説明

二重管型紫外線ランプ

【課題】簡素な封止構造を備える二重管型紫外線ランプを提供する。
【解決手段】紫外線ランプ22と、その外側に配置された外管21と、外管21の端部に被せられた金属キャップ25とを有する。紫外線ランプ22のリード線6は、金属キャップ25に設けられた挿入孔に挿入されている。金属キャップ25と外管との21間には封止材が充填され、気密封止されていることが望ましい。リード線6と金属キャップ25とは、例えば、導電性材料により気密を保って接合されている構造とする。これにより、外管をバーナーで加熱することなく、金属キャップで封止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低圧紫外線ランプに関し、特に殺菌用の低圧紫外線ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
殺菌用低圧紫外線ランプは、放電方式により熱陰極型と冷陰極型に分けられる。両者とも水銀蒸気放電により放射される185.0nmと253.7nmの共鳴紫外線を主に利用しており、放射される波長範囲により、オゾンランプと殺菌ランプの2種類の名称がある。
【0003】
オゾンランプは、脱臭殺菌効果のあるオゾンを発生させる185.0nm(オゾン線)と、殺菌効果のある253.7nm(殺菌線)の両方の波長の紫外線を放射する紫外線ランプである。封体材料には、200nm以下の透過率が高い合成石英等を使用する。
【0004】
殺菌ランプは、オゾン線(185.0nm)をカットし、主に殺菌線(253.7nm)を放射する紫外線ランプである。封体材料には、TiO2などが添加され、オゾン線をカットする作用をする石英(オゾンレス石英)または、紫外線透過ガラス(バリウムシリカ系の軟質ガラス)等が使用される。
【0005】
合成石英製のオゾンランプまたはオゾンレス石英製の殺菌ランプを製造する場合、冷陰極の軸部とリード線との接続部にMoなどの金属箔を配置した、いわゆる箔封止構造により石英ガラスの端部が封止される。一方、紫外線透過ガラス製の殺菌ランプを製造する場合、ガラスビーズによりコバール等の封着線を封着する、いわゆるビード構造により紫外線透過ガラス管が封止される。
【0006】
殺菌用低圧紫外線ランプを市販の空気殺菌装置などに用いる場合、安全上、紫外線が外部に漏れない構造にした上で、ファンなどで空気を強制対流させ、空気殺菌を行うのが一般的である。しかし、殺菌用低圧紫外線ランプを単管のまま空気殺菌装置等の内部に設置すると、ランプ本体が空気対流により冷却されてしまい、紫外線放射効率が低下する。その結果、殺菌効果も低下するという問題が生じる。そこで、殺菌用低圧紫外線ランプの外側に外管を配置して、単管(内管)と外管の間の空間の気密を保って封止することにより保温効果を生じさせることが、例えば特許文献1,2に開示されている。単管と外管との間の空間は、真空、不活性ガス雰囲気または大気雰囲気にすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平1−136660号公報
【特許文献2】特開2003−142029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
殺菌用低圧紫外線ランプを二重管構造にした場合、封止構造および電極構造が複雑になるという問題が生じる。
【0009】
例えば、箔封止構造で二重管を封止する場合、図11のように、冷陰極2が配置された単管(石英ガラス管1)の箔封止部5の外側で外管12をさらに封止する必要があるため、外管12の封止部13にも金属箔3を配置する必要がある。このため、単管1の箔封止部5と外管12の箔封止部13にそれぞれ金属箔3を配置する構造となる。一方、ビード封止構造で二重管を封止する場合、図12のように、単管(紫外線透過ガラス管7)のビード封止部10の外側で外管14をさらにビード封止して封止部15を形成するために、冷陰極2に接続した封着線9を単管のみの場合よりも長くする必要が生じる。いずれの構造においても封止構造および電極構造は、二重管構造にすることにより複雑になる。
【0010】
また、製造工程においても、外管12,14の端部と、金属箔3や封止線9とをバーナー等で加熱して気密封着する工程が必要になるため、製造工程が複雑になる。
【0011】
これらの問題は、冷陰極型のみならず、熱陰極の低圧紫外線ランプに二重管構造を採用する場合にも同様に生じる。
【0012】
本発明の目的は、簡単な封止構造を備える二重管型紫外線ランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様によれば以下のような二重管型紫外線ランプが提供される。すなわち、紫外線ランプと、その外側に配置された外管と、外管の端部に被せられた金属キャップとを有する二重管型紫外線ランプである。紫外線ランプは、冷陰極と、冷陰極に接続されたリード線とを備える。リード線は、金属キャップに設けられた挿入孔に挿入され、導電性材料により金属キャップと気密を保って接合されている。これにより、バーナー等で外管を加熱して封止することなく、金属キャップで外管を封止し、リード線と金属キャップを接続することができるため、簡素な封止構造を実現できる。
【0014】
金属キャップと外管との間には、例えば封止材を充填し、気密封止することが可能である。
【0015】
金属キャップは、例えば、挿入孔の周囲が円錐状の形状とする。これにより、金属キャップを外管に被せることにより、冷陰極のリード線を挿入孔に容易に挿入できる。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、以下のような二重管型紫外線ランプが提供される。すなわち、紫外線ランプと、その外側に配置された外管と、外管の端部に被せられた金属キャップとを有する二重管型紫外線ランプである。紫外線ランプは、熱陰極と、熱陰極に接続された二つのリード線とを有する。金属キャップには、二つの挿入孔が並べて設けられ、それぞれの挿入孔には一方の端部が封止された筒状の端子が挿入されている。筒状の端子の周囲には金属キャップとの間に絶縁材が気密を保つように充填されている。紫外線ランプの二つのリード線は、二つの筒状の端子の他方の端部から挿入され、端子にそれぞれ電気的に接触している。これにより、二つのリード線を電気的に独立して、金属キャップの筒状の端子にそれぞれ接続することができ、かつ、気密を保つことができる。
【0017】
筒状の端子は、例えば、内径が紫外線ランプから遠ざかるにつれ、内径が徐々に小さくなるテーパー形状にすることが可能である。これにより、熱陰極の二つのリード線を容易に筒状の端子に挿入でき、筒状の端子に電気的に接触させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態の二重管型の冷陰極紫外線ランプの断面図。
【図2】第1の実施形態に用いることができる冷陰極紫外線ランプ本体の断面図。
【図3】第1の実施形態に用いることができる冷陰極紫外線ランプ本体の断面図。
【図4】第1の実施形態の冷陰極紫外線ランプに用いるカップ型金属キャップの斜視図。
【図5】第2の実施形態の二重管型の冷陰極紫外線ランプの断面図。
【図6】第2の実施形態の冷陰極紫外線ランプに用いるカップ型金属キャップの斜視図。
【図7】第3の実施形態の二重管型の冷陰極紫外線ランプの断面図。
【図8】第3の実施形態の冷陰極紫外線ランプに用いるハーメチックシール型金属キャップの斜視図。
【図9】第4の実施形態の二重管型の冷陰極紫外線ランプの断面図。
【図10】実施例と比較例1,2の紫外線ランプの紫外線放射強度の雰囲気温度依存性を示すグラフ。
【図11】従来の二重管型の冷陰極紫外線ランプの断面図。
【図12】従来の二重管型の冷陰極紫外線ランプの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施の形態の二重管型の低圧紫外線ランプについて説明する。本発明では、カップ型の金属キャップを用いて外管の端部を封止する構造とする。これにより、簡素な構造でありながら、気密を保ちつつ、内管の電極への電気的導通を可能にする。
【0020】
(第1の実施形態)
図1に第1の実施形態の二重管型の冷陰極紫外線ランプの断面図を示す。図1の二重管型冷陰極紫外線ランプは、単管の冷陰極紫外線ランプ本体22(内管)と、その外側に配置された外管21と、外管21の端部を封止するカップ型金属キャップ25とを備えている。
【0021】
単管の冷陰極紫外線ランプ本体22は、主に253.7nmの波長光を放射する、いわゆる殺菌ランプを用いる。この冷陰極紫外線ランプ本体22は、どのような構造であってもよい。例えば、185.0nmのオゾン線をカットする作用のあるオゾンレス石英管1を用いた図2の構造の殺菌ランプや、オゾン線をカットする作用のある紫外線透過性軟質ガラス管7(例えば、バリウムシリカ系軟質ガラス)を用いた図3の構造のものを用いることができる。
【0022】
具体的には、図2の構造の殺菌ランプは、オゾンレス石英管1の両端に冷陰極2をそれぞれ配置した構造である。冷陰極2の軸部4とリード線6との接続部には、Moなどの金属箔3を配置され、いわゆる箔封止構造5により石英ガラス1の端部が封止されている。図3の構造の殺菌ランプは、紫外線透過性軟質ガラス管7の両端に冷陰極をそれぞれ配置した構造である。冷陰極2に接続されたコバール等の封着線9をガラスビーズによりコバール等の封着線を封着し、いわゆるビード構造10により紫外線透過性軟質ガラス管7が封止されている。
【0023】
外管21は、主に253.7nmの波長光を透過する材質のものであればよく、例えば石英、オゾンレス石英、バリウムシリカ系等の軟質ガラスのものを用いる。
【0024】
カップ型金属キャップ25は、図4に斜視図を示すように、円筒部25aと、その片側の開口を塞ぐ底部25bとにより構成されている。底部25bの中央には、冷陰極紫外線ランプ本体22のリード線24を挿入するための挿入孔18が設けられている。円筒部25aの内径は、外管21の外形よりもわずかに大きく設計されている。
【0025】
カップ型金属キャップ25の材質は、例えば、鉄ベースの合金である。
【0026】
外管21に端部には、カップ型金属キャップ25が被せられ、外管21の端面はカップ型金属キャップ25の底部25bに突き当てられている。この状態で、内側の冷陰極紫外線ランプ本体22のリード線6の先端が、カップ型金属キャップ25の挿入孔18に挿入されるように、リード線6の長さや外管21の長さが設計されている。リード6の先端と挿入孔18との空隙は、はんだ等で充填され、気密封止部27が形成されている。
【0027】
外管21とカップ型金属キャップ25との間の空隙26には、耐紫外線性に優れた材料、例えばシリコーン樹脂やソルダーガラス等が充填され、気密封止されている。この充填材料は、対オゾン性に優れている場合には、より好ましい。
【0028】
このような構造により、内側の冷陰極紫外線ランプ本体22と外管21との間の空間は気密が保たれた構造となるため、空気対流により内側の冷陰極紫外線ランプ本体22が冷却されるのを防止することができる。よって、紫外線放射効率を高効率に維持することができる。内側の冷陰極紫外線ランプ本体22と外管21との間の空間28は、ここでは大気雰囲気とする。なお、空間28を所定の真空度の真空にすることや、不活性ガスを充填することも可能である。
【0029】
また、カップ型金属キャップ25とリード線6とが電気的に導通しているため、カップ型金属キャップ25に電圧を印加することにより、冷陰極紫外線ランプ本体22を点灯させることができる。
【0030】
本実施形態の構造にすることにより、一般的な構造の冷陰極紫外線ランプを本体22としてそのまま外管21の内部に封入でき、しかも、リード線6と外管21とをはんだつけ等し、キャップ25と外管21とをシリコーン樹脂等で封止した簡単な封止構造でありながら二重構造の冷陰極紫外線ランプを提供することができる。本実施形態の冷陰極紫外線ランプは、二重管の保温効果によって冷陰極紫外線ランプ本体22の温度を保つことができるため、外気温の影響を受けにくく、紫外線放射効率を維持することができる。また、従来の二重管構造の紫外線ランプのように、外管をバーナー等で気密封着する必要がないため、製造工程が複雑にならないというメリットもある。
【0031】
(第2の実施形態)
図5に、第2の実施形態の二重管型の冷陰極紫外線ランプの断面図を示す。図5の二重管型の冷陰極紫外線ランプは、カップ型金属キャップ29の形状が第1の実施形態のカップ型金属キャップ25とは異なっている。他の構造および製造方法は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0032】
第2の実施形態のカップ型金属キャップ29は、図6にその斜視図を示したように、円筒部29aと、その片側の開口を塞ぐように連結された円錐部29bとにより構成されている。円錐部29bは、外向きに凸となるように円筒部29bに連結されている。円錐部29bの先端には、リード線24bを挿入するための挿入孔18が設けられている。
【0033】
このようにカップ型金属キャップ29の底部を円錐型にすることにより、製造工程でカップ型金属キャップ29を図5のように外管21の端部に被せることにより、リード線6の先端が円錐部29bの内壁にガイドされて先端の挿入孔18に挿入される。これにより、リード線6を挿入孔18に容易に挿入でき、生産性が向上する。その後、リード線6の先端と、カップ型金属キャップ29とをはんだ付け等で接合し、接合部27を形成する。また、カップ型金属キャップ29と外管との間の空間28は、第1の実施形態と同様に耐紫外線性にすぐれた材料により封止する。
【0034】
なお、リード線6の長さは、キャップ29の挿入孔18に到達する長さに設計しておく。
【0035】
(第3の実施形態)
図7に、第3の実施形態の二重管型の紫外線ランプの断面図を示す。図7の紫外線ランプは、紫外線ランプ本体32として、熱陰極型の紫外線ランプを用いている。熱陰極紫外線ランプ本体32は、リード線24が片側に2本あるため、ハーメチックシール型金属キャップ31を用いる。
【0036】
熱陰極紫外線ランプ本体32の端部の封止構造23は、どのような構造であってもよい。
【0037】
ハーメチックシール型金属キャップ31は、図8に示すように、円筒部と、円筒部20の一方の開口を塞ぐ底部31bとを備えている。底部31bには、リード線24の間隔と同等の間隔で、二つの開口が設けられ、二つの開口にはそれぞれ金属製の円筒状の端子33が挿入されている。円筒状の端子33は、図7のように外管21の外部側に先端が金属製の底部33aにより封止されている。円筒状の端子33の外管21の内部空間側の先端は、開口33bになっている。
【0038】
金属キャップ31の底部31bと円筒状の端子33との間には、ガラス等の絶縁性部材31cが充填され、金属キャップ31を封止構造にするとともに、円筒状の端子33を金属キャップ31に対して電気的に絶縁している。
【0039】
金属キャップ31を外管21の端部に被せることにより、2本のリード線24が円筒状の端子33の開口33bに挿入され、リード線24の先端が円筒状の端子33の底部33bに接触する。これにより、リード線24と円筒状の端子33とが電気的に接続される。
【0040】
金属キャップ31の円筒部31aと外管21との空隙は、第1の実施形態と同様に封止する。これにより、気密を保った二重管構造の熱陰極紫外線ランプを製造することができる。外管21の材質や、本体32と外管21との間の空隙の雰囲気等は、第1の実施形態と同様である。
【0041】
円筒状の端子33に外側から給電することにより、リード線24に給電され、熱陰極紫外線ランプ本体32から殺菌線が放射される。二重管構造であるため、空気対流により内側の冷陰極紫外線ランプ本体22が冷却されるのを防止でき、紫外線放射効率を高効率に維持することができる。
【0042】
(第4の実施形態)
図9に、第4の実施形態の二重管型の熱陰極紫外線ランプの断面図を示す。図9の熱陰極紫外線ランプは、ハーメチックシール型金属キャップ31の端子30の構造が、外側の先端に近づくにつれ内径が小さくなるテーパー状になっている。このほかの構造は、第3の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0043】
金属キャップ31は、端子30がテーパー状であるため、外管21に被せたときに、リード線24が端子30の内壁にガイドされて端子30の先端まで挿入できる。これにより、リード線24を容易に端子30内に挿入することができ、生産性が向上するという利点がある。
【0044】
上記第1〜第4の実施形態では、185.0nmのオゾン線をカットするオゾンレス石英管等を用いる殺菌ランプについて説明したが、各実施形態の二重管構造は、これに限らず、オゾン線と253.7nmの殺菌線の両方を放射するオゾンランプについても適用することが可能である。この場合、外管21として石英管を用いる。また、冷陰極紫外線ランプ本体22,32として、オゾンランプを用い、外管21としてオゾンレス石英管や、バリウムシリカ系の紫外線透過性軟質ガラスを用いることにより、外管21でオゾン線をカットして、殺菌ランプを得ることも可能である。
【0045】
上述してきた各実施形態の紫外線ランプは、空気調和器(エアーコンディショナー)や空気清浄機などに内蔵される殺菌・脱臭装置に用いることができる。
【実施例】
【0046】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0047】
本実施例では、図1の構造の二重構造冷陰極紫外線ランプを製造し、当該ランプが配置されている周囲の温度(ランプの雰囲気温度)と、当該ランプから放射される245nmの紫外線の強度との関係を測定した。外管21の外径は9mmとした。外管21と本体22は、いずれもオゾンレス石英管を用いた。外管21と本体22との間の空間28は、大気雰囲気とした。
【0048】
比較例1として、実施例の図1の二重構造冷陰極紫外線ランプの外管21を外し、単管の冷陰極紫外線ランプ本体22のみで、実施例と同様に、周囲温度と245nmの紫外線放射強度との関係を測定した。
【0049】
比較例2として、実施例で用いた単管の冷陰極紫外線ランプ本体22と同じ構造の冷陰極紫外線ランプ1を用い、その外側に、外径9mmの外管12を配置して、図11の構造の二重管構造の冷陰極紫外線ランプを製造した。外管21と紫外線ランプ1は、いずれもオゾンレス石英管を用いた。冷陰極紫外線ランプ1と外管12との間の空間の雰囲気は大気とした。なお、外管12を封止するために、外管12の封止部にも金属箔3を配置し、バーナー等で加熱した。比較例2の二重管構造の冷陰極紫外線ランプについても、実施例と同様に周囲温度と245nmの紫外線放射強度との関係を測定した。
【0050】
図10に、実施例および比較例1、2の冷陰極紫外線ランプについて測定した紫外線放射強度(245nm)と周囲温度(雰囲気温度)との関係をグラフとして示す。
【0051】
図10から明らかなように、比較例1の単管の紫外線ランプは、254nmの紫外線放射が最大になる雰囲気温度は約60℃である。このときの単管の紫外線ランプ表面温度は約40℃であり、254nmの紫外線放射効率が最大になる水銀蒸気の最適温度にほぼ一致していることを確認した。
【0052】
一方、実施例の紫外線ランプと比較例2の二重管の紫外線ランプは、いずれも254nmの紫外線放射は、雰囲気温度は約30℃から50℃の範囲でほぼ最大を示した。これは二重管の保温効果により、実施例の冷陰極紫外線ランプ本体22および比較例2の内側の紫外線ランプ1の内部の水銀蒸気圧の変動が、比較例1の単管の場合に比較して少なくなったためであると考えられる。
【0053】
また、実施例の紫外線ランプは、比較例2の紫外線ランプに比べて20℃以下の低温領域で紫外線放射強度が低下した。これは、実施例の紫外線ランプが、カップ型金属キャップ25とシリコーン樹脂等により外管21を封止しているため、比較例2の紫外線ランプのようにバーナーでオゾンレス石英ガラスを加熱して封止する構造と比較して、気密封着性が若干劣るためであると考えられる。しかしながら、20℃〜30℃の室内での使用を考えた場合には、20℃以下における紫外線放射強度の低下は全く問題にならない。
【符号の説明】
【0054】
1:オゾンレス石英ガラス、2:冷陰極、3:金属箔、4:軸部、5:箔封止構造、6:リード線、7:紫外線透過性軟質ガラス、9:封止線、10:ビード封止部、18:挿入好、21:外管、22:冷陰極紫外線ランプ本体、23:封止部、25:カップ型金属キャップ、25a:円筒部、25b:底部、26:外管とカップ型金属キャップとの空隙、27:気密封止部、28:冷陰極紫外線ランプ本体と外管との空間、30:端子、31:ハーメチックシール型金属キャップ、31a:円筒部、31b:底部、31c:絶縁部、32:熱陰極紫外線ランプ本体、33:端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線ランプと、その外側に配置された外管と、前記外管の端部に被せられた金属キャップとを有し、
前記紫外線ランプは、冷陰極と、当該冷陰極に接続されたリード線とを備え、該リード線は、前記金属キャップに設けられた挿入孔に挿入され、導電性材料により前記金属キャップと気密を保って接合されていることを特徴とする二重管型紫外線ランプ。
【請求項2】
請求項1に記載の二重管型紫外線ランプにおいて、前記金属キャップと前記外管との間には封止材が充填され、気密封止されていることを特徴とする二重管型紫外線ランプ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の二重管型紫外線ランプにおいて、前記金属キャップは、前記挿入孔の周囲が円錐状であることを特徴とする二重管型紫外線ランプ。
【請求項4】
紫外線ランプと、その外側に配置された外管と、前記外管の端部に被せられた金属キャップとを有し、
前記紫外線ランプは、熱陰極と、当該熱陰極に接続された二つのリード線とを有し、
前記金属キャップには、二つの挿入孔が並べて設けられ、それぞれの挿入孔には一方の端部が封止された筒状の端子が挿入され、該筒状の端子の周囲には前記金属キャップとの間に絶縁材が気密を保つように充填され、
前記紫外線ランプの二つのリード線は、前記二つの筒状の端子の他方の端部から挿入され、該端子にそれぞれ電気的に接触していることを特徴とする二重管型紫外線ランプ。
【請求項5】
請求項4に記載の二重管型紫外線ランプにおいて、前記筒状の端子は、内径が前記紫外線ランプから遠ざかるにつれ、内径が徐々に小さくなるテーパー形状であることを特徴とする二重管型紫外線ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−103250(P2011−103250A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258243(P2009−258243)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】