートを非ブロック状態に維持し、
前記した該終端局の機能を複数伝送局で果たすようにしたことを要旨とする。
【0032】
これによって、故障発生の検出から、回復手順によるネットワーク機能回復に至る間、複数の伝送局の通信ポートを非ブロック状態に維持して、終端局の機能を複数伝送局で果たすようにできる。
【0033】
請求項9の二重リング・ネットワークの異常発生時の再構築方法では、双方向に通信が可能な二つの通信ポートを備えた二つ以上の伝送局が、各々の該二つの通信ポートにより伝送路を介して相互をリング状に接続して伝送局相互間で交信を行えるように構成した二重リング・ネットワークにおいて、
前記初期化が完了し、二つの隣接する終端局により、伝送フレームがリング状のネットワーク内を循環し続けないよう構成された状態で、該伝送局の一つ以上が、
特定情報を含む一つ以上の周期的に送出される伝送フレームに加え、前記した該SYNフレームや、単発的に送出される伝送フレームを、特に規定しない二重リング・ネットワーク上での伝送フレーム同士の衝突を回避する伝送路制御方式に従って送出している状態で、
前記伝送局は、
特定制御情報を含むRRRフレームの受信を検出する“RRRフレーム受信検出手段−A、−B”と、
自局の識別情報を設定する“自局アドレス設定”手段と、
通信ポートA、−Bに隣接する伝送局の識別情報を設定する“隣接局アドレス設定手段−A,−B“と、
RRRフレーム受信検出手段の受信出力により、受信したRRRフレーム中の受信先情報と自局識別情報との比較一致を検出する“アドレス一致検出手段”と、
アドレス一致検出手段の一致出力を受けて、該RRRフレームを受信したRRR受信ポートを非ブロック状態に変更する“ブロックポート・リセット手段”と、
アドレス一致検出手段の不一致出力を受けて、RRR受信ポートに対応した隣接する伝送局の識別情報を隣接局アドレス設定手段から読み出して受信先に指定し生成したRRRフレームを、RRR受信ポートを介して、RRRフレームの受信完了のタイミングで直ちに送出する“RRR受信応答手段”と、
RRRフレームを送出後、予め指定した時間以内に、自局を受信先に指定したRRRフレームの受信を監視し検出する“RRR応答確認手段“を備え、
SYNフレームを送出する同期局を含め該伝送局から、終端局を含む経路上で、伝送路や伝送局に異常が発生した場合、異常発生個所から、終端局に至る伝送局では、異常発生に対応して、該SYN無検出手段と該受信異常検出手段により異常状態を検出し、
また、異常発生個所から同期局に向かう経路上で異常発生個所に隣接する伝送局では、受信異常検出手段により異常状態を検出し、
検出した通信ポートの状態を、各々でブロック状態とし、該二つの終端局のうち、同期局から異常個所に向かう経路上の先に位置する終端局では、該SYN断検出手段による異常状態の検出出力と、SYN無検出手段によるSYN無検出出力により、同期局に向かう経路上で異常が発生したとして、SYN断検出終端局は判断し、
また、他方のSYN正常終端局では、SYNフレームを正常に受信し続けることから、該SYN正常終端局から同期局間は正常に通信機能を維持していると判断し、
SYN断検出終端局は、
SYN断検出とSYN無検出手段からSYN断状態の異常発生を検出すると、直ちに、受信先としてSYN正常終端局を指定したRRRフレームを、通信ポートA、−Bを介して送出し、
RRR応答確認手段にて、SYN正常終端局とは反対側に隣接する伝送局からの応答を待機し、SYN正常終端局では、SYN断検出終端局からのRRRフレームを受信すると、自局が受信先のことから、該ブロックポート・リセット手段により、終端局としてブロック状態にあつたRRR受信ポートを非ブロック状態にし、
終端局状態を解除し、SYN断検出終端局から異常発生箇所に至る正常に機能する伝送局の各々は、SYN断検出終端局からのRRRフレームを受信すると、
受信先でないことから、該RRR受信応答手段により、SYN断検出終端局に向かう隣接する伝送局を受信先とするRRRフレームを、RRR受信ポートを介して、RRRフレームの受信完了後に直ちに送出し、SYN断検出終端局では、RRR応答確認手段により、同期局に向かう隣接局より自局が指定されたRRRフレームの時間内での受信があると、異常検出時点からブロック状態にしていた通信ポートを非ブロック状態に変更し、その後、RRR応答確認手段の予め指定した時間が経過後に、終端局として元々ブロック状態にあった他の通信ポートも非ブロック状態に変更して終端局状態を解除し、
SYN断検出終端局から異常発生箇所に至る正常に機能する各々の伝送局では、RRR応答確認手段により、同期局に向かう隣接局より自局が指定されたRRRフレームの受信を確認すると、異常検出時点からブロック状態にしていた受信ポートを非ブロック状態にし、
SYN断検出終端局に向かう異常個所に隣接する伝送局では、RRR応答確認手段により、指定時間を経過しても自局を指定したRRRフレームの受信がないことで、通信ポートのブロック状態を維持し、新たな終端局として機能し、
また、SYN断検出終端局に隣接する箇所にて異常が発生した場合には、同様に、RRR応答確認手段により、予め指定した時間を経過しても自局を指定したRRRフレームの受信がない場合は、異常検出時点でブロック状態にしていた通信ポートのブロック状態を維持し、
また、終端局として元々ブロック状態にあった他方の通信ポートを非ブロック状態とし、新たな終端局とし、異常発生箇所から同期局に向かう隣接局と、異常発生箇所から反対側に向かう隣接局を、新たな二重リング・ネットワークの終端局とするように変更して、通信異常の発生時に、リング状のネットワークを再構成することを要旨とする。
【0034】
これによって、一箇所故障による通信異常が発生した場合に、故障箇所に隣接する伝送局を新たな終端局となるように、終端局の位置を変化させることで、ネットワークの機能の全面停止を回避することができる。
【0035】
請求項10の二重リング・ネットワークと異常発生時の再構成方法は、前記請求項9に記載の二重リング・ネットワークの異常発生時の再構築方法において、前記した該初期化が完了し、二つの隣接する終端局により、伝送フレームがリング状のネットワーク内を循環し続けないよう構成された状態で、該伝送局の一つ以上が、特定情報を含む一つ以上の周期的に送出される伝送フレームに加え、前記した該SYNフレームや、単発的に送出される伝送フレームを、特に規定しない二重リング・ネットワーク上での伝送フレーム同士の衝突を回避する伝送路制御方式に従って送出している状態で、
伝送局は、自局の識別情報を設定する“自局アドレス設定”手段と、通信ポートA、−Bに隣接する伝送局の識別情報を設定する“隣接局アドレス設定手段−A,−B“を備え、
SYNフレームを送出する同期局を含め該伝送局から、終端局を含む経路上で、伝送路や伝送局に異常が発生した場合、異常発生個所から、終端局に至る伝送局では、異常発生に対応して、該SYN無検出手段と該受信異常検出手段により異常状態を検出し、
また異常発生個所から同期局に向かう経路上で異常発生個所に隣接する伝送局では、受信異常検出手段により異常状態を検出し、
検出した通信ポートの状態を、各々でブロック状態とし、該二つの終端局のうち、同期局から異常個所に向かう経路上の先に位置する終端局では、該SYN断検出手段による異常状態の検出出力と、SYN無検出手段によるSYN無検出出力により、同期局に向かう経路上で異常が発生したとして、SYN断検出終端局は判断し、
また、他方のSYN正常終端局では、SYNフレームを正常に受信し続けることから、該SYN正常終端局から同期局間は正常に通信機能を維持していると判断し、SYN断検出終端局は、SYN正常終端局から受信する伝送フレーム列を監視し、
二重リング・ネットワーク上での伝送フレーム同士の衝突を回避する伝送路制御方式に従い自局に割り当てられた伝送フレームの送出タイミングで、受信先としてSYN正常終端局を指定した、特定制御情報を含むRRRフレームを、通信ポートA、−Bを介して送出し、同期局に向かう隣接局から自局を受信先に指定したRRRフレームの受信を待機し、
SYN正常終端局では、SYN断検出終端局からのRRRフレームを受信すると、受信したRRRフレーム中の受信先情報と自局識別情報とを比較し、自局が受信先のことから、該RRRフレームを受信したRRR受信ポートを、終端局として元々ブロック状態であったものを非ブロック状態にし、終端局状態を解除し、
SYN断検出終端局から異常発生箇所に至る正常に機能する伝送局の各々は、SYN断検出終端局からのRRRフレームを受信すると、受信したRRRフレーム中の受信先情報と自局識別情報とを比較し、
受信先でないことから、該RRR受信応答手段により、SYN断検出終端局に向かう隣接する伝送局を受信先とするRRRフレームを、RRR受信ポートを介して、RRRフレームの受信完了後に、直ちに送出し、SYN断検出終端局では、同期局に向かう隣接局より自局が指定されたRRRフレームを予め指定した時間内で受信すると、異常検出時点からブロック状態にしていた通信ポートを非ブロック状態に変更し、
その後、RRR応答確認手段の予め指定した時間が経過後に、終端局として元々ブロック状態にあった他の通信ポートも非ブロック状態に変更し、終端局状態を解除し、SYN断検出終端局から異常発生箇所に至る正常に機能する各々の伝送局では、同期局に向かう隣接局より自局が指定されたRRRフレームの予め指定した時間内に受信を確認すると、異常検出時点からブロック状態にしていたRRR受信ポートを非ブロック状態にし、
SYN断検出終端局に向かう異常個所に隣接する伝送局では、RRR応答確認手段により、予め指定した時間を経過しても自局を指定したRRRフレームの受信がないことで、通信ポートのブロック状態を維持し、新たな終端局として機能し、
また、SYN断検出終端局に隣接する箇所にて異常が発生した場合には、同様に、予め指定した時間を経過しても自局を指定したRRRフレームの受信がない場合は、異常検出時点でブロック状態にしていた通信ポートの状態を維持し、
また終端局としてブロック状態にあった他方の通信ポートを非ブロック状態とし、新たな終端局とし、異常発生箇所から同期局に向かう隣接局と、異常発生箇所から反対側に向かう隣接局を、新たな二重リング・ネットワークの終端局とするように変更して、通信異常の発生時に、リング状のネットワークを再構成することを要旨とする。
【0036】
これによって、異常発生箇所から同期局に向かう隣接局と、異常発生箇所から反対側に向かう隣接局を、新たな二重リング・ネットワークの終端局とするように変更して、一箇所故障による通信異常の発生時に、ネットワーク機能の全面停止を回避することができる。
【0037】
請求項11では、請求項9から請求項10に記載の二重リング・ネットワークの異常発生時の再構成方法において、二重リング・ネットワーク内を送達される伝送フレーム形式や接続の伝送路インタフェースを、今後とも市場で優位となるISO/IEC8802−3イーサネット(登録商標)規格とすることで、市場で広く流通する用品や応用技術を利用し活用して製品化することが可能となる。
【0038】
この場合、
本制御方式で使用するSYN、RRR、INZ、INZ−COMPの伝送フレームは、特別にフィールド構成を規定したイーサネット(登録商標)・フレームフォーマットに限定しないことで、広い活用が可能となる。
【0039】
請求項12のネットワークシステムは、双方向に通信が可能な第1の通信ポート及び第2の通信ポートを備えた伝送局を伝送路を介してリング状に接続し、これらの伝送局の内で基点局がフレーム信号を右回りの経路及び左周りの経路で送信し、右回りの経路の終端局及び左回りの経路の終端局のそれぞれが前記基点局からのフレーム信号を返信するネットワークシステムにおいて、
前記伝送局及び終端局並びに基点局は、
前記右回りの経路で通信可能とする第1の通信ポート及び前記左回りの経路で通信可能とする第2の通信ポートから前記フレーム信号が受信されたかどうかを判定する手段と、
前記受信されないときは、前記第1及び第2の通信ポートから経路確認のための経路確認フレーム信号を隣接の伝送局に送信する手段と、
前記経路確認フレームが隣接の伝送局から返信がないときは、自局を前記終端局として設定する手段と、
を備えることを要旨とする。
【0040】
請求項13は、自局が前記終端局となっているとき、前記フレーム信号が右回りの経路又は左回りの経路で入力しないときは、終端局としての設定を解除する手段と
を備えたことを要旨とする。
【0041】
請求項14のネットワークシステムの制御方法は、双方向に通信が可能な第1の通信ポート及び第2の通信ポートを備えた伝送局を、伝送路を介して接続し、これらの伝送局の内で基点局がフレーム信号を右回りの経路及び左周りの経路で送信して右回りの経路の終端局及び左回りの経路の終端局のそれぞれが前記基点局からのフレーム信号を返信し、いずれかの伝送路で異常が発生したときは、新たに終端局を設定するネットワークシステムの制御方法である。
【0042】
前記伝送局及び終端局並びに基点局は、
前記右回りの経路で通信可能とする第1の通信ポート及び前記左回りの経路で通信可能とする第2の通信ポートから前記フレーム信号が受信されたかどうかを判定する工程と、
前記受信されないときは、前記第1及び第2の通信ポートから経路確認のための経路確認フレーム信号を隣接の伝送局に送信する工程と、
前記経路確認フレームが隣接の伝送局から返信がないときは、自局を前記終端局として設定する工程と、
自局が右回りの経路で終端局となったときは、前記基点局からの右回りからのフレーム信号を後段の隣接する右の伝送局に伝送しない又は自局が左回りの経路で終端局となったときは後段の隣接する左の伝送局に伝送しない工程と、
を行うことを要旨とする。
【0043】
請求項15のネットワークシステムの制御方法は、自局が前記終端局となっているとき、前記フレーム信号が右回りの経路又は左回りの経路で入力しないときは、終端局としての設定を解除する工程とを行うことを要旨とする。
【0044】
請求項16の伝送局は、二重リング・ネットワークシステムの伝送路間に配置され、右回りで通信が可能な第1の通信ポート及び左回りで通信が可能な第2の通信ポートを備えた伝送局において、
前記右回りの経路で通信可能とする第1の通信ポート及び前記左回りの経路で通信可能とする第2の通信ポートから前記フレーム信号が受信されたかどうかを判定する手段と、
前記受信されないときは、前記第1及び第2の通信ポートから経路確認のための経路確認フレーム信号を隣接の伝送局に送信する手段と、
前記経路確認フレームが隣接の伝送局から返信がないときは、自局を前記終端局として設定する手段と、
自局が右回りの経路で終端局となったときは、前記基点局からの右回りからのフレーム信号を後段の隣接する右の伝送局に伝送しない又は自局が左回りの経路で終端局となったときは後段の隣接する左の伝送局に伝送しない手段と
を備えたことを要旨とする。
【0045】
請求項17の伝送局は、自局が前記終端局となっているとき、前記フレーム信号が右回りの経路又は左回りの経路で入力しないときは、終端局としての設定を解除する手段と
を備えたことを要旨とする。
【0046】
請求項18の伝送局のプログラムは、二重リング・ネットワークシステムの伝送路間に配置され、右回りで通信が可能な第1の通信ポート及び左回りで通信が可能な第2の通信ポートを備えた伝送局のプログラムである。
【0047】
コンピュータに、
前記右回りの経路で通信可能とする第1の通信ポート及び前記左回りの経路で通信可能とする第2の通信ポートから前記フレーム信号が受信されたかどうかを判定する手段、
前記受信されないときは、前記第1及び第2の通信ポートから経路確認のための経路確認フレーム信号を隣接の伝送局に送信する手段、
前記経路確認フレームが隣接の伝送局から返信がないときは、自局を前記終端局として設定する手段、
自局が右回りの経路で終端局となったときは、前記基点局からの右回りからのフレーム信号を後段の隣接する右の伝送局に伝送しない又は自局が左回りの経路で終端局となったときは後段の隣接する左の伝送局に伝送しない手段
としての機能を実行させることを要旨とする。
【0048】
請求項19は、前記コンピュータに、
自局が前記終端局となっているとき、前記フレーム信号が右回りの経路又は左回りの経路で入力しないときは、終端局としての設定を解除する手段
としての機能を実行させることを要旨とする。
【発明の効果】
【0049】
以上のように本発明によれば、2箇所にて切断を行うことを基本として、ネットワークの初期化時点で、隣り合う二つの終端局を構成し、一箇所故障からの復帰に際しては、各伝送局が個別に分散して並列に動作し、新たな位置に終端局を構成した。
【0050】
従って、復帰までの時間を非常に短時間に行えること、更に、初期化やその後の運用や一箇所故障からの復帰に際しても、上位層となる伝送路制御方式に依存しないで汎用的な応用が可能となる。この結果、市場で流通する用品や実績のある技術を利用し活用でき比較して安価に製品化である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
図2は本発明が適用される二重リング・ネットワークシステム(単に二重リング・ネットワークという場合ある)の概略構成図である。
【0052】
図2は8台の各伝送局(伝送局1〜8)は、図2に示されるように双方向伝送路により相互に接続されてリング状のネットワークを構成している。図2においては、伝送局1を#ST1、伝送局2を#ST2、伝送局3を#ST3、伝送局4を#ST4、伝送局5を#ST5、伝送局6を#ST6、伝送局7を#ST7、伝送局8を#ST8と記載し、それぞれの各局のネットワーク上のアドレスを示す。
【0053】
請求項1に対しては、図1が、本発明でいう二重リング・ネットワークシステムの一例となる。図1においては伝送局1(#ST1)がマスタ局(MS)になり、伝送局5(#ST5)及び伝送局6(#ST6)終端局となった一例である。前述のマスタ局は例えば最初に起動したものがなる。
【0054】
図1では、総計8台の伝送局が図2の二重リング・ネットワークシステムと同じように相互接続されてはいるが、本発明の二重リング・ネットワークシステムでは、図2のリング状ネットワークシステムにない、前記した自局自動終端局機能を各伝送局が有している。
【0055】
この自局自動終端局機能は、一方の伝送局の通信ポートから送出され、伝送路を介してつながる他方の伝送局の通信ポートから受信される伝送フレームを伝送局にて検出し、伝送フレームに含まれる情報に応じて応答はするが、受信した通信ポートから他方の通信ポートへは中継しない。
【0056】
従って、他方の通信ポートからはその伝送フレームを送出しない機能を有する伝送局が、図1に示すように伝送局5(#ST5)が終端局ST−T−Lとなり、伝送局6(#ST6)が終端局ST−T−Rとしてなり、この二つで一組となる構成で含まれるようになる。
【0057】
このため、伝送局から送出される伝送フレームがリング状に構成したネットワークシステム内を循環しないようにできる。
【0058】
尚、図1では、終端局ST−T−L及び終端局ST−T−Rが各々#ST5と#ST6と図示されているが、図1のネットワーク構成で限定されるものではない。
【0059】
すなわち、図1は、双方向に通信が可能な二つの通信ポートを備えた二つ以上の伝送局で、各々の二つの通信ポートにより伝送路を介して相互をリング状に接続し、伝送局相互間で交信を行えるように構成した二重リング・ネットワークシステムとする。
【0060】
伝送局は、情報を含む伝送フレームを一度に二つの通信ポートから同時に隣接する伝送局にそれぞれ送出するようにする。
【0061】
そして、二つの通信ポートの一方から受信する他の伝送局から送出された伝送フレームは検出し、他方の通信ポートへ中継し、他方の通信ポートからその伝送フレームを送出する。
【0062】
リング状に相互に接続された二つ以上の伝送局のうち、隣り合う二つの伝送局の各々では、一方の伝送局の通信ポートから送出され、伝送路を介してつながる他方の伝送局の通信ポートから受信される伝送フレームを伝送局にて検出し、伝送フレームに含まれる情報に応じて応答はするが、受信した通信ポートから他方の通信ポートへは中継しない。
【0063】
従って、他方の通信ポートからはその伝送フレームを送出しないようにすることで、その中継方向にある、リング状につながる更に先の伝送局へは送達しないようにして、伝送局から送出される伝送フレームがリング状に構成したネットワーク内を循環しないようにできる。
【0064】
請求項2に対しては、図1で示す#ST1がマスタ局として、#ST1を基点に、伝送局数(この例では8台)と、各々の伝送局間の伝送路長とに応じて、#ST5と#ST6が一意的に終端局に決定される。
【0065】
具体的な決定までの手順は、請求項4及び請求項5およびその実施の形態によるが、マスタ局として選択した伝送局から見て、リング内の対向側で、マスタ局から数えて伝送局総数の半分のカウント数に位置する隣り合う伝送局の各々が終端局の位置となる。
【0066】
つまり、マスタ局からみて位置が決定される終端局を構成することで、伝送局から送出される伝送フレームがリング状に構成したネットワーク内を循環しないようにできる。
【0067】
すなわち、図1と同じく二つの通信ポートを備えた複数の伝送局を相互にリング状に接続して二重リング・ネットワークを構成する。また伝送局は同じく伝送フレームを一度に二つの通信ポートから同時に送出し、一方の通信ポートから受信する他の伝送局からの伝送フレームは受信を検出し、他方の通信ポートへ中継し他方の通信ポートから送出するようにする。
【0068】
そして、一つの伝送局を基点に、リング状に接続された二つ以上の伝送局のうち、リング状のネットワークを構成する伝送局の総数と伝送局の相互間を接続する伝送路の総長に応じて決まる位置に隣り合う二つの伝送局の各々では、一方の伝送局の通信ポートから送出され、伝送路を介してつながる他方の伝送局の通信ポートから受信された伝送フレームを、その伝送局で受信検出し、更に伝送フレームに含まれる情報に応じて応答するが、受信した通信ポートから他方の通信ポートへの中継はしない。
【0069】
従って、他方の通信ポートからはその伝送フレームを送出しないことで、受信した伝送フレームを、その中継方向にある、リング状につながり更に先の伝送局へは送達しないことで、伝送局から送出される伝送フレームがリング状に構成したネットワーク内を循環しないようにできる。
【0070】
請求項3にては、性能向上と価格低下が著しい送信器や受信器IC、データ送受信LSIや回路部品などのネットワーク部品、アクセサリ用品、メディア変換装置やインタフェース装置、テスト試験装置などの利活や組み込み、イーサネット(登録商標)上に展開される通信プロトコル拡張手順、プロトコル処理ファームウェアやミドルウェア、汎用ITアプリケーションソフト、テスト試験手順など整合性と実利面で優位とできる。
【0071】
請求項4からの実施の形態、手順を具体的に説明する前に、本発明の二重リング・ネットワークシステムの伝送局の装置構成の実施例を説明する。
【0072】
図3及び図4は、本発明の二重リング・ネットワークシステムの伝送局構成の一実施例(その1)及び(その2)となるハードウェア構成を示す。
【0073】
図3及び図4のハードウェア構成の違いは、特に、図4は、図3のハードウェア構成から、RRR−DET−A,−B回路、RRR−RCV−ADRS回路が省かれた構成であり、図3と区別するためのフレーム検出部45と称する。
【0074】
一方の通信ポート部10であるポートAは、隣局との双方向通信が行えるように受信器(RVR−A)、送信器(TVR−A)から構成されている。また、他方の通信ポート部11であるポートBは、隣局との双方向通信が行えるように受信器(RVR−B)、送信器(TVR−B)から構成されている。
【0075】
ポートAからの受信では、RVR−Aの出力となるポートAからの受信信号(SIG−RV−A)は、12であるリピータA(FW−A)、受信許可スイッチ18(SW−RVC−A)、フレーム検知判定部31内の受信異常検出回路32(RCV−ERR−A)、SYNフレーム検出回路34(SYN−DET−A)、RRRフレーム受信検出回路37(RRR−DET−A)、RRRフレーム受信先アドレス保持回路38(RRR−RCV−ADRS)、INZフレーム受信検出回路40(INZ−DET−A)、INZフレーム送信元アドレス保持回路41(INZ−TX−ADRS−A)に導かれる。
【0076】
同様に、他方の通信ポート部11であるポートBからの受信では、RVR−Bの出力となるポートBからの受信信号(SIG−RV−B)は、15であるリピータB(FW−B)、受信許可スイッチ19(SW−RCV−B)、受信異常検出回路33(RCV−ERR−B)、SYNフレーム検出回路36(SYN−DET−B)、RRRフレーム受信検出回路39(RRR−DET−B)、RRRフレーム受信先アドレス保持回路38(RRR−RCV−ADRS)、INZフレーム受信検出回路42(INZ−DET−B)、INZフレーム送信元アドレス保持回路43(INZ−TX−ADRS−B)に導かれる。
【0077】
イーサネット(登録商標)手順による伝送フレームの送信と受信を制御する送受信制御回回路21(MAC/DLC)からの送信出力は、送信許可スイッチ16(SW−TX−A)、送信許可スイッチ17(SW−TX−B)に導かれる。送信許可スイッチ16(SW−TX−A)がONの許可状態の時には、送受信制御回路21(MAC/DLC)の送信出力信号は、一方の通信ポート部10であるポートAのTVR−Aに、また送信許可スイッチ17(SW−TX−B)がONの時には、他方の通信ポート部11のTVR−Bに導かれ送出される。
【0078】
スイッチ状態がOFFの時は、MAC/DLCの送信出力信号はスイッチにてカットされ、結果として対応する通信ポートからは伝送フレームが送出されない。
【0079】
ポートAから受信した伝送フレームはFW−Aの出力、中継許可スイッチ13(SW−FW−A)を経由し、ポートBのTVR−Bに導かれる。中継許可スイッチ14(SW−FW−A)がONの場合は、ポートAから受信した伝送フレームは、結果として、中継されてポートBから送出される。
【0080】
また、OFFの場合は、SW−FW−Aによりカットされて中継送出されない。同様に、ポートBから受信した伝送フレームはリピータ15(FW−B)の出力、中継許可スイッチ14(SW−FW−B)を経由し、ポートAのTVR−Aに導かれる。
【0081】
SW−FW−BがONの場合は、ポートBから受信した伝送フレームは、結果として、中継されてポートAから送出される。OFFの場合は、SW−FW−Bによりカットされて中継送出されない。
【0082】
ポートAから受信した伝送フレームは、SW−RCV−Aを経由して先着受信選択回路20(RCV−SEL)へ導かれる。同様に、ポートBから受信した伝送フレームは、19であるSW−RCV−Bを経由してRCV−SELへ導かれる。
【0083】
RCV−SELでは、ポートAおよびポートBからの受信信号を判断して、重なりがある場合には、先に到着したポート側から受信する伝送フレームを優先して受信完了まで切り替える。
【0084】
このRCV−SEL出力は、MAC/DLCへ導かれ、受信処理される。本発明の二重リング・ネットワークシステムでは、健全状態にて稼動している間は、リング状とはいえバス型ネットワークと等価となるため、終端局を除く伝送局においては、伝送フレームを送出する伝送局と自局との位置関係により、一時にはどちらか一方のポートから伝送フレームを受信する。
【0085】
そして、終端局では、リング状の接続状態の為、両方のポートから伝送フレームを受信することとなるが、通常は、ブロック状態にあるポート側の受信許可スイッチをOFFとして、非ブロック状態のポート側からの受信入力とする。
【0086】
本発明では、これらの受信許可スイッチ、送信許可スイッチ、中継許可スイッチのON、OFF状態を切り替え制御する。
【0087】
MPU24は、プログラムメモリ(PROMとワーキングRAMメモリ、RAMを用い、PROM)に格納されたプログラム手順により、また必要な設定値を読み出して、更にRAM内に必要なデータを書き込み、一時的に保持しまたは読み出して、本発明の伝送局でのシーケンス手順やイーサネット(登録商標)伝送手順を処理する中核となるマイクロプロセッサである。
【0088】
IOC22は、MPU24からの書き込みデータを受けて、必要な回路へ制御信号を出力する、もしくは、各回路部から状態入力を受けて、MPU24が読み出すための入出力制御回路である。
【0089】
DP−RAM26であるデュアルポート・メモリ回路は、MAC/DLCから送受信する伝送フレームのデータの格納、更に、伝送局に接続する外部ホスト装置29とのホスト接続インタフェース回路28(HOST−IFを介した送受信データや制御コマンド・状態ステータスの交換のためのメモリ回路)となる。DP−RAM26は、MPU24、HOST−IF28、MAC/DLC21からアクセスされることからDPRAMコントローラはDPRC27により読み出し、書き込みのタイミングが制御される。
【0090】
受信異常検出回路32(RCV−ERR−A)、受信異常検出回路33(RCV−ERR−B)は、ポートA,−Bに対応した受信異常を検出する回路である。
【0091】
受信異常は、到来するフレームのキャリア信号が割れる、規定以上のイーサネット(登録商標)特有の受信クロック同期用信号であるプリアンブルパターンを受信する。
【0092】
逆に必須のプリアンブルパターンを検出できない、イーサネット(登録商標)伝送フレームに備わる伝送フレームの誤り検出コード(FCS)のチェックにより規定以上の誤りを連続して検出するなどの、受信誤りが連続して規定回数以上に検知されることで受信異常発生と判断するが、検知回路ではDLC/MACに備わるFCSチェック手段とその結果のMPU24による統計処理することを除いた範囲となる。
【0093】
SYNフレーム検出回路34(SYN−DET−A)、SYNフレーム検出回路36(SYN−DET−B)は、ポートA,−Bに対応したSYNフレームの到来を検出する回路である。
【0094】
一方、SYN断検出路35(NO−SYN−DET−A/−B)は、SYN無しのロングサイレンス状態の発生を検出する回路である。
【0095】
RRRフレーム受信検出回路37(RRR−DET−A)、RRRフレーム受信検出回路39(RRR−DET−B)は、ポートA,−Bに対応したRRRフレーム受信を検出する回路である。
【0096】
RRRフレーム受信先アドレス保持回路38(RRR−RCV−ADRS)は、受信したRRRフレーム中の受信先アドレス(DA)部分を取り込んで保持する回路である。RRR−RCV−ADRSは、両側の受信信号を取り込んでタイミングを取って受信先アドレス部分を取り込むことが可能な回路構成となる。
【0097】
INZフレーム受信検出回路37(INZ−DET−A)、INZフレーム受信検出回路38(INZ−DET−B)は、ポートA,−Bに対応したINZフレーム受信を検出する回路である。
【0098】
INZフレーム送信元アドレス保持回路41(INZ−TX−ADRS−A)、INZフレーム送信元アドレス保持回路41(INZ−TX−ADRS−B)は、ポートA,−Bに対応して、受信したINZフレーム中の送信元アドレス(SA)部分を保持する回路である。
【0099】
割り込み信号検出回路23(IRP)は、伝送局回路で検出した事象発生をMPU24へ割り込み信号として伝える割り込み信号の検出回路である。
【0100】
割り込み信号には、受信異常発生検出(IRP−RE−A,−B)、SYN断検出(IRP−NO−SYN)、SYNフレーム受信検出(IRP−SYN−A,−B)、RRRフレーム受信検出(IRP−RRR−A,−B)、INZフレーム受信検出(IRP−INZ−A,−B)、MAC/DLC送受信完了検出(IRP−DLC)、MPUへの処理要求(IRP−HOST)とMPUからホスト装置への処理要求(IRP−STN)等がある。
【0101】
C−BUSは、MPU24につながる共通データバスとなり、C−BUSを介して、MPU24は、特にNO−SYN−DET−A/Bの検出状態や、RRR−RCV−ADRSに保持されているRRRフレーム受信先アドレス情報や、INZ−TX−ADRS−A,−Bに保持されているINZフレーム送信元アドレス情報を読み出すことができる。
【0102】
本発明では、請求項11として、ISO/IEC8802−3イーサネット(登録商標)規格にあう伝送フレームの使用を前提とする。
【0103】
なお、図23には、ISO/IEC8802−3イーサネット(登録商標)規格の伝送フレームフォーマットを示している。
【0104】
図23において、PREは、受信信号同期用のプリアンブルパターンで7バイト長、SFDはフレーム開始パターンで1バイト長、DAは受信先アドレス、SAは送信元アドレス、LEN/TYPEは伝送フレームのプロトコルタイプを示すタイプコード番号、Infは伝送フレームの情報フィールドとなる。
【0105】
RRR−RCV−ADRSはDA部分を、また、INZ−TX−ADRS−A,−Bの各々はSA部分を専用に取り込み保持する回路となる。
【0106】
請求項11に対応する実施例では、本制御方式で使用するSYN、RRR、INZ、INZ−COMPの伝送フレームとしては、特別に限定したイーサネット(登録商標)・フレームフォーマットに限定しない。
【0107】
これらの制御フレームが識別できるフォーマットとしての実施例であれば良い。実際的には、LEN/TYPE番号を取る方法があるが、これはEthernet(登録商標)のプロトコルType番号を管理する登録局の許可が必要となる。
【0108】
また、既に取得しているプロトコルType番号で規定される情報フィールドに識別情報を埋め込む方法がある。Ethernet(登録商標)で一般的なTCP/IPプロトコルで規定されるTCPヘッダ拡張部やTCP情報部のデータフィールドの確定した位置に識別情報を埋め込む方法や、UDPプロトコルで専用のフォーマットを実施することが出来る。
【0109】
請求項4から請求項10に対しては、前記した伝送局の装置構成で、SW−FW−A,−B、SW−TX−A,−B、SW−REC−A,−Bの各スイッチの状態制御が実施する手順に合わせたポイントの一つとなる。
【0110】
本発明の二重リング・ネットワークとその制御方式を活用するネットワーク・システムでは、第1層メディア部分としての本発明でいう二重リング・ネットワークの初期状態を前提とする。
【0111】
図6は、請求項4、請求項5、請求項6および請求項7に関して、初期化開始時の各局スイッチ状態と局モードを示す。伝送局の電源が投入された状態と基本的に同じ状態となる。MSポートは、二つある通信ポートA、−Bのうち、最初にINZフレームを受信検出したポートを示す。
【0112】
尚、本発明の伝送局の構成では、送信系および受信系で対称のハードウェア構造となることから通信ポートA、−Bを一意的にどちらかの通信ポートに限定する必要性は無い。即ち、請求項に記載の手順を実施するうえで、どちらのポートがAまたはBとなっても問題は生じない。
【0113】
しかし、以降の具体的な実施の形態を説明する上で、複雑さを軽減し理解と説明を容易にする理由から、便宜上、各伝送局では、図3および図4で示したハードウェア構成例に従って、向かって左側の通信ポートをポートAとし、また、向かって右側の通信ポートをポートBとして、以降、統一して記載する。
【0114】
局モードは、各請求項に対応して後述するが、図8に示すように、電源投入と同一の状態となる“不定“状態(スタート)から、”Not終端局“の中間モードを経て、終端局”ST−T−L“、中継局”Normal“と終端局”ST−T−R“の状態を遷移する。
【0115】
尚、前記したように、便宜上で限定したポートAとポートBの伝送局ハードウェア構成での対応に応じて、ポートB側がブロック状態にある伝送局を終端局ST−T−Lとし、また、ポートA側がブロック状態にある伝送局を終端局ST−T−Rとして、以降、記載する。
【0116】
請求項4に対しては、図9が各伝送局間で交信されるINZフレームのシーケンスを示す。
【0117】
図9のシーケンス図においては、マスタ局MSがINZフレームを伝送局#ST1、・・伝送局#ST4及び伝送局#ST8・・・伝送局#ST5に送信する。INZフレームを受信した伝送局#ST1、・・伝送局#ST4及び伝送局#ST8・・・伝送局#ST5は、アドレスが若い隣接する伝送局にINZフレームを返す。
【0118】
そして、このような初期化が終わると、INZフレームを伝送局に送信しても、その伝送局から返ってこない場合は、その伝送局との間は異常(断線)として、INZ−COMPフレームをマスタ局MSに送信する。図9においては、伝送局#ST5がINZフレームを伝送局#ST6に返信していない。
【0119】
なお、図9の上記説明ではアドレスが若い隣接する伝送局にINZフレームを返すとしたが、INZフレームを受信した伝送局はINZフレームを返さないようにしてもよい。
【0120】
また図10及び図11が、マスタ(MS)局を除く、各伝送局での初期化処理を示す。
【0121】
図12及び図13は、MS局ST1の初期化処理を含む。また、特に、MS局の隣局となる伝送局ST2、ST8での交信処理の動作を、図10及び図11に示した各伝送局での初期化処理手順に基づき示している。
【0122】
尚、図9に示す二重リング・ネットワークの構成例は、図1の例に合わせてあり、伝送局の総数や伝送局識別の#ST1から#ST9の番号付けに対しての限定はない。更に、請求項4に対しては、図3および図4で示したハードウェアの一実施例の構成が適応する。
【0123】
基点となる一つの伝送局として、#ST1がMS局となると、MS局からは、図9に示すように、また、図12、図13のステップS0で示すように、MPU24によるソフトウェア制御されたSTタイマーをスタートする。
【0124】
更には,S1ステップにより隣局、この場合はST2およびST8が対応する隣局の終端局チェックを行う。次に、STタイマーアップのタイミング毎に、初期化完了となるS3ステップが終了するまで、周期的に初期化を指定するINZフレームをMPUがソフトウェア制御にて生成する。そして、MAC/DLCを起動して、SE−TX−A、−B
をON状態に保持して、ポートA、−Bの両方向から送出する。
【0125】
伝送局の初期時点の各スイッチ状態は、図6に示したように、両ポート共にブロック状態、受信禁止状態となることから、図12、図13で示す各処理ステップでは、INZ−DET−Aまたは−BによりINZフレームの到来を検出する。
【0126】
そして、IRP−INZ−Aまたは−Bの割り込み信号によりMPU24のソフトウェア処理でINZフレームの受信を確認し、どちらのポートから受信したかとなる受信ポートを確認する。
【0127】
つまり、初期化の最初のINZフレームの受信ポートが、MSポートに設定される。
【0128】
次に、マスタ局MSからのINZフレームを、図12、図13のステップS01またはS02により受信すると、その受信ポートから他方の通信ポートへのブロック状態を、受信ポートに対応するSW−FW−Aまたは−BをONとすることで非ブロック状態とする。
【0129】
同様に受信ポートに対応するSW−RCV−Aまたは−BをONとすることで、その受信ポートからの伝送フレームの受信取り込みを以降は許可する。
【0130】
更に、受信ポートに対応するSW−TX−Aまたは−Bのみを一時的にONにして、受信ポート側から応答確認INZフレームを送出し、局モードをnot終端局とする。その後、S11にてマスタ局からの次のINZフレームを受信検知すると、STタイマーを起動し、S2ステップのイベントを待つ。
【0131】
次に、S01またはS02にてINZフレームを送出した後、S11にて次のINZフレームの到来を検知している状態で、MSポート側とは反対側の隣接局が送出する応答確認INZフレームを、S21もしくはS23ステップで受信確認すると、この受信ポートから他方の通信ポートへのブロック状態を非ブロック状態に、また、到来する伝送フレームの受信取り込みを許可とする。この結果、この伝送局では、双方向側の通信ポートから受信する伝送フレームの受信取り込みと他方側への中継が可能となる中継局として、局モードをNormalとする。図9では、ST2、ST3、ST4およびST8、ST7がNormalモードとなる例を示している。
【0132】
一方、マスタMS局では、図12、図13のS11およびS12ステップにて、隣局となるST2、ST8からの応答確認INZフレームを受信すると、Normalモードとなる。INZ−DET−A、−Bは、同時に両方向から到来する応答確認INZを確実に検出する手段となる。
【0133】
前記したように本方式では、MS局から両側の方向に一つずつNormal 局を増やしていくことになるため、リング状のネットワークを構成する伝送局の総数と、伝送局の相互間を接続する伝送路の総長に応じて決まる、MS局が送出したINZフレームを両側の通信ポートから時間差もしくは同時に受信する伝送局が出てくる。
【0134】
図10のS03もしくはS04ステップによりMSポートが確定している状況で、ブロック状態のポートからINZフレームを受信することで、その受信ポートに応じて、終端局ST−T−LおよびST−T−Rが決定される。
【0135】
S03もしくはS04ステップにて、応答確認INZフレームを受信ポート側から送出しないことで、終端局の他方となる伝送局では、S03に対応してS24、S04に対応してS22ステップにて、STタイマーアップの規定時間以内に、既に確定してたもう一方の終端局からの応答確認INZフレームを受信できない場合に、対向する終端局の局モードとしてST−T−RおよびST−T−Lとなる。
【0136】
更にまた、図9ではST5およびST6が前記した正常な手順結果として終端局となる場合を示しているが、図11のステップS22もしくはS24にて、期待する受信ポート側の隣局から応答確認INZフレームを受けない場合には、その時点で、期待する受信ポートに応じて、終端局ST−T−LまたはST−T−Rとなる。
【0137】
MS局でも同様に、隣局にいたる伝送路、更に隣局通信機能と隣局からの自局にいたる伝送路を含んだ通信機能に異常がある場合には、図12のステップS13およびS14にて、終端局ST−T−LもしくはST−T−Rと局モードが決定される。
【0138】
尚、図12、図13の#ST2および#ST8の手順ステップ番号は、図10、図11のステップ番号と符合する。
【0139】
上記により、二重リング・ネットワークシステムを構成する各々の伝送局から送出される伝送フレームが、リング状に構成したネットワーク内を循環しないように初期化構成できる。
【0140】
尚、図5は、初期化により終端局となったST−T−LおよびST−T−Rのスイッチ状態を示す。また、図7は、加えてNormal局でのスイッチ状態を示す。
【0141】
請求項5に対しては、図14に各伝送局間で交信されるINZフレームのシーケンスを示して説明する。また図15、図16が、マスタ(MS)局を除く各伝送局での初期化処理を示す。
【0142】
図17、図18は、MS局ST1の初期化処理を含む。また、特に、MS局の隣局となる伝送局ST2、ST8での交信処理の動作を、図14に示した各伝送局での初期化処理手順に基づき示している。
【0143】
尚、図14に示す二重リング・ネットワークシステムの構成例は、図1の例に合わせてあり、伝送局の総数や伝送局識別の#ST1から#ST9の番号付けに対しての限定はない。
【0144】
更に、請求項5に対しては、図3および図4で示したハードウェアの一実施例の構成が適応する。
【0145】
基点となる一つの伝送局として、#ST1がMS局となると、MS局からは、図14に示すように、また図17及び図18のステップS0で示すように、初期化を指定するINZフレームを両方向に送出するとともに、STタイマーをスタートしてステップS1にて隣局、この例では#ST2および#ST8からの応答確認INZフレームの応答を待つ。
【0146】
各伝送局の初期時点の各スイッチ状態は、図6に示したように、両ポート共にブロック状態、受信禁止状態となることから、図15及び図16で示す各処理ステップでは、INZ−DET−Aまたは−BによりINZフレームの到来を検出する。
【0147】
そして、IRP−INZ−Aまたは−Bの割り込み信号によりMPU24のソフトウェア処理でINZフレームの受信を確認、どちらのポートから受信したかとなる受信ポートを確認する。初期化の最初のINZフレームの受信ポートが、MSポートに設定される。
【0148】
マスタMS局からのINZフレームを、図15、図16のステップS01またはS03により受信すると、その受信ポート(MSポート)から他方の通信ポートへのブロック状態を、MSポートに対応するSW−FW−Aまたは−BをONとすることで非ブロック状態とする。
【0149】
同様にMSポートに対応するSW−RCV−Aまたは−BをONとすることで、その受信ポートからの伝送フレームの受信取り込みを以降は許可する。
【0150】
また、受信検知したINZフレーム中の送信元アドレス情報を、受信ポートに対応するINZ−TX−ADRS−Aまたは−Bより読み出してMSポート側隣局アドレスとして保持する。更に、局モードをnot終端局とする。
【0151】
更にまた、MSポートに対応して、ステップS11もしくはS12にて、応答確認INZフレームを受信先として、先に保持した隣局アドレスを設定して、両ポートより送出し、MSポートと反対側のポートからの伝送フレームの受信取り込みを許可すると共に、STタイマーを起動して、S2ステップのイベントを待つ。
【0152】
S11またはS12にて受信先としてMSポート側隣接局アドレスを設定したINZフレームを送出した後に、MSポート側とは反対側の隣接局が送出する自局を指定した応答確認INZフレームを、S21もしくはS22ステップにて受信確認すると、この受信ポートから他方の通信ポートへのブロック状態を非ブロック状態に、また、到来する伝送フレームの受信取り込みを許可とする。
【0153】
この結果、この伝送局では、双方向側の通信ポートから受信する伝送フレームの受信取り込みと他方側への中継が可能となる中継局として、局モードをNormalとする。
【0154】
図14では、ST2、ST3、ST4およびST8、ST7がNormalモードとなる例を示している。
【0155】
一方、MS局では、図12、図13のS11およびS12ステップにて、隣局となるST2、ST8からの自局を指定した応答確認INZフレームを受信すると、Normalモードとなる。INZ−DET−A、−Bは、同時に両方向から到来する応答確認INZを確実に検出する手段となる。
【0156】
前記したように本方式では、マスタMS局から両側の方向に一つずつNormal 局を増やしていくことになるため、リング状のネットワークシステムを構成する伝送局の総数と、伝送局の相互間を接続する伝送路の総長に応じて決まる、MS局が送出したINZフレームを両側の通信ポートから時間差もしくは同時に受信する伝送局が出てくる。
【0157】
図15、図16のステップS02、S04において、既にMSポートが確定している状態で、反対側のポートよりINZフレームを受信した場合に、終端局ST−T−LまたはST−T−RがMSポートに応じて決定する。
【0158】
更に、終端局となった後に、ステップS11またはS12により、MSポート側隣接局を指定した応答確認INZフレームを送出する。一方、ST−T−LまたはST−T−Rが決定された伝送局Aに対向し、もう片側の終端局となる伝送局Bでは、既に伝送局Bが送出したINZフレームに対して、伝送局Aが送出すると期待する自局を指定した応答確認INZフレームの受信を待機している中で、STタイマーがアップする前に、自局が受信先に指定されていないINZフレームを受信検知することとなる。
【0159】
MSポートとは反対側となる受信ポートから、自局を受信先に指定されていないINZフレームを受信検知した場合には、ステップS23またはS24により伝送局Aに対向する終端局ST−T−RまたはST−T−Lとなる。
【0160】
更にまた、図14では、ST5およびST6が前記した正常な手順結果として終端局となる場合を示しているが、図15、図16のステップS25およびS26により、期待する受信ポート側の隣局から自局を受信先に指定した応答確認INZフレームを受けない場合には、その時点で、期待する受信ポートに応じて、終端局ST−T−LまたはST−T−Rとなる。
【0161】
MS局でも同様に、隣局にいたる伝送路、更に隣局通信機能と隣局からの自局にいたる伝送路を含んだ通信機能に異常がある場合には、ステップS13またはS14にて終端局ST−T−LまたはAT−T−Rが決定される。
【0162】
尚、図17、図18の#ST2および#ST8の手順ステップ番号は、図15、図16のステップ番号と符合する。上記により、二重リング・ネットワークシステムを構成する各々の伝送局から送出される伝送フレームが、リング状に構成したネットワーク内を循環しないように初期化構成できる。
【0163】
また、図5は、前記したように初期化により終端局となったST−T−LおよびST−T−Rのスイッチ状態を、また、図7は、加えてNormal局でのスイッチ状態を示す。
【0164】
請求項6に対しては、図14のINZフレームの交信シーケンス、図15、図16がMS局を除く伝送局、また図17、図18がMS局の初期化処理となる。また、図3および図4が伝送局の構成例となる。
【0165】
伝送フレームには、受信先を示す受信先アドレス、送信元を示す送信元アドレスが含まれる。図23に示すISO/IEC8802−3のイーサネット(登録商標)伝送フレームでは、伝送フレーム中の規定された位置にあるフィールド情報として、それぞれDA、SAが相当する。
【0166】
前記した請求項5に対応する実施例で、MS局を除く伝送局は、初期化期間内で始めてINZフレームを受信すると、受信ポートをMSポートとし、受信したINZフレーム中の送信元アドレス(DA)を取り出して、MSポート側に隣り合う伝送局のアドレスとして保持する。
【0167】
更に、続けて保持したMSポート側の隣接局アドレスを受信先に指定した応答確認INZフレームを両方向に送出する。MSポート側の隣接局では、自局を受信先に指定したINZフレームをMSポートの反対側のポートより受信することになるが、その送信元アドレスは、マスタMS局から自局の一つ先にある、即ちMSポートの反対側ポートに隣接する伝送局のアドレスとなる。
【0168】
図17のマスタ局MSにおけるステップS11およびS12により、また、図15、図16のマスタ局MS以外の伝送局では、ステップS01またはS03およびS11またはS12および図18のS21またはS22の一連の手順によるNormalモードへの遷移過程で、また、ステップS02またはS04およびS11またはS12およびS23またはS24の手順によるST−T−LまたはST−T−Rモードへの遷移過程で、MSポート側および反対側ポートに隣接する伝送局のアドレス情報を取得して保持することが出来る。
【0169】
また、この初期化方法では、マスタ局MSから一つずつ伝送局をリング・ネットワークシステムに組み入れていく過程で、各伝送局では、MSポート側の受信系統の健全性と、MSポートの反対側ポートに隣接する伝送局への伝送路と、隣接局の受信と送信機能、隣接局から自局にもどる伝送路と自局受信系統とに異常が無ければ、必ず隣接局からの応答確認INZフレームを受信検知することで、隣接局が一体となって隣接局間での双方向通信路の健全性を確認しつつ、MSポート側および反対側ポートに隣接する伝送局のアドレスを取得し保持することができる。
【0170】
請求項7に対しては、請求項4、請求項5で前記した初期化の実施例において、MS局を基点として、リング状のネットワークシステムを構成する伝送局の総数と、伝送局の相互間を接続する伝送路の総長に応じて決まる位置に隣り合った二つの終端局ST−T−LおよびST−T−Rが構成された時点で、または、初期化の途中で、自局の隣局からの応答確認INZフレームの受信がないことにより終端局となることを判断した時点で、即ち、請求項4の初期化方法においては、図10、図11のステップS03、またはS04またはS22またはS24により、また請求項5の初期化方法においては、図15、図16のステップS02またはS04またはS23またはS24またはS25またはS26によりST−T−L、ST−T−Rが決定された後に、各々の終端局では、終端局アドレスおよび終端局モードを含む初期化終了の表示となるINZ−COMPフレームを送出することで、MS局、伝送局に対して、二重リング・ネットワークの初期化が完了したことを通知することができる。
【0171】
初期化が完了した各伝送局では、両側ポートからの伝送フレームの送出および受信取り込みが可能となっており、MPUのソフトウェア制御によりINZ−COMPフレームを生成しMAC/DLCにより送信制御して両側ポートより送出でき、また到来受信したINZ−COMPフレームをMAC/DLCにより受信制御して取り込み、MPUのソフトウェア制御により検出、判断、処理することができる。
【0172】
しかし、初期化が完了していることから機能的にバス型ネットワークとなっていることで、各伝送局では、両終端局がほぼ同時にINZ−COMPフレームを送出すると受信が重なる機会が発生する。
【0173】
その場合は、RCV−SELにより、先着した一方のINZ−COMPフレームはMAC/DLCにて受信制御し、取り込むことが出来る。
【0174】
そこで、請求項4に対応する初期化の方法では、図10、図11のステップS3およびS4として、MS局を指定したINZ−COMPフレームの交信手順を、実施例の一例として示す。
【0175】
即ち、MS局との応答確認シーケンスにより確実にINZ−COMPフレームがMS局で受信できるようにする。マスタ局MSから、自局を受信先に指定した受信確認INZ−COMPフレームを受信するまで再送処理を続けるが、再送のための待ち時間をST−T−L及びST−T−Rの局モードに応じてST1及びST2と違えることでMS局でのINZ−COMPフレームの続けての重なりを回避する実施例となる。
【0176】
図12、図13のステップS3にて、MS局側では初期化完了を検出し、周期的なINZフレームの送出を停止することが出来る。
【0177】
また請求項5に対応する初期化の方法では、図15、図16のステップS3およびS4として、受信先として同報アドレスを指定したINZ−COMPフレームの交信手順を、実施例の一例として示す。
【0178】
マスタ局MSは、同報アドレスが指定されたINZ−COMPフレームを受信すると、その送信元アドレス先に対して応答確認のINZ−COMPフレームを送出することで、マスタMSとの応答確認シーケンスにより確実にINZ−COMPフレームがマスタ局MSで受信できるようにする。
【0179】
マスタ局MSからの終端局を受信先に指定した受信確認INZ−COMPフレームを受信するまで再送処理を続けるが、再送のための待ち時間をST−T−L及びST−T−Rの局モードに応じてST1及びST2と違えることでマスタ局MSでのINZ−COMPフレームの続けての重なりを回避する実施例となる。
【0180】
図17、図18のステップS3にて、MS局側では初期化完了を検出することが出来る。尚、終端局から送出するINZ−COMPの受信先が同報アドレスとすることで全ての伝送局にて初期化の完了を検出することができる。
【0181】
請求項8に対しては、図3及び図4が伝送局の構成例となる。図19は、#ST5及び#ST6が対向する終端局として構成された二重リング・ネットワークシステムで、正常に稼動中に#ST10と#ST9を接続する通信路に伝送異常が発生した状況を例示している。
【0182】
尚、発生箇所や伝送局数、同期局や終端局の位置との関係は限定されるものではない。
【0183】
また、図20は、#ST10と#ST9を接続する通信路に伝送異常が発生した後の各伝送局での各スイッチの状態を示す。
【0184】
前記した初期化が完了している状態で、二重リング・ネットワークシステム上には、伝送局の一つ以上が一つ以上の伝送フレームを送出している一般的な状況の中で、予め設定された条件にあう特定情報を含み、それをもって到来を判別するSYNフレームが、いずれかの伝送局(同期局)から周期的に送出されている状況にて、SYNフレームの到来は、SYN−DET−A,−Bにより判別され検出されてIRP−SYN−A,−Bとして出力される。
【0185】
また、SYNフレームの受信が予め設定した期間にわたり無いことを、IRP−SYN−A,−Bの出力が周期的に継続しないことで通信ポートごとに判定検出するNO−SYN−DET−A/Bにて行われる。
【0186】
従って、NO−SYN−DET−A/Bでは、IRP−SYN−A,−B信号から、一方の通信ポートを介しては周期的なSYNフレームの到来が連続継続する状態下で、他方の通信ポートを介しては周期的な到来が連続して予め指定した期間にわたりないことも検出でき、どちらの通信ポートからSYNフレームの周期的に継続する到来受信がないかを、SYN断状態の検出出力信号IRP−NO−SYNの状態変化割り込み時点で、C−BUSを経由してMPUは読み出すことが出来る。また、前記した受信信号状態を監視して異常と判断する条件により、RCV−ERR−A,−Bにより通信ポートA,−Bを介して受信する伝送フレームの受信信号状態の異常を検出する。
【0187】
NO−SYN−DET−A/BとIRP−NO−SYN割り込み信号に応答してMPUのソフトウェア制御により、SYN断状態のポート−Aまたは−Bに対しては、各々の通信ポートを介して受信される伝送フレームとして前記したINZフレームや図3の伝送局構成に対応した後述するRRRフレームは検出判別して応答するが、SYN断検出した通信ポートから他方の通信ポートへの中継を通して他方の通信ポートからの伝送フレームの送出はないように、SYN断検出した通信ポートに対応する中継許可スイッチSW−FW−A,−BをONからOFF状態に変更し、ポート間の中継禁止となるブロック状態にする。
【0188】
更に、SYN断を検出したポートからの伝送フレームの受信と取り込みを、対応するSW−REC−A,−Bの状態をONからOFF状態に変更して受信禁止状態とする。REC−ERR−A,−Bにて受信異常を検出した通信ポートでは、同様に対応するSW−FW−A,−Bを制御してブロック状態に、また、SW−REC−A,−Bを制御して受信禁止状態とする。MPU24からの各スイッチに対する制御信号は、IOCを経由して出力される。
【0189】
上記により、故障発生の検出から、回復手順によるネットワーク機能回復に至る間、複数の伝送局の通信ポートを非ブロック状態に維持して、終端局の機能を複数伝送局で果たすようにできる。
【0190】
請求項9に対しては、図3が伝送局の構成例となる。図21が対応する故障発生の検出からの回復手順を示す。図19は、#ST5及び#ST6が対向する終端局として構成された二重リング・ネットワークで、正常に稼動中に、#ST10と#ST9を接続する通信路に伝送異常が発生した状況を例示している。尚、発生箇所や伝送局数、同期局や終端局の位置との関係は限定されるものではない。図20は、#ST10と#ST9を接続する通信路に伝送異常が発生した後の各伝送局での各スイッチの状態を示す。
【0191】
図3の実施例の伝送局構成により、RRRフレームの到来は、RRR−DET−A,−Bにて判別され検出されて、IRP−RRR−A,−Bとして出力される。RRRフレームを受信した場合に、RRRフレーム中の受信先アドレス情報は、RRR−RCV−ADRSに保持されることで、IRP−RRR−A,−Bの状態変化割り込み時点で、C−BUSを経由してMPUは読み出すことができ、どちらの通信ポートからの受信かを含めて判断し処理することができる。
【0192】
自局の識別情報となる自局アドレス情報は、PROM内に予め設定する、もしくはスイッチによる設定等で、更にポート−A,−B側に隣接する伝送局のアドレス情報は、前記した請求項6の初期化手順や、本方式による故障からの回復手順の開始前に、隣接局アドレス情報としてRAM内に設定し保持することで、更に、これらをMPUは読み出して、受信したRRRフレーム中の受信先アドレス情報と自局アドレス情報とを比較し、その一致や不一致を、MPUのソフトウェア制御により判断し処理することができる。
【0193】
即ち、アドレス一致を判断し、RRRフレームの受信ポートを非ブロック状態に変更する、または、アドレスの不一致を判断して、RRR受信ポートに対応した隣接局アドレス情報を読み出して、受信先として指定したRRRフレームを生成し、RRR受信ポートを介して、RRRフレームの受信完了のタイミングで直ちに送出する。
【0194】
更に、RRRフレームを送出後、前記したソフトウェア制御により構成するSTタイマーを起動して、予め指定した時間以内に、自局を受信先に指定したRRRフレームの受信を監視し検出するなどの処理は、MPUのソフトウェア制御により判断し処理することができる。
【0195】
二重リング・ネットワークシステム上には、同期局からのSYNフレームに加え、各伝送局からは、周期的に送出される伝送フレームや単発的に送出される伝送フレームが、本発明に対しては特に規定する必要がないOSI上位層となる二重リング・ネットワークシステム上での伝送フレーム同士の衝突を回避する伝送路制御方式に従って送出されている状態で、図19に例示した、#ST10と#ST9を接続する通信路に伝送異常が発生した場合は、請求項8に対して前記したように#ST10及び同期局となる#ST1から終端局#ST5の経路上の各局#ST2、#ST3、#ST4と#ST5では、同期局からの周期的で継続したSYNフレームの到来と受信を依然として検知できることから、SYN断検出はされない。
【0196】
一方、#ST9から終端局#ST6の経路上の#ST9、#ST8、#ST7と#ST6では、SYN断検出と、状況により受信異常検出がされる。また、#ST10では、SYNフレームの周期的な到来受信を検出しているが、結果として前記した条件により受信異常検出される。
【0197】
図19の例で、#ST10と#ST9を接続する通信路に伝送異常が発生した状況では、各伝送局での各スイッチの状態は図20となる。#ST9、#ST8、#ST7と#ST6では、従って、SW−FW−BをOFFすることで、また、SW−REC−BをOFFすることで、ポートB側はブロック状態、受信禁止状態となる。#ST10では、SW−FW−A及びSW−REC−AをOFFすることでポートA側がブロック状態、受信禁止の終端局ST−T−Rとなる。
【0198】
二つの終端局のうち、同期局#ST1から異常個所に向かう経路上の先に位置する#ST6終端局では、図21に示すステップS−R0にて、図7で示されるST−T−Rのスイッチ状態:T−R−M0モードで、元々ブロック状態、受信禁止状態にあったポートA側に加え、今回はポートBも同一の状態となる図20で示す終端局#ST6のスイッチ状態(T−R−M1)に変化する。
【0199】
更に、#ST6では、NO−SYN−DET−A/B、IRP−SYN−A,−Bにより、ポートB側、即ち、同期局に向かう経路上で異常が発生したと判断し、SYN断検出終端局として、ステップS−R1により、直ちに、対向する終端局ST−T−Lとなる#ST5のアドレス情報を保持しているRAM内から読み出し、受信先に指定したRRRフレームを、ポート−A、−Bを介して両方向に送出し、また予め指定されたタイマー時間を設定したSTタイマーを起動して、同期局に向かうポートB側の隣接局、この場合は#ST7からの応答確認RRRフレームの到来受信を待機する。
【0200】
RRR伝送フレームの受信先に指定された対向する終端局ST−T−Lの#ST5では、#ST6から送出された自局が指定されたRRRフレームを受信すると、ステップS−L1により、終端局としてブロック状態にあつたポートB側SW−FW−BをON及びSW−REC−BをONとすることでポートBを非ブロック状態、受信許可状態にして、終端局状態から中継局Normalモードとなる。
【0201】
SYN断検出終端局#ST6から異常発生箇所に至る正常に機能する伝送局の各々、#ST7、#ST8、#ST9では、この方向の中継機能が維持されていることから、ステップS1により、SYN断検出終端局#ST6からのRRRフレームを各々が伝送系路上の遅れはあるものの、ほぼ一時に受信する。
【0202】
各々の伝送局では、ステップS1により、RRR−DET−AによりRRRフレームの到来受信を検出し、自局が受信先でないことを判断すると、SYN断検出終端局に向かう隣接局のアドレスを、保持しているRAM内から読み出して受信先に指定したRRRフレームを生成し、SW−TX−Bを一時的にOFFすることで、RRR受信ポートとなるポートAを介して、MAC/DLCの送受信制御によりRRRフレームの受信完了後に、直ちに送出する。
【0203】
SYN断検出終端局#ST6では、ST−T−L終端局を受信先に指定したRRRフレームを送出後、同期局に向かう隣接局#ST7より、自局が指定されたRRRフレームを、ステップS−R2によりSTタイマーアップまでの時間内に受信検出すると、STタイマーアップまで待った後に、異常検出時点からブロック状態にしていた同期局に向かう側のポートBおよび元々ブロック状態にあったST−T−Lと対向するポートAを非ブロック状態に、また両ポートを受信許可状態にして終端局状態から中継局Normalモードとする。
【0204】
SYN断検出終端局#ST6から異常発生箇所に至る正常に機能する各々、#ST7、#ST8、#ST9では、ステップS1によりRRR受信ポート側の隣接局を受信先に指定したRRRフレームをRRR受信ポート側から送出後、送出時に起動したSTタイマのアップ前に、同期局に向かう隣接局より自局が指定されたRRRフレームの受信をステップS21で確認すると、STタイマーがアップするまで待った後に、異常検出時点からブロック状態にしていたポートBを非ブロック状態にして中継局Normal モードに復帰する。
【0205】
一方、SYN断検出終端局#ST6に向かう異常個所に隣接する伝送局#S9では、ステップS22によりSTタイマーアップしても#ST10からの自局を指定したRRRフレームを受信できないことで、ポートBのブロック状態を維持する。
【0206】
従って、新たな終端局ST−T−Lとなる。同様に、SYN断検出終端局に隣接する箇所にて異常が発生した場合には、予め指定した時間を経過したSTタイマアップしても自局を指定したRRRフレームの受信がないことで、ステップS−R2により、異常検出時点でブロック状態にしていたポートのブロック状態を維持する。
【0207】
また、終端局として元々ブロック状態にあった他方の通信ポートは非ブロック状態とし、終端局St−T−RからST−T−Lとなる。
【0208】
上記により、二重リング・ネットワークシステム上で1箇所故障による伝送異常状態が発生した場合に、終端局の位置を、異常発生箇所から同期局に向かう隣接局と、異常発生箇所から反対側に向かう隣接局に変化させることでネットワークの全面停止を回避することができる。
【0209】
また、終端局を変化させる際に、隣接局との双方向通信の健全性を確認しつつ、また、新たな終端局となる伝送局にいたる経路上の複数の伝送局間で、ほぼ同時に一時に完了させることでき、異常状態から復帰にいたる回復時間を非常に短時間にすることができる。更には、特別な中央局とのやり取りを個々の伝送局が行うことなく、隣接局同士で分散して回復までの処理を行えることで複雑な交信手順を省くことが出来る。
【0210】
請求項10に対しては、図4が伝送局の構成例となる。図22が対応する故障発生の検出からの回復手順を示す。図19は、#ST5及び#ST6が対向する終端局として構成された二重リング・ネットワークで、正常に稼動中に、#ST10と#ST9を接続する通信路に伝送異常が発生した状況を例示している。
【0211】
尚、発生箇所や伝送局数、同期局や終端局の位置との関係は限定されるものではない。図20は、#ST10と#ST9を接続する通信路に伝送異常が発生した後の各伝送局での各スイッチの状態を示す。
【0212】
前記した請求項9で記述したRRR−DET−A,−Bとその検出出力信号IRP−RRR−A,−B及びRRR−RCV−ADRSを除いて、伝送局を構成する各回路の機能と作用は、自局アドレス情報や隣接局アドレス情報の設定保持など機能、作用において同じとなる。
【0213】
また、請求項9で記述したように、二重リング・ネットワークシステム上には、同期局からのSYNフレームに加え、各伝送局からは、周期的に送出される伝送フレームや単発的に送出される伝送フレームが、本発明に対しては特に規定する必要がないOSI上位層となる二重リング・ネットワークシステム上での伝送フレーム同士の衝突を回避する伝送路制御方式に従って送出されている状態で、図19に例示した、#ST10と#ST9を接続する通信路に伝送異常が発生した場合は、請求項8に対して前記したように#ST10及び同期局となる#ST1から終端局#ST5の経路上の各局#ST2、#ST3、#ST4と#ST5では、同期局からの周期的で継続したSYNフレームの到来と受信を依然として検知できることから、SYN断検出はされない。
【0214】
一方、#ST9から終端局#ST6の経路上の#ST9、#ST8、#ST7と#ST6では、SYN断検出と、状況により受信異常検出がされる。また、#ST10では、SYNフレームの周期的な到来受信を検出しているが、結果として前記した条件により受信異常検出される。
【0215】
図19の例で、#ST10と#ST9を接続する通信路に伝送異常が発生した状況では、各伝送局での各スイッチの状態は図20となる。即ち、#ST9、#ST8、#ST7では、図22のステップS0により、また#ST6では、ステップS−R0により、SW−FW−BをOFFに、また、SW−REC−BをOFFにした、それぞれ図20で示したO−L−M1状態及びT−R−M1状態になる。
【0216】
また、#ST10では、ステップS−O1によりSW−FW−A及びSW−REC−AをOFFとし、新たな終端局ST−T−Rとなる。一方、終端局#ST5では、同期局側ポートとなるポートAからは周期的に連続してSYNフレームの到来検出が出来るが、他方の終端局#ST6に対向するポートBからはSYNフレームの到来検出が出来ないことで、伝送路上の信号遅れはあるものの終端局#ST6とほぼ同時に、伝送異常が発生したことを検知することが出来る。
【0217】
ステップS−L1により、同期局側ポートと反対側のポートBで、SW−REC−BをONとして受信取り込みを許可とし、プログラム制御によるSTタイマを起動する。ステップS−L1で設定するSTタイマ値は、二重リングネットワーク上での伝送フレーム同士の衝突を回避する特に規定しない伝送路制御方式に従い#ST6が伝送フレームの送出を許可されるまでの最大待ち時間より大きな値を設定する。
【0218】
二つの終端局のうち、同期局#ST1から異常個所に向かう経路上の先に位置する終端局#ST6では、ステップS−R1により、他方の終端局に対向する側のポートAに対応するSW−REC−AをOFFからONにして、ポートAからの伝送フレームの受信取り込みを可能とする。
【0219】
この状態で、他方の終端局#ST5から送出される伝送フレーム列をMAC/DLCで受信取り込み、MPUのプログラム制御により判断して、二重リングネットワーク上での伝送フレーム同士の衝突を回避する伝送路制御方式に従い、自局に割り当てられた伝送フレームの送出タイミングを待機する。ステップS−R2にて、送出タイミングTmacがtrue状態となると、SW−REC−AをONからOFFにして、ポートAを再び受信禁止状態にした上で、SW−REC−BはOFFからONとすることでポートBを受信許可状態として、受信先を#ST5に指定したRRRフレームを両ポートから送出するとともにSTタイマを起動して、同期局に向かう隣接局#ST7からの自局を受信先に指定したRRRフレームの受信を待機する。
【0220】
SYN正常終端局となる#ST5では、伝送異常を検出して以降、ステップS−L21にて、対向するSYN断検出終端局#ST6からのRRRフレームを受信すると、受信したRRRフレームの受信先が自局と判断して、終端局としてブロック状態にあったRRRフレームの受信ポートBで、SW−FW−BをONにすることで非ブロック状態にして、終端局状態から中継局Normalモードとなる。一方、先に起動していたSTタイマアップまでに受信がない場合は、SW−REC−BをOFFに戻し、終端局ST−T−Lを維持する。
【0221】
SYN断検出終端局#ST6から異常発生箇所に至る正常に機能する伝送局の各々、#ST7、#ST8、#ST9では、この方向の中継機能が維持されていることから、ステップS1にて、#ST6が送出したRRRフレームを伝送路遅れはあるものの一斉に受信すると、受信先が自局でないことから、RRRフレームの受信ポートとなるポートA側の隣接局アドレスを受信先に指定したRRRフレームを、SW−TX−Bを一時的にOFFにすることで、RRRフレーム受信のポートAから、RRRフレームの受信完了後に、直ちに送出し、STタイマを起動する。
【0222】
#ST6では、ステップS−R31にて、同期局に向かうポートB側の隣接局#ST7より自局が指定されたRRRフレームをSTタイマアップ前に受信検出すると、STタイマアップまで待った後に、異常検出時点からブロック状態にしていた同期局に向かう側のポートBおよび元々ブロック状態にあったST−T−Lと対向するポートAを非ブロック状態に、また両ポートを受信許可状態にして終端局状態から中継局Normalモードとする。
【0223】
SYN断検出終端局#ST6から異常発生箇所に至る正常に機能する各々、#ST7、#ST8、#ST9では、ステップS1によりRRR受信ポート側の隣接局を受信先に指定したRRRフレームをRRR受信ポート側から送出後、送出時に起動したSTタイマのアップ前に、同期局に向かう隣接局より自局が指定されたRRRフレームの受信をステップS21で確認すると、STタイマーがアップするまで待った後に、異常検出時点からブロック状態にしていたポートBを非ブロック状態にして中継局Normal モードに復帰する。
【0224】
一方、SYN断検出終端局#ST6に向かう異常個所に隣接する伝送局#S9では、ステップS22によりSTタイマーアップしても#ST10からの自局を指定したRRRフレームを受信できないことで、ポートBのブロック状態を維持し、従って、新たな終端局ST−T−Lとなる。同様に、SYN断検出終端局に隣接する箇所にて異常が発生した場合には、予め指定した時間を経過したSTタイマアップしても自局を指定したRRRフレームの受信がないことで、ステップS−R2により、異常検出時点でブロック状態にしていたポートのブロック状態を維持し、また終端局として元々ブロック状態にあった他方の通信ポートは非ブロック状態とし、終端局St−T−RからST−T−Lとなる。
【0225】
上記により、請求項9で前記したと同様に、二重リング・ネットワーク上で1箇所故障による伝送異常状態が発生した場合に、終端局の位置を、異常発生箇所から同期局に向かう隣接局と、異常発生箇所から反対側に向かう隣接局に変化させることでネットワークの全面停止を回避することができる。また、終端局を変化させる際に、隣接局との双方向通信の健全性を確認しつつ、また、新たな終端局となる伝送局にいたる経路上の複数の伝送局間で、ほぼ同時に一時に完了させることでき、異常状態から復帰にいたる回復時間を非常に短時間にすることができる。
【0226】
更には、特別な中央局とのやり取りを個々の伝送局が行うことなく、隣接局同士で分散して回復までの処理を行えることで複雑な交信手順を省くことが出来る。
【0227】
従って、本実施の形態の初期化の方式によれば、二つの終端局により各々が受信する伝送フレームを中継しなしようにしたので、リング状に構成したネットワーク内を、伝送局から送出される伝送フレームが循環しないように、論理的にバス型のネットワークを構成することができる。
【0228】
また、ネットワークの初期化時点で、初期化のための特に二重リング・ネットワーク上で位置を限定しないマスタ局からみて、終端局の位置がネットワークの構成に従い一意に決定できる。
【0229】
また、制御方式で使用する伝送フレームは、イーサネット(登録商標)規格を前提としているが、本方式で定義したSYNフレーム、RRRフレーム、INZフレームやINZ−COMPは、各々を特定できる伝送フレームであれば良く特別なフレームフォーマットを限定しない。
【0230】
更に、本方式による初期化方式では、隣局にいたる伝送路、更に隣局通信機能と隣局からの自局にいたる伝送路を含んた通信機能に、両方向の各々で異常があるかを確認でき、異常のない通信路で二重リングネットワークを初期構成することが出来る。
【0231】
これは、MS局から一つずつ伝送局を二重リング・ネットワークに組み入れていく過程で、各伝送局では、MSポート側の受信系統の健全性と、MSポートの反対側ポートに隣接する伝送局への伝送路、隣接局受信と送信機能、隣接局から自局にもどる伝送路と自局受信系統に異常が無ければ、必ず隣接局からの応答確認INZフレームを受信検知するので、隣接局が一体となって隣接局間での双方向通信路の健全性を確認できる。
【0232】
また、組み入れていく過程で、自局の隣局のアドレス情報を取得することでき、応用により、ネットワークを構成する伝送局の接続状態を初期化時点で把握することが容易に行えるようになる。
【0233】
二重リング・ネットワーク上で1箇所故障による伝送異常状態が発生した場合に、終端局の位置を、異常発生箇所から同期局に向かう隣接局と、異常発生箇所から反対側に向かう隣接局に変化させることでネットワークの全面停止を回避することができる。
【0234】
また、終端局を変化させる際に、隣接局との双方向通信の健全性を確認しつつ、また、新たな終端局となる伝送局にいたる経路上の複数の伝送局間で、ほぼ同時に一時に完了させることでき、異常状態から復帰にいたる回復時間を非常に短時間にすることができる。
【0235】
更には、特別な中央局とのやり取りを個々の伝送局が行うことなく、隣接局同士で分散して回復までの処理を行えることで複雑な交信手順を省くことが出来る。
【0236】
(自動終端局機能の補充説明)
上記の構成を有する二重リング・ネットワークシステムは以下に説明する処理を行っていることになる。
【0237】
図24は本実施の形態の二重リング・ネットワークシステムの自動終端局機能の概略を説明するフローチャートである。
【0238】
図25は初期における終端局の設定を説明する説明図である。図26は終端局の切り替わりを説明する説明図である。本実施の形態では図25に示すように、9つの伝送局#ST1、・・・伝送局#ST9で構成された二重リング・ネットワークシステムとし、#ST1がマスタ局MSとなり、前述のINZフレーム及びINZ−COMPフレーム等によって、#ST5及び#ST6が終端局として初期設定されている場合について説明する。
【0239】
図24に示すように終端局#ST5(以下終端局LTという)及び#ST6(以下終端局RTという)は、仮想的に終端局RTと回線断の状態にしている(S241、S243)。つまり、終端局LTは左側の伝送局#ST4からのフレームは受信するが#ST6にはこれを送信しない。また、終端局RTは右側の伝送局#ST7からのフレームは受信するが#ST5にはこれを送信しない。
【0240】
また、終端局LTは、左側の#ST4からSYNフレームを受信したかどうかを判定している(S245)。また、終端局RTは右側の#ST7からSYNフレームを受信したかどうかを判定している(S247)。
【0241】
そして、終端局RT、LTは、SYNフレームを一定時間内に受信しないときは、終端局から外れる(S249、S251)。つまり、#ST5と#ST6は終端局から外れて#ST5は#ST6にフレームを送信するようになり、#ST6は#ST5にフレームを送信するようになる。
【0242】
一方、基点となったマスタ局MS(同期局ともいう)は、SYNフレームを各伝送局に双方向(右回り、左回りで送信)に送信する(S253)。このSYNフレームは、各伝送局の一方の通信ポートA、他方の通信ポートに入力して受付される(S255)。
【0243】
そして、他の各伝送局は、双方向からSYNフレームを受信したかどうかを判定する(S257)。
【0244】
例えば、図3に示すように、各伝送局に設けているSYNフレーム検出回路34(SYN―DET−A)及びSYNフレーム検出回路36(SYN―DET−B)によってSYNフレームの受信が判別されて検出され、右側からの受信であることを示すIRP−SYN−A信号、左からの受信であることを示すIRP−SYN−B信号として出力される。
【0245】
また、SYN断検出路35(NO−SYN−DET−A/−B)は、IRP−SYN−A/Bが連続して入力しないときは、IPR−NO−SYNを出力する。
【0246】
従って、MPU24は、IRP−SYN−Aが連続して出力されたときは、一方の通信ポートを介してSYNフレームが連続して入力したことが分かる。また、IRP−SYN−Bが出力された後に、IPR−NO−SYNが出力されると他方の通信ポートを介しては周期的な到来が連続して予め指定した期間にわたり入力しないことが分かる。
【0247】
また、MPU24は前記した受信信号状態を監視して異常と判断する条件により、RCV−ERR−A,−Bにより通信ポートA,−Bを介して受信する伝送フレームの受信信号状態の異常を検出する。
【0248】
すなわち、ステップS257では双方向からSYNフレームを受信しなかったと判定する。双方向からSYNフレームを受信しなかった場合は、他の各伝送局は、双方向にRRRフレームを送出する(S259)。
【0249】
本実施の形態では、#ST8が#ST9からSYNフレームを受信できず、#ST9は#ST8からSYNフレームを受信できなかったとする。
【0250】
#ST8は#ST9及び#ST7の双方にRRRフレームを送信すると共に、#ST9は#ST8及び#ST1の双方にRRRフレームを送信する。
【0251】
#ST8に隣接の伝送局(#ST9及び#ST7)並びに#ST9に隣接する伝送局(#ST8及び#ST1)は、RRRフレームを受信した場合は、RRRフレームを双方向に送出し、RRRフレームを受信しなかった場合は、RRRフレームの送出は行わない(S261)。
【0252】
一方、伝送局#ST8及び伝送局#ST9はRRRフレームを送信した後に隣接の伝送局からRRRフレームを受信したかどうかを監視している(S263)。
【0253】
ステップS263において、RRRフレームを送信した隣接の伝送局からRRRフレームの受信がないと#ST8及び#ST9が判断したときは、その隣接の伝送局#ST8及び#ST9の間が異常と判断する(S265)。この判断によって図26に示すように#ST8及び#ST9は、終端局となる(S276)。
【0254】
つまり、RRRフレームを送信しても返信がない隣接の伝送局に対しては、基点からのフレームを送信しない機能を備える。
【0255】
従って、本実施の形態の二重リング・ネットワークシステムの各伝送局は、図27に示す自動終端局設定手段50を備えていることになる。本実施の形態では#ST3及び#ST6を代表にして図示している。
【0256】
自動終端局設定手段50は、自局終端設定手段52と、終端局解除手段54と、フレーム送信手段58等を備えている。
【0257】
自局終端設定手段52は、隣接の伝送局からSYCフレームが継続して入力しているかどうかを判定し、継続して入力しない場合は、メモリ56に隣接の伝送局との間が異常とするフラグを設定する。フレーム送信手段58は、隣接する伝送局の間が異常とするフラグがメモリ56に設定されると、RRRフレームを隣接する伝送局、双方に送信すると共に、RRRフレームの送信を自局終端設定手段52に知らせる。
【0258】
自局終端設定手段52は、RRRフレームの受信があるかどうかを判定し、RRRフレームの受信がないときは、自局が終端局となったことを示すフラグメモリ56に設定する。
【0259】
フレーム送信手段58は、自局が終端局となっている場合は、基点からのSYNフレームを受信しても後段の伝送局には送信しない。
【0260】
また、終端局解除手段54は、SYNフレームが連続して隣接の伝送局、双方から入力したときは、RRRフレームをフレーム送信手段58から隣接の伝送局に送信させ、RRRフレームが返信されたときに、メモリ56の自局が終端となったことを示すフラグを消去する。
【図面の簡単な説明】
【0261】
【図1】初期化後の二重リング・ネットワークシステムでのマスタ局と両終端局の位置関係の説明図である。
【図2】二重リング・ネットワークシステムでの各伝送局は双方向伝送路により相互に接続されていることを説明する説明図である。
【図3】二重リング・ネットワークシステムの伝送局構成の一実施例(その1)となるハードウェア構成図である。
【図4】二重リング・ネットワークシステムの伝送局構成の一実施例(その2)となるハードウェア構成図である。
【図5】初期化後の両終端局でのスイッチ状態を説明する説明図である。
【図6】初期化開始時の各局スイッチ状態と各モードを示す。
【図7】初期化後の両終端局およびノーマル局での動作状態を説明する説明図である。
【図8】初期化開始からの各局モード遷移を説明する説明図である。
【図9】初期化時の伝送局間でのINZフレーム交信の一実施例(その1)のシーケンス図である。
【図10】#STj伝送局での初期化処理(その1)を説明するフローチャートである。
【図11】#STj伝送局での初期化処理(その1)を説明するフローチャートである。
【図12】初期化時の伝送局間の交信例(その1)のシーケンス図(伝送局ST1,ST2,ST8の場合)である。
【図13】初期化時の伝送局間の交信例(その1)のシーケンス図(伝送局ST1,ST2,ST8の場合)である。
【図14】初期化時の伝送局間でのINZフレーム交信の一実施例(その2)のシーケンス図である。
【図15】#STj伝送局での初期化処理(その2)のシーケンス図である。
【図16】#STj伝送局での初期化処理(その2)のシーケンス図である。
【図17】初期化時の伝送局間の交信例(その2)のシーケンス図(伝送局−ST1,ST2,ST8の場合)である。
【図18】初期化時の伝送局間の交信例(その2)のシーケンス図(伝送局−ST1,ST2,ST8の場合)である。
【図19】#ST10と#ST9間で伝送異常が発生した例を説明する説明図である。
【図20】#ST10と#ST9間で伝送異常が発生後、受信異常検出、SYN無検出による各局のスイッチ状態を説明する説明図である。
【図21】二重リング・ネットワークシステムの一箇所故障からの再構成の一実施例(その1)を説明するシーケンス図である。
【図22】二重リング・ネットワークの一箇所故障からの再構成の一実施例(その2)を説明するシーケンス図である
【図23】ISO/IEC 8802−3 イーサネット(登録商標)伝送フレーム構成を説明する説明図である。
【図24】本実施の形態の二重リング・ネットワークシステムの自動終端局機能の概略を説明するフローチャートである。
【図25】初期における終端局の設定を説明する説明図である。
【図26】終端局の切り替わりを説明する説明図である。
【図27】伝送局の概略構成図である。
【符号の説明】
【0262】
1 伝送局(#ST1)
2 伝送局(#ST2)
3 伝送局(#ST3)
4 伝送局(#ST4)
5 伝送局(#ST5)
6 伝送局(#ST6)
7 伝送局(#ST7)
8 伝送局(#ST8)
10 通信ポート部
11 通信ポート部
12 リピータA(FW−A)
18 受信許可スイッチ(SW−RVC−A)
31 フレーム検知判定部
32 受信異常検出回路(RCV−ERR−A)
34 SYNフレーム検出回路(SYN−DET−A)
37 RRRフレーム受信検出回路(RRR−DET−A)
38 RRRフレーム受信先アドレス保持回路(RRR−RCV−ADRS)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
双方向に通信が可能な二つの通信ポートを備えた二つ以上の伝送局が、各々の該二つの通信ポートにより伝送路を介して相互をリング状に接続して伝送局相互間で交信を行えるように構成した二重リング・ネットワークにおいて、
前記伝送局は、
情報を含む伝送フレームを一度に当該伝送局の二つの通信ポートから同時に送出して、該二つの通信ポートの一方から受信する他の該伝送局から送出された伝送フレームを検出し、
前記一方の通信ポートに対して他方となる他方の通信ポートへ中継でき、該他方の通信ポートから前記した該伝送フレームを送出し、
リング状に相互に接続された該二つ以上の伝送局のうち隣り合う二つの該伝送局の各々では、一方の該伝送局の通信ポートから前記伝送フレームを送出させ、
伝送路を介してつながる他方の該伝送局の通信ポートから受信される伝送フレームは、当該伝送局にて検出し、
該伝送フレームに含まれる情報に応じて応答されるが、該受信した通信ポートから他方の通信ポートへの中継を通して該他方の通信ポートからは該伝送フレームを送出しないことで、
該受信した伝送フレームを、その中継方向にある、リング状につながり更に先の伝送局へは送達しないようにして、前記した該伝送局から送出される伝送フレームがリング状に構成したネットワーク内を循環しないようにしたことを特徴とした二重リング・ネットワークの制御方法。
【請求項2】
前記請求項1記載の二重リング・ネットワークの制御方法において、
前記伝送局は、
一つの該伝送局を基点として、リング状に相互に接続された二つ以上の該伝送局のうち、リング状のネットワークを構成する該伝送局の総数と該伝送局の相互間を接続する伝送路の総長に応じて決まる位置の隣り合う二つの該伝送局の各々で、前記伝送フレームを一方の該伝送局の通信ポートから送出させることを特徴とする二重リング・ネットワークの制御方法。
【請求項3】
前記した請求項1、請求項2に記載の二重リング・ネットワークの制御方法において、
該通信ポートを介して送出し受信する該伝送フレーム形式、該通信ポートの伝送路インタフェースとして、ISO/IEC8802−3規格に従う二重リング・ネットワークの制御方法。
【請求項4】
双方向に通信が可能な二つの通信ポートを備えた二つ以上の伝送局が、各々の該二つの通信ポートにより伝送路を介して相互をリング状に接続して伝送局相互間で交信を行えるように構成した二重リング・ネットワークにおいて、
リング状に相互に接続された二つ以上の該伝送局のうち、一つの該伝送局を基点とし、該基点の伝送局は、
周期的に初期化を指定する伝送フレーム(INZフレーム)を両方向に送出し、
これを受信検出する伝送局では、受信した側の通信ポートから他方の通信ポートへの伝送フレームの中継を禁止状態から許可状態にし、
また、受信した側の通信ポートから以降は伝送フレームの受信取り込みを許可して、
また、受信した通信ポート側から応答確認のINZフレーム(応答確認INZフレーム)を送出することで受信確認の応答とし、
さらにINZフレームを送出した後に、該前記した最初にINZフレームを受信した通信ポートから他方の通信ポートへの中継方向にある一つ隣の伝送局から、該前記した応答確認INZフレームを受信検出すると、受信した側の通信ポートから他方への通信ポートへの伝送フレームの中継を禁止状態から許可状態にし、
また、その受信した側の通信ポートからの以降は伝送フレームの受信取り込みを許可として、該伝送局では以降は双方向側の通信ポートから受信する伝送フレームの受信取り込みと他方側への中継を可能として、
更に、リング状のネットワークを構成する該伝送局の総数と、該伝送局の相互間を接続する伝送路の総長に応じて決定し、
前記したINZフレームを両側の通信ポートから受信する位置にある伝送局と、該伝送局とは伝送路を介して隣り合う位置となる伝送局の各々では、
一方の該伝送局の通信ポートから送出されて該他方の伝送局の対向する通信ポートにて受信される伝送フレームを該伝送局において検出し、該伝送フレームに含まれる情報に応じて応答されるが、該受信した通信ポートから他方の通信ポートへの中継は禁止状態とし、
また、受信取り込みも禁止状態となる終端局として構成することで、該終端局の各々により、他方の終端局から受信した伝送フレームを、その中継方向にある、リング状につながり更に先の伝送局へは中継送信しないようにして、二重リング・ネットワークを構成する該各々の伝送局から送出される伝送フレームが、リング状に構成したネットワーク内を循環しないように構成する二重リング・ネットワークの初期化方法。
【請求項5】
請求項4に記載の二重リング・ネットワークの初期化方法において、
リング状に相互に接続された二つ以上の該伝送局のうち、一つの該伝送局を基点として、該伝送局は、初期化を指定する伝送フレーム(INZフレーム)を両方向に送出し、これを受信検出した該伝送局の一つ隣の伝送局では、受信した側の通信ポートから他方の通信ポートへの伝送フレームの中継を禁止状態から許可状態にし、
また、受信した側の通信ポートから以降は伝送フレームの受信取り込みを許可とし、
また、応答確認のINZフレーム(応答確認INZフレーム)を、受信先として該受信したINZフレームの送信元アドレスを設定して、両方向に送出することで受信確認の応答とし、
更に、INZフレームを送出した後に、該前記した最初にINZフレームを受信した通信ポートから他方の通信ポートへの中継方向にある一つ隣の伝送局から、該前記した該一つ隣の伝送局の自局を指定した応答確認INZフレームを受信検出すると、受信した側の通信ポートから他方への通信ポートへの伝送フレームの中継を禁止状態から許可状態にし、
また、その受信した側の通信ポートからの以降は伝送フレームの受信取り込みを許可とすることで、該伝送局では以降は両側の通信ポートから受信する伝送フレームの受信取り込みと他方側への中継を可能として、
該前記した基点の伝送局が両方向に送出したINZフレームを始まりに、リング状の両方向に位置する各々の伝送局で、順々に、INZフレームを受信すると再びINZフレームを両側の通信ポートから送出することで、
リング状のネットワークを構成する該伝送局の総数と、該伝送局の相互間を接続する伝送路の総長に応じて決定され、
INZフレームを両側の通信ポートから受信する位置にある伝送局と、該伝送局とは伝送路を介して隣り合う位置となる伝送局の各々で、一方の該伝送局の通信ポートから送出されて該他方の伝送局の対向する通信ポートにて受信される伝送フレームは、該伝送局において検出し該伝送フレームに含まれる情報に応じて応答されるが、該受信した通信ポートから他方の通信ポートへの中継は禁止状態とし、
また、受信取り込みも禁止状態となる終端局として構成することで、該終端局の各々により、他方の終端局から受信した伝送フレームを、その中継方向にある、リング状につながり更に先の伝送局へは中継送信しないようにして、二重リング・ネットワークを構成する該各々の伝送局から送出される伝送フレームが、リング状に構成したネットワーク内を循環しないように構成する二重リング・ネットワークの初期化方法。
【請求項6】
請求項5に記載の初期化方法において、
各々の伝送局では、初期化期間内で始めてINZフレームを受信すると、受信した通信ポート(MSポート)側に対向した隣り合う伝送局のアドレスとして、該受信したINZフレーム中の送信元アドレスを該受信ポートの識別子と共に保持し、
続けて該隣り合う伝送局のアドレスを受信先に指定したINZフレームを両方向に送出した後に、予め指定した時間内で自局を受信先に指定したINZフレームをMSポートの反対側の通信ポートより受信すると、該通信ポート側に対向した隣り合う伝送局からの応答確認INZフレームとして、
該INZフレーム内の送信元アドレスを該受信ポートの識別子とともに保持することで、該伝送局の両側に隣り合う各々の伝送局のアドレスを取得できるようにした、二重リング・ネットワークの初期化方法。
【請求項7】
請求項4、請求項5又は請求項6に記載の二重リング・ネットワークの初期化方法において、
該一つの伝送局を基点として、リング状のネットワークを構成する該伝送局の総数と、該伝送局の相互間を接続する伝送路の総長に応じて決まる位置に隣り合って前記した該二つの終端局が構成された時点で、
または、初期化途中において、自局の隣局からの応答確認INZフレームの受信がないことで終端局となった時点で、
二重リング・ネットワークの二つの終端局の各々は、初期化終了の表示と、終端局アドレスおよび終端局モードを含む終端局情報を含んだINZ−COMPフレームを送出することで、また基点となった該一つの伝送局にて、該INZ−COMPフレームを受信検知することで、
二重リング・ネットワークの初期化が完了したことが確認できるようにした、二重リング・ネットワークの初期化方法。
【請求項8】
双方向に通信が可能な二つの通信ポートを備えた二つ以上の伝送局が、各々の該二つの通信ポートにより伝送路を介して相互をリング状に接続して伝送局相互間で交信を行えるように構成した二重リング・ネットワークにおいて、
初期化が完了している状態で、該伝送局の一つ以上が、特定情報を含む一つ以上の伝送フレームを、周期的に送出し、伝送局は、前記した該2つの通信ポート(以降、通信ポートA、−Bと記載)
また、通信ポートAを介して伝送フレームを送出および受信することにつながる手段と、
機能他に対しては、サフックス−Aを、同様に通信ポートBに対するものには、サフックス−Bをつけて以降記載)を介して伝送フレームを受信し、該周期的に送出された伝送フレームから特定情報が、設定された条件に合う伝送フレーム(以降、SYNフレームと記載)を検出する“SYNフレーム検出手段A、−B”と、
該SYNフレーム検出手段A、−Bの出力信号から、該SYNフレームの受信が予め設定した期間にわたり無いことを検出する“SYN無検出手段A、−B”と、
一方の通信ポートを介しては周期的なSYNフレームの到来が連続継続する状態で、他方の通信ポートを介しては周期的な到来が連続して予め指定した期間にわたらないことを検出する“SYN断検出手段”と、
通信ポートを介して受信する伝送フレームの受信信号状態の異常を検出する“受信異常検出手段A、−B“とを備え、
SYN無検出手段A、−Bで、SYN無検出状態を検出した通信ポート−Aまたは−B(例えば通信ポートA)を介して受信される伝送フレームは、検出判別して、該伝送フレームに含まれる情報に応じて応答するが、受信した通信ポート(通信ポートA)から他方の通信ポート(通信ポートB)への中継を通して他方の通信ポート(通信ポートB)からは該伝送フレームを送出しない“ブロック状態”(一方、受信した通信ポートから他方の通信ポートへの中継を通して他方の通信ポートから伝送フレームを送出する通信ポートの状態を、“非ブロック状態“と以降記載)に該通信ポート(通信ポートA)を移行し、
受信異常検出手段A、−Bで、受信異常検出状態を検出した通信ポートAまたは−Bをブロック状態とすることで、故障発生の検出から、回復手順によるネットワーク機能回復に至る間、複数の伝送局の通信ポートを非ブロック状態に維持し、
前記した該終端局の機能を複数伝送局で果たすようにしたことを特徴とする二重リング・ネットワークの伝送局。
【請求項9】
双方向に通信が可能な二つの通信ポートを備えた二つ以上の伝送局が、各々の該二つの通信ポートにより伝送路を介して相互をリング状に接続して伝送局相互間で交信を行えるように構成した二重リング・ネットワークにおいて、
前記初期化が完了し、二つの隣接する終端局により、伝送フレームがリング状のネットワーク内を循環し続けないよう構成された状態で、該伝送局の一つ以上が、
特定情報を含む一つ以上の周期的に送出される伝送フレームに加え、前記した該SYNフレームや、単発的に送出される伝送フレームを、特に規定しない二重リング・ネットワーク上での伝送フレーム同士の衝突を回避する伝送路制御方式に従って送出している状態で、
前記伝送局は、
特定制御情報を含む伝送フレーム(以降、RRRフレームと記載)の受信を検出する“RRRフレーム受信検出手段A、−B”と、
自局の識別情報を設定する“自局アドレス設定”手段と、
通信ポートA、−Bに隣接する伝送局の識別情報を設定する“隣接局アドレス設定手段A,−B“と、
RRRフレーム受信検出手段の受信出力により、受信したRRRフレーム中の受信先情報と自局識別情報との比較一致を検出する“アドレス一致検出手段”と、
アドレス一致検出手段の一致出力を受けて、該RRRフレームを受信した通信ポート(以降、RRR受信ポート)を非ブロック状態に変更する“ブロックポート・リセット手段”と、
アドレス一致検出手段の不一致出力を受けて、RRR受信ポートに対応した隣接する伝送局の識別情報を隣接局アドレス設定手段から読み出して受信先に指定し生成したRRRフレームを、RRR受信ポートを介して、RRRフレームの受信完了のタイミングで直ちに送出する“RRR受信応答手段”と、
RRRフレームを送出後、予め指定した時間以内に、自局を受信先に指定したRRRフレームの受信を監視し検出する“RRR応答確認手段“を備え、
SYNフレームを送出する伝送局(以降、同期局と記載)含め該伝送局から、終端局を含む経路上で、伝送路や伝送局に異常が発生した場合、異常発生個所から、終端局に至る伝送局では、異常発生に対応して、該SYN無検出手段と該受信異常検出手段により異常状態を検出し、
また、異常発生個所から同期局に向かう経路上で異常発生個所に隣接する伝送局では、受信異常検出手段により異常状態を検出し、
検出した通信ポートの状態を、各々でブロック状態とし、該二つの終端局のうち、同期局から異常個所に向かう経路上の先に位置する終端局では、該SYN断検出手段による異常状態の検出出力と、SYN無検出手段によるSYN無検出出力により、同期局に向かう経路上で異常が発生したとして、該終端局(以降、SYN断検出終端局と記載)は判断し、
また、他方の終端局(以降、SYN正常終端局と記載)では、SYNフレームを正常に受信し続けることから、該SYN正常終端局から同期局間は正常に通信機能を維持していると判断し、
SYN断検出終端局は、
SYN断検出とSYN無検出手段からSYN断状態の異常発生を検出すると、直ちに、受信先としてSYN正常終端局を指定したRRRフレームを、通信ポートA、−Bを介して送出し、
RRR応答確認手段にて、SYN正常終端局とは反対側に隣接する伝送局からの応答を待機し、SYN正常終端局では、SYN断検出終端局からのRRRフレームを受信すると、自局が受信先のことから、該ブロックポート・リセット手段により、終端局としてブロック状態にあつたRRR受信ポートを非ブロック状態にし、
終端局状態を解除し、SYN断検出終端局から異常発生箇所に至る正常に機能する伝送局の各々は、SYN断検出終端局からのRRRフレームを受信すると、
受信先でないことから、該RRR受信応答手段により、SYN断検出終端局に向かう隣接する伝送局を受信先とするRRRフレームを、RRR受信ポートを介して、RRRフレームの受信完了後に直ちに送出し、SYN断検出終端局では、RRR応答確認手段により、同期局に向かう隣接局より自局が指定されたRRRフレームの時間内での受信があると、異常検出時点からブロック状態にしていた通信ポートを非ブロック状態に変更し、その後、RRR応答確認手段の予め指定した時間が経過後に、終端局として元々ブロック状態にあった他の通信ポートも非ブロック状態に変更して終端局状態を解除し、
SYN断検出終端局から異常発生箇所に至る正常に機能する各々の伝送局では、RRR応答確認手段により、同期局に向かう隣接局より自局が指定されたRRRフレームの受信を確認すると、異常検出時点からブロック状態にしていた受信ポートを非ブロック状態にし、
SYN断検出終端局に向かう異常個所に隣接する伝送局では、RRR応答確認手段により、指定時間を経過しても自局を指定したRRRフレームの受信がないことで、通信ポートのブロック状態を維持し、新たな終端局として機能し、
また、SYN断検出終端局に隣接する箇所にて異常が発生した場合には、同様に、RRR応答確認手段により、予め指定した時間を経過しても自局を指定したRRRフレームの受信がない場合は、異常検出時点でブロック状態にしていた通信ポートのブロック状態を維持し、
また、終端局として元々ブロック状態にあった他方の通信ポートを非ブロック状態とし、新たな終端局とし、異常発生箇所から同期局に向かう隣接局と、異常発生箇所から反対側に向かう隣接局を、新たな二重リング・ネットワークの終端局とするように変更して、通信異常の発生時に、リング状のネットワークを再構成することを特徴とする二重リング・ネットワークの異常発生時の再構築方法。
【請求項10】
前記請求項9に記載の二重リング・ネットワークの異常発生時の再構築方法において、前記した該初期化が完了し、二つの隣接する終端局により、伝送フレームがリング状のネットワーク内を循環し続けないよう構成された状態で、該伝送局の一つ以上が、特定情報を含む一つ以上の周期的に送出される伝送フレームに加え、前記した該SYNフレームや、単発的に送出される伝送フレームを、特に規定しない二重リング・ネットワーク上での伝送フレーム同士の衝突を回避する伝送路制御方式に従って送出している状態で、
伝送局は、自局の識別情報を設定する“自局アドレス設定”手段と、通信ポートA、−Bに隣接する伝送局の識別情報を設定する“隣接局アドレス設定手段A,−B“を備え、
SYNフレームを送出する伝送局(以降、同期局と記載)含め該伝送局から、終端局を含む経路上で、伝送路や伝送局に異常が発生した場合、異常発生個所から、終端局に至る伝送局では、異常発生に対応して、該SYN無検出手段と該受信異常検出手段により異常状態を検出し、
また異常発生個所から同期局に向かう経路上で異常発生個所に隣接する伝送局では、受信異常検出手段により異常状態を検出し、
検出した通信ポートの状態を、各々でブロック状態とし、該二つの終端局のうち、同期局から異常個所に向かう経路上の先に位置する終端局では、該SYN断検出手段による異常状態の検出出力と、SYN無検出手段によるSYN無検出出力により、同期局に向かう経路上で異常が発生したとして、該終端局(以降、SYN断検出終端局と記載)は判断し、
また、他方の終端局(以降、SYN正常終端局と記載)では、SYNフレームを正常に受信し続けることから、該SYN正常終端局から同期局間は正常に通信機能を維持していると判断し、SYN断検出終端局は、SYN正常終端局から受信する伝送フレーム列を監視し、
二重リングネットワーク上での伝送フレーム同士の衝突を回避する伝送路制御方式に従い自局に割り当てられた伝送フレームの送出タイミングで、受信先としてSYN正常終端局を指定した、特定制御情報を含む伝送フレーム(以降、RRRフレームと記載)を、通信ポートA、−Bを介して送出し、同期局に向かう隣接局から自局を受信先に指定したRRRフレームの受信を待機し、
SYN正常終端局では、SYN断検出終端局からのRRRフレームを受信すると、受信したRRRフレーム中の受信先情報と自局識別情報とを比較し、自局が受信先のことから、該RRRフレームを受信した通信ポート(以降、RRR受信ポート)を、終端局として元々ブロック状態であったものを非ブロック状態にし、終端局状態を解除し、
SYN断検出終端局から異常発生箇所に至る正常に機能する伝送局の各々は、SYN断検出終端局からのRRRフレームを受信すると、受信したRRRフレーム中の受信先情報と自局識別情報とを比較し、
受信先でないことから、該RRR受信応答手段により、SYN断検出終端局に向かう隣接する伝送局を受信先とするRRRフレームを、RRR受信ポートを介して、RRRフレームの受信完了後に、直ちに送出し、SYN断検出終端局では、同期局に向かう隣接局より自局が指定されたRRRフレームを予め指定した時間内で受信すると、異常検出時点からブロック状態にしていた通信ポートを非ブロック状態に変更し、
その後、RRR応答確認手段の予め指定した時間が経過後に、終端局として元々ブロック状態にあった他の通信ポートも非ブロック状態に変更し、終端局状態を解除し、SYN断検出終端局から異常発生箇所に至る正常に機能する各々の伝送局では、同期局に向かう隣接局より自局が指定されたRRRフレームの予め指定した時間内に受信を確認すると、異常検出時点からブロック状態にしていたRRR受信ポートを非ブロック状態にし、
SYN断検出終端局に向かう異常個所に隣接する伝送局では、RRR応答確認手段により、予め指定した時間を経過しても自局を指定したRRRフレームの受信がないことで、通信ポートのブロック状態を維持し、新たな終端局として機能し、
また、SYN断検出終端局に隣接する箇所にて異常が発生した場合には、同様に、予め指定した時間を経過しても自局を指定したRRRフレームの受信がない場合は、異常検出時点でブロック状態にしていた通信ポートの状態を維持し、
また終端局としてブロック状態にあった他方の通信ポートを非ブロック状態とし、新たな終端局とし、異常発生箇所から同期局に向かう隣接局と、異常発生箇所から反対側に向かう隣接局を、新たな二重リング・ネットワークの終端局とするように変更して、通信異常の発生時に、リング状のネットワークを再構成することを特徴とする二重リング・ネットワークと異常発生時の再構成方法。
【請求項11】
前記請求項9から請求項10に記載の二重リング・ネットワークの異常発生時の再構成方法において、
該通信ポートを介して送出し受信する該伝送フレーム形式、該通信ポートの伝送路インタフェースとして、ISO/IEC8802−3規格に従う二重リング・ネットワークの異常発生時の再構成方法。
【請求項12】
双方向に通信が可能な第1の通信ポート及び第2の通信ポートを備えた伝送局を伝送路を介してリング状に接続し、これらの伝送局の内で基点局がフレーム信号を右回りの経路及び左周りの経路で送信し、右回りの経路の終端局及び左回りの経路の終端局のそれぞれが前記基点局からのフレーム信号を返信するネットワークシステムにおいて、
前記伝送局及び終端局並びに基点局は、
前記右回りの経路で通信可能とする第1の通信ポート及び前記左回りの経路で通信可能とする第2の通信ポートから前記フレーム信号が受信されたかどうかを判定する手段と、
前記受信されないときは、前記第1及び第2の通信ポートから経路確認のための経路確認フレーム信号を隣接の伝送局に送信する手段と、
前記経路確認フレームが隣接の伝送局から返信がないときは、自局を前記終端局として設定する手段と、
を備えてなることを特徴とするネットワークシステム。
【請求項13】
自局が前記終端局となっているとき、前記フレーム信号が右回りの経路又は左回りの経路で入力しないときは、終端局としての設定を解除する手段と
を有することを特徴とする請求項12に記載のネットワークシステム。
【請求項14】
双方向に通信が可能な第1の通信ポート及び第2の通信ポートを備えた伝送局を、伝送路を介して接続し、これらの伝送局の内で基点局がフレーム信号を右回りの経路及び左周りの経路で送信して右回りの経路の終端局及び左回りの経路の終端局のそれぞれが前記基点局からのフレーム信号を返信し、いずれかの伝送路で異常が発生したときは、新たに終端局を設定するネットワークシステムの制御方法であって、
前記伝送局及び終端局並びに基点局は、
前記右回りの経路で通信可能とする第1の通信ポート及び前記左回りの経路で通信可能とする第2の通信ポートから前記フレーム信号が受信されたかどうかを判定する工程と、
前記受信されないときは、前記第1及び第2の通信ポートから経路確認のための経路確認フレーム信号を隣接の伝送局に送信する工程と、
前記経路確認フレームが隣接の伝送局から返信がないときは、自局を前記終端局として設定する工程と、
自局が右回りの経路で終端局となったときは、前記基点局からの右回りからのフレーム信号を後段の隣接する右の伝送局に伝送しない又は自局が左回りの経路で終端局となったときは後段の隣接する左の伝送局に伝送しない工程と、
を行うことを特徴とするネットワークシステムの制御方法。
【請求項15】
自局が前記終端局となっているとき、前記フレーム信号が右回りの経路又は左回りの経路で入力しないときは、終端局としての設定を解除する工程と
を行うことを特徴とする請求項14に記載のネットワークシステムの制御方法。
【請求項16】
二重リング・ネットワークシステムの伝送路間に配置され、右回りで通信が可能な第1の通信ポート及び左回りで通信が可能な第2の通信ポートを備えた伝送局において、
前記右回りの経路で通信可能とする第1の通信ポート及び前記左回りの経路で通信可能とする第2の通信ポートから前記フレーム信号が受信されたかどうかを判定する手段と、
前記受信されないときは、前記第1及び第2の通信ポートから経路確認のための経路確認フレーム信号を隣接の伝送局に送信する手段と、
前記経路確認フレームが隣接の伝送局から返信がないときは、自局を前記終端局として設定する手段と、
自局が右回りの経路で終端局となったときは、前記基点局からの右回りからのフレーム信号を後段の隣接する右の伝送局に伝送しない又は自局が左回りの経路で終端局となったときは後段の隣接する左の伝送局に伝送しない手段と
を有することを特徴とする伝送局。
【請求項17】
自局が前記終端局となっているとき、前記フレーム信号が右回りの経路又は左回りの経路で入力しないときは、終端局としての設定を解除する手段と
を有することを特徴とする請求項16に記載の伝送局。
【請求項18】
二重リング・ネットワークシステムの伝送路間に配置され、右回りで通信が可能な第1の通信ポート及び左回りで通信が可能な第2の通信ポートを備えた伝送局のプログラムであって、
コンピュータに、
前記右回りの経路で通信可能とする第1の通信ポート及び前記左回りの経路で通信可能とする第2の通信ポートから前記フレーム信号が受信されたかどうかを判定する手段、
前記受信されないときは、前記第1及び第2の通信ポートから経路確認のための経路確認フレーム信号を隣接の伝送局に送信する手段、
前記経路確認フレームが隣接の伝送局から返信がないときは、自局を前記終端局として設定する手段、
自局が右回りの経路で終端局となったときは、前記基点局からの右回りからのフレーム信号を後段の隣接する右の伝送局に伝送しない又は自局が左回りの経路で終端局となったときは後段の隣接する左の伝送局に伝送しない手段
としての機能を実行させるための伝送局のプログラム。
【請求項19】
前記コンピュータに、
自局が前記終端局となっているとき、前記フレーム信号が右回りの経路又は左回りの経路で入力しないときは、終端局としての設定を解除する手段
としての機能を実行させるための請求項18に記載の伝送局のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2008−131132(P2008−131132A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−311274(P2006−311274)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(391017540)東芝ITコントロールシステム株式会社 (107)
【Fターム(参考)】