説明

二量体および三量体の核酸色素ならびに関連するシステムおよび方法

二量体および三量体の核酸色素と、関連するシステムおよび方法が提供される。このような色素は、例えば、それがリリースオンデマンド(release−on−demand)機構により核酸を染色することを可能にするヘアピン様構造を形成することができる。このような色素は、核酸が存在しない場合には低いバックグラウンドの蛍光を有しており、そして核酸の存在下では、例えばそれと結合する際に、高い蛍光を発する。本明細書中で提供される色素は、様々な用途(例えば、リアルタイムPCRにおけるDNAの定量)において有用であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、Maoらの米国仮特許出願第60/663,613号(発明の名称「Dimeric and Trimeric Nucleic Acid Dyes,and Associated Systems and Methods」、2005年3月17日出願)の優先権を主張し、かつ同時継続米国出願第__/___,___号(本明細書と同時に2006年3月16日に出願し、やはり米国仮特許出願第60/663,613号の優先権を主張する)に関連する。上述の仮出願および出願の各々は、本明細書中でその全体が参考として援用される。
【0002】
(共同研究の関係者の同意に関する宣誓)
Biotium,Inc.(Hayward,California(CA))およびAlleLogic Biosciensces Corp.(Hayward,CA)は、本発明に関する共同研究の同意に対する関係者である。
【0003】
(配列表についての参照ならびにそれに関する要請および参考文献の引用)
本明細書中に開示される配列番号1から配列番号10の配列表が含まれている、オリジナルのASCIIディスケットおよび別のASCIIディスケット(これはオリジナルのディスケットの複製である)、さらには、配列表の紙によるコピーが提出され、記載され、そしてその内容を含むそれらの全体が米国仮特許出願番号60/663,613において引用により本明細書中に組み入れられる。配列表の紙によるコピーはそれと共に提出される。上記米国仮特許出願番号60/663,613がすでにファイルされている、適合するコンピュータで読み取ることができる配列表が、本出願と組み合わせて使用されることがここで要請される。本出願およびその内容の配列表の紙によるコピーまたはコンパクトディスクによるコピーは、上記米国仮特許出願番号60/663,613がファイルされている配列表のコンピュータで読み取ることができるコピーと同じである。配列表、それと共に提出される配列表の紙によるコピー、および上記米国仮特許出願番号60/663,613がすでにファイルされているコンピュータで読み取ることができる配列表は、その内容を含むそれらの全体が、この引用により本明細書中に組み入れられる。
【背景技術】
【0004】
(背景)
蛍光色素は、生物学的試料の検出および分析のために使用されている。蛍光色素は感度が高いため、これは極めて少数の蛍光分子を検出するために使用することができる。例えば、このような蛍光色素を使用して、細胞と会合している50個未満の蛍光分子を検出することができる。非特許文献1)。
【0005】
蛍光色素は、生存している細胞または組織試料の中での画像化に使用されるプローブとして使用することができる。例えば、Dictyostelium細胞の表面上の受容体に結合させられた蛍光色素プローブは、蛍光標識されたcAMPの1つの分子の画像化において使用されている。非特許文献2。様々な蛍光波長を有しているいくつかの蛍光プローブを使用して、生存している細胞または組織試料の中での多色画像化を行うことができる。蛍光プローブは、放射性プローブと比較すると感度が高く、比較的毒性が低く、そして処理が容易である。
【0006】
蛍光色素は、DNAおよびRNAを含む核酸、および核酸を含む生物学的試料の検出において使用することができる。核酸ポリマー(例えば、DNAおよびRNA)は、1つの世代から次の世代に、そして、生存している生物の日常的な機能を伝達することに関係している。したがって、核酸は興味深く、本試験の目的である。核酸に特異的に結合し、高度な蛍光錯体を形成する蛍光核酸色素は、このような実験のための有用なツールである。これらの色素を使用して、様々な媒体(純粋な溶液、細胞抽出物、電気泳動ゲル、マイクロアレイチップ、生存している細胞または固定された細胞、死亡した細胞、および環境試料が含まれる)の中のDNAおよびRNAの存在および量を検出することができる。これらの色素は、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)におけるDNAの定量的検出に使用することができる。これは、ゲノムの検索および医学的診断において使用される技術である。
【0007】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)はプライマーエクステンション反応である。これにより、インビトロで特異的な核酸を増幅させるための方法が提供される。一般的には、PCRにおいては、反応溶液は3種類のそれぞれの温度(96℃、60℃、および72℃)で短時間維持され、それぞれ、鎖の分離または変性、アニーリング、および鎖の伸張が行われる。これらの3種類の温度の段階は、反応混合物が含まれているチューブを極めて迅速に加熱または冷却することができる自動サーモサイクラーが使用される場合には、30秒または40秒間である。PCRサイクルを繰り返すことにより、DNA試料の100万倍のコピーを、およそ1時間以内に1つの酵素反応混合物の中で生産することができ、これにより標的DNAの大きさおよび配列を決定するための研究が可能となる。このDNA増幅技術は、クローニングおよび他の分子生物学的操作に使用されている。PCRについてのさらなる議論は、非特許文献3および非特許文献4に提供されている。
【0008】
有用な1つのPCRをベースとする技術は定量的リアルタイムPCR(qPCR)である。簡単に説明すると、qPCRの機構は、指数的様式での標的DNAのPCR増幅に基づく。PCR反応を行い、増幅反応の過程の間の任意の時点でDNAコピーの総数を測定することにより、出発DNA材料の量を遡及的に計算することができる。
【0009】
蛍光をベースとするDNAの検出は、通常、感度が高く、多用途であり、そしてqPCRにおいて使用される便利な検出方法である。qPCRにおいて使用される蛍光試薬には、2つのタイプがある。第1のタイプは、1つ以上の蛍光色素で、または、蛍光色素と消光剤色素の組み合わせで標識されたオリゴヌクレオチドをベースとする。これらの標識されたオリゴヌクレオチドは、標的配列にハイブリダイズした際、またはオリゴヌクレオチドの切断の際のいずれかに蛍光を放出し、その後、存在するDNAの量に比例する様式でハイブリダイゼーションする。オリゴをベースとする蛍光試薬の機構および使用は、様々な特許および刊行物に記載されている。例えば、非特許文献5;非特許文献6;および特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、および特許文献8を参照のこと。qPCRのためのオリゴをベースとする蛍光試薬は、標的配列に対する特異性が高いという利点を有しているが、これらは、設計が非常に複雑であり、結果として、その使用は高価である。qPCRで使用される第2のタイプの蛍光色素はDNA結合蛍光色素をベースとし、これは、一般的には、蛍光核酸色素または染色と呼ばれる。蛍光核酸色素は比較的単純な分子であるため、これらは製造することが容易であり、したがって、その使用は高価ではない。それらのqPCRにおける適用は、研究室で日常的に行われる遺伝的検出に有用である。
【0010】
全てではないが、一般的に利用することができる蛍光核酸染色をqPCRに使用することができる。理想的には、蛍光核酸色素は、それがqPCRでの使用に適しているためには特定の基準を満たしていなければならない。第一に、これは、PCRおよび保存の間は化学的に安定でなければならない。PCRは高温で行われるため、色素は熱安定性でなければならない。加えて、PCRに使用されるTris緩衝液のpHは、低温(4℃)でのアルカリ(pH8.5)から、高温では、中性またはわずかに酸性にまで相当に変化し得るため、色素は、酸による分解または塩基による分解に対して耐性がなければならない。第2に、色素は、PCR溶液の中に存在する場合には、PCRプロセスを阻害してはならない。第3に、色素は、DNAが存在しない条件下では非蛍光であるかまたは最少の蛍光しか発してはならず、そしてDNAの存在下では高度に蛍光を発しならなければならない。第4に、色素は、既存の機器と適合する波長を吸収および放射しなければならない。既存の機器には、通常、一般的な蛍光色素(例えば、FAM、JOE、VIC(Applied Biosystems,Foster City,CA)、TAMRA、ROX、テキサスレッド(Texas Res)、Cy3、およびCy5)について最適化させられた光チャンネルが取り付けられている。第5に、色素は、配列に好みがほとんどないかまたは全くなく、DNAと結合しなければならない。第6に、DNA−色素錯体は、存在するDNAの量に直線的に相関している蛍光強度を有していなければならない。
【0011】
上記の基準を前提とすると、極めて少数の核酸結合色素しかqPCRに使用できないことは驚くべきことではない。エチジウムブロマイド(EB)は、qPCRに簡単な色素を使用することの実現可能性を明らかにするために使用されているDNA色素である。非特許文献7。しかし、EBには、低い感度、および望ましくない波長の問題がある。qPCRに広く使用されている色素は、Molecular Probes,Inc.(Eugene,Oregon(OR))によるSYBR Green Iである。非特許文献8。SYBR Green Iは、繰り返し置換された(cyclically substituted)非対称シアニン色素である。非特許文献9;ならびに、特許文献9および特許文献10。SYBR Green Iの利点は、これが、ほとんどの機器と適合するFAMの波長と極めて適合する励起および放射波長を有していること、およびDNAに結合すると高い蛍光を発することである。最近、LC Greenと呼ばれるDNA色素がqPCRに使用されたが、この色素の構造は開示されなかった。LC Green色素はほとんどのPCR機器において一般的に使用されているFAM光チャンネルと適合する望ましい波長を有しているようであるが、SYBR Green Iよりもはるかに感度が低い。さらに最近、BEBOと呼ばれるDNA小溝結合剤(minor groove−binder)、およびBOXTOと呼ばれる関連色素(これらはいずれも、非対称シアニン色素である)が、qPCRでの使用について報告されている。非特許文献10;および特許文献11。LC Greenと同様に、BEBOおよびBOXTOは、感度に関してSYBR Green Iに有意に遅れをとっている。
【0012】
SYBR Green IはqPCRのためのDNA色素として広く使用されているが、いくつかの態様においてはなおも不足している。一例として、SYBR Green Iには、PCRプロセスに対する阻害作用があり、これは色素濃度を増大させることによって得ることができる最大シグナル強度を制限する。SYBR Green Iを使用するqPCRの蛍光シグナル強度は、色素濃度が、色素がPCRプロセスを有意に阻害しはじめる点に達するまでは、最初は色素濃度に比例する。色素濃度のさらなる増大によっては、実際には、シグナル強度が低下する、また、DNA増幅の減少が原因でサイクル数(Ct)が増加するであろう。別の例として、SYBR Green Iはアルカリ条件(例えば、低温で保存された場合のPCR緩衝液のアルカリ条件)下では化学的に不安定である。4℃のTris緩衝液中で保存されたSYBR Green Iは、数日の経過で有意に分解してしまうこと、および色素の分解産物がどうやら強力な阻害剤であることが報告されている。非特許文献11。さらに別の例として、SYBR Green Iによっては、1つの蛍光色しか提供されない。多くの市販されている蛍光検出機器は、複数の光チャンネル(FAM光チャンネルとさらに他の光チャンネル)を有しており、したがって、複数の蛍光色を検出することができる。
【特許文献1】米国特許第5,210,015号明細書
【特許文献2】米国特許第5,538,848号明細書
【特許文献3】米国特許第6,258,569号明細書
【特許文献4】米国特許第5,691,146号明細書
【特許文献5】米国特許第5,925,517号明細書
【特許文献6】米国特許第5,118,801号明細書
【特許文献7】米国特許第5,312,728号明細書
【特許文献8】米国特許第6,635,427号明細書
【特許文献9】米国特許第5,436,134号明細書
【特許文献10】米国特許第5,658,751号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2004/0132046号明細書
【非特許文献1】Barak,ら,J.Cell Biol.90,595(1981
【非特許文献2】Ueda,ら,Science 294,864(2001)
【非特許文献3】Mullis,ら,Methods Enzymol.(1987)
【非特許文献4】Saiki,ら,Science(1985)
【非特許文献5】Holland,ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,(1991)
【非特許文献6】Lee,ら,Nucleic Acids Res.(1993)
【非特許文献7】Higuchi,ら,Bio−Technol.10(4),413(1992)
【非特許文献8】Wittwer,ら,Biotechniques 22(1),130(1997)
【非特許文献9】Zipper,ら,Nucleic Acids Res.32(12)、e103(2004)
【非特許文献10】Bengtsson,ら,Nucleic Acids Res.31(8),e45(2003)
【非特許文献11】Karsai,ら,BioTechniques 32(4),790(2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
蛍光色素の開発、またはその作成もしくは使用が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(要旨)
有用な用途(例えば、qPCRプロセスにおける用途)に適している蛍光色素を生産または設計する方法が提供される。この方法には、柔軟であり、そして実質的には中性(例えば、中性またはわずかに電化を有している)であり得る架橋を介して、2つまたは3つ以上の単量体色素を共有結合させることが含まれる。本明細書中で提供される色素を生産または設計する方法により、これまでは得ることができなかった波長および/または他のスペクトル特性を有している蛍光核酸色素の開発が可能となり得る。
【0015】
有用な用途(例えば、上記に記載された用途)に適している蛍光色素が提供される。二量体または三量体色素(本明細書中に記載される方法にしたがって生産することができる)はエアピンは構造を形成することができ、これにより、本明細書中にさらに記載されるように、色素がリリースオンデマンド(release−on−demand)機構により核酸を染色することができるようになると考えられる。本明細書中に記載される色素は、以下の特徴の少なくとも1つ、または以下の特徴の全てを有し得る:存在するとしても、比較的低い「蛍光バックグラウンド」(核酸が存在しない条件下での蛍光)、そして理想的には、蛍光バックグランドはない;比較的低いPCR阻害、そして理想的には、PCR阻害はない;比較的高い蛍光シグナル強度;および比較的高い安定性。色素は、これらの特徴の少なくとも1つ、またはこれらの特徴の全てに関して、既存の色素(例えば、単なる例であるが、SYBR Green I)よりも優れているであろう。本明細書中に記載される色素は、例えば、これまでは得ることができなかった波長および/または別のスペクトル特性のような特性を有している場合がある。
【0016】
分子内二量体形成、またはヘアピン構造を形成することができる二量体および/または三量体核酸色素または染色が提供される。ヘアピン型の色素は、それ自体は非蛍光であるか最少にしか蛍光を発しないが、核酸の存在下では高い蛍光を生じるようになり得ると考えられる。色素の核酸への結合は、中間状態を通じて起こり得、この場合、色素は、一部が、オープンランダム立体構造(open random conformation)を形成していると考えられる。さらに、この色素のオープンランダム立体構造は、少量で存在し得、そしてヘアピン状態と平衡状態にあると考えられる。核酸の量が増加すると、ヘアピン状態から色素の核酸に結合した状態への平衡のシフトが起こり得、その結果、得られる蛍光シグナルの強度は、存在する核酸の量に実質的に直線的に比例し得ると考えられる。
【0017】
上記の機構は、DNA染色のリリースオンデマンド機構と呼ぶことができ、様々な用途(例えば、定量的、リアルタイムPCR(qPCR))に望ましい場合がある。単なる説明ではあるが、ヘアピン構造の形成は、「有効色素濃度」を下げることができ、その結果、本明細書中に記載される色素は、PCRプロセスをほとんど妨害しないであろうと考えられる。したがって、以前の色素(例えば、SYBR Green I)と比較すると、本明細書中に記載される色素の高い濃度をqPCRにおいて使用することができる。色素のこの高い濃度により、DNA検出感度が、おそらくは有意に高くなり得る。
【0018】
試料中の核酸の形成またはそれがないことを決定する方法が提供される。試料には、標的核酸が含まれている場合も、また含まれていない場合もある。このような方法には、試料と蛍光核酸色素を含む試験溶液を提供する工程が含まれる。この場合、蛍光核酸色素は以下の式を有する:
【0019】
【化38】

式中、BRIDGEは、約8個から約150個の水素以外の原子を含む、実質的に脂肪族の、実質的に中性のリンカーである;Qは、蛍光核酸色素構成成分、非蛍光核酸色素構成成分、蛍光非核酸色素構成成分、および非蛍光非核酸色素構成成分から選択される色素構成成分である;Qは、蛍光核酸色素構成成分、非蛍光核酸色素構成成分、蛍光非核酸色素構成成分、および非蛍光非核酸色素構成成分から選択される色素構成成分である。色素構成成分は、例えば、本明細書中に記載されるもののような、任意の適切な色素構成成分であり得る。単なる例としてではあるが、蛍光核酸色素構成成分は、アクリジン色素、非対称シアニン色素、対称シアニン色素、フェナントリジニウム色素、およびピロニン色素、およびスチリル色素から選択することができる。Q色素構成成分とQ色素構成成分のうち少なくとも一方の色素構成成分は、レポーター色素構成成分であり、そして、Q色素構成成分とQ色素構成成分のうち少なくとも一方の色素構成成分は、蛍光核酸色素構成成分または非蛍光核酸色素構成成分である。レポーター色素構成成分と蛍光核酸色素構成成分は同じである場合も、また異なる場合もある。この方法には、標的核酸の増幅のために十分である試験溶液を使用してプロセスを実行する工程が含まれ得る。試料には、標的核酸が含まれるはずである。単なる例としてではあるが、このプロセスはPCRプロセス、例えば、リアルタイムPCRプロセスであり得る。この方法には、レポーター色素構成成分による吸収に十分な波長の光で試験溶液を照射する工程と、蛍光の放射またはそれがないことを決定する工程が含まれ得る。
【0020】
試料中の核酸の形成またはそれがないことを決定する別の方法が提供される。試料には、標的核酸が含まれる場合も、また含まれない場合もある。このような方法には、試料と蛍光核酸色素を含む試験溶液を提供する工程が含まれる。この場合、蛍光核酸色素は以下の式を有する:
【0021】
【化39】

式中、BRIDGEは、約15個から約150個の水素以外の原子を含む、実質的に脂肪族の、実質的に中性のリンカーである;Qは、蛍光核酸色素構成成分、非蛍光核酸色素構成成分、蛍光非核酸色素構成成分、および非蛍光非核酸色素構成成分から選択される色素構成成分である;Qは、蛍光核酸色素構成成分、非蛍光核酸色素構成成分、蛍光非核酸色素構成成分、および非蛍光非核酸色素構成成分から選択される色素構成成分である;Qは、蛍光核酸色素構成成分、非蛍光核酸色素構成成分、蛍光非核酸色素構成成分、および非蛍光非核酸色素構成成分から選択される色素構成成分である。色素構成成分は、例えば、本明細書中に記載されるもののような、任意の適切な色素構成成分であり得る。単なる例としてではあるが、蛍光核酸色素構成成分は、アクリジン色素、非対称シアニン色素、対称シアニン色素、フェナントリジニウム色素、およびピロニン色素、およびスチリル色素から選択することができる。Q色素構成成分、Q色素構成成分、およびQ色素構成成分の少なくとも1つの色素構成成分は、レポーター色素構成成分であり、そして、Q色素構成成分、Q色素構成成分、およびQ色素構成成分の少なくとも1つの色素構成成分は、蛍光核酸色素構成成分または非蛍光核酸色素構成成分である。レポーター色素構成成分と蛍光核酸色素構成成分は同じである場合も、また異なる場合もある。この方法には、標的核酸の増幅のために十分である試験溶液を使用してプロセスを実行する工程が含まれ得る。試料には、標的核酸が含まれるはずである。単なる例としてではあるが、このプロセスはPCRプロセス、例えば、リアルタイムPCRプロセスであり得る。この方法には、レポーター色素構成成分による吸収に十分な波長の光で試験溶液を照射する工程と、蛍光の放射またはそれがないことを決定する工程が含まれ得る。
【0022】
上記で提供された式においては、BRIDGEは、すぐ下に示される式を有している場合がある。
【0023】
【化40】

【0024】
【化41】

この式においては、LおよびLはそれぞれ独立して、単結合を含む部分;状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から約12個の炭素(1、12を含む)を有しているポリメチレン単位;または、状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれているアリール基であり;A、A、A、A、A、A、A、A、A、およびA10はそれぞれ独立して、核酸の結合を促進する基(NABEG);状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている分岐したアルキル;あるいは、状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている少なくとも1つの飽和した5員環または6員環であり;α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、およびιはそれぞれ独立して、0、または1から約20まで(1、20を含む)の整数であり;そして、a、b、c、d、e、f、g、h、およびiはそれぞれ独立して0、または1から約20まで(1、20を含む)の整数である。BRIDGEには、適切な数の水素以外の原子、例えば、単なる例ではあるが、約8個から約100個または約150個(8、100、150を含む)、約12個から約60個(12、60を含む)、または約15個から約40個(15、40を含む)が含まれ得る。BRIDGEは、例えば、本明細書中に記載される任意のもののような、任意の適切なリンカー分子であり得る。1つの例においては、BRIDGEは以下の式を有する:
【0025】
【化42】

式中、xはそれぞれ独立して、1から11(1、11を含む)から選択される整数であり;αは2から約20(2、20を含む)から選択される整数であり;βおよびγはそれぞれ独立して、2または3であり;bは0、または1から約20(1、20を含む)までの整数であり;そして、cは0または1である。
【0026】
上記方法に関連する組成物もまた提供される。単なる例ではあるが、すぐ下に提供される構造のいくつかの色素が提供される。
【0027】
【化43】

【0028】
【化44】

上記の色素の構造においては、Ψは陰イオン(例えば、単なる例ではあるが、ヨウ化物または塩化物陰イオン)を示す。
【0029】
すぐ下に示される式を有している組成物もまた提供される。
【0030】
【化45】

式中、BRIDGEは、約15個から約150個の水素以外の原子と、1つまでの正電荷を含む、実質的に脂肪族のリンカーである;Qは、蛍光核酸色素構成成分あり;Qは、蛍光核酸色素構成成分であり;そして、Rは、反応基または官能基である。反応基または官能基は、例えば、本明細書中に記載されるもののような、適切なそのような基のいずれかであり得る。組成物は、例えば、本明細書中に記載されるものいずれかのような、任意の適切な組成物であり得る。組成物または色素を使用する方法には、組成物を基質分子(例えば、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ペプチド、タンパク質、ハプテン、薬剤、マイクロ粒子、合成ポリマー、天然ポリマー、生物学的細胞、ウイルス、および固体表面の分子から選択される基質分子)に結合させる工程が含まれ得る。
【0031】
試料(核酸が含まれている場合も、また、含まれていない場合もある)を調製する方法もまた提供される。この方法には、試料と組成物または色素(例えば、本明細書中に記載されるもの)の混合物を提供する工程が含まれ得る。ここでは、試料中に核酸が存在する場合は、核酸−色素錯体が形成される。この方法には、さらに、混合物をインキュベートする工程が含まれる場合がある。試料中の核酸の存在またはそれが存在しないことを決定する方法もまた提供される。この方法には、試料と組成物または色素(例えば、本明細書中に記載されるもの)の混合物を提供する工程(ここでは、試料中に核酸が存在する場合は、核酸−色素錯体が形成される);十分な波長の光で混合物を照射する工程であって、その結果、核酸錯体を形成されると、光がそれによって吸収される工程;ならびに、蛍光の放射またはそれがないことを決定する工程が含まれる。試料中の核酸の形成またはそれがないことを決定するためのキットもまた提供される。キットには、試料中の標的核酸の増幅に十分な少なくとも1つの組成物が含まれ得、試料には、標的核酸と組成物または色素(例えば、本明細書中に記載されるもの)が含まれていなければならない。
【0032】
これら、および様々な他の態様、特徴、および実施形態が本明細書中にさらに記載される。
【0033】
様々な態様、特徴、および実施形態の詳細な説明が、以下に簡単に記載される添付の図面を引用して本明細書中に提供される。図面は具体例であり、必ずしも同一縮尺ではない。図面は様々な態様または特徴を示しており、そして全体または一部において、1つ以上の実施形態または実施例を具体的に説明している場合がある。特定のエレメントまたは特徴をいうために1つの図面の中で使用される引用される数字、文字、および/または記号は、類似のエレメントまたは特徴をいうために別の図面の中で使用される場合がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
(説明)
様々な用途(例えば、核酸の検出)に有用であり得る蛍光色素または染色が本明細書中で記載される。このような色素は、例えば、二量体または三量体の核酸色素であり得、核酸が存在しない場合には低いバックグラウンドの蛍光を有しており、そして核酸の存在下では、高い蛍光を発するようになる。二量体および三量体の核酸色素は、様々な用途(例えば、本明細書中に記載されるような核酸の検出)に有用であり得る。蛍光色素または染色の調製ならびに使用に関する方法もまた、蛍光色素または染色を含む有用なシステムまたはキットと同様に、本明細書中に記載される。
【0035】
本明細書中では、暗黙のうちにもしくは説明によって理解されるか、または別の場所に明記されていない限りは、単数形で表現される用語にはその複数形の対応物が含まれ、そして複数形で表現される用語にはその単数形の対応物が含まれることが理解されるであろう。さらに、本明細書中に記載される任意の所定の成分について、その成分についての可能性のある候補または列挙される別のものの任意のものが、暗黙のうちにもしくは説明によって理解されるか、または別の場所に明記されていない限りは、通常は、個別に、あるいは、別のものと組み合わせて使用され得ることが理解されるであろう。加えて、暗黙のうちにもしくは説明によって理解されるか、または別の場所に明記されていない限りは、このような候補または別のものの任意のリストは単なる例にすぎず、限定ではないことが理解されるであろう。なおさらに、本明細書中に示される任意の図面または数字はおおよそであること、そして任意の数的範囲には、暗黙のうちにもしくは説明によって理解されるか、または別の場所に明記されていない限りは、用語「包括(inclusive)または同様の表現が存在するかしないかにはかかわらず、範囲を定義する最小数と最大数が含まれることが理解されるであろう。加えて、任意の許容される、制約のない、または制限のない言語には、暗黙のうちにもしくは説明によって理解されるか、または別の場所に明記されていない限りは、それぞれ、制限された言語に対して任意の比較的許容されている、制約のある言語に対して比較的開かれている、または制限のない言語に対して制限のない言語が含まれる。単なる例ではあるが、語句「含む(comprising)には、「含まれている(comprising)」、「原則として〜から構成される(consisting essentially of)」、および/または「からなる(consisting of)」型の言語が含まれ得る。
【0036】
様々な用語が、理解を容易にするために以下に一般的に記載されるか、または本明細書中で使用される。これらの様々な用語の対応する一般的記載が、これらの様々な用語の対応する語学上または文法上のバリエーションまたは形態に対しても適用されることが理解されるであろう。以下の任意の用語の一般的な記載は、用語が通常ではない様式またはより特異的な様式で使用される場合には適用されない場合も、また完全には適用できない場合もあることも理解されるであろう。本明細書中で使用される技術用語または本明細書中で提供される記載(例えば、様々な実施形態に関するもの)は限定ではないことも理解されるであろう。さらには、本明細書中に記載される実施形態または本明細書中に記載される用途は、これらが変化し得るため、限定ではないことが理解されるであろう。
【0037】
一般的には、用語「染色」および「色素」は同義的に使用することができ、そして約250nmから約1,200nmまでのスペクトル範囲の光を吸収することができる芳香族分子を意味する。通常、用語「色素」は蛍光色素、非蛍光色素、またはそれらの両方を意味することができる。一般的には、用語「蛍光色素」は、適切な波長の別の光によって励起させられると光を放射することができる色素を意味する。
【0038】
一般的には、用語「蛍光消光剤」は、別の蛍光分子の蛍光を消光させることができる分子を意味する。蛍光の消光は、3つの方法の少なくとも1つによって起こり得る。第1のタイプの蛍光の消光は、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)によって起こる(Foerster,Ann.Phys.(1948);およびStryer,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(1967))。この場合、消光剤は蛍光分子からの放射光を吸収する。FRET消光剤の吸収ピークは、通常、有効な蛍光消光剤であるFRET消光剤についての蛍光色素の放射ピークと有意に重複している。FRET消光剤は、通常は、非蛍光色素であるが、蛍光色素であってもよい。消光剤が蛍光色素である場合には、色素の吸収特性だけが利用される。第2のタイプの蛍光の消光は、光によって誘導される電子移動(PET)によって起こる。この場合、消光剤は、電子を多く含む分子であり、電気的に励起された色素に対して電子を移動させることによって蛍光分子の蛍光を消光させる。第3のタイプの蛍光の消光は、色素の凝集(例えば、H−二量体の形成)によって生じる。この場合、2つ以上の色素分子が互いに物理的に接触し、それによって分子の振動モードの中に電子エネルギーを消滅させる。このタイプの接触による蛍光の消光は、2つの同じ蛍光色素の間で起こる場合も、また、2つの異なる蛍光色素の間で起こる場合も、また、蛍光色素とFRET消光剤の間で起こる場合も、また、蛍光色素とPET消光剤の間で起こる場合もある。他のタイプの蛍光消光剤としては、一般的には使用されていないが、安定なフリーラジカル化合物、および特定の重金属錯体が挙げられる。
【0039】
通常、用語「核酸」は、二本鎖のDNA(dsDNA)、一本鎖のDNA(ssDNA)、二本鎖のRNA(dsRNA)、一本鎖のRNA(ssRNA)、および/またはそれらの誘導体を意味する。核酸は自然界に存在しているものである場合も、また、合成のものである場合もある。
【0040】
一般的には、用語「蛍光核酸染色」または「蛍光核酸色素」は、蛍光色素−核酸錯体を形成するように核酸に結合することができる色素を意味する。蛍光核酸色素は、通常、それ自体は非蛍光であるか弱い蛍光しか発しないが、核酸と結合すると高度に蛍光を発するようになる。一般的には、用語「非蛍光核酸結合分子」は核酸結合分子を意味し、これは色素である場合も、また、色素ではない場合もあり、そして核酸に結合しても蛍光を発するようにはならない。一般的には、用語「蛍光DNA色素」は、DNAに結合すると蛍光を発するようになる色素を意味する。一般的には、用語「蛍光非核酸色素」は、核酸に結合しない蛍光色素を意味する。一般的には、用語「非蛍光非核酸色素」は、蛍光を発することがなく、そして核酸に結合することもない色素を意味する。このような色素は、まとめて、蛍光消光剤と呼ばれる。多くの場合、蛍光消光剤は、蛍光色素とFRET対を形成するように使用される。通常は、用語「レポーター色素」は、それが放射する蛍光が最終的に検出される蛍光シグナルに寄与する蛍光色素を意味する。
【0041】
一般的には、用語「ポリメラーゼ連鎖反応」すなわち「PCR」は、DNAの量を増幅させるための技術を意味する。通常、用語「定量的リアルタイムPCR」すなわち「qPCR」は、PCRの過程においてDNA量の増加をモニターするための技術を意味する。
【0042】
一般的には、蛍光核酸色素は、2つの主要なクラス(挿入剤および小溝結合剤(minor groove−binder))に分類することができる。一般的には、蛍光挿入剤は色素であり、隣接している塩基の間にそれ自体を挿入することによって、二本鎖のDNAまたは二本鎖のRNAに結合する。通常、小溝結合剤は色素であり、これは二本鎖DNAの小溝に結合する。複数の形式(正電荷を有している色素と負電荷を有している核酸との間での静電気相互作用を含む)によって核酸に結合することができるさらに他の色素が存在している。
【0043】
様々な蛍光核酸色素が市販されており、そしてqPCR以外の使用のために色素を改良するための方法が開発されているが、全てではないが複数の核酸染色がqPCRの用途に適している。加えて、どのような構造エレメントが良好なqPCR色素に必要であるかはほとんど知られていない。
【0044】
一般的には、性能の観点から、qPCRのための理想的な色素は、本明細書中に記載されるように様々な基準を満たしていなければならない。色素は、PCR緩衝液中での高温(約60℃から約96℃)で熱安定性でなければならず、そして媒体がアルカリ性となる低温(約−20℃から約4℃)では加水分解に対して安定でなければならない。色素は、PCRプロセスを阻害してはならない。これは、PCRの阻害の最も深刻な場合にはPCRプロセスが開始すらされない場合があり、そしてより穏やかな場合においても、Ct数が遅れるか、または極めて低い色素濃度しか使用することができず、結果として蛍光シグナルが限られてしまうため、一般的には最も重要な基準である。色素は、DNAが存在しない条件下では非蛍光であるかまたは最少の蛍光しか発してはならないが、DNAの存在下では高度に蛍光を発するようにならなければならない。色素の吸収波長と放射波長は、qPCRと組み合わせて使用される機器(例えば、上記に記載された既存の機器)と適合しなければならない。色素のDNA結合は、配列に好みがほとんどないか、または好みは全くなければならない。DNA−色素錯体の蛍光強度は、存在するDNAの量に直線的に相関していなければならない。本明細書中に記載される色素は、上記の基準の1つ以上を満たしている場合も、または1つ以上を満たしていない場合もある。
【0045】
蛍光核酸色素(例えば、qPCRに適している蛍光核酸色素)を設計するための方法が提供される。この方法には、2個または3個の単量体色素を適切なリンカーを用いて共有結合させて、二量体色素または三量体色素を形成させる工程が含まれる。本明細書中に記載される色素は、溶液中に存在する場合は、分子内二量体の形成が原因で、主にヘアピン様の立体構造をとり得る。色素のこのヘアピン様の立体構造または状態は核酸に関しては不活性であるか、または核酸と相互作用することはできない。色素は、溶液中に存在し、核酸の存在下では、オープンランダムな立体構造(open random conformation)または状態もとり、これは、少量でしか存在せず、ヘアピン立体構造と実質的に平衡状態にあると考えられる。色素のこのオープンランダムな立体構造または状態は、核酸に関して活性であるか、または核酸と相互作用もしくは結合できる。色素が漸増量の核酸の存在下にある場合には、ヘアピン状態から中間のオープンランダムな状態、またはDNAに結合した状態への平衡のシフトが起こると考えられる。この機構は、しばしば、「リリースオンデマンドDNA結合機構」と呼ばれ、他の方法で色素が関係している可能性があるPCRの阻害を減少させると考えられている。結果として、色素は、別の方法で可能であるよりも高い濃度でPCRプロセスにおいて使用することができ、したがって、別の方法で可能であるよりも高い核酸検出感度を提供するであろう。PCR阻害の減少は劇的であり得、そして核酸検出感度の増大は有意であり得る。
【0046】
本明細書中に記載される二量体色素または三量体色素は、任意の数の望ましい特性を有し得る。例として、このような色素は、その単量体色素構成成分のバックグラウンド蛍光と比較すると低いバックグラウンド蛍光を有している場合がある。比較的低いバックグラウンド蛍光は、通常、比較的高い核酸検出感度に対応している。したがって、このような色素は、通常、高い核酸検出感度と関係している。さらなる例として、本明細書中に記載される色素は、SYBR Green Iよりも熱的におよび/または加水分解に対して安定である場合がある。なおさらなる例としては、本明細書中に記載される色素は、既存のqPCR色素が関係している波長以外の吸収および放射波長を有している場合がある。
【0047】
蛍光二量体核酸色素は、すぐ下に示される一般的構造(構造1)を有し得る。
構造1
【0048】
【化46】

構造1においては、色素Qおよび色素Qはそれぞれ独立して、蛍光核酸色素、非蛍光核酸色素、蛍光非核酸色素、および非蛍光非核酸色素から選択される。QおよびQは、得られる二量体色素の所望される特性を促す、または確実にするような様式で選択され、組み合わせられ得る。色素Qおよび色素Qの少なくとも一方の色素はレポーター色素である。さらに、色素Qと色素Qの少なくとも一方の色素は、蛍光核酸色素または非蛍光核酸色素である。レポーター色素と蛍光核酸色素は同じである場合も、また異なる場合もある。BRIDGEは比較的限られた程度の正電荷を有している場合も、また、電荷に関しては実質的には中性である場合もあり、そして二量体色素を生じるように分子内二量体の形成を促進する実質的に柔軟な構成成分であり得る。
【0049】
蛍光三量体核酸色素は、すぐ下に示される一般的構造(構造2)を有し得る。
構造2
【0050】
【化47】

構造2においては、色素Q、色素Q、および色素Qはそれぞれ独立して、蛍光核酸色素、非蛍光核酸色素、蛍光非核酸色素、および非蛍光非核酸色素から選択される。Q、QおよびQは、得られる三量体色素の所望される特性を促す、または確実にするような様式で選択され、組み合わせられ得る。色素Q、色素Q、および色素Qの少なくとも1つの色素はレポーター色素である。さらに、色素Q、色素Q、および色素Qの少なくとも1つの色素は、蛍光核酸色素または非蛍光核酸色素である。レポーター色素と蛍光核酸色素は同じである場合も、また異なる場合もある。BRIDGEは比較的限られた程度の正電荷を有している場合も、また、電荷に関しては実質的には中性である場合もあり、そして三量体色素を生じるように分子内二量体の形成を促進する実質的に柔軟な構成成分であり得る。
【0051】
蛍光核酸色素は、すぐ下に示される一般的構造(構造3)を有し得る。
構造3
【0052】
【化48】

構造3においては、色素Q、色素Qの色素はそれぞれ独立して、構造1および構造2に関して上記に記載されたものと同様であり得る;BRIDGEは、先に記載されたように、実質的には脂肪族のリンカーである;そしてRは、反応基または官能基であり得る。単なる例としてではあるが、Qは蛍光核酸色素構成成分であり得;Qは蛍光核酸色素構成成分であり得;BRIDGEは、約15個から約150個の水素以外の原子と、1つまでの正電荷を含む、実質的に脂肪族のリンカーであり得;そしてRは、本明細書中に記載されるように、反応基または官能基である。
【0053】
BRIDGE
BRIDGEは、わずかに1つの正電荷を有している、実質的に柔軟なリンカー分子であり得る。BRIDGEは実質的には中性であり得、実質的には柔軟なリンカー分子であり得る。BRIDGEの構成成分は、そのような限られた正電荷、またはそのような実質的な中性が得られるように選択され得る。実質的な中性(実際の中性を含む)の特性は以下でさらに議論される。実質的な柔軟性の特性は、一般的には、BRIDGEの実質的な脂肪族の性質(実際の脂肪族の性質を含む)と関係している。この実質的に脂肪族の性質は、一般的には、BRIDGEの非芳香性、またはBRIDGEの非剛性を意味する。
【0054】
構造1においては、BRIDGEは、QおよびQに共有結合させられている。二量体色素の場合には、BRIDGEは、例えば、約8個から約150個までの水素以外の原子、約8個から約100個までの水素以外の原子、約12個から約60個までの水素以外の原子、または約15個もしくは約20個から約40個もしくは約50個までの水素以外の原子を有し得る。構造2においては、BRIDGEは、Q、Q、およびQに共有結合させられている。三量体色素の場合には、BRIDGEは、例えば、約15個から約150個までの水素以外の原子、約20個から約150個までの水素以外の原子、約20個から約100個までの水素以外の原子、または約30個から約70個までの水素以外の原子を有し得る。
【0055】
BRIDGEには、少なくとも1つの無関係な核酸の結合を促進する基(NABEG)を組み込むことができる。NABEGは、静電気相互作用、疎水性相互作用、または水素結合相互作用の形態で核酸に結合することができる部分である。単なる例としてではあるが、NABEGは、第1級アミン:第2級アミン;第3級アミン;アンモニウム;アミジン;状況に応じて、N、O、Sから選択されるヘテロ原子が含まれているアリール基、およびそれらの任意の組み合わせ;高い電気陰性度のヘテロ原子が含まれている結合を有している部分;ならびに、それらの任意の組み合わせから選択することができる。
【0056】
第1級、第2級、および第3級アミン、ならびにアミジンは塩基性基であり、したがって、生理学的pHでは、正電荷を有しているか、または少なくとも部分的に正電荷を有している。アンモニウム基または4級化窒素基は、永久的な正電荷を有している。一般的に言えば、正電荷を有している、または部分的に正電荷を有している基は、感度が高い蛍光核酸染色の開発において利用することができる特性である、静電気相互作用による色素の核酸結合を増強させる。本発明の色素を生産するためには、過剰な正電荷を有しているBRIDGEを使用することは、通常は望ましくない。例えば、本発明の二量体色素または三量体色素の適切なBRIDGEには、わずかに1つの正電荷が含まれる場合がある。BRIDGEは実質的に柔軟な、中性のリンカーであり得るか、または、実質的に中性のリンカーであり得る。この状況においては、実質的な中性は、わずかな電荷を意味する。例として、BRIDGEには、弱い塩基性の構成成分(例えば、ピリジン基またはピラジン基)を含めることができ、その結果、これが水溶液中に存在する場合には、極めて少量の正電荷が存在し得る。さらなる例として、BRIDGEに少なくとも1つのNABEGが含まれる場合(状況に応じて)は、正電荷の正確な量は、一般的には、NABEGのpKに関係し得る。通常、NABEGのpKが高ければ高いほど、NABEGはより多くプロトン化され、したがって、より大きな正電荷を有する可能性がより高くなる。例として、適切な弱塩基性のNABEG基は、約11またはそれ未満、約8またはそれ未満、あるいは、約7またはそれ未満のpKを有し得る。
【0057】
分子内二量体(主に、H−二量体)を形成する傾向があり得る。これは、生産される核酸色素において特に有用な特性であり得る。例えば、本明細書中に記載される二量体色素の場合は、H−二量体の形成によりヘアピン様構造が生じ得る。ここでは、図1に模式的に示されるように、H−二量体はヘアピンのステム部分を形成し、BRIDGEは湾曲した部分を形成する。特定の色素に関するH−二量体の形成の表現形が、West,et al.,J.Phys.Chem.(1965);Rohatgi,et al.,J.Phys.Chem.(1966);Rohatgi,et al.,Chem.Phys.Lett.(1971);およびKhairutdinov,et al.,J.Phys.Chem.(1997)に記載されている。分子内H−二量体の形成は、BRIDGEが柔軟であり中性であるか、または実質的に中性の炭化水素リンカー(状況に応じて、1つ以上のNABEGが含まれている)場合に、促進され得る。
【0058】
H−二量体の形成は、色素吸収スペクトルの大きな青色のシフトを特徴とし得る。例として、単量体色素AO(アクリジンオレンジ)および関連する二量体色素AOAO−7(分子内二量体を形成する)の吸収スペクトルが図2に示される。AOAO−7二量体に関する471nmでのピークは、分子内H−二量体の形成を示している。単量体および二量体のいずれの吸収スペクトルも、DNA結合が生じると同様のものとなり、これは、ヘアピン構造が開かれていることを示している。例として、図3に示されるように、AOAO−7二量体から471nmでのピークが消滅することは、DNAに結合するとヘアピン構造が開かれることを示している。
【0059】
本明細書中に記載される色素のH−二量体の形成は、2つの主要な利点を伴う場合がある。1つの主要な利点は、蛍光シグナルの大幅な増加によって明らかにされるように、DNAと結合した際の蛍光の実質的な増加と組み合わせた、バックグラウンドの蛍光の、多くの場合は劇的である減少である。この利点は、単量体アクリジンオレンジ色素であるDMAO、および二量体アクリジンオレンジ色素であるAOAO−7の蛍光スペクトルを、DNAが存在しない条件とDNAの存在下で比較することによって明らかにすることができるであろう。例えば、図4に示されるように、単量体DMAO色素と比較すると、二量体AOAO−7色素は、低いバックグラウンドの蛍光と、DNAに結合した際には、高い蛍光を伴う。
【0060】
分子内二量体による蛍光の消光は、本明細書中に記載される色素が、少なくとも1つの単量体色素(非常に望ましいとは通常は考えられない)(例えば、高いバックグラウンドの蛍光を有している少なくとも1つの単量体色素)から構築される場合があるため、効果的であり得る。1つのこの例は図4に示される。これはアクリジンオレンジ(AO)およびその二量体を特徴とする。AOは最初に明らかになった核酸結合色素の1つであり。望ましい波長を有しているが、その比較的高いバックグラウンドの蛍光の理由から、核酸の検出については広くは使用されていない。図4に示されるように、単量体AO色素と比較すると、二量体色素AOAO−7は、はるかに低いバックグラウンドの蛍光を有する。
【0061】
H−二量体の形成は、分子間相互作用ではなく、分子内相互作用によって起こる。H−二量体の形成は、2つまたは3つの色素(例えば、所望される単量体色素の対)の共有結合によって起こる。H−二量体の形成は比較的簡単に完成され得、これには、さらなる試薬(例えば、色素の有用な用途を妨害する可能性がある別の試薬)の添加は必要ない。例として、二量体色素は、1つの核酸結合色素構成成分と1つの非核酸結合蛍光色素構成成分を溶液の中で対合させることにより、さらなる試薬を使用することなく形成させることができる。さらなる例として、三量体色素は、溶液中の2つの核酸結合色素構成成分と1つの非核酸結合蛍光色素構成成分から、さらなる試薬を使用することなく調製することができる。H−二量体の形成によっては、非DNA結合状態で色素を捕捉するために有用な方法が提供される。これにはPCRに対する阻害作用はなく、そしてこれは、DNAが存在する場合にのみ、オープンランダムな状態またはDNA結合状態へとシフトする。したがって、有効色素濃度またはオープンランダムな状態にある色素の濃度は、高い全色素濃度がqPCR感度を高めるために使用される場合にもなお、低く保つことができる。
【0062】
上記のように、本明細書中に記載される色素の中でのH−二量体の形成は、別の主要な利点を伴う場合もある。この予想外の利点は、色素の中でのH−二量体の形成によって、qPCRの用途においてPCRに対する色素の阻害作用を有意に減少させることができることである。例として、通常、所定の濃度のDNA試料については、蛍光DNA色素からの蛍光シグナルは、色素が飽和するまでは色素濃度に比例する。例として、色素濃度が高ければ高いほど、DNA−色素錯体の形成はより多くなる。したがって、色素が飽和するまでは、より多く、またはより明るい蛍光となる。したがって、理想的には、qPCRの用途における最大感度のためには、十分に高い色素濃度を用いて開始することが望ましいであろう。しかし、実際は、qPCRにこれまでに使用されてきた全てのDNA色素は、様々な程度でDNAの増幅プロセスを阻害する。典型的には、このようなこれまでの色素のより高い濃度は、増幅またはPCRプロセスの色素によるより大きな阻害を伴う。したがって、このようなこれまでの色素の濃度は、通常、非qPCRの用途についての濃度よりも、qPCRの用途についてははるかに低くなってしまっている。
【0063】
qPCRの用途における色素濃度のこの低下によっては、qPCRに最も広く使用されるDNA色素(例えば、SYBR Green I)の以下の議論から明確に理解できるように、終点蛍光シグナル強度の犠牲が生じる。qPCRにおいて使用されるSYBR Green 1の濃度は製造業者によっては提供されておらず、結果として、他の色素との正確な比較は容易ではなく、日常的な方法で行うことはできない。しかし、色素の濃度がBeerの法則(Beer’s law)に従いその光学密度と直線的な関係にあるため、qPCRにおいて使用されるSYBR Green 1溶液、およびqPCRにおいて使用される別の色素溶液の光学密度の特性を、それぞれの濃度を少なくとも定性的に比較するために使用することができる。例えば、qPCRにおいて使用されるSYBR Green 1溶液についての典型的な光学密度は、0.025から0.05であるが、一方、qPCRに使用される本明細書中の表2のDye No.19の溶液についての光学密度は、通常は、約0.04から約0.8、またはより典型的には、約0.1から約0.4である。SYBR Green I色素は、色素濃度が、0.5×の濃度(これは、495nmの吸収ピークでの0.025の光学密度に対応する)から1×の濃度(これは、同じ吸収ピークでの0.05の光学密度に対応する)に増大すると有意な阻害作用を示す。図8に示されるように、SYBR Green Iは1×の濃度では0.5×濃度のSYBR Green Iと比較すると、より高い終点蛍光シグナルを有しているが、1×の色素濃度に付随するサイクル数、またはCt値は遅れる。この遅れたCt値は、SYBR Green Iが、より高い濃度ではPCRを有意に阻害することを示している。二量体色素AOAO−12は、色素濃度が、1×の色素濃度(これは、471nmの吸収ピークでの0.1の光学密度に対応する)から2×の色素濃度(これは、同じ吸収ピークでの0.2の光学密度に対応する)に上昇しても、阻害をほとんど示さないか、または全く阻害を示さない。AOAO−12はPCRの阻害をほとんど示さないかまたは全く示さないため、これは、比較的高い濃度で使用することができ、そして図9に示されるように、SYBR Green Iの蛍光シグナルよりも数倍高くなり得る蛍光シグナルを提供する。簡単に説明すると、AOAO−12は、広範な濃度においてPCR阻害をほとんど示さないかまたは全く示さず、したがって高い蛍光シグナルのためにより高い濃度で使用することができる。
【0064】
本明細書中に記載される色素に付随する可能性があるPCR阻害が上記のように実質的にはないことにより、より高い色素濃度を使用することができ、これは、図1に模式的に示される「リリースオンデマンド」機構によって説明することができると考えられる。すなわち、溶液中では、二量体色素は、図1に示されるように、閉じたヘアピン立体構造とオープンランダムな立体構造の間での動的平行状態として存在しているト考えられる。一般的には、ヘアピン立体構造は、オープンランダムな立体構造よりもはるかに安定であり、そして優勢である。色素のヘアピン立体構造の優勢は、紫外線/可視光線スペクトルによってサポートされる。これは、単量体スペクトルと比較して、二量体スペクトルの実質的なシフトを示す。ヘアピン立体構造は色素の不活性な形態であるが、一方、オープン立体構造は色素の活性な形態であり、DNAに結合することができる。DNAが存在する場合は、オープン立体構造の色素はDNAに結合した立体構造へとシフトし、ヘアピン立体構造であるより多くの色素は、オープン立体構造へとシフトする。そして、オープン立体構造の色素は非常に低い濃度のままとなる。言い換えると、色素の大部分はDNAに結合していないヘアピン立体構造で捕捉され、そして、より多量のDNAの存在に反応して、オープン立体構造またはDNA結合形態に対してのみ放出される。この「リリースオンデマンド」機構により、PCRプロセス自体には有害な影響を与えることなく、比較的高い濃度で色素を使用することが可能となる。本明細書中に記載される色素とは異なり、SYBR Green Iは、色素の有効濃度を下げることを助ける非DNA結合立体構造を有してはおらず、したがって、高度な濃度依存性のPCR阻害作用を示す。
【0065】
本明細書中に記載される核酸染色は比較的簡単であり、そして望ましい規模(例えば、数グラムから数10グラムで測定される量)で、日常的に行われているように調製することができる。これらの核酸染色は、DNA増幅の検出に、および比較的日常的に行われている研究の用途に、非常に広く使用することができる。例として、蛍光核酸色素は、実質的に非配列選択的様式で、または比較的一般的な様式で、DNAの存在および量を検出するために使用することができる。
【0066】
BRIDGEは、すぐ下に示される式(式1)を有し得る。
式1
【0067】
【化49】

式1においては、置換基Lおよび置換基L(それぞれ、単純に「L」と呼ばれる場合もある)のそれぞれの置換基は、BRIDGEの一部である。LはQ色素構成成分およびQ色素構成成分のうちの一方の色素構成成分に共有結合させられており、そしてLは、Q色素構成成分とQ色素構成成分(上記1つの色素構成成分以外のもの)の色素構成成分に共有結合させられている。LおよびLはそれぞれ独立して、単結合を含む部分;状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から約12個の炭素(1、12を含む)を有しているポリメチレン単位;または、状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれているアリール基である。(CH)メチレン単位の下つき文字、すなわち、α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、およびιは同じである場合も、また異なる場合もあり、それぞれが独立して、関連するメチレン単位の大きさを示しており、0、または1から約20まで、または1から約12までの整数である。式1の括弧つきの部分に伴う下つき文字、すなわち、a、b、c、d、e、f、g、h、およびiは同じである場合も、また異なる場合もあり、それぞれが独立して、式の関連する括弧つきの部分の大きさを示しており、そして、0、または1から約20まで、または1から約10まで、または1から約5までの整数である。
【0068】
、A、A、A、A、A、A、A、A、およびA10は同じである場合も、また異なる場合もあり、これらはそれぞれ独立して、核酸の結合を促進する基(NABEG);状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている分岐したアルキル;あるいは、状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている少なくとも1つの飽和した5員環または6員環である。A、A、A、A、A、A、A、A、A、およびA10は、BRIDGEに多くても1つの正電荷が含まれるか、またはBRIDGEが実質的に中性であるようなものであり得る。後者の場合には、これらの構成要素はそれぞれ独立して、それ自体が実質的に中性(実際に中性を含む)のものであり得る。NABEGは、高い電気陰性度のヘテロ原子またはSが少なくとも1つ含まれている、少なくとも1つの連結結合(bond linkage)が含まれている部分;および、状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれているアリール基を含む、少なくとも1つの連結結合が含まれている部分から選択され得る。高い電気陰性度のヘテロ原子またはSが少なくとも1つ含まれている、少なくとも1つの連結結合が含まれている部分の例としては、少なくとも1つのアミド結合、ウレタン結合、尿素結合、チオ尿素結合、エーテル結合、またはチオエーテル結合が含まれている部分が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0069】
、A、A、A、A、A、A、A、A、およびA10の1つは、すぐ下に示される式(式2)に示されるように、分岐B’とリンカーLを介してQに共有結合させられた分岐単位であり得る。
式2
【0070】
【化50】

式2においては、Tは、置換された炭素、置換された窒素、または状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれているアリール基であり得る。B’は、すぐ下に示される式(式3)を有する。
式3
【0071】
【化51】

式3の−(CHα’は、式2のTに共有結合させられており、そして式3のA14は式2のLに共有結合させられている。A11、A12、A13、およびA14はそれぞれ独立して、式1のA、A、A、A、A、A、A、A、A、およびA10のそれぞれに関して先に記載されたような、中性、または実質的に中性の核酸の結合を促進する基(NABEG);状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている中性の分岐したアルキル;あるいは、状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている少なくとも1つの飽和した5員環または6員環であり得る。(CH)メチレン単位の下つき文字、すなわち、α’、β’、γ’、およびδ’は同じである場合も、また異なる場合もあり、それぞれが独立して、関連するメチレン単位の大きさを示しており、そして0、または1から約20までの整数である。式3の括弧つきの部分に伴う下つき文字、すなわち、a’、b’、およびc’は同じである場合も、また異なる場合もあり、それぞれが独立して、関連する括弧つきの部分の大きさを示しており、そして、0、または1から約20までの整数である。
【0072】
式2においては、Lは独立して、式1のL構成成分のそれぞれに関して先に記載されたような、単結合を含む部分;状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から約12個の炭素を有しているポリメチレン単位;または、状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれているアリール基であり得る。得られる分子は、三量体核酸染色である。
【0073】
、A、A、A、A、A、A、A、A、およびA10の1つは、すぐ下に示される式(式4)に示されるように、分岐B’とリンカーLを介して反応基Rに共有結合させられた分岐単位であり得る。
式4
【0074】
【化52】

式4においては、T、B’、およびLは、LがRに共有結合させられていることを除き、式2および式3に関して上記に示されたものと同様に定義される。得られる分子は、上記の構造3によって示される核酸染色であり得る。
【0075】
反応基−Rを有している色素は、適切な官能基を含むか、または適切な官能基を含むように誘導される任意の多種多様な分子を標識するために使用することができる。用語「反応基」は、「反応基」または「官能基」を意味するように使用することができ、そして、用語「官能基」は、「反応基」または「官能基」を意味するように使用することができることが理解される。いずれかの用語は、そしていずれの用語も、色素に対して結合を形成する基、または標識される基質分子上に結合を形成する基を意味する場合がある。ここでは、便宜上(限定ではないが)、色素に対して結合を形成する基が、一般的には、反応基と呼ばれ、そして、基質分子に対して結合を形成する基が、一般的には、官能基と呼ばれるであろう。単例ではあるが、反応基または官能基−Rを有している色素は、1つまでの正電荷を有し得る。
【0076】
一般的には、基質分子に対する色素の結合は、結合した基質分子に対する色素の核酸検出特性を付与することができる。反応基および官能基は、通常は、それぞれ、求電子試薬および求核試薬であり、これらは共有結合を形成することができる。別の場合には、反応基は、紫外線での光活性化または光分解されると、炭化水素分子と反応することができる光活性させることができる基である。さらに別の場合は、反応基は、Diels−Alder反応によって結合したジエンと反応することができる求ジエンである。なおさらに別の場合は、反応基は、求ジエンと反応することができる1,3−ジエンである。なお他の反応基/官能基の対を、Staudinger化学反応またはアジド基と末端アルキンとの間での反応(いわゆる、Click化学反応)に基づいて選択することができる。単なる例ではあるが、有用な反応基、官能基、および対応する結合の例が、以下の表1に列挙される。
【0077】
【表1】

活性化エステルは、当該分野で理解されているように、通常は、式−COΩを有する。式中、Ωは、良好な離脱基(例えば、スクシンイミジルオキシ(−OC)、スルホスクシンイミジルオキシ(−OC−SOH)、または−1−オキシベンゾトリアゾリル(−OC));あるいは、活性化アリールエステルを形成させるために使用されるアリールオキシ基、または電子吸引性の置換基(例えば、ニトロ、フルオロ、クロロ、シアノ、トリフルオロメチル、またはそれらの組み合わせ)によって1回以上置換されたアリールオキシ;あるいは、あるいは、無水物または混合無水物−OCORもしくはOCNR−NHR(式中、RおよびRは同じである場合も、また、異なる場合もあり、これらは独立して、C〜Cアルキル、C〜Cパーフルオロアルキル、またはC〜Cアルコキシであり得る)を形成するようにカルボジイミドによって活性化させられたカルボン酸;あるいは、シクロヘキシル、3−ジメチルアミノプロピル、あるいはN−モルホリノエチルである。
**アジ化アシルはまた、イソシアネートの位置を変えることもできる。
【0078】
反応基は、アミン、チオール、またはアルデヒドと反応するであろうものである場合がある。反応基は、アミノ反応基(例えば、スクシンイミジルエステル)、またはチオール反応基(例えば、マレイミド、ハロアセトアミド、もしくはメタンチオ−スルホネート(MTS))、またはアルデヒド反応基(例えば、アミン、アミノオキシ、もしくはヒドラジド)であり得る。
【0079】
反応性色素は、任意の多種多様な基質分子に結合させることができる。例えば、適切な基質は、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ペプチド、タンパク質、ハプテン、薬剤、マイクロ粒子、合成ポリマー、天然ポリマー、生物学的細胞、ウイルス、固体表面(例えば、シリコンウェハーの表面、ポリプロピレン基質もしくは容器の表面など)の分子であり得る。標識される分子は、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ペプチド、または核酸と相互作用することができる分子であり得る。例えば、DNA結合色素は、qPCRの用途のためのオリゴヌクレオチドをベースとするプローブを標識するために使用されている。Shiguro,T.et al.,Nucleic Acids Res.24:4992−7(1996)。
【0080】
、A、A、A、A、A、A、A、A、およびA10は同じである場合も、また異なる場合もあり、これらは独立して、高い電気陰性度のヘテロ原子またはSが少なくとも1つ含まれている、少なくとも1つの連結結合が含まれている部分;および、状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれているアリール基から選択されるNABEGであり得る。高い電気陰性度のヘテロ原子またはSが少なくとも1つ含まれている、少なくとも1つの連結結合が含まれている部分の例としては、少なくとも1つのアミド結合、ウレタン結合、尿素結合、チオ尿素結合、エーテル結合、またはチオエーテル結合が含まれている部分が挙げられるが、これらに限定はされない。A、A、A、A、A、A、A、A、A、およびA10は、BRIDGEに多くても1つの正電荷が含まれるか、またはBRIDGEが実質的に中性であるようなものであり得る。後者の場合には、これらの構成要素はそれぞれ、それ自体が実質的に中性(実際に中性を含む)であり得る。
【0081】
BRIDGEには、先に記載されたように、任意の適切な数の水素以外の原子(例えば、約10個から約100個までの水素以外の原子、または例えば、二量体色素については、約12個から約60個までの水素以外の原子、そして、三量体色素については、約20個から約100個までの水素以外の原子)が含まれ得る。例えば、BRIDGEには、二量体色素については、約15個から約40個の水素以外の原子が含まれ得、そして三量体色素については、約30個から約70個までの水素以外の原子が含まれ得る。
【0082】
単なる例ではあるが、BRIDGEは、すぐ下に示される式(式5)を有し得る。
式5
【0083】
【化53】

1つのこのような場合においては、例えば、BRIDGEのLは−(CH−であり、そしてBRIDGEのLは−(CH−である。式中、xはそれぞれ独立して、1から11(1、11を含む)から選択される整数であり;BRIDGEのAは−C(=O)NH−であり;BRIDGEのaは1であり、BRIDGEのAは−O−であり;BRIDGEのAは−O−であり;αは、2から約20(2、20を含む)から選択される整数であり得;βおよびγはそれぞれ独立して、2または3であり得;bは0または2から約20までから選択される整数であり得;そしてcは0または1であり得;BRIDGEのd、e、f、g、h、およびiはそれぞれ0であり、そしてBRIDGEのA10は−NH(O=C)C−である。単なる例ではあるが、BRIDGEは、記載されたようなものであり得、式中、cは1である。さらに、単なる例ではあるが、BRIDGEは、記載されたようなものであり得、式中、cは1であり、さらに、xは5であり得;αおよびγは同じであり得、そして2または3であり得;βは2であり得;そしてbは0、1、2、または3であり得る。
【0084】
単量体色素
二量体色素および三量体色素に使用される構成成分である単量体色素または機能性分子Q1、Q2、およびQ3のそれぞれは、別々に、以下から選択することができる:1)蛍光核酸色素;2)非蛍光核酸結合分子;3)蛍光非核酸色素;および4)非蛍光非核酸色素。一般的には、Q1、Q2、およびQ3は、DNAが存在しない条件での分子内二量体の形成、ならびにDNAに結合した場合の高度に蛍光を発するDNA−色素錯体の形成を促進または確実にする様式で選択され、そして、BRIDGEを介して共有結合させられ得る。分子内二量体の形成は、先に記載されたように、二量体色素の有用なヘアピン立体構造を提供するために十分であり得る。このような二量体色素は望ましい特性(例えば、低いバックグラウンドの蛍光と低いPCRの阻害)を有している場合がある。先に記載されたように、本明細書中に記載される二量体色素を比較的高濃度で使用して、望ましいまたは強い蛍光シグナルを生じさせることが可能である。
【0085】
分子内二量体の形成は、水溶液中の二量体色素および三量体色素の吸収スペクトルを、これもまた水溶液中の関連する単量体色素の吸収スペクトルと比較することによって確認することができる。任意の分子内二量体形成色素は、関連する単量体色素のスペクトルと比較すると、二量体または三量体中の構成成分である単量体色素のスペクトルが有意にシフトすることを生じるはずである。これに関して、有意なシフトは、例えば、約10nmまたはそれ以上であり得る。例えば、図2においては、AOAO−7に付随するスペクトルは、DMAOのスペクトルと比較すると有意にシフトする。
【0086】
分子内二量体形成がH−二量体形成である場合には、スペクトルは、通常、有意な青色のシフトを受ける。これに関して、有意なシフトは、例えば、約10nmまたはそれ以上であり得る。他のタイプの分子内二量体の形成もまた可能であり、これによっては、別の方向でのスペクトルのシフト、構成成分である単量体色素のそれぞれについて異なる方向でのスペクトルのシフト、有意ではないスペクトルのシフトが生じる場合も、また、スペクトルのシフトが生じない場合もある。これに関して、有意ではないシフトは、例えば、約5nmまたはそれ未満であり得る。一般的には有意なスペクトルのシフトが観察されない場合には、他の分析技術を、任意の分子内二量体の形成を確認するために使用することができる。このような分析技術としては、例えば、核磁気共鳴(NMR)スペクトル分析、赤外線スペクトル分析、および蛍光スペクトル分析が挙げられるが、これらに限定はされない。任意の分子内色素の凝集(これは、ヘアピン構造を生じる)が一般的には望ましい。
【0087】
Q1、Q2、およびQ3の様々な組み合わせが有用であり得る場合も、また望ましい場合もある。単なる例ではあるが、二量体色素は、図10に模式的に示されるように、Q1とQ2の5種類の様々な組み合わせによって構築することができる。さらなる例として、調製される色素と関連する中間体の例が、以下の表2に列挙される。
【0088】
【表2−1】

【0089】
【表2−2】

【0090】
【表2−3】

【0091】
【表2−4】

【0092】
【表2−5】

表2に示された多くの構造は1つ以上のヨウ素陰イオン、任意の他の適切な陰イオン(例えば、本明細書中に記載されるもの)(例えば、単なる例ではあるが、塩化物陰イオン)を、示されるヨウ化物陰イオンの代わりに使用することができることを示している。
【0093】
本発明の二量体色素には、蛍光核酸色素Qと蛍光核酸色素Qが含まれる場合がある。式中、QおよびQは同じである場合も、また異なる場合もある。QとQが同じである場合には、得られる色素はホモ二量体(例えば、単なる例ではあるが、表2の色素番号6〜22、24〜26、および28〜36のいずれか)である。QとQが、同様の吸収スペクトルおよび放射スペクトルを有している異なる蛍光核酸色素である場合には、得られる二量体はヘテロ二量体であり、例えば、単なる例ではあるが、表2の色素番号23である。このようなヘテロ二量体は、ホモ二量体と機能的に類似している。いずれの場合にも、QとQはいずれもレポーター色素であり、結果として、DNAに結合すると、図10の組み合わせAに模式的に示されるように、これらはいずれも検出される蛍光シグナルに寄与する。あるいは、ヘテロ二量体色素には、実質的には異なる吸収スペクトルおよび放射スペクトルを有している2つの異なる蛍光核酸色素が含まれ得る。この場合、2つの色素の一方だけが、レポーター色素として選択される。
【0094】
およびQは、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)対を形成する場合がある。この場合は、より短い波長を有している色素が蛍光ドナー色素として作用し、一方、より長い波長を有している色素は、アクセプター色素もしくはレポーター色素として作用する。十分なFRETを生じさせるためには、ドナー色素の放射スペクトルと吸収スペクトルは十分に重複している必要がある。FRETについてのさらなる議論は、Foerster,Ann.Phys.(1948);およびStryer,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(1967)に提供されている。FRETをベースとする色素により、1つの波長での励起と、実質的にはそれよりも長い波長での蛍光の再放射が可能となる。
【0095】
実質的にはスペクトルが異なるQおよびQが含まれているヘテロ二量体がFRETをベースとする色素ではない場合には、QとQのいずれか一方(同時に両方がそうであることはない)がレポーター色素として選択され得る。他のレポーターではない色素は、必要な分子内二量体の形成のためのパートナーとして作用し、そして二量体色素についてのさらなる核酸結合能力を提供する。1つのレポーター色素、蛍光核酸色素Q、および1つの非レポーター色素、非蛍光核酸結合分子Qを有しているヘテロ二量体色素の一例が、図10の組み合わせBに模式的に示される。
【0096】
ヘテロ二量体色素には、非蛍光核酸結合分子Qと、蛍光非核酸色素Qが含まれ得る。ここでは、Qはレポーター色素であり、一方、QはDNAアンカー色素として、および必要な分子内二量体の形成のための対合パートナーとして作用する。このタイプのヘテロ二量体についてのDNA結合様式は、図10の組み合わせCに模式的に示される。
【0097】
ヘテロ二量体色素には、蛍光核酸結合分子Qと、非蛍光非核酸色素Qが含まれ得る。このような場合は、Qはレポーター色素であり、そしてQは、必要な分子内二量体の形成のための対合パートナーとして作用する。このタイプのヘテロ二量体についてのDNA結合様式は、図10の組み合わせDに模式的に示される。
【0098】
ヘテロ二量体色素には、蛍光核酸結合分子Qと、蛍光非核酸色素Qが含まれ得る。QとQが類似する吸収スペクトルおよび放射スペクトルを有している場合には、QおよびQの両方がレポーター色素であるが、Qだけが核酸に結合する。このタイプのヘテロ二量体についてのDNA結合様式は、図10の組み合わせEに模式的に示される。QとQがFRET対を形成する場合には、より短い波長を有している色素が蛍光ドナー色素として作用し、一方、より長い波長を有している色素は、アクセプターまたはレポーター色素として作用する。QとQのスペクトルが実質的に異なり、FRET対ではない場合には、QおよびQのいずれか一方(同時に両方がそうであることはない)がレポーター色素として選択され得る。この後者の場合の一例は、ヘテロ二量体AORO−7(表2の色素番号27)であり、図12および13に示されるように、これには、503nmと523nm(DNA)にそれぞれ吸収ピークと放射ピークを有しているAOと、600nmと約620nmにそれぞれ吸収ピークと放射ピークを有しているロサミン色素が含まれている。図14には、Bio−Rad Laboratories(Hercules,CA)によるiCycler IQ Multiple−Color Real−Time PCR Detection System上でチャンネル番号3を使用することにより、レポーター色素として選択された蛍光非核酸ロサミン色素構成成分を用いた、AORO−7を使用するPCR増幅プロットが示される。
【0099】
二量体色素には、2つの同じ蛍光核酸色素、および2つの異なる蛍光核酸色素から選択される、単量体色素の対が含まれ得る。
【0100】
三量体色素には、蛍光核酸色素Q、蛍光核酸色素Q、蛍光核酸色素Qが含まれ得る。この場合、Q、Q、およびQは同じである場合も、また異なる場合もある。例えば、Q、Q、およびQは、同じ蛍光核酸色素であり得る。三量体色素には、蛍光核酸色素Q、蛍光核酸色素Q、蛍光非核酸色素Qが含まれ得る。この場合、QとQは、DNAアンカー分子として作用し、そしてQはレポーター色素である。本発明の三量体色素には、非蛍光核酸結合分子Q、非蛍光核酸結合分子Q、および第3の蛍光非核酸色素Qが含まれ得る。この場合、QとQは、DNAアンカー分子として作用し、そしてQはレポーター色素として作用する。
【0101】
蛍光核酸色素、非蛍光核酸結合分子、蛍光非核酸色素、非蛍光非核酸色素、およびその例は、以下でさらに記載される。
【0102】
蛍光核酸色素
色素を構築するために適している単量体蛍光核酸色素の例としては、アクリジン色素、非対称シアニンをベースとする核酸染色、フェナントリジニウム色素、対照シアニン核酸染色、DAPIの誘導体、およびHoechst色素の誘導体が挙げられるが、これらに限定はされない。DAPIおよびHoechst色素は、一般的には、これらは結合の形成のための反応基を有していないとの理由から、BRIDGEに直接結合させることができない。この状況では、誘導(derivative)は、塩基色素(例えば、DAPIまたはHoechst色素)を意味し、これは、例えば、反応基の付加によって、結合の形成に十分であるように修飾される。
【0103】
アクリジン色素
単なる例ではあるが、単量体蛍光核酸色素は、すぐ下に示される一般的構造(構造4)を有しているアクリジン色素であり得る。
構造4
【0104】
【化54】

アクリジンオレンジ(AO)は、緑色の蛍光でdsDNAを染色し、赤色の蛍光でRNAを染色するアクリジン色素である。Traganos,et al.,J.Histochem.Cytochem.25(1),46(1977)。いくつかの他のアクリジン色素とは異なり、AOは高い消散係数(>50,000)と、長い吸収波長(λabs=500nm(DNA結合))を有している。しかし、核酸に対するAOの親和性は非常に低く、色素は核酸が存在しない条件では、有意な内部蛍光を有する。これに関して、内部蛍光のレベルは、これが、色素が、低いレベル(例えば、低いナノグラム/mLの範囲)で核酸を検出すること、または、脱染色工程を伴うことなくゲル中の核酸の検出することにおいて使用されることを妨げる点で有意であり得る。結果として、AO自体は、DNAまたはRNAの定量に、特に、リアルタイムqPCRのような用途に付随する高感度のDNAの検出にはほとんど有用性はない。
【0105】
アクリジン色素は、環構造上の様々な位置に任意の様々な置換基を含む場合がある。置換基の性質とその置換位置は、生じる色素のスペクトル特性に強く影響を与え得る。一般的には、3位および6位の電子供与置換基と、9位の電子吸引性置換基は、通常、色素の吸収スペクトルと放射スペクトルを赤色にシフトさせる。典型的な電子供与基の例としては、アミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、およびアルキルメルカプト基が挙げられるが、これらに限定はされない。典型的な電子吸引基の例としては、シアノ基、パーフルオロアルキル基、カルボキサミド基、スルホンアミド基、ニトロ基、およびハロゲン基が挙げられるが、これらに限定はされない。コア構造と縮合させられた任意のさらなる環構造もまた、生じる色素の波長を長くするであろう。
【0106】
構造4の様々な部分がここで記載される。構造4においては、本明細書中に提供されるかまたは記載される種々の他の単量体色素構造に見られるように、下付き文字が後に続く「R」の記号(例えば、R)は、単なる例ではあるが、BRIDGEの一部ではない構造の置換基を示す場合も、また、BRIDGEが構造に結合していることを示す場合もある。この場合は、これは構造の置換基ではない。蛍光の放射、H;1個の炭素から6個の炭素を有しているアルキルまたはアルケニル;ハロゲン;−OR;−SR;−NR;−CN;−NH(C=O)R;−NHS(=O);または−C(=O)NHR10であり得る;任意の隣接するRの対は、状況に応じて、5員環または6員環の飽和または不飽和環を形成し、これにはさらに状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれる;そして、Rの1つは、先に記載されたように−L−Rであるか、またはRの1つは、BRIDGEが構造に結合していることを示す。この場合、Rは単なる例であり、実際には、単量体色素の置換基ではない。Rに、R、R、R、R、R、R、および、R10の少なくとも1つが含まれている任意の場合においては、それらのうちの任意の適用可能なものは、独立して、Hまたは1個の炭素から6個の炭素を有しているアルキルであり、任意の適用可能な隣接しているRとRの対については、RとRは独立して、5員環または6員環の飽和または不飽和環を形成する場合がある。これには、状況に応じて、NおよびOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれる。
【0107】
通常、Rは、H;1個の炭素から6個の炭素を有しているアルキルまたはアルケニル;状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれているアリール;ハロゲン;−OR11;SR12;−NHR13;−CN;または−C(=O)NHR14であるか;あるいは、BRIDGEが構造に結合していることを示す。RにR11、R12、R13、およびR14の少なくとも1つが含まれている任意の場合においては、これらの任意の適用可能なものは、独立して、H、または1個の炭素から6個の炭素を有しているアルキルである。
【0108】
通常、Rは、H;または1個の炭素から6個の炭素を有しているアルキルであるか;あるいは、BRIDGEが構造に結合していることを示す。
【0109】
Ψは陰イオンであり、例えば、色素と会合している正電荷を平衡化させる陰イオンである。Ψは生物学的に適合するものであり得る。適切な陰イオンの例としては、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、およびヘキサフルオロリン酸塩が挙げられるが、これらに限定はされない。単なる例ではあるが、陰イオンは塩化物またはヨウ化物であり得る。
【0110】
、R、およびRの1つだけが、BRIDGEが構造に結合していることを示さなければならない。単なる例ではあるが、RおよびRの一方が、BRIDGEが構造に結合していることを示す場合がある。本明細書中に記載されるように、BRIDGEは、単量体アクリジン色素、例えば、本明細書中に記載される任意のそのような色素に、および、別の適切な単量体色素に共有結合させて、二量体色素を形成させることができるか、または、2つの他の適切な単量体色素に結合させて三量体色素を形成させることができる。一般的には、R、R、およびRの1つだけが、先に記載されたように、状況に応じて、−L−Rであり得る。二量体色素または三量体色素には、−L−Rが1つだけ含まれる場合がある。
【0111】
単なる例ではあるが、単量体アクリジン色素は、すぐ下に示される構造(構造5)を有し得る。
構造5
【0112】
【化55】

構造5においては、一般的には、Rはそれぞれ独立して、HまたはC1〜C2アルキルであり、RとRの一方は、BRIDGEが構造に結合していることを示す;状況に応じて、RとRの一方は、先に記載されたように、−L−Rであり得る;Rが、BRIDGEが構造に結合していることを示さず、そしてL−Rではない場合には、Rは、H、−CH、−NH、−NHCH、−CN、および−C(=O)NHから選択される;Rが、BRIDGEが構造に結合していることを示さず、そしてL−Rではない場合には、Rは、Hまたは−CHから選択され;RとRはそれぞれ独立して、HまたはC1〜C2アルキルであり;そして、Ψは、先に記載されたように、陰イオンである。単なる例ではあるが、隣接しているRまたはRとRのそれぞれの対について、RまたはRとRは独立して、一緒に、5員環または6員環の飽和または不飽和環を形成する場合がある。
【0113】
1つの例においては、構造5によって示されるような単量体アクリジン色素は、RがそれぞれHであり;RがHであり;Rが、BRIDGEが構造に結合していることを示し;Rがそれぞれ−CHであり;Rがそれぞれ−CHであり;そして、Ψが、先に記載されたように、陰イオンであるようなものであり得る。
【0114】
単なる例ではあるが、二量体色素には、同じ構造5の単量体アクリジン色素分子が2つと、式5のBRIDGEを含まれる場合がある。
【0115】
非対称シアニン色素
単なる例ではあるが、単量体蛍光核酸色素は、すぐ下に示される一般的構造(構造6)を有している非対称シアニン色素であり得る。
構造6
【0116】
【化56】

非対称シアニン色素の一般的構造(構造6 上記)には、置換されたベンザゾリウム環である複素環;メタンまたはポリメチン架橋;および、置換されたピリジニウムまたはキノリニウム環である複素環が含まれる。構造の中の点線は、1つ以上の縮合された芳香族環を形成するために必要な原子を示し、これには、状況に応じて、四級化されている場合も、また四級化されていない場合もある1つ以上の窒素が組み込まれている。点線が1つ以上の窒素原子を含む6員環を示す場合は、生じる縮合環は、アザベンゾール環と呼ばれる。
【0117】
構造6においては、一般的に、ベンザゾリウム環上のRおよびR’はそれぞれ独立して、H;1個の炭素から6個の炭素を有しているアルキルまたはアルケニル;ハロゲン;−OR;−SR10;−NR1112;−CN;−NH(C=O)R13;−NHS(=O)14;または−C(=O)NHR15である。単なる例ではあるが、RおよびR’の一方は、Xに対して、またはベンザゾール窒素に対してメタである置換基であり得る。この場合、置換基によって、以下にさらに記載されるような、少なくとも1つの所望される特性が付与される。RまたはR’に、R、R10、R11、R12、R13、R14、および、R15の少なくとも1つが含まれている任意の場合においては、それらのうちの任意の適用可能なものは、独立して、H;または1個の炭素から12個の炭素を有しているアルキルであり、これには、状況に応じて1個から12個の窒素が組み込まれている;または、アリールであり;そして、任意の適用可能なR11とR12は、一緒に、5員環または6員環の飽和または不飽和環を形成し得、これには、状況に応じて、NおよびOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれる。
【0118】
上記のように、構造6のRおよびR’の一方は色素に対して少なくとも1つの望ましい特性を付与する置換基であり得る。1つの好ましい所望される特性は、DNA小溝結合である。小溝結合分子は、通常、二本鎖DNAの小溝に適合する三日月形の形状の構造を有している。自然界に存在している分子が含まれる場合があるDNA小溝結合色素分子または非色素分子の例としては、DAPI,Hoechst色素、ジスタマイシンA、ネトロプシン、ならびに、N−メチルピロールおよびN−メチルイミダゾールのポリアミドをベースとする多数の合成の小溝結合剤の任意のものが挙げられるが、これらに限定はされない。Biotium,Inc.のカタログ(Hayward,California(CA)),2005−2006;Boger,et al.,Acc.Chem.Res.37,61(2004);およびDervan,P.B.,Bioorg.& Med.Chem.9,2215(2001)。小溝結合剤の三日月形の形状は、通常、5員環または6員環の、小溝結合剤置換基でのメタ置換によって作成される。小溝結合剤置換基としては、置換されたまたは未置換のベンゾキサゾール−2−イル、置換されたまたは未置換のベンズイミダゾール−2−イル、置換されたまたは未置換のベンゾチアゾール−2−イル、置換されたまたは未置換のイミダゾール−2−イル、置換されたまたは未置換のオキサゾール−2−イル、置換されたまたは未置換のチアゾール−2−イル、置換されたまたは未置換のN−メチルピロリル−2−アミノカルボニル、置換されたまたは未置換のN−メチルピロリル−3−カルボキサミド、置換されたまたは未置換の1−メチルイミダゾール−2−カルボキサミド、置換されたまたは未置換の1−メチルイミダゾール−4−アミノカルボニル、置換されたまたは未置換のフェニル、置換されたまたは未置換のピリジル、置換されたまたは未置換のピラジニル、ならびに、置換されたまたは未置換のトリアジニルが挙げられるが、これらに限定はされない。DNA色素は、米国特許出願公開番号2004/0132046に記載されているような小溝結合剤置換基によってメタ置換される場合がある。
【0119】
およびR’の一方は、先に記載されたように、−L−Rであり得る。RおよびR’の一方は、BRIDGEが構造に結合していることを示す場合がある。
【0120】
Xは、OおよびSから選択される。一般に、XがSである色素は、XがOである類似する色素よりも長い吸収波長および放射波長を有する。
【0121】
は、メチルまたはエチルであり得るか、あるいは、BRIDGEが構造に結合していることを示す場合もある。単なる例ではあるが、Rはメチルまたはエチルであり得る。
【0122】
下付き文字nは、任意のメチン架橋における二重結合単位の数を示し、これは0、1、および2から選択される。通常、より長いメチン架橋を有している色素は、より短いメチン架橋を有している色素よりも長い波長を有するであろう。単なる例ではあるが、nは0または1であり得る。
【0123】
置換基R、R、およびRは、独立して、Hまたは−CHである。状況に応じて、これらの置換基の任意の隣接している対は、5員環または6員環を形成する場合がある。単なる例ではあるが、R、R、およびRはHであり得る。
【0124】
一般的に、置換基R、R、およびR’はそれぞれ独立して、H;状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から10個の炭素を有しているアルキルまたはアルケニル;ハロゲン;−OR16;−SR16;−NR1617;状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される1個から3個のヘテロ原子が含まれている、置換されたまたは未置換のアリールであり得る。RおよびR’は、一緒に、縮合された芳香環を形成する場合がある。これは、C1〜C2アルキル、C1〜C2アルコキシ、C1〜C2アルキルメルカプト、またはハロゲンで、別々にさらに1回から4回置換される場合もある。R、R、およびR’のいずれかにR16およびR17の少なくとも一方が含まれている任意の場合には、これらのうちの任意の適用可能なものは、独立して、H;または状況に応じて1個から2個の窒素が組み込まれている、1個の炭素から12個の炭素を有しているアルキルであり;そして、任意の適用可能なR16およびR17は、一緒に、5員環または6員環の飽和または不飽和環を形成する場合がある。これには、状況に応じて、NおよびOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれる。
【0125】
は、BRIDGEが構造に結合していることを示す場合がある。Rは、先に記載されたように、−L−Rである場合がある。
【0126】
は、H;状況に応じて、アリールと、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から10個の炭素を有しているアルキルまたはアルケニル;状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される1個から3個のヘテロ原子が含まれている、置換されたまたは未置換のアリール;先に記載されたような、−L−Rから選択されるか;あるいは、BRIDGEが構造に結合していることを示す場合もある。
【0127】
Ψは、先に記載されたように、陰イオンである。
【0128】
、R’、R、R、およびRの1つだけが、BRIDGEが構造に結合していることを示さなければならない。本明細書中に記載されるように、BRIDGEは、単量体の非対称シアニン色素、および別の適切な単量体色素に共有結合させ、二量体色素を形成させることができるか、あるいは、単量体の非対称シアニン色素と2つの他の適切な単量体色素に共有結合させ、三量体色素を形成させることもできる。一般的には、先に記載されたように、R、R’、R、R、およびRの1つだけが、状況に応じて−L−Rであり得る。より通常は、二量体色素または三量体色素には、−L−Rが1つだけ含まれ得る。
【0129】
単なる例ではあるが、非対称シアニン色素は、すぐ下に示される構造(構造7)を有し得る。この場合、R’、R、R、R、およびR’はそれぞれ、構造6に関して先に記載されているとおりである。
構造7
【0130】
【化57】

例として、構造7に示されるように、非対称シアニン色素は、R’が、H;1個の炭素から6個の炭素を有しているアルキルまたはアルケニル;ハロゲン;−OR;−SR10;−NR1112;−CN;−NH(C=O)R13;−NHS(=O)14;−C(=O)NHR15;小溝結合剤と結合した置換基;または、先に記載されたような−L−Rであるか;あるいは、BRIDGEが構造に結合していることを示すようなものであり得る。さらに、R’に、R、R10、R11、R12、R13、R14、および、R15の少なくとも1つが含まれている任意の場合には、R、R10、R11、R12、R13、R14、および、R15のうちの任意のものは、独立して、H;または、状況に応じて1個から2個の窒素またはアリールが組み込まれている、1個の炭素から12個の炭素を有しているアルキル;または、アリールであり;そして、R’にR11とR12が含まれている場合には、R11とR12は、一緒に、5員環または6員環の飽和または不飽和環を形成し得、これには、状況に応じて、NおよびOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれる。Xは、OおよびSから選択され得、そしてnは、0、1、および2から選択され得る。Rは、H;状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から10個の炭素を有しているアルキルまたはアルケニル;ハロゲン;−OR16;−SR16;−NR1617;状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される1個から3個のヘテロ原子が含まれている、置換されたまたは未置換のアリール;先に記載されたような、−L−Rであり得るか;あるいは、BRIDGEが構造に結合していることを示す場合もある。Rは、H;状況に応じて、アリールと、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から10個の炭素を有しているアルキルまたはアルケニル;状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される1個から3個のヘテロ原子が含まれている、置換されたまたは未置換のアリール;あるいは、先に記載されたような、−L−Rであり得るか;あるいは、BRIDGEが構造に結合していることを示す場合もある。Rは、H;状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から10個の炭素を有しているアルキルまたはアルケニル;ハロゲン;−OR16;−SR16;−NR1617;または、状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される1個から3個のヘテロ原子が含まれている、置換されたまたは未置換のアリール;先に記載されたような、−L−Rであり得るか;あるいは、BRIDGEが構造に結合していることを示す場合もある。R’は、H;状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から10個の炭素まで(1、10を含む)を有しているアルキルまたはアルケニル;ハロゲン;−OR16;−SR16;−NR1617;または、状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される1個から3個のヘテロ原子が含まれている、置換されたまたは未置換のアリールであり得る。RとR’は、一緒に、縮合された芳香環を形成する場合がある。これは、C1〜C2アルキル、C1〜C2アルコキシ、C1〜C2アルキルメルカプト、またはハロゲンで、別々にさらに1回から4回置換される場合もある。R16およびR17の少なくとも一方が含まれている任意のR、R、およびR’については、R16およびR17の任意のものが、独立して、H;または状況に応じて1個から2個の窒素もしくはアリールが組み込まれている、1個の炭素から12個の炭素を有しているアルキルであり得る。R16およびR17が含まれている任意のR、R、およびR’については、そのR16およびR17は、一緒に、5員環または6員環の飽和または不飽和環を形成する場合がある。これには、状況に応じて、NおよびOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれる。R’、R、R、およびRの1つだけが、BRIDGEが構造に結合していることを示す。一般的には、R’、R、R、およびRの1つだけが、状況に応じて、上記に記載されたような−L−Rであり得る。Ψは、先に記載されたように、陰イオンである。
【0131】
1つの例においては、非対称シアニン色素は、すぐ下に示される構造(構造8)を有する。この場合、Rは、BRIDGEが構造に結合していることを示しており、そしてΨは、先に記載されたように、陰イオンである。
構造8
【0132】
【化58】

単なる例ではあるが、二量体色素には、同じ構造8の単量体非対称シアニン色素が2つと、式5のBRIDGEが含まれる場合がある。
【0133】
単なる例ではあるが、例えば、構造1のような蛍光核酸色素においては、Q1色素構成成分が非対称シアニン色素(例えば、構造6〜8のいずれか)であり、Q2色素構成成分が非対称シアニン色素(例えば、構造6〜8のいずれか)である場合には、BRIDGE(例えば、式1のBRIDGE)のa、b、c、d、e、f、g、h、およびiの合計は、3よりも大きい数である場合があり、また、BRIDGE(例えば、式1のBRIDGE)のA、A、A、A、A、A、A、A、A、およびA10の少なくとも1つが、アミド結合、ウレタン結合、尿素結合、またはチオ尿素結合が含まれている少なくとも1つの連結結合を含む部分を含むNABEG;または、状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ元素が含まれているアリールでありえる場合もある。
【0134】
フェナントリジニウム色素
単なる例ではあるが、単量体蛍光核酸色素は、すぐ下に示される一般的構造(構造9)を有している、フェナントリジニウム誘導体であり得る。
構造9
【0135】
【化59】

一般的には、Rは、BRIDGEが構造に結合していることを示し得る。しかし、様々な技術(例えば、別の方法で構造に対するBRIDGEの結合を提供することができる合成技術または、任意の様々な所望される波長を有している色素を提供するように構造を修飾することができる合成技術)によって、上記構造9の多くのバリエーションが可能であり、本明細書中で意図されることが理解されるであろう。Ψは、先に記載されたように、陰イオンである。
【0136】
単なる例ではあるが、式5のBRIDGEと組み合わせられた構造9の2つの単量体フェナントリニジウム色素分子は、二量体色素を形成することができる。
【0137】
単なる例ではあるが、単量体蛍光核酸色素は、すぐ下に示される一般的構造(構造10)を有しているキサンテン誘導体であり得る。
構造10
【0138】
【化60】

特定の正電荷を有している(cationically charged)キサンテンは、核酸に結合することが公知である。例えば、ピロニンY(この場合、R、R、R’、およびR’はメチルであり、そしてR、R’、R、R’およびAはHである)は、DNAゲル染色に使用されている公知の蛍光DNA結合色素である。Adkin,S.,and Burmeister,M.,Anal.Biochem.240(1),17(1996)。上記構造10に示される一般的な骨格を有している色素は、類似する核酸染色特性を有していること、そして他の蛍光色を提供することが予想される。例えば、ピロニンYは、548nmに最大吸収を、そして565nmに最大放射を有しており、赤色の蛍光色を提供する。
【0139】
単なる例ではあるが、一般的には、R、R、R’、およびR’はそれぞれ独立して、H、またはC1〜C6(C1、C6を含む)、アルキルであり得、状況に応じて、NおよびOから選択される1個または2個のヘテロ原子が組み込まれている。さらに、単なる例ではあるが、無関係に、RとRの対、およびR’とR’の対の少なくとも一方は、一緒に、5員環または6員環を形成する場合があり、これには、状況に応じて、NおよびOから選択される1つのヘテロ原子が含まれる。RとR’は同じである場合があり、そしてRとR’も同じである場合がある。
【0140】
、R、R’、およびR’の1つは、BRIDGEが構造に結合していることを示す場合がある。状況によっては、R、R、R’、およびR’の1つは、先に記載されたように、−L−Rである。
【0141】
単なる例ではあるが、R、R’、R、およびR’は、独立して、H、またはC1〜C3(C1、C3を含む)、アルキルであり得る。R、R’、R、およびR’は、同じである場合がある。無関係に、RとRの対、RとRの対、R’とR’の対、およびRとR’の対の少なくとも1つは、一緒に、5員環または6員環を形成する場合がある。これは、飽和である場合も、また不飽和である場合も、置換されている場合も、また未置換である場合もある。
【0142】
Aは、C1〜C3アルキル;または−L−Rであり、この場合、Lは、C1〜C12脂肪族リンカーであり、そしてRは、先に記載されたような反応基であるか;または、BRIDGEが構造に結合していることを示す。
【0143】
、R、R’、R’、およびAの1つだけが、BRIDGEが構造に結合していることを示す場合がある。
【0144】
Ψは、先に記載されたように、陰イオンである。
【0145】
式5のBRIDGEと組み合わせられた構造10の2つの単量体キサンテン色素分子は、二量体色素を形成することができる。
【0146】
他の単量体蛍光核酸染色(単なる例ではあるが、例えば、DAPI、DIPI,Hoechst色素、LDS751、ヒドロキシスチルバミジン、スチリル色素、メロシアニン色素、シアニン色素、またはFluoroGold)は、使用に適しているか、または、本明細書中に記載されるように使用に適するように誘導することができる。Haugland、R.P.,Handbook of Fluorescent Probes and Research Products,第9版。多数の他の単量体核酸色素が使用に適しているか、または、本明細書中に記載されるような使用に適するように誘導することができることが理解されるであろう。色素は、BRIDGEに直接結合させることができるか、または、合成の知識を使用してそれらをBRIDGEに結合させることができるように誘導することができるかのいずれかである。
【0147】
非蛍光核酸色素
一般的には、非蛍光核酸結合分子は、蛍光を発しないか、または蛍光核酸色素として有用であるには弱すぎる蛍光を発する、核酸結合分子である。非蛍光核酸結合分子には、非蛍光核酸結合色素、および無色の合成もしくは天然の核酸結合分子が含まれる。
【0148】
多数の非蛍光色素が、比色核酸ゲル染色として使用されている。蛍光核酸染色であるエチジウムブロマイドと比較すると、これらの非蛍光色素は、通常は、はるかに低い検出感度を有しているが、例えば、ヒトに使用する際の毒性に関しては安全であるように、使用は安全であると考えられる。非蛍光核酸結合色素の例としては、ナイルブルー(Nile Bleu)、クリスタルバイオレット(Crystal Violet)、メチレンブルー(Methylene Blue)、チオニン(Thionin)、メチルグリーン(Methyl Green)、ベーシックブルー66(Basic Blue 66)、ベーシックレッド29(Basic Red 29)、インドリンブルー(Indoline Blue)、サフラニンO(Safranin O)、ヤヌスグリーンB(Janus Green B)、ピナシアノール(Pinacyanol)、およびStains−Allが挙げられるが、これらに限定はされない。Adkins,et al.,Anal.Biochem.240,17(1996)。これらの色素のほとんどは、Aldrich Chemical Company,Inc.(Milwaukee,Wisconsin)から市販されている。
【0149】
蛍光非核酸色素
単量体色素Q、Q、およびQの1つは、蛍光非核酸色素であり得る。一般的に、通常は蛍光核酸色素とは考えられない全ての蛍光色素は、蛍光非核酸色素と考えられる。本明細書中では、用語「蛍光非核酸色素」は、一般的には、通常は核酸色素とは考えられない蛍光色素を意味する。例として、色素は、通常は、蛍光小溝結合剤または蛍光挿入剤とは考えることはできない。さらなる例として、いくつかの蛍光非核酸色素は、核酸といくらかの弱い相互作用を示す場合があるが、これらの挿入剤は、一般的には、色素を核酸の検出に有用とするための有意な蛍光スペクトルの変化を引き起こすには十分ではない。
【0150】
様々な蛍光非核酸色素が、Biotium,Inc,(Hayward,CA)のような様々な供給業者から市販されている。蛍光非核酸色素の例としては、フルオレセイン色素、スルホン酸化フルオレセイン色素、ローダミン色素、スルホン酸化ローダミン色素、シアニン色素、スルホン酸化シアニン色素、クマリン色素、ピレン色素、オキサジン色素、およびBodipy色素(Molecular Probes,Inc.(Eugene,OR))が挙げられるが、これらに限定はされない。適切な蛍光非核酸色素には、先に記載されたような、反応基Rが含まれ得る。適切な蛍光非核酸色素は、これに反応基Rが含まれるように誘導することができる。適切な反応性色素は、RとBRIDGEに由来する適切な官能基を介してBRIDGEに共有結合させられる。
【0151】
適切な蛍光非核酸色素の選択は、他の対合する単量体色素に応じて様々であり得る。一般的には、適切な蛍光非核酸色素は、対合する色素と分子内二量体を形成することができなければならない。分子内二量体の形成は、通常は、単量体色素がBRIDGEにより他の対合する単量体色素に共有結合させられる前と後の、水性媒体の中の構成成分である単量体色素の少なくとも1つの吸収スペクトルの有意な変化によって確認される。
【0152】
非蛍光非核酸色素
一般的には、用語「非蛍光非核酸色素」は、蛍光を発することがなく、また、核酸に結合することもない色素を意味する。このような色素は、一般的には、FRETをベースとする用途において蛍光消光剤として使用される。例として、蛍光性ペプチダーゼ基質は、蛍光ドナー色素をペプチドの一方の末端に共有結合させ、そして、非蛍光非核酸色素である消光剤を、ドナーの蛍光を消光させるためにペプチドの他方の末端に共有結合させることによって構築されている。ペプチドが酵素によって切断されると、ドナーと消光剤は分離され、それによって、蛍光シグナルが放出される。さらなる例として、非蛍光非核酸色素は、qPCRのための、いわゆる、TaqManプローブを設計するために使用されている。TaqManプローブは、標的DNA配列に相補的であるオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドの一方の末端に結合させられた蛍光ドナー色素、およびドナー色素の蛍光を消光させるためのオリゴヌクレオチドの他方の末端に共有結合させられた消光剤から構成される。リアルタイムPCRの間に、標識されたオリゴヌクレオチドは標的DNAに結合し、これは、オリゴヌクレオチドの酵素による切断を引き起こし、それにより蛍光シグナルが生じる。
【0153】
非蛍光非核酸色素は、リリースオンデマンドDNA結合機構を担っている分子内二量体の形成のための対合パートナーとして主に使用され得る。非蛍光非核酸色素は、非蛍光非核酸色素と、それがその後のDNA結合において対合する蛍光核酸色素との間でのFRETを最少にすることを確実にするように選択されるべきである。一般的には、FRETが原因である蛍光核酸色素の蛍光の消失は最少でなければならず、例えば、放射される蛍光全体の約70%を超えてはならない。非蛍光非核酸色素の選択は、蛍光核酸結合色素の放射スペクトルと非蛍光色素の吸収スペクトルの評価に基づいて行うことができる。理想的には、上記のように、FRETが原因で生じる蛍光シグナルの消失を最少とするためには、これらのスペクトルは最小限にしか重複していないべきである。FRETを最少にする別の可能な方法は、十分に長いBRIDGEを使用することであり、その結果、上記のように、FRETが原因で生じる蛍光シグナルの消失は最少となる。なぜなら、FRETの効率は、構成成分である色素の間での分子間分離の逆方向の第6の力(inverse sixth power)に依存するからである。
【0154】
有用であり得る市販されている非蛍光消光剤の例としては、Fluka(Buchs,Switzerland)によるDABCYL、Biosearch Technologies,Inc.(Novato,CA)によるBlack Hole Quencher(BHQ)、Epoch Biosciences(Bothell,Washington)によるEclipse Dark Quencher(DQ)、Integrated DNA Technologies(Skokie,Illinois)によるIOWA Black(IWB)、およびMolecular Probes,Inc.(Eugene,OR)によるQSYが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0155】
使用方法
本明細書中に記載される核酸色素は、定量的リアルタイムPCR(qPCR)に特に有用であり得る。蛍光核酸色素を介した蛍光をベースとするDNA検出と組み合わせてPCRを使用することにより、当業者は、PCRの実行を停止させることなく、またはPCRの実行の間に反応物をサンプリングすることなく、PCRプロセスの産物の量を決定することができる。qPCRを使用することにより、当業者は、DNA試料のもとの量を定量することができるだけではなく、配列情報をもまた得ることができる。qPCRの感度および特異性により、これは、疾患の診断および予後診断、ならびに、農業および法医学における種の特定を含む、多数の実用において非常に有用となる。
【0156】
qPCRにおける色素の使用には、PCR反応に適している色素の溶液および他の構成成分(例えば、増幅酵素、標的核酸配列の増幅に十分なプライマー、およびデオキシヌクレオシド3リン酸)を試験管中のDNA試料を含む溶液に添加する工程、qPCR機器の中にシールされた試験管を置く工程、および検出された蛍光シグナルを記録する工程が含まれ得る。Ct値、または蛍光シグナルが任意に決定された限界値に達するために必要なサイクル数が記録され得る。Ct値は、DNA試料のコピー数の対数と直線的な関係にある。Ct値とDNAコピー数の対数の標準的なプロットを使用することにより、当業者は、Ct値に基づいてDNA試料のDNAコピー数を決定することができる。単なる例ではあるが、選択された色素を使用するPCR増幅プロットが、図8、9、11、および14に示される。
【0157】
蛍光核酸色素の他の使用には、溶液またはゲルの中でのDNAの定量、肝細胞または死亡した細胞中の核酸の染色、および顕微鏡下での核酸の検出が挙げられるが、これらに限定はされない。一般的には、蛍光核酸色素の使用には、状況に応じて、任意の別の試薬と組み合わせられた色素を、核酸ポリマーを含むかもしくは核酸ポリマーが含まれていると考えられる試料と接触させる工程;色素−核酸錯体を形成させるために十分な時間の間、得られた色素と試料の混合物をインキュベートする工程;ならびに、色素−核酸錯体の蛍光シグナルを検出する工程が含まれ得る。
【0158】
色素は、本明細書中に記載されるように、適切な用途のために調製することができる。単なる例ではあるが、色素は、最終的な染色溶液中で使用されるよりも約100倍高い濃度で、水性溶媒または水混和性の生物学的適合性の有機溶媒を使用して、ストック溶液にすることができる。単独で、または適切な有機溶媒と組み合わせて、色素ストック溶液を作成することにおいて使用することができる適切な水性溶媒の例としては、水、PBS緩衝液、およびTris緩衝液が挙げられるが、これらに限定はされない。色素ストック溶液を作成するための適切な有機溶媒の例としては、DMSO、DMF、メタノール、またはエタノールが挙げられるが、これらに限定はされない。その後、ストック溶液は適切な水性溶媒(例えば、水または生物学的緩衝液)を使用して、所望される最終的な色素濃度の染色溶液になるように希釈される。一般的には、染色溶液についての特異的な色素濃度は、分析される試料の性質、および行われる分析の性質によって決定することができる。例として、一般的には、細胞試料と組み合わせて使用される染色溶液は、約1nMまたはそれ以上の色素濃度、あるいは、約100μMまでの色素濃度を有し得る。さらなる例として、一般的には、電気泳動用ゲルと組み合わせて使用される染色溶液は、約1μMまたはそれ以上、あるいは、約50μMの色素濃度を有し得る。
【0159】
色素を使用して核酸を染色する方法は、行われる分析の性質によって決定することができる。細胞または組織試料中の核酸の染色においては、試料が予め固定されている場合も、また固定されていない場合もあり、試料は通常、数分間から2時間の間染色溶液の中でインキュベートされて、色素が細胞膜に浸透させられ、核酸と結合させられる。いくつかの場合は、核酸は、精製された核酸または粗細胞抽出物を含む溶液の形態で存在し得る。このような場合は、一般的には、色素ストック溶液の核酸溶液への添加によって、検出することができる蛍光シグナルが簡単に生じるはずであり、その強度は核酸の量に比例する。例として、DNA滴定曲線が図7に示される。DNAの量と蛍光強度の間での実質的に直線的な関係を、DNAの定量に使用することができ、また、細胞抽出物が使用される場合は、細胞数の推定のために使用することができる。特定の例においては、核酸は、不活性なマトリックス(例えば、ブロット、またはゲル、試験細片)の中に包埋される場合も、また、固体表面(例えば、マイクロアレイチップもしくは任意の他の固体表面)に結合させられる場合もある。このような場合には、一般的には、染色は、核酸を含むマトリックスの表面に対して、または、マイクロアレイチップの表面、または他の固体表面に染色溶液を塗布すること、そして色素−核酸錯体を形成させるために十分な時間の間インキュベートすることによって行われる。
【0160】
蛍光核酸−色素錯体は、その放射または励起のいずれかによって検出することができる。例として、蛍光核酸−色素錯体は、錯体の最大吸収波長の、またはその付近の波長を有している光によって励起させることができ、そして、通常はそのような光によって励起させられる。さらなる例として、核酸−色素錯体は、300nmから400nmの波長を有しているUV光によって励起させることができる。これは、ゲルの視覚化の用途に使用されるトランスイルミネーター(transluminator)のほとんどについて利用することができる励起光の共通の光源である。例として、蛍光シグナルは、様々な機器(例えば、プレートリーダー、顕微鏡、蛍光光度計、量子カウンター、およびフローサイトメーター)によって検出することができる。さらなる例として、蛍光シグナルは、視覚的方法(例えば、目視検査または写真記録)によって作成することができる。
【0161】
合成
色素の合成は、単量体色素構成成分の合成、BRIDGEの合成、および単量体色素構成成分のBRIDGEへの結合に関して記載され得る。単量体色素、および官能基または反応基を含む単量体色素の合成がここで記載される。
【0162】
単量体色素および機能性分子の合成
適切な単量体色素、および官能基または反応基を含む単量体色素は、公知の手順または任意の適切な手順によって傷をつける(scratch)ことによって、あるいは、適切なもしくは所望されるコア構造をすでに有している市販されている材料を修飾することによって、調製することができる。多くの単量体アクリジン色素を、市販されているアクリジン色素から調製することができる。合成のための適切な出発材料となり得る市販されているアクリジン色素のいくつかの例が、すぐ下に示される。
【0163】
【化61】

他のアクリジンコア構造は、公知の手順または任意の適切な手順にしたがって調製することができる。Albert,A.,The acridines:their preparation,physical、chemical、and biological properties and uses,Edward Arnold Ltd.,London;Eldho,et al.,Synth.Commun.29,4007(1999);およびJoseph,et al.,Bioconjugate Chem.15,1230(2004)。アクリジンコア構造は、適切なジフェニルアミンを、適切なカルボン酸またはカルボン酸等価物と共に、ルイス酸の存在下で縮合させることによって、すぐ下の反応1に模式的に示されるように形成させることができる。
反応1
【0164】
【化62】

反応1においては、R’、R’’、およびR’’’は、以下にさらに記載されるような適切な置換基である。ジフェニルアミン出発材料は、市販されているものであるか、または適切なハロゲン化アリールと適切なアリールアミンから、公知の方法または任意の適切な方法を使用して合成することができる。Yang,et al.,J.Organomet.Chem.576,125(1999);Hartwig,et al.,J.Org.Chem.64,5575(1999);およびWolfe,et al.,J.Org.Chem.65,1158(2000)。
【0165】
置換基の性質と、置換基が結合させられる位置によっては、色素のスペクトル特性に対して大きな効果がある場合がある。一般的には、2位、3位、6位、および7位の電子供与基は、色素の吸収波長および放射波長を長くするであろう。典型的な電子供与基は、例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、チオール基、またはアルキルチオ基であり得る。より典型的な電子供与基は、例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、またはアルコキシ基であり得る。一般的には、9位の電子吸引基は、色素の吸収波長および放射波長を長くするであろう。典型的な電子吸引基は、例えば、シアノ基、パーフルオロアルキル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルデヒド基、アルコキシカルボニル基、アミノスルホナート基、アルキルアミノスルホナート基、またはハロゲン化物基であり得る。より典型的な電子吸引基は、シアノ基、パーフルオロアルキル基、またはハロゲン化物基であり得る。
【0166】
一般的には、一旦、アクリジンコア構造が構築されると、10個の窒素が、ハロアルキル基でアルキル化され、これには通常、別の反応基、または反応基に転換させることができる官能基が含まれる。さらなる反応基は、BRIDGEにアクリジン色素を結合させるように作用する。適切な反応基を用いて単量体アクリジン色素を作成するいくつかの方法が、すぐ下のスキーム1に模式的に示される。
スキーム1
【0167】
【化63】

すぐ下のスキーム2に模式的に示されるように、10−アルキル化アクリジンの9位は、シアノ基で容易に置換することができ、これはさらに、カルボキサミド基へと容易に加水分解することができる。
スキーム2
【0168】
【化64】

反応性の単量体の非対称シアニン色素を調製する方法が記載されている。Carreon,et al.,Org.Lett.6(4),517(2004)。このような色素は、すぐ下に示される構造(構造11)を有し得る。
構造11
【0169】
【化65】

米国特許第5,863,753号には、反応性の非対称シアニン色素のシリーズの調製が開示されている。これには、キノリニウムまたはピリジニウム窒素に対してオルトに置換基を有しているものが含まれる。キノリニウムまたはピリジニウム窒素に対してオルトであるこのような置換基、特に、環状の置換基は、米国特許第5,436,134号に従うと、非対称シアニン色素に対して所望される特性を付与すると言われる。これらの環状構造で置換された非対称シアニン色素は、まとめて、SYBR色素と呼ばれる。Zipper,et al.,Nucleic Acids Res.32(12),e103(2004)。反応性SYBR色素のいくつかは、Molecular Probes,Inc.(Eugene,OR)から市販されているが、これらの色素の正確な構造はわかっていない。Haugland,R.P.,Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals,第9版。
【0170】
米国特許出願公開番号2004/0132046には、小溝結合能力を有している単量体の非対称シアニン色素を調製するための方法が開示されている。一般的には、これらの色素は、色素のベンザゾリル環上にさらなるベンザゾリル置換基を有することにより、三日月型の構造を有する。適切な反応基を有している類似する単量体色素は、例えば、すぐ下のスキーム3に模式的に示されるように、同様の方法を使用して調製することができる。
スキーム3
【0171】
【化66】

反応性フェナントリジニウム色素は、すぐ下のスキーム4に模式的に示されるように、市販されている3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジンから調製することができる。
スキーム4
【0172】
【化67】

単なる例ではあるが、表2の色素番号35は、上記のスキーム4に示される反応基を有しているフェナントリジニウム中間体を使用して調製することができる。
【0173】
9位に反応基を有しているピロニン誘導体の調製は、すぐ下のスキーム5に模式的に示されるように、2等量のm−アミノフェノール誘導体を、1等量のジカルボン酸無水物と縮合させることによって行うことができる。
スキーム5
【0174】
【化68】

多くの単量体の非蛍光核酸結合色素は、繊維産業およびインク産業において使用されている公知の顔料であり、市販されている。これらの色素の調製についての参考文献は文献に見ることができる。多くの適切な反応性の単量体蛍光非核酸色素および非蛍光非核酸色素は市販されているか、または、公知の方法を使用して容易に調製することができる。
【0175】
BRIDGEの合成
BRIDGEは、通常、単量体色素がニ官能性の基または三官能性の基(多くの場合は、市販されている)に結合させられると形成される。一般的には、BRIDGEの末端部分は、単量体色素自体に由来し、一方、BRIDGEの中央部分は、商業的な供給業者から入手することができる二官能性または三官能性分子に由来する。いくつかの場合には、BRIDGEの有意な部分(例えば、約90%まで)は、二量体または三量体色素の最終的なアセンブリの前に単量体色素に予め結合させられ得る。いくつかの他の場合には、BRIDGEの大部分は、単量体色素が結合させられる前に別々に調製され得る。ヘテロ二量体の合成の場合には、一保護二官能性リンカー基が、通常は最初に1つの単量体色素に結合させられ、続いて、脱保護、および第2の単量体色素へのカップリングが行われる。ヘテロ三量体色素は、同様の段階的な保護−脱保護ストラテジーを使用して合成することができる。
【0176】
BRIDGEへの単量体色素の結合
一般的には、二量体色素および三量体色素は、ホモ二量体のいくつかについては1工程のカップリング反応において、あるいは、ヘテロ二量体および三量体、または複数の架橋エレメントAを含むホモ二量体のいくつかについては多工程の反応において、適切な反応基を有している単量体色素を、二官能性リンカーまたは三官能性リンカーと結合させることによってアセンブリさせることができる。選択されたホモ二量体およびヘテロ二量体への合成経路の例は、すぐ下のスキーム6に模式的に示される。
スキーム6
【0177】
【化69】

ホモ三量体色素の調製の一例は、すぐ下のスキーム7に模式的に示される。
スキーム7
【0178】
【化70】

反応基を有している二量体色素を調製するための方法の例は、すぐ下のスキーム8に示される。
スキーム8
【0179】
【化71】

【実施例】
【0180】
(実施例1)
10−(3−ヨードプロピル)アクリジンオレンジ、ヨウ化物の調製
1等量の1,3−ジヨードプロパンを、10mLのクロロベンゼン中の5gのアクリジンオレンジ(Aldrich)の懸濁液に添加した。得られた混合物を、90〜100℃で一晩攪拌した。熱い反応混合物を約200mLのEtOAcに注いだ。オレンジ色の沈殿物を濾過によって回収し、減圧下で乾燥させると、約8gが得られた。
【0181】
(実施例2)
10−(5−カルボキシペンチル)アクリジンオレンジ、塩化物塩の調製
10−(5−エトキシカルボニルペンチル)アクリジンブロマイドを、1,3−ジヨードプロパンをエチル6−ブロモヘキサン酸で置き換えたことを除き、実施例1の手順を使用して調製した。粗生成物(5g)を、約100mLのメタノールと、30mLのHOに溶解させた3等量のNaOHの中に懸濁させた。懸濁液を、室温で24時間攪拌した。メタノールを蒸発によって除去し、そして残りの水溶液を濃HClで酸性化させた。約50mLの飽和NaClを生成物を沈殿させるために添加した。生成物を濾過によって回収し、その後、45℃で24時間、減圧下で乾燥させた。
【0182】
(実施例3)
DMAO(表2の色素番号1)の調製
10−(3−ヨードプロピル)アクリジンオレンジ、ヨウ化物(100mg)を、シールド管の中のメタノール中の20mLの2Mジメチルアミンの中に懸濁させ、その後、60℃で一晩攪拌した。混合物を室温に冷却し、その後、50mLのEtOAcに注いだ。沈殿を遠心分離によって回収し、その後、40℃で24時間、減圧下で乾燥させた。
【0183】
(実施例4)
TMAO(表2の色素番号2)の調製
CHOH(2mL)中のDMAO(表2の色素番号1)(11mg、0.023mmol)とCHI(0.5mL)の混合物を、4日間穏やかに還流させた。オレンジ色の生成物(10mg)を吸引濾過によって回収した。
【0184】
(実施例5)
PMAO(表2の色素番号5)の調製
CHOH(10mL)中の10−(3−ヨードプロピル)アクリジンオレンジヨウ化物塩(100mg、0.18mmol)とN,N,N’N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン(0.3mL、1.8mmol)の混合物を一晩還流させた。室温に冷却した後、沈殿を吸引濾過によって回収した。沈殿をCHOH(5mL)中に再懸濁させ、一晩還流させて、そして吸引濾過によって回収した。これを、減圧下で恒量になるまで乾燥させると、濃い赤色の固形物(14mg)が得られた。
【0185】
(実施例6)
AOAO−2Q(表2の色素番号9)の調製:
DMF(1.5mL)中の10−(3−ヨードプロピル)アクリジンオレンジヨウ化物塩(81mg、0.15mmol)とPMAO(100mg、0.15mmol)の混合物を、130℃で7時間加熱した。室温に冷却した後、CHOH(15mL)を添加し、懸濁液を1時間、還流させるために加熱した。吸引濾過すると、生成物が濃い赤色の固形物として得られた(83.1mg)。
【0186】
(実施例7)
AOAO−2(表2の色素番号7)の調製
EtN(0.15mL、1.05mmol)およびTSTU(320mg、1.05mmol)を、室温のDMF(5mL)中の10−(5−カルボキシペンチル)アクリジンオレンジ塩化物塩(438mg、1.03mmol)の懸濁液に添加した。混合物を室温で15分間攪拌し、その後、EtN(0.1mL)と3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン(50mg、0.344mmol)を添加した。混合物を室温で一晩攪拌した後、EtOAc(20mL)を添加して生成物を沈殿させた。粗生成物をDMFの中に再度溶解させ、EtOAcで再び沈殿させた。固形物(250mg)を遠心分離によって分離した。
【0187】
(実施例8)
AOAO−3(表2の色素番号8)の調製
色素(393mg)を、10−(5−カルボキシペンチル)アクリジンオレンジ(432mg、1.03mmol)とエチレンジアミン(25mg、0.42mmol)からAOAO−2を合成するための手順を使用して調製した。
【0188】
(実施例9)
10−(8−ブロモオクチル)アクリジンオレンジブロマイドの調製
クロロベンゼン(15mL)中のアクリジンオレンジ(2g、7.53mmol)と1,8−ジブロモアセタン(1,8−dibromoactane)(12mL、67.8mmol)の混合物を、110℃で一晩加熱した。EtOAc(50mL)を添加し、そして懸濁液を1時間還流させた。室温に冷却させた後、吸引濾過すると、生成物がオレンジ色の固形物(3.56g)として得られた。
【0189】
(実施例10)
AOAO−5(表2の色素番号11)の調製
DMF(5mL)中の10−(8−ブロモアセチル)アクリジンオレンジブロマイド(10−(8−bromoactyl)acridine orange bromide)(0.5g、0.94mmol)とアクリジンオレンジ(0.3g、11.2mmol)の混合物を、130℃で一晩加熱した。EtOAcを添加して生成物を沈殿させた。DMFとEtOAcからの沈殿を繰り返すことにより、生成物が濃い赤色の固形物(214mg)として得られた。
【0190】
(実施例11)
AOAO−7(表2の色素番号13)の調製
色素(30mg)を、10−(5−カルボキシペンチル)アクリジンオレンジ塩化物塩(121mg、0.29mmol)と1,5−ジアミノ−ペンタンジヒドロクロライド(20mg、0.12mmol)からAOAO−2を作成するための手順を使用して合成した。
【0191】
(実施例12)
AOAO−8(表2の色素番号15)の調製
色素(182mg)を、10−(5−カルボキシペンチル)アクリジンオレンジ塩化物塩(241mg、0.58mmol)とピペラジン(20mg、0.23mmol)からAOAO−2を作成するための手順を使用して合成した。
【0192】
(実施例13)
AOAO−11(表2の色素番号18)の調製
色素(112mg)を、10−(5−カルボキシペンチル)アクリジンオレンジ塩化物塩(180mg、0.43mmol)と1,8−ジアミノ−オクタン(25mg、0.17mmol)からAOAO−2を作成するための手順を使用して合成した。
【0193】
(実施例14)
AOAO−12(表2の色素番号19)の調製
色素(76mg)を、10−(5−カルボキシペンチル)アクリジンオレンジ塩化物塩(147mg、0.35mmol)と2,2’オキシビス(エチル−アミン)ジヒドロクロライド(25mg、0.14mmol)からAOAO−2を作成するための手順を使用して合成した。
【0194】
(実施例15)
AOAO−13(表2の色素番号20)の調製
色素(64mg)を、10−(5−カルボキシペンチル)アクリジンオレンジ塩化物塩(96mg、0.23mmol)と4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミン(20mg、0.09mmol)からAOAO−2を作成するための手順を使用して合成した。
【0195】
(実施例16)
1,3−ジ−((2−(N−t−Boc−アミノ)エチル)アミノカルボニル)ベンゼン(色素番号101、すぐ下に示す)の調製
【0196】
【化72】

EtN(0.4mL、2.71mmol)およびTSTU(820mg、2.71mmol)を、室温のDMF(2mL)中のイソフタル酸(220mg、1.32mmol)の溶液に添加した。混合物を室温で30分間攪拌した。その後、EtN(1mL)とモノ−tBoc−エチレンジアミン(460mg、2.86mmol)を添加した。混合物を室温で一晩攪拌し、その後、1NのHCl(100mL)とEtOAc(50mL)の間で分配させた。水層をEtOAc(50mL)で抽出し、混合した有機層を、1NのHCl(2×50mL)、HO(50mL)と、飽和NaCl(50mL)で洗浄し、そして無水NaSOで乾燥させた。粗生成物を、溶離液としてEtOAc:ヘキサン(9:1)を使用してカラムクロマトグラフィーによって精製すると、無色の固形の生成物(356mg)が得られた。
【0197】
(実施例17)
1,3−ジ−((2−アミノエチル)アミノカルボニル)ベンゼン、トロフルオロ酢酸塩(色素番号102、すぐ下に示す)の調製
【0198】
【化73】

1,3−ジ−((2−(N−t−Boc−アミノ)エチル)アミノカルボニル)ベンゼン(356mg、0.79mmol)を、0℃のTFA(5mL)に添加した。混合物を0℃で1時間攪拌し、そして溶液を減圧下で乾燥物になるまで濃縮した。無色の残渣をCHOH(2mL)中に溶解させ、そしてEtO(30mL)に一滴ずつ添加した。沈殿を遠心分離によって回収し、そして、減圧下で恒量になるまで乾燥させると、固形の生成物(425mg)が得られた。
【0199】
(実施例18)
AOAO−9(表2の色素番号16)の調製
色素(55mg)を、10−(5−カルボキシペンチル)アクリジンオレンジ塩化物塩(109mg、0.26mmol)と1,3−ジ((2−アミノエチル)アミノカルボニル)ベンゼン、トロフルオロ酢酸塩(50mg、0.1mmol)からAOAO−2を作成するための手順を使用して調製した。
【0200】
(実施例19)
1,3−ジ((5−’N−t−Boc−アミノ)ペンチル)アミノカルボニル)ベンゼン(色素番号103、すぐ下に示す)の調製
【0201】
【化74】

色素(555mg)を、イソフタル酸(254mg、1.53mmol)とモノ−tBocカダベリン(640mg、3.15mmol)から1,3−ジ−((2−(N−t−Boc−アミノ)エチル)アミノカルボニル)ベンゼンを作成するための手順を使用して調製した。
【0202】
(実施例20)
1,3−ジ((5−アミノペンチル)アミノカルボニル)ベンゼン、トリフルオロ酢酸塩(色素番号104、すぐ下に示す)の調製
【0203】
【化75】

色素(560mg)を、色素番号102(555mg、1.04mmol)についての手順にしたがって調製した。
【0204】
(実施例21)
AOAO−10(表2の色素番号17)の調製
色素(22mg)を、10−(5−カルボキシペンチル)アクリジンオレンジ塩化物(95mg、0.23mmol)と色素番号104(50mg、0.09mmol)からAOAO−2を作成するための手順を使用して調製した。
【0205】
(実施例22)
AOAO−14(表2の色素番号21)の調製
色素(150mg)を、10−(5−カルボキシペンチル)アクリジンオレンジ塩化物(166mg、0.40mmol)とジアミド−dPEG−ジアミン(Quanta Biodesign of Powell,Ohio)(100mg、0.15mmol)からAOAO−2を作成するための手順を使用して調製した。
【0206】
(実施例23)
10−((((3−(N−Boc−アミノ)プロピル)−N,N−ジメチル)アンモニウム)プロピル)アクリジン、ニヨウ化物(色素番号105、すぐ下に示す)の調製
【0207】
【化76】

CHOH(50mL)中の10−(3−ヨードプロピル)アクリジンオレンジヨウ化物(500mg、0.89mmol)と3−(N−t−Boc−アミノ)プロピル−N,N−ジメチルアミン(1.8g,8.9mmol)の混合物を一晩還流させた。室温に冷却したあと、沈殿を吸引濾過によって回収し、恒量になるまで乾燥させると、色素番号105がオレンジ色の固形物(292mg)として得られた。
【0208】
(実施例24)
10−((((3−アンモニウム)プロピル)−N,N−ジメチル)アンモニウム)プロピル)アクリジン、トリフルオロ酢酸塩(色素番号106、すぐ下に示す)の調製
【0209】
【化77】

色素番号105(50mg、0.06mmol)を、0℃のTFA(2mL)に添加した。混合物を、0℃で30分間攪拌した。溶液を減圧下で乾燥物となるまで濃縮させ、そして残渣をCHOH(3mL)の中に溶解させた。溶液をEtO(30mL)に一滴ずつ添加し、沈殿を遠心分離によって回収し、そして減圧下で恒量となるまで乾燥させると、色素番号106がオレンジ色の固形物(28mg)として得られた。
【0210】
(実施例25)
AOAO−4(表2の色素番号10)の調製
色素(23mg)を、10−(5−カルボキシペンチル)アクリジンオレンジ塩化物塩(31mg、0.075mmol)と色素番号106(28mg、0.036mmol)からAOAO−2を作成するための手順を使用して調製した。
【0211】
(実施例26)
10−(6−(N−フタルイミド)ヘキシル)アクリジンオレンジ臭化物塩(色素番号107、すぐ下に示される)の調製
【0212】
【化78】

クロロベンゼン(20mL)中のアクリジンオレンジ(2g、7.54mmol)とN−(6−ブロモヘキシル)フタルイミド(4.7g、15.1mmol)の混合物を、110℃で2日間加熱した。EtOAc(50mL)を添加し、そして懸濁液を、1時間、還流させるために加熱した。室温に冷却させた後、生成物である色素番号107を、吸引濾過によってオレンジ色の固形物(3.76g)として回収した。
【0213】
(実施例27)
10−(5−((5−カルボキシペンチル)アミノカルボニル)ペンチル)アクリジンオレンジ、ヨウ化塩(色素番号108、すぐ下に示される)の調製
【0214】
【化79】

EtN(40μL、0.28mmol)とTSTU(81mg、0.27mmol)を、DMF(3mL)中の10−(5−カルボキシペンチル)アクリジンオレンジ塩化物(107mg、0.258mmol)の懸濁液に添加した。混合物を室温で15分間攪拌した。続いて、EtN(0.2mL)と、HO(1mL)中の6−アミノヘキサン酸(67mg、0.51mmol)の溶液を添加した。混合物を室温で1時間攪拌し、減圧下で乾燥物となるまで濃縮した。残渣をHOで錬和する(triturate)と、色素番号108がオレンジ色の固形物(125mg)として得られた。
【0215】
(実施例28)
9−シアノ−10−(5−カルボキシペンチル)アクリジンオレンジ、塩化物(色素番号109、すぐ下に示す)の調製
【0216】
【化80】

DMF(3mL)中の10−(5−カルボキシペンチル)アクリジンオレンジ(0.15mg、0.361mmol)とシアン化ナトリウム(35mg、0.722mmol)の混合物を、大気中で2日間、室温で攪拌した。CHCN(10mL)を添加し、得られた懸濁液を室温で1時間攪拌した。濃い青色の沈殿を遠心分離によって回収し、減圧下で恒量となるまで乾燥させると、色素番号109(130mg)が得られた。
【0217】
(実施例29)
AOAO−12R(表2の色素番号22)の調製
EtN(32μL、0.23mmol)およびTSTU(68mg、0.227mmol)を、室温のDMF(2mL)中の色素番号109(98.3mg、0.223mmol)の溶液に添加した。混合物を室温で15分間攪拌した。その後、EtN(100μL)と2,2’−オキシビス−(エチルアミン)ジヒドロクロライド(16mg、0.09mmol)を添加した。混合物を、室温で2日間攪拌した。溶液を約1mLにまで濃縮し、EtOAc(2mL)を添加した。沈殿を遠心分離によって回収した。生成物をDMF中に再度溶解させ、EtOAcで再び沈殿させると、色素番号22が濃い青色の固形物(54.4mg)として得られた。
【0218】
(実施例30)
9−アミノカルボニル−10−(5−カルボキシペンチル)アクリジン(色素番号110、すぐ下に示す)の調製
【0219】
【化81】

75%のHSO(1mL)中の色素番号109(30mg,0.068mmol)の溶液を、60℃で2日間加熱した。室温に冷却した後、混合物をEtO(10mL)に添加した。沈殿を遠心分離によって回収し、CHOH(1.5mL)中に再び溶解させた。EtOAc(10mL)を添加し、固形の沈殿を遠心分離によって回収し、そして恒量となるまで減圧下で乾燥させると、色素番号110が濃いピンク色の固形物(20.4mg)として得られた。
【0220】
(実施例31)
N−カルボキシペンチルチアゾールオレンジ(すぐ下に示す)の調製
【0221】
【化82】

色素を、公開されている手順(Carreon,et al.,Org.Let.6(4),517(2004))を使用して調製した。
【0222】
(実施例32)
TOTO−3(表2の色素番号14)の調製
色素(354mg)を、N−カルボキシペンチルチアゾールオレンジ(460mg、1.04mmol)とエチレンジアミン(25mg,0.42mmol)からAOAO−2を合成するための手順を使用して調製した。
【0223】
(実施例33)
10−(5−((2−N−t−Boc−アミノ)エチル)アミノカルボニル)ペンチル)アクリジンオレンジ塩化物塩(色素番号111、すぐ下に示す)の調製
【0224】
【化83】

EtN(106μL、0.76mmol)およびTSTU(230mg、0.76mmol)を、DMF(3mL)中の10−(5−カルボキシペンチル)アクリジンオレンジクロライド塩化物(302mg、0.73mmol)の懸濁液に添加した。混合物を室温で15分間攪拌した。続いて、EtN(350μL)とモノt−BOC−エチレンジアミン(150mg、0.92mmol)を添加した。混合物を室温で1時間攪拌し、その後、減圧下で乾燥物となるまで濃縮した。残渣をCHCN(2mL)に溶解させ、EtOAc(20mL)の添加によって沈殿させた。沈殿を遠心分離によって回収し、恒量となるまで乾燥させると、色素番号111がオレンジ色の固形物(365mg)として得られた。
【0225】
(実施例34)
10−(5−((2−アンモニウムメチル)アミノカルボニル)ペンチル)アクリジンオレンジ、トリフルオロ酢酸塩(色素番号112、すぐ下に示す)の調製
【0226】
【化84】

色素番号111(347mg、622mmol)を、5℃のトリフルオロ酢酸(3mL)の中に一度に添加した。混合物を5℃で1時間攪拌し、減圧下で乾燥物となるまで濃縮した。残渣を、CHOH(3mL)の中に溶解させ、EtO(50mL)に一滴ずつ添加した。沈殿を遠心分離によって回収すると、色素番号112がオレンジ色の固形物(297mg)として得られた。
【0227】
(実施例35)
AOTO−3(表2の色素番号23)の調製
EtN(20μL、0.142mmol)およびTSTU(42.2mg、0.142mmol)を、DMF(1mL)中のN−カルボキシペンチルチアゾールオレンジ(62mg、0.142mmol)の溶液に添加した。混合物を室温で15分間攪拌した。その後、EtN(70μL)と色素番号112(50mg、0.095mmol)を添加した。混合物を室温で2時間攪拌し、その後、減圧下で乾燥物となるまで濃縮した。残渣をDMF(1mL)中に再度溶解させ、そしてEtOAc(2mL)を添加した。沈殿を遠心分離によって回収した。DMFとEtOAcからの沈殿を繰り返すと、生成物がオレンジ赤色の固形物(50.4mg)として得られた。
【0228】
(実施例36)
TOTO−12(表2の色素番号24)の調製
色素(19.4mg)を、N−カルボキシペンチルチアゾールオレンジ(94.5mg、0.2145mmol)と2,2’オキシビス(エチルアミン)ジヒドロクロライド(15mg、0.085mmol)からAOAO−2を合成するための手順を使用して調製した。
【0229】
(実施例37)
TO(3)TO(3)−12(表2の色素番号25)の調製
色素(32.6mg)を、N−カルボキシペンチルチアゾールブルー(N−carboxypentyl thazole blue)(Carreon,et al.,Org.Let.6(4),517(2004);およびBenson,et al.,Nucleic Acid Res.21(24),5727(1993))(99mg、0.212mmol)と2,2’オキシビス(エチルアミン)ジヒドロクロライド(15mg、0.085mmol)からAOAO−2を合成するための手順を使用して調製した。
【0230】
(実施例38)
TO(3)TO(3)−2(表2の色素番号26)の調製
色素(28.4mg)を、N−カルボキシペンチルチアゾールブルー(76mg、0.173mmol)と3,3’−ジアミノ−N−メチルジ−プロピルアミン(10mg、0.069mmol)からAOAO−2を合成するための手順を使用して調製した。
【0231】
(実施例39)
10−(5−((5−(N−t−Boc−アミノ)ペンチル)アミノカルボニル)ペンチル)−アクリジンオレンジ、塩化物(色素番号113、すぐ下に示す)の調製
【0232】
【化85】

色素(280mg)を、10−(5−カルボキシペンチル)アクリジンオレンジ塩化物(200mg、0.483mmol)とモノt−BOC−カダベリン(130mg、0.628mmol)から色素番号111を合成するための手順を使用して調製した。
【0233】
(実施例40)
10−(5−((5−アンモニウムペンチル)アミノカルボニル)ペンチル)アクリジンオレンジ、トリフルオロ酢酸塩(色素番号114、すぐ下に示す)の調製
【0234】
【化86】

色素番号114(234mg)を、色素番号113(280mg、0.467mmol)から色素番号112を合成するための手順を使用して調製した。
【0235】
(実施例41)
AORO−7(表2の色素番号27)の調製
化合物(29mg)を、化合物番号114(35mg、0.061mmol)とロサミン色素(Biotium,Inc.(Hayward,CA))(40mg、0.063mmol)からAOTO−3を合成するための手順を使用して調製した。
【0236】
(実施例42)
DMAOおよびAOAO−7の吸光度および蛍光
DMAOおよびAOAO−7の、図2および図3に示す吸収スペクトル、ならびに図4に示す蛍光放射スペクトルを、PBS緩衝液中で、DNAの存在を伴わずに、またはDNAの存在(2mg/mLのサケ精子DNA)を伴って、別々に測定した。色素濃度は全て、495nmで0.05の光学密度となるように調整した。スペクトルを、吸光度のプロットにおいては1に正規化した。DMAOと比較すると、AOAO−7は、吸光度において471nmに新しい短い波長のピークを示し、これは、AOAO−7の中での2つのアクリジン単量体の凝集を示している。DNAに結合すると、AOAO−7とDMAOの吸光度は、それぞれ、遊離の色素と比較すると5nmおよび10nmの赤色のシフトを示した。遊離のAOAO−7の蛍光は、DMAOの蛍光よりも約5倍少ない。AOAO−7のより低いバックグラウンドの蛍光は、リアルタイムqPCRにおいては有利である。AOAO−7のアクリジン単量体1つあたりの蛍光はDMAOの蛍光に近く、これは、DNAに結合すると、AOAO−7の2つの単量体はもはや互いに消光することはなく、2つの間のリンカーは、量子収量に対してネガティブな作用は示さないことを示している。
【0237】
(実施例43)
TOTO−1およびTOTO3の吸収スペクトル
実施例42に関して記載した様式と同様の様式において、TOTO−1およびTOTO−3の吸収スペクトルを、PBS緩衝液の中で、図5に示すようにDNAの存在を伴わずに、または図6に示すように、2mg/mLのサケ精子DNAの存在下で測定した。図5に示すように、遊離の色素のスペクトルは、中性であるかまたは実質的に正電荷を含まないBRIDGEを有しているTOTO−3は分子内H二量体またはヘアピン構造を形成するが、複数の正電荷を有しているTOTO−1は、ほとんどスペクトルがシフトしないことを示している。図6に示すように、DNAの存在下では、TOTO−1およびTOTO−3のいずれの吸収スペクトルもほぼ同じ位置にシフトし、これは、TOTO−3二量体のヘアピン構造がDNAに結合すると開くこと、およびTOTO−1とTOTO−3はいずれも、同様のタイプのDNA−色素錯体を形成することを示している。
【0238】
(実施例44)
様々な量のDNAに対して応答するAOAO−12の蛍光
0、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1.0、2.0、4.0、6.0、8.0、および10μg/mLの最終濃度のサケ精子DNAまたは一本鎖の20マーのオリゴヌクレオチドの混合物の存在下での、200mLのPBS中の0.1μMのAOAO−12の蛍光を、マイクロタイタープレートリーダー(SpectraMax of Molecular Devices Corporation(Sunnyvale,CA))上で測定した。蛍光を図7に示すように、DNAの濃度に対してプロットした。蛍光が2.0μg/mLまでのDNAに対して直線的に反応したことを見ることができる(差し込み図)。さらに高いDNA濃度では、反応は、非直線的になる。AOAO−12は、二本鎖のDNAに結合した場合には、一本鎖のDNAに結合した場合よりも強い蛍光を発する。
【0239】
(実施例45)
qPCRにおけるAOAO−12およびSYBR Green Iのシグナル強度の比較
本実施例では、qPCRにおける蛍光シグナルの強度において、SYBR Green Iよりも優れたAOAO−12の特性を明らかにする。全てのリアルタイム増幅を、10mMのTris(pH 8.0)、50mMのKCl、3.5mMのMgCl2、2mMの各dNTP、および1単位のAmpliTaq DNAポリメラーゼ(ABI,Foster City,CA)、および様々な濃度の蛍光をモニターするための色素を含む、20μLの反応溶液の中で行った。pTOPOプラスミド中のATPB断片(配列番号1)を、0.5μMの正方向プライマー5’−GAGGTCTTCACAGGTCATA−3’(配列番号2)、0.5μMの逆方向プライマー5’−CTCTTCAGCCAGCTTATC−3’(配列番号3)を用いて増幅させた。熱によるレジュメは、95℃で1分間、続いて、95℃で15秒間、55℃で15秒間、および72℃で15秒間のサイクルを50サイクルと設定した。蛍光は、55℃の段階で測定した。以前の報告(Nath,K.,et al.,Effects of ethidium bromide and SYBR Green I on different polymerase chain reaction systems,J.Biochem Biophys Methods 42,15(2000))と一致して、SYBR Green Iは、図8に示すように、PCR反応に対する阻害を示した。ここでは、Ctは、より高いSYBR Green I濃度では遅れた。SYBR Green I濃度と比較すると、より高いAOAO−12濃度を、阻害を示すことなく反応に添加することができた。結果として、AOAO−12を用いた場合の最終的な蛍光強度は数倍高くなる場合があり、これによって、より感度の高い検出が可能となる。あるいは、AOAO−12を用いた場合には、感度の低い光学デバイスを、サーマルサイクラー蛍光光度計(thermal cycling fluorometer)において使用することができ、それによって、より安価な機器がもたらされる。
【0240】
(実施例46)
ヒトゲノムDNAの滴定
ヒトゲノムDNAからのUBC断片(配列番号8)の増幅を、(1)異なる正方向プライマーと逆方向プライマーのセット(5’−ACTGGTAAGACCATCACC−3’(配列番号9)および5’−GCAATGAAATTTGTTGAA−3’(配列番号10))を使用したこと、ならびに、(2)ヒトDNAの10倍稀釈物のシリーズを鋳型としたことを除いて、SYBR Green I(495nmでの最終的な吸収ピークは0.025の光学密度に相当する、すなわち、A495=0.025)またはAOAO−12(最終A495=0.1)を用いて、実施例45に示した条件と同様の条件下で行った。図8は、SYBR Green IまたはAOAO−12のいずれかを用いて、ヒトDNAの10コピーで始めて10コピーまで減少する複数の反応の増幅プロットを示す。差し込み図は、Ct値は、いずれの色素を用いた場合も、モニターした最初のコピー数の対数と逆の相関関係にあることを示している。AOAO−12は、シグナル強度においてはSYBR Green Iよりも明らかに優れている。
【0241】
(実施例47)
qPCRにおけるTO、TOTO−1、およびTOTO12
本実施例は、qPCRにおける、TO(チアゾールオレンジ、非対称シアニン色素)またはTOTO−1を上回る改良されたTOTO−12の特性を明らかにする。リアルタイム増幅は全て、TO、TOTO−1、およびTOTO−12を使用したことを除いて、実施例5に記載したように行った。図11に示すように、TOTO−1は、PCR反応を完全に阻害したが、TOTO−12は、qPCRにおいては、TOと比較すると、改善されたCt値と改善された蛍光強度を生じた。TOTO−12二量体色素は、TOおよびTOTO−1色素のそれぞれよりも優れている。
【0242】
(実施例48)
AORO−7の吸光度および蛍光
実施例42に関して記載した様式と同様の様式において、AORO−7の吸収スペクトルを、図12に示すように、PBS緩衝液中で単独で、または2μg/mLのサケ精子DNAの存在下で得た。DNAに結合したAORO−7の放射スペクトルを図13に示す。ヘテロ二量体色素AORO−7には単量体AO色素と、蛍光非核酸ロサミンRO色素が含まれる。2つの放射ピーク(それぞれ、AO部分とRO部分による)が記録された。Bio−Rad Laboratories(Hercules,CA)によるChromo4上での、490nmに設定された励起と530nmで回収される放射、すなわち、Ex490/Em530を用いたチャンネル1において、あるいは、Ex580/Em630を用いたチャンネル3においては、AORO−7を用いてqPCRを記録することができたが、チャンネル2(Ex520/Em570)では弱かった(データは示さない)。蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)の効果は無視できるほどであるため、単量体色素構成成分であるAOまたはROのいずれをも、レポーター色素として選択することができる。
【0243】
(実施例49)
qPCRにおけるヘテロ二量体色素AORO−7
本実施例は、qPCRにおけるAORO−7の有用性を示す。リアルタイム増幅を、最終的な溶液中で600nmで0.025の光学密度を有しているAORO−7を使用したことを除いて、実施例5のように行った。図14に示すように、AORO−7は、qPCRの反応経過をモニターするために、そしてアンプリコンの融解曲線(差し込み図)を検出するために、有効に使用することができる。このqPCRが、Bio−Rad Laboratories(Hercules,CA)によるiCycle IQ Multiple−Color Real−Time PCR Detection Systemのチャンネル3(Ex580/Em630)でモニターできたという知見は、所望される波長のほとんどの全ての色素が、本明細書中に開示される方法によるqPCRでのDNAレポーター色素に合い、したがって、スペクトルの使用をqPCRのモニタリングに拡大することができることの一例を提供する。現在、ほとんどのTaqManプローブにはFAMまたなVICが使用されている。これらは、SYBR GreenIと同じチャンネルを占めている。配列特異的プローブ(例えば、TaqManプローブ)と、異なる波長の配列非特異的色素(例えば、AORO−7)をqPCRにおいて使用することが有利である。この場合、プローブによっては、配列特異性が提供され、そして色素によっては、アンプリコンの他のパラメーター(例えば、融点)が提供される。
【0244】
(実施例50)
AOAO−12を用いてモニターした融解ピーク
SYBR Green Iは、アンプリコンの融点をqPCR増幅の後に検出することができるという点で有利であることが報告されている。融点は、アンプリコンについての有用な情報を提供する。なぜなら、これは、アンプリコンの大きさとGC含有量の関数であるからである。融点は、TaqMan反応からは得ることはできない。4種類のアンプリコン、すなわち、HMBS(配列番号4)、RPL4(配列番号5)、SDHA(配列番号6)、およびTBP(配列番号7)による融解曲線を、AOAO−12(パネルA)またはSYBR Green(パネルB)の存在下で増幅させた反応から測定し、そして図15に示す。AOAO−12を用いて得られた融解ピークは、SYBR Green Iを用いて得られたピークと相関関係があった。AOAO−12は、SYBR Green Iよりも弱いが、高い親和性でDNAに結合するため、AOAO−12による融点は、SYBR Green Iによる融点よりも約2℃低い。より高い濃度のAOAO−12をリアルタイムPCR反応において使用することができるため、融解ピークは顕著により高い。データは、AOAO−12の相対的な有用性を示している。
【0245】
SYBR Green Iを用いたqPCR反応は、プライマー−二量体を形成する傾向があり、そして、この傾向はSYBR Green Iの濃度と密接に関係していることが報告されている。SYBR Green Iは、そのように堅くDNAに結合し、これはTaq DNAポリメラーゼの性能を妨げることが主張されている。AOAO−12はDNAに対する親和性がほとんどないため、妨害は少ないはずである。AOAO−12のこの特性は、図15から明らかであり、SYBR Green Iの存在下でのHMBSの増幅反応は、さらなるプライマー二量体のピークを有しているが、AOAO−12の存在下での同じ増幅は、きれいな特異的ピークを1つだけ示すことである。
【0246】
(実施例51)
AOAO色素の安定性
単量体AOを含む二量体色素の安定性を明らかにした。具体的には、AOAO−12を、PCR産物を含むPCR反応緩衝液の中で維持した。混合物を96℃で40分間加熱した。加熱過程の間に、混合物を、蛍光をモニターするために一時的に60℃に冷却した。図16に示すように、AOAO−12は、96℃で40分間安定であり、実質的な蛍光の消失はない。データは、PCRにおけるAOAO−12の構造安定性を示している。
【0247】
(実施例52)
TOTO−13(表2の色素番号29)の調製
色素(102mg)を、Nカルボキシペンチルチアゾールオレンジ(102mg、0.23ミリモル)(実施例31)と4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミン(23mg、0.1モル)からAOAO−2(表2の色素番号7)を合成するための手順を使用して調製した。
【0248】
(実施例53)
N−(5−カルボキシペンチル)−4−(4−(ジメチルアミノ)スチリル)ピリジニウムブロマイドの調製
エタノール(100mL)中の4−N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド(3g、20ミリモル)、N−(5−カルボキシ−ペンチル)ピコリニウムブロマイド(5.6g、20ミリモル)、およびピペリジン(2mL)の混合物を、60℃で一晩加熱した。混合物を減圧下で乾燥物となるまで蒸発させた。残渣をメタノールの中に再度溶解させ、その後、エーテルで沈殿させると、生成物(6.7g)が得られた。
【0249】
(実施例54)
STST−19(表2の色素番号31)の調製
色素(85mg)を、N−(5−カルボキシペンチル)−4−(4−(ジメチルアミノ)スチリル)ピリジニウムブロマイド(実施例53)(200mg、0.5ミリモル)と2,2’−オキシビス(エチルアミン)ジヒドロクロライド(36mg、0.2ミリモル)からAOAO−2(実施例7)を調製するための手順を使用して調製した。
【0250】
(実施例55)
STST−27(表2の色素番号30)の調製
色素(81.8mg)を、N−(5−カルボキシペンチル)−4−(4−ジメチルアミノ)スチリル)ピリジニウムブロマイド(実施例53)(200mg、0.5ミリモル)と4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミン(44mg、0.2ミリモル)からAOAO−2(実施例7)を調製するための手順を使用して調製した。
【0251】
二量体色素または三量体色素のような有用な色素は、本明細書中に記載されている。このような色素は、多数の所望される特性(例えば、比較的低いバックグラウンドの蛍光、比較的低いPCR阻害、良好な蛍光シグナル強度、および良好な安定性)のいずれかを有している場合がある。一般的には、多くても1つの正電荷を有している色素は、任意の多数の用途(例えば、別の分子の標識における使用、および核酸の存在または核酸が存在しないことの検出における使用)を有している場合がある。さらに、一般的には、実質的には中性であるこのような色素は、任意の多数の用途(例えば、PCRプロセスにおける使用、あるいは、核酸の存在または核酸が存在しないことの検出における使用、あるいは、定量的リアルタイムPCRにおける使用)を有している。
【0252】
多数の有用な二量体色素および三量体色素が記載されている。例として、分子に対して色素の核酸検出能力を付与するための、別の分子との供給結合または別の分子の標識に適している色素、核酸が含まれている場合もまたは含まれていない場合もある試料中の核酸の存在または核酸が存在しないことを検出するために適している色素;ならびに、試料(例えば、核酸増幅に適しているプロセスを受けた試料(試料には標的核酸が含まれているはずである))中での核酸の形成またはそれがないことを検出するために適している色素が記載されている。上記色素の任意のものを調製する方法、および上記色素の任意のものを使用する方法もまた記載されている。本明細書中に記載される組成物を使用する任意の方法が、本明細書中で意図される。本発明の適切な色素を含む、試料中の核酸の形成またはそれがないことを決定するために適しているキット、および標的核酸が含まれているはずである試料中の標的核酸の増幅に十分である適切な組成物が、本明細書中で意図され、同様に、有用な用途を有している本明細書中に記載される組成物が含まれている任意のキットも意図される。
【0253】
本明細書中の記載に関する様々な改良、プロセス、さらには多数の構造を、明細書を参照して当業者に容易に明らかであるように、適用できることができる。本明細書中で特定されている様々な参考文献、刊行物、米国仮特許出願および特許出願、または外国の特許出願、ならびに/あるいは、米国特許または外国の特許は、それらのそれぞれが、その引用によってそれらの全体が本明細書中に組み入れられる。様々な態様および特徴が、理解、意見、理論、根底にある仮定、および/または実施例もしくは机上の実験例に関して説明され、記載されているが、任意のそのような理解、意見、理論、根底にある仮定、および/または実施例もしくは机上の実験例は、拘束力のあるものではないことが理解されるであろう。様々な態様および特徴が本明細書中の様々な実施例および実施例に関して記載されているが、それらのいずれも、添付される特許請求の範囲の範囲全体にかかわる限定ではないことが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0254】
【図1】図1(FIG.1)は、リリースオンデマンド機構によるDNAの結合の模式図である。ここでは、色素の3種類の立体構造の状態は実質的に平衡状態にある。
【図2】図2(FIG.2)は、PBS緩衝液中の、a)二量体色素AOAO−7(○)およびb)単量体AO色素DMAO(△)の、波長(nm)に対する正規化された吸光度、あるいは、正規化された吸収スペクトルのグラフによる表示である。
【図3】図3(FIG.3)は、緩衝液中またはDNAの存在下での、a)二量体色素AOAO−7(●)およびb)単量体AO色素DMAO(▲)の、波長(nm)に対する正規化された吸光度、あるいは、正規化された吸収スペクトルのグラフによる表示である。
【図4】図4(FIG.4)は、DNAの添加前のPBS緩衝液中のDMAO(△)およびAOAO−7(○)(それぞれ、a)およびc))、ならびに、DNAの添加後のPBS緩衝液中のDMAO(▲)およびAOAO−7(●)(それぞれ、b)およびd))の、波長(nm)に対する相対的な蛍光、または蛍光放射スペクトルのグラフによる表示である。
【図5】図5(FIG.5)は、緩衝液中の、a)TOTO−1(米国特許第5,582,977号にしたがって調製した)(濃い線)、およびb)TOTO−3(薄い線)の、波長(nm)に対する正規化された吸光度、あるいは、正規化された吸収スペクトルのグラフによる表示である。
【図6】図6(FIG.6)は、緩衝液中およびDNAの存在下での、a)米国特許第5,582,977号のTOTO−1(濃い線)、およびb)TOTO−3(薄い線)の、波長(nm)に対する正規化された吸光度、あるいは、正規化された吸収スペクトルのグラフによる表示である。
【図7】図7(FIG.7)には、溶液中およびAOAO−12(0.2μM)の存在下の、一本鎖DNA(◇)および二本鎖のDNA(◆)の、DNA濃度(μg/mL)に対する相対的な蛍光または滴定のグラフによる表示が含まれる。図7にはまた、両者の間での実質的に直線的な関係を示す、DNA濃度に対する相対的な蛍光の差し込み図によるグラフ表示も含まれる。
【図8】図8(FIG.8)は、低い色素濃度(△)および高い色素濃度(▲)のSYBR Green I、ならびに、低い色素濃度(□)および高い色素濃度(■)のAOAO−12を使用した、サイクル数(Ct)に対する相対的な蛍光またはPCR増幅のグラフによる表示である。ここでは、Ctは、一般的には、蛍光シグナルが任意の限界点に達するサイクル数を意味し、PCR増幅プロットにおいては、通常、蛍光シグナルがベースラインから少し上昇し始める点に対応する。それぞれの色素について、相対的な色素濃度が、PBS緩衝液中の色素の最大吸収で光学密度(OD)が測定された。471nmでの1×および2×のAOAO−12の色素濃度は、それぞれ、0.1および0.2のODに対応しており、そして495nmでの0.5×および1×のSYBR Green Iの色素濃度は、それぞれ、0.025および0.05のODに対応していた。
【図9】図9(FIG.9)には、それぞれの光学濃度で蛍光プローブとしてAOAO−12(□)およびSYBR Green I(△)を使用した、サイクル数(Ct)に対する相対的な蛍光またはPCR増幅のグラフによる表示が含まれる。それぞれの色素について、相対的な色素濃度が、PBS緩衝液中の色素の最大吸収で光学密度(OD)が測定された。471nmでのAOAO−12の色素濃度は、0.4のODに対応しており、そして495nmでのSYBR Green Iの色素濃度は、0.025のODに対応していた。図9にはまた、AOAO−12(■)およびSYBR Green I(▲)を使用した、DNA試料のコピー数の対数に対するCtの差し込み図によるグラフ表示も含まれており、これらは、それぞれの場合において、両者の間での実質的に直線的な関係を示している。
【図10】図10(FIG.10)は、二量体色素を形成させるための単量体色素QおよびQの可能性のある組み合わせA、B、C、D、およびEの模式図である。組み合わせAには、2つの同じレポーター蛍光核酸色素または同様のスペクトルを有している2つのレポーター蛍光核酸色素が含まれる。組み合わせBには、1つのレポーター蛍光核酸色素と1つの非レポーターDNA結合分子が含まれる。組み合わせCには、1つの非レポーターDNA結合分子と1つのレポーター非DNA結合色素が含まれる。組み合わせDには、1つのレポーター蛍光核酸色素と1つの非レポーター非蛍光非核酸色素が含まれる。組み合わせEには、1つのレポーター蛍光核酸色素と1つのレポーター蛍光非核酸色素が含まれる。
【図11】図11(FIG.11)は、TO単量体色素(○)、TOTO−1単量体色素(△)、およびTOTO−12二量体色素(□)(化合物24、表2)を使用した、サイクル数(Ct)に対する蛍光強度またはPCR増幅のグラフによる表示である。
【図12】図12(FIG.12)は、PBS緩衝液中のヘテロ二量体色素AORO−7(○)、ならびに、PBS緩衝液中およびDNAの存在下でのヘテロ二量体色素AORO−7(+)の、波長(nm)に対する吸光度または吸収スペクトルのグラフによる表示である。
【図13】図13(FIG.13)は、ヘテロ二量体色素AORO−7の波長(nm)に対する任意の蛍光強度または放射スペクトルのグラフによる提示であり、500nm(実線、濃い線)または約560nm(点線、薄い線)のいずれかでの励起が別々に記録された。
【図14】図14(FIG.14)には、ヘテロ二量体色素AORO−7を使用した、サイクル数(Ct)に対する相対的な蛍光強度またはPCR増幅のグラフによる表示が含まれる。図14にはまた、温度(℃)に対する相対的な蛍光シグナルの差込図によるグラフ表示、また、融解曲線のプロットも含まれる。
【図15】図15(FIG.15)は、温度(℃)に対する相対的な蛍光の変化のグラフによる提示、または、融解曲線のプロットである。4種類のアンプリコンTBP(○)、SDHA(△)、RPL4(◇)、およびHMBS(□)の、A)AOAO−12を使用したモニタリング(点線)、およびB)SYBR Green Iを使用したモニタリング(実線)。
【図16】図16(FIG.16)は、AOAO−12の、96℃での時間(分)に対する60℃でモニターした相対的な蛍光、または96℃での熱安定性のグラフによる表示である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的核酸が含まれている場合も、また、含まれていない場合もある試料中の核酸の形成またはそれがないことを決定する方法であって:
該試料と蛍光核酸色素を含む試験溶液を提供する工程であって、該蛍光核酸色素は以下の式を有しており:
【化1】

式中、BRIDGEは、約8個から約150個の水素以外の原子を含む、実質的に脂肪族の、実質的に中性のリンカーであり;Qは、蛍光核酸色素構成成分、非蛍光核酸色素構成成分、蛍光非核酸色素構成成分、および非蛍光非核酸色素構成成分から選択される色素構成成分であり;Qは、蛍光核酸色素構成成分、非蛍光核酸色素構成成分、蛍光非核酸色素構成成分、および非蛍光非核酸色素構成成分から選択される色素構成成分であり;該Q色素構成成分と該Q色素構成成分のうち少なくとも一方の色素構成成分は、レポーター色素構成成分であり;該Q色素構成成分と該Q色素構成成分のうち少なくとも一方の色素構成成分は、蛍光核酸色素構成成分または非蛍光核酸色素構成成分であり;そして、該レポーター色素構成成分と該蛍光核酸色素構成成分は、状況によっては同じである、工程;
該標的核酸の増幅のために十分である該試験溶液を使用してプロセスを実行する工程であって、該試料には、該標的核酸が含まれるはずである、工程;ならびに、
該レポーター色素構成成分による吸収に十分な波長の光で該試験溶液を照射する工程と、蛍光の放射またはそれがないことを決定する工程、
が含まれる、方法。
【請求項2】
標的核酸が含まれている場合も、また、含まれていない場合もある試料中の核酸の形成またはそれがないことを決定する方法であって:
該試料と蛍光核酸色素を含む試験溶液を提供する工程であって、該蛍光核酸色素は以下の式を有しており:
【化2】

式中、BRIDGEは、約15個から約150個の水素以外の原子を含む、実質的に脂肪族の、実質的に中性のリンカーであり;Qは、蛍光核酸色素構成成分、非蛍光核酸色素構成成分、蛍光非核酸色素構成成分、および非蛍光非核酸色素構成成分から選択される色素構成成分であり;Qは、蛍光核酸色素構成成分、非蛍光核酸色素構成成分、蛍光非核酸色素構成成分、および非蛍光非核酸色素構成成分から選択される色素構成成分であり;Qは、蛍光核酸色素構成成分、非蛍光核酸色素構成成分、蛍光非核酸色素構成成分、および非蛍光非核酸色素構成成分から選択される色素構成成分であり;該Q色素構成成分、該Q色素構成成分、および該Q色素構成成分の少なくとも1つの色素構成成分は、レポーター色素構成成分であり;該Q色素構成成分、該Q色素構成成分、および該Q色素構成成分の少なくとも1つの色素構成成分は、蛍光核酸色素構成成分または非蛍光核酸色素構成成分であり;そして、該レポーター色素構成成分と該蛍光核酸色素構成成分は、状況によっては同じである、工程;
該標的核酸の増幅のために十分である該試験溶液を使用してプロセスを実行する工程であって、該試料には、該標的核酸が含まれるはずである、工程;ならびに、
該レポーター色素構成成分による吸収に十分な波長の光で該試験溶液を照射する工程と、蛍光の放射またはそれがないことを決定する工程、
が含まれる、方法。
【請求項3】
前記蛍光核酸色素構成成分が、アクリジン色素、非対称シアニン色素、対称シアニン色素、フェナントリジニウム色素、およびピロニン色素、およびスチリル色素から選択される、請求項1および2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記実行工程に、リアルタイムPCRプロセスを実行する工程が含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記Q色素構成成分および前記Q色素構成成分の少なくとも一方の色素構成成分が以下の構造:
【化3】

であって、式中、Rはそれぞれ独立して、HまたはC1〜C2(C1、C2を含む)アルキルであり;
とRの一方は、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;
が、BRIDGEが該構造に結合していることを示す場合には、RはHまたは−CHであり;
が、BRIDGEが該構造に結合していることを示す場合には、Rは、H、−CH、−NH、−NHCH、−CN、および−C(=O)NHから選択され;
はそれぞれ独立して、HまたはC1〜C2(C1、C2を含む)アルキルであり;
はそれぞれ独立して、HまたはC1〜C2(C1、C2を含む)アルキルであり;
隣接しているRまたはRとRのそれぞれの対について、RまたはRとRは独立して、一緒に、5員環または6員環の飽和または不飽和環を形成し;そして、
Ψは、陰イオンである、
構造を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
はそれぞれHであり;RはHであり:Rは、BRIDGEが前記構造に結合していることを示し;Rがそれぞれ−CHであり;そしてRはそれぞれ−CHである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記Q色素構成成分および前記Q色素構成成分の少なくとも一方の色素構成成分が以下の構造:
【化4】

であって、式中、R’は、H;1個の炭素から6個の炭素(1、6を含む)を有しているアルキルもしくはアルケニル;ハロゲン;−OR;−SR10;−NR1112;−CN;−NH(C=O)R13;−NHS(=O)14;−C(=O)NHR15;または小溝結合剤と結合した置換基であるか;あるいは、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;
’に、R、R10、R11、R12、R13、R14、および、R15の少なくとも1つが含まれている場合には、前記R、R10、R11、R12、R13、R14、および、R15のうちの任意のものは、独立して、H、または、状況に応じて1個から2個(1、2を含む)の窒素が組み込まれている、1個の炭素から12個の炭素(1、12を含む)を有しているアルキル;または、アリールであり;
’にR11とR12が含まれている場合には、R11とR12は、一緒に、5員環または6員環の飽和または不飽和環を形成することができ、これには、状況に応じて、NおよびOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれ;
Xは、OおよびSから選択され;
nは、0、1、および2から選択され;
は、H;状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から10個の炭素(1、10を含む)を有しているアルキルもしくはアルケニル;ハロゲン;−OR16;−SR16;−NR1617;または、状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される1個から3個(1、3を含む)のヘテロ原子が含まれている、置換されたもしくは未置換のアリールであるか;あるいは、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;
は、H;状況に応じて、アリールと、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から10個(1、10を含むの炭素)を有しているアルキルもしくはアルケニル;または、状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される1個から3個(1、3を含む)のヘテロ原子が含まれている、置換されたもしくは未置換のアリールであるか;あるいは、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;
は、H;状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から10個の炭素(1、10を含む)を有しているアルキルもしくはアルケニル;ハロゲン;−OR16;−SR16;−NR1617;または、状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される1個から3個(1、3を含む)のヘテロ原子が含まれている、置換されたもしくは未置換のアリールであるか;あるいは、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;
’は、H;状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から10個の炭素(1、10を含む)を有しているアルキルもしくはアルケニル;ハロゲン;−OR16;−SR16;−NR1617;または、状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される1個から3個(1、3を含む)のヘテロ原子が含まれている、置換されたもしくは未置換のアリールであり;
とR’は、一緒に、縮合された芳香環を形成することができ、これは、C1〜C2(C1、C2を含む)アルキル、C1〜C2(C1、C2を含む)アルコキシ、C1〜C2(C1、C2を含む)アルキルメルカプト、またはハロゲンで、独立してさらに1回から4回(1回、4回を含む)置換することができ;
16およびR17の少なくとも一方が含まれている任意のR、R、およびR’については、該R16およびR17の任意のものは、独立して、H;状況に応じて1個から2個の窒素が組み込まれている、1個の炭素から12個の炭素(1、12を含む)を有しているアルキル、またはアリールであり;
16およびR17が含まれている任意のR、R、およびR’については、該R16およびR17は、一緒に、5員環または6員環の飽和または不飽和環を形成することができ、これには、状況に応じて、NおよびOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれ;
’、R、R、およびRの1つだけが、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;そして
Ψは、陰イオンである、
構造を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記Q色素構成成分および前記Q色素構成成分の少なくとも一方の色素構成成分が以下の構造を有している、請求項1に記載の方法:
【化5】

式中、Rは、BRIDGEが構造に結合していることを示し;そして
Ψは、陰イオンである。
【請求項9】
前記Q色素構成成分および前記Q色素構成成分の少なくとも一方の色素構成成分が以下の構造:
【化6】

であって、式中、Rは、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;そして
Ψは、陰イオンである、
構造を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
BRIDGEが以下の式:
【化7】

【化8】

であって、式中、LおよびLはそれぞれ独立して、単結合を含む部分;状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から約12個の炭素(1、12を含む)を有しているポリメチレン単位;または、状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれているアリールであり;A、A、A、A、A、A、A、A、A、およびA10はそれぞれ独立して、核酸の結合を促進する基(NABEG);状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている分岐したアルキル;あるいは、状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている少なくとも1つの飽和した5員環または6員環であり;
α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、およびιはそれぞれ独立して、0、または1から約20(1、20を含む)までの整数であり;そして
a、b、c、d、e、f、g、h、およびiはそれぞれ独立して、0、または1から約20(1、20を含む)までの整数である、
式を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
BRIDGEに、約8個から約100個(1、100を含む)の水素以外の原子が含まれている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
、A、A、A、A、A、A、A、A、およびA10がそれぞれ独立して、少なくとも1つのアミド結合、ウレタン結合、尿素結合、チオ尿素結合、エーテル結合、またはチオエーテル結合が含まれている少なくとも1つの連結結合が含まれている部分を含むNABEG;あるいは、状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれているアリールである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
BRIDGEが以下の式:
【化9】

であって、式中、xはそれぞれ独立して、1から11(1、11を含む)から選択される整数であり;αは2から約20(2、20を含む)から選択される整数であり;βおよびγはそれぞれ独立して、2または3であり;bは0、または1から約20(1、20を含む)までの整数であり;そして、cは0または1である、
式を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
式中、xが5であり;αとγが同じであり、2または3であり、;βは2であり;bは0、1、2、または3であり;そして、cは1である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
およびQが同じである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記Q色素構成成分および前記Q色素構成成分のそれぞれの色素構成成分が以下の構造:
【化10】

であって、式中、RはそれぞれHであり;
はHであり;
は、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;
はそれぞれ−CHであり;
はそれぞれ−CHであり;そして
Ψは、陰イオンである
構造を有している、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記Q色素構成成分および前記Q色素構成成分のそれぞれの色素構成成分が以下の構造:
【化11】

であって、式中、R’は、H;1個の炭素から6個の炭素(1、6を含む)を有しているアルキルもしくはアルケニル;ハロゲン;−OR;−SR10;−NR1112;−CN;−NH(C=O)R13;−NHS(=O)14;−C(=O)NHR15;または小溝結合剤と結合した置換基であるか;あるいは、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;
’に、R、R10、R11、R12、R13、R14、および、R15の少なくとも1つが含まれている場合には、該R、R10、R11、R12、R13、R14、および、R15のうちの任意のものは、独立して、H、または、状況に応じて1個から2個(1、2を含む)の窒素が組み込まれている、1個の炭素から12個の炭素(1、12を含む)を有しているアルキル;または、アリールであり;
’にR11とR12が含まれている場合には、R11とR12は、一緒に、5員環または6員環の飽和または不飽和環を形成することができ、これには、状況に応じて、NおよびOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれ;
Xは、OおよびSから選択され;
nは、0、1、および2から選択され;
は、H;状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から10個の炭素(1、10を含む)を有しているアルキルもしくはアルケニル;ハロゲン;−OR16;−SR16;−NR1617;または、状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される1個から3個(1、3を含む)のヘテロ原子が含まれている、置換されたもしくは未置換のアリールであるか;あるいは、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;
は、H;状況に応じて、アリールと、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から10個の炭素(1、10を含む)を有しているアルキルもしくはアルケニル;または、状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される1個から3個(1、3を含む)のヘテロ原子が含まれている、置換されたもしくは未置換のアリールであるか;あるいは、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;
は、H;状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から10個の炭素(1、10を含む)を有しているアルキルもしくはアルケニル;ハロゲン;−OR16;−SR16;−NR1617;または、状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される1個から3個(1、3を含む)のヘテロ原子が含まれている、置換されたもしくは未置換のアリールであるか;あるいは、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;
’は、H;状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から10個の炭素(1、10を含む)を有しているアルキルもしくはアルケニル;ハロゲン;−OR16;−SR16;−NR1617;または、状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される1個から3個(1、3を含む)のヘテロ原子が含まれている、置換されたもしくは未置換のアリールであり;
とR’は、一緒に、縮合された芳香環を形成することができ、これは、C1〜C2(C1、C2を含む)アルキル、C1〜C2(C1、C2を含む)アルコキシ、C1〜C2(C1、C2を含む)アルキルメルカプト、またはハロゲンで、独立してさらに1回から4回(1回、4回を含む)置換することができ;
16およびR17の少なくとも一方が含まれている任意のR、R、およびR’については、該R16およびR17の任意のものは、独立して、H;状況に応じて1個から2個の窒素が組み込まれている、1個の炭素から12個の炭素(1、12を含む)を有しているアルキル、またはアリールであり;
16およびR17が含まれている任意のR、R、およびR’については、該R16およびR17は、一緒に、5員環または6員環の飽和または不飽和環を形成することができ、これには、状況に応じて、NおよびOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれ;
’、R、R、およびRの1つだけが、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;そして
Ψは、陰イオンである
構造を有している、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記Q色素構成成分および前記Q色素構成成分のそれぞれの色素構成成分が以下の構造:
【化12】

であって、式中、Rは、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;そして
Ψは、陰イオンである
構造を有している、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記Q色素構成成分および前記Q色素構成成分のそれぞれの色素構成成分が以下の構造:
【化13】

であって、式中、Rは、BRIDGEが構造に結合していることを示し;そして
Ψは、陰イオンである
構造を有している、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記蛍光核酸色素が以下の構造:
【化14】

であって、式中、Ψは、IまたはClである
構造を有している、請求項1および4のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
以下の式:
【化15】

であって、式中、Qは、蛍光核酸色素構成成分、非蛍光核酸色素構成成分、蛍光非核酸色素構成成分、および非蛍光非核酸色素構成成分から選択される色素構成成分であり;Qは、蛍光核酸色素構成成分、非蛍光核酸色素構成成分、蛍光非核酸色素構成成分、および非蛍光非核酸色素構成成分から選択される色素構成成分であり;該Q色素構成成分および該Q色素構成成分の少なくとも一方の色素構成成分はレポーター色素構成成分であり;該Q色素構成成分および該Q色素構成成分の少なくとも一方の色素構成成分は、蛍光核酸色素構成成分または非蛍光核酸色素構成成分であり;そして、該レポーター色素構成成分と該蛍光核酸色素構成成分は、状況によっては同じであり;そして、
BRIDGEには約8個から約150個の水素以外の原子と、1個までの正電荷が含まれており、そして以下の式を有しており:
【化16】

式中、LおよびLはそれぞれ独立して、単結合を含む部分;状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から約12個の炭素(1、12を含む)を有しているポリメチレン単位;または、状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれているアリールであり;
、A、A、A、A、A、A、A、A、およびA10はそれぞれ独立して、核酸の結合を促進する基(NABEG);状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている分岐したアルキル;あるいは、状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている少なくとも1つの飽和した5員環または6員環であり;
α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、およびιはそれぞれ独立して、0、または1から約20(1、20を含む)までの整数であり;そして
a、b、c、d、e、f、g、h、およびiはそれぞれ独立して、0、または1から約20(1、20を含む)までの整数であり;
式中、該Q色素構成成分が非対称シアニン色素であり、該Q色素構成成分が非対称シアニン色素である場合には、a、b、c、d、e、f、g、h、およびiの合計は、3よりも大きい数であり、または、A、A、A、A、A、A、A、A、A、およびA10の少なくとも1つは、少なくとも1つのアミド結合、ウレタン結合、尿素結合、またはチオ尿素結合が含まれている少なくとも1つの連結結合が含まれている部分を含むNABEG;あるいは、状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれているアリールである
式を有している組成物。
【請求項22】
BRIDGEに、約12個から約60個(12、60を含む)の水素以外の原子が含まれている、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
BRIDGEに、約15個から約40個(15、40を含む)の水素以外の原子が含まれている、請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
が、アクリジン色素、非対称シアニン色素、対称シアニン色素、フェナントリジニウム色素、およびピロニン色素、およびスチリル色素から選択される蛍光核酸色素構成成分であり、そしてQが、アクリジン色素、非対称シアニン色素、対称シアニン色素、フェナントリジニウム色素、およびピロニン色素、およびスチリル色素から選択される蛍光核酸色素構成成分である、請求項21に記載の組成物。
【請求項25】
前記アクリジン色素が以下の構造:
【化17】

であって、式中、Rはそれぞれ独立して、HまたはC1〜C2(C1、C2を含む)アルキルであり;
とRの一方は、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;
がBRIDGEが該構造に結合していることを示す場合には、RはHまたは−CHであり;
がBRIDGEが該構造に結合していることを示す場合には、Rは、H、−CH、−NH、−NHCH、−CN、および−C(=O)NHから選択され;
はそれぞれ独立して、HまたはC1〜C2(C1、C2を含む)アルキルであり;
はそれぞれ独立して、HまたはC1〜C2(C1、C2を含む)アルキルであり;
隣接しているRまたはRとRのそれぞれの対について、RまたはRとRは独立して、一緒に、5員環または6員環の飽和または不飽和環を形成し;そして、
Ψは、陰イオンである
構造を有している、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
はそれぞれHであり;RはHであり:Rは、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;Rはそれぞれ−CHであり;そしてRはそれぞれ−CHである、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記非対称シアニン色素が以下の構造:
【化18】

であって、式中、R’は、H;1個の炭素から6個の炭素(1、6を含む)を有しているアルキルもしくはアルケニル;ハロゲン;−OR;−SR10;−NR1112;−CN;−NH(C=O)R13;−NHS(=O)14;−C(=O)NHR15;または小溝結合剤と結合した置換基であるか;あるいは、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;
’に、R、R10、R11、R12、R13、R14、および、R15の少なくとも1つが含まれている場合には、該R、R10、R11、R12、R13、R14、および、R15のうちの任意のものは、独立して、H、または、状況に応じて1個から2個(1、2を含む)の窒素が組み込まれている、1個の炭素から12個の炭素(1、12を含む)を有しているアルキル;または、アリールであり;
’にR11とR12が含まれている場合には、R11とR12は、一緒に、5員環または6員環の飽和または不飽和環を形成することができ、これには、状況に応じて、NおよびOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれ;
Xは、OおよびSから選択され;
nは、0、1、および2から選択され;
は、H;状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から10個の炭素(1、10を含む)を有しているアルキルもしくはアルケニル;ハロゲン;−OR16;−SR16;−NR1617;または、状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される1個から3個(1、3を含む)のヘテロ原子が含まれている、置換されたもしくは未置換のアリールであるか;あるいは、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;
は、H;状況に応じて、アリールと、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から10個の炭素(1、10を含む)を有しているアルキルもしくはアルケニル;または、状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される1個から3個のヘテロ原子(1、3を含む)が含まれている、置換されたもしくは未置換のアリールであるか;あるいは、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;
は、H;状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から10個の炭素(1、10を含む)を有しているアルキルもしくはアルケニル;ハロゲン;−OR16;−SR16;−NR1617;または、状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される1個から3個(1、3を含む)のヘテロ原子が含まれている、置換されたもしくは未置換のアリールであるか;あるいは、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;
’は、H;状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から10個の炭素(1、10を含む)を有しているアルキルもしくはアルケニル;ハロゲン;−OR16;−SR16;−NR1617;または、状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される1個から3個(1、3を含む)のヘテロ原子が含まれている、置換されたもしくは未置換のアリールであり;
とR’は、一緒に、縮合された芳香環を形成することができ、これは、C1〜C2(C1、C2を含む)アルキル、C1〜C2(C1、C2を含む)アルコキシ、C1〜C2(C1、C2を含む)アルキルメルカプト、またはハロゲンで、独立してさらに1回から4回(1回、4回を含む)置換することができ;
16およびR17の少なくとも一方が含まれている任意のR、R、およびR’については、該R16およびR17の任意のものは、独立して、H;状況に応じて1個から2個の窒素が組み込まれている、1個の炭素から12個の炭素(1、12を含む)を有しているアルキル、またはアリールであり;
16およびR17が含まれている任意のR、R、およびR’については、そのR16およびR17は、一緒に、5員環または6員環の飽和または不飽和環を形成することができ、これには、状況に応じて、NおよびOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれ;
’、R、R、およびRの1つだけが、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;そして
Ψは、陰イオンである
構造を有している、請求項24に記載の組成物。
【請求項28】
前記非対照シアニン色素が以下の構造:
【化19】

であって、式中、Rは、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;そして
Ψは、陰イオンである
構造を有している、請求項24に記載の組成物。
【請求項29】
前記フェナントリジニウム色素が以下の構造:
【化20】

であって、式中、Rは、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;そして
Ψは、陰イオンである
構造を有している、請求項24に記載の組成物。
【請求項30】
BRIDGEが以下の式:
【化21】

であって、式中、xはそれぞれ独立して、1から11(1、11を含む)から選択される整数であり;αは2から約20(2、20を含む)から選択される整数であり;βおよびγはそれぞれ独立して、2または3であり;bは0、または1から約20(1、20を含む)までの整数であり;そして、cは0または1である
式を有している、請求項21に記載の組成物。
【請求項31】
式中、xが5であり;αとγが同じであり、2または3であり、;βは2であり;bは0、1、2、または3であり;そして、cは1である、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
およびQが同じである、請求項30に記載の組成物。
【請求項33】
前記Q色素構成成分および前記Q色素構成成分のそれぞれの色素構成成分が以下の構造:
【化22】

であって、式中、RはそれぞれHであり;
はHであり;
は、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;
はそれぞれ−CHであり;
はそれぞれ−CHであり;そして
Ψは、陰イオンである
構造を有している、請求項30に記載の組成物。
【請求項34】
前記Q色素構成成分および前記Q色素構成成分のそれぞれの色素構成成分が以下の構造:
【化23】

であって、式中、R’は、H;1個の炭素から6個の炭素(1、6を含む)を有しているアルキルもしくはアルケニル;ハロゲン;−OR;−SR10;−NR1112;−CN;−NH(C=O)R13;−NHS(=O)14;−C(=O)NHR15;または小溝結合剤と結合した置換基であるか;あるいは、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;
’に、R、R10、R11、R12、R13、R14、および、R15の少なくとも1つが含まれている場合には、該R、R10、R11、R12、R13、R14、および、R15のうちの任意のものは、独立して、H、または、状況に応じて1個から2個(1、2を含む)の窒素が組み込まれている、1個の炭素から12個の炭素(1、12を含む)を有しているアルキル;または、アリールであり;
’にR11とR12が含まれている場合には、R11とR12は、一緒に、5員環または6員環の飽和または不飽和環を形成することができ、これには、状況に応じて、NおよびOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれ;
Xは、OおよびSから選択され;
nは、0、1、および2から選択され;
は、H;状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から10個の炭素(1、10を含む)を有しているアルキルもしくはアルケニル;ハロゲン;−OR16;−SR16;−NR1617;または、状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される1個から3個(1、3を含む)のヘテロ原子が含まれている、置換されたもしくは未置換のアリールであるか;あるいは、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;
は、H;状況に応じて、アリールと、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から10個の炭素(1、10を含む)を有しているアルキルもしくはアルケニル;または、状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される1個から3個(1、3を含む)のヘテロ原子が含まれている、置換されたもしくは未置換のアリールであるか;あるいは、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;
は、H;状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から10個の炭素(1、10を含む)を有しているアルキルもしくはアルケニル;ハロゲン;−OR16;−SR16;−NR1617;または、状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される1個から3個(1、3を含む)のヘテロ原子が含まれている、置換されたもしくは未置換のアリールであるか;あるいは、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;
’は、H;状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から10個の炭素(1、10を含む)を有しているアルキルもしくはアルケニル;ハロゲン;−OR16;−SR16;−NR1617;または、状況に応じて、ハロゲン、N、O、およびSから選択される1個から3個(1、3を含む)のヘテロ原子が含まれている、置換されたもしくは未置換のアリールであり;
とR’は、一緒に、縮合された芳香環を形成することができ、これは、C1〜C2(C1、C2を含む)アルキル、C1〜C2(C1、C2を含む)アルコキシ、C1〜C2(C1、C2を含む)アルキルメルカプト、またはハロゲンで、独立してさらに1回から4回(1回、4回を含む)置換することができ;
16およびR17の少なくとも一方が含まれている任意のR、R、およびR’については、該R16およびR17の任意のものは、独立して、H;状況に応じて1個から2個の窒素が組み込まれている、1個の炭素から12個の炭素(1、12を含む)を有しているアルキル、またはアリールであり;
16およびR17が含まれている任意のR、R、およびR’については、該R16およびR17は、一緒に、5員環または6員環の飽和または不飽和環を形成することができ、これには、状況に応じて、NおよびOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれ;
’、R、R、およびRの1つだけが、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;そして
Ψは、陰イオンである
構造を有している、請求項30に記載の組成物。
【請求項35】
前記Q色素構成成分および前記Q色素構成成分のそれぞれの色素構成成分が以下の構造:
【化24】

であって、式中、Rは、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;そして
Ψは、陰イオンである
構造を有している、請求項30に記載の組成物。
【請求項36】
前記Q色素構成成分および前記Q色素構成成分のそれぞれの色素構成成分が以下の構造:
【化25】

であって、式中、Rは、BRIDGEが該構造に結合していることを示し;そして
Ψは、陰イオンである
構造を有している、請求項30に記載の組成物。
【請求項37】
以下の構造:
【化26】

であって、式中、Ψは、IまたはClである
構造を有している色素。
【請求項38】
以下の構造:
【化27】

であって、式中、Ψは、IまたはClである
構造を有している色素。
【請求項39】
以下の構造:
【化28】

であって、式中、Ψは、IまたはClである
構造を有している色素。
【請求項40】
以下の構造:
【化29】

であって、式中、Ψは、IまたはClである
構造を有している色素。
【請求項41】
以下の式:
【化30】

であって、式中、BRIDGEは、約15個から約150個の水素以外の原子と、1つまでの正電荷を含む、実質的に脂肪族のリンカーであり;Qは、蛍光核酸色素構成成分、非蛍光核酸色素構成成分、蛍光非核酸色素構成成分、および非蛍光非核酸色素構成成分から選択される色素構成成分であり;Qは、蛍光核酸色素構成成分、非蛍光核酸色素構成成分、蛍光非核酸色素構成成分、および非蛍光非核酸色素構成成分から選択される色素構成成分であり;Qは、蛍光核酸色素構成成分、非蛍光核酸色素構成成分、蛍光非核酸色素構成成分、および非蛍光非核酸色素構成成分から選択される色素構成成分であり;該Q色素構成成分、該Q色素構成成分、および該Q色素構成成分の少なくとも1つの色素構成成分は、レポーター色素構成成分であり;該Q色素構成成分、該Q色素構成成分、および該Q色素構成成分の少なくとも1つの色素構成成分は、蛍光核酸色素構成成分または非蛍光核酸色素構成成分であり;そして、該レポーター色素構成成分と該蛍光核酸色素構成成分は、状況によっては同じである
式を有している組成物。
【請求項42】
BRIDGEに以下:
【化31】

が含まれており、式中、LおよびLはそれぞれ独立して、単結合を含む部分;状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から約12個の炭素(1、12を含む)を有しているポリメチレン単位;または、状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれているアリールであり;
は、前記Q色素構成成分および前記Q色素構成成分のうちの一方の色素構成成分に共有結合させられており;
は、該一方の色素構成成分ではないQ色素構成成分およびQ色素構成成分のうちの色素構成成分に共有結合させられており;
、A、A、A、A、A、A、A、A、およびA10はそれぞれ独立して、核酸の結合を促進する基(NABEG);状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている分岐したアルキル;あるいは、状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている少なくとも1つの飽和した5員環または6員環であり;
α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、およびιはそれぞれ独立して、0、または1から約20(1、20を含む)までの整数であり;そして
a、b、c、d、e、f、g、h、およびiはそれぞれ独立して、0、または1から約20(1、20を含む)までの整数であり;
、A、A、A、A、A、A、A、A、およびA10の1つは、以下の式を有しており:
【化32】

式中、Tは、置換された炭素、置換された窒素、または状況に応じて、O、N、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれているアリールであり;
は、Qに共有結合させられており、単結合を含む部分;状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から約12個の炭素(1、12を含む)を有しているポリメチレン単位;または、状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれているアリールであり;そして、
B’は、以下の式を有しており:
【化33】

式中、−(CHα’は、Tに共有結合させられており、そしてA14はLに共有結合させられており;
11、A12、A13、およびA14はそれぞれ独立して、核酸の結合を促進する基(NABEG);状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている分岐したアルキル;あるいは、状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている少なくとも1つの飽和した5員環または6員環であり;
α’、β’、γ’、およびδ’はそれぞれ独立して、0、または1から約20まで(1、20を含む)の整数であり;そして
a’、b’、およびc’はそれぞれ独立して、0、または1から約20まで(1、20を含む)の整数である、
請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
以下の式:
【化34】

であって、式中、BRIDGEは、約15個から約150個の水素以外の原子と、1つまでの正電荷を含む、実質的に脂肪族のリンカーであり;Qは、蛍光核酸色素構成成分であり;Qは、蛍光核酸色素構成成分であり;そしてRは、反応基または官能基である
式を有している組成物。
【請求項44】
BRIDGEに以下:
【化35】

が含まれており、式中、LおよびLはそれぞれ独立して、単結合を含む部分;状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から約12個の炭素(1、12を含む)を有しているポリメチレン単位;または、状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれているアリールであり;
は、前記Q色素構成成分および前記Q色素構成成分のうちの一方の色素構成成分に共有結合させられており;
は、該一方の色素構成成分ではないQ色素構成成分およびQ色素構成成分のうちの色素構成成分に共有結合させられており;
、A、A、A、A、A、A、A、A、およびA10はそれぞれ独立して、核酸の結合を促進する基(NABEG);状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている分岐したアルキル;あるいは、状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている少なくとも1つの飽和した5員環または6員環であり;
α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、およびιはそれぞれ独立して、0、または1から約20(1、20を含む)までの整数であり;そして
a、b、c、d、e、f、g、h、およびiはそれぞれ独立して、0、または1から約20(1、20を含む)までの整数であり;そして、
、A、A、A、A、A、A、A、A、およびA10の1つは、以下の式を有しており:
【化36】

式中、Tは、置換された炭素、置換された窒素、または状況に応じて、O、N、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれているアリールであり;
は、Rに共有結合させられており、単結合を含む部分;状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている、1個の炭素から約12個の炭素(1、12を含む)を有しているポリメチレン単位;または、状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれているアリールであり;そして、
B’は、以下の式を有しており:
【化37】

式中、−(CHα’は、Tに共有結合させられており、そしてA14はLに共有結合させられており;
11、A12、A13、およびA14はそれぞれ独立して、核酸の結合を促進する基(NABEG);状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている分岐したアルキル;あるいは、状況に応じて、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子が含まれている少なくとも1つの飽和した5員環または6員環であり;
α’、β’、γ’、およびδ’はそれぞれ独立して、0、または1から約20まで(1、20を含む)の整数であり;そして
a’、b’、およびc’はそれぞれ独立して、0、または1から約20まで(1、20を含む)の整数である、
請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
請求項44に記載の組成物を基質分子に結合させる工程が含まれる、色素を使用する方法。
【請求項46】
前記基質分子が、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ペプチド、タンパク質、ハプテン、薬剤、マイクロ粒子、合成ポリマー、天然ポリマー、生物学的細胞、ウイルス、および固体表面の分子から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
核酸が含まれている場合も、また、含まれていない場合もある、試料を調製する方法であって:
該試料と、請求項21、30、および41のいずれかに記載の組成物の組み合わせを提供する工程であって、ここでは、核酸が該試料中に存在している場合には、核酸−色素錯体が形成される工程、
が含まれる、方法。
【請求項48】
前記組み合わせをインキュベートする工程がさらに含まれる、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
試料中の核酸の存在またはそれが存在しないことを決定する方法であって:
該試料と、請求項21、30、および41のいずれかに記載の組成物の組み合わせを提供する工程であって、ここでは、核酸が該試料中に存在している場合には、核酸−色素錯体が形成される工程;ならびに、
核酸錯体が形成された場合には、それによって光が吸収されるように、十分な波長の光で該組み合わせを照射し、そして、蛍光の放射またはそれがないことを決定する工程、
が含まれる、方法。
【請求項50】
標的核酸が含まれている場合も、また、含まれていない場合もある、試料中の核酸の形成またはそれがないことを決定するためのキットであって:
該標的核酸が含まれているはずである該試料中の該標的核酸の増幅のために十分な少なくとも1つの組成物;および
請求項21、30、および41のいずれかに記載の組成物
が含まれている、キット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公表番号】特表2008−533491(P2008−533491A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502133(P2008−502133)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/009910
【国際公開番号】WO2006/099605
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(507310363)バイオティウム, インコーポレイテッド (2)
【出願人】(507310374)アレロジック バイオサイエンシーズ コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】