説明

二量体化合物および抗ウイルス薬としてのそれらの使用

【課題】ウイルス感染症の予防もしくは治療薬の提供。
【解決手段】一般式(I)の化合物[式中、Rはアミノまたはグアニジノ基であり;Rはアセチルまたはトリフルオロアセチルであり;nおよびqは同じであっても異なっていてもよく、0、1または2から選択され;かつ、Xは置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいナフチルなどである]。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
本発明は新規な化学化合物およびそれらの医薬における使用に関する。特に、本発明は新規な二量体化合物、それらの製造方法、それらの医薬製剤、および抗ウイルス薬としてのそれらの使用に関する。
【0002】
背景技術
他の炭水化物から、シアル酸としても知られるN−アセチルノイラミン酸(NANA)を切断する能力を有する酵素が、多くの微生物に存在している。これらとしては、コレラ菌(Vibrio cholera)、ウエルシュ菌(Clostridium perfringens)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)およびアースロバクター・シアロフィルス(Arthrobacter sialophilus)などの細菌、ならびにインフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、ニューカッスル病ウイルスおよびセンダイウイルスなどのウイルスが挙げられる。これらのウイルスのほとんどはオルトミクソウイルスまたはパラミクソウイルス群に属し、ウイルス粒子の表面にノイラミニダーゼ活性を有している。ノイラミニダーゼを有するこれらの生物の多くは、ヒトおよび/または動物の主要な病原体であり、インフルエンザウイルスおよびニューカッスル病ウイルスなどのいくつかのものは、極めて重大な疾病を引き起こす。
【0003】
長い間、ノイラミニダーゼの阻害剤によってノイラミニダーゼを有するウイルスによる感染を予防し得ると考えられてきた。知られているノイラミニダーゼ阻害剤のほとんどが、2−デオキシ−2,3−デヒドロ−N−アセチルノイラミン酸(DANA)およびそのいくつかの誘導体などのノイラミン酸類似体である(Meindl et al, Virology, 1974 58 457)。本発明者らの国際特許公開番号WO91/16320では、ウイルスノイラミニダーゼに有効であるDANAの多くの類似体を記載しており、特に、4−グアニジノ−2−デオキシ−2,3−デヒドロ−N−アセチルノイラミン酸(化合物(A)、コード番号GG167)がA型およびB型インフルエンザの治療に有用であることを示している(N. Engl. J. Med. , 1997 337 874-880)。その他の特許出願では、密接に関連した種々のシアル酸誘導体が記載されており(例えば、PCT公開番号WO95/18800、同WO95/20583および同WO98/06712)、またGG167の抗ウイルス性高分子複合体についても記述されている(国際特許出願番号PCT/AU97/00771)。
【0004】
【化1】

[Acはアセチルを表す]。
【0005】
国際特許公開WO00/55149では、100原子以下の長さの共通のスペーサーまたは連結基と結合した、化合物(A)などの2つのノイラミニダーゼ結合分子を含んでなる二量体化合物を記載している。
【0006】
本発明者らは今般、本明細書において具体的に開示していないが、国際特許公開WO00/55149の包括範囲に含まれ、肺滞留時間が長く、強力であるといった驚くほど有利な抗インフルエンザ活性プロフィールを示す新規な化合物種を発見した。
【0007】
理論に拘束されるものではないが、肺内での滞留時間が長いことについての根拠は、化合物の大きさおよび分子量が気道上皮内での結合が強いために侵入を阻まれていること、および化合物の極性が細胞膜を極めて非効率的にしか通過しないようなものであることによると考えられている。またもう1つの理論として、化合物自体が細胞膜のリン脂質または気道上皮のその他の成分と相互作用し、肺内での滞留時間を延長するというものがある。
【発明の概要】
【0008】
下記一般式(I)の化合物、またはその医薬上許容される誘導体:
【化2】

[式中、
Rは、アミノまたはグアニジノ基であり;
は、アセチルまたはトリフルオロアセチルであり;
nおよびqは、同じであっても異なっていてもよく、0、1または2から選択され;かつ
Xは、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいナフチル、または置換されていてもよいフェニル−Y−所望により置換されていてもよいフェニル(ここで、Yは共有結合、CH、CHCH、OまたはSOから選択される)である、
{ただし、Xがフェニルまたはナフチルであるとき、nおよびqは双方とも2であり、Xがフェニル−Y−フェニル(ここで、Yは共有結合である)であるとき、nおよびqは双方ともに0ではない}]。
【発明の具体的説明】
【0009】
好ましくは、Rはグアニジノ基である。
【0010】
好ましくは、Rはアセチル基である。
【0011】
好ましくは、nおよびqは同じである。
【0012】
好ましくは、Xはフェニル(オルト、メタ、またはパラ置換されていてもよい)、ナフチルまたはフェニル−Y−フェニル(各フェニル環は所望によりアルコキシで置換されていてもよい)である。
【0013】
「置換されていてもよい」とは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アリールオキシ、カルボキシ、ベンジルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアリールオキシ、ニトロ、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロアリール、ニトロヘテロシクリル、アジド、ニトロソ、アミノ、アルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、アリールアミノ、ベンジルアミノ、アシルアミノ、アシル、アルケニルアシル、アルキニルアシル、アリールアシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルデヒド、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、スルホニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヘテロシクリルアミノ、ハロヘテロシクリル、アルキルスルフェニル、アリールスルフェニル、カルボアルコキシ、カルボアリールオキシ、メルカプト、スルホン酸、アルキルチオ、アリールチオおよびアシルチオから選択される1以上の基でさらに置換されていてもされていなくとてもよい基を意味する。
【0014】
好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアルコキシ置換基は6個以上の炭素原子を含有する。
【0015】
式(I)の化合物を、式(I)の化合物のいずれかの1以上の官能基において修飾して、その医薬上許容される誘導体とすることをができることは、当業者ならば明らかであろう。このような誘導体として特に着目されるものは、カルボキシル官能基、ヒドロキシル官能基において、またはアミノ基において修飾された化合物である。従って、目的の化合物としては、式(I)の化合物の、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルエステルなどのアルキルエステル、フェニル、ベンゾイルエステルなどのアリールエステル、およびアセチルエステルが挙げられる。
【0016】
「医薬上許容される誘導体」とは、 式(I)の化合物の、医薬上許容される塩、エーテル、エステルもしくはかかるエステルの塩、または受容者へ投与した際に式(I)の化合物または抗ウイルス的に活性な代謝産物もしくはその残渣を提供することができる他のいずれかの化合物を意味する。誘導体として特に着目されるものは、シアル酸カルボキシもしくはグリセロールヒドロキシ基において修飾された化合物、または、アミノおよびグアニジン基において修飾された化合物である。
【0017】
式(I)の化合物の医薬上許容される塩としては、医薬上許容される無機および有機酸ならびに塩基から誘導されたものが挙げられる。好適な酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、蟻酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸およびベンゼンスルホン酸が挙げられる。シュウ酸などのその他の酸はそれ自体では医薬上許容されるものではないが、本発明の化合物およびそれらの医薬上許容される酸付加塩を得る際に中間体として有用な塩の製造において有用であり得る。
【0018】
好適な塩基から誘導された塩としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウム、およびNR(ここで、RはC1−4アルキルである)塩が挙げられる。
【0019】
本発明の化合物は本明細書に記載の方法によって製造することができる。当業者ならば、単量体をアリールスペーサー基と結合させる工程中にノイラミニダーゼ結合分子の1以上の官能基を保護するために保護基を用いる必要があることが明らかであろう。例えば、T. W. Green and P. G. M. Nutsによる"Protective Groups in Organic Synthesis"(John Wiley & Sons, 1991)を参照。式(I)の化合物の医薬上許容される塩は、公知の手法によって製造することができる。
【0020】
製造および処理を容易にするため、式(I)の化合物は結晶状であることが好ましい。
【0021】
従って、本発明はまた上記の式(I)の化合物の製造方法であって、下記式(II)の化合物を脱保護することを含んでなる方法も提供する:
【化3】

(式中、R、R、n、qおよびxは上記定義の通りである)。
【0022】
式(I)の化合物は抗ウイルス活性を有する。特に、これらの化合物はオルトミクソウイルスおよびパラミクソウイルスのウイルスノイラミニダーゼ、例えば、A型およびB型インフルエンザ、パラインフルエンザ、流行性耳下腺炎およびニューカッスル病のウイルスノイラミニダーゼの阻害剤である。
【0023】
よって、第2の態様において、本発明は、ウイルス感染症、例えば、オルトミクソウイルス感染症およびパラミクソウイルス感染症の治療に有効な治療薬として用いる式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を提供する。
【0024】
第3の態様において、本発明はウイルス感染症の予防または治療方法であって、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは誘導体の有効量を、それを必要とする被験体へ投与することを含んでなる方法を提供する。
【0025】
好ましくは、ウイルス感染症はオルトミクソウイルス感染症またはパラミクソウイルス感染症である。より好ましくは、ウイルス感染症はA型またはB型インフルエンザ感染症である。
【0026】
好ましくは、被験体は哺乳類などの動物であり、より好ましくは、ヒト、またはウマ属に属するもの、例えば、ウマ、ロバまたはラバである。最も好ましくは、哺乳類はヒトである。
【0027】
第4の態様において、本発明は、ウイルス感染症の治療用の医薬の製造のための、本発明の化合物の使用を提供する。
【0028】
当業者ならば、本明細書において治療とは、確立された感染症または症候の治療だけでなく感染症に対する予防にも及ぶことは明らかであろう。
【0029】
また、本発明の化合物は、診断方法、特にインフルエンザウイルスの検出方法、においても用いることができる。かかる方法で使用する場合には、本発明の化合物に、放射性標識、蛍光標識または化学発光標識などの標識を付けることが有利であることがある。
【0030】
本発明の化合物が好適である診断方法は、例えば、本発明者らの先行する出願PCT/AU97/00109およびPCT/AU97/00771に記載されている。
【0031】
第5の態様において、本発明は、本発明の化合物を、ウイルスを含んでいる疑いがあるサンプルと接触させることを含んでなるウイルス感染症の検出方法を提供する。
【0032】
さらに、治療用に必要な本発明の化合物の量は選択された化合物だけでなく、投与経路、治療する症状の性質、ならびに患者の年齢および状態によって異なり、最終的には医師または獣医の判断によって行われることが分かるであろう。しかしながら、一般的には好適な用量は1日あたり約0.001〜100mg/体重kgの範囲、好ましくは、0.01〜10mg/kg/日の範囲、最も好ましくは、0.1〜1mg/kg/日の範囲である。
【0033】
処置は、好ましくは、感染前または感染時に開始してウイルスが気道に存在しなくなるまで続ける。しかしながら、本発明の化合物は感染後、例えば、確立された症状の出現後に施与した場合でも有効である。
【0034】
好適には、処置は1回または2回行い、好ましくは、治療だけならば1回だけ、好ましくは、予防には週1回行う。
【0035】
本発明の化合物は便宜には、例えば、単位投与形あたり1〜100mg、より便宜には、1〜20mgの有効成分を含有する単位投与形で投与する。
【0036】
治療に用いる場合には、本発明の化合物を原料化学物質として投与してもよいが、医薬製剤としての有効成分であることが好ましい。
【0037】
よって、第6の態様においては、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは誘導体を、1種以上の医薬上許容される担体、および必要に応じて他の治療および/または予防成分とともに含んでなる医薬製剤を提供する。担体は製剤のその他の成分と適合し、その受容者に有害ではないという意味において「許容される」ものでなければならない。
【0038】
また、本発明の化合物はその他の治療薬および/または予防薬、例えば、その他の抗感染症薬と併用してもよい。特に、本発明の化合物はその他の抗ウイルス薬と併用してもよい。よって、本発明は、第7の態様において、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは誘導体を、別の治療上および/または予防上有効な薬剤、特に、抗ウイルス薬とともに含んでなる組み合わせ物を提供する。
【0039】
上記の組み合わせ物は、便宜には、医薬製剤の形態で用いるために提供され、よって、上記の組み合わせ物をその医薬上許容される担体とともに含んでなるかかる製剤は、本発明のさらなる態様をなす。
【0040】
かかる組み合わせ物に用いるのに好適な治療薬および/または予防薬としては、他の抗感染症薬、特に、抗菌薬および抗ウイルス薬、例えば、呼吸器感染症の治療に用いられるものが挙げられる。例えば、インフルエンザウイルスに有効である、上記のシアル酸類似体、例えば、ザナミビル(zanamivir)、オセルタミビル(oseltamivir)、アマンタジン(amantadine)、リマンタジン(rimantadine)およびリバビリン(rabavirin)、ならびにFluVaxなどの他の化合物またはワクチンをかかる組み合わせ物に含めてもよい。
【0041】
かかる組み合わせ物の個々の成分は個別に投与してもよいし、逐次投与してもよいし、または個別の医薬製剤もしくは組み合わせ医薬製剤として同時に投与してもよい。
【0042】
本発明の化合物を同じウイルスに有効な第2の治療薬および/または予防薬と併用する場合、各化合物の用量は各化合物を単独で用いる際に使用する用量と同じ場合もあるし、異なる場合もある。当業者であれば、適当な用量が容易に分かるであろう。
【0043】
医薬製剤としては、経口、直腸、経鼻、局所(口内および舌下など)、膣または非経口(筋肉内、皮下および静脈内など)投与に好適なもの、または気道(鼻腔など)への投与、例えば、吸入法または通気法による投与に好適な形態のものが挙げられる。製剤は、必要に応じて、便宜には、個別投与単位で提供してもよく、製薬分野では十分に公知のいずれの方法によって製造してもよい。これらの方法としては、活性化合物を液体担体または微粉固体担体、もしくはその両方と会合させた後、必要に応じて、生成物を所望の製剤に成形する工程が含まれる。
【0044】
経口投与に好適な医薬製剤は、便宜には、各々が所定量の有効成分を含むカプセル剤、カシェ剤もしくは錠剤などの個別単位として;粉末もしくは顆粒剤として;液剤、懸濁剤としてまたは乳剤として提供してもよい。また、有効成分はボーラス、舐剤またはペースト剤として提供してもよい。経口投与用の錠剤およびカプセル剤には、結合剤、増量剤、滑沢剤、崩壊剤、または湿潤剤などの通常の賦形剤を含めてもよい。錠剤は当技術分野では十分に公知の方法に従ってコーティングしてもよい。経口液体製剤は、例えば、水性もしくは油性懸濁剤、液剤、乳剤、シロップ剤またはエリキシル剤の形態であってもよいし、または使用前に水もしくはその他の好適なビヒクルを用いて構成する乾燥製品として提供してもよい。かかる液体製剤には、沈殿防止剤、乳化剤、非水性ビヒクル(食用油を含んでもよい)、または防腐剤などの慣用の添加剤を含んでもよい。
【0045】
また、本発明の化合物は、注射、例えば、ボーラス注射、または点滴による非経口投与用に調製してもよく、アンプルに入った単位投与形、充填済みシリンジ、少量注入剤として、または防腐剤を添加した多容量型容器で提供してもよい。組成物は油性もしくは水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤、乳剤などの形態をとってもよく、沈殿防止剤、安定剤および/または分粉末などの配合剤を含んでいてもよい。あるいは、有効成分は使用前に好適なビヒクル、例えば、滅菌、パイロジェンフリー水を用いて構成する、滅菌固体の無菌単離によってまたは溶液からの凍結乾燥によって得た粉末形態であってもよい。
【0046】
表皮への局所投与には、本発明の化合物を軟膏、クリーム剤もしくはローション剤として、または経皮パッチとして調剤してもよい。軟膏およびクリーム剤は、例えば、好適な増粘剤および/またはゲル化剤を添加した水性または油性基剤を用いて調剤してもよい。ローション剤は水性または油性基剤を用いて調剤してよく、また一般には1種以上の乳化剤、安定剤、分粉末、沈殿防止剤、増粘剤、または着色剤も含む。
【0047】
口腔内局所投与に好適な製剤としては、香味基剤、通常、スクロースおよびアラビアガムまたはトラガカントガム、中に有効成分を含んでなるトローチ剤;ゼラチンまたはスクロースおよびアラビアガムなどの不活性基剤中に有効成分を含んでなる芳香錠;ならびに好適な液体担体中に有効成分を含んでなる口内洗浄剤が挙げられる。
【0048】
直腸投与に好適な、担体が固体である医薬製剤は、単位用量坐剤として提供するのが最も好ましい。好適な担体としては、ココア脂および当技術分野で一般に用いられるその他の材料が挙げられ、坐剤は、便宜には、活性化合物を軟化または融解した担体と混合した後に冷却し、成形することによって作製すればよい。
【0049】
膣投与に好適な製剤は、有効成分の他、当技術分野で好適であることが知られている担体を含む膣坐剤、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤またはスプレー剤とし提供してもよい。
【0050】
経鼻投与をはじめとする気道への投与には、ノイラミニダーゼ阻害剤を、当技術分野において気道への投与に用いられる方法および製剤のいずれによって投与してもよい。
【0051】
従って、一般的に、本化合物は液剤もしくは懸濁剤の形態または乾燥粉末として投与してもよい。
【0052】
液剤および懸濁剤は、一般的に、例えば、水単独(例えば、滅菌またはパイロジェンフリー水)または水および生理学上許容される補助溶媒(例えば、エタノール、プロピレングリコールまたはPEG400などのポリエチレングリコール)から調製された水性のものである。
【0053】
かかる液剤または懸濁剤は、その他の賦形剤、例えば、防腐剤(塩化ベンザルコニウムなど)、可溶化剤/界面活性剤、例えば、ポリソルベート(例えば、Tween 80、Span 80、塩化ベンザルコニウム)、緩衝剤、等張性調整剤(例えば、塩化ナトリウム)、吸収促進薬および増粘剤をさらに含んでもよい。懸濁剤は、沈殿防止剤(例えば、微晶質セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム)をさらに含んでもよい。
【0054】
液剤または懸濁剤は、慣用の手段により、例えば、ドロッパー、ピペットまたはスプレーを用いて鼻腔に直接適用される。これらの製剤は単回または多回投与形で提供してもよい。後者の場合には計量手段が提供されることが望ましい。ドロッパーまたはピペットの場合には、患者が所定量の適当な液剤または懸濁剤を投与することによってなされる。スプレーの場合には、例えば、定量噴霧式噴霧ポンプによってなされる。
【0055】
また、気道への投与は、化合物がクロロフルオロカーボン(CFC)、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタンまたはジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素またはその他の好適なガスなどの好適な噴射剤を加えた加圧パックで提供されるエアゾール製剤によって行ってもよい。また、エアゾールは、便宜には、レシチンなどの界面活性剤を含んでもよい。薬剤の量は定量バルブを設けることで制御することができる。
【0056】
また、本化合物は乾燥粉末の形態、例えば、化合物とラクトース、デンプン、デンプン誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリジン(PVP)などの好適な粉末基剤との粉末混合物の形態で提供してもよい。便宜には、粉末担体は鼻腔内でゲルを形成する。この粉末組成物は単位投与形、例えば、カプセルもしくはカートリッジ(例えば、ゼラチン)、またはブリスターパック(これから粉末が吸入器によって投与される)として提供してもよい。
【0057】
経鼻投与製剤をはじめとする気道への投与を目的とする製剤では、化合物の粒径は一般に小さく、例えば、5ミクロン以下のオーダーである。かかる粒径は当技術分野では公知の手段によって、例えば、微粉末化によって得られる。
【0058】
所望により、有効成分に徐放性を与えるようにした製剤を用いてもよい。
好ましくは、本発明の化合物を吸入法、通気法または経鼻投与、もしくはその組み合わせによって気道に投与する。
【0059】
「リレンザ(Relenza)」は「ディスクへラー(Diskhaler)」(GlaxoSmithKlineグループ社の商品名)を介してフリーフロー粉末として経口吸入によって投与される。類似の製剤が本発明に好適であろう。
【0060】
よって、本発明の第8の態様によれば、上記の製剤を含有する吸入器が提供される。
【0061】
また、吸入器は定量式エアゾール吸入器の形態であってもよいことは明らかであろう。
【0062】
本明細書の目的では、「含んでなる(comprising)」とは、「限定されるものではないが、含む(including but not limited to)」を意味すること、「含んでなる(comprises)」も相当の意味を持つことは明らかであろう。
【0063】
限定されるものではないが、本明細書の中で引用した特許および特許出願をはじめとする刊行物は総て、その個々の刊行物が、参照により、その全内容を示して具体的かつ個々に示されるように本明細書の一部とされる。
【0064】
発明の詳しい説明
以下、本発明を、単に参照として以下の限定されない実施例により詳細に説明する。
【0065】
装置による方法
A法(LC/MS)
MicromassプラットフォームII質量分析計を、陽イオンエレクトロスプレーモードで使用、質量範囲100〜1000amu(原子質量単位)。
カラム:3.3cm×4.6mm ID、3μm ABZ+PLUS、
流速:3ml/分、
注入量:5μl、
溶媒A:95%アセトニトリル+0.05%蟻酸、
溶媒B:0.1%蟻酸+10mM酢酸アンモニウム、
勾配:0% A/0.7分、0〜100% A/3.5分、100% A/1.1分、100〜0% A/0.2分。
【0066】
B法(LC/MS)
Waters ZQ質量分析計を陽イオンエレクトロスプレーモードで使用、質量範囲100〜1000amu。
カラム:3.3cm×4.6mm ID、3μm ABZ+PLUS、
流速:3ml/分、
注入量:5μl、
溶媒A:95%アセトニトリル+0.05%蟻酸、
溶媒B:0.1%蟻酸+10mM酢酸アンモニウム、
勾配:0% A/0.7分、0〜100% A/3.5分、100% A/1.1分、100〜0% A/0.2分。
【0067】
C法(自動分取HPLC)
使用した分取カラムはSupelcosil ABZplusであった(10cm×2.12cm)。
UV波長:230nm、
注入量:2ml、
流速:4ml/分、
溶媒A:アセトニトリル+0.05%TFA、
溶媒B:水+0.1%TFA、
勾配:5〜40% A/20分、40% A/20分、40〜100% A/0.3分、100% A/15分、100〜5% A/3分。
【0068】
D法(マス用自動分取HPLC)
使用した分取カラムはSupelcosil ABZplusであった(10cm×2.12cm)。
UV波長:200〜320nM、
流速:20ml/分、
注入量:1ml、
溶媒A:0.1%蟻酸、
溶媒B:95%アセトニトリル+5%蟻酸、
勾配:100% A/1分、100〜80% A/9分、80〜1% A/3.5分、1% A/1.4分、1〜100% A/0.1分。
【0069】
E法(分取HPLC)
使用した分取カラムはDynamax 60オングストローム C18(25cm×4.14cm)であった。
UV波長:230nm、
流速:40ml/分、
溶媒A:アセトニトリル+0.05%TFA、
溶媒B:水+0.1%TFA、
勾配:0〜50% A/25分、50〜100% A/0.3分、100% A/15分、100〜0% A/3分。
【0070】
F法(分取HPLC)
使用した分取カラムはKromasil C18(20cm×5cm)であった。
UV波長:230nm、
流速:80ml/分、
溶媒A:1%TFA、
溶媒B:80%アセトニトリル+1%TFA、
勾配:0〜100% B/70分。
【0071】
HPLCの後、適当な画分を合わせ、減圧下での蒸発により揮発性成分を除去した。水相をアンバークロムCG−161樹脂のカラム(10×2.5cm)に適用し、水(500ml)、次いでアセトニトリル:MeOH:水の2:2:1混合物(500ml)で溶出した。
【0072】
略語
TFA トリフルオロ酢酸
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
DCM ジクロロメタン
EtOAc 酢酸エチル
EtO ジエチルエーテル
MeOH メタノール
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
DPM ジフェニルメチル
SPE 固相抽出
NMR 核磁気共鳴
LC/MS 液体クロマトグラフィー/質量分析
【実施例】
【0073】
中間体1
【化4】

(2R,3R,4S)−3−(アセチルアミノ)−4−({(E)−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ][(tert−ブトキシカルボニル)イミノ]メチル}アミノ)−2−[(1R,2R)−1,2,3−トリヒドロキシプロピル]−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−6−カルボン酸ベンズヒドリル(J. Med. Chem. 1998, 41, 787-797参照)(12.38g;17.7ミリモル)を窒素下、室温にて乾燥アセトニトリル(130ml)に溶かした。この溶液を攪拌し、1,1’−カルボニルジイミダゾール(2.87g;17.7ミリモル)を添加した。16時間後のLC/MSで、最初のトリオールが存在していることが分かったため、さらなる1,1’−カルボニルジイミダゾール(合計0.493g;3ミリモル)を添加した。数時間後のLC/MSでは、トリオールが存在しないことが分かった。溶媒を蒸発させ、残渣を1:1酢酸エチル/40〜60石油エーテルで溶出するシリカでのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。生成物を含む画分を蒸発させた後、ジクロロメタンに溶かし、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させ、灰白色の固体として中間体1((2R,3R,4S)−3−(アセチルアミノ)−4−({[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ][(tert−ブトキシカルボニル)イミノ]メチル}アミノ)−2−{(S)−ヒドロキシ[(4R)−2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル]メチル}−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−6−カルボン酸ベンズヒドリル)(11.05g;86%)を得た。
【0074】
中間体3
【化5】

中間体1(2.0g,2.76mmol)を、無水トルエン(3×20ml)との共沸にり乾燥させた後、無水ピリジン(8ml)に溶かした。これにDMAP(1.01g,8.29mmol)およびクロロ蟻酸p−ニトロフェニル(0.67g,3.3mmol)を添加し、混合物を室温にて一晩攪拌した。さらなる分量のクロロ蟻酸p−ニトロフェニル(0.28g,1.38mmol)を添加し、攪拌を2時間続けた。LCMS(B法)では、MH=890;TRET=4.19分であり、中間体2と一致した。
【0075】
この混合物の一部(1.6ml)を別の反応槽に移し、DMAP(0.20g,1.66mmol)、トリエチルアミン(0.08ml,0.55mol)、次ぎに1,3−ベンゼンジエタンアミン二塩酸塩(65mg,0.27mmol)[製造については、Chem. Ber., 1984, 117 (4), 1487-1496参照]で処理し、混合物を70時間攪拌した後、真空濃縮し、DCM(10ml)と水(5ml)とで分液した。
疎水性ガラスカートリッジを用いて有機層の分離を行った。DCM層を窒素下、ブローダウンにより濃縮した後、5gシリカSPEカートリッジに通し、最初にシクロヘキサン:EtO(1:1)、次ぎにEtO、次ぎにEtO:EtOAc(9:1)、次ぎにEtO:EtOAc(5:1)、次ぎにEtO:EtOAc(3:1)、次ぎにEtO:EtOAc(1:1)、最後にEtOAcで溶出し、白色の固体として中間体3(0.29g;63%収率)を得た。LC/MS(A法)では、(M+2H+)/2=834;TRET=4.56分であった。
【0076】
中間体4
【化6】

中間体3(0.29g,0.2mmol)をDCM:アニソールの10:1混合物(0.80ml)に溶かし、TFA(0.73ml)で処理した。得られた溶液を室温にて2時間攪拌した後、窒素下、ブローダウンにより蒸発乾固した。残渣をジエチルエーテルでトリチュレートし、白色の固体として中間体4のビス−TFA塩(0.142g,76%収率)を得た。LC/MS(B法)では、(M+2H+)/2=467;TRET=2.05分であった。
【0077】
中間体5
【化7】

中間体1(0.10g,0.14mmol)を、無水トルエンとの共沸を3回行うことによって乾燥させた後、無水DCM(0.5ml)に溶かした。得られた溶液にDMAP(0.005g,触媒)、続いて1,1’−オキシビス[4−イソシアナトベンゼン](0.012g,0.046mmol)、および3オングストロームモレキュラーシーブペレット数個を添加した。混合物を一晩還流した後、冷却し、5gシリカSPEカートリッジにそのまま通した。これをまずEtO(10×20m1)、次ぎにEtOAc(5×20ml)で溶出し、無色のガラスとして中間体5(0.025g,33%収率)を得た。LC/MS(A法)では、(M+2H+)/2=852;TRET=4.55分であった。
【0078】
中間体6
【化8】

中間体1(4.0g,5.6mmol)を、無水トルエンとの共沸より乾燥させた後、無水DCM(5ml)に溶かした。得られた溶液に、窒素下で攪拌しながら、4,4’−メチレンビス[イソシアン酸フェニル](0.48g,1.9mmol)、3オングストロームモレキュラーシーブペレット数個およびDMAP(0.2g,触媒)を添加した後、混合物を20時間還流した。冷却後、混合物を真空濃縮し、シリカでのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。溶出はまずDCM、次ぎにEtO、次ぎに連続してEtO:EtOAc(95:5)、EtO:EtOAc(90:10)およびEtO:EtOAc(80:20)により行い、白色の固体として中間体6(2.60g,80%収率)を得た。LCMS(B法)では、(M+2H+)/2=850;TRET=4.57分であった。
【0079】
中間体7
【化9】

1,4−フェニレンジプロピオン酸(0.50g,2.25mmol)をトルエンと共沸した後、3オングストロームモレキュラーシーブペレット数個を加えてジオキサン(5ml)に懸濁し、窒素下、10分間攪拌した。トリエチルアミン(0.68ml,4.90mmol)、続いてジフェニルホスホリルアジド(0.96ml,4.50mmol)を添加し、混合物を室温にて2時間攪拌した。次いで、温度を80℃に上げ、混合物を45分間攪拌した後に冷却し、濾過して、不溶性物質を除去した。固体を石油エーテル(40〜60℃)で洗浄し、合わせた濾液を真空濃縮した。得られたオイルを石油エーテル(40〜60℃)で抽出し、無色のオイルとして中間体7(0.12g,25%収率)を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ (ppm) 7.12 (s, 4H), 3.45 (t, 4H), 2.83 (t, 4H).
【0080】
中間体8
【化10】

完全に保護した中間体8を、中間体5および6の場合と同じ手順に従って、中間体7および1から製造し、その後、以下のように脱保護した:(0.09g,0.05mmol)をDCM(0.37ml)およびアニソール(0.037ml)の混合物に溶かし、氷浴中で冷却した。混合物をTFA(0.37ml)で処理し、得られた溶液を室温まで温め、次いで、2.5時間攪拌した後、真空濃縮した。混合物をEtOでトリチュレートし、白色の固体として中間体8のビス−TFA塩(0.05g;93%収率)を得た。LC/MS(B法)では、(M+2H+)/2=467;TRET=2.01分であった。
【0081】
中間体9
【化11】

無水トルエン(100ml)中、4,4'−エチレンジアニリン(0.50g,2.36mmol)の溶液をトリホスゲン(1.40g,4.70mmol)で処理し、混合物を4時間還流加熱した(120℃)。混合物を冷却し、重力下で濾過し、不溶性残渣を除去した。濾液を真空濃縮し、黄色の固体として中間体9(0.54g,86%収率)を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ (ppm) 6.98-7.05 (8H, ABq) および 2.86 (4H, s)
【0082】
中間体10
【化12】

中間体1(0.40g,0.56mmol)を無水トルエンと2回共沸した後、無水DCM(0.4ml)に溶かした。得られた溶液にDMAP(0.02g,触媒)、続いて中間体9(0.05g,0.19mmol)および3オングストロームモレキュラーシーブペレット数個を添加した。混合物を18時間還流した後、40gシリカBiotageカートリッジにそのまま通した。これをEtO:EtOAc(6:1)で溶出し、白色の固体として中間体10(0.10g,31%収率)を得た。LC/MS(B法)では、(M+2H+)/2=858;TRET=4.57分であった。
【0083】
中間体11
【化13】

中間体1(2.0g,2.76mmol)を、無水トルエンとの共沸を3回行うことによって乾燥させた後、無水ピリジン(8ml)に溶かした。これにDMAP(1.01g,8.29mmol)およびクロロ蟻酸p−ニトロフェニル(0.67g,3.30mmol)を添加し、混合物を室温にて18時間攪拌した。さらなる分量のクロロ蟻酸p−ニトロフェニル(0.28g,1.38mmol)を添加し、攪拌を2時間続けた。LC/MS(B法)では、MH=890;TRET=4.19分であり、中間体2と一致した。
【0084】
混合物の一部(1.6ml)を別の反応槽に移し、DMAP(0.20g,1.66mmol)、トリエチルアミン(0.08ml,0.55mmol)、次ぎに4,4'−スルホニルビス−ベンジルアミン二塩酸塩(0.10g,0.28mmol)[製造については、J. Chem. Soc., 1946, 466参照]で処理し、混合物を70時間攪拌した。混合物を真空濃縮し、DCM(10ml)と水(5ml)とで分液した。50ml疎水性ガラスカートリッジを用いて二相分離を行った。DCM層を窒素下、ブローダウンにより濃縮した後、5gシリカSPEカートリッジに通し、まずシクロヘキサン:EtO(1:1)、次ぎにEtO、続いてEtO:EtOAc(9:1)、次ぎにEtO:EtOAc(5:1)、次ぎにEtO:EtOAc(3:1)、次ぎにEtO:EtOAc(1:1)、最後にEtOAcで溶出し、灰白色の固体として中間体11(0.15g;30%収率)を得た。LCMS(A法)では、(M+2H+)/2=890;TRET=4.47分であった。
【0085】
同様にして、以下のものを製造した。
【0086】
【表1】

【0087】
中間体16
【化14】

中間体14(2.74g,4.79mmol)を、無水トルエンとの共沸を4回行うことによって乾燥させた後、無水ピリジン(13.75ml)に溶かした。これにDMAP(1.46g,11.98mmol)およびクロロ蟻酸p−ニトロフェニル(1.06g,5.27mmol)を添加し、混合物を室温にて3時間攪拌した。LCMS(B法)では、MH=738;TRET=3.87分であり、中間体15と一致した。
次いで、この混合物に追加のピリジン(8.25ml)、続いて[1,1'−ビフェニル]−4,4'−ジメタンアミン(0.51g,2.4mmol)(J. Med. Chem., 2000, 43, 420-431に従って製造)を添加し、攪拌をさらに16時間続けた。混合物を真空濃縮し、DCM溶液として90gシリカBiotageカートリッジに通した。これをジエチルエーテル、続いてEtO:EtOAc(1:1)、次ぎにEtO:EtOAc(1:2)、最後に EtOAcで溶出し、白色の固体として中間体16(1.92g,57%収率)を得た。LC/MS(A法)では、(M+2H+)/2=705;TRET=3.96分であった。
【0088】
中間体17
【化15】

中間体10(0.1g,0.06mmol)をガラスバイアルに入ったDCM:アニソールの10:1混合物(0.44ml)に溶かし、TFA(0.04ml)で処理した。得られた溶液を室温にて2時間攪拌した後、真空濃縮した。残渣をジエチルエーテルでトリチュレートし、白色の固体として中間体17のビス−TFA塩(0.06g,87%収率)を得た。LC/MS(A法)では、(M+2H)/2=491;TRET=2.38分であった。
【0089】
同様にして、以下のものを製造した:
【化16】

【0090】
【表2】

【0091】
中間体23
【化17】

中間体16(1.92g,1.36mmol)をDCM:アニソールの10:1混合物(27.5ml)に溶かし、TFA(25ml)で処理した。得られた溶液を室温にて2時間攪拌した後、真空濃縮した。残渣をジエチルエーテルでトリチュレートし、白色の固体として中間体23のビス−TFA塩(1.59g,94%収率)を得た。LCMS(A法)では、(M+2H)/2=505;TRET=2.27分であった。
【0092】
実施例1
(2R,3R,4S)−3−(アセチルアミノ)−2−{(1R,2R)−1−[({[2−(3−{2−[({[(1R,2R)−1−((2R,3R,4S)−3−(アセチルアミノ)−4−{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}−6−カルボキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2,3−ジヒドロキシプロピル]オキシ}カルボニル)アミノ]エチル}フェニル)エチル]アミノ}カルボニル)オキシ]−2,3−ジヒドロキシプロピル}−4−{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−6−カルボン酸
【化18】

【0093】
中間体4(0.14g,0.15mmol)を水(1.20ml)およびメタノール(1.20ml)の混合物に溶かした。これにトリエチルアミン(0.30ml)を添加し、溶液を2時間振盪した後、真空濃縮した。逆相分取HPLC(D法)により実施例1(0.048g;44%収率)が得られた。LC/MS(A法)では、(M+2H)/2=441;TRET=1.83分であった。
【0094】
実施例2
(2R,3R,4S)−3−(アセチルアミノ)−2−{(1R,2R)−1−[({[2−(4−{2−[({[(1R,2R)−1−((2R,3R,4S)−3−(アセチルアミノ)−4−{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}−6−カルボキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2,3−ジヒドロキシプロピル]オキシ}カルボニル)アミノ]エチル}フェニル)エチル]アミノ}カルボニル)オキシ]−2,3−ジヒドロキシプロピル}−4−{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−6カルボン酸
【化19】

【0095】
中間体8(0.03g;0.06mmol)を水(1ml)およびメタノール(1ml)の混合物に溶かした。これにトリエチルアミン(0.25ml)を添加し、溶液を1時間攪拌した後、真空濃縮した。残渣を水溶液としてC18 SPEカートリッジ(メタノールでプレコンディショニングしたもの)に通した。このカラムをアセトニトリル:水(5:95)(3×5ml)、次いでアセトニトリル:水(7.5:93.5)(3×5ml)、最後にアセトニトリル:水(15:85)(3×5ml)で溶出し、白色の固体として実施例2(0.005g;9%収率)を得た。LC/MS(B法)では、(M+2H)/2=441;TRET=1.79分であった。
【0096】
実施例3
(2R,3R,4S)−3−(アセチルアミノ)−2−{(1R,2R)−1−[({[4−(2−{4−[({[(lR,2R)−1−((2R,3R,4S)−3−(アセチルアミノ)−4−{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}−6−カルボキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2,3−ジヒドロキシプロピル]オキシ}カルボニル)アミノ]フェニル}エチル)フェニル]アミノ}カルボニル)オキシ]−2,3−ジヒドロキシプロピル}−4−{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−6−カルボン酸ビスTFA塩
【化20】

【0097】
ジオキサン:水の2:1混合物(3ml)中、中間体17(0.06g,0.06mmol)の溶液を、トリエチルアミン(1ml)で処理し、混合物を室温で18時間攪拌した。逆相HPLC(C法)により精製し、白色の固体として実施例3(0.01g,22%収率)を得た。LC/MS(A法)では、(M+2H)/2=465;TRET=2.16分であった。
【0098】
実施例4
(2R,3R,4S)−3−(アセチルアミノ)−2−[(1R,2R)−1−({[({4−[(4−{[({[(1R,2R)−1((2R,3R,4S)−3−(アセチルアミノ)−4−{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}−6−カルボキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2,3−ジヒドロキシプロピル]オキシ}−カルボニル)アミノ]メチル}フェニル)スルホニル]フェニル}メチル)アミノ]オキシ)−2,3−ジヒドロキシプロピル]−4−{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−6−カルボン酸
【化21】

【0099】
中間体20(0.09g,0.07mmol)を水(0.70ml)およびメタノール(0.70ml)の混合物に溶かした。これにトリエチルアミン(0.18ml)を添加し、溶液を2時間振盪した後、真空濃縮した。逆相分取HPLC(D法)のより、ビス−TFA塩として実施例4(0.014g,20%収率)を得た。LC/MS(B法)では、(M+2H)/2=497;TRET=1.93分であった。
【0100】
同様にして、以下のものを製造した。
【0101】
【表3】

【0102】
実施例5
(2R,3R,4S)−3−(アセチルアミノ)−2−[(1R,2R)−1−({[({4−[(4−{[({[(1R,2R)−1−((2R,3R,4S)−3−(アセチルアミノ)−4−{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}−6−カルボキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2,3−ジヒドロキシプロピル]オキシ}カルボニル)アミノ]メチル}フェニル)オキシ]フェニル}メチル)アミノ]カルボニル)オキシ)−2,3−ジヒドロキシプロピル]−4−{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−6−カルボン酸
【0103】
実施例6
(2R,3R,4S)−3−(アセチルアミノ)−2−[(1R,2R)−1−({[({4−[(4−{[({[(1R,2R)−1((2R,3R,4S)−3−(アセチルアミノ)−4−{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}−6−カルボキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2,3−ジヒドロキシプロピル]オキシ}カルボニル)アミノ]メチル}フェニル)メチル]フェニル)メチル)アミノ]カルボニル}オキシ)−2,3−ジヒドロキシプロピル]−4−{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−6−カルボン酸
【0104】
実施例7
(2R,3R,4S)−3−(アセチルアミノ)−2−{(1R,2R)−1−[({[4−({4−[({[(1R,2R)−1−((2R,3R,4S)−3−(アセチルアミノ)−4−{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}−6−カルボキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2,3−ジヒドロキシプロピル]オキシ}カルボニル)アミノ]フェニル}オキシ)フェニル]アミノ}カルボニル)オキシ]−2,3−ジヒドロキシプロピル}−4−{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−6−カルボン酸ビスTFA塩
【化22】

【0105】
中間体18(0.005g,0.004mmol)を水(1ml)に溶かし、40℃で8時間加熱した。混合物を冷却し、500mg C18 SPEカートリッジ(メタノールでプレコンディショニングしたもの)に通した。このカラムを水(5ml)、次いでアセトニトリル:水(15:85)(2×5ml)で溶出した。アセトニトリル含有画分は不純な生成物を含んでいたことから、これらを合わせ、真空濃縮した。この残渣をTFA1滴を含む水(1ml)に再溶解し、500mg C18 SPEカートリッジ(メタノールでプレコンディショニングしたもの)に再び通した。このカラムをアセトニトリル:水(2:98)(2×5ml)、次いでアセトニトリル:水(4:96)(2×5ml)、次いでアセトニトリル:水(6:94)(2×5ml)、次いでアセトニトリル:水(8:92)(2×5ml)、最後にアセトニトリル:水(10:90)(2×5ml)で溶出し、白色の固体として実施例7(0.002g,47%収率)を得た。LC/MS(A法)では、(M+2H)/2=459;TRET=2.01分であった。
【0106】
実施例8
(2R,3R,4S)−3−(アセチルアミノ)−2−{(1R,2R)−1−[({[4−({4−[({[(1R,2R)−1−((2R,3R,4S)−3−(アセチルアミノ)−4−{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}−6−カルボキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2,3−ジヒドロキシプロピル]オキシ}カルボニル)アミノ]フェニル}メチル)フェニルアミノ}カルボニル)オキシ]−2,3−ジヒドロキシプロピル}−4−{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−6−カルボン酸ビスTFA塩
【化23】

【0107】
中間体19(1.0g,1.0mmol)を水(4ml)およびメタノール(4ml)の混合物に溶かした。これにトリエチルアミン(1ml)を添加し、この溶液を3.5時間攪拌した。減圧下での蒸発により揮発性成分を除去し、残った水溶液のpHをTFAを添加してpH3に調整した。逆相分取HPLC(方法E)により、白色の固体として実施例8のビス−TFA塩(0.29g;24%収率)を得た。LC/MS(B法)では、(M+2H)/2=458;TRET=2.08分であった。
【0108】
実施例9
(2R,3R,4S)−3−(アセチルアミノ)−2−{(1R,2R)−1−[({[(4’−{[({[(1R,2R)−1−((2R,3R,4S)−3−(アセチルアミノ)−4−{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}−6−カルボキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2,3−ジヒドロキシプロピル]オキシ}カルボニル)アミノ]メチル}−1,1’−ビフェニル−4−イル)メチル]アミノ}カルボニル)オキシ]−2,3−ジヒドロキシプロピル}−4−{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−6−カルボン酸ビスTFA塩
【化24】

【0109】
中間体23(1.59g;1.3mmol)を水(28.5ml)およびメタノール(28.5ml)の混合物に溶かした。これにトリエチルアミン(2.85ml)を添加し、この溶液を4時間攪拌した。揮発性有機成分を真空下で除去し、残った溶液をTFAを添加してpH2に調整した。逆相分取HPLC(方法F)により、両性イオンの実施例9(0.70g;57%収率)を得た。LC/MS(A法)では、(M+2H)/2=465;TRET=2.00分であった。
【0110】
実施例10:式(I)の化合物の評価−インフルエンザウイルス複製の阻害
細胞変性作用(CPE)アッセイを、基本的にはWatanabe et al.(J. Virological Methods, 1994 48 257)によって記載されたように行った。MDCK細胞を本発明の化合物の連続希釈物の存在下で所定の接種量のウイルス(試験によって、72時間以内に十分なCPEを引き起こすに足る最少量であり、公開された標準と一致すると考えられる濃度で対照化合物に感受性を示すと判断されたもの)に感染させた。培養物を5%CO雰囲気下、37℃にて最大72時間インキュベートした。公開された方法(例えば、Watanabe et al. , 1994参照)に従って、ウイルス染色剤、臭化3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム(MTT)の代謝を介して、CPEの程度、さらにはウイルス複製を調べた。CPEを50%阻害した化合物濃度(ID50)を曲線の当てはめに関するコンピュータープログラムを用いて算出した。インフルエンザA/シドニー/5/97およびB/ハルビン/7/95ウイルスをアッセイし、その結果を表2に示している。また、WO00/55149にて明示された化合物および化合物Aとの比較データも表1に示す。
【0111】
【表4】

WO00/55149から引用
【0112】
WO00/55149に記載のデータはウイルスA型H3N2単離株A/シドニー/5/97ではなく、H3N2単離株A/ビクトリア/3/75に関するものである。このようなデータを比較することで、in vitroにおいて数種類の異なるウイルスに対して分析する際、当業者ならば、ある化合物の抗ウイルス力価が異なることが珍しくないことが分かるであろう。例えば、Woods et al(Antimicrob Agents Chemother 1993 37: 1473-9)は、最近の臨床単離株に関するin vitroアッセイにおいて化合物Aが広範なEC50値(0.02〜0.16μM)を示すことを報告している。よって、化合物8がこれまでのH3N2単離株A/ビクトリア/3/75よりも最近のインフルエンザA型H3N2単離株A/シドニー/5/97に関するCPEアッセイにおいて有効であることが分かった。
【0113】
表1に示したデータは、化合物E1〜E5が、極めて有効な化合物Aよりも実質的に有効であることに加え、WO00/55149の化合物8および10よりもA/シドニー/5/97に対していっそう有効であり、かつ最近のインフルエンザB単離株B/ハルビン/7/95に対しても実質的に有効であることを示している。
【0114】
実施例11:プラーク減少アッセイ
Mardin Darbyイヌ腎臓(MDCK)細胞を6ウェル組織培養プレートに播種し、常法によって密集するまで増殖させる。インフルエンザウイルスを最少量の0.2%ウシ血清アルブミンを添加したリン酸緩衝生理食塩水で希釈し、各ウェル当たり推定力価50〜100プラーク形成単位(pfu)とした。5%CO雰囲気下、37℃にて1時間、MDCK細胞に吸着させた後、ウイルス接種材料を吸引し、プラークが形成されるまで(一般に2〜4日)5%CO雰囲気下、37℃にて、室温で培地を固化するのに十分な寒天またはアガロース(一般に1〜2%)を含有するウイルス増殖培地(至適濃度のBSA、トリプシンおよびインスリン/トランスフェリン/セレンを添加した最少イーグル培地)で置き換える。プラークは計数前に好適な染色剤(例えば、ホルマリン加生理食塩水中0.4%クリスタルバイオレット)を用いて可視化することができる。抗ウイルス力価はプラーク数を未処理の対照値を50%減少させる被験物質の濃度として表される(EC50)。
【0115】
【表5】

A/WSN/33 BVLV09(H1N1)
A/ビクトリア/3/75 BVLV017(H3N2)
A/シドニー/5/97 BVLV015(H3N2)
A/ニューカレドニア/20/99 BVLV008(H1N1)
A/パナマ/2007/99 BVLV008(H3N2)
A/バイエルン/7/95 BVL006(H1N1)
【0116】
【表6】

B/ビクトリア/1/67
B/ホンコン/5/72 BVLV012
B/ハルビン/7/95 BVLV008
B/山梨/166/98 BVLV007
【0117】
実施例12:長時間作用性の評価
齧歯類を麻酔し、目的化合物を気管内経路によって0.8ml/kgの用量で投与する。次いで、完全に回復するまで齧歯類を垂直位に保つ。投与後、種々の時点、例えば、2、8、24および48時間の時点で肺組織における化合物のレベルを分析法によって評価する。この種の化合物の検出に好適なものであればいずれの分析法を用いてもよい。化合物のレベルが特定の分析法の感度の範囲を下回った時間によって肺組織における化合物の滞留時間を決定する。
【0118】
選択された化合物のラット肺滞留データを以下に示す。全ての試験では、比較のため、同時投与した内部標準、すなわち、国際特許公報WO02/20514の化合物3が含まれることに留意のこと。データは以下に示す構造を持つこの化合物に対する比率として表される。
【化25】

【0119】
比較のため、化合物Aのデータも示している。標準濃度に対する化合物濃度の比率として表した場合、本発明の化合物は7日時点での滞留が化合物Aよりも有意に高い。
【0120】
【表7】

【0121】
【表8】

【0122】
実施例13:長時間作用性および効果の別の評価
マウス感染プロトコールについてはこれまでに記載した(1〜4)。軽く麻酔したマウスの外鼻孔にインフルエンザウイルスを接種する。
【0123】
処置法および管理。一用量の化合物を所定の時点で、感染最大10日前、好ましくは、感染4〜7日前、または感染後、好ましくは、感染直後および感染後最大48時間の時点で投与する。ほとんどの試験では、効果は、非致死株のインフルエンザを用い、肺におけるウイルス力価の低下によって評価する。感染前に化合物を投与したマウスでは、感染後1日で、または感染後数日で、好ましくは、感染1〜4日後に肺を摘出する。ホモジナイズした肺サンプルを確立された方法によりウイルスについて評価し、ウイルス量の力価を推定し、未処置マウスの肺のウイルス力価と比較する。
【0124】
マウス馴化致死株のインフルエンザを用いる試験では、効果は、未処置のマウスと比べた場合の生存率および/または生存数の増加によって評価する。
【0125】
参照文献
【表9】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物、またはその医薬上許容される誘導体:
【化1】

[式中、
Rは、アミノまたはグアニジノ基であり;
は、アセチルまたはトリフルオロアセチルであり;
nおよびqは、同じであっても異なっていてもよく、0、1または2から選択され;かつ
Xは、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいナフチル、または置換されていてもよいフェニル−Y−置換されていてもよいフェニル(ここで、Yは共有結合、CH、CHCH、OまたはSOから選択される)である、
{ただし、Xがフェニルまたはナフチルであるとき、nおよびqは双方とも2であり、Xがフェニル−Y−フェニル(ここで、Yは共有結合である)であるとき、nおよびqは双方ともに0ではない}]。
【請求項2】
Rがグアニジノ基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がアセチル基である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
nおよびqが同じである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
X上の所望による置換基がアルコキシである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
カルボキシル官能基、ヒドロキシル官能基、アミノ基またはグアニジン基の1以上において修飾された誘導体である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
誘導体がアルキルエステル、アリールエステルまたはアセチルエステルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の製造方法であって、
式(II)の化合物を脱保護することを含んでなる、方法:
【化2】

[式中、R、R、n、qおよびxは請求項1で定義された通りである。]
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは誘導体を、1種以上の医薬上許容される担体とともに含んでなる、医薬製剤。
【請求項10】
1種以上の他の治療および/または予防成分をさらに含んでなる、請求項9に記載の医薬製剤。
【請求項11】
他の治療および/または予防成分が抗感染症薬である、請求項10に記載の医薬製剤。
【請求項12】
抗感染症薬が抗ウイルス薬または抗菌薬である、請求項11に記載の医薬製剤。
【請求項13】
抗菌薬または抗ウイルス薬が、呼吸器感染症の治療に用いられるものである、請求項12に記載の医薬製剤。
【請求項14】
前記薬剤が、ザナミビル、オセルタミビル、アマンタジン、リマンタジン、リバビリンおよび/またはFluVaxである、請求項13に記載の医薬製剤。
【請求項15】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物、または請求項9〜14のいずれか一項に記載の製剤を含んでなる、吸入器。
【請求項16】
フリーフロー粉末としての経口投与に適している、請求項15に記載の吸入器。
【請求項17】
定量式エアゾール吸入器である、請求項15に記載の吸入器。
【請求項18】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の有効量を、それを必要とする被験体へ投与することを含んでなる、ウイルス感染症の予防または治療方法。
【請求項19】
ウイルス感染症が、オルトミクソウイルス感染症またはパラミクソウイルス感染症である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ウイルス感染症が、A型もしくはB型インフルエンザ感染症、パラインフルエンザ、流行性耳下腺炎またはニューカッスル病である、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
投与が、吸入法、通気法もしくは経鼻投与、またはその組み合わせによる気道へのものである、請求項18〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
ウイルス感染症の予防または治療用の医薬の製造のための、請求項1〜7のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項23】
ウイルス感染症の予防または治療における、請求項1〜7のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項24】
抗ウイルス薬としての、請求項1〜7のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項25】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を、ウイルスを含んでいる疑いがあるサンプルと接触させることを含んでなる、ウイルス感染症の検出方法。

【公開番号】特開2010−285436(P2010−285436A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161515(P2010−161515)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【分割の表示】特願2003−542182(P2003−542182)の分割
【原出願日】平成14年11月8日(2002.11.8)
【出願人】(501359733)バイオタ、サイアンティフィック、マネージメント、プロプライエタリ、リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】BIOTA SCIENTIFIC MANAGEMENT PTY LTD
【Fターム(参考)】