説明

亜鉛が含有された金属酸化物磁性ナノ粒子を含む磁気共鳴映像剤

【課題】亜鉛が含有された金属酸化物磁性ナノ粒子を含む増加した造影効果を有する磁気共鳴映像剤の提供。
【解決手段】亜鉛が含有された水溶性金属酸化物ナノ粒子は、金属酸化物ナノ粒子マトリックスに亜鉛が添加されるか、金属を置換した特性を有しており、これにより、ナノ粒子の磁気的特性及び磁気共鳴映像効果が画期的に増加した結果を有する。また、亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子に、タンパク質、ペプチド、核酸、抗体、薬物、化学作用基及び化学物質などのような生体及び化学活性物質が結合された‘亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子‐生物/化学活性物質’のハイブリッド形態の構造を有する磁気共鳴映像剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、亜鉛が含有された金属酸化物磁性ナノ粒子を含む磁気共鳴映像剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノ技術は、物質を原子、分子レべルで調節及び制御する技術として多くの学際間科学技術が互いに融合してなされ、新物質及び新素子の創出に適して、その応用分野が、電子、材料、通信、機械、医薬、農業、エネルギー、環境など非常に多様である。そのうち、ナノ粒子が重要な理由は、このような多様な活用分野でミクロンサイズの粉末が有していない特性を有するためである。特に、ナノレべルでの調節を通じてミクロン以上サイズの物質と比べて、画期的に向上したナノ特性を表すことができる。
【0003】
特に、ナノサイズの磁性物質は、多様な生体医学分野に適用されて革新的な発展を呼び起こすという期待を受けている。磁性ナノ粒子は、そのサイズが血管及び細胞に比べて遥かに小さくてタンパク質と類似しているサイズを有するので、多様な生体組職に容易に接近させることができるという便利な特性を有しているために、生体診断などに既に数年前から利用された。さらに、最近ナノ技術の急激な発展は、多様な生体応用が可能な高機能性磁性ナノ粒子の製造を可能にし、これらの生体内安定性についての研究もやはり進められている。
【0004】
磁性ナノ粒子の応用範囲は、磁気共鳴映像(MRI)などを利用した分子映像、疾病の追跡及び診断、高温治療、薬物伝達、磁気バイオセンサー、マイクロ流体システムなど広範囲なナノバイオ技術を含む。特に、磁性ナノ粒子は、効果的な磁気共鳴映像の映像剤として使われうる。外部で与えられた磁場下で、磁性ナノ粒子は、磁化されて誘導磁場を発生させる。この誘導磁場は、磁性ナノ粒子周辺の水分子の水素原子のスピンスピン(T2)弛緩時間またはスピン格子(T1)弛緩時間の変化を誘導して、磁気共鳴映像のT2またはT1造影効果を増幅させる。この際、起こる造影効果の尺度は、弛緩率(R=1/T、relaxivity)である。
【0005】
このような磁性ナノ粒子の性質を利用すれば、組職内の水の濃度だけではなく、血管の分布、癌のような疾病の診断、そして、生命現象を分子及び細胞レべルで映像化することができる。現在まで、このような磁性ナノ粒子を利用した磁気共鳴映像剤は、下記のように開発された。
【0006】
特許文献1は、約30nmサイズの超常磁性マグネタイト粒子に対するものであって、前記ナノ粒子を生体分解性母体(タンパク質、炭水化物、脂質)に入れて肝や脾臓のような体内の磁気共鳴映像に応用した。
【0007】
特許文献2は、胃腸管映像のための酸化鉄系列超常磁性ナノ粒子に対するものであって、前記ナノ粒子を多糖類とともに混じって胃腸管での炎症などの映像に応用した。
【0008】
特許文献3は、血管系映像のための超常磁性酸化物ナノ粒子に対するものであって、ナノ粒子の凝集を通じて形成された映像剤について説明した。
【0009】
特許文献4は、ナノサイズのカルボキシポリサッカライドでコーティングされた磁性酸化鉄ナノ粒子に対するものであって、ナノ粒子は共沈法で製作され、サイズは2〜7nm程度を有し、心血管系列映像及び薬物伝達のようなシステムに応用した。
【0010】
特許文献5は、炭水化物が結合されたマグネタイト粒子に対するものであって、このナノ粒子は、水溶液上で共沈法で合成され、超音波反応を用いて炭水化物と結合された後、非経口投与用の磁気共鳴映像剤として使われた。
【0011】
特許文献6は、還元された炭水化物でコーティングされた熱に安定した磁気共鳴映像剤に対するものであって、共沈法を通じて約10nm程度のサイズの酸化鉄ナノ粒子を合成した後、心血管系統の磁気共鳴映像に利用した。
【0012】
特許文献7は、選択的標的が可能な磁性ナノ粒子の磁気共鳴映像剤に対するものであって、共沈法を用いて合成された酸化鉄ナノ粒子が高分子からなるマイセルでコーティングされた磁気共鳴映像剤である。
【0013】
特許文献8は、腫瘍診断を目的としたナノ粒子に対するものであって、有機溶媒上で熱分解方法を通じて合成された酸化鉄磁性ナノ粒子を、水溶化過程、抗体結合過程を通じて腫瘍診断ナノハイブリッドを形成させた後、これを腫瘍の磁気共鳴映像診断に応用した。
【0014】
このような磁気共鳴映像剤に利用される磁性ナノ粒子が最適の性能を有するためには、
1)印加された磁場に敏感に反応する高磁化率を有していなければならず、
2)優れた磁気共鳴映像造影効果を表わさなければならず、
3)生体内、すなわち、水溶性環境で安定的に運搬及び分散されなければならず、
4)生体活性物質と容易に結合が可能でなければならず
5)低毒性及び高い生体親和力を表わさなければならない。
【0015】
一方、前述した先行特許で得られたナノ粒子及びFeridex、Resovistのような商用化された造影剤、そして、水溶化リガンドで取り囲まれた酸化鉄ナノ粒子のような既存の酸化鉄ナノ粒子の場合、比較的低磁化率及び低い磁気共鳴映像造影効果(低いR2)を有する。これは、磁気共鳴映像剤として低下した信号増幅効果を有するようになって微細癌組織のような微量の疾病に対する磁気共鳴映像診断において大きな問題点として指摘されている。
【0016】
既存の低い磁気共鳴映像造影効果を解決する一つの方法は、磁化率が増加した磁性ナノ粒子を含む磁気共鳴映像剤の開発である。このような磁化率増大という目的のために金属酸化物ナノ粒子の組成を変化することが一つの方法になり得る(Ittrich et al,Rofo 2005,177,1151;Shultz et al,J.Magn.Magn,Mater.2007,311,464)。しかし、今までの研究結果によれば、酸化鉄など金属酸化物ナノ粒子マトリックスにいろいろ可能な金属添加物(dopant)を入れた時に表われる磁性増加効果がほとんどないか、さらには減少するもの(例えば、Co、Ni、Mg、Baなど)が大部分である(Valdes−Solis et al,Nanotechnology 2007,18,145603)。
【0017】
最近、磁気共鳴映像効果が増加する例として、特許文献9では、金属酸化物ナノ粒子にマンガンが含有された時に向上した磁気共鳴映像効果を有するということを示した。これは、マンガンの含有によって向上した磁化率に起因することで、この際、マンガンの含有を通じて金属酸化物の磁化率は約10%の増加に止まったが、この物質の磁気共鳴映像効果は、既存の物質に比べて約70〜100%のR2の増加を示した。
【0018】
このような脈絡で、さらに向上した磁化率を有する新たな金属酸化物磁気共鳴映像剤の開発は、磁気共鳴映像造影効果を極大化するのに、非常に重要な要因であるということが自明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】アメリカ特許 US4,849,210号
【特許文献2】アメリカ特許 US5,023,072号
【特許文献3】アメリカ特許 US5,055,288号
【特許文献4】ヨーロッパ特許 EP0656368号
【特許文献5】アメリカ特許 US6,203,777号
【特許文献6】アメリカ特許 US6,599,498号
【特許文献7】アメリカ特許公開 US2006−0222594号
【特許文献8】大韓民国特許出願公開番号 第2006−0098213号
【特許文献9】大韓民国特許出願公開番号 第2006−0098213号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、前記既存の金属酸化物ナノ粒子磁気共鳴映像剤に比べて、画期的に向上した造影効果及び診断感度を有する新たな金属酸化物ナノ粒子磁気共鳴映像剤を開発することを目的とする。今までは、如何なる特定金属添加物が、これを実現させうるという具体的な代案が提示されていないが、本発明では、特別に亜鉛が金属酸化物ナノ粒子マトリックスの金属置換あるいは正孔に加えられることによって、金属酸化物ナノ粒子の磁化率増加を誘導すると同時に、磁気共鳴映像造影効果を画期的に増加させるということを新たに発見し、これを実験的に立証した。また、水溶液での安定性が高く、生体親和的な磁気共鳴映像剤として亜鉛が含有された金属酸化物磁性ナノ粒子を含む磁気共鳴映像剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記目的を果たすための本発明では、亜鉛が含有された金属酸化物磁性ナノ粒子を含む磁気共鳴映像剤を提供する。この際、亜鉛原子は、金属酸化物からなるナノ粒子マトリックスの金属を置換するか、空いている正孔に添加されることを特徴とする。ここで、‘マトリックス(matrix)’とは、ナノ粒子の無機物コアを意味し、多様な元素を添加/除去する母体構造を意味する。このように、亜鉛が含有された金属酸化物磁性ナノ粒子は、亜鉛が含有されていない本来の金属酸化物ナノ粒子マトリックスと比べて、増加した飽和磁化率及び磁気共鳴映像造影効果(R2またはR1)を有することを特徴とする。
【0022】
本発明の亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子が、望ましくは、金属酸化物マトリックスである、
(a)式 M(0<a≦16、0<b≦8、Mは、磁性を帯びる金属原子またはこれらの合金);または、
(b)式 M(0<c≦16、0<d≦16、0<e≦8、Mは、磁性を帯びる金属原子またはこれらの合金であり;Mは、1族元素、2族元素、12族元素、転移金属元素、13族元素、14族元素、15族元素、ランタン族元素、及びアクチニウム族元素からなるグループから選択される元素)の構造式を有するナノ粒子で亜鉛が添加されて金属原子の一部を置換するか、空いている正孔に添加する形態である、
(c)式 Zna−f(0<f<8、0<a≦16、0<b≦8、0<f/(a−f)<10、Mは、磁性を帯びる金属原子またはこれらの合金であり);または、
(d)式 Znc−g(0<g<8、0<c≦16、0<d≦16、0<e≦8、0<g/{(c−g)+d}<10、Mは、磁性を帯びる金属原子またはこれらの合金であり;Mは、1族元素、2族元素、12族元素、転移金属元素、13族元素、14族元素、15族元素、ランタン族元素、及びアクチニウム族元素からなるグループから選択される元素)の構造式を有するナノ粒子であることを特徴とする磁気共鳴映像剤を提供する。
【0023】
前記亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子は、より望ましくは、金属酸化物マトリックスである、
(e)式 MFe(0<h≦16、0<i≦8、0<j≦8、Mは、磁性を帯びる金属原子またはこれらの合金)の構造式を有するナノ粒子で亜鉛が添加されて金属原子の一部を置換するか、空いている正孔に添加した形態である、
(f)式 Znh−kFe(0<k<8、0<h≦16、0<i≦8、0<j≦8、0<k/{(h−k)+i}<10、Mは、磁性を帯びる金属原子またはこれらの合金)の構造式を有するナノ粒子である。
【0024】
前記亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子は、最も望ましくは、
(g)式 Fe(0<l≦8、0<m≦8)、または、
(h)式 MnFe(0<n≦8、0<o≦8、0<p≦8)からなる金属酸化物ナノ粒子マトリックスに亜鉛が添加されてマトリックス上の金属原子の一部を置換するか、空いている正孔に添加して、
(i)式 ZnFe(0<q<8、0<l≦8、0<m≦8、0<q/(l−q)<10)、または、
(j)式 ZnMnn−rFe(0<r<8、0<n≦8、0<o≦8、0<p≦8、0<r/{(n−r)+o}<10)の構造式を有するナノ粒子である。
前記亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子は、それ自体で水に分散されるか(または、溶けるか)、キャッピング(capping)リガンドまたは水溶性多作用基リガンドがナノ粒子を取り囲んでおり、水溶液に分散されている。前記亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子を含む磁気共鳴映像剤は、亜鉛が含有されていない金属酸化物磁性ナノ粒子を含む磁気共鳴映像剤に比べて優れた磁気的性質(飽和磁化率)及び磁気共鳴映像造影効果(R2またはR1)を示すことを特徴とする。
【0025】
本発明は、また、前記亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子に、抗体及びタンパク質のような生体活性物質または蛍光体などのような化学物質が結合された診断用の亜鉛が含有された金属酸化物−生物/化学活性物質ハイブリッドナノ粒子を含む磁気共鳴映像剤を提供する。
【0026】
本発明は、また、前記亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子に、放射性同位元素のようなPET(Positron Emission Tomography)及びSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)用の映像剤、ヨード、バリウムサルフェートなどのようなX線映像剤、及びマイクロバブルなどのような超音波映像剤が結合されることを特徴とする磁気共鳴映像剤を提供する。
【発明の効果】
【0027】
本発明による亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子及び亜鉛が含有された金属酸化物ハイブリッドナノ粒子は、亜鉛が含有されていない金属酸化物磁性ナノ粒子と比べて、磁気的性質を著しく増加させ、磁気共鳴映像造影効果を画期的に増加させる効果を有し、水溶液で特に安定し、優れた磁気的性質及び低細胞毒性を有する。また、本発明の亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子あるいはそれらが生体物質と結合されたハイブリッドナノ粒子は、既存の磁気共鳴映像の改善及び診断治療システムなどに有用に使われうる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】亜鉛が含有されたフェライト磁性ナノ粒子を含む磁気共鳴映像剤(Zn0.4Fc2.6)の(ア)電子顕微鏡写真、(イ)高分解能電子顕微鏡写真及びその逆フーリエ変換イメージ(挿入図)、及び(ウ)X線回折パターンである。
【図2】亜鉛が含有されたフェライト磁性ナノ粒子を含む磁気共鳴映像剤の亜鉛含有量による電子顕微鏡写真である。(ア)ZnMn1−xFe(x=0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.8)、(イ)ZnFe3−x(x=0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.8)。
【図3】亜鉛が含有されたフェライト磁性ナノ粒子を含む磁気共鳴映像剤の亜鉛含有量によるEDAX分析である。(ア)ZnMn1−xFe(x=0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.8)、(イ)ZnFe3−x(x=0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.8)。
【図4】マトリックスとして使った酸化鉄(Fe)ナノ粒子に多様な種類の金属添加物を入れた時の飽和磁化率の比較である。
【図5】亜鉛が含有されていない多様な種類の金属フェライトナノ粒子(MFe、M=Mn、Fe、Co、Ni)と亜鉛を含有した金属フェライトナノ粒子(Zn0.30.7Fe)との磁気共鳴映像効果の比較である。(ア)15nmサイズを有する亜鉛が含有されていない金属フェライトナノ粒子の透過電子顕微鏡写真、(イ)15nmサイズを有する亜鉛が含有された金属フェライトナノ粒子の透過電子顕微鏡写真、(ウ)それぞれ(ア)、(イ)のナノ粒子を同じ濃度で含んだ水の高速スピンエコーT2磁気共鳴映像イメージ及びR2弛緩係数の比較。
【図6】亜鉛が含有されたフェライト磁性ナノ粒子を含む磁気共鳴映像剤の亜鉛含有量による飽和磁化率変化である。
【図7】亜鉛が含有されたフェライト磁性ナノ粒子を含む磁気共鳴映像剤の亜鉛含有量による磁気共鳴映像信号変化である。(ア)ZnMn1−xFe(x=0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.8)、及びZnFe3−x(x=0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.8)ナノ粒子及びFeridex、CLIOの高速スピンエコーT2磁気共鳴映像イメージ、(イ)(ア)のイメージに色を加えたイメージ、(ウ)亜鉛含有率変化によるR2グラフ。
【図8】水容液上で合成された亜鉛が含有された酸化鉄ナノ粒子(ZnFe3−x、x=0.2、0.4)である。(ア、イ)電子顕微鏡写真、(ウ、エ)EDAXスペクトル分析結果。
【図9】亜鉛が含有されたフェライトナノ粒子の亜鉛含有率によるEXAFSスペクトルである。ZnFe3−x(x=(ア)0.4、(イ)0.3、(ウ)0.2、(エ)0.1)。
【図10】多様な種類の水溶性多作用基リガンドを用いて表面改質されて水分散された亜鉛が含有された磁気共鳴映像剤(Zn0.4Fe2.6)の水容液上の安定度検査である。(ア)塩濃度による水容液上の安定度、(イ)酸度(pH)変化による水容液上の安定度。
【図11】亜鉛が含有されたフェライト磁性ナノ粒子(Zn0.4Fe2.6、コアサイズ:15nm)を含む磁気共鳴映像剤を利用したモルモットのMRI肝造影映像である。(ア)ナノ粒子映像剤を注射する前のモルモットのMRI肝映像、(イ〜エ)ナノ粒子映像剤を注射した以後のMRI肝映像、(イ)注射直後、(ウ)10分後、(エ)30分後。
【図12】亜鉛マンガンフェライトナノ粒子に生体物質を結合させた形態の(ア)ナノ粒子−生体物質ハイブリッドの製造の模式図及びこれを通じて得られた亜鉛マンガンフェライトナノ粒子−ハーセプチンハイブリッド及び亜鉛マンガンフェライトナノ粒子−ニュートラビジンハイブリッドのアガロースジェル、(イ)電気泳動及び(ウ)タンパク質染色結果である。
【図13】亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子を含む磁気共鳴映像剤の細胞毒性比較である。(ア)亜鉛が含有された磁性ナノ粒子映像剤(Zn0.4Fe2.6)の細胞処理量変化に対する細胞活性度の比較、(イ)細胞処理量100μg/mlでの酸化鉄(Fe)ナノ粒子と亜鉛とが含有された磁性ナノ粒子映像剤(Zn0.4Fe2.6及びZn0.4Mn0.6Fe)の細胞活性度の比較。
【図14】亜鉛が含有されたマンガンフェライトナノ粒子に蛍光染料(ローダミン(Rhodamin))を結合させて得た磁性−光学二重モードナノ粒子の模式図(ア)、蛍光性質の光発光スペクトル(photoluminescence spectrum)及び蛍光イメージ(イ)、二重モードナノ粒子のR2スピンスピン弛緩係数及び磁気共鳴映像結果(ウ)。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
本研究者は、さまざまな金属添加物が含有された金属酸化物ナノ粒子の中で、亜鉛を含有させた場合、磁性増加効果が画期的に増加するということを発見し、これを通じて磁気共鳴映像信号も画期的に向上した亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子を含む磁気共鳴映像剤を開発した。本発明で記述する‘亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子’とは、金属酸化物ナノ粒子マトリックスで亜鉛原子が金属原子を置換するか、空いている正孔に添加されて作られたナノ粒子であって、飽和磁化率及び磁気共鳴映像造影効果(R2またはR1)が格段に優れ、水溶液で安定性が高く、生体親和性が良くて細胞毒性が低く、生物学的活性及び化学的活性を帯びる物質との結合が容易で、磁気共鳴映像剤としての最適の条件を充足させる。
【0031】
本発明の明細書で、‘亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子’とは、ナノサイズの粒子を意味するものであって、その無機物ナノコアの直径が1nm〜1000nmの範囲にあり、望ましくは、2nm〜100nmの範囲である粒子を意味する。また、水に対して1μg/ml〜500mg/mlの濃度で分散されており、望ましくは、1μg/ml〜50mg/mlの濃度で分散されている粒子を意味する。水に分散されたナノ粒子の流体動力学的直径(hydrodynamic diameter)が1nm〜500μmである粒子を意味し、望ましくは、1nm〜50μmである粒子を意味する。
【0032】
前記‘金属酸化物ナノ粒子マトリックス’は、亜鉛が含有される母体の無機ナノ物質を意味するものであって、マトリックスとして使われる金属酸化物は、式 M(0<a≦16、0<b≦8、Mは、磁性を帯びる金属原子またはこれらの合金)、または、式
(0<c≦16、0<d≦16、0<e≦8、Mは、磁性を帯びる金属原子またはこれらの合金;Mは、1族元素、2族元素、12族元素、13族元素、14族元素、15族元素、転移金属元素、ランタン族元素、アクチニウム族元素、望ましくは、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Ge、Ga、In、Si、Ge、Bi、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、ランタン族元素及びアクチニウム族元素からなるグループから選択される元素の構造式を有するナノ粒子であり、望ましくは、式 MFe(0<h≦16、0<i≦8、0<j≦8、Mは、磁性を帯びる金属原子またはこれらの合金)の構造式を有するナノ粒子である。最も望ましくは、式 Fe(0<l≦8、0<m≦8)、または、式 MnFe(0<n≦8、0<o≦8、0<p≦8)の構造式を有するナノ粒子である。
【0033】
したがって、前述した金属酸化物ナノ粒子マトリックスに、亜鉛が含有されて金属原子の一部を置換するか、空いている正孔に添加された形態は、式 Zna−f(0<f<8、0<a≦16、0<b≦8、0<f/(a−f)<10、Mは、磁性を帯びる金属原子またはこれらの合金)、または、式 Znc−g(0<g<8、0<c≦16、0<d≦16、0<e≦8、0<g/{(c−g)+d}<10、Mは、磁性を帯びる金属原子またはこれらの合金であり;Mは、1族元素、2族元素、12族元素、13族元素、14族元素、15族元素、転移金属元素、ランタン族元素、アクチニウム族元素、望ましくは、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Ge、Ga、In、Si、Ge、Bi、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、ランタン族元素及びアクチニウム族元素からなるグループから選択される元素)の構造式を有するナノ粒子であり、望ましくは、式 Znh−kFe(0<k<8、0<h≦16、0<i≦8、0<j≦8、0<k/{(h−k)+i}<10、Mは、磁性を帯びる金属原子またはこれらの合金)、最も望ましくは、式 ZnFel−q(0<q<8、0<l≦8、0<m≦8、0<q/(l−q)<10)、または、ZnMnn−rFe(0<r<8、0<n≦8、0<o≦8、0<p≦8、0<r/{(n−r)+o}<10)の構造式を有するナノ粒子である。
【0034】
本発明の‘亜鉛が含有された水溶性金属酸化物ナノ粒子’は、亜鉛と異なる金属の含有比率が化学量論的に、望ましくは、0.001<‘亜鉛/(総金属−亜鉛)’<10、さらに望ましくは、0.01<‘亜鉛/(総金属−亜鉛)’<1、最も望ましくは、0.03<‘亜鉛/(総金属−亜鉛)’<0.5である。亜鉛が、前記範囲で含まれる時に高飽和磁化率を有しうる。
【0035】
ここで、‘亜鉛の含有’とは、金属酸化物ナノ粒子マトリックスの結晶学的構造で亜鉛原子が酸素原子の間に存在する陽イオンの正孔(hole)中で四面体正孔や八面体正孔の間に入って行くことを意味する。したがって、亜鉛が含有された水溶性または水分散性金属酸化物ナノ粒子を合成する時、まず、金属酸化物ナノ粒子マトリックスが成長した後、マトリックス上の四面体正孔または八面体正孔に存在した金属原子を亜鉛が置換するものか、または金属酸化物ナノ粒子の成長時に金属原子と亜鉛とがともに結晶成長に導入されて亜鉛が酸素原子の陽イオン正孔中で四面体正孔や八面体正孔の間に添加されて入って行くように合成されるものを意味する(例えば、ZnO+Fe→ZnFe)。特に、そのうち、四面体正孔に存在する亜鉛がナノ粒子の磁化率を増加させる役割を果たすので、重要である。また、前記亜鉛が添加されるナノ粒子の金属酸化物の組成は、非化学量論的な場合も可能である。
【0036】
本発明の‘亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子’は、金属酸化物ナノ粒子マトリックスに比べて優れた飽和磁化率(M)または磁気共鳴映像造影効果(R2またはR1)を有する。前記亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子は、望ましくは、60emu/g(磁性原子)以上、さらに望ましくは、100emu/g(磁性原子)以上の飽和磁化率を有し、最も望ましくは、125emu/g(磁性原子)以上の飽和磁化率を有することを特徴とする。磁化率が、前記値を有する時、磁気共鳴映像剤として効率的である。また他の観点で、前記亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子は、磁気共鳴映像造影効果(R2またはR1)が、望ましくは、その金属酸化物ナノ粒子マトリックスに比べて10%以上、さらに望ましくは、40%以上、さらに望ましくは、100%以上、最も望ましくは、300%以上増加した値を有することを特徴とする。
【0037】
本発明で、‘亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子’は、亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子に水溶性多作用基リガンド(multi−functional group ligand)が結合されて、前記ナノ粒子を取り囲んでいる形態を有するか、または特別なリガンドと結合せずに、それ自体で水に溶解されるか分散される粒子を意味する。
【0038】
本発明で、‘亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子’は、多様な形態で提供されることができるが、如何なる亜鉛が含有された金属酸化物質コアと多作用基リガンドとを選択して使うかによって決定される。
【0039】
本発明の明細書で、‘水溶性多作用基リガンド’は、亜鉛が含有されたナノ粒子と結合して、ナノ粒子を水溶化及び安定化し、生物/化学活性物質との結合を可能にするリガンドである。
【0040】
水溶性多作用基リガンドは、(a)付着領域(L、adhesive region)を含むことができ、(b)活性成分結合領域(LII、reactive region)、(c)交差連結領域(LIII、cross linking region)、または、前記活性成分結合領域(LII)と交差連結領域(LIII)とを同時に含む活性成分結合領域−交差連結領域(LII−LIII)をさらに含みうる。以下で、水溶性多作用基リガンドをより具体的に説明する。
【0041】
前記“付着領域(L)”は、ナノ粒子と付着することができる作用基(functional group)を含む多作用基リガンドの一部分であって、望ましくは、多作用基リガンドの末端を意味する。したがって、付着領域は、ナノ粒子を成す物質と親和性が高い作用基とを含むことが望ましい。この際、ナノ粒子と付着領域との結合は、イオン結合、共有結合、水素結合、疎水結合、または、金属−リガンド配位結合で付着することができる。これにより、多作用基リガンドの付着領域は、ナノ粒子を成す物質によって多様に選択されうる。例えば、イオン結合、共有結合、水素結合、金属−リガンド配位結合を利用した付着領域は、−COOH、−NH、−SH、−CONH、−POH、−OPO、−SOH、−OSOH、−N、−NROH(R=C2n+1、0≦n≦16)、−OH、−SS−、−NO、−CHO、−COX(X=F、Cl、Br、またはI)、−COOCO−、−CONH−、または、−CNを含み、疎水結合を利用した付着領域は、炭素数2以上からなる炭化水素鎖を含みうるが、これに限定されるものではない。
【0042】
前記“活性成分結合領域(LII)”は、化学または生体機能性物質と結合することができる作用基を含む多作用基リガンドの一部分であって、望ましくは、前記付着領域と反対側に位置した末端を意味する。前記活性成分結合領域の作用基は、活性成分の種類及びその化学式によって変わりうる(表1参照)。本発明で活性成分結合領域は、−SH、−CHO、−COOH、−NH、−OH、−POH、−OPO、−SOH、−OSOH、−NR(R=C 0≦n≦16、0≦m≦34、X=OH、Cl、Br)、NR(R=C 0≦n≦16、0≦m≦34、X=OH、Cl、Br)、−N、−SCOCH、−SCN、−NCS、−NCO、−CN、−F、−Cl、−I、−Br、エポキシ基、−ONO、−PO(OH)、−C=NNH、−HC=CH−及び−C≡C−を含みうるが、これに限定されるものではない。
【0043】
前記“交差連結領域(LIII)”は、近接した多作用基リガンドと交差連結することができる作用基を含む多作用基リガンドの一部分、望ましくは、中心部に付着された側鎖を意味する。“交差連結”とは、一つの多作用基リガンドが近接して位置した他の多作用基リガンドと分子間引力(intermolecular interaction)で結合されることを意味する。前記分子間引力は、疎水性引力、水素結合、共有結合(例えば、ジスルフィド結合)、ファンデルワールス結合、イオン結合などがあるが、これに特別に限定されない。したがって、交差連結することができる作用基は、目的とする分子間引力の種類によって多様に選択されうる。交差連結領域は、例えば、−SH、−CHO、−COOH、−NH、−OH、−POH、−OPO、−SOH、−OSOH、−NR(R=C 0≦n≦16、0≦m≦34、X=OH、Cl、Br)、NR(R=C 0≦n≦16、0≦m≦34、X=OH、Cl、Br)、−N、−SCOCH、−SCN、−NCS、−NCO、−CN、−F、−Cl、−I、−Br、エポキシ基、−ONO、−PO(OH)、−C=NNH、−HC=CH−、−C≡C−を作用基として含みうる。
【0044】
【表1】

【0045】
(I:多作用基リガンドの活性成分結合領域の作用基、II:活性成分、III:IとIIの反応による結合例)
本発明では、前記したような作用基を本来保有した化合物を水溶性多作用基リガンドとして利用することもできるが、当業界に公知された化学反応を通じて前記したような作用基を備えるように変形または製造された化合物を多作用基リガンドとして利用することもできる。
【0046】
本発明による亜鉛が含有された水溶性金属酸化物ナノ粒子において、望ましい多作用基リガンドの一例は、ジメルカプトコハク酸である。ジメルカプトコハク酸は、本来の付着領域、交差連結領域及び活性成分結合領域を含んでいるためである。すなわち、ジメルカプトコハク酸の一側の−COOHは、金属酸化物ナノ粒子に付着される役割を果たし、末端部の−COOH及び−SHは、活性成分と結合する役割を果たす。また、−SHの場合、周辺の他の−SHと酸化過程を通じて−SS−結合を成すことで交差連結領域でも作用が可能である。前記ジメルカプトコハク酸(dimercaptosuccinic acid)の以外にも、付着領域(L)の作用基で−COOHを、活性成分結合領域(LII)及び交差連結領域(LIII)の作用基で−COOH、−SH、−NHを含む化合物は、望ましい多作用基リガンドとして利用されうる。そのような化合物のまた他の例としては、ジメルカプトマレイン酸(dimercaptomaleic acid)、ジメルカプトペンタジオニック酸(dimercaptopentadionic acid)などがあるが、これに制限されるものではない。
【0047】
本発明による亜鉛が含有された水溶性金属酸化物ナノ粒子において、望ましい多作用基リガンドの一例は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(tetramethylamoniumhydroxide、TMAOH)である。TMAOHは、付着領域及び活性成分結合領域を含んでいるためである。すなわち、TMAOHの一側の−OHは、金属酸化物ナノ粒子の表面に付着する役割を果たし、末端部のN(CHは、活性成分とイオン結合を通じて結合される。前記TMAOHの以外にも、付着領域(L)の作用基で−OHを、活性成分結合領域(LII)の作用基でN(CHまたは−N(CHを含む化合物は、望ましい多作用基リガンドとして利用されうる。そのような化合物のまた他の例としては、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(tetraethylamoniumhydroxide)、トリメチルアンモニウムプロパノール(trimethylamoniumpropanol)などがあるが、これに制限されるものではない。
【0048】
本発明による亜鉛が含有された水溶性金属酸化物ナノ粒子において、望ましい多作用基リガンドの他の例は、ペプチド(peptide)である。ペプチドは、アミノ酸からなるオリゴマー/ポリマーであって、アミノ酸は、両末端に−COOHまたは−NH作用基を保有しているために、ペプチドは自然的に付着領域と活性成分結合領域とを備える。また、特に交差連結領域に使用可能な側鎖で−SH、−COOH、−NH及び−OHのうち何れか一つ以上を側鎖で有するアミノ酸を一つ以上含むペプチドは、望ましい水溶性多作用基リガンドとして使われうる。
【0049】
本発明による水溶性ナノ粒子において、望ましい多作用基リガンドの他の例は、タンパク質である。タンパク質は、ペプチドよりさらに多いアミノ酸、すなわち、数百ないし数十万個のアミノ酸からなるポリマーであって、両末端に−COOHと−NH作用基とを保有しているだけではなく、数十個の−COOH、−NH、−SH、−OH、−CONHなどを含んでいる。これにより、タンパク質は、前述したペプチドのように、その構造によって自然的に付着領域、交差連結領域、活性成分結合領域を備えることができて、本発明の相転移リガンドとして有用に利用されうる。相転移リガンドとして望ましいタンパク質の代表的な例としては、構造タンパク質、貯蔵タンパク質、運搬タンパク質、ホルモンタンパク質、受容体タンパク質、収縮タンパク質、防御タンパク質、酵素タンパク質などがある。さらに詳しくは、アルブミン(albumin)、抗体(antibody)、二次抗体(secondary antibody)、抗原(antigen)、アビジン(avidin)、シトクロム(cytochrome)、カゼイン(casein)、ミオシン(myosin)、グリシニン(glycinine)、カロテン(carotene)、コラーゲン(collagen)、球状タンパク質(globular
protein)、軽タンパク質(light protein)、ストレプトアビジン(streptavidin)、プロテインA(protein A)、プロテインG(protein G)、プロテインS(protein S)、兔疫グロブリン(immunoglobulin)、レクチン(lectin)、セレクチン(selectin)、アンジオポエチン(angiopoietin)、坑癌タンパク質(anti−cancer protein)、抗生タンパク質(anti−biotic protein)、ホルモン拮抗タンパク質(hormone antagonist protein)、インターロイキン(interleukin)、インターフェロン(interferon)、成長因子(growth factor)タンパク質、腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor)タンパク質、エンドトキシン(endotoxin)タンパク質、リンホトキシン(lymphotoxin)タンパク質、組職プラスミノゲン活性剤(tissue plasminogen activator)、ウロキナーゼ(urokinase)、ストレプトキナーゼ(streptokinase)、プロテアーゼ阻害剤(protease inhibitor)、アルキルホスホコリン(alkyl phosphocholine)、界面活性剤、心血関係薬物タンパク質(cardiovascular pharmaceuticals)、神経系薬物(neuro pharmaceuticals)タンパク質、胃腸関係薬物タンパク質(gastrointestinal pharmaceuticals)などが挙げられる。
【0050】
本発明による水溶性ナノ粒子において、望ましい多作用基リガンドの他の例としては、疎水性(hydrophobic)作用基と親水性(hydrophilic)作用基とを同時に有している両親媒性(amphiphilic)リガンドがある。有機溶媒上で合成されたナノ粒子の場合、その表面には、疎水性の長い炭素鎖からなるリガンドが存在している。この際、付け加えられる両親媒性リガンドに存在する疎水性作用基とナノ粒子表面の疎水性リガンドとが分子間引力によって結合されて、ナノ粒子を安定化させ、ナノ粒子の最も外側には、親水性作用基が表われて結果的に水溶性ナノ粒子を製造することができる。ここで、分子間引力は、疎水結合、水素結合、ファンデルワールス結合などを含む。この際、ナノ粒子と疎水性引力によって結合される部分が付着領域(L)であり、これと共に有機化学的な方法で両親媒性リガンドに活性成分結合領域(LII)または交差連結領域(LIII)を導入することができる。また、水容液上での安定度の増加のために、複数個の疎水性作用基と親水性作用基とを有している高分子多重両親媒性リガンドを利用するか、あるいは連結分子を用いて両親媒性リガンドを互いに交差連結させうる。このような相転移リガンドで望ましい両親媒性リガンドの例として、まず疎水性作用基に含まれるものは炭素数が2以上になる鎖からなり、線形や枝形構造を有している疎水性分子であって、さらに望ましくは、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、オクチル、デシル、テトラデシル、ヘキサデシル、アイコシル、テトラコシル、ドデシル、及びシクロペンチル、シクロヘキシルなどのアルキル作用基とエスニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、オクテニル、デセニル、オレイルなどの炭素−炭素2重結合及びプロペニル、イソプロペニル、ブチル、イソブチル、オクチル、デシルなどの炭素−炭素3重結合を有する不飽和された炭素鎖を有する作用基などが挙げられる。また、親水性作用基に含まれるものは、−SH、−COOH、−NH、−OH、−POH、−OPO、−SOH、−OSOH、−NRなどのように特定pHでは、中性を帯びるがさらに高いか低いpHでは、正電荷または負電荷を帯びる作用基を言う。また、親水性グループとして高分子及びブロックコポリマーなどが使われ、ここで使われる単位素は、エチレングリコール(ethyleneglycol)、アクリル酸(acrylic acid)、アルキルアクリル酸(alkylacrylic acid)、イタコン酸(itaconic acid)、マレイン酸(maleic acid)、フマル酸(fumaric acid)、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(acrylamidomethylpropanesulfonicacid)、ビニルスルホン酸(vinylsulfonic acid)、燐酸ビニル(vinylphosphoric acid)、乳酸ビニル(vinyllactic acid)、スチレンスルホン酸(styrenesulfonicacid)、アリルアンモニウム(allylammonium)、アクリロ二トリル(acrylonitrile)、N−ビニルピロリドン(N−vinylpyrrolidone)、N−ビニルホルムアミド(N−vinylformamide)などがあるが、これに限定されるものではない。
【0051】
本発明による水溶性ナノ粒子において、望ましい多作用基リガンドの他の例は、単糖類、二糖類、及び生分解性高分子である。望ましい例には、グルコース(glucose)、マンノース(mannose)、フコース(fucose)、N−アセチルグルコミン(N−acetylglucomine)、N−アセチルガラクトサミン(N−acetylgalactosamine)、N−アセチルノイラミン酸(N−acetylneuramic acid)、果糖(fructose)、キシロース(xylose)、ソルビトール(sorbitol)、蔗糖(sucrose)、マルトース(maltose)、グリコアルデヒド(glycoaldehyde)、ジヒドロキシアセトン(dihydroxyacetone)、エリトロース(erythrose)、エリトルロース(erythrulose)、アラビノース(arabinose)、キシルロース(xylulose)、乳糖(lactose)、トレハロース(trehalose)、メリビオース(melibiose)、セロビオース(cellobiose)、ラフィノース(raffinose)、メレジトース(melezitose)、マルトリオース(maltoriose)、スタキオース(starchyose)、エストロドーズ(estrodose)、キシラン(xylan)、アラバン(araban)、ヘキソサン(hexosan)、フルクタン(fructan)、ガラクタン(galactan)、マンナン(mannan)、アガロペクチン(agaropectin)、アルギン酸(arginic acid)、ヘミセルロース(hemicellulose)、ヒプロメロース(hypromellose)、アミラーゼ(amylase)、ジオキシアセトン(deoxyaceton)、グリセリンアルデヒド(glycerinealdehyde)、キチン(chitin)、アガロース(agarose)、デキストラン(dextran)、リボース(ribose)、リブロース(ribulose)、ガラクトース(galactose)、カルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose)及びグリコーゲンデキストラン(glycogen
dextran)、カルボデキストラン(carbodextran)、ポリサッカライド(polysaccharide)、シクロデキストラン(cyclodextran)、プルロニック(pluronic)、セルロース(cellulose)、澱粉(starch)、グリコーゲン(glycogen)、炭水化物(carbohydrate)、ポリホスファゲン(polyphosphagen)、ポリ乳酸(polylactide)、ポリ乳酸−co−グリコール酸(poly(lactic−co−glycolic acid))、ポリカプロラクトン(polycaprolactone)、ポリアンヒドリド(polyanhydride)、ポリマレイン酸(polymaleicacid)、ポリマレイン酸の誘導体、ポリアルキルシアノアクリレート(polyalkylcyanoacrylate)、ポリヒドロキシブチレート(polyhydroxybutylate)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリオルソエステル(polyorthoester)、ポリエチレングリコール(polyethyleneglycol)、ポリ−L−リジン(poly−L−lysine)、ポリグリコリド(polyglycolide)、ポリメチルメタアクリレート(polymetacrylate)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)などが含まれる。
【0052】
また他の観点で、本発明は、前記亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子の活性成分結合領域に生体機能性を帯びる化学機能性分子及び生体機能性物質を結合させた亜鉛が含有された金属酸化物−生物/化学活性物質ハイブリッドナノ粒子を提供する。
【0053】
本発明で、‘亜鉛が含有された金属酸化物−生物/化学活性物質ハイブリッドナノ粒子’とは、多作用基リガンドにキャッピングされて水溶化された形態の前記亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子に生物活性物質(例えば、抗体、タンパク質、抗原、ペプチド、核酸、酵素、細胞など)または化学活性物質(例えば、単分子、高分子、無機支持体、蛍光体、薬物など)がリガンドの活性成分と共有結合、イオン結合、または疎水結合を通じて結合されているナノ粒子を意味する。
【0054】
本発明で、‘亜鉛が含有された金属酸化物−生物/化学活性物質ハイブリッドナノ粒子’の一例として、亜鉛が含有された金属酸化物に化学機能性分子が結合された形態である。化学機能性分子には、多様な化学機能性単分子、高分子、無機支持体、無機物質及び生体機能性物質などが含まれる。
【0055】
ここで、単分子の例としては、多様な種類の単分子として抗癌剤、抗生剤、ビタミン、葉酸を含む薬物、脂肪酸、ステロイド、ホルモン、プリン、ピリミジン、単糖類、二糖類が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0056】
望ましい化学機能性単分子は、末端あるいは側鎖に、−COOH、−NH、−SH、−SS−、−CONH、−POH、−OPO、−PO(OR)(OR)(R、R=C、X=−F、−Cl、−Br、または、−I、0≦s≦20、0≦t≦2(s+u)+1、0≦u≦2s、0≦w≦2s、0≦x≦2s、0≦y≦2s、0≦z≦2s)、−SOH、−OSOH、−NO、−CHO、−COSH、−COX、−COOCO−、−CORCO−(R=C、0≦l≦3、0≦m≦2l+1)、−COOR、−CN、−N、−N、−NROH(R=C 、X=−F、−Cl、−Br、または、−I、0≦s≦20、0≦t≦2(s+u)+1、0≦u≦2s、0≦w≦2s、0≦x≦2s、0≦y≦2s、0≦z≦2s)、−NRNR(R、R、R=C 、X=−F、−Cl、−Br、または、−I、0≦s≦20、0≦t≦2(s+u)+1、0≦u≦2s、0≦w≦2s、0≦x≦2s、0≦y≦2s、0≦z≦2s)、−CONHNR(R、R=C 、X=−F、−Cl、−Br、または、−I、0≦s≦20、0≦t≦2(s+u)+1、0≦u≦2s、0≦w≦2s、0≦x≦2s、0≦y≦2s、0≦z≦2s)、−NR(R、R、R=C 、X=−F、−Cl、−Br、または、−I、X=F、Cl、Br、または、I、0≦s≦20、0≦t≦2(s+u)+1、0≦u≦2s、0≦w≦2s、0≦x≦2s、0≦y≦2s、0≦z≦2s)、−OH、−SCOCH、−F、−Cl、−Br、−I、−SCN、−NCO、−OCN、−エポキシ、−C=NNH、−HC=CH−及び−C≡C−グループで、一つ以上の作用基を含むことを特徴とする。
【0057】
前記高分子の例としては、デキストラン(dextran)、カルボデキストラン(carbodextran)、ポリサッカライド(polysaccharide)、シクロデキストラン(cyclodextran)、プルロニック(pluronic)、セルロース(cellulose)、澱粉(starch)、グリコーゲン(glycogen)、炭水化物(carbohydrate)、単糖類(monosaccharide)、二糖類(bisaccharide)及びオリゴ糖類(oligosaccharide)、ポリホスファゲン(polyphosphagen)、ポリ乳酸(polylactide)、ポリ乳酸−co−グリコール酸(poly(lactic−co−glycolic acid))、ポリカプロラクトン(polycaprolactone)、ポリアンヒドリド(polyanhydride)、ポリマレイン酸(polymaleic acid)及びポリマレイン酸の誘導体、ポリアルキルシアノアクリレート(polyalkylcyanoacrylate)、ポリヒドロキシブチレート(polyhydroxybutylate)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリオルソエステル(polyorthoester)、ポリエチレングリコール(polyethyleneglycol)、ポリ−L−リジン(poly−L−lysine)、ポリグリコリド(polyglycolide)、ポリメチルメタアクリレート(polymetacrylate)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)などが含まれる。
【0058】
前記無機支持体の例としては、金属酸化物、金属カルコゲン化合物、無機セラミック物質、炭素物質、II/VI族、III/V族、及びIV族半導体基板、金属基板、またはその複合体などである。望ましくは、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、インジウムチンオキシド(ITO)、ナノチューブ、黒鉛、フラーレン、CdS、CdSe、CdTe、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、Si、GaAs、AlAs、Au、Pt、Ag、Cuなどがある。
【0059】
前記無機物質は、金属酸化物1、2族金属元素、転移金属元素、13族元素、14族元素、15族元素、ランタン族及びアクチニウム族元素からなるグループから1種以上選択された元素で構成された金属酸化物)、半導体(13族元素、12族元素、14族元素、15族元素、16族元素のうち2種以上選択された元素で構成された半導体)、転移金属、13族元素、14族元素、15族元素、及び16族元素から選択されることを特徴とするが、これに制限されるものではない。
【0060】
本発明の亜鉛が含有された金属酸化物生物/化学活性物質ハイブリッドナノ粒子の一例は、亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子と生体機能性物質とが選択的に結合された形態のものである。生体機能性物質は、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、生体機能性薬物を含み、望ましくは、抗原、抗体、DNA、RNA、ハプテン(hapten)、アビジン(avidin)、ストレプトアビジン(streptavidin)、ニュートラビジン(neutravidin)、プロテインA(protein A)、プロテインG(protein G)、レクチン(lectin)、セレクチン(selectin)のような組職特異的結合成分(tissue−specific binding substances)、抗癌剤(anti−cancer agent)、抗生剤(antibiotic)、ホルモン(hormone)、ホルモン拮抗剤(hormone
antagonist)、インターロイキン(interleukin)、インターフェロン(interferon)、成長因子(growth factor)、腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor)、エンドトキシン(endotoxin)、リンホトキシン(lymphotoxin)、ウロキナーゼ(urokinase)、ストレプトキナーゼ(streptokinase)、組職プラスミノゲン活性剤(tissue plasminogen activator)、プロテアーゼ阻害剤(protease inhibitor)、アルキルホスホコリン(alkyl phosphocholine)、界面活性剤、心血関係薬物(cardiovascular pharmaceuticals)、胃腸関係薬物(gastrointestinal pharmaceuticals)、神経系薬物(neuro pharmaceuticals)のような薬剤学的活性成分、加水分解酵素(hydrolase)、酸化還元酵素(redox enzyme)、分解酵素(lyase)、異性質化酵素(isomerization enzyme)、合成酵素(synthetase)などの生体活性酵素、酵素補因子(enzymecofactor)、酵素抑制剤(enzyme inhibitor)などが含まれるが、これに制限されるものではない。
【0061】
以下、本発明の亜鉛が含有された水溶性金属酸化物ナノ粒子の製法について具体的に説明する。
【0062】
本発明による亜鉛が含有された水溶性金属酸化物ナノ粒子は、当業界に知られた気相(gas phase)でのナノ粒子合成法または水溶液、有機溶液、または多溶液系などの液相(liquid phase)でのナノ粒子合成法を通じて得られうる。
【0063】
本発明のナノ粒子の望ましい製法の一例として、(1)水不溶性ナノ粒子を有機溶媒で合成する段階、(2)前記水不溶性ナノ粒子を第1溶媒に分散して水溶性多作用基リガンドを第2溶媒に分散する段階、(3)前記段階(2)による二つの溶液を混合して水不溶性ナノ粒子の表面に多作用基リガンドを導入させて水溶液に分散して分離する段階を経て製造することができる。
【0064】
前述した製法の段階(1)は、水不溶性ナノ粒子の製法に関する。本発明では一例として、表面安定剤を含む有機溶媒にナノ粒子先駆物質を投入してナノ粒子を製造するのに適した50〜600℃、望ましくは、100〜600℃の温度及び時間を保持して、前記ナノ粒子先駆物質を化学反応してナノ粒子を成長させた後、こらから形成された水不溶性ナノ粒子を分離及び精製する段階を経て水不溶性ナノ粒子を製造することができる。
【0065】
前記ナノ粒子先駆物質は、金属硝酸系の化合物、金属サルフェート系の化合物、金属アセチルアセトナト系の化合物、金属フルオロアセトアセテート系の化合物、金属ハルライド系の化合物、金属過塩素酸系の化合物、金属アルキルオキシド系の化合物、金属サルフェート系の化合物、金属ステアリン酸塩系の化合物または有機金属系の化合物が利用されうるが、これに制限されるものではない。
【0066】
前記有機溶媒としては、ベンゼン系溶媒、炭化水素溶媒、エーテル系溶媒、ポリマー溶媒、イオン性液体溶媒が利用され、望ましくは、ベンゼン、トルエン、ハロベンゼン、オクタン、ノナン、デカン、ベンジルエーテル、フェニルエーテル、炭化水素エーテル、ポリマー溶媒、イオン性液体溶媒が利用されうるが、これに制限されるものではない。
【0067】
前記製法の段階(2)では、先行製造されたナノ粒子を第1溶媒に分散する一方、多作用基リガンドを第2溶媒に分散させる。前記第1溶媒としては、ベンゼン系溶媒、炭化水素溶媒、エーテル系溶媒、ハロ炭化水素、アルコール類、スルホキシド系溶媒、アミド系溶媒などが利用され、望ましくは、前記第1溶媒としては、ベンゼン、トルエン、ハロベンゼン、ペンタン、ヘキサン、ノナン、デカン、ベンジルエーテル、フェニルエーテル、炭化水素エーテル、塩化メチレン、息化メタン、メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどが利用されうる。前記第2溶媒としては、前述した第1溶媒として利用されうる溶媒の以外にも水が利用されうる。
【0068】
前記製法の段階(3)では、前記二つの溶液を混合するが、この際、水不溶性ナノ粒子の有機性表面安定剤が水溶性多作用基リガンドに置換される。このように、水溶性多作用基リガンドに置換されたナノ粒子は、当業界に公知された方法を用いて分離することができる。望ましくは、遠心分離または濾過を用いて分離する。前記分離後には、より安定に分散されている水溶性ナノ粒子を収得するために、適定(titration)する段階を経てpHを5ないし10に調節することが望ましい。
【0069】
前述した方法を通じて合成された亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子は、均一のサイズ分布(サイズ分布図(σ)<10%)及び高結晶性を有する。また、本方法を利用すれば、ナノ粒子マットリックス内の亜鉛含有率の精密な調節が可能である。すなわち、反応時に亜鉛と異なる金属先駆物質の混合比率を変化させれば、ナノ粒子内の亜鉛含有比率を化学量論比で0.001<‘亜鉛/(総金属−亜鉛)’<10までに調節が可能である。特に、四面体正孔に亜鉛の配置が円滑になって磁化率の増大を招く。
【0070】
亜鉛が含有された金属酸化物磁性ナノ粒子映像剤を得るために、前述した方法のように、必ずしも有機溶媒上で合成されたナノ粒子を相転移過程を経て水溶性ナノ粒子を作るものではなく、ナノ粒子先駆物質の水溶液内の化学反応を通じる結晶成長を通じて合成しても良い。この方法は、多作用基リガンドを含む水溶液に亜鉛先駆物質を添加することで、亜鉛が含有された水溶性金属酸化物ナノ粒子を合成する方法で既存の公知された水溶性ナノ粒子の合成方法を通じてなされうる。本発明で提示した亜鉛を含有した金属酸化物磁性ナノ粒子は、製法に限定されずに増強された磁性及び磁気共鳴映像信号の増強効果を有する。
【0071】
製造された水溶性ナノ粒子の例は、表2に記述した。
【0072】
【表2】

【0073】
【表3】

【0074】
【表4】

【0075】
【表5】

【0076】
【表6】

【0077】
以下で、亜鉛が含有された水溶性金属酸化物ナノ粒子を含んだ磁気共鳴映像剤の応用について具体的に説明する。
【0078】
本発明の亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子は、既存の金属酸化物ナノ粒子を含む磁気共鳴映像剤に比べて優れた磁化率を有するために、遥かに高レべルの高感度診断を可能にできる。また、既存の使われた磁気共鳴映像剤に比べてさらに少ない量のみ使っても、所望する程度の信号増加効果をもたらすことができて、既存の物質に比べて体内毒性及び副作用が減ると期待される。
【0079】
また、亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子は、既存の酸化鉄ナノ粒子に比べて遥かに優れた磁気共鳴映像造影効果(R2またはR1)を示すので、既存の磁気共鳴映像を利用した診断を画期的に発展させ、疾病の早期診断及び極少量の生体分子の検出を可能にする。一般的に、癌細胞、脳卒中、心筋梗塞が起きた部位の表面には、特別に過発現される生物学的標識子が存在している。このような生物学的標識子と選択的に結合が可能な標的特異性物質(例えば、抗体、タンパク質、核酸、ペプチド、酵素などの生体高分子及び化学分子)は、当業界に公知された方法によって得られうる。または、既に知られた物質を使うこともできる。このような方法で得た標的特異性物質を亜鉛が含有された水溶性金属酸化物ナノ粒子の活性成分結合領域と結合させて合成されたハイブリッド粒子は、疾病誘発物質と選択的に結合させうる。このようにして、疾病部位に標識された磁性粒子は、磁気共鳴映像信号を示すようになって診断が可能となる。
【0080】
本発明の磁気共鳴映像剤に含有された亜鉛の場合、人体の必須元素として亜鉛が結合されたタンパク質は、主に酵素として作用して人体代謝活性化に重要な役割を果たすために、亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子は、既存の酸化鉄系の映像剤と同様に生体親和的である。
【0081】
亜鉛が含有された水溶性金属酸化物ナノ粒子は、また他の診断プローブと結合されて二重または多重診断プローブとして使われうる。
【0082】
例えば、亜鉛が含有された水溶性金属酸化物にT1磁気共鳴映像診断プローブを結合させれば、T2磁気共鳴映像及びT1磁気共鳴映像診断を同時に進行できる。
【0083】
本発明の磁気共鳴映像剤は、亜鉛が含有された水溶性金属酸化物ナノ粒子に放射性同位元素が結合され、単一光子放出コンピュータ断層撮映(SPECT、Single Photon Emission Computed Tomography)または陽電子放出断層撮影(PET、Positron Emission Tomography)に使われうる。
【0084】
本発明の磁気共鳴映像剤は、また亜鉛が含有された水溶性金属酸化物ナノ粒子に蛍光物質が結合され、光学イメージング及び分光(Optical Imaging and Spectroscopy)に使われうる。
【0085】
また、本発明の磁気共鳴映像剤は、亜鉛が含有された水溶性金属酸化物ナノ粒子にX線診断剤である硫酸バリウム及びヨードと結合されるか、超音波検査用診断剤であるマイクロバブルなどと結合されてX線及び超音波検査にも使われうる。
以下の実施例は、単に本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の要旨によって、本発明の範囲が、これら実施例によって制限されないということは、当業者において自明であろう。
【実施例】
【0086】
実施例1:式 Zn1−xFe(M=FeまたはMn、x=0.1、0.2、0.3、0.4、0.8)の組成及び15nmのコアサイズを有してジメルカプトコハク酸でコーティングされた亜鉛が含有されたフェライトナノ粒子磁気共鳴映像剤の合成。
【0087】
本明細書で記述された亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子を含む磁気共鳴映像剤の例で、式 Zn1−xFe(M=FeまたはMn、x=0.1、0.2、0.3、0.4、0.8)の組成を有して15nmのコアサイズを有する亜鉛が含有されたフェライトナノ粒子磁気共鳴映像剤は、大韓民国特許第10−0604975号、第10−0652251、第10−0713745、PCT/KR2004/002509、大韓民国特許第10−0604975号、PCT/KR2004/003088、PCT/KR2007/001001、大韓民国特許出願2006−0018921号に表われた方法を基盤で合成される。20mmolのオレイン酸及びオレイルアミンを含むトリオクチルアミン溶液にZnCl、FeClまたはMnCl、Fe(acac)を2時間200℃及び300℃で熱分解させて15nm Zn1−xFe(M=FeまたはMn、x=0.1、0.2、0.3、0.4、0.8)ナノ粒子を合成する。亜鉛の含有比率をx=0.1〜0.8までに調節するためには、先駆物質であるZnCl、FeClの比率を調節して同じ方法で反応させる。このように作られた亜鉛が含有されたフェライトナノ粒子は、過量のエタノールで沈澱させて分離した後、ナノ粒子は再びトルエンで再分散させてコロイド溶液状態で作る。
【0088】
引き続き、20mg/mlでトルエン上に分散されているナノ粒子に過量のジメルカプトコハク酸が溶けているDMSO溶液を入れて2時間反応させた後、ナノ粒子を遠心分離して分離した後、水に分散させる。
【0089】
図1(ア)及び図2は、前述した方法で合成されたZn1−xFe(M=FeまたはMn、x=0.1、0.2、0.3、0.4、0.8)ナノ粒子として15nmサイズの均一の球状を有している(サイズ分布図σ<10%)。また、高分解能電子顕微鏡(図1(イ))及びX線回折パターン(図1(ウ))を通じて分析された本ナノ粒子は、スピンネル構造として高結晶性を有している。亜鉛の含有量は、Inductively Coupled Plasma−Mass Spectroscopy(ICP−MS)及びEnergy Dispersive Atomic Emission Spectra of X−ray(EDAX)を通じて分析され、本方法で亜鉛の含有量の精密な調節が可能であるということを確認した(図3)。
【0090】
本ナノ粒子の亜鉛含有率、コアサイズ、使った水溶性多作用基リガンド、磁化率、及びMRI造影効果は、表2の化合物番号13〜33、57〜77に表わした。
【0091】
実施例2:式 Zn0.40.6Fe(M=FeまたはMn)の組成及び6、9、12nmのコアサイズを有してジメルカプトコハク酸でコーティングされた亜鉛が含有されたフェライトナノ粒子磁気共鳴映像剤の合成。
【0092】
10mmolのオレイン酸及び30mmolのオレイルアミンを含むトリオクチルアミン溶液にZnCl、FeClまたはMnCl、Fe(acac)を3時間180℃及び250℃で熱分解させて6nm Zn0.40.6Fe(M=FeまたはMn)ナノ粒子を合成する。9nm及び12nmのように、異なるサイズを有するナノ粒子を合成するためには、同じ量の先駆物質をオレイン酸及びオレイルアミンの比率が変化されたトリオクチルアミン溶液に入れて同じ方法で加熱して反応させた後、沈澱させて得る。
【0093】
引き続き、20mg/mlでトルエン上に分散されているナノ粒子に過量のジメルカプトコハク酸が溶けているDMSO溶液を入れて2時間反応させた後、ナノ粒子を遠心分離して分離した後、水に分散させる。
【0094】
このような方法で合成されたナノ粒子は、均一のサイズの球状を有しており、亜鉛の含有量は、ICP−MS及びEDAXを通じて分析された。本ナノ粒子の亜鉛含有率、コアサイズ、使った水溶性多作用基リガンド、及び磁化率は、表2の化合物番号1〜12、34〜56に表わした。
【0095】
実施例3:式 Zn1−xFe(M=CoまたはNi、x=0.3、0.4)の組成及び12nmのコアサイズを有してジメルカプトコハク酸でコーティングされた亜鉛が含有されたフェライト系列ナノ粒子磁気共鳴映像剤の合成。
【0096】
本明細書で記述された亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子を含む磁気共鳴映像剤の例で、式 Zn1−xFe(M=CoまたはNi、x=0.3、0.4)の組成を有して12nmのコアサイズを有する亜鉛が含有されたフェライトナノ粒子磁気共鳴映像剤は、次のような方法で合成される。20mmolのオレイン酸及びオレイルアミンを含むトリオクチルアミン溶液にZnCl、CoClまたはNiCl、Fe(acac)を2時間200℃及び300℃で熱分解させて12nm Zn0.30.7Fe(M=CoまたはNi)ナノ粒子を合成する。亜鉛の含有比率を調節するためには、先駆物質であるZnCl、CoClまたはNiClの比率を調節して同じ方法で反応させる。
【0097】
引き続き、20mg/mlでトルエン上に分散されているナノ粒子に過量のジメルカプトコハク酸が溶けているDMSO溶液を入れて2時間反応させた後、ナノ粒子を遠心分離して分離した後、水に分散させる。
【0098】
このような方法で合成されたナノ粒子は、均一のサイズの球状を有しており、亜鉛の含有量は、ICP−MS及びEDAXを通じて分析された。本ナノ粒子の亜鉛含有率、コアサイズ、使った水溶性多作用基リガンドは、表2の化合物番号78〜93に表わした。
【0099】
実施例4:式 Zn(M=Mn、Co、Ni)の組成を有してテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(tetramethylammoniumhydroxide(TMAOH))でコーティングされた亜鉛が含有された酸化物ナノ粒子磁気共鳴映像剤の合成。
【0100】
本明細書で記述された亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子を含む磁気共鳴映像剤の例で、式 Zn(M=Mn、Co、またはNi)の組成を有して亜鉛が含有された酸化マンガンナノ粒子磁気共鳴映像剤は、次のような方法で合成される。0.5mmolのオレイン酸及び6.5mmolのオレイルアミンを含むトリオクチルアミン溶液にZnCl及びMCl(M=Mn、Co、またはNi)を1時間270℃で熱分解させてZn(M=Mn、Co、またはNi)ナノ粒子を合成する。このように合成された50mg/mlの濃度で1mlのトルエンに分散されている亜鉛が含有されている酸化物ナノ粒子を過量のエタノールを使って沈澱させた後、TMAOH溶液5mlに再分散させて水溶液に分散させる。合成されたナノ粒子は、Zn0.4Mn2.6、Zn0.2Co0.8O、Zn0.2Ni0.8Oの組成を有しており、コアのサイズは各6、7、10nmである。亜鉛の含有量は、ICP−MS及びEDAXを通じて分析され、本ナノ粒子の亜鉛含有率、コアサイズ、使った水溶性多作用基リガンドは、表2の化合物番号94〜102に表わした。
【0101】
実施例5:多種の金属添加物が含有された酸化鉄ナノ粒子マトリックスの飽和磁化率の比較。
【0102】
如何なる種類の金属添加物が、ナノ粒子マトリックスの飽和磁化率を増加させるのかを説明するために、多様な種類の金属添加物(Ni、Co、Mn、Zn)が含有された酸化鉄ナノ粒子を同じサイズで(15nm)合成し、MPMS Superconducting Quantum Interference Device(SQUID)Magnetometerを用いて常温で飽和磁化率(M)を測定した。酸化鉄及びNi、Co及びMnが含有された酸化鉄ナノ粒子は、大韓民国特許第10−0604975号、第10−0652251、第10−0713745、PCT/KR2004/002509、大韓民国特許第10−0604975号、PCT/KR2004/003088、PCT/KR2007/001001、大韓民国特許出願2006−0018921号に明示された方法を通じて合成し、Znが含有された金属酸化物ナノ粒子は、実施例1によって合成された。その結果、図4で示すように、Ni及びCoが含有されたナノ粒子の場合には、酸化鉄ナノ粒子マトリックスの飽和磁化率(114emu/g(磁性原子))よりむしろ減少した値を示しており、マンガンが含有されたナノ粒子の場合、飽和磁化率が125emu/g(磁性原子)で酸化鉄より少し増加した値を示す。これに比べて亜鉛が含有された酸化鉄ナノ粒子の場合には、Zn0.4Fe2.6 161emu/g(磁性原子)及びZn0.4Mn0.6Fe 175emu/g(磁性原子)でマトリックスである酸化鉄に比べてそれぞれ47及び61emu/g(磁性原子)ほど増加した飽和磁化率を表わした。
【0103】
このような飽和磁化率の増加は、近似値で見る時、二乗値に比例してT2磁気共鳴映像信号を増加させると知られているために、本明細書で提示する亜鉛が含有された金属酸化物磁性ナノ粒子が画期的に増大した磁気共鳴映像造影効果を有するということを予測することができる(Koenig,S.H.et al.Magn.Reson.Med.1995,34,227−233)。
【0104】
実施例6:亜鉛が含有されていない金属フェライトナノ粒子(MFe、M=Mn、Fe、Co、Ni)と亜鉛が含有された金属フェライトナノ粒子(Zn0.30.7Fe、M=Mn、Fe、Co、Ni)との磁気共鳴映像効果の比較。
【0105】
次いで、ナノ粒子マトリックスの種類を変化させて多様な種類のナノ粒子マトリックスでも亜鉛が含有される時、さらに優れた磁気共鳴映像造影効果を表わすかを確認した。このために、実施例1〜5で合成された多様な種類の亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子(Zn0.30.7Fe、M=Mn、Fe、Co、またはNi)と亜鉛が含有されていない金属酸化物ナノ粒子MFe(M=Mn、Fe、Co、またはNi)とを合成して、これらのスピンエコーT2磁気共鳴映像造影効果を比べた。それぞれ得られたナノ粒子は、図5(ア)、(イ)に表わしたように、いずれも同じサイズの均一の15nmサイズの球状であり、その表面は、ジメルカプトコハク酸でコーティングされている。
【0106】
得られたナノ粒子の実際磁気共鳴映像の造影効果を見るために、高速スピンエコーT2磁気共鳴映像を測定した。このために、sense−flex−Mコイルが装着された3Tesla磁気共鳴映像(Achieva;Philips Medical Systems,Best,The Netherlands)システムを使った。磁気共鳴映像結果は、高速スピンエコー(FSE)連鎖を用いて得た。具体的なパラメータは、次の通りであった:解像図256x256μm、切片厚さ1mm、TE=100ms、TR=4000ms、FOV=10x10cm、映像励起回数2。
【0107】
図5の(ウ)に表わしたように、亜鉛が含まれた金属フェライト(Zn0.30.7Fe)が亜鉛が含まれていない金属フェライト(MFe)と比べて、常に約2〜3倍の増大した磁気共鳴映像信号(暗い色)を表わした。造影効果尺度であるR2弛緩係数(濃度変化によるR2変化率)の場合、亜鉛が含有されたマンガンフェライトZn0.3Mn0.7Feが45.9mM1sec−1の弛緩係数を表わして、亜鉛が含有されていないマンガンフェライトのR2弛緩係数21.8mM1sec−1に比べて遥かに増加した弛緩係数値を有し、Zn0.3Fe0.7Fe、Zn0.3Co0.7Fe、Zn0.3Ni0.7Feの場合にも、37.4mM−1sec−1、34.4mM1sec−1、18.7mM−1sec−1でそれぞれ亜鉛が含有されていないFe、CoFe、NiFeの13.6mM−1sec−1、12.4mM−1sec−1、6.7mM−1sec−1に比べてさらに増加した値を有することを確認することができる。
【0108】
実施例7:亜鉛の含有量によるZn1−xFe(M=FeまたはMn、x=0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.8)の飽和磁化率の比較。
【0109】
次いで、亜鉛の含有量が、ナノ粒子の飽和磁化率及び磁気共鳴映像造影効果に及ぶ影響を確認した。このために、実施例1によって15nmのサイズを有するZn1−xFe(M=FeまたはMn、x=0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.8)を合成し、MPMS SQUID Magnetometerを使って、3Teslaでの飽和磁化率を測定した(図6)。
その結果、Zn1−xFe(x=0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.8)ナノ粒子の飽和磁化率(M)は、各125、140、154、166、175、137emu/g(磁性原子)で表われ、これと類似しているようにZnFe3−x(x=0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.8)ナノ粒子の飽和磁化率(M)も、114、126、140、152、161、115emu/g Zn0.4Fe2.6(磁性原子)で表われた。特異する点は、二つの種類のナノ粒子いずれもでx=0.4の場合に、Zn0.4Fe2.6 161emu/g(磁性原子)及びZn0.4Mn0.6Fe 175emu/g(磁性原子)の最大Mを示し、この結果は、現在まで発見された如何なる金属酸化物ナノ粒子のMより高い値である。
【0110】
実施例8:亜鉛の含有量によるZn1−xFe(M=FeまたはMn、x=0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.8)のR2磁気共鳴弛緩率の比較。
【0111】
実施例7で確認したZn1−xFeナノ粒子の亜鉛含有量による飽和磁化率の変化が、実際磁気共鳴映像造影効果の増加をもたらすことができるかを確認した。このために、sense−flex−Mコイルが装着された3Tesla磁気共鳴映像システムを使ってZn1−xFe(M=FeまたはMn、x=0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.8)ナノ粒子の磁気共鳴映像造影効果を測定した。磁気共鳴映像結果は、高速スピンエコー(FSE)連鎖を用いて得た。具体的なパラメータは、次の通りであった:解像図256x256μm、切片厚さ1mm、TE=100ms、TR=400ms、FOV=10x10cm、映像励起回数2。
【0112】
図7(ア)で表わしたように、ZnMn1−xFe、ZnFe3−xナノ粒子いずれもで亜鉛の含有率が増加するによってT2磁気共鳴映像信号が暗い色に変わることを観察し(色を加えたイメージでは、青色に変わる(図7(イ))、ZnMn1−xFe(x=0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.8)ナノ粒子の場合、同一濃度(金属原子基準)で各0.0025、0.0034、0.0041、0.0046、0.0052、0.0036msec−1のR2を有することを確認することができた。これと同様に、ZnFe3−x(x=0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.8)ナノ粒子の場合にも、各0.0012、0.0024、0.0031、0.0038、0.0045、0.0016msec−1のR2を有することを確認した(図7(ウ))。特に、x=0.4の場合のR2は、二つのナノ粒子で各0.0052及び0.0045msec−1であって、これは現在商用化された磁気共鳴映像剤であるFeridex(0.0015msec−1)及びCLIO(Cross−Linked Iron
Oxide)(0.0008msec−1)と比べてZn0.4Mn0.6Feナノ粒子は、同一濃度(金属原子基準)で各350%及び650%、Zn0.4Fe2.6ナノ粒子は、各300%及び560%向上した信号増強効果を有しているということが分かる。
【0113】
実施例9:式 ZnFe3−x(x=0.2、0.4)の組成を有する亜鉛が含有されたフェライトナノ粒子の水溶液での合成。
【0114】
本発明で提示する亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子を含む磁気共鳴映像剤は、前述した有機溶媒上で相転移過程を通じて製造されたナノ粒子にのみ限らずに、水溶液上で次のような方法を経て製造されることもできる。
【0115】
ZnFe3−x(x=0.2、0.4)の組成を有する亜鉛が含有された酸化鉄ナノ粒子を水容液上で合成するために、ナノ粒子の先駆物質であるZn(acac)・2HO 20mg、FeCl・4HO 60mg、FeCl・6HO 240mgを10mlの水に溶解させた後、3.2M濃度のNHOH溶液1mlを入れて20分間強くかき混ぜながら反応させてZn0.2Fe2.8ナノ粒子を得ることができた。また、Zn0.4Fe2.6ナノ粒子を得るためには、先駆物質であるZn(acac)・2HO、FeCl・4HOの量をそれぞれ40mgずつ使って同じ条件で反応することで得ることができた。
【0116】
図8は、前記方法で合成されたZnFe3−x(x=0.2、0.4)ナノ粒子の電子顕微鏡写真(図8(ア、イ))及び、EDAXを通じて亜鉛含有量を分析した結果(図8(ウ、エ))である。その結果、前記方法でも亜鉛が含有されたナノ粒子の製造が可能であり、亜鉛の含有量も調節可能であるということが分かる。合成されたナノ粒子は、不定形で約15nm程度のサイズを有している。
【0117】
実施例10:亜鉛が含有されたフェライトナノ粒子のEXAFS(Extended X−Ray Absorption Fine Structure)分析。
【0118】
本発明によって製作された亜鉛が含有されたフェライトナノ粒子磁気共鳴映像剤のフェライトマトリックス上での亜鉛の分布を調査するために、EXAFSを測定した。図9(ア〜エ)は、実施例1によって合成されたZnFe3−x(x=0.1、0.2、0.3、0.4)ナノ粒子のZn及びFe K−edge EXAFSスペクトルである。Zn K−edge EXAFSスペクトルで3.1オングストローム及び2.6オングストロームで表われるピークは、それぞれフェライトマトリックス上の四面体(T)正孔及び八面体(O)正孔に存在する亜鉛を表わす。グラフ上で3.1オングストロームのピークの強さが強いもの及び亜鉛の比率(x)が増加するほど選択的に3.1オングストロームピークが増加するものは、亜鉛原子がフェライトマトリックスの四面体正孔に選択的に分布しているということを立証する。このような結果は、ナノ粒子の製法のうち、特に有機溶媒上で製造された時にさらに明らかに見える現象であって、この方法が水容液上で製造するものよりさらに効果的に亜鉛を含有させる方法であるということが分かる。また、このように亜鉛が四面体正孔に導入されると磁性の増加が可能となる。
【0119】
実施例11:BSA(Bovine Serum Albumin)でコーティングされた亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子磁気共鳴映像剤の合成。
【0120】
実施例1〜4で合成された50mg/mlの濃度で1mlのトルエンに分散されている亜鉛が含有されている金属酸化物ナノ粒子を過量のエタノールを使って沈澱させた後、5mlのTMAOH溶液に混じって水溶液に分散させる。引き続き、200mgのBSAを添加して溶かした後、常温で24時間反応させる。引き続き、反応溶液をSephacrylS−500カラム(GE Healthcare,USA)で分離して、ナノ粒子と反応せずに残った過量のBSAを除去してナノ粒子を分離する。このように分離されたナノ粒子をCentricon YM100(Millipore,USA)フィルターを使って再び5mlで濃縮させる。
【0121】
実施例12:カルボデキストランでコーティングされた亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子磁気共鳴映像剤の合成。
【0122】
実施例11のような方法で合成されたTMAOHコーティングされたナノ粒子5mlに200mgのカルボデキストランを添加して溶かした後、常温で24時間反応させる。引き続き、反応溶液をSephacryl S−500カラムで分離して、ナノ粒子と反応せずに残った過量のカルボデキストランを除去してナノ粒子を分離する。このように分離されたナノ粒子をCentricon YM100フィルターを使って再び5mlで濃縮させる。
【0123】
実施例13:ヒプロメロースでコーティングされた亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子磁気共鳴映像剤の合成。
【0124】
実施例11のような方法で合成されたTMAOHコーティングされたナノ粒子5mlに100mgのヒプロメロースを添加して溶かした後、常温で24時間反応させる。引き続き、反応溶液をSephacryl S−500カラムで分離して、ナノ粒子と反応せずに残った過量のヒプロメロースを除去してナノ粒子を分離する。このように分離されたナノ粒子をCentricon YM100フィルターを使って再び5mlで濃縮させる。
【0125】
実施例14:ニュートラビジンでコーティングされた亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子磁気共鳴映像剤の合成。
【0126】
先の実施例11のような方法で合成された水溶化されたナノ粒子5mlに100mgのニュートラビジンを添加して溶かした後、常温で24時間反応させる。引き続き、反応溶液をSephacryl S−500カラムで分離して、ナノ粒子と反応せずに残った過量のニュートラビジンを除去してナノ粒子を分離する。このように分離されたナノ粒子をCentricon YM100フィルターを使って再び5mlで濃縮させる。
【0127】
実施例15:抗体(IgG)でコーティングされた亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子磁気共鳴映像剤の合成。
【0128】
実施例11のような方法で合成されたTMAOHコーティングされたナノ粒子5mlに100mgの抗体を添加して溶かした後、常温で24時間反応させる。引き続き、反応溶液をSephacryl S−500カラムで分離して、ナノ粒子と反応せずに残った過量の抗体を除去してナノ粒子を分離する。このように分離されたナノ粒子をCentricon YM100フィルターを使って再び5mlで濃縮させる。
【0129】
実施例16:亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子を含む磁気共鳴映像剤のpH及び塩濃度変化による安定性分析。
【0130】
多様なリガンドでコーティングされたZn0.4Fe2.6ナノ粒子を含む磁気共鳴映像剤のpH及び塩に対する安定性を分析した。図10の(ア)に表わしたように、すべての水溶性ナノ粒子は、200mMのNaCl濃度で安定し、特に、BSA−Zn0.4Fe2.6、カルボデキストラン−Zn0.4Fe2.6、ヒプロメロース−Zn0.4Fe2.6、ニュートラビジン−Zn0.4Fe2.6、抗体(IgG)−Zn0.4Fe2.6ナノ粒子は、1M以上の濃度でも安定であるということを示す。
【0131】
また、図10の(イ)に表わしたように、すべての水溶性ナノ粒子は、pH7ないし9で安定し、特に、BSA−Zn0.4Fe2.6、カルボデキストラン−Zn0.4Fe2.6、ナノ粒子は、pH1ないし11でも安定であるということを示した。
【0132】
実施例17:式 Zn0.4Fe2.6を有する亜鉛が含有された金属酸化物を含む磁気共鳴映像剤を利用したモルモットの肝造影。
【0133】
亜鉛が含有された金属酸化物を含む磁気共鳴映像剤のin vivo環境での磁気共鳴映像造影効果を調べるために、実施例11で合成されたBSAでコーティングされたZn0.4Fe2.6ナノ粒子を2mg/ml濃度及び8mg/kgの量でBalb/cマウス(n=4)にしっぽを通じて靜脈注射した。そして、ナノ粒子注射前及び後10分間隔で磁気共鳴映像(MRI)を測定した。この際、ナノ粒子の肝造影効果を調べるために、T2信号強度を測定した。
【0134】
MRIを測定するために、sense−flex−Mコイルが装着された3Tesla(Acheiva;Philips Medical Systems.Best,the Netherlands)システムを使った。磁気共鳴映像結果は、高速スピンエコーを用いて得た。
【0135】
具体的なパラメータは、次の通りであった:解像図256x256μm、切片厚さ1mm、TE=100ms、TR=4000ms、FOV=10x10cm、映像励起回数2。
【0136】
図11に表わしたように、ナノ粒子が注射された後、肝のT2磁気共鳴映像信号が減少して暗くなったということが分かる。一般的に、酸化鉄映像剤を利用したモルモットの造影実験で25mg/kgの容量を使うものと比べて、本発明で提示した亜鉛が含有された金属酸化物を含む磁気共鳴映像剤は、8mg/kgの約3倍少ない容量でも効果的な肝造影映像が得られる。
【0137】
実施例18:‘亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子(Zn0.4Mn0.6Fe)生物/化学活性物質(ハーセプチン)’ハイブリッドナノ粒子の合成。
【0138】
ナノハイブリッド製造過程に対する要約図を図12に表わした。ハーセプチン[(10mM燐酸緩衝溶液内に10mg/ml、pH7.2)Genentech,Inc.,South San Francisco,CA,USA]100ulを取ってエッペンドルフチューブに入れた後、sulfo−SMCC[(N−Maleimidomethyl)cyclohexane−1−carboxylic acid 3−sulfo−N−hydroxy−succimide ester,Pierce]を添加して室温で30分間反応させてハーセプチンのリシン残基をマレイミド基(maleimide)に置換させた。前記リシン残基が、マレイミド基に置換されたハーセプチンを200ulのジメルカプトコハク酸でコーティングされたZn0.4Mn0.6Feを含有した水溶液と4時間室温で反応させて亜鉛が含有されたマンガンフェライト−ハーセプチンナノハイブリッド粒子を製造した。該製造されたナノハイブリッド粒子は、アガロース電気泳動実験を通じて分析した。クマシーブルー(Coomassie Blue)タンパク質染色結果、ナノハイブリッドが生成されたということを確認することができた(図12(ウ)の2番レーン)。
【0139】
実施例19:‘亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子(Zn0.4Mn0.6Fe)‐生物/化学活性物質(ニュートラビジン)’ハイブリッドナノ粒子の合成。
【0140】
ニュートラビジン[(10mM燐酸緩衝溶液内の10mg/ml、pH7.2)、Sigma]100ulを取ってエッペンドルフチューブに入れた後、sulfo−SMCCを添加して室温で30分間反応させてニュートラビジンのリシン残基をマレイミド基に置換させた。マレイミド基に置換されたニュートラビジンを200ulのジメルカプトコハク酸でコーティングされたZn0.4Mn0.6Feを含有した水溶液と4時間室温で反応させて亜鉛マンガンフェライト−ニュートラビジンナノハイブリッド粒子を製造した。該製造されたナノハイブリッド粒子は、アガロース電気泳動実験を通じて分析した。クマシーブルータンパク質染色結果、ナノハイブリッドが生成されたということを確認することができた(図12(ウ)の3番レーン)。
【0141】
実施例20:亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子を含む磁気共鳴映像剤の細胞毒性比較。
【0142】
亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子を含む磁気共鳴映像剤の細胞毒性を調査した。2x10個のHeLa細胞に濃度を異にして15nmサイズのジメルカプトコハク酸でコーティングされたZn0.4Fe2.6ナノ粒子を処理した。24時間後、trypan blue方法を通じて細胞の活性度を測定した。図13(ア)に表わしたように、Zn0.4Fe2.6ナノ粒子は、100μg/mlの濃度までぼほ100%に近い細胞活性度を示してナノ粒子が生体親和的であるということが分かる。また、図13(イ)に表わしたように、亜鉛が含有された酸化鉄及びマンガンフェライトナノ粒子は、100μg/mlの濃度で酸化鉄ナノ粒子と類似している細胞活性度を示している。酸化鉄ナノ粒子が、アメリカ食品安全医薬庁(FDA、Food and Drug Administration)で人体使用が許可されたことを考慮すれば、本亜鉛が含有されたナノ粒子の場合、同様に生体親和的であるということを示す。
【0143】
実施例21:光学−MRI二重モード診断用ナノハイブリッドシステム。
【0144】
光学的性質と磁性とを同時に有する診断用プローブを開発するために、BSAで表面安定化された亜鉛が含有されたマンガンフェライトナノ粒子に蛍光染料(ローダミンRITC、Rhodamine isothiocyanate)を付けて磁性と蛍光とを同時に有するハイブリッド粒子を開発した(図14(ア))。このために、牛血清アルブミンに存在する−NHのmol比で20倍程度過量のNHS−RITCを入れて10mMの燐酸緩衝溶液で、常温で2時間反応させてローダミン−亜鉛マンガンフェライトハイブリッドナノ粒子を合成した。その結果、図14に示すように、本光学−磁性ハイブリッド粒子は、蛍光(図14(イ))を有しており、また、磁気共鳴映像信号も同時(図14(ウ))に有することを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子を含むことを特徴とする磁気共鳴映像剤。
【請求項2】
前記亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子は、
金属酸化物ナノ粒子マトリックスに亜鉛がマトリックス金属を置換するか、亜鉛が空いている正孔に添加された形態であることを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項3】
前記亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子は、
その飽和磁化率(M)または磁気共鳴映像造影効果(R2またはR1)が、その金属酸化物ナノ粒子マトリックスに比べて増加した値を有することを特徴とする請求項2に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項4】
前記亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子は、
磁気共鳴映像造影効果(R2またはR1)が、その金属酸化物ナノ粒子マトリックスに比べて40%以上増加した値を有することを特徴とする請求項3に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項5】
前記亜鉛が含有された金属酸化物は、
金属酸化物マトリックスである、
(a)式 M
(0<a≦16、0<b≦8、Mは、磁性を帯びる金属原子またはこれらの合金);または、
(b)式 M
(0<c≦16、0<d≦16、0<e≦8、Mは、磁性を帯びる金属原子またはこれらの合金;Mは、1族元素、2族元素、12族元素、13族元素、14族元素、15族元素、転移金属元素、ランタン族元素、及びアクチニウム族元素からなるグループから選択される元素)の構造式を有するナノ粒子で亜鉛が添加されてマトリックス金属原子の一部を置換するか、空いている正孔に添加した形態である、
(c)式 Zna−f
(0<f<8、0<a≦16、0<b≦8、0<f/(a−f)<10、Mは、磁性を帯びる金属原子またはこれらの合金);または、
(d)式 Znc−g
(0<g<8、0<c≦16、0<d≦16、0<e≦8、0<g/{(c−g)+d}<10、Mは、磁性を帯びる金属原子またはこれらの合金であり;Mは、1族元素、2族元素、12族元素、13族元素、14族元素、15族元素、転移金属元素、ランタン族元素、及びアクチニウム族元素からなるグループから選択される元素)の構造式を有するナノ粒子であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうち何れか一項に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項6】
前記亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子の水に対する分散度が1μg/ml〜500mg/mlであり、水に分散されたナノ粒子の流体動力学的直径が1nm〜500μmであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうち何れか一項に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項7】
は、
Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Ge、Ga、Bi、In、Si、Ge、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、ランタン族元素、及びアクチニウム族元素からなるグループから選択される元素であることを特徴とする請求項5に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項8】
前記亜鉛が含有された金属酸化物は、
金属酸化物マトリックスである、
(e)式 MFe
(0<h≦16、0<i≦8、0<j≦8、Mは、磁性を帯びる金属原子またはこれらの合金)の構造式を有するナノ粒子で亜鉛が添加されてマトリックス金属原子の一部を置換するか、空いている正孔に添加した形態である、
(f)式 Znh−kFe
(0<k<8、0<h≦16、0<i≦8、0<j≦8、0<k/{(h−k)+i}<10、Mは、磁性を帯びる金属原子またはこれらの合金)の構造式を有するナノ粒子であることを特徴とする請求項5に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項9】
前記亜鉛が含有された金属酸化物は、
金属酸化物マトリックスである、
(g)式 Fe
(0<l≦8、0<m≦8)または、
(h)式 MnFe
(0<n≦8、0<o≦8、0<p≦8)の構造式を有するナノ粒子に亜鉛が添加されてマトリックス上の金属原子の一部を置換するか、空いている正孔に添加した形態である、
(i)式 ZnFel−q
(0<q<8、0<l≦8、0<m≦8、0<q/(l−q)<10)または、
(j)式 ZnMnn−rFe
(0<r<8、0<n≦8、0<o≦8、0<p≦8、0<r/{(n−r)+o}<10)の構造式を有するナノ粒子であることを特徴とする請求項8に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項10】
前記亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子は、
亜鉛と異なる金属の比率が、化学量論的に0.001<‘亜鉛/(総金属−亜鉛)’<10であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうち何れか一項に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項11】
前記亜鉛が含有された金属酸化物は、
その飽和磁化率が、60emu/g(磁性原子)以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうち何れか一項に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項12】
前記亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子は、
それ自体で水に分散されるか、水溶性多作用基リガンドがナノ粒子を取り囲んでおり、水溶液で分散されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうち何れか一項に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項13】
前記亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子は、
下記の段階を含む製法によって製造されたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のうち何れか一項に記載の磁気共鳴映像剤:
(1)水不溶性亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子を有機溶媒で合成する段階、
(2)前記水不溶性亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子を第1溶媒に溶解して水溶性多作用基リガンドを第2溶媒に溶解する段階、
(3)前記段階(2)による二つの溶液を混合して、水不溶性亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子の表面に多作用基リガンドを導入させて水溶液に溶解して分離する段階。
【請求項14】
前記水溶性多作用基リガンドは、
亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子に結合する付着領域(L)を含むことを特徴とする請求項13に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項15】
前記亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子と水溶性多作用基リガンドとの付着領域の結合は、
イオン結合、共有結合、水素結合、疎水結合及び金属−リガンド配位結合のうち一つ以上の結合によって形成されたことを特徴とする請求項14に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項16】
前記水溶性多作用基リガンドは、
活性成分を結合させるための活性成分結合領域(LII)と、
リガンドの間の交差連結のための交差連結領域(LIII)と、または、
前記活性成分結合領域(LII)と交差連結領域(LIII)とを同時に含む活性成分結合領域−交差連結領域(LII−LIII)と、をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項17】
前記付着領域(L)は、
−CHO、−COOH、−NH、−SH、−CONH、−POH、−OPOH、−SOH、−OSOH、−N、−NROH(R=C2n+1、0≦n≦16)、−OH、−SS−、−NO、−CHO、−COX(X=F、Cl、Br、またはI)、−COOCO−、−CONH−、または、−CN及び炭素数2以上の炭化水素からなるグループから選択される作用基を含むことを特徴とする請求項14に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項18】
前記活性成分結合領域(LII)は、
−CHO、−SH、−COOH、−NH、−OH、−POH、−PO、−SOH、−OSOH、−NR(R=C 0≦n≦16、0≦m≦34、X=OH、Cl、またはBr)、NR(R=C 0≦n≦16、0≦m≦34、X=OH、Cl、またはBr)、−N、−SCOCH、−SCN、−NCS、−NCO、−CN、−F、−Cl、−I、−Br、エポキシ基、−ONO、−PO(OH)、−C=NNH、−HC=CH−及び−C≡C−からなるグループから選択された1種以上の作用基を含むことを特徴とする請求項16に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項19】
前記交差連結領域(LIII)は、
−SH、−CHO、−COOH、−NH、−OH、−POH、−PO、−SOH、−OSOH、−NR(R=C 0≦n≦16、0≦m≦34、X=OH、Cl、またはBr)、NR(R=C 0≦n≦16、0≦m≦34、X=OH、Cl、またはBr)、−N、−SCOCH、−SCN、−NCS、−NCO、−CN、−F、−Cl、−I、−Br、エポキシ基、−ONO、−PO(OH)、−C=NNH、−HC=CH−及び−C≡C−からなるグループから選択された1種以上の作用基を含むことを特徴とする請求項16に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項20】
前記水溶性多作用基リガンドは、
ジメルカプトコハク酸、ジメルカプトマレイン酸、ジメルカプトペンタジオニック酸、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシドからなるグループから選択される1種以上であることを特徴とする請求項14に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項21】
前記水溶性多作用基リガンドは、
−SH、−COOH、−NH及び−OHのうち一つ以上を作用基で有するアミノ酸を一つ以上含むペプチドであることを特徴とする請求項14に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項22】
前記水溶性多作用基リガンドは、
タンパク質、アルブミン、アビジン、抗体、二次抗体、シトクロム、カゼイン、ミオシン、グリシニン、カロテン、コラーゲン、燐脂質、球状タンパク質類、及び軽タンパク質類からなるグループから選択される一つ以上であることを特徴とする請求項14に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項23】
前記水溶性多作用基リガンドは、
グルコース、マンノース、フコース、N−アセチルグルコミン、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルノイラミン酸、果糖、キシロース、ソルビトール、蔗糖、マルトース、グリコアルデヒド、ジヒドロキシアセトン、エリトロース、エリトルロース、アラビノース、キシルロース、乳糖、トレハロース、メリビオース、セロビオース、ラフィノース、メレジトース、マルトリオース(maltoriose)、スタキオース、エストロドーズ(estrodose)、キシラン、アラバン、ヘキソサン、フルクタン、ガラクタン(galactan)、マンナン、アガロペクチン、アルギン酸、ヘミセルロース、ヒプロメロース、アミラーゼ、ジオキシアセトン、グリセリンアルデヒド、キチン、アガロース、デキストラン、リボース、リブロース、ガラクトース、カルボキシメチルセルロース及びグリコーゲンデキストラン、カルボデキストラン、ポリサッカライド、シクロデキストラン、プルロニック、セルロース、澱粉、グリコーゲン、炭水化物、ポリホスファゲン、ポリ乳酸、ポリ乳酸−co−グリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリアンヒドリド、ポリマレイン酸、ポリマレイン酸の誘導体、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリヒドロキシブチレート、ポリカーボネート、ポリオルソエステル、ポリエチレングリコール、ポリ−L−リジン、ポリグリコリド、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルピロリドンからなるグループから選択される1種以上を含むことを特徴とする請求項14に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項24】
前記水溶性多作用基リガンドは、
付着領域(L)の作用基は、−COOH、または−OH基を、活性成分結合領域(LII)の作用基は、−COOH、−NH、NR(R=C 0≦n≦16、0≦m≦34、X=OH、Cl、またはBr)基、または、−SH基を含むことを特徴とする請求項16に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項25】
前記亜鉛が含有された水溶性金属酸化物ナノ粒子は、
前記水溶性多作用基リガンドの活性成分結合領域(LII)に活性成分が結合された形態である亜鉛が含有された金属酸化物−生物/化学活性物質ハイブリッドナノ粒子であることを特徴とする請求項16に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項26】
前記活性成分は、
化学機能性単分子、高分子、無機支持体、無機物質及び生体機能性物質からなるグループから選択されることを特徴とする請求項25に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項27】
前記化学機能性単分子は、
抗癌剤、抗生剤、ビタミン、葉酸を含む薬物、脂肪酸、ステロイド、ホルモン、プリン、ピリミジン、単糖類、二糖類からなるグループから選択される1種以上であることを特徴とする請求項26に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項28】
前記化学機能性単分子は、
末端あるいは側鎖に、−COOH、−NH、−SH、−SS−、−CONH、−POH、−PO、−PO(OR)(OR)(R、R=C、X=−F、−Cl、−Br、または、−I、0≦s≦20、0≦t≦2(s+u)+1、0≦u≦2s、0≦w≦2s、0≦x≦2s、0≦y≦2s、0≦z≦2s)、−SOH、−OSOH、−NO、−CHO、−COSH−COX、−COOCO−、−CORCO−(R=C、0≦l≦3、0≦m≦2l+1)、−COOR、−CN、−N、−N、−NROH(R=C、X=−F、−Cl、−Br、または、−I、−0≦s≦20、0≦t≦2(s+u)+1、0≦u≦2s、0≦w≦2s、0≦x≦2s、0≦y≦2s、0≦z≦2s)、−NRNR(R、R、R=C、X=−F、−Cl、−Br、または、−I、0≦s≦20、0≦t≦2(s+u)+1、0≦u≦2s、0≦w≦2s、0≦x≦2s、0≦y≦2s、0≦z≦2s)、−CONHNR(R、R=C、X=−F、−Cl、−Br、または、−I、0≦s≦20、0≦t≦2(s+u)+1、0≦u≦2s、0≦w≦2s、0≦x≦2s、0≦y≦2s、0≦z≦2s)、−NR(R、R、R=C、X=−F、−Cl、−Br、または、−I、X=F、Cl、Br、または、I、0≦s≦20、0≦t≦2(s+u)+1、0≦u≦2s、0≦w≦2s、0≦x≦2s、0≦y≦2s、0≦z≦2s)、−OH、−SCOCH、−F、−Cl、−Br、−I、−SCN、−NCO、−OCN、−エポキシ、−C=NNH、−HC=CH−及び−C≡C−からなるグループから選択されることを特徴とする請求項26に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項29】
前記高分子は、
デキストラン、カルボデキストラン、ポリサッカライド、シクロデキストラン、プルロニック、セルロース、澱粉、グリコーゲン、炭水化物、単糖類、二糖類及びオリゴ糖類、ポリホスファゲン、ポリ乳酸、ポリ乳酸−co−グリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリアンヒドリド、ポリマレイン酸及びポリマレイン酸の誘導体、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリヒドロキシブチレート、ポリカーボネート、ポリオルソエステル、ポリエチレングリコール、ポリ−L−リジン、ポリグリコリド、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルピロリドンからなるグループから選択される1種以上であることを特徴とする請求項26に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項30】
前記無機支持体は、
金属酸化物、金属カルコゲン化合物、無機セラミック物質、炭素物質、半導体基板、金属基板、または、その複合体であることを特徴とする請求項26に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項31】
前記無機物質は、
1族元素、2族元素、転移金属元素、14族元素、15族元素、ランタン族元素及びアクチニウム族元素からなるグループから1種以上選択された元素で構成された金属酸化物と、
13族元素、12族元素、14族元素、15族元素、及び16族元素のうち2種以上選択された元素で構成された半導体と、
転移金属元素、13族元素、14族元素、15族元素、及び16族元素と、からなるグループから選択されることを特徴とする請求項26に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項32】
前記無機物質は、
Li、Na、Be、Ca、Ge、Ba、Mg、Sr、Ra、Sc、Ti、V、Y、Tc、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Zr、Nd、Cr、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、An、Pb、P、As、Sb、Bi、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、ランタン族、及びアクチニウム族元素からなるグループから1種以上選択された元素で構成された金属酸化物と、
Ga、In、Tl、Zn、Cd、Hg、C、Si、Ge、Sn、Pb、N、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、Te、及びPoからなるグループから選択された2種以上の元素で構成された半導体と、
Au、Ag、Pt、Cu、Pd、Mo、Os、W、Ti、W、V、Cr、Zn、Nb、Ru、Rh、Ir、Co、Mn、Fe、Ni、Cr、Y、Zr、Cd、Ta、Re、Al、Ga、In、C、Si、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Se、Te、及びPoと、からなるグループから選択されることを特徴とする請求項31に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項33】
前記生体機能性物質は、
DNA、RNA、ペプチド、抗原、抗体、ハプテン、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラビジン、プロテインA、プロテインG、レクチン、セレクチンのような組職特異的結合成分と、
抗癌剤、抗生剤、ホルモン(hormone)、ホルモン拮抗剤、インターロイキン、インターフェロン、成長因子、腫瘍壊死因子、エンドトキシン、リンホトキシン、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、組職プラスミノゲン活性剤、プロテアーゼ阻害剤、アルキルホスホコリン、界面活性剤、心血関係薬物、胃腸関係薬物、神経系薬物のような薬剤学的活性成分、加水分解酵素、酸化還元酵素、分解酵素、異性質化酵素、合成酵素などの生体活性酵素、酵素補因子、酵素抑制剤と、からなるグループから選択される1種以上であることを特徴とする請求項26に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項34】
前記亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子は、
放射性同位元素が結合されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうち何れか一項に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項35】
前記磁気共鳴映像剤は、
単一光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT、Single Photon Emission Computer Tomography)または陽電子放出断層撮影(PET、Positron Emission Tomography)に使われることを特徴とする請求項34に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項36】
前記亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子は、
蛍光物質が結合されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうち何れか一項に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項37】
前記磁気共鳴映像剤は、
光学イメージング及び分光に使われることを特徴とする請求項36に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項38】
前記亜鉛が含有された金属酸化物ナノ粒子は、
X線映像剤及び超音波映像剤が結合されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうち何れか一項に記載の磁気共鳴映像剤。
【請求項39】
前記磁気共鳴映像剤は、
X線イメージング及び超音波イメージングに使われることを特徴とする請求項38に記載の磁気共鳴映像剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−56916(P2013−56916A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−248763(P2012−248763)
【出願日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【分割の表示】特願2009−530295(P2009−530295)の分割
【原出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(506263491)インダストリー−アカデミック コーペレイション ファウンデイション, ヨンセイ ユニバーシティ (18)
【Fターム(参考)】