説明

二重殺菌システムが結合する腹膜透析チューブ

【課題】患者によって容易に接続され得る透析用の結合システムおよびその使用方法を提供する。
【解決手段】透析液の流れを可能にする方法であって、移動セットコネクター10,使い捨てコネクター12であって、第1の流体経路と第2の流体経路との間の選択的な液体伝達する形態のコネクター10,12を提供する工程、両コネクターで規定される内部にリングとしての二重フォーム殺菌システム18を提供する工程であって、該リングがふき取り特性を有しかつ殺菌剤を含有する第1のセクション44、吸収特性を有する第2のセクション42を含む工程、および上記コネクター中に、上記第1の流体経路を、上記リングと機械的な閉塞を形成し、それによって上記第1の流体経路が上記第2の流体経路と流体伝達し、上記透析液が上記第1の流体経路から上記第2の流体経路に流れるようにスライドする工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に腹膜透析のための結合システムおよび方法に関する。さらに詳細には、本発明は、さらなる労力または面倒なく結合部での殺菌を可能にする殺菌システムを有する、腹膜透析に使用される結合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
腹膜透析において、透析液は供給源(例えば、バック)から出され、そして患者の腹膜腔に移植されている腹膜カテーテルに外部カテーテルを介して送達される。コネクターは外部カテーテルを腹膜カテーテルに結合する。コネクターは多くの結合および分離に持ちこたえることを必要とされる。腹膜透析を用いる腎臓患者の首尾良い処置に等しく重要なことは、この結合部を殺菌するための有効な手段が存在することである。
【0003】
典型的に、殺菌のための方法は、ポビドンヨード、ベタジンまたは別の面倒な殺菌剤中の浸漬を含む。このようなシステムは、殺菌の前および後に使用者のさらなる労力を必要とする。
【0004】
さらに、結合部の殺菌操作の数が多くなるほど、腹膜透析の潜在的に危険な合併症である腹膜炎の危険性が大きくなる。
【0005】
典型的に、一旦殺菌技術をおろそかにすると、ブドウ球菌および他の病原菌は、カテーテルの内腔を移動して、そして腹膜腔に侵入する。
【0006】
腹膜炎は痛みがあり、そして腹膜の水力学的透過性を一時的に減少させ、腎臓処置をより成功しなくする。敗血症および死をもたらすさらに耐性の感染が起こり得る。腹膜透析を放棄した患者のうち大部分は、繰り返される感染のためそのようになる。
【0007】
多くの患者は連続的歩行型腹膜透析(continuousambulatoryperitonealdialysls)(CAPD)手順をすべて自分で行うので、殺菌方法が患者に対してあまりにも複雑であるかまたは不便である場合、結合部の殺菌操作は、しばしば汚染されたシステムをもたらす。殺菌結合システムの破損がそのシステムを汚染して起こり得る場合、全システムまたは少なくとも汚染された構成部分は取り替えられなければならず、従って、潜在的な合併症および処置の費用が増大する。
【0008】
今日、健康医療において、患者の独立を促進する簡単かつ有効な手順は、(CAPD)患者を含む外来患者のための重要な目的となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、腹膜透析適用における結合システムのための改善された殺菌システム、ならびに腹膜透析を提供するための方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、第1の部位と第2の部位との間の液体伝達を確立した場合に、殺菌を確実にするための改善されたシステムおよび方法を提供する。
【0011】
この目的のために、本発明の実施態様において、コネクターシステムが液体の流れを可能にするために提供される。このシステムは、第1の液体経路および第2の液体経路により規定される液体経路を有する。開口部(opening)を有するリングがさらに提供される。リングは第2の液体経路中に配置され、そして吸収特性を有する第1のセクションおよびふき取り(wipe)特性を有する第2のセクションを含む。さらに、第1のセクションは殺菌剤を含む。
【0012】
1つの実施態様において、第2のハウジング(housing)は、第1のセクションおよび第2のセクションがコネクターシステム内で動くのを防ぐように構築され、配置される。
【0013】
1つの実施態様において、第1のセクションは第2のセクションに隣接する。
【0014】
1つの実施態様において、セクションの1つは乾燥している。
【0015】
1つの実施態様において、第1のセクションおよび第2のセクションは、組み込まれて形成される。
【0016】
1つの実施態様において、組み込まれたクランプは第1のハウジング内に位置する。
【0017】
1つの実施態様において、第1の部材および第2の部材は、分離まで殺菌剤に実質的に一定に接触している。
【0018】
1つの実施態様において、フランジブル(frangible)は第2のハウジングに操作可能に結合されている。ここで、フランジブルは第2のハウジングから分離可能である。
【0019】
本発明の別の実施態様において、結合部を殺菌するためのシステムが提供される。このシステムは、第1の液体経路、第2の液体経路、ならびに第1の液体経路および第2の液体経路を結合するコネクターを有する。コネクターは、それらの間での液体伝達を確立する。ハウジングはコネクター内に存在し、ここで、ハウジングはリングを含み、このリングは殺菌剤を有さない第1のセクションおよび殺菌剤を有する第2のセクションを含む。リングを通過して殺菌されるべき部材を受け入れるための手段がさらに提供される。
【0020】
1つの実施態様において、第2のセクションはフォーム(foam)である。
1つの実施態様において、第1のセクションおよび第2のセクションは組み込まれて形成される。
【0021】
1つの実施態様において、ハウジングはリングが動くのを防ぐために構築され、配置される。
【0022】
本発明の別の実施態様において、腹膜透析を提供するための方法が提供される。この方法は:透析液の供給源との液体伝達において第1の部材を提供する工程;患者の腹膜腔との液体伝達において第2の部材を提供する工程;コネクターが結合される場合、第1の部材と第2の部材との間の選択的な液体伝達を提供するコネクターを提供する工程;コネクター内にリングを提供する工程;このリングが、ふき取り特性を有する第1のセクションおよび吸収特性を有する第2のセクションを含む工程;結合において第1の部材をリングに通過させる工程;および分離において第1の部材をリングを通過して引き戻す工程、を包含する。
【0023】
1つの実施態様において、第1の部材は結合において第2のセクションの前に第1のセクションを通過する。
【0024】
1つの実施態様において、第1の部材は結合の間、第2のセクションと実質的に一定に接触している。
【0025】
1つの実施態様において、第1のセクションは第2のセクションに隣接して配置される。
【0026】
1つの実施態様において、リングは第1の部材との液体伝達における開口部を含むように構築され、そして配置される。
【0027】
1つの実施態様において、第1の部材と第2の部材との間の結合を閉塞するための手段が提供される。
【0028】
本発明のなお別の実施態様は、内部を規定するハウジングを提供する。吸収特性を有する第1の部分は内部内に位置する。ふき取り特性を有する第2の部分は内部内に位置する。第2の部分は第1の部分に隣接する。殺菌剤は、第1の部分内に含まれる。第1の部分および第2の部分を通過する開口部が提供される。
【0029】
従って、本発明の利点は、改善された結合システムを提供することである。
【0030】
本発明の別の利点は、コネクター構成部分を殺菌するために結合システムにおいて使用され得る、改善された殺菌システムを提供することである。
【0031】
本発明のなおさらなる利点は、使用者のさらなる労力をほとんど、または全く必要としない殺菌の容易かつ複雑でない方法を提供することである。
【0032】
本発明により提供されるさらなる利点は、結合部を必要とする任意のシステムにおいて使用され得る結合システムを提供することである。
【0033】
さらに、本発明の別の利点は、さらなる構成部分を必要としない結合システムを提供することである。
【0034】
本発明のなおさらなる利点は、簡単な閉塞方法および固定方法を具備する結合システムを提供することである。
【0035】
本発明の別の利点は、結合システムの一部に流量調節を有する結合システムを提供することである。
【0036】
本発明のなお別の利点は、殺菌剤の含有を可能にする結合システムを提供することである。
【0037】
本発明のなおさらなる利点は、2つの結合部分を抗菌物質にほぼ一定に接触することを維持する能力を有する結合システムを提供することである。
【0038】
本発明の別の利点は、それらに面倒な状況を生じることなく殺菌剤を使用する結合システムを提供することである。
【0039】
さらに、本発明の利点は、連続的歩行型腹膜透析における液体結合および液体分離を可能にするための改善されたシステムを提供することである。
【0040】
本発明のさらなる特徴および利点が記載され、そして本願の好ましい実施態様の詳細な記載および図面から明らかである。
【0041】
より特定すれば、本願発明は以下の項目に関し得る。
【0042】
項目(1)液体の流れを可能にするためのコネクターシステムであって、該システムは:第1の液体経路を有する第1のハウジング;第2の液体経路を有する第2のハウジング;および該第2の液体経路内に置かれる開口部を有するリングを含有し、該リングは吸収特性を有する第1のセクションおよびふき取り特性を有する第2のセクションを含有し、該第1のセクションは殺菌剤を含有する、コネクターシステム。
【0043】
項目(2)前記第2のハウジングが、前記第1のセクションおよび前記第2のセクションが前記コネクターシステム内で動くのを妨ぐために構築され、そして配置される、項目(1)に記載のコネクターシステム。
【0044】
項目(3)前記第1のセクションが前記第2のセクションに隣接する、項目(1)に記載のコネクターシステム。
【0045】
項目(4)前記セクションの1つが乾燥している、項目(1)に記載のコネクターシステム。
【0046】
項目(5)前記第1のセクションおよび前記第2のセクションが組み込まれて形成される、項目(1)に記載のコネクターシステム。
【0047】
項目(6)前記第1のハウジングに位置する組み込まれたクランプをさらに含有する、項目(1)に記載のコネクターシステム。
【0048】
項目(7)第1の部材および第2の部材が分離まで前記殺菌剤に実質的に一定に接触している、項目(5)に記載のコネクターシステム。
【0049】
項目(8)項目(1)に記載のコネクターシステムであって、該コネクターシステムは:前記第2のハウジングに操作可能に結合されるフランジブルをさらに含有し、該フランジブルは前記第2のハウジングから取り外し可能である、コネクターシステム。
【0050】
項目(9)結合部を殺菌するためのシステムであって、該システムは:第1の液体経路;第2の液体経路;該第1の液体経路および該第2の液体経路を結合するコネクター、該コネクターはそれらの間の液体伝達を確立し;該コネクター内のハウジング、該ハウジングはリングを含有し、該リングは殺菌剤を有さない第1のセクションおよび殺菌剤を有する第2のセクションを含有する;ならびに該リングを通過して殺菌されるべき部材を受け入るための手段を包含する、システム。
【0051】
項目(10)前記第2のセクションがフォームである、項目(9)に記載のシステム。
【0052】
項目(11)前記第1のセクションおよび前記第2のセクションが組み込まれて形成される、項目(9)に記載のシステム。
【0053】
項目(12)前記ハウジングは、前記リングが動くのを防ぐために構築され、そして配置される、項目(9)に記載のシステム。
【0054】
項目(13)腹膜透析を提供するための方法であって、該方法は以下の工程:透析液の供給源との液体伝達において第1の部材を提供する工程;患者の腹膜腔との液体伝達において第2の部材を提供する工程;結合される場合、該第1の部材と該第2の部材との間の選択的な液体伝達を提供するコネクターを提供する工程;該コネクター内にリングを提供する工程、該リングはふき取り特性を有する第1のセクションおよび吸収特性を有する第2のセクションを含有し;結合において、該第1の部材を該リングに通過させる工程;ならびに分離において、該第1の部材を該リングを通過して引き戻す工程、を包含する、方法。
【0055】
項目(14)前記第1の部材が、結合において前記第2のセクションの前に前記第1のセクションを通過する、項目(13)に記載の方法。
【0056】
項目(15)前記第1の部材が、結合の間、前記第2のセクションと実質的に一定に接触することを可能にする工程をさらに包含する、項目(13)に記載の方法。
【0057】
項目(16)前記第1のセクションを前記第2のセクションに隣接して配置する工程をさらに包含する、項目(13)に記載の方法。
【0058】
項目(17)前記リングが、前記第1の部材との液体伝達における開口部を含むように構築され、そして配置される、項目(13)に記載の方法。
【0059】
項目(18)前記第1の部材と前記第2の部材との間の結合を閉塞するための手段を提供する工程をさらに包含する、項目(13)に記載の方法。
【0060】
項目(19)コネクターであって、該コネクターは:内部を規定するハウジング;
該内部内に位置する吸収特性を有する第1の部分;該内部内に位置するふき取り特性を有する第2の部分、該第2の部分は該第1の部分に隣接し;該第1の部分内の殺菌剤;および該第1の部分および該第2の部分を通過する開口部、を含有する、コネタター。
【発明の効果】
【0061】
ふき取り特性を有するセクションは、リングの第2のセクションによって与えられる過剰の消毒剤の吸収を行い、さらに挿入される部材の外面をふき取って乾燥する。第1のハウジングのリングの中空のテーパー状部材が、第2のハウジング内のリングに挿入される際に、ふき取り面が、挿入される部材の外面に直接機械的に接触することによって、殺菌および流体経路を形成する前に、挿入される部材の外面に存在する、ほこりなどの汚染残渣を物理的にふき取って取り除かれ、これによって、コネクター内へのこのような残渣の侵入がまた防がれ、そして引き続いて形成される流体流れの汚染を防ぐ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
(本願の好ましい実施態様の詳細な説明)
本発明は、結合(例えば、第1の長さのチューブまたは他の導管の、第2の長さのチューブまたは他の導管への結合)を必要とする任意のシステムのための(例えば、腹膜透析のための)殺菌システムを含む結合システムを提供する。本発明は、使用者/患者に安全かつ容易な結合および殺菌システムを、いずれの面倒も伴わずに提供するように設計される。この目的のために、本発明は、結合システム内で使用される殺菌システムを提供する。
【0063】
好ましい実施態様において、本発明の方法およびシステムは、腹膜透析に使用され得るが、このシステムおよび方法は、種々の他の適用について使用され得ることが理解されるべきである。
【0064】
本発明の1つの実施態様によれば、殺菌システムは少なくとも1つのリングを含む。このリングは、吸収特性を有さない第1の部分および吸収特性を有する第2の部分であり得る。好ましい実施態様において、第2の部分はこの中に含まれる殺菌剤を有する。結合において、殺菌されるべき部材は第1の部分を通過する;次いで、部材は、部材が殺菌される第2の部分を通過する。分離において、部材が引き戻される場合、部材がふき取られて乾燥する第1の部分を通過して戻される。
【0065】
好ましい実施態様において、第2の部分は、殺菌剤が吸収され、そして保持され得るオープンセル(opencell)特性を有するフォームのリングである。第1の部分は、第1の部分がふき取り機能を提供するような、クローズドセル(closedcell)特性を有する、すなわち吸収が不可能な材料である。しかし、第1の部分および第2の部分は、吸収および非吸収の二重特性を有する1つの部分として組み込まれ得ることが理解されるべきである。さらに、フォームとは別の他の材料で、当業者により実行され得る。
【0066】
次に図面について言及すると、図1は、一般的に、結合された局面における移動セットコネクター10および使い捨てコネクター12を含むアセンブリ1を例示する。1つの実施態様において、クランプ16(図2に示す)およびフランジブル14は、使い捨てコネクター12の肝要な部分である。クランプ16は使い捨てコネクター12の本体に組み込まれて利用性を改善し、作動した場合、使い捨てコネクター12の外部からいずれの汚染物の侵入も防ぐ。
【0067】
1つの実施態様において、クランプ16は、コネクター12が移動セットコネクター10に結合される場合、クランプ16が収容されるコネクター12の領域17で結合されるチューブ15を加圧する、第1の位置の間で押し下げ得るアームを有するC型のクランプである。もちろん、他のクランプ(clamping)方法で、当業者により実行され得ることが理解されるべきである。クランプ16の重要な特性は、クランプ16がコネクター12の領域17において機能的に組み込まれることである。コネクター12のボタン24が押し下げられると、結果として、クランプ16は、チューブ15における流れを妨ぐためにチューブ15を押し下げる位置まで押し進められ得る。
【0068】
図1および2にさらに例示されるように、1つの実施態様において、コネクター12は2つの部分から構築される。結合部材36は、1方の末端で移動セットコネクター10に、そしてその反対の末端でチューブ15に結合する。次いで、コネクターハウジング35は、結合部材36とコネクターハウジング35との間に規定される領域17でチューブ15およびクランプ16を囲むために、従来の様式で結合部材36に結合する。
【0069】
フランジブル14およびクランプ16により、使用者/患者はチューブ15を押しつけ、次いでフランジブル14を離し得る。フランジブル14は、破損がコネクターハウジング35のわずかに内部で生じるように構築され、そして配置される。この特性は、使用者/患者(例えば、腹膜透析患者)に起こり得る炎症を抑制するのに役立つ。さらに、クランプ16およびフランジブル14の近接は、蓄積し得る残存容積量を減少させる。
【0070】
例示される好ましい実施態様において、ボタン24は、使い捨てコネクター12の頂部に位置する。ボタン24は、押し下げられた場合、チューブ15を塞ぐ。次いで、フランジブル14は、結合されたアセンブリ1を保持し、そしてフランジブル14の末端を折ることにより壊される。
【0071】
図2については、移動セットコネクター10および使い捨てコネクター12を結合された局面において示す。開口部28は、移動セットコネクター10の末端に介在する点に位置する。移動セットコネクター10の開口部28は、当該分野で公知の任意の方法で開かれ得るか、または閉じられ得、これにより液体経路46を通過する液体の流れを増加、および減少させる。
【0072】
開口部28は、移動セットコネクター10のハウジング30および組み込まれたクランプ26内に提供される。ハウジング30は、強固であり、そして組み込まれたクランプ26に相対的な固定した位置に存在する。クランプ26は、強固であり、かつ固定していない位置に存在する。組み込まれたクランプ26は、ハウジング30の外側の外部の点から、末端50を通過してハウジング30の内部まで直線的に動く。開口部28は、組み込まれたクランプ26が引き戻されると広がり、液体経路46の流速を増加させる。ボール32は、円錐末端34を締め付けて開口部28に機械的な閉塞の形成をもたらし、従って液体経路46を閉鎖する。ハウジング30内部に位置するO−リング38は、閉塞を行う。クランプ26が引き戻されると、ボール32は引き戻され、流体の流れを可能にする。流体の流れは、ボール32のさらなる引き戻しにより増加され得る。もちろん、ボール32とは別の他のバルブ機構で、当業者により実行され得る。あるいは、移動セットコネクター10は、流量調節機構を必要としない。
【0073】
次に図3については、移動セットコネクター10および使い捨てコネクター12を、結合されていない局面において示す。移動セットコネクター10は、ハウジング30内に中空の先細の部材20を有する。使い捨てコネクターには、同様の大きさの中空の先細の部材22を有する。中空の先細の部材22内への中空の先細の部材20の入れ子式の挿入は、液体経路46と使い捨てコネクター12のチューブ15との間の液体伝達を生じる。液体経路46の閉塞は、中空の先細の部材20と中空の先細の部材22との差異により生じ、強固である一方の部材および半強固であるもう一方の部材が機械的な閉塞を生じさせる。
【0074】
中空の先細の部材20から中空の先細の部材22への固定は、リング状のスナップフィット(snapfit)または当該分野における公知の任意の他の方法の使用による閉塞と独立して達成され得る。スナップフィットは、閉塞が確立された後に作動されるように設計される。
【0075】
「接触汚染」の危険をさらに減らすために、移動セットコネクター10および使い捨てコネクター12は覆われ得る。移動セットコネクター10および使い捨てコネクター12が覆われる場合、溝(groove)(示さず)は移動セットコネクター10に配置され、そしてビーズ(bead)(示さず)は使い捨てコネクター12に提供される。
【0076】
移動セットコネクター10および使い捨てコネクター12が覆われない場合、溝は使い捨てコネクター12に配置され、そしてビーズは移動セットコネクター10に配置される。
【0077】
図3において、二重フォーム殺菌システム18が示され、これは使い捨てコネクター12において使い捨てコネクター12の末端40に、またはその近くに位置する。
【0078】
結合部において、移動セットコネクター10の中空の先細の部材20は、殺菌システム18を通過する。中空の先細の部材20は、結合の間、殺菌剤とのほぼ一定の接触を維持し得る。
【0079】
次に図4については、殺菌システム18を示す。これはハウジング48、非吸収部分42および第2の吸収部分44を有する。
【0080】
本発明の好ましい実施態様において、第1の部分42は殺菌剤を有さず、従って、液体またはゼラチン状の表面をふき取り乾燥し得る。第2の部分44は吸収特性を有し、これは第2の部分44に接触する部材を殺菌するための殺菌剤を含み得る。部分42、44を形成するために使用される材料のタイプは変化し得、そして当業者により理解され得る。好ましい実施態様において、フォームのようなオープンセル材料を第2の部分44のために使用し、そしてクローズドセル材料を第1の部分42のために使用する。もちろん、当業者は、吸収およびふき取り特性を有する他の材料で実行し得る。
【0081】
本発明の1つの実施態様において、第1の部分42は、ハウジング48において第2の部分44に隣接する。ハウジング48を、ハウジング48における組み込みの後、2つの部分42、44が動くのを妨ぐために構築する。前記のように2つの部分42、44を、吸収およびふき取りの少なくとも2つの特性を有する1つの部分として形成し得る。
本発明の別の実施態様において、部分42、44のそれぞれは殺菌剤を含み得る。
【0082】
第1の部分42は、第2の部分44より少ない殺菌剤を有し、吸収材ではない。第2の部分44は、殺菌剤を含む部材をふき取り乾燥し得なければならない。
移動セットコネクター10および使い捨てコネクター12の結合において、移動セットコネクター10の部材20は、開口部28に挿入され、そして使い捨てコネクター12の第1の部分42、次いで第2の部分44を通過する。この時に部材20は殺菌剤でコートされる。移動セットコネクター10および使い捨てコネクター12の分離の際に、第1の部分42は、移動セットコネクター10の部材20をふき取り乾燥する。
【0083】
別の実施態様において、図5において例示されるように、1つの部分25の材料は、2つの別々の部分の代わりに、殺菌システム18のために使用され得る。本発明に従って、1つの部分が使用される場合、部分25内の第1の領域52はほとんどまたは全く殺菌剤を含まず、そして部分25内の第2の領域54は実質的により多くの殺菌剤を含む。1つの部分25はまた、開口部を含み、殺菌のための部材を受け入れる。
【0084】
移動セットコネクター10を、例示する1つの部分のシステムにおいて使い捨てコネクター12に結合すると、部材20は開口部28に挿入され、そして第1の領域52を通過し、次いで第2の領域54を通過する。この時、部材20は殺菌剤でコートされる。移動セットコネクター10および使い捨てコネクター12の分離の際に、部材20が引き戻されて、そして1つの部分25の第1の領域52が部材20をふき取り乾燥する。
【0085】
本発明の1つの実施態様によれば、腹膜透析手順の間のコネクターアセンブリ1を使用するための方法は、図6に例示される。第1のチューブ66は、透析液58の供給源を含むバック56の内部と液体伝達する。第2のチューブまたは移動セットチューブ68は、患者100の腹膜腔60に移植されたカテーテルと液体伝達する。
【0086】
本発明のコネクターアセンブリ1は、バック56を患者の腹膜腔60に結合するチューブ66、68の範囲の間の選択的な液体伝達を提供する。
【0087】
移動セットチューブ68の、コネクターアセンブリ1の移動セットコネクター10への結合および第1のチューブ66を有する使い捨てコネクターのその後の結合の際に、殺菌は、コネクターアセンブリ1内の吸収部分および非吸収部分で起こる。
【0088】
本明細書中に記載される、本願の好ましい実施態様に対する種々の変更および改変は、当業者に明らかであることが理解されるべきである。このような変更および改変は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、そしてその付随する利点を損なうことなくなされ得る。従って、このような変更および改変は添付の請求の範囲により包含されることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0089】
腹膜透析のための結合システムおよび方法が提供される。労力または面倒なく結合部での殺菌を可能にする殺菌システムが提供される。
【0090】
(要約)
コネクターアセンブリおよび殺菌システムが、腹膜透析手順の間のような結合を必要とする任意のシステムのために提供される。コネクターアセンブリは、移動セットコネクターおよび使い捨てコネクターを含む。移動セットコネクターおよび使い捨てコネクターのそれぞれは、液体経路を生じるために結合する部材を含む。使い捨てコネクターは、結合がなされる場合に、液体経路の開口部の近くの移動セット部材を湿らすために、殺菌剤で部分的に飽和させたリングを含むハウジングを含む。リングは、移動セット部材が通過する開口部を形成する。分離において、移動セット部材は、この部材をふき取り乾燥するふき取り特性を有するリングのセクションを通過する。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】図1は、本発明のコネクターの実施態様の平面図を例示する。
【図2】図2は、結合された局面における移動セットおよびコネクターの図1の線II−IIに沿った大まかな断面図を例示する。
【図3】図3は、結合されていない局面における移動セットおよびコネクターの1つの実施態様の断面図を例示する。
【図4】図4は、ハウジング中に2つの隣接部分を含むハウジングの1つの実施態様の断面図を例示する。
【図5】図5は、殺菌剤を含む領域および殺菌剤をほとんどまたは全く含まない領域を有する1つの部分を含むハウジングの1つの実施態様の断面図を例示する。
【図6】図6は、腹膜透析を行うためのシステムにおける本発明のコネクターの使用方法の1つの実施態様を例示する。
【符号の説明】
【0092】
1 アセンブリ
10 移動セットコネクター
12 使い捨てコネクター
14 フランジブル
16 クランプ
18 殺菌システム
24 ボタン
28 開口部
36 結合部材
56 バック
58 透析液
60 腹膜腔
66 チューブ
68 移動セットチューブ
100 患者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透析液の流れを可能にするための方法であって:
透析液の供給源との液体伝達を確立するような形態の第1の流体経路を提供する工程;
腹膜腔との液体伝達を確立するような形態の第2の流体経路を提供する工程;
内部を規定するコネクターであって、該第1の流体経路と該第2の流体経路との間の選択的な液体伝達を提供するような形態のコネクターを提供する工程;
該コネクターによって規定される該内部内にリングを提供する工程であって、該リングが該内部に沿って位置決めされ、かつふき取り特性を有する第1のセクション、および該内部に沿って位置決めされ、かつ吸収特性を有する第2のセクションを含む工程;および
該コネクター中に、該第1の流体経路を、該第1の流体経路が該リングと機械的な閉塞を形成し、それによって該第1の流体経路が該第2の流体経路と流体伝達し該透析液が該第1の流体経路から該第2の流体経路に流れるようにスライドする工程、を包含する、方法。
【請求項2】
前記第1の流体経路が、前記第1のセクションと接触して通過するような形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の流体経路を、前記第1の流体経路と第2の流体経路との間の流体伝達が確立されるとき、前記第2のセクションと実質的に一定に接触することを可能にする工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のセクションを前記第2のセクションに隣接して配置する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記リングが、前記第1の流体経路との液体伝達における開口部を含むように構築され、そして配置される、請求項13に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の流体経路と前記第2の流体経路との間の閉塞を確立するための手段を提供する工程をさらに包含する、請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−50277(P2007−50277A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−287939(P2006−287939)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【分割の表示】特願平9−534435の分割
【原出願日】平成9年3月13日(1997.3.13)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【Fターム(参考)】