説明

二重遮水シート及びその製造方法

【課題】 不経済な接着剤の塗布をなくし、かつ確実な接合が行える遮水シート及びその製造方法を得、遮水シートの接合強度を向上させ、かつ経済性を向上させる。
【解決手段】 表裏両面に交互に凹凸形成され、その表裏両面の凸部19の端面が間隔をあけられた面上に存在する凹凸シート17の一方の面17aに、複数の例えば帯状の補助シート15を、凹凸シート17の他方の面17bから棒状の加熱手段41を挿入することで溶融接合し、凹凸シート17の他方の面17bに、両面が平坦な第一の遮水シート11を、凹凸シート17の一方の面17aから棒状の加熱手段43を挿入して溶融接合し、凹凸シート17の一方の面17aに設けた複数の補助シート15と、両面が平坦な第二の遮水シート13とを加熱して溶融接合した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物処分場の地面、貯水池の底面、建物の屋上面等の被覆に用いて好適な二重遮水シート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば廃棄物を埋め立てて処分する廃棄物処分場は、埋め立てた廃棄物からの有毒な汚染水が地面に漏出しないように遮水シートを敷設する。従来、この種の遮水シートには、例えば断面波形の凹凸シートの表裏を基材シートで挟んだ積層構造のものがある。この遮水シートは、表裏の基材シートのそれぞれに、加熱溶融接着剤を塗布し、凹凸シートを挟んだ状態で加熱することで、凹凸シートの表裏面に基材シートを接合していた。すなわち、凹凸シートは、凸部先端が加熱溶融接着剤によって基材シートに接合される。したがって、遮水シートは、凹凸シートを挟んで二枚の基材シートを有することとなり、仮に一方の基材シートに穿孔が生じても、他方の基材シートによって漏水が阻止され、二重に防水効果が得られるようになっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の遮水シートは、平滑な基材シートに塗布した加熱溶融接着剤により、凹凸シートの凸部を局所的に接着固定していたため、基材シートと凹凸シートの接合強度が弱く、遮水シートを斜面に敷設した場合、堆積物の荷重により、接着強度の弱い接合部が剥がれ、下面側の基材シートと上面側の基材シートに、面方向と平行な方向にずれの生じる虞があった。
また、上面側の基材シートと下面側の基材シートとの間に、液状物等が注入される場合もあるが、そのような液状物注入シートとして処分場の傾斜面(法面)に接地した際に、液状物自体の重みにより、上下シート間で移動してしまう場合があり、すなわち法面の下方側に液状物が移動し、上下シート間の接着を剥がしてシート間の間隔を拡げてしまう虞があり、接地面側である下面側の基材シートに対して上面側の基材シートが膨らんでしまう、すなわち、上下の基材シート間で液状物が均等にならなくなるという不具合もあった。
【0004】
また、基材シートと凹凸シートとを接着する場合、凹凸シートの凸部に合わせて加熱溶融接着剤を塗布することは困難であり、従来では基材シートの略全面に加熱溶融接着剤を塗布していた。このため、凸部に相当する以外の不要部分、すなわち、凹部に相当する部分にも加熱溶融接着剤が塗布されることとなり、不経済であるとともに、製造コストが増大した。
【0005】
これに対して、凹凸シートに加熱溶融接着剤を塗布すれば、基材シートに接触しない凹部にも加熱溶融接着剤が流入することとなり、加熱溶融接着剤が多量に必要となって、これによっても製造コストが増大した。
【0006】
また、基材シートと凹凸シートとを熱風溶着する方法もあるが、凹凸シートが薄い場合には余計な熱が凹凸シートに加わり、凹凸形状が変形する問題があった。この一方で、熱風溶着の場合、凹凸シートが低温であると溶着不良が発生した。つまり、熱風溶着の場合、高度な温度管理下においても、溶着ムラを回避することが困難であった。
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、不経済な接着剤の塗布をなくし、かつ確実な接合が行える二重遮水シート及びその製造方法を提供し、もって、二重遮水シートの接合強度の向上、及び経済性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の二重遮水シート100は、表裏両面に交互に凹凸形成され、その表裏両面の凸部19の端面が間隔をあけられた面上に存在する凹凸シート17の一方の面17aに、補助シート15を接合するとともに、前記凹凸シート17の他方の面17bに、両面が平坦な第一の遮水シート11を接合し、前記補助シート15を介して両面が平坦な第二の遮水シート13を前記凹凸シート17の一方の面17a側に接合したことを特徴とする。
【0009】
また請求項2記載の二重遮水シートは、前記補助シート15の面積が前記凹凸シート17の面積の30〜70%とされることを特徴とする。
なお、前記補助シート15は、少なくとも1枚、好ましくは複数で構成され、例えば帯状に形成されて複数の帯状補助シート15を間隔をあけて並列させる構成や、凹凸シート17の一方の面に略同等の大きさで構成されるとともに、凹凸シート17が表出する穴部が適宜貫通形成されて接合される構成などとしてもよい。
【0010】
この二重遮水シート100では、第一の遮水シート11は凹凸シート17に接合され、第二の遮水シート13は補助シート15に接合され、この第二の遮水シート13は補助シート15を介して凹凸シート17に接合される。補助シート15は、例えば複数で構成され、凹凸シート17の一方の面17aにおいて各凸部19に対して接合されており、第一の遮水シート11は、補助シート15の接合される位置を除いた凹凸シート17の他方の面17bの凸部19に対して接合される。そして、第二の遮水シート13は、補助シート15の面15aに対して面同士の接合が行われる。
特に、凹凸シート17の各凸部19との接合に加熱手段を用いた加熱溶融接合とすれば、互いの接合が確実に密着される接合となり、これにより互いの剥離強度を大きくすることが可能となり、第一の遮水シート11と第二の遮水シート13との間隔が拡がってしまうような不具合の発生を防ぐことができるとともに、第一の遮水シート11と第二の遮水シート13のそれぞれに作用する面方向に沿う逆向きの力、すなわち、ずれ方向の力に対する強度が高まることとなる。
【0011】
請求項3記載の二重遮水シート100の製造方法は、表裏両面に交互に凹凸形成され、その表裏両面の凸部19の端面が間隔をあけられた面上に存在する凹凸シート17の一方の面17aに、補助シート15を、該凹凸シート17の他方の面17bから棒状の加熱手段41を挿入することで溶融接合し、
前記凹凸シート17の他方の面17bに、両面が平坦な第一の遮水シート11を、該凹凸シート17の一方の面17aから棒状の加熱手段43を挿入して溶融接合し、
前記凹凸シート17の一方の面17aに設けた補助シート15と、両面が平坦な第二の遮水シート13とを加熱して溶融接合することを特徴とする。
【0012】
この二重遮水シートの製造方法では、補助シート15が、凹凸シート17の凹部21に挿入される棒状の加熱手段によって溶融接合され、凹凸シート17の一方の面17aと補助シート15との接触面が確実に接合される。また、第一の遮水シート11が、凹凸シート17の凹部21に挿入される棒状の加熱手段によって溶融接合され、凹凸シート17の他方の面17bと第一の遮水シート11との接触面が確実に接合される。さらに、第二の遮水シート13が、補助シート15の面15aに対して面同士で加熱によって溶融接合が行われる。このことから、従来方法のような接着剤が不要となる。なお、補助シート15を複数で構成することで、凹凸シート17の一方の面17aに対して複数箇所となって接合され、第一の遮水シート11は、これら複数の補助シート15の接合される位置を除いた凹凸シート17の他方の面17bに接合されることとなる。
【0013】
請求項4記載の二重遮水シートの製造方法は、前記補助シート15と前記第二の遮水シート13とは、熱風または熱鏝による溶融接合であることを特徴とする。
【0014】
この二重遮水シートの製造方法は、加熱手段によって凹凸シート17に対して確実に接合された補助シート15に対して、第二の遮水シート13が、面同士となって加熱溶融接合が行われることとなる。これにより、第二の遮水シート13は、凹凸シート17に対して補助シート15を介して、十分な剥離強度を持って接合されることとなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る請求項1記載の二重遮水シートによれば、第一の遮水シートは凹凸シートに接合され、第二の遮水シートは補助シートに接合され、この第二の遮水シートは補助シートを介して凹凸シートに接合される。第一の遮水シートは、補助シートの接合される位置を除いた凹凸シートの他方の面の凸部に対して接合され、第二の遮水シートは、補助シートの面に対して面同士の接合が行われる。特に、凹凸シートの各凸部との接合に加熱手段を用いた加熱溶融接合とすれば、凹凸シートに対する補助シート及び第一の遮水シートとの互いの接合が確実に密着される接合となり、また、補助シートと第二の遮水シートとは面同士の加熱溶融接合となって、これにより互いの剥離強度を大きくすることが可能となり、第一の遮水シートと第二の遮水シートとの間隔が拡がってしまうような不具合の発生を防ぐことができる。また、剥離強度が向上することにより、第一の遮水シートと第二の遮水シートのそれぞれに作用する面方向に沿う逆向きの力、すなわち、ずれ方向の力に対する強度が高まることとなる。
【0016】
請求項2記載の二重遮水シートによれば、補助シートの面積が凹凸シートの面積の30〜70%とされ、例えばこの補助シートは、少なくとも1枚、好ましくは複数で構成されて、例えば帯状に形成されて複数の帯状とされる場合には補助シートを間隔をあけて並列させる構成とすることができ、また、凹凸シートの一方の面に略同等の大きさで構成されるとともに、凹凸シートが一部或いは複数箇所で表出する穴部が適宜貫通形成されて接合される構成などとしてもよい。
【0017】
請求項3記載の二重遮水シートの製造方法によれば、補助シートが、凹凸シートの凹部に挿入される棒状の加熱手段によって溶融接合され、凹凸シートの一方の面と補助シートとの接触面が確実に接合される。また、第一の遮水シートが、凹凸シートの凹部に挿入される棒状の加熱手段によって溶融接合され、凹凸シートの他方の面と第一の遮水シートの接触面が確実に接合される。さらに、第二の遮水シートが、補助シートの面に対して面同士で加熱によって溶融接合が行われる。このことから、従来方法のような接着剤が一切不要となり、経済性を向上させることができ、さらには製作工程の簡略化を図ることが可能となる。また、補助シートは複数で構成され、凹凸シートの一方の面に対して複数箇所となって接合され、第一の遮水シートは、これら複数の補助シートの接合される位置を除いた凹凸シートの他方の面に接合されることとなり、第二の遮水シートを補助シートを介設させることで凹凸シートの一方の面側に接合させることが可能となる。これにより1枚の凹凸シートの両面に、遮水シートをそれぞれ設けることが可能となり、簡素な構造を得られ、かつ確実に接合された二重構造の遮水シートを得られる。
【0018】
請求項4記載の二重遮水シートの製造方法によれば、加熱手段によって凹凸シートに対して確実に接合された補助シートに対して、第二の遮水シートが、面同士となって加熱溶融接合が行われることとなる。これにより、第二の遮水シートは、凹凸シートに対して補助シートを介して、十分な剥離強度を持って接合されることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る二重遮水シート及びその製造方法の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る二重遮水シートの一部分解斜視図、図2は図1に示した二重遮水シートの断面図である。
本実施の形態による二重遮水シート100は、第一の遮水シート11と、第二の遮水シート13と、凹凸シート17,及び補助シート15とを接合した積層構造を有する。
第一の遮水シート11及び第二の遮水シート13は、表裏面が平滑なシート状部材とされる。凹凸シート17は、表裏両面に交互に凹凸形成され、その表裏両面の凸部19の端面が間隔をあけられた面上に存在する構成とされ、別言すると、一方の面17aに、複数の凸部19が縦横所定間隔で形成されるとともに、この凸部19同士の間が凹部21となり、他方の面17bでは凸部19が凹部21となり、凹部21同士の間が凸部19となる構造となっている。補助シート15は、本実施の形態では帯状に形成されて、複数で構成され、表裏両面が平滑なシート状部材とされ、上記第一,第二の遮水シート11,13よりも厚さが薄く形成される。
各遮水シート11,13、凹凸シート17、補助シート15には、例えばオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エラストマー等からなるシートを用いることができる。
【0020】
そして、凹凸シート17の一方の面17aに、複数の補助シート15を、例えば所定間隔ごとで互いに平行に配置されるように接合するとともに、凹凸シート17の他方の面17bに、第一の遮水シート11を接合し、さらに、補助シート15を介して第二の遮水シート13を凹凸シート17の一方の面17a側に接合して構成される。
【0021】
第一,第二の遮水シート11,13及び凹凸シート17は、例えば方形に形成される。第一,第二の遮水シート11,13は、凹凸シート17より大外形で形成される。したがって、第一の遮水シート11と第二の遮水シート13とが凹凸シート17に接合された状態で、各遮水シート11,13は、四辺の縁部が、凹凸シート17より外方へ延出される。
【0022】
二重遮水シート100は、この延出した上下に位置する第一,第二の遮水シート11,13の各周縁が加熱溶融によって、例えば超音波溶着や高周波溶着、加熱鏝などの方法にて接合される。つまり、上下の遮水シート11,13の間には、凹凸シート17を収容した中空部23が形成される。そして、二重遮水シート100は、厚み方向に加わる荷重が、凹凸シート17によって支持されるようになっている。
【0023】
二重遮水シート100は、この中空部23に、液状物、ガス等が封入されてもよい。例えば、着色液状物を封入すれば、遮水シート11,13に穿孔や亀裂が生じた際にこの着色液状物が洩れ、これをマーカとして穿孔等の容易な発見が可能となる。また、液状物、ガス等を封入することにより、凹凸シート17による支持構造に加え、厚み方向の耐荷重をさらに高めることもできる。
【0024】
なお、二重遮水シート100は、上記のように延出させた各遮水シート11,13同士の周縁が接合されるが、この場合、図6に示すように、上下遮水シート11,13のいずれか一方の周縁11a,13aを長く延出させておくことが好ましい。これにより、複数の二重遮水シート100,100を連結する場合、この延出させた片側の周縁11a,13a同士を接合することで、段差の生じない平坦な連結構造を可能にすることができ、また、これらを互いに重合するように連結することで、互いが強固に接合されることとなる。
【0025】
次に、上記の二重遮水シートの製造方法を説明する。
図3は凹凸シートと補助シートとの接合説明図、図4は凹凸シートと第一の遮水シートとの接合説明図、図5は第二の遮水シートとの接合説明図である。
凹凸シート17は、円周面に多数の突起を有する一対の成形型の間に、シート状基材を導入して塑性変形させることにより得られる。この凹凸シート17の連続成形装置(図示は省略する)は、円周面に多数の突起を備えた成形型である一対の回転ロールを備える。一方の回転ロールの突起は他方の回転ロールの突起と接触しない状態で、一方の回転ロールの突起の先端がなす仮想円筒面内に他方の回転ロールの突起の先端が嵌入するように構成されている。したがって、これら一対の回転ロールの間にシート状基材を導入することで、シート状基材の表裏に複数の凹凸を所定間隔で形成した凹凸シート17が連続的に繰り出されて成形されるようになっている。
【0026】
次に、このように形成される凹凸シート17と、補助シート15との接合を行う。この接合には、連続加熱溶融接合装置(図示は省略する)を用いる。この連続加熱溶融接合装置は、円周面に多数の棒状の加熱手段、例えば棒形状の溶接部としての加熱ヒータ41(図3参照)を凹部21の間隔と同間隔で突設させた加熱回転ロールと、凹凸のない円周面を有する押さえ回転ロール(図示せず)とを備える。補助シート15と凹凸シート17とを接合するには、押さえ回転ロール側に補助シート15を配置し、加熱回転ロール側に凹凸シート17を配置させて、両ロール間に補助シート15と凹凸シート17とを重ねて導入する。この際、凹凸シート17は、他方の面17b側の凹部21に加熱ヒータが一致するように導入する。これにより、加熱ヒータ41の先端が凹凸シート17の凹部21に順次挿入されるとともに、凹部21の底面21aと、補助シート15とが棒状加熱ヒータ41と押さえ回転ロールとに加熱圧接され、一方の面17a側の凸部先端19aが補助シート15と加熱溶融接合される。なお、加熱ヒータ41は、好ましくは先端が略球面形状とされた円柱体とされ、凹部21に対して曲面で加熱が行われる。また、本実施の形態では、図3に示すように、補助シート15が略帯状に形成され、所定間隔ごと、例えば補助シート15と同幅の間隔ごとに配置されることから、加熱ヒータ41の配設位置も同様に所定間隔ごとに略帯状の集合部分と間隙部分とが交互に配置形成とされる。すなわち、凹凸シート17に対して、補助シート15の存在しない個所においては加熱が行われない。
【0027】
次に、補助シート15が接合された凹凸シート17には、第一の遮水シート11の接合が行われる。この接合には、上記した凹凸シート17と補助シート15との接合に用いた連続加熱溶融接合装置と略同等の装置を用いる。すなわち、多数の好ましくは先端が略球面形状とされた円柱体形状の加熱ヒータ43(図4参照)を凹部21の間隔と同間隔で突設させた加熱回転ロールと凹凸のない円周面を有する押さえロール(図示せず)とを備える。また、上記同様に、加熱ヒータ43の配置位置は、所定間隔ごとに略帯状の集合部分と間隙部分とが配置され、すなわち図4に示すように補助シート15が既に接合された部分を間隙部分として加熱ヒータ43が配設される。そして、凹凸シート17と第一の遮水シート11とを接合するには、押さえ回転ロール側に第一の遮水シート11を配置し、加熱回転ロール側に凹凸シート17を配置させて、両ロール間に遮水シート11と凹凸シート17とを重ねて導入する。この際、凹凸シート17は、一方の面17a側から凹部21に加熱ヒータ43が一致するように導入する。これにより、加熱ヒータ43の先端が凹凸シート17の凹部21に順次挿入されるとともに、凹部21の底面21aと、第一の遮水シート11とが棒状加熱ヒータ43と押さえ回転ロールとに加熱圧接され、他方の面17bの凸部先端19aが遮水シート11と加熱溶融接合される。これにより、補助シート15の位置する個所を除く凹凸シート17の他方の面17bと第一の遮水シート11とが接合される。
【0028】
なお、上述した凹凸シート17と補助シート15、及び凹凸シート17と第一の遮水シート11との接合において、加熱ヒータ41,43を用い、この加熱ヒータ41,43の形状を先端が略球面形状とされた円柱体としたことで、接合時における凹凸シート17の凹部21内への挿入がスムースになり、また、角部分を有さない略球面状であることから略中央が膨らんだ形状でこの中央に向けて圧力がかかることとなり、確実に凹凸シート17と補助シート15、及び凹凸シート17と第一の遮水シート11とを密着させることが可能となって、確実な加熱が行われて溶融接合させることが可能となる。そして、このことから、凹凸シート17と補助シート15、及び凹凸シート17と第一の遮水シート11との剥離強度を大きくすることが可能となる。
【0029】
次に、凹凸シート17に補助シート15及び第一の遮水シート11とが接合された後、第二の遮水シート13の接合が行われる。この接合は、熱風、或いは熱鏝によって行われる。すなわち、補助シート15の平滑な表面15aと第二の遮水シート13とを重合し、加熱して互いを溶融接合する。これにより、図2に示すように第一の遮水シート11と第二の遮水シート13とが凹凸シート17を挟んで接合され、二重遮水シート100の製造が完了する。
【0030】
したがって、上記の二重遮水シート100によれば、第一の遮水シート11と第二の遮水シート13とが、それぞれ凹凸シート17及び補助シート15とに加熱溶融によって接合されるので、十分な剥離強度を備えることとなり、第一の遮水シート11と第二の遮水シート13のそれぞれに作用するずれ方向の力に対する強度を高めることができる。
その結果、図6に示すように、斜面31に二重遮水シート100が敷設され、その上面に堆積物からの荷重が作用した場合であっても、強固な接合構造によって第一,第二の遮水シート11,13間のずれを防止することができる。
【0031】
さらに、凹凸シート17により中空部23が形成されるので、穿孔や亀裂等の破損が生じた場合であっても、中空部23に充填材を注入することが可能となり、穿孔等をこの充填材によって閉塞させる応急修理を可能にすることができる。
【0032】
また、上記の二重遮水シート100の製造方法によれば、凹凸シート17と、補助シート15及び第一の遮水シート11とが、凹部21に挿入される棒状加熱ヒータによって溶着接合されるので、凹凸シート17と補助シート15,第一の遮水シート11との接触面が確実に接合され、これら凹凸シート17と補助シート15,第一の遮水シート11との接合強度を高めることができる。また、各シート11,13,15,17同士を加熱溶融接合することで二重遮水シート100が得られる構成としたので、従来方法のような加熱溶融接着剤を不要とすることができ、経済性を向上させることができるとともに、接着剤を使用する工程を省くことが可能となる。
【0033】
なお、上述した実施の形態では、凹凸シート17の製造方法として、円周面に多数の突起を備えた成形型である一対の回転ロールを用いてシート状基材の表裏に複数の凹凸を所定間隔で形成して得る例を示したが、平板状のシート状基材に対して、平板なまま表裏面からプレス加工を行うように成形する方法としてもよく、すなわち平板状で一方の面に凹凸面を備える一方の型枠と、これに対向して凹凸面を備える他方の型枠、或いは、棒状突起を対向する両面に備えるような成形型などとの間に挟み込み、所定の圧力にて成形するような方法で得られることとしてもよい。
【0034】
また、上述した実施の形態では、凹凸シート17に接合される補助シート15を帯形状とし、この補助シート15と略同幅の間隔を有するように、凹凸シート17に接合した例を示したが、この補助シート15の形状については、上述の帯形状に限定されることはなく、この補助シート15の面積が凹凸シート17の面積の30〜70%とされればよく、上記のような帯形状以外の形状、或いは複数ではなく1枚で構成させることとしてもよい。例えば複数での構成としては、矩形小片状に形成して、凹凸シート17に対して千鳥状、或いはその他のパターンで配置し接合することとしてもよい。この場合、凹凸シート17と補助シート15との接合には、上述の加熱ヒータ41が円周面に配設される加熱回転ロールではなく、平面上に円柱状の加熱ヒータが配設されるような加熱手段とする。また、この補助シート15が1枚構成の場合には、例えば凹凸シート17の一方の面に略同等の大きさで構成し、凹凸シート17が一部或いは複数箇所で表出する穴部が適宜貫通形成される形状の補助シート15とし構成すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る二重遮水シートの分解斜視図である。
【図2】図1に示した二重遮水シートの断面図である。
【図3】補助シートと凹凸シートとの接合説明図である。
【図4】第一の遮水シートと凹凸シートとの接合説明図である。
【図5】凹凸シートと第二の遮水シートとの接合説明図である。
【図6】傾斜面に敷設された本発明に係る二重遮水シートの断面図である。
【符号の説明】
【0036】
11…第一の遮水シート
13…第二の遮水シート
15…補助シート
17…凹凸シート
17a…一方の面
17b…他方の面
19…凸部
21…凹部
100…二重遮水シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏両面に交互に凹凸形成され、その表裏両面の凸部の端面が間隔をあけられた面上に存在する凹凸シートの一方の面に、補助シートを接合するとともに、前記凹凸シートの他方の面に、両面が平坦な第一の遮水シートを接合し、前記補助シートを介して両面が平坦な第二の遮水シートを前記凹凸シートの一方の面側に接合したことを特徴とする二重遮水シート。
【請求項2】
前記補助シートの面積は、前記凹凸シートの面積の30〜70%とされることを特徴とする請求項1記載の二重遮水シート。
【請求項3】
表裏両面に交互に凹凸形成され、その表裏両面の凸部の端面が間隔をあけられた面上に存在する凹凸シートの一方の面に、補助シートを、該凹凸シートの他方の面から棒状の加熱手段を挿入することで溶融接合し、
前記凹凸シートの他方の面に、両面が平坦な第一の遮水シートを、該凹凸シートの一方の面から棒状の加熱手段を挿入して溶融接合し、
前記凹凸シートの一方の面に設けた補助シートと、両面が平坦な第二の遮水シートとを加熱して溶融接合することを特徴とする二重遮水シートの製造方法。
【請求項4】
前記補助シートと前記第二の遮水シートとは、熱風または熱鏝による溶融接合であることを特徴とする請求項3記載の二重遮水シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−26930(P2006−26930A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204771(P2004−204771)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000140292)株式会社奥村組 (469)
【出願人】(000106726)シーアイ化成株式会社 (267)
【出願人】(000109233)チカミミルテック株式会社 (19)
【Fターム(参考)】