説明

二重帯域ダイポールマイクロ波切除アンテナ

【課題】組織切除処置において使用される改良されたマイクロ波アンテナを提供することであり、詳細には、二重帯域能力を有する改良されたダイポールマイクロ波アンテナを提供すること。
【解決手段】3軸マイクロ波アンテナアセンブリであって、内側導電体、内側導電体の周りに配置された中央導電体、および中央導電体の周りに配置された外側導電体を含むフィードラインと、高周波数放射区間と低周波数放射区間とを含む放射部分とを備えている、3軸マイクロ波アンテナアセンブリ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1.技術分野)
本開示は概して、組織切除処置において使用されるマイクロ波アンテナに関する。さらに詳細には、本開示は、二重帯域能力を有するダイポールマイクロ波アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
(2.関連技術の背景)
特定の疾患の治療には、悪性組織の成長(腫瘍)を破壊することが必要である。腫瘍細胞は、周囲の健康な細胞に傷害を与える温度よりもわずかに低い温度にまで高められると変性することが公知である。したがって、例えば温熱療法のような公知の治療方法は、腫瘍細胞を41℃上回る温度に加熱し、一方、不可逆性の細胞損傷を回避するために、隣接する健康な細胞をより低い温度に維持する。かかる方法は、組織を加熱するために、電磁放射を適用することと関係し、かつ組織の切除および凝固を含む。特に、マイクロ波エネルギーは、組織を凝固および/または切除し、癌性細胞を変性させるか、もしくは殺すために使用される。
【0003】
マイクロ波エネルギーは、組織を貫通して腫瘍に到達するマイクロ波切除アンテナを介して印加される。例えばモノポールおよびダイポールのような幾つかのタイプのマイクロ波アンテナがあり、これらにおいては、マイクロ波エネルギーは、導電体の軸から垂直に放射する。モノポールアンテナは、単一の細長いマイクロ波導電体を含み、一方、ダイポールアンテナは、2つの導電体を含む。ダイポールアンテナにおいて、導電体は、誘電体部分によって分離された内側導電体と外側導電体とを含む同軸構成であり得る。より詳細には、ダイポールマイクロ波アンテナは、長くて細い内側導電体を有し得、該長くて細い内側導電体は、アンテナの長手方向軸に沿って延び、外側導電体によって取り囲まれる。特定の変形例において、外側導電体の一つの部分または複数の部分は、選択的に取り外されて、エネルギーのより効果的な外向きの放射を提供し得る。このタイプのマイクロ波アンテナ構造は通常、「漏洩導波管」アンテナまたは「漏洩同軸」アンテナと称される。
【0004】
従来のマイクロ波アンテナは、単一の周波数で動作し、同様な形状の損傷の作成(例えば、球状、長楕円形、その他)を可能にする。異なる切除形状を取得するためには、異なるタイプのアンテナが通常使用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
本開示の別の局面に従って、3軸マイクロ波アンテナアセンブリが開示される。3軸マイクロ波アンテナは、内側導電体を有するフィードライン、内側導電体の周りに配置された中央導電体、および中央導電体の周りに配置された外側導電体、ならびに高周波数放射区間と低周波数放射区間とを含む放射部分を含む。
【0006】
損傷を形成する方法も本開示によって想定されている。方法は、放射部分を含む3軸マイクロ波アンテナアセンブリを提供する最初のステップを含む。放射部分は、第1の所定の長さを有する第1の周波数放射区間と、第2の所定の長さを有する第2の周波数放射区間とを含む。方法は、損傷の少なくとも1つの特性を調節するために、第1の周波数または第2の周波数のいずれかでマイクロ波を供給して、第1の周波数放射区間および第2の放射区間のうちの少なくとも1つに選択的にエネルギーを与えるステップも含む。損傷の特性は深さと直径とを含む。
【0007】
例えば、本発明は以下を提供する。
【0008】
(項目1A)
3軸マイクロ波アンテナアセンブリであって、
内側導電体と、該内側導電体の周りに配置された中央導電体と、該中央導電体の周りに配置された外側導電体とを含むフィードラインと、
高周波数放射区間と低周波数放射区間とを含む放射部分と
を備えている、3軸マイクロ波アンテナアセンブリ。
【0009】
(項目2A)
上記高周波数放射区間は、上記内部導電体の一部分と上記中央導電体の一部分とを含み、上記低周波数放射区間は、該中央導電体の該一部分と上記外側導電体の一部分とを含む、上記項目のいずれか一項に記載の3軸マイクロ波アンテナアセンブリ。
【0010】
(項目3A)
上記内側導電体の上記一部分は、上記中央導電体から第1の所定の距離を延び、該中央導電体の上記一部分は、上記外側導電体から該第1の所定の距離を延びる、上記項目のいずれか一項に記載の3軸マイクロ波アンテナアセンブリ。
【0011】
(項目4A)
上記第1の所定の距離は、高周波数で供給されるマイクロ波エネルギーの振幅の4分の1波長である、上記項目のいずれか一項に記載のマイクロ波アンテナアセンブリ。
【0012】
(項目5A)
上記外側導電体は管状構造を含み、該管状構造は、その中に空洞を含み、該空洞は、そこを通って冷却流体を循環させるように適合され、該空洞は、該外側導電体の遠位部分から第2の所定の距離に配置される、上記項目のいずれか一項に記載のマイクロ波アンテナアセンブリ。
【0013】
(項目6A)
上記第1の距離の2倍と第2の所定の距離との合計は、低周波数で供給されるマイクロ波エネルギーの振幅の2分の1波長である、上記項目のいずれか一項に記載のマイクロ波アンテナアセンブリ。
【0014】
(項目7A)
上記外側導電体の周りに配置されたチョークをさらに含み、該チョークは、該外側導電体の遠位部分から第2の所定の距離に配置されている、上記項目のいずれか一項に記載のマイクロ波アンテナアセンブリ。
【0015】
(項目8A)
上記第1の距離の2倍と上記第2の所定の距離との合計は、低周波数で供給されるマイクロ波エネルギーの振幅の2分の1波長である、上記項目のいずれか一項に記載のマイクロ波アンテナアセンブリ。
【0016】
(項目1B)
3軸マイクロ波アンテナアセンブリであって、
内側導電体と、該内側導電体の周りに配置された中央導電体と、該中央導電体の周りに配置された外側導電体とを含むフィードラインと、
高周波数放射区間と低周波数放射区間とを含む放射部分と
を備えている、3軸マイクロ波アンテナアセンブリ。
【0017】
(項目2B)
上記高周波数放射区間は、上記内部導電体の一部分と上記中央導電体の一部分とを含み、上記低周波数放射区間は、該中央導電体の該一部分と上記外側導電体の一部分とを含む、上記項目のいずれか一項に記載の3軸マイクロ波アンテナアセンブリ。
【0018】
(項目3B)
上記内側導電体の上記一部分は、上記中央導電体から第1の所定の距離を延び、該中央導電体の上記一部分は、上記外側導電体から該第1の所定の距離を延びる、上記項目のいずれか一項に記載の3軸マイクロ波アンテナアセンブリ。
【0019】
(項目4B)
上記第1の所定の距離は、高周波数で供給されるマイクロ波エネルギーの振幅の4分の1波長である、上記項目のいずれか一項に記載のマイクロ波アンテナアセンブリ。
【0020】
(項目5B)
上記外側導電体は管状構造を含み、該管状構造は、その中に空洞を含み、該空洞は、そこを通って冷却流体を循環させるように適合され、該空洞は、該外側導電体の遠位部分から第2の所定の距離に配置される、上記項目のいずれか一項に記載のマイクロ波アンテナアセンブリ。
【0021】
(項目6B)
上記第1の距離の2倍と第2の所定の距離との合計は、低周波数で供給されるマイクロ波エネルギーの振幅の2分の1波長である、上記項目のいずれか一項に記載のマイクロ波アンテナアセンブリ。
【0022】
(項目7B)
上記外側導電体の周りに配置されたチョークをさらに含み、該チョークは、該外側導電体の遠位部分から第2の所定の距離に配置されている、上記項目のいずれか一項に記載のマイクロ波アンテナアセンブリ。
【0023】
(項目8B)
上記第1の距離の2倍と上記第2の所定の距離との合計は、低周波数で供給されるマイクロ波エネルギーの振幅の2分の1波長である、上記項目のいずれか一項に記載のマイクロ波アンテナアセンブリ。
【0024】
(項目9B)
損傷を形成する方法であって、
第1の所定の長さを有する第1の周波数放射区間と、第2の所定の長さを有する第2の周波数放射区間とを備えている3軸マイクロ波アンテナアセンブリを提供するステップと、
損傷の少なくとも1つの特性を調節するために、第1の周波数および第2の周波数のうちの少なくとも1つで、マイクロ波エネルギーを供給して、該第1の周波数放射区間および該第2の放射区間のうちの少なくとも1つに選択的にエネルギーを与えるステップと
を包含する、方法。
【0025】
(項目10B)
上記損傷の少なくとも1つの特性は、形状、直径および深さから成る群から選択される、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0026】
(項目11B)
高周波数でマイクロ波エネルギーを供給して、上記3軸マイクロ波アンテナアセンブリの上記第1の周波数放射区間にエネルギーを与えるステップをさらに包含する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0027】
(項目12B)
低周波数でマイクロ波エネルギーを供給して、上記3軸マイクロ波アンテナアセンブリの上記第2の周波数放射区間にエネルギーを与えるステップをさらに包含する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0028】
(項目13B)
上記提供するステップの上記3軸マイクロ波アンテナアセンブリは、内側導電体と、該内側導電体の周りに配置された中央導電体と、該中央導電体の周りに配置された外側導電体とを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0029】
(項目14B)
上記提供するステップの上記第1の放射区間は、上記内側導電体の少なくとも一部分と、上記中央導電体の少なくとも一部分とを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0030】
(項目15B)
上記内側導電体の上記一部分は、上記中央導電体から第1の所定の距離を延び、該中央導電体の上記一部分は、上記外側導電体から該第1の所定の距離を延び、それによって上記第1の所定の長さは、該第1の所定の距離の約2倍に等しい、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0031】
(項目16B)
上記第1の所定の距離は、上記第1の周波数で供給されるマイクロ波エネルギーの振幅の4分の1波長である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0032】
(項目17B)
上記提供するステップの上記第2の放射区間は、上記中央導電体の少なくとも一部分と、上記外側導電体の少なくとも一部分とを含み、該外側導電体の該一部分は、第2の所定の距離においてチョークされる、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0033】
(項目18B)
上記第2の所定の長さは、上記第1の所定の長さと上記第2の所定の距離のおよその合計に等しく、これは、上記第2の周波数で供給されるマイクロ波エネルギーの振幅の2分の1波長である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0034】
(摘要)
3軸マイクロ波アンテナアセンブリが開示される。3軸マイクロ波アンテナは、内側導電体を有するフィードライン、内側導電体の周りに配置された中央導電体、および中央導電体の周りに配置された外側導電体、ならびに高周波数放射区間と低周波数放射区間とを含む放射部分を含む。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本開示の上記の局面および他の局面、特徴、ならびに利点は、添付の図面と共に、以下の詳細な記述に照らすとより明らかとなる。
【図1】図1は、本開示の実施形態によるマイクロ波切除システムの概略図である。
【図2】図2は、本開示による図1のマイクロ波アンテナアセンブリの斜視内部図である。
【図3】図3は、本開示による図1のマイクロ波アンテナアセンブリの断面側面図である。
【図4】図4は、本開示による図1のマイクロ波アンテナアセンブリの概略図である。
【図5】図5は、本開示による図1のマイクロ波アンテナアセンブリの放射部分の等測図である。
【図6】図6は、本開示の実施形態によるマイクロ波切除システムの実施形態の概略図である。
【図7A】図7Aおよび図7Bは、本開示による図6のマイクロ波アンテナアセンブリの実施形態の断面側面図である。
【図7B】図7Aおよび図7Bは、本開示による図6のマイクロ波アンテナアセンブリの実施形態の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(詳細な説明)
本開示の特定の実施形態が、添付の図面を参照して以下、本明細書に記述される。以下の記述において、構造の周知の機能は、本開示を不必要な詳細によって不明確にすることを回避するために、詳細には記述されない。
【0037】
図1は、マイクロ波切除システム10を示し、マイクロ波切除システム10は、可撓性同軸ケーブル16を介してマイクロ波発生装置14に結合されたマイクロ波アンテナアセンブリ12を含む。発生装置14は、約500MHz〜約5000MHzの動作周波数でマイクロ波エネルギーを提供するように構成される。
【0038】
図示された実施形態において、アンテナアセンブリ12は、フィードライン20(またはシャフト)によってケーブル16に接続された放射部分18を含む。シース38は、放射部分18およびフィードライン20を取り囲み、冷却流体が、アンテナアセンブリ12の周りを循環することを可能にする。別の実施形態において、固体誘電材料がその中に配置され得る。
【0039】
図2は、ダイポールアンテナ40を有するアンテナアセンブリ12の放射部分18を示す。ダイポールアンテナ40は、フィードライン20に結合され、フィードライン20は、アンテナアセンブリ12を発生装置14に電気的に接続する。図3に示されるように、フィードライン20は、内側絶縁体52によって取り囲まれた内側導電体50(例えばワイヤ)を含み、内側絶縁体52は、外側導電体56(例えば円筒状の導電シース)によって取り囲まれている。内側導電体50および外側導電体56は、銅、金、ステンレス鋼、または同様の導電率値を有する他の導電性金属から構成され得る。金属は、他の材料、例えば他の導電性材料でメッキされて、例えば導電率を向上させるか、またはエネルギー損を減少させるなど、それらの特性を向上させ得る。一実施形態において、フィードライン20は、0.047インチの外径で50オームを定格とするワイヤを有する同軸半剛性、または可撓性ケーブルから形成され得る。
【0040】
ダイポールアンテナ40は、内側導電体50および内側絶縁体52から形成され得、内側導電体50および内側絶縁体52は、図2に最も良く示されるように、外側導電体56の外側に延びる。フィードライン20が同軸ケーブルから形成される一実施形態において、外側導電体56および内側絶縁体52は、図3に示されるように、剥ぎ取られて、内側導電体50を露出させ得る。
【0041】
アセンブリ12は、先細の端24を有する先端48も含み、先細の端24は、一実施形態において、尖った端26で終端し、放射部分18の遠位端における最小の抵抗での組織の中への挿入を可能にする。放射部分18が既存の開口部の中に挿入されるような場合においては、先端48は、丸くされ得るか、または平坦であり得る。
【0042】
組織を貫通するために適切な様々な耐熱材料、例えば金属(例えばステンレス鋼)および様々な熱可塑性材料(例えばポリエーテルイミド(poletherimide)、ポリアミド熱可塑性樹脂(この例は、General Electric Co. of Fairfield,CTによって販売されているUltem(登録商標)))から形成され得る先端48。先端48は、所望の形状を取得するために、様々なストックロッド(stock rod)から機械加工され得る。先端48は、様々な接着剤、例えばエポキシシールを使用して、遠位部分78に取り付けられ得る。先端48が金属である場合、先端48は、遠位部分78にはんだ付け、または溶接され得る。
【0043】
マイクロ波エネルギーが、ダイポールアンテナ40に印加される場合、図4に示されるように、内側導電体50の延長された部分は、第1のポール70として作用し、外側導電体56は、第2のポール72として作用する。図5に示されるように、第1のポール70は、インダクタ74を含み、インダクタ74は、第1のポール70の近位部分76と遠位部分78との間に配置され得る。遠位部分78および近位部分76は、平衡(例えば、等しい長さ)または不平衡(例えば、等しくない長さ)であり得る。
【0044】
第2のポール72(図4)は、第1の所定の長さaを有し得、該第1の所定の長さaは、第1の周波数での発生装置14の動作振幅の4分の1波長であり得る。さらに詳細には、発生装置14は、様々な周波数、例えば第1の周波数および第2の周波数、2450MHzおよび915MHzそれぞれで動作するように適合され得る。したがって、長さaは、2450MHzで供給されるマイクロ波エネルギーの振幅の4分の1波長であり得る(例えば、λeHF/4、ここでHFは、第1の周波数または高周波数)。他の適切な周波数が本開示によって想定されている。
【0045】
第1のポール70の近位部分76は、第2のポール72と実質的に同じ長さ、すなわち長さaであり得る。遠位部分78は、第2の所定の長さbを有し得、その結果、第1のポール70の全長は、長さcであり得、長さcは、長さaと長さbの合計である。長さcは、第2の周波数、すなわち915MHzでの発生装置14の動作振幅の4分の1波長であり得る(例えば、λeLF/4、ここでLFは、第2の周波数または低周波数)。当業者は、第2のポール72の長さおよび近位部分76の長さならびに第1のポール70の全長は、動作周波数の4分の1波長に限定されず、本明細書において論議される比例する長さの関係を維持する任意の適切な長さであり得ることを理解する。
【0046】
ミアンダストリップ(meandered strip)または任意の適切なタイプのインダクタであり得るインダクタ74は、発生装置14によって供給される信号の周波数に比例するインピーダンスを有し得、その結果、インダクタ74のインピーダンスは、発生装置14が、第1の周波数(例えば2450MHz)で動作しているとき、比較的高く、発生装置14が、第2の周波数(例えば915MHz)で出力しているときは低い。
【0047】
第1の周波数において、インダクタ74のインピーダンスは高く、したがって、高周波数マイクロ波信号が、第1のポール70の遠位部分78に到達することを遮る。その結果、マイクロ波信号は、第2のポール72および第1のポール70の近位部分76にエネルギーを与え、したがって、第2のポール72および近位部分76だけが共振する。換言すれば、アンテナ40の第1の動作長さ(例えば、共振する全長)は、第2のポール72と近位部分76の合計となり、第1の周波数での発生装置14の動作振幅のほぼ2分の1波長である(例えば、λeHF/4+λeHF/4=λeHF/2)。
【0048】
第2の周波数において、インダクタ74のインピーダンスはより低く、したがって、より低い周波数マイクロ波信号が、遠位部分78に伝播することを可能にする。マイクロ波信号は、第2のポール72および第1のポール70全体にエネルギーを与えるので、第1のポール70および第2のポール72は、完全に共振する。その結果、アンテナ40の第2の動作長さ(例えば総共振長さ)は、第2のポール72と第1のポール70の合計であり、第2の周波数での発生装置14の動作振幅のほぼ2分の1波長である(例えば、λeLF/4+λeHF/4)。
【0049】
アンテナ40は、第1の周波数および第2の周波数で共振するので、第1のポール70と第2のポール72の全長は、λeLF/2であり得、この場合、第1のポール70の長さは、λeLF/4に等しくない。両周波数での広帯域挙動を保証するために、チョークは使用されない。アセンブリ12のシャフトに沿った組織の切除を制限するために、冷却流体が、シース38(図1)の中に供給され得る。
【0050】
図6は、3軸マイクロ波アンテナアセンブリ112を含むマイクロ波切除システム100を示し、3軸マイクロ波アンテナアセンブリ112は、可撓性同軸ケーブル16を介してマイクロ波発生装置14に結合される。3軸アンテナアセンブリ112は、フィードライン120(またはシャフト)によってケーブル16に接続された放射部分118を含む。さらに詳細には、3軸アンテナアセンブリ112は、接続ハブ22を介してケーブル16に結合され、接続ハブ22は、出口流体ポート30および入口流体ポート32を有し、冷却流体37が、ポート30およびポート32から3軸アンテナアセンブリ112の周囲を循環することを可能にする。冷却流体37は、例えばイオン除去水またはイオン除去食塩水のような誘電性冷却流体であり得る。ポート30およびポート32はまた、供給ポンプ34に結合され、供給ポンプ34は、供給ライン86を介して供給タンク36に結合される。供給ポンプ34は、蠕動ポンプまたは任意の他の適切なタイプであり得る。供給タンク36は、冷却流体37を格納し、一実施形態において、所定の温度で流体を維持し得る。さらに詳細には、供給タンク36は、冷却剤ユニットを含み得、該冷却剤ユニットは、3軸アンテナアセンブリ112から戻ってくる液体を冷却する。別の実施形態において、冷却流体37は、気体および/または流体および気体の混合物であり得る。
【0051】
図7Aは、ダブルダイポールアンテナ140を有する3軸アンテナアセンブリ112のフィードライン120および放射部分118を示す。ダブルダイポールアンテナ140は、フィードライン120に結合され、フィードライン120は、3軸アンテナアセンブリ112を発生装置14に電気的に接続する。放射部分118は、内側絶縁体152によって取り囲まれた内側導電体150(例えばワイヤ)を含み、内側絶縁体152は、中央導電体156(例えば円筒状の導電シース)によって取り囲まれている。放射部分118は、中央導電体156の周りに配置された中央絶縁体157も含み、中央絶縁体157は、外側導電体158によって取り囲まれる。内側導電体150、中央導電体156および外側導電体158は、銅、金、ステンレス鋼、または同様の導電率値を有する他の導電性金属からそれぞれ構成され得る。前述の導電体とほとんど同様に、金属は、他の材料、例えば他の導電性材料でメッキされて、例えば導電率を向上させるか、またはエネルギー損を減少させるなど、それらの特性を向上させ得る。
【0052】
外側導電体158は、それとの間に空洞166を画定する外側ジャケット159によって取り囲まれ得る。一実施形態において、外側ジャケット159は、中空であり得、その内側に空洞166を含み得る。空洞166は、それらを通って冷却流体37を循環させるためのポート30およびポート32(図6を参照)と液体連通する。外側導電体158はまた、その遠位端に配置された中実の導電部分168を含む。フィードライン120を覆う空洞166の全長を通る冷却流体37の循環は、切除の間に生成された熱を除去する。
【0053】
3軸アンテナアセンブリ112は、2つの異なる周波数(例えば高周波数および低周波数)でマイクロ波エネルギーを送達するように適合される。内側導電体150および中央導電体156は、ダブルダイポールアンテナ140の第1のダイポール170を表し、第1の周波数(例えば2450MHz)でマイクロ波エネルギーを送達するように適合される。第1のダイポール170および外側導電体158は、ダブルダイポールアンテナ140の第2のダイポール172を表し、第2の周波数(例えば915MHz)でマイクロ波エネルギーを送達するように適合される。このように、中央導電体156は、3軸アンテナアセンブリ112において二重の目的に役立つ。すなわち、中央導電体156は、高周波エネルギー送達の間、内側導電体150に対する外側導電体として作用し、低周波数エネルギー送達の間、外側導電体158に対する内側導電体として作用する。
【0054】
内側導電体150は、第1の所定の長さaだけ中央導電体156の外側に延び、該第1の所定の長さaは、2450MHzで供給されるマイクロ波エネルギーの振幅の4分の1波長であり得る(例えばλeHF/4、ここで、HFは、第1の周波数または高周波数)。中央導電体156は、所定の長さaだけ外側導電体158の外側にも延びる。高周波エネルギーの適用の間、内側導電体150および中央導電体156の露出された区間は、高周波数放射区間170を画定し、高周波数放射区間170は、長さaの合計に等しい全長を有する(例えば、λeHF/2)。さらに詳細には、高周波数マイクロ波エネルギーの印加の間、内側導電体150は、ダブルダイポールアンテナ140の第1のダイポール170に対する高周波数第1ポール180aとして作用し、中央導電体156は、高周波数第2ポール180bとして作用する。
【0055】
図7Aに示された実施形態において、冷却空洞166は、フィードライン120に沿って導電部分168の近位端から延び、外側導電体158を覆う。低周波数エネルギーの印加の間、導電体150および導電体156は、導電部分168と共に低周波数放射区間172を画定し、低周波数放射区間172は、2a+bの全長を有する。長さbは、2a+bの合計が、低周波数(例えば915MHz)において供給されるマイクロ波エネルギーの振幅の2分の1波長となるようにするために適切な任意の長さであり得る。低周波数エネルギーの印加の間、内側導電体150および中央導電体156は、ダブルダイポールアンテナ140の第2のダイポールに対する低周波数第1ポール182aとして作用し、導電部分168は、低周波数第2ポール182bとして作用する。
【0056】
図7Bを参照して、3軸アンテナアセンブリ112は、外側導電体158の周囲に配置されたチョーク160を含み得る。チョーク160は、内側誘電層162と外側導電層164とを含み得る。チョーク160は、低周波数における4分の1波長短絡チョーク(shorted choke)であり得、はんだ付けまたは他の適切な方法によってチョーク160の近位端において外側導電体158に短絡される。チョーク160は、冷却空洞166に取って代わり得、低周波数放射区間172として放射区間118の一部分を画定する。さらに詳細には、チョーク160は、内側導電体150の遠位端から第2の所定の距離、長さbに配置される。長さbは、2a+bの合計が、915MHzで供給されるマイクロ波エネルギーの振幅の2分の1波長を表すようにされ得る(例えばλeLF/2、ここで、LFは、第2の周波数または低周波数)。チョーク160は、第2の周波数でのみマイクロ波エネルギーの帯域幅を限定するように適合され、第1の周波数ではマイクロ波エネルギーの印加に干渉しない。
【0057】
低周波数マイクロ波エネルギーの印加の間、内側導電体150および中央導電体156は、低周波数第1ポール182aとして作用し、外側導電体158の遠位部分は、低周波数第2ポール182bとして作用する。低周波数第2ポール182bは、低周波数第1ポール182aと共に、第1のポール182aおよび第2のポール182bが、長さ2a+bの合計(例えばλeLF/2)に等しい全長を有する低周波数放射区間172を画定するように長さbを有し得る。
【0058】
アンテナアセンブリ12および3軸アンテナアセンブリ112の二重周波数動作は、様々な形状および深さの損傷の生成を可能にする。さらに詳細には、アセンブリ12(図2)のアンテナ40の動作全長(例えば共振部分)は、発生装置14の出力の周波数を調節することによって制御し得る。アンテナ40によって生成される損傷の深さは、アンテナ40の共振部分の長さに直接的に関連するので、共振するアンテナ40の関連部分を調節することにより、ユーザは、所望の損傷の形状(例えば直径)および深さを制御することができる。換言すれば、アンテナ40に供給されるマイクロ波信号の周波数を変化させることによって、損傷の形状は、第1のポール70(図5)に配置されたインダクタ74の性質によって制御される。インダクタ74は、アンテナ40に供給されるマイクロ波エネルギーの周波数に基づいて、アンテナ40の動作長さを制御する。
【0059】
損傷を形成する方法も本開示によって想定されている。方法は、所定の周波数(例えば第1の周波数および第2の周波数)でマイクロ波エネルギーをマイクロ波アンテナアセンブリ12に供給するステップと、損傷の少なくとも1つの特性(例えば、深さ、円周、形状、その他)を調節するために、ダイポールアンテナ40に供給されるマイクロ波エネルギーの周波数に基づいてダイポールアンテナ40の動作長さを調節するステップとを含む。
【0060】
図6の3軸アンテナアセンブリ112に関して、所望の損傷の深さも変えられ得る。低周波数(例えば915MHz)でマイクロ波エネルギーを印加することによって、エネルギーは、外側導電体158および中央導電体156を通過し、それによって、低周波数放射区間172全体に沿って損傷を生成する。マイクロ波を高周波数(例えば2450MHz)で印加するとき、エネルギーは、内側導電体150および中央導電体156を通過し、それによって、高周波数放射区間170に沿ってのみ損傷を生成する。図7Aおよび図7Bに示されるように、区間170もしくは区間172のいずれかに、またはこれらの両方にエネルギーを与えることにより、ユーザは、様々な深さの損傷を生成することができる。
【0061】
本開示の記述された実施形態は、限定するものとしてではなく、例示として意図され、本開示のすべての実施形態を表すようには意図されていない。様々な修正および変更が、文字どおりにかつ法律で認められた均等物において以下の請求項で述べられたような本開示の精神または範囲から逸脱することなくなされ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3軸マイクロ波アンテナアセンブリであって、
内側導電体と、該内側導電体の周りに配置された中央導電体と、該中央導電体の周りに配置された外側導電体とを含むフィードラインと、
高周波数放射区間と低周波数放射区間とを含む放射部分と
を備えている、3軸マイクロ波アンテナアセンブリ。
【請求項2】
前記高周波数放射区間は、前記内部導電体の一部分と前記中央導電体の一部分とを含み、前記低周波数放射区間は、該中央導電体の該一部分と前記外側導電体の一部分とを含む、請求項1に記載の3軸マイクロ波アンテナアセンブリ。
【請求項3】
前記内側導電体の前記一部分は、前記中央導電体から第1の所定の距離を延び、該中央導電体の前記一部分は、前記外側導電体から該第1の所定の距離を延びる、請求項2に記載の3軸マイクロ波アンテナアセンブリ。
【請求項4】
前記第1の所定の距離は、高周波数で供給されるマイクロ波エネルギーの振幅の4分の1波長である、請求項3に記載のマイクロ波アンテナアセンブリ。
【請求項5】
前記外側導電体は管状構造を含み、該管状構造は、その中に空洞を含み、該空洞は、そこを通って冷却流体を循環させるように適合され、該空洞は、該外側導電体の遠位部分から第2の所定の距離に配置される、請求項2に記載のマイクロ波アンテナアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の距離の2倍と第2の所定の距離との合計は、低周波数で供給されるマイクロ波エネルギーの振幅の2分の1波長である、請求項3に記載のマイクロ波アンテナアセンブリ。
【請求項7】
前記外側導電体の周りに配置されたチョークをさらに含み、該チョークは、該外側導電体の遠位部分から第2の所定の距離に配置されている、請求項6に記載のマイクロ波アンテナアセンブリ。
【請求項8】
前記第1の距離の2倍と前記第2の所定の距離との合計は、低周波数で供給されるマイクロ波エネルギーの振幅の2分の1波長である、請求項7に記載のマイクロ波アンテナアセンブリ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate


【公開番号】特開2010−50975(P2010−50975A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−193371(P2009−193371)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(507325275)ビバント メディカル, インコーポレイテッド (34)
【Fターム(参考)】