説明

互換性のあるディスク状記憶媒体をハウジングにローディングするためのローディング機構

本発明は、互換性のあるディスク状記憶媒体を、記憶媒体用のホルダーを有するディスクドライブとその後者用の光学式スキャンニングデバイスとが配置されたハウジングに、ローディングするためのローディング機構に関する。それは、ディスクドライブのモーターおよび記憶媒体に留意して、スペースを節約し、そして、ローディングおよびアンローディングを許容する、ローディング機構を提供するという目的を成し遂げる。この目的のため、このローディング機構は、装着位置とホルダー(12)上の設置位置との間で回転され得る記憶媒体(4)用のローディングテーブル(7)と、そして前記ローディングテーブル(7)用の作動器具(10/2)とから形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互換性のあるディスク状記憶媒体を、ハウジング、例えばPCMCIAサイズのハウジングに配置されたディスクドライブ上にローディングするためのローディング機構、特に、ほぼ30mmの直径を有するおおよそコインサイズのディスク(コインディスク)をローディングするためのローディング機構に関する。
【0002】
このタイプのローディング機構は、ディスク状記憶媒体、例えば光学式記憶媒体を、ハウジングに配置されたディスクドライブにおける所定位置へ機械的方法で動かすために用いられる。この目的のために、特許文献1は、カートリッジにおいてトレイ上に配置される記憶媒体のためのローディング機構を開示する。それをディスクドライブ上に動かすために、その記憶媒体を有するトレイは、所定の位置決めされたカートリッジから、ディスクドライブの上方にまで引かれ、そして降ろされる。この場合、記憶媒体は、ディスクドライブ上の支持体上の所定位置に置かれる。このローディング機構は、大きなスペースをとる。コインサイズのディスクの場合、この問題は、相対的に小さなディスクのモーターがまた相対的に小さなシャフトベアリングを有するという問題をさらに有し、これは、例えば120mmの直径を有する、より大きな記憶媒体のためのディスクドライブに使われるディスクドライブのモーターに比べてこれらが頑丈でないが、ディスクドライブからの記憶媒体の突然の引き離しによってかなりの負荷をかけられる、ということを意味する。
【0003】
本発明の目的は、ディスクドライブのモーターおよび記憶媒体に留意して、スペースを節約し、そして、ローディングおよびアンローディングを許容する、請求項1において先に特徴付けられた節に従って、互換性のあるディスク状記憶媒体を、ハウジングへローディングするためのローディング機構を提供することにある。
【0004】
この目的は、請求項1の特徴によって成し遂げられる。有利な改良点は、下位クレームにおいて指摘されている。
【0005】
本発明は、内部に、記憶媒体用のホルダーを有するディスクドライブとその後者用のスキャンニングデバイスとが配置されたハウジング用のローディング機構であって、ホルダーから離れた装着位置とホルダー上の設置位置との間で回転され得るローディングテーブルを有し、そして作動器具を備えられたローディング機構に存する。この場合、ローディングテーブルは、好ましくは片側において取り付けられ、装着位置の方向にバネ力によって負荷をかけられる。作動器具はローディングテーブルに作用し、設置位置へ後者を押し、そして、この位置にそれを保持する。作動器具の反対の動きによって、バネ力がかけられたローディングテーブルは、その下に押された設置位置から解放され、負荷をかけるバネ手段によって装着位置へ回転される。ローディングテーブルは、スキャンニングデバイスによって予め定められたスキャンニング領域に関して少なくとも省かれている。
【0006】
このローディング機構は、小さなディスクドライブの場合、特に有利であり、それにおいて、記憶媒体を有するローディングテーブルは、ホルダーの外側の回転軸周りのピボット運動によって極めて減衰されるようにバネ力に対抗して下げられて、そして後者上に保持されるので、取り付けおよび取り外しの間、弱く、定められた力が作用する必要があるだけである。それが下げられるとき、記憶媒体は、ホルダー上に配置された心出しユニット、好ましくは心出し主軸として形成されたディスクドライブのモーターの延長された回転軸として設計された心出しユニットによって精確に位置決めされる。ローディング機構は、シンプルであり全く複雑でなく、そして、たった少しの全スペースを必要とする。ローディングテーブルの回転角は、実質的に3°から10°である。
【0007】
ホルダー上への記憶媒体の保持は、止め手段によって機械的にあるいは好ましくは磁気的に行われ得る。記憶媒体の磁気的な保持は、記憶媒体へ組み合わされ、そしてディスクドライブのモーターの永久磁石ローターによって引き付けられる磁気的に有効な材料によって直接的に、あるいは、一方のパーツがディスクドライブのモーターのローターにしっかりと接続される、2つの磁気的に引き付けあうパーツ間での留め作用として、のいずれかで行われる。好ましい実施形態において、磁気的な保持は、記憶媒体がディスクドライブのモーターのローターの永久磁石の磁場によって引き付けられることによって行われる。ローディングおよびアンローディングの間、記憶媒体は、ホルダー上に下げられ、またローディングテーブルによってホルダーから上げられる。ローディングテーブルはホルダーから離れた軸周りに回転されるので、記憶媒体は、平面平行の様式でホルダー上に下げられたり、ホルダーから離されたりすることはないが、その引力に関して、連続的な増加や減少のそれぞれと結び付けられるわずかな傾きによって、磁場へ徐々に下げられ、また磁場から解放される。結果として、軸方向に作用する力は最小限にされ、ディスクドライブのモーターは、たった最小程度だけ負荷をかけられる。
【0008】
作動器具は、ローディングテーブルに、好ましくは取付側に隣接した側縁部の一方に配置された、一例としてランプとして設計されたカムと、そして、それとの係合状態へ至らされ得そしてハウジングに配置されたスライディング要素とによって形成される。スライディング要素はカムに対して押され、そのカムは、ローディングテーブルと共に、その過程で、前記ローディングテーブルに作用するバネ手段の力に対抗して、設置位置にまでホルダーに向けて押される。スライディング要素は、ハウジングを閉じるスライディングカバーによって好ましくは形成される。この場合、ローディングテーブルの別個の固定は、それがスライディングカバーを持っているカムによってバネ要素に対抗して設置位置に保持されるので、提供されることを必要とはされない。
【0009】
さらなる利点は、特にモバイルアプリケーションに対してあり、第1に、手動で機械的な作動が提供されるので、ローディング機構用のモータードライブの省略にある。バッテリーあるいは再充電可能なバッテリーで動作するモバイルアプリケーションの場合、エネルギー必要量が可能な限り低減されることが必要である。第2に、既知のフラップ・カバー・ソリューションと比べて、スライディングカバーは、ハウジングに平行に動かされ、そしてハウジング周りの突出構成部材から生じるローディング操作の間の空間必要量は最小限にされるので、記憶媒体のローディング操作は、最小の可能なスペースで実行される。
【0010】
ローディングテーブルは、ハウジングの一端部において、かつ、ローディングテーブルの別の端部において支持され、装着位置の方向に後者に作用する、少なくとも1つのらせん状トーションバネが配置された、ベアリングシャフトに対して、ヒンジのように取り付けられ得る。ベアリングシャフトから離れた方を向いた側部において、そのサイズに応じて、ローディングテーブルは、記憶媒体がホルダーに載せられ得るように、ディスクドライブのホルダーの領域にカットアウトを与えられ得る。
【0011】
記憶媒体が、装着位置に位置付けられたローディングテーブルが実質的に垂直位置にあるときでさえ、装着され得るように、さらなる実施形態では、前記ローディングテーブルは、その取り付けられた側縁部、および、後者に隣接した2つの側縁部に、記憶媒体用の鉤状保持要素が備えて設けられ、それらは、そういうものの1つが挿入されたとき、その縁部に覆いかぶさって係合する。しかして、記憶媒体は、これら保持要素の内側に押し進められ、それらによって保持され得る。
【0012】
本発明は、2つの典型的な実施形態を用いることによって以下に説明されるだろう。この場合、言及は、光学式記憶媒体に対してなされる。もちろん、本発明は、他の記憶媒体、例えば磁気記憶媒体に対しても用いられ得る。
【0013】
【特許文献1】特開平09−306078号公報
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1および2は、閉じられた状態での、および、開かれた状態でのPCMCIAハウジングを示す。PCMCIAハウジングは、例えばノートブックにおいて普通であるような、PCMCIAインターフェースに用いられ得るハウジングを意味するように理解されるべきである。なお、他のハウジングサイズはもちろん可能であり、例えばマイクロドライブ(Microdrive)、コンパクト・フラッシュ(Compact Flash)あるいは他のフォーマットでのハウジングがある。図1および2に示されているPCMCIAハウジング1は、スライディングカバー2と、その内側に、記憶媒体4のためのモーター(図5、6の3)を備えたディスクドライブと、そしてまた光学式スキャンニングデバイス(ピックアップ)5とを有し、それは駆動ウォーム6に動作可能なように接続され、そしてそれはその駆動ウォーム6に平行に径方向に光学的に記憶媒体4をスキャンする。さらに、ローディング機構は、また、リード/ライトヘッドシステムの他の設計改良型、例えば、ハードドライブテクノロジーから知られているスインギング・アームに取り付けられたリード/ライトヘッドと連動して使用され得る。記憶媒体4は、ローディングテーブル7に載り、それは片側に関してベアリングシャフト8に接して置かれて取り付けられ、後者周りに回転され得、そしてらせん状トーションバネ9あるいは他のバネ要素によるバネ力で図示の装着位置の方向に作用され、バネ9は、ハウジング1の一端において、そしてローディングテーブル7の別の端部において支持される。この装着位置から、設置位置へ、ローディングテーブル7は、3°〜10°だけハウジングの中へ押され得る。
【0015】
このために、ローディング機構は、ローディングテーブル7の縁部にしっかりと配置されてかつローディングテーブル7から離れた方へ向く側部に形成されたスライディング面を有するカム10を有し、それはローディングテーブル7の方向に盛り上がり、そしてスライディングカバー2はベアリングシャフト8に平行なそれの閉じる動きの間、それとの係合状態に至らされ得、故に、ローディングテーブル7はその設置位置へ押しやられ、そこで、前記ローディングテーブル7上に位置付けられた記憶媒体4は、ディスクドライブのモーター(図5、6の3)の上に置かれる。カム10の配置およびその2つの位置は、図3および4に図示されている。
【0016】
図3は、装着位置においての、カム10を備えたローディングテーブル7を示す。ローディングテーブル7はカム10の範囲までだけ延在し、円形のカットアウト11を有することが、また分かることができる。このカットアウトの領域において、ディスクドライブのモーター(図5、6の3)は、記憶媒体用の保持面(図5、6の12)を備えて位置付けられる。ローディングテーブル7は、設置位置(図4)へ押されるとき、保持面(図5、6の12)の高さレベルより若干下に押され、故に、実のところ、記憶媒体4は、保持面12上に受け止められ、後者の上に載せられ、ディスクドライブのモーター3の永久磁石の磁場によって後者の上に保持され、作動中にローディングテーブルにこすれることができない。
【0017】
図5および6に、V−V断面(図2)における、装着位置および設置位置が、図示されている。図5は、記憶媒体4がローディングテーブル上に置かれた状態で、装着位置においてカム10と共にわずかに斜めに配置されたローディングテーブル7と、モーター3に対するそれらの配置と、そしてまた記憶媒体4に対するスキャンニングデバイス5の配置とを示す。記憶媒体4が、保持面12上に突出した主軸14の上に心出し開口部13を備えて配置されているところが見られ得る。スキャンニングデバイス5は、ローディングテーブル7から離れた方へ向くディスクドライブのモーター3の側部に配置され、記憶媒体4の光学式スキャンニング用に集束レンズ15を提供される。図6は、保持面12上に置かれた記憶媒体4を示し、心出し主軸14は心出し開口部13を通して突出し、かつ、定められたように記憶媒体4を位置決める。スライディングカバー2によって下方に押されたカム10を見ることがまた可能である。
【0018】
記憶媒体4が取り替えられる場合、PCMCIAハウジング1が、スライディングカバー2を後ろに押し進めることによって開かれる。開口運動の終わりに(図2)、前記スライディングカバー2はカム10との係合を解除し、この係合はスライディング面のために連続的に解放されるので、故に、らせん状トーションバネ9によって負荷をかけられる結果として、ローディングテーブル7は設置位置から装着位置へ押し進められる。その過程で、記憶媒体4は、ローディングテーブル7によって保持され、徐々に保持面12から優しく解放される。装着位置において、記憶媒体4は、ローディングテーブル7から取り上げられる。
【0019】
図7は、ローディング機構の第2実施形態を示す。これは、既に説明されたものと、ローディングテーブル16がベアリングシャフトの側部かつその2つの隣接する側縁部に記憶媒体4用の鉤状保持要素17を備えて設けられた点で相違する。しかして、この実施形態は、記憶媒体4に、保持要素17とローディングテーブル16の設置面との間に押し込まれることを許容するので、故に、ローディングは縦のハウジング位置でさえ可能にされる。
【0020】
さらなる設計改良型は、その形状において、保護ハウジング(カートリッジ)に置かれた記憶媒体4を保持するように設計されたローディングテーブルを提供する。この場合、保持要素17の構成は、図7に類似するように保護ハウジングの形状に適合される。保護ハウジングが保持要素17へ押され、外側縁部でのみ固定される場合、ローディングテーブルは、いずれの支持面もなしに、すなわち二股の形に設計され得、これは全スペースが結果的に減少され得ることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、閉じられた、PCMCIAハウジングを示す。
【図2】図2は、装着位置において、30mmの記憶媒体(コインサイズのディスク)を備えた開状態でのそれを示す。
【図3】図3は、装着位置において、配置されたランプを備えたローディングテーブルの詳細を示す、拡大図である。
【図4】図4は、スライディングカバーが部分的に押されて閉じられて、ローディングテーブルが下げられた状態での、この詳細を示す、拡大図である。
【図5】図5は、装着位置においてのローディングテーブルと記憶媒体とを備えたPCMCIAハウジングを通るV−V断面を示す。
【図6】図6は、設置位置においてのローディングテーブルと記憶媒体とを備えたこの断面を示す。
【図7】図7は、ローディング機構のさらなる実施形態を示す。
【符号の説明】
【0022】
1 ハウジング
2 スライディングカバー
3 ディスクドライブのモーター
4 記憶媒体
5 スキャンニングデバイス
6 駆動ウォーム
7 ローディングテーブル
8 ベアリングシャフト
9 らせん状トーションバネ
10 カム
11 カットアウト
12 保持面
13 心出し開口部
14 心出し主軸
15 集束レンズ
16 ローディングテーブル
17 保持要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互換性のあるディスク状記憶媒体(4)を、記憶媒体(4)用のホルダー(12)を有するディスクドライブとその後者用のスキャンニングデバイス(5)とが配置されたハウジング(1)にローディングするためのローディング機構であって、
該ローディング機構は、装着位置と前記ホルダー(12)上の設置位置との間で回転され得る、前記記憶媒体(4)用のローディングテーブル(7)と、そして該ローディングテーブル(7)用の作動器具(10/2)とから形成されることを特徴とするローディング機構。
【請求項2】
前記ローディングテーブル(7、16)は、片側において取り付けられ、そして前記装着位置の方向にバネ力によって負荷をかけられ、
前記作動器具(10/2)によって前記装着位置から前記設置位置へ回転され、
前記作動器具(10/2)の反対の動きの間、前記バネ力によって前記設置位置から前記装着位置へ回転されることを特徴とする請求項1に記載のローディング機構。
【請求項3】
前記ローディングテーブル(7、16)は、前記ホルダー(12)の辺りにカットアウト(11)を有し、前記記憶媒体(4)についてのスキャンニングデバイス(5)のスキャンニング領域において少なくとも省かれていることを特徴とする請求項1または2に記載のローディング機構。
【請求項4】
前記作動器具は、前記ローディングテーブル(7、16)に配置されたカム(10)と、該カムとの係合状態へ至らされ得、そして前記ハウジング(1)に配置されているスライディング要素(2)とによって形成され、
前記カム(10)は、前記ローディングテーブル(7、16)の側縁部に、前記後者の取付側に隣接して、配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のローディング機構。
【請求項5】
前記スライディング要素は、前記ハウジング(1)に配置されたスライディングカバー(2)であることを特徴とする請求項4に記載のローディング機構。
【請求項6】
前記ローディングテーブル(7、16)は、前記ハウジング(1)の一端部において、かつ、前記ローディングテーブル(7、16)のその他の端部において支持される少なくとも1つのバネ要素(9)が配置された、ベアリングシャフト(8)に取り付けられ、それは前記装着位置の方向に前記後者に負荷をかけることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のローディング機構。
【請求項7】
前記ホルダーは、前記ディスクドライブのモーター(3)のローターの永久磁石の磁場の領域に設置され、そして、前記記憶媒体(4)用の心出し主軸(14)を備えられていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のローディング機構。
【請求項8】
前記ローディングテーブル(7、16)の回転角は、実質的には3°から10°であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のローディング機構。
【請求項9】
これは規格化されたハウジング(1)に用いられることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のローディング機構。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載のローディング機構を用いることを特徴とする、記憶媒体を読むおよび/または書くためのデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−541322(P2008−541322A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509405(P2008−509405)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061487
【国際公開番号】WO2006/117280
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】