説明

二重床装置の床パネル支持機構

【目的】 床パネルを支持する支柱の本数を削減し、床下空間を大きくとれるようにする。
【構成】 支柱2を床パネルの一辺の長さの略倍の長さを有する複数本の直線状ストリンガ3の端部を支持し、4本の直線状ストリンガ3で囲まれた部分に嵌め込まれる十字状ストリンガ4は支柱のない補助台座9に固定する。これにより支柱2の数は従来に比べて半数で済み、また各直線状ストリンガ3と十字状ストリンガ4はその断面がハット形をしているので、その水平に張出したフランジ部7でエアーフィルタやトレイを着脱自在に保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、床スラブから所定の間隔をおいて複数枚の床パネルを敷設することにより構成される二重床装置に関し、特に詳しく言うと、床パネルを支持する支柱の本数を削減し、床下空間を大きくとれるように床パネルを支持する二重床装置の床パネル支持機構に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、コンピュータ室ばかりでなく、一般のオフィスにおいても複数のオフィスオートメーション機器が導入されているため、床上には多数の通信ケーブルや電力ケーブル類を配設する必要がある。従来、通信や電源用のコンセントは壁等に設けられており、そこから機器設置場所までは接続コードを床上にはわせる必要があるが、床上にこれらコードが露呈していると、誤って歩行中に足で接続コードを引き抜く可能性があり、また他の機器の下敷きになったり台車等の通過時に接続コードを切断したりする危険がある。
【0003】そこで、このような部署においてはフリーアクセスフロアと称される二重床装置が広く用いられている。この二重床装置は、例えば一辺が150〜1000mmで厚さが15〜50mm程度の四辺形の床パネルを複数枚用意し、床スラブ上に床パネルの一辺の長さに相当する間隔をおいて支柱を複数本立設し、支柱の先端部で隣接する4枚の床パネルの角部を支持するようにして床スラブ上に床パネルを敷き詰めるものである。これにより、床スラブと床パネルとの間には空間ができ、この床下空間に通信ケーブルや電力ケーブル類あるいは分配器や使用機器のインターフェイス用の機器等を配設するとともに、設置機器の近くの床パネルにはコンセントを設けることにより、床上にこれらコードやケーブルが露呈しないようにすることができる。また、床パネルは着脱が容易であり、敷設後のレイアウト変更にも充分対応することができる。
【0004】更に、このような二重床装置を利用し、床下から空調用の送風を行なう床下空調システムも提案されている。この場合、空調を効果的に行なうためにはパネルと床スラブとの間の空調された空気が流れ出ないように各床パネルの接合部を気密にする必要がある。そこで従来より床パネルを支持する支柱間にストリンガと称される梁を渡し、このストリンガ上で床パネルの接合部を保持するようにして接合部間からのエアーリークを防止するようにしている。このストリンガを設けることにより床パネル全体の床剛性を高めることもできる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の二重床装置は床スラブ上に床パネルの大きさと同間隔で支柱を立てているため、多数の支柱を必要とし、床下空間が狭くなってしまう。更に各支柱にはストリンガを固定するためのアーム等の部材も必要になり、支柱自体も嵩張るため一層床下空間を狭くしてしまう。更に、各床パネルの角部が支柱により支持されているので、硬い歩行感を感じてしまう。
【0006】そこでこの発明の目的は、支柱を床パネルの大きさの2倍の間隔で配置できるようにして、床下空間を大きく確保できるようにするととともに、支柱の数の削減による施工の短縮化とコスト低減を計り、歩行感のも優れた二重床装置の床パネル支持機構を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、床スラブ上に支柱を介して間隔をおいて複数枚の床パネルを敷設することにより構成される二重床装置の床パネル支持機構において、少なくとも床パネルの一辺の長さの略倍の長さの複数本の直線状ストリンガと、横方向長さと縦方向長さが床パネルの一辺の長さの略倍の長さの複数本の十字状ストリンガと、直線状ストリンガの略中央部に取付けられ、十字状ストリンガの端部を固定支持する補助台座とを有し、支柱は直線状ストリンガの端部を支持するように配置され、4本の直線状ストリンガで囲まれた部分に十字状ストリンガが嵌め込まれ、床パネルは直線状ストリンガと十字状ストリンガの上に載置されることを特徴とするものである。
【0008】この場合、直線状ストリンガおよび前記十字状ストリンガはその縦断面がハット形をしていることが好ましい。
【0009】
【作用】各支柱は床パネルの一辺の長さの略倍の長さを有する複数本の直線状ストリンガの端部を支持するだけでよく、4本の直線状ストリンガで囲まれた部分に嵌め込まれる十字状ストリンガは支柱のない補助台座に固定されるので、支柱の数は従来のように各床パネルの角部を支持する場合に比べて半数で済み、床下空間を大きくすることができるとともに、軟らかい歩行感を得ることができる。各床パネルの当接端部は4本の直線状ストリンガと1本の十字状ストリンガとにより4つの床パネルの各周縁を支持するようにストリンガが位置するので、床パネルの当接部間の隙間を確実にシールすることができる。
【0010】また、各ストリンガをハット形にすることにより、ストリンガの水平に張出したフランジ部でエアーフィルタやトレイ等を着脱自在に支持することができる。
【0011】
【実施例】以下、この発明を図面に示す一実施例について説明する。
【0012】この実施例で使用する床パネル1は一辺が60cmで厚さが4cm程度の四辺形をしており、上面板材と下面板材との間にコンクリートや珪酸カルシュウム等で構成されたパネル材を介在させたり、下面板部材に多数の凹凸を形成し、その凸部先端を上面板材の下面に固定し、上面板材と下面板材とで構成される空間に上述のパネル材を充填するようにしたり、あるいはアルミダイキャストやスチール単体で構成された従来から周知の床パネルで構成されている。一方、支柱2はこの床パネル1の長さの2倍である120cmの間隔で床スラブ10上に配置される。各支柱2はその上端部に後述する直線状ストリンガ3および十字状ストリンガ4を介して床パネル1を支持するための台座5が従来と同様に高さ調整可能に取付けられている。
【0013】直線状および十字状ストリンガ3,4はその断面が略コ字状をし開口部が下方に位置する本体部6と、この本体部6の下端から略直角に突出するフランジ部7とを有するハット形をしており、鋼板等の金属材で作られている。直線状ストリンガ3は床パネル1の長さの2倍の長さすなわち120cmより僅かに短い長さを有する直線状をしており、その中央部分のフランジ部7は直線状ストリンガ3の幅分に相当する長さだけ切り取られた切欠き部8が形成され、これら切欠き部8には支柱2の台座5と略同様な形状の補助台座9がビス止め等により固定される。十字状ストリンガ4の横および縦方向長さは床パネル1の長さの2倍の長さより僅かに短い長さになっている。
【0014】次にこれら直線状および十字状ストリンガ3,4の配設について説明すると、床スラブ10上に120cmの間隔で配置された各支柱2の台座5には、各直線状ストリンガ3の両端が載置され、ビス止め等により固定される。すなわち1つの台座5には4本の直線状のストリンガ3の端部が略90゜の間隔を置いて固定されている。次いで、4本の直線状ストリンガ3で囲まれた部分の各切欠き部8に十字状ストリンガ4を嵌め合わせ、それらの端部を補助台座9に固定する。以下、同様にして床スラブ10上に配置された支柱2間に各直線状ストリンガ3の端部を固定し、各直線状ストリンガ3で囲まれた部分に十字状ストリンガ4を固定する。なお、図示していないが、壁際においては、十字状ストリンガ4を嵌め合わせるに十分な長さを取れないのが通例であり、このような壁際においては直線状の直線状ストリンガ3を台座5や補助台座9から壁際までの長さに切断して使用し、壁際のみ各直線状ストリンガ3の端部を支柱2で支持固定すればよい。
【0015】このようにして床スラブ10上には、各床パネル1の周縁を支持するように直線状および十字状ストリンガ3,4が配設されるので、この上に床パネル1を敷き込んでいけばよい。また、壁際に位置する床パネル1は適当な長さに切断して嵌め込めばよい。
【0016】以上のように、支柱2は1つ置きの床パネル1の角部に位置することになり、従来に比較して支柱2の数を半減させることができ、床下空間を大きくとることができるばかりでなく、支柱の数を減らすことができるので、施工工程および費用の軽減を計ることができる。また、直線状および十字状ストリンガ3,4のフランジ部7を利用してエアーフィルタを保持させたり、床上の電気機器の分配器やコネクタあるいはインターフェイス用機器を収容するトレイを保持させることができる。
【0017】なお、十字状ストリンガ4の交点の下面には、図1に示すように、補強台座11を固定して交点部を補強しているが、ストリンガ4の強度が高い場合は、この補強台座11を固定する必要はない。
【0018】上述実施例では、一辺が60cmの床パネル1を例にとって説明したが、この大きさに限定されるものではなく、これ以下あるいは以上の大きさの床パネルでも実用可能である。また、床パネル1は直線状および十字状ストリンガ3,4に敷き込む場合を説明したが、従来の床パネルと同様に、支柱の台座に床パネル1の角部に設けた孔に嵌合されるピンを立設し、このピンを直線状および十字状ストリンガ3,4の本体部6に穿孔した孔から突設させてもよい。また、各台座5や補助台座9あるいは補強台座11に、直線状および十字状ストリンガ3,4のフランジ部7をビス止めしているが、これら台座の上面に本体部6を嵌合する突起を十字状に設けこれに嵌合固定するようにしてもよい。
【0019】
【発明の効果】以上のように、この発明の二重床装置の床パネル支持機構は、少なくとも床パネルの一辺の長さの略倍の長さを有する複数本の直線状ストリンガと、横方向長さと縦方向長さが床パネルの一辺の長さの略倍の長さの複数本の十字状ストリンガと、直線状ストリンガの略中央部に取付けられ、十字状ストリンガの端部を固定支持する補助台座とを有し、支柱を直線状ストリンガの端部を支持するように配置し、4本の直線状ストリンガで囲まれた部分に十字状ストリンガを嵌め込み、床パネルは直線状ストリンガと十字状ストリンガの上に載置するものであり、各支柱は床パネルの一辺の長さの略倍の長さを有する複数本の直線状ストリンガの端部を支持し、4本の直線状ストリンガで囲まれた部分に嵌め込まれる十字状ストリンガは支柱のない補助台座に固定するだけでよいので、支柱の数は従来のように各床パネルの角部を支持する場合に比べて半数で済み、床下空間を大きくすることができ、かつ軟らかい歩行感を得ることができる。各床パネルは4本の直線状ストリンガと1本の十字状ストリンガとにより4つの床パネルの各周縁を支持するようにストリンガが位置するので、床パネルの当接部下面をストリンガで支持することができ、当接部のシールを確実に行なうことができる。支柱の数を削減することは施工期間の短縮をもたらせるとともに、施工コストを低減させることができる。
【0020】また請求項2に記載のように、各ストリンガの縦断面をハット形にすることにより、水平に張出したフランジ部でエアーフィルタを保持させたり、床上の電気機器の分配器やコネクタあるいはインターフェイス用機器を収容するトレイを保持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例の一部を示す平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿って切断して示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 床パネル
2 支柱
3 直線状ストリンガ
4 十字状ストリンガ
5 台座
6 本体部
7 フランジ部
8 切欠き部
9 補助台座
10 床スラブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 床スラブ上に支柱を介して間隔をおいて複数枚の床パネルを敷設することにより構成される二重床装置の床パネル支持機構において、少なくとも前記床パネルの一辺の長さの略倍の長さの複数本の直線状ストリンガと、横方向長さと縦方向長さが前記床パネルの一辺の長さの略倍の長さの複数本の十字状ストリンガと、直線状ストリンガの略中央部に取付けられ、前記十字状ストリンガの端部を固定支持する補助台座とを有し、前記支柱は前記直線状ストリンガの端部を支持するように配置され、4本の前記直線状ストリンガで囲まれた部分に前記十字状ストリンガが嵌め込まれ、前記床パネルは前記直線状ストリンガと前記十字状ストリンガの上に載置されることを特徴とする二重床装置の床パネル支持機構。
【請求項2】 前記直線状ストリンガおよび前記十字状ストリンガはその縦断面がハット形をしていることを特徴とする請求項1に記載の二重床装置の床パネル支持機構。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開平6−73865
【公開日】平成6年(1994)3月15日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−247314
【出願日】平成4年(1992)8月24日
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)