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亜酸化窒素分解触媒、亜酸化窒素分解触媒の製造方法
説明

亜酸化窒素分解触媒、亜酸化窒素分解触媒の製造方法

【課題】本発明の亜酸化窒素分解触媒は、低温で高活性を示し、しかも処理ガス中に窒素酸化物や二酸化炭素が含まれる場合でも、その影響を受けずに亜酸化窒素を効率的に分解除去することができる。
【解決手段】本発明は、触媒A成分としてコバルトの酸化物及び触媒B成分として5〜15族からなる群から選ばれる少なくとも一種の元素の化合物を含有する亜酸化窒素分解触媒であって、触媒A成分に対する触媒B成分の原子比が0.0005〜0.15であり、かつ触媒B成分である当該元素の酸化物の融点が200〜1000℃の範囲であることを特徴とする亜酸化窒素分解触媒である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、低温でも高活性を示し、しかも亜酸化窒素含有ガス中にNOやNOが含まれていてもその影響を受けにくい亜酸化窒素分解触媒、当該亜酸化窒素分解触媒の製造方法及び亜酸化窒素含有ガスの処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電用ガスタービン、ボイラー、ごみ焼却炉などから排出される各種燃焼排ガスや化学プラントなどから排出される各種産業排ガス中に含まれる亜酸化窒素(NO)は、二酸化炭素の約310倍の温室効果を示すことから、その効率的な分解除去方法の開発が望まれている。
【0003】
亜酸化窒素を触媒に接触させて分解除去する方法として、疎水性アルミナにルテニウムおよび/またはロジウムと酸化ジルコニウムなどとを担持した触媒を用いる方法(特許文献1)や酸化ロジウムや三二酸化コバルト(Co)と、マンガン化合物と、アルカリまたはアルカリ土類金属化合物とを含有する触媒を用いる方法(特許文献2)などが提案されているが、これら従来技術では亜酸化窒素を低温で処理するためにはロジウムなどの高価な貴金属を用いる必要があった。
【0004】
一方、特許文献3では四三酸化コバルト(Co)を主成分としアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属を含有する触媒が提案されている。特許文献3に示される触媒は高価な貴金属を担持しなくても、比較的低温で亜酸化窒素を分解除去することができる。ただし特許文献3の触媒は処理ガス中に含まれる被毒物質によって急速に性能低下を招く場合があり実用性に問題があることが判明した。そこで二酸化炭素共存下において性能低下がほとんどない触媒としてコバルト酸化物に、セシウム及び/またはルビジウムを特定のモル比で配合した亜酸化窒素分解触媒を特許文献4にて出願している。しかしながら特許文献4に示す触媒は亜酸化窒素含有ガス中にNOやNOが共存する場合に性能低下をしやすく、長期に亘って使用するにはなお課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−142517号公報
【特許文献2】特開平6−106027号公報
【特許文献3】特開2007−54717号公報
【特許文献4】特願2010−198073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高価な貴金属を担持しないでも低温で亜酸化窒素を効率よく分解除去し、耐久性の優れた亜酸化窒素分解触媒、当該触媒の製造方法、及び当該触媒に亜酸化窒素を含むガスを接触させて亜酸化窒素を効率よく分解除去する亜酸化窒素含有ガスの処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究を進めた結果、コバルト酸化物を主成分とする亜酸化窒素分解触媒の活性は第二成分として添加する金属元素の酸化物融点と相関性が高く、更に組成を最適化することによって著しく耐久性も向上することを見出して本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち触媒A成分としてコバルトの酸化物及び触媒B成分として5〜15族からなる群から選ばれる少なくとも一種の元素の化合物を含有する亜酸化窒素分解触媒であって、触媒A成分に対する触媒B成分の原子比が0.0005〜0.15であり、かつ触媒B成分である当該元素の酸化物の融点が200〜1000℃の範囲であることを特徴とする亜酸化窒素分解触媒である。
【0009】
また前記上記亜酸化窒素分解触媒は触媒A成分のコバルト酸化物の原料として炭酸コバルトと、触媒B成分として酸化物融点が200〜1000℃の範囲である金属元素を含有する金属塩水溶液を混合して、乾燥してから焼成することによって製造することが好ましい。
【0010】
一方、本発明の亜酸化窒素含有ガスの処理方法は前記亜酸化窒素分解触媒を用いて亜酸化窒素含有ガスを処理するものであり、処理ガスにNO及び/またはNO(以下、窒素酸化物またはNOxと記載する場合がある)や二酸化炭素などが含まれる場合にも適用することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の亜酸化窒素分解触媒は、低温で高活性を示し、しかも処理ガス中に窒素酸化物や二酸化炭素が含まれる場合でも、その影響を受けずに亜酸化窒素を効率的に分解除去することができる。従って、本発明の亜酸化窒素分解触媒を用いることにより、各種排ガスに含まれる亜酸化窒素を効率よく長期に亘り安定的に処理することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明するが、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができることは勿論である。
【0013】
本発明の亜酸化窒素分解触媒は触媒A成分としてコバルトの酸化物及び触媒B成分として5〜15族からなる群から選ばれる少なくとも一種の元素の化合物を含有し、触媒A成分に対する触媒B成分の原子比が0.0005〜0.15であり、かつ触媒B成分である当該元素の酸化物の融点が200〜1000℃の範囲であることを特徴とする亜酸化窒素分解触媒である。
【0014】
触媒A成分に対する触媒B成分の原子比は0.0005〜0.15であって、好ましくは0.005〜0.10、より好ましくは0.01〜0.05である。触媒A成分であるコバルト酸化物は主成分であり、触媒B成分として添加する元素の酸化物融点に近い温度で焼成することによって良好な低温活性を発現することができる。原子比が0.15を超える場合は触媒中のコバルト酸化物の含有率が少なくなるため初期活性や長期耐久性が十分得られない場合がある。また原子比が0.0005未満である場合は、触媒B成分添加の効果が弱まり低温での反応速度が著しく低下する。
【0015】
触媒A成分であるコバルト酸化物としては、四三酸化コバルト(Co)であることが好ましいが、コバルトの原料や触媒調製方法によってはCoOやCoを含有していても良い。コバルトの原料としては、市販されている前記のコバルト酸化物以外に硝酸コバルト、塩化コバルト、酢酸コバルト、炭酸コバルト、塩基性炭酸コバルト(xCoCO・yCo(OH))や水酸化コバルトなど焼成することによってコバルト酸化物を形成するものを使用することができる。特に好ましいコバルトの原料は炭酸コバルト(塩基性炭酸コバルトを含む)である。
【0016】
また触媒B成分は、5〜15族からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属元素の化合物であり、当該元素の酸化物融点が200〜1000℃の範囲である。より好ましい酸化物融点は300〜800℃の範囲であり、更に好ましくは350〜700℃の範囲である。酸化物融点が200℃以下の場合は熱負荷によりシンタリングしやすく耐熱性に問題があり、酸化物融点が1000℃を越える場合は触媒B成分添加による本発明の効果は得られない。
【0017】
触媒B成分である5〜15族の元素の化合物において、その酸化物融点が前記範囲にあるの酸化物としては5族の酸化バナジウム(V)、6族の酸化モリブデン(MoO)、7族の酸化マンガン(MnO)、10族の酸化パラジウム(PdO)、11族の酸化銀(AgO)、12族の酸化カドミウム(CdO)、14族の酸化鉛(PbO)、15族の酸化アンチモン(Sb)、酸化ビスマス(Bi)、などが挙げられる。触媒B成分の原料としては各元素の酸化物、硝酸塩、硫酸塩、塩化物、酢酸塩、炭酸塩、水酸化物などが使用可能である。触媒の原料、製造方法、焼成温度などの製造条件などによって触媒化後の触媒B成分である元素化合物の形態は異なり、当該元素の酸化物になっていることが好ましいが一部またはほとんどが原料化合物のままで存在していてもよい。また酸化物融点は酸化物の価数によって異なるので酸化物融点が前記範囲となる最適な原料を選択して使用する。
【0018】
なお酸化セシウム(CsO)、酸化カリウム(KO)、酸化ルビジウム(RbO)などの1族であるアルカリ金属の酸化物も上記範囲に酸化物融点を有しており、これら1族の元素化合物を触媒B成分として添加した触媒についても低温活性の向上は得られるが、処理ガス中に二酸化炭素や窒素酸化物が共存すると急速な性能低下を招くため本発明の触媒B成分から1族のアルカリ金属は除外する。一方、触媒B成分として5〜15族の元素の化合物を添加した触媒は二酸化炭素や窒素酸化物が共存しても影響が小さく良好な耐久性が得られる。より好ましい触媒B成分としては酸化物融点が比較的高い14族のPb、15族のSb、Biなどの元素の化合物を使用することが好ましい。特にBiやPbは低温活性が高く耐久性も優れており触媒B成分として好ましい元素である。
【0019】
更に本発明の亜酸化窒素分解触媒は粉末X線回折法にて測定した回折パターンにおいて、前記触媒A成分であるコバルトの酸化物が四三酸化コバルト(Co)の結晶構造を有しており、かつ触媒B成分の単独酸化物に由来する回折ピークが検出されないことが好ましい。このように触媒B成分の単独酸化物に由来する回折ピークが検出されないのは、主成分であるコバルト酸化物(すなわち四三酸化コバルト)の近傍に触媒B成分の酸化物は非晶質な微細粒子として存在するか、コバルト酸化物と固溶して固溶体を形成しているケースなどが考えられる。特に触媒A成分と触媒B成分が固溶体を形成していることが好ましい。前記粉末X線回折法で測定した回折パターンは四三酸化コバルトの回折ピーク位置より低角度側または高角度側にピークがシフトしていることで固溶体の形成を確認することができる。回折ピーク位置は2θで0.01〜0.10度、より好ましくは0.02〜0.06度、低角度側または高角度側にシフトしていることが好ましい。触媒B成分のイオン半径が触媒A成分であるコバルトのイオン半径より大きい場合は固溶体の回折ピークは低角度側のシフトし、イオン半径がコバルトより小さい場合は高角度側にシフトする。
【0020】
本発明の亜酸化窒素分解触媒の形状については特に制限はなく、円柱状、リング状、球状、板状、ハニカム状、その他一体に成形されたものなど適宜選択することができる。この触媒の成形は一般的な成形方法、例えば打錠成形法、押出成形法などによって行うことができる。球状の場合、その平均粒径は、通常、1〜10mmである。ハニカム状の場合は押出成形法やシート状素子を巻き固める方法などにより製造され、そのガス通過口(セル形状)の形は6角形、4角形、3角形またはコルゲーション形のいずれであってもよい。セル密度(セル数/単位断面)は、通常、25〜800セル/平方インチである。また前記触媒成分を押出成形しても良いし、所定の形状を有したコージライトなどのセラミック担体やメタル担体の上に担持しても良い。
【0021】
次に亜酸化窒素分解触媒の代表的な製造方法について下記に示すが、本発明の趣旨に反しない限り、下記製造方法に限定されるものではない。
【0022】
本発明の亜酸化窒素分解用触媒の製造方法は触媒A成分のコバルト酸化物の原料として炭酸コバルト(塩基性炭酸コバルトを含む)と、触媒B成分の原料として5〜15族からなる群から選ばれる少なくとも一種の元素の金属塩水溶液を十分に混合し乾燥してから、焼成することによって製造するものである。上記の製造方法を用いることにより、共沈法などの複雑な製造工程を経ずに、かつ簡便な製造設備にて比較的容易に固溶体を形成することができる。乾燥条件は特に限定されるものではないが、生産性を考慮して乾燥温度が80〜200℃にて乾燥時間を1〜20時間とすることが好ましい。乾燥温度が80℃未満または乾燥時間が1時間未満では乾燥が不十分となって触媒性能に悪影響を与える場合がある。また乾燥温度を200℃より高くしたり、乾燥時間を20時間より長くすることはエネルギー効率や生産効率の観点で好ましくない。また焼成条件についても触媒の製造方法によって適宜変更可能であって、特に限定されるものではないが、空気雰囲気下で200〜1000℃にて1〜10時間焼成することが好ましい。焼成温度が200℃未満であったり、焼成時間が1時間未満であると原料である炭酸コバルトがコバルト酸化物に十分転化されなかったり、固溶体の形成が不十分となって所定の性能が得られない場合がある。また焼成温度が1000℃を超えたり、焼成時間が10時間を越える場合は触媒の比表面積低下や熱負荷によるシンタリングで性能低下を招く場合があるので好ましくない。なお触媒B成分の原料は水溶性があり陰イオンの残存性が低く、焼成により酸化物を形成しやすい硝酸塩や酢酸塩を使用することが好ましい。
【0023】
更に本発明の亜酸化窒素分解触媒の製造方法において触媒B成分である元素の酸化物融点に200℃加えた温度以下で前記焼成を実施することが好ましい。例えば触媒B成分としてMnを選択した場合は、その酸化物であるMnOの融点(535℃)より735℃より低い温度で焼成することが好ましい。より好ましくは酸化物融点以下、より好ましくは酸化物融点より200℃以上低温で焼成することが好ましい。焼成温度が当該元素の酸化物融点より200℃を超えた高温で焼成するとシンタリングにより性能低下を招くため好ましくない。
【0024】
前記、触媒A成分及び触媒B成分の各元素を含む原料化合物と適量の水と成形助剤などを十分に混練した後に、押出成形し、乾燥し、焼成することによって所望の触媒形状とすることができる。また触媒A成分及び触媒B成分を含む原料化合物を適量の水とバインダーを添加して湿式粉砕し水性スラリーとしてからセラミック担体やメタル担体にコートして乾燥し、焼成して製造しても良い。
【0025】
次に本発明の亜酸化窒素含有ガスの処理方法は前記亜酸化窒素分解触媒を用いるものであり、亜酸化窒素含有ガスにNO及び/またはNOが含まれていても効率的に亜酸化窒素を分解できることを特徴としている。本処理方法では触媒により亜酸化窒素を直接窒素と酸素に分解するものであり、炭化水素、一酸化炭素、水素やアンモニアのような還元剤を添加しなくても亜酸化窒素含有ガスを処理することができる。また従来の亜酸化窒素分解触媒ではNOやNOが共存すると亜酸化窒素処理性能が低下することが知られており、通常前段階でNOxを除去してから亜酸化窒素を処理する方法が選ばれていた。
【0026】
亜酸化窒素含有ガスの亜酸化窒素濃度は1〜50000ppmであり、より好ましくは5〜5000ppmであることが好ましい。亜酸化窒素濃度が1ppm未満である場合は効率的な処理が困難であり、50000ppmを超える場合は触媒法以外で処理することが好ましい。また上記処理方法において反応温度は200〜700℃であり、好ましくは250〜450℃、更に好ましくは300〜400℃であることが好ましい。反応温度が200℃未満では処理ガス中に共存する窒素酸化物が触媒に蓄積などすることがあり長期に亘り安定的に処理することが困難であり、700℃を越える場合は排ガスを加熱するために多量の燃料が必要となり経済性が問題となる。また空間速度(SV)は、1,000〜50,000hr−1、好ましくは2,000〜20,000hr−1である。更に本発明の処理方法における反応圧は0.1〜2MPa、好ましくは0.1〜1MPaである。
【0027】
このような亜酸化窒素含有ガスとしては発電用ガスタービン、ボイラー、ごみ焼却炉、下水汚泥焼却炉などの各種燃焼排ガスやアジピン酸や硝酸などを製造する化学プラントなどから排出される産業排ガス中などが挙げられる。前記亜酸化窒素含有ガスはNOやNOなどの窒素酸化物も含有している場合が多く、本発明が適用できる具体的なNOx濃度(NO濃度+NO濃度)は0.1〜1000ppmであり、好ましくは1〜500ppmであることが好ましい。NOx濃度が1000ppmを超える場合はNOx対策を含めてトータルで排ガス処理システムを設計する必要があり、0.1ppm未満では負の影響が小さくなるためである。なお前記亜酸化窒素含有ガスはNOx以外に窒素、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、水、水素、アンモニア及びSOx等が含まれていても良い。
【実施例】
【0028】
本発明の有利な実施態様を示している以下の実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。
【0029】
(実施例1)
市販の炭酸コバルト(ナカライラスク社製、塩基性炭酸コバルト)40gに硝酸銀6.4gを含む水溶液を加えてペースト状として十分に混合し、120℃の乾燥器で5時間乾燥してから、空気雰囲気中にて250℃で2時間焼成しAg/Co比が0.10の触媒Aを得た。
【0030】
(実施例2〜3)
実施例1において触媒の焼成温度を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして触媒B〜Cを得た。
【0031】
(実施例4〜7)
実施例1において硝酸銀の代わりに表1に示す原料を各原子比で添加し、焼成温度を500℃として以外は実施例1と同様にして触媒D〜Gを得た。
【0032】
(比較例1)
実施例1おいて硝酸銀の代わりに硝酸カリウムを添加した以外は実施例1と同様にして、表1に示す組成の触媒aを得た。
【0033】
(比較例2)
実施例1おいて硝酸銀の代わりに硝酸セシウムを添加した以外は実施例1と同様にして、表1に示す組成の触媒bを得た。
【0034】
(比較例3)
実施例1において硝酸銀を加えなかった以外は実施例1と同様にして触媒cを得た。
【0035】
(X線回折の測定)
実施例1〜7及び比較例1〜3の触媒を粉末X線回折法(XRD)にて測定した回折パターンより2θが36.9度付近に検出されるCoの主回折ピーク位置を読み取って結果を表1に示した。X線の光源はCuKαであり、管電圧が45kV、管電流が40mA
2θが5〜90度の範囲を25℃で測定した。
【0036】
(触媒活性試験)
実施例1〜7及び比較例1〜3の触媒を以下の評価方法により活性試験を実施した。各触媒の粉末を加圧成形した後に顆粒状に破砕し0.6〜1.18mmにて分級したものを試料として触媒1mlを内径10mmのSUS製反応管に充填した。下記ガス組成の反応ガスを空間速度10,000hr−1に調整して反応温度350℃にて亜酸化窒素分解活性を測定した。
【0037】
<合成ガス組成>
O:300ppm、NO:50ppm、CO:300ppm、O:16%、HO:10%、N:バランス
触媒層の入口側及び出口側における合成ガス中の亜酸化窒素濃度をガスクロマトグラフ(島津製作所製、GC8A、カラム:porapakQ)にて測定し、下式によりN2O分解率を算出した。
O分解率(%)=100×(入口側NO濃度−出口側NO濃度)/入口側NO濃度
上記合成ガスを導入してから1時間経過後及び20時間経過後の亜酸化窒素分解性能を表1に示した。
【0038】
【表1】

本発明の亜酸化窒素分解用触媒は比較例3の触媒と比較して酸化物融点が200〜1000℃の触媒B成分を配合することにより1時間後の初期低温活性が大幅に向上されている。次にNOが存在する同試験条件において10時間程度反応を継続すると亜酸化窒素分解性能はほぼ安定する。そこで20時間経過後の触媒性能をNOx耐性の評価として示したが比較例1及び2の触媒がほとんど処理性能が消失するのに対し、実施例の各触媒は良好な耐久性を有している。これら結果より触媒性能は触媒B成分の酸化物融点と触媒の焼成温度に密接に関連していると推定される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によれば高価な貴金属を用いなくても低温で高活性を有する亜酸化窒素分解用触媒を提供することができる。亜酸化窒素含有ガスに窒素酸化物(NOx)が含まれていても安定的に処理可能であり、各種産業用途に利用されることが期待できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒A成分としてコバルトの酸化物及び触媒B成分として5〜15族からなる群から選ばれる少なくとも一種の元素の化合物を含有する亜酸化窒素分解触媒であって、触媒A成分に対する触媒B成分の原子比が0.0005〜0.15であり、かつ触媒B成分である当該元素の酸化物の融点が200〜1000℃の範囲であることを特徴とする亜酸化窒素分解触媒。
【請求項2】
請求項1記載の亜酸化窒素分解用触媒は粉末X線回折法にて測定した回折パターンにおいて、前記触媒A成分であるコバルトの酸化物が四三酸化コバルト(Co)の結晶構造を有しており、かつ触媒B成分の単独酸化物に由来する回折ピークが検出されない請求項1記載の亜酸化窒素分解触媒。
【請求項3】
触媒A成分のコバルト酸化物の原料として炭酸コバルト(塩基性炭酸コバルトを含む)と、触媒B成分の原料として5〜15族からなる群から選ばれる少なくとも一種の元素の当該金属塩水溶液と、を混合して、乾燥してから焼成することによって得られることを特徴とする請求項1記載の亜酸化窒素分解触媒の製造方法。
【請求項4】
請求項1記載の亜酸化窒素分解触媒を用いて、NO及び/又はNOが含まれる亜酸化窒素含有ガスを処理することを特徴とする亜酸化窒素含有ガスの処理方法。

【公開番号】特開2013−71070(P2013−71070A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212735(P2011−212735)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】