説明

二重殻タンクの製造方法及び二重殻タンク

【課題】二重殻タンクの製造にあたり、工期の短縮化及び建造コストの低減を図る。
【解決手段】内槽2への試験用液体の貯留開始以降の期間で、内槽と外槽との隙間Sに、当該隙間に予め存在する空気よりも乾燥した乾燥空気を供給し、その後隙間Sにブランケットを設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重殻タンクの製造方法及び二重殻タンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、LNG(液化天然ガス)、LPG(液化石油ガス)及びLEG(液化エチレンガス)等の液化ガスは、内槽と外槽とを備える二重殻タンクに貯留されて貯蔵されている。
このような二重殻タンクでは、内槽を囲って外槽が配置されており、内槽と外槽との隙間に保冷材等が充填され、内槽に上記液化ガスを貯留する。
【0003】
ところで、内槽と外槽との隙間に配置される保冷材等が吸水していると、二重殻タンクの使用時に水分が結露あるいは凍結し、二重殻タンクに付随して設置される機器等の不良を招くおそれがある。また、水分の結露あるいは凍結によって断熱性能が低下してBOG(ボイルオフガス)の発生量が増加し、このBOGの増加によって処理設備の負担が増大する。
さらに、貯留する液化ガスが可燃性であることから、二重殻タンク内には酸素が存在しないことが好ましい。
そこで、従来の二重殻タンクの製造方法では、内槽と外槽との間に、乾燥した窒素ガスを供給し、内槽と外槽との間に予め存在する空気をパージしている。
【0004】
一方、このような二重殻タンクを製造する場合には、内槽や外槽の気密性を確認するための耐圧試験が行われる。この耐圧試験のなかでは、内槽の気密性を確認するために、内槽に対して水や海水等の試験用液体を貯留する水張り試験が行われている。
水張り試験中においては、内槽内に試験用液体が貯留されているため、二重殻タンク内の湿度は極めて高い状態が維持されている。さらには、内槽が試験用液体によって冷却されることから、内槽の外壁面(すなわち内槽と外槽との間)には、大量の結露水が付着することになる。よって、例えば保冷材と共に配置されるブランケットは、吸湿性が高く、水張り試験中に設置することができない。
そこで、従来の二重殻タンクの製造方法においては、水張り試験が完了し、内槽内から試験用液体を抜いた後に内槽の外壁面の結露水を拭き取り、その後ブランケット等の保冷材を設置し、さらにその後に上述の窒素ガスによるパージを行っている(特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58−196397号公報
【特許文献2】特開昭58−196398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、水張り試験後に内槽の外壁面を拭き取ったとしても、内槽と外槽との間には、多くの水分を含む空気が充満している。このため、ブランケット等は多くの水分を吸込んでしまう。
この結果、上述の窒素ガスによるパージが、非常に長時間必要となり、工期の長期化及び建造コストの増加を招くことになる。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、二重殻タンクの製造にあたり、工期の短縮化及び建造コストの低減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、第1の解決手段として、液化ガスを貯留する内槽と、当該内槽を囲う外槽とを備える二重殻タンクの製造方法であって、上記内槽への試験用液体の貯留開始以降の期間で、上記内槽と上記外槽との隙間に、当該隙間に予め存在する空気よりも乾燥した乾燥空気を供給する工程と、上記乾燥空気が供給された上記隙間にブランケットを設置する工程とを有するという手段を採用する。
【0009】
第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、上記乾燥空気は、上記内槽と上記外槽との隙間の底部から上方に向けて供給される、という手段を採用する。
【0010】
第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、上記内槽から上記試験用液体の排出が完了して以降に、上記内槽内に上記乾燥空気を供給する、という手段を採用する。
【0011】
第4の解決手段として、上記第1〜第3のいずれかの解決手段において、上記乾燥空気は、上記外槽の外側の外気よりも低温とされている、という手段を採用する。
【0012】
第5の解決手段として、液化ガスを貯留する内槽と、当該内槽を囲う外槽とを備える二重殻タンクであって、上記内槽と上記外槽との隙間に、当該隙間に予め存在する空気よりも乾燥した乾燥空気を供給する乾燥空気供給手段を備える、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、内槽と外槽との隙間に予め存在する空気よりも乾燥した乾燥空気が、当該隙間に対して、内槽への試験用液体の貯留開始以降の期間で供給される。
このため、乾燥空気が内槽と外槽との隙間に供給されている間に、当該隙間に保冷材等を設置することによって、保冷材等が吸湿する水分の量を減少させることができる。
よって、水張り試験を含む耐圧試験後に、窒素ガスでパージする時間を短縮することができ、工期の短縮化及び建造コストの低減を図ることができる。
さらには、内槽に試験用液体が貯留する間であっても、乾燥空気を内槽と外槽との間に供給することによって内槽の外壁面での結露を防ぐことができる。このため、本発明によれば、内槽に試験用液体が貯留している間であっても、内槽と外槽との隙間に保冷材等の設置作業を行うことができる。よって、本発明によれば、より工期を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態におけるLNGタンクの概略構成を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるLNGタンクの製造工程を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態におけるLNGタンクの製造工程における乾燥空気の流れを説明するための模式図である。
【図4】本発明の一実施形態におけるLNGタンクの製造工程における乾燥窒素ガスの流れを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る二重殻タンクの製造方法及び二重殻タンクの一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0016】
図1は、本実施形態におけるLNGタンク(二重殻タンク)1の概略構成を模式的に示す断面図である。この図に示すように、本実施形態のLNGタンク1は、内槽2と、外槽3と、ブランケット4と、保冷材5と、サスペンデッドデッキ6、パージ管7と、乾燥空気圧送部8と、乾燥空気生成部9とを備えている。
【0017】
内槽2は、例えば、ニッケル鋼やアルミニウム等の金属材料によって形成された容器であり、内部に直接LNGを貯留するための容器である。
なお、内槽2の上部は開口端とされており、サスペンデッドデッキ6によって塞がれている。
ただし、図1に示すように内槽2に対しては、外部に連通する配管2aが接続されており、当該配管2aは、バルブ2bによって開閉できるように構成されている。
【0018】
外槽3は、内槽2を囲って配置される容器であり、例えば、炭素鋼によって形成される。この外槽3は、天井部3aを有している。そして、当該天井部3aには作業者の出入口となるマンホール3bが設けられている。なお、マンホール3bは、点検等の際に用いられるものであり、LNGタンク1を通常使用している際には閉じられている。
また、外槽3の周面の上部には、外槽3の内部に保冷材5として用いられるパーライトを供給するための不図示の貫通孔が複数設けられている。
【0019】
ブランケット4は、断熱性に優れたシート部材であり、例えば、グラスウールによって形成されている。そして、このブランケット4は、内槽2の外壁面に対して貼り付けられており、内槽2と外槽3との隙間であるアニュラスペースSに配置されている。
【0020】
保冷材5は、ブランケット4と共に内槽2から外部への放熱を塞ぐ断熱材であり、外槽3との間に充填されている。この保冷材5としては、例えば、粉状のパーライトを用いることができる。
【0021】
サスペンデッドデッキ6は、上述のように内槽2の上部を塞ぐものであり、例えばアルミニウムによって形成されている。
このサスペンデッドデッキ6は、外槽3の天井部3aに吊り下げられて支持されており、このサスペンデッドデッキ6では、パージ管7の挿入あるいはベンチレーションのために設けられた貫通孔6aが上下方向に貫通して設けられている(図3参照)。
【0022】
パージ管7は、アニュラスペースS及び内槽2の内部に対して、乾燥空気を噴射するノズルを複数備えた配管である。
本実施形態のLNGタンク1においては、このパージ管7として、アニュラスペースSの底部に敷設される環状に形状設定されたアニュラリング管7aと、内槽2の底部に配置される直線管7bとが備えられている。
また、各パージ管7に対しては、乾燥空気圧送部8と接続された供給配管10が接続されている。なお、アニュラリング管7aは、平面視において複数に分割されており、各分割領域に対して供給配管10が接続されている(図3参照)。
【0023】
乾燥空気圧送部8は、供給配管10を介して各パージ管7に対して乾燥空気を圧送するためのものである。
【0024】
乾燥空気生成部9は、アニュラスペースS及び内槽2の内部に供給する乾燥空気を生成するものであり、例えば、外気を取込み冷却することによって外気中に含まれる水分を凝結させて除去することによって乾燥空気を生成する。
後に詳説するが、本実施形態においては、LNGタンク1の製造時において、アニュラスペースSを乾燥させることを主目的としてアニュラスペースSに対して乾燥空気を供給する。このため、乾燥空気生成部9で生成する乾燥空気は、少なくとも製造時においてアニュラスペースSに予め存在する空気よりも乾燥している必要がある。
また、本実施形態においては、LNGタンク1の製造時にアニュラスペースSに乾燥空気を供給しながら、アニュラスペースSにおいて作業者が作業することを想定している。このため、乾燥空気生成部9で生成する乾燥空気は、作業者の作業に適した温度とすることが好ましい。ただし、効率的にアニュラスペースSの水分を減少させて結露を防ぐためには、乾燥空気は、外槽3の外側の外気よりも低温であることが好ましい。
例えば、乾燥空気生成部9は、外気が30℃である場合には、外気を0℃まで冷却することによって水分を凝結させて除去し、その後20℃程度まで暖めることによって乾燥空気を生成する。
【0025】
なお、LNGタンク1が設置されるプラントに、既設の乾燥空気生成部を備えている場合には、当該乾燥空気生成部から乾燥空気を取得し、本実施形態における乾燥空気生成部9の設置を省略することも可能である。さらに、既設の乾燥空気生成部が乾燥空気を十分な圧力で圧送できる場合には、乾燥空気圧送部8の設置も省略することが可能である。
【0026】
そして、図1に示すパージ管7、乾燥空気圧送部8及び乾燥空気生成部9は、本発明における乾燥空気供給手段を構成するものであり、LNGタンク1の製造段階でのみ使用され、LNGタンク1の完成後は使用されない。
【0027】
以下に、パージ管7、乾燥空気圧送部8及び乾燥空気生成部9を用いた本実施形態におけるLNGタンクの製造方法について図2のフローチャートを参照しながら説明する。
【0028】
図2に示すように、LNGタンクの製造方法は、内槽2及び外槽3との建設を行う建設工程S1と、内槽2及び外槽3の耐圧性を試験する耐圧試験工程S2と、アニュラスペースSにブランケット4を配置するブランケット配置工程S3とを有している。なお、ブランケット配置工程S3では、必要に応じて、ブランケット4に加えて保冷材5の充填も行う。
【0029】
耐圧試験工程S2は、内槽2及び外槽3が完成した後に、これらの内槽2と外槽3との耐圧性を確認するための耐圧試験を行う工程である。図2に示すように、当該耐圧試験工程S2は、内槽2に水または海水等の試験用液体を貯留して内槽2の耐圧性を確認する水張り試験工程S21と、外槽3内を加圧して外槽3の耐圧性を確認する加圧試験工程S22とが順に行われる。なお、本実施形態において加圧試験は、内槽2内に試験用液体を貯留した状態で行う。
【0030】
そして、本実施形態のLNGタンク1の製造方法においては、内槽2への試験用液体の貯留開始以降(すなわち、耐圧試験の開始以降)の期間で、アニュラスペースSに対して、当該アニュラスペースSに予め存在する空気よりも乾燥した乾燥空気を供給し、この乾燥空気がアニュラスペースSに対して供給されている間にブランケット配置工程S3を行う。
具体的には、アニュラスペースSに乾燥空気を供給する期間としては、図2に示すように、水張り試験中及び加圧試験終了後の期間(パターン1)、水張り試験中のみ(パターン2)、加圧試験終了後の期間のみ(パターン3)が考えられる。
そして、パターン1及びパターン2を選択した場合には、耐圧試験工程S2の途中からブランケット配置工程3を行うことが可能となる。
【0031】
次に、図3及び図4を参照してアニュラスペースSに乾燥空気を供給する様子について具体的に説明する。
アニュラスペースSに予め存在する空気は、内槽2に試験用液体が存在することから、多くの水分を含んでおり、外槽3の外側の外気よりも多くの水分を含んでいる。
そして、アニュラスペースSに乾燥空気を供給する場合には、乾燥空気生成部9が乾燥空気を生成し、この乾燥空気を乾燥空気圧送部8が供給配管10を介してアニュラリング管7aに圧送することによって行われる。
【0032】
図3及び図4は、LNGタンク1の製造途中を示す模式図であり、耐圧試験を行う時点での未完成のLNGタンク1を示している。
そして、アニュラリング管7aに乾燥空気が圧送されることにより、乾燥空気は、図3の実線で示す矢印のように、アニュラスペースSの底部から上方に向けて噴射されて供給される。
この結果、アニュラスペースSには乾燥空気の上昇流が形成され、これによって予めアニュラスペースSに存在する水分を多く含んだ空気が、アニュラスペースSから排除される。
【0033】
ここで、本実施形態においては、アニュラスペースSに乾燥空気を供給している間に、アニュラスペースSにおいて、ブランケット4の設置が行われる。このため、ブランケット4への水分吸収量をより低減させるためには、少なくとも内槽2から試験用液体が完全に排出されるまでの間は、乾燥空気をアニュラスペースSに供給することが好ましい。このため、加圧試験後の期間も乾燥空気をアニュラスペースSに供給する上述のパターン1あるいはパターン3が好ましい。
そして、乾燥空気にかかる費用を考慮すれば、より乾燥空気の使用量が少なくて済む上述のパターン3がより好ましい。ただし、アニュラスペースSにおけるブランケット4の設置作業が、加圧試験終了後の期間のみで終了しない量である場合には、水張り中にも乾燥空気を供給するパターン1を採用することが好ましい。
【0034】
そして、加圧試験後の期間において、内槽2から試験用液体の排出が完了して以降は、内槽2内にも乾燥空気を供給する。
具体的には、乾燥空気生成部9で生成された乾燥空気を乾燥空気圧送部8が供給配管10を介して直線管7bに圧送することによって内槽2内に乾燥空気が供給される。
このように直線管7bに乾燥空気が圧送されることにより、乾燥空気は、図3の破線で示す矢印のように、内槽2の底部から上方に向けて噴射されて供給される。
この結果、内槽2の内部には乾燥空気の上昇流が形成され、これによって内槽2内の水分を多く含む空気が内槽2から排除され、外槽3内部全体が乾燥状態となる。
【0035】
なお、ブランケット4の設置作業が完了すると、LNGタンク1の内部の露点を予め設定された温度に設定するために外槽3の内部を乾燥窒素ガスにてパージする。
具体的には、図4に示すように、マンホール3bを閉じ、バルブ2bを開放し、さらに直線管7bのみに乾燥窒素ガスを圧送する。
この結果、内槽2に供給された乾燥窒素ガスは、図4にて破線の矢印で示す内槽パージ用窒素ガスとして供給され、配管2aを介して排気される。ただし、一部の内槽パージ用窒素ガスは、サスペンデッドデッキ6に設けられた貫通孔を介して内槽2の外部に流れ出し、図4の実線の矢印で示すアニュラスペースパージ用窒素ガスとして、アニュラスペースSに供給される。そして、アニュラスペースパージ用窒素ガスは、外槽3の不図示の貫通孔やアニュラリング管7aを介して外槽3の外部に排気される。
【0036】
そして、乾燥窒素ガスによるパージ開始前に、外槽3の不図示の貫通孔からパーライトをアニュラスペースSに充填する等の作業を行い、乾燥窒素ガスによるパージを行うことで、LNGタンク1が完成する。
【0037】
以上のような本実施形態のLNGタンク1の製造方法によれば、アニュラスペースSに予め存在する空気よりも乾燥した乾燥空気が、アニュラスペースSに対して、内槽2への試験用液体の貯留開始以降の期間で供給される。
このため、乾燥空気がアニュラスペースSに供給されている間に、当該アニュラスペースSにブランケット4を設置することによって、ブランケット4が吸湿する水分の量を減少させることができる。
よって、水張り試験を含む耐圧試験後に、窒素ガスでパージする時間を短縮することができ、工期の短縮化及び建造コストの低減を図ることができる。
さらには、内槽2に試験用液体が貯留する間であっても、乾燥空気をアニュラスペースSに供給することによって内槽2の外壁面での結露を防ぐことができる。このため、本発明によれば、内槽2に試験用液体が貯留している間であっても、アニュラスペースSにブランケット4の設置作業を行うことができる。よって、本実施形態のLNGタンク1の製造方法によれば、より工期を短縮することができる。
【0038】
また、本実施形態のLNGタンク1の製造方法においては、乾燥空気が、アニュラスペースSの底部から上方に向けて供給される。
このため、アニュラスペースSに上昇流を形成することができ、アニュラスペースSに先に存在する水分を多く含む空気を確実にアニュラスペースSから排除することができる。
【0039】
また、本実施形態のLNGタンク1の製造方法においては、内槽2から試験用液体の排出が完了して以降に、内槽2内に乾燥空気を供給した。
このため、アニュラスペースSに加えて、内槽2内も乾燥させることができ、より窒素ガスでパージする時間を短縮することができ、工期の短縮化及び建造コストの低減を図ることができる。
【0040】
また、本実施形態においては、乾燥空気が外槽3の外側の外気よりも低温とされていることが好ましいことを説明した。
このように、乾燥空気が外槽3の外側の外気よりも低温とすることによって、アニュラスペースSにおいて乾燥空気が冷やされて結露が生じることを防ぐことができる。
【0041】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0042】
例えば、上記実施形態においては、液化ガスとしてLNGを用いるLNGタンク及びLNGタンクの製造方法について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、液化ガスとしてLPGを用いるLPGタンク及びLPGタンクの製造方法や、液化ガスとしてLEGを用いるLEGタンク及びLEGタンクの製造方法に適用することも可能である。
【0043】
また、上記実施形態においては、いわゆる地上式金属製二重殻タンク及びその製造方法に本発明を適用した例について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、地下式メンブレンタンク及びその製造方法や、プレストレスコンクリートタンク及びその製造方法に適用することも可能である。
また、本発明は、内槽と外槽とが独立した二重殻構造のタンク及びこの製造方法に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0044】
1……LNGタンク(二重殻タンク)、2……内槽、3……外槽、4……ブランケット、5……保冷材、7……パージ管(乾燥空気供給手段)、7a……アニュラリング管、7b……直線管、8……乾燥空気圧送部(乾燥空気供給手段)、9……乾燥空気生成部(乾燥空気供給手段)、S……アニュラスペース(内槽と外槽との隙間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスを貯留する内槽と、該内槽を囲う外槽とを備える二重殻タンクの製造方法であって、
前記内槽への試験用液体の貯留開始以降の期間で、前記内槽と前記外槽との隙間に、当該隙間に予め存在する空気よりも乾燥した乾燥空気を供給する工程と、前記乾燥空気が供給された前記隙間にブランケットを設置する工程とを有することを特徴とする二重殻タンクの製造方法。
【請求項2】
前記乾燥空気は、前記内槽と前記外槽との隙間の底部から上方に向けて供給されることを特徴とする請求項1記載の二重殻タンクの製造方法。
【請求項3】
前記内槽から前記試験用液体の排出が完了して以降に、前記内槽内に前記乾燥空気を供給することを特徴とする請求項1または2記載の二重殻タンクの製造方法。
【請求項4】
前記乾燥空気は、前記外槽の外側の外気よりも低温とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の二重殻タンクの製造方法。
【請求項5】
液化ガスを貯留する内槽と、該内槽を囲う外槽とを備える二重殻タンクであって、
前記内槽と前記外槽との隙間に、当該隙間に予め存在する空気よりも乾燥した乾燥空気を供給する乾燥空気供給手段を備えることを特徴とする二重殻タンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−92895(P2012−92895A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240342(P2010−240342)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】